(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】エアパージ溝
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
A47J31/36 120
(21)【出願番号】P 2021533675
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 NL2019050831
(87)【国際公開番号】W WO2020122722
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-04
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ノールトハイス,ヨエケ
(72)【発明者】
【氏名】ファベロ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】オギンク,ユディト マルグリート ハンネケ
(72)【発明者】
【氏名】ファン トアー,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,ヘルブラント クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ビークマン,ヤルノ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-512923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0072052(US,A1)
【文献】特開昭63-300719(JP,A)
【文献】国際公開第2018/026279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費に適した量の飲料を調製するためのシステムであって、前記システムは、
交換可能なカプセル
(4A、4B)であって、カップ状の本体
(6A、6B)と、蓋
(12A、12B)とを含み、前記カップ状の本体
(6A、6B)は、底部
(8A、8B)と、周壁
(10A、10B)と、フランジ
(14A、14B)と、を有し、前記蓋
(12A、12B)は前記フランジ
(14A、14B)に封止されている、
前記交換可能なカプセル
(4A、4B)と、
前記交換可能なカプセル
(4A、4B)を保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分
(18)と、前記第1の淹出チャンバ部分
(18)を閉じて淹出チャンバ
(16)を形成するための第2の淹出チャンバ部分
(20)と、を含む装置であって、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)は、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)と前記交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)との間に液体封止係合を提供するための封止部材
(36)を含む、
前記装置と、を備え、
前記封止部材
(36)は、前記封止部材
(36)と前記
交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)との間にエアパージ開口部を形成するエアパージ溝
(40)を含み、加圧液体が前記飲料を調製するために前記淹出チャンバ
(16)内に供給される間に、前記淹出チャンバ
(16)内の空気は前記装置の外部に逃げることができる、
前記システム。
【請求項2】
前記エアパージ溝
(40)は、弾性材料によって囲まれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記
交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)は、前記
交換可能なカプセル
(4A、4B)の内部空間内の液体圧力の影響下で、前記エアパージ開口部を実質的に閉じる方法で膨脹するように配置される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蓋
(12A、12B)は箔を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記エアパージ開口部は、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)内の開口部
(56)と流体連通している、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記エアパージ溝
(40)は、
U字形エアパージ溝を形成する為に、U字形の断面プロファイルを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記エアパージ溝
(40)の断面積が、約0.1~0.55mm
2
である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記エアパージ溝
(40)の断面の深さは、約0.2~0.6mm
である、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エアパージ溝
(40)の断面の幅は、約0.3~2.1mm
である、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記U字形エアパージ溝
(40)は、深さ(D)を有し、半径(R)の底部を有し、前記エアパージ溝
(40)及び以下の表に記載されるサンプルのうちの1つに従う断面積
を有する、請求項6に記載のシステム。
【表1】
【請求項11】
前記交換可能なカプセル
(4A、4B)は、第1の交換可能なカプセル
(4A)であり、前記システムは、前記第1の交換可能なカプセル
(4A)とは異なるサイズを有する第2の交換可能なカプセル
(4B)を更に備え、前記淹出チャンバ
(16)は、前記第1及び第2の交換可能なカプセル
(4B)のうちの一方を選択的に保持するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の交換可能なカプセル
(4A)及び前記第2の交換可能なカプセル
(4B)は、実質的に同じ長さ対直径比を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)の前記空洞は、前記第1
