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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ポリマーのアモルファス含有量の決定
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20231117BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G01N30/88 P
G01N30/54 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020573442
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019039003
(87)【国際公開番号】W WO2020005953
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】62/691,733
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】コン、ロンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー、キンバリー、エル.
(72)【発明者】
【氏名】リッカ、ビッキー
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/040127(WO,A1)
【文献】特開2015-163461(JP,A)
【文献】特表2013-515267(JP,A)
【文献】特開平11-302474(JP,A)
【文献】特表2013-506742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/06,30/54,30/86,30/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法であって、
a)前記オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)前記ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、前記支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)前記支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)前記支持材料の温度を上昇させて、前記オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラムを生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100 (式A)
(式中、PAアモルファス=前記第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=前記オレフィン系ポリマー組成物の前記ポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分を計算するステップと、を含み、
前記オレフィン系ポリマー組成物が、以下の3つのポリマー成分:
(iv)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10モル%以上90モル%未満のエチレン含有量を有する前記エチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、
(v)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する前記アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、
(vi)エチレンブロック(EB)とアルファ-オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーであって、前記エチレンブロック(ソフトブロック/ソフトセグメント)は、前記アルファ-オレフィンブロック(ハードブロック/ハードセグメント)よりも多くの重合エチレンを含有する、ブロックコポリマーと、を含む「ブロック複合材料」(「BC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
前記エチレンブロックは、成分(i)の前記エチレン系ポリマー(EP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の前記アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、≦4℃、≦3℃、または≦2℃の絶対Tm差を指す、方法
【請求項2】
オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法であって、
a)前記オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)前記ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、前記支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)前記支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)前記支持材料の温度を上昇させて、前記オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラムを生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100 (式A)
(式中、PAアモルファス=前記第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=前記オレフィン系ポリマー組成物の前記ポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分を計算するステップと、を含み、
前記オレフィン系ポリマー組成物が、以下の3つのポリマー成分:
(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%以上のエチレン含有量を有する前記結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書ではCBCのソフトポリマーとも称される)と、
(ii)結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する前記結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書ではCBCのハードポリマーとも称される)と、
(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含む「結晶ブロック複合材料」(「CBC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
前記結晶性エチレンブロックは、成分(i)の前記結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記結晶性アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の前記結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、≦4℃、≦3℃、または≦2℃の絶対Tm差を指す、方法
【請求項3】
前記方法が、i)結晶化溶出分別(CEF)クロマトグラフィー、またはii)温度上昇溶出分別(TREF)クロマトグラフィーから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持材料が、100ミクロン以下のD50値を有する球状粒子を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持材料が、不活性材料を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銅粒子、f)銅コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銅を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銀粒子、f)銀コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銀を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の溶出が、10℃~15℃の積分下限を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の溶出が、30℃~45℃、または30℃~40℃の積分上限を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の溶出が、10℃~40℃、または12℃~40℃、または15℃~40℃で積分される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持材料が、前記支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の前記粒子を含む、請求項4、6または7に記載の方法。
【請求項12】
前記オレフィン系ポリマー組成物が、前記オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
キシレン可溶性(XS)は、ポリプロピレン系ポリマーにとって重要な特性であり、ポリプロピレンの特性を制御するために広く使用されている。それは、ポリプロピレンのアタクチックアモルファスポリマー画分と関連がある。XSは、インパクトコポリマー中のアモルファス材料の量を表すためにも使用される。オレフィンブロック複合材料のキシレン可溶性重量分率(またはXS%)は、ブロック複合材料指数(BCI)を定量化するために使用される(例えば、米国特許第8,802,772号を参照されたい)。
【0002】
キシレン可溶性パーセント(XS%)は、ASTMD5492-17によって、いくつかのステップを含む手順で測定することができる。フローインジェクションポリマー分析(FIPA)は、同等のXS%を生成するために開発されたが、高いXS%値を有する材料にとって、および/またはそれらの場合のために信頼できるXS%を得る高い分子量を有するアモルファス画分を有する材料にとっては、濾過が難しいために困難な場合がある。
【0003】
これは、ポリマー試料のアモルファス画分を測定するための正確かつ高速な方法に関するニーズであり、ASTM5492-17によって得られる値と同等またはそれに近い値を得るために使用することができる。このニーズは、以下の発明によって満たされる。
【発明の概要】
【0004】
1つ以上のオレフィン系ポリマーを含む、オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法であって、
a)オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)支持材料の温度を上昇させて、オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラムを生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100(式A)
(式中、PAアモルファス=第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=オレフィン系ポリマー組成物のポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分」を計算するステップと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】Aの計算で注目されているDOWLEX2056AのTREFクロマトグラムである。以下の共結晶化指数の説明を参照されたい。
図2】Aの計算で注目されているDOWLEX2056AのTREFクロマトグラムである。以下の共結晶化指数の説明を参照されたい。
図3】SM-1支持材料を使用したエチレン-オクテンコポリマーにおける溶出温度対オクテン含有量の相関である。
図4】SM-1支持材料を使用して得られたBC-2のクロマトグラムである。
図5】アモルファス画分を測定する際に使用した温度プロファイルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
オレフィン系ポリマー組成物中のアモルファス画分の量を正確に決定するための新しい「結晶化系クロマトグラフィー」法を発見した。この方法は、ASTM5497-17によって得られた結果に非常に近いまたは同等の結果を提供する。さらに、本発明の方法は、ASTMD5497-17に必要な分析時間の一部(例えば、18%未満)を要する。さらに、新しい方法は完全に自動化することができる。
【0007】
上で論じたように、1つ以上のオレフィン系ポリマーを含む、オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法が提供され、当該方法は、
a)オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒(例えば、ジクロロベンゼンまたはトリクロロベンゼン)に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)支持材料の温度を上昇させて、オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラム(例えば、濃度(強度)対温度)を生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100(式A)
(式中、PAアモルファス=第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=オレフィン系ポリマー組成物のポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分」を計算するステップと、を含む。
【0008】
本発明の方法は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0009】
オレフィン系ポリマー組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0010】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、第1の溶出は、10℃~15℃の積分下限を有する。
【0011】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、第1の溶出は、30℃~45℃、または30℃~40℃の積分上限を有する。
【0012】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、第1の溶出は、10℃~40℃、または12℃~40℃、または15℃~40℃で積分される。
【0013】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、2つのオレフィン系ポリマーを含む。
【0014】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、3つのオレフィン系ポリマーを含む。
【0015】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、2~3つのオレフィン系ポリマーを含む。
【0016】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含む。
【0017】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、過半量の重合プロピレンを含む。
【0018】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、以下の3つのポリマー成分:
(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10モル%~90モル%未満のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、
