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特許7386806エナジーチェーンの動作のための監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】エナジーチェーンの動作のための監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20231117BHJP
   F16G 13/16 20060101ALI20231117BHJP
   F16L 3/01 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H02G11/00
F16G13/16
F16L3/01
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020557174
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019058662
(87)【国際公開番号】W WO2019201626
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】202018102217.2
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】シュメル コンスタンチン
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0122047(US,A1)
【文献】独国実用新案第202017102147(DE,U1)
【文献】特表平09-512083(JP,A)
【文献】特表2015-516551(JP,A)
【文献】特開2006-300271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
F16G 13/16
F16L 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して可動である2つの接続箇所の間でケーブル、ホースなどの少なくとも1本のラインを案内するエナジーチェーンの動作用の監視システムであって、
前記接続箇所のうちの一方に各々接続可能であるかまたは接続されており、かつ、前記接続箇所が相対的に移動する場合に、前記少なくとも1本のラインの案内領域として互いに対して位置変更可能なまたは互いに対して位置が変化するチェーン区域を備える、2つの端部領域を有する、エナジーチェーンと、
前記ラインに結合され得るかまたは結合しているラインホルダを有する、少なくとも1つのストレインリリーフデバイスと、
前記接続箇所のうちの少なくとも一方にあるキャリア部であって、前記キャリア部は前記ストレインリリーフデバイスを動かない様式で固定し、前記ストレインリリーフデバイスによって、前記少なくとも1本のラインが端部側においてひずみを逃がす様式で固定可能であるかまたは固定されている、キャリア部と、
前記エナジーチェーンの前記動作を監視するための少なくとも1つの測定デバイスと、を備え、
前記少なくとも1つの測定デバイスは、前記ストレインリリーフデバイス上の前記少なくとも1本のラインから、および前記ストレインリリーフデバイスからさらに前記キャリア部に向かう方向へと伝達される力を測定するように配置および構成されている、監視システム。
【請求項2】
前記測定デバイスは、測定に有効な様式で、前記ライン自体の表面を含め、前記少なくとも1本の、前記ストレインリリーフデバイス上に固定すべきラインまたは固定済みのラインから前記キャリア部内への力の流れの方向において前記ラインと前記キャリア部との間に配置されている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記測定デバイスは測定に有効な様式で前記ストレインリリーフデバイスと結合している、請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記測定デバイスは測定に有効な様式で前記ストレインリリーフデバイスの少なくとも1つのラインホルダに結合している、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記ストレインリリーフデバイスは、前記少なくとも1つのラインホルダを前記ストレインリリーフデバイスに固止する少なくとも1つの支持領域を備え、前記測定デバイスは測定に有効な様式で前記支持領域に結合している、請求項3または4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記ストレインリリーフデバイスは、前記ストレインリリーフデバイスを前記キャリア部に固定する基部要素を備え、
前記測定デバイスは測定に有効な様式で前記基部要素に結合している、請求項3から5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記ストレインリリーフデバイスは、前記ストレインリリーフデバイスを前記キャリア部に固定する基部要素を備え、
前記測定デバイスは測定に有効な様式で前記基部要素に対する前記キャリア部の保持領域と結合されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記測定デバイスは、測定値を受信すべく、前記ラインから前記キャリア部に向かう方向への力伝達方向に沿った前記ラインの端部領域、前記ストレインリリーフデバイスの領域、または前記キャリア部の領域における、1つの同じ構成要素または構成要素グループの少なくとも2つの異なる領域に結合されるように形成され、結合された2つの異なる領域に作用する力の相対的な差を測定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記測定デバイスは、前記ストレインリリーフが測定値を受信するように、1つの同じ構成要素の異なる領域に結合する少なくとも2つのセンサを備える、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
少なくとも2つの前記センサは、前記ストレインリリーフの支持領域と、または、前記ストレインリリーフの基部要素と、または、前記キャリアの保持領域と結合する、請求項9に記載の監視システム。
【請求項11】
前記測定デバイスは、前記ラインの端部、前記ストレインリリーフデバイス、および前記キャリア部からなる構成要素の群のうちの2つの異なる構成要素の間の相対的な力の差を測定するために、測定値を受信すべく、前記ラインから前記キャリア部に向かう方向への力伝達方向において、前記構成要素の群のうちの異なる構成要素と結合されるように形成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項12】
両方の接続箇所のそれぞれにストレインリリーフデバイスが設けられており、
前記ストレインリリーフデバイスのそれぞれは、前記少なくとも1本の固定すべきラインの前記エナジーチェーンに対する張力を逃がし、2つの測定デバイスが提供され、前記測定デバイスは、前記エナジーチェーンの動作中に固定すべき前記ラインにもしくは固定済みの前記ラインに及ぼされる、ならびに/または前記少なくとも1本のラインによって前記キャリア部に向かう方向に伝達される力を測定するように、配置および構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項13】
前記監視システムは、前記少なくとも一方または両方の測定デバイスの測定値を取得できる評価ユニットを備え、
前記評価ユニットは、前記測定デバイスの前記測定値を所定の閾値とそれぞれ比較するように構成されており、所定の公差範囲を超える前記閾値からの逸脱が生じたときに信号デバイスに前記信号デバイスをトリガするための信号を送る、請求項1から12のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項14】
前記監視システムは、前記測定デバイスの少なくとも1つのセンサの信号を取得および/または評価する評価ユニットを備え、
前記評価ユニットは基準センサの前記信号を更に取得および/または評価し、
前記評価ユニットは、不具合の発生時に前記接続箇所同士の間の相対的な移動の停止をトリガする、請求項1から13のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項15】
前記監視システムは、前記測定デバイスの測定値を評価できる評価ユニットを備え、
前記エナジーチェーンは所定の変位サイクルを基準サイクルとして変位され、
前記基準サイクルとは異なる前記チェーンの変位サイクルの測定値が前記基準サイクルの測定値と比較される、請求項1から14のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記測定デバイスは、前記ラインに作用するおよび/またはそこから前記キャリア部に向かう方向に伝達される前記力を測定するための、少なくとも1つの力センサを備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項17】