の交換可能なカプセル(4A)及び第2の交換可能なカプセル
(4B)の一方を選択的に保持するように構成される、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の淹出チャンバ部分
(20)は、第1及び第2の位置に移動可能であり、前記第1の位置において、前記第1
の淹出チャンバ部分(18)及び第2の淹出チャンバ部分
(20)は、前記第1の交換可能なカプセル
(4A)を保持するための前記淹出チャンバ
(16)を形成し、前記第2の位置において、前記第1
の淹出チャンバ部分(18)及び第2の淹出チャンバ部分
(20)は、前記第2の交換可能なカプセル
(4B)を保持するための前記淹出チャンバ
(16)を形成する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の淹出チャンバ部分
(20)は、中央部分
(48)と周辺部分
(50)とを含み、前記中央部分
(48)は、前記第1の交換可能なカプセル
(4A)を保持するための前記淹出チャンバ
(16)を形成する第1の位置と、前記第2の交換可能なカプセル
(4B)を保持するための前記淹出チャンバ
(16)を形成する第2の位置とに移動可能である、請求項11~14に記載のシステム。
【請求項16】
前記封止部材
(36)は、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)の前面に設けられた環状前方封止部材
(37)であり、前記前面は、前記第1の淹出チャンバ部分
(18)に向けられている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記
環状前方封止部材
(37)は、交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)の外径よりも小さい直径を有し、これによって、淹出サイクル中に前記
環状前方封止部材
(37)が前記蓋
(12A、12B)に係合する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のシステムへの適用に適した、ある量の飲料を調製するための装置であって、前記装置は、
交換可能なカプセル
(4A、4B)を保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分
(18)であって、前記
交換可能なカプセル
(4A、4B)は、カップ状の本体
(6A、6B)と蓋
(12A、12B)とを含み、前記カップ状の本体
(6A、6B)は、底部
(8A、8B)と、周壁
(10A、10B)と、フランジ
(14A、14B)とを有し、前記蓋
(12A、12B)は前記フランジ
(14A、14B)に封止される、第1の淹出チャンバ部分
(18)と、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)を閉じて淹出チャンバ
(16)を形成するための第2の淹出チャンバ部分
(20)であって、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)と前記交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)との間に液体封止係合を提供するための封止部材
(36)を含む、第2の淹出チャンバ部分
(20)と、を備え、
前記第2の淹出チャンバ部分
(20)の前記封止部材
(36)は、前記飲料を調製するために加圧液体が前記淹出チャンバ
(16)内に供給される間に前記淹出チャンバ
(16)内の空気が前記装置の外部に逃げることを可能にするために、前記封止部材
(36)と前記
交換可能なカプセル
(4A、4B)の前記蓋
(12A、12B)との間にエアパージ開口部を形成するエアパージ溝
(40)を含む、
前記装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、飲料を調製するためのシステムに関する。特に、本発明は、カプセルを使用して飲料を調製するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を調製するためのシステム、特に、挽いたコーヒー、茶、可溶性コーヒー粉末、ミルク、又はこれらの濃縮物などの飲料原材料を収容する交換可能なカプセルを使用するシステムは、当該技術分野から既知である。かかる既知のシステムでは、飲料は、淹出サイクルにおいて、飲料原材料を水などの液体と混合することによって調製され、淹出サイクルでは、飲料調製装置の淹出チャンバ内に交換可能なカプセルを受容し、装置の液体分注デバイスによって圧力下でカプセルに液体を供給する。飲料は、カプセルから排出され、淹出チャンバの出口を通って淹出チャンバから放出され、通常、装置の注ぎ口の開口部を通ってカップなどの容器内に流れる。既知のシステムは、典型的には、カプセルと淹出チャンバの壁部分との間に封止手段を用いて、カプセルと淹出チャンバ壁との間に起こりうる液体流路を形成する自由空間を液密に封止して、供給された加圧液体が淹出チャンバ出口に流れるときに淹出チャンバ内のカプセルを迂回するのを防止する。これは、無駄を最小限にするとともに、得られる飲料の品質に影響を及ぼす、カプセル内の飲料原料と接触する液体の量に対する制御を改善するためである。
【0003】
淹出サイクルの終わりに、加圧された液体がもはや液体分注デバイスによって淹出チャンバに供給されなくなると、淹出チャンバ内の全ての液体が淹出チャンバから放出されているわけではなく、一部の液体が依然として、少なくとも一時的に、カプセルの周囲又はカプセル内のいずれであろうとも、淹出チャンバ内に残り得る。加圧液体がもはや供給されなくなったことにより、この残留液体は、淹出チャンバの出口を通って比較的ゆっくりと流れ、その結果、飲料調製装置の注ぎ口の開口部からしたたり落ちる恐れがある。既知のシステムにおけるこのいわゆる後垂れ現象は、比較的長い後垂れを伴って得られる飲料が典型的には低品質であり、更に、後だれがシステムのユーザにとって長い待ち時間を招くため、不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明の目的は、既知のシステムの欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、後垂れをなくすか又は少なくとも減少させる飲料調製システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、消費に適した量の飲料を調製するためのシステムが提供される。本システムは、
