(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/023 20060101AFI20231117BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231117BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231117BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B60R16/023 P
B60R16/02 620S
B60R11/02 B
H04R3/00 310
H04R3/00 320
(21)【出願番号】P 2021530387
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2019027093
(87)【国際公開番号】W WO2021005699
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山中 祥史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 信吾
(72)【発明者】
【氏名】梅田 朋季
(72)【発明者】
【氏名】小野山 昂太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135710(JP,A)
【文献】特開2015-091043(JP,A)
【文献】特開2014-045016(JP,A)
【文献】特開2010-282773(JP,A)
【文献】特開2009-195021(JP,A)
【文献】特開2017-085621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/023
B60R 16/02
B60R 11/02
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された時分割に基づいて、制御ユニットと双方向通信を行う制御装置であって、
互いに異なる基板に搭載された複数のデバイスと、
前記複数のデバイスとの間で通信されるデータを重畳可能な帯域を有するデータ構造からなる通信データの双方向通信が行われるバスラインを介して、前記制御ユニットとデイジーチェーン型で接続された通信制御部と、
前記複数のデバイスのうちの少なくとも一つと前記通信制御部とを接続するケーブルと、
を備え、
前記通信制御部は、前記複数のデバイスのうち、前記ケーブルで接続されたデバイス以外のデバイスと同一基板に搭載され、
前記双方向通信における通信データは、第1帯域と第2帯域とを有するデータ構造で構成され、前記第2帯域には送信先の前記通信制御部を特定可能な識別情報を示すデータが含まれ、前記第1帯域には送信先の前記デバイスで利用するデータが含まれる制御装置。
【請求項2】
前記ケーブルは、第1電位が印加される第1電源線と前記第1電位よりも低い第2電位が印加される第2電源線とデータの伝送に利用される信号線とクロック信号の伝送に利用される制御線とを有して構成され、
前記第2電源線は、前記第1電源線と前記信号線と前記制御線とからなる線群の周囲を
覆う状態で配置されている請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記デバイスが搭載される基板に、電磁波の影響を抑制する素子が搭載されている請求項1
又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数のデバイスは、音響デバイスである請求項1
から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記バスラインが、車載用オーディオバスであって、
前記複数のデバイスの夫々が、車両に設けられている請求項1から
4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数のデバイスの夫々は、前記車両のシートに対応して設けられている請求項
5に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定された時分割に基づいて、制御ユニットと双方向通信を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の素子の制御や駆動を、一つの制御部で行う制御装置が利用されてきた。このような構成を採用した技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、複数のマイクロフォンにより検出された音声を出力するマイクロフォン装置が開示されている。この車載用マイクロフォン装置は、互いに異なる指向性方向を有する複数のマイク素子からなるマイクアレイを有して構成される。マイクアレイは、車内前方の上部にあるマップライト部に設けられており、複数のマイク素子の夫々は、正面方向が最大検出感度となる単一指向性を有するように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、複数のマイクを単一のマイクアレイとして構成されている。このため、マイクアレイを構成する基板のサイズが大きくなり、デバイスが大型化してしまう。また、マイク素子の夫々が基板上の決まった位置にしか搭載できないので、デバイスの性能が常に有効利用できるとはいえず、配置上の搭載自由度が低くなることもある。
