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特許7386875再パルプ化可能な断熱紙製品、その製造方法、およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】再パルプ化可能な断熱紙製品、その製造方法、およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/00 20060101AFI20231117BHJP
   D21H 27/10 20060101ALI20231117BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20231117BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B32B29/00
D21H27/10
D21H27/30 B
B65D65/40 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021542088
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019054121
(87)【国際公開番号】W WO2020072527
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】62/739,735
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521133931
【氏名又は名称】アウトライアー ソリューションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】フィールド、 アンドリュー ハワード
(72)【発明者】
【氏名】フリン、 ナイジェル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リー、 テイラー コパカ
(72)【発明者】
【氏名】ライ、 ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】シゴダ、 ロン イー. ザ セカンド
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-081729(JP,U)
【文献】特表2012-526006(JP,A)
【文献】特開2019-199273(JP,A)
【文献】特開2000-109123(JP,A)
【文献】特開2017-203243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00,
C09D1/00-201/10,
D21B1/00-1/38,
D21C1/00-11/14,
D21D1/00-99/00,
D21F1/00-13/12,
D21G1/00-9/00,
D21H11/00-27/42,
D21J1/00-7/00,
B65D5/00-5/76,
B65D65/00-65/46
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱紙製品であって、
二以上の紙層、および断熱材、並びに
(i)0重量%から5.0重量%未満の紙パルプまたはセルロース繊維、および(ii)前記断熱材を含む一以上の非紙層を含み、
各紙層は、50重量%超100重量%までの紙パルプまたはセルロース繊維を含有し、
前記断熱材はパーライト、膨張パーライト、パーライト中空微小球体、パーライト微小球体、粉砕膨張パーライト、パーライトフレーク、バーミキュライト、若しくは中空膨張バーミキュライトの粒子、またはそれらの任意の組合せを含み、前記粒子又は粒子の組合せは、1000ミクロン(μm)未満の平均粒子径を有し、前記二以上の紙層は、互いに接合されて一体型紙製品を形成し、
前記断熱紙製品は、(i)前記断熱紙製品の全体に前記の断熱材の不均一な分布を有し、(ii)水および水蒸気の存在下で性能改善処理を施した段ボールの再パルプ化およびリサイクルにおける自主基準2013年プロトコル(Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard treated to Improve It's Performance in the Presence of Water and Water Vapor Protocol of 2013)に定められるようにこの試験を用いて、前記一体型紙製品の形成に用いられた前記紙パルプまたはセルロース繊維の85%回収可能であり、不合格ではなく合格とされるように、再パルプ化可能である
断熱紙製品。
【請求項2】
断熱紙製品であって、
二以上の紙層、および断熱材、並びに
(i)0重量%超から15.0重量%未満の紙パルプまたはセルロース繊維、および(ii)前記断熱材を含む一以上の非紙層を含み、
各紙層は、50重量%超100重量%までの紙パルプまたはセルロース繊維を含有し、
前記断熱材は、1000ミクロン(μm)未満の平均粒子径を有するシリカアエロゲルを含み、前記二以上の紙層は、互いに接合されて一体型紙製品を形成し、
前記断熱紙製品は、(i)前記断熱紙製品の全体に前記の断熱材の不均一な分布を有し、(ii)水および水蒸気の存在下で性能改善処理を施した段ボールの再パルプ化およびリサイクルにおける自主基準2013年プロトコル(Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard treated to Improve It's Performance in the Presence of Water and Water Vapor Protocol of 2013)に定められるようにこの試験を用いて、前記一体型紙製品の形成に用いられた前記紙パルプまたはセルロース繊維の85%回収可能であり、不合格ではなく合格とされるように、再パルプ化可能である
断熱紙製品。
【請求項3】
前記断熱紙製品は、(a)(i)断熱材をその中に有する少なくとも一つの紙層又は(ii)前記一以上の非紙層、および(b)その中に断熱材を有さない二つの外側紙層を含み、前記二つの外側紙層は、(a)(i)前記断熱材をその中に有する少なくとも一つの紙層又は(ii)前記一以上の非紙層の、反対側に位置する、請求項1又は2に記載の断熱紙製品。
【請求項4】
前記断熱紙製品は、空孔含有断熱紙製品を含み、前記空孔含有断熱紙製品は、波板状紙製品含む、請求項1~のいずれか1項に記載の断熱紙製品。
【請求項5】
前記断熱紙製品は、前記断熱紙製品の放射率を低減させるコーティングをさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
【請求項6】
前記コーティングは、オキシ塩化ビスマス、マイカ、酸化亜鉛、セリサイト、酸化アルミニウム、ローペイク(商標)TH500EF、またはこれらの任意の組合わせを含む、
請求項に記載の断熱紙製品。
【請求項7】
前記断熱材は、パーライト、膨張パーライト、パーライト中空微小球体、パーライト微小球体、粉砕膨張パーライト、パーライトフレーク、またはそれらの任意の組合せを含む、
請求項1及び3~のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
【請求項8】
前記二以上の紙層の、断熱材を含有する紙層は、前記紙層の総重量に対して、15.0重量%~80.0重量%の紙パルプまたはセルロース繊維、および85.0重量%~20.0重量%の断熱材を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
【請求項9】
前記断熱紙製品は、保存容器を含み、前記保存容器は、少なくともその一部が一つ以上の容器壁に囲まれている保存容積を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、断熱(insulated)紙製品に関する。本発明はさらに、断熱紙製品の製造方法、および断熱紙製品の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインショッピングの出現により、多くの商品がAmazonなどの配送業者から、消費者の玄関先まで直接配送されるようになった。食品やその他温度管理が必要な材質のものは、通常、断熱された箱に入れて出荷される。一般的に、ある種のポリマー性独立気泡フォームやポリ(エチレン)気泡緩衝シート型の素材、あるいは金属製反射フィルムを出荷前に段ボール箱に梱包することにより、断熱が施される。
【0003】
発泡ポリスチレンは、製造コストが低く、断熱性が高い一方、(1)自然環境下で分解されづらく、それにより海洋汚染や埋め立て処分の長期化につながる、(2)散乱し、放置されている様がよく見られるが、景観を損なうばかりか、小動物が誤って食べてしまった際に、その内臓にダメージを与えかねない、(3)ほとんどの自治体ではリサイクルができない、(4)リサイクル前に、箱から分離しなければならない、(5)箱内に梱包しなければならない、そして(6)重ねることができないため、輸送コストがかかる上に、保管する際にかさばる、といったように、難点も多い。
【0004】
生産環境において、不都合を生じさせる資材を使用することによる経済的影響は、過小評価されがちである。図42は、品質管理での検品作業、客先への出荷に向け、回転ダイ/ローラで、製造直後の大量の段ボールシートを、組立前の箱の形にカットする様子を表す。このプロセスで出た段ボールの切り屑や裁ち落としは、検品で不合格となったものとあわせて、シュレッダーにかけられ、プレコンシューマ屑段ボールとして、そのまま再パルプ化プロセス(図7)に供給されて、再利用される。処理剤、コーティング、ライナーといった材料を段ボール箱に導入したために、そのまま再パルプ化プロセスに供給することが不可能な場合、製造プロセスが複雑化し、ミスが起こった際は、抄紙機(図8)のダウンタイムを増大させるリスクがある。異なる素材を使用しているため、屑や、段ボール素材から出たあらゆる裁ち落としを分離し、通常の段ボールのものと分けて扱わなければならなくなる。
【0005】
現在、冷凍食品や冷蔵食品は、断熱材の入った段ボールに入れて出荷されている。こうした断熱材は、発泡ポリ(スチレン)フォーム(発泡スチロールという商品名で販売)、または放射熱移動(radiative heat transfer)の減少を目的として金属化されている、あるいはされていないポリ(オレフィン)気泡緩衝シートのいずれかである。場合によっては、発泡ポリウレタンフォームを、プラスチックフィルム製のライナーと組み合わせて使用することもある。こうした合成ポリマーを含有する屑は、通常のパルプと分離しなければならないため、上記材料のいずれも、段ボール箱製造ラインでは使用することができない。そのため、段ボール箱は、断熱材とは分けて製造されている。さらに、プラスチックフィルムや発泡ポリスチレンを再利用している自治体は多くないため、箱を再利用する前に、断熱材を除去しなければならない。
【0006】
同様の理由から、紙製の飲料用コップの中には、再利用が困難なものがある。こうしたコップは、低分子量ポリエチレンでコーティングされており、パルプ内に投入されれば、問題を引き起こす。
【0007】
そこで必要とされるのは、(1)食品に対して使用可能な、毒性のない安全なもの、(2)食品の輸送にかかる間は、冷凍食品や冷蔵食品に適した温度を保てるもの、(3)廃棄処分の際、他の紙類と分離・区別することなく、自治体のリサイクルサービスによって再利用可能な手軽さがあること、(4)紙製品(例えば、段ボール箱)の製造時に出た裁ち落としを、分離することなく再パルプ化し、そのまま紙製品(例えば、段ボール箱)製造ラインに戻せること、(5)積み重ねても潰れることなく、その荷重に耐えられること、(6)冷凍庫から湿度の高い場所に移されたことにより結露が発生しても、形を保っていられること、そして(7)生物分解性、つまり生分解性であること、といった利点を、一つ以上発揮する、高い断熱性を有する紙構造である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、(1)その中に配置された、および/または、それによって囲まれた食品を断熱し、(2)生物分解性、つまり生分解性を有し、再利用可能で、再パルプ化可能、さらに(3)食品を冷たく、あるいは温かく保つための追加の同梱物を必要としない、断熱紙製品に関する。開示の断熱紙製品は、種々の紙製品内に、および/または種々の紙製品内上に、断熱材を投入する複数の方法を活用する。例えば、断熱材は、紙料を紙形成ワイヤメッシュに注ぐ前に、紙料に投入されてもよい。あるいは、または、それに加えて、断熱材は、紙の層を形成する際に、その間に投入されていてもよい。あるいは、または、それに加えて、断熱材は、紙層を互いに接合する(bond)のに使用される接着剤に組み込まれていてもよい。さらに、断熱材は、コーティングに含有されていてもよく、該コーティングで、種々の紙製品上を被覆してもよい。
【0009】
本発明は、断熱紙製品に関する。一つの例示的実施形態において、本発明による断熱紙製品は、一以上の紙層、および断熱材(insulating material)を含み、(1)二以上の紙層(paper layers)が設けられている場合、二以上の紙層は、一体型紙製品(integral paper product)を形成し、(2)(a)(i)一以上の紙層と組み合わせる一つの層が断熱材を含む、および(ii)一以上の紙層内の一つの紙層が、断熱材の不均一な分布をその中に有していてもよいの、うちの少なくとも一つであるか、または、(2)(b)一体型紙製品自体が、それを通る断熱材の不均一な分布(non-uniform distribution)を有する。
【0010】
他の例示的実施形態において、本発明による断熱紙製品であって、波板状(corrugated)一体型紙製品、該波板状一体型紙製品は、一以上の第1紙層である第1ライナーボード層と、第1ライナーボード層および第2ライナーボード層の間に位置する一以上の波形紙(fluted paper)層を含む波形紙層またはハニカム層とを含み、(i)第1ライナーボード層、(ii)第2ライナーボード層、(iii)波形紙層またはハニカム層は、それぞれ、低熱伝導性および/または低放射性を有する断熱材を含んでもよい。
【0011】
他の例示的実施形態において、本発明による断熱紙製品であって、波板状一体型紙製品、該波板状一体型紙製品は、一以上の第1紙層を含む第1ライナーボード層と、一以上の第2紙層を含む第2ライナーボード層と、第1ライナーボード層および第2ライナーボード層の間に位置する一つ以上の波形紙層を含む波形紙層またはハニカム層と、を含み、(i)第1ライナーボード層、(ii)第2ライナーボード層、および(iii)波形紙層またはハニカム層は、それぞれ独立に、その中に、または、その上に、断熱材を含んでもよい。
【0012】
一つの望ましい実施形態では、断熱紙製品は、完全に再利用可能であり、再パルプ化可能であり、生物分解可能・生分解可能、であり、そして断熱性を有する段ボール箱である。
【0013】
本発明はさらに、断熱紙製品の製造方法に関する。一つの例示的実施形態において、断熱紙製品の製造方法は、一以上の紙層および断熱材を含む断熱紙製品を形成することを含み、(1)二以上の紙層が設けられている場合、二以上の紙層は、一体型紙製品を形成し、(2)(a)(i)一以上の紙層と組み合わせる一つの層が断熱材を含む、および(ii)一以上の紙層内の一つの紙層が、断熱材の不均一な分布をその中に有する、の、うちの少なくとも一つであるか、または、(2)(b)一体型紙製品自体が、それを通る断熱材の不均一な分布を有する。
【0014】
本発明はさらに、波板状構造の形態の断熱紙製品を製造し、続いて、これを容器に形成する方法に関する。同様の構造は、ダイカッタを利用して量産してもよく、それにより、同様の箱の最終製品が大量に製造される。各箱の最終製品は、例えば、レーザー、ロボット、または自動研磨ジェット、あるいは、要求に応じてサイズをカスタマイズした箱を迅速に作製するその他手段を利用した、カスタムカットであってもよい。
【0015】
本発明はさらに、断熱紙製品を使用する方法に関する。一つの実施形態において、断熱紙製品の使用方法は、本明細書に記載の断熱紙製品のいずれかを介して、対象(object)(例えば、食品、医薬品、氷、花等)を断熱することを含む。
【0016】
本発明のこれらの特徴や利点、またそれ以外の特徴や利点を、以下に開示の実施形態および添付の特許請求の範囲により、明らかにするものである
図面の簡単な説明
添付の図面を参照し、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明において例示される紙製品の斜視図を表す。
図2A-2C】図2A-2Cは、図1に示す線2-2に沿って見た場合の、図1に例示の紙製品の断面図の例を表す。
図3図3は、本発明において例示される紙製品の他の斜視図表す。
図4A-4F】図4A-4Fは、図3に示す線4-4に沿って見た場合の、図3に例示した紙製品の断面図の例を表す。
図5図5は、本発明において例示される紙製品(ここでは、「一体型紙製品」とも称する)の他の斜視図を表す。
図6A図6Aは、図5に示す線6-6に沿って見た場合の、図5に例示した紙製品の断面図の例を表す。
図6B図6Bは、図5に示す線6-6に沿って見た場合の、図5に例示した紙製品の断面図の例を表す。
図6C図6Cは、図5に示す線6-6に沿って見た場合の、図5に例示した紙製品の断面図の例を表す。
図6D図6Dは、図5に示す線6-6に沿って見た場合の、図5に例示した紙製品の断面図の例を表す。
図7図7は、本発明において例示される紙製品の形成に利用されるプロセス工程およびプロセス構成要素の模式図を表す。
図8A-8C】図8A-8Cは、本発明において例示される紙製品を形成する際に好適に利用される製紙工程の例での、例示のプロセスフローである。
図9図9は、本発明で例示されるいずれかの紙製品内の単一紙層を形成するのに好適な紙層形成プロセス工程の側面図を表す。
図10図10は、本発明で例示する三層紙製品を形成するのに好適な、他の紙製品形成プロセス工程の側面図を表す。
図11図11は、本発明において例示される紙製品を形成するのに好適な他の紙製品形成プロセス工程の側面図を表す。
図12図12は、本発明において例示される、断熱材の層を含む紙製品を形成するのに好適な他の紙製品形成プロセス工程の側面図を表す。
図13A図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13B図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13C図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13D図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13E図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13F図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図13G図13A-13Gは、7つの紙層を形成するプロセスの側面図を表し、各層は、本発明で例示したいずれかの紙製品内の紙を形成するのに好適である。
図14図14は、本発明において例示される紙製品に交差方向の溝(flutes)を形成するのに好適な、紙層形成プロセス工程の斜視図を表す。
図15図15は、図14に示す線15-15に沿って見た場合の、図14に例示したプロセス工程で使用される、例示の溝形成ローラの断面図の例を表す。
図16図16は、本発明において例示される紙製品に機械方向の溝を形成するのに好適な、紙層形成プロセス工程の斜視図を表す。
図17図17は、機械方向(MD)に沿って見た場合の、図16に示したプロセス工程で使用される例示の溝形成ローラの詳細図の例を表す。
図18A-18B】図18A-18Bは、本発明による、二つの例示の波板状紙製品の側面図を表す。
図19A-19D】図19A-19Cは、本発明に例示するいずれかの断熱紙製品を含む保存容器の例を表す。図19Dは、図19Cに例示される温飲料用コップの壁構造の、断面図の例を表す。
図20図20-23Aは、本発明に例示するいずれかの断熱紙製品を含む保存容器の例を、追加で表す。
図21図20-23Aは、本発明に例示するいずれかの断熱紙製品を含む保存容器の例を、追加で表す。
図22図20-23Aは、本発明に例示するいずれかの断熱紙製品を含む保存容器の例を、追加で表す。
図23A-23B】図20-23Aは、本発明に例示するいずれかの断熱紙製品を含む保存容器の例を、追加で表す。図23Bは、図23Aに例示した輸送用容器の壁構造の詳細断面図を表す。
図24図24は、例示した輸送用容器の壁構造の断面図の例を表す。
図25A-25B】図25A-25Bは、断熱性粒子の均一な分布を有する紙層および断熱性粒子の不均一な分布を有する紙層を表す。
図26A-26B】図26A-26Bは、(i)図25Aに示す断熱性粒子の均一な分布を有する紙層および(ii)図25Bに示す断熱性粒子の不均一な分布を有する紙層を通る、想定され得る熱経路を表す。
図27図27は、種々のポリスチレンコップおよびパーライトを含有する紙コップの試料の断熱特性をグラフで表す。
図28図28は、パーライトを10%含む紙サンプルが、試験された他のどの材料から作製された紙サンプルと比較しても、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。
図29図29は、パーライトを20%含む紙サンプルが、活性炭を除く、試験された材料から作製された全ての紙サンプルと比較して、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。活性炭は、パーライト含有の紙サンプルよりも、わずかに高い断熱性を示した。
図30図30は、パーライトを25%含む紙サンプルが、活性炭を含有する紙サンプルを除く、試験された材料から作製された全ての紙サンプルと比較して、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。活性炭を含有する紙サンプルは、ここでも、パーライト含有の紙サンプルと同等の断熱性を示した。
図31図31は、他の全ての非添加剤のなかで、ポリスチレンコップが最も効率的な断熱材であることをグラフで表す。
図32図32は、中/低程度のグレードのパーライトを加えた際の熱移動(heat transfer)速度(rate)の変化をグラフで表す。
図33図33は、各グレードのパーライトの重量パーセントを増加させた際に、有効熱移動速度がどのように変化するかをグラフで表す。
図34図34は、紙サンプルおよび/または断熱材の熱移動速度を決定するのに使用され得る装置の断面図を表す。
図35図35は、紙サンプルおよび/または断熱材の熱移動速度を決定するのに使用され得る装置の展開断面図を表す。
図36図36は、種々の材料の熱移動速度をグラフで表す。
図37図37-39は、紙サンプルおよび/または断熱材の相対放射率を決定するのに使用され得る他の装置の図を表す。
図38図37-39は、紙サンプルおよび/または断熱材の相対放射率を決定するのに使用され得る他の装置の図を表す。
図39図37-39は、紙サンプルおよび/または断熱材の相対放射率を決定するのに使用され得る他の装置の図を表す。
図40図40は、紙サンプルおよび/または断熱材の相対放射率を決定するのに使用され得る他の装置の図を表す。
図41図41は、紙シートを形成するのに使用され得る装置の図を表す。
図42図42は、矩形の波板状シートから、プロセスから出た廃材(例えば、裁ち落としや検品を通らなかった箱)とあわせて、箱を形成する既知のプロセスの模式図を表す。
図43A図43A及び43Bは、紙サンプルおよび/または断熱材の熱移動速度を決定するのに使用され得る装置の図を表し、図43Aは、クーラー壁を通して見た際の、寸法や窓の位置を含めた、発泡ポリスチレンクーラーに対する変更を示す切断図を表し、43Bは、試験装置の断面図を表す。
図43B図43A及び43Bは、紙サンプルおよび/または断熱材の熱移動速度を決定するのに使用され得る装置の図を表し、図43Aは、クーラー壁を通して見た際の、寸法や窓の位置を含めた、発泡ポリスチレンクーラーに対する変更を示す切断図を表し、43Bは、試験装置の断面図を表す。
図44図44は、表面改質エアロゲルと合わせた後の浮遊紙パルプ(右の瓶容器)と比較すると、沈殿した状態になっている通常の漂白二次繊維パルプ(左の瓶容器)の様子を表す。
図45図45は、断熱性添加剤を含有する紙表面の走査電子顕微鏡写真を表し、四つの異なる材料に対して、出来上がった紙のワイヤ側と紙のフェルト側を比較する。
図46図46は、種々の断熱材充填紙構成要素における、厚さ調整デルタ-T温度差(TADT)を表す棒グラフである。
図47図47は、比較のため、断熱性充填剤を含有する準備された紙の表面及び断面のSEMを表す。
図48図48は、本発明による、一面が被覆された波板状構造を表す。
図49図49は、片面波形温飲料用コップスリーブを、最終製品およびその断面を含めて表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、繊維11(例えば、木材パルプ繊維11)および断熱材12を含む断熱紙製品に関する。全ての図面に示されているが、各紙層10は、断熱材12を含むがそれには限定されない他の紙層添加剤を有する、あるいは有さない繊維11(例えば、木材パルプ繊維11)を含む。以下に、繊維、紙、包装の定義、製品仕様や繊維供給源についての定義を示す。
【0019】
本明細書で使用される「紙」という用語は、繊維がランダムに、あらゆる方向に向いている不織材料の一種を特定するために使用される。セルロースを主原料とする繊維をスラリーとしてメッシュスクリーン上に注ぐ。紙が形成されると、繊維同士が互いに接触し、水素結合等の種々の相互作用を介して、隣接する繊維と物理的に結合する。繊維は、本来、樹木を含む植物に由来するが、剛性繊維や鉱物繊維、その他の種類の繊維を選択的に含有することができる。多くの場合、紙は再生繊維も含む。木材は、林地からの直接伐採、あるいは木材産業の副産物(おがくず等)から調達される。
【0020】
紙繊維は、軟材(softwoods)(例えば、テーダマツのような、広葉樹ではなく針葉樹)および硬材(hardwoods)を含む、多くの部分からの繊維部分を含み得る。有用な紙繊維を産生する他の植物としては、竹、サトウキビ、麦藁、葦草、ススキ、ココナツ繊維、麻繊維、綿繊維、ジュート、ヤシ、葦、およびパピルスが挙げられるが、これらに限定されない。多くの植物のセルロース繊維は、リグニンと結合する。
【0021】
バージン(非リサイクル)繊維の場合、パルプ化プロセスにおいて、リグニンのほとんどが除去される。再生紙には、段ボール、繊維板、筆記用紙、プレスボード、厚紙、新聞紙、ティッシュペーパー、特殊紙、ライナーボード、容器用板紙、箱用板紙、PEライニング板紙、カートン材、カップストック、あるいは食品用板紙からの繊維が含まれる。
【0022】
木材から製造される場合、パルプ化プロセスは、個々のセルロース繊維をスラリーに分離し、リグニンの一部あるいは全てを除去することを含む。パルプ化方法は、a)紡糸と静止板との間に発生する蒸気およびせん断を使用することを含む熱機械パルプ化、b)リグニンを溶解することによってパルプを分解する強力な化学薬品を使用する、化学パルプ化、および/または、c)機械法と化学法を組み合わせて利用するセミケム(semi-chem)プロセス、を含む。ほとんどの場合、波形(fluted)中板(medium board)(例えば、波形中板23)は、セミケムプロセスパルプおよび/または再利用紙繊維を利用して作製される。他の種類のパルプとしては、固体漂白硫酸円パルプ、チップボード、およびクラフトが含まれる。
【0023】
本明細書で使用される紙(および紙層10)は、15%以上のセルロース繊維(下記に詳述)を含む材料を幅広く含むことができる。他の添加剤としては、断熱材12や、耐グリース性および/または耐水性を付与する他の粒子/添加剤/成分に加えて、強度を付与する他の粒子/添加剤/成分がある。非紙(および非紙層30)は、15%未満のセルロース繊維(下記に詳述)を含有するものであればよい。
【0024】
本明細書で使用されるものとして、断熱材12等の断熱材という用語は、ある程度の断熱性(insulation)を付与する無機あるいは有機材料を説明する際に使用される。断熱材12においても同様だが、空気および/またはその他気体は、一つ以上の無機あるいは有機断熱材12内にトラップされ得るものの、断熱材という用語は、空気のみ、あるいはその他気体のみを含むものではない。
【0025】
繊維11(例えば、木材パルプ繊維11)および断熱材12を含む紙製品10/100’/60は、平坦な材料を作るためのスクリーンを利用して、平坦状に(例えば、断熱紙製品100/100’)形成するか、もしくは、成型、真空形成、または、パルプ懸濁液からの熱形成により、本質的に立体物(非平坦)(例えば、図19A図23Bに示すように、成型または他の方法で形成された容器60)を形成する。このような立体紙製品には、ある種の包装、例えば、卵用の容器や、卵用のカートン、郵送の際、出荷された商品の角を保護する包装、生物分解性を有する堆肥用容器、生物分解性を有する植物用鉢、病院で使用される使い捨て小便器および病人用便器、使い捨て猫砂用の箱等が含まれる。断熱特性や湿潤環境下での強度を付与し、撥水性または防水性を付与し、耐グリース吸収性を付与し、強度を高め、色を改善し、印刷適正やその他美観的側面を改善する目的で、断熱材12を含む添加剤を、紙製品10/100’/60内に含有させてもよい。
【0026】
所定の紙層10を形成する場合、乾燥パルプシートを、ハンマーミルを用いて粉砕し、繊維11を空気中に分散させてもよい。これは、通常、毛羽立ちパルプと称される。そして、空気中固体分散体を、真空形成して、製品10/100’/60を得ることができる。こうした製品には、通気パッドや、おむつ、生理用品、ペット用使い捨て排泄パッドといったその他製品に使用される吸収剤や、毛羽状断熱材が含まれる。
【0027】