監視システムにおいて使用される、エナジーチェーン内を案内される1本または複数本のライン用のストレインリリーフデバイスであって、前記少なくとも1本のラインをひずみを逃がす様式で固定するためのラインホルダを備え、前記ストレインリリーフデバイスの一部の領域または構成要素に結合されているかまたは結合され得、かつ、前記エナジーチェーンの動作中に固定すべき前記ラインにもしくは固定済みの前記ラインに及ぼされる、および/または前記エナジーチェーンの動作中に前記少なくとも1本のラインによってキャリア部に向かう方向に伝達される力を測定するための、測定デバイスの一部である、少なくとも1つのセンサを有する、ストレインリリーフデバイス。
【請求項18】
前記測定デバイスは、前記ラインホルダと前記ストレインリリーフデバイスの基部領域との間に取り付けられている、少なくとも1つのセンサを備える、請求項17に記載のストレインリリーフデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のエナジーチェーンの動作のための監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
中でラインが案内されるエナジーチェーンは、チェーン自体においてもまた中で案内されるラインにおいても、様々な応力に曝される。このことは一方では、エナジーチェーンの構成要素、例えばチェーンリンクの連接領域の摩耗に関連している。多くの場合、チェーンは、互いに対して可動な2つの接続箇所の間に配置されて偏向領域を形成しており、この偏向領域が、例えばチェーンの上側のストランドと下側ストランドを接続している。チェーンの変位中、この偏向領域はチェーンに沿って移動する。この結果、エナジーチェーン内を案内されるラインもまた、湾曲のより少ない例えば直線状の状態から、偏向領域に存在するような湾曲のより大きい状態へと、チェーンが変位している間に、ラインの特定の部分が移動されると、変形される。接続箇所のうちの1つの前後の移動はこの場合、ラインに対して交互の機械的応力を、特にまた曲げ応力を及ぼす。こうして、チェーンの変位が高速でラインが特定の曲げ剛性を有する場合に、非常に高い応力が生じる。また更に、チェーンの変位の動きに起因するチェーン端の加速または減速中に、ラインに対してこの長手方向に、張力および/または圧縮力が及ぼされる。ラインに対するこれらの荷重は、これだけでラインの摩耗をもたらす可能性がある。しかしながら、構造の異なるラインまたは異なる断面を有するラインはまた、受ける摩耗も異なる。
【0003】
エナジーチェーンが変位されるときにラインに及ぼされる交互の応力はまた、特定の状況下で、特にまたそれぞれのラインのストレインリリーフにおいて、ラインの保持の特定の緩みをもたらし得る。これらの交互の応力はまた、それぞれのラインに、エナジーチェーン内のラインの公称位置の望ましくない変化をもたらし得る。ラインの公称位置は通常、チェーンが変位されるときに、ラインの一部が他のラインを含め、他の構成要素、例えばチェーンリンクの内面と、望ましくない接触を起こさないように決定される。ラインの位置が少なくとも一部の領域において公称位置から逸脱して変化するとき、ラインの一部がチェーンの別の構成要素、例えばチェーンの内部空間を画定する構成要素と、または別のラインと、望ましくない接触を起こす可能性がある。しかしながら、そのような接触、特にこすれ、押しのけ、または衝突もまた、ラインのかなりの摩耗につながる可能性がある。
【0004】
しかしながら、特にチェーンの変位に起因する、ラインの摩耗には、ラインの不具合を回避するために、合間ごとにラインの保全が必要になる。ラインの不具合は、機械のダウンタイムおよびラインの交換をもたらすことになり、また、ラインを供給される機械の損傷、ライン内を通される流体の環境への漏出による喪失、ラインの破断、他のラインまたはチェーンの損傷、等につながる可能性がある。他方で、そのような保全自体もまた、可能な場合は最小にすべきである、望ましくない機械のダウンタイムを常に意味している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の根底にある目的は、中で少なくとも1本のラインが案内されるエナジーチェーンの動作のための監視システムであって、ラインの状態をチェックするためのメンテナンス間隔(maintenance interval)を最適化できる、および/または、エナジーチェーンを停止させずにラインの最初の損傷を早期に特定できる、監視システム、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の監視システムによって、および、請求項16に記載のそのような監視システム用のストレインリリーフデバイスを提供することによって、達成される。有利な実施形態は従属請求項から明らかである。
【0007】
本発明によれば、エナジーチェーンの動作中に、固定すべきラインにもしくは固定済みのラインに及ぼされる、ならびに/または、チェーンの動作中に少なくとも1本のラインからキャリア部に向かう方向へとおよび/もしくはキャリア部内へと伝達される力を測定するための、少なくとも1つの測定デバイスが提供される。したがって、本発明の過程で、エナジーチェーンの動作中に少なくとも1本のラインによってキャリア部に向かう方向へとおよび/もしくはキャリア部内へと伝達された力(一般には「線力(line force)」とも呼ばれる)は、特にチェーンの動作パラメータがこれ以外は同じである場合に、ラインの摩耗の尺度となり得るか、または、チェーンの動作パラメータがこれ以外は同じである場合に、ある期間にわたって変化する線力から、摩耗について結論付けることもしくは少なくとも示唆することが可能であることが見出された。上記の期間は、これ以外の通常通りのメンテナンス間隔のかなりの部分に相当する場合があり、この場合、ラインのかなりの摩耗が既に相応に生じている可能性がある。
【0008】
エナジーチェーン用の監視デバイスは、国際公開第2004/090375号から既に知られている。チェーンリンクの摩耗およびそれらの間の関節連接部を、これにより監視することができる。しかしながら、チェーンまたはチェーンの一部の互いとの関節連接部の摩耗は、他の材料および他の機械的応力が存在するため、チェーン内を案内されるラインの摩耗とはいかなる点でも相関しない。このことは特に、チェーン内で構造タイプの異なるケーブルが案内される場合に当てはまる。所与のチェーンの変位に関するライン摩耗は、一方ではラインのタイプに依存するが、場合によってはまた、チェーン内のラインの配置、例えば、ラインがチェーンリンクの連接要素同士を接続するラインから近くまたは遠くのどちらに配置されているかに依存する。また、例えばチェーンの急激な加速による、機械的荷重のピークに対するラインの感度は、特定のライン構造に依存し得る。国際公開第2004/090375号の監視デバイスはしたがって、本発明の根底にある目的を解決するものではない。
【0009】
例えば、あるライン(a line)(一般にまた「複数のライン(lines)」)がエナジーチェーン(一般にまた「チェーン」)内で意図する動作用の公称位置から外れてラインの位置を変える場合、このことによりラインの一部がチェーンリンクの領域もしくはこのデバイスなどの別の構成要素に、または別のラインに対して衝突する、あるいはこれらとこすれ合う可能性がある。このことは繰り返し、例えば変位サイクルごとに発生して、これによる摩耗が生じる可能性がある。公称位置からのラインの一部の位置の変化は、例えば、ラインを固定するホルダが僅かに緩む、または、ラインがこの長手に延びる方向に関して望ましくない変形を起こす、例えばすなわち、一部の領域がチェーンリンク内にある状態で側方に摺動するときに、起こり得る。このラインの一部は、ラインの端部領域からラインの長手方向に離間されている、例えば、ラインの中間領域内に配置されている。本発明の過程で、このラインの端部領域でこの衝突、またはこすれなどによって生じた力は、計測学的に検出可能であり、ライン端部領域からこのラインのストレインリリーフデバイスの方向にまたはこのストレインリリーフデバイス上に、およびその先のキャリア部に向かう方向にまたはキャリア部上へと伝達され、力伝達のこの領域内またはこれらの構成要素上でも、計測学的に検出可能であることが見出された。これらの線力を測定することによって、既に始まっているラインの摩耗をこのように早期に検出でき、例えば、ラインをこの公称位置に固定するなどの対応策を適時に講じることができる。あるいは、予測される線力からの線力の逸脱がないため初期の摩耗が何ら示唆されていない場合、メンテナンス間隔を長くすることができ、この結果機械のダウンタイムを回避できる。「予測される線力」は、例えば、摩耗で損傷していないラインまたは新しいラインを基準にした測定によって、決定され得る。チェーンはいずれの場合も同じ動作パラメータで動作することを理解されたい。
【0010】
