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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】耐熱シリコーン樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/10 20060101AFI20231117BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20231117BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20231117BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C08L83/10
C08K3/22
C08K5/5415
C08K3/36
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021138058
(22)【出願日】2021-08-26
(62)【分割の表示】P 2019097677の分割
【原出願日】2015-06-10
(65)【公開番号】P2021193185
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】14/329,884
(32)【優先日】2014-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】チャオイン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ピー・ノワク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・イー・シャープ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・イー・フレンチ
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-045655(JP,A)
【文献】特開昭63-086751(JP,A)
【文献】特開平07-292254(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103467993(CN,A)
【文献】特開昭60-008361(JP,A)
【文献】特開平07-258550(JP,A)
【文献】特開昭52-002439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 3/00-13/08
C09J
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 式(II)
【化1】
(式中、
R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から選択され、Xは、
【化2】
(式中、R55およびR56は、それぞれ独立して、メチル、プロポキシ、ブトキシ、およびフェニルからなる群から選択される。)から選択され、tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲であり、t、yおよびzの値は、500cStから10,000cStの範囲の粘度を有する式(II)の化合物をもたらす。)
の少なくとも1つの改質シリコーン樹脂と、
B) エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートから選択される少なくとも1つのシリケートと、
C) 1ナノメートルから5マイクロメートルの範囲の粒径を有するFe2O3および/またはTiO2と、
D) ジブチルチンジラウラート、トリス(ジメチルアミノ)メチルシランおよびエチルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つである、少なくとも1つの硬化剤と、
E) 酸化セリウム、酸化亜鉛、および酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む少なくとも1つの金属酸化物粒子
を含む、エラストマー配合物であって、
前記Fe2O3および/またはTiO2が、エラストマー配合物の総質量に基づいて、33重量パーセントから80重量パーセントの範囲の量で存在し、
シリコーン樹脂として前記少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂のみを含む、エラストマー配合物。
【請求項2】
前記式(II)の改質シリコーン樹脂において、tは1から3の範囲であり、yは1から100の範囲であり、zは10から500の範囲である、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項3】
式(II)の前記少なくとも1つの改質シリコーン樹脂が、樹脂(1)及び(2)
【表1】
(式中、tは1から3の範囲であり、yは1から100の範囲であり、zは10から500の範囲である。)
からなる群から選択される、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項4】
tとyの比が1:1から1:200の範囲である、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項5】
エラストマー配合物の総質量に基づいて、
前記Fe2O3および/またはTiO2が、33重量パーセントから80重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記少なくとも1つの硬化剤が、0.10重量パーセントから10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項6】
以下
【表2】
(ここで、樹脂(1)及び樹脂(2)は、
【表3】
である。)の配合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項7】
以下
【表4】
(ここで、樹脂(1)及び樹脂(2)は、
【表5】
である。)の配合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項8】
少なくとも1つのシリカをさらに含む、請求項1に記載のエラストマー配合物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのシリカが、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のエラストマー配合物。
【請求項10】
エラストマー配合物の総質量に基づいて、
前記Fe2O3および/またはTiO2が、33重量パーセントから80重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記少なくとも1つのシリカが、0重量パーセント超から20重量パーセントの範囲の量で存在し、
少なくとも1つの硬化剤が、0.10重量パーセントから10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項8に記載のエラストマー配合物。
【請求項11】
エラストマー配合物の総質量に基づいて、
前記Fe2O3および/またはTiO2が、33重量パーセントから80重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記少なくとも1つのシリケートが、0重量パーセント超から25重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記少なくとも1つのシリカが、0重量パーセント超から20重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記少なくとも1つの硬化剤が、0.10重量パーセントから10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項8又は9に記載のエラストマー配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、高耐熱シリコーン樹脂のための方法および配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
極端な熱環境で機能するエラストマーが絶対的に必要とされている。シリコーンポリマーは、その固有の熱安定性および酸化安定性のためにエラストマーの群を代表するものである。シルフェニレンシロキサンポリマーは、高温で安定であることが知られている。これは、部分的には、シロキサンの再分布反応を妨げる剛直なシルフェニレン部分の存在による。シルフェニレンシロキサンポリマーは、過去数十年間にわたり、いくつかの研究グループによって合成および評価されてきた(例えば、Dvornic, P.R.; Lenz, R.W.High-Temperature Siloxane Elastomers; Huethig & Wepf Verlag: New York, 1990を参照)。
【0003】
例えば、HundleyおよびPatterson(N.H.Hundley and W.J.Patterson, 「Formulation/Cure Technology for Ultra-High Molecular Weight Siphenylene-Siloxane Polymers」 NASA Technical Paper 2476 (1985))は、下に示す式
【化1】
を有するシルフェニレン-シロキサン(SPS)ポリマーのある特定の誘導体を研究した。
【0004】
これらのポリマーおよび関連するカルボラン誘導体の使用において、主要な障害は、これらが容易には加硫されず、硬化しないことである。HundleyおよびPattersonは、SPSポリマーの誘導体を調製し、ここで、ビニル基置換基はメチル置換基を置換し、下に示す式
【化2】
の改質SPSポリマーを与えた。
【0005】
このようなSPSポリマー誘導体にビニル置換基を含むことで、加硫による硬化が著しく改善した。重要なことには、このようなSPSポリマー誘導体は、現存する市販のシリコーン樹脂ポリマー配合物よりも改善された熱安定性および酸化安定性を示した。しかし、いずれのエラストマー配合物も、288℃に16時間暴露後、機械的特性が大きく低下した(Id.はp.10)。