紙ワイヤ上に注ぐ前、あるいはパルプを製品10/100’/60成型する前に、断熱材12を含む添加剤を紙パルプに添加してもよい。あるいは、サイズプレス時、もしくは、蒸気缶乾燥機のあとで、断熱材12を含む添加剤を添加してもよい。断熱材12を含む添加剤はまた、クレイコーティング(例えば、コーティング30)に添加可能である。通常、クレイコーティングは、クラフトバックやクレイコートされたボール紙を作る際に、ライナーボード(例えば、ライナーボード21/22)に付加される。
【0028】
本発明の断熱紙製品100/100’/100”から形成される紙包装(例えば、図19A図23Bに示す容器60)は、次のものを含む、幅広い範囲の構成を含み得る:レギュラースロット付き容器(RSC)、オーバーラップスロット付き容器、フルオーバーラップスロット付き容器、スペシャルセンタースロット付き容器、バッグインボックス、センタースペシャルオーバーラップスロット付き容器、センタースペシャルフルオーバーラップスロット付き容器、上部が折込式のスナップ付き1-2-3-底ボックス、上部がRSC式のスナップ付き1-2-3-底ボックス、フルボトムファイルボックス、ハンパースタイル、フォート・ウェインまたはアンダーソン底ロック箱、上部および底部が蛇腹式の容器、インテグラル仕切り付き容器、RSC内部仕切り板またはセルフ仕切り付きボックス、完全伸縮式デザインボックス、完全伸縮式半スロット付きボックス、部分伸縮式デザインボックス、部分伸縮式半スロット付きボックス、カバー付きデザインボックス、カバーおよび半スロット付きボックス、八角形の二重カバー容器、二重カバーボックス、連動二重カバーボックス、二重厚スコアラインボックス、ワンピースフォルダ、ツーピースフォルダ、スリーピースフォルダ、ファイバーパネルフォルダ、エアセル/エンドバッファ付きワンピースフォルダ(例えば本を保護するのに用いられる)、ラップアラウンド型ブランク、タックフォルダ、伸縮式・ダブルスライド式ワンピースボックス、2番または3番のブリスボックス、凹エンドボックス、自立型ボックス、上部がフラップ付きのRSCのプレ接着自動底ボックス、四角トレイ、自立型六角トレイ、フランジロックボックス、アーサー底ロック箱、バレンタインロック容器、および逆バレンタインロック容器。
【0029】
本発明の断熱紙製品100/100’/100”で使用される中板は、異なる寸法を有する溝(flutes)を有する波形(fluted)であってよい(例えば、図6A図6Dに例示した波形中板23を参照)。ファイバーボックスハンドブックは、溝および溝の寸法を、A、B、C、E、F、G、K、N、およびR/S/T/Dと定義している。ライナー紙および中板紙は、試験され、異なるバーストグレード(125-350SW、23-55ECT、200-600DW、42-82ECT DW、700-1300TW、67-112ECT TW)によって評価され得る。カートンあるいは箱(例えば、箱61)は、続いて、当業界においては既知の様式(リバースタック、スナップロック、自動ボトム、ストレートタック、トップスナップロックボトム、タックトップ自動ボトム、シールエンド、beers、郵便用封筒、フォルダ、シンプレックス)にしたがって折り込まれる。
【0030】
本明細書で説明するように、本発明による断熱紙製品は、その中にまたはその上に断熱材が分散された単一紙層を含み得る、あるいは、断熱材と組み合わせて、二以上の紙層を含み得る。断熱材は、断熱紙製品の一以上の紙層内に、および/または、断熱紙製品内の構成要素(例えば、紙層とは別体の層、および/または、断熱紙製品の層あるいは構成要素内の充填剤)として設けられる。例えば、図1図6Dに例示した100/100’/100”を参照されたい。
【0031】
本発明による断熱紙製品は、一以上の紙層や断熱材の層(もし設けられている場合は)以外で、一つあるいは追加の層をさらに含み得る。限定されるものではないが、追加の層として適切なものには、断熱紙製品の放射率を高めるコーティング、断熱紙製品に、所望の色および/または表面のテクスチャを付与するコーティング、断熱紙製品の撥水性(例えば、防水特性)を高めるコーティングが含まれる。例えば、図6A図6Dに例示した断熱紙製品100/100’/100”を参照されたい。
【0032】
図6Aに例示される断熱紙製品100/100’/100”において、波板状ボール紙構造100/100’/100”は、波形中板23に接合された二つのライナーボード21/22を含む。ライナーボード21/22のうち一つ(あるいは両方)は、美観的観点から、コーティング層30で被覆されていてもよい(例えば、クレイコーティング)。波形中板23は、当業界で、A溝~F溝として分類される、溝寸法幅を有してよい。各ライナーボード21/22は、一層の紙10/100’から形成されていてもよく、あるいは、2層以上の紙10/100’を含んでもよい。上述の断熱紙製品100/100’/100”と組み合わせて使用できる、他の種のボードとしては、プレスボード(圧着繊維ボード)や、ハニカムボード(例えば、間にハニカムスペーサを有する二つのライナーボード21/22)が挙げられる。
【0033】
図6Bに例示される断熱紙製品100/100’/100”において、波板状ボール紙構造100/100’/100”は、波形中板23に接合された二つのライナーボード21/22を含み、波板状ボール紙100/100’/100”の構造に断熱性添加剤12を組み込む機会が複数回ある場合を示す。第一に、断熱性添加剤12は、波形中板23の紙料に添加されている。第二に、各溝(例えば、波形中板23の溝)をライナーボード21/22に接合する澱粉系接着剤40に断熱性添加剤12を組み込むことにより、溝が、熱移動から隔離される。第三に、ライナーボード21は、コーティング30を介して、断熱性添加剤12で被膜される。第四に、放射熱移動を遅くするため、波板状ボール紙構造100/100’/100”(例えば、箱61)の外側が、低熱放射率コーティング30によって、さらに被膜される。こうしたコーティング30は、放射熱および赤外線を反射あるいは吸収する。
【0034】
図6Cに例示的される断熱紙製品100/100’/100”において、さらなる波板状ボール紙構造100/100’/100”は、波形中板23に接合された二つのライナーボード21/22を含み、また、波板状ボール紙構造100/100’/100”に断熱性添加剤12を組み込む機会が複数回ある場合を示す。第一に、断熱性添加剤12は、断熱材12が、波形中板23の一面(例えば、図示の通り、下面)よりも優先的に、もう一方の面(例えば、図示の通り、上面)と分離するように、波形中板23の紙料に添加されている。第二に、波形中板23の各溝をライナーボード21/22に接合する澱粉系接着剤40に断熱性添加剤12を組み込むことにより、(波形中板23の)溝は、さらに熱移動から隔離される。第三に、断熱性添加剤12を含有する、さらなるコーティング310が溝の谷部231に組み込まれる。第四に、(例えば、第1ライナーボード21内に図示の通り)ライナーボード21/22のうちの一つは、不均一に分布した断熱性添加剤12を含有する。第五に、放射熱移動を遅くするため、ライナーボード21/22の両方の外側面が、低熱放射率コーティング30によってさらに被覆される。こうしたコーティング30は、放射熱および赤外線を反射あるいは吸収する。
【0035】
図6Dに例示される断熱紙製品100/100’/100”において、さらなる波板状ボール紙構造100/100’/100”は、波形中板23に接合された二つのライナーボード21/22をそなえ、また、断熱紙製品100/100’/100”に断熱性添加剤12を組み込む機会が複数回ある場合を示す。第一に、断熱性添加剤12は、断熱材12が、一以上の紙層10/100’の厚さ方向にわたって、均一に分布するように、波形中板23の紙料(furnish)に添加されている。第二に、波形中板23の各溝をライナーボード21/22に接着する澱粉系接着剤40に断熱性添加剤12を組み込むことにより、波形中板23の溝は、さらに熱移動から隔離される。第三に、ライナーボード21上が、断熱性添加剤12を含有する、さらなるコーティング30で被覆される。第四に、第2ライナーボード22は、不均一に分布した断熱性添加剤12を含有する。第五に、放射熱移動を遅くするため、ライナーボード21の外側面は、低熱放射率コーティング30にさらに被覆される。こうしたコーティング30は、放射熱および赤外線を反射あるいは吸収する。
【0036】
さらに、本明細書に記載の、本発明による断熱紙製品のいずれも、種々の形状を有するよう構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、断熱紙製品は、コーヒー等の温飲料を入れるのに使用され得る、断熱コップやマグである。こうした断熱紙製品は、発泡スチロール(登録商標)製のコップの代替として使用でき、発泡スチロール(登録商標)製のコップに関連する廃棄時の問題や環境問題の排除につながる。他の実施形態において、断熱紙製品は、食品や医薬品といった物品の一時保管や輸送用の断熱包装である。
このような断熱紙製品は、本明細書で説明する他の多くの包装物品と同様に、断熱箱であってもよく、波板状を有していても、有していなくてもよい。例えば、図19A図23Bに例示した断熱紙製品100/100’/100”を参照されたい。
【0037】
構成および/または形状に関わらず、一以上の紙層10を所定の断熱紙製品100/100’/100”内に設けることにより、本発明の断熱紙製品100/100’/100”は、ある程度の断熱性を付与する。例えば、図25Aおよび図25Bは、丸で示した断熱材粒子12と繊維11とを含有する、例示の紙構成層10の断面図を示す。両紙構成層10は、断熱材粒子12を示す丸を、同じ数だけ含有する。図25Aに示す紙構成層10は、断熱材粒子12の略均一な分布を有しており、一方、図25Bに示す紙構成層10は、断熱材粒子12の不均一な分布を有する。
【0038】
さらに、図26Aおよび図26Bは、図25Aおよび図25Bに例示した紙構成層10内を、熱が伝わるであろうことが予想される伝導経路を示す。本発明は、理論によって限定されるものではないが、図25Aに示す紙構成層10の場合、均一に分布した断熱性粒子12により、伝熱経路が延長され、熱移動が減速すると考えられる。図25Bに示す紙構成層10は、(同数の丸によって示される)同数の粒子12を有しているが、これらの粒子12は、紙構成層10の薄い層に集中する。図25Aに示す紙構成層10と比較すると、図25Bに示す紙構成層10では、断熱性粒子12が密集していることで、局所的に熱を遮断し、熱流がかなり低減される。
【0039】
本発明はさらに、本明細書に記載・開示の断熱紙製品の製造方法および使用方法に関する。断熱紙製品は、一以上の紙層を製作するために、製紙設備および製紙技術を用いて製造することができる。本明細書で説明するように、優れた断熱特性およびその他特性を断熱紙製品に付与するため、本発明による断熱紙製品の製造方法は、所定の断熱紙製品内に一つ以上の断熱材を戦略的に配置すること、および/または、一つ以上の任意で用いてよいコーティングを断熱紙製品上に戦略的に配置することを含む。本発明の断熱紙製品を形成するための方法における工程および過程は、例示的に、図7図17に示され、説明される。
【0040】
図7は、木材パルプおよびプレコンシューマ裁ち落とし/屑ボール紙から紙を形成する方法200を、例示的に説明する。樹皮や葉などを除去した後の、材木の木材組成は、セルロースが約三分の一、リグニンが約三分の一、そして水が約三分の一である。木材を破砕機201に投入し、破砕機で木材を破砕して、ビータ202に投入する。パルプはビータ202で作製される。長時間ビータにかけた後、繊維の形状は変化する。繊維は、丸い繊維から、断面がエンドウ豆に似た形へと崩れる傾向があり、ビータにかけ続けると、繊維はわずかに疎水性が増す。
【0041】
紙層が形成され、さらに処理されると、裁ち落としおよび検品に通らなかった厚紙(例えば、損傷や、湾曲があったものなど)が、裁断され、パルプ化プロセスに戻される。厚紙は、洗浄装置(wash clean)203で洗浄され、染料等を可能な限り除去したうえで、ビータ202に戻される。
【0042】
図8A図8Cは、紙シート10の形成プロセスを例示する。図8Aに示す通り、パルプ(紙料)をヘッダボックス204に圧送する。この段階で、紙料の繊維含有率は、約1重量%~2重量%である。ゲート205により、紙料は、可動形成ワイヤ(細かいメッシュコンベア)206上に流れ出る。形成ワイヤ206は、75フィート~100フィートの長さを有する。初期段階では、重力によって排水がなされるが、さらに下流では、ワイヤ206の下方に設けた真空ボックス207により、水の除去が促進され、繊維含有率が約20重量%~30重量%にまで増加する。
【0043】
図8Bに示す通り、その後、(繊維が約20重量%~30重量%の)材料が、一つ以上のフェルトプレス208にかけられ、そこで前駆体紙(つまり、紙層10の前駆体)の水分を吸い取ることにより、さらに水を除去し、繊維含有率を約45重量%~50重量%まで増加させる。澱粉やその他添加剤が投入される場合は、サイズプレス209において、乾燥の前に実施することになる。
【0044】
図8Cに示す通り、乾燥は、蒸気缶210の上を移動すること、または長い熱風乾燥トンネル(不図示)に投入すること等の多くの方法により、実現され得る。カレンダーロール211を通過した後、巻き取る前に、紙10は6%~10%の含水率を有していてもよい。
【0045】
図9は、紙料が、ヘッダボックスゲート205から可動形成ワイヤ(細かいメッシュコンベア)206上へ流れ出る用紙を例示し、ワイヤ206の動きに伴って、可動ワイヤライン206から排水され、繊維が凝集・密集していく様子を表している。
【0046】
図10は、多重層(multiple ply)のライナーボード100を形成するプロセス工程を例示する。製造過程において、ライナーボード100は、1層より多い紙10から形成され得る。一つ以上のヘッダボックス204およびワイヤライン206が、同時に運転され、それにより、二以上の水分を含んだ紙シート10が、フェルトプレス208に投入される前に、ラミネータニップロール212で組み合わされる。図10は、フェルトプレス208投入前に、より厚みのあるライナーボード100を形成するために組み合わされる三つの層10を示している。
【0047】
図11は、本発明の断熱紙製品100/100’/100”や、本発明の断熱紙製品100/100’/100”の構成要素(例えば、ライナーボード層や外側ライナーボード)の形成に使用されるものとして適切な、ライナーボード100の詳細を例示する。図11に例示する通り、ライナーボード100は、互いに積層された(laminated)二枚の紙10を含む。例示のライナーボード100は、紙層10うちの一つの外面13上に直接位置する第1クレイコーティング、および最外側に位置する、第2白色クレイコーティング30をさらに含む。第2白色クレイコーティング30により、例示のライナーボード100は、印字可能な面/層38を有する。第1クレイコーティング30により、ざら紙10の谷部や窪みを平らにならし、高品質な印字を可能とする滑らかな表面を実現する。
【0048】
図12は、本発明の断熱紙製品100/100’や、本発明の断熱紙製品100/100’の構成要素(例えば、ライナーボード層や外側ライナーボード)の形成に使用されるものとして適切な、他のライナーボード100の詳細を例示する。図11に示す通り、断熱材12を含む断熱性添加剤層20は、添加剤アプリケータ213を介して、例示のライナーボード100に組み込まれてもよい。ここでは、断熱材12の層20は、三つの紙層10を含む例示のライナーボード100内の、二つの紙層10の間に位置する。図12に示す通り、添加剤(例えば、断熱材12あるいは他の材料)の、さらなる層を、三つの紙層10を含む例示のライナーボード100内の、先ほどのとは別の二つの紙層10の間に設けるために、第2の添加剤アプリケータ213を使用してもよい。
【0049】
図13A図13Gは、所定の紙層10または断熱紙製品100/100’の、内部または上に、断熱材12を組み込む種々の方法を示す。図13Aに示す通り、断熱材12がパルプに追加され、断熱材12は、水の比重と近しい値の比重を有している。ここでは、紙料の水がはけていくにつれ、断熱材12が均等に、紙10の厚さに対して略均一に、組み込まれていく。
【0050】
図13Bにおいて、水の比重よりも低い(あるいは、かなり低い)比重を有する断熱材12を使用することにより、断熱材12が不均一に分布した状態となっている。ここでは、紙料が、可動ワイヤ206に沿って進むにつれ、重力により、下方に向けて排水がなされ、一方、断熱材12は上方に移動する傾向を有する。これにより、断熱性粒子12は、紙10の上側/上層に集中することになる。本発明におけるいくつかの実施形態において、驚くべきことに、断熱性添加剤12が厚さ方向にわたって略均一に分布している場合に比べ、断熱性添加剤12が、紙10の片方に寄って密集している場合の方が、紙層10の断熱特性が発揮されることが分かった。
【0051】
図13Cにおいて、断熱紙製品100/100’内に断熱性粒子12を不均一に分布させるための、さらなる過程を示す。図13Cに示す通り、組み合わされた紙料が、可動ワイヤ206に沿って進むにつれて、繊維(例えば、紙料)の下層の上に、断熱材12の層および任意で含まれてよい繊維を配置するのに、第2のヘッドボックス204を使用してもよい。
【0052】
図13Dにおいて、断熱紙製品100/100’内に断熱性粒子12を不均一に分布させる配置するための、さらなる過程を示す。図13Dに示す通り、組み合わされた紙料が、可動ワイヤ206に沿って進むにつれて、繊維(例えば、紙料)の下層の上に、断熱材12の層および任意で含まれてよい繊維を配置するのに、第3のヘッドボックス204を使用してもよい。
【0053】
図13Eにおいて、断熱紙製品100’内に断熱性粒子12を不均一に分布させるための、さらなる過程を示す。図13Eに示す通り、第1ヘッドボックス204および第2ヘッドボックス204は、繊維の二つの層(plies)のを形成するのに用いられてもよい。断熱材12を含有する中間層は、液体として、スロットダイコータ261または散布ブーム262を介して、あるいは、固体として、シリングローラ263を介して、配置される。図13Eにおいて、まず、パルプの表層が分離ワイヤ206に注がれ、そして、不均一に配合された100’の中間層上に移される。スロットダイコータ261は、カーテンコータに類似の、既知のものである。供給が一貫して行われ、沈殿を避けるよう、スロットダイコータ261は、ヘッド265内に撹拌手段(不図示)を含んでいてもよい。より高度なスロットダイコータ261は、GL&V Pulp&Paperグループ(アメリカ合衆国ジョージア州ローレンスビル)により提供される、Hydra-Sizer技術に代表される発明を含む。
【0054】
図13Fにおいて、断熱紙製品100’内に断熱性粒子12を不均一に分布させるための、さらなる過程を示す。図13Fに示す通り、ノズル229は、パルプ11を真空ロール267および形成フェルト206の間の空隙268に供給する際に使用される。断熱材12を含有する中間層は、スラリーとして、層20内に配置される。図13Fにおいて、パルプ11の表層は、第2のヘッドボックスノズル229により供給される。こうしたノズルパルプアプリケータ229は、Voith Sulzer Papiermaschinen GmbH(ボイス・サルツァー・パピールマシーネン・ゲゼルシャフト・エムベーハー)取得の米国特許第5,645,689号明細書「多層ヘッドボックス(Multilayer ヘッドボックス)」に記載されている。さらに、Innventia(インベンシア)研究所は、多層ヘッドによって供給される際、層同士の混合を防止するための「AQ-Vane」技術を開示している。Aq-Vane技術では、パルプ層を設ける際、その層間に、水の介在層が組み込まれる。(「製紙における多層技術(Multi-layer technology in papermaking)」、Daniel Soderberg(ダニエル・ソダーバーグ)、Innventia(インベンシア)研究所およびスウェーデン王立工科大学(ストックホルム)所属:2012年10月2日に、スウェーデンのストックホルムで行われたマルクス・ヴァレンベリ賞のシンポジウムでの発表)。
【0055】
図13Gは、断熱材12の不均一な分布を含有する、不均一な断面を有する断熱紙製品100’の、さらなる製造方法を示す。多層ヘッドボックス204は、最初の二層(例えば、各層がそれぞれパルプ11および/または断熱材12を含むもの)を形成ワイヤ206上に降ろすために使用され、その後、該二層は、フェルトに押し付けられる。フェルトプレスによる各層の追加後、続く層(例えば、各層がそれぞれパルプ11および/または断熱材12を含む、層3および層4)が追加される。
【0056】
図14図18Bに示す通り、本発明の断熱紙製品100/100’/100”の製造方法は、材料10/100/100’/100”の、一つ以上の波板状または波形層の形成をさらに含む。材料の、波板状または波形層のそれぞれは、断熱材12を含んでいても、含有してもしていなくてもよい。図14に示す通り、紙層10(または積層物(laminate)100)は、交差方向(cross-direction)(CD)の起伏部215が形成された交差方向溝形成ローラ214の間を進んでいってもよい。これにより、交差方向(CD)溝216が、例示の紙製品10内に形成される。図15は、図14のプロセス工程で使用される、例示の交差方向(CD)溝形成ローラ214を、図14の線15-15に沿って見た際の断面図を示す。
【0057】
図16および図17に示すさらなる実施形態において、紙層10(または積層物100)は、機械方向(machine-direction)(MD)起伏部218が形成された機械方向(MD)溝形成ローラ217の間を進んでいってもよい。これにより、機械方向(MD)溝219が、例示の紙製品10内に形成される。図17は、図16のプロセス工程で使用される、例示の機械方向(MD)溝形成ローラ217を、機械方向(MD)から見た際の詳細図を示す。
【0058】
図14図17に示す製造工程は、図18Aおよび図18Bに示すような本発明の波板状紙製品100”を形成するのに利用されてもよい。図18Aに例示する通り、波板状紙製品100”は、二つの波形層10を含み、波形層は両方とも、例示の波板状紙製品100”の各層10内に、(i)交差方向溝216または(ii)機械方向の溝219を有する。図18Bに例示する通り、波板状紙製品100”は、二つの波形層10を含み、例示の波板状紙製品100”内において、そのうち一つの波形層は、交差方向溝216を有し、もう一方の波形層10は、機械方向の溝219を有している。
【0059】
概して、二重波板状厚紙(図18A)において、溝は、同方向、つまり交差方向に走る。中板10は、まず蒸気処理(位置410)が施され、その後、熱した交差方向溝形成ローラ214を通って、中板10内に交差方向溝216が付与されることにより、溝が形成される。最終的な二重構造の交差溝により、対流による熱伝導が抑えられる。また、交差方向溝216により、中板10にはさらなる強度が付与される。
【0060】
本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”の使用方法は、高温あるいは低温環境から、食品、医薬品等を遮断することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、該方法は、単純に、物品(例えば、食品、医薬品等)を本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”内に設置すること(例えば、熱いコーヒーを本発明のコップに注ぐなど)を含んでもよい。他の実施形態において、該方法は、物品(例えば、食品、医薬品等)を、本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”(例えば、箱)や輸送用密閉断熱紙製品10/100/100’/100”内に設置することを含んでもよい。
【0061】
本明細書で説明するように、本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”の使用方法は、高温あるいは低温環境から物品(例えば、食品、医薬品等)を遮断することを含んでいてもよく、物品(例えば、食品、医薬品等)は、コップや箱といった、従来の形状を有する断熱紙製品10/100/100’/100”内に、位置する、あるいは梱包される。換言すると、本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”は、コップや箱といった従来品の代わりとなるもので、それにより、上述した利点のうち一つ以上を発揮する。本明細書で説明するように、本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”は、コップや箱といった、多くの従来品と類似の、種々の形状および構成を有していてもよい。
【0062】
使用時、本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”/60は、断熱特性を付与することに加え、下記特徴/特性のうち、一つ以上を付与することが望ましい。
【0063】
(1)耐湿性:
本発明の断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)は、冷凍庫に入れ、取り出して、室温で保存できることが望ましい。こうした過程において、温かい空気が、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)の表面に結露することにより、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に水滴がついてしまうことが多い。この点において、水分の進入に対し、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)が耐性を有している場合、有利となる。断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)が水分を吸収し、それにより脆くなってしまう傾向を抑えるため、複数の異なる添加剤を使用してもよい。例えば、紙繊維11と比較すると、パーライト12は、高い疎液性を有するため、パーライト12を紙層10に組み込むことで、紙層10が水分を吸収しにくくなる。さらに、イングレディオン社(Ingredion)(アメリカ合衆国イリノイ州ウェストチェスター)から入手可能なCoragum SRなどの耐湿性樹脂接着剤を添加することにより、溝をライナーボード(図6A図6D参照)に接合する接着剤40に、耐湿性を持たせることが可能となるさらに、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)の外装に、疎水処理を施すこともできる。そのうえ、化学架橋剤や反応性樹脂(例えば、メチロールメラミン)を、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に付与してもよい。これにより、水分の影響をより低減することができる。最後に、紙層10に疎水性を付与するため、紙繊維11は、ロジンで処理されていてもよく、その後、硫酸アルミニウムを紙料に添加してもよい。あるいは、疎水性を付与する目的で、ワックスを添加してもよい。
【0064】
環境的側面および再利用の側面からは望ましくないものの、ファストフードや温/冷飲料を取り扱う小売産業でよくみられるように、耐油性および耐水性の付与のため、紙層10、繊維ボード21/22/23、および段ボール厚紙ストックは、低密度ポリエチレン(PE)の薄い層で被覆され得る。近年、製紙産業において、包装用PEライナーおよびライニングに替わる製品への需要が高まっており、それを受けて、化学産業では、再パルプ化可能でありながら、耐グリース性・耐水性を付与する新たなコーティングが開発されるにいたった。Georgia Pacific Bleached Board LLC(ジョージア=パシフィック・ブリーチトボード社)出願の米国特許出願公開第2019/077537号明細書によると、EpotalS440(BASF社)、RhoplexP-376(Dow社)、DiofanB204(Solvay社)、Barrier-Grip9471A(IGI社)、およびDaranSL143(Solvay社)を含む、複数の異なるコーティングを使用して、PEフィルムを使用することなく、水や脂質液体への耐性を紙に付与する旨が記載されている。これらのコーティングは、組み合わせることで、防水性に加えてヒートシール性を飲料用紙コップに付与する。
【0065】
(2)温度履歴およびモニタリング:
いくつかの実施形態において、消費者が、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)の内容物が高温にさらされていないことを再確認したいという要望を持つ場合がある。そのため、下記に挙げる温度センサを設けてもよい。(a)生物分解性および生体適合性を有する温度センサを、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に設けてもよい。2018年7月発刊『NASA Tech Briefs』誌・第42巻・第7号に公開されたような、食品モニタリング用の、生物分解性を有するマイクロセンサが例として挙げられる。このバイオセンサは、1%の生理食塩水にゆっくりと溶ける。(b)熱変色性を有する材料が、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に含まれていてもよい。これにより、ひとたび特定の温度よりも温度が上昇すると、色が変化し、消費者に対して警告を発することができる。熱変色性を有する材料は、可逆性であっても、不可逆性であってもよい。また、インクは、色変化が準安定状態になるよう、大きなヒステリシスループを示す可逆性を有するものであってよい。こうしたインクは、温められると、黒から無色に変わる、Pilot(登録商標)のFrixion(登録商標)ボールペン用インクに利用されている。(c)目立つ食品染料が断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)の構造に含まれていた場合、冷凍された材料が解凍された際に形成される結露や、発生する水分を逆手に取ることができる。水分が断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に付着した際、染料が溶け、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)に染みとなることにより、警告の役割を果たす。