交換可能なカプセルであって、カップ状の本体と、蓋とを含み、カップ状の本体は、底部と、周壁と、フランジと、を有し、蓋はフランジに封止されている、交換可能なカプセルと、
交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分と、第1の淹出チャンバ部分を閉じて淹出チャンバを形成するための第2の淹出チャンバ部分と、を含む装置であって、第2の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分と交換可能なカプセルの蓋との間に液体封止係合を提供するための封止部材を含む、装置と、を備え、
封止部材は、封止部材とカプセルの蓋との間にエアパージ開口部を形成するエアパージ溝を含み、加圧液体が飲料を調製するために淹出チャンバ内に供給される間に、淹出チャンバ内の空気は装置の外部に逃げることができる。
【0006】
淹出サイクル中に淹出チャンバ内に保持された空気が、後垂れ現象の一因となることが分かった。交換可能なカプセルが淹出チャンバ内に収容されると、カプセルによって占有されない容積が空気で充填される。例えば、カプセルが淹出チャンバの容積を完全に充填しないので、交換可能なカプセルの周りに、カプセルと淹出チャンバの壁との間に画定された外周容積が存在し得る。従来技術のシステムでは、淹出チャンバとカプセルとを囲む部分間の液密封止により、淹出チャンバ内の、例えばカプセルの周りの外周容積内の空気が淹出チャンバから逃げることが防止される。この閉じ込められた空気は、淹出サイクル中の淹出チャンバへの液体供給の影響下で、淹出チャンバ内に蓄積された圧力により圧縮される。淹出サイクルの終わりに、淹出チャンバへの液体供給が停止すると、この圧縮空気が膨張して、淹出チャンバ内、例えばカプセル内に依然として保持されている液体を、出口を通して淹出チャンバから流出させる。これは、飲料調製装置の注ぎ口開口部での垂れを招く。この後垂れ(after-dripping)現象は、液体が高温で淹出チャンバに供給されると、更に増幅されることがある。
【0007】
本発明によれば、第2の淹出チャンバ部分及びカプセルの蓋に接した封止部材に囲まれたエアパージ開口部は、少なくとも淹出チャンバへの液体供給の第1段階において、淹出チャンバから、例えば飲料調製装置の外部に空気を逃がすことができるエアベントを提供する。したがって、エアパージ開口部により、淹出サイクル中に淹出チャンバの脱気が可能となる。淹出サイクルの終了時に淹出チャンバ内に保持された空気が実質的に存在しないように、淹出サイクル中に淹出チャンバから実質的に全ての空気を除去することが好ましい。
【0008】
少なくとも加圧液体の供給の開始時に、空気が淹出チャンバからパージされるため、淹出サイクルの終了時に淹出チャンバ内に空気が存在しないか、又は少なくともより少なくなる。膨張することができる空気が少なくなっているということを考慮すると、後垂れの問題は軽減される。
【0009】
空気の密度は、供給される液体と比較してはるかに低いので、淹出チャンバが液体分注デバイスによって供給される液体で充填されると、空気は淹出チャンバ内で上昇する。したがって、エアパージ開口部は、液体がエアパージ開口部に到達する前に実質的に全ての空気が淹出チャンバから逃げることができるように、地面に対して高い封止部材の位置に設けられることが好ましい。
【0010】
淹出チャンバは、交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分と、第1の淹出チャンバ部分を閉鎖するための第2の淹出チャンバ部分とによって形成され、これにより、ユーザは、交換可能なカプセルを有する第1の淹出チャンバ部分を簡便に着脱することができる。第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ部分によって閉鎖されると、淹出チャンバが形成される。第1及び第2の淹出チャンバ部分は、例えば、淹出チャンバを開閉できるように、互いに対して移動可能であってもよい。第1の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバの入口側を形成することができる。第2の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバの出口側を形成することができる。しかし、第2の淹出チャンバ部分が淹出チャンバの入口を画定することができ、第1の淹出チャンバ部分が淹出チャンバの出口を画定することができることが想定される。
【0011】
エアパージ溝は、カプセルの蓋に向けられた開口部を有する封止部材の窪みとしてもよい。エアパージ開口部によって、少なくとも淹出チャンバ内への液体の供給の開始直後に、空気は封止部材を迂回することができる。淹出サイクル後に封止部材を交換可能なカプセルから外す場合、溝の開放側が露出する。これによって、淹出中にエアパージ開口部の詰まりが生じた恐れのある場合に、エアパージ開口部を容易に洗浄する方法が得られる。
【0012】
このように、エアパージ開口部を通って流れ得る液体の量は、廃液が増加するにつれて最小であり、飲料調製装置を汚染し、淹出チャンバ内の圧力上昇に悪影響を及ぼし、飲料の品質を低下させ得るバイパスを引き起こす可能性があることが好ましい。エアパージ開口部は、例えば、空気は通過できるが、液体の通過は完全に阻止又は防止されるような寸法にすることができる。これにより、空気は、エアパージ開口部を通って淹出チャンバから逃げることができるが、実質的に全ての空気が逃げると、液体がエアパージ開口部を通って逃げることが防止されるか又は実質的に防止される。したがって、淹出チャンバ内の液体は、交換可能なカプセルを通って流れるように強制される。これは多くの方法で確認することができる。
【0013】
システムの一実施形態では、エアパージ溝を弾性材料によって囲む。エアパージ開口部を囲む材料は、例えば変形可能であり、弾性的に変形可能であることが好ましい。エアパージ溝を囲む材料は、例えば、水がエアパージ開口部を通して淹出チャンバから逃げることを防止するために、疎水性特性を有することが想定される。例えば、エアパージ溝に疎水性コーティングを施してもよい。
【0014】
