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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】抗菌化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/48 20060101AFI20231117BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20231117BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20231117BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20231117BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C07D207/48
A61K45/00
A61K31/4184
C07D401/04 CSP
C07D403/04
C07D401/10
A61K31/4439
A61K31/5377
A61K31/506
C07D403/10
C07D401/14
C07D417/04
A61K31/40
C07D403/14
A61K31/41
A61K31/428
A61P9/00
A61P11/00
A61P31/04
A61P19/02
A61P15/00
A61P13/02 105
A61K31/4155
A61K31/4709
A61K31/496
C07D401/12
A61K31/4196
C07D471/04 101
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021514493
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 GB2019051349
(87)【国際公開番号】W WO2019220125
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】1807966.5
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1905174.7
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520446089
【氏名又は名称】インフェックス・セラピューティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INFEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ウィルキンソン
(72)【発明者】
【氏名】イアン・クーパー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・オー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・フィンレイソン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・バント
(72)【発明者】
【氏名】ピア・アペルクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ヴァルバリ
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク・ヴォーンセル
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-506563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0333021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
〔式中、
XおよびYの一方は窒素原子であり、他方は炭素原子であり;
Lは-(CH)-Q-(CH)-から選択されるリンカー基であり、ここでQはOまたNHであるか、あるいはQは存在せず;

【化2】
から選ばれ、
は-C(O)OH、-C(O)OMまたは
【化3】
であり;ここでMは第1族陽イオンであり;
は存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル-(CH)-ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCOR、-CON(R)および-CORから成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において-N(R) -C(=O)C1-6アルキル、-SON(C1-6アルキル)および-(CH)OR ら成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個基で場合により置換されていてよく;
およびRは、各々の場合においてH、ハロ、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル3-8シクロアルキル-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され;ここでRおよびRの各々は、各々の場合において-NH -OH-NHC(=O)OC1-6アルキルおよび-C(=O)OC1-6アルキルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個基で場合により置換されていてよく;
はHおよび1-4アルキルら成る群から選択され;
1-4アルキル1-4アルキルアミン、C3-8シクロアルキルならびにアリールおよび5~10員ヘテロアリールから成る群から選択され;
a、b、d、e、f、gおよびhは独立して、0~の整数として選択され
そして
【化4】
は価数の要件を満たすように単結合または二重結合を表す〕
の化合物。
【請求項2】
Yが窒素原子であり、Xが炭素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が-C(O)OHまたは-C(O)OMである、請求項1またはに記載の化合物。
【請求項4】

【化5】
である、請求項1またはに記載の化合物。
【請求項5】
が存在しないか、価数の要件を満たすように、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル3~10員ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSOおよび-CORから成る群から適宜選択され、ここで上記置換基の各々は-C(=O)C1-6アルキルである、化学的に可能な1個場合により置換されていてよいものである、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が置換または非置換アリールまたはヘテロシクリルであり、場合によりRが置換または非置換フェニル、ピリジルまたはピラゾールであ、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
が-NH、メチル、オキソ、-SOMe、-SON(Me)および4-ピペリジニルから選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が各々の場合において、それ自体、H、ハロ、置換または非置換C1-6アルキルおよび置換または非置換C3-8シクロアルキルから成る群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が独立して、各々の場合において、それ自体、H、フルオロおよびMeから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
が独立して、それぞれの場合において、H、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C3-8シクロアルキルから成る群から選択され;ここで各Rは、-NH、-OH、-SON(C1-4アルキル)、-NHC(=O)Otert-ブチルおよび-C(=O)Otert-ブチルから成る群から各々の場合において独立して択される、化学的に可能な1個または2個の基で場合により置換されていてよいものである、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
がHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物とともに1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、メタロ-β-ラクタマーゼ活性の阻害のための医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物とともに1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、メタロ-β-ラクタマーゼ活性が関連する疾患または障害の処置のための医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物とともに1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、好気性もしくは嫌気性グラム陽性細菌または好気性もしくは嫌気性グラム陰性細菌により引き起こされる疾患または障害の処置のための医薬組成物。
【請求項16】
疾患または障害がメタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陽性細菌により引き起こされるものである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
疾患または障害が肺炎、気道感染症、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、血流感染、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択される、請求項15または16に記載の使用の医薬組成物。
【請求項18】
疾患または障害が院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
疾患または障害が院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症および敗血症から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物とともに1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、細菌感染の処置のための医薬組成物。
【請求項21】
抗菌剤と組み合わせて含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
抗菌剤が同一の投与形態で存在するものである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
抗菌剤がカルバペネム系薬剤である、請求項21または22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
カルバペネム系薬剤がメロペネム、ファロペネム、イミペネム、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム/ベタミプロンおよびビアペネム、ラズペネム、テビペネム、レナペネムおよびトモペネムから成る群から選択されるものである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
抗菌剤がメロペネムである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
細菌感染が、1以上の次の科:ストレプトコッカス、アシネトバクター、スタフィロコッカス、クロストリジウム、シュードモナス、大腸菌、サルモネラ、クレブシエラ、レジオネラ、ナイセリア、エンテロコッカス、エンテロバクター、セラチア、ステノトロホモナス、エロモナス、マイコバクテリウム、モーガネラ、エルシニア、パスツレラ、ヘモフィラス、サイトロバクター、バークホルデリア、ブルセラまたはモラクセラから選択される細菌により引き起こされるものである、請求項20~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
細菌感染の予防または処置のための医薬の製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
【請求項28】
疾患または障害の予防または処置のための医薬の製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
【請求項29】
疾患または障害が好気性もしくは嫌気性グラム陽性細菌または好気性もしくは嫌気性グラム陰性細菌により引き起こされるものである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
疾患または障害がメタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陽性細菌により引き起こされるものである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
疾患または障害が肺炎、気道感染症、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、血流感染、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択されるものである、請求項29または30に記載の使用。
【請求項32】
疾患または障害が院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択されるものである、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
疾患または障害が院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症および敗血症から選択されるものである、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物が、更に抗菌剤と組み合わせて使用される、請求項27または28に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イントロダクション
本発明は、他の抗菌剤と組み合わせて、より具体的には、カルバペネム系薬剤として知られるクラスの抗菌剤と組み合わせて細菌感染を処置するために使用され得る化合物に関する。本発明の新規化合物は、酵素阻害剤、より具体的には、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤である。
【0002】
毎年、欧州全体で、400万を超える人々が医療関連細菌感染に罹り、約37,000人が死亡している(英国公衆衛生庁)。多剤耐性細菌の有病率の増加は患者の転帰を悪化させ、入院期間を延長させ、「最後の手段」ならびにコリスチンおよびポリミキシンBのような潜在的に有毒な抗菌剤を必要とする。何もしなければ、2050年までに、抗生物質耐性細菌は毎年1,000万人を超える死者をもたらすと推測され、これは100兆米ドルの経済的負担に等しい。
【0003】
診療所では、抗生物質耐性グラム陰性病原体は肺炎、血流感染、手術部位感染、皮膚および軟組織感染ならびに尿路感染を含む様々な感染を引き起こす。これらの生物についての有効な処置選択肢は限られており、経験的抗生物質療法は、ESKAPE病原体群(エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマンニー(Acinetobacter baumannii)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)およびエンテロバクター種)のグラム陰性生物に感染した患者においてしばしば失敗する。
【0004】
2017年2月、世界保健機関(WHO)は、加盟国が研究開発を最も必要としている分野に集中することを支援するために、細菌病原体の優先順位リストを発行した。これらの細菌について、WHOは次のグラム陰性生物を最優先として分類した:カルバペネム耐性アシネトバクター・バウマンニー(A. baumannii);カルバペネム耐性シュードモナス・エルギノーザ(P. aeruginosa);カルバペネム耐性およびESBL産生腸内細菌(クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae)および大腸菌(E. coli)を含む)。その結果、カルバペネム耐性グラム陰性細菌は、重要な未充足の医療ニーズとして定義された。β-ラクタム、例えばカルバペネム系薬剤の作用機序は、細菌細胞壁のペプチドグリカン鎖に結合するトランスペプチダーゼの活性部位への共有結合を含む。これは細胞壁合成の阻害、および最終的には細胞死をもたらす。カルバペネム系薬剤の利点は、多くの他のβ-ラクタムと比較して活性スペクトルがより広いことであり、最近まで、それらの使用は耐性発現による顕著な影響を受けていなかった。
【0005】
多剤耐性グラム陰性に対する最終防衛ラインとしてのカルバペネム系薬剤の使用は、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)クラスからのカルバペネマーゼの出現により損なわれた。これらの酵素はカルバペネム系薬剤に結合し、β-ラクタム環を開裂させ、抗生物質の不活性化をもたらす。Ambler分類系は、アミノ酸配列に応じて既知のβ-ラクタマーゼ酵素を4つのクラスに分類する。クラスA、CおよびDのβ-ラクタマーゼは酵素の活性部位内でのセリン基の、β-ラクタム環のカルボニル基への一時的な結合によりβ-ラクタムを開裂させる。これはアシル酵素の形成およびβ-ラクタム環の開裂をもたらす。続いて、活性化された水分子がアシル-酵素中間体を脱アシル化し、セリンおよびカルボニル間の結合を加水分解し、不活性化されたβ-ラクタムを放出する。MBLは機構的におよび構造的に、クラスA、CおよびDのセリン-β-ラクタマーゼとは別個のものである。この場合、β-ラクタムの開裂は、共有結合性の中間体を形成することなく、一工程で起こる。MBLはそれらの活性部位のHis、CysおよびAsp残基に水分子および亜鉛イオンを配位させ、水分子はβ-ラクタム環内の求核攻撃および結合開裂を促進する。MBLのサブクラスは構造的に多様であり、活性部位に2個の亜鉛イオンを含み、幅広い基質プロファイルを示すB1およびB3酵素を有する。B2群酵素は単一の亜鉛イオンに依存し、カルバペネム系薬剤のみを加水分解する。臨床的に、NDM、VIMおよびIMPを含むB1クラスのMBLは最も一般的であり、可動遺伝因子中でしばしば特定される。
【0006】
既存のセリン-β-ラクタマーゼ阻害剤(AmblerクラスA、Cおよび一部のクラスD β-ラクタマーゼに対して有効である)は、多数のβ-ラクタムの活性を十分に回復させている。阻害剤は、β-ラクタムの結合を効果的に打ち負かす高い親和性により酵素の活性部位に一時的にまたは持続的に結合する。市販のβ-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤の組合せは、アモキシリンとクラブラン酸(Co-amoxiclav)およびセフタジジムとアビバクタム(Avycaz)を含む。現在、臨床開発中のまたは臨床的に利用可能なメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤(MBLI)は存在せず、これはカルバペネム系薬剤の活性を回復させる広スペクトルのMBLIについての商業的な可能性を示す。
【0007】
臨床的に初めて使用されたカルバペネム系薬剤は、複合微生物感染を処置するためのイミペネムであった。イミペネムの欠点は、デヒドロペプチダーゼI(DHPI)による、哺乳動物の腎臓における加水分解であり、デヒドロペプチダーゼ阻害剤シラスタチンとの共製剤を必要とする。メロペネムを含むその後次々開発されたカルバペネム系薬剤は、カルバペネム部分の1-β位のメチル基の存在のため、DHPI加水分解の影響を受けない。メロペネムはイミペネムよりグラム陽性病原体に対する効果が低いが、グラム陰性生物に対して高い効果を有し、臨床で広く使用される。カルバペネム系薬剤に対する耐性に対抗するために、我々はメタロ-β-ラクタマーゼ酵素を阻害する一連の化合物を発見した。その化合物は、メロペネムと共投与されたとき、メロペネムの有効性を顕著に改善する。本発明は特に、これらの化合物およびメロペネムのようなカルバペネム系薬剤とこれらの化合物の組合せ剤に関する。本発明はまた、前記化合物の使用方法および前記化合物を含む医薬製剤に関する。
【0008】
他の承認されたカルバペネム系薬剤もまた、本発明の化合物との共製剤からの利益を享受することが考えられる。現在承認されている他のカルバペネム系薬剤は、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム、ビアペネムおよびテビペネムを含む。
【背景技術】
【0009】
比較的最近まで、細菌感染は最も一般的な死亡、目立つ傷および身体障害の原因であった。19世紀の間に、一連の抗生薬物クラスが開発された、つまり、細菌感染の十分な処置が日常的となった。しかしながら、抗生物質に対する微生物耐性が重要な問題となってきており、大勢の人が、これはヒトの健康に対する最も重要な課題の一つとなるであろうと考えらている。実際に、いくつかの細菌病原体において多剤耐性が既に一般的になっている。
【0010】
最大の未充足の医療ニーズは、多剤耐性グラム陰性菌に対する効果的な治療の不足である。従って、WHOのリストに掲載された重大な懸念のある病原体に対して活性な新規抗生物質または既存の細菌耐性メカニズムを回避する新規薬物の発見が不可欠である。
【0011】
国際公開第2015/112441号には、細菌のβ-ラクタム抗生物質耐性を低減することを意図する一連の新規メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤およびそれらの使用が開示されている。化合物は、一連の置換された1Hおよび2H-テトラゾール-5-イルフェニルスルホンアミドである。
【0012】
また米国出願第2016/0272601号には、β-ラクタム抗生物質と組み合わせて使用するための一連の新規化合物およびそれらのメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤としての使用が開示されている。本開示の化合物はチアゾール-4-カルボン酸誘導体である。
【0013】
国際公開第2017/093727号には、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤であり、細菌感染の処置に使用され得る別の一連の化合物が開示されている。本開示の例示的な化合物は、一連の置換1H-インドールである。
【0014】
β-ラクタム、例えば、カルバペネム系薬剤、特にメロペネムの望まない代謝を阻止し得るまたは遅延させ得る化合物を提供することは、本発明の特定の実施態様の目的である。さらなる目的は、抗生物質耐性生物を含むグラム陰性細菌に対して活性な本発明の化合物を含むカルバペネム系薬剤、例えば、メロペネムの製剤を提供することである。1以上の他の抗生物質に耐性の細菌株に対して活性な製剤に含まれ得る化合物を提供することは、本発明の特定の実施態様の目的である。多様な種々の感染に対する当分野で既知の膨大な種々の抗生物質にも関わらず、確実な方法で有効な処置を提供し得る抗生物質を開発することが必要とされ続けている。さらに、既知の抗生物質に関連する副作用を回避または低減し得る薬物に対する需要が未だ存在する。特定の実施態様のさらなる目的は、選択された目的の部位で、選択的に有効な処置を提供することである。特定の実施態様の別の目的は、投与後に適切な薬物動態プロファイルおよび作用期間を有する薬物を開発することである。
【0015】
本発明は、既知のカルバペネム系薬剤の欠点を克服することを目的とする。本発明はまた、既存のカルバペネム系薬剤、例えば、メロペネムの有効性を改善することを目的とする。特定の実施態様において、本発明は、抗生物質耐性細菌株に対する抗生物質(特に、カルバペネム系薬剤)の活性を回復または延長し得る化合物を提供することを目的とする。メタロ-β-ラクタマーゼ酵素、例えば、VIM、NDMおよびIMPの一部および全ての幅広いスペクトルを有する、細菌株に対する抗生物質の抗生物質有効性を増加させることもまた、本発明の特定の実施態様の目的である。
【0016】
グラム陰性細菌の耐性株に対して活性な新たな抗生物質製剤を提供することは、本発明の特定の実施態様の目的である。本発明の特定の実施態様のさらなる目的は、吸収後の代謝された薬物の1以上のフラグメントがGRAS (Generally Regarded As Safe)である抗生物質製剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、種に依存的ではないおよび/または代謝の違いによる患者間の変動を低減するプロドラッグを提供することである。本発明の別の目的は、食事時間に関連して投与スケジュールを注意深く制御する必要なしに、食後または空腹時の患者に投与できるという意味で、食事の影響を克服できるプロドラッグを提供することである。
【0017】
本発明の新規化合物は、上記目的の一部または全てを充足する。
【0018】
発明の詳細な説明
第一の態様において、本発明は式(I):
【化1】
〔式中、
XおよびYの一方はNであり、他方はCであり;
Lは-(CH)-Q-(CH)-から選択されるリンカー基であり、ここでQはO、NH、SO、C=CおよびC≡Cから成る群から選択されるか、Qは存在せず;
は環:
【化2】
(式中、
(a)T、V、WおよびZの全てはCである、または(b)TはCであり、V、WおよびZの1つまたは2つはNであり、それらの残りはCである、または(c)Tは存在せず、V、WおよびZの1つはCであり、他の2つはNである)
から選択される;または
は1個のR基および0個、1個または2個のR基で置換された単環式または二環式環であり;
は-C(O)OH、-C(O)OMまたは
【化3】
であり;ここでMは第1族陽イオンであり;
は存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCOR、-CON(R)および-CORから成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(R)、-OH、-C(=O)C1-6アルキル、-SON(C1-6アルキル)、-(CH)OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキルおよびC3-8シクロアルケニルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
およびRは、各々の場合において、それ自体、H、ハロ、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルケニル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され;ここでRおよびRの各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-NH、-N(C1-4アルキル)、-OH、-SON(C1-4アルキル)、-NHC(=O)OC1-6アルキルおよび-C(=O)OC1-6アルキルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
はH、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルから成る群から選択され;
はH、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルキルアミン、C3-8シクロアルキルならびにアリールおよび5~10員ヘテロアリールから成る群から選択され;
a、b、d、e、f、gおよびhは独立して、0~3の整数として選択され;
nは0~2から選択され;そして
【化4】
は価数の要件を満たすように単結合または二重結合を表す〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
ある実施態様において、本発明は式(I):
【化5】
〔式中、
XおよびYの一方はNであり、他方はCであり;
Lは-(CH)-Q-(CH)-から選択されるリンカー基であり、ここでQはO、NH、SO、C=CおよびC≡Cから成る群から選択されるか、Qは存在せず;
は環:
【化6】
(式中、
(a)T、V、WおよびZの全てはCである、または(b)TはCであり、V、WおよびZの1つまたは2つはNであり、それらの残りはCである、または(c)Tは存在せず、V、WおよびZの1つはCであり、他の2つはNである)
から選択される;または
は1個のR基および0個、1個または2個のR基で置換された単環式または二環式環であり;
は-C(O)OH、-C(O)OMまたは
【化7】
であり;ここでMは第1族陽イオンであり;
は存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCOR、-CON(R)および-CORから成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(R)、-OH、-C(=O)C1-6アルキル、-SON(C1-6アルキル)、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキルおよびC3-8シクロアルケニルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
およびRは、各々の場合において、それ自体、H、ハロ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルケニル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され;ここでRおよびRの各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-NH、-N(C1-4アルキル)、-OH、-SON(C1-4アルキル)および-C(=O)OC1-6アルキルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
はH、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルから成る群から選択され;
はH、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-8シクロアルキルならびにアリールおよび5~10員ヘテロアリールから成る群から選択され;
a、b、d、e、fおよびgは独立して、0~3の整数として選択され;
nは0~2から選択され;そして
【化8】
は価数の要件を満たすように単結合または二重結合を表す〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
実施態様において、本発明は式(I):
【化9】
〔式中、
XおよびYの一方はNであり、他方はCであり;
Lは-(CH)-Q-(CH)-から選択されるリンカー基であり、ここでQはO、NH、SO、C=CおよびC≡Cから成る群から選択されるか、Qは存在せず;
は環:
【化10】
(式中、
(a)T、V、WおよびZはCである、または(b)TはCであり、V、WおよびZの1つまたは2つはNであり、それらの残りはCである、または(c)Tは存在せず、V、WおよびZの1つはCであり、他の2つはNである)
から選択される;または
は1個のR基および0個、1個または2個のR基で置換された単環式または二環式環であり;
は-C(O)OHまたは
【化11】
であり;
は存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリル、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCORおよび-CON(R)から成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(R)、-OH、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキルおよびC3-8シクロアルケニルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
およびRは、各々の場合において、それ自体、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルケニル、-(CH)-アリール、-(CH)-ヘテロアリール、-(CH)-ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され;ここでRおよびRの各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(C1-4アルキル)、-OHおよび-SON(C1-4アルキル)から成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよく;