【0066】
(3)食品腐敗センサ:
いくつかの実施形態において、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)は、下記センサをさらに含んでもよい。(a)2018年7月発刊『NASA Tech Briefs』誌・第42巻・第7号に公開されているような、食品モニタリング用の、生物分解性を有するマイクロセンサを、メタン、硫化水素、メチルメルカプタン、フルフリルメルカプタン、インドール、カダベリン、イソ吉草酸、スカトール、およびその他の悪臭を発する物質などの腐敗性ガスを検知するよう、構成できる。(b)低レベルの硫化水素およびアミンにさらされると、青から無色に変化する、ミヒラーのヒドロール・ブルーのように、ある種の着色剤は、硫化物およびアミンに反応する。さらに、2018年9月発刊『NASA Tech Briefs』誌内で発行された『Sensor Technology』には、印字可能かつナノ構造を有する、導電性ポリマーワイヤレスセンサについての記載がある。該センサは、アメリカ化学会発行の『Nano Letters』に初めて登場し、腐敗した肉から発せられる臭気を特定することにより、食品の腐敗を検知するものである。
【0067】
(4)冷凍庫から電子レンジへ:
より小型のパッケージの場合、さらなる特徴として、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)を冷凍庫から取り出し、そのままレンジの中に入れられるようになっている。こうした実施形態において、断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)は、マイクロ波が透過できるものでなければならない。断熱紙製品10/100/100’/100”/60(例えば、箱61)は、マイクロ波サセプタを、任意で含有していてもよい。
【0068】
(5)エッジ効果が低減された箱:
90度でボール紙を折り曲げると、折り曲げた箇所にボール紙が挟み込まれ、折り込まれたエッジ部分で、熱損失が起こる可能性がある。(例えば、断熱紙製品10/100/100’/100”から形成された)本発明の箱61は、90度の角部を二つの45度の角部に変更することで、損失を最小限に抑えている。
【0069】
(6)低熱放射率を目的とした、過渡アルミめっき層:
薄いアルミめっきコーティング30を、紙(例えば、紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60)、および/または、パーライト12上に追加することにより、放射率を低減させる。アルミニウムは、非常に低い熱放射率を有し、スパッタリングあるいは蒸着と呼ばれるプロセスにおいて、種々の材料に使用可能である。こうしたプロセスにおいて、アルミニウム原子を真空中に飛ばし、他の材料(例えば、紙層10)の表面に凝集させる。サーマルブランケットの多くは、このようなプロセスにより形成される。他の種類の粒子と同様に、パーライト粒子12も、この種の処理によって、部分的に、あるいは完全にアルミニウムで被覆される。紙あるいは紙繊維11もまた、同様のプロセスにより、アルミニウムコーティングで金属化され得る。アルミニウム箔および金属化プラスチックフィルムは、再パルプ化されず、OCCより除去され、のちに廃材ラインからも除去されなければならないため、こうした材料は、本発明の実施形態の一部では、好ましくない。
【0070】
しかし、包装(例えば、箱61)内の他の層、あるいは、例えば、接着剤またはコーティングの一つに、キレート剤を組み込むことが可能であり、こうしたキレート剤は、パルプ化プロセスにおいてアルミニウムを除去する役割を果たし得る。キレート剤としては、シュウ酸及びシュウ酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びその種々の塩、サリチル酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム及び他の物質が挙げられる。これにより、アルミニウムの除去が可能となる。水溶性アルミニウム塩は、既に製紙業において、例えば微粉の凝集剤として、また、耐水性を付与するため、ロジン石鹸と組み合わせて使用されている。
【0071】
(7)食料品の臭気対策および汚染:
食料品の包装および出荷時においての懸念点は、汚染および臭気である。臭気問題は、バージン紙あるいは再利用厚紙に特有の臭いからくるものであったり、臭いのきつい材料を含有するパッケージが、食品、飲料、薬品、たばこ等を含有するパッケージに接している、あるいは隣接していることによるものであったり、様々なケースがある。食料品の臭気・汚染を軽減するには、ある材料を紙構造に組み込む等、いくつかの対策がとれる。例を挙げると、米国特許第7,976,855号明細書に記載されているような、遷移金属イオン改質シリカナノ粒子は、メルカプタン、カルボン酸、アミンといった悪臭の原因となる化学物質、およびその他臭気を、効率的に捕捉することが可能である。米国特許第8,168,563号明細書によると、シリカナノ粒子は、末端アミノアルキルトリメトキシシランとの反応、そして、銅(II)イオンとの反応により改質され、より臭気捕捉性能を高めることができる。硫化水素やゼオライトといった低分子量臭気形成分子を隔離し、アンモニア臭およびアミン臭を隔離するため、モレキュラーシーブが含まれていてもよい。活性炭は断熱効果もあり、複数種の臭気を吸収するとも期待される。活性炭は本来酸性に傾きやすいため、アンモニア臭やアミン臭などの塩基性臭や弱塩基性臭を吸収するのに特に適している。メルカプタン、チオール、芳香臭など、より複雑な構造を有する臭気も、活性炭と親和性がある。β-シクロデキストリンまたはγ-シクロデキストリンのようなシクロデキストリンおよびそれらの誘導体も、それらの臭気吸収特性のために組み込まれ得る。これらの材料/特徴のうち一つ以上を、本明細書に記載の、紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60のいずれかに組み込むことができ、これにより、存在するいかなる臭気も改質および/または最小化できる。
【0072】
1つの包装から別の包装へ、または1つの商品から別の商品へ臭いが移ることも、バリア材料の使用によって緩和することができる。本発明の目的の一つは、再パルプ化可能な包装紙の提供にあり、アルミニウム箔、PEフィルムまたはPETフィルム、その他合成材料は、本発明の実施形態の一部とは相容れるものではない。しかし、断熱性を有する材料の中には、マイカや被覆マイカのような、ごく微細なフレーク形状を有し、これらの材料は、低分子量/高分子量を有する臭気の原因となる物質の、本発明の(例えば、断熱紙製品10/100/100’/100”を含む、あるいは、断熱紙製品10/100/100’/100”から形成される)包装内への進入を効果的に防ぐにあたり有用で有りうる。
【0073】
(8)繊維配合、再利用、および強度:
短い繊維は、硬材から精製されたものであることが多く、一方、長い繊維は、軟材から精製されたものであることが多い。軟材75%・硬材25%の比率で配合することで、二種類の繊維の特性のバランスが保たれ、張力強度を最適化ことができる。近年、麻繊維が紙添加剤として注目されている。麻繊維は他のパルプ繊維に比べて非常に長く、接触点の増加や接着性の向上により強度が向上するため、通常の木材繊維よりもはるかに多くのリサイクル工程に耐えうる。軟材よりもはるかに長い麻繊維は、他の繊維の再利用回数が6回であるところ、約40回もの再利用に耐えうる。これらの材料/特徴のうち一つ以上を、本明細書に記載の、断熱紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60のいずれかに、組み込むことができる。
【0074】
表面相互作用を介してより強く結合するよう、木材繊維の性能を向上させるために、繊維をさらに解繊するプロセスを追加してもよい。例を挙げると、コロイドミルのような極端な高剪断環境に繊維をさらしてもよい。高剪断環境において、接触状態で2枚の板を紡糸することにより、セルロース繊維の集合体をさらに解繊し、強く結合させ、充填剤が固体を維持する傾向を高める。繊維を解繊する他の方法としては、米国特許第1,883,051号明細書に開示されているような機械式ホランダーパルプビータでの長時間の叩解、あるいは高剪断混合、高速混合、または媒体粉砕が挙げられる。セルロースが解繊され、繊維間の結合面積が増加したことにより、紙の多孔性と紙強度が増す。強度を高めるさらなる方法としては、ナノセルロースを紙製剤に含めることが挙げられる。これらの材料/特徴のうち一つ以上を、本明細書に記載の、紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60のいずれかに組み込むことが出来る。
【0075】
(9)耐水性および再パルプ化:
ロジンは、紙(例えば、紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60)に耐湿性を付与するための二部構成のうちの第1部として用いられることが多い。第2部として、アルミニウム塩(例えば、塩化アルミニウムまたは硫酸アルミニウム)溶液が後で添加される。アルミニウムは、ロジン石鹸と反応し、疎水性コーティングをなす。これにより、再パルプ化量が左右される。しかし、紙製品の他の構成要素内のどこかにキレート剤を含ませることにより、ロジンからアルミニウムを除去することができ、再パルプ化量を増加させることができる。キレート剤を担持可能な、紙の他の領域としては、澱粉接着剤および内層、例えば、波形台紙や複合体の内層を含むことが挙げられる。Vapor-GuardR5341BまたはBarrierGrip9471A(The International Group Inc.(IGI)(アメリカ合衆国ペンシルベニア州タイタスビル))もまた、紙にある程度の耐グリース性および耐水性を付与するバリアコーティングとして有用であり、他の好適な材料とともに、Georgia Pacific(ジョージア=パシフィック社)出願の米国特許出願公開第2019/0077537号明細書に記載されている。
【0076】
本発明はさらに、下記のさらなる実施形態、実施例、および請求項とともに説明される。本明細書に記載の、本発明による紙層10および/または断熱紙製品100/100’および/または波板状紙製品100”および/または保存容器60を形成するにあたり、本明細書に記載のいかなる特徴および/または構成要素も、単独で、あるいは本明細書に記載のいかなる特徴および/または構成要素、または特徴および/または成分と組み合わせて実現されることは、理解されたい。さらに、以下に番号を付して示した実施形態は、本発明の種々の実施形態を表したものだが、その一部は請求項に記載し、その他は請求項に記載しないことも、理解されたい。以下の、番号を付した実施形態における特徴の一部は、請求項には記載されないものの、番号を付した実施形態における、請求項に記載されない特徴も、本発明の一部をなすものであり、請求の範囲の製品に、任意で組み込まれてよいものとする。
【0077】
<追加の実施形態>
断熱紙製品
【0078】
1.一以上の紙層10および断熱材12を含む断熱紙製品100であって、(1)二以上の紙層10が設けられている場合、二以上の紙層10は、一体型紙製品100’を形成し、(2)(a)(i)一以上の紙層10と組み合わせる一つの層20が、断熱材12を含む、および(ii)一以上の紙層10内の一つの紙層10が、断熱材12の不均一な分布をその中に有する、のうちの、少なくとも一つであるか、または、(2)(b)一体型紙製品100’自体が、それを通る断熱材の不均一な分布12を有する、断熱紙製品100。各紙層10は、断熱材12以外の、一つ以上の添加剤をさらに含んでいてもよく、該一つ以上の添加剤は、限定はされないが、高分子量のポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレンイミン)、カチオングアーガム、およびその他カチオンポリマーといった凝集剤および歩留まり向上剤、耐水性を付与する添加剤(例えば、ワックス、合成ラテックスや合成樹脂)、あるいはこれらの任意の組合わせを含む。
【0079】
2.一以上の紙層10は、単一紙層10を含み、単一紙層10は、断熱材12の不均一な分布をその中に有する、実施形態1の断熱紙製品100。
【0080】
3.単一紙層10の、少なくとも一つの外面13/15は、断熱材の層12を含む、実施形態2の断熱紙製品100。図2Aおよび図2Bを参照のこと。
【0081】
4.断熱材12の不均一な分布は、単一紙層10内の断熱材12の層16を含み、層16は、単一紙層10の、向かい合う外面13/15から離隔して位置する、実施形態2または3の断熱紙製品100。図2Cを参照のこと。
【0082】
5.断熱材12の不均一な分布は、単一紙層10内の断熱材12の層16を含み、層16は、単一紙層10の、向かい合う外面13/15から離隔して位置し、単一紙層10内の中心に位置する、実施形態2~4のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。図2Cを参照のこと。
【0083】
6.断熱紙製品100は、一以上の紙層10と組み合わせて、少なくとも一の層20を含み、該少なくとも一の層20は、断熱材12を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。例えば、図6B図6D、および図12を参照のこと。
【0084】
7.一以上の紙層10は、二以上の紙層10を含み、一体型紙製品100’自体が、それを通る断熱材の不均一な分布12を有する、実施形態1の断熱紙製品100。例えば、図4A図4Fおよび図6B図6Dを参照のこと。
【0085】
8.一体型紙製品100’内の一以上の紙層10は、断熱材12を含む、実施形態7の断熱紙製品100’。
【0086】
9.一体型紙製品100’内の、断熱材の不均一な分布12は、(i)断熱材12をその中に有する、少なくとも一つの紙層10、および(ii)実質的に断熱材12を含まない、少なくとも一つの紙層10を含む、実施形態7または8の断熱紙製品100’。例えば、図4Aおよび図6B図6Dを参照のこと。
【0087】
10.断熱材12をその内側に有する少なくとも一つの紙層10は、断熱材12を含む少なくとも一つの紙層10の中に断熱材12の略均一な分布を含む、実施形態9の断熱紙製品100’。例えば、再度、図4Aおよび図6B図6Dを参照のこと。
【0088】
11.一体型紙製品100’内の全ての紙層10が断熱材12を含む、実施形態7または8の断熱紙製品100’。例えば、図4B図4Eを参照のこと。
【0089】
12.断熱材12の不均一な分布は、二以上の紙層10の間に、断熱材12の層20を含む、実施形態7~11のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。図12を参照のこと。
【0090】
13.一体型紙製品100’は、x個の紙層10と、x個の該紙層10間に設けた(x-1)個の断熱材12の層20とを含む、実施形態7~12のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。
【0091】
14.断熱材12の不均一な分布は、一体型紙製品100’の外面13/15に沿った、断熱材12の層20を含む、実施形態7~13のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。
【0092】
15.断熱材12の不均一な分布は、一体型紙製品100’の両外面13/15に沿った、断熱材12の層20を含む、実施形態7~14のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。
【0093】
16.一体型紙製品100’は、2~24の紙層10を含む、実施形態7~15のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。
【0094】
17.(i)二以上の紙層10のいずれか一つ、または(ii)二以上の紙層10のうち任意の紙層10の組合わせは、それぞれ、実施形態2~5のいずれか一つに記載の単一紙層10を含む、実施形態7~16のいずれか一つに記載の断熱紙製品100’。
【0095】
18.断熱紙製品100は、空孔含有断熱紙製品100”を含む、実施形態1~17のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0096】
19.空孔含有断熱紙製品100”は、少なくとも一つの紙層10内に空孔19を含み、該空孔19は、紙以外の材料に囲まれている(encapsulated)、(例えば、中空ビーズ/粒子(不図示)を含む紙層10)、実施形態18の断熱紙製品100。
【0097】
20.空孔含有断熱紙製品100”は、少なくとも一つの紙層10内に空孔19を含み、該空孔19は、紙に囲まれている(例えば、成型プロセスまたは空孔形成材料を紙層10から取り除くプロセスによって得られ得る、エアポケット19をその内部に含有する紙層10)、実施形態18または19の断熱紙製品100。図5図6Dを参照のこと。
【0098】
21.空孔含有断熱紙製品100”は、波板状紙製品100”を含む、実施形態18~20のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0099】
22.一体型紙製品100’は、(i)一以上の第1紙層10/100/100’を含む第1ライナーボード層21と、(ii)一以上の第2紙層10/100/100’を含む第2ライナーボード層22と、(iii)第1ライナーボード層21および第2ライナーボード層22間の間に位置する(a)一以上の波形紙層10/100/100’を含む波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)と、を含み、(i)第1ライナーボード層21、(ii)第2ライナーボード層22、および(iii)(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)のそれぞれが、その中またはその上に断熱材12を含み得る、実施形態7~21のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0100】
23.波板状一体型紙製品100”を含む断熱紙製品100であって、波板状一体型紙製品100”は、一以上の第1紙層10/100/100’を含む第1ライナーボード層21と、一以上の第2紙層10/100/100’を含む第2ライナーボード層22と、(a)第1ライナーボード層21および第2ライナーボード層22の間に位置する一以上の波形紙層10/100/100’を含む波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)とを含み、(i)第1ライナーボード層21、(ii)第2ライナーボード層22、およぼ(iii)(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)のそれぞれが、その中またはその上に断熱材12を含み得る、断熱紙製品100。
【0101】
24.(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)は、第1ライナーボード層21および第2ライナーボード層22の間にエアポケット19を設ける、実施形態22または23の断熱紙製品100。
【0102】
25.エアポケット19は、(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)の全体積の約20体積%~80体積%を占める(つまり、第1ライナーボード層21および第2ライナーボード層22の最内側対向面25/27間の総体積)、実施形態24の断熱紙製品100。例えば、図6Aを参照のこと。
【0103】
26.(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)の一部を、第1ライナーボード層21および第2ライナーボード層22の一部に接合する接着剤40をさらに含む、実施形態22~25のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。接着剤40に適した材料としては、それらに限定されるものではないが、澱粉接着剤、ポリ(酢酸ビニル)等の合成ラテックス接着剤、天然樹脂ラテックス、改質澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水コロイド、カルボキシメチルセルロース、およびポリ(ビニルアルコール)等のその他水溶性ポリマーが挙げられる。塗れた際に、接着剤が膨潤したり接着が弱くなる可能性を低くするために、架橋剤を接着剤に添加してもよい。高分子量のポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレンイミン)、カチオングアーガム、およびその他カチオンポリマーといった凝集剤および歩留まり向上剤も、含まれていてよい。本明細書で説明するように、いくつかの実施形態において、接着剤40は、少なくともその一部に、本明細書に記載の断熱材12のうち、一つ以上の材料を含む。
【0104】
27.接着剤40は、そのなかに分散する断熱材12を有する、実施形態26の断熱紙製品100。
【0105】
28.(i)第1ライナーボード層21、(ii)第2ライナーボード層22、および(iii)(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)のそれぞれが独立に、実施形態1~6のいずれか一つに記載の断熱紙製品100または実施形態7~20のいずれか一つに記載の一体型紙製品100’を含む、実施形態22~27のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0106】
29.(i)第1ライナーボード層21、(ii)第2ライナーボード層22、および(iii)(a)波形紙層23または(b)ハニカム層(不図示)のそれぞれが、実質的に断熱材12を含まない、実施形態22~27のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0107】
30.一体型紙製品100’は、波形紙層23を含む、実施形態22~29のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0108】
31.一体型紙製品100’は、ハニカム層(不図示)を含む、実施形態22~29のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0109】
32.断熱紙製品100’は、一以上の非紙層20/30をさらに含む、実施形態1~31のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。本明細書で使用されるものとして、「非紙層」という用語は、15重量%未満の紙パルプまたはセルロース繊維を含有する層、通常、0重量%から5.0重量%未満の紙パルプまたはセルロース繊維を含有する層を説明する際に使用される。一方、本明細書で使用されるものとして、「紙層」(例えば、各紙層10)という用語は、15重量%以上の紙パルプまたはセルロース繊維を含有する層、通常、15重量%より多く、100重量%以下(または、15重量%から100重量%までの任意の値で、0.1重量%の倍数、例えば、50.0重量%、または、15重量%から100重量%までの任意の範囲で、0.1重量%の倍数、例えば、40.1重量%から70.2重量%の範囲)の紙パルプまたはセルロース繊維を含有する層を説明する際に使用される。
【0110】
33.一以上の非紙層20/30は、石膏層、粘土含有層、ポリマーコーティング、顔料含有層、布層(例えば、不織布、織布、または編布(knit fabric)層)、繊維補強層(例えば、一方向繊維層)、断熱材の層12、金属フィルム層、発泡体層、またはこれらの任意の組合わせ、を含む、実施形態32の断熱紙製品100。より低い(または、より高い)放射率、より低い(またはより高い)熱伝導性、向上した撥水性、美観として好ましい色および/またはテクスチャといった望ましい物性、またはこれらの任意の物性を組み合わせて付与する目的で、一つ以上の非紙層20/30が、断熱紙製品100に添加されてもよい。
【0111】
34.一以上の非紙層20/30は、石膏層(不図示)を含む、実施形態32または33の断熱紙製品100。
【0112】
35.一以上の非紙層20/30は、粘土含有層30、断熱紙製品100の放射率を増加させる、あるいは低減させるコーティング30、顔料含有層30、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態32~34のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。図6Aを参照のこと。
【0113】
36.一以上の非紙層20/30は、断熱紙製品100の放射性および/または熱伝導性を低減させるコーティング30を含む、実施形態32~35のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。再度、図6Aを参照のこと。いくつかの実施形態において、コーティング30は、オキシ塩化ビスマス、マイカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、バナジン酸ビスマス、またはこれらの任意の混合物または組合わせを含む。いくつかの実施形態において、コーティング30は、オキシ塩化ビスマス、マイカ、酸化亜鉛、またはこれらの任意の混合物または組合わせを含む。
【0114】
37.一以上の非紙層20/30は、少なくとも二の非紙層20/30、を含む、実施形態32~36のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0115】
38.断熱材12は、パーライト、銅イオンで被覆されたパーライト、膨張パーライト、パーライト中空微小球体(例えば、RBH社(Richard Baker Harrison Ltd.)(英国)またはセノスター社(CenoStar Corp.)(アメリカ合衆国)から入手可能なもの、シルブリコ社(Silbrico)(アメリカ合衆国)から入手可能な、パーライトを含む多層球体バブル構造を形成することによりなるSil-Cel(登録商標)微孔質ケイ酸アルミニウム充填剤粒子、ある粒子径の範囲内で入手可能で、被覆されていてもされていなくてもよいSil-Cel(登録商標)微小球体、またはDicaperl HP-2000)、パーライト微小球体(ディカライト社(Dicalite)(アメリカ合衆国)より販売)またはフレーク状または粉砕パーライト(例えば、ディカライト社(Dicalite)より販売されているDicapearl LD1006)、多孔質火山性物質(porous volcanic materials)(例えば、軽石)、バーミキュライト(ディカライト社(Dicalite)から入手可能なMicroLite(登録商標)バーミキュライト散体を含む)、中空膨張バーミキュライト、発泡ガラス(glass foams)(例えば、オーウェンス・コーニング社(Owens Corning))、再生発泡ガラス(recycled glass foams)(例えば、グロウストーン社(GrowStone Inc.)により製造)、多泡ガラス断熱物質、セノスフィア(例えば、セノスター社(CenoStar Corp.)から入手可能)、泡ガラス(glass bubbles)(例えば、Q-Celガラス同様、商号iM30K、iM16k、およびK20として、3M社から入手可能)、セラミック微小球体、プラスチック微小球体、および合成中空微小球体(例えば、キッシュ社(Kish Company Inc.)より入手可能)、シリカエアロゲル(例えば、アスペン・エアロゲル社から入手できるもので、キャボット社の商標である、Enova(登録商標)およびLumira(登録商標)の塗料およびコーティングに組み込まれ得る)、微多孔質ポリオレフィン系エアロゲル(例えば、アスペン・エアロゲル社の米国特許出願公開第2016/0272777号明細書に公開)、チオール-エポキシ系エアロゲルを含む、ヘンケル社(Henkel AG & Co. KGAA)の国際公開第2019/121242号に記載されるような有機エアロゲル、キセロゲル(つまり、エアロゲルを蒸発乾燥させたもの)、シーゲル(つまり、寒天およびアルギン酸塩からなる微細発泡体)、発泡澱粉、発泡紙パルプ、寒天、発泡寒天、アルギン酸塩、発泡アルギン酸塩、オキシ塩化ビスマス、金属化セラミック、金属化繊維、カドミウムイエロー顔料(二硫化カドミウム)、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態1~37のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。市販される断熱材12の例としては、それらに限定はされないが、オーウェンス・コーニング社(Owens Corning)(アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ)から市販されているFOAMGLAS(登録商標)製品、およびアースストーン・インターナショナル社(Earthstone International Inc.)(アメリカ合衆国ニューメキシコ州サンタ・フェ)の合同会社である、グロウストーン社(GrowStone Inc.)から市販されているグロウストーン社製品が挙げられる。断熱材12としての使用に適した再生ガラスは、一般的には、細かく粉砕されて、発泡剤、例えば、カーボンまたは石灰石と混合される。次に、ガラスが溶融され始める程度の高温炉に投入する。ガラス粉末粒子が溶融し始めると、発泡剤はガスまたは蒸気を放出し、ガラス内部に気泡を形成する。これにより、高い断熱性と遮音性を備えた、略独立気泡の多孔質泡ガラスが生成される。バーミキュライトもまた、適切な断熱材12として使用され得る。バーミキュライトは含水層状ケイ酸塩鉱物であり、加熱すると著しく膨張する。鉱物が十分に加熱されると剥離が起こり、その効果は商業炉で日常的に得られるものである。バーミキュライトは黒マイカまたは金マイカの風化または水熱変質によって形成される。
