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特許7386839プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置
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  • 特許-プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/14 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
B22F9/14 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021199756
(22)【出願日】2021-12-09
(65)【公開番号】P2022096622
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202011495719.9
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521539281
【氏名又は名称】江蘇博遷新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林茜
(72)【発明者】
【氏名】陳鋼強
(72)【発明者】
【氏名】宋書清
(72)【発明者】
【氏名】宋財根
(72)【発明者】
【氏名】高書娟
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109967755(CN,A)
【文献】中国実用新案第209288280(CN,U)
【文献】特公昭51-004951(JP,B1)
【文献】特公昭49-025554(JP,B1)
【文献】米国特許第05935461(US,A)
【文献】特開平03-135407(JP,A)
【文献】特開昭62-207802(JP,A)
【文献】特開2000-319706(JP,A)
【文献】特表2018-522136(JP,A)
【文献】特公昭49-020869(JP,B1)
【文献】特開2019-014917(JP,A)
【文献】特開2019-118882(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109304471(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧タンクを備え、
前記噴霧タンクの頂部に溶解保温炉が配置され、
前記溶解保温炉の底部に液送チューブが配置され、
前記液送チューブは、前記溶解保温炉内の溶融液を液柱状に前記噴霧タンクに導入し、前記噴霧タンクに導入される際に液滴を形成し、
プラズマ噴霧スプレーガンシステム、及び、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの下端に位置する冷却ガス入口が、前記噴霧タンクの側壁に設置されており、
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの端部に、前記液滴に向かって前記液滴を加熱・破砕するプラズマアークが形成され、
前記冷却ガス入口は、破砕された前記液滴を瞬時に冷却し、粉末を形成し、
粉末コレクター、及び、前記粉末コレクターの上端に配置され、20μm未満の粒径を有する粉末を収集する布バッグコレクターが、前記噴霧タンクの下端に設置されることを特徴とする、プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項2】
記液送チューブの外側に断熱材が設けられており、
前記液送チューブの直径は1~20mmであり、
前記断熱材の厚さは10~200mmであることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項3】
前記冷却ガス入口は、冷却ガス循環入口であり、
前記布バッグコレクターは前記冷却ガス循環入口と連通し、
前記噴霧タンクと前記布バッグコレクターの間に冷却ガス循環出口が設けられ、
前記布バッグコレクターと前記冷却ガス循環入口の間に高圧ガス循環システムが設けられることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項4】
前記冷却ガス循環入口を2つ設置し、
2つの前記冷却ガス循環入口は左右対称であり、前記高圧ガス循環システムに接続されることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項5】
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは少なくとも2つ設置され、前記噴霧タンクの周りに等間隔で円周方向に分布されることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項6】
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは2~8つ配置され、
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムと前記噴霧タンクの側壁との角度は30~90°であることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項7】
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムのポートから前記液送チューブの底部までの距離は1mm以上であり、