【0006】
そこで、コンパクトに構成できる制御装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置の特徴構成は、予め設定された時分割に基づいて、制御ユニットと双方向通信を行う制御装置であって、互いに異なる基板に搭載された複数のデバイスと、前記複数のデバイスとの間で通信されるデータを重畳可能な帯域を有するデータ構造からなる通信データの双方向通信が行われるバスラインを介して、前記制御ユニットとデイジーチェーン型で接続された通信制御部と、前記複数のデバイスのうちの少なくとも一つと前記通信制御部とを接続するケーブルと、を備え、前記通信制御部は、前記複数のデバイスのうち、前記ケーブルで接続されたデバイス以外のデバイスと同一基板に搭載され、前記双方向通信における通信データは、第1帯域と第2帯域とを有するデータ構造で構成され、前記第2帯域には送信先の前記通信制御部を特定可能な識別情報を示すデータが含まれ、前記第1帯域には送信先の前記デバイスで利用するデータが含まれる点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、複数のデバイスを搭載する基板を分割して、小型化できる。また、小型化により、配置上の自由度を高めることが可能となる。更には、夫々のデバイスを用途や検出方向に基づいて配置できるので、高感度のデバイスを利用しなくても良く、安価なデバイスで構成できる。したがって、低コストで実現することが可能となる。
【0009】
【0010】
また、このような構成とすれば、通信制御部とデバイスの一つ(上記「ケーブルで接続されたデバイス以外のデバイス」)とを同じ基板上に構成できるので、ケーブルの使用数を減じることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
また、前記ケーブルは、第1電位が印加される第1電源線と前記第1電位よりも低い第2電位が印加される第2電源線と信号線と制御線とを有して構成され、前記第2電源線は、前記第1電源線と前記信号線と前記制御線とからなる線群の周囲を覆う状態で配置されると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、ケーブルから外部へ向かう電磁波を低減でき、外部からケーブルに向かう電磁波を低減できる。したがって、ケーブルを介した電磁波によるデバイスの誤動作を防止することができる。
【0015】
また、前記デバイスが搭載される基板に、電磁波の影響を抑制する素子が搭載されていると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、デバイスが搭載される基板における電磁波の影響を低減できる。したがって、このような電磁波によるデバイスの誤動作を防止することが可能となる。
【0017】
また、前記複数のデバイスは、音響デバイスであると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、音響デバイスの配置上の自由度を高め、低コストで複数の音響デバイスを配置することが可能となる。
【0019】
また、前記バスラインが、車載用オーディオバスであって、前記複数のデバイスの夫々が、車両に設けられていると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、車載用オーディオバスを介して通信制御部が制御ユニットと通信データの送受信を行うことができ、このような通信データを、車両の各部に設けられた複数のデバイスの夫々に伝送することが可能となる。また、車両の各部に設けられた複数のデバイスの夫々から通信制御部が受信した通信データを、車載用オーディオバスを介して制御ユニットに伝送することも可能となる。
【0021】
また、前記複数のデバイスの夫々は、前記車両のシートに対応して設けられていると好適である。
【0022】
このような構成とすれば、車両のシートに着座する乗員毎にデバイスを振り分けて配置することが可能となる。したがって、車載用途において利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】制御ユニット及び制御装置の車両への搭載例を示す図である。
【
図3】バスラインを介して双方向通信が行われる通信データのデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る制御装置は、上位システムである制御ユニットと予め設定された時分割に基づいて双方向通信を行い、コンパクトに構成される。以下、本実施形態の制御装置1について説明する。
【0025】
図1は制御装置1を車両100に搭載した場合の例を示す図である。
図2は、制御装置1の構成を示すブロック図である。
図1及び
図2に示されるように、制御装置1は、デバイス10、通信制御部20、ケーブル30を備えて構成される。
【0026】
ここで、詳細は後述するが、本実施形態ではデバイス10は8つのデバイス11-18からなる。以下では、総称する場合にはデバイス10とし、区別して説明する場合には夫々の符号を用いて説明する。また、通信制御部20は2つの通信制御部21-22からなる。以下では、総称する場合には通信制御部20とし、区別して説明する場合には夫々の符号を用いて説明する。