【0116】
39.断熱材12は、パーライト(例えば、紙10、接着剤40、コーティング30、および/または放射コーティング30内)、エアロゲル(例えば、紙10および/または接着剤40内)、泡ガラス(例えば、接着剤40および/またはコーティング30内)、活性炭(例えば、紙10、接着剤40、コーティング30、および/または放射コーティング30内)、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態1~38のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0117】
40.断熱材12は、約1,000ミクロン(μm)未満の平均粒子径(または約1.0μmより大きく、約1,000μm未満の任意の平均粒子径の値であって、1.0μmの増分で、例えば、25μm、または平均粒子径約1,000μm未満の任意の平均粒子径の範囲であって、1.0μmの増分で、例えば、約50μm~約500μm)を有する粒子を含む、実施形態1~39のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。例えば、パーライト粒子は、一般的に、約5.0μm~約150μmの範囲の平均粒子径を有し、エアロゲル粒子は、一般的に、約10μm~約800μmの範囲の平均粒子径を有し、そして泡ガラス粒子は、一般的に、約10.0μm~約50μmの範囲の平均粒子径を有する。
【0118】
41.断熱材12は、多峰性粒度分布を有する粒子を含む、実施形態1~40のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0119】
42.断熱材12を含有する紙層10は、紙層10の総重量に対して、15.0重量パーセント(重量%)~99.0重量%の繊維11、および約85.0重量%~約1.0重量%の断熱材12を含む、実施形態1~41のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。なお、断熱材12を含有する所定の紙層10は、15.0重量%~99.0重量%の間の任意の重量パーセントで繊維11を含み得る(つまり、0.1重量%の倍数で、例えば、55.5重量%、または、15.0重量%~99.0重量%の間の任意の範囲で、0.1重量%の倍数で、例えば、35.6重量%~74.1重量%の範囲)。
【0120】
43.断熱材12を含有する紙層10は、紙層10の総重量に対して、20.0重量%~75.0重量%の繊維11、および約80.0重量%~約25.0重量%の断熱材12を含む、実施形態1~42のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0121】
44.断熱材12は、1立方センチメートルあたり1.0グラム(g/cm)、より一般的には、0.6g/cm未満の材料密度を有する、実施形態1~43のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。なお、断熱材12は、1.0g/cm未満の任意の材料密度、例えば、0.01g/cmより大きく、約0.99g/cm以下の任意の材料密度を有し得る(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.48g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.10g/cm~0.50g/cmの範囲)。
【0122】
45.一以上の紙層10のうちの少なくとも一つの層10は、1.0g/cm未満の層密度を有する、実施形態1~44のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。なお、少なくとも一つの層10は、1.0g/cm未満の層密度、例えば、0.01g/cmより大きく、約0.99g/cm以下の層密度を有し得る(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.78g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.20g/cm~0.60g/cmの範囲)。なお、さらに、一つ以上の紙層10のうち、任意の数の層10が、それぞれ異なる層密度を有していてもよく、ここで、各層密度は、1.0g/cm未満である(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.88g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.15g/cm~0.55g/cmの範囲)。
【0123】
46.一体型紙製品100’は、1.0g/cm未満の一体型紙製品密度を有する、実施形態1~45のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。なお、一体型紙製品100’は、1.0g/cm未満の一体型紙製品密度、例えば、0.01g/cmよりも大きく、約0.99g/cm以下の一体型紙製品密度を有し得る。(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.77g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.15g/cm~0.53g/cmの範囲)。
【0124】
47.断熱紙製品100は、立体物(例えば、コップ62または容器60)を形成するように成型される、実施形態1~46のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0125】
48.保存容器60は、実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100を含む。図19A図19Cを参照のこと。
【0126】
49.保存容器60は、少なくともその一部が一つ以上の容器壁68に囲まれている保存容積(storage volume)66を含む、実施形態48の保存容器60。
【0127】
50.保存容積66は、一つ以上の容器壁68によって完全に囲まれている、あるいは、囲むことができる(つまり、保存容器60が保存容積66を囲むように構成されている)、実施形態48または49の保存容器60。
【0128】
51.一つ以上の容器壁68は、実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100を含む、実施形態49または50の保存容器60。
【0129】
52.一つ以上の容器壁68は、石膏層、粘土含有層、ポリマーコーティング、顔料含有層、オキシ塩化ビスマス含有層、マイカ含有層、エアロゲル含有層、布層(例えば、不織布、織布、または編布層)、繊維補強層(例えば、一方向繊維層)、断熱材の層12、金属フィルム層、発泡体層、空気層、一つ以上の容器壁の放射性を低減させるコーティング(例えば、マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、硫化亜鉛、カオリンカオリンクレイ、または硫化カドミウム)、一つ以上の容器壁の熱伝導性を低減させるコーティング、一つ以上の容器壁の撥水性を高める、ワックスやフッ化炭素といったコーティング、エポキシやウレタンといった反応性架橋剤、シリコーン系コーティング、米国特許出願公開第2019/077537号明細書に記載の一つ以上のコーティング、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態49~51のいずれか一つに記載の保存容器60。
【0130】
53.保存容器60は、箱61を含む、実施形態48~52のいずれか一つに記載の保存容器60。
【0131】
54.保存容器60は、液体(不図示)を一時的に収容する容器62を含む、実施形態48~53のいずれか一つに記載の保存容器60。
【0132】
55.容器60は、コップ62、マグカップ、フラスコ、または魔法瓶62を含む、実施形態48~52および54のいずれか一つに記載の保存容器60。図19Cに示す通り、保存容器60は、昨今では持つ人の指が火傷しないように、断熱紙リングが設けられている二重紙コップや、発泡スチロール(登録商標)製のコップの代替品として使用可能な温飲料用コップ62であってもよい。
【0133】
56.容器60は、温かい食品80用のクラムシェル型箱包装60を含む、実施形態48~52のいずれか一つに記載の保存容器60。こうした容器は、真空形成装置を使用して、パルプ成型をすることで作製される。例えば、図20を参照のこと。
【0134】
57.容器60は、冷蔵食品80用のサラダ容器60を含む、実施形態48~52のいずれか一つに記載の保存容器60。例えば、図21を参照のこと。
【0135】
58.容器60は、緩衝材入り封筒60を含む、実施形態48~52のいずれか一つに記載の保存容器60。例えば、図22を参照のこと。
【0136】
59.容器60は、輸送用容器60を含む、実施形態48~52のいずれか一つに記載の保存容器60。例えば、図23Aを参照のこと。図23Bに例示する通り、輸送用容器60は、(i)それぞれの内部に断熱材12が組み込まれた、複数の薄い紙層10と、(ii)任意ではあるが、物質粒92(断熱材12であってもよい)の不均一な分布と、(iii)任意ではあるが、層10間の空気90または断熱性充填剤物質と、(iv)任意ではあるが、一以上の紙層10上のコーティング30と、を含んでよい。
【0137】
60.輸送用容器60は、独立気泡体30’を含む輸送用容器壁69を含む、実施形態59の保存容器60。例えば、図24を参照のこと。本実施形態において、独立気泡体30’は、KTMインダストリーズ社(KTM Industries Inc.)(アメリカ合衆国ミシガン州ホルト)より販売されているGreenCell(登録商標)等の発泡澱粉、あるいは、なんらかの手段で発泡し、任意ではあるが、ある程度、化学的に架橋された、発泡アルギン酸、ペクチン、ゼラチン、または寒天物質など、生物分解性を有する気泡体30’であってもよい。図24に示す通り、輸送用容器60は、任意に断熱材12を含む紙層10を含んでいてもよく、また、断熱バリアコーティング30を含有していてもよい。コーティング30は、放射熱移動を低減するように設計されていても、伝導性熱移動(conductive heat transfer)を低減するように設計されていても、または、その両方を低減するように設計されていてもよい。
【0138】
61.12インチ×10インチ×7インチの寸法を有する保存容器60は、900gの調理済豚肉(または類似のもの)および1,800gの保冷剤(frozen water gel packs)(容器に入れる前に、-20℃で冷凍しておいたもの)の組合せを、外気温23℃の環境で10時間後に、0℃以下に保つことができる、実施形態48~60のいずれか一つに記載の保存容器60。
【0139】
62.保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または、(iii)(i)および(ii)両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、低い熱放射率または断熱バリア物性を有する、実施形態48~61のいずれか一つに記載の保存容器60または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。本明細書で使用されるものとして、「低い熱放射率」という表現は、フリアーシステムズ社(Flir Systems Inc.)によって推奨される熱放射率測定法#3を利用して測定した熱放射率が(「実施例」にて説明)、0.90未満である状態を示す。所定の「放射率コーティング」を得るために使用される適切な物質としては、限定はされないが、オキシ塩化ビスマス、マイカフレーク、パーライト、カオリン、およびこれらの任意の組合わせ(例えば、オキシ塩化ビスマスで、一部があるいは全体が被覆されたマイカフレーク)が挙げられる。
【0140】
63.保存容器60または断熱紙製品100の、((i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30、は、9℃未満の厚さ調整デルタT(TADT)熱移動速度を有する、実施形態48~62のいずれか一つに記載の保存容器60、または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。本明細書で使用されるものとして、TADTは、リーの円板熱移動速度試験方法(「実施例2」にて後述)を改良したものを利用して計測されたものである。
【0141】
64.保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、クレイ粒子、クレイ粒子以外の着色剤、またはそれらの組合わせを含む、実施形態48~63のいずれか一つに記載の保存容器60、または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0142】
65.保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の耐水性を高める一つ以上の物質を含む、実施形態48~64のいずれか一つに記載の保存容器60、または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0143】
66.保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方を防水する、実施形態48~65のいずれか一つに記載の保存容器60、または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。「防水」とは、保存容器60または断熱紙製品100の外面13/15が24時間水と接触することができ、その構造的一体性保つことができる状態を指す。
【0144】
67.保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の吸水能力を高める、実施形態48~66のいずれか一つに記載の保存容器60、または実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100。
【0145】
断熱紙製品の製造方法
【0146】
68.実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100の製造方法であって、該製造方法は、一以上の紙層10および断熱材12を含む断熱紙製品100を形成することを含み、(1)二以上の紙層10が設けられている場合、二以上の紙層10は、一体型紙製品100’を形成し、(2)(a)(i)一以上の紙層10と組み合わせる一つの層20が、断熱材12を含む、および、(ii)一以上の紙層10の一つの紙層10が、断熱材12の不均一な分布をその中に有する、のうちの、少なくとも一つであるか、または、(2)(b)一体型紙製品100’自体が、それを通る断熱材12の不均一な分布を有する、方法。
【0147】
69.断熱紙製品100の製造方法であって、該製造方法は、一以上の紙層10および断熱材12を含む断熱紙製品100を形成することを含み、(1)二以上の紙層10が設けられている場合、二以上の紙層10は、一体型紙製品100’を形成し、(2)(a)(i)一以上の紙層10と組み合わせる一層20が、断熱材12を含む、および(ii)一以上の紙層10の一の紙層10が、断熱材12の不均一な分布をその中に有する、のうちの、少なくとも一つであるか、または、(2)(b)一体型紙製品100’自体が、それを通る断熱材12の不均一な分布を有する、方法。
【0148】
70.形成工程は、少なくとも一つの製紙工程を含む、実施形態68または69の方法。
【0149】
71.形成工程は、断熱材12を、一以上の紙層10の一以上の紙層10に組み込むことを含む、実施形態68~70のいずれか一つに記載の方法。
【0150】
72.組込工程は、一以上の紙層10の少なくとも一つの紙層10中に、断熱材12の不均一な分布を形成することを含む、実施形態71の方法。
【0151】
73.断熱材12の不均一な分布は、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層の外面に近接して位置する、断熱性粒子16の層を含む、実施形態72の方法。
【0152】
74.断熱材12の不均一な分布は、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層内の中心に位置する、断熱性粒子16の層を含む、実施形態72の方法。
【0153】
75.組込工程は、一以上の紙層10の少なくとも一つの紙層10内に断熱材12の均一な分布を形成することを含む、実施形態68~74のいずれか一つに記載の方法。
【0154】
76.形成工程は、断熱材12の層20を、一以上の紙層10上に形成することを含む、実施形態68~75のいずれか一つに記載の方法。
【0155】
77.形成工程は、断熱材12の層20を、二以上の紙層10の間に組み込むことを含む、実施形態68~76のいずれか一つに記載の方法。
【0156】
78.形成工程は、断熱材12以外の一つ以上の添加剤を、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層10中に組み込むことを含む、実施形態68~77のいずれか一つに記載の方法。適切な添加剤としては、限定はされないが、銅イオン、ワックス、合成(例えば、ポリマー性またはガラス)繊維、シリカ、表面改質シリカ、遷移金属表面改質シリカ、シクロデキストリン、重炭酸ナトリウム、耐グリース性および耐水性を付与するためのシリコーン、金属化セラミック粒子、金属化繊維、カチオン澱粉、カチオングアーガムといったカチオンポリマー、ポリ(エチレンイミン)(例えば、アルドリッチ社(Aldrich Chemical)からPolymin Pとして入手可能なポリ(エチレンイミン))、充填剤、サイズ、バインダ、ベントナイトクレイ、カオリンクレイ、その他物質を含むクレイ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、あらゆる理由で紙製品に添加され得るその他物質、およびそれらの組合わせ、が挙げられる。充填剤によって、例えば、光沢が増す等、紙がより印字に適したものになる。充填剤の多くは、1.0g/cmより高い密度を有する。高分子量のポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレンイミン)、カチオングアーガム、およびその他のカチオンポリマーなどの凝集剤および歩留まり向上剤が含まれていてもよい。サイズおよびバインダは、紙に強度を補助的に付与する目的で添加されてもよく、澱粉、親水コロイド、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)によるRHOPLEX(登録商標)アクリル樹脂、およびマラード・クリーク・ポリマー社(Mallard Creek Polymers)(アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロット)によるROVENE(登録商標)バインダといった、人工および天然ポリマーラテックスが挙げられる。ポリ(ビニルアルコール)といった水溶性ポリマーおよびポリ(アクリル酸)も、紙に添加され得る。最終製品としての箱に耐水性が求められる場合があるが、その際は、Vapor-GuardR5341BまたはBarrierGrip9471A(The International Group Inc.(IGI)(アメリカ合衆国ペンシルベニア州タイタスビル))が、所定の紙層10にある程度の耐グリース性および/または耐水性を付与するバリアコーティングとして有用である。
【0157】
79.形成工程は、一以上の紙層10内の少なくとも一つの波形紙層10を形成することを含む、実施形態68~78のいずれか一つに記載の方法。例えば、図6A図6Dおよび図14図18Bを参照のこと。
【0158】
80.少なくとも一つの波形紙層10は、その中に交差方向溝216を有する、実施形態79の方法。
【0159】
81.少なくとも一つの波形紙層10は、その中に機械方向の溝219を有する、実施形態79または80の方法。
【0160】
82.形成工程は、二以上の紙層10を互いに接合することを含む、実施形態68~81のいずれか一つに記載の方法。
【0161】
83.接合工程は、積層(laminating)工程を含む、実施形態82の方法。例えば、図10を参照のこと。
【0162】
84.接合工程は、接着工程を含む、実施形態82または83の方法。例えば、図6A図6Dを参照すると、紙層10/100’を互いに接合するのに接着剤40が使用されている。
【0163】
85.接着工程で使用される接着剤40に、断熱材12を組み込むことをさらに含む、実施形態84の方法。例えば、図6B図6Dを参照のこと。
【0164】
86.少なくとも一つの波形紙層10の一つ以上の空孔(例えば、空気空孔90)内に、断熱材12を組み込むことをさらに含む、実施形態79~85のいずれか一つに記載の方法。例えば、図6Cを参照のこと。
【0165】
87.形成工程は、一以上の紙層10および少なくとも一つの追加層を含む壁構造を形成することを含む、実施形態68~86のいずれか一つに記載の方法。追加層は、断熱材12の層20、コーティング30(例えば、紙層10/100”または一体型製品100”の放射率を増加または低下させるコーティング30)、非紙層30、空気層90、またはこれらの任意の組合わせであってもよい。例えば、図6A図6Dおよび図23A図24を参照のこと。
【0166】
88.形成工程は、保存容器60を形成することを含む、実施形態68~87のいずれか一つに記載の方法。
【0167】
89.保存容器60は、実施形態48~67のいずれか一つに記載の保存容器60を含む、実施形態88の方法。
【0168】
90.形成工程は、再生紙パルプを使用して、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層10を形成することを含む、実施形態68~89のいずれか一つに記載の方法。
【0169】
91.形成工程は、再生プレコンシューマ屑段ボール紙を使用して、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層10を形成することを含む、実施形態68~90のいずれか一つに記載の方法。プレコンシューマ屑段ボール紙としては、限定はされないが、ボール紙シートから箱を切り出した後の裁ち落とし、検品を通らなかった箱材および箱、またはこれらの任意の組合わせが挙げられる。
【0170】
92.形成工程は、実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100を再生したもの、実施形態48~67のいずれか一つに記載の保存容器60を再生したもの、またはこれらの任意の組合わせを使用して、一以上の紙層10内の少なくとも一つの紙層10を形成することを含む、実施形態68~91のいずれか一つに記載の方法。例えば、少なくとも一つの紙層10、およびそれから形成される容器60の製造方法の一つは、繊維11および断熱材12を含有する少なくとも一つの外側プライ/ライナー21/22、および断熱材12を含まない波形中央プライ/ライナー23を含む波板状構造100”を形成することを含み、これは下記を含む:セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製する;パルプ11から繊維質の第1層10を形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、含空孔物質(例えば、中空断熱材12)を添加し、任意で界面活性剤を添加し、任意で凝集剤を添加する;この層10を、パルプの第1層10の上に形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製する;繊維質の表層10を第2の層10の上に形成する;得られた三層断熱紙シート100’を加圧乾燥させる;任意で三層断熱紙シート100’の表面の少なくとも一つを、アルミニウム、銀、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ、バナジン酸ビスマス、石膏、またはこれらの組合わせから選択されるコーティング30で被覆する;紙シート10をコルゲータに通して、波形層23を形成し、二つの断熱紙シート100’、つまりライナーボード21/22を波形層23に接着しながら、波板状厚紙100”を形成する;任意で追加の波形層23および他のライナーボード21または22を追加して、三つの断熱ライナーボード21/22および二つの波形層23を含有する二重壁波板状構造100”を形成する;二重壁波板状構造100”を箱60のフォルム/形状に切り出す;そして、切り落とし(例えば、切り出し工程から出た屑)を再パルプ化用ミルに送り返し、非断熱厚紙の切り落としと混合する。少なくとも一つの紙層10、およびそれから形成される容器60を製造する別の方法は、紙層10および断熱材の層20を含有する少なくとも一つの外側プライ/ライナー21/22、および、断熱材12を含まない波形中央プライ/ライナー23を含む波板状構造100”を形成することを含み、これは下記を含む:セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製し、任意で凝集剤を添加する;繊維質の第1層10をパルプ11から形成する;含空孔物質(例えば、中空断熱材12)を水中に懸濁させ、任意で界面活性剤を添加し、任意で凝集剤および/またはバインダを添加する;この層20を、カーテンコーティング、スロットダイコーティング、ロッドコーティング、噴射塗布等で、パルプ11の第1層10の上に形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製し、任意で凝集剤を添加する;繊維質の表層10を第2の層20の上に形成する;得られた断熱紙シート100’を加圧乾燥させる;任意で得られた断熱紙シート100’の表面の少なくとも一つを、アルミニウム、銀、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ、バナジン酸ビスマス、石膏、またはこれらの組合わせから選択されるコーティング30で被覆する;紙シート10をコルゲータに通して、波形層23を形成し、二つの断熱紙シート100’、つまりライナーボード21/22を波形層23に接着しながら、波板状厚紙100”を形成する;任意で追加の波形層23および他のライナーボード21または22を追加して、三つの断熱ライナーボード21/22および二つの波形層23を含有する二重壁波板状構造100”を形成する;二重壁波板状構造100”を箱60のフォルム/形状に切り出す;そして、切り落とし(例えば、切り出し工程から出た屑)を再パルプ化用ミルに送り返し、非断熱厚紙の切り落としと混合する。少なくとも一つの紙層10、およびそれから形成される容器60を製造するさらに別の方法は、少なくとも一つの外側プライ/ライナー21/22および波形中央プライ/ライナー23を含む波板状構造100”を形成する、形成工程を含む。少なくとも一つの外側プライ/ライナー21/22は、繊維11および断熱材12を含み、波形中央プライ/ライナー23は、断熱材12を含む。該形成工程は下記を含む:セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製する;パルプ11から繊維質の第1層10を形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、含空孔物質(例えば、中空断熱材12)を添加し、任意で界面活性剤を添加し、任意で凝集剤を添加する;この層10を、パルプの第1層10の上に形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製する;繊維質の表層10を第2の層10の上に形成する;得られた三層断熱紙シート100’を加圧乾燥させる;任意で三層断熱紙シート100’の表面の少なくとも一つを、アルミニウム、銀、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ、バナジン酸ビスマス、石膏、またはこれらの組合わせから選択されるコーティング30で被覆する;得られた三層断熱紙シート100’をコルゲータに通して、波形層23を形成し、二つの断熱紙シート100’、つまりライナーボード21/22を波形層23に接着しながら、波板状厚紙100”を形成する;任意で追加の波形層23および他のライナーボード21または22を追加して、三つの断熱ライナーボード21/22および二つの波形層23を含む二重壁波板状構造100”を形成する;二重壁波板状構造100”を箱60のフォルム/形状に切り出す;そして、切り落とし(例えば、切り出し工程から出た屑)を再パルプ化用ミルに送り返し、非断熱厚紙の切り落としと混合する。少なくとも一つの紙層10、およびそれから形成される容器60を製造するさらに別の方法は、紙層10および断熱材の層20を含有する少なくとも一つの外側プライ/ライナー21/22、および断熱材の層20を含む波形中央プライ/ライナー23を含む波板状構造100”を形成することを含み、これは下記を含む:セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製し、任意で凝集剤を添加する;繊維質の第1層10をパルプ11から形成する;含空孔物質(例えば、中空断熱材12)を水中に懸濁させ、任意で界面活性剤を添加し、任意で凝集剤および/またはバインダを添加する;この層20を、カーテンコーティング、スロットダイコーティング、ロッドコーティング、噴射塗布等で、パルプ11の第1層10の上に形成する;セルロース繊維11を水中に懸濁させ、紙パルプ11を作製し、任意で凝集剤を添加する;繊維質の表層10を第2の層20の上に形成する;得られた断熱紙シート100’を加圧乾燥させる;任意で得られた断熱紙シート100’の表面の少なくとも一つを、アルミニウム、銀、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ、バナジン酸ビスマス、石膏、またはこれらの組合わせから選択されるコーティング30で被覆する;断熱紙シート100’をコルゲータに通して、波形層23を形成し、二つの断熱紙シート100’、つまりライナーボード21/22を波形層23に接着しながら、波板状厚紙100”を形成する;任意で追加の波形層23および他のライナーボード21または22を追加して、三つの断熱ライナーボード21/22および二つの波形層23を含む二重壁波板状構造100”を形成する;二重壁波板状構造100”を箱60のフォルム/形状に切り出す;そして、切り落とし(例えば、切り出し工程から出た屑)を再パルプ化用ミルに送り返し、非断熱厚紙の切り落としと混合する。