はH、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルから成る群から選択され;
はH、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、およびアリールから成る群から選択され;
a、b、d、e、fおよびgは独立して、0~3の整数として選択され;
nは0~2から選択され;そして
【化12】
は価数の要件を満たすように単結合または二重結合を表す〕
の化合物を提供する。
【0021】
ある実施態様において、式(I)の化合物は式(II):
【化13】
の化合物であり、ここで、式(I)の前記定義が適用される。
【0022】
ある実施態様において、式(I)の化合物は式(III):
【化14】
の化合物であり得て、ここで、式(I)の前記定義が適用される。
【0023】
ある実施態様において、式(III)の化合物は式(IV):
【化15】
の化合物であり得て、ここで、式(I)の前記定義が適用される。
【0024】
ある実施態様において、式(I)の化合物は式(V):
【化16】
の化合物であり得て、ここで、式(I)の前記定義が適用される。
【0025】
ある実施態様において、式(I)の化合物は式(VI):
【化17】
の化合物であり得て、ここで、式(I)の前記定義が適用される。
【0026】
従って、ある実施態様において、YはNであり、XはCである。
【0027】
別の実施態様において、YはCであり、XはNである。
【0028】
ある実施態様において、Rは3~10員単環式または二環式環である。ある実施態様において、Rは単環式または二環式環(場合により、1個のR基および0個、1個または2個のR基で置換されていてよい3~10員単環式または二環式環)である。Rは炭素環式もしくはヘテロ環式単環式または二環式環であり得る。R基および該または各R基は、存在するとき、価数を考えて可能である場合、単環式または二環式環系における環原子上で置換される。当業者により理解されるように、二環式環は縮合環系であり得る。好ましい縮合環系は、[6,5]および[6,6]縮合環系である。これらは芳香族、部分飽和または全飽和であり得る。好ましい単環式環系は5個または6個の環原子を含む。
【0029】
従って、Rは、[6,5]縮合環系;[6,6]縮合環系;3員環;4員環;5員環または6員環から選択される芳香族、部分飽和または完全飽和環系であり得る。
【0030】
従って、Rは、[6,5]縮合環系;[6,6]縮合環系;5員環または6員環から選択される芳香族、部分飽和または完全飽和環系であり得る。さらに、従って、Rは、[6,5]炭素環式またはヘテロ環式縮合環系;[6,6]炭素環式またはヘテロ環式縮合環系;3員炭素環式環;4員炭素環式またはヘテロ環式環;5員炭素環式またはヘテロ環式環または6員環から選択される芳香族、部分飽和または完全飽和環系であり得る。
【0031】
が6員環であるとき、R置換基は、存在するとき、好ましくは、式(I)の化合物におけるその結合点に対してパラ位に存在する。
【0032】
ある実施態様において、Rは芳香環系である。ある実施態様において、Rは縮合二環式芳香環系である。Rはまた、単環式芳香環系であり得る。芳香環系は炭素環式またはヘテロ環式であり得る。特定の場合において、縮合二環式環は、2つの環の一方のみが芳香族であるという意味で、部分的に芳香族である。いくつかの実施態様において、Rは部分的に芳香族である縮合二環式環系である。
【0033】
は、5員ヘテロアリール、6員ヘテロアリール、6員アリール、10員ヘテロアリール、6員シクロアルキル、6員ヘテロシクロアルケニル、6員ヘテロシクロアルキル、5員シクロアルキル、3員シクロアルキルまたは4員ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0034】
このような環の例は、置換または非置換キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリンである。
【0035】
いくつかの場合において、二環式環系は単結合を介して結合した2つの環を含み得る。
【0036】
いくつかの実施態様において、R
【化18】
から選択される。
【0037】
いくつかの実施態様において、R
【化19】
から選択される。
【0038】
いくつかの実施態様において、R
【化20】
から選択される。
【0039】
いくつかの実施態様において、Rはアリールであり、好ましくは置換または非置換フェニルである。
【0040】
はフェニル、ピリジン、ピラゾール、シクロヘキシル、キノリン、テトラヒドロピリジン、ピリジノン、シクロペンチル、ピペリジン、ピリミジンおよびアゼチジニルから選択され得る。
【0041】
いくつかの実施態様において、R
【化21】
【化22】
【化23】
から選択される。
【0042】
の他の好ましい例は、
【化24】
を含む。
【0043】
が二環式環である場合、その環は二環式ヘテロアリール環であり得る。好ましい環は
【化25】
を含む。
【0044】
別の実施態様において、Rは飽和または部分飽和環系である。ある実施態様において、Rは縮合二環式環系である。Rはまた、単環式環系であり得る。環系は、炭素環式またはヘテロ環式であり得る。
【0045】
が飽和環であるとき、その環は炭素環式またはヘテロ環式であり得て、結果的に、その環はピロール中心に炭素で結合し得るか、窒素で結合し得る。炭素で結合する環の場合、好ましい環は
【化26】
を含む。
【0046】
窒素で結合する環の場合、好ましいR基は
【化27】
を含む。
【0047】
別の好ましい実施態様において、R
【化28】
〔式中、
T、V、WおよびZの全てはCであり、
nは1または2である〕
である。
【0048】
の別の実施態様において、TはCであり、VはCであり、WはNであり、ZはCである。
【0049】
さらに別のRの実施態様において、TはCであり、VはCであり、WはCであり、ZはNである。
【0050】
さらに別のRの実施態様において、TはCであり、VはNであり、WはCであり、ZはCである。
【0051】
別のRの好ましい実施態様において、Tは存在せず、VはNであり、WはCであり、ZはNである。
【0052】
ある実施態様において、Rは-C(O)OHまたは-C(O)OMである。ある実施態様において、Rは-C(O)OHである。ある実施態様において、Rは-C(O)OMである。
【0053】
あるいは、R
【化29】
であり得る。
【0054】
ある実施態様において、Rは存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、-(CH)-C6-10アリール、-(CH)-5~10員ヘテロアリール、-(CH)-3~10員ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCOR、-CON(R)および-CORから成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(R)、-OH、-C(=O)C1-6アルキル、-SONC1-6アルキル、-(CH)OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキルおよびC3-8シクロアルケニルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよい。
【0055】
ある実施態様において、Rは存在しないか、価数の要件を満たすようにH、ハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、-(CH)-C6-10アリール、-(CH)-5~10員ヘテロアリール、-(CH)-3~10員ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSO、-NHCOR、-CON(R)および-CORから成る群から適宜選択され、ここでH以外の上記置換基の各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-N(R)、-OH、-C(=O)C1-6アルキル、-SONC1-6アルキル、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキルおよびC3-8シクロアルケニルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよい。
【0056】
ある実施態様において、Rは存在しないか、価数の要件を満たすようにハロ、CN、オキソ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、3~10員ヘテロシクリル、-OR、-N(R)、-SO、-SON(R)、-NHSOおよび-CORから成る群から適宜選択され、上記置換基(好ましくは3~10員ヘテロシクリル)の各々は、ハロ、-C(=O)C1-6アルキルまたは-SON(C1-6アルキル)から成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基(好ましくは1個または2個の基)で場合により置換されていてよい。
【0057】
ある実施態様において、Rは存在しないか、価数の要件を満たすようにメチル、フルオロ、-CN、=O、-OH、-OMe、-NH、-COOH、-C(=O)Me、-SOMe、-SONMe、-SONH(CH)NH、-SONH(CH)NHC(=O)OBu、-C(=O)CHNH、-C(=O)CHOH、-C(=O)CHNH、-C(=O)(CH)NH、-C(=O)C(CH)NH、-C(=O)C(シクロプロピル)NH、-C(=O)CH(CH)NH、-C(=O)NH、-C(=O)NHMe、-C(=O)NH(CH)NH、-C(=O)NH(CH)NH、-C(=O)-ピラゾリル、-C(=O)-メチルピラゾリル、-C(=O)CH(NH)CF、-NHC(=O)Me、-NHC(=O)-シクロプロピル、-NHSO(CH)NH、-NHSO-イミダゾリル、-NHSO-フェニル、-NHSO-イソプロピル、-NHSO-シクロプロピル、-CH-モルホリン、ピリジン、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ピペラジン、-O-ピペリジン、-SONMe置換ピペリジン、-C(=O)Me置換ピペリジン、-(CH)O-ベンジル置換ピペリジン、-(CH)OHピペリジン、モルホリン、-NHSO-シクロプロピルまたは-SO-ピペラジンから成る群から適宜選択される。
【0058】
ある実施態様において、Rは存在しないか、価数の要件を満たすようにメチル、フルオロ、-CN、=O、-OH、-OMe、-NH、-SOMe、-SONMe、-SONH(CH)NH、-C(=O)CHNHピリジン、ピペリジン、-SONMe置換ピペリジン、-C(=O)Me置換ピペリジン、モルホリン、-NHSO-シクロプロピルまたは-SO-ピペラジンから成る群から適宜選択される。
【0059】
ある実施態様において、Rはアリールまたはヘテロシクリルである。ある実施態様において、RはC6-10アリールまたは5~10員ヘテロシクリル(場合によりヘテロアリール)である。ある実施態様において、Rはフェニルである。別の実施態様において、Rはヘテロシクリル、すなわち、ヘテロ環式環である。ヘテロ環式環は置換または非置換ピリジン環であり得る。別の実施態様において、Rは置換または非置換ピペリジンである。
【0060】
ある実施態様において、Rは置換もしくは非置換フェニル、ピリジルまたはピラゾールである。ピリジル基は3-ピリジルまたは4-ピリジル基であり得る。
【0061】
の好ましい例は、-NH、オキソ、メチル、-SOMe、-SON(Me)および4-ピペリジニルから選択される。
【0062】
は、各々の場合において、それ自体、H、ハロ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルケニル、-(CH)-C6-10アリール、-(CH)-5~10員ヘテロアリール、-(CH)-3~10員ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され、ここでRの各々は、各々の場合において、それ自体、ハロ、-NH、-N(C1-4アルキル)、-OH、-SON(C1-4アルキル)および-C(=O)Otert-ブチルから選択されるから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよい。
【0063】
ある実施態様において、Rは、各々の場合において、それ自体、H、ハロ、置換または非置換C1-6アルキルおよび置換または非置換C3-8シクロアルキルから成る群から選択される。
【0064】
ある実施態様において、Rは、各々の場合において、それ自体、H、ハロ、非置換C1-6アルキルおよび非置換C3-8シクロアルキルから成る群から選択される。
【0065】
好ましくは、RはH、フルオロまたはMeである。
【0066】
は、各々の場合において、それ自体、H、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルケニル、-(CH)-C6-10アリール、-(CH)-5~10員ヘテロアリール、-(CH)-3~10員ヘテロシクリルから成る群から独立して選択され;ここで、各Rは、各々の場合において、それ自体、ハロ、-NH、-N(C1-4アルキル)、-OH、-SON(C1-4アルキル)、-NHC(=O)Otert-ブチルおよび-C(=O)Otert-ブチルから成る群から独立して選択される、化学的に可能な1個、2個または3個の基で場合により置換されていてよい。
【0067】
は、各々の場合において、それ自体、H、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C3-8シクロアルキルから成る群から独立して選択され;ここで、各Rは、各々の場合において、それ自体、-NH、-OH、-SON(C1-4アルキル)、-NHC(=O)Otert-ブチルおよび-C(=O)Otert-ブチルから成る群から選択される、化学的に可能な1個または2個の基で場合により置換されていてよい。
【0068】
は独立して、各々の場合において、それ自体、H、-OH、メチル、プロピル、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、トリフルオロエチルアミン、ピペリジン、シクロプロピル、シクロプロピルアミン、-CHOH-(CH)NHC(=O)Otert-ブチル、メチルピラゾール、ピペラジン、-C(=O)Otert-ブチルで置換されたピペラジンから成る群から選択される。
【0069】
ある実施態様において、RはH、置換または非置換C1-6アルキルおよび置換または非置換C3-8シクロアルキルから成る群から選択される。好ましくは、RはHである。
【0070】
ある実施態様において、RはH、Me、エチルまたはCFである。ある実施態様において、RはH、MeまたはCFである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0071】
他の実施態様において、RはC1-4アルキルまたはC6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールまたはC1-4アルキルアミンまたはC3-8シクロアルキルである。ある実施態様において、Rはイソプロピル、エチルアミンシクロプロピル、フェニル、メチルイミダゾリルまたはピリジルである。ある実施態様において、RはC3-8シクロアルキルである。場合により、Rはシクロプロピルでよい。
【0072】
ある実施態様において、Lは存在しないか、-CH-、-CHNH-、-O-または-OCH-である。ある実施態様において、Lは存在しない。別の実施態様において、LはOまたはNHである。ある実施態様において、Lは-CH-または-CHCH-であり得る。
【0073】
ある実施態様において、aは0または1である。ある実施態様において、aは0である。
【0074】
ある実施態様において、bは0または1である。ある実施態様において、bは0である。
【0075】
ある実施態様において、dは0または1である。ある実施態様において、dは0である。
【0076】
ある実施態様において、eは0または1である。ある実施態様において、eは0である。
【0077】
ある実施態様において、fは0または1である。ある実施態様において、fは0である。
【0078】
ある実施態様において、gは0または1である。ある実施態様において、gは0である。
【0079】
ある実施態様において、hは0、1または2である。ある実施態様において、hは0である。ある実施態様において、hは1である。
【0080】
ある実施態様において、MはNaまたはKであり、好ましくはNaである。
【0081】
多様な置換基についての上記の多様な実施態様は、互いに独立して適用され得る。これらの実施態様は、下記の本発明の他の全ての態様に同様に適用される。
【0082】
本発明の実施態様において、式(I)の化合物は、
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
から選択される化合物であり得る。
【0083】
本発明のさらなる態様によって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物とともに1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0084】
本発明の化合物は、本明細書全体を通して、化合物または化合物の塩として記載される。化合物が塩に変換され得て、塩が化合物、換言すると塩に対応する遊離酸または遊離塩基に変換され得ることは、当業者により理解される。従って、化合物が開示される場合または塩が開示されるとき、本発明はまた、必要に応じて対応する塩形態、遊離酸形態または遊離塩基形態を含む。例えば、下記の塩の開示はまた、同様に下に示す対応する遊離酸の開示も含む。これは本明細書に開示される全ての化合物または塩に適用される。
【化36】
【0085】
本発明の化合物は、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)阻害剤である。上記のように、多くの細菌はβ-ラクタム抗菌(BLA)に対して獲得した耐性を有し、主な耐性メカニズムの一つは、MBLによるBLAの加水分解である。本発明の化合物は、この問題を解決する。特に、これらの化合物の1以上が本発明の化合物とともに投与されるとき、式(I)の化合物による細菌MBLの阻害はBLA活性を顕著に向上させ得る。
【0086】
式(I)の化合物および式(I)の化合物を含む組成物を用いて処置され得る細菌感染は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌により引き起こされる細菌感染を含む。例えば、細菌感染は、1以上の次の科;ストレプトコッカス、アシネトバクター、スタフィロコッカス、クロストリジウム、シュードモナス、大腸菌、サルモネラ、クレブシエラ、レジオネラ、ナイセリア、エンテロコッカス、エンテロバクター、セラチア、ステノトロホモナス、エロモナス、マイコバクテリウム、モーガネラ、エルシニア、パスツレラ、ヘモフィラス、サイトロバクター、バークホルデリア、ブルセラまたはモラクセラから選択される細菌により引き起こされ得る。
【0087】
本発明により標的とされる細菌の特定の例は、次の科の細菌:大腸菌、アシネトバクター、シュードモナスおよびクレブシエラの細菌株を含む。
【0088】
細菌感染は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)またはクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)から選択される1以上の細菌により引き起こされ得る。
【0089】
本発明のある態様において、本発明はメタロ-β-ラクタマーゼ活性の阻害に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
【0090】
別の態様において、本発明はメタロ-β-ラクタマーゼ活性が関与する疾患または障害の処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
【0091】
ある実施態様において、本発明の化合物は好気性もしくは嫌気性グラム陽性菌または好気性もしくは嫌気性グラム陰性細菌により引き起こされる疾患または障害の処置に使用するためのものであり得る。ある実施態様において、疾患または障害は、メタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陽性細菌により引き起こされる。
【0092】
ある実施態様において、本発明の化合物は、肺炎、気道感染症、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、血流感染、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択される疾患または障害の処置における使用のためのものであり得る。
【0093】
ある実施態様において、本発明の化合物は、院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択される疾患または障害の処置における使用のためのものであり得る。
【0094】
ある実施態様において、本発明の化合物は、院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症および敗血症から選択される疾患または障害の処置における使用のためのものであり得る。
【0095】
ある実施態様において、本発明の化合物は、1以上のBLAと組み合わせて投与する処置方法における使用のためのものであり得る。
【0096】
化合物または式(I)の化合物の投与は、同一の投与形態に全て存在する1以上のBLAと共投与され得るか、1以上のBLAが別個の投与形態に存在し、かつ1以上の式(I)の化合物が別個の投与形態に存在する場合があり得る。好ましい実施態様において、有効な抗菌処置は、式(I)の化合物およびBLAから成る。BLAは、好ましくはメロペネムである。別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、好ましくはメロペネムであり得るBLAと、単一の製剤、すなわち単一の投与形態で、共投与され得る。
【0097】
式(I)の化合物は経口使用に適切な投与形態で(例えば、錠剤、ロゼンジ剤、硬カプセル剤または軟カプセル剤、水性または油性懸濁剤、エマルジョン剤、分散性粉末剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤)で存在し得るか、それらは局所使用に適切なもの(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤または水性もしくは油性溶液剤もしくは懸濁剤)であり得る。他の適切な投与形態はまた、吸入による(例えば、微粉末剤または液体エアロゾル剤としての)投与、吹き入れによる(例えば、微粉末剤としての)投与または非経腸投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内もしくは筋肉内投与のための無菌水性もしくは油性溶液剤または直腸投与のための坐剤)を意図する投与形態を含む。好ましい実施態様において、経口または静脈内投与が好ましく、静脈内投与が最も好ましい。
【0098】
経口投与製剤は、活性化合物とともに、1以上の賦形剤:希釈剤、滑沢剤、結合剤、乾燥剤、甘味剤、風味剤、着色剤、湿潤剤および発泡剤を含み得る。
【0099】
MBLおよびBLAが別個の投与形態で存在するならば、これらは同時にまたは逐次的に投与され得る。通常、MBL、すなわち式(I)の本発明の化合物、およびBLA、すなわち抗菌化合物を単一の投与形態で投与することが好ましい。好ましくは、これは静脈内投与形態であり、より好ましくは固体投与形態である。錠剤、カプセル剤およびカプレット剤が特に好ましい。
【0100】
細菌を含む細胞または実際の他の生物学的材料またはサンプルを本発明の化合物と効率的に接触させる方法は、細菌を本発明の化合物に曝露することを意味する。
【0101】
式(I)の化合物はメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤であり、従って、本発明はインビトロまたはインビボの細菌メタロ-β-ラクタマーゼ活性の阻害方法を提供する。本方法は、細胞を有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と接触させること、または細胞を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む医薬組成物と接触させることを含む。
【0102】
従って、本発明のある態様において、細胞を有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と接触させること;または細胞を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む医薬組成物と接触させることを含む、インビトロまたはインビボの細菌メタロ-β-ラクタマーゼ活性の阻害方法が提供される。
【0103】
本発明はまた、処置を必要とする患者に治療有効量の抗菌剤と式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の組合せ剤を投与すること;または処置を必要とする患者に治療有効量の抗菌剤を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む医薬組成物と組み合わせて投与することを含む、前記患者における細菌感染の予防または処置方法を提供する。
【0104】
本発明はまた、処置を必要とする患者に治療有効量の抗菌剤と式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の組合せ剤を投与すること;または処置を必要とする患者に治療有効量の抗菌剤を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む医薬組成物と組み合わせて投与することを含む、疾患または障害の予防または処置方法を提供する。
【0105】
ある実施態様において、本発明は、好気性もしくは嫌気性グラム陽性細菌または好気性もしくは嫌気性グラム陰性細菌により引き起こされる疾患または障害の予防または処置方法を提供する。ある実施態様において、疾患または障害はメタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陽性細菌により引き起こされる。
【0106】
ある実施態様において、本発明は、肺炎、気道感染症、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、血流感染、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎ならびに発熱性好中球減少症から選択される疾患または障害の予防または処置方法を提供する。
【0107】
ある実施態様において、本発明は、院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症、敗血症、分娩時および分娩後感染症、人工関節感染、心内膜炎、急性細菌性髄膜炎および発熱性好中球減少症から選択される疾患または障害の予防または処置方法を提供する。
【0108】
ある実施態様において、本発明は、院外感染性肺炎、院内肺炎(院内感染/人工呼吸器関連)、嚢胞性線維症に関連する気道感染症、非嚢胞性線維症性気管支拡張症、COPD、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、菌血症ならびに敗血症から選択される疾患または障害の予防または処置方法を提供する。
【0109】
ある実施態様において、抗菌剤はカルバペネム系薬剤である。カルバペネム系薬剤の非限定的な例は、メロペネム、ファロペネム、イミペネム、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム/ベタミプロンおよびビアペネムならびにラズペネム、テビペネム、レナペネムおよびトモペネムを含む。
【0110】
本発明はまた、細胞を有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と適切な抗菌剤との組合せ剤に接触させることを含む、細菌感染の阻害方法を提供する。細胞の接触はインビトロまたはインビボで実施され得て、インビボでの接触が好ましい。
【0111】
本発明の別の態様は、治療に使用するための式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。
【0112】
本発明のさらなる態様は、細菌感染の処置に使用するための式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含む医薬を提供する。処置は治癒的であり得るか、予防的、すなわち予防であり得る。好ましい実施態様において、処置は治癒的であり;これは処置が細菌感染の全体的なレベルを低減することを意味する。
【0113】
本発明のさらなる態様は、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物およびBLAを含む医薬組成物を含む部分のキットを提供する。そのキットは細菌感染の処置および/または式(I)の化合物の組合せ投与を提供する包装における説明書とともに提供され得る。
【0114】
本明細書において使用される化学用語は、当分野で一般的に容認されるそれらの意味を有する。
【0115】
用語「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
【0116】
用語「アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖両方のアルキル基およびその類縁体を含む。「プロピル」のような個々のアルキル基への言及は直鎖型のみに特定的であり、「イソプロピル」のような個々の分岐鎖アルキル基への言及は分岐鎖型のみに特定的である。同様に、C4アルキルは直鎖ブチル、第二級ブチル(sec-ブチル)または第三級ブチル(tert-ブチル)であり得る。各々の場合、この用語は、その用語の他の意味とは独立して、上記の定義内で任意の意味を有し得る。複数の機会で使用され、全体の定義された意味から各々の機会に独立して選択される、本明細書で定義される他の用語についても、同様の解釈を適用する。
【0117】
疑念を避けるために、用語「C3-8シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子を含む炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはビシクロ[2.2.1]ヘプチルを意味し;用語「C3-8シクロアルケニル」は少なくとも1個の二重結合を含む炭化水素環、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニル、例えば3-シクロヘキセン-1-イルまたはシクロオクテニルを意味する。
【0118】
用語「アリール」は、5~12個の炭素原子を有する単環式または多環式芳香環を意味する。用語アリールは、一価の種および二価の種の両方を含む。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどを含む。特に、ある実施態様において、アリールはフェニルである。
【0119】
ヘテロ環式環は飽和、不飽和または芳香族であり得る。芳香族ヘテロ環式種は、一般に、ヘテロアリール環と称される。