封止部材は、例えば、複数のエアパージ溝を含むことができる。エアパージ溝は、空気に対しては本質的に非制限的である一方で、液体に対しては大きな制限を形成するような、十分に小さい寸法にされ得ることが想定される。例えば、エアパージ溝は、空気が淹出チャンバからパージされる淹出サイクルの初期段階において、エアパージ溝における圧力が実質的に低いままであるように、即ち、エアパージ溝を囲むカプセルの蓋が初期段階においてエアパージ開口部を閉鎖しないように、エアパージ溝にわたる圧力降下が十分に低いままであり、液体がエアパージ溝に到達すると、エアパージ溝を閉鎖することができるように、寸法決定することができる。この閉鎖が生じ得るのは、カプセル又は水によって封止部材に加えられる力の影響を受けて、封止部材の少なくとも一部が、そしてそれはエアパージ溝が変形するためである。代替的又は追加的に、この閉鎖は、供給される液体によって引き起こされる圧力上昇のために、カプセルの蓋によって生じ得るものであり、この圧力上昇によって蓋が膨張し、それによってエアパージ溝が少なくとも部分的に塞がれ、エアパージ開口部は少なくとも部分的に閉鎖される。
【0015】
一実施形態では、カプセルの蓋は、エアパージ開口部を実質的に閉じる方法で、カプセルの内部空間内の液体圧力の影響下で膨脹するように構成される。液体分注デバイスがある量の液体を淹出チャンバに供給する場合、液体は、徐々に淹出チャンバを充填し、それによって淹出チャンバ内の空気に取って代わる。空気は、エアパージ開口部を通って淹出チャンバから逃げることができる。液体と比較して空気の比較的低い流体抵抗によって、空気は、エアパージ開口部を通して容易に通過することができる。供給された液体はまた、交換可能なカプセルの内部空間を充填し、それによってカプセルの内部空間の圧力を増加させる。カプセルの蓋は、カプセルの内部空間に蓄積された液体圧力の影響下で膨脹するように構成される。蓋が膨張すると、封止部材とカプセルとの間の封止を強化し、蓋を封止部材の形状に一致させ、それによってエアパージ開口部を少なくとも部分的に閉鎖する。封止部材のエアパージ溝は、カプセルによって占有されない淹出チャンバの容積から実質的に全ての空気が逃げたときに、蓋と協働してエアパージ開口部を閉じるような寸法であることが好ましい。
【0016】
システムの一実施形態では、蓋は、アルミニウム箔などの金属箔、又はポリプロピレンもしくはポリエチレンなどのプラスチック材料、又は金属及びプラスチックの積層箔から製造することができる。蓋は、実質的に柔軟であることが好ましい。
【0017】
漏れを防止し、淹出チャンバ内の十分な圧力上昇を可能にするためには、淹出チャンバが封止されることが有利である。第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分との間の封止は、カプセル蓋と第2の淹出チャンバ部分の封止部材との間の封止に追加してもよい。本システムは、淹出チャンバを形成するときに第1及び第2の淹出チャンバ部分をロックするためのロック機構を含むことができる。
【0018】
本システムの一実施形態では、エアパージ開口部は、第2の淹出チャンバ部分内の開口と流体連通している。このようにして、追加の通気チャネルは必要とされず、システムを単純かつ高信頼に保つ。第2の淹出チャンバ部分は、複数の開口を備えてもよい。第2の淹出チャンバ部分の少なくとも1つの開口は、消費のために容器内で調製された飲料を放出するための装置の注ぎ口開口と流体連通することができる。したがって、エアパージ開口部は、飲料装置の注ぎ口の開口部と流体連通して、空気が注ぎ口開口部を通って装置の外部に逃げることができるようにしてもよい。任意選択的に、第2の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分が交換可能なカプセルを保持するときに、交換可能なカプセルの蓋に当接する抽出プレートを備える。これにより、飲料を調製する間、交換可能なカプセルを淹出チャンバ内で固定したり、又は不動化したりすることができる。抽出プレートは、少なくとも1つの開口を含むことができる。封止部材が、例えば、カプセルの蓋と係合し、カプセルの外側にある淹出チャンバ内の液体がカプセルの周りを抽出プレートまで流れ、それによってカプセルを迂回することを防止するように、抽出プレートの外周に隣接して円周方向に封止部材を構成してもよい。封止部材は、例えば、交換可能なカプセルの蓋と液密に係合するように構成された環状突出部を含むことができる。
【0019】
一実施形態では、エアパージ溝は、U字形断面を有することができる。U字形のエアパージ溝は、滑らかな形状、即ち不連続部又は鋭い縁部のない形状を有する。これによって、これらの不連続部で、溝を画定する材料が、例えば疲労の結果として、破裂又は亀裂を生じるリスクを最小限に抑える。また、U字形溝は、空気を通過させるためのエアパージ開口部を保持するのに有効である。U字形状はまた、カプセルの蓋が溝内に膨脹して、溝の輪郭に従うことによって、エアパージ開口部を閉鎖することができる。
【0020】
システムの一実施形態では、エアパージ溝の断面積は、約0.1~055mm2、好ましくは約0.2~0.3mm2、より好ましくは約0.245mm2である。
【0021】
システムの一実施形態では、エアパージ溝の断面の深さは、約0.2~0.6mm、好ましくは約0.3~0.4mm、より好ましくは約0.35mmである。
【0022】
システムの一実施形態では、エアパージ溝の断面の幅は、約0.3~2.1mm、好ましくは約0.8~1.2mm、より好ましくは約1mmである。
【0023】
これらの寸法により、淹出チャンバに液体を供給する第1段階における空気の十分なパージと、淹出チャンバに液体を供給する後期の段階における液体の最小限の漏れとの間の良好なバランスを得ることができることが確認された。
【0024】
システムの一実施形態では、交換可能なカプセルは第1の交換可能なカプセルであり、システムは、第1の交換可能なカプセルとは異なるサイズを有する第2の交換可能なカプセルを更に備えることができ、淹出チャンバは、第1及び第2の交換可能なカプセルのうちの一方を選択的に保持するように構成される。複数の異なるサイズのカプセルを用いて、本システムによって、さまざまなタイプ及びタイプに応じた量の飲料を調製することができる。
【0025】
この実施形態の更なる詳細において、第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1及び第2の交換可能なカプセルのうちの一方を選択的に保持するように構成されてもよい。
【0026】