【0171】
93.形成工程は、一以上の紙層10、断熱紙製品100/100’、または波板状構造100”を有する断熱紙製品から立体物を形成することを含む、実施形態68~92のいずれか一つに記載の方法。
【0172】
94.成型工程は、加圧成型工程、熱形成工程、真空形成工程、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態93の方法。
【0173】
95.断熱材12を含有する各紙層10は、紙層10の総重量に対して、15.0重量%~99.0重量%の繊維11、および約85.0重量%~約1.0重量%の断熱材12を含む、実施形態68~94のいずれか一つに記載の方法。
【0174】
96.断熱材12を含む各紙層10は、紙層10の総重量に対して、15.0重量%~80.0重量%の繊維11、および約85.0重量%~約20.0重量%の断熱材12を含む、実施形態68~95のいずれか一つに記載の方法。
【0175】
97.断熱材12は、1.0g/cm未満(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.48g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.10g/cm~0.50g/cmの範囲)の材料密度を有する、実施形態68~96のいずれか一つに記載の方法。
【0176】
98.一以上の紙層10の少なくとも一つの層10は、1.0g/cm未満(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.78g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.20g/cm~0.75g/cmの範囲)の層密度を有する、実施形態68~97のいずれか一つに記載の方法。なお、さらに、一以上の紙層10の任意の数の層10が、それぞれ異なる層密度を有していてもよく、各層密度は、1.0g/cm未満である(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.44g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.18g/cm~0.85g/cmの範囲)。
【0177】
99.一体型紙製品100’は、1.0g/cm未満(あるいは、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の値で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.77g/cm、または、0.01g/cm~0.99g/cmの任意の範囲で、0.01g/cmの倍数で、例えば、0.18g/cm~0.53g/cmの範囲)の一体型紙製品密度を有する、を特徴とする、実施形態68~98のいずれか一つに記載の方法。
【0178】
断熱紙製品の使用方法
【0179】
100. 実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100または実施形態48~67のいずれか一つに記載の保存容器60の使用方法であって、該使用方法は、対象を断熱紙製品100または保存容器60で断熱することを含む。
【0180】
101.対象は表面である、実施形態100の方法。
【0181】
102.対象は、食料品、医薬品、または低温(例えば、室温より低い、あるいは冷凍温度)あるいは高温(例えば、室温より高い、あるいはオーブンの熱)で保存されることが望ましい、他の品目である、実施形態100の方法。
【0182】
103.対象は食料品である、実施形態100または102の方法。
【0183】
104.方法は、実施形態48~67のいずれか一つに記載の保存容器60を使用する、実施形態100~103のいずれか一つに記載の方法。
【0184】
105.方法は、保存容器60を使用し、保存容器60は、箱61、コップ、マグカップ、フラスコ、または魔法瓶62の、液体(不図示)を一時的に収容する容器62、温かい食品80用のクラムシェル型容器60(例えば、図20参照)、冷蔵食品80用のサラダ容器60(例えば、図21参照)、緩衝材入り封筒60(例えば、図22参照)、輸送用容器60(例えば、図23A参照)、独立気泡体30’(例えば、図24参照)を含む輸送用容器壁69を含む輸送用容器60、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態100~104のいずれか一つに記載の方法。例えば、使用方法の一つとして、方法は、対象を管理された温度下で保存する方法であって、対象(例えば、食品、医薬品、肉、魚、サラダ、野菜、花、医薬品、生体試料)は、所定の温度Tで温められ、あるいは冷やされ、包装対象は、本明細書に記載の保存容器60に入れられる。
【0185】
106.12インチ×10インチ×7インチの寸法を有する保存容器60は、900gの調理済豚肉(または類似のもの)および1,800gの保冷剤(容器に入れる前に、-20℃で冷凍しておいたもの)の組合せを、外気温23℃の環境で10時間後に、0℃以下に保つことができる、実施形態100~105のいずれか一つに記載の方法。
【0186】
107.実施形態1~47のいずれか一つに記載の断熱紙製品100または実施形態48~67のいずれか一つに記載の保存容器60は、保存容器60または断熱紙製品100の、(i)内面63、(ii)外面13/15、または(iii)(i)および(ii)の両方の上にコーティング30をさらに含み、コーティング30は、(a)低い熱放射率を有する、(b)約9℃未満の厚さ調整デルタT(TADT)熱移動速度(本明細書で使用されるものとして、TADTは、リーの円板熱移動速度試験方法(「実施例2」にて後述)を改良したものを利用して計測されたもの)を有する、(c)クレイ粒子、クレイ粒子以外の着色剤、またはそれらの組合わせを含む、(d)保存容器60または断熱紙製品100の外面13/15の耐水性を高める一つ以上の物質を含む、(e)保存容器60または断熱紙製品100の内面63および/または外面13/15を防水する、(f)保存容器60または断熱紙製品100の内面の吸水能力を高める、または(a)~(f)の任意の組合わせである、実施形態100~106のいずれか一つに記載の方法。
【0187】
108.断熱紙製品100または保存容器60の中に対象を入れて輸送することをさらに含む、実施形態100および102~107のいずれか一つに記載の方法。
【0188】
109.対象を断熱紙製品100または保存容器60に入れて出荷することをさらに含む、実施形態100および102~108のいずれか一つに記載の方法。例えば、使用方法の一つとして、該方法は、管理された温度で対象を出荷する方法であって、下記を含む:対象の品質が損なわれる温度よりも低い温度で、対象(例えば、食品、医薬品、肉、魚、サラダ、野菜、花、医薬品、生体試料)を冷蔵すること;冷蔵されている対象部を、本明細書に記載の任意の保存容器60内に、保冷剤、ドライアイス等とともに梱包すること;容器を密閉すること;保存容器60を輸送機関(例えば、自動車、列車、バス、飛行機等)に積載すること;包装物を所定の宛先まで輸送すること;輸送機関から保存容器60を取り出すこと;そして、住居の玄関先、配送センターの搬出口、飲食店舗の入口、または、企業の受取部署に保存容器60を配達すること。未開封の保存容器60内の温度は、少なくとも24時間の間、食品の品質が損なわれる温度よりも低い温度に保たれる。
【0189】
110.断熱工程後に、断熱紙製品100および/または保存容器60を再パルプ化し、再パルプ化過程において、断熱充填剤の少なくとも80%がパルプから除去される、再パルプ化工程をさらに含む、実施形態100~109のいずれか一つに記載の方法。
【0190】
111.再パルプ化された断熱紙製品100、および/または、再パルプ化された保存容器60からの、繊維11および/または断熱性粒子12を、新しく形成される断熱紙製品100、および/または、新しく形成される保存容器60に組み込む、組込工程、をさらに含む、実施形態100~110のいずれか一つに記載の方法。
【0191】
接着剤およびそれを含む紙製品
【0192】
112.二以上の紙層10を互いに接合するのに適した接着剤40であって、少なくともその一部に、本明細書に記載の断熱材12のうち、一つ以上の材料を含む接着剤40。
【0193】
113.接着剤40は、澱粉系接着剤40である、実施形態112の接着剤40。
【0194】
114.一つ以上の断熱材12は、パーライト、銅イオンで被覆されたパーライト、膨張パーライト、パーライト中空微小球体(例えば、RBH社(Richard Baker Harrison Ltd.)(英国)またはセノスター社(CenoStar Corp.)(アメリカ合衆国)から入手可能なもの)、パーライト微小球体(例えば、ディカライト社(Dicalite))より販売されているDicaperl HP-2000、または、シルブリコ社(Silbrico)のSil-Cell(登録商標)微小球体パーライト)、フレーク状または粉砕パーライト(例えば、ディカライト社(Dicalite)より販売されているLD1006)、多孔質火山性物質(例えば、軽石)、バーミキュライト(ディカライト社(Dicalite)から入手可能なMicroLite(登録商標)バーミキュライト散体を含む)、中空膨張バーミキュライト、発泡ガラス、再生発泡ガラス(例えば、グロウストーン社(GrowStone Inc.)により製造)、セノスフィア(例えば、セノスター社(CenoStar Corp.)から入手可能)、泡ガラス(商号iM30Kとして、3M社から入手可能)、シリカエアロゲル(例えば、アスペン・エアロゲル社から入手できるもので、キャボット社の商標である、Enova(登録商標)およびLumira(登録商標)の塗料およびコーティングに組み込まれ得る)、微多孔質ポリオレフィン系エアロゲル(例えば、アスペン・エアロゲル社の米国特許出願公開第2016/0272777号明細書に公開)、キセロゲル(つまり、エアロゲルを蒸発乾燥させたもの)、シーゲル(つまり、寒天およびアルギン酸塩からなる微細発泡体)、発泡澱粉、発泡紙パルプ、寒天、発泡寒天、アルギン酸塩、発泡アルギン酸塩、オキシ塩化ビスマス、金属化セラミック、金属化繊維、活性炭、カドミウムイエロー顔料(二硫化カドミウム)、またはこれらの任意の組合わせ、またはこれらの任意の組合わせを含む、実施形態112または113のいずれか一つに記載の接着剤40。
【0195】
115.一つ以上の断熱材12は、接着剤40および一つ以上の断熱材12を含み、および任意で追加接着添加剤を含んでよい、接着剤全体の重量のうち、約1.0重量%~約80重量%の範囲の量で含まれる、実施形態112~114のいずれか一つに記載の接着剤40。
【0196】
116.実施形態112~115のいずれか一つに記載の接着剤40を含む、(例えば、断熱材12を含んでいる、あるいは含んでいない)紙製品。
【0197】
117.実施形態112~115のいずれか一つに記載の接着剤40を含む断熱紙製品100/100’。
【0198】
118.実施形態112~115のいずれか一つに記載の接着剤40を含む波板状紙製品100”。
【0199】
さらに、上述の断熱紙製品および方法は、一つ以上の構成要素または工程を「含む(comprising)」と記載されているが、上述の断熱紙製品および方法は、断熱紙製品および方法の、上述の構成要素または工程を「含む(comprise)」、それら「から構成される(consists of)」、またはそれら「から本質的に構成される(consists essentially of)」ものであってよいことを理解されたい。従って、本発明又はその一部が、「含む(comprising)」のような非制限的な表現で記載されている場合は、(別段の定めがない限り)本発明又はその一部の記載は、以下に説明するような「から本質的に構成される(consisting essentially of)」若しくは「から構成される(consisting of)」、又はそうした表現の変形を用いて、本発明又はその一部を説明するものと解釈されてもよいことは容易に理解されるべきである。
【0200】
本明細書で使用されるものとして、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(has)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「特徴付けられる(characterized by)」、およびこれらの類似表現は、列挙された構成要素について、明確な限定がない限り、非排他的包含を意図するものである。例えば、一連の構成要素(例えば、成分、層、または工程)を「含む」断熱紙製品および/または方法は、これらの構成要素(つまり、成分または工程)に限定されるものではなく、断熱紙製品および/または方法において、明示的に列挙されていない、または、固有でないその他の構成要素(つまり成分または工程)を含み得る。
【0201】
本明細書で使用されるものとして、「から構成される(consists of)」および「から構成される(consisting of)」といった移行句は、明記されていない、いかなる要素、工程、または構成要素を排除する。例えば、請求項で使用される「構成される(consists of)」または「から構成される(consisting of)」という表現は、それと一般的に関連付けられる不純物(つまり、所定の構成要素内の不純物)を除いて、請求項内で明確に言及されている成分、物質、または工程に、請求項を限定する。「から構成される(consists of)」または「から構成される(consisting of)」といった表現が、プリアンブルの直後ではなく、請求項本体の条項に記載されている場合、「から構成される(consists of)」または「から構成されている(consisting of)」といった表現は、該条項に記載されている要素(つまり、成分または工程)のみを限定し、その他要素(つまり、成分)は、請求項全体からは排除されない。
【0202】
本明細書で使用されるものとして、「から本質的に構成される(consists essentially of)」および「から本質的に構成される(consisting essentially of)」といった移行句は、明文化されているものに加えて、物質、工程、特徴、成分、または要素をさらに含む断熱紙製品および/または方法を規定する際に使用される。ただし、こうした追加される物質、工程、特徴、成分、または要素が、本発明の請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に影響しないことが前提である。「から本質的に構成される(consisting essentially of)」という表現は、「含む(comprising)」と「から構成される(consisting of)」の中間の位置づけである。
【0203】
さらに、本明細書に記載の断熱紙製品および/または方法は、図示しない特徴の有無によらず、図示される、本明細書に記載の成分、層、および特徴の任意のものを、含んでいても、それらから本質的に構成されていても、または、それらから構成されていてもよいことを理解されたい。換言すると、ある実施形態においては、本発明による断熱紙製品は、図示されている以外の追加の特徴を有してはおらず、こうした追加の特徴であって、図示されていないものは、断熱紙製品から特に除外されているが、またある実施形態においては、本発明による断熱紙製品は、図示しない追加の特徴を一つ以上有する。
【0204】
本発明は、上述された通りであり、また以降の実施例でさらに説明されるものであるが、それらは、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。反対に、本発明の要旨および/または添付の特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、本明細書を読んだ当業者であれば、種々のさらなる実施形態、修正、およびそれらに当たるものを行うことができることは、明確に理解されたい。
【実施例
【0205】
図1図48に例示され、説明される断熱紙製品100/100’/100”/60と同様の断熱紙製品を用意した。
【0206】
実施例1.断熱材を含有する紙:
【0207】
試験方法:
パーライト含有紙の見本を用意し、断熱性があることを見出した。準備した紙見本の断熱特性は、シートの両側に取り付けた二つの熱電対を使用して、評価した。そして、シートをホットプレート上に載置し、ホットプレートに接していない面の加熱速度を、温度上昇速度(温度(℃)/秒/ミリメートル、またはケルビン(K)/秒/ミリメートル)として記録した。
【0208】
セルロースパルプに、パーライトを10重量%、20重量%、および25重量%添加して、紙見本を作製したところ、耐熱性において、パーライトを浸み込ませた紙は、基準紙、およびその他化合物と混合した紙以上の性能を示し、ポリスチレンコップとほぼ同等の性能を示した(ポリスチレンコップの平均加熱速度は、0.0771K/s.mm、種々のパーライトサンプルの平均加熱速度範囲は、0.0825K/s.mm~0.1346K/s.mm)。F検定として知られる統計分析試験を利用して、パーライトを浸み込ませた紙が他のどの種類の添加剤よりも実際に優れた性能を有することを、99.82%の精度で確認した。
【0209】
使用した材料:
-重曹を浸み込ませた紙
-チックフィレイ(Chick-fil-A)、マクドナルド(McDonald’s)、およびソニック・ドライブイン(Sonic)で使用される発泡ポリスチレンコップ
-ソロカップ
-ウォーソー(Wausau)のクレープ紙#70(標準、リッジ付き、厚さが二倍)
【0210】
-添加剤:
1.3デニールのポリ乳酸繊維
ポリエチレンFybrel
1.5デニールのポリプロピレン繊維
活性炭
挽屑
中-大サイズのパーライト
中-小サイズのパーライト
微小球体
【0211】
使用した器具:
-ミキサ(blender)
-ペーパープレスボックス
-ホットプレート
-コンピュータ
-熱電対
【0212】
製紙手順:
1.クレープ紙#70を3.36g計量し、ミキサに投入する。
2.400mlの水を紙に添加し、水と紙がパルプスラリー状になるまで撹拌する。
3.添加剤を下記分量だけ計量する:10重量%(0.336g)、20重量%(0.672g)、25重量%(0.840g)。これらの分量は、三つの異なるサンプルを用意するためのもので、サンプルの分量ごとに、工程1および工程2を繰り返す必要がある。
4.添加剤をパルプスラリーに添加し、撹拌棒でスラリーを撹拌する。
5.下記の手順でペーパープレスボックスを準備する:
a.メッシュスクリーンをホワイトスクリーン状に載置する。
b.メッシュスクリーン上から木製のペーパーボックスを載置し、面ファスナーでしっかりと箱を固定する。
c.115mm×87mmの長方形になるように、木型をペーパーボックス形状に入れると、「T」字形状に合致する。
6.作製された矩形型に、紙スラリーを均等に注ぐ。
7.木型は、矩形型に合致して収まるよう設計されており、木型の一面をワックス紙で覆い、紙スラリーを上からプレスして、水分を除去する。
8.面ファスナーを外し、ホワイトスクリーン、スクリーンメッシュ、圧縮パルプ、ワックス紙、および木型を一つのユニットとして取り出す。
9.慎重に、圧縮パルプからメッシュスクリーンを外す。
10.ワックス紙を慎重に型から引き離すことにより、パルプを木型から取り出す。
11.平面上にワックス紙およびパルプを敷き、紙タオルを押し付けることにより、大半の水分を取り除く。
12.パルプ紙を空気乾燥させ、その後熱伝導試験を実施する。
a.パルプ紙を空気乾燥させる時間がない場合は、熱源を用いて紙を乾燥させてもよいが、熱源は、65.6℃を越えないようにする。
b.紙がわずかに湿っている状態になったら、紙を熱源から取り出す。
【0213】
ホットプレートから離れた表面の昇温速度のテスト手順:
1.データロガーをコンピュータに接続し、ウェーブスキャン(Wavescan)2.0を開く。
2.「設定」で下記工程を実行する:
a.「AI選択デバイス」を選び、「デバイスを選択」をクリックする。
b.データロガーがメニュー上で選択し得る唯一の選択肢となっているため、それを選択して、「OK」をクリックする。
c.「AIチャネル設定」を選択し、「設定範囲」をクリックする。
d. ウィンドウの右上で、チャネル4~7を「Thermo」に切り替え、ウィンドウを閉じる。
e.「AIチャネル設定」で「ChanStart」を4に、「ChanCount」を4に設定する。
f.「インターバル」を1,000msに変更する。
g.ウィンドウの下にある「OK」をクリックする。
3.ウィンドウの右下付近の「信号」を選択し、「AI」を開始する。
4.ウィンドウの左下付近の「デバイス」を選択し、ボックス「AI Save2円板」のボックスにチェックを入れる。
5.室温が、21.5℃±2℃になっていることを確認する。
6.37℃±2℃の範囲になるよう、ホットプレートを温める。
7.二つの熱電対を紙サンプルの両側にテープで留め、試験サンプルをホットプレートに載置する。
8.
9.ガラス製のボウルが下を向くように、ボウルを試験サンプル上に被せる。この時、下部のボールがホットプレートにボールいること、ボウルが上部の熱電対の先端を覆っていないことを確かめる。
10.ウェーブスキャン(Wavescan)の「開始」をクリックし、少なくとも120秒間、処理を行う。
11.試験を行う毎に、室内の雰囲気温度を記録する。
12.試験実施後、試験を「停止」し、サンプルおよびボウルをホットプレートから下ろす。
13.ボウルを水にひたして、室温に戻す。
a.これにより、ボウルを素早く冷やし、次の試験に再度利用できるようにする。
b.必ず、ボウルを完全に乾かすようにし、実験時の余計な吸熱源を取り除く。
14.「名前を付けて保存」をクリックし、ファイルを所望の場所に保存する。
15.「履歴」をクリックし、保存したファイルフォルダの「Project.wsp」を開く。
16.「変換」をクリックし、ファイルを所望の場所に保存する
17.各紙サンプルごとに3回ずつ工程7~工程13を繰り返す。
18.各サンプルの試験は、わずか3分で終了するはずである。
【0214】
データ処理手順:
1.データファイルの一つをExcelで開く。
2.紙サンプルの上部にある熱電対についてのみ、温度の軸および時間の軸でデータをプロットする。これらのデータ点は、下部の熱電対よりも低い温度読み取り値を有するため、区別することができる。
3.二つの熱電対のグラフの両方に対して、近似曲線を追加し、近似曲線の傾きを記録する。これらの値は、紙の熱移動速度を示す。
4.各紙サンプルについて行う3回すべての試験において、この工程を実行し、熱移動速度値の平均値を出す。
5.mmの単位で表した厚さで除算し、厚さ調整値を求める。
6.全ての紙サンプルに対して、工程1~工程4を繰り返す。
【0215】
データ:
以下の表は、異なる種類の添加剤を10重量%含有する各サンプルのデータを分類したものである。備考:厚さ調整値は、サンプル厚さにおける変化の影響を取り除くために、平均加熱速度を厚さで割ることによって算出した。
【0216】
【表1】
【0217】
以下の表は、異なる種類の添加剤を20重量%含有する各サンプルのデータ点を分類したものである。
【0218】
【表2】
【0219】
以下の表は、異なる種類の添加剤を25重量%含有する各サンプルのデータ点を分類したものである。
【0220】
【表3】
【0221】
以下の表は、混合(mixed-in)添加剤を含有しない、各サンプルのデータ点を分類したものである。
【0222】
【表4】
【0223】
図27は、断熱性において、一貫して最も効果的な物質は、種々のポリスチレンコップおよびパーライトを含有する紙サンプルであったことを示す。ほとんど全てのパーライトサンプルが、チックフィレイ(Chick-fil-A)のコップよりも優れた断熱品質を有しており、Med-Lg(10%)サンプルおよびMed-Sm(25%)サンプルは、最も効果的なサンプル(マクドナルド(McDonald’s)およびソニック(Sonic)のコップと同等の熱移動速度を有していた。
【0224】
図28は、パーライトを10%含む紙サンプルが、他のどの物質を用いて作られた紙サンプルと比較しても、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。これは、異なる粒子径を有するパーライト含有の紙サンプルが両方とも、最も低い熱移動速度を有していたからである。つまり、パーライトサンプルが、最も保温性に優れており、良好な断熱材であることが分かる。
【0225】
図29は、パーライトを20%含有する紙サンプルが、活性炭を除く、他のどの物質を用いて作られた紙サンプルと比較しても、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。活性炭は、特にこの試験において、パーライト含有の紙サンプルよりもわずかに高い性能を有していた。
【0226】
図30は、パーライトを25%含む紙サンプルが、活性炭を用いて作られた紙サンプルを除く、他のどの物質を用いて作られた紙サンプルと比較しても、最も高い断熱特性を有していたことをグラフで表す。ここでもまた、活性炭を用いて作られた紙サンプルは、パーライト含有の紙サンプルと同等の性能を発揮した。
【0227】
図31は、添加剤を含まない、他のどの物質と比較しても、ポリスチレンコップが最も効果的な断熱材であったことをグラフで表す。さらに、パーライトサンプルのみが、ポリスチレンコップ同様、熱伝導に耐えることができた(パーライトサンプルは、マクドナルド(McDonald’s)およびソニック(Sonic)から調達したコップよりもわずかに劣っており、チックフィレイ(Chick-fil-A)から調達したコップよりもわずかに優れていた)。
【0228】
図32は、中/小グレードのパーライトをさらに添加した場合の熱移動速度の変化をグラフで示している。なお、何らかの数学的有意性を有する傾向を捉えるには、より多くのデータ点が必要となる(つまり、5重量%、30重量%等のように、種々の重量パーセントでパーライトを含む紙サンプルをさらに作製することで、より多くのデータ点を得る)。
【0229】
図33は、パーライトの各グレードの重量パーセントの増加に伴って、有効熱移動速度がどのように変化するかをグラフで示している。
【0230】
各重量パーセントのグループ内で、パーライトを含む紙サンプルと含まない紙サンプルとを比較して、パーライトが断熱特性を大幅に向上させることが明らかになった。一対のパーライトサンプルのペア(一方は粒子径が小さく、もう一方は粒子径が大きい)は、3パターン用意した重量パーセントのすべてにおいて、常に、最も効果的な断熱材の上位三番目以内に入っていた。様々な食品販売者(food vendors)から調達されたポリスチレンコップと比較して、パーライトサンプルは、概して、ポリスチレンサンプルと同等の性能を示した。
【0231】
結論:
パーライトを紙混合物に添加すると、紙の断熱特性が大幅に向上し(平均熱移動速度は、0.100度/s*mm)、これは、業界の標準となっている発泡ポリスチレン(平均熱移動速度は、0.077度/s*mm)に匹敵する。
【0232】
これらの結果は、断熱材を用いた紙ベース材料が、(i)高い断熱特性を付与し、(ii)汚染を引き起こすことなく、再パルプ化が可能で、かつ(iii)生物分解性および/または生分解性を有する、ことを示唆した。
【0233】
実施例2.断熱紙製品の準備:
【0234】
試験方法:
【0235】
%固体解析(% solid analysis):
ポリスチレン使い捨て計量ボートを、小数点以下4桁(風袋質量)まで正確に計量した。約1グラム~2グラムの液体を計量ボートに入れ、直ちに、小数第4位まで計量した(総体湿潤質量)。総体湿潤質量から風袋質量を減算すると、純湿潤質量が得られる。計量ボートを慎重に傾け、左右に揺らして、液体が計量ボートの底部を均一に覆うようにし、次いで、それを戸棚に24時間~48時間置いて室温で蒸発させた。乾燥した計量ボートを小数第四位まで再計量し(総体乾燥質量)、総体乾燥質量から風袋質量を差し引くと、純乾燥質量が得られる。
【0236】
%固体=100*純乾燥質量/純湿潤質量
【0237】
pH:
pH測定は、全て、MEL社(Micro Essential Laboratories Inc.)から供給された万能試験紙を用いて行い、室内蛍光灯による照明下で紙の色とチャートを比較した。
【0238】
リーの円板熱移動速度試験方法の改良
【0239】