【0120】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式」または「ヘテロ環」は、非芳香族飽和または部分飽和単環式、縮合、架橋またはスピロ二環式ヘテロ環式環系を意味する。用語ヘテロシクリルは、一価の種および二価の種の両方を含む。単環式ヘテロ環式環は、環中に約3~12個(適切には、3~7個)の環原子と、窒素、酸素または硫黄から選択される1~5個(適切には、1個、2個または3個)のヘテロ原子を含む。二環式ヘテロ環は、環中に7~17個の員原子、適切には、7~12個の員原子を含む。二環式ヘテロ環は、約7~約17個の環原子、適切には、7~12個の環原子を含む。二環式ヘテロ環式環は、縮合、スピロまたは架橋環系であり得る。ヘテロ環式基の例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニルのような環状エーテルおよび置換環状エーテルを含む。窒素を含むヘテロ環は、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリルなどを含む。典型的な含硫黄ヘテロ環は、テトラヒドロチエニル、ジヒドロ-1,3-ジチオール、テトラヒドロ-2H-チオピランおよびヘキサヒドロチエピンを含む。他のヘテロ環は、ジヒドロオキサチオリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロオキサジアゾリル、テトラヒドロジオキサゾリル、テトラヒドロオキサチアゾリル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラヒドロオキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリルおよびオクタヒドロベンゾチアゾリルを含む。含硫黄ヘテロ環について、硫黄、SOまたはSO基を含む酸化された硫黄ヘテロ環もまた、含まれる。その例は、テトラヒドロチエン1,1-ジオキシドおよびチオモルホリニル1,1-ジオキシドのようなテトラヒドロチエニルおよびチオモルホリニルのスルホキシドおよびスルホン形態を含む。1個または2個のオキソ(=O)またはチオキソ(=S)置換基を有するヘテロシクリル基についての適切な基は、例えば、2-オキソピロリジニル、2-チオキソピロリジニル、2-オキソイミダゾリジニル、2-チオキソイミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニルまたは2,6-ジオキソピペリジニルである。特定のヘテロシクリル基は、窒素、酸素または硫黄から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む飽和単環式3~7員ヘテロシクリル、例えば、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1-ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1-ジオキシド、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニルまたはホモピペラジニルである。当業者により理解されるように、任意のヘテロ環は、任意の適切な原子を介して、例えば炭素または窒素原子を介して別の基と結合し得る。しかしながら、本明細書におけるピペリジノまたはモルホリノへの言及は、環窒素を介して結合したピペリジン-1-イルまたはモルホリン-4-イル環をいう。
【0121】
「架橋環系」とは、2個を超える原子を共有する環系を意味する。例えば、Advanced Organic Chemistry, Jerry March, 4th Edition, Wiley Interscience, 131-133頁, 1992年を参照。架橋ヘテロシクリル環系の例は、アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタンおよびキヌクリジンを含む。
【0122】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素または硫黄から選択される1以上のヘテロ原子(実施例1~4、特に実施例1、2または3について)を含む単環式、二環式または多環式環を意味する。用語ヘテロアリールは、一価の種および二価の種の両方を含む。ヘテロアリール基の例は、5~20個の環員、より標準的には5~10個の環員を含む単環式および二環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員もしくは6員単環式環または9員もしくは10員二環式環、例えば、縮合した5員環と6員環または縮合した2個の6員環から形成される二環式構造であり得る。各々の環は、窒素、硫黄および酸素から典型的に選択される最大約4個のヘテロ原子を含む。典型的に、ヘテロアリール環は最大3個のヘテロ原子、より標準的には最大2個、例えば、単一のヘテロ原子を含む。ある実施態様において、ヘテロアリール環は少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように塩基性であり得るか、インドールまたはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性である。一般に、環の任意のアミノ基置換基を含むヘテロアリール基中に存在する塩基性窒素原子の数は、5個未満である。
【0123】
ヘテロアリールの例は、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、プリニル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、プテリジニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、フェナジニル、ベンズイソキノリニル、ピリドピラジニル、チエノ[2,3-b]フラニル、2H-フロ[3,2-b]ピラニル、5H-ピリド[2,3-d]オキサジニル、1H-ピラゾロ[4,3-d]オキサゾリル、4H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニルを含む。「ヘテロアリール」はまた、少なくとも1つの環が芳香環であり、1以上の他の環が非芳香族、飽和または部分飽和環である部分芳香族二環式または多環式環系を含むが、但し、少なくとも1つの環は窒素、酸素または硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む。部分芳香族ヘテロアリール基の例は、例えば、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンズフラニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,2-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾチエニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラニル、インドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリド[2,3-b]ピラジニルおよび3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジニルを含む。
【0124】
5員ヘテロアリール基の例は、限定されないが、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリル基を含む。
【0125】
6員ヘテロアリール基の例は、限定されないが、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびトリアジニルを含む。
【0126】
5員または6員ヘテロ環式環が好ましい。
【0127】
式Iの化合物を構成する種々の官能基及び置換基は、典型的に、式Iの化合物の分子量が1000を超えないように選択される。より標準的には、式Iの化合物の分子量は、900未満、例えば、800未満、または700未満、または650未満、または600未満である。より好ましくは、分子量は550未満、例えば、500以下である。
【0128】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される塩を企図する。適切な本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、第1族陽イオン(例えば、Na)、第II族陽イオン(例えば、K)またはアンモニウム塩(例えば、NH )を有する塩を含む。本発明の化合物はまた、本発明の化合物中に塩基性窒素が存在するとき、塩酸塩、リン酸塩または他の無機酸塩を形成し得る。塩は、化合物の酸付加塩および塩基塩を含み得る。
【0129】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。その例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸一水素塩/リン酸二水素塩、サッカラート塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0130】
適切な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。その例は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を含む。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた、形成され得る。適切な塩の説明については、StahlおよびWermuthによる"Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use" (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照。
【0131】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、下記方法の1以上により製造され得る:
(i)本発明の化合物を所望の酸または塩基と反応させること;
(ii)所望の酸または塩基を用いて、本発明の化合物の適切な前駆体から酸または塩基に不安定な保護基を除去することまたは適切な環式前駆体、例えば、ラクトンまたはラクタムを開環させること;または
(iii)本発明の化合物のある塩を、適切な酸または塩基との反応によりまたは適切なイオン交換カラムの方法により、別の塩に変換すること。
【0132】
これらの方法は、典型的に、溶液中で実施される。得られた塩は沈殿することがあり、ろ過により回収され得るか、溶媒の蒸発により回収され得る。得られた塩のイオン化の程度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されないものまで異なってよい。
【0133】
本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物は、いくつかの状況において、多数の異なる互変異性形態で存在し、式Iの化合物についての言及は、全てのこのような形態を含む。
【0134】
同一の分子式を有するがそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と称される。
【0135】
空間内の原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いの鏡像体ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と称され、重ね合わせることができない互いの鏡像体は、「エナンチオマー」と称される。化合物が非対称中心を有するとき、例えば、中心に4つの異なる基が結合しているとき、それはキラル化合物として知られる。キラル化合物は、その一対のエナンチオマー(単一のキラル中心の場合)のどちらか一方または両方の形態で存在する。エナンチオマーはその不斉中心の絶対配置により特徴付けられ得て、カーン・インゴルド・プレローグのR-およびS-順位規則により記載される。分子中に1を超えるキラル中心が存在する場合、考えられる立体異性体の数は2個であり、ここでnはキラル中心の数であり;唯一の例外は、分子中に対称性が存在して異性体の数が最大の2個から減少することである。
【0136】
本発明の化合物は、1以上の不斉中心を有し得て;従って、このような化合物は個々の(R)-または(S)-立体異性体としてまたはそれらの混合物として製造され得る。
【0137】
本発明の化合物のいくつかは、幾何異性中心(EおよびZ異性体)を有し得る。
【0138】
本発明はメタロ-β-ラクタマーゼ阻害活性を有する全ての異性体形態およびそれらの混合物を包含すると理解されるべきである。
【0139】
立体化学の決定および立体異性体の分離のための方法は、当分野において既知である("Advanced Organic Chemistry", 7th edition, J. March, John Wiley and Sons, New York, 2013の考察を参照)。
【0140】
アミン官能基を含む式Iの化合物はまた、N-オキシドを形成し得る。本明細書におけるアミン官能基を含む式Iの化合物への言及はまた、N-オキシドを含む。化合物がいくつかのアミン官能基を含む場合、1以上の窒素原子は酸化されてN-オキシドを形成し得る。特定のN-オキシドの例は、三級アミンまたは含窒素ヘテロ環の窒素原子のN-オキシドである。N-オキシドは対応するアミンを過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で処理することにより形成され得る;これは上記のJ. MarchによるAdvanced Organic Chemistryのような一般的な教本に記載されている。N-オキシドは、当業者に知られる多様な方法で;例えば、ジクロロメタンのような溶媒中でアミン化合物とm-クロロ過安息香酸(mCPBA)を反応させることにより製造され得る。
【0141】
本発明はまた、本明細書で定義される1以上の同位体置換基を含む本発明の化合物を包含する。例えば、Hは、H、H(D)およびH(T)を含む任意の同位体形態で存在することがあり;Cは、12C、13Cおよび14Cを含む任意の同位体形態で存在することがあり;Oは、16Oおよび18Oを含む任意の同位体形態で存在することがある;などである。同様に、N、SおよびPの同位体変化体が利用され得る。
【0142】
合成および実施例
以下の化合物は、本発明により合成され得る化合物の例を示す。いくつかの化合物はまた、生物学的アッセイにおいて試験され、その結果を下記に示す。化合物はメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤としての活性を示し、従って、感染症、特に抗生物質耐性感染症の処置における有用性を有する。
【0143】
一般的な実験
マイクロ波アシスト反応は、Biotage Initiator+TM マイクロ波合成装置を用いて、密封バイアル中で実施した。
【0144】
本書類全体にわたり、次の略語が使用される:
Bn-ベンジル
Boc-tert-ブチルオキシカルボニル
Cbz-カルボキシベンジル
DCM-ジクロロメタン
DME-1,2-ジメトキシエタン
DMF-N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO-ジメチルスルホキシド
HBTU-N,N,N',N'-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
Hoveyda-Grubbs Catalyst 2nd generation-ジクロロ[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン](2-イソ-プロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)
NMP-1-メチル-2-ピロリジノン
Pd(dppf)Cl-[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
SEM-2-(トリメチルシリル)エトキシメチル
TFA-トリフルオロ酢酸
THF-テトラヒドロフラン
XPhos Pd G2-クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)
【0145】
分析方法
全てのHおよび19F NMRスペクトルは、5mm QNPを備えたBruker AVI 500で得た。化学シフトは百万分率(δ)で表し、溶媒を基準とする。カップリング定数Jは、ヘルツ(Hz)で表す。
【0146】
LC-MSは下記に示す方法を用いて、Waters Alliance ZQ (方法A、B、CおよびE)またはWaters Acquity H-class UPLC (方法D)で得た。波長は254および210nmであった。
【0147】
方法A
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入体積:6μL
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1 水:アセトニトリル+1.0% ギ酸
【表1】
【0148】
方法B
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入体積:6μL
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1 水:アセトニトリル+1.0% アンモニア(水性)
【表2】
【0149】
方法C
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入体積:6μL
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1 水:アセトニトリル+1.0% ギ酸
【表3】
【0150】
方法D
カラム:CSH C18、2.1×100mm、1.7μm。流速:0.6mL/分。注入体積:5μL
移動相:A=水+0.1% ギ酸、B=アセトニトリル+0.1% ギ酸
【表4】
【0151】
方法E
カラム:YMC-Triart C18、2.0×50mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入体積:6μL
移動相:A=水、B=アセトニトリル、C=1:1 水:アセトニトリル+1.0% アンモニア(aq.)
【表5】
【0152】
下記に示す方法を用いて、Waters Auto Lynx Mass Directed Fraction Collectorを用いて分取HPLCクロマトグラフィーを実施した。
【0153】
方法A
カラム:CSH C18、30×100mm、5μm。流速:80mL/分。注入体積:2500μL。実行時間:6.5分(下記の勾配範囲)、その後1.25分、95%(A中の%B)。
移動相A=水+0.1% ギ酸、B=アセトニトリル+0.1% ギ酸
【表6】
【0154】
中間体1:[(ベンジルオキシ)カルボニル]({[4-(ジメチルイミニウミル)-1,4-ジヒドロピリジン-1-イル]スルホニル})アザニド
【化37】
ベンジルアルコール(12.0mL、116mmol)のDCM(200mL)溶液を0℃に冷却し、クロロスルホニルイソシアネート(10.0mL、115mmol)を滴下添加した。0℃で10分間撹拌後、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(28.0g、230mmol)を分割して添加し、反応混合物を室温まで昇温させて一晩撹拌した。得られた混合物をDCM(200mL)で希釈し、水(3×200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させて、所望の生成物を白色固体(33.9g、96%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.44-8.52(m、2H)、7.28-7.37(m、3H)、7.24-7.27(m、2H)、6.93-6.97(m、2H)、4.87(s、2H)、3.23(s、6H)。
LC-MS(方法A):R=2.54分、m/z=336.0 [M+H]
【0155】
中間体2:tert-ブトキシカルボニル-[(4-ジメチルイミノ-1-ピリジル)スルホニル]アザニド
【化38】
tert-ブチルアルコール(4.41mL、46.1mmol)のDCM(100mL)溶液を0℃に冷却し、クロロスルホニルイソシアネート(4.0mL、46.1mmol)を滴下添加した。0℃で10分間撹拌後、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(11.3g、92.1mmol)を滴下添加し、反応混合物を室温まで昇温させて一晩撹拌した。得られた混合物をDCM(100mL)で希釈し、水(3×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮乾固させて、所望の生成物を白色固体(7.32g、53%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.42-8.48(m、2H)、7.03-7.09(m、2H)、3.22(s、6H)、1.26(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=2.10分、m/z=302.1 [M+H]
【0156】
中間体3:ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド
【化39】
工程A:ベンジル 1-(ベンゼンスルホニル)-3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ジイソプロピルアミン(11.7mL、83.5mmol)の無水THF(150mL)溶液を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウム(2.5M ヘキサン溶液、26.7mL、66.8mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を-78℃で10分間撹拌し、-10℃まで昇温させ、その後すぐに-78℃に冷却した。その後、1-(ベンゼンスルホニル)-3-ブロモ-1H-ピロール(15.9g、55.6mmol)の無水THF(50mL)溶液を滴下添加した。-78℃で1時間撹拌後、クロロギ酸ベンジル(14.3mL、100mmol)の無水THF(50mL)溶液を90分間かけて滴下添加し、混合物を-78℃でさらに1時間撹拌した。その後、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を滴下添加することにより反応混合物をクエンチし、室温まで昇温させた。混合物をさらに飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)で希釈し、生成物を酢酸エチル(3×100mL)に抽出した。合わせた有機相を水(2×100mL)、塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を橙色油状物(14.4g、62%)として得た。
カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により第一のカラムからすぐに流出した混合画分の再精製によりさらに物質を単離し、所望の生成物を無色油状物(5.84g、25%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.88-7.92(m、2H)、7.59-7.64(m、1H)、7.56(d、J=3.47Hz、1H)、7.46-7.51(m、2H)、7.32-7.40(m、5H)、6.39-6.42(m、1H)、5.27(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=4.03分、m/z=419.9/421.9 [M+H]
【0157】
工程B:ベンジル 3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 1-(ベンゼンスルホニル)-3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(20.2g、48.1mmol)の無水THF(150mL)溶液にフッ化テトラブチルアンモニウム(1M THF溶液、57.7mL、57.7mmol)の溶液を滴下添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)を添加することによりクエンチし、酢酸エチル(3×150mL)に抽出した。合わせた有機相を水(2×200mL)、塩水(200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)、その後のカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:DCM、勾配溶出90:10~0:100)およびその後のカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:THF、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を無色油状物(10.27g、76%)として得て、これは静置して固化させた。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 9.31(brs、1H)、7.45-7.48(m、2H)、7.32-7.40(m、3H)、6.84(t、J=3.15Hz、1H)、6.34(t、J=2.84Hz、1H)、5.35(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=3.52分、m/z=278.1/280.1 [M-H]
【0158】
工程C:ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド
窒素雰囲気下、ベンジル 3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(10.27g、36.7mmol)の無水THF(100mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(鉱油中60%、2.20g、55.0mmol)を分割して添加した。0℃で5分間撹拌後、[(ベンジルオキシ)カルボニル]({[4-(ジメチルイミニウミル)-1,4-ジヒドロピリジン-1-イル]スルホニル})アザニド(13.5g、40.3mmol)を添加し、反応混合物を加熱して4時間還流した。0℃に冷却後、反応物を水(100mL)を滴下添加することによりクエンチし、減圧下で濃縮して有機溶媒を除去し、酢酸エチル(3×100mL)に抽出した。合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル:メタノール、勾配溶出50:50:0~0:100:0~0:90:10)により精製して、所望の生成物を褐色固体(10.5g、56%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.51-7.56(m、2H)、7.26-7.35(m、9H)、6.18(d、J=3.15Hz、1H)、5.22(s、2H)、4.85(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=3.31分、m/z=491.0/493.0 [M-H]
【0159】
中間体4:ベンジル-3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩
【化40】
工程A:tert-ブチル 4-(2-ベンジルオキシカルボニル-1H-ピロール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
アルゴン下、tert-ブチル 4-エチニルピペリジン-1-カルボキシレート(422μL、4.78mmol)およびベンジル 2-イソシアノアセテート(1.26g、7.17mmol)の無水NMP(10mL)溶液に炭酸銀(132mg、478μmol)を添加し、反応物を80℃で5時間加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、水(100mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×50mL)、酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機相を水(2×50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~75:25)により精製して、所望の生成物を無色ガム状物(740mg、40%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.97(s、1H)、7.30-7.40(m、5H)、6.85(t、J=2.8Hz、1H)、6.15(t、J=2.8Hz、1H)、5.29(s、2H)、4.10-4.20(m、2H)、3.32(s、1H)、2.60-2.80(m、2H)、1.81(brd、J=12.6Hz、2H)、1.50-1.60(m、2H)、1.50(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.95分、m/z=385.2 [M+H]
【0160】
工程B:ベンジル-3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩
室温で、tert-ブチル 4-(2-ベンジルオキシカルボニル-1H-ピロール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(850mg、2.21mmol)のDCM(5mL、数滴のメタノールを含む)に4M HCl-1,4-ジオキサン溶液(4.72mL、18.9mmol)を添加した。18時間後、全ての揮発物を減圧下で除去し、所望の生成物を白色固体(697mg、98%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=11.73(brs、1H)、8.87(brs、1H)、8.71(brs、1H)、7.49-7.30(m、5H)、6.94(t、J=2.4Hz、1H)、6.10(t、J=2.4Hz、1H)、5.28(s、2H)、3.35-3.24(m、3H)、2.88-2.75(m、2H)、1.94-1.83(m、2H)、1.81-1.67(m、2H)。
LC-MS(方法A):RT=2.25分、m/z=285.2 [M+H]
【0161】
中間体5:ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩
【化41】
工程A:tert-ブチル-4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート、ナトリウム塩
窒素下、THF(50mL)に水素化ナトリウム(鉱油中60%、2.34g、48.9mmol)を添加して-10℃に冷却した。冷却した後、THF(30mL)に溶解したtert-ブチル 4-(2-ベンジルオキシカルボニル-1H-ピロール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(6.26g、16.3mmol)を混合物にゆっくりと添加した。添加が完了した後、反応物を室温まで昇温させ、30分間撹拌した後、-10℃に冷却した。温度を-10℃に維持しながら、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(4.47g、17.9mmol)を分割して添加した。添加が完了した後、混合物を-10℃で1時間撹拌し、室温まで昇温させ、さらに1時間撹拌した。反応物を水(40mL)および塩水(40mL)で注意深くクエンチし、酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、酢酸エチルが約10mL残るまで溶媒を蒸発させた。混合物をジエチルエーテル(100mL)で抽出して固体を得て、これを10分間撹拌した後、ろ過して、所望の生成物を褐色固体(4.6g、38%)として得た。これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
LC-MS(方法B):RT=3.24分、m/z=596.5 [M-H]
【0162】
工程B:ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩
4M HCl-1,4-ジオキサン溶液(20mL)にtert-ブチル-4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート、ナトリウム塩(4.6g、7.70mmol)を添加し、3時間撹拌した。混合物を1,4-ジオキサン(20mL)で希釈し、ろ過した。その後、ろ液をジエチルエーテルで希釈して固体を得て、窒素気流下で真空ろ過により乾燥させて、所望の生成物を黄色固体(3.70g、81%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.65(brs、1H)、8.40(brs、1H)、7.50(brd、J=6.9Hz、2H)、7.3-7.4(m、9H)、6.12(brs、1H)、5.27(s、2H)、5.00(s、2H)、3.3-3.2(m、2H)、3.1-3.0(m、1H)、2.7-2.6(m、2H)、1.8-1.6(m、4H)。
LC-MS(方法B):RT=3.24分、m/z=498.2 [M+H]
【0163】
中間体6:ナトリウム {[3-ブロモ-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニドおよびナトリウム {[3-ブロモ-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニド
【化42】
工程A:5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-1H-テトラゾール