【0006】
MacKnightおよび協力者(U.Lauter et al.「Vinyl-Substituted Silphenylene Siloxane Copolymers: Novel High-Temperature Elastomers」 Macromolecules 32, 3426-3431 (1999))は、下に示す1つの例示的な式
【化3】
で表される、30~70パーセントがビニル置換されたSPSポリマー配合物を調製および研究した。
【0007】
これらの誘導体は、先の配合物よりも高い熱安定性を示したが、これらの材料が耐火性エラストマーとして可能性のある用途の高温限界は約230℃に及ぶ。
【0008】
HomrighausenおよびKeller(C.L.Homrighausen and T.M.Keller, 「High-Temperature Elastomers from Silarylene-Siloxane- Diacetylene Linear Polymers,」 J.Polym.Sci.Part A: Polym.Chem.40:88-94 (2002))は、下に示す式
【化4】
(式中、n=1~3)を有する直鎖状シルアリーレン-シロキサン-ジアセチレンポリマーを調製して特徴を調べた。鎖の一部として、または懸垂官能基として加硫可能なアセチレン部分を含むポリマーは、当技術分野において周知である。ほとんどの場合において、アセチレン基を取り込むと、それぞれのポリマーの熱安定性は改善する。熱安定性の向上は、架橋材料の生成によると考えられる。しかし、これらのポリマーをベースとするエラストマーは、熱重量分析(TGA、Id.)により求められるように、空気中、約330℃までの温度で、2~3時間後には著しい減量を示し始めた。
【0009】
別の化合物には、置換基としてリンを有する化合物、例えば以下が含まれる。
【0010】
【表1】
【0011】
これらの化学種を含むエラストマーのポリマーの大部分も熱劣化に敏感である。例えば、表の1番目の構造(CAS 1342156-21-1)は、ポリエステル樹脂の調製に用いられたが、それらの分解温度(5%減量、T5%)はすべて300℃未満であるため、このような温度での長期使用にはこれらは不適当である。
【0012】
室温加硫(room temperature vulcanized)60(「RTV60」)がよい例となるような市販のシリコーンベースのエラストマー材料は、動作温度(例えば、316℃)で分解するにつれて、比較的短い寿命(例えば、数百時間)の間にその機械的特性を失う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Dvornic, P.R.; Lenz, R.W.High-Temperature Siloxane Elastomers; Huethig & Wepf Verlag: New York, 1990
【文献】N.H.Hundley and W.J.Patterson, 「Formulation/Cure Technology for Ultra-High Molecular Weight Siphenylene-Siloxane Polymers」 NASA Technical Paper 2476 (1985)
【文献】U.Lauter et al.「Vinyl-Substituted Silphenylene Siloxane Copolymers: Novel High-Temperature Elastomers」 Macromolecules 32, 3426-3431 (1999)
【文献】C.L.Homrighausen and T.M.Keller, 「High-Temperature Elastomers from Silarylene-Siloxane- Diacetylene Linear Polymers,」 J.Polym.Sci.Part A: Polym.Chem.40:88-94 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、高温において長期にわたり、改善された温度安定性、寿命および堅牢な機械的性能を有するエラストマー材料が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の点に関して、式(II)の改質シリコーン樹脂が開示される。式(II)は、以下の各サブユニット
【化5】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、Xは、アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンからなる群から選択される。tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲である。
【0017】
第2の点に関して、エラストマー配合物が開示される。エラストマー配合物は、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、ここで、式(II)は、以下の各サブユニット
【化6】
のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、Xは、アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンからなる群から選択され、tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲である。また、エラストマー配合物は、少なくとも1つの金属酸化物および少なくとも1つの硬化剤を含む。
【0019】
これらの、およびその他の特徴、目的ならびに利点は、以下の説明から、より理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これから組成物および方法を以下でさらに詳しく説明する。これらの実施形態は説明のために、また、特許請求の範囲およびその均等物により定義されているように当業者が特許請求の範囲を作成および使用できるよう、特許請求の範囲を実施するための最良の形態の開示と共に、十分に詳細に記載して提供されている。
【0021】
同じく、前述の説明に提示されている教示の利益を有する、本明細書に記述される方法の変更形態およびその他の実施形態が、当業者には想起されるであろう。したがって、本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、変更形態およびその他の実施形態は、添付された特許請求の範囲内に含まれるものであると理解されるべきである。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは一般的な意味および記述的な意味でのみ使用されており、限定するために使用されているのではない。
【0022】
他に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、当業者に一般に理解されるような同じ意味を有する。本明細書に記述される方法および材料と類似の、または等価な任意の方法および材料を、特許請求の範囲に記載の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および材料は、本明細書に記述されている。
【0023】
さらに、文脈により、ただ1つの要素が存在することが明確に要求されていない限り、不定冠詞「a」または「an」による要素への言及によって、1つを超える要素が存在する可能性は排除されない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0024】
用語「約」は、記載の濃度、長さ、分子量、pH、時間枠、温度、圧力または体積など、値の統計的に有意な範囲内を意味する。このような値または範囲は、所与の値または範囲の1桁以内、典型的には20%以内、より典型的には10%以内、さらにより典型的には5%以内であることができる。「約」によって許容され、包含される変形形態は、検討中の特定のシステムに依存することになる。
【0025】
略記「Ph」、「Pr」および「Bu」は、それぞれ、フェニル、プロピルおよびブチルを指す。
【0026】
用語「置換基(substituent)」、「基(radical)」、「基(group)」、「部分(moiety)」および「断片(fragment)」は、同義で用いられてもよい。
【0027】
置換基内の炭素原子の数は、接頭語「CA-B」(式中、Aは置換基内の最小の炭素原子数、Bは置換基内の最大の炭素原子数。)により示すことができる。
【0028】
用語「アルキル」は、1個から約15個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の非環状アルキル基を包含する。いくつかの実施形態において、アルキルは、C1-10アルキル基、C1-6アルキル基またはC1-3アルキル基である。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンタン-3-イル(すなわち、
【化7】
)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する非環状不飽和炭化水素基を指す。このようなアルケニル基は、2個から約15個の炭素原子を含む。アルケニルの非限定的な例には、エテニル(ビニル)、プロペニルおよびブテニルが含まれる。
【0030】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有する非環状不飽和炭化水素基を指す。このようなアルキニル基は、2個から約15個の炭素原子を含む。アルキニルの非限定的な例には、エチニル、プロピニルおよびプロパルギルが含まれる。
【0031】
「を含む(comprise)」、「を有する(have)」および「を含む(include)」の動詞の形は、本明細書において用いられる同じ意味を有する。同じく、「を説明する(describe)」、「を開示する(disclose)」および「を提供する(provide)」の動詞の形は、本明細書において用いられる同じ意味を有する。
【0032】