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは、作動ガスとして窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、または、水蒸気を用い、
前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの出力は、5~100kWであることを特徴とする、請求項6に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項8】
前記噴霧タンクの直径と高さの比率は1:1~8であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【請求項9】
前記液柱の温度は原料の融点よりも100~1500℃高く、
前記高圧ガス循環システムにおける冷却ガスは、窒素、アルゴン、または、ヘリウムであることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末製造の技術分野に関し、より具体的に、プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末は重要な産業原料として、自動車、国防、電子、冶金、航空宇宙等の分野で幅広く利用されている。粉末製造技術の改良、粉末加工、焼結工程の最適化が進むにつれて、高性能粉末の製造が必要となっている。
【0003】
現在、大粒径粉末の製造に関し、産業界では噴霧法が一般的に使用されており、生産効率が高く、設備が簡単である等の利点がある。数多くの噴霧法において、水噴霧とガス噴霧法が最も幅広く用いられており、即ち、高圧ガスまたは高圧液体を使用し、高速で溶融金属流を衝突させ、急速に溶融金属を粉末にして噴出する技術である。噴霧法は約100年前から開発され、噴霧ノズル構造を継続的に最適化し、噴霧媒体の流速と圧力、凝縮速度を増加させることにより、噴霧法は技術的に既に非常に成熟しており、製造された粉末の粒径が20~300μmの範囲で分布している。しかし、その粒径分布は広く、小粒径粉末の割合は非常に低い。
【0004】
ナノ粉末を製造するために、気相法が一般的に用いられている。即ち、一定のエネルギーで固体を気化させ、化学反応や物理変化などを経てナノ粉末を生成する。この方法で製造されたナノ粉末の粒径は、10~100nmに分布している。
【0005】
上記のように、既存の粉末製造技術で得られた粉末の粒径分布にはギャップがあり、1~20μmの超微細粉末を得ることは難しい。粉末成形の原理によれば、粉末がプレス成型される前に、異なる粒径の粒子を混合する必要がある。特に粉末中の粒子のサイズの比率を調整して、小さな粒子を大きな粒子の隙間に埋められるようにすることで、充填密度を向上させ、後続の粉末のプレスと焼結等を容易にすることが必要である。粉末の自由充填の基本理論によれば、粒径比が7:1である場合、完全に混合された粉末の充填密度が高い。そのため、粒径1~20μmの粉末を製造することが非常に重要であり、大量に製造し材料分野に応用できれば、材料の機械的性質や電気的性質を大幅に向上することができる。
【0006】
従来技術では、超微細粉末を得るために、まず原料を極細フィラメントまたは大径粒子にした後、プラズマアークの高温を用いてフィラメント状原料を直接気化させ、さらに冷却する。
【0007】
また、特許文献1は、高融点金属の噴霧による粉末の製造方法を開示しており、原料を溶融した後に、加熱・保温装置を用いて溶融液を加熱・保温する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国実用新案第209288280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記2つの方法はいずれもプラズマアークの高温を利用し、高温蒸発により得られた粉末の粒径はナノメートルレベルに達しているものの、1~20μmの粉末を大量生産することができない。また、前者の方法は、展延性が高く、線引き加工可能で、且つ沸点が低い金属または合金にしか適しておらず、供給量が制限されている。後者の方法は、製造コストが高い。そのため、従来技術は量産できない。
【0010】
本発明は、従来技術の問題点を解決するために、粒径1~20μmの超微細粉末の量産が可能となる、プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成となっている。
プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、噴霧タンクを備え、前記噴霧タンクの頂部に溶解保温炉が配置され、前記溶解保温炉の底部に液送チューブが配置され、前記液送チューブは、前記溶解保温炉内の溶融液を液柱状に前記噴霧タンクに導入し、前記噴霧タンクに導入される際に液滴を形成し、プラズマ噴霧スプレーガンシステム、及び、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの下端に位置する冷却ガス入口が、前記噴霧タンクの側壁に設置されており、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの端部に、前記液滴に向かって前記液滴を加熱・破砕するプラズマアークが形成され、前記冷却ガス入口は、破砕された前記液滴を瞬時に冷却し、粉末を形成し、粉末コレクター、及び、前記粉末コレクターの上端に配置され、20μm未満の粒径を有する粉末を収集する布バッグコレクターが、前記噴霧タンクの下端に設置される。
【0012】