また更に、チェーンの耐用年数が長い場合、チェーン内を案内されるラインは、実用上の経年変化、例えばラインの永続的な伸長または延伸を受ける可能性がある。関連する断面積の減少はまた、チェーンのラインに接続している需要側(consumer)への供給に影響し得る。銅ケーブルの場合、例えば、ケーブルの銅製コアの断面積がこのことにより減少する可能性がある。本発明の過程で見出されたことだが、この延伸は、これ以外のチェーンの動作状態、例えば変位速度、変位加速度等が同じである場合に、ストレインリリーフデバイス(一般にまた「ストレインリリーフ」)へのラインの力伝達の変化をもたらし得る。したがって、ラインの永続的な伸長に起因して、理論に縛られることなくラインの曲げ剛性などの、ラインの特性が変化する。これらの特性は、ラインからラインのストレインリリーフ上へとまたはこれに向かう方向に、および場合によってはその先のキャリア部に向かう方向に変位するチェーン上への、力伝達に影響する。チェーンの変位中、このときチェーンの偏向領域内にあるラインの一部が相応に屈曲する場合には、圧縮力および/または張力などのラインの長手方向に作用する力は、ストレインリリーフデバイス上へと、またはこれに向かう方向に伝達される。しかしながら、これらの力は、チェーンの動作パラメータがこれ以外は同じである場合に、ラインの機械的特性、例えばラインの曲げ剛性の変化に伴って変化する。
【0011】
同じことが、ラインの一部の摩耗に起因してラインの他の特性が変化する場合に当てはまり得る。これらの特性は、ストレインリリーフ上へのもしくはストレインリリーフに向かう方向への、または更にキャリア部に向かう方向への、ラインによる力伝達にとって重要であり、例えばラインの曲げ剛性などである。そのような変化は、例えば、(i)損耗によりラインシースの壁厚さが部分的に変化する、(ii)繰り返される交互の機械的応力に起因して、ラインシースの個々の層が互いから引き離されるかもしくはそれらの互いへの接着が変化する、(iii)ラインの個々の層の特性、例えばラインの個々の層の強度もしくは剛直性が経年関連の変化を起こす、および/または(iv)ラインの延長形状が変化し、ラインの長手に延びる方向に関して可塑的もしくは永続的に変形する、例えばラインの長手方向にらせん状にねじれるときに、生じ得る。
【0012】
このように、ストレインリリーフまたはキャリア部上にまたはこれに向かう方向に及ぼされる力に基づいて、ラインの経年変化を監視することができる。例えば、張力および/または圧縮力、更にはまた例えばねじれの力または他の力は、ストレインリリーフまたはキャリア部「に向かう方向の」力であり得る。ラインの保全または交換は、経年関連の変化、およびしたがってまた測定値としての及ぼされる線力が、事前に規定されたある閾値を超えるときに行うことができる。この結果、例えばそれぞれのチェーンの応力また動作回数を考慮に入れて、ラインのメンテナンス間隔自体を最適化することができる。
【0013】
本発明の文脈における「キャリア部」とは、接続箇所においてストレインリリーフデバイスを上記の接続箇所に対して動かない様式で固定し、例えばこれに螺着され、接続箇所においてストレインリリーフからの力を伝達する構成要素と理解される。ケーブルをストレインリリーフに固定するとき、キャリア部の位置は一般に、環境に対してまたはチェーンおよび/もしくはラインに対して、必ずしも変化しない。キャリア部はこの場合、例えば、ストレインリリーフ用の維持レールとすることができ、動かない様式で地面に固定、例えば螺着され得る。例えば、互いに対向する側部プレートを有する端部固止部が存在し、側部プレートは地面に動かない様式で固定され、側部プレート内にストレインリリーフ用の維持レールが単に挿入される場合、この維持レールがストレインリリーフに割り当てられる。
【0014】
一般に、ストレインリリーフはエナジーチェーンの外側にまたは内側にも、例えばチェーンの端部固止部に、固定することができ、端部固止部は、接続箇所において動かずに力を受けるような様式で、例えば螺着によって固定することができる。ストレインリリーフがチェーンの端部固止部に固定される場合、端部固止部は本発明の文脈ではこれに応じてキャリア部として理解され得る。例えば、ストレインリリーフはまた、例えばチェーンの長手方向においてチェーンの端部固止部の背後の、チェーンの外側に配置することができる。任意選択的に、ストレインリリーフはまた、チェーンの長手に延びる方向におけるチェーンの中央領域内に配置することができる。
【0015】
本発明の文脈における「エナジーチェーン」とは、互いに対して長さが変更可能なように、特に関節式に接続されているチェーン部分を有し、個々のチェーンリンクが互いに取り外し可能にまたは取り外し不可能に固定され得る、任意のライン案内デバイスを意味するものと理解される。例えば、エナジーチェーンは、複数のチェーンリンクを有する一体物として形成され得る。チェーンは、少なくとも1本のラインまたは複数本のラインが中で案内される、チェーン内部空間を提供する。チェーン内部空間は好ましくは周囲環境から構造的に区分けされて、チェーン内でラインが案内されるようになっている。
【0016】
チェーンは好ましくは、上側ストランド、下側ストランド、およびこれらの間に配置される偏向領域を形成するように配置され、接続箇所は、上側ストランドおよび下側ストランドの端部領域に設けられる。チェーンはまたらせん状に巻回して配置することができ、接続箇所のうちの少なくとも1つが回転軸を中心に変位され得る。本発明にはまた、チェーンの他の空間的な配置およびチェーンの変位経路も含まれる。
【0017】
好ましくは、測定デバイスは、圧縮力および/もしくは張力ならびに/またはねじり力および/もしくは曲げ力を測定するように、特に好ましくは、エナジーチェーンの動作中に、固定すべきラインにもしくは固定済みのラインに及ぼされる、ならびに/または、チェーンの動作中に少なくとも1本のラインによってキャリア部に向かう方向へとおよび/もしくはキャリア部内へと伝達される、圧縮力および/または張力を測定するように、構成される。ただし、測定デバイスはまた、ラインに作用するおよび/またはそこから伝達される他の力を測定するように構成できる。
【0018】
ラインからキャリア部に向かう方向への力伝達方向に関して、測定デバイスの少なくとも1つのセンサを各々ラインに直接結合することができる。この場合、ラインからキャリア部に向かう方向への力伝達方向に関して、ラインへのセンサの結合は、特にストレインリリーフの正面での、また特定の状況下ではストレインリリーフの背後での、結合であり得る。好ましい変形形態によれば、測定デバイスの少なくとも1つのセンサはラインに直接結合しないが、このことは測定デバイスの全てのセンサにも当てはまり得る。用語「結合する」は、センサに関連する場合は一般に、測定値を取得するために測定値を受信するような結合と理解される。
【0019】
本発明の文脈では、文脈がそうでないと示していない限りは、用語「センサ」はまた、いずれの場合も、複数のセンサの配置を含む。
【0020】
特に有利には、測定デバイスは、力が効率的に測定される様式で、ストレインリリーフデバイス上に固定すべき少なくとも1本のラインまたは固定済みの少なくとも1本のラインからキャリア部内への力の流れ方向において、ラインとキャリア部との間に配置されている。この結果、チェーンの変位中にストレインリリーフデバイス上のラインからおよびストレインリリーフデバイスから更にキャリア部に向かう方向に伝達された力およびこの結果伝えられた力を、測定デバイスによって測定することができる。この場合、測定デバイスは、ライン、特にストレインリリーフに固定されたライン領域またはライン端部領域からストレインリリーフを介したキャリア部の方向へのまたはキャリア部内への力伝達の力の流れの中に、測定に有効な様式で、直接位置付けられた構成要素に結合できる。ただし、「力の流れの方向に」にはまた、上記の力の流れの中に直接位置付けられていないが、その位置または状態、例えば機械的な緊張またはねじれの状態が、上記の力の流れを介して(またはその変容を介して)変化する構成要素が含まれる。結合を測定するために、測定デバイスのそれぞれのセンサを、力が測定される様式で上記の構成要素に取り付けること、またはこれに結合することができる。測定デバイスの力測定結合は、センサが測定のために作動されることまたはこの目的のために作動可能であることを含む。一実施形態によれば、力を効果的に測定するために、測定デバイスをライン自体に直接、特に力伝達方向に見たときのこのラインのストレインリリーフの手前に結合することができ、この結果、ラインに作用する力を直接測定することができる。ただし、測定デバイスはラインに直接結合しないのが好ましく、このことは、ラインを交換するときに、測定デバイスを交換すべきラインから取り外し新しいラインに結合する必要がないという利点を有する。
【0021】
測定デバイスによる力の測定に関して、チェーンが変位されるときにそれぞれの構成要素に作用する力またはラインからキャリア部に向かう方向に伝達された力は直接測定されるかまたは直接測定可能であり、さもなければ、上記の力と相関する物理値を測定できることが、理解される。力は、例えば、ラインによってキャリア部に向かう方向に伝達された力に起因する、それぞれの構成要素の位置の僅かな変化によって、あるいはまた、例えば、ラインによって及ぼされる力、構成要素の弾性変形、例えば構成要素の屈曲もしくはねじれ、または類似のものによって、構成要素に伝達される応力に基づいて、測定できる。例えば、力の流れ方向に位置付けられた構成要素の位置の僅かな変化によって、ラインによってキャリア部に向かう方向に及ぼされる力も測定でき、これは、例えば、光学的にまたは他の測定方法によって、加速度センサによって、などで判定できる。