用語「アリール」は、任意の単環式、二環式または三環式の環化炭素基を指し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族である。芳香族基は、非芳香族のシクロアルキル基またはヘテロシクリル基に縮合されてもよい。アリールの例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0033】
用語「アリーレン」は、環の2個の炭素原子からそれぞれ水素原子を除くことにより、芳香族炭化水素から誘導される二価の基を指す(フェニレンとして)。
【0034】
用語「遷移金属」は、その複数形も含めて、周期表のdブロックの任意の元素を指す。遷移金属の例示的な元素には、21から30、39から48、71から80、および103から112の原子番号を有する元素が含まれる。
【0035】
用語「金属酸化物」は、金属-酸素結合を有する化合物を指し、ここで、酸素は-2の酸化数を有する。例示的な金属酸化物には、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化銀、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化クロム(VI)、酸化チタン(IV)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化亜鉛および酸化ジルコニウムが含まれる。
【0036】
用語「無機酸化物」は、非炭素元素と酸素との間で生成される化合物を指す。例示的な無機酸化物には、金属酸化物、とりわけ、酸化ケイ素、酸化リンおよび酸化ホウ素が含まれる。
【0037】
用語「シリカ」は、実質的に二酸化ケイ素からなり、式SiO2を含む化合物を指す。
【0038】
用語「シリケート」は、アニオン性ケイ素化合物を含む化合物を指す。例示的なシリケートには、とりわけ、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートが含まれる。
【0039】
用語「シルセスキオキサン」は、実験化学式RSiO3/2を有する有機ケイ素化合物を指し、式中、Siは元素のケイ素、Oは酸素、Rは、例えば、水素、アルキル基、アルケン基、アリール基またはアリーレン基である。用語「シルセスキオキサン」は、単位によって、Tnケージで示されるn個の単位のケージが形成されるかご型構造、上述のケージが形成されているが、ケージ内のすべての単位が完全には結合していない部分的にケージ化された構造、RSiO3/2単位から構成される2つの長鎖がSi-O-Si結合によって一定の間隔で結合しているはしご型構造、整った構造は全く形成されていない、RSiO3/2単位結合を含むランダム構造を含む。
【0040】
用語「部分的にケージ化されたシルセスキオキサン」は、次の一般式
【化8】
を有する基を表す。
【0041】
用語「化合物」、「樹脂化合物」および「改質シリコーン樹脂」は同義で用いられ、式(I)および(II)を参照するとき、同じ意味を有する。
【0042】
語句「ニートの配合物」は、指定の成分の定義された組成物からなる配合物を指し、ここで、定義された組成物の指定の成分の総量は、合計で100重量パーセントになる。配合物は、指定の成分の定義された組成物を含むことができて、ここで、定義された組成物の指定の成分の総量は合計で100重量パーセント未満になり、配合物の残りの部分は他の成分を含み、ここで、定義された組成物の指定の成分の総量および残りの部分が合計で100重量パーセントになるため、すべての配合物が「ニートの配合物」ではないことを当業者は理解されよう。本明細書に開示されるエラストマー配合物は、合計で指定の成分および他の成分の総量の100重量パーセントになる。
【0043】
本明細書に記述される化学構造は、IUPAC命名法にしたがって名前がつけられ、適切な場合には、技術分野で受け入れられている一般名および略記を含む。IUPAC命名法は、ChemDraw(登録商標)(PerkinElmer, Inc.)、ChemDoodle(登録商標)(iChemLabs, LLC)およびMarvin(ChemAxon Ltd.)などの化学構造描画ソフトウェアプログラムを用いて得られる。IUPAC名が誤ってつけられている場合、あるいは、本明細書に開示される化学構造と矛盾する場合は、本開示においては化学構造が優先する。
【0044】
改質シリコーン樹脂
予想外に優れた耐熱性および高温(例えば、316℃)でエラストマーとして長寿命の動作特性を備える新規の改質シリコーン樹脂ならびにその調製および用途のための方法が開示される。樹脂は、ベンゼン、リンまたは他の化学種をシリコーン主鎖または側鎖内に取り込み、改質シリコーン樹脂を生成する。樹脂を使用して、(例えば、316℃を超える)高温の用途向けに改善された耐熱性を有するエラストマー配合物を調製することができる。
【0045】
以下の詳細の通り、新規の改質シリコーン樹脂は、エラストマー樹脂の高温用途において、先行技術のシリコーンベースのポリマーよりも多くの利点がある。第1に、樹脂は、実証可能な改善された熱性能を有する。第2に、調整可能な樹脂を制御された所望の分子量または粘度で生成することが可能で、それによって、他の成分との配合物中でそれらの樹脂を使用できる。第3に、α,ω-ヒドロキシル末端基が一般的な硬化技術(例えば、ジブチルチンジラウラート、ジブチルチンオクトアートなどを用いる縮合硬化)により容易に重合されるように、α,ω-ヒドロキシル末端基をシロキサン樹脂の末端基として生成することができる。第4に、多様な構造的選択肢があるさまざまな反応を利用して、さまざまなタイプのシリコーンの変更形態および材料配合物を生成することができる。第5に、開示される樹脂は、熱的に弱い断片を除去し、予想外に優れた堅牢な機械的特性および熱特性を示す。新規の改質シリコーン樹脂およびそれを対象とする方法のこれらの、および他の特徴を以下でさらに詳しく説明する。
【0046】
第1の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が記述され、
【化9】
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、nは1から10の範囲であり、mは1から200の範囲であり、pは2から1,000の範囲である。
【0047】
いくつかの態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂は、上記よりも狭いn、mおよびpの範囲を含み、式中、nは1から3の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0048】
特定の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。特定の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。)特定の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択されるR1、R2およびR3を特定する。前述の態様それぞれにおいて、改質シリコーン樹脂は、狭いn、mおよびpの範囲を含み、式中、nは1から3の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0049】
1つの態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が提供され、式中、n、mおよびpの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する式(I)の化合物を提供するものである。
【0050】
1つの態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が提供され、ここで、nとmの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0051】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が提供され、式中、nは1から5の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは2から500の範囲である。別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が提供され、式中、nは1から3の範囲であり、mは5から10の範囲であり、pは2から100の範囲である。別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂が提供され、式中、nは1から10の範囲であり、mは5から100の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0052】
式(I)の改質シリコーン樹脂の実施例を表Iに一覧にした。式中、n、mおよびpの値は上述の通りである。
【0053】
【表2】
【0054】
別の態様において、組成物(a)~(c)のうちの1つを有する式(II)の改質シリコーン樹脂が記述される:
(a)以下の各サブユニット
【化10】
のうちの少なくとも1つを含む式(II)の組成物、
(b)以下
【化11】
を含む式(II)の組成物、または、
(c)
【化12】
を有機溶媒の存在下で接触させるステップを含む工程により生成される式(II)の組成物(式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、Xは、アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンからなる群から選択され、式(II)の組成物(a)または(b)において、tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲である。)
【0055】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0056】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂が記述され、式中、tは1から3の範囲であり、yは5から10の範囲であり、zは1から100の範囲である。
【0057】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂が記述され、ここで、tとyの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0058】
アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンの式(II)の例示的な置換基Xを下表IIに示す。
【0059】
【表3】
【0060】
それに応じて、式(II)の例示的な改質シリコーン樹脂を表IIIに一覧にした。
【0061】
【表4】
【0062】
式(I)および/または式(II)の改質シリコーン樹脂は、それらの分子構造/組成については紫外-可視分光法(UV-Vis)、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)および元素分析により、それらの分子量についてはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、それらの粘度については粘度計またはレオメーターにより特徴づけることができる。
【0063】
本明細書において用いられる改質シリコーン樹脂は、樹脂の主鎖または側鎖の少なくとも1つの構成成分がリン基(式(I)中)または「X」部分(式(II)中)で置換された樹脂を表す。記載された主題をいかなる特定の理論によっても制限することなく、これらの構造単位は、シロキサン材料の高温での劣化機構を阻害すると予想される。
【0064】
改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物
別の態様において、エラストマー配合物は、少なくとも1つの式(I)
【化13】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、nは1から10の範囲であり、mは1から200の範囲であり、pは2から1,000の範囲である。)の改質シリコーン樹脂と、任意選択で、少なくとも1つのシリケートと、任意選択で、少なくとも1つのシリカと、少なくとも1つの金属酸化物と、少なくとも1つの硬化剤とを含む。
【0065】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0066】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、R1、R2およびR3は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、R1、R2およびR3は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択される。前述のこれらの態様において、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0067】
nは1から10の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲である、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、少なくとも1つの改質シリコーン樹脂は、表Iから選択される化学種のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、少なくとも1つの金属酸化物は、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)および酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)のうちの少なくとも1つを含む。1つの態様において、少なくとも1つの金属酸化物は、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)および酸化チタン(例えば、TiO2)のうちの少なくとも1つを含む。
【0069】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、n、mおよびpの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する式(I)の化合物を提供する。
【0070】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、nとmの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0071】
少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物の1つの態様において、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0072】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、nは1から5の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは2から500の範囲である。別の態様において、エラストマー配合物は、式(I)の改質シリコーン樹脂を含み、式中、nは1から3の範囲であり、mは5から10の範囲であり、pは10から500の範囲である。
【0073】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、例えば、約1ナノメートルから約5マイクロメートル、約25ナノメートルから約2マイクロメートル、および/または約50ナノメートルから約500ナノメートルの範囲の粒子直径サイズを有することができる。
【0074】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートまたはブチルシリケートのうちの少なくとも1つである。
【0075】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つのシリカは、とりわけ、ヒュームドシリカ、官能化されたシリカにすることができる。
【0076】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、改質シリコーン樹脂は、表Iから選択される。
【0077】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、n、mおよびpの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を含む式(I)の化合物を提供する。
【0078】
別の態様において、エラストマー配合物は、式(I)の改質シリコーン樹脂を含み、ここで、nとmの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0079】
別の態様において、以下の組成物を含むエラストマー配合物が提供される:(a)約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在する式(I)の化合物、(b)約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの金属酸化物、(c)任意選択で、約0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリケート、(d)任意選択で、約0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリカ、(e)約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの硬化剤。
【0080】
別の態様において、組成物(a)~(c)のうちの1つを有する、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂と、
(a)以下の各サブユニット
【化14】
のうちの少なくとも1つを含む式(II)の組成物、
(b)以下
【化15】
を含む式(II)の組成物、または、
(c)
【化16】
を有機溶媒の存在下で接触させるステップを含む工程により生成される式(II)の組成物(式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、Xは、アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンからなる群から選択され、式(II)の組成物(a)または(b)において、tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲である。)、任意選択で、少なくとも1つのシリケートと、任意選択で、少なくとも1つのシリカと、少なくとも1つの金属酸化物と、少なくとも1つの硬化剤とを含むエラストマー配合物が記述される。
【0081】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0082】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、tは1から5の範囲であり、yは1から100の範囲であり、zは1から1000の範囲である。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、tは1から3の範囲であり、yは5から100の範囲であり、zは10から500の範囲である。
【0083】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、例えば、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)および酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)のうちの少なくとも1つから選択することができる。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)および酸化チタン(例えば、TiO2)のうちの少なくとも1つから選択される。
【0084】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、例えば、約1ナノメートルから約5マイクロメートル、約25ナノメートルから約2マイクロメートル、および/または約50ナノメートルから約500ナノメートルの範囲の粒子直径サイズを有することができる。