(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、
(iii)エチレンブロック(EB)とアルファ-オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーであって、エチレンブロック(ソフトブロック/ソフトセグメント)は、アルファ-オレフィンブロック(ハードブロック/ハードセグメント)よりも多くの重合エチレンを含有する、ブロックコポリマーと、を含む「ブロック複合材料」(「BC」)であり、
エチレンブロックは、成分(i)のエチレン系ポリマー(EP)と同じまたは同様のTmを有し、
アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)のアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す。
【0019】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、以下の3つのポリマー成分:
(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%以上のエチレン含有量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書ではCBCのソフトポリマーとも称される)と、
(ii)結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書ではCBCのハードポリマーとも称される)と、
(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含む「結晶性ブロック複合材料」(「CBC」)であり、
結晶性エチレンブロックは、成分(i)の結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と同じまたは同様のTmを有し、
結晶性アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す。
【0020】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、溶液において濃度を有し、溶液1ミリリットルあたり≧0.1ミリグラムのポリマーである。
【0021】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、本発明の方法は、ポリマーブレンドまたはポリマー組成物の重合プロセスまたは単離プロセスのいずれかにインライン、アットライン、またはオンラインで接続される。
【0022】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、本発明の方法は、多次元クロマトグラフィーシステムにおいて使用される。
【0023】
本発明の方法は、オンラインまたはオフラインで、他の分析方法と結合することができる。例えば、選択した分子サイズのコポリマーを含有するSECカラムからの流出物を、昇温溶出分別(TREF)または結晶化溶出分別(CEF)によって分析して、選択した分子サイズのアモルファス画分を決定することができる。各々参照により本明細書に組み込まれる、Roy et al.,Development of Comprehensive Two-Dimensional High Temperature Liquid Chromatography x Gel Permeation Chromatography for Characterization of Polyolefins,Macromolecules(2010),43,3710-3720、Gillespie et al.,「APPARATUS AND METHOD FOR POLYMER CHARACTERIZATION」,US2008/0166817A1も参照されたい。
【0024】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、方法は、次から選択される:i)結晶化溶出分別(CEF)クロマトグラフィー、またはii)昇温溶出分別(TREF)クロマトグラフィー。
【0025】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は不活性材料を含む。
【0026】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、CI値は、0.70~1.20、または0.75~1.20、または0.80~1.20、または0.85~1.20、または0.90~1.20である。
【0027】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、CI値は、0.70~1.15、または0.75~1.15、または0.80~1.15、または0.85~1.15、または0.90~1.15である。
【0028】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、≦100ミクロン、または≦80ミクロン、または≦60ミクロン、または≦40ミクロン、または≦20ミクロン、または≦10ミクロンのD50値を有する球状粒子を含む。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、≧1.0ミクロン、または≧2.0ミクロン、または≧3.0ミクロン、または≧4.0ミクロンのD50値を有する球状粒子を含む。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。
【0029】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、≦10ミクロン、または≦9.0ミクロン、または≦8.0ミクロン、または≦7.0ミクロン、または≦6.0ミクロンのD50値を有する球状粒子を含む。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、≧1.0ミクロン、または≧2.0ミクロン、または≧3.0ミクロン、または≧4.0ミクロンのD50値を有する球状粒子を含む。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。
【0030】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、2~100ミクロン、さらに5~80ミクロン、さらに5~50ミクロンのD50有する。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。
【0031】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、2~40ミクロン、さらに5~30ミクロン、さらに10~20ミクロン、さらに2~10ミクロンのD50を有する。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。
【0032】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、粒径分布、例えば、≧2ミクロンのD10、≦3.1×D50のD90、および<3.0、さらに<2.0、さらに<1.5、およびさらに<1.3の(D90-D10)/D50比を有する。さらなる実施形態では、支持材料は、>90体積%の球状粒子を含む。
【0033】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は:a)金粒子、b)金コーティング粒子(例えば、金コーティングニッケル)、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銅粒子、f)銅コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銅を含むコーティングを含む粒子、i)銀粒子、j)銀コーティング粒子、k)銀を含む粒子、l)銀を含むコーティングを含む粒子、またはm)それらの組み合わせのうちの1つを含む。さらなる実施形態では、支持材料は、支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の粒子を含む。
【0034】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は:a)金粒子、b)金コーティング粒子(例えば、金コーティングニッケル)、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銅粒子、f)銅コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銅を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む。さらなる実施形態では、支持材料は、支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の粒子を含む。
【0035】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は:a)金粒子、b)金コーティング粒子(例えば、金コーティングニッケル)、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、またはq)それらの組み合わせのうちの1つを含む。さらなる実施形態では、支持材料は、支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の粒子を含む。
【0036】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、金粒子、金コーティング粒子(例えば、金コーティングニッケル)、またはそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、支持材料は、支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95
重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の粒子を含む。
【0037】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は、少なくとも1つの不活性金属を含む材料を含む。
【0038】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、「支持材料」は、-15℃~230℃の温度範囲で熱的に安定である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、「支持材料」は、-15℃~230℃の温度範囲で化学的に安定である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、「支持材料」は、-15℃~230℃の温度範囲で熱的かつ化学的に安定である。
【0039】
化学的に安定性しているとは、支持材料が移動相またはポリマー溶液と化学反応を起こさず、かつ熱分解しないことを意味している。熱的に安定しているということは、支持材料が実質的な熱膨張または収縮を受けないことを意味しており、その膨張または収縮は、カラムベッドを移動させるか、もしくはカラムベッドにボイドを生成させ、または比較的短時間でカラム性能を低下させる。
【0040】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は表面コーティング層を有し、コーティング層の厚さは、10nm~100nm、または20nm~100nmである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、支持材料は表面コーティング層を有し、コーティング層の厚さは、5nm~200nm、または10nm~200nm、または20nm~200nmである。
【0041】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、ステップc)の場合、支持材料の温度は、0.5℃/分以上、または1.0℃/分以上、または1.5℃/分以上、または2.0℃/分以上、または3.0℃/分以上、または4.0℃/分以上、または5.0℃/分以上、または6.0℃/分以上、または7.0℃/分以上、または8.0℃/分以上、またはを超える、または9.0℃/分以上、または10.0℃/分以上、または12.0℃/分以上、または15.0℃/分以上、または20.0℃/分以上、または25.0℃/分以上、または30.0℃/分以上の速度で下げられる。
【0042】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、ステップd)の場合、支持材料の温度は、0.5℃/分以上、または1.0℃/分以上、または1.5℃/分以上、または2.0℃/分以上、または3.0℃/分以上、または4.0℃/分以上、または5.0℃/分以上、または6.0℃/分以上、または7.0℃/分以上、または8.0℃/分以上、または9.0℃/分以上、または10.0℃/分以上、または12.0℃/分以上、または15.0℃/分以上、または20.0℃/分以上、または25.0℃/分以上、または30.0℃/分以上の速度で上昇させる。
【0043】
温度勾配デバイス(例えば、PolymerCharからのCEFにおいて使用されるGCオーブン(Agilent Technologies))は、カラム(例えば、クロマトグラフィーカラム)を、制御された様式で熱処理または冷却するために使用される機器である。他の例は、Hewlett Packard GCオーブン、およびAnalytical TREFオーブンである(例えば、GillespieらによるUS2008/0166817A1を参照されたい)。
【0044】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、ステップc)の場合、溶出液流(eluent flow)は、支持材料を通して維持される。さらなる実施形態では、支持材料を通る溶出液流は、0.5ml/分以下の速度で維持される。
【0045】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、ステップc)の場合、支持材料を通る溶出液流は、0.4mL/分以下、さらに0.3mL/分以下、さらに0.2mL/分以下、さらに0.1mL/分以下、さらに0.05mL/分以下、さらに0.02mL/分以下、さらに0.01mL/分以下の速度に維持される。
【0046】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、ステップd)の場合、溶出液流量は、支持材料を通して維持される。さらなる実施形態では、溶出液流は、0.1~3.0mL/分、または0.1~2.0mL/分、または0.1~1.0mL/分の速度で維持される。
【0047】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、可溶性画分溶出時間は、>0分、または>1.0分、または>2.0分、または>3.0分、または>5.0分、または>10分、または>15分、または>20分、または>30分である。
【0048】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、溶出液は、溶媒の重量に基づいて、≦400ppmの水、または≦300ppmの水、または≦200ppmの水、または≦100ppmの水、または≦50ppmの水、または≦20ppmの水、または≦10ppmの水を含む。
【0049】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、溶出液は、1,2-ジクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、テトラクロロエチレン、デカノール、ジフェニルエーテル、デカン、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)、またはそれらの混合物から選択される。
【0050】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、溶出液は、以下の混合物から選択される:デカノールと1,2,4-トリクロロベンゼン、デカンと1,2-ジクロロベンゼン、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)と1,2-ジクロロベンゼン。
【0051】