特に、異なるサイズの第1及び第2の交換可能なカプセルを選択的に保持することができるシステムでは、カプセルによって占有されない淹出チャンバの容積が大きくなり得る。例えば、大きな第2の交換可能なカプセルをしっかりと保持するように寸法決めされた比較的大きな淹出チャンバが、比較的小さな第1の交換可能なカプセルを抽出するために使用される場合である。比較的小さな第1の交換可能なカプセルが使用されるとき、淹出チャンバの比較的大きな容積はカプセルによって占有されず、したがって、淹出チャンバへの液体の供給開始時に、比較的大きな容積の空気が淹出チャンバ内に存在する。エアパージ溝が存在しない場合には、淹出サイクルの終了時には、その時圧縮されている比較的大量の空気が続いて膨張して、後垂れの問題が顕著になる恐れがある。
【0027】
システムの一実施形態では、第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルは、実質的に同じ長さ対直径比を有する。第2のカプセルは、外観上、第1のカプセルのサイズと形状を(真の意味で)拡大したものであり、ユーザが店頭で認識できるような同じ「ファミリー」の外観と感じが与えられる。第2のカプセルは、飲料原材料を保持するための追加の容量を備える。
【0028】
別の実施形態では、第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1及び第2の交換可能なカプセルのうちの一方を選択的に保持するように構成される。
【0029】
カプセルによって占有されない淹出チャンバ内の空間を最小限にするために、システムの別の実施形態では、第2の淹出チャンバ部分は、第1及び第2の位置に移動可能である。第1の位置では、第1及び第2の淹出チャンバ部分は、第1の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成し、第2の位置では、第1及び第2の淹出チャンバ部分は、第2の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する。このようにして、第1の淹出チャンバ部分の空洞の容積は、第1の淹出チャンバ部分に第1の交換可能なカプセルが装填された場合には、減少することになる。淹出チャンバが第1の交換可能なカプセルを保持するときに、第1の交換可能なカプセルによって占有されない第1の容積が第1の淹出チャンバ部分に意図的に残り、この第1の容積は、淹出チャンバが第2のカプセルを保持するときに、第2の交換可能なカプセルの一部を保持するように構成される。第1の淹出チャンバ部分はまた、淹出チャンバが第2の交換可能なカプセルを保持するときに、第2の交換可能なカプセルによって占有されない第2の容積を含むことができ、この第2の容積は、淹出チャンバが第1の交換可能なカプセルを保持するときに、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成される。この第1及び第2の容積は、特に、単一サイズのカプセルを保持するように適合された淹出チャンバと比較して、相当の量の空気を保持し得る。異なるサイズのカプセル、特に第1及び第2のカプセルを選択的に保持するように淹出チャンバが構成されている場合、システムに設けられたエアパージ開口部がなければ、後垂れ現象は深刻になる恐れがある。
【0030】
システムの一実施形態では、第2の淹出チャンバ部分は中央部分と周辺部分とを備え、中央部分は、第1の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する第1の位置と、第2の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する第2の位置とに移動可能である。第2の淹出チャンバ部分の中央部分は、例えば、第1又は第2のカプセルの出口面に当接する抽出プレートを備えてもよい。第2の位置では、抽出プレートは、第2のカプセルの出口面に当接する。第1のカプセルが挿入される場合、中央部分は、第1の位置に向かって更に延びる。例えば、中央部分は、周辺部分に対して軸方向に移動可能とすることができる。システムは、空洞が第1のカプセルを保持するとき、中央部分を第1の位置又はその付近、あるいは第2の位置よりも第1の位置に近い位置にロックするためのロック機構を含んでもよい。任意選択的に、周辺部分は、第2の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成するときに、周辺部分と第1の淹出チャンバ部分との間に液体封止係合を提供するように配置された更なる封止部材を備える。第2のカプセルは、上記の更なる封止部材に対して封止するための封止面を有することができ、この封止面は、第1の交換可能なカプセルの外径よりも大きい内径を有する。第1のカプセルの外径よりも大きい内径を有する封止面を設けることによって、第1の淹出チャンバ部分の同じ開放端を通して、第1のカプセルを第1の淹出チャンバ部分に挿入することができる設計が達成され得る。
【0031】
任意選択的に、第1の交換可能なカプセルのための淹出チャンバを形成するときに、中央部分と第1の淹出チャンバ部分との間に封止係合を提供するように、封止部材を配置する。封止部材は、例えば、中央部分と第1の淹出チャンバ部分との間に自己補強型の封止係合を提供するように配置された弾性リップを備えてもよい。任意選択的に、第2の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成するときに、中央部分と周辺部分との間に封止係合を提供するように弾性リップを配置する。
【0032】
一実施形態では、この封止部材は、第2の淹出チャンバ部分の前面に設けられた環状前方封止部材であり、この前面は第1の淹出チャンバ部分に向けられている。
【0033】
この実施形態の更なる詳細では、前方封止部材は、交換可能なカプセルの蓋の外径よりも小さい直径を有し、これにより、淹出サイクル中に前方封止部材は蓋に係合する。
【0034】
したがって、淹出サイクルの開始時には、前方封止部材のエアパージ溝はカプセルの蓋によって塞がれないが、しばらくしてカプセルの空洞内の圧力が上昇すると、蓋が変形してエアパージ溝内に入り、エアパージ溝によって囲まれたエアパージ開口部が少なくとも部分的に閉鎖される。
【0035】
本発明の第2の態様では、本発明に係るシステムに適用される、ある量の飲料を調製するための装置が提供される。この装置は、
交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分であって、カプセルは、カップ状の本体と蓋とを含み、カップ状の本体は、底部と、周壁と、フランジとを有し、蓋はフランジに封止される、第1の淹出チャンバ部分と、
第1の淹出チャンバ部分を閉じて淹出チャンバを形成するための第2の淹出チャンバ部分であって、第2の淹出チャンバ部分と交換可能なカプセルの蓋との間に液体封止係合を提供するための封止部材を含む、第2の淹出チャンバ部分と、を備え、