リー(Lee)の円板法は、伝導性の低い、薄い板の熱伝導性を測定する既知の方法である。入手可能な実験器具を組み合わせて使用することで、リーの円板を改良し、それを利用して、作製したサンプルの熱移動速度を測定した。その結果、短時間で数多くの実験を実施することができた。材料を熱平衡に到達させる代わりに、デジタルホットプレートを利用して、サンプルの片面の設定温度を維持した。装置を、図34(断面図)および図35(分解断面図)にて表す。
【0240】
使用した材料/器具:
・厚紙サンプル
・直径113mmの円形(100cm)に切り出す円形カット装置
・カリパー
・0.001g単位の正確さで計量可能な実験用はかり
・少なくとも37℃(98.6゜F)の温度で加熱し、少なくとも直径113mmの加熱面71を有する、デジタルホットプレート70
・直径113mm(100cm)で、片面に黒の艶消し塗装が施された10枚のアルミニウム円板72(マクマスター社(McMaster)の1610T37)
・37℃(98.6゜F)以上の温度に耐えることができ、ホットプレート70および使用されるサンプル群に合致するよう構成された断熱ホットプレートガード73(マクマスター社(McMaster)の93475K65)
・IRカメラ74および画像解析ソフトウェア(フリアーシステムズ社(Flir Systems Inc.)(アメリカ合衆国カリフォルニア州ゴレタ)より入手可能なFlirE-40サーマルカメラ)
・タイマー
【0241】
前提条件:
この試験方法では、熱流が一定で、対流または輻射による熱伝導(すべての熱が円板と試料を通って流れる熱伝導)からのエッジ損失やその他の影響がないことを前提とした。
【0242】
方法:
1.直径102mmの円形紙サンプルおよびラベルを適切に切り出す。理想としては、少なくとも三つのサンプルを同一のシートから切り出す。各データ点に対して、五つのサンプルを準備することが推奨される。各サンプルの厚さを、バーニヤカリパーを使用して、計測・記録する。
2.ホットプレート70のスイッチを入れ、温度を37℃に設定する。断熱ガード73をホットプレート70の周囲に設置する。一枚のアルミニウム円板72を、黒い面が上になるよう、ホットプレート70上に載置する。円板72が37℃に達したら、サンプル試験を開始する。IRカメラ74を利用して、温度を確認してもよい。
3.ホットプレート70が熱せられている間、残りのアルミニウム円板72を放置して室温にする。IRカメラ74を使用して室温を計測し、IRカメラ74を使用して全てのアルミニウム円板72が室温に達したことを確認する。
4.試験の準備が出来次第、下記を素早く実行する:
-紙サンプル10を、ホットプレートに載せたアルミニウム円板72の上に載置する。
-室温のアルミニウム円板72を、黒い面を上にして、紙サンプル10の上に載置する。
-タイマーを1分および2分にセットし、スタートする。
5.1分の終わりに、Flirサーマルカメラ74で、円板72の黒い上面の温度を記録する。2分が経過したら、再度、温度を記録し、アルミニウム円板72の上面75のIR画像を撮る。上部のアルミニウム円板72および紙サンプル10を下ろして冷やす。
6.全てのサンプル10の試験が終わるまで、工程4および工程5を繰り返す。9回以上、試験を実施する場合は、再び使用する前に、アルミニウム円板72が室温まで冷やされているかどうか、必ず確認をする。
【0243】
代表的な昇温曲線を図36に示す。熱伝導性を見積もるための最良の技術的方法は、システムが定常状態に達するまでの時間にわたって、アルミニウム円板72の温度上昇を測定し、モニタリングすることであり、その際、周囲の室温も考慮する必要がある。室温の変動を考慮に入れながら、発明者が迅速なスクリーニングを行うことができるようにするために、スナップショット法を選択して、アルミニウム板72の温度を、Flirサーマル撮像カメラ74を介して記録した。最初の測定は、サンプル10およびアルミニウム円板72を予め温めたホットプレート(T)70上に置いた直後に行い、次いで30秒ごとに、3分30秒間行った。3分30秒後の温度上昇(T3.5)を摂氏で記録した。理想的には、5回測定を繰り返し、平均をとった。
【0244】
デルタT=T3.5min-T
【0245】
サンプルの厚さも熱移動に影響するため、サンプルの平均厚さ(d)を使用して、3.5分間の平均温度上昇測定値を調整した。「標準」厚さは、目標材料厚さ(dstd)に基づいて選択され、平均温度上昇は次式を用いて調整した。
【0246】
厚さ調整デルタT TADT=T3.5min-T*d/dstd
【0247】
TADTは熱移動速度であり、TADTが低いほどサンプルの熱伝導性が低いという点で、熱伝導性に関係している。
【0248】
熱放射率比較法#1(伝導経由):
レスリーキューブを改良したものを用いて、複数の物質を迅速にスクリーニングした。この装置を図37に示す。図38は、ホットプレート70の真上から、可視光でサンプル10を見た図を表す。図39は、FlirE-40サーマルカメラ74を用いた際のサーマルビューを示している。
【0249】
この方法は、同じ温度に達するにあたり、背面からの熱の伝導に依存している。そのため、高い断熱性能を有する材料が結果に作用してしまう点が、本方法の難しいところである。そのため、通過する熱流束が大幅に減少すると、黒で塗装された領域がサンプル領域よりも素早く冷却(放射)され、結果に若干の誤差が出る可能性があった。こうした理由から、材料をスクリーニングして、放射率を試験する方法を複数開発した。
【0250】
材料:
・厚紙サンプル10
・1.5インチ×3インチの矩形波板状片
・カリパー
・少なくとも37℃(98.6゜F)の温度で加熱し、少なくとも直径113mmの加熱面71を有する、デジタルホットプレート70
・IRカメラ74および画像解析ソフトウェア
・タイマー
・0.75mmの厚さを有する、2インチ×3インチの研磨アルミニウム片76
・マットブラックスプレーペイント(ラスト・オリウム社(Rust-oleum)製ハイパフォーマンスホイール、マットブラック)
・3Mスプレー接着剤
【0251】
前提条件:
この試験方法では、熱流が一定で、対流または輻射による熱伝導(すべての熱が円板と試料を通って流れる熱伝導)からのエッジ損失やその他の影響がないことを前提とした。
【0252】
方法:
1.0.95あるいはそれ以下の放射率値を有するよう、IRカメラ74を設定する。
2.ホットプレート70のスイッチを入れ、温度を37℃に設定する。ホットプレート70が37℃に達したら、サンプル試験を開始することができる。温度は、IRカメラ74を利用して確認してもよい。
3.1.5インチ×3インチのボール紙辺を切り出し、それらに、3Mエアロゾル接着剤を均一に吹き付ける。
4.テスト材料12をボール紙上に多量にふりかけ、軽くはたいて余分なものを落とす。
5.アルミニウム箔で厚紙の半分を覆い、覆っていない残り半分サンプルに、艶消しの黒い塗料を噴射し、乾燥させる(約45分)。
6.ホットプレート70のスイッチを入れ、温度を37℃に設定する。ホットプレート70が37℃に達したら、サンプル試験を開始する。温度は、IRカメラ74を利用して確認してもよい。
7.試験の準備が整い次第:
-波板状サンプルを、塗装した面を上にして、ホットプレート上に載置する。
-研磨アルミニウムもホットプレート上に、基準として載置する。
-タイマーを2分にセットし、スタートする
8. 2分が経過する頃、サンプルの上面75のIR画像を撮り、カバープレートおよび紙サンプルを下ろす。
9.全てのサンプルの試験が終了するまで、工程6および工程7を繰り返す。
【0253】
分析:
サーマル画像を使用して、光沢のある塗装部分または黒の塗装部分よりも、サンプルの放射性が高いか低いかを比較する。
【0254】
黒で塗装したサンプル部分は放射率が高いため(約0.90)、赤色で示され、正しい温度が表示される。研磨アルミニウム材料は放射率が低いため(約0.03)、青色で示され、実際の物体よりも低い温度で表示される。
【0255】
したがって、この試験では、試験サンプルの放射率が、黒または銀のサンプルの放射率よりも高いか、低いか、またはほぼ等しいかが判断される。
【0256】
熱放射率測定法#2(白熱電球の照明を使用):
図40は、試験装置を示す。該試験装置は、材料が熱フィラメント電球83から放射される熱を吸収し、その後、再度放射するにあたり、材料の熱放射率を直接、迅速に視覚的に比較するために使用される。サンプルは、光沢のある金属板82上に取り付けられる。サンプルの半分は、艶消しのブラック塗料をスプレーし、残りの半分は露出させたままにした。使用される塗装および接着剤の全ては、室温で、少なくとも40分間、乾燥する。カメラ74のスイッチを入れ、サンプルを低角からスポットライトで照らす。それにより、漂遊熱放射が反射し、サーマルカメラ74から離れる。すぐに高い放射率を有する黒い材料が熱を吸収し、サーマルカメラスクリーン上に浮かび上がり、再度、サーマルカメラ74に向かう方向を含む、あらゆる方向に熱が放射される。
【0257】
低熱放射率を有する材料は、 多くの場合、数秒間照明に照らされた後、色がかなり暗くなっていた。
【0258】
フリアーシステムズ社(Flir Systems Inc.)推奨の熱放射率測定法#3:
下記過程は、Flir-E40のマニュアルに記載されていたもので、実際の放射率の数値を得ることを目的とする。方法#3は、下記の要領である。:
【0259】
工程1:サンプルから反射した、雰囲気中反射放射源を補正するために必要な見かけ反射温度を決定する。手順は以下の通りである:
i)アルミニウム箔シートを丸めて、広げる。
ii)これを、同じ大きさの段ボール厚紙シートに貼り付ける。
iii)被写体の前にボール紙を置く。その際、アルミニウム箔がカメラ74を向くようにする。
iv)内部カメラ放射率の設定を1.0にする。
v)アルミニウム箔の見かけ温度を記録する。
【0260】
工程2:熱放射率の測定:
vi)黒い電気テープ片をサンプルに貼り付ける。
vii)サンプルを、雰囲気温度より、少なくとも20℃高い温度まで加熱する。
viii)カメラ74をテープに向け、放射率設定を0.97に変更し、スクリーン上の温度測定選択ツールの一つを使用して、テープの温度を測定する。
ix)テープのないサンプル表面に、温度測定ツールを移動させる。そして、内部放射率設定を、測定温度が断熱テープの温度と等しくなるまで、変更する。
x)サンプルの放射率を記録する。
【0261】
熱放射率試験方法#4:
特定のサンプルの熱放射率試験も、サーモフィジカル・プロパティーズ・リサーチ・ラボラトリー社(Thermophysical Properties Research Laboratory, Inc)(アメリカ合衆国インディアナ州ウェストファイエットビル)により、以下の試験方法を用いて、実施された。
【0262】
卓上放射測定器は、幅広い波長帯域にわたって全垂直放射率を測定する。抵抗ヒータによって加熱され、セラミック絶縁で囲まれた等温銅ブロック上に、一辺が0.5インチの薄い正方形のサンプルが、下向きに取り付けられる。5個のK型熱電対を等温板の底面に取り付ける。放射率測定中のサンプル温度は、最も近い熱電対側から判定される。サンプルが下向きに配置され、検出器ヘッドとの空隙も小さいため、サンプルが周辺空気にさらされても、対流損失が最小限に抑えられる。
【0263】
IR検出器は、直径1mmの高感度領域と1マイクロメートル~40マイクロメートルの距離からの平坦スペクトル応答を有する広帯域熱電対列サーモパイルである。検出器と放射遮蔽体を水冷し、サンプル表面から5mm離れて、3.56mmの開口部を通して、サンプルを観察する。検出器は、サンプル上の直径約4.57mmの点からの放射線を感知する。遮蔽体の内側表面および開口部プレートの両面上に平坦な光学ブラックコーティングを施し、また、遮蔽体および開口部プレートを冷却することによって、検出器上の漂遊放射を最低に抑える。遮蔽体温度は、遮蔽体壁に埋め込まれた、2個のK型熱電対によりモニタリングされた。熱電対および検出器の電圧をA/Dモジュールに供給し、パソコンに接続する。放射率εは、次の等式より算出した。
【0264】
【数1】

ここで、
【数2】

であり、Vは検出器電圧、Tはケルビン単位で測定した温度である。下付き文字は次の通りである。
shutter:遮蔽体の温度
shield:遮蔽体が所定の位置にあるときの赤外線検出器の温度
sensor:測定中の赤外線検出器の温度
blackbody:未知数を算出するために使用される標準黒体の温度
sample:サンプルに最も近い熱電対を用いたサンプルの温度
shutter:遮蔽体が所定の位置にあるときの、赤外線検出器からの電圧
blackbody:2つの黒体読み取り値からの電圧
sensor:各サンプルからの赤外線検出器の電圧
εshutter:読み取り時の温度における遮蔽体の放射率(ε=0.09)
εblkbody:標準黒体の放射率(ε=0.95)
ε:サンプルの放射率
運転中、ヒータへの電力は、所望のプレート温度を得るため、コンピュータ制御された広域耐温性温度コントローラによって調節され、システムの安定化が図られる。検出器と対象サンプルとを位置合わせし、その出力電圧を記録する。X-Yテーブルが検出器ヘッドを囲む拡張絶縁ブロックによって移動される際、等温プレート上のすべてのサンプルは、一定の放射および対流熱移動環境下に維持される。ε=0.96±0.01を満たす、酸化銅標準物質の測定および閉鎖開口測定は、各温度における各サンプルセットの前後で行う。金属と絶縁体を想定して開発された全垂直/全半球関係から、全半球放射率を推定した。現状の温度範囲は、室温~150℃程度である。
【0265】
発泡ポリスチレンクーラー窓試験方法
本試験は、暑い日に直射日光が当たった場合を想定し、所定のサンプルを通過する熱量を測定するために考案された。定常状態試験が理想的であるが、発明者らは、さらなる研究のため、熱特性を迅速に評価する方法を探究した。理論によって制限されることは望ましくないが、本試験は、放射率(放射熱の吸収)と伝導率の両方を組み合わせて、所定のサンプルを通過する熱量を測定する際の尺度を提供するものである。
【0266】
約5米ガロンのアトランタ市水を、容積6ガロンのバケツに入れ、室温と同じ温度になるよう、蓋をして少なくとも24時間密封した。発泡ポリスチレンクーラー290(品番S21529)を、ユーライン社(Uline)(アメリカ合衆国ウィスコンシン州プレザントプレーリー)から購入した。該クーラーの内寸は、8インチ×6インチ×7インチ、壁厚1.5インチで、外寸は11インチ×9インチ×10インチである。直径100mmのアクリル製円形型板を利用して、クーラー290の、11インチ×9インチの面292の一つに、円291を描く。図43Aおよび図43Bに示す通り、円291を、クーラー290の上部293から60mm、両側294/294から88mmの位置に配置した。円291は、電気的に加熱されたホットナイフ(中国製の発泡スチロールカッタ(RoMech Pro Hot Knife Kit 200W))により、慎重に切り出された。
【0267】
二液性シリコーン化合物を混合し、これを用いて、内面295を塗装し、断熱クーラー290の内側を密封した。このシリコーン樹脂(例えば、Amazon.comより入手可能なDiamond Driven Liquid Silicone Compound、Amazon.comより入手可能なOomoo30 Silicone Mold Making Rubber、Amazon.comを通して、スムース・オン社(Smooth-On)より入手可能なSmooth-On Ecoflex 00-35 Fast Platinum Cure Silicone Rubber Compound Kit、スペシャリティレジン&ケミカル社(Specialty Resin & Chemical LLC)(アメリカ合衆国ミシガン州ドウォージャック)より入手可能なRTV Silicone Rubber for Mold Making、あるいはこれらに類するもの)を一晩かけて硬化させた。翌日、切り出された円形孔2901付近の、クーラー290の外側から、余分なシリコーン樹脂を切り落とし、発泡ポリスチレンとサンプルとの接合を確実にした。シリコーン樹脂を使用したが、替わりに、エポキシ樹脂も、発泡ポリスチレン構造を破壊することなく、防水シールクーラー290に使用できることも明らかとなった。
【0268】
サンプル準備:
マイヤーロッドを用いて35ポンド/1,000平方フィート(35MSQまたは170gsm)のクラフトボード上にコーティングを施し、乾燥させた。サンプルボードは、ジューボ・プラス社(Juvo Plus Inc.)(アメリカ合衆国カリフォルニア州アーウィンデール)より、「200 pack kraft laser and ink jet printer post cards 2 up per page」SKU LJ-WACHG-031218-11-1」として、入手可能である。この紙を選択した理由としては、様々な段ボール製造業者から35ポンドMSQのライナーボードのサンプルを入手するよりも、同社が、クラフト繊維ボードのより一貫した供給源であることが証明されたためである。試験の一部においては、クラフト繊維ボードを、充填剤、断熱物質、または、発明者が評価したいと考えた、金属化気泡緩衝シート等その他物質を含む紙シートで置き換えた。
【0269】
アルミニウム箔(例えば、日用品店などでも入手可能な、フェニックス・インダストリーズ社(Phoenix Industries Inc)(アメリカ合衆国コロラド州デンバー)より販売される、Glad(登録商標)強力アルミニウム箔)を、艶消しの黒色スプレー塗料(例えば、ラストオーレム(Rust-Oleum Corporation)(アメリカ合衆国イリノイ州バーノンヒルズ)のRust-Oleum(登録商標)Painter’s Touch 2X Ultracover Paint+Primer)を用いて、一面を黒に塗装して、艶消し面にし、シート状に切断し、乾燥させた。次いで、アクリル製の直径100mmの型板を使用して、コーティングされたクラフトボードに、円を描いて、サンプル切り出した。そして、その背面(クラフト紙)に、手芸店、オフィス用品店、金物店等で販売されている、3M社(3M Company)(アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス)社製の3M(登録商標)Super 77(商標登録)Mulitpurse Adhesiveなどの接着剤をスプレーする。円板は、慎重に、塗布された箔の、光沢のある側に接合され、乾燥するまで、数冊の本(約1kgの圧力)の下で、紙シートの間に挟んでおき、サンプルの平坦性を維持した。そして、箔シートをトリミングし、約0.5インチから1インチの光沢のある箔が、各サンプルを取り囲むようにした。
【0270】
次いで、3M(登録商標)Marine Adhesive Sealant Fast Cure 4000 UV(品番05280)を用いて、箔サンプル複合材の黒い面をクーラー290の外側に慎重に貼り付け、サンプルが、クーラー290の開口291と揃うようにした。なお、塗装した箔と発泡ポリスチレンの両方に接合し、発泡ポリスチレンを部分的に溶解して破壊せず、防水シールを形成するものであれば、他のシール剤であっても使用することができる。これを一晩かけて硬化させた。
【0271】
図43Bに図示された試験装置296を作製し、その上にサンプルウインドウを備えたクーラー290を配置した。試験装置296により、試験窓は、タングステンフィラメント加熱ランプ297に繰り返し載置可能となる。タングステンフィラメント加熱ランプ297は、調理された食品を提供直前まで高温に保つため、飲食店で使用されるような、110ボルト・250ワットのもの(例えば、インターテック社(Intertek)製の5000707の、白色白熱タングステン電球)である。図43Bに示す試験装置296は、入射角およびランプ297の表面298から試験対象材300の中心299までの距離の調整を行うことを含む。室温と同じ温度にした4,500gの水を、g単位で正確に計量し、クーラー290に注いだ(計量には、5kgまで、1g単位で計量可能なPhilips(登録商標)Essence Kitchen Electronic Top Pan Scaleを用いた)。撹拌ブレード301を蓋302に挿通し、デジタル温度計プローブ303も蓋302に挿通した。ストロボ光(表示されない)を用いて、撹拌ブレード301の600rpmでの回転を時間測定した。
【0272】
温度が安定するまで水を数分間攪拌し、その時点で温度を記録した。タイマーを15分にセットし、加熱ランプ297のスイッチを入れ、同時にタイマー(不図示)をスタートさせた。クーラー290内の水の温度を、15分毎に1時間記録した。
【0273】
試験はすべて、空気温度が68°F~71°Fの空調温度制御環境で実施された。陽性対照サンプルは、黒色塗装箔の光沢面に接着する前に、アルミニウム箔の層を積層したクラフト円板であり、陰性対照サンプルは、同様の箔シート上に取り付けられた、コーティングされていないクラフト円板であった。一時間にわたる温度上昇(DT)を用いて、単位時間(ワット)当たりのコーティングされたクラフトボード300を流れるエネルギー量(ジュール)を、次式を用いて算出した。
【0274】
E(ジュール)=4.2*DT*4500
【0275】
ここで、4.2は、J.K-1.g-1の水の比熱容量である。また、4,500は容器内に存在する水の質量である。窓291を通って、水ワット(ER)にエネルギーが伝わる速度は、1時間内の秒数で割ることによって算出される。すなわち、
【0276】
ER=E/3600 ワット
【0277】
円板300の表面積は、すでに判明しているため、平方メートル当たりのエネルギー流束ワットを計算することもできる(W.m-2)。
【0278】
ある実験では、赤外線温度計(Etekcity Lasergrip1025D)(不図示)を用いて、円板300の外側の温度も測定し、サンプルの厚さにわたる温度差の近似値を求めた。
【0279】
段ボール箱の性能試験:
冷蔵食品・冷凍食品のそれぞれに対し、以下に5つの規格を上げる。これらは、製品として合格ラインに達するにあたり、段ボール箱の性能として望ましいとされる基準である。
【0280】
冷蔵食品に対する性能:
要約すれば下記に示す、「熱」プロフィールを用いたISTA試験TNPK-001に準拠:
23℃/73.4゜Fの雰囲気温度
箱は、12インチ×10インチ×7インチ
製品:900g/2ポンドの調理済豚肉(または類似のもの)で、2℃/35.6゜Fの温度で梱包
1,800g/4ポンドの保冷剤(gel packs)1ポンドずつ、-20℃/-4゜Fに調整されたもの
製品温度が、雰囲気下で10時間経過しても、8℃/46.4゜F未満に保たれる。
【0281】
冷凍食品に対する性能:
要約すれば下記に示す、「熱」プロフィールを用いた改訂ISTA試験TNPK-001に準拠:
23℃/73.4゜F雰囲気温度
箱は、12インチ×10インチ×7インチ
製品:900g/2ポンドの冷凍した調理済豚肉(または類似のもの)で、-20℃/-4゜Fに調整されたもの
保冷剤(gel packs):1,800g/4ポンドの保冷剤(1ポンド単位)、-20℃/-4゜Fに調整されたもの
製品温度が、雰囲気下で10時間経過しても、0℃/32゜F未満に保たれる。
【0282】
灰含有率(%):
これらの試験は、SGSインテグレイテッドペーパーサービス社(SGS Integrated Paper Services Inc.)(アメリカ合衆国ウィスコンシン州アップルトン)に、TAPPI T 211 om-16(原題:“Ash in wood, pulp, paper and paperboard: combustion at 525°C”、訳題:「木材、パルプ、紙、厚紙に含有される灰:525℃で燃焼させた場合」)に準拠して実施された。ここでは、約10.0gの紙を正確に計量し、マッフル炉で、525℃の温度で灰化した後、残った灰を再度計量して灰率を測定した。
【0283】
水分(%):
これらの試験は、SGSインテグレイテッドペーパーサービス社(SGS Integrated Paper Services Inc.)(アメリカ合衆国ウィスコンシン州アップルトン)によって、TAPPI T 550 om-13(原題:“Determination of equilibrium moisture in pulp, paper and paperboard”、訳題:「パルプ、紙、厚紙に含有される等価水分量の測定」)に準拠して実施された。
【0284】
再パルプ化の可・不可:
再パルプ化の可・不可は、ファイバーボックス協会(Fiber Box Association)(本拠地:アメリカ合衆国イリノイ州エルクグローブビレッジ、60007)が作成した「2013年プロトコル:水および水蒸気の存在下で性能改善処理を施した段ボールの再パルプ化およびリサイクルにおける自主基準」(訳題、原題:“Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard treated to Improve Its’s Performance in the Presence of Water and Water Vapor Protocol of 2013”)に準拠して、SGSインテグレイテッドペーパーサービス社(SGS Integrated Paper Services Inc.)(アメリカ合衆国ウィスコンシン州アップルトン)によって試験された。再パルプ化が可能、という表現は、テスト材料に対して、同基準に定義されたプロセスを用いて、その後のシート形成を意図した再湿潤および繊維化の処理が施せる状態を指す。再パルプ化の可・不可に関する試験では、材料を計量し、実験装置を用いて特定の方法でパルプ化し、破砕機を通過させ、次いでスクリーンを通過させる。検品に通らなかった材料の量を、パルプとして再利用できる材料と比較し、質量%として厚紙を作製する。ここで、2つの数値を算出する:第1の数値は、最初に試験に投入された材料の質量に基づく繊維の許容回収率であり、第2の数値は、検品に通り、許容された回収繊維の割合である。これらの数値により、「再パルプ化の可・不可(%)」が表される。ファイバーボックス協会は、再パルプ化の可・不可を分ける合格基準は、>85%であると結論付けた。他にも、記録された指標としては、a)パルプ化または形成時に装置を汚染する材料、およびb)粉砕されず、除去する必要のある材料(検品に通らない原因)、が挙げられる。
【0285】
接着材接合/ピン接着および層間分離試験:
これは、溝とライナーボードとの間の接合強度を確保するための重要な試験であり、ボックス構造の完全性および強度に関連する。装置を使用し、波板状溝間にピンを嵌める。波板状厚紙の層を分離するのに掛かった応力を測定する。ファイバーボックス協会は、この接合強度についていくつかの試験を有している。
【0286】
パルプ作製方法-35♯ポンドの未漂白ライナーボードから作製する場合:
漂白されていない、35ポンドのライナーボード(インターナショナルペーパー社(International paper)より入手可能)を、8.5インチ×11インチのシートに裁断した。これらを半分に切断し、8.5インチ×5.5インチのシートを作ったところ、重量は約5.35gであった。これらを、オフィス用のクロスカットシュレッダーにかけられ、1クォートのメイソンジャー(ボール社(Ball)製)に入れられた。シュレッダーにかけた紙の上に熱湯を注ぎ(約800ml)、これを少なくとも10分間浸したままにした。濃い茶色に変色し、瓶の底に沈んでいることからも、充分に湿った状態となった。
【0287】
シュレッダーにかけられ、湿らせた紙を、キッチン用ミキサ(ブラック・アンド・デッカー社(Black+Decker)製、10段階速度、モデル番号BL2010BPA)に入れ、最高速度で撹拌した。パルプの形が完全になくなるまで、撹拌に2分~4分要した。その後、撹拌され切らずに残った塊もなく、瓶にそのまま注がれた。
【0288】
完成したパルプに断熱材等の他の材料を添加する場合は、次のようにする。パルプ入りのメイソンジャーを開けて、実験室用ミキサブレードをジャーに入れ、可変周波数駆動を用いて、撹拌モーターを作動させて撹拌を制御した。添加剤をパルプジャーに加え、最後の物質まで添加し終わった後に、パルプをさらに5分間撹拌した。
【0289】
パルプ作製方法-漂白再生パルプパルプから作製する場合:
ドンコ・リサイクリング・ソリューションズ社(Donco Recycling Solutions)(所在地:アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ)より、グレード100の漂白パルプ二次繊維が供給された。このパルプには、固形物が50%、水分が50%含まれていた。含まれている繊維は、PEライニング牛乳パックのプレコンシューマおよびポストコンシューマ繊維、プレコンシューマ紙屑およびプレコンシューマPEライニング厚紙カートン材を合わせたものである。パルプ繊維に対する目標仕様は以下の通りである。9.050g±0.050gのパルプを1クォートのメイソンジャー(ボール社(Ball)製)に入れる。市水(約800ml)をパルプに注ぎ、次いで、これをキッチン用ミキサ(ブラック・アンド・デッカー社(Black+Decker)製、10段階速度、モデル番号BL2010BPA)に投入して、高速で1分間、撹拌する。
【0290】
完成したパルプに断熱要素等の他の材料を添加する場合は、次のようにする。パルプ入りのメイソンジャーを開けて、実験室用ミキサブレードをジャーに入れ、可変周波数駆動を用いて、撹拌モーターを作動させて撹拌を制御した。添加剤をパルプジャーに加え、最後の物質まで添加し終わった後に、パルプをさらに5分間撹拌した。
【0291】
手漉き紙形成方法:
簀95を、図41に示す通りの状態で保持し、ステープル97を用いて、四角い木製の桁96に取り付ける。高さ約4インチの第2の木製の桁98を、面ファスナーのVelcro(登録商標)ストラップ99を介して、簀95の上部に取り付ける。大きな漉き舟の途中まで、例えば、約4インチの深さまで水で満たし、桁96/98にストラップで固定された簀95を、漉き舟内に沈めた。これにより、桁96/98の内部が水で満たされた。
【0292】