本発明の方法は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0052】
オレフィン系ポリマー組成物
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、以下の3つのポリマー成分:
(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10モル%~90モル%未満のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、
(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、
(iii)エチレンブロック(EB)とアルファ-オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーであって、エチレンブロック(ソフトブロック/ソフトセグメント)は、アルファ-オレフィンブロック(ハードブロック/ハードセグメント)よりも多くの重合エチレンを含有する、ブロックコポリマーと、を含む「ブロック複合材料」(「BC」)であり、
エチレンブロックは、成分(i)のエチレン系ポリマー(EP)と同じまたは同様のTmを有し、
アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)のアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す。
【0053】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、以下の3つのポリマー成分:
(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%以上のエチレン含有量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書ではCBCのソフトポリマーとも称される)と、
(ii)結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書ではCBCのハードポリマーとも称される)と、
(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含む、「結晶性ブロック複合材料」(「CBC」)であり、
結晶性エチレンブロックは、成分(i)の結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と同じまたは同様のTmを有し、
結晶性アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す。
【0054】
好適なアルファ-オレフィンとしては、C3~C10アルファ-オレフィンが挙げられ、好ましくは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンから選択される。
【0055】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧0.855g/cc、または≧0.860g/cc、または≧0.865g/cc、または≧0.870g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマーは、≦0.950g/cc、または≦0.945g/cc、または≦0.940g/cc、または≦0.935g/cc、または≦0.930g/ccの密度を有する。
【0056】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマーは、≧0.875g/cc、または≧0.880g/cc、または≧0.885g/cc、または≧0.890g/ccの密度を有する。
【0057】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦20g/10分、または≦15g/10分、または≦10g/10分のMFR(230℃、2.16kg)を有する。
【0058】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧1.0g/10分、または≧2.0g/10分、または≧3.0g/10分、または≧4.0g/10分、または≧5.0g/10分のMFR(230℃、2.16kg)を有する。
【0059】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦10g/10分、または≦8.0g/10分、または≦6.0g/10分、または≦4.0g/10分のMFR(230℃、10.0kg)を有する。
【0060】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧0.1g/10分、または≧0.2g/10分、または≧0.3g/10分、または≧0.4g/10分、または≧0.5g/10分、または≧0.6g/10分のMFR(230℃、10.0kg)を有する。
【0061】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦500,000g/モル、または≦450,000g/モル、または≦400,00g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0062】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧10,000g/モル、または≧20,000g/モル、または≧30,000g/モル、または≧40,000g/モル、または≧50,000g/モル、または≧60,000g/モル、または≧80,000g/モル、または≧100,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0063】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦10.00、または≦9.0、または≦8.0、または≦7.0、または≦6.5、または≦6.0、または≦5.5、または≦5.0、または≦4.5、または≦4.0、または≦3.6、または≦3.0、または≦2.9、または≦2.8の重量平均分子量(MWD)を有する。
【0064】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧2.00、または≧2.10、または≧2.20、または≧2.30、または≧2.40、または≧2.50、または≧2.60の分子量分布(MWD)を有する。
【0065】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、DSCによって決定されるように、2つの溶融温度を有する。DSCプロファイルの温度スケールに関して、低融点および高融点、
【0066】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦170℃、または≦160℃、または≦150℃、または≦145℃、または≦140℃の温度スケールに関して、最高の溶融温度(Tm)を有する。
【0067】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧80℃、または≧90℃、または≧100℃、または≧110℃、または≧120℃の温度スケールに関して、最高の溶融温度(Tm)を有する。
【0068】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦110℃、または≦105℃、または≦100℃、または≦95℃の結晶化温度(Tc)を有する。
【0069】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧70℃、または≧75℃、または≧80℃の結晶化温度(Tc)を有する。
【0070】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≦200J/g、または≦150J/g、または≦100J/g、または≦52J/gの溶融エンタルピーを有する。
【0071】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、オレフィン系ポリマー組成物は、≧34J/g、または≧36J/g、または≧50J/gの溶融エンタルピーを有する。
【0072】
オレフィン系ポリマー組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0073】
共結晶化
コモノマー含有量および分布分析(CCD)または短鎖分岐分析(SCBD)の決定において、共結晶化(一般に共溶出とも称される)は、同様であるが異なる微細構造を有するポリマー鎖(例えば、オレフィン系ポリマー鎖)が、一緒に結晶を形成かつ/または一緒に溶出し、報告されるCCDまたはSCBDにおいてエラーを発生させ得る。共結晶化は、結晶化分析分別(CRYSTAF、Monrabal、US5,222,390)、昇温溶出分別(TREF,L Wild et al.,Advances in Polymer Science 98,Springer-Verlag Berlin Heidelberg GmbH,P21、および引用文献)、および結晶化溶出分別(CEF,Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007))を含む結晶化系技術の分解能および試験の正確さを限定する重要なファクターの1つである。未知の多成分系における共結晶化の程度を定量化することは非常に困難である。共結晶化の結果として、CRYSTAF、TREF、またはCEF(冷却プロセス中の緩徐な流動を有することによって、従来のTREF分析時間の何分の1かでTREFタイプの実験を実行するハイスループットTREF(Monrabal、EP 2 008 701 B1))からの結果をモデル化またはデコンボリューションすることは困難である。
【0074】
共結晶化は、結晶化系分離技術に固有の特徴である。WildのTREF実験におけるように、0.025℃/分などのように冷却速度を低下させること、共結晶化の量を低下させることは当技術分野でよく知られている。0.025℃/分の冷却速度を使用するWildのTREFは、非常に長い分析時間(試料溶液をWildのTREFカラムに充填された後、試料あたり4500分)という犠牲のもとに、SCBD分析のためのゴールデンスタンダードとして広く受け入れられている。
【0075】
共結晶化指数(CI)の定義
共結晶化指数(CI)は、CI=A/Aのように定義され、式中、Aは、CEFまたはTREF分析から得られたDOWLEX2045またはDOWLEX 2056Aの最高温度溶出ピークのピーク面積であり、Aは、210~250ミクロンの直径範囲を有する支持材料CHROMOSORB(登録商標)PNAWを使用して、Wildの実験条件(Wild et al,Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed.,Vol.20,p.441(1982))を使用することによって決定される同じ材料の同じピークのピーク面積である。Aの決定に使用される支持材料は、210~250ミクロンの直径範囲を有するCHROMOSORB PNAWではない。
【0076】
DOWLEX2045((密度=0.920g/cc、I2=1.0g/10分、I10/I2=8.0(目標特性)またはDOWLEX2056A(密度=0.920g/cc、I2=1.0g/10分、I10/I2=8.0(目標特性))を使用してCIを計算することができる。CIを計算する際には、CEFおよびWildのTREF、またはTREFおよびWildのTREFは、同じ材料の同じロットで実施されることに注意されたい。CIの計算には、以下のステップが含まれる:
(1)CEF(下記の試験方法セクションを参照されたい)またはTREF(下記の試験方法セクションを参照されたい)によってSCBD分布を得るステップであって、「dW/dT対溶出温度」を示し、dW/dTは、温度Tで溶出するポリマーの重量分率(W)である、SCBD分布を得るステップ;
(2)可溶性画分TSFの溶出温度の谷を決定するステップであって、TSFは、可溶性画分ピークが、ベースラインまたはほぼベースラインに戻る溶出温度として定義され、SCBD分布から、TSFは、低い積分限界と、40℃との間のピーク谷での溶出温度である(例えば、図1を参照されたい)、溶出温度の谷を決定するステップ;
(3)最高温度溶出ピークのピーク谷での溶出谷温度(T)を決定するステップであって、その谷は、86℃~100℃に存在するべきであり、86℃~100℃の最小の高さである(図1を参照されたい)、決定するステップ;
(4)最高温度溶出ピーク(A)のピーク面積(%)を計算するステップ;
【数1】
(5)「dW/dT対溶出温度」を示すWildのTREFによって、同じ材料のSCBD分布を得るステップであって、dW/dTは、溶出温度Tで溶出するポリマーの重量分率(W)であり、
等温溶出期間の溶出温度は、20℃/分の溶出加熱速度を使用することによって線形外挿される、SCBD分布を得るステップ;
(6)86℃から100℃への溶出温度から検索することによって、最高温度溶出ピークのピークの谷での溶出谷温度(T)を決定するステップであって、
ピークの谷は、WildのTREFによって得られたSCBDを使用することによって、86℃~100℃の最小の高さである(例えば、図2を参照されたい)、決定するステップ;
(7)以下のように、WildのTREFによって得られたSCBD分布からAを計算するステップ:
【数2】
(8)Aおよび
【数3】
からCIを計算するステップ。DOWLEX2056Aの場合、Aは13.4%である。
例えば、図1および図2を参照されたい。TREFから得られたSCBD分布からAを計算するために、試料は、DOWLEX2056Aである-図1を参照されたい。WildのTREFから得られたSCBD分布からAを計算するために、試料は、DOWLEX2056Aである-図2を参照されたい。
【0077】
定義
相反する記載、文脈から暗示的、または当該技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づくものであり、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0078】
本明細書で使用される「オレフィン系ポリマー組成物」という用語は、≧98重量%の1つ以上のオレフィン系ポリマーを含み、その組成物は、全体として、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の1つ以上の重合オレフィンを含む。一実施形態では、オレフィン系ポリマー組成物が、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含む。別の実施形態では、オレフィン系ポリマー組成物が、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合プロピレンを含む。
【0079】
本明細書で使用される場合、「第1の溶出」という用語は、支持材料から溶出する第1のポリマー画分に起因する第1の溶出ピークを指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、第1の溶出ピークに関する「積分下限」という用語は、ピークプロファイルがクロマトグラムのベースラインを超えて上昇する変曲点(より低い温度)を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、第1の溶出ピークに関する「積分上限」という用語は、ピークプロファイルがクロマトグラムのベースラインへと戻る点(より高い温度)を指す。
【0082】
「重量%「アモルファス」画分」という用語は、{PAアモルファス/PA合計×100}(式A)として定義され、式中、PAアモルファス=第1の溶出のピーク面積でありPA合計=オレフィン系ポリマー組成物のポリマーの合計ピーク面積である。
【0083】
本明細書で使用される「支持材料」という用語は、支持材料の温度を変化させる、および/または溶媒組成を変化させるプロセスを含む、クロマトグラフィープロセスにおいて、流体流中に固体形態として存在する材料を指す。
【0084】
支持材料に関して本明細書で使用される不活性材料は、支持材料または支持材料の成分として使用される際に、化学的および/または物理的変換を受けない材料を指す。
【0085】