窒素下、3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボニトリル(1.42g、8.3mmol)と塩化亜鉛(570mg、4.2mmol)の混合物のプロパン-2-オール(20mL)および水(40mL)溶液にアジ化ナトリウム(1.08g、16.6mmol)を添加し、得られた溶液を100℃で17時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、アジ化ナトリウム(1.08g、16.6mmol)を再添加し、100℃でさらに17時間加熱した。反応混合物にアジ化ナトリウム(1.08g、16.6mmol)を再添加し、100℃でさらに20時間加熱した。反応混合物にアジ化ナトリウム(500mg、8.0mmol)を再添加し、100℃でさらに20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム(8.36g)および亜硝酸ナトリウム(11.04g)の混合物を含む水溶液(80mL)で注意深くクエンチした。得られた溶液をジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。水層を回収し、酢酸エチル(60mL)で希釈し、0℃に冷却し、6M HCl(水溶液)を滴下添加して酸性化した(pH14~pH1)。得られた溶液を30分間撹拌し、得られた層を分離した。水層を酢酸エチル(2×40mL)でさらに抽出した。有機抽出物をもとの有機層と合わせて、MgSOで乾燥させ、ろ過した。ろ液にDMF(30mL)を添加し、酢酸エチルを減圧下で除去して、所望の生成物をDMF溶液として得た。生成物をさらに精製することなく、次の工程で直接使用した。
LC-MS(方法E):R=1.19分、m/z=212.1/214.1 [M-H]
【0164】
工程B:5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾールおよび5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール
窒素下、5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-1H-テトラゾール(1.78g、8.3mmol、工程Aからの定量的な収量であると仮定する)のDMF(30mL)溶液に炭酸カリウム(5.04g、36.8mmol)および2-(クロロメトキシエチル)トリメチルシラン(2.19mL、12.5mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(60mL)でクエンチし、水層を酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水および水(2×50mL)の1:1の溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗製の物質を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、0~20% 酢酸エチル/石油エーテルの勾配)により精製して、所望の生成物を異性体混合物(1.08mg、38%)として得た。
LC-MS(方法A):R=3.44分、m/z=342.1/344.1 [M-H]およびR=3.58分、m/z=342.1/344.1 [M-H]
【0165】
工程C:ナトリウム {[3-ブロモ-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニドおよびナトリウム {[3-ブロモ-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニド
窒素下、5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾールおよび5-(3-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール(625mg、1.82mmol)の無水THF(20mL)溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、109mg、2.7mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物にtert-ブトキシカルボニル-[(4-ジメチルイミノ-1-ピリジル)スルホニル]アザニド(657mg、2.18mmol)を添加し、70℃で20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(10mL)でクエンチし、揮発性有機物を減圧下で除去した。残りの水溶液を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた抽出物をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗製の物質を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、5~100% 酢酸エチル/石油エーテル、その後0~20% メタノール/酢酸エチルの勾配)により精製して、所望の生成物の混合物を灰白色固体(514mg、52%)として得た。
LC-MS(方法A):R=3.29分、m/z=521.1/523.1 [M-H]およびR=3.90分、m/z=521.1/523.1 [M-H]
【0166】
中間体7:tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-ピロール-2-カルボキシレート
【化43】
工程A:1-(ベンゼンスルホニル)ピロール-3-スルホニルクロライド
1-(ベンゼンスルホニル)ピロール(10g、48.3mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液を0℃に冷却し、クロロスルホン酸(6.43mL、96.5mmol)を滴下添加した。得られた溶液を室温まで昇温させ、一晩撹拌した。塩化チオニル(3.87mL、53.1mmol)を滴下添加し、加熱して2時間還流した。さらに塩化チオニル(704μL、9.65mmol)を添加し、加熱してさらに1時間還流した。室温まで冷却後、反応混合物を氷(500g)に注意して添加することによりクエンチした。沈殿した固体を焼結漏斗上の真空ろ過により単離し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を暗褐色固体(12.1g、82%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.0-8.0(m、2H)、7.7-7.8(m、1H)、7.6-7.7(m、2H)、7.26(dd、J=2.4、3.3Hz、1H)、7.17(dd、J=1.6、2.5Hz、1H)、6.31(dd、J=1.6、3.2Hz、1H)。
LC-MS(方法A):R=3.51分、m/z=304.1/306.1 [M-H]
【0167】
工程B:N-tert-ブチル-1H-ピロール-3-スルホンアミド
1-(ベンゼンスルホニル)ピロール-3-スルホニルクロライド(12.1g、39.6mmol)のTHF(40mL)溶液にtert-ブチルアミン(10.4mL、98.9mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を水(80mL)で希釈し、水酸化リチウム一水和物(4.15g、98.9mmol)を添加し、70℃で2時間加熱した。その後、反応混合物を0℃に冷却し、2M HCl(水溶液)で酸性化し、酢酸エチル(100mL)で分配した。二相性の混合物をセライト(登録商標)でろ過し、相を分離し、水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させて、所望の生成物を褐色固体(6.12g、76%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 11.35(brs、1H)、7.2-7.2(m、1H)、6.85(s、1H)、6.8-6.8(m、1H)、6.29(dt、J=1.6、2.7Hz、1H)、1.09(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=2.05分、m/z=201.3 [M-H]
【0168】
工程C:1-ベンジル-N-tert-ブチル-ピロール-3-スルホンアミド
N-tert-ブチル-1H-ピロール-3-スルホンアミド(3.0g、14.8mmol)の無水THF(30mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(鉱油中60%、712mg、17.80mmol)を添加した。0℃で5分間撹拌後、臭化ベンジル(2.64mL、22.3mmol)を添加し、その後2時間かけて室温まで昇温させた。0℃に冷却後、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を滴下添加して混合物をクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×50mL)に抽出した。合わせた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をジエチルエーテル(40mL)で磨砕し、固体を単離して真空ろ過で乾燥させて、所望の生成物を褐色固体(2.92g、67%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.3-7.4(m、3H)、7.18(t、J=2.0Hz、1H)、7.1-7.1(m、2H)、6.6-6.7(m、1H)、6.45(dd、J=1.7、3.0Hz、1H)、5.05(s、2H)、4.29(s、1H)、1.26(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.26分、m/z=291.3 [M-H]
【0169】
工程D:tert-ブチル 1-ベンジル-3-(tert-ブチルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
窒素雰囲気下、1-ベンジル-N-tert-ブチル-ピロール-3-スルホンアミド(2.92g、10.0mmol)の無水THF(60mL)を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウム溶液(2.5M ヘキサン溶液、9.99mL、25.0mmol)を滴下添加した。-78℃で30分間撹拌後、二炭酸ジ-tert-ブチル(2.75mL、12.0mmol)の無水THF(20mL)溶液を滴下添加した。反応混合物を-78℃で4時間撹拌し、その後塩化アンモニウム溶液(50mL)を滴下添加してクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)に抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~60:40)により精製して、所望の生成物を灰白色固体(2.93g、75%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.3-7.3(m、3H)、6.9-7.0(m、2H)、6.74(d、J=2.8Hz、1H)、6.72(d、J=2.8Hz、1H)、5.79(s、1H)、5.47(s、2H)、1.43(s、9H)、1.24(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.87分、m/z=391.3 [M-H]
【0170】
工程E:tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
窒素雰囲気下、1-ベンジル-3-(tert-ブチルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(500mg、1.27mmol)、20% 水酸化パラジウム炭素(179mg、127μmol)および10% パラジウム炭素(50%湿潤、136mg、64μmol)のエタノール(20mL)懸濁液にギ酸アンモニウム(803mg、12.7mmol)を添加し、50℃で1時間加熱し、3時間還流した。さらにギ酸アンモニウム(803mg、12.7mmol)を添加し、一晩還流した。さらに20% 水酸化パラジウム炭素(179mg、127μmol)、10% パラジウム炭素(50%湿潤136mg、63.69μmol)およびギ酸アンモニウム(803mg、12.7mmol)を添加し、一晩還流した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をDCM(10mL)に再溶解し、水(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~40:60)により精製して、所望の生成物を灰白色固体(200mg、52%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 9.21(brs、1H)、6.83(t、J=2.9Hz、1H)、6.75(t、J=2.9Hz、1H)、5.91(s、1H)、1.61(s、9H)、1.22(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.29分、m/z=301.3 [M-H]
【0171】
中間体8:1-メチル-N-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1H-イミダゾール-4-スルホンアミド
【化44】
0℃で、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(500mg、2.28mmol)およびピリジン(369μL、4.56mmol)のDCM(20mL)溶液に1-メチル-1H-イミダゾール-4-スルホニル クロライド(453mg、2.51mmol)を添加し、反応物を18時間撹拌した。反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させた。残渣をジエチルエーテルで磨砕し、固体をろ過により単離して、所望の生成物を淡桃色固体(677mg、82%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 10.46(s、1H)、7.88(s、1H)、7.73(s、1H)、7.53-7.48(m、2H)、7.18-7.13(m、2H)、3,65(s、3H)、1.26(s、12H)。
LC-MS(方法B):R=2.16分、m/z=364.2 [M+H]
【0172】
中間体9:tert-ブチル-N-(2-{[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スルファモイル}エチル)カルバメート
【化45】
工程A:N-(4-ブロモフェニル)-2-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)エタン-1-スルホンアミド
4-ブロモアニリン(1.05g、6.12mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に2-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)エタン-1-スルホニルクロライド(500mg、1.83mmol)を分割して添加し、反応物を室温で3日間撹拌した。反応混合物にピリジン(148μL、1.83mmol)を添加し、さらに24時間撹拌した。反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、水(50mL)、2M HCl(水溶液)(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾固させた。残渣をエタノールから再結晶し、ろ過し、石油エーテルで洗浄して、所望の生成物を淡黄色結晶(534mg、71%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.86(dd、J=3.1、5.3Hz、2H)、7.76(dd、J=3.1、5.3Hz、2H)、7.44(d、J=8.7Hz、2H)、7.25-7.17(m、3H)、4.07(t、J=5.9Hz、2H)、3.46(t、J=5.9Hz、2H)。LC-MS(方法B):R=2.58分、m/z=407.1/409.1 [M-H]
【0173】
工程B:tert-ブチル N-{2-[(4-ブロモフェニル)スルファモイル]エチル}カルバメート
80℃で、N-(4-ブロモフェニル)-2-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)エタン-1-スルホンアミド(534mg、1.30mmol)のエタノール(10mL)溶液にヒドラジン水和物(140μL、1.44mmol)を添加し、反応物を80℃で4時間撹拌した。固体をろ過により除去し、エタノールで洗浄した。ろ液を濃縮乾固させ、残渣をDCM(30mL)中で懸濁した後、二炭酸ジ-tert-ブチル(344μL、1.50mmol)を添加し、20℃で2日間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~50:50)により精製して、所望の生成物を白色固体(412mg、84%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.48-7.40(m、3H)、7.19(brd、J=8.4Hz、2H)、5.04(brs、1H)、3.60(q、J=5.8Hz、2H)、3.26-3.19(m、2H)、1.45(s、9H)。
LC-MS(方法B):R=2.83分、m/z=377.2/379.2 [M-H]
【0174】
工程C:tert-ブチル-N-(2-{[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スルファモイル}エチル)カルバメート
アルゴン下、tert-ブチル N-{2-[(4-ブロモフェニル)スルファモイル]エチル}カルバメート(254mg、670μmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(340mg、1.34mmol)および酢酸カリウム(197mg、2.01mmol)の無水1,4-ジオキサン(20mL)溶液を10分間撹拌し、その後Pd(dppf)Cl(24.5mg、33.5μmol)を添加した。反応混合物を85℃で18時間加熱し、その後酢酸エチル(50mL)および水(50mL)で希釈し、セライト(登録商標)でろ過した。ろ液を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~60:40)により精製して粗生成物を透明なゴム状物(粗収率364mg)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.78(d、J=8.4Hz、2H)、7.25-7.16(m、3H)、5.04(brt、J=6.1Hz、1H)、3.58(brd、J=4.9Hz、2H)、3.29-3.19(m、2H)、1.44(s、9H)、1.34(s、12H)。
LC-MS(方法B):R=3.29分、m/z=425.4 [M-H]
【0175】
中間体10:tert-ブチル N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-N-[1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル]カルバメート
【化46】
工程A:tert-ブチル N-(4-ブロモ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニル カルバメート
4-ブロモ-1-メチル-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-アミン(725mg、3.21mmol)のDCM(10mL)溶液にトリエチルアミン(447μL、3.21mmol)および二炭酸ジ-tert-ブチル(1.54g、7.06mmol)を添加した。発泡が終了した後、反応混合物をジエチルエーテル(10mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、石油エーテルで磨砕し、所望の生成物を灰白色固体(1.12g、81%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.48(d、J=7.8Hz、1H)、7.30(d、J=7.6Hz、1H)、7.19(t、J=7.9Hz、1H)、3.64(s、3H)、1.42(s、18H)。
【0176】
工程B:tert-ブチル N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-N-[1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル]カルバメート
窒素雰囲気下、tert-ブチル N-(4-ブロモ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニル カルバメート(388mg、910μmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(347mg、1.37mmol)、酢酸カリウム(268mg、2.73mmol)およびPd(dppf)Cl(40mg、55μmol)のDME(4mL)溶液をマイクロ波照射により90℃で8時間加熱した。反応物にさらなるPd(dppf)Cl(40mg、55μmol)およびビス(ピナコラト)ジボロン(347mg、1.37mmol)を添加し、さらに2時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、ジエチルエーテル中で懸濁し、セライト(登録商標)でろ過した。ろ液を蒸発乾固させ、その後カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製し、所望の生成物を白色固体(272mg、63%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ=7.80(dd、J=7.3、1.0Hz、1H)、7.42(dd、J=8.1、1.0Hz、1H)、7.31(dd、J=8.1、7.3Hz、1H)、3.62(s、3H)、1.42(s、18H)、1.39(s、12H)。
【0177】
中間体11:tert-ブチル N-tert-ブトキシカルボニル-N-[6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]カルバメート
【化47】
工程A:tert-ブチル N-(6-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニル-カルバメート
撹拌した6-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-アミン(1.00g、4.69mmol)のアセトニトリル(20mL)懸濁液にトリエチルアミン(720μL、5.16mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(29mg、235μmol)を添加し、二炭酸ジ-tert-ブチル(2.25g、10.3mmol)を添加した。16時間後、反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテル(20mL)に溶解し、水(20mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)で洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させ、石油エーテルで磨砕して、所望の生成物を薄茶色固体(1.29g、66%)として得た。H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.70(s、1H)、7.62(d、J=1.2Hz、2H)、1.47(s、18H)。
【0178】
工程B:tert-ブチル N-tert-ブトキシカルボニル-N-[6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]カルバメート
窒素雰囲気下、撹拌したPd(dppf)Cl(44mg、60.5μmol)、トリフェニルホスフィン(16mg、60.5μmol)および酢酸カリウム(178mg、1.81mmol)の1,4-ジオキサン(1.5mL)溶液を90℃で約5分間加熱した。tert-ブチル N-(6-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニル-カルバメート(500mg、1.21mmol)およびビス(ピナコラト)ジボロン(369mg、1.45mmol)の1,4-ジオキサン(2.5mL)溶液を添加し、3時間継続して加熱した。反応混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、セライト(登録商標)でろ過し。ろ液を飽和重炭酸ナトリウム溶液(3mL)、水(3mL)および塩水(3mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出を100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を無色油状物(261mg、46%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.88(s、1H)、7.81(dd、J=9.0、1.1Hz、1H)、7.67(dd、J=8.9、0.9Hz、1H)、1.45(s、18H)、1.37(s、12H)。
【0179】
実施例1(ナトリウム塩):3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
【化48】
工程A:ナトリウム {[3-(6-アミノピリジン-3-イル)-2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(ベンジルオキシ)カルボニル]アザニド
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(100mg、0.19mmol)、6-アミノピリジン-3-ボロン酸(33mg、0.24mmol)および炭酸ナトリウム(64mg、0.60mmol)の混合物の1,4-ジオキサン(1.0mL)および水(0.5mL)溶液を、5分間窒素でバブリングすることにより脱気し、Pd(dppf)Cl(15mg、0.021mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波照射下、100℃で20分間加熱した。反応混合物を水(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×3mL)に抽出した。合わせた有機相を塩水(3mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:メタノール、勾配溶出100:0~80:20)により精製し、その後ジエチルエーテルで磨砕して、所望の生成物を褐色固体(59mg、58%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.94(d、J=1.89Hz、1H)、7.53(dd、J=2.36、8.67Hz、1H)、7.40-7.45(m、J=3.00、6.50Hz、2H)、7.25-7.35(m、9H)、6.63(brs、2H)、6.57(d、J=8.83Hz、1H)、6.17(d、J=3.15Hz、1H)、5.14(s、2H)、4.85(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=2.68分、m/z=507.0 [M+H]
【0180】
工程B:3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸 ナトリウム塩
ナトリウム{[3-(6-アミノピリジン-3-イル)-2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(ベンジルオキシ)カルボニル]アザニド(59mg、0.11mmol)のメタノール(4mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、25mg、0.023mmol)を添加し、得られた懸濁液を1気圧の水素下で、室温で6時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルで磨砕し、ろ過し、真空下で40℃で乾燥させて、所望の生成物を淡褐色固体(17mg、51%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 9.06(brs、2H)、8.04(dd、J=0.63、1.58Hz、1H)、7.60(dd、J=2.21、8.51Hz、1H)、7.04(d、J=3.15Hz、1H)、6.37(dd、J=0.95、8.51Hz、1H)、6.13(d、J=3.15Hz、1H)、5.75(s、2H)。
LC-MS(方法C):R=1.35分、m/z=281.1 [M-H]
【0181】
実施例1(遊離酸):3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化49】
工程A:ベンジル 3-(6-アミノ-3-ピリジル)-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(2.97g、5.76mmol)、6-アミノピリジン-3-ボロン酸(872mg、6.32mmol)およびリン酸三カリウム(3.83g、18.0mmol)の混合物の1,4-ジオキサン(40mL)および水(10mL)溶液を15分間窒素でバブリングすることにより脱気し、XPhos Pd G2(474mg、0.60mmol)を添加した。窒素雰囲気下、得られた混合物を45℃で6時間加熱した。さらなる6-アミノピリジン-3-ボロン酸(249mg、1.81mmol)を添加し、45℃で一晩加熱した。さらなる6-アミノピリジン-3-ボロン酸(249mg、1.81mmol)およびXPhos Pd G2(474mg、0.60mmol)を添加した後、45℃でさらに2時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)に抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をDCM(30mL)で磨砕し、ろ過により単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:1M アンモニア-メタノール溶液、勾配溶出100:0~80:20)により精製した。清浄なカラムフラクションから沈殿した固体をろ過により単離して、所望の生成物を白色固体(980mg、34%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.34(brs、1H)、7.94(d、J=1.6Hz、1H)、7.88(brs、2H)、7.86(brdd、J=2.2、9.1Hz、1H)、7.4-7.5(m、2H)、7.35(d、J=3.2Hz、1H)、7.2-7.3(m、8H)、6.88(d、J=8.8Hz、1H)、6.24(d、J=2.8Hz、1H)、5.15(s、2H)、4.85(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=2.64分、m/z=507.1 [M+H]
【0182】
工程B:3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 3-(6-アミノ-3-ピリジル)-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(980mg、1.93mmol)のメタノール(50mL)および1,4-ジオキサン(50mL)混合物の溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、165mg、0.77mmol)を添加し、窒素雰囲気下、得られた懸濁液をを室温で6時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、1M アンモニア-メタノール溶液(50mL)で洗浄し、これらのろ液を減圧下で濃縮乾固させた。残渣をジエチルエーテル(30mL)で磨砕し、固体を単離し、真空ろ過により単離して乾燥させて、所望の生成物を白色固体(445mg、81%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.20(brs、2H)、7.99(d、J=1.9Hz、1H)、7.51(dd、J=2.4、8.7Hz、1H)、7.38(d、J=3.5Hz、1H)、6.50(d、J=8.8Hz、1H)、6.31(d、J=3.2Hz、1H)、6.29(brs、2H)。
LC-MS(方法E):R=0.91分、m/z=281.2 [M-H]
【0183】
遊離酸のナトリウム塩への変換方法