【0085】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、任意選択の少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートまたはブチルシリケートのうちの少なくとも1つである。
【0086】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、任意選択の少なくとも1つのシリカは、とりわけ、ヒュームドシリカ、官能化されたシリカにすることができる。
【0087】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、改質シリコーン樹脂は、表IIIから選択される。
【0088】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、t、yおよびzの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を含む式(II)の化合物を提供する。
【0089】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、nとmの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0090】
別の態様において、以下の組成物を含むエラストマー配合物が提供される:(a)約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在する式(II)の改質シリコーン樹脂、(b)約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの金属酸化物、(c)任意選択で、約0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリケート、(d)任意選択で、約0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリカ、(e)約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの硬化剤。
【0091】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物は、配合物No.109、No.110およびNo.116~124から選択される。
【0092】
【表5】
【0093】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートをさらに含むエラストマー配合物が記述される。少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含む。これらの態様において、式(II)のR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる第1の群、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる第2の群、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる第3の群、ならびにメチルおよびフェニルからなる第4の群から無関係に選択される。これらの態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂および少なくとも1つのシリケートを含むエラストマー配合物が提供され、式中、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0094】
別の態様において、メチルおよびフェニルからなる群からそれぞれ無関係に選択されるR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13を有する式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートをさらに含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリケートは、0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、約0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0095】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物は、配合物No.102、No.106、No.107、No.112~114、No.125およびNo.126から選択される。
【0096】
【表6】
【0097】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が記述され、さらに、少なくとも1つのシリカを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのシリカは、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む。これらの態様において、式(II)のR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる第1の群、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる第2の群、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる第3の群、ならびにメチルおよびフェニルからなる第4の群から無関係に選択される。これらの態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂および少なくとも1つのシリケートを含むエラストマー配合物が提供され、式中、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0098】
別の態様において、メチルおよびフェニルからなる群からそれぞれ無関係に選択されるR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13を有する式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのシリカをさらに含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0099】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、エラストマー配合物は、少なくとも1つのシリケートおよび少なくとも1つのシリカをさらに含む。
【0100】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートおよび少なくとも1つのシリカをさらに含むエラストマー配合物が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのシリカは、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む。
【0101】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、さらに、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのシリケート、およびヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのシリカを含むエラストマー配合物が記述され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリケートは、0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0102】
別の態様において、エラストマー配合物は、少なくとも1つの式(I)
【化17】
の改質シリコーン樹脂と、組成物(a)~(c)のうちの1つを有する、少なくとも1つの式(II)の改質シリコーン樹脂と、
(a)以下の各サブユニット
【化18】
のうちの少なくとも1つを含む式(II)の組成物、
(b)以下
【化19】
を含む式(II)の組成物、または、
(c)
【化20】
を有機溶媒の存在下で接触させるステップを含む工程により生成される式(II)の組成物(式中、R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、Xは、アリーレン、遷移金属、無機酸化物およびシルセスキオキサンからなる群から選択され、式(II)の組成物(a)または(b)において、tは1から10の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは1から1,000の範囲である。)、任意選択で、少なくとも1つのシリケートと、任意選択で、少なくとも1つのシリカと、少なくとも1つの金属酸化物と、少なくとも1つの硬化剤とを含む。
【0103】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0104】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0105】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、nは1から5の範囲であり、mは1から200の範囲であり、pは2から1000の範囲であり、式中、tは1から5の範囲であり、yは1から200の範囲であり、zは2から1000の範囲である。別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、nは1から3の範囲であり、mは1から100の範囲であり、pは10から500の範囲であり、式中、tは1から3の範囲であり、yは1から100の範囲であり、zは10から500の範囲である。別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、nは1から3の範囲であり、mは5から100の範囲であり、pは10から300の範囲であり、式中、tは1から3の範囲であり、yは5から100の範囲であり、zは10から300の範囲である。
【0106】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択される。