本明細書で使用される「有機溶媒」という用語は、液体(少なくとも1つの炭素原子を含む)、または液体の混合物を指し、これらは、室温で、または有機溶媒の沸点温度までの高温で、オレフィン系ポリマー組成物を溶解することができる。有機溶媒の例としては、オルト-ジクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、テトラクロロエテン、1-ブロモナフタレン、ジフェノールエーテル、および1-ブロモ-ナフタレンを有するテトラクロロエテンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
本明細書で使用される「可溶性画分溶出時間」という用語は、支持材料の温度が一定に保たれている間に、TREFおよびCEFでの溶出プロセスが開始する期間(一般に分単位)を指す。
【0087】
本明細書で使用される「溶出液」という用語は、静止支持材料から1つ以上の物質を移動または溶出させるためにクロマトグラフィープロセスで使用される溶媒を指す。
【0088】
本明細書で使用される「球状粒子」という用語は、少なくとも100個の粒子を含有する粒子の試料について、走査型電子顕微鏡で決定した場合、各粒子の最大直径の最小直径に対する比が2以下であるような、わずかな表面変動を伴う完全に円形またはほぼ円形の粒子を指す。
【0089】
本明細書で使用される「表面コーティング層」という用語は、支持材料の粒子上の外面上のコーティングを指す。典型的には、粒子の試料の総表面積の少なくとも95面積パーセントがコーティングされる。表面コーティングの量は、SEM(走査型電子顕微鏡)によって決定することができる。
【0090】
本明細書で使用される、「ポリマー」という用語は、同じ種類または異なるタイプのモノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一のタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために採用される)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。例えば触媒残渣などの微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれる場合がある。
【0091】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。一般用語インターポリマーは、コポリマー(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために採用される)、および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0092】
本明細書で使用される「オレフィン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合オレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレンを含む、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含む、ポリマーを指す。
【0093】
本明細書で使用される「エチレン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合エチレンモノマーを含む、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含む、ポリマーを指す。
【0094】
本明細書で使用される「エチレン系インターポリマー」という用語は、(インターポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合エチレンモノマーと、少なくとも1つのコモノマーとを含むインターポリマーを指す。
【0095】
本明細書で使用される「エチレン系コポリマー」という用語は、2つのみのモノマーのタイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合エチレンモノマーと、1つのコモノマーとを含むコポリマーを指す。
【0096】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、(インターポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合エチレンモノマーと、少なくとも1つのα-オレフィンとを含むインターポリマーを指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、2つのみのモノマーのタイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)50重量%または過半量の重合エチレンモノマーと、α-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0098】
本明細書で使用される「ポリエチレンホモポリマー」という用語は、重合エチレンモノマーのみを含むポリマーを指す。
【0099】
本明細書で使用される「プロピレン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーを含む、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含む、ポリマーを指す。
【0100】
本明細書で使用される「プロピレン系インターポリマー」という用語は、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、少なくとも1つのコモノマーとを含むインターポリマーを指す。
【0101】
本明細書で使用される「プロピレン系コポリマー」という用語は、2つのみのモノマーのタイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、1つのコモノマーとを含むコポリマーを指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、少なくとも1つのα-オレフィンとを含むインターポリマーを指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、2つのみのモノマーのタイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、α-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0104】
本明細書で使用される「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語は、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、エチレンとを含むインターポリマーを指す。
【0105】
本明細書で使用される「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、2つのみのモノマーのタイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)過半量の重合プロピレンモノマーと、エチレンとを含むコポリマーを指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、その組成物、ならびにその組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0107】
本明細書で使用される「多次元クロマトグラフィーシステム」という用語は、複数の分離メカニズム(またはクロマトグラフィー)を一緒に結合することを指す。例えば、J.C.Giddings(1990),Use of Multiple Dimensions in Analytical Separations,in Hernan Cortes Editor,Multidimensional Chromatography:Techniques and Applications(1st ed.pp.1),New York,NY:Marcel Dekker,Inc.)を参照されたい。
【0108】
用語の「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。曖昧さを避けるために、「含む(comprising)」という用語を使用して請求されるすべての組成物は、別途記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、またはポリマー化合物であるか否かにかかわらず化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。
【0109】
本明細書で使用される「温度勾配クロマトグラフィー」という用語は、温度勾配に基づく分離技術、典型的にはポリマー分離を指す。好ましい例としては、TREFおよびCEFが挙げられる。
【0110】
本明細書で使用される「TREF」という用語は、ポリマー組成物内のポリマー分子の異なる結晶化に基づく分離技術を使用し、固定支持体上へのポリマー試料の結晶化(冷却)中に静的またはゼロ溶出液流を使用する、昇温溶出分別クロマトグラフィーを指す。
【0111】
本明細書で使用される「CEF」という用語は、ポリマー組成物内のポリマー分子の異なる結晶化に基づく分離技術を使用し、固定支持体上へのポリマー試料の結晶化(冷却)中に動的溶出液流(dynamic eluent flow)を使用する、結晶化溶出分別クロマトグラフィーを指す。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
項1.
1つ以上のオレフィン系ポリマーを含む、オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法であって、
a)前記オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)前記ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、前記支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)前記支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)前記支持材料の温度を上昇させて、前記オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラムを生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100 (式A)
(式中、PAアモルファス=前記第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=前記オレフィン系ポリマー組成物の前記ポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分を計算するステップと、を含む、方法。
項2.
前記ポリマーが、以下の3つのポリマー成分:
(iv)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10モル%~90モル%未満のエチレン含有量を有する前記エチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、
(v)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する前記アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、
(vi)エチレンブロック(EB)とアルファ-オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーであって、前記エチレンブロック(ソフトブロック/ソフトセグメント)は、前記アルファ-オレフィンブロック(ハードブロック/ハードセグメント)よりも多くの重合エチレンを含有する、ブロックコポリマーと、を含む「ブロック複合材料」(「BC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
前記エチレンブロックは、成分(i)の前記エチレン系ポリマー(EP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の前記アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す、項1に記載の方法。
項3.
前記ポリマーが、以下の3つのポリマー成分:
(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%以上のエチレン含有量を有する前記結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書ではCBCのソフトポリマーとも称される)と、
(ii)結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する前記結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書ではCBCのハードポリマーとも称される)と、
(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含む「結晶ブロック複合材料」(「CBC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
前記結晶性エチレンブロックは、成分(i)の前記結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と同じまたは同様のTmを有し、
前記結晶性アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の前記結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す、項1に記載の方法。
項4.
前記方法が、i)結晶化溶出分別(CEF)クロマトグラフィー、またはii)温度上昇溶出分別(TREF)クロマトグラフィーから選択される、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
前記支持材料が、100ミクロン以下のD50値を有する球状粒子を含む、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記支持材料が、0.70~1.20のCIを有し、前記支持材料が、不活性材料を含む、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
項7.
前記支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銅粒子、f)銅コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銅を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
前記支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銀粒子、f)銀コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銀を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
前記第1の溶出が、10℃~15℃の積分下限を有する、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項10.
前記第1の溶出が、30℃~45℃、または30℃~40℃の積分上限を有する、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
項11.
前記第1の溶出が、10℃~40℃、または12℃~40℃、または15℃~40℃で積分される、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
項12.
前記オレフィン系ポリマー組成物が、2つのオレフィン系ポリマーを含む、項1~11のいずれか一項に記載の方法。
項13.
前記オレフィン系ポリマー組成物が、3つのオレフィン系ポリマーを含む、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
項14.
前記支持材料が、前記支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の前記粒子を含む、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
項15.