第2の淹出チャンバ部分の封止部材は、飲料を調製するために加圧液体が淹出チャンバ内に供給される間に淹出チャンバ内の空気が装置の外部に逃げることを可能にするために、封止部材とカプセルの蓋との間にエアパージ開口部を形成するエアパージ溝を備える。
【0036】
かかる装置によって、上記のシステムを参照して説明したのと同じ効果及び利点が得られる。
【0037】
一実施形態では、封止部材は、第2の淹出チャンバ部分の前面に設けられた環状前方封止部材であり、この前面は第1の淹出チャンバ部分に向けられている。
【0038】
この実施形態の更なる詳細では、前方封止部材は、交換可能なカプセルの蓋の外径よりも小さい直径を有し、これにより、淹出サイクル中に前方封止部材は蓋に係合する。
【0039】
本発明は、図面に示された例示的な実施形態に基づいて更に説明される。例示的な実施形態は、非限定的な例示として与えられる。図は、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の概略図にすぎないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】本発明に係るシステムに適用される第1の交換可能なカプセルと協働する装置の一部の概略断面図を示す。
【
図1B】本発明に係るシステムに適用される第2の交換可能なカプセルと協働する装置の一部の概略断面図を示す。
【
図2】エアパージ溝を備えるシステムの装置の第2の淹出チャンバ部分の拡大斜視図を示す。
【
図3A】装置の淹出チャンバ内の第1の交換可能なカプセルの封止構成の拡大断面図を示す。
【
図3B】装置の淹出チャンバ内の第2の交換可能なカプセルの封止構成の拡大断面図を示す。
【
図4】U字形エアパージ溝の一例の位置における封止部材の一例の側面図を示す。
【0041】
図面において、
図1A及び
図1Bは、本発明に係るシステムの一例に適用される交換可能なカプセルと協働する装置の一部の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
類似性を考慮して、双方のカプセル4A、4Bを同時に説明する。これら交換可能なカプセル間の主な違いは、それらのサイズである。
図1A及び
図3Aに示される第1の交換可能なカプセル4Aは、
図1B及び
図3Bに示される第2の交換可能なカプセル4Bよりも小さい内容積を有するカプセルである。この例では、カプセル4A、4Bは双方ともカップ状本体6A、6Bを含む。ここで、カップ状本体6A、6Bは、底部8A、8B及び周壁10A、10Bを含む。周壁10A、10Bの第1端部は、底部8A、8Bに接続される。周壁10A、10Bは、カプセル4A、4Bを通る中心軸Lに対してある角度で傾斜していてもよい。例えば、傾斜した周壁10A、10Bの角度は、双方のカプセル4A、4Bについて同じであってもよい。傾斜した周壁10A、10Bは、カプセルの底部8A、8Bに向かう方向に徐々に減少する断面を提供する。底部8A、8B及び周壁10A、10Bは、一体となった部分を形成することができる。カップ状本体6A、6Bは、フランジ状リム14A、14Bを含み、このフランジ状リム14A、14Bは、周壁10A、10Bの第2端部で接続され、この第2端部は、周壁10A、10Bの第1端部の反対側にあり、カップ状本体6A、6Bの開放端を画定する。#フランジ状リム14A、14Bは、外側に延びるリムである。底部8A、8B、周壁10A、10B及びフランジ状リム14A、14Bは、一体となった部分を形成することができる。カプセル4A、4Bには、双方とも蓋12A、12Bが含まれる。蓋12A、12Bは、カップ状本体6A、6Bの開放端を閉鎖する。蓋12A、12Bは、以下に説明するように飲料をカプセルから排出することができる出口領域を含む。この例では、蓋12A、12Bは、カプセル4A、4Bのフランジ状リム14A、14Bに接続される。ここで、出口領域13A、13Bは、飲料がカプセル4A、4Bから潜在的に出ることができる蓋12A、12Bの領域を画定する。したがって、リム14A、14Bに封止された蓋12A、12Bの領域は、出口領域の一部を構成しない。この例では、カプセル4A、4Bは、底部8A、8Bから蓋12A、12Bまで延びる中心軸Lの周りに実質的に回転対称である。したがって、傾斜した周壁10A、10Bは、実際には円錐形の壁である。カップ状本体6A、6B及び蓋12A、12Bは、カプセルの内部空間を囲む。この内部空間は、抽出可能な又は可溶性の物質などの、ある量の飲料原材料を含む。飲料原材料は、例えば、焙煎して挽いたコーヒー、茶などであり得る。飲料原材料は、粉末コーヒーとすることができる。飲料原材料は、液体とすることができる。カプセル4A、4Bのサイズの違いを考慮すると、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aよりも多量の飲料原材料を含むことができることが理解されよう。この例では、第2のカプセル4Bの内部空間は、第1のカプセル4Aの内部空間の約2倍である。例えば、第1のカプセル4Aは、4~8グラム、例えば約6グラムの挽いたコーヒーを含むことができる。例えば、第2のカプセル4Bは、8~16グラム、例えば約12グラムの挽いたコーヒーを含むことができる。
【0043】
カップ状本体6A、6Bは、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、又はそれらの組み合わせから製造することができる。カップ状本体6A、6Bは、プレス、深絞り、真空成形、射出成形などによって製造することができる。蓋は、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレンもしくはポリエチレンなどのプラスチック材料、又はそれらの組み合わせ、例えば金属及びプラスチックの積層体から製造することができる。この例では、カプセル4A、4Bは、いわゆる密閉カプセルである。これは、カプセルが装置に挿入される前に密閉されていることを示す。しかし、カプセルは、底部8A、8B及び/又は蓋12A、12Bが穿孔されているか、又は少なくとも1つの開口部を含み、任意選択的に、フィルタ材料、例えば織布又は不織布の透水性膜で覆われているという点で、開放型ということができる。
【0044】