【0107】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる第1の群、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる第3の群からなる第2の群、ならびにメチルおよびフェニルからなる第3の群から無関係に選択される。式(I)および式(II)の両方が提供される態様において、式中、R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、式(II)のR12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0108】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0109】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、エラストマー配合物は、配合物No.108またはNo.111である。
【0110】
【表7】
【0111】
別の態様において、エラストマー配合物No.108またはNo.111が提供され、ここで、酸化鉄は、約0.5μmから約5μmの範囲の粒径を有するFe2O3を含み、硬化剤は、ジブチルチンジラウラート、トリス(ジメチルアミノ)メチルシランおよびエチルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つである。
【0112】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートをさらに含むエラストマー配合物が記述される。いくつかの態様において、少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含む。これらの態様において、式(I)のR1、R2、R3、ならびに式(II)のR6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群からなる第1の群、H、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニルおよびアリールからなる第2の群、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる第3の群、ならびにメチルおよびフェニルからなる第4の群から無関係に選択される。これらの態様において、式(I)のR1、R2、R3は、第1、第2、第3および第4の各群のそれぞれにおいて上述の通りであり、式(II)のR6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、式(II)のR12およびR13は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル、アセチレニル、ジアセチレニルおよびアリールからなる群から無関係に選択される。
【0113】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートをさらに含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリケートは、0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、約0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0114】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物は、配合物No.104またはNo.105から選択される。
【0115】
【表8】
【0116】
別の態様において、エラストマー配合物No.104またはNo.105が提供され、ここで、酸化鉄は、約0.5μmから約5μmの範囲の粒径を有するFe2O3を含み、硬化剤は、ジブチルチンジラウラート、トリス(ジメチルアミノ)メチルシランおよびエチルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つであり、ならびに、とりわけ、その組み合わせである。
【0117】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、エラストマー配合物は、少なくとも1つのシリカをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのシリカは、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む。
【0118】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのシリカをさらに含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0119】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、エラストマー配合物は、少なくとも1つのシリケートおよび少なくとも1つのシリカをさらに含む。
【0120】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、少なくとも1つのシリケートおよび少なくとも1つのシリカをさらに含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのシリカは、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む。
【0121】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含み、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートおよびブチルシリケートのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのシリケートをさらに含み、ヒュームドシリカおよび官能化されたシリカのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのシリカをさらに含むエラストマー配合物が記述され、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールからなる群から無関係に選択され、式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、メチルおよびフェニルからなる群から無関係に選択され、ここで、少なくとも1つの式(I)の改質シリコーン樹脂は、約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの金属酸化物は、約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリケートは、0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つのシリカは、0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在し、少なくとも1つの硬化剤は、約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する。
【0122】
別の態様において、エラストマー配合物No.115が記述される。
【0123】
【表9】
【0124】
別の態様において、配合物No.115が提供され、ここで、酸化鉄は、約0.5μmから約5μmの範囲の粒径を有するFe2O3を含み、硬化剤は、ジブチルチンジラウラート、トリス(ジメチルアミノ)メチルシランおよびエチルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つであり、ならびに、とりわけ、その組み合わせである。
【0125】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、例えば、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)および酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)のうちの少なくとも1つから選択することができる。別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)および酸化チタン(例えば、TiO2)のうちの少なくとも1つから選択される。
【0126】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つの金属酸化物は、例えば、約1ナノメートルから約5マイクロメートル、約25ナノメートルから約2マイクロメートル、および/または約50ナノメートルから約500ナノメートルの範囲の粒子直径サイズを有することができる。
【0127】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、少なくとも1つのシリケートは、エチルシリケート、メチルシリケート、イソプロピルシリケートまたはブチルシリケートのうちの少なくとも1つである。
【0128】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、任意選択の少なくとも1つのシリカは、とりわけ、ヒュームドシリカ、官能化されたシリカにすることができる。
【0129】
別の態様において、式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、ここで、式(I)の例示的な改質シリコーン樹脂を表Iに一覧にし、ここで、式(II)の例示的な改質シリコーン樹脂を表IIIに一覧にした。
【0130】