前記オレフィン系ポリマー組成物が、前記オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含む、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
本開示の特定の実施形態としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:
1.1つ以上のオレフィン系ポリマーを含む、オレフィン系ポリマー組成物中の「アモルファス」画分の重量パーセントを決定する方法であって、
a)オレフィン系ポリマー組成物を有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液を形成するステップと、
b)ポリマー溶液の少なくとも一部を支持材料に注入するステップであって、支持材料が0.70~1.20の共結晶化指数(CI)値を有する、注入するステップと、
c)支持材料を0.2℃/分以上の速度で冷却するステップと、
d)支持材料の温度を上昇させて、オレフィン系ポリマー組成物のポリマーを溶出させるステップと、
e)クロマトグラムを生成するステップと、
f)第1の溶出の、その積分下限からその積分上限までのピーク面積を決定するステップと、
g)以下の式A:
重量%「アモルファス」画分=PAアモルファス/PA合計×100(式A)
(式中、PAアモルファス=第1の溶出のピーク面積であり、PA合計=オレフィン系ポリマー組成物のポリマーの合計ピーク面積である)に基づいて「アモルファス」画分」を計算するステップと、を含む、方法。
2.ポリマーが、以下の3つのポリマー成分:
(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10モル%~90モル%未満のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、
(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、
(iii)エチレンブロック(EB)とアルファ-オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーであって、エチレンブロック(ソフトブロック/ソフトセグメント)は、アルファ-オレフィンブロック(ハードブロック/ハードセグメント)よりも多くの重合エチレンを含有する、ブロックコポリマーと、を含む「ブロック複合材料」(「BC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
エチレンブロックは、成分(i)のエチレン系ポリマー(EP)と同じまたは同様のTmを有し、
アルファオ-レフィンブロックは、成分(ii)のアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す、実施形態1に記載の方法。
3.ポリマーが、以下の3つのポリマー成分:
(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%以上のエチレン含有量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書ではCBCのソフトポリマーとも称される)と、
(ii)結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90モル%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書ではCBCのハードポリマーとも称される)と、
(iii)結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含む、「結晶性ブロック複合材料」(「CBC」)であるオレフィン系ポリマー組成物であり、
結晶性エチレンブロックは、成分(i)の結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と同じまたは同様のTmを有し、
結晶性アルファ-オレフィンブロックは、成分(ii)の結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と同じまたは同様のTmを有し、
「同じまたは同様の」という語句は、≦5℃、さらに≦4℃、さらに≦3℃、さらに≦2℃の絶対Tm差を指す、実施形態1に記載の方法。
4.方法が、i)結晶化溶出分別(CEF)クロマトグラフィー、またはii)昇温溶出分別(TREF)クロマトグラフィーから選択される、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
5.支持材料が、100ミクロン以下のD50値を有する球状粒子を含む、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
6.支持材料が、0.70~1.20のCIを有し、支持材料が、不活性材料を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
7.支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銅粒子、f)銅コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銅を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
8.支持材料が、a)金粒子、b)金コーティング粒子、c)金を含む粒子、d)金を含むコーティングを含む粒子、e)銀粒子、f)銀コーティング粒子、g)銅を含む粒子、h)銀を含むコーティングを含む粒子、またはi)それらの組み合わせのうちの1つを含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.第1の溶出が、10℃~15℃の積分下限を有する、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
10.第1の溶出が、30℃~45℃、または30℃~40℃の積分上限を有する、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
11.第1の溶出が、10℃~40℃、または12℃~40℃、または15℃~40℃で積分される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.オレフィン系ポリマー組成物が、2つのオレフィン系ポリマーを含む、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
13.オレフィン系ポリマー組成物が、3つのオレフィン系ポリマーを含む、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.支持材料が、支持材料の重量に基づいて、≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%の粒子を含む、実施形態1~13のいずれか一つに記載の方法。
15.オレフィン系ポリマー組成物が、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含む、実施形態1~14のいずれか一つに記載の方法。
16.オレフィン系ポリマーが、オレフィン系ポリマー組成物の重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含む、実施形態1~14のいずれか一つに記載の方法。
【0113】
試験方法
結晶化溶出分別(CEF)
結晶化溶出分別分析は、Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007)に従って行われる。CEF機は、デガッサーを備え、またIR-5検出器(例えば、PolymerChar(Spain)から市販されているものなど)および二角度光散乱検出器モデル2040(例えば、Agilentから市販されているものなど)を備えている。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレード)およびシリカゲル40(粒径0.2~0.5mm)(EMD Chemicalsから市販されているものなど)を得る。ODCBは使用前にさらに蒸留する。シリカゲルは、使用前に少なくとも2時間、160℃の真空オーブンで乾燥させる。ODCBを、使用前に乾燥窒素(N)で1時間スパージする。乾燥窒素は、乾燥CaCOおよび5Åモレキュラーシーブに<90psigで窒素を通すことによって得る。ODCBは、脱気後に乾燥シリカが充填されたカラム(複数可)にODCBをポンピングすることによってさらに乾燥させる。以下、乾燥したODCBを「ODCB-m」と称する。160℃で60分間の振盪下で、蒸留ODCBに4mg/ml(8mLのODCB-mに32mgの試料)でポリマー試料を溶解することによって、オートサンプラーを使用して、試料溶液を調製する。サンプル溶液(300μL)をカラムに注入する(各分析のためのカラムについては、実験セクションを参照されたい)。CEFの温度プロファイルは、次のとおりである:95℃から30℃まで3.0℃/分で結晶化、30℃で0、1、または2分間の熱平衡、30℃で2または3分間の等温溶出、次いで30℃から140℃まで3.0℃/分。結晶化中の流速は0.03mL/分である。溶出中の流速は0.50mL/分である。IR-5信号データは1データポイント/秒で収集する。
【0114】
データ処理は「GPCOne」ソフトウェア(PolymerChar、Spain)を使用して実施する。クロマトグラムは「GPCOne」ソフトウェアと統合する。ピークが、高溶出温度で平坦なベースラインまで落ち、可溶性画分(SF)の低温側で検出器信号の最小または平坦な領域まで落ちるとき、可視の差異から直線のベースラインを引く。ピークが平坦なベースライン領域(おおよそ約120℃)まで落ちるとき、可視の差異に基づいて、温度積分上限を確立する。可溶性画分を含むクロマトグラムとベースラインとの交点に基づいて、温度積分下限を確立する。CEFの温度較正を、ODCB-m中のNIST標準物質直鎖ポリエチレン1484a(1.0mg/ml)とEICOSANE(2mg/ml)との混合物を使用することによって実施する。較正は、4つのステップからなる:(1)EICOSANEの測定されたピーク溶出温度マイナス30.00℃の間の温度オフセットとして定義される遅延体積を計算するステップと、(2)CEF生温度データから溶出温度の温度オフセットを引くステップ(この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい)と、(3)NIST線状ポリエチレン1484aが101.00℃でピーク温度を有し、EICOSANEが30.00℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたる溶出温度を変換する、線形較正線を作成するステップと、(4)30℃で等温測定された可溶性画分では、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって、溶出温度を線形外挿するステップ。NIST1484aに相当または類似する重量平均分子量(110,000~125,000ダルトン)および多分散度(1.0~2.8のMw/Mn)を有する他の線状ホモポリマーポリエチレン試料を使用することができる。
【0115】
昇温溶出分別(TREF)
冷却中の流量をゼロに設定することを除いて、上で考察したCEFに類似する様式で、TREF実験およびデータ処理を実施する。温度較正は、CEFと同じである。
【0116】
WildのTREF
昇温溶出分別(TREF)の実験ステップは、Wildの刊行物(Wild et al,Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed.,Vol.20,p.441(1982))に従って報告されるものであった。
【0117】
WildのTREFの温度プロファイル
