IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプコス アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7386880スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置
<>
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図1
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図2A
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図2B
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図2C
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図2D
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図2E
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図3
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図4A
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図4B
  • 特許-スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20231117BHJP
   H01H 1/20 20060101ALI20231117BHJP
   H01H 1/22 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H01H50/54 D
H01H1/20
H01H1/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021545373
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2020055867
(87)【国際公開番号】W WO2020187586
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】102019106832.0
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミンクヴィッツ, ロベルト
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-35335(JP,A)
【文献】特表2009-519571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/54
H01H 1/20
H01H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング装置用の接触機構(200)であって、
軸上に保持要素(20)を配置するための円筒軸(A)を有する円筒形の孔(23)を備える保持要素(20)と、
前記保持要素に差し込まれ、少なくとも1つの接触領域(40)を有する上面(41)と、前記上面と対向する下面(42)とを有するコンタクトブリッジ(4)と、を備え、
前記コンタクトブリッジは、前記保持要素上で、前記円筒軸の周りの回転により、前記円筒軸に沿った方向においてロックされた状態へと移行可能である、接触機構。
【請求項2】
前記コンタクトブリッジは孔(43)を備え、前記孔を通って前記保持要素の差し込み部(21)が突出する、請求項1に記載の接触機構。
【請求項3】
前記差し込み部は少なくとも1つの保持ラグ(24)を備え、前記保持ラグによって前記コンタクトブリッジは前記保持要素にロック可能であり、前記保持ラグはロックされた状態において前記コンタクトブリッジの前記上面の領域に配置されている、請求項2に記載の接触機構。
【請求項4】
前記コンタクトブリッジの前記孔は、前記保持要素の前記少なくとも1つの保持ラグのための少なくとも1つの導入溝(44)を有する孔壁(430)を備え、前記少なくとも1つの導入溝は、前記コンタクトブリッジの前記上面から前記下面まで延びる、請求項3に記載の接触機構。
【請求項5】
前記コンタクトブリッジは前記孔壁内に少なくとも1つの保持溝(45)を備え、前記保持溝は、前記コンタクトブリッジの前記上面から前記下面の方向へ延びているが、前記コンタクトブリッジの前記下面には達していない、請求項4に記載の接触機構。
【請求項6】
前記差し込み部は2つの保持ラグを備え、前記保持ラグは前記円筒軸に対して垂直な方向において前記差し込み部の対向する側に配置されており、前記コンタクトブリッジは前記孔壁内に前記少なくとも2つの保持ラグに関連付けられた前記導入溝を備える、請求項5に記載の接触機構。
【請求項7】
前記コンタクトブリッジは前記孔壁内に前記少なくとも2つの保持ラグに関連付けられた前記保持溝を備える、請求項6に記載の接触機構。
【請求項8】
前記保持要素は前記差し込み部に隣接する台座部(22)を備え、前記円筒形の孔は前記差し込み部及び前記台座部を通って延びる、請求項2~7のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項9】
コンタクトスプリング(17)を更に備え、前記コンタクトスプリングは前記少なくとも1つの接触領域とは反対側の前記コンタクトブリッジの下面上に配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項10】