【0022】
好ましくは、測定デバイスは、力測定デバイス、すなわち、例えば、ロードセル、ひずみゲージ、計量セル(weigh cell)、圧電素子、容量センサ、あるいは誘導センサなどの形態のもの、またはこれらを有効な測定要素として含むものとして、形成されている。好ましくは、測定デバイスは、それぞれの測定値を取得するための、少なくとも1つまたは複数の力センサを備える。力の測定は、直接的または間接的な力の測定として行われ得る。例えば、力の流れ方向に位置付けられた対応する構成要素の衝撃または振動などの力伝達の結果得られる、物理値も測定できる。測定デバイスが力の流れ方向においてラインとキャリア部との間に置かれる上記の構成要素に結合されるとき、測定デバイスは一般に、ラインによって構成要素に伝達された力を必要に応じて測定するために、係留箇所を有する基準部に結合され得る。基準点は、チェーンの外部に配置された固定的な係留箇所であり得る。測定デバイスの力センサは一般に、一方では線力が伝達されるそれぞれの構成要素に、他方では構成要素に及ぼされる線力を測定するために係留箇所に、結合することができる。
【0023】
特に好ましくは、測定デバイスは、チェーンが変位されるときにラインによってストレインリリーフに及ぼされる力を測定できるように、力が測定される様式でストレインリリーフに結合される。このことは一方で、ラインを交換するときに、例えば、測定デバイスをラインから取り外し新しいラインに結合する必要がないという利点を有する。他方で、チェーンが変位されるときにラインによって及ぼされる力は、それぞれのラインのストレインリリーフによって大部分がまたは実質的に全てが吸収されるため、伝達された力を、およびしたがってまた、ラインの目に見える摩耗、またはこれらを引き起こす事象、例えば、例えばチェーンの内半径の領域における、特にチェーンの偏向領域における、チェーンリンクへのラインの衝突に起因する、力伝達の変化を、比較的正確に測定することができる。「衝突」は一般にまた、相当する接触を介して生じ得る。この場合、測定デバイスはまた、例えばこれらの領域間の相対的な力変化を測定するために、力が効果的に測定される様式で、ストレインリリーフデバイスの様々な領域に結合され得る。測定デバイスはまた、チェーン変位時にラインによってストレインリリーフに及ぼされる力を測定するために、力が効果的に測定される様式で様々なライン用に提供される応力逃がしホルダに結合する、力センサなどの複数のセンサを有し得る。複数本のラインが提供されてストレインリリーフデバイス上にひずみを逃がす様式で装着される場合、ストレインリリーフデバイスに固定されるより多い総数のラインから、摩耗に起因してストレインリリーフに変化する力を及ぼす、単一のラインまたはより小さい下位グループを識別することができる。
【0024】
特に好ましくは、測定デバイスは、いずれの場合も力が測定される様式でストレインリリーフの少なくとも1つのまたはちょうど1つのラインホルダに結合する、少なくとも1つまたは複数のセンサを有し得る。ラインホルダはこの場合、ひずみを逃がすように直接ラインと協働するストレインリリーフの手段である。ストレインリリーフは例えば、クランプデバイスとすることができ、ラインホルダは、クランプジョーなどのクランプ手段として設計され得る。測定デバイスをラインホルダに結合することによって、ラインによってストレインリリーフに及ぼされる力がラインによって直接ラインホルダに伝達されるので、それらを特に正確に測定することができる。他方で、ラインを交換するときにラインホルダへの測定デバイスまたはセンサの結合を維持でき、このことにより、チェーンの保全および/またはラインの交換がかなり容易になる。更に、特に、測定デバイスの複数のセンサを力が測定される様式で複数のラインホルダに結合することができ、この結果、チェーン内の複数本のラインの配置において、他のラインと比較して増大した摩耗に曝される個々のラインまたはラインの下位グループを、より容易に識別できる。チェーンの複数の変位の動きを伴うチェーンのより長い動作期間にわたって、ラインによってストレインリリーフにまたはキャリア部に向かう方向に及ぼされる力が変化する。このことは有利であるが、その理由は、チェーン内の複数本のラインの配置において、保全中の目視検査を介してではどのラインが増大した摩耗に曝されているかが直接的には明らかでなく、ライン上の摩耗箇所の位置の特定は必ずしも容易ではないからである。
【0025】
更なる好ましい実施形態によれば、ストレインリリーフは、少なくとも1つのラインホルダをストレインリリーフデバイスに固止する支持領域を有し、測定デバイスは、力が測定される様式でストレインリリーフの支持領域と結合する。そのような支持領域は、例えば、複数本のラインがひずみを逃がす様式で固定される、ストラップクランプのブラケットであり得る。チェーンのストレインリリーフは多くの場合に、複数のそのような支持領域を備え、ある支持領域において、チェーン内を案内される総数のラインのうちのより小さい下位グループのひずみが逃がされる。このようにして、チェーン内を案内されストレインリリーフに固定されるラインのうち、少なくとも1本または複数本のラインが他の下位グループのラインと比較して増大した摩耗に曝される下位グループを識別できる。そのような支持領域はまた、例えば、複数本のライン用のそのようなラインホルダを複数備える、ストレインリリーフのストレインリリーフブロックとすることができる。そのような支持領域はまた、例えば、複数本のストレインリリーフブロックを互いと接続する、ストレインリリーフの保持ブロックとすることができる。
【0026】
ストレインリリーフデバイスの支持領域およびラインホルダは、例えば、異なる作用断面を有するラインホルダ同士で交換することによって直径の異なるラインをストレインリリーフに固定できるように、好ましくは別個の構成要素として形成される。例えば、チェーンを別の外径または別のライン媒体を有するラインに備え付けるときにラインホルダが交換されることになる場合、支持領域は任意選択的にストレインリリーフデバイス上に残ることになる、および/または、支持領域から測定デバイスのセンサを取り外す必要がない。この結果、チェーンの備え付けがはるかに容易になる。それにも関わらず、支持領域は、力の流れ方向におけるキャリア要素に向かう方向のラインの力伝達の観点から、ラインの近くに配置され、この結果、ラインによって及ぼされる力およびチェーンの耐用年数にわたるそれらの変化が、比較的正確に測定可能になる。
【0027】
更なる有利なある実施形態によれば、ストレインリリーフデバイスは、ストレインリリーフをキャリア部に保持しキャリア部に固定する、基部要素を有する。測定デバイスは好ましくは、力が測定される様式で基部要素に結合される。そのような基部要素は例えば、ストレインリリーフの足部、例えばストレインリリーフとして形成されたストラップクランプの足部とすることができ、これによってストレインリリーフが、張力または牽引力が測定される様式で、キャリア部、例えばこの維持レール上に保持される。基部要素は例えば、ストレインリリーフをキャリア部上に例えば螺着によって固定する、バーまたはブロックとしても形成され得る。基部要素はこの場合通常は、ラインを案内するチェーンの断面全体の外側に配置される。チェーン内の、およびしたがってまたストレインリリーフデバイス上の、1本または複数本のラインの配置において、基部要素への測定デバイスの結合はこの場合、特にまたラインの交換時に、ラインによって妨げられない。また更に、複数本のラインによって影響または妨害されないので、基部要素に対する測定デバイスの意図する力測定結合のチェックが容易になる。
【0028】
いずれの場合も本発明に係る測定デバイスのセンサが結合する、支持要素および/または基部要素は、ストレインリリーフの別個の構成要素であり得るか、または、ストレインリリーフの別の要素と一体の部片として形成され得る。特に、支持領域および基部領域は、互いと一体の部片として形成され得る。
【0029】
ラインホルダおよび/または支持領域および/または基部領域などのストレインリリーフの個々の要素または領域への、測定デバイスの力伝達結合を伴う、個々の例示的な実施形態は、互いとの組み合わせにおいて実現され得ることが理解される。
【0030】
測定デバイスが本発明に従って測定を行うための複数のセンサを備え、これらが異なる構成要素に、例えばストレインリリーフの複数の部品に結合されている場合には、これらのセンサをセンサ保持デバイス上に事前に位置決めして取り付けることができる。センサを力の測定にとって望ましい構成要素に計測学的に結合するために、センサ保持デバイスをチェーンの領域内に、例えばストレインリリーフ上に位置決めすることができる。この結果、センサの設置が非常に容易になる。
【0031】