別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂と組み合わせた式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、式(I)のn、mおよびpの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する全体的な樹脂の組み合わせを提供する。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂と組み合わせた式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、式(II)のt、yおよびzの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する全体的な樹脂の組み合わせを提供する。別の態様において、式(II)の改質シリコーン樹脂と組み合わせた式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が提供され、式中、式(I)のn、mおよびpの値、ならびに、式中、式(II)のt、yおよびzの値は、約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する全体的な樹脂の組み合わせを提供する。
【0131】
別の態様において、式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物が、式(II)の改質シリコーン樹脂と組み合わせて提供され、ここで、nとmの比は約1:1から約1:200の範囲であり、ここで、tとyの比は約1:1から約1:200の範囲である。
【0132】
別の態様において、以下の組成物を含むエラストマー配合物が開示される:(a)約5重量パーセントから約95重量パーセントの範囲の量だけ(それぞれ無関係に)存在する式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂、(b)約2重量パーセントから約80重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの金属酸化物、(c)約0重量パーセントから約25重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリケート、(d)任意選択で、約0重量パーセントから約20重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つのシリカ、および(e)約0.10重量パーセントから約10重量パーセントの範囲の量だけ存在する少なくとも1つの硬化剤。ただし、ニートの配合物については、成分の総量が合計で100重量パーセントになるものとする。
【0133】
一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、一般的な合成スキームに例示した方法および以下に詳述する実験手順を用いて調製することができる。これらの一般的な合成スキームおよび実験手順は、例示の目的のために提示されており、限定するためのものではない。本発明の化合物を調製するために使用される出発材料は市販されており、または当技術分野において周知の通常の方法を用いて調製することができる。式(I)および式(II)の改質シリコーン樹脂を調製するための代表的な手順を以下のスキームI~IIIに概説した。
【0134】
式(I)の改質シリコーン樹脂は、メチル/フェニルホスホン酸またはメチル/フェニルホスホン酸ジクロリドを用いて調製する。例示的な直接カップリング反応をスキームIに示す。
【0135】
【化21】
【0136】
構造(C)は式(I)の一例である。スキームIにおける出発材料の比は、改質シリコーン樹脂の分子量および粘度、ならびにエラストマーの熱的な能力に影響を与えることになる。約0.55から約1の範囲のリン単位(A)と出発シロキサンオリゴマー単位(B)(すなわち、[-O-Si(R1)(R2)-])のモル比によって、粘度計により測定される約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する改質シリコーン樹脂(C)を提供することができる。改善された耐熱性を示し、優れた機械的特性を保つエラストマー配合物は、約1:4から約1:100の範囲のリン単位(すなわち、樹脂の[-O-P(O)(R3)-](C))と単一のシロキサンオリゴマー単位(すなわち、樹脂の[-O-Si(R1)(R2)-](C)))のモル比を含む改質シリコーン樹脂を用いて調製することができる。
【0137】
式(I)に関して、n、mおよびpの値は、粘度計により測定される約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する調整可能な式(I)の樹脂化合物を提供するように調整することができる。同じく、式(I)の樹脂化合物のnとmの比は、約1:1から約1:200の範囲である。
【0138】
式(II)の改質シリコーン樹脂は、いくつかの異なるタイプの反応において調製することができる。例えば、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンは、ヒドロキシル末端シロキサンと比べて異なる反応性を示す2つのヒドロキシル基をシリコーン原子上に有する。したがって、2ステップの工程を利用して、下のスキームIIおよびIIIに示す通り、フェニル材料をシリコーン主鎖に、末端基としてヒドロキシルを取り込む。
【0139】
【化22】
【0140】
スキームIIに示す通り、第1のステップは、アミド化フェニル化学種(C)を生成するための1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン化学種(A)のビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(B)でのアミノ化であり、これは、通常、トルエンなどの有機溶媒中、約80℃から約140℃の範囲の温度で実施される。スキームIIIに示す通り、第2のステップは、改質シリコーン樹脂(E)の生成およびジメチルアミン(図示せず)の遊離を伴う、シロキサンオリゴマー(D)およびフェニル単位(C)の直接カップリングである。スキームIIおよびIIIは、同じ反応容器内で同じ条件下(例えば、同じ有機溶媒中)で順次実施することができる。
【0141】
スキームI~IIIは、通常、有機溶媒中で実施される。用いられる一般的な有機溶媒は、とりわけ、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルおよびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を含む非プロトン性溶媒にすることができる。
【0142】
スキームIII中の構造(E)は、式(II)の化学種である。スキームIII(反応条件を含む。)の2つの出発成分のモル比によって、得られる改質シリコーン樹脂の分子量および粘度が決まる。アミノ化フェニル化学種(C)とオリゴマー(D)内のシロキサン単位の比は、スキームIIIにおいて、約0.55から約1の範囲にすることができて、粘度計により測定される約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する改質シリコーン樹脂(E)が得られる。ヒドロキシル末端シロキサンは過剰量で使用することができるため、改質シリコーン樹脂もヒドロキシル末端化されることになる。このようなヒドロキシル基はシロキサンに結合し、容易に重合できる。
【0143】
改質シリコーン樹脂内でのフェニル単位と単一のシロキサンオリゴマー単位のモル比は、得られるエラストマー配合物の耐熱特性に関連する別の重要な考慮すべき事項である。出発シロキサンオリゴマーは、さまざまな数の単一のシロキサン単位(例えば、-Si(CH32-O-)を含むことができる。得られる改質シリコーン樹脂の耐熱特性は、存在するフェニル単位の数の増加に伴って改善されるはずである。しかし、このように高度にフェニル置換されたシリコーン樹脂を含むエラストマーは、機械的特性の悪化を示す可能性がある。したがって、改善された耐熱性を示し、優れた機械的特性を保つエラストマー配合物は、約1:5から約1:200のフェニル単位と単一のシロキサン単位の比を含む改質シリコーン樹脂を用いて調製することができる。
【0144】
式(II)に関して、t、yおよびzの値は、粘度計により測定される約500cStから約10,000cStの範囲の粘度を有する調整可能な式(II)の樹脂化合物を提供するように調整することができる。同じく、式(II)の樹脂化合物のtとyの比は、約1:1から約1:200の範囲である。
【0145】
式(I)の改質シリコーン樹脂が得られる反応において、二官能基のリン基には、とりわけ、例えば、メチルホスホン酸ジクロリド、フェニルホスホン酸ジクロリド、メチルジクロロホスファート、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸およびフェニルジクロロホスファートを含むことができる。
【0146】
ベンゼン基を有する式(II)の改質シリコーン樹脂が得られる反応において、二官能基のベンゼン基には、例えば、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ジハロゲンベンゼンおよび1,3-ジハロゲンベンゼンを含むことができる。
【0147】
シロキサン基を有する式(I)または(II)の改質シリコーン樹脂が得られる反応において、二官能基のシロキサンには、例えば、約400から約10,000の分子量を有するα,ω-ジクロロシロキサンまたはα,ω-ジヒドロキシルシロキサンを含むことができる。
【0148】
改質シリコーン樹脂の生成につながる重合反応は、不活性雰囲気条件下で実施される。改質シリコーン樹脂のための反応温度は、およそ室温から約140℃にすることができる。反応は、ニートの条件下、または適した有機溶媒を用いて実施することができる。用いられる適した有機溶媒は、とりわけ、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルおよびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を含む非プロトン性溶媒にすることができる。
【0149】
前述のさまざまな組成物を含むエラストマー配合物は、手作業で、またはミキサー装置により完全に混合して真空下で脱泡し、型に入れて成形して、周囲条件で放置することができる。エラストマーは、約30分から約2日で硬化させることができる。
【実施例
【0150】