図1Aでは、交換可能なカプセル4Aは、第1の淹出チャンバ部分18及び第2の淹出チャンバ部分20によって画定される装置の淹出チャンバ16内に配置される。ここで、交換可能なカプセル4Aは、淹出チャンバ16の入口側22と出口側24との間に設けられる。淹出チャンバ16の入口側22には、ある量の液体を淹出チャンバ16に供給するための液体分注デバイス26が設けられている。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、交換可能なカプセル4A、特にカプセルの底部8を穿孔するための穿孔手段28を備える。穿孔手段28は、3つの刃などの複数の刃を含む。液体分注デバイス26によって淹出チャンバ16内に供給された液体は、交換可能なカプセル4Aを通過して飲料を調製する。
【0045】
第2の淹出チャンバ部分20は、交換可能なカプセルの出口領域から飲料を受容するための抽出プレート30を備える。ここで、交換可能なカプセル4Aの蓋12Aなどの出口領域は、抽出プレート30に対して開くことができる。この例における抽出プレート30は、複数のレリーフ要素34を含む(
図2参照)。ここでは、レリーフ要素34は角錐台である。カプセル4A内の圧力が上昇すると、出口領域はレリーフ要素に対して引き裂かれ、飲料はカプセル4Aから出ることができる。
【0046】
飲料は、抽出プレート30の開口56を経由して抽出プレート30を通過することができる。その後、飲料は抽出プレート30の出口に流れることができ、そこからカップなどの容器に排出されることができる。
【0047】
漏れを防止し、液体が交換可能なカプセル4Aを迂回することを防止するために、カプセル4Aと淹出チャンバ16Aの壁との間に液体封止係合を提供する封止部材36が配置される。より具体的には、封止部材36は、環状前方封止部材37を備え、この例では、環状突出部として具現化され、カプセル4Aの蓋12Aに当接して液体封止係合を提供する。更に、封止部材36は、カプセル4Aと第1の淹出チャンバ部分18との間に追加の液体封止係合を提供するように、システム1内に配置されてもよい。第1の淹出チャンバ部分18はまた、カプセルのフランジ状リム14に当接するための第1の環状当接面39を備える。これにより、第1のカプセルを所定位置に保持することができる。図示しない特定の実施形態では、第1の環状当接面39は、カプセルのリム14Aと密封係合し得る。第1の環状当接面39は、例えば、第1の環状当接面39とカプセルリム14Aとの間の、空気の通過を向上させるため溝などの追加の開口部を備えてもよい。
【0048】
本システムは、空気が入口側22と封止部材36との間の淹出チャンバ16の容積から逃げることを可能にするために、前方封止部材37内のエアパージ溝40によって画定されたエアパージ開口部を更に備える。特に、入口側22と封止部材36との間の、カプセル4Aによって占有されない淹出チャンバの容積内に閉じ込められた空気は、エアパージ溝40によって形成されたエアパージ開口部を通って逃げることができる。交換可能なカプセルによって占有されない淹出チャンバの容積46は、
図1Aにおいて、カプセル本体6Aと第1の淹出チャンバ部分18との間の影付き領域によって示されている。交換可能なカプセル4Aを使用して飲料を淹出するとき、この容積は液体で満たされる。空気を液体に置き換えることができ、この空気は、エアパージ開口部を通って逃げることができる。エアパージ開口部は、淹出チャンバ内の空気が上昇するので、地面に対して高い位置に設けられることが好ましい。これにより、できるだけ多くの空気、理想的には全ての空気を逃がすことができる。交換可能なカプセル4A内に存在し得る空気は、カプセルの底部8Aを通ってカプセルに入る液体によって置換される。カプセル4A内に蓄積された圧力の影響を受けて、カプセルの出口領域、例えばカプセルの蓋12Aが破れて、飲料並びにカプセル内の空気のための出口を提供することができる。したがって、カプセル内の空気は、カプセル4Aの出口領域を通って、続いて抽出プレート30の開口部を通って逃げることができる。
【0049】
エアパージ溝40は、環状前方封止部材37の窪みによって形成され、これにより、空気は液体封止係合を迂回することができる。ここで、空気は、淹出チャンバ16からエアパージ開口部及び抽出プレート30の開口を通って逃げることができる。入口側22と封止部材36との間の、交換可能なカプセルによって占有されない淹出チャンバの容積内の空気のための逃げ道は、カプセルのフランジの周りでエアパージ開口部を通る。淹出チャンバ内の液体圧力、より具体的には、蓋12Aの膨張につながるカプセル4A内の液体圧力の影響下で、エアパージ溝は閉鎖可能であり、それによって、エアパージ溝40で画定されたエアパージ開口部は少なくとも部分的に閉鎖される。液体が、交換可能なカプセル4Aによって占有されない淹出チャンバの容積を満たし、エアパージ溝30に到達すると、空気に対する液体の高い流体抵抗が圧力上昇を引き起こす。この圧力上昇に伴う力は、交換可能なカプセルの内部に圧力上昇をもたらし、カプセル4Aの蓋12Aが膨脹する。これは、エアパージ溝40の閉塞に寄与する。
【0050】
図示の例では、封止部材36は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間に液体封止係合を提供するように更に配置される。ここで、封止部材36は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間に自己補強型の封止係合を提供するための弾性リップ42を備える。
【0051】
図1Bは、
図1Aに示されるものと同じ装置の同じ淹出チャンバ16を示し、淹出チャンバは、第2の交換可能なカプセル4Bを備える。第2の交換可能なカプセルは、
図1Aに示される第1の交換可能なカプセル4Aよりもサイズが大きい。
【0052】
第1の淹出チャンバ部分18は、第1の交換可能なカプセル4A及び第2の交換可能なカプセル4Bのうちの一方を選択的に保持するように構成される。したがって、第1の淹出チャンバ部分18の寸法は、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bのうちの一方を選択的に収容するように適合されている。
図1Bに示すように、第1の淹出チャンバ部分18は、淹出チャンバが第2の交換可能なカプセル4Bを保持するときに、第2の交換可能なカプセル4Bによって占有されない第2の容積44を含み、第2の容積44は、淹出チャンバが第1の交換可能なカプセル4Aを保持するときに、第2の淹出チャンバ部分24を受容するように構成される。この第2の容積44は、相当の量の空気を保持することができる。後垂れを回避又は低減するために、この容積の空気を液体で置き換えることが非常に有益であることが確認されている。更に、