特に好ましいある修飾形態によれば、測定デバイスは、力センサなどの2つ以上のセンサを備える。これらのセンサは、線力が伝達される1つの同じ構成要素の様々な領域と、測定値を受信する様式で結合され、この同じ構成要素の上記の2つの領域の間の力の相対的な差が測定される。この構成要素の代わりに構成要素グループが存在する場合もあり、このグループの個々の構成要素は、好ましくは力が伝達される様式で互いに固定され、特に好ましくは互いに対して位置が変わらない。この目的のために、例えば、ひずみゲージまたは他の測定センサ、特に力センサを、構成要素の様々な領域、例えば、ストレインリリーフデバイスの支持領域および/もしくは基部領域、ならびに/またはライン自体に、結合することができる。この結果、上記の両領域に作用する力の相対的な差を、測定デバイスによって判定することができる。この結果、例えば、線力に起因する構成要素の弾性変形、例えば屈曲および/またはねじれを測定することができる。この結果、メンテナンス間隔の決定にとって本質的であり得る、ラインに対する応力を監視するための貴重な情報を得ることができる。
【0032】
別の特に好ましい実施形態によれば、測定デバイスは力センサなどの複数のセンサを有し、これらのセンサは測定値を取得する様式で様々な構成要素に結合されており、キャリア部に向かう方向である線力の伝達方向に見た場合に、ストレインリリーフの領域内に固定されたラインまたはライン端部とキャリア部との間に、例えば、様々なライン端部領域ならびに/またはストレインリリーフおよび/もしくはキャリア部の様々な構成要素に配置されている。特に、複数のセンサのこの結合の場合、様々なラインのストレインリリーフ、したがって例えば様々なラインを固定するための様々なラインホルダおよび/または様々な支持要素および/または様々な基部要素を提供する、ストレインリリーフの様々な構成要素を参照できる。結果的に、例えば、チェーン変位の結果として、特定のラインまたはライン下位グループが、他のラインまたはライン下位グループとは別の荷重、例えば交互の応力に曝されるのを検出できる。この結果、特に様々なラインまたはライン下位グループのこれらの線力が互いに対して変化するときに、ラインを監視するための貴重な情報を決定できる。
【0033】
いずれの場合も、それぞれのストレインリリーフデバイスは好ましくはエナジーチェーンの両方の接続箇所に設けられ、固定されることになる少なくとも1本のラインのエナジーチェーンが変位されるときに、ラインに作用する張力を逃がす。本発明に係る測定デバイスは、接続箇所の一方または両方に設けることができる。この結果、特に、ラインによって可動接続箇所および/または固定的接続箇所に対してキャリア部に向かう方向に及ぼされる力を、1つの接続箇所に、任意選択的には両方に配置された、測定デバイスによって、個別に検出できる。チェーンへのおよびしたがってまたラインへの力の導入は、可動接続箇所においてこの変位の結果もたらされるので、両方の接続箇所において様々な交互の応力がラインに作用する可能性がある。ラインの監視はこのことにより、特定の用途においてより効率的にまたはより高感度になり得る。
【0034】
監視システムは好ましくは、測定デバイスによって取得されるセンサの測定値を格納するための、および/または、それらをあり得るもしくは所与のラインの摩耗に関して評価するための、評価ユニットを有する。
【0035】
評価ユニットは、例えば、判定された測定値の実際値の、またはそこから導出された値の、所定の公差を考慮に入れた、所定の公称値からの逸脱を判定するように構成できる。導出される値は測定値から、例えば、所与の物理的および/または数学的依存度に基づいて、導出できる。この場合、例えば、測定された力を、所定の表面を考慮に入れた圧力に変換できる。公差を有する公称値は、適時のメンテナンス間隔などの特定の期間にわたってラインの適切な動作を保証するように設定できる。
【0036】
評価ユニットは、例えば、メンテナンス間隔内にあり得る期間にわたって、例えばチェーンの全てのまたは所定数の変位サイクル後に、実際値またはそこから導出された値の時間変化を判定するように構成できる。このようにして、ラインの動作状態の変化を検出することができる。これを公差限度に達するまで時間に対して外挿して、保全が必要となるまでのラインの残りの動作時間を推定できる。
【0037】
好ましくは、評価ユニットは、監視信号または干渉信号を監視者に伝達する信号デバイスに、信号が伝達される様式で接続される。この場合、線力の実際の値の公称値からの逸脱が生じた場合に、または、所定の閾値を超える実際値の時間変化が生じた場合に、信号デバイスによって、例えば保全要求を示す、または接続箇所の互いに対する相対的な移動を停止させる、干渉信号を発することができる。
【0038】
評価ユニットはまた、チェーンの同じ変位サイクル内に、またはラインに作用するかもしくはラインによってキャリア部に向かう方向に伝達される力の検出と同時に存在するのが好ましい、チェーンの更なる動作パラメータを格納することができる。チェーンのこれらの動作パラメータは、他の好適な測定デバイスによって測定できる。本発明によれば、そのような動作パラメータは、例えば、変位の動きの間のチェーンの変位速度またはチェーンの加速度、特にまた、力の測定の変位サイクルにおけるチェーンの最高変位速度またはチェーンの最高加速度であり得る。最高荷重は通常、チェーンのラインにチェーンの最高加速時に及ぼされる。チェーンのこれらの更なる動作パラメータを、本発明に係るライン(線力)によって及ぼされる力の判定された測定値と一緒に表示すること、および/または、線力を評価するために使用することができる。この場合、例えば、線力の測定値と更なる動作パラメータとの関連付けを、例えば知られている数学的評価方法またはアルゴリズムによって、実行することができる。この結果、例えば、線力の測定値を個別に使用して、上述したもののような選択したチェーンの動作パラメータが、いつ特定の閾値を超えるかまたは事前に規定された範囲内にあるかを、評価することができる。
【0039】
チェーンの動作中、チェーンの接続要素のうちの少なくとも1つは通常、チェーンのおよびしたがってまたこれによって案内されるラインの変位サイクルを定める最高位置同士の間を、反復的な移動で移動される。このことは例えば、上側ストランドと下側ストランドとこれらを接続するチェーンの偏向領域とを有するチェーンの配置において実現される場合があり、上側ストランドの接続箇所がこの反復動作を行う。
【0040】
チェーン内を案内されるラインによって媒体および/またはエネルギーを供給される需要側に応じて、接続箇所の互いに対する様々な変位の動きがもたらされる。この場合、一変形形態によれば、チェーンの様々な変位サイクルは常に同じであり得る、すなわち、同じ時間依存プロファイルのチェーン変位速度およびチェーン加速度を実現できるが、このことはここでは「均一なチェーンの動作」として理解される。これは、需要側が自動操作される機械、例えば、産業用製造処理の機械であるケースであり得る。常に少なくとも実質的に同一の循環するチェーン変位サイクルを有するそのようなケースでは、それぞれのラインによってキャリア要素に向かう方向に及ぼされる力およびそれらの公称値からの逸脱またはそれらの線力の時間変化を判定するためには、通常はほとんどの場合、それぞれのラインによって本発明に係るキャリア要素に向かう方向に伝達された力のみを測定デバイスによって測定しさえすれば十分である。完全を期して、チェーン動作パラメータを取得し、評価デバイスにおいて、それぞれの変位サイクルの線力と一緒にまたは関連させて表示および/または格納することもできることが、理解される。
【0041】
他方で、別の変形形態によれば、チェーンの様々な変位サイクルが互いに大きく異なっており、この結果、異なる変位サイクルにおいて、チェーン変位速度および/もしくはチェーン加速度の時間依存プロファイルの相異、ならびに/または、接続箇所の互いの最大距離の相異を含む、接続箇所の変位経路の相異が生じる可能性がある。このことは本明細書では「チェーンの不均一な動作」として理解される。これは、手動制御のクレーンシステムの場合など、需要側が接続箇所に関して手作業で変位されるケースであり得る。この場合異なる変位サイクルに関して、不均一なチェーン変位サイクルに起因して、ストレインリリーフおよび/またはキャリア部の方向に、時間に関して不均一な線力が及ぼされることが理解される。
【0042】
以下に記載する発展形態は、不均一なチェーン動作において特に好ましい。ある変形形態によれば、メンテナンス間隔の開始時、事前に規定された変位サイクルで、すなわち、少なくとも1つの可動接続箇所の定められた変位経路、この変位経路に対して定められたチェーン移動の速度、および定められた加速度で、チェーンが変位される。線力は、この変位サイクル(基準サイクル)中に評価ユニットによって基準値として測定され、格納される。基準サイクルは選択された任意の変位サイクルであってもよい。メンテナンス間隔内で予測すべき変位サイクルの総数よりも実質的に少ない所定数の変位サイクル後、チェーンの基準変位を再び実行することができ、次いで測定デバイスによって測定された実際値を、所定の公差を考慮に入れて基準値と比較することができる。チェーンの著しく異なる変位サイクルにおいては異なる線力が及ぼされるので、記載した手順によってラインの変化または経年変化を基準値と比較でき、チェーンの異なる動作モードは、線力の測定結果の評価と関連させて容易に排除することができる。基準測定は、例えば、事前に規定された回数のチェーン変位サイクル後に行うことができる。
【0043】