以下の実施例は単なる例示であり、どのような意味においても本開示を限定しない。実施例1では、改質シリコーンの調製を説明する。実施例2~8では、式(I)の改質シリコーン樹脂(i)、(ii)および(iv)ならびに式(II)の改質シリコーン樹脂(3)、(4)、(5)のための合成手順を説明する。実施例9では、改質シリコーン樹脂(2)を含むエラストマー配合物を調製するための手順を説明する。実施例10では、改質シリコーン樹脂(2)および(ii)を含むエラストマー配合物を調製するための手順を説明する。
【0151】
改質シリコーン樹脂:
【0152】
実施例1:改質シリコーンM101
トルエン中の1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(2.575g、Gelest)の溶液に、110℃で、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン(1.66g、Gelest)を不活性雰囲気下、2時間以内でゆっくりと加えた。混合物を110℃で2時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発させて、改質シリコーン材料M101を得た。
【0153】
実施例2:式(II)の改質シリコーン樹脂(3)
トルエン中の1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(5.0g、Gelest)の溶液に、110℃で、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(6.75g、Gelest)をゆっくりと加えた。混合物を110℃で一晩撹拌し、次いで、溶媒を真空により除去した。ポリジメチルシロキサン(16.2g)(Mn 550、Gelest)を混合物に加え、80℃で一晩撹拌し、粘性のある改質シリコーン樹脂(3)を得た。
【0154】
実施例3:式(II)の改質シリコーン樹脂(4)
トルエン中の1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(2.055g、Gelest)の溶液に、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン(1.82g、Gelest)を窒素雰囲気下で加えた。混合物を80℃で10分間撹拌し、次いで、110℃まで昇温した。次いで、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(Mn~600、3.151g、Gelest)の液体を加え、混合物を110℃で22時間撹拌し、粘性のある樹脂(4)を生成した。
【0155】
実施例4:式(II)の改質シリコーン樹脂(5)
1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(4.65g、Gelest)、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(3.06g、Gelest)および1,7-ジクロロ-オクタメチルテトラシロキサン(5.41g、Gelest)の混合物を室温で1時間、30℃で1時間、50℃で1時間、110℃で63時間混合した。この溶液に、シラノール末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(Mw 950、Gelest)およびビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(Mn ~600、Gelest)を加えた。混合物を110℃で24時間撹拌し、粘性のある樹脂(5)を得た。
【0156】
実施例5:式(I)の改質シリコーン樹脂(i)
トルエン中のメチルホスホン酸(6.4g、Aldrich)およびポリジメチルシロキサン(Mn 550、48.7g、Gelest)の混合物を150℃で24時間撹拌した。トルエンを除去して、粘性のある改質シリコーン樹脂(i)を得た。
【0157】
実施例6:式(I)の改質シリコーン樹脂(ii)
フェニルホスホン酸ジクロリド(7.0g、Aldrich)を26.3gのポリジメチルシロキサン(Mn 550、Gelest)に加え、混合物を室温で真空下、一晩撹拌した。混合物は粘性を帯び、エラストマー配合物に使用できる状態であった。
【0158】
実施例7:式(I)の改質シリコーン樹脂(ii)
フェニルホスホン酸(28.5g、Aldrich)およびポリジメチルシロキサン(Mn 550、116.6g、Gelest)の混合物を、撹拌装置、Dean-Starkトラップおよび冷却器を備えた500mlの丸底フラスコ内のトルエンに溶解させた。フラスコを70℃で15時間加熱し、続いて、110℃で3時間加熱した。次いで、混合物を150℃まで昇温し、水(6.5ml)を回収した。トルエンを真空により除去し、粘性のある改質シリコーン樹脂(ii)生成物を回収した。
【0159】
実施例8:式(I)の改質シリコーン樹脂(iv)
メチルホスホン酸(2.0g、Aldrich)、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(2.57g、Aldrich)および1,7-ジクロロ-オクタメチルテトラシロキサン(4.53g、Aldrich)の混合物を80℃で24時間撹拌した。この溶液に、シラノール末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(4.6ml、Gelest)を加えた。混合物を100℃で68時間加熱し、~1500cPの粘度を有する樹脂を生成した。
【0160】
エラストマー配合物:
本明細書に開示されるエラストマー配合物は、式(I)および/または(II)の構造を有する少なくとも1つの改質シリコーン樹脂、少なくとも1つのタイプの金属酸化物、任意選択で、少なくとも1つのシリケート(例えば、エチルシリケート)、任意選択で、少なくとも1つのシリカおよび少なくとも1つの硬化剤を含むことができる。改質シリコーン樹脂は、約10重量パーセントから約95重量パーセントのエラストマー配合物とすることができる。エラストマー配合物の金属酸化物は、約1ナノメートルから約5マイクロメートルの範囲の粒径(直径)を有する酸化物微粒子を含む。エラストマー配合物は、配合物中に約2重量パーセントから約80重量パーセントの金属酸化物を含むことができる。エラストマー配合物には、酸化鉄(例えば、FeO、Fe2O3およびFe3O4)、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)および酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)またはこれらの酸化物の混合物を使用してもよい。エチルシリケートは、エラストマー配合物中に約0重量パーセントから約25重量パーセント存在することができる。シリカは、エラストマー配合物中に約0重量パーセントから約10重量パーセント存在することができる。硬化剤は、エラストマー配合物中に約0.1重量パーセントから約10重量パーセント存在することができる。適した硬化剤には、例えば、有機金属触媒(例えば、ジブチルチンジラウラート、トリス(ジメチルアミノ)メチルシランおよびエチルトリアセトキシシラン、ならびに、とりわけ、その組み合わせ)が含まれ、これらは、当技術分野において縮合反応の促進に周知のものである。上述の成分の開示された重量パーセントは、ニートの配合物については、成分の総量が合計で100重量パーセントになるものである。
【0161】
実施例9:エラストマー配合物No.102
200mlの容器に、赤色酸化鉄(22.5g)、改質シリコーン樹脂(2)(26.0g)およびエチルシリケート(1.25g)を加えた。混合物を完全に混ぜ合わせ、続いて、ジブチルチンジラウラート(0.26g)を添加した。材料の混合物を混合して脱泡し、テフロン(登録商標)型で成形して、室温で24時間放置し、エラストマーNo.102を生成した。
【0162】
実施例10:エラストマー配合物No.104
改質シリコーン樹脂(2)(22.5g)、改質シリコーン樹脂(ii)(4.0g)、酸化鉄(22.0g)およびエチルシリケート(1.25g)の混合物を完全に混ぜ合わせた。その後、ジブチルチンジラウラート(0.25g)を混合物に加え、続いて、完全に混合し、脱泡して成形した。サンプルを室温で24時間放置して、硬化したシリコーンエラストマーNo.104を生成した。
【0163】
実施例11:例示的なエラストマー配合物
例示的なエラストマー配合物を表IVに示す。これらの配合物は、実施例10で説明した手順と同様の手順を用いて生成した。
【0164】
【表10】
【0165】
改質シリコーン樹脂を含む選定したエラストマー配合物の性能特性を表Vに示す。表Vから分かる通り、式(I)、式(II)または式(I)+式(II)の改質シリコーン樹脂を含む得られた配合物の機械的特性は、316℃での厳しいエージング後でも堅牢なままである。
【0166】
【表11】
【0167】
エラストマー配合物の用途
式(I)、式(II)、または式(II)と組み合わせた式(I)の改質シリコーン樹脂を含むエラストマー配合物は、高温条件下でのエラストマー性能を必要とする産業用途に適用できる。これらの用途には、とりわけ、コーティング、シーラントおよび隙間充填手段のためのエラストマー配合物の使用が含まれる。
【0168】
本願がいくつかの文書を参照する範囲において、それらの文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0169】
本開示は特定の実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えてもよく、均等物が置換されてもよいことを当業者なら理解するであろう。さらに、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、その範囲から逸脱することなく修正を加えてもよい。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されないが、本開示は、添付された特許請求の範囲内に包含されるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0170】
異なる態様、実施形態および特徴は、本明細書において詳細に定義される。そのように定義されたそれぞれの態様、実施形態または特徴は、反対のことが明確に示されていない限り、(好ましい、有利な、またはその他の)任意の他の態様、実施形態または特徴と組み合わせられてもよい。