図1Aに示すように、第1の淹出チャンバ部分はまた、淹出チャンバ16が第1の交換可能なカプセル4Aを保持するときに、第1の交換可能なカプセル4Aによって占有されない第1の容積46を含み、第1の容積46は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するときに、第2の交換可能なカプセル4Bの一部を保持するように構成される。したがって、淹出チャンバの容積を最小にするために、第2の淹出チャンバ部分20は、中央部分48と周辺部分50とを備える。中央部分48は、抽出プレート30を備える。中央部分48にも封止部材36が設けられている。周辺部分50は、第2の交換可能なカプセル4Bを保持するための淹出チャンバを形成するときに、周辺部分50と第1の淹出チャンバ部分18との間に液体封止係合を提供するように配置された更なる封止部材52を備える。
図1Bから分かるように、淹出チャンバが第2の交換可能なカプセル4Bを保持するとき、第2の淹出チャンバ部分20の封止部材36の弾性リップ42は、中央部分48と周辺部分50との間に封止を提供する。第1の淹出チャンバ部分18はまた、第2のカプセル4Bのフランジ状リムに当接するための第2の環状当接面54を備える。これにより、第2のカプセル4Bを所定位置に保持することができる。図示しない特定の実施形態では、第2の環状当接面54は、第2のカプセルのリム14Bと密封係合することができる。しかし、
図3Bで見ることができるように、第2の環状当接面54は、例えば、第2の環状当接面54と第2の交換可能なカプセルのリム14Bとの間の空気の通過を向上させるために、溝などの追加の開口部58を備えてもよい。第1の淹出チャンバ部分18は、追加のカプセルタイプを淹出チャンバ16内に挿入できるようにするために、更なる当接面を備えてもよい。
【0053】
図2は、封止部材36の環状前方封止部材37にエアパージ溝40を備える第2の淹出チャンバ部分20の拡大斜視図を示す。封止部材36は、レリーフ要素34を有する抽出プレート30の周りに円周方向に配置される。抽出プレート36は、複数の開口56を更に備える。ここで、封止部材36はまた、淹出チャンバが第1の交換可能なカプセル4Aを保持するときに、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間に、及び/又は淹出チャンバが第2の交換可能なカプセル4Bを保持するときに、第2の淹出チャンバ部分20の中央部分48と周辺部分50との間に、封止係合を提供するための弾性リップ42を備える。
【0054】
図3Aは、第1の交換可能なカプセル4Aと第2の淹出チャンバ部分20との間の封止構成に関するシステム1の拡大断面図を示す。環状突出部37は、リム14Aの位置で第1の交換可能なカプセル4Aの蓋12Aに当接し、液体封止係合を形成する。エアパージ開口部は、エアパージ溝40とカプセルの蓋12Aとによって形成される。第1の環状当接面39とカプセル4Aのリム14Aとの間に間隙56があり、空気は、リム14Aの周りを流れることができる。弾性リップ42は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間に封止を提供するように配置される。
【0055】
図3Bは、第2の交換可能なカプセル4Bと第2の淹出チャンバ部分20との間の封止構成に関するシステム1の拡大断面図を示す。環状突出部37は、第2の交換可能なカプセル4Bの蓋12Bに当接し、液体封止係合を形成する。エアパージ開口部は、エアパージ溝40とカプセルの蓋12Bとの間に形成される。第2の淹出チャンバ部分は、中央部分48及び周辺部分50によって形成され、中央部分48及び周辺部分50は、弾性リップ42によって封止される。
【0056】
実施例において、カプセル本体及び蓋は、蓋が本体へ容易に溶接できるように、アルミニウム箔、好ましくはポリマーコーティングされたアルミニウム箔で作製される。カプセル本体及び/又は蓋は、当業者によって好適と考えられ、かつ、押出し成形、共押出し成形、射出成形、ブロー成形、真空成形などの当該技術分野で従来公知の技術を用いてシート、フィルム、又は箔に加工することが可能な、多様な材料で製造することができることが理解されるであろう。カプセル本体及び/又は蓋の好適な材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:プラスチック材料、特に熱可塑性材料、例えば、ポリオレフィンポリマー、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET);アルミニウム、ステンレス鋼、金属合金などの金属箔;又は、紙、ポリエステルなどの織ったシート若しくは不織のシート若しくは別の方法で加工した繊維性材料のシート;又はそれらの組み合わせ、例えば、多層材料。カプセルの材料は、生分解性ポリマー又は別の生分解性材料とし得る。当業者であれば、食品材料との想定される使用及びカプセルの使用中の任意の他の関連する状況を考慮して、適切な材料を選択することができるであろう。形状が安定したカプセルを提供するように、シート又は箔の厚さを選択することができる。シート又は箔の厚さは、材料の性質に応じて異なってもよい。
【0057】
図4は、U字形パージ溝40の位置における封止部材37の一例の側面図を示す。U字形エアパージ溝40は、図示のように深さがDであり、半径Rの底部を有する。本発明の範囲内にあるさまざまな溝寸法を以下の表に示す。
【0058】
【0059】
明瞭性及び簡潔な説明を目的として、本明細書では、記載した特徴について同じ又は別個の実施形態の一部として説明するが、本発明の範囲は、記載した特徴の全部又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることはいうまでもない。
【0060】
特許請求の範囲では、括弧を付けて示したいかなる参照記号も、請求項を限定するものとして解釈してはならない。単語「~を備える/~を含む(comprising)」は、請求項に列挙されているもの以外の特徴又はステップの存在を除外するものではない。更に、単語「1つの(「a」及び「an」)は、「ただ1つ(only one)に限定するものと解釈してはならず、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するために使用され、複数を除外しない。特定の手段が互いに異なる請求項で列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。