上記発明により、溶解保温炉における溶融液が液送チューブを通じて噴霧タンクに入ると、液送チューブ内に液柱が形成され、液送チューブから離れて噴霧タンクに入る際に液滴が形成される。プラズマ噴霧スプレーガンシステムで生成されたプラズマアークによって超微細液滴に粉砕されてから、冷却ガスによって冷却され、20μm未満の粒径の超微細粉末が形成される。更に、プラズマアークの超音速と高温特性により、噴霧媒体の温度を大幅に上昇させると共に、噴霧媒体の運動エネルギーを増加させることで、噴霧の効率を改善し、粉末の平均粒径を減少させ、粉末の粒径分布を減少させる効果を奏する。当該プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粒径1~20μmの粉末の量産のギャップを埋めることができ、粉末製造分野での原材料の選択の拡大、および金属と非金属の超微細粉末の製造を実現することができる。
【0014】
上記発明により、粉末コレクターは、重力で落下する大粒径の粒状粉末を回収し、粒径が20μm未満のより小さな粉末は、布バッグコレクターにより回収され、超微細粉末の製造効率と精度をさらに向上させることができる。
【0015】
好ましくは、前記冷却ガス入口は、冷却ガス循環入口であり、前記布バッグコレクターは前記冷却ガス循環入口と連通し、前記噴霧タンクと前記布バッグコレクターの間に冷却ガス循環出口が設けられ、前記布バッグコレクターと前記冷却ガス循環入口の間に高圧ガス循環システムが設けられる。
【0016】
上記発明により、高圧ガス循環システムは、噴霧タンク内の冷却ガスを循環させて、生産コストをさらに削減すると共に、冷却ガスにより粒径20μm未満の粉末を噴霧タンクから取り出し、布バッグコレクターによって収集することで、粉末の収集効率を効果的に向上させる。
【0017】
好ましくは、前記冷却ガス循環入口を2つ設置し、2つの前記冷却ガス循環入口は左右対称であり、前記高圧ガス循環システムに接続される。
【0018】
上記発明により、粉砕された液滴が冷却作用により粉末になる効率を大幅に向上させ、得られる粉末を規則的な構造を有するようにすることができる。
【0019】
好ましくは、液送チューブの外側に断熱材が設けられており、前記液送チューブの直径は1~20mmであり、前記断熱材の厚さは10~200mmである。
【0020】
上記発明により、液柱の温度と直径を安定に制御し、得られた粉末の品質を向上させる。
【0021】
好ましくは、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは少なくとも2つ設置され、前記噴霧タンクの周りに等間隔で円周方向に分布される。
【0022】
上記発明により、複数のプラズマ噴霧スプレーガンシステムは協働し、噴霧タンクに入る液滴をさらに加熱・粉砕し、得られた粉末の品質を大幅に向上させる。
【0023】
好ましくは、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは2~8つ配置され、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムと前記噴霧タンクの側壁との角度は30~90°である。
【0024】
上記発明により、複数のプラズマ噴霧スプレーガンシステムは協働し、噴霧タンクに入る液滴をさらに効果的に加熱・破砕し、得られた粉末の品質を大幅に向上させる。
【0025】
好ましくは、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムのポートから前記液送チューブの底部までの距離は1mm以上であり、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムは、作動ガスとして窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、または、水蒸気を用い、前記プラズマ噴霧スプレーガンシステムの出力は、5~100kWである。
【0026】
上記発明により、粒径1~20μmの超微細粉末が得られる。
【0027】
好ましくは、前記噴霧タンクの直径と高さの比率は1:1~8である。
【0028】
上記発明により、上記プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粒径1~20μmの超微細粉末を量産することができる。
【0029】
好ましくは、前記液柱の温度は原料の融点よりも100~1500℃高く、前記高圧ガス循環システムにおける冷却ガスは、窒素、アルゴン、または、ヘリウムである。
【0030】
上記発明により、上記プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粒径1~20μmの超微細粉末を量産することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、溶解保温炉により原料を溶融・保温し、原料の融点よりも100~1500℃高い温度に制御する。液送チューブが溶解保温炉における溶融液を噴霧タンクに導入した後に、プラズマ噴霧スプレーガンシステムが冷却ガス循環入口と協働することにより、粒径1~20μmの超微細粉末が得られ、粉末コレクターはより大きな粒径の粉末を収集すると共に、超微細粉末は冷却ガスにより、冷却ガス循環出口を通じて布バッグコレクターに入り、粉末製造の効率を大幅に向上させる。これにより、本発明のプラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粒径1~20μmの超微細粉末を量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は本発明の実施例に係る構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を説明するが、これらの図面は本発明の好ましい実施例を説明するものであり、本発明を限定するものではない。
【0034】