【0027】
通信制御部20は、バスライン3を介して上位システムである制御ユニット2とデイジーチェーン型で接続される。デイジーチェーン型で接続されるとは、電気機器等のデバイスをケーブルによって接続する方式の一つであって、一つの制御ユニット2と、複数の通信制御部20の夫々とが数珠つなぎで互いに直列に接続されるものである。したがって、数珠つなぎに接続された信号の出力元である制御ユニット2から見て、下流側の通信制御部22は上流側の通信制御部21に中継されて通信データ(データや信号等)が伝達されることになる。このようなデイジーチェーン型による接続は、各種の規格があるが、公知であるので説明は省略する。本実施形態では、制御ユニット2と複数の通信制御部21及び通信制御部22とがバスライン3により数珠つなぎで接続される。
【0028】
制御ユニット2と複数の通信制御部20の夫々との間では、バスライン3を介して通信データの双方向通信が行われる。バスライン3は、ツイストペアケーブルを有して構成され、このツイストペアケーブルを用いて例えばLVDS(小振幅差動信号)で双方向通信が行われる。バスライン3は、
図1に示されるように車両100内に配線される。したがって、制御ユニット2と、車両100の各部に設けられた複数の通信制御部20の夫々とが通信データの送受信を行うことが可能となる。
【0029】
ここで、
図3には、制御ユニット2と複数の通信制御部20の夫々との間で双方向通信により行われる通信データの一例が示される。ここでは、理解を容易にするために、制御ユニット2から通信制御部21に伝達される通信データを第1送信データとし、制御ユニット2から通信制御部22に伝達される通信データを第2送信データとし、通信制御部21から制御ユニット2に伝達される通信データを第1受信データとし、通信制御部22から制御ユニット2に伝達される通信データを第2受信データとして示している。これらの各データは、予め設定された時分割に基づいて通信される。すなわち、
図3に示されるように、各データは時間的に配列して通信される。なお、通信データは時分割に基づいて送受信されるが、各データの周期を例えば数十マイクロ秒程度と設定しておくことで、各データの送受信に係る遅延を無視できる。
【0030】
また、これらの各データは、例えば第1帯域と第2帯域とを有するデータ構造で構成される。第1帯域は複数のデバイス10との間で通信されるデータを重畳可能な帯域であって、車両100に搭載される通信制御部20同士の間でバスライン3を介してデータの送受信を行うことが可能である。例えば、複数のデバイス10が音響デバイスである場合には、すなわち、複数のデバイス10が、例えば音声を再生するプレーヤーや、音声を出力するスピーカや、音声を収集するマイクロフォン等のデバイスである場合には、音声信号の伝達が行うことができるように構成される。もちろん、複数のデバイス10は加速度センサ等のデバイスを含むように構成することも可能である。このようなデバイス間で互いに音声信号の伝達もバスライン3を介して行えるように構成されている。
【0031】
例えばバスライン3を利用してプレーヤーとスピーカとの間で音声データを送受信したり、マイクロフォンとスピーカとの間で音声データを送受信したりする場合には、第2帯域に送信先の通信制御部20を特定可能な識別情報を示すデータを含み、第1帯域に送信先のデバイスで利用する音声データを含むように通信データを構成することが可能である。
【0032】
このようなバスライン3は、車載用オーディオバスを用いることが可能である。車載用オーディオバスは、車両100に搭載され、データや信号の伝送に利用されている。本制御装置1では、このような車載用オーディオバスを利用して通信制御部20は制御ユニット2と通信データの伝送が行われる。具体的には、バスライン3は、A2B(登録商標)を用いることが可能である。これにより、バスライン3の軽量化及び低コスト化が実現できる。
【0033】
本実施形態では、デバイス11-14はマイクロフォンが相当し、デバイス15-18はスピーカが相当する。また、デバイス11-14にはマイクロフォンだけでなく、当該マイクロフォンを駆動する回路(マイク回路)も含んで構成することが可能であり、デバイス15-18にはスピーカだけでなく、当該スピーカを駆動する回路(スピーカ回路)も含んで構成することが可能である。
【0034】
図1に示されるように、複数のデバイス10の夫々は車両100に設けられる。デバイス11は運転席に着座する運転者が発生する音声を集音し、デバイス12は助手席に着座する乗員が発生する音声を集音するように構成される。デバイス11及びデバイス12は、夫々、運転者及び助手席の乗員に対向する位置であって視界を妨げない位置(例えばフロント部分の天井等)に設けると良い。また、デバイス13は運転席の後ろの席に着座する乗員が発生する音声を集音し、デバイス14は助手席の後ろの席に着座する乗員が発生する音声を集音するように構成される。デバイス13及びデバイス14は、夫々、これらの乗員に対向する位置であって視界を妨げない位置(例えば夫々の席の前方の天井部や、側方のピラー等)に設けると良い。
【0035】
更に、デバイス15-18は、夫々、運転席、助手席、後部の左右の座席に着座する運転者及び乗員に向けて音声を出力するように構成される。デバイス15-18は、夫々の座席の側方に設けることが可能である。このように本実施形態では、複数のデバイス10の夫々は、車両100のシートに対応して設けられる。