WildのTREFの温度プロファイルは、次のとおりである:125℃で30分間等温冷却、125℃から100℃まで0.125℃/分で冷却、その後、100℃から25℃まで0.025℃/分で冷却、次いで、25℃で1000分間熱平衡、25℃で1分間等温溶出、およびその後1時間あたり20℃で、30℃から102℃まで、その後、102℃で60分間等温溶出。溶出中の流量は4mL/分である。
【0118】
WildのTREFの検出器
赤外線検出器IR4(PolymerChar、Spain)を検出器として使用する。IR4赤外線検出器を分析前に安定化させることが可能である。ポンプを1.0mL/分で開始し、流量を5分間かけて4.0mL/分まで上昇させる。赤外線検出器の出力を製造者の説明書に従ってゼロにし、ベースラインが本質的に平坦になり、もし変化があれば、ほぼ変化しなくなるまで、カラムを少なくとも30分間パージして平衡化する。名目上の加熱速度は、プログラム中、1時間あたり20℃である。
【0119】
粒径分布(D50、D10、D90)
粒径分布は、ACCUSIZER780 OPTICAL PARTICLE SIZER(Particle Size System(Florida、USA))で測定し、Single Particle Optical Sizing(SPOS)の原理を使用して、一度に1つずつ粒子をカウントし、かつサイズ設定し、合わない粒子を排除し、正確な粒径およびカウント情報を提供する。センサ中の照明/検出システムは、粒子直径の増加に伴ってパルス波高を単調に増加させるように設計されている。標準較正曲線は、NIST Traceable Monodisperse Standards(Duke)からの一連の標準ポリスチレンラテックス試料を測定することによって得られる。較正の詳細な手順は、Particle Size Systemによって提供される操作マニュアルにおいて見出すことができる。粒径分布(PSD)は、大量の粒子(少なくとも55,000個の粒子)をカウントすることによって構築される。試料(粒子)は、Particle Size Systemによって提供される操作手順に従って、同時カウント(センサゾーン内の2つの粒子)を回避するために、十分に低い濃度でメタノール(HPLCグレード、他の好適な溶媒としては鉱油またはシリコーン油が挙げられる)中に懸濁させる。D50、D10、およびD90は各々、体積に基づいて、ACCUSIZER780のソフトウェアによって計算する。好適な他の溶媒としては、TCB(HPLCグレード)およびODCB(HPLCグレード)が挙げられる。メジアン径(D50、典型的にはミクロン)は、粒子直径として定義され、質量分布(体積分布)の半分は、このポイントより上にあり、半分はこのポイントより下にある。D10は、質量分布の10%はこのポイント(D10)より下にある粒子直径として定義される。D90は、質量分布の90%はこのポイント(D90)より下にある粒子直径として定義される。
【0120】
支持材料の電気陰性度
まず、支持材料の表面特性を、エネルギー分散X線分光法を有する走査電子顕微鏡(SEM/EDX)によって特徴付ける。20kVの加速電圧で作動する、Everhart-Thornley二次電子(SE)検出器および固体状態後方散乱(BSE)検出器を備えたFEI Nova NanoSEM600上の、Bruker AXS X-Flash30mmシリコンドリフト検出器(SDD)/EDXシステムを使用することによって、元素分析を実施する。機器条件は、以下の通りである:約6~7mmの作動距離、開口部番号5、およびスポットサイズ5.5。
【0121】
ある原子の電気陰性度は、その原子が電子の結合対を誘引する傾向の尺度である。支持材料の電気陰性度は、SEM/EDXによって支持材料の表面上で特定される各原子によって決定される。ポーリング尺度が使用される。フッ素(最も電気陰性な元素)に4.0の値を割り当て、値は、下は各々0.7である最も電気陰性でないセシウムおよびフランシウムまでの範囲である。他の原子に関する電気陰性度の値は、参考文献(W.W.Porterfield in Inorganic Chemistry,a Unified Approach,Addison Wesley Publishing Co.,Reading Massachusetts,USA,1984.A.M.James and M.P.Lord in Macmillan’s Chemical and Physical Data,Macmillan,London,UK,1992)に記載されている。表1Aは、125ミクロンの平均粒径(D50)を有するソーダ石灰ガラスの比較支持材料のEXD結果(表面成分のパーセンテージ)を示している。
【表1】
【0122】
密度
試料は、ASTMD1928に従って調製する。測定を、ASTMD792、方法Bを使用して、試料の押圧から1時間以内に行う。
【0123】
メルトインデックス
メルトインデックス、MIまたはIは、ASTMD1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分あたりに溶出されたグラム数を報告する。「I10」メルトインデックスは、ASTMD1238に従って、190℃/10kgの条件下で測定し、10分あたりに溶出されたグラム数を報告する。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTMD-1238、条件230℃/2.16kgに従って測定される。
【0124】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、ポリエチレン(PE)系試料およびポリプロピレン(PP)系試料の融解熱、溶融温度、および結晶化温度を測定するために使用する。約5~8ミリグラムの試料を秤量し、パンに置いた。試料とパンとの間の良好な熱接触を確実にするために、蓋をパンに対して圧着させる。パンをDSCセルに置いて、次いで、エチレン系ポリマーの場合は室温から180℃(プロピレン系の場合は230℃)まで、50℃/分で加熱する。第1のヒートスキャンの終了時に、試料をこの温度で5分間保持する。冷却曲線は、PEの場合は180℃から-60℃(PPの場合は230℃から-40℃)まで、10℃/分の速度で得られる。冷却スキャンの終了時に、試料温度は5分間等温に保つ。第2の加熱曲線は、PEの場合は180℃(PPの場合は230℃)まで、10℃/分の速度で得られる。結晶化度パーセントは、第2の熱曲線に基づいて測定された融解熱(H)を、100%結晶質の融解熱によって、PEの場合292J/g(PPの場合165J/g)で割り、そしてこの量を100倍することによって、計算される(例えば、PEの場合は、結晶化度%=(H/292J/g)×100、およびPPの場合は、結晶化度%=(H/165J/g)×100)。
【0125】
特に明記しない限り、各ポリマーの融点(複数可)(T)は、上記のように、DSCから得られた第2の熱曲線から決定される。結晶化温度(T)を、第1の冷却曲線から測定する。
【0126】
ゲル浸透クロマトグラフィー
クロマトグラフ系は、Polymer Laboratories Model PL-210(Agilent)、またはPolymer Laboratories Model PL-220(Agilent)、またはPolymerChar HT GPC(Spain)のいずれかで構成される。カラムおよびカルーセル区画を140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories、10μm Mixed-Bカラムを、1,2,4-トリクロロベンゼンの溶媒と共に使用する。試料を「50mLの溶媒」中「0.1gのポリマー」、または「8mLの溶媒中16mgのポリマー」の濃度で調製する。試料を調製するために使用される溶媒は、200ppmのBHTを含有する。試料を、160℃で4時間軽く撹拌することによって調製する。使用される注入量は、「100マイクロリットル」であり、流量は、「1.0mL/分」である。GPCカラムセットの較正は、Polymer Laboratoriesから購入した21個の分子量分布の狭いポリスチレン標準を使用して実施する。標準物質の分子量(MW)は、580~8,400,000g/モルの範囲であり、標準物質を6つの「カクテル」混合物に含有させる。各標準物質混合物は、少なくとも一桁は離れた個々の分子量を有する。標準物質はPolymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量とするには「20mLの溶媒中0.001g」で調製し、1,000,000g/モル未満の分子量とするには「20mLの溶媒中0.005g」で調製する。
【0127】
ポリスチレン標準ピーク分子量は、式1Aを使用してポリエチレン分子量に変換される:
ポリエチレン=A(Mポリスチレン)(式1A)
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4316の値を有し、Bは、1.0に等しい(T.Williams and I.M.Ward,Polym.Letters,6,621-624(1968))。三次多項式を、溶出量の関数として対数分子量較正を構築するために決定した。ポリエチレン当量分子量の計算を、Agilent GPC測定器用のVISCOTEK TriSECソフトウェアバージョン3.0、またはPolymerChar GPC測定器用のGPCOneソフトウェアを使用して実施する。
【0128】
ゲル浸透クロマトグラフィー(3D-GPC)
クロマトグラフィーシステムは、Precision Detectors(現在はAgilent Technologies)二角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された内部IR5赤外検出器(IR5)を備える、PolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフからなる。全ての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用する。オートサンプラーオーブン区画を摂氏160度に設定し、カラム区画を摂氏150度に設定した。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線状混合床カラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0129】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000の範囲の分子量を有する少なくとも20の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて実施し、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に該標準を配置した。標準は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準を調製した。ポリスチレン標準を、80℃において、30分間、穏やかに撹拌して溶解させた。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載):
【数4】
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
【0130】
第五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準NBS1475が、52,000Mwにおいて得られるように、Aをわずかに調整して(約0.415~0.44)カラム分解能およびバンド広がり効果を補正した。
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動の様式で調製された:2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付バイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解した。