3-(6-アミノ-3-ピリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸(500mg、1.77mmol)のエタノール(5mL)および水(2.5mL)の混合物の懸濁液に2M 水酸化ナトリウム水溶液(886μL、1.77mmol)を添加し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固させ、エタノール(2×50mL)と共沸させ、減圧下で乾燥させて、所望のナトリウム塩を灰白色固体(539mg、100%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.88(brs、2H)、8.03(dd、J=0.8、2.4Hz、1H)、7.59(dd、J=2.5、8.5Hz、1H)、6.99(d、J=3.2Hz、1H)、6.35(dd、J=0.9、8.5Hz、1H)、6.08(d、J=3.2Hz、1H)、5.72(s、2H)。
LC-MS(方法D):R=1.90分、m/z=283.0 [M+H]
【0184】
ナトリウム塩の遊離酸への変換方法
3-(6-アミノ-3-ピリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(10mg、0.033mmol)のDMSO(0.04mL)溶液を水(0.3mL)で希釈し、2M HCl(水溶液)(0.1mL、0.2mmol)を滴下添加した。室温で5分間撹拌後、沈殿した固体を真空ろ過により単離し、水(0.2mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(4mg、43%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.19(brs、2H)、7.98(dd、J=0.7、2.5Hz、1H)、7.50(dd、J=2.4、8.7Hz、1H)、7.38(d、J=3.2Hz、1H)、6.49(d、J=8.5Hz、1H)、6.31(d、J=3.2Hz、1H)、6.25(brs、2H)。
LC-MS(方法D):R=1.52分、m/z=283.0 [M+H]
【0185】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニドから出発した3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸(遊離酸またはナトリウム塩)と同様の方法で製造した。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
実施例14(遊離酸):3-(2-フルオロフェニル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化50】
工程A:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(2-フルオロフェニル)ピロール-2-カルボキシレート
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(200mg、0.39mmol)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(60mg、0.43mmol)および無水リン酸三カリウム(247mg、1.16mmol)の混合物の1,4-ジオキサン(4.0mL)および水(1.0mL)溶液を、窒素を5分間バブリングすることにより脱気した。反応混合物にXPhos Pd G2(61mg、0.08mmol)を添加し、マイクロ波照射下で、45℃で30分間撹拌した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)に抽出した。合わせた抽出物を2M HCl(水溶液)(2×10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、0~100% 酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、所望の生成物を黄色固体/ゴム状物(142mg、72%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.42(d、J=3.15Hz、1H)、7.36-7.29(m、7H)、7.27-7.21(m、5H)、7.19-7.14(m、2H)、6.27(d、J=2.8Hz、1H)、5.10(s、2H)、4.97(s、2H)。
19F NMR(471MHz、DMSO-d) δ -115.27(s、1F)。
LC-MS(方法A):R=3.07分、m/z=507.1 [M-H]
【0186】
工程B:3-(2-フルオロフェニル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(2-フルオロフェニル)ピロール-2-カルボキシレート(142mg、0.28mmol)のメタノール(5mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、59mg、0.028mmol)を添加し、得られた懸濁液を1気圧の水素下、室温で6時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、メタノール(2×40mL)で洗浄し、合わせたろ液を減圧下で濃縮乾固させた。残渣をジエチルエーテル/石油エーテル、ジエチルエーテル/ペンタンで磨砕し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(8.8mg、10%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 9.36(brs、2H)、7.38(td、J=7.2、1.5Hz、1H)、7.27-7.23(m、1H)、7.13-7.09(m、3H)、6.11(brd、J=1.6Hz、1H)。
19F NMR(471MHz、DMSO-d) δ -114.19(s、1F)。
LC-MS(方法C):R=6.35分、m/z=283.1 [M-H]
【0187】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニドから出発した3-(2-フルオロフェニル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸と同様の方法で製造した。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【0188】
実施例34(塩酸塩):3-[4-(ピペリジン-4-イル)フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
【化51】
工程A:ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-(4-{1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピペリジン-4-イル}フェニル)-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(100mg、0.19mmol)、tert-ブチル 4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキシレート(93mg、0.24mmol)および炭酸ナトリウム(64mg、0.60mmol)の1,4-ジオキサン(1.0mL)および水(0.5mL)溶液を窒素で5分間バブリングすることにより脱気し、Pd(dppf)Cl(15mg、0.021mmol)。得られた混合物をマイクロ波照射下で、100℃で20分間撹拌した。反応混合物を水(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×3mL)に抽出した。合わせた有機相を塩水(3mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:メタノール、勾配溶出100:0~90:10)により精製し、ジエチルエーテルで磨砕して、所望の生成物を灰色固体(25mg、19%)として得た。
H NMR(500MHz、メタノール-d) δ 7.46(d、J=3.2Hz、1H)、7.18-7.30(m、10H)、7.08-7.11(m、2H)、7.04-7.08(m、2H)、6.19(d、J=3.2Hz、1H)、5.14(s、2H)、5.00(s、2H)、4.22(brd、J=12.9Hz、2H)、2.89(brs、2H)、2.70(tt、J=3.4、12.1Hz、1H)、1.81(brd、J=12.6Hz、2H)、1.57(dq、J=4.4、12.7Hz、2H)、1.51(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=4.16分、m/z=672.2 [M-H]
【0189】
工程B:ベンジル 1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-3-[4-(ピペリジン-4-イル)フェニル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-(4-{1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピペリジン-4-イル}フェニル)-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(25mg、0.036mmol)のDCM(1.0mL)溶液に5M HCl-プロパン-2-オール溶液(1.0mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物を減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルで磨砕して、所望の生成物を褐色固体(21mg、94%)として得た。
H NMR(500MHz、メタノール-d) δ 7.52(d、J=3.2Hz、1H)、7.30-7.35(m、5H)、7.22-7.30(m、5H)、7.18(brd、J=7.9Hz、2H)、7.08(brd、J=6.9Hz、2H)、6.32(d、J=3.5Hz、1H)、5.18(s、2H)、5.18(s、2H)、3.54(brd、J=11.0Hz、2H)、3.18(brt、J=12.0Hz、2H)、2.92(brt、J=11.7Hz、1H)、2.08(brd、J=13.9Hz、2H)、1.93(brq、J=11.9Hz、2H)。
LC-MS(方法A):R=3.06分、m/z=574.0 [M+H]
【0190】
工程C:3-[4-(ピペリジン-4-イル)フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
ベンジル 1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-3-[4-(ピペリジン-4-イル)フェニル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(21mg、0.034mmol)のメタノール(2mL)溶液を10% パラジウム炭素(50%湿潤、7mg、7μmol)および得られた懸濁液を1気圧の水素下で、室温で6時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルで磨砕し、真空下で40℃で乾燥させて、所望の生成物を淡褐色固体(11mg、85%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.13(brs、1H)、8.96(brs、1H)、8.87(brs、1H)、8.20(brs、2H)、7.41(d、J=3.2Hz、1H)、7.38(d、J=8.2Hz、2H)、7.24(d、J=8.2Hz、2H)、6.36(d、J=3.2Hz、1H)、2.99(brq、J=11.0Hz、2H)、2.86(tt、J=3.0、12.20Hz、1H)、2.40-2.60(m、2H)、1.81-1.99(m、4H)。2.40-2.60の多重項は、残存するDMSOのピークにより一部不明瞭である。
LC-MS(方法D):R=2.18分、m/z=350.2 [M+H]
【0191】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ナトリウム[(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニドから出発した3-[4-(ピペリジン-4-イル)フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩と同様の方法で製造した。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【0192】
実施例48(遊離酸):3-[4-(1-アセチルピペリジン-4-イル)フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化52】
工程A:ベンジル 3-[4-(1-アセチルピペリジン-4-イル)フェニル]-1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-(4-ピペリジル)フェニル]ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(50mg、82.0μmol)およびトリエチルアミン(40.0μL、287μmol)のDCM(2mL)溶液に塩化アセチル(5.6μL、77.9μmol)を添加し、得られた透明な黄色の溶液を室温で17時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液(5mL)および水(5mL)でクエンチし、DCM(3×10mL)で抽出した。合わせた抽出物をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物を透明なゴム状物(42mg、83%)として得て、これを静置して固化させた。
H NMR(500MHz、メタノール-d) δ 7.37(d、J=3.2Hz、1H)、7.29-7.19(m、11H)、7.17-7.15(m、2H)、7.12-7.11(m、2H)、6.17(d、J=3.2Hz、1H)、5.16(s、2H)、4.95(s、2H)、4.70-4.65(m、1H)、4.07-4.02(m、1H)、2.79(tt、J=12.2、3.6Hz、1H)、2.72(td、J=13.0、2.4Hz、1H)、2.15(s、3H)、1.92-1.84(m、2H)、1.67(qd、J=12.7、4.3Hz、1H)、1.57(qd、J=12.7、4.3Hz、1H)。1個のプロトンは残存する溶媒のピークにより不明瞭である。
LC-MS(方法A):R=3.43分、m/z=616.2 [M+H]
【0193】
工程B:3-[4-(1-アセチル-4-ピペリジル)フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 3-[4-(1-アセチル-4-ピペリジル)フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(42.0mg、68.2μmol)メタノール(2mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、2mg、18.8μmol)を添加し、得られた懸濁液を1気圧の水素下で、室温で5時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドでろ過し、メタノール(2×10mL)で洗浄し、ろ液を回収し、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテル(3×5mL)で磨砕し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(19mg、57%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 9.06(brs、2H)、7.42(d、J=8.0Hz、2H)、7.15(d、J=8.0Hz、2H)、7.06(brs、1H)、6.19(brd、J=3.0Hz、1H)、4.55-4.50(m、1H)、3.95-3.90(m、1H)、3.12(td、J=13.2、2.7Hz、1H)、2.73(tt、J=12.0、3.6Hz、1H)、2.55-2.50(m、1H)、2.03(s、3H)、1.82-1.74(m、2H)、1.59(qd、J=12.6、4.2Hz、1H)、1.43(qd、J=12.6、4.2Hz、1H)。2.55-2.50の1Hの多重項はDMSOピークにより一部不明瞭である。
LC-MS(方法D):R=6.59分、m/z=390.3 [M-H]
【0194】
実施例49(遊離酸):3-[4-[1-(ジメチルスルファモイル)ピペリジン-4-イル]フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化53】
工程A:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[1-(ジメチルスルファモイル)-4-ピペリジル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート
窒素下、ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-(4-ピペリジル)フェニル]ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(170mg、0.28mmol)およびトリエチルアミン(78μL、0.56mmol)のDMF(5mL)溶液にN,N-ジメチルスルファモイルクロライド(30.0μL、0.28mmol)を添加し、室温で19時間撹拌した。反応混合物を水(55mL)および2M HCl(水溶液)(10mL)でクエンチし、超音波処理し、10分間撹拌した。得られた固体をろ過し、真空下で乾燥させて、所望の粗生成物(114mg、60%)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程で使用した。
LCMS(方法A):R=2.12分、m/z=681.1 [M+H]
【0195】
工程B:3-[4-[1-(ジメチルスルファモイル)ピペリジン-4-イル]フェニル]-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[1-(ジメチルスルファモイル)-4-ピペリジル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート(114mg、0.17mmol)のメタノール(5mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、36mg、0.017mmol)を添加し、得られた懸濁液を1気圧の水素下で、室温で5.5時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドでろ過し、メタノール(2×10mL)で洗浄し、ろ液を回収し、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテル(3×5mL)で磨砕し、減圧下で乾燥させて白色固体を得た。分取HPLC(方法A、1.78~1.90分)を用いて粗製の物質を精製して、所望の生成物(17mg、20%)を得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.15(brs、1H)、8.22(brs、2H)、7.38-7.31(m、3H)、7.26-7.24(m、2H)、6.33(brs、1H)、3.70-3.60(m、2H)、2.95(td、J=12.3、2.2Hz、2H)、2.76(s、6H)、1.85-1.83(m、2H)、1.69-1.61(m、3H)。
LCMS(方法C):R=7.26分、m/z=455.2 [M-H]
【0196】
実施例50(遊離酸):3-[4-[1-(2-ベンジルオキシエチル)-4-ピペリジル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化54】
工程A:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[1-(2-ベンジルオキシエチル)-4-ピペリジル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート
窒素下、ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-(4-ピペリジル)フェニル]ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(430mg、0.7mmol)および炭酸カリウム(292mg、2.1mmol)のDMF(2mL)溶液にベンジル 2-ブロモエチルエーテル(130μL、0.8mmol)を添加し、室温で17時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた抽出物を1:1の水:塩水(3×15mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:メタノール、勾配溶出100:0~80:20)により精製し、ジエチルエーテルで磨砕し、所望の生成物を白色固体(298mg、60%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 9.24(brs、1H)、7.41-7.37(m、6H)、7.34-7.25(m、12H)、7.17(d、J=8.1Hz、2H)、6.20(d、J=2.9Hz、1H)、5.14(s、2H)、4.86(s、2H)、4.59(s、2H)、3.79-3.76(m、2H)、3.61-3.58(m、2H)、3.39-3.36(m、2H)、3.15-3.07(m、2H)、2.80(brt、J=11.8Hz、1H)、2.04-2.01(m、2H)、1.95-1.86(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=3.81分、m/z=708.4 [M+H]
【0197】
工程B:3-[4-[1-(2-ベンジルオキシエチル)-4-ピペリジル]フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
7M アンモニア-メタノール溶液を共溶媒として用いて、ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[1-(2-ベンジルオキシエチル)-4-ピペリジル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート(156mg、0.22mmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(100mg、94%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 12.50(brs、1H)、8.65(brs、2H)、7.45(brd、J=8.1Hz、2H)、7.39-7.34(m、4H)、7.32-7.28(m、1H)、7.20-7.09(m、3H)、6.23(d、J=3.2Hz、1H)、4.52(s、2H)、3.80-3.75(m、2H)、3.44-3.37(m、2H)、3.11-2.98(m、2H)、2.82-2.66(m、3H)、1.54(brs、4H)。2.82-2.66の多重項は溶媒ピークにより不明瞭である。
LC-MS(方法A):R=3.08分、m/z=484.2 [M+H]
【0198】
実施例51(塩酸塩):3-[4-(3-アミノプロピルカルバモイル)フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
【化55】
工程A:4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸ナトリウム塩
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(504mg、976μmol)および4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸(706mg、1.42mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液にXPhos Pd G2(76mg、98μmol)、リン酸三カリウム(621mg、2.93mmol)の水(3mL)溶液を添加し、反応混合物を90℃に加熱し、この温度で4時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(75mL)で抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣にDCMを添加し、ろ過により沈殿を単離し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(140mg、26%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.83(d、J=8.0Hz、2H)、7.40-7.37(m、4H)、7.34-7.26(m、10H)、6.30(d、J=3.0Hz、1H)、5.16(s、2H)、4.86(s、2H)。
LC-MS(方法B):R=3.28分、m/z=533.3 [M-H]
【0199】
工程B:ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロピルカルバモイル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩
4-[2-ベンジルオキシカルボニル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-3-イル]安息香酸、ナトリウム塩(125mg、224μmol)、tert-ブチル N-(3-アミノプロピル)カルバメート(41mg、234μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(91mg、702μmol)のDMF(3mL)溶液にHBTU(106mg、281μmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。水(50mL)を添加することにより反応物をクエンチし、酢酸エチル(75mL)を添加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を無色油状物(75mg、47%)として得た。
LC-MS(方法A):R=3.52分、m/z=689.6 [M-H]
【0200】
工程C:ベンジル-3-[4-(3-アミノプロピルカルバモイル)フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[4-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロピルカルバモイル]フェニル]ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩(75mg、105μmol)のDCM(5mL)溶液に4M HCl-1,4-ジオキサン溶液(10mL)を添加し、反応混合物を3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、反応混合物を2g SCX カートリッジ上に充填し、メタノール、3M アンモニア-メタノール溶液で溶出した。生成物のフラクションを合わせて、溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を白色固体(52mg、84%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.58(t、J=6.0Hz、1H)、7.77(d、J=8.5Hz、2H)、7.63(brs、3H)、7.43-7.39(m、4H)、7.34-7.26(m、9H)、6.30(d、J=3.0、1H)、5.16(s、2H)、4.86(s、2H)、3.37-3.30(m、2H)、2.85(t、J=7.5Hz、2H)、1.81(m、2H)。3.37-3.30の多重項は残存する水のピークにより不明瞭である。
LC-MS(方法B):R=2.60分、m/z=589.5 [M-H]
【0201】
工程D:3-[4-(3-アミノプロピルカルバモイル)フェニル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
ベンジル 3-[4-(3-アミノプロピルカルバモイル)フェニル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(52mg、88μmol)にDCM(5mL)を添加し、4M HCl-1,4-ジオキサン(0.8mL)溶液を添加し、溶媒を減圧下で除去した。残渣にメタノール(10mL)および10% パラジウム炭素(50%湿潤、10mg)を添加し、反応混合物を水素雰囲気下に2時間供した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドでろ過し、メタノール(150mL)で溶出した。溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテルと石油エーテルの混合物で磨砕し、所望の生成物を灰白色固体(22mg、62%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.78-8.72(m、1H)、8.56(brs、2H)、7.99(brs、3H)、7.84(d、J=8.0Hz、2H)、7.58(d、J=8.0Hz、2H)、7.24(s、1H)、6.35(d、J=2.5Hz、1H)、3.37-3.32(m、2H)、2.84(t、J=7.0Hz、2H)、1.83(quin、J=7.0Hz、2H)。3.37-3.32の多重項は、水ピークにより不明瞭である。
LC-MS(方法A):R=1.80分、m/z=365.3 [M-H]
【0202】
実施例52(ナトリウム塩):3-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
【化56】
工程A:ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-[6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル]-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(170mg、0.33mmol)、6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-ボロン酸(92mg、0.41mmol)および炭酸ナトリウム(109mg、1.02mmol)の混合物の1,4-ジオキサン(1.0mL)および水(0.5mL)溶液を、窒素を5分間バブリングすることにより脱気し、Pd(dppf)Cl(26mg、0.034mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波照射下、130℃で加熱した。反応混合物を水(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×3mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(3mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、0~100% 酢酸エチル/DCM、その後0~20% MeOH/酢酸エチル)により精製し、その後ジエチルエーテルで磨砕して、所望の生成物を褐色固体(113mg、55%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.16(dd、J=2.5、0.4Hz、1H)、7.65(dd、J=8.6、2.5Hz、1H)、7.47-7.44(m、2H)、7.41-7.36(m、4H)、7.34-7.24(m、10H)、6.80(dd、J=8.6、0.4Hz、1H)、6.23(d、3.2Hz、1H)、5.35(s、2H)、5.13(s、2H)、4.85(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=4.21分、m/z=598.0 [M+H]
【0203】