【0036】
図2に示されるように、複数のデバイス10は、互いに異なる基板40(例えばプリント基板)に搭載される。本実施形態では、デバイス11は基板41に搭載され、デバイス12は基板42に搭載され、デバイス13は基板43に搭載され、デバイス14は基板44に搭載される。また、デバイス15は基板45に搭載され、デバイス16は基板46に搭載され、デバイス17は基板47に搭載され、デバイス18は基板48に搭載される。
【0037】
複数のデバイス10のうちの少なくとも一つと通信制御部20とはケーブル30で接続される。本実施形態では、通信制御部20は、複数のデバイス10のうち、ケーブル30で接続されたデバイス10以外のデバイス10と同一基板40上に搭載されている。具体的には、
図2に示されるように、通信制御部21とデバイス11とは、同じ基板41上に搭載される。このため、通信制御部21とデバイス11との間の電源供給やデータの送受信は、基板41に形成されたパターンを介して行われる。
【0038】
一方、通信制御部21と、デバイス12、デバイス13、及びデバイス14の夫々とは、互いに異なる基板40に搭載される。そこで、通信制御部21とデバイス12とはケーブル31で接続され、通信制御部21とデバイス13とはケーブル32で接続され、通信制御部21とデバイス14とはケーブル33で接続される。
【0039】
同様に、通信制御部22とデバイス15とは、同じ基板45上に搭載される。このため、通信制御部22とデバイス15との間の電源供給やデータの送受信は、基板45に形成されたパターンを介して行われる。
【0040】
一方、通信制御部22と、デバイス16、デバイス17、及びデバイス18の夫々とは、互いに異なる基板40に搭載される。そこで、通信制御部22とデバイス16とはケーブル34で接続され、通信制御部22とデバイス17とはケーブル35で接続され、通信制御部22とデバイス18とはケーブル36で接続される。これらのケーブル31-36は、柔軟性を有するように構成すると好適である。これにより、ケーブル31-36の引き回しを容易に行うことが可能となる。また、ケーブル31-36は夫々、通信制御部20とデバイス10との間の距離に応じて適宜、長さを設定することが可能である。
【0041】
また、本実施形態では、デバイス10が搭載される基板40に、電磁波の影響を抑制する素子60が搭載される。具体的には、基板41-48の夫々に、素子61-68の夫々が搭載される。このような素子60としては、例えばビーズ、バリスタ、抵抗器、コンデンサ、フィルタの少なくとも一つが相当する。したがって、これらのうちの複数のものを用いて電磁波の影響を抑制する機能を有する回路を構成して基板40に搭載しても良い。もちろん、これら以外の素子60を搭載することも可能である。
【0042】
図4には、ケーブル30の断面図が示される。ケーブル30は、第1電源線51、第2電源線52と信号線53と制御線54とを有して構成される。第1電源線51はデバイス10に対する電源供給に利用される。このため、所定の第1電位が印加される。第2電源線52は、第1電位よりも低い第2電位が印加される。第2電位とは、例えば接地電位である。したがって、第1電源線51及び第2電源線52を介してデバイス10の電源が供給される。信号線53は例えばデータの伝送に利用され、制御線54は例えばクロック信号の伝送に利用される。もちろん、これらの線の利用方法は、一例であって他の信号やデータの伝送に利用することが可能である。本実施形態では、
図4に示されるように第1電源線51、信号線53、及び制御線54は夫々、複数の線材を集約した撚り線の外周部分を絶縁材57で被覆して構成される。
【0043】
第2電源線52は、第1電源線51と信号線53と制御線54とからなる線群55の周囲を覆う状態で配置される。すなわち、第1電源線51と信号線53と制御線54との3つの線で一つの線群55が構成される。第2電源線52は、この線群55の外周部を、当該第2電源線52を構成する複数の線材56で覆うように配置される。本実施形態では、線材56が第1電源線51と信号線53と制御線54との夫々が延出する方向に沿って延出するように配置され、第2電源線52が線群55の全周を覆うように配置される。また、第2電源線52の最外周部分(線群55を覆う状態の第2電源線52における最も外側の部分)は他の部位との短絡防止のため絶縁材58で被覆しておくと良い。
【0044】
なお、このようなケーブル30は、バスライン3と所定の間隔を有するように配置すると好適である。これにより、互いに伝送されるデータや信号の干渉を低減できる。このような間隔は、例えばケーブル30やバスライン3のインダクタンス成分やリアクタンス成分に基づき設定することが可能であるし、ケーブル30やバスライン3を介して伝送される信号やデータの周波数や振幅に基づき設定することも可能である。更には、ケーブル30とバスライン3との間で、容量結合が生じないような間隔とすると良い。いずれの構成であっても、ケーブル30とバスライン3とが、互いに所定の間隔で離間するように支持部や支持構造を採用すると好適である。
【0045】