別の変形形態によれば、第1の変形形態において記載したように、不均一なチェーン動作において、事前に規定されたチェーンの変位に関して線力の基準測定を行うことができるか、または、任意の変位サイクルを基準測定として選択できる。次いで更なる変位サイクル中、チェーンの本質的な変位パラメータ、例えば、変位の長さおよび/または方向、変位サイクル中のチェーン変位の速度、特に最高速度、ならびに変位サイクル中のチェーン加速度または最高チェーン加速度、等が測定され、評価ユニットに格納され得る。これらの値を、変位サイクルごとに、または、好ましくは固定済みの間隔で、変位サイクルの一部においてのみ、判定できることが理解される。線力の変化によって明らかになるかまたは顕現する、ラインの何らかの摩耗を判定するために、この場合、例えば、異なる変位サイクルの線力の測定を、互いに比較することができる。この場合、チェーンは少なくとも実質的に同様の変位の動きを実行し、この場合例えば、チェーンの所定の移動パラメータの差分は、所定の公差範囲内に留まる、すなわち、例えば、変位サイクルにおけるチェーン移動の最高速度および/または最高加速度の逸脱の差分は、基準サイクルの対応するパラメータの10%未満または5%未満である。この場合、チェーンの変位パラメータと関連して各々定められるが、最高チェーン速度および/または最高チェーン加速度等などのチェーンの本質的な動作パラメータは大きく異なる、複数の所定の基準サイクルを実行することもできることが、理解される。このように、チェーンの動作の様々なモードの範囲にわたって分散して配置され得る、いくつかの基準サイクルを定めることができる。
【0044】
監視システムのある更なる変形形態では、評価ユニットは、計算によってチェーンの様々な変位サイクルを基準サイクルと比較するように構成される。例えば、チェーンの最高加速度が2倍になった場合、線力は例えば4倍に増大すると予測できる。チェーンの特定の移動に関して判定されたチェーンの動作パラメータは、本明細書では、所定のアルゴリズムによって基準値に従って変換され得る。アルゴリズムは動作パラメータの変化に伴って線力がどのように変化するかの仮定に基づき得るか、または、これらの依存度を実験によって判定でき、この場合、チェーンが様々な動作パラメータで変位され、線力が測定され、変化する動作パラメータの変化する線力に対する物理的依存度を判定するための、数学的な補償計算が行われる。
【0045】
また更に、本発明は、エナジーチェーン内を案内される1本または複数本のライン用のストレインリリーフデバイスであって、少なくとも1本のラインをひずみを逃がすように固定するためのラインホルダと、ストレインリリーフデバイスの一部の領域または構成要素に結合されているかまたは結合され得、かつ、線力を、したがって、エナジーチェーンの動作中に固定すべきラインにもしくは固定済みのラインに及ぼされる、および/またはチェーンの動作中に少なくとも1本のラインによってキャリア部に向かう方向に伝達される力を測定するための、測定デバイスの一部である、力センサなどの少なくとも1つのセンサと、を備える、ストレインリリーフデバイス、に関する。好ましくは、測定デバイスまたは少なくとも少なくとも1つのセンサもまた、このような更に発展させたストレインリリーフデバイスの一部である。本発明に係る更に発展させたストレインリリーフデバイスは、本発明に係る監視システムにおいて使用されるように構成され提供される。
【0046】
上記の力センサまたはセンサは、ストレインリリーフデバイスのラインホルダに結合され得るかまたは結合するように構成され得る。力センサまたはセンサは、ストレインリリーフデバイスの支持領域および/または基部領域においてカプリングに結合され得るか、またはこれに結合するように構成され得る。互いに組み合わせた様々な変形形態も提供され得ることが理解される。一般に、力センサまたはセンサは、ストレインリリーフデバイスの、ラインホルダとストレインリリーフデバイスをキャリア部に固定するためのストレインリリーフデバイスの固止領域との間に配置される領域に結合することができる。力センサまたはセンサをストレインリリーフデバイスまたはこのそれぞれ記載される領域に「結合すること」は、線力に関して測定値が受信されるように結合することを表すことが理解される。
【0047】
本発明にはまた、エナジーチェーンの動作を監視するための、特に、本発明に係る監視システムを使用して、エナジーチェーンの動作中にこのチェーン内を案内される少なくとも1本のラインを監視するための方法が含まれる。好ましくは、監視システムは、評価デバイスおよび/または信号デバイスを備える。本発明に係る主題、ならびにチェーンの動作およびそれらの監視に関する更なる見解が、十全に参照される。
【0048】
本発明は例示的な実施形態を参照して例として説明される。例示的な実施形態の全ての特徴は、やはり全体に-それぞれの実施形態から独立した-本発明の範囲内で、独立してまたは互いと組み合わされて開示される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】監視デバイスを有するエナジーチェーンの概略図である。
図2図1に係る詳細図である。
図3】測定デバイスのセンサが結合されている、第1の実施形態のストレインリリーフの概略図である。
図4】測定デバイスのセンサが結合されている、第2の実施形態のストレインリリーフの概略図である。
図5】本発明に係る監視デバイスのある更なる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1はエナジーチェーン10の動作のための監視システム1の概略図を示しており、チェーンは、互いに対して相対的に可動な2つの接続箇所13a、13bの間で、ケーブル、ホース、または類似のものなどの形態の、少なくとも1本または複数本のライン12を案内する。ラインは、媒体および/またはエネルギーを一方の接続箇所から他方へと、または供給デバイスから需要側へと移送する。ラインはこの場合、チェーン内部空間10a内に配置される。エナジーチェーンは、関節化された様式で互いに接続された複数のチェーンリンク11を備え、これらはチェーンの変位の動きの間にその互いに対する位置を変化させる。チェーンはまた、例えばホース、ジョイントチューブ、または類似のものなどの、互いに位置が変化する区域を有する別の形態のライン案内デバイスとして形成され得る。接続箇所のうちの1つ、ここでは接続箇所13aは、固定的接続箇所、または固定された箇所として形成されており、接続箇所13bは、移動される機械部分などの連行部材(entrainment member)となることができ、接続箇所13a、13bはいずれも、可動となるように形成することもできる。一般に、チェーンは、下側ストランド10bと、上側ストランド10cと、これらを接続する偏向領域10dと、を形成するように配置でき、下側ストランドおよび/または上側ストランドは線状とすることができるが、それらが延びる方向に関して弓型とすることもできる。ただし、チェーンはまた、異なる方法で空間的に配置および/または変位され得る。
【0051】
可動接続箇所13bは、例えば、そこに結合された機械部品の変位の動きによって定められる、変位端点V1とV2との間で、変位可能である。変位端点V1およびV2はこうして、例えばメンテナンス間隔が継続している間の、チェーンのこの動作中の最大変位経路を定める。第1の変位端点V1から第2の変位端点V2に至り第1の変位端点V1に戻る、可動接続箇所13bの移動によって、チェーンの変位サイクルが定められる。変位端点V1、V2はこの場合、接続箇所の位置、またはチェーン長手方向におけるチェーンの事前に規定された別の箇所、例えば、接続箇所においてチェーンを固定する端部固止部の位置、または上記のチェーン端におけるストレインリリーフ20の位置、などによって定めることができる。変位端点V1および/またはV2は、任意選択的に、マシンホール(machine hall)などのチェーンを受け入れる空間内で、チェーンの変位サイクルごとに異なる空間位置を占めることができる。
【0052】
変位端点V1とV2との間でチェーンが変位されるとき、チェーンはチェーンが動作していない変位端点V1、V2から始まって最高速度まで加速されることになり、チェーンはこの変位サイクルにおける最高速度および最高加速度を経験することになる。
【0053】
チェーンの変位の動きに起因して、チェーン内で案内される少なくとも1本のライン12(以降では「ライン」とも呼ぶ)にも、力、特に張力および/または圧縮力などのラインの長手方向の力が、及ぼされる。また更に、ラインの一部はチェーン変位中に、チェーンに沿って延びる偏向領域内にあるときにまたはそこから離れるときに、交互の曲げ応力を受ける。このことはライン12の交互の荷重につながる。それぞれのラインに及ぼされる力は、ラインをストレインリリーフ20上にひずみを逃がす様式で固定しているライン端部領域12b、12cを介してストレインリリーフ20に伝達され、ストレインリリーフ20上へと、およびここからキャリア部30に向かう方向にまたはキャリア部30上へと、伝達される。ストレインリリーフ20は、ひずみを逃がすためにライン12と直接協働する、例えばクランプ接続部の形態の、ラインホルダ21を有する。ストレインリリーフ20はこの場合、チェーン変位中にラインによってストレインリリーフに及ぼされる力をキャリア部内へと伝えることができるように、キャリア部30に固定される。固定済みのライン端部領域12b、12cからストレインリリーフ20上へのおよび更にキャリア部30に向かう方向へのまたはキャリア部30内への、力伝達は、ここでは、ラインからキャリア部30に向かう方向への力の流れ方向KFとして理解されたい。ここでは、例えば、ライン12に関してキャリア部30から離れる方に面するように配置されている、ストレインリリーフ20の領域20aもまた、ラインとキャリア部との間にある、ライン端部領域12bからキャリア部30に向かう「力の流れ方向KF」として理解されたい。