作製直後のパルプ液を、桁96/98の中心に注ぎ入れ、紙料を漉く。「漉き(ホギング)」とは、手を桁内に入れ、桁が水とパルプで満たされている間に、簀上部で水とパルプを揺らすプロセスである。これにより、手漉きに繊維が均等に分散される。
【0293】
取り付けられた簀95とともに、桁96/98を漉き舟から取り外し、水平に保って、水を抜き、繊維が均等に分散されるようにする。このプロセスは、紙漉き職人が「溜め漉き(プリング)」と呼ぶもので、図8Aに示すウェットエンド処理にあたるものである。水分が目視で確認できない段階になれば、簀95と桁96/98とをあわせて傾け、その間に溜まった残りの水を捨てる。こうすることにより、出来上がったばかりの紙に水分が逆流して、均一な表面を損なうことが防げる。まだ水分を多く含んでいるパルプは、次いで、「紙床(カウチング)」の工程に移る。
【0294】
別の浅い槽(不図示)内で、厚い不織PETフェルトの層を濡らし、積み重ねた。新たに形成されたシートの上に、追加の湿潤フェルトシートを配置することができる。途中まで形成された紙を保持している簀から、大きい箱桁96/98を外す。1回の滑らかな回転動作で、簀桁を裏返し、濡れたフェルトの最上層に押し付け、簀を持ち上げ、フェルト上にパルプを重ねた。このプロセスは、紙漉き職人が「紙床(カウチング)」と呼ぶもので、製品製造環境においては、図8Bのフェルトプレス処理にあたるものである
【0295】
2層以上のサンプルについて、上記プロセスを繰り返し、「溜め漉き(プリング)」および「紙床(カウチング)」を形成途中の紙に施し、紙シートの層を形成した。所望のシート厚さに達したら、最後の層にカウチングを施した後、小さな紙ラベルを角部に配置し、シートサンプルIDを識別し、第2の湿潤フェルトを紙シートの上に配置した。そして、次のサンプル用の次のシートを、不織布および紙のパイルの上に載せ、スタックを形成した。
【0296】
紙スタックはプレス機に載置し、水圧ジャッキを用いて圧力を加え、スタックから水を取り除いた。このプロセスは、生産ライン(図8B)上のさらなるフェルトプレスにあたるものである。加圧された紙スタックを分離し、各サンプルシートを2枚のフェルトシートの間に挟んだ。この2枚のフェルトシートとその間に挟んだサンプルシートとを組み合わせたものを、波板状厚紙のシートの間に積み重ねた。波板状シートの溝方向を、スタック内で一方向に揃え、スタック内で空気が通るようにした。スタックを10ポンドの計量し、ボックスファンの前に載置し、雰囲気温度で24時間~48時間乾燥させた。
【0297】
コーティング方法:
厚さ3/4インチのガラス板に取り付けられたクリップを使用して、コピー用紙およびコーティングする用紙の束を保持する。コーティングする一番上のシートに沿って、マスキングテープ片を置き、ペーパータオルを端からぶら下げる。転写ピペットを使用して、マスキングテープ上にコーティングのラインを作成した。これにより、コーティング対象の板紙に、コーティング剤が早期に浸漬することを防止した。マイヤーロッド(RDスペシャルティーズ社(RD Specialties Inc.)より入手可能)を用いて、シート上にコーティング剤を引いた。次いで、コーティング剤を雰囲気条件下で乾燥させた。
【0298】
湿潤処理および安定化:
材料をコーティングする前、または、紙繊維型に入れる前に、まず材料を濡らして分散させる必要がある。ガラスのような一部の材料は、程よい表面自由エネルギーを有するため、自然に湿潤する。一方、パーライトやエアロゲルのような材料の場合、表面自由エネルギーを下げて、水が充分に材料を湿らせるよう、界面活性剤を必要とする。
【0299】
界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、またはアニオン性であり得る。それらは、高分子量のポリマーまたはコポリマーであってもよく、または低分子量であってもよく、新しく生成された界面に迅速に到達することが可能である。水性界面活性剤は、HLB値によって特徴付けられ得る。HLBは、親水性-親油性バランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)の略で、特定の界面活性剤の、異なる表面自由エネルギーを有する種々の表面を湿らせる機能を測る尺度である。非常に疎水性の高い材料は、低い表面自由エネルギーを有するため、適する界面活性剤も低いHLB値を有するものとなる。より親水性の高い表面、例えば、複数の極性基を有する表面は、より高いHLB値を有する界面活性剤を必要とする。
【0300】
マイクロパウダーズ社(Micropowders Inc)(アメリカ合衆国ニュージャージー州タリータウン)製のMicrospersion EZは、低いHLB値を有する、非イオン性の低分子量界面活性剤である。P&G社(Procter&Gamble Co.)(アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ)製のDawn(登録商標)液体食器用洗剤は、低分子量アニオン性界面活性剤の一例である。ある種の疎水性材料を湿潤させる、その他材料としては、E-Sperse100(Ethos社(アメリカ合衆国サウスカロライナ州グリーンビル))、TritonBG-10(Dow社)、Glucopon425N(BASF社)、およびGlucopon215UP(BASF社)がある。エボニック社(Evonik)より入手可能な、Surfynol(登録商標)ラインは、非常に低分子量のエトキシル化アセチレンジオールである。このラインは非イオン性で、水表面とアセチレン部分の分子相互作用により、低発泡性を有し、代表として、Surfynol104、440、420が挙げられる。
【0301】
高分子量材料は、種々の材料の水中での分散を安定化するのに有用である。ポリマーは、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であってもよく、または、それらの特性を併せ持っていてもよい。「グリッド補助線」としても知られる高分子分散剤は、自然界では共重合体であることが多い。例えば、BASF社製のJoncryl樹脂の一部は、アニオン性イオン化基を含むメタクリル酸-スチレン-メタクリル酸ブチルコポリマーであると考えられる。Zetasperse3100、Zetasperse3800、TegoDispers752W、およびTegoDispers755Wは、イオン化時、実効負電荷を有する高分子量分散剤であり、エボニック社(Evonik)より入手可能である。ビックケミー社(BYK Chemie)(アメリカ合衆国コネチカット州ウォリングフォード)より入手可能な、Disperbyk190ならびに他のDisperbykラインもまた、ポリマー性/コポリマー性材料であり、a)粒子表面の負電荷(動電安定化)を増加させること、および、b)連続媒体に溶解するポリマーのセグメントによって立体安定化を可能にすること、により、分散の安定化を促す。
【0302】
断熱要素密度:
伝導性熱移動を緩和する断熱要素は、絶密度が非常に低い。Innovaエアロゲル粉末1gは、体積にして、約7cmである。パーライト微小球と粉砕分類されたパーライトフレークも、同様に低密度で、その密度は、100kg・m-3~200kg・m-3の範囲であった。紙繊維の密度が約1g.cm-3であると仮定すると、容積%に関しては、次のように表される。
【0303】
【表5】
【0304】
澱粉接着剤を含む配合(Formulations):
トウモロコシ澱粉接着剤(固形分(solids)約25%)を塗布して、台紙溝の上部にライナーボードを積層し、波板状ボール紙を形成する。トウモロコシ澱粉に、少量の水酸化ナトリウムとホウ酸ナトリウム(固形分の1%未満)を添加して、改質させる。これらを添加することにより、接着剤のゲル化点が約185゜Fから145゜Fに低下する。接着剤に含まれる澱粉の一部は、真溶液(true solution)に含まれ、「加熱澱粉」と称されるものがあるが、加熱処理せずにさらに澱粉を添加し、膨潤澱粉ゲルを形成する。波形加工の際、高温のコルゲータにより、ゲルを加熱し、溶解することで、接着剤が紙繊維と結合するときの粘度を高める。湿潤条件下により強度を高めることが必要な場合、耐湿性付与剤(MRA)と呼ばれる追加の樹脂を添加して、耐結露性を付与してもよい。たとえば、冷凍庫に保存されていた箱を室温環境に移動した場合、冷やされた箱の表面で水蒸気が結露するため、箱に水滴がつく可能性がある。このようなMRA樹脂には、イングレディオン社(Ingredion)(アメリカ合衆国イリノイ州ウェストチェスター)より入手可能なCoragumSRが含まれ、耐湿性を付与するために、一般的には、1%~1.5%で添加される。
【0305】
発明者らは、波板状溝とライナーボードとの間の物理的接触が、伝導性熱移動の原因であること見出した。そこで、発明者らは、澱粉接着剤の断熱性を高めることを検討した。
【0306】
改質澱粉を混合した接着剤混合物を温め、十分に混合し、固形分を29.7%で測定した。これを用いて、コーティング16-01~22-02を作製した。22-02は、適切なコーティング剤を得るため、ミキサに8分間入れる必要があった。
【0307】
塗料ベースは、塗料取り扱い店より購入し、顔料(色をカスタマイズするために添加)の前に添加する。濃色塗料ベースは、顔料をほとんど含まず、そのほとんどがバインダ、粘度調整剤、炭酸カルシウムなどのミネラル増量剤のみを含む。ホーム・デポ小売店から入手可能なBehr Pro 23 Deep Base(固形分:53.6%)を使用して、試験を実施した。この塗料ベースをバインダとして使用し、JL30-01からJL39-01までの、断熱要素を含むコーティングをさらに作製した。
【0308】
【表6-1】

【表6-2】
【0309】
低熱放射率を有する断熱性クレイコーティング:
波板状段ボール箱および繊維ボードパッケージの多くは、クレイコーティングが施されている。このコーティングにより、表面が滑らかで平坦なインク受容面となるため、印字品質を高めることができる。また、未漂白パルプの色である茶褐色が白色で覆われるため、包装に高級感が生まれる。コーティングは2層で施されることが多い。第一層はカオリンクレイをベースとし、炭酸カルシウムで白色化されている。この層は、表面の曇り傷を埋めることによって、滑らかな面を実現する。第二層は二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを含む。クレイコーティングの配合は様々だが、多くの場合、カオリンクレイが含まれており、アクリルラテックスなどのフィルム形成バインダや、トウモロコシでんぷんが含まれていることもある。ポリマー分散剤は、通常、クレイコーティングを安定化するために含まれ、カルボキシメチルセルロース、または疎水性結合アルカリ膨潤性ポリマー(HASE樹脂)といった粘度調整剤も含まれることが多い。白色化のために二酸化チタン顔料と共に、炭酸カルシウムが含まれることも多い。このように、クレイコーティングは、放射熱伝導を低減する断熱要素を組み込む、さらなる機会となる。
【0310】
材料の放射率スクリーニング結果-伝導率法:
粉末材料をサンプリングし、サーマルカメラを通して、放射率差を観察・試験した。粉体表面の放射率と、黒色塗料を噴霧した粉体表面の放射率とを比較した。「NVD」は、目視で確認できる差異がなかったことを示す。
【0311】
【表7】
【0312】
これらの粉末サンプルデータは、追跡試験につながる、いくつかの気付きを与えることとなった。興味深いことに、これらの材料の中には、最初にコーティング(例えばカオリンや珪藻土)に配合された場合と、異なる結果を見せるものがあった。また、低熱伝導性により、読み取り値が歪められている場合もあった。
【0313】
材料の放射率スクリーニング結果-照明方法:
熱カメラを通して放射率の違いを観察するために、繊維板上にコーティングされたコーティングに組み込まれた材料と粉末材料の両方をサンプリングし、試験した。粉末表面、被覆表面、そして通常のボール紙を白熱タングステンスポット光で照射して、放射率を比較した。「NVD」は、ボール紙に対し、放射率に目視で確認できる差異がなかったことを示す。コーティング剤の配合は、以下の通りである。また、「NT」は、未テストを示す。
【0314】
【表8】
【0315】
これらのデータは、熱伝導に対する断熱性に加えて、熱放射と吸収に対する断熱性を追求するにあたり、さらなる気付きをもたらした。
【0316】
追加材料の入手先:
高屈折率ガラスを含むガラスビーズ、および再帰反射半球体ミラーガラスビーズ-コール・セイフティ・プロダクツ社(Cole Safety Products)
微細発泡ガラス-iM30Kを提供する、3Mスペシャルティマテリアルズ社(3M Specialty Materials)
オキシ塩化ビスマス-メイキング・コスメティックス社(Making Cosmetics Inc)(アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド)。真珠のような効果を出すために化粧品や包装に使われることの多い真珠光沢顔料である。Biju Ultra UFCおよびPearl Gloを提供するBASF社も入手先に挙げられる。
BiLite20粉末-BiOCl被覆マイカフレーク(BASF社)
バナジン酸ビスマス-ドミニオン・カラー社(Dominion Colour)(カナダ・オンタリオ州)
酸化チタン-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
酸化亜鉛-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハムおよびスカイ・オーガニクス社(Sky Organics)
Snowflake Sparkle Mica-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
Super Pearly White Mica-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
Pewter Mica-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
Party Pink Mica-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
Queens Purple Mica-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
黄酸化鉄-ブランブルベリー社(BrambleBerry)(アメリカ合衆国ワシントン州ベリンハム
Thermacels-ハイテク・サーマル・ソリューションズ社(HyTech Thermal Solutions)(アメリカ合衆国フロリダ州メルボルン)。塗料に混合することで、塗料の断熱特性を高まると歌っている材料。
RhoplexVSR-50は、水中で低VOCアクリル系フィルムを形成するバインダエマルジョンで、一般に、建築用塗料として使用される。元来は、ローム・アンド・ハース社(Rohm&Haas)より販売、現在では、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)より入手可能。
ミリスチン酸マグネシウム、またはH&Bオイルズ・センター社(H&B Oils Center Co)提供のSericite White Sparkle LuxuryMica着色顔料粉末で被覆したセリサイトマイカの表面を含むセリサイト。
Supertherm paintを提供するイーグル・スペシャリティ・コーティング社(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)
【0317】
繊維ボードまたは厚紙の放射率を試験するためのコーティング
【0318】
【表9】
【0319】
繊維ボード上の低放射率コーティング-クーラー窓試験
試験1および試験2を用いた迅速試験に基づき、更なる研究のために、数種類の材料が選択された。印刷を見据え、繊維ボードにはクレイコーティングが施されることも多く、表面を滑らかにし、白色で覆われる。そのための、基本的なクレイコート配合が生成された。
【0320】
カオリンクレイコーティング127-01:
【0321】
【表10】
【0322】
低放射率コーティング(組成%)
【0323】
【表11】
【0324】
ZnO-スカイ・オーガニクス社(Sky Organics)
HPMC-ヒドロキシプロピルメチルセルロース3%水溶液
BiOCl-PearlGlo(BASF社)として販売されるオキシ塩化ビスマス
Al-ZnO-Oocap社(アメリカ合衆国ニューメキシコ州ラスクル―セス)より入手可能な、アルミニウムドープ酸化亜鉛半導体(AZO100、粒度20nm~40nm)
TH500EF-ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)より入手可能なRopaque(商標)TH500EFで、直径約0.4ミクロン、固形分30%の中空ポリマー性微粒子顔料
TH1000EF-ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)より入手可能なRopaque(商標)TH1000EFで、直径約1ミクロン、固形分26.5%の中空ポリマー性微粒子顔料
銀(Ag)被覆泡ガラス-CoSpheric合同会社から入手可能。5ミクロン~30ミクロンの導電性銀金属被覆中空ガラス微小球体、0.75g/cmの密度、製品ID:M-18-Ag-0.75
【0325】
ジューボ・プラス社(Juvo Plus Inc.)(アメリカ合衆国カリフォルニア州アーウィンデール)から入手可能な、「kraft laser&ink jet printer post cards」170gsm(35ポンド/1,000平方フィート)を、#5マイヤーロッドを用いて、カオリンクレイコーティング127-01で被覆し、250°Fの熱風オーブン中で5分間乾燥させた。種々のコーティングを選択して板上に塗布し、その合間にコーティングを乾燥させた。サンプル領域を選択し、図43Aおよび図43Bに示した試験装置で試験した。ランプまでの距離を4.5インチとし、クーラーに4,500グラムの水を計量して投入し、撹拌機の回転を600rpmに設定して、ランプ照射1時間にわたる水温上昇を記録した。
【0326】
【表12】
【0327】
アルミニウム箔:アルミニウム箔(レイノルズ強力キッチンホイル)を、3Mスプレー接着剤を用いて、Juvoクラフト紙に、裏面を下にして取り付けた。
【0328】
【表13】
【0329】
*CoSpheric合同会社から入手可能な銀被覆泡ガラス。5ミクロン~30ミクロンの導電性銀金属被覆中空ガラス微小球体、0.75g/cmの密度、製品ID:M-18-Ag-0.75
【0330】
【表14】
【0331】
これらのデータは、箱によって吸収されるエネルギー量、あるいはコーティングされた箱の内側表面から放出されるエネルギー量を、約30%低減できることを示唆する。アルミニウム箔は、アルミめっき気泡緩衝シート同様、非常に効果的ではあるが、再パルプ化ラインに投入された場合に問題を引き起こす可能性があり、いずれにせよ、リサイクルにおいて困難を招く。これらのコーティングの多くは、箱内外に適用できるだけでなく、図23Aおよび図23Bにバラのシートとして示されるように、別個の包装シートとしても使用可能である。
【0332】
試験方法#4による放射率試験の結果:
【0333】
【表15】
【0334】
*CoSpheric合同会社から入手可能な銀被覆泡ガラス。5ミクロン~30ミクロンの導電性銀金属被覆中空ガラス微小球体、0.75g/cmの密度、製品ID:M-18-Ag-0.75
【0335】
【表16】
【0336】
放射率対伝熱に関する結果の考察
本発明者らは、独自の放射率試験方法1および2の結果、ならびに外部の研究所(熱放射率テスト方法#4)によって提供された放射率に関する結果に驚きを覚えた。というのも、(配達されるパッケージが実際に浴びるであろう太陽光の代わりとしての)白熱電球から紙シートを通って移動する放射熱エネルギーは、複数のコーティングにより低減していることが判明したが、第三者研究機関からの放射率結果は、クーラー窓試験によって測定された材料を通る熱移動とは相関していなかったのだ。明らかに、発明者らは、非自明な、予想外の熱特性を有するコーティングを複数発見したと言える。
【0337】
【表17】
【0338】
実施例3.断熱要素を含むシート:
【0339】
35ポンドのライナーボード(インターナショナルペーパー社(International paper)製)約5.35gを粉砕し、再パルプ化した。湿潤のために、必要であれば、界面活性剤と共にさらなる材料を添加した。まだ最適な配合とは言えないまでも、メイキング・コスメティックス社(Making Cosmetics Inc)より入手可能なカチオングアーガム等のカチオン多糖類、カチオン澱粉のり、ポリ(エチレンイミン)としても知られるPolyminP(BASF社)等の合成歩留まり向上剤、または種々の供給源より入手可能な高分子量のポリ(アクリルアミド)と共に、界面活性剤を添加することで、断熱要素を含む紙シートを形成できること見出した。疎水会合性ポリマー、例えばN-アルキルポリ(アクリルアミド)を組み込むこともできる。乾燥後の紙の中に残っている断熱材量の分析が待たれる。
【0340】
以下の配合物を生成し、紙として作製し、室温で乾燥させ、次いで灰含有率および水分含有率分析に回した:
【0341】
【表18-1】

【表18-2】
【0342】
物質収支をはかったところ、パーライトの一部及び微細物の一部が延伸工程およびプレス工程中に失われたことが確認された。
【0343】
再パルプ化の可・不可に関する試験:断熱紙およびユーライン社製断熱性段ボール箱
90ポンドの繊維ボードを紙シュレッダーにかけた。5.35gを計量し、通常通り熱湯に入れた。パルプは、35ポンドの紙から得たパルプよりも密度が高く、分散がより困難であった。紙シートは、以下の配合物を用いて作製した:
【0344】
【表19】
【0345】
対照(JL44-01)として、冷蔵物を輸送する既存の方法も、再パルプ化の可・不可について試験した。一重壁を有する、12インチ×10インチ×17インチの箱(型番:BS121007)の波板状ボール紙を、ユーライン社(Uline)より型番S-15223として入手可能な、3/16インチのCool-ShieldBubbleおよび金属化フィルムからなる断熱ボックスライナーに積層した。その際、3Mエアロゾルスプレー接着剤を用いて、材料を積層した。
【0346】
【表20】
【0347】
これらのデータは、紙構造に断熱要素を組み込むアプローチが、再パルプ化可能な包装用断熱材料の製造可能性につながることの妥当性を示すものである。
【0348】
実施例4.水分、灰含有率、および再パルプ化の可・不可を考慮した他のシート:
【0349】
35ポンド/1,000平方フィートの、添加剤を含む単層シートを作製し、ファイバーボード協会(Fiberboard Association)の再パルプ化の可・不可に関する自主基準に従って、再パルプ化の可・不可に関する試験を実施した。シートFA、FD、FE、FF、FGは、グレード100の漂白パルプ二次繊維(ドンコ・リサイクリング・ソリューションズ社(Donco Recycling Solutions)(所在地:アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ)より提供)を用いて、作製された。各シートの目標坪量は、35ポンド/1,000平方フィート(MSQ)であった。サンプルFDを例にとると、50%の添加剤を含む35MSQボードを作製するにあたり、1,000平方フィートの紙毎に、17.5ポンドの乾燥パルプを17.5ポンドの添加剤と混合する。灰含有率および水分を測定した後、シートに2回の再パルプ化を実施した:
【0350】
サンプルの詳細、水分、および灰含有率:
【0351】
【表21】
【0352】
再パルプ化の可・不可に関する試験データ:
【0353】
【表22】
【0354】
再パルプ化の可・不可に関する試験とその結果分析-灰含有率を考慮した場合:
【0355】
【表23】
【0356】
断熱充填剤の表面改質:
充填剤のなかには、疎水性が高く、濡れづらいものがある。エアロゲルや、シリコーン被覆微小球体パーライトも、それらに分類され、シリコーン被覆微小球体パーライトには、セノスター社(CenoStar Corp.)(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ニューベリー)製のCenoStarPグレード、またはアメリカン・ストーン・パイオニアーズ社(American Stone Pioneers)(アメリカ合衆国カリフォルニア州ローリング・ヒルズ・エステーツ)製のものが挙げられる。これらの材料の湿潤化においては、Microspersion EZに代表されるような、中程度のHLBを有する界面活性剤が有用である。湿潤粒子の負の表面電荷を増加させるために、ポリマー性界面活性剤を適切に選択し、添加することもできる。こうした界面活性剤には、アニオン性くし形コポリマー分散剤であるZetasperse3800(エボニック社(Evonik))、およびBYK社(アトランタ・グループ)より入手可能なDisperbyk190が含まれる。界面活性剤を用いても、これらの物質を完全に分散させるためには、機械的に高い剪断混合が必要な場合がある。高い剪断混合は、例えば、鋸刃ミキサまたはシルバーソン(Silverson)社製ミキサを用いることで、実現してもよい。通常のキッチン用ミキサを使用して、例えば2分~3分の短いバーストモードで混合し、その後、ドライブシールが過熱しないように冷却時間を設けてもよい。
【0357】
界面活性剤を含有する配合では、面倒な泡の蓄積を防ぐために、消泡剤が必要になることもある。消泡剤は広く知られており、1-オクタノールのような基本的なものであってよい。それらは通常、シリコーン含有界面活性剤のような低HLB界面活性剤、またはエボニック(Evonik)社製のSurfynol440、Surfynol420、およびSurfynol104Eといった界面活性剤である。疎水性シリカ分散液のような微粒子分散液も、消泡剤として使用することができる。
【0358】
表面改質断熱性充填剤:
【0359】
【表24】
【0360】
実施例5.断熱材を組み込んだ紙
【0361】
以下の配合を生成し、紙を作製した。ドンコ・リサイクリング・ソリューションズ社(Donco Recycling Solutions)より供給された漂白再生繊維から、パルプを固形分50%、水分50%で測定し、シュレッダーにかけた繊維ボードに代わり、9グラム(9.05±0.05g)を計量した。
【0362】
【表25-1】

【表25-2】

【表25-3】
【0363】
一層サンプル:
【0364】
【表26】
【0365】
厚さ:各円板紙について3回実施した測定平均値の、円板5枚分の平均値(15回のカリパー測定)
平均TADT:別個で試験したシート5枚分の平均値
熱データTADT:単層シートに対し、厚さを0.009インチに調整したもの
【0366】
発明者らは、記載のように処理されたパルプは容易に浮上するが、未処理のパルプは30分間放置されると水入った瓶の底に向かって沈降する傾向があることに留意した。理論によって制限されることは望ましくないが、発明者らは、正に帯電したポリマー(カチオングアーガム)を使用することによって、負に表面帯電した繊維に、負に表面帯電したと思われる粒子を結合させたと推測している。図44は、水312に、パルプ固形分(solid pulps)11約2%を含む二つの瓶310の写真を示している。左側のジャー310は、通常の漂白された二次プレコンシューマ繊維11を含み、一方、右側のジャー310は、JL67-01と同様の配合でエアロゲル12と組み合わせた同様のパルプ11を含む。
【0367】
平均厚さ調整デルタT(図46参照)を参照すると、断熱充填剤12を含むことで、紙シート10を通る熱伝導を遅くしていることが明らかである。なお、これら追加データの一部は、図46に棒グラフとして示してあるが、シート10の厚さは、前述の試験方法で示したものに従って考慮されている。これらのデータから、より大きい、75ミクロンの断熱性粒子を有するパーライト球は、より小さな20ミクロンのパーライト球よりも効果的であり得ることが見いだされた。
【0368】
パルプ11の多くが浮上したことを受け、発明者らは、重力により、断熱性粒子12が分類され得ることを見出した。図45は、一組の走査電子顕微鏡写真(SEM)を含む。SEMでは、カウチングされた紙シート10のワイヤ側とフェルト側とが比較されている。SEMを参照すると、20ミクロンのパーライト微小球体12、75ミクロンのパーライト微小球体12、およびエアロゲル12の場合、フェルト側(実験器具を用いた製紙作業中、上側にあたる)の方が、ワイヤ側に比べ、より多くの断熱性粒子12が分布しており、断熱性粒子12が不均一に分布していることが明らかである。
【0369】
二層サンプル:
発明者らは、断熱性粒子12が紙シート10内に不均一に分布していることが、断熱性の付与に貢献している可能性があると仮定した。以下の実験は、二つの層10のうちの一方に全ての断熱材を有するものと、二つの層10全体にわたって、断熱材がより均等に分布するものとの、断熱性効果を明らかにするために計画されたものである。
【0370】
【表27】
【0371】
界面活性剤=Microspersion EZ
これらのパルプ配合をもとに、数枚のシートを作製し、乾燥し、試験し、熱分析をかけた。
【0372】
【表28】
【0373】
これらのデータを参照すると、紙シート10の断面内に、断熱性粒子12の不均一な分布による利点が明らかである。
【0374】
図47は、シートDL2(MVAサンプル12905AD1703)およびシートDL3(MVAサンプル12905AD1702)のSEMであり、各シートの両面および断面を示す。DL3のフェルト側に、わずかな表面汚染(おそらくフェルトに付着したパーライトによるもの)が認められるものの、断面は何も付着していない状態である。DL2の断面には、2つの層にわたって、紙の厚さ方向全体にわたって分布したパーライト球が認められる。
【0375】
三層シート:
外側の2枚のシートがパルプであり、その間に挟まれる内側の層に高密度の断熱材を含まれる、計3枚のシートの場合を検討する。ディカライト・マネジメント・グループ(Dicalite Management Group)より供給されるDicapearlLD1006の、フレーク状パーライトも含まれていた。この材料を他の助剤を添加することなく、パルプに混合した。混ぜた後、
【0376】
【表29】
【0377】
厚さ調整温度変化(デルタT)の結果-カリパーで厚さを0.045インチに調整した場合
【0378】
【表30】
【0379】
*厚さを、カリパーで0.045インチに調整。
【0380】
厚さ調整温度変化(デルタT)の結果-一層サンプルとの比較のため、カリパーで厚さを0.009インチに調整した場合
【0381】
【表31】
【0382】
**厚さを、カリパーで0.009インチに調整。
【0383】
これらのデータは、低密度の断熱材を紙構造に組み込むことによって、断熱特性を少なくとも3倍~4倍高めることができることを示している。
【0384】
シートTL1~TL5は、第2層(中間層)にパルプと添加剤の混合物を含有する。パルプを含まない第2プライ(中間層)を生成して、断熱紙を作製することもできる。図12に示す通り、断熱充填剤または添加剤(12)は、繊維の二つの層(10)の間に濃縮体または乾燥粉末のいずれかとして添加され得る。同様に、図13Eに示すように、スロットダイコータまたは散布ブームを用いて、断熱性添加剤の濃縮スラリーを二つの層の間に組み込んでもよい。塗布ヘッドが、成形ライン上の、ヘッドボックス底層に十分に近い場合、水の量は充分多く、二つの層がある程度混合されることが予想される。そのため、繊維により、不均一なシート断面が維持されつつ、仕上げ紙内の3つの層同士が、z方向に接着される。
【0385】
中間層は、配合JL97-01のような濃縮体を含むことができる。中間層は、ラテックス製Rovene6400等のバインダ、ポリ(酢酸ビニル)、改質澱粉、加熱澱粉および非加熱澱粉の混合物、またはポリ(ビニルアルコール)等の水溶性合成ポリマーを任意で含み得る。必要であれば、消泡剤を添加して泡をコントロールしてもよい。Disperbyk190、Zetasperse3100、Surfynol440、またはその他種々の樹脂性および非樹脂性界面活性剤などの界面活性剤を中間層スラリーに含めて、断熱要素の湿潤化・安定化を図ってもよい。
【0386】
底部層および上部層は、歩留まり向上剤、凝集剤、またはバインダを含み得る。こうした材料は、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)といったカチオン性、または、カチオングアーガムといった四級アンモニウム官能化天然ポリマーであってもよい。このようにして、排水にともなって、添加剤が上部層から、中間層および底部層を通って移動することを制限し、微粉を捕捉する。
【0387】
第2層(中間層)用の濃縮体:
【0388】
【表32】
【0389】
パルプの層がヘッドボックスから出た直後に、これらのコーティング剤を製紙ラインに投入してもよい。濃縮コーティングは、スプレーノズル、ブレードコータ、カーテンコータ、またはスロットダイコータを用いて塗布され得る。次いで、凝固剤または凝集剤を、噴霧またはスロットダイコーティングを介して、中間層の上部に塗布してもよいが、これに限定されるものではない。凝固剤または凝集剤は、中間断熱層の下および上に位置する追加のパルプ層内に組み込まれてもよい。
【0390】
3層システムが検討されてきたが、より多くの数の層が同様に形成され、同様の工程を経て、5層、7層、あるいはそれ以上の層を有するシステムが形成され得ることは、言うまでもない。図13Gは、4層の抄紙機を示す。
【0391】
実施例6.3層に紙シートを重ねた波板状サンプル
【0392】
旧式の卓上手回し式コルゲータを購入した。このコルゲータは、H.アルブレヒト(H.Albrecht)によって、1880年3月23日に再発行された、米国再審査特許第009,127号明細書「溝形成機(Fluting-Machine)」に示されている。
【0393】
TL1のシートを、逆さにした5ガロンのバケツの内側から吊し、沸騰しているヤカンの上に置いて、シートに蒸気を当てた。手回し式の鋳鉄製コルゲータをヘアドライヤで温め、蒸気を当てて温められたシートを速やか波形に加工した。これを2枚の非波形シートTL1の間に迅速に接合し、基本となる波形構造を作製した。
【0394】
単層の充填シートを、実験室内で手によってプレスし、乾燥させた。
【0395】
【表33】
【0396】
シートEJを、逆さにした5ガロンのバケツの内側から吊し、沸騰しているヤカンの上に置いて、シートに蒸気を当てた。手回し式の鋳鉄製コルゲータをヘアドライヤで温め、蒸気を当てて温められたシートを速やか波形に加工した。これを2枚の非波形シートEJの間に迅速に接合し、基本となる波形構造を作製した。この過程を、3層全てに対し、シートEKを使用して繰り返した。
【0397】
TL1、EJ、およびEKのシートをそれぞれ、カオリンクレイ配合物127-01で被覆し、次いで乾燥し、さらに137-02(BiLite(BASF社)-オキシ塩化ビスマス被覆マイカフレーク)で被覆し、乾燥した。さらに多くの被覆されていないシートを蒸気に当て、溝を付け、図48に示されるように、コーティングされた面を外側に向けて、被覆シートの一枚を中に組み込んで、同様の波板状構造を作製した。
【0398】
直径10cmの円板を各サンプルから切り出し、熱試験のためにクーラー窓に取り付けた。海洋性接着剤で封止する前に、複合材料の表面がクーラーの前面と同一面になるように、サンプルをクーラーの前面に静かに押し込んだ。以下の直径10cmを有する円板も、対照として切断した:アルミめっき気泡緩衝シート、波板状C溝(23ポンドの媒体を有する35ポンドMSQクラフトライナー、コルゲイテッド・サプライズ社(Corrugated Supplies Inc.))、波板状B溝(23ポンドの媒体を有する35ポンドMSQクラフトライナー、コルゲイテッド・サプライズ社(Corrugated Supplies Inc.))、三重壁波板状B-C溝(23ポンドの媒体を有する35ポンドMSQクラフトライナー、コルゲイテッド・サプライズ社(Corrugated Supplies Inc.))。
【0399】
これらのサンプルはある程度の厚さを有していたたね、温度上昇を、初期期間にわたって、モニタリングした。初期期間とは、15分間の温度読み取り値が、三回連続で互いに±0.1℃以内の温度上昇に収まるまでの期間である。15分間にわたって一貫した温度上昇値を達成したとき、これを擬似定常状態とした。ホットランプの反射が干渉しないように注意しながら、携帯高温赤外線温度計を用いて、外側ランプ対向面の温度も測定した。通常、温度上昇の増加の擬似定常状態は、実行時間の15分以内に確立された。
【0400】
対照の結果
【0401】
【表34】
【0402】
【表35】
【0403】
*層の剥離により、構造が試験中に得られなかった。
【0404】
これらのデータは、放射性熱移動と伝導性熱移動の両方に対応する添加剤の組み合わせを示す。
【0405】
実施例7.コーヒーカップ用断熱スリーブでの実証
【0406】
図48は、飲料カップ用片面断熱スリーブ320を示しており、一般的に、このようなスリーブは、持ち帰り用使い捨てカップで熱いコーヒーを頼んだコーヒーショップの客が、ひどい火傷をしないよう使用される(図49のコップを参照)。デバイス320は、片面が、円錐台形構造320となるよう、特殊な形状に切り出された片面波板状クラフト繊維ボード(single-faced corrugated kraft fiberboard)100”から構成され、温飲料用コップ(図49のコップを再び参照)にはめるようにスライドさせて取り付けることで、薄いPEライニング紙コップから移動してくる熱から、持ち手を保護する。本発明は、食品および他の生鮮食品を低温に維持するために発明された物品60/62に関するものではあるが、熱い液体からの熱伝達に着目しても、断熱技術を分かりやすく実証できるものと考えた。この点に鑑みて、TL4のシートを追加で作製した。逆さにした5ガロンのバケツの内側で、TL4のシート1枚に蒸気を当て、あらかじめ温めておいた手回し式の鋳鉄製コルゲータで、波板状を速やかに作製した。この波板状TL4シートを、3M接触接着剤をスプレーした平坦なTL4シート上に置き、片面波板110”を形成した。市販の温飲料用コップスリーブを分解して、最終形状を確認し、得られた最終形状321を、TL4片面波板110”から切り出した。得られたスリーブ320を計量したところ、10gであった。
【0407】
ジューボ(Juvo)のクラフトボード35ポンド/1,000平方フィート(170gsm)ポストカードもまた、波板状である。3枚の平坦シートを積層し、1枚の波板状シートをその複合材に貼り付けた。これを最終製品として切り出し、スリーブ状にした際、その重さも10gであった。この複合材は、断熱材を含まないため、「対照」として扱った。
【0408】
ジューボ(Juvo)のクラフトで作製した対照およびTL4で作製したスリーブの両方を、スターバックス(Starbucks)(登録商標)の店舗から入手した、2個の「トール」サイズのPEライニング紙コップ360にそれぞれ被せた。さらに、比較対象として、発泡ポリ(スチレン)製コップ360も近くに載置した。やかんの水を沸騰させ、できるだけ安全に、かつ素早く、3つ全てのコップ360を熱湯で満たし、タイマーをスタートさせた。熱湯を入れてから30秒ごとに、赤外線高温計温度計を使用して、作製した両スリーブの外側の温度およびEPSコップの見かけの温度を測定した。
【0409】
【表36】
【0410】
TL4スリーブ320の外部温度は、対照スリーブおよび発泡ポリ(スチレン)製コップ360の両方よりも、温度が一貫して低かったことは明らかである。
【0411】
本発明は、上述された通りであり、また以降の特許請求の範囲でさらに説明されるもの
であるが、それらは、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。反対に、
本発明の要旨および/または添付の特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、本明細書
を読んだ当業者であれば、種々のさらなる実施形態、修正、およびそれらに当たるものを
行うことができることは、明確に理解されたい。
<付記>
項1
一以上の紙層、および断熱材を含み、
(1)二以上の紙層が設けられている場合、前記二以上の紙層は、一体型紙製品を形成
し、
(2)(a)(i)前記一以上の紙層と組み合わせる一つの層が前記断熱材を含む、お
よび、(ii)前記一以上の紙層内の一つの紙層が、断熱材の不均一な分布をその中に有
する、のうちの、少なくとも一つであるか、または、(2)(b)前記一体型紙製品自体
が、それを通る断熱材の不均一な分布を有する、
断熱紙製品。
項2
前記一以上の紙層は、単一紙層を含み、前記単一紙層は、断熱材の不均一な分布をその
中に有する、
項1に記載の断熱紙製品。
項3
前記単一紙層の、少なくとも一つの外面は、断熱材の層を含む、
項2に記載の断熱紙製品。
項4
前記断熱材の不均一な分布は、前記単一紙層内の断熱材の層を含み、前記断熱材の層は
、前記単一紙層の、向かい合う外面から離隔して位置する、項2に記載の断熱紙製品

項5
前記断熱紙製品は、前記一以上の紙層と組み合わせて、少なくとも一つの層を含み、前
記少なくとも一つの層は、前記断熱材を含む、
項1~4のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項6
前記一以上の紙層は、二以上の紙層を含み、前記一体型紙製品自体が、それを通る断熱
材の不均一な分布を有する、
項1に記載の断熱紙製品。
項7
前記一体型紙製品内の、一以上の紙層は、断熱材を含む、
項6に記載の断熱紙製品。
項8
前記一体型紙製品内の前記断熱材の不均一な分布は、(i)断熱材をその中に有する少
なくとも一つの紙層、および(ii)実質的に断熱材を有さない、少なくとも一つの紙層
を含む、
項6または7に記載の断熱紙製品。
項9
前記一体型紙製品内の全ての紙層が断熱材を含む、
項6または7に記載の断熱紙製品。
項10
前記一体型紙製品は、x個の紙層と、前記x個の紙層間に設けた(x-1)個の断熱材
の層とを含む、
項6~9のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項11
前記断熱材の不均一な分布は、前記一体型紙製品の外面に沿った、断熱材の層を含む、
項6~10のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項12
前記断熱材の不均一な分布は、前記一体型紙製品の両外面に沿った、断熱材の層を含む

項6~11のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項13
前記一体型紙製品は、2~24の紙層を含む、
項6~12のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項14
(i)前記二以上の紙層のいずれか一つ、または(ii)前記二以上の紙層のうち任意
の紙層の組合わせは、それぞれ独立に、項2~5のいずれか一項に記載の前記単一紙
層を含む、
項6~13のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項15
前記断熱紙製品は、空孔含有断熱紙製品を含む、
項1~14のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項16
前記空孔含有断熱紙製品は、少なくとも一つの紙層内に空孔を含み、前記空孔は、紙以
外の材料に囲まれている、
項15に記載の断熱紙製品。
項17
前記空孔含有断熱紙製品は、波板状紙製品含む、
項15または16に記載の断熱紙製品。
項18
前記一体型紙製品は、(i)一以上の第1紙層を含む第1ライナーボード層と、(ii
)一以上の第2紙層を含む第2ライナーボード層と、(iii)前記第1ライナーボード
層および前記第2ライナーボード層の間に位置する(a)一以上の波形紙層を含む波形紙
層または(b)ハニカム層と、を含み、(i)前記第1ライナーボード層、(ii)前記
第2ライナーボード層、および(iii)(a)前記波形紙層または(b)前記ハニカム
層が独立に、その中またはその上に断熱材を含んでよい、
項6~17のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項19
(a)前記波形紙層または(b)前記ハニカム層は、前記第1ライナーボード層および
前記第2ライナーボード層の間にエアポケットを設け、前記エアポケットは、(a)前記
波形紙層または(b)前記ハニカム層の全体積の約20体積%~80体積%を占める、
項18に記載の断熱紙製品。
項20
(a)前記波形紙層または(b)前記ハニカム層の一部を、前記第1ライナーボード層
および前記第2ライナーボード層の一部に接合する接着剤をさらに含む、
項18または19に記載の断熱紙製品。
項21
前記接着剤は、そのなかで分散する断熱材を有する、
項20に記載の断熱紙製品。
項22
(i)前記第1ライナーボード層、(ii)前記第2ライナーボード層、および(ii
i)(a)前記波形紙層または(b)前記ハニカム層は、独立に、項1~5のいずれか一項に記載の前記断熱紙製品、または項6~17のいずれか一項に記載の前記一体型紙製品を含む、
項18~21のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項23
前記一体型紙製品は、前記波形紙層を含む、
項18~22のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項24
前記断熱紙製品は、一以上の非紙層を更に含む、
項1~23のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項25
前記一以上の非紙層は、石膏層、粘土含有層、ポリマーコーティング、顔料含有層、布
層、断熱材の層、金属フィルム層、発泡体層、またはこれらの任意の組み合わせを含む、
項24に記載の断熱紙製品。
項26
前記一以上の非紙層は、前記断熱紙製品の放射率を低減させるコーティングを含む、
項1~25のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項27
前記一以上の非紙層は、オキシ塩化ビスマス、マイカ、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ
、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、バナジン酸ビスマス、石膏、セリサイト、粉末
シリコン、銀被覆泡ガラス、酸化アルミニウム、ローペイク(商標)TH500EF、ロ
ーペイク(商標)TH1000、またはこれらの任意の組み合わせを含む、
項24~26のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項28
前記一以上の非紙層は、オキシ塩化ビスマス、マイカ、酸化亜鉛、セリサイト、酸化ア
ルミニウム、ローペイク(商標)TH500EF、またはこれらの任意の組合わせを含む

項24~27のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項29
前記断熱材は、パーライト、銅イオンで被覆されたパーライト、膨張パーライト、パー
ライト中空微小球体、パーライト微小球体、粉砕膨張パーライト、パーライトフレーク、
多孔質火山性物質、バーミキュライト、中空膨張バーミキュライト、発泡ガラス、再生発
泡ガラス、セノスフィア、泡ガラス、ガラスマイクロバブル、シリカエアロゲル、微多孔
質ポリオレフィン系エアロゲル、キセロゲル、シーゲル、発泡澱粉、発泡紙パルプ、寒天
、発泡寒天、アルギン酸塩、発泡アルギン酸塩、またはそれらの任意の組合せを含む、
項1~28のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項30
前記断熱材は、パーライト、エアロゲル、活性炭、またはこれらの任意の組合わせを含
む、
項1~29のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項31
前記断熱材は、平均粒子径が約500ミクロン(μm)未満の粒子を含む、
項1~30のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項32
前記断熱材は、多峰性粒度分布を有する粒子を含む、
項1~31のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項33
断熱材を含有する各紙層は、前記紙層の総重量に対して、15.0重量パーセント(重
量%)~80.0重量%の繊維、および約85.0重量%~約20.0重量%の断熱材を
含む、
項1~32のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項34
断熱材を含有する各紙層は、前記紙層の総重量に対して、15.0重量%~80.0重
量%の繊維、および約85.0重量%~約20.0重量%の断熱材を含む、
項1~33のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項35
前記断熱材は、1立方センチメートルあたり0.6グラム(g/cm )未満の材料嵩
密度を有する、
項1~34のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項36
前記一以上の紙層の少なくとも一つの層は、1.0g/cm 未満の密度の層を有する

項1~35のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項37
前記一体型紙製品は、1.0g/cm 未満の一体型紙製品密度を有する、
項1~36のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項38
前記断熱紙製品は、立体物を形成するよう成型される、
項1~37のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項39
前記断熱紙製品は、保存容器を含み、前記保存容器は、少なくともその一部が、一つ以
上の容器壁に囲まれている保存容積を含む、
項1~38のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項40
前記保存容積は、一つ以上の容器壁によって、完全に囲まれている、あるいは囲むこと
ができる、
項39に記載の断熱紙製品。
項41
前記一つ以上の容器壁は、項1~38のいずれか一項に記載の前記断熱紙製品を含
む、
項39または40に記載の断熱紙製品。
項42
前記一つ以上の容器壁は、石膏層、粘土含有層、ポリマーコーティング、顔料含有層、
オキシ塩化ビスマス含有層、マイカ含有層、エアロゲル含有層、布層、断熱材の層、金属
フィルム層、フォーム層、空気層、前記一つ以上の容器壁の放射率を低下させるコーティ
ング、前記一つ以上の容器壁の熱伝導性を低下させるコーティング、ワックスまたはフッ
化炭素などの、前記一つ以上の容器壁の撥水性を高めるコーティング、エポキシまたはウ
レタンなどの反応性架橋剤、シリコーン系コーティング、ポリマーエマルジョンもしくは
ラテックス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項39~41のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項43
前記保存容器は、箱を含む、
項39~42のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項44
前記保存容器は、コップ、マグカップ、フラスコ、魔法瓶、温かい食べ物用のクラムシ
ェル型箱容器、冷蔵食品用のサラダ容器、緩衝材入り封筒、または輸送用容器を含む、
項39~43のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項45
前記保存容器の(i)内面、(ii)外面、または(iii)(i)および(ii)の
両方の上にコーティングをさらに含み、前記コーティングは、熱放射率測定法#4(「実
施例」に記載)を利用して測定した際、23℃において0.90未満の熱放射率を有する

項39~44のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項46
前記保存容器の(i)内面、(ii)外面、または(iii)(i)および(ii)の
両方の上にコーティングをさらに含み、前記コーティングは、酸化亜鉛、硫化亜鉛、マイ
カ、オキシ塩化ビスマス、硫化カドミウム、バナジン酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス被
覆マイカ、セリサイト、石膏、粉末シリコン、銀被覆泡ガラス、酸化アルミニウム、ロー
ペイク(商標)TH500EF、ローペイク(商標)TH1000、又はこれらの任意の
組合せから選択される材料を含む、
項39~45のいずれか一項に記載の断熱紙製品。
項47
項1~46のいずれか一項に記載の前記断熱紙製品を製造する方法であって、前記
方法は、
一以上の紙層および断熱材を含む断熱紙製品を形成することを含み、
(1)二以上の紙層が設けられている場合、前記二以上の紙層は、一体型紙製品を形成
し、(2)(a)(i)前記一以上の紙層と組み合わせる一つの層が前記断熱材を含む、
および、(ii)前記一以上の紙層内の一つの紙層が、断熱材の不均一な分布をその中に
有する、のうちの、少なくとも一つであるか、または、(2)(b)前記一体型紙製品自
体が、それを通る断熱材の不均一な分布を有し、
前記形成工程は、少なくとも一つの製紙工程を含む、
方法。
項48
前記形成工程は、前記断熱材を、前記一以上の紙層の一以上の紙層内に組み込むことを
含む、
項47に記載の方法。
項49
前記組込工程は、前記一以上の紙層の少なくとも一つの紙層中に、前記断熱材の不均一
な分布を形成することを含む、
項48に記載の方法。
項50
前記形成工程は、前記断熱材の層を、前記一以上の紙層上に形成することを含む、
項47~49のいずれか一項に記載の方法。
項51
前記形成工程は、二以上の紙層の間に、前記断熱材の層を組み込むことを含む、
項47~50のいずれか一項に記載の方法。
項52
前記形成工程は、前記断熱材以外の、一つ以上の添加剤を、前記一以上の紙層内の少な
くとも一つの紙層中に組み込むことを含む、
項47~51のいずれか一項に記載の方法。
項53
前記一つ以上の添加剤は、銅イオン、ワックス、合成繊維、シリカ、表面改質シリカ、
遷移金属表面改質シリカ、ゼオライト、シクロデキストリン、重炭酸ナトリウム、耐グリ
ース性および耐水性を付与するためのシリコーン、金属化セラミック粒子、金属化繊維、
カチオン澱粉、カチオン性ポリマー、カチオングアーガム、ポリ(エチレンイミン)、ポ
リ(アクリルアミド)、充填剤、サイズ、バインダ、クレイ、ベントナイトクレイ、カオ
リンクレイ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせを含む

項52に記載の方法。
項54
前記形成工程は、少なくとも一つの波形紙層を、前記一以上の紙層内に形成することを
含む、
項47~53のいずれか一項に記載の方法。
項55
前記形成工程は、二以上の紙層を互いに接合することを含む、
項47~54のいずれか一項に記載の方法。
項56
前記接合工程は、接着工程を含む、
項55に記載の方法。
項57
前記接着工程で使用される接着剤に、前記断熱材を組み込むことをさらに含む、
項56に記載の方法。
項58
前記少なくとも一つの波形紙層の一つ以上の空孔内に、前記断熱材を組み込むことをさ
らに含む、
項54~57のいずれか一項に記載の方法。
項59
前記形成工程は、前記一以上の紙層および少なくとも一つの追加層を含む壁構造を形成
することを含み、前記少なくとも一つの追加層は、断熱材の層、紙層または一体型製品の
放射性または熱伝導性を増加または減少させるコーティング、非紙層、空気層、またはそ
れらの任意の組み合わせを含む、
項47~58のいずれか一項に記載の方法。
項60
前記形成工程は、保存容器を形成することを含む、
項47~59のいずれか一項に記載の方法。
項61
前記保存容器は、項39~46のいずれか一項に記載の前記保存容器を含む、
項60に記載の方法。
項62
前記形成工程は、(i)バージンパルプ、(ii)再生紙パルプ、(iii)再生プレ
コンシューマ屑段ボール、(iv)項1~46のいずれか一項に記載の断熱紙製品の再生品、または(v)(i)~(iv)の任意の組合わせを使用して、前記一以上の紙層内に少なくとも一つの紙層を形成することを含む、
項47~61のいずれか一項に記載の方法。
項63
前記形成工程は、前記一以上の紙層、前記断熱紙製品、または波形構造を有する前記断
熱紙製品から立体物を形成するための、成型工程を含む、
項47~62のいずれか一項に記載の方法。
項64
前記成型工程は、加圧成型工程、熱形成工程、真空形成工程、またはこれらの任意の組
み合わせを含む、
項63に記載の方法。
項65
断熱材を含有する各紙層は、前記紙層の総重量に対して、15.0重量パーセント(重
量%)~80.0重量%の繊維、および約85.0重量%~約20.0重量%の断熱材を
含む、
項47~64のいずれか一項に記載の方法。
項66
断熱材を含有する各紙層は、前記紙層の総重量に対して、15.0重量%~60.0重
量%の繊維、および約85.0重量%~約40.0重量%の断熱材を含む、
項47~65のいずれか一項に記載の方法。
項67
前記断熱材は、0.6g/cm 未満の材料嵩密度を有する、
項47~66のいずれか一項に記載の方法。
項68
前記一以上の紙層のうちの少なくとも一つの層は、1.0g/cm 未満の層密度を有
する、
項47~67のいずれか一項に記載の方法。
項69
前記一体型紙製品は、1.0g/cm 未満の一体型紙製品密度を有する、
項47~68のいずれか一項に記載の方法。
項70
項1~46のいずれか一項に記載の前記断熱紙製品を使用する方法であって、
対象を前記断熱紙製品で断熱することを含む、
方法。
項71
前記対象は、食品、医薬品、または低温あるいは高温で保存されることが望ましい、他
の品目である、
項70に記載の方法。
項72
前記対象は、食品である、
項70あるいは71に記載の方法。
項73
前記方法は、項39~46のいずれか一項に記載の前記保存容器を使用する、
項70~72のいずれか一項に記載の方法。
項74
前記対象を前記断熱紙製品内に入れて搬送することをさらに含む、
項70~73のいずれか一項に記載の方法。
項75
前記対象を前記断熱紙製品内に入れて輸送することをさらに含む
項70~74のいずれか一項に記載の方法。
項76
前記断熱工程後に、前記断熱紙製品を再パルプ化することをさらに含む、
項70~75のいずれか一項に記載の方法。
項77
前記再パルプ化工程において、前記断熱材の少なくとも80%が、前記断熱紙製品から
除去される、
項76に記載の方法。
項78
新たに形成される断熱紙製品に、再パルプ化断熱紙製品から回収した繊維を組み込むこ
とをさらに含む
項70~77のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2A-2BC】
図3
図4A-4F】
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A-8C】
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14
図15
図16
図17
図18A-18B】
図19A-19D】
図20
図21
図22
図23A-23B】
図24
図25A-25B】
図26A-26B】
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図44
図45
図46
図47
図48
図49