上記のように構成することで、従来のように、1つの基板上に通信制御部20や複数のデバイス10を配置するのではなく、複数のデバイス10の夫々が搭載された基板を分割することができるので、制御装置1が小型化できる。また、複数のデバイス10のうち、通信制御部20と共に基板40に搭載されていないものは、通信制御部20が不要であるので安価に構成できる。更に、柔軟性のあるケーブル30を用いて基板40を繋げることで、デバイス10の配置の自由度を高めることが可能となる。したがって、車両100にデバイス10を組み込む位置を検討する際に、配置上の選択幅が広がり、車両100の利用者の利便性の向上にも繋げることができる。
【0046】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、デバイス10が、8つの場合の例を挙げて説明したが、デバイス10は2つ以上であれば良い。
【0047】
なお、デバイス10は1つでも良く、制御装置1は、1つのデバイス10、通信制御部20、及びケーブル30を備えて構成することが可能である。係る場合、デバイス10と通信制御部20とは、互いに異なる基板40に搭載され、互いに異なる基板40に搭載されたデバイス10と通信制御部20とをケーブル30で接続するように構成すると良い。
【0048】
上記実施形態では、通信制御部20が2つの場合の例を挙げて説明したが、通信制御部20は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0049】
上記実施形態では、1つの通信制御部20に4つのデバイス10が接続される場合の例を挙げて説明したが、1つの通信制御部20に3つ以下のデバイス10を接続することも可能であるし、5つ以上のデバイス10を接続するように構成することも可能である。
【0050】
上記実施形態では、通信制御部20は、複数のデバイス10のうち、ケーブル30で接続されたデバイス10以外のデバイス10と同一基板40に搭載されているとして説明したが、通信制御部20は、複数のデバイス10の夫々と互いに異なる基板40に搭載されていても良い。
【0051】
上記実施形態では、ケーブル30は、第1電源線51と第2電源線52と信号線53と制御線54とを有して構成されるとして説明したが、ケーブル30の構成は、上記以外であっても良い。すなわち、ケーブル30は2種類の線で構成することも可能であるし、3種類の線で構成することも可能である。更には、5種類以上の線で構成することも可能である。
【0052】
上記実施形態では、第2電源線52は、第1電源線51と信号線53と制御線54とからなる線群55の周囲を覆う状態であって、第1電源線51と信号線53と制御線54との夫々が延出する方向に沿って延出するように線材56が配置されるとして説明したが、線材56は例えば第1電源線51と信号線53と制御線54との夫々が延出する方向に対して捩じられた状態で線群55を覆うように配置することも可能である。また、第2電源線52は、複数の線材56により構成されるとして説明したが、例えば導体を薄く延ばした箔により構成することも可能である。係る場合、第1電源線51と信号線53と制御線54の外周を箔により覆うように構成することが可能である。また、導体を網目状に加工し、このような導体で第1電源線51と信号線53と制御線54の外周を覆うように構成することも可能である。
【0053】
上記実施形態では、デバイス10が搭載される基板40に、電磁波の影響を抑制する素子60が搭載されているとして説明したが、基板40に素子60を搭載しなくても良いし、他の機能を有する素子を搭載するように構成することも可能である。また、電磁波の影響を抑制するものとして、ケーブル30にフェライトコアを設けて電磁波の影響を更に抑制することも可能である。
【0054】
上記実施形態では、複数のデバイス10は、音響デバイスであるとして説明したが、音響デバイスとは異なるデバイス、例えば加速度センサや障害物センサであっても良い。
【0055】
上記実施形態では、バスライン3が、車載用オーディオバスであって、複数のデバイス10の夫々が、車両100のシートに対応して設けられているとして説明したが、複数のデバイス10の夫々は、車両100のシートに対応することなく設けることも可能である。また、バスライン3を、ケーブル30と同様に構成することも可能である。すなわち、電源電位が印加される線(「第1電源線51」に相当)や、信号線や制御線等の周囲を、基準電位が印加される線(「第2電源線52」に相当)で覆うように構成することも可能である。
【0056】
上記実施形態では、バスライン3は車載用オーディオバスを用いて構成されるとして説明したが、バスライン3は車載ネットワークのケーブルを用いて構成しても良い。
【0057】
上記実施形態では、通信データが第1帯域及び第2帯域を有する構造であるとして説明したが、通信データは第1帯域及び第2帯域以外の帯域を有するデータ構造であっても良い。
【0058】
上記実施形態では、制御装置1を車両100に適用した場合の例を挙げて説明したが、制御装置1は車両100以外の装置に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、予め設定された時分割に基づいて、制御ユニットと双方向通信を行う通信制御装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:制御装置
2:制御ユニット
40:基板
10:デバイス
3:バスライン
20:通信制御部
30:ケーブル
51:第1電源線
52:第2電源線
53:信号線
54:制御線
55:線群
60:素子
100:車両