【0054】
ライン12に及ぼされる力に起因して、チェーン10の変位の動きの間にライン12は摩耗を受け、このことにより、ライン12を介して供給を受ける機械の安全な動作を保証するために、ライン12の交換が必要となる場合がある。そのような摩耗は、チェーンの連続的な動作中に、別のライン、チェーンリンクの内壁、またはこの中に配置されたチェーンリンク内部分割材などのデバイスといった、別の構成要素に対するそれぞれのラインの衝突またはこすれに対して、ライン12がそれらの公称位置を変えるときに生じ得る。ライン12の摩耗はまた、チェーンの変位中にラインへの絶えず入れ替わる荷重に起因しても生じる可能性があり、この摩耗は、ラインの断面の特定の永続的なひずみもしくは圧縮または他の永続的な変形もしくは変化として、既に現れている可能性がある。
【0055】
本発明に係る監視システム1では、ライン12の状態、またはチェーンの変位に起因する摩耗関連の欠陥を、特にまた個々のチェーンリンク同士の間の関節連接部の摩耗などの、エナジーチェーンの部品の任意の摩耗から独立して、監視することができる。
【0056】
ライン12の機械的荷重および/または任意の摩耗を監視するために、チェーン10の動作中にライン12に作用するおよび/またはライン12によってキャリア部30に向かう方向に伝達される力を測定するように配置および構成されている、測定デバイス50が提供される。この目的のために、測定デバイス50は、ラインの端部領域12bからストレインリリーフ20を介してストレインリリーフ20を保持し固定するキャリア部30に向かう方向へのまたはキャリア部30内への、力の流れ方向に伝達を受ける構成要素に、計測学的に結合できる。この結果、チェーンの動作中にライン12からキャリア部30に向かう方向に伝達された力を、測定デバイス50によって検出できる。ライン端部領域12bによって、ストレインリリーフ20におよび更にキャリア部30の方向にまたはキャリア部30内へと伝達される、変化する力(以下では「線力」と呼ぶ)に基づいて、ラインに対する望まれない荷重を測定できる。これらの力は、例えば、例えばチェーンの変位中にラインが別の構成要素に衝突したときの、ストレインリリーフへのラインの力伝達の増加を表す。他方で、例えば、ラインが交互の応力に起因して、ラインの曲げ剛性の低下につながり得る、永続的なひずみまたは材料疲労などの弱化を経たときに、チェーンの動作中の線力の低下が起こる可能性もある。電気ケーブルの銅製コアの永続的な伸長がここでは例として言及されている。
【0057】
この例示的な実施形態によれば、本発明は、接続箇所13aの形成を参照して説明される。もう一方の接続箇所13bのみ、または特に両方の接続箇所13a、13bを、本発明に従って形成できることも理解される。
【0058】
例示的な実施形態によれば、測定デバイス50はより狭い意味での力測定デバイスとして形成されており、力はこの場合、少なくとも1つまたは複数のセンサ51によって物理値として測定され、この力は、ライン12によってキャリア部30に向かう方向へとまたはキャリア部30上へと、力の流れ方向KFに伝達されるようになっている。しかしながら、ある修飾形態では、測定デバイス50はまた、ライン12からストレインリリーフ20にならびに任意選択的に更にキャリア部30の方向におよび/またはキャリア部30内へと力が及ぼされる結果生じる物理値、例えば、例えば光学的にも検出可能である、ストレインリリーフ20のある領域の位置の変化などを測定するのに適した、センサ51によって形成され得る。線力の力の測定のタイプは、特定の物理的測定原理に限定されず、したがって例えば、パワーボックス(power box)、または伸縮計などを使用できる。しかしながら、特に好ましいのは、測定されるべき力の大きさならびにそれらの時間変化および測定正確度に応じた、ロードセル、ひずみゲージ、および/または圧電素子である。用語「センサ」はそれぞれ、単一のセンサまたは複数のセンサであり得る。
【0059】
測定デバイス50は、力の流れKFの力伝達の領域内で、力が測定される様式で結合され、力の流れKFは、ストレインリリーフ20上に固定されることになるかまたは固定済みの少なくとも1本のライン12から、キャリア部30の方向のものである。このことは、測定デバイスのセンサ51、例えば力センサが、上記の力の流れKFの力伝達の領域内に配置されて、そこに作用する力を検出することを意味する。測定デバイスのセンサ51を、特に力の流れの中に直接位置付けることができるか、または任意選択的に、力が測定される様式で緊張解放領域20aなどの構成要素に結合することもできる。この構成要素は力の流れKFの中に直接置かれることはないが、上記の力の流れKFによる力を受け、その際に例えば、力の流れによって伝達された力によって構成要素の位置を変えるか、または特にチェーンの変位中に、力の流れもしくはこの変化に起因するひずみもしくは応力を経験する。これらは、測定デバイス50のセンサ51によって検出することができる。
【0060】
ある特定の実施形態では、測定デバイス50は、力が測定される様式でストレインリリーフデバイス20と結合されるか、またはこれに結合するように構成される。この目的のために、測定デバイス50のセンサ51を、力を測定するようにストレインリリーフ20に結合することができるか、または、これに結合するように構成することができる。
【0061】
図2によれば、センサ51は、ストレインリリーフ20の基部要素25に、力が測定される様式で結合される。基部要素25は、ストレインリリーフ20と一体の部片として形成されているか、または、ストレインリリーフ20の別個の構成要素として形成され得る。例えば、基部要素25は、ストレインリリーフとして使用されるストラップクランプの足部を構成することができ、ストレインリリーフ20はこれによって、ストレインリリーフ20を介してキャリア部30内に線力を伝えることのできる支持レールとして形成され得る、キャリア部30の固止領域31に固定される。
【0062】
一実施形態によれば、測定デバイス50は、力が測定される様式でストレインリリーフ20の少なくとも1つのラインホルダ21と結合されるか、またはこれに結合されるように構成され(図2から図4を参照)、ラインホルダ21はそれぞれのライン12と、張力を吸収する様式で直接協働する。ラインホルダ21はこの場合、例えば、クランプする様式でライン上に固定される、クランプジョーとして形成され得る。
【0063】
一実施形態によれば、ストレインリリーフ20は、支持領域22(図2から図4を参照)を有する。支持領域22は、ラインホルダ21を支持または保持し、これを直接または任意選択的にストレインリリーフ20の更なる構成要素を介して、ストレインリリーフの基部要素25に接続し、ライン端部領域からラインホルダに伝達された力をキャリア部に伝える。支持領域は、ラインホルダに対して別個の構成要素として形成されている、支持要素に設けることができる。ラインホルダの支持に関して、支持領域22は、ラインホルダ21にまたは基部要素25に対して、特定の空間的な向きに限定されない。支持領域はしたがって、エナジーチェーンに関する監視システムが中に配置される空間のデカルト空間座標系の垂直および/または水平方向に関して、例えば、ラインホルダの側方および/または上方および/または下方に配置され得る。垂直方向はこの場合、重力の方向に対応している。支持領域22はここでは、例えば、ストラップクランプの脚部として形成されており、ストラップクランプは、複数本のラインを重ねて保持するための、重畳された複数のラインホルダ21を有することができる。この場合、測定デバイスのセンサ51はライン12に対して、キャリア部30に面する支持領域の領域22a上に、もしくはそうでなければキャリア部30から離れる方に面する支持領域22の領域22b上に、または両方の領域22a、22b上にも、配置され得る。領域22a、22bにおいて決定された測定値から導出される値、例えば差分値などはまた、ここでは測定デバイス50に接続された評価デバイス60を通して決定できる。例えばロードセルとしてのセンサ51はこの場合、一方を作用する力が測定されることになる構成要素に、他方を基準点としての固定された係留箇所51aに、結合される。この原理はこの実施形態から独立して適用され得る。
【0064】