工程B:3-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-[6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル]-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(113mg、0.18mmol)のメタノール(5mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、40mg、0.2mmol)を添加し、得られた懸濁液を1気圧の水素下で、室温で6時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルで磨砕し、残りの固体を真空下で40℃で乾燥させて、所望の生成物を褐色固体(47mg、85%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ 11.56(brs、1H)、8.68(brs、2H)、7.66(brs、1H)、7.58(dd、J=9.5、2.8Hz、1H)、7.18(brs、1H)、6.27(d、J=9.5Hz、1H)、6.23(d、J=2.8Hz、1H)。
LC-MS(方法D):R=0.41分、m/z=284.1 [M+H]
【0204】
実施例53(塩酸塩):3-(2-アミノ-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
【化57】
工程A:tert-ブチル N-(4-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニルカルバメート
4-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(4.63g、20.2mmol)、トリエチルアミン(2.8mL、20.2mmol)および二炭酸ジ-tert-ブチル(9.70g、44.5mmol)のDCM(100mL)懸濁液に4-(ジメチルアミノ)ピリジン(246mg、2.0mmol)を添加し、室温で17時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で洗浄し、得られた相を分離した。水層をDCM(2×30mL)で洗浄し、抽出物をもとの有機層と合わせて、2M HCl(水溶液)(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を灰白色固体(3.97g、46%)として得た。これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
LC-MS(方法A):R:4.48分、m/z=427.1/429.1 [M-H]
【0205】
工程B:[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]ボロン酸
窒素雰囲気下、撹拌したtert-ブチル N-(4-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-N-tert-ブトキシカルボニルカルバメート(1.5g、3.49mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.77g、6.99mmol)、Pd(dppf)Cl(128mg、175μmol)および酢酸カリウム(1.03g、10.48mmol)の1,4-ジオキサン(9mL)溶液を85℃で3時間加熱した。反応混合物をジエチルエーテル(20mL)で希釈し、セライト(登録商標)でろ過した。ろ液を濃縮し、その後ジエチルエーテル(20mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(3×10mL)で洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、石油エーテル(20mL)に再溶解し、ろ過した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出90:10~80:20)により精製し、その後エーテルで磨砕し、ろ過して、所望の生成物を固体(595mg、43%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl)δ 7.94(dd、J=7.2、1.1Hz、1H)、7.88(dd、J=7.9、1.1Hz、1H)、7.36(t、J=7.6Hz、1H)、6.55(s、2H)、1.62(s、18H)。
【0206】
工程C:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]ピロール-2-カルボキシレート
窒素雰囲気下、ナトリウム [(ベンジルオキシ)カルボニル]({2-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-3-ブロモ-1H-ピロール-1-イル}スルホニル)アザニド(500mg、970μmol)、[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]ボロン酸(421mg、1.07mmol)、XPhos Pd G2(76mg、97μmol)およびリン酸三カリウム(618mg、2.91mmol)のDME(4mL)および水(1mL)の混合溶液をマイクロ波照射により45℃で3時間加熱した。有機層を分離し、濃縮し、減圧下で濃縮乾固させ、残渣ジエチルエーテルで磨砕し、ろ過した。得られた固体をDCMおよび1M HCl(水溶液)に分配し、層を分離し、有機層を濃縮して、所望の生成物を固体(600mg、81%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.71-7.55(m、2H)、7.31(brs、1H)、7.25-7.16(m、6H)、7.07-6.96(m、3H)、6.57(brd、J=6.7Hz、2H)、6.20(d、J=2.7Hz、1H)、4.95(s、2H)、4.67(s、2H)、1.43(s、18H)。
【0207】
工程D:3-[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]ピロール-2-カルボキシレート(600mg、786μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を油状物(357mg、84%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.89(d、J=7.8Hz、1H)、7.52(brd、J=7.5Hz、1H)、7.30(t、J=7.8Hz、1H)、7.15(brs、1H)、6.42(d、J=3.1Hz、1H)、1.52(s、18H)。
LC-MS(方法A):R=3.89分、m/z=537.3 [M-H]
【0208】
工程E:3-(2-アミノ-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
撹拌した3-[2-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1,3-ベンゾチアゾール-4-イル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸(132mg、245μmol)のDCM(3mL)溶液にTFA(0.6mL、8.10mmol)を添加した。2時間後、反応混合物をメタノールでクエンチし、酢酸エチルで希釈し、濃縮し、ジエチルエーテルに再溶解した。これに4M HCl-1,4-ジオキサン溶液を添加し、得られた沈殿をろ過により単離し、ジエチルエーテルで洗浄して、所望の生成物を白色固体(68mg、66%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.33-8.24(m、1H)、8.20(s、2H)、7.77(brd、J=6.6Hz、1H)、7.53(d、J=2.7Hz、1H)、7.37(brs、1H)、7.27(s、1H)、7.23-7.16(m、3H)、6.36(d、J=3.1Hz、1H)。
LC-MS(方法A):R=2.29分、m/z=337.2 [M-H]
【0209】
実施例54(遊離酸):3-ベンジル-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化58】
工程A:メチル 3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボキシレート
NMP(30mL)にメチル2-イソシアノアセテート(1.8mL、20.2mmol)および(プロプ-2-イン-1-イル)ベンゼン(2.1mL、16.8mmol)を添加し、これに炭酸銀(463mg、1.68mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間加熱した。混合物をろ過し、水(100mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて黒色の液体を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中40~100% ジエチルエーテル)により精製して、所望の生成物を橙色の液体(1.7g、47%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 8.96(brs、1H)、7.29-7.22(m、4H)、7.20-7.15(m、1H)、6.82(t、J=2.8Hz、1H)、6.04(t、J=2.7Hz、1H)、4.18(s、2H)、3.86(s、3H)。
【0210】
工程B:3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボン酸
メチル 3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(1.0g、4.65mmol)をエタノール(25mL)および水(7.5mL)に溶解し、これに水酸化リチウム一水和物(292.43mg、6.97mmol)を添加し、混合物を60℃で5時間撹拌し、その後25℃で38時間撹拌した。反応物を初めの体積の50%まで蒸発させ、水(50mL)で希釈し、水層をジエチルエーテル(75mL)で洗浄した。2M HCl(水溶液)を用いて水層を酸性化して固体を得て、これをろ過し、一晩風乾させて、所望の生成物を白色固体(700mg、75%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 12.26(brs、1H)、11.46(brs、1H)、7.28-7.19(m、4H)、7.18-7.11(m、1H)、6.81(t、J=2.8Hz、1H)、5.92(t、J=2.7Hz、1H)、4.08(s、2H)。
【0211】
工程C:ベンジル 3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボキシレート
DMF(30mL)に3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボン酸(680mg、3.38mmol)、臭化ベンジル(606mg、3.55mmol)および炭酸水素ナトリウム(369mg、4.39mmol)を添加し、50℃で5時間加熱した。混合物を水(100mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(2×75mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて黄色ゴム状物を得た。ゴム状物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジエチルエーテル、その後1:1のジエチルエーテル 酢酸エチル溶液)により精製して、所望の生成物を黄色固体(700mg、57%)として得た。これをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
LC-MS(方法B):R=3.91分、m/z=290.3 [M-H]
【0212】
工程D:ベンジル 1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボキシレート
窒素下、ベンジル 3-ベンジル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(430mg、1.48mmol)をTHF(20mL)に溶解し、これに水素化ナトリウム(鉱油中60%、106mg、2.21mmol)を添加した後、10分間撹拌した。これに[(ベンジルオキシ)カルボニル]({[4-(ジメチルイミニウミル)-1,4-ジヒドロピリジン-1-イル]スルホニル})アザニド(496mg、1.48mmol)を一回で添加し、混合物を還流温度で18時間撹拌した。混合物を2M HCl(水溶液)(50mL)および水(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(2×75mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、黒色ゴム状物を得た。混合物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中20%~40% ジエチルエーテル、100% ジエチルエーテルおよび最終的に1:1のジエチルエーテル:酢酸エチル)により精製して、所望の生成物を黒色ゴム状物(350mg、46%)として得た。
LC-MS(方法B):R=2.44分、m/z=503.2 [M-H]
【0213】
工程E:3-ベンジル-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
エタノール(20mL)にベンジル 3-ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(350mg、693μmol)および10% パラジウム炭素(50%湿潤、7.4mg、69μmol)を添加し、水素ガス(700mg、346mmol)雰囲気下、2時間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)でろ過し、蒸発させて黄色ゴム状物を得た。これを最小限の量のジエチルエーテル(1mL)に溶解し、これに20% ジエチルエーテル 石油エーテル溶液を添加して固体を得て、これを超音波処理し、ろ過し、風乾させて、所望の生成物を白色固体(90mg、44%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.89(brs、2H)、7.28-7.19(m、4H)、7.18-7.10(m、2H)、5.90(d、J=3.1Hz、1H)、4.10(s、2H)。
LC-MS(方法E):R=0.71分、m/z=279.2 [M-H]
【0214】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、2-イソシアノアセテートおよび対応するアルキンから出発した3-ベンジル-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸と同様の方法で製造した。
【表10】
【0215】
実施例56(遊離酸):3-(アニリノメチル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化59】
工程A:ベンジル 3-[(N-tert-ブトキシカルボニルアニリノ)メチル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート
不活性雰囲気下、tert-ブチル N-フェニル-N-プロプ-2-イニル-カルバメート(1.0g、4.32mmol)および炭酸銀(596mg、2.16mmol)を無水1,4-ジオキサン(20mL)に懸濁し、100℃に加熱した。ベンジル 2-イソシアノアセテート(757mg、4.32mmol)の無水1,4-ジオキサン(5mL)溶液を1時間かけて滴下添加し、添加完了後、混合物をアルミホイルで覆い、その後100℃で19時間撹拌した。冷却後、反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、ジエチルエーテル(100mL)で洗浄した。相を分離し、水層をジエチルエーテル(100mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(150mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:ジエチルエーテル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を灰白色固体(1.22g、69%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.95(brs、1H)、7.37-7.31(m、5H)、7.24-7.21(m、2H)、7.17(m、2H)、7.11(m、1H)、6.86(t、J=2.5Hz、1H)、6.33(t、J=2.5Hz、1H)、5.21(s、2H)、5.07(s、2H)、1.43(s、9H)。
LC-MS(方法B):R=4.14分、m/z=405.4 [M-H]
【0216】
工程B:ベンジルオキシカルボニル-[2-ベンジルオキシカルボニル-3-[(N-tert-ブトキシカルボニルアニリノ)メチル]ピロール-1-イル]スルホニル-アザニド、ナトリウム塩
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(鉱油中60%、360mg、9.00mmol)の無水THF(15mL)懸濁液を-10℃に添加し、ベンジル 3-[(N-tert-ブトキシカルボニルアニリノ)メチル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート(1.22g、3.00mmol)の無水THF(10mL)溶液を、-5℃未満の温度を保ちながら、30分間かけて滴下添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した後、再び-10℃に冷却した。反応混合物にベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(821mg、3.30mmol)を、-5℃未満の温度を保ちながら添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した。反応混合物を再び-10℃に冷却し、50:50の水:塩水(100mL)を添加することによりクエンチし、酢酸エチル(100mL)に抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(750mg、39%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.48-7.42(m、2H)、7.32-7.23(m、11H)、7.14-7.10(m、3H)、6.59(d、J=2.5Hz、1H)、5.14(s、2H)、4.87(s、2H)、4.78(s、2H)、1.35(s、9H)。
LC-MS(方法B):R=2.73分、m/z=618.5 [M-H]
【0217】
工程C:ベンジル 3-(アニリノメチル)-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
ベンジルオキシカルボニル-[2-ベンジルオキシカルボニル-3-[(N-tert-ブトキシカルボニルアニリノ)メチル]ピロール-1-イル]スルホニル-アザニド、ナトリウム塩(750mg、1.21mmol)のDCM(5mL)溶液に4M HCl-1,4-ジオキサン(15mL)溶液を添加し、反応混合物を3時間撹拌し、その後50℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、DCM(70mL)および水(70mL)を添加し、相を分離し、水層をDCM(50mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出90:10~0:100)により精製して、所望の生成物を橙色油状物(350mg、56%)として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.53-7.48(m、2H)、7.42(s、1H)、7.45-7.30(m、10H)、7.06(t、J=7.5Hz、2H)、6.63-6.58(m、3H)、6.22(d、J=3.0Hz、1H)、5.33(s、2H)、5.05(s、2H)、4.28(s、2H)。LC-MS(方法B):R=2.59分、m/z=518.4 [M-H]
【0218】
工程D:3-(アニリノメチル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 3-(アニリノメチル)-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(350mg、674μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を薄茶色固体(102mg、44%)として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.34(brs、2H)、7.29(d、J=3.0Hz、1H)、7.12-7.00(m、2H)、6.57(d、J=8.0Hz、2H)、6.55-6.45(m、1H)、6.17(d、J=3.0Hz、1H)、4.36(s、2H)。LC-MS(方法A):R=1.99分、m/z=294.3 [M-H]
【0219】
実施例57(塩酸塩):3-(ピペリジン-4-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
【化60】
窒素雰囲気下、ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(100mg、0.19mmol)をメタノール(10mL)に溶解した。反応混合物を真空でパージし、空気を窒素で3回置換した。反応混合物に10% パラジウム炭素(50%湿潤、79.71mg、0.04mmol)を添加し、空気を真空でパージし、水素(1気圧、風船)で置換し、反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物を事前に準備したセライト(登録商標)パッド(メタノール)でろ過し、メタノール(2×30mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して白色固体を得た。固体をジエチルエーテル(3×10mL)で磨砕し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(41mg、68%)として得た。
H NMR(500MHz、メタノール-d) δ 7.47(d、J=3.2Hz、1H)、6.25(d、J=3.2Hz、1H)、3.56(tt、J=12.1、3.5Hz、1H)、3.50-3.45(m、2H)、3.11(td、J=13.1、2.5Hz、2H)、2.09(brd、J=13.2Hz、2H)、1.85(qd、J=13.2、3.8Hz、2H)。
LCMS(方法C):R=0.65分、m/z=274.1 [M+H]
【0220】
実施例58(遊離酸):3-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化61】
工程A:ベンジル 3-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
0℃で、ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(60mg、112μmol)のDCM(10mL)溶液にトリエチルアミン(39μL、281μmol)を添加し、塩化アセチル(9.6μL、135μmol)を添加し、反応物を0℃で5時間撹拌した。反応混合物をDCM(20mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)、1M HCl(水溶液)(20mL)、水(20mL)、塩水(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(28mg、46%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.51(brs、1H)、7.38-7.20(m、3H)、7.19-7.04(m、8H)、5.78(brs、1H)、4.99(brs、2H)、4.86(s、2H)、4.41(brd、J=12.9Hz、1H)、3.58-3.45(m、1H)、2.91(brt、J=11.8Hz、1H)、2.41(brt、J=12.8Hz、1H)、1.98(s、3H)、1.92(brs、1H)、1.52-1.33(m、2H)、1.32-1.13(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=2.90分、m/z=540.0 [M+H]
【0221】
工程B:3-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル-3-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(28mg、52μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を淡黄色固体(13mg、70%)として得た。
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.20-7.14(m、1H)、6.08(d、J=2.5Hz、1H)、4.59(brd、J=11.7Hz、1H)、3.95(brd、J=11.3Hz、1H)、3.60(brs、1H)、3.27-3.07(m、1H)、2.65(brt、J=12.8Hz、1H)、2.11(s、3H)、1.89(brd、J=12.3Hz、1H)、1.83(brd、J=12.6Hz、1H)、1.62-1.43(m、2H)。
LC-MS(方法D):R=0.43分、m/z=314.1 [M-H]
【0222】
実施例59(遊離酸):3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化62】
工程A:ベンジル 3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(286mg、0.89mmol)のDCM(5mL)懸濁液を0℃に冷却した。トリエチルアミン(310μL、2.23mmol)を添加し、メタンスルホニルクロライド(83μL、1.07mmol)を添加した。5時間後、混合物をDCM(50mL)で希釈し、2M HCl(水溶液)(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:ジエチルエーテル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(246mg、76%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ=8.95(brs、1H)、7.44-7.32(m、5H)、6.86(t、J=2.4Hz、1H)、6.17(t、J=2.4Hz、1H)、5.29(s、2H)、3.89-3.77(m、2H)、3.32-3.20(m、1H)、2.77(s、3H)、2.68-2.56(m、2H)、1.99-1.88(m、2H)、1.76-1.66(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=0.46分、m/z=361.2 [M-H]
【0223】
工程B:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(246mg、0.68mmol)の無水THF(4mL)溶液を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中60%、81mg、2.04mmol)を一回で添加した。5分後、反応物をまで昇温させ、60分間加熱した。0℃に冷却した後、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(186mg、0.75mmol)を一回で添加し、反応物を室温まで昇温させた。2時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を迅速に滴下添加し、酢酸エチル(60mL)を添加した。有機層を水(10mL)、塩水(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製した後、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出25:75~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(177mg、45%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=7.58-7.50(m、2H)、7.39-7.25(m、10H)、6.10-5.99(m、1H)、5.21(s、2H)、4.87(s、2H)、3.57-3.50(m、2H)、3.42-3.28(m、1H)、2.90-2.77(m、5H)、1.74-1.67(m、2H)、1.60-1.48(m、2H)。3.42-3.28の多重項は水ピークにより一部不明瞭である。
LC-MS(方法A):R=3.38分、m/z=574.3 [M-H]
【0224】
工程C:3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート(177mg、0.31mmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(96mg、84%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=13.30(brs、1H)、8.03(brs、2H)、7.39(d、J=3.2Hz、1H)、6.32(d、J=3.2Hz、1H)、3.67-3.60(m、2H)、3.25-3.16(m、1H)、2.89(s、3H)、2.81-2.73(m、2H)、1.85-1.79(m、2H)、1.69-1.58(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=0.66分、m/z=350.2 [M-H]
【0225】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ベンジル 3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩から出発した3-(1-メチルスルホニル-4-ピペリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸と同様の方法で製造した。
【表11】
【0226】
実施例62(遊離酸):3-[1-(2-アミノアセチル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化63】
工程A:ベンジル-3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]-4-ピペリジル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート
DMF(1.60mL)に懸濁したベンジル 3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(200mg、0.62mmol)および2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)酢酸(109mg、0.62mmol)を0℃に冷却した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(390μL、2.24mmol)を添加し、HBTU(283mg、0.75mmol)を添加した。0℃で30分間撹拌後、溶液を室温まで昇温させ、18時間撹拌した。ジエチルエーテル(40mL)を添加し、有機層を水(2×10mL)、塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:酢酸エチル、勾配溶出100:0~25:75)により精製して、所望の生成物を白色泡状物(247mg、90%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ=8.97(brs、1H)、7.43-7.32(m、5H)、6.86-6.83(m、1H)、6.14-6.10(m、1H)、5.60-5.53(m、1H)、5.33-5.25(m、2H)、4.69-4.61(m、1H)、4.03-3.88(m、2H)、3.72-3.65(m、1H)、3.45-3.37(m、1H)、3.03-2.93(m、1H)、2.63-2.54(m、1H)、1.95-1.86(m、2H)、1.48-1.42(m、11H)。
LC-MS(方法A):R=3.49分、m/z=440.4 [M-H]
【0227】
工程B:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]-4-ピペリジル]ピロール-2-カルボキシレート