本発明の技術案および利点をより明確にするため、以下に添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0035】
プラズマ噴霧スプレーガンシステム2は、プラズマアーク7を生成するプラズマアーク発生器、給水システム、電源システム、ガス供給システムを含み、霧化に必要なプラズマアーク7を生成する。プラズマアーク7により所望する粒径を有する粉末8を得るため、プラズマアーク7が溶融液を加熱・破砕する過程を効果的に制御する必要があり、また、溶融液に対する形状制御と温度制御も行い、粉末8の取得と回収を実現する。
【0036】
[実施例1]
図1に示すように、プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は噴霧タンク9を備える。噴霧タンク9の直径と高さの比率は1:2である。噴霧タンク9は、所望する粒径の粉末8を生産するのに用いられ、粒径1~20μmの粉末8を量産することを実現する。
【0037】
なお、噴霧タンク9の頂部に溶解保温炉1が配置され、金属または非金属材料が溶解保温炉1内で溶融状態になり、保温された溶融液の温度は原料の融点より100℃以上高い。エネルギーを節約し、所望する粒径の粉末8を得るため、溶融液の温度は原料の融点より120℃、200℃、300℃~1500℃高くしてもよい。溶解保温炉1の底部には、液送チューブ3が配置されている。液送チューブ3は、溶解保温炉1内の溶融液を液柱状で噴霧タンク9に導入する。したがって、粒径1~20μmの粉末8を量産するために、液柱4の温度を原料の融点より100~1500℃高くする。液送チューブ3の外側には断熱材が設けられている。液送チューブ3の直径は1mmであり、断熱材の厚さは20mmであり、これにより、液柱4の温度を安定に制御し、得られる粉末8の品質を向上させる。
【0038】
液柱4が液送チューブ3を介して噴霧管に導入される際に、液送チューブ3から離れた液柱4は液滴を形成し、第1の分散状態を呈する。
【0039】
噴霧タンク9の側壁に、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2とプラズマ噴霧スプレーガンシステム2の下端に位置する冷却ガス入口が設置される。プラズマ噴霧スプレーガンシステム2のポートから液送チューブ3の底部までの距離は1mmである。プラズマ噴霧スプレーガンシステム2の端部に液滴に向かって液滴を加熱・破砕するためのプラズマアーク7が形成され、プラズマアーク7により加熱・破砕された液滴が第2の分散状態を呈する。
【0040】
第2の分散状態を呈する液滴は重力で落下する際に、冷却ガス入口からの冷却ガスによって冷却され、破砕され第2の分散状態を有する液滴は瞬時に冷却され、所望する粉末8が形成される。
【0041】
図1に示すように、噴霧タンク9に噴霧隔離層5が設けられ、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2および液送チューブ3は噴霧隔離層5の上方に設置される。当該装置を操作する際に、溶解保温炉1によって溶融された溶融液が液送チューブ3を通じて噴霧タンク9に流入する際に、液送チューブ3内に液柱4が形成され、また、液送チューブ3から離れて噴霧タンク9に流入する際に液滴が形成され、さらに、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2で生成されたプラズマアーク7によって超粉砕され、微細液滴になり、冷却ガスによって冷却され、粒径20μm未満の超微細粉末8が形成される。また、プラズマアーク7の超音速と高温特性により、噴霧媒体の温度を大幅に上昇させると共に、噴霧媒体の運動エネルギーを増加させることで、噴霧の効率を改善し、粉末8の平均粒径を減少させ、粉末8の粒径分布を狭くする。当該プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粉末の製造において粒径1~20μmの粉末の量産のギャップを埋めることができ、粉末製造分野で原材料の選択範囲を拡大し、金属と非金属の超微細粉末を製造することができる。
【0042】
超微細粉末8の精度と製造効率をさらに向上させるため、噴霧タンク9の下端に、底部に位置する粉末コレクター10と、粉末コレクター10の上端に位置し、粒径20μm未満の粉末8を収集する布バッグコレクター12が設置されている。粉末コレクター10は、より大きな粒径を有し、重力で落下する粒状粉末8を回収し、布バッグコレクター12は、粒径20μm未満のより小さな粉末8を回収する。このように、製造された粉末8のうち、大粒径の粉末8は粉末コレクター10で収集し、小粒径の粉末8は布バッグコレクター12で収集する。これにより、粉末8の分離が簡単で、量産に適している。
【0043】
図1に示すように、冷却ガス入口は冷却ガス循環入口6であり、布バッグコレクター12は冷却ガス循環入口6と連通し、噴霧タンク9と布バッグコレクター12の間に冷却ガス循環出口11が設けられる。また、布バッグコレクター12と冷却ガス循環入口6の間に高圧ガス循環システム13が設けられる。従って、高圧ガス循環システム13は、噴霧タンク9内の冷却ガスを循環させて、生産コストをさらに削減すると共に、冷却ガスにより粒径20μm未満の粉末8を噴霧タンク9から取り出し、布バッグコレクター12によって収集することで、粉末8の収集効率を効果的に向上させる。
【0044】
なお、冷却ガス循環入口6は2つ設置され、2つの冷却ガス循環入口6は左右対称であり、両方とも高圧ガス循環システム13に接続される。これにより、粉砕された液滴が冷却作用により粉末8になる効率を大幅に向上させ、得られた粉末8を規則的な構造を有するようにすることができる。
【0045】