【0131】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、等間隔の各データ収集ポイント(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からポイント(i)に関する狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン当量分子量を使用して、式2~4に従って、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用して得られたGPC結果に基づいて計算した。
【数5】
【0132】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料内のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))の保持体積(RV)アライメント対狭い標準較正内のデカンピーク(RV(FM較正された))のRVアライメントによって、各サンプルに関するポンプ流量(流量(公称))を線形補正するために使用した。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行われた。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の+/-2%以内のものである。多重検出器オフセットの決定のための系統的手法は、Balke,Mourey,et.al.(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13、(1992))によって公開されたものと一致した様式で行われ、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MWおよびIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
【0133】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))およびKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度は、好適な線状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準のうちの1つから導き出した、質量検出器面積および質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から誘導される、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得た。一般に、(GPCOne(商標)を使用して決定された)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する線状標準物から決定されるべきである。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して決定された)は、製造業者によって記載された方法を使用して、または代替的に、標準基準材料(SRM)1475a(国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)などの好適な線状標準物の公開された値を使用することによって、達成することができる。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)および注入された質量を、その固有粘度に関連づける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。他のそれぞれのモーメント、Mn(絶対)およびMz(絶対)を、式5および式6に従って次のように計算する。
【数6】
【0134】
実験
材料
DOWLEX2045ポリエチレン樹脂またはDOWLEX2056Aポリエチレン樹脂は、The Dow Chemical Companyから入手可能な市販製品である。
【0135】
4つのブロック複合材料(BC1、BC2、BC3、BC4)は、The Dow Chemical Companyによって作製された(例えば、US8,802,774を参照されたい)。B1~BC4の各々は、独立して、オレフィン系ポリマー組成物(1つ以上のオレフィン系ポリマーを≧98重量%含む)であり、その組成物は、全体として、50重量%または過半量の重合オレフィンを含む。
【0136】
代表的な重合
BC2は、2つの反応器を直列に接続した表1Bの反応条件で調製した(ループとそれに続くCSTR)。触媒は([[rel-2’、2’’’-[(1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-5-メチル[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチル-ハフニウム)であった。共触媒-1は、長鎖トリアルキルアミン(Akzo Nobel,Inc.から入手可能なArmeen(商標)M2HT)の反応によって調製されたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14-18アルキル)アンモニウム塩と、HClと、米国特許第5,919,983号の実施例2に実質的に開示されているLi[B(C6F5)4](Boulder Scientificから購入し、さらに精製することなく使用した)と、の混合物である。共触媒-2は、Akzo Nobelから購入し、さらに精製することなく使用した、修飾メチルアルモキサン(MMAO)であった。「DEZ」は、鎖シャトリング剤であるジエチル亜鉛を指している。BC1、BC2、BC3、およびBC4の測定された特性を表2に提供する。
【表2】
【表3】
【0137】
カラム調製およびCIの決定
カラムを充填するためのハードウェア-本発明の方法および比較方法のCI測定およびAPMのためのCEFおよびTREF
ステンレス鋼カラム、フリット、カラムの末端継手は、Agilent
Technologies(以前はPolymerLab Inc.)から得た。Agilent Model1100液体クロマトグラフィーポンプを、スラリー充填方法のために使用した。TCB(1,2,4-トリクロロベンゼン)はスラリー媒体であった。スラリー充填リザーバは、Valco末端継手を有する「0.46cm」内径のステンレス鋼管材料から構成された。リザーバは長さ100mmであった。標準的な外径1/4”のチューブユニオンを使用して、充填リザーバを空の分析カラムに接続した。
【0138】
カラムを充填するための方法論(本発明および比較)CEFおよびTREF
CEFおよびTREFで使用するためのカラムは、以下のものを含んでいた:
1.流量および温度の標準作動条件での低い背圧、突然変化する条件からの衝撃に対する低い感受性、ならびにチャネルおよび空隙空間の欠如を含む、良好な質量移動特性を示す充填カラム。
【0139】
充填カラムは、成分の解像度に関する動的冷却の影響についての研究を可能にするのに十分な内部液体体積を有する。動的冷却は、CEFの冷却プロセス中に緩徐な流動を使用するプロセスであった(Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007))。カラムを調製する2つの方法論は:(1)カラムをタップすることによって、添加された材料を定着させる、タップアンドフィル法、または電気振動ツールを使用することによる、乾燥充填、および(2)基質の懸濁液またはスラリーを使用し、そのスラリーが、流動条件下で、カラム中にポンピングされる、スラリー充填法(Striegel,Yau,et al.,Modern Size Exclusion Liquid Chromatography,Wiley,the 2nd edition,Chapter 6)を使用した。
【0140】
乾燥充填アプローチである単純なタップアンドフィル法の場合、カラムは垂直に懸濁させた。カラムをタップまたは振動させて、基質を定着させながら、漏斗を通して小さな増分で充填材料を添加した。充填材料がカラムの末端と同じ高さになったとき、末端継手を追加し、カラムを締めた。使用前にカラムを条件付けすること、および定着用ベッドまたは空隙を点検することは、標準慣行であった。空隙が見出された場合、さらに充填材料を添加して、カラムの末端と同じ高さにした。
【0141】
スラリー充填方法の場合、基質材料(一般に充填材料とも称される)は、空のカラムおよびリザーバに乾燥添加した。次いで、リザーバ、および末端継手を有するカラムを組み立て、Agilentポンプに接続した。空気がカラムから置換されるまで、TCB(1,2,4-トリクロロベンゼン)を、リザーバを通して1mL/分の流量で上向きにポンピングした。流動を瞬間的に止め、次いで、カラムおよびリザーバを順流位置に反転させた。TCBを、カラムを通して2~5mL/分で、少なくとも20分間、またはシステム圧力が2500PSIGに達するまでポンピングした。カラムを充填リザーバから接続解除し、カラムの末端のあらゆる過剰な充填材料を平刃スクレーパによって除去して、管材料の末端との均一な高さを提供した。末端継手を定位置に締め、カラムを条件付けのために準備した。
【0142】
本発明の方法および比較方法のCI測定およびAPMのためのカラム条件付け(比較および本発明)CEFおよびTREF
新たに充填したカラムをCEFまたはTREFクロマトグラフ中に設置し、流量を室温で0.1mL/分に確立した。材料、およびそれがいかに効率的に充填されるかに応じて、この点での背圧は、通常は2~20バールであった。流量は、段階的に0.1mL/分で増加させ、各増加の間で圧力を安定化させることを可能にし、最大0.7または1.0mL/分のいずれかまで増加させた。カラム温度は、60℃まで上昇させ、次いで、線形温度勾配を使用して、流動下、カラムを10℃/分で140℃まで加熱した。この最終温度を20分間保持し、次いで、カラムを10℃/分で100℃まで冷却し、試験のために準備した。
【0143】
WildのTREFのためのカラム充填および結晶化ステップ(支持材料を除いて、比較および本発明の両方について同じ)
この実験に使用されるカラムは、ステンレス鋼製であり、Valcoの1”の直径のフリット、放射状分配器、および末端フェトリングでキャップされた、「5インチ×1インチ(長さ/幅)」のものであった。末端継手を、1/16”のValcoステンレス鋼フェルールおよびナットに接続した。充填材料は、CHROMOSORB(商標)PNAW固相支持体であり、60~80のメッシュサイズ範囲で受容され、70メッシュの篩を通して選別されて、微粉を除去したため、支持体は公称70~80メッシュであった。
【0144】
1つの5”の長さの1”のODステンレス鋼(SS)管材料を洗浄し、続いて、最終アセトン濯ぎを行い、空気乾燥させた。管の各末端には、末端継手保持ナットおよびフェルールを設置した。一端には、順番に、放射状分配プレート、続いてフリットフィルターディスクを含有する末端継手を置き、バイスおよびレンチを使用して末端継手を締めた。カラム充填CHROMOSORB PNAW60/80メッシュ(非酸洗浄した)(上記のように分別)を、使い捨てパン内へと秤量(24グラム)した。
【0145】