前記コンタクトスプリングは、前記台座部の少なくとも一部を取り囲む、請求項9に記載の接触機構。
【請求項11】
前記コンタクトスプリングは、前記コンタクトブリッジが前記保持要素にロックされた状態において、前記コンタクトブリッジの前記下面と直接的に接触し、前記コンタクトブリッジの前記下面は、前記コンタクトスプリングのための対抗支持部を形成する、請求項9又は10に記載の接触機構。
【請求項12】
前記保持要素は、前記コンタクトスプリングの前記コンタクトブリッジとは反対側に、前記コンタクトスプリングのための対抗支持部(25)を備える、請求項9~11のいずれか1項に記載の接触機構。
【請求項13】
少なくとも1つの固定接点(2、3)と、請求項1~12のいずれか1項に記載の接触機構(200)とを、スイッチングチャンバ(11)内に備え、
前記接触機構(200)は、軸(7)を有するマグネットアーマチュア(5)によって移動可能であり、
前記軸(7)は前記保持要素(20)の円筒形の孔(23)内に配置されている、スイッチング装置(100)。
【請求項14】
前記接触機構の前記保持要素(20)は、スナップリング(19)又はリベットによって前記軸にロックされている、請求項13に記載のスイッチング装置。
【請求項15】
前記保持要素は、前記保持要素の前記孔(23)内にねじ山(27)を備え、前記ねじ山によって前記保持要素は前記軸上のねじ山(71)にねじ込まれている、請求項13又は14に記載のスイッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチング装置用の接触機構及びスイッチング装置が提示される。
【背景技術】
【0002】
スイッチング装置は、特に、電流によって駆動可能で、電磁的に作動する、遠隔操作されるスイッチとして設計されている。スイッチング装置は、制御回路を介して作動させることができ、負荷回路を切り替えることができる。特に、スイッチング装置は、リレーとして又は接触器として、特に電力接触器として設計され得る。特に有利には、スイッチング装置は、ガス充填された電力接触器として設計され得る。
【0003】
このようなスイッチング装置の、特に電力接触器の1つの可能な用途は、例えば電気的に又は一部電気的に駆動される原動機付き車両のような原動機付き車両における、バッテリ回路の開放及び切断である。これらは、例えば、純粋にバッテリ駆動される車両(BEV:「バッテリ電気自動車」)、コンセント又は充電ステーションを介して充電可能なハイブリッド電動車両(PHEV:プラグインハイブリッド電気自動車)及びハイブリッド電動車両(HEV:ハイブリッド電気自動車)であることができる。その際、通常は、バッテリのプラス及びマイナスの接点が共に、電力接触器を用いて切断される。この切断は、例えば、車両のアイドル状態のような通常作動時にも、例えば事故などのような故障の場合にも、行われる。その際、車両をゼロ電位に切り替え、電流を遮断することが、電力接触器の主要な役割である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、スイッチング装置用の接触機構を提示することである。特定の実施形態の少なくとも1つの別の課題は、スイッチング装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの課題は、独立請求項に記載の主題によって解決される。当該物及び当該方法の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項で明らかにされ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、接触機構はコンタクトブリッジを備える。接触機構は、特にスイッチング装置用の接触機構であることができ、コンタクトブリッジは、スイッチング装置の可動接点又はスイッチング装置の可動接点の一部であることができる。したがって、以下で説明される可動接点の特性及び特徴は、コンタクトブリッジの対応する特性及び特徴であり得るし、その逆でもあり得る。少なくとも1つの別の実施形態によれば、スイッチング装置は、そのような接触機構を備える。以下の実施形態及び特徴は、接触機構及びスイッチング装置について同様に当てはまる。
【0007】
別の実施形態によれば、スイッチング装置は、少なくとも1つの固定接点と、上述したように特に接触機構のコンタクトブリッジによって形成されるか又はこれを備えることができる少なくとも1つの可動接点と、を備える。少なくとも1つの固定接点及び少なくとも1つの可動接点は、スイッチング装置に接続可能な負荷回路のオン・オフを切り替えるように設けられ適合されている。それに応じて、可動接点、すなわち特に接触機構のコンタクトブリッジは、スイッチング装置内で、スイッチング装置の非接続状態においては、少なくとも1つの固定接点から隔てられ、したがって電気的に切断されており、接続状態においては、少なくとも1つの固定接点への機械的な接触を有し、したがって電気的に当該少なくとも1つの固定接点と接続されているように、スイッチング装置の非接続状態と接続状態との間で移動可能である。
【0008】
特に有利には、スイッチング装置は少なくとも2つの固定接点を備え、当該固定接点は、スイッチング装置内で互いに別々に配置されており、上述した方法で、可動接点すなわち特にコンタクトブリッジの状態に応じて、可動接点すなわち特にコンタクトブリッジを介して互いに導電的に接続されるか又は互いに電気的に分離されることができる。コンタクトブリッジは、有利には、少なくとも1つの接触領域を有する上面と、上面と対向する下面とを備える。スイッチング装置の接続状態において、コンタクトブリッジの少なくとも1つの接触領域は、少なくとも1つの固定接点、特に少なくとも1つの固定接点の接触領域と、機械的に接触している。スイッチング装置が例えば2