不活性雰囲気下、撹拌した水素化ナトリウム(鉱油中60%、104mg、2.60mmol)無水THF(1.22mL)懸濁液を-10℃に冷却した。ベンジル 3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]-4-ピペリジル]-1H-ピロール-2-カルボキシレート(244mg、553μmol)のTHF(1.2mL)溶液を10分間かけて滴下添加した。混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌し、その後-10℃に冷却した。ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(241mg、0.97mmol)を固体として5分間かけて分割して添加した。混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌し、-10℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)を添加した。酢酸エチル(50mL)を添加し、有機層を水(2×10mL)、塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:メタノール、勾配溶出100:0~20:80)により精製して、所望の生成物を白色固体(204mg、56%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=7.58-7.52(m、2H)、7.37-7.21(m、10H)、6.70-6.65(m、1H)、5.98-5.94(m、1H)、5.21(s、2H)、4.86(s、2H)、4.42-4.31(m、1H)、3.84-3.71(m、3H)、2.99-2.90(m、1H)、2.88-2.78(m、1H)、2.42-2.32(m、1H)、1.68-1.59(m、2H)、1.42-1.35(m、11H)。
LC-MS(方法A):R=3.76分、m/z=653.5 [M-H]
【0228】
工程C:ベンジル 3-[1-(2-アミノアセチル)-4-ピペリジル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]-4-ピペリジル]ピロール-2-カルボキシレート(202mg、0.31mmol)のDCM(2mL)溶液に4M HCl-1,4-ジオキサン(660μL、2.63mmol)溶液を添加し、室温で18時間撹拌した。全ての揮発性物質を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:1M アンモニア-メタノール溶液、勾配溶出100:0~50:50)により精製して、所望の生成物を白色固体(128mg、75%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=7.58-7.52(m、2H)、7.70-7.40(m、9H)、7.32(brs、3H)、5.93-5.90(m、1H)、5.20(s、2H)、4.84(s、2H)、4.44-4.37(m、1H)、3.85-3.67(m、3H)、3.02-2.87(m、2H)、2.54-2.44(m、1H)、1.72-1.65(m、2H)、1.53-1.42(m、1H)、1.37-1.26(m、1H)。2.54-2.44の多重項は残存する溶媒のシグナルにより一部不明瞭である。
LC-MS(方法A):R=2.83分、m/z=553.4 [M-H]
【0229】
工程D:3-[1-(2-アミノアセチル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル-3-[1-(2-アミノアセチル)-4-ピペリジル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(128mg、230μmol)を、7M アンモニア-メタノールを共溶媒として用いて、3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(71mg、89%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=7.95(brs、5H)、7.02-6.96(m、1H)、5.97-5.91(m、1H)、4.52-4.40(m、1H)、3.81-3.69(m、3H)、3.66-3.57(m、1H)、3.08-2.98(m、1H)、2.67-2.59(m、1H)、1.80-1.72(m、2H)、1.59-1.26(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=0.80分、m/z=329.3 [M-H]
【0230】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ベンジル 3-(4-ピペリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩から出発した3-[1-(2-アミノアセチル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸と同様の方法で製造した。
【表12】
【0231】
実施例64(塩酸塩):3-[1-(2-アミノ-2-メチル-プロパノイル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
【化64】
工程A:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-メチル-プロパノイル]-4-ピペリジル]ピロール-2-カルボキシレート
DMF(20mL)にベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(199mg、400μmol)、2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-メチル-プロパン酸(85mg、420μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(348μL、2.00mmol)、HBTU(151mg、400μmol)を添加し、反応物を一晩撹拌した。混合物を水(10mL)でクエンチし、その後2M HCl(水溶液)(5mL)で酸性化して固体を得て、これを10分間撹拌した後、ろ過した。ろ過した固体をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100% 酢酸エチルを用いて溶出)により精製し、メタノール(2mL)に溶解し、ジエチルエーテルで磨砕し、ろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(205mg、75%)として得た。
LC-MS(方法B):R=2.31分、m/z=683.4 [M+H]
【0232】
工程B:ベンジル 3-[1-(2-アミノ-2-メチル-プロパノイル)-4-ピペリジル]-1(ベンジルオキシカルボニル スルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート 塩酸塩
ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-[1-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-メチル-プロパノイル]-4-ピペリジル]ピロール-2-カルボキシレート(200mg、292μmol)を4M HCl-1,4-ジオキサン(5mL)に溶解し、2時間撹拌した。混合物をジエチルエーテルで希釈して固体を得て、これを窒素下でろ過して、所望の生成物を白色固体(89mg、52%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=8.21(brs、3H)、7.52-7.50(m、2H)、7.41-7.27(m、9H)、6.24-6.11(d、J=3.9Hz、1H)、5.30(s、2H)、5.05(s、2H)、4.12-4.00(m、2H)、3.71-3.62(m、2H)、3.15-3.08(m、1H)、1.72-1.66(m、2H)、1.56(s、6H)、1.43-1.31(m、2H)。
LC-MS(方法B):R=2.20分、m/z=583.3 [M+H]
【0233】
工程C:3-[1-(2-アミノ-2-メチル-プロパノイル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩
ベンジル-3-[1-(2-アミノ-2-メチル-プロパノイル)-4-ピペリジル]-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩(89mg、143μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(32mg、53%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=8.20(brs、3H)、8.09(brs 2H)、7.37(d、J=2.8Hz、1H)、6.26(d、J=2.8Hz、1H)、4.45-4.21(br m、2H)、3.13-2.80(brs、3H)、1.88-1.79(m、2H)、1.60(s、6H)、1.51-1.39(m、2H)。
LC-MS(方法B):R=0.32分、m/z=357.3 [M-H]
【0234】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(4-ピペリジル)ピロール-2-カルボキシレート塩酸塩から出発した3-[1-(2-アミノ-2-メチル-プロパノイル)-4-ピペリジル]-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸塩酸塩と同様の方法で製造した。
【表13-1】
【表13-2】
【0235】
実施例70(遊離酸):3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化65】
工程A:tert-ブチル 3-[2-(ベンゼンスルホニル)エテニル]アゼチジン-1-カルボキシレート
アルゴン下、-20℃で、メタンスルホニルベンゼン(843mg、5.40mmol)の無水THF(15mL)溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M THF溶液、11.3mL、11.3mmol)を滴下添加し、反応物を-20℃で10分間撹拌した。反応混合物にクロロトリメチルシラン(754μL、5.94mmol)を添加し、さらに10分間撹拌した。反応混合物にtert-ブチル 3-ホルミルアゼチジン-1-カルボキシレート(1.00g、5.40mmol)の無水THF(3mL)溶液を滴下添加し、-20℃でさらに3時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:ジエチルエーテル、勾配溶出100:0~25:75)により精製して、所望の生成物を無色ゴム状物(939mg、54%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.89(d、J=7.4Hz、2H)、7.73-7.54(m、3H)、7.12(dd、J=15.0、8.0Hz、1H)、6.40(dd、J=15.1、1.1Hz、1H)、4.13(t、J=8.5Hz、2H)、3.80(dd、J=8.7、5.6Hz、2H)、3.39-3.31(m、1H)、1.45(s、9H)。LC-MS(方法B):R=3.38分、m/z=322.3 [M-H]
【0236】
工程B:ベンジル 3-{1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]アゼチジン-3-イル}-1H-ピロール-2-カルボキシレート
アルゴン下、0℃で、カリウム tert-ブトキシド(521mg、4.65mmol)の無水THF(10mL)懸濁液にベンジル 2-イソシアノアセテート(610mg、3.48mmol)を添加し、反応物を0℃で10分間撹拌した。反応混合物にtert-ブチル 3-[2-(ベンゼンスルホニル)エテニル]アゼチジン-1-カルボキシレート(939mg、2.90mmol)の無水THF(10mL)溶液を添加し、室温に昇温しながら3時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~75:25)により精製して、所望の生成物を無色ゴム状物(420mg、41%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 9.03(brs、1H)、7.41-7.33(m、5H)、6.90(t、J=2.8Hz、1H)、6.34(t、J=2.7Hz、1H)、5.26(s、2H)、4.27-4.20(m、3H)、3.90(brs、2H)、1.44(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.77分、m/z=355.3 [M-H]
【0237】
工程C:ベンジル 3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 3-{1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]アゼチジン-3-イル}-1H-ピロール-2-カルボキシレート(210mg、589μmol)のDCM(5mL)溶液に4M HCl-1,4-ジオキサン(1.0mL、4.0mmol)溶液を添加し、反応物を20℃で5時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固させ、メタノールに再溶解し、再濃縮し、その後ジエチルエーテル中でスラリー化させ、濃縮した。残渣をDCM(10mL)に溶解し、0℃に冷却し、トリエチルアミン(247μL、1.77mmol)および塩化アセチル(54μL、886μmol)を添加し、室温まで昇温させて20時間撹拌した。反応混合物をDCM(20mL)で希釈し、水(20mL)および塩水(20mL)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(76mg、43%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 9.14(brs、1H)、7.41-7.28(m、5H)、6.92(t、J=2.9Hz、1H)、6.31(t、J=2.6Hz、1H)、5.33-5.24(m、2H)、4.42-4.25(m、3H)、4.17-3.95(m、2H)、1.85(s、3H)。
LC-MS(方法A):R=2.76分、m/z=297.3 [M-H]
【0238】
工程D:ベンジル 3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
アルゴン下、-10℃で、ベンジル 3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(76mg、255μmol)の無水THF(4mL)に水素化ナトリウム(鉱油中60%、31mg、764μmol)を分割して添加し、反応物を45分間撹拌した。反応混合物にベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(70mg、280μmol)を添加し、-10℃で撹拌し、室温まで昇温させて18時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×30mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(30mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM:メタノール、勾配溶出100:0~95:5)により精製し、その後カラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:メタノール、勾配溶出100:0~92:8)により精製して、所望の生成物を白色固体(27mg、21%)として得た。
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.51(d、J=3.1Hz、1H)、7.46(brd、J=7.0Hz、2H)、7.40-7.18(m、9H)、6.22(d、J=3.1Hz、1H)、5.43-5.23(m、2H)、5.01-4.92(m、2H)、4.29-4.10(m、2H)、4.07-3.97(m、2H)、3.87(brdd、J=9.3、5.8Hz、1H)、1.78(s、3H)。
LC-MS(方法A):R=3.10分、m/z=512.2 [M+H]
【0239】
工程E:3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 3-(1-アセチルアゼチジン-3-イル)-1-({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}スルホニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(27mg、53μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を淡い薄茶色固体(15mg、94%)として得た。
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.15(brd、J=2.9Hz、1H)、6.18(brd、J=2.9Hz、1H)、4.51-4.33(m、1H)、4.30(brt、J=6.6Hz、1H)、4.20(brt、J=9.2Hz、1H)、4.00(brt、J=7.2Hz、1H)、3.90-3.74(m、1H)、1.77(s、3H)。
LC-MS(方法A):R=1.76分、m/z=286.2 [M-H]
【0240】
実施例71(ナトリウム塩):3-(2-ピリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
【化66】
工程A:ベンジル 3-(2-ピリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
窒素下、脱気した2-エチニルピリジン(0.42mL、4.11mmol)の無水1,4-ジオキサン(15mL)溶液に炭酸銀(567mg、2.06mmol)を添加し、反応混合物を100℃で加熱した。ベンジル 2-イソシアノアセテート(864mg、4.93mmol)の無水1,4-ジオキサン(2.5mL)溶液を30分間かけて滴下添加し、反応混合物をさらに20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)のパッドでろ過し、フィルターパッドをジエチルエーテル(4×50mL)と水(3×20mL)で交互に洗浄した。得られた層を分離し、有機層をNaSOで洗浄し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出80:20~40:60)により精製して、所望の生成物を無色油状物(746mg、65%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 12.0(brs、1H)、8.56-8.54(m、1H)、7.79(brd、J=7.9Hz、1H)、7.66(td、J=7.7、1.8Hz、1H)、7.37-7.35(m、4H)、7.35-7.29(m、1H)、7.24-7.21(m、1H)、7.06(t、J=2.7Hz、1H)、6.50(t、J=2.7Hz、1H)、5.25(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=2.05分、m/z=277.3 [M-H]
【0241】
工程B:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(2-ピリジル)ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩
窒素下、-10℃で、水素化ナトリウム(鉱油中60%、193mg、8.0mmol)の無水THF(4mL)懸濁液にベンジル 3-(2-ピリジル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(746mg、2.68mmol)の無水THF(2.5mL)溶液を10分間かけて添加した。添加完了後、反応混合物を室温まで昇温させ、40分間撹拌し、再び-10℃に冷却した。ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(733mg、2.95mmol)を5分間かけて分割して添加し、添加完了後、反応混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。反応混合物を再び-10℃に冷却し、1:1の水:塩水(10mL)を滴下添加することによりクエンチした。溶液を酢酸エチル(3×25mL)で抽出し、合わせた抽出物を塩水(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出80:20~0:100)により精製して、所望の生成物を白色固体(705mg、51%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.43(brd、J=4.7Hz、1H)、7.70(td、J=7.8、1.8Hz、1H)、7.48(d、J=7.8Hz、1H)、7.43-7.40(m、2H)、7.33-7.26(m、8H)、7.21(d、J=3.1Hz、1H)、7.17-7.14(m、1H)、6.49(d、J=3.1Hz、1H)、5.19(s、2H)、4.83(s、2H)。
LC-MS(方法A):R=2.93分、m/z=490.3 [M-H]
【0242】
工程C:3-(2-ピリジル)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(2-ピリジル)ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩(705mg、1.38mmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を黄色固体(373mg、75%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.93(brs、2H)、8.50-4.47(m、1H)、8.04(brd、J=7.8Hz、1H)、7.63(td、J=7.8、1.8Hz、1H)、7.13(ddd、J=7.4、4.5、0.8Hz、1H)、7.00(d、J=3.1Hz、1H)、6.51(d、J=3.1Hz、1H)。
LC-MS(方法A):R=1.73分、m/z=266.2 [M-H]
【0243】
実施例72(ナトリウム塩):3-(シクロプロピルメトキシ)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
【化67】
工程A:メチル 3-(シクロプロピルメトキシ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
メチル 3-ヒドロキシ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(615mg、4.36mmol)および炭酸カリウム(993mg、7.19mmol)のDMF(5mL)溶液に(ブロモメチル)シクロプロパン(588mg、4.36mmol)を添加し、反応混合物を90℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)およびジエチルエーテル(100mL)を添加した。相を分離し、水層をジエチルエーテル(75mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過した。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~50:50)により精製して、所望の生成物を淡黄色油状物(177mg、42%)として得て、これを静置して固化させた。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.58(s、1H)、6.75(t、J=3.0Hz、1H)、5.91(t、J=3.0Hz、1H)、3.86(m、5H)、1.31(m、1H)、0.64-0.60(m、2H)、0.38-0.35(m、2H)。
LC-MS(方法B):RT=2.61分、m/z=194.3 [M-H]
【0244】
工程B:ベンジル 3-(シクロプロピルメトキシ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
メチル 3-(シクロプロピルメトキシ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(314mg、1.61mmol)のベンジルアルコール(1.7mL、16.1mmol)溶液にジ-n-ブチルスズオキシド(40mg、161μmol)を添加し、混合物140℃で一晩加熱した。真空蒸留によりベンジルアルコールを除去して褐色固体残渣を得た。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~50:50)により精製し、最小限の体積のDCMに溶解し、石油エーテルで沈殿させ、ろ過し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(310mg、71%)として得た。H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.56(s、1H)、7.51-7.47(m、2H)、7.39-7.33(m、2H)、7.33-7.26(m、1H)、6.75(t、J=3.0Hz、1H)、5.90(t、J=3.0Hz、1H)、5.33(s、2H)、3.86(d、J=7.0Hz、2H)、1.37-1.23(m、1H)、0.63-0.59(m、2H)、0.37-0.34(m、2H)。
LC-MS(方法B):R=3.54分、m/z=270.3 [M-H]
【0245】
工程C:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(シクロプロピルメトキシ)ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩
窒素雰囲気下、撹拌した水素化ナトリウム(鉱油中60%、138mg、3.45mmol)の無水THF(10mL)懸濁液を-10℃に冷却した。ベンジル 3-(シクロプロピルメトキシ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(312mg、1.15mmol)の無水THF(5mL)溶液を30分間かけて滴下添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した後、再び-10℃に冷却した。-5℃未満の温度を保ちながら反応混合物にベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(315mg、1.26mmol)を添加し、その後室温まで昇温させ、1時間撹拌した。反応混合物を再び-10℃に冷却し、50:50水:塩水(100mL)を滴下添加することによりクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製し、石油エーテルで磨砕して、所望の生成物を白色固体(70mg、12%)として得た。H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.35-7.32(m、3H)、7.17(m、2H)、7.13-7.07(m、6H)、5.88(d、J=3.5Hz、1H)、5.12(s、2H)、4.84(s、2H)、3.68(d、J=7.0Hz、2H)、1.05(m、1H)、0.43-0.40(m、2H)、0.17-0.14(m、2H)。
LC-MS(方法B):R=2.42分、m/z=483.3 [M-H]
【0246】
工程D:3-(シクロプロピルメトキシ)-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-3-(シクロプロピルメトキシ)ピロール-2-カルボキシレートナトリウム塩(30mg、61.9μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(6mg、34%)として得た。H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.16(d、J=2.5Hz、1H)、6.07(d、J=2.5Hz、1H)、3.86(s、2H)、1.24(brs、1H)、0.60-0.52(m、2H)、0.36-0.30(m、2H)。LC-MS(方法A):R=2.47分、m/z=259.3 [M-H]
【0247】
実施例73(ナトリウム塩):3-ピロール-1-イル-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩
【化68】
工程A:エチル 3-(ジアリルアミノ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
室温で、エチル 3-アミノ-1H-ピロール-2-カルボキシレート(2.26g、14.7mmol)および炭酸カリウム(5.07g、36.7mmol)の無水DMF(10mL)溶液に臭化アリル(3.72g、30.8mmol)を添加し、反応混合物を3時間撹拌した。水(75mL)を添加し、ジエチルエーテル(100mL)を添加し、相を分離した。有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~60:40)により精製して、所望の生成物を無色油状物(1.66g、48%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.59(brs、1H)、6.74(t、J=3.0Hz、1H)、5.94-5.86(m、3H)、5.19-5.12(m、4H)、4.30(q、J=7.0Hz、2H)、3.82(d、J=6.0Hz、4H)、1.34(t、J=7.0Hz、3H)。
LC-MS(方法B):R=3.53分、m/z=233.4 [M-H]
【0248】
工程B:1-tert-ブチル 2-エチル 3-(ジアリルアミノ)ピロール-1,2-ジカルボキシレート
室温で、エチル 3-(ジアリルアミノ)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(1.04g、4.4mmol)および二炭酸ジ-tert-ブチル(2.41g、11.1mmol)のDCM(20mL)溶液に4-ジメチルアミノピリジン(108mg、884μmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。水(100mL)を添加することにより反応混合物をクエンチし、およびDCM(100mL)を添加した。相を分離し、水層をDCM(100mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を無色油状物(1.44g、97%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.12(d、J=3.5Hz、1H)、5.93(d、J=3.5Hz、1H)、5.87-5.80(m、2H)、5.16(m、1H)、5.14-5.12(m、3H)、4.25(q、J=7.5Hz、2H)、3.84(d、J=6.0Hz、4H)、1.55(s、9H)、1.31(t、J=7.5Hz、3H)。
【0249】
工程C:1-tert-ブチル 2-エチル 3-(2,5-ジヒドロピロール-1-イル)ピロール-1,2-ジカルボキシレート
1-tert-ブチル 2-エチル 3-(ジアリルアミノ)ピロール-1,2-ジカルボキシレート(158mg、473μmol)のDCM(10mL)溶液にHoveyda-Grubbs触媒(登録商標)第二世代(30mg、47.3μmol)を添加し、反応混合物を4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~60:40)により精製して、所望の生成物を黄色油状物(112mg、77%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.12(d、J=3.5Hz、1H)、5.84(m、2H)、5.79(d、J=3.5Hz、1H)、4.62(q、J=7.5Hz、2H)、4.17(s、4H)、1.55(s、9H)、1.33(t、J=7.5Hz、3H)。
LC-MS(方法B):R=3.96分、m/z=207.2 [M+H-Boc]
【0250】
工程D:エチル 3-(2,5-ジヒドロピロール-1-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート
室温で、1-tert-ブチル 2-エチル 3-(2,5-ジヒドロピロール-1-イル)ピロール-1,2-ジカルボキシレート(1.3g、4.26mmol)のDCM(10mL)溶液にTFA(2.1mL、27.0mmol)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。さらなるTFA(1mL)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液(30mL)、DCM(75mL)および水(50mL)を添加した。相を分離し、有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を黄色油状物(566mg、64%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.42(brs、1H)、6.75(t、J=3.0Hz、1H)、5.88-5.64(m、2H)、5.76(t、J=3.0Hz、1H)、4.30-4.26(m、6H)、1.34(t、J=7.0Hz、3H)。
【0251】
工程E:ベンジル 3-ピロール-1-イル-1H-ピロール-2-カルボキシレート
エチル 3-(2,5-ジヒドロピロール-1-イル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(566mg、2.7mmol)、ベンジルアルコール(2.97g、27.4mmol)およびジ-n-ブチルスズオキシド(68mg、274μmol)の混合物を160℃で4日間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を褐色油状物(135mg、18%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 9.01(brs、1H)、7.36-7.30(m、5H)、7.02(t、J=2.0Hz、2H)、6.88(t、J=3.0Hz、1H)、6.29(t、J=3.0Hz、1H)、6.25(t、J=2.0Hz、2H)、5.27(s、2H)。
LC-MS(方法B):R=3.58分、m/z=265.3 [M-H]
【0252】
工程F:ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ピロール-1-イル-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド、ナトリウム塩
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(鉱油中60%、61mg、1.52mmol)の無水THF(5mL)懸濁液を-10℃に冷却した。-5℃未満の温度を保ちながら、ベンジル 3-ピロール-1-イル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(135mg、507μmol)の無水THF(5mL)溶液を30分間かけて滴下添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した後、再び-10℃に冷却した。-5℃未満の温度を保ちながら、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(139mg、558μmol)を添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した。反応混合物を再び-10℃に冷却し、50:50の水:塩水(100mL)を添加することによりクエンチした。水層を酢酸エチル(3×50mL)に抽出し、合わせた有機相を塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~0:100)により精製して、所望の生成物を淡褐色油状物(85mg、30%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.41-7.39(m、2H)、7.34-7.27(m、9H)、6.92(t、J=2.0Hz、2H)、6.20(d、J=3.5Hz、1H)、6.12(t、J=2.0Hz、2H)、5.14(s、2H)、4.87(s、2H)。
LC-MS(方法B):R=2.49分、m/z=478.3 [M-H]
【0253】
工程G:3-ピロール-1-イル-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸ナトリウム塩
ベンジルオキシカルボニル-(2-ベンジルオキシカルボニル-3-ピロール-1-イル-ピロール-1-イル)スルホニル-アザニド、ナトリウム塩(85mg、177μmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(20mg、32%)として得た。
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.17(d、J=3.0Hz、1H)、6.99(s、2H)、6.20-6.14(m、1H)、6.11(s、2H)。LC-MS(方法A):R=2.46分、m/z=254.2 [M-H]
【0254】
実施例74(遊離酸):4-エチル-3-フェニル-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化69】
工程A:ベンジル 4-エチル-3-フェニル-1H-ピロール-2-カルボキシレート
ベンジル 2-イソシアノアセテート(927mg、5.29mmol)および[2-ニトロブト-1-エニル]ベンゼン(8.53g、4.81mmol)のTHF(7.5mL)およびプロパン-2-オール(2.5mL)混合溶液に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1.44mL、9.62mmol)を5分間かけて滴下添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(50mL)に取り込み、ジエチルエーテル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を淡黄色油状物(1.07g、73%)として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 11.66(brs、1H)、7.35-7.23(m、8H)、7.12-7.09(m、2H)、6.90(d、J=3.5Hz、1H)、5.11(s、2H)、2.28(q、J=7.5Hz、2H)、0.99(t、J=7.5Hz、3H)。
LC-MS(方法A):R=4.09分、m/z=304.3 [M-H]
【0255】
工程B:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-4-エチル-3-フェニル-ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩
窒素雰囲気下、ベンジル 4-エチル-3-フェニル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(1.47g、4.8mmol)の無水THF(10mL)溶液を-10℃に冷却し、水素化ナトリウム(鉱油中60%、578mg、14.4mmol)を分割して添加した。反応混合物を5分間撹拌し、室温まで昇温させ、40分間撹拌した。反応混合物を-10℃に冷却し、ベンジル N-クロロスルホニルカルバメート(1.32g、5.30mmol)を滴下添加し、5分間撹拌し、その後室温まで昇温させ、さらに30分間撹拌した。反応混合物を-10℃に冷却し、水(10mL)および塩水(10mL)を滴下添加してクエンチした。溶液を酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル:メタノール、勾配溶出95:5:0~0:100:0~0:80:20)により精製して、所望の生成物を淡黄色固体(349mg、13%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 7.36-7.29(m、8H)、7.25-7.18(m、6H)、7.08-7.06(m、2H)、5.03(s、2H)、5.01(s、2H)、2.57(q、J=7.5Hz、2H)、0.96(t、J=7.5Hz、3H)。
LC-MS(方法A):R=4.27分、m/z=517.3 [M-H]
【0256】
工程C:4-エチル-3-フェニル-1-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル-1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-4-エチル-3-フェニル-ピロール-2-カルボキシレート、ナトリウム塩(349mg、0.64mmol)を3-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸、ナトリウム塩(工程B)と同様の方法で水素化して、所望の生成物を白色固体(161mg、84%)として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 12.93(brs、1H)、8.56(brs、2H)、7.37-7.32(m、2H)、7.28-7.26(m、1H)、7.23-7.22(m、2H)、7.10(brs、1H)、2.24(q、J=7.5Hz、2H)、0.97(t、J=7.5Hz、3H)。LCMS(方法A):R=3.16分、m/z=293.3 [M-H]
【0257】
実施例75(遊離酸):4-メチル-3-フェニル-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
【化70】
工程A:ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-4-メチル-3-フェニル-ピロール-2-カルボキシレート
アルゴン下、0℃で、ベンジル 4-メチル-3-フェニル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(500mg、1.72mmol)の無水THF(20mL)溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、103mg、2.57mmol)を分割して添加し、5分間撹拌した。反応混合物に[(ベンジルオキシ)カルボニル]({[4-(ジメチルイミニウミル)-1,4-ジヒドロピリジン-1-イル]スルホニル})アザニド(633mg、1.89mmol)を添加し、70℃で18時間加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮乾固させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテルから酢酸エチル)により精製して、所望の生成物を薄茶色~黄色の固体(120mg、14%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.30-7.40(m、11H)、7.10-7.20(m、3H)、6.79(d、J=6.9Hz、2H)、5.17(s、2H)、5.02(s、2H)、1.80-1.90(m、3H)。
LC-MS(方法A):R=4.09分、m/z=505.0 [M+H]
【0258】
工程B:4-メチル-3-フェニル-1-スルファモイル-1H-ピロール-2-カルボン酸
ベンジル 1-(ベンジルオキシカルボニルスルファモイル)-4-メチル-3-フェニル-ピロール-2-カルボキシレート(104mg、206μmol)のメタノール(15mL)溶液に10% パラジウム炭素(50%湿潤、11.0mg、103μmol)を添加し、水素下、20℃で6時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、メタノールで洗浄して固体を得た。固体をペンタンで磨砕し、所望の生成物を橄欖色固体(41mg、64%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.25(brs、2H)、7.20-7.40(m、6H)、1.85(s、3H)。
LC-MS(方法D):R=3.96分、m/z=281.0 [M+H]
【0259】
実施例76(遊離のテトラゾール):3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-スルホンアミド
【化71】
工程A:tert-ブチル N-{[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}カルバメートおよびtert-ブチル N-{[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}カルバメート
ナトリウム {[3-ブロモ-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニドおよびナトリウム {[3-ブロモ-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニド(514mg、0.94mmol)、1-メチルピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(196mg、0.95mmol)およびリン酸三カリウム(599mg、2.8mmol)の水(3mL)および1,4-ジオキサン(12mL)溶液を窒素で5分間脱気した。反応混合物にXPhos Pd G2(148mg、0.19mmol)を添加した後、マイクロ波照射下、45℃で2.5時間加熱した。反応混合物を水(20mL)および酢酸エチル(30mL)で希釈し、得られた層を分離した。水層を酢酸エチル(2×20mL)でさらに抽出し、抽出物をもとの有機層と合わせ、2M HCl(水溶液)(30mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、10~100% 酢酸エチル/石油エーテルの後、0~20% メタノール/酢酸エチルの勾配)により精製し、DCM/ペンタンで磨砕しおよび減圧下で乾燥させて、所望の生成物の混合物を灰白色固体(316mg、64%)として得た。
LCMS(方法A):R=3.00分、m/z=523.3 [M-H]およびR=3.48分、m/z=523.3 [M-H]
【0260】
工程B:3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-スルホンアミド
tert-ブチル N-{[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}カルバメートおよびtert-ブチル N-{[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}カルバメート(100mg、0.19mmol)の5M HCl-プロパン-2-オール(2mL)溶液の溶液を室温で17時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して薄茶色固体を得て、これをメタノール(3×5mL)と共沸させた。得られた固体をジエチルエーテル(3×5mL)で磨砕し、溶媒をデカンテーションし、残りの固体を減圧下で乾燥させて薄茶色固体を得た。固体を分取HPLC(方法A、1.0~1.11分)により精製して、所望の生成物を白色固体(27mg、46%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 8.45(brs、2H)、7.57(brs、1H)、7.46(d、J=2.6Hz、1H)、7.20(brs、J=2.1Hz、1H)、6.64(d、J=2.6Hz、1H)、3.76(s、3H)。
LC-MS(方法D):R=2.67分、m/z=295.0 [M+H]
【0261】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、ナトリウム {[3-ブロモ-2-(1-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニドおよびナトリウム {[3-ブロモ-2-(2-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-イル]スルホニル}[(tert-ブトキシ)カルボニル]アザニドまたは分離した異性体から出発した3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(1H-テトラゾール-5-イル)-1H-ピロール-1-スルホンアミドと同様の方法で製造した。
【表14】
【0262】
実施例80(遊離酸):1-(4-フルオロフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化72】
工程A:tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(4-フルオロフェニル)ピロール-2-カルボキシレート
tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(100mg、0.33mmol)、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(185mg、1.32mmol)、酢酸銅(II)(90mg、0.50mmol)およびピリジン(107μL、1.32mmol)の混合物のDCM(1mL)溶液を室温で3日間撹拌した。反応混合物をDCM(3mL)で希釈し、水(2×3mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~70:30)により精製して、所望の生成物を灰白色固体(100mg、76%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.2-7.3(m、2H)、7.1-7.2(m、2H)、6.77(d、J=2.8Hz、1H)、6.75(d、J=2.8Hz、1H)、5.99(s、1H)、1.27(s、9H)、1.23(s、9H)。
LC-MS(方法A):R=3.88分、m/z=419.1 [M+Na]
【0263】
工程B:1-(4-フルオロフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(4-フルオロフェニル)ピロール-2-カルボキシレート(100mg、0.25mmol)のDCM(1mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、得られた溶液を室温で5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルと3回共沸させ、ジエチルエーテル(3mL)で磨砕し、減圧下、30℃で一晩乾燥させて、所望の生成物を白色固体(54mg、75%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.50(brs、1H)、7.43(dd、J=4.9、8.7Hz、2H)、7.33(t、J=8.8Hz、2H)、7.20(d、J=2.5Hz、1H)、7.04(brs、2H)、6.62(d、J=2.5Hz、1H)。
19F NMR(471MHz、DMSO-d) δ -113.74(s、1F)。
LC-MS(方法C):R=4.72分、m/z=283.1 [M-H]
【0264】
さらなる実施例
次の実施例化合物は、tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1H-ピロール-2-カルボキシレートから出発した1-(4-フルオロフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸と同様の方法で製造した。
【表15】
【0265】
実施例83(遊離酸):1-(4-メトキシフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化73】
工程A:tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(4-メトキシフェニル)ピロール-2-カルボキシレート
窒素雰囲気下、tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(20mg、66μmol)、4-ヨードアニソール(31mg、132μmol)、炭酸カリウム(27mg、198μmol)、ヨウ化銅(I)(10mg、33μmol)およびtrans-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(5.6mg、40μmol)の脱気したDMF(1mL)の懸濁液を100℃で一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、50:50の水:塩水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×5mL)に抽出した。合わせた有機相を50:50の水:塩水(3×5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。
反応を3回繰り返し、粗生成物を合わせて、カラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~40:60)により精製して、所望の生成物を淡橙色油状物(46mg、3回の反応を通しての総量、57%)として得た。
H NMR(500MHz、クロロホルム-d) δ 7.1-7.2(m、2H)、6.9-7.0(m、2H)、6.75(d、J=2.8Hz、1H)、6.73(d、J=2.8Hz、1H)、6.00(s、1H)、3.86(s、3H)、1.28(s、9H)、1.23(s、9H)。
LC-MS:R=3.88分、m/z=431.0 [M+Na]
【0266】
工程B:1-(4-メトキシフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(4-メトキシフェニル)ピロール-2-カルボキシレート(46mg、113μmol)のDCM(1mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、得られた溶液を室温で5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルと3回共沸させ、ジエチルエーテル(4mL)で磨砕し、減圧下、30℃で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(29mg、87%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.40(brs、1H)、7.3-7.3(m、2H)、7.13(d、J=2.8Hz、1H)、7.0-7.0(m、4H)、6.59(d、J=2.8Hz、1H)、3.80(s、3H)。
LC-MS(方法C):R=2.32分、m/z=295.1 [M-H]
【0267】
実施例84(遊離酸):1-ベンジル-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化74】
tert-ブチル 1-ベンジル-3-(tert-ブチルスルファモイル)ピロール-2-カルボキシレート(80mg、204μmol)のDCM(1mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、得られた溶液を室温で4時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮乾固させ、ジエチルエーテルと3回共沸させ、ジエチルエーテル(4mL)で磨砕し、減圧下、40℃で乾燥させて、所望の生成物を白色固体(35mg、61%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ 13.66(brs、1H)、7.3-7.4(m、2H)、7.2-7.3(m、2H)、7.1-7.1(m、2H)、6.86(brs、2H)、6.54(d、J=2.8Hz、1H)、5.54(s、2H)。
LC-MS(方法C):R=2.13分、m/z=279.1 [M-H]
【0268】
実施例85(遊離酸):1-(シクロプロピルメチル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
【化75】
工程A:tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(シクロプロピルメチル)ピロール-2-カルボキシレート
tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(100mg、331μmol)のTHF(2mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(鉱油中60%、16mg、400μmol)を添加した。0℃で5分間撹拌後、(ブロモメチル)シクロプロパン(47μL、496μmol)を添加し、その後反応物を室温まで昇温させ、一晩撹拌した。0℃に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)を滴下添加することにより反応混合物をクエンチし、酢酸エチル(3×3mL)に抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル:酢酸エチル、勾配溶出100:0~60:40)により精製して、所望の生成物を無色油状物(95mg、81%)として得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ=6.80(d、J=2.7Hz、1H)、6.65(d、J=2.7Hz、1H)、5.69(s、1H)、4.10(d、J=7.0Hz、2H)、1.64(s、9H)、1.28-1.24(m、1H)、1.23(s、9H)、0.64-0.58(m、2H)、0.35-0.29(m、2H)。
LC-MS(方法A):R=3.88分、m/z=379.2 [M+Na]
【0269】
工程B:1-(シクロプロピルメチル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸
tert-ブチル 3-(tert-ブチルスルファモイル)-1-(シクロプロピルメチル)ピロール-2-カルボキシレート(95mg、267μmol)のDCM(1mL)溶液を1-(4-フルオロフェニル)-3-スルファモイル-ピロール-2-カルボン酸(工程B)と同様の方法で脱保護して、所望の生成物を灰白色固体(36mg、55%)として得た。
H NMR(500MHz、DMSO-d) δ=13.68(brs、1H)、7.18(d、J=2.7Hz、1H)、6.84(brs、2H)、6.48(d、J=2.7Hz、1H)、4.13(d、J=7.0Hz、2H)、1.29-1.19(m、1H)、0.52-0.47(m、2H)、0.39-0.34(m、2H)。
LC-MS(方法C):R=4.83分、m/z=243.3 [M-H]
【0270】
生物学的データ
本発明の化合物の作用機序を研究するために、化合物をメタロ-β-ラクタマーゼ阻害アッセイで試験した。酵素活性を50%阻害するために必要な試験化合物の濃度(IC50)として、結果を報告する。化合物は、試験したメタロ-β-ラクタマーゼの強力な特異的阻害と一致するIC50値を示した。
【0271】
メタロ-β-ラクタマーゼ酵素機能の阻害を、1.5nM NDM-1、100μM ニトロセフィンを含む緩衝液(50mM HEPES、150mM NaCl、0.1mM ZnSO、20μg/mL PEG4000)中、37℃、pH7.5で、化合物の濃度の範囲で実施した。BMG LABTECH FLUOstar Omegaマイクロプレートリーダーを用いて、490nmでの吸光度を1分毎に30分間測定した。GraphPad Prismを用いて、化合物のLog10濃度に対する1分毎のODにおける平均増加からIC50を決定した。データを下の表1に提供する。
【表16-1】

【表16-2】

【表16-3】
【0272】
Clinical and laboratory standards institute (CLSI) broth microdilution guidelines (Cockerillら, 2012)に従って、一連の抗菌剤のMHB-II(カチオン調整ミュラー・ヒントンブロス pH7.4)希釈物に細菌を曝露させることにより、MICを決定した。
【0273】
MHB-IIに4mg/Lの試験物質を添加し、MIC決定について記載されているとおりに併用MICを実施した。
【0274】
1ウェルあたり2×10細胞の密度で播種したヒトHepG2細胞(ATCC HB-8065)において細胞毒性を評価し、37℃、5% COで24時間インキュベートした。試験物質の一連の倍加希釈物に細胞を曝露させた。曝露24時間後、製造者の説明書に従って、CellTiter-Glo(登録商標)(Promega、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国)を用いて細胞の生存率を決定した。結果を細胞生存率を50%減少させるために必要な試験物質の濃度(CC50)として示す。
【0275】
次の参考文献は、本発明の化合物の評価で使用されるアッセイ方法についてのさらなる情報を提供し、このような方法に関するこれらの文書の開示は、具体的に本明細書に包含される。疑念を避けるために、それらの文書の各々における方法の開示は、本発明の教示および開示の部分を具体的に形成する。下記の最後の2つの参考文献は、相乗効果の有無を立証し、説明するための方法論を提供し、従って、それらに記載された方法は、本発明の化合物およびメロペネムのようなカルバペネム系薬剤との相乗的な活性を示すために使用され得る。
【0276】
COCKERILL, F.R., WICKLER, M.A., ALDER, J., DUDLAY, M.N., ELIOPOULOS, G.M., FERRARO, M.J., HARDY, D.J. ANDHECHT, D.W., HINDLER, J.A., PATEL, J.B., POWEL, M., SWENSON, J.M., THOMPRON, J.B., TRACZEWSKI, M.M., TURNIDGE, J.A., WEINSTEIN, M.P., & ZIMMER, B.L. 2012. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically (M07-A9)。Wayne: Clinical and Laboratory Standards Institute。
PILLAI, S.K., MOELLERING, R.C., & ELIOPOULOS, G.M. 2005. Antimicrobial combinations. In: Antibiotics in Laboratory Medicine. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins, pp. 365-440。
BURKHART, C.G., BURKHART, C.N., & ISHAM, N. 2006. Synergistic Antimicrobial Activity by Combining an Allylamine with Benzoyl Peroxide with Expanded Coverage against Yeast and Bacterial Species. British Journal of Dermatology 154(2): 341-344。
【0277】
生物データ
本発明の化合物を試験し、本発明の化合物は下記の表に示す通り、メロペネム活性における顕著な改善をもたらすことを示した。試験された全ての化合物は、メロペネムのみを用いたベースライン試験と比較して、種々の異なる細菌株に対するメロペネム活性において顕著な改善をもたらした。試験された化合物のいくつかは、メロペネム単独と比較して10倍または20倍を超えてメロペネムMICを改善した。試験された化合物のうち最も活性が低い化合物であっても、メロペネム単独と比較して、少なくとも4倍までメロペネムMICを改善する活性を示した。メロペネムと組み合わせて使用したとき、化合物は幅広い種々の細菌に対して有効である。
【0278】
本発明の化合物を第一次細菌株群、表2のカラムI~Vに対して試験した。さらなる試験について適切であると考えられる化合物を第二次細菌株群、表2のカラムVIおよびVIIに対して、適宜試験した。
【表17-1】

【表17-2】

【表17-3】
【0279】
表の略語一覧。上記の表2および下記の表3における次の文字は、μg/mlでのMIC(最小阻害濃度)値を表す:A≦0.1、B≦1、C≦5、D≦10、E≦40およびF≦80。
【0280】
また、本発明の化合物をイミペネムとの組合せで試験した。イミペネムを抗生物質として用いた結果もまた、下記の表3に示す通り、抗菌活性における顕著な改善を示した。試験された全ての化合物は、イミペネムのみを用いたベースライン試験と比較して、種々の異なる細菌株に対するイミペネム活性において顕著な改善をもたらした。
【0281】
本発明の化合物を表3から明らかなとおり、第一次細菌株群、カラムI~Vに対して試験した。
【表18】
【0282】
細胞毒性についてもまた、化合物を試験した。下記の表4のデータは、試験化合物が顕著な細胞毒性活性を全く示さなかったことを示す。
【表19-1】

【表19-2】

【表19-3】

【表19-4】