末端継手が底部になるように、カラムセットを垂直にクランプした。第2の5”の長さの1”の管材料を、1インチの接合管を使用してカラムの頂部に追加した。充填材料(24グラム)(CHROMOSORB PNAW60/80 MESH(非酸洗浄した)(上記のように分別した)も添加した。真空ライン(約-20インチのHg)を元の下部末端継手に接続したが、真空はまだ適用しなかった。開口1”管にアセトン(20mL)を添加し、プラグを有する末端継手を、開口管上に置いた。接合した管を、数回穏やかに振盪することによって反転させて、充填物およびアセトンを分散させ、管を元の垂直位置に戻して置いた。頂部末端継手を取り除き、真空源を開け、上記の真空を使用してアセトンを好適な受容器中へと引いた。小体積(1~2ml)のアセトンを、開口した頂部管に添加して、壁を濯ぎ、充填物の定着を助けた。液体が充填レベルよりも下に沈み、全ての充填物がベッド中へと定着したとき、真空源を切り、接続解除してから、下部末端継手中のプラグを交換した。カラム接合管を所定の位置に保持して、保持ナットを慎重に外し、2つのカラムを分離させた。平刃スパチュラで、あらゆる過剰な充填物を削り取り、管末端に充填物の平坦な表面を残した。残りの清潔な組み立てられた末端継手を、カラム上に置き、両方の末端継手をレンチで締めた。充填カラムをHPLCポンプに接続し、出口ラインはカラムから廃棄物受容器までであった。カラムを漏出について観察し、必要に応じて末端継手を再度締めながら、約0.5mL/分のTCBを、流量を20分間かけて4.0mL/分まで徐々に上昇させて、カラムを通してポンピングした。これで、カラムの使用準備が整った。
【0146】
WildのTREFのための試料(ポリマー溶液)充填(比較および本発明)
試料をカラム上に充填する前に、ポリマー溶液を、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中0.5重量%で、160℃において2時間調製した。カラムを油浴中130℃まで加熱した。真空ラインを使用して、約20mLの熱いTCBをカラムを通して引いて、試料移動ラインを加熱した。次いで、真空を使用して、20mLの試料溶液をカラムを通して引き、続いて、2mLの熱いTCBを引いて、ラインをクリアにした。
【0147】
CI測定のCEFおよびTREFの支持材料の特性
GL0191B6/125AWの部品番号を有する125ミクロンのガラスビーズを、MO-SCI Specialty Products(4040 HyPoint North,Rolla,MO65401 USA)から購入した。MO-SCI Specialty Productsによると、粒径は125μm±6%であり、球状パーセンテージは≧90%であった。
【0148】
8~12ミクロンの粒径D50を有する、ソーダ石灰、固体ガラス微小球粒子(カタログ番号 P 2015SL)を、Cospheric LLC(Santa Barbara,CA,USA)から購入した。
【0149】
それぞれ粒径23~27ミクロンを有する固体ガラス粒子を、Cospheric LLC(Santa Barbara,CA,USA)から購入した。明記されたサイズ範囲内の粒子は、>90%と報告され、それは、粒子の90%超が、各グレードに関するそれぞれの直径サイズに入ることを意味している。
【0150】
金でコーティングされたニッケル粒子は、D50が10.5ミクロン、D10が8.5ミクロン、D90が13.4ミクロンであった。金でコーティングされたニッケル粒子は、Oerlikon Metco(Canada)Inc.およびNippon Chemical Industrial Companyから購入した。製造元から報告された比表面積は、Nippon Chemical Industrial Companyからの金コーティングニッケルで0.08m/gであった。
【0151】
表3は、本発明の方法および比較方法で使用される支持材料の特徴を示している。銅粒子(平均粒径D50 10ミクロン)は、Alfa Aesarから購入した。
【表4】
【0152】
クロマトグラフィー分析-本発明方法のアモルファスピーク測定(APM)
表4は、APM分析を実施するカラムを充填するために使用した異なる支持材料のCIを示している。測定は、結晶化溶出分別(CEF)を使用して実施した(上記を参照されたい)。検出器オーブン中のIR-5検出器の直前に、10cm(長さ)×1/4”(ID)のステンレス鋼に20~27ミクロンのガラス(MoSCi Corporation,USA)で充填したガードカラムを設置した。温度プロファイルは、次のとおりである:105℃から30℃に3℃/分で結晶化、30℃で2分間の熱平衡(2分に設定した「可溶性画分溶出時間」を含む)、および30℃から140℃まで3℃/分で溶出。結晶化中の流量は、0.00ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1つのデータ点/秒で収集した。
【0153】
カラムは、15cm(長さ)×1/4”(ID)のステンレス管材料中金コーティングニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS,Nippon Chemical Industrial Co.)で充填した。カラムの充填および条件付けは、スラリー法で行った。TCBスラリーパッキンの最終圧力は、150バールであった。
【0154】
カラム温度較正は、標準物質の線状ホモポリマーポリエチレン(コモノマー含有量がゼロ、メルトインデックス(I)が1.0、多分散度M/Mがゲル浸透クロマトグラフィー(1.0mg/ml)で約2.6)と、ODCB中EICOSANE(1mg/ml)との混合物を使用することによって実施した。温度較正は、4つのステップ:(1)EICOSANEの測定されたピーク溶出温度マイナス30.0℃の間の温度オフセットとして定義される遅延体積を計算するステップと、(2)APM生温度データから溶出温度の温度オフセットを減算するステップであって、この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい、減算するステップと、(3)線状ホモポリマーポリエチレ標準が101.0℃でピーク温度を有し、EICOSANEが30.0℃のピーク温度を有するように、30.0℃~140.0℃の範囲にわたる溶出温度を変換する、線形較正線を作成するステップと、(4)30℃で等温的に測定される可溶性画分の場合、30.0℃未満の溶出温度は、参考文献(Cerk and CongらによるUS9,688,795)に従って、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって、線形外挿するステップと、からなる。
【0155】
SM-1を使用するAPMのコモノマー含有量対溶出温度は、12個の標準物質(エチレンホモポリマーおよびシングルサイト(CGC)触媒で作製されたエチレン-オクテンランダムコポリマー、35,000~128,000の範囲のエチレン当量平均分子量を有する)を使用して構築された。これらの標準物質は全て、4mg/mLで以前に指定したものと同じ方式で分析した。報告された溶出ピーク温度は、0.978のRにおけるオクテンモル%対APMの溶出温度の図3における相関に従った。
【表5】
【0156】
アモルファス画分の計算は、以下のステップを含む。
(1)APMによってクロマトグラムを得るステップであって、それは「dW/dT対溶出温度」を示し、dW/dTは、温度Tで溶出するポリマーの重量分率(W)である、APMによってクロマトグラムを得るステップ。
(2)クロマトグラム全体(最初の溶出ピークおよび溶出ピーク(単数または複数)の残りを含む)の直線ベースラインを描画するステップであって、ラインの始点は、全ての溶出ピーク(第1の溶出ピークを含む)の前に、濃度検出器信号の平坦な領域に落ち、ラインの終点は、全ての溶出ピークの後、濃度検出器信号の平坦な領域に落ちる、直線ベースラインを描画するステップ。
(3)溶出温度範囲全体のために「ベースライン減算クロマトグラム」を積分するステップ。温度積分の上限は、ピークが平坦なベースライン領域(エチレン系ポリマーの場合は約120℃、プロピレン系ポリマーの場合は約150℃)に落ちるときに、目に見える違いに基づいて確立される。積分下限は、ベースラインと、第1の溶出ピークを含むクロマトグラムとの交点に基づいて確立される。
(4)第1の溶出ピークに関する溶出上限を決定するステップ。それは、第1の溶出ピークの直後であるが、残りの溶出ピーク(複数可)の前に、直線のベースラインが、平坦な領域または濃度検出器信号の最小値に落ちる交差点を表している。溶出時間または溶出体積の代わりに、溶出温度に関してクロマトグラムを処理すると、第1の溶出ピークに関する溶出上限は、アモルファス成分Tアモルファスに関する溶出温度の谷であり、Tアモルファスは、アモルファス成分のピーク(第1の溶出ピーク)が、残りの溶出ピーク(複数可)の前に、最小値において、ベースラインに戻るか、またはベースラインにほぼ戻る溶出温度として定義される。APMクロマトグラムから、Tアモルファスは、低い積分限界と、40℃との間のピーク谷での溶出温度である(例えば、図4を参照されたい)。
(5)アモルファスピークのピーク面積(%)を計算するステップ(「GPCOne」software(PolymerChar,Spain))。
(6)以下のようにアモルファスピークの重量分率を計算するステップ(「GPCOne」software(PolymerChar,Spain)):
【数7】
【0157】
比較方法のアモルファスピーク測定(APM)
比較方法のAPMでは、パッキング材料を除いて、全く同じ実験パラメーターおよび条件を使用する。
【0158】
キシレン可溶性(XS)分別分析(ASTMD5492-17)
秤量した量の樹脂(ASTMD5492-17に従った表1B「試料サイズ」)を、還流条件下で200mlのo-キシレンに溶解した。次いで、その溶液を、温度制御された水浴中で60分間25℃に冷却して、キシレン不溶性(XI)画分を結晶化させた。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から析出すると、キシレン不溶性画分(XI)からのキシレン可溶性(XS)画分の分離を、濾紙による濾過によって行った。キシレン溶液中の残りのo-キシレンを、濾液から蒸発させ、ASTMD5492-17に従って乾燥させた。
【0159】
「アモルファス画分の重量%」を決定するための上記試験方法の比較
金でコーティングされたニッケル粒子(SM-1、Bright 7GNM8-NiS)、およびガラスビーズの比較材料(SM-A、PL2015、8.5~12ミクロンの平均粒子直径D50)を使用して、ブロック複合材料の各々(BC1、BC2、BC3、およびBC4)のアモルファス画分%を測定した。ASTMD5492-17に従って測定されたキシレン可溶性画分を表5に示す。金でコーティングされたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS)を使用する本発明の方法は、ASTMD5492-17を使用して得られたものと等しいか、または非常に近いアモルファス画分重量%を導き、比較材料は、ASTMD5492-17によるXS%とは相関していないアモルファス画分%を与えた。本発明材料の独特の表面特性に起因して、ポリマー鎖の結晶化プロセスが促進され、したがって、30℃で溶液中に残っているアモルファス画分が正確に測定される。これにより、周囲温度以下を使用する必要がなくなり、または低温で長時間使用して、特に比較的高いコモノマー含有量のポリオレフィン鎖の結晶化を促進する必要がなくなる。加えて、本発明の方法は、試験を実施するために市販の機器を使用した。試料の溶解はオートサンプラーで調製した。試験(溶解時間を除く)は63分であったが、ASTMD5492-17では、オペレーターが各ステップを実施するたびに、試料ごとに少なくとも6時間かかる。CIの低い支持材料は結晶化を促進することから、APM分析のために加熱および冷却速度をさらに上げることができる。図5に示すように、冷却および加熱速度、等温溶出のための時間(可溶性画分溶出時間)、カラムサイズ、および流量を最適化することによって、分析をさらに短縮することができる。オンラインのIR-5検出器を使用すると、2つのチャネル信号を使用することによって化学組成(エチレン含有量%)を容易に得ることができる(Lee,et al,,Analytical chemistry,2014,86,8649)。オレフィン系ポリマーが有意量(例えば、2重量%を超える充填剤、充填剤の重量を充填剤とポリマーとの総重量で割ったもの)の充填剤とブレンドされている場合、APM測定の前に試料溶液を濾過することによって充填剤を除去することは任意選択である。
【表6】
図1
図2
図3
図4
図5