粉末8の製造効果を大幅に向上させるために、少なくとも2つのプラズマ噴霧スプレーガンシステム2が設置され、噴霧タンク9の周りに等間隔で円周方向に分布される。これにより、複数のプラズマ噴霧スプレーガンシステム2は協働し、噴霧タンク9に入る液滴をさらに加熱・粉砕し、冷却ガスにより冷却されて粉末8を形成する際に、所望する粒径1~20μmの粉末8が得られる。プラズマ噴霧スプレーガンシステム2と噴霧タンク9の側壁との垂直角度は30~90°である。例えば、本実施例では、30°である。プラズマ噴霧スプレーガンシステム2は2つあり、2つのプラズマ噴霧スプレーガンシステム2は協働し、噴霧タンク9に入る液滴をさらに効果的に加熱・粉砕する。
【0046】
なお、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2は、作動ガスとして窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、または、水蒸気を用いる。例えば、窒素を用いる。本実施例において、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2の出力は5kWである。高圧ガス循環システム13における冷却ガスは、窒素、アルゴン、または、ヘリウムであり、そして、本実施例において、冷却ガスは窒素である。これにより、プラズマアーク噴霧法超微細粉末製造装置は、粒径1~20μmの超微細粉末8を量産することができる。
【0047】
[実施例2]
実施例2と実施例1との相違点は、実施例2では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2が5つ設置され、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2と噴霧タンク9の側壁との垂直角度が60°であることである。
【0048】
[実施例3]
実施例3と実施例1との相違点は、実施例3では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2は8つ設置され、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2と噴霧タンク9の側壁との垂直角度が90°であることである。
【0049】
[実施例4]
実施例4と実施例1との相違点は、実施例4では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2が作動ガスとしてアルゴンを用い、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2の出力が50kWであることである。
【0050】
[実施例5]
実施例5と実施例1との相違点は、実施例5では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2が作動ガスとしてヘリウムを用い、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2の出力が100kWであることである。
【0051】
[実施例6]
実施例6と実施例1との相違点は、実施例6では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2のポートから液送チューブ3の底部までの距離が10mmであることである。
【0052】
[実施例7]
実施例7と実施例1との相違点は、実施例7では、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2のポートから液送チューブ3の底部までの距離が20mmであることである。
【0053】
[実施例8]
実施例8と実施例1との相違点は、実施例8では、噴霧タンク9の直径と高さの比率が1:5であることである。
【0054】
[実施例9]
実施例9と実施例1との相違点は、実施例9では、噴霧タンク9の直径と高さの比率が1:8であることである。
【0055】
[実施例10]
実施例10と実施例1との相違点は、実施例10では、液送チューブ3の直径が10mmであり、断熱材の厚さが100mmであることである。
【0056】
[実施例11]
実施例11と実施例1との相違点は、実施例11では、液送チューブ3の直径が20mmであり、断熱材の厚さが150mmであることである。
【0057】
上記のように、本発明において、溶解保温炉1は原料の融点より100~1500℃高い温度で原料を溶融・保温し、液送チューブ3が溶解保温炉1における溶融液を噴霧タンクに導入した後に、プラズマ噴霧スプレーガンシステム2が冷却ガス循環入口6と協働することにより、粒径1~20μmの超微細粉末8が得られる。粉末コレクター10はより大きな粒径を有する粉末8を収集すると共に、超微細粉末8は冷却ガスにより、冷却ガス循環出口11に通じて布バッグコレクター12に入り、粉末製造効率を大幅に向上させる。これにより、粒径1~20μmの超微細粉末8を量産することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の技術的思想に属する様々な実施例は本発明の保護範囲に属する。当業者は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、以上の実施例に対して行った変更または修正は、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0059】
1 溶解保温炉
2 プラズマ噴霧スプレーガンシステム
3 液送チューブ
4 液柱
5 噴霧隔離層
6 冷却ガス循環入口
7 プラズマアーク
8 粉末
9 噴霧タンク
10 粉末コレクター
11 冷却ガス循環出口
12 布バッグコレクター
13 高圧ガス循環システム
図1