図3および図4に示すように、ストレインリリーフ20はまた、複数本のライン12をひずみを逃がす様式で固定するように形成され得る。ストレインリリーフはこの場合、複数のラインホルダ21を有することができ、これらにより、ストレインリリーフ20に固定されたより大きい総数のラインに対する個々のライン12またはライン12の下位グループ12Uを、それぞれ保持する。この場合、様々なラインホルダ21に作用する力またはこれらの力から導出された物理値を測定するために、測定デバイス50の個別のセンサ51を、複数の個別のラインホルダ21に、測定値を伝達する様式で結合することができる。次いで、測定デバイス50によって評価デバイス60に伝達された対応する測定値を個々に表示すること、または、互いに関連させて、例えば減算などによって、処理することができる。このことにより、例えば、個々のラインまたはラインの下位グループを、ストレインリリーフの他のラインから独立して自律的に監視することが可能になる。
【0065】
任意選択的に、測定デバイス50はまた、キャリア部30の保持領域31(図2)に計測学的に結合することもでき、固止領域31はストレインリリーフ20を固定する。この場合、センサ51は、及ぼされる線力に基づいて保持領域31において生じる応力を検出するように、特に形成および構成され得る。
【0066】
複数本のライン12を固定するストレインリリーフ20が、図4に例示的に示されている。ストレインリリーフ20はこの場合、複数のライン保持手段またはライン保持要素またはラインホルダ21と、複数の支持領域または支持要素22と、少なくとも1つのまたは任意選択的に複数の基部要素25と、を備える。測定デバイス50のセンサ51は各々、複数の上記の要素または領域21、22、25に、測定値を受信するように結合することができる。このことにより、チェーンの動作に起因する、ストレインリリーフの他のラインよりも高い荷重および力に曝される個々のラインまたはラインの下位グループを、識別することが可能になる。この結果多くの場合に、異なる媒体用のライン等、例えば異なる有効断面、ライン構造等を有するラインがチェーン内に保持されるが、これらはチェーンの変位中に異なる荷重に、およびしたがって異なる摩耗に曝される。この場合、個々のラインまたはラインの下位グループに割り当てられたセンサ51の測定結果に基づいて、個々のラインまたはライン下位グループの対象を定めた保全を行うことができる。
【0067】
図5に示すように、測定デバイス50は少なくとも2つのセンサ51または一般に2つの力測定デバイスを備え得る。これらは、上記の2つの領域の間の力の相対的な差を測定するために、キャリア部30の方向のライン12からの力伝達方向において、1つの同じ構成要素の異なる領域と、測定値を受信する様式で結合されている。力の差の計算は、測定デバイス50に接続された評価ユニット60において行うことができる。図5に示すように、例えば、2つのセンサをストレインリリーフ20の支持要素22上に配置することができ、これらのセンサは、信号を伝達する様式で評価デバイスに接続されている。センサは特にひずみゲージとして形成することができ、ひずみを判定する他のセンサも提供され得る。ひずみゲージの長手に延びる方向が力の流れの方向KFに配置されるのが好ましい。このようにして、例えば、ストレインリリーフ20のそれぞれの構成要素またはストレインリリーフ20に対する、張力ならびに曲げ応力および/もしくはねじり応力を、総計で判定することができる。したがって、曲げ応力などの力の応力の場合、ひずみゲージのうちの1つを延伸し他方を圧縮することができる。このようにして、ストレインリリーフ20に作用する線力を、非常に高い感度で測定することができる。少なくとも2つの接続されたセンサ51を備えた構成要素は、ラインホルダ、ストレインリリーフの支持領域もしくは基部領域、またはキャリア要素の固止領域であり得る。一般に、本発明の文脈では、ストレインリリーフの支持領域または基部領域は、別個の構成要素として、特にまたラインホルダとは個別に、形成され得る。
【0068】
測定デバイスの複数のセンサが提供される場合、それらを、複数のセンサの互いに対する配置が事前に規定されている、共通のセンサホルダ上に配置することができる。センサホルダにおけるセンサの位置は、本発明に係る上記の線力の測定値取得によるセンサの公称位置に対応し得る。センサ保持デバイスをチェーンの領域内に、例えばストレインリリーフ上に配置することによって、複数のセンサを測定値取得用のそれらの公称位置に同時に位置決めすることができ、このことにより、センサの組立または分解が容易になる。
【0069】
監視デバイス1は、センサによって取得される測定結果を評価するための評価デバイス60を更に備え、これは信号を伝達する様式で信号デバイス70に接続され得る。ラインが望まれない状態である場合、例えばセンサ51によって測定された実際値が所定の公差範囲よりも大きいかまたは小さい場合、信号デバイス70は操作者に監視信号を送るか、または可動接続箇所の変位に関する駆動を停止する。
【0070】
評価ユニット60は任意選択的に、センサ51によって判定された測定値の実際値の、またはそこから導出された値の、所定の公差を考慮に入れた所定の公称値からの逸脱を判定するように構成される。公差を有する公称値は、適時に固定されたメンテナンス間隔などの特定の期間にわたってラインの適切な動作を保証するために、固定されている。
【0071】
評価ユニット60は任意選択的に、通常のメンテナンス間隔内にあり得る期間にわたる、例えば、チェーンの変位の10サイクルまたは100サイクルごと後の、実際値またはそこから導出された値の時間変化を判定するように構成される。また更に、評価ユニットは、例えば、知られている数学的方法による実際値の時系列への多項式フィッティングによって、測定された実際値を異なる時間に外挿するために、コンピュータを備える。このようにして、保全が必要となるまでのラインの残りの動作時間を推定できる。
【0072】
評価ユニット60はまた、他の好適な測定デバイスによって、好ましくはチェーンの同じ変位サイクルにおいてまたはセンサ51による実際値の測定と同時に測定される、チェーンの更なる動作パラメータを格納する。これらの動作パラメータは、この実施形態によれば、チェーンの変位の動きにおけるチェーンの変位速度および/またはチェーンの加速度である。これらの更なるチェーンの動作パラメータは、線力に関するセンサ51の測定値と一緒に表示および格納される。
【0073】
チェーンの動作が均一な場合、それぞれのラインによってキャリア要素の方向に伝達された力は、本発明に従って記載されるような測定デバイス50によって測定される。実際値すなわちセンサ測定値が所定の公差範囲を超える場合、評価ユニット60は、信号送信デバイス70への信号をトリガするための信号を送信する。
【0074】
チェーンの不均一な動作が意図される場合、第1の変形形態によれば、メンテナンス間隔の開始時、チェーンに関して1つまたは複数の基準サイクルが実行され、ラインによって及ぼされる線力がセンサ51によって判定され、チェーンの動作パラメータが判定されて、基準値として格納される。事前に規定されたチェーン変位を有する基準サイクルはここでは、チェーンの2つの変位端点V1およびV2、ならびに、変位経路ならびに変位経路の間のチェーン速度および/またはチェーン加速度によって定められる。所定数の変位サイクル後、チェーンの基準変位が再び実行され、線力およびチェーン変位パラメータに関連する上記の値が再び判定される。次いで、センサ51によってチェーンの様々な基準サイクルにおいて判定された測定値を、評価ユニットによって互いに比較することができ、公差範囲外の逸脱がある場合には、信号デバイス70に信号を送信できる。
【0075】
チェーン動作が不均一である別の変形形態によれば、第1の変形形態において記載したように、事前に規定されたチェーンの変位に関して線力の基準測定が行われるか、または、基準測定として任意の変位サイクルを選択できる。次いで更なる変位サイクル中、チェーンの変位パラメータ、例えば、変位経路の長さおよび/または方向、変位サイクル中のチェーン変位の速度、ならびに変位サイクル中のチェーン加速度が測定され、評価ユニットに格納される。この場合、メンテナンス間隔内の個々の変位サイクルの各々または複数のサイクルを、例えば10サイクルごとに参照できる。次いで、線力の変化によって示されるラインの何らかの摩耗を判定するために、異なる変位サイクルの線力の測定値が互いに比較され、このときチェーンは、少なくとも実質的に同様の変位の動きをそれぞれ実行する。複数の所定の基準サイクルを通して行うことも可能であり、これらの基準サイクルはいずれの場合もチェーンの変位パラメータに関連して大きく異なっており、チェーンの様々な動作モードの帯域幅をカバーできる。
【0076】
監視システム1のある更なる変形形態は、評価ユニット60が計算によってチェーンの様々な変位サイクルを基準サイクルと比較するように構成されることを本質とする。チェーンの特定の変位に関して判定されたチェーンの動作パラメータは、本明細書では、所定のアルゴリズムによって基準値に合わせて変換され得る。アルゴリズムは、チェーンの動作パラメータが変化するにつれて線力がどのように変化するかについての仮定または実験に基づくことができる。線力の特徴を表す実際の測定値が、アルゴリズムに基づく予測値としての基準値から得られる、所与のチェーン動作パラメータについての線力の予測値から逸脱している場合には、許容できない逸脱が存在しており、このことはライン摩耗を示唆し得る。次いで評価ユニット60は、可動接続箇所の駆動をオフにするための信号を含む干渉信号を出力するための信号を、信号送信デバイス70に出力する。
図1
図2
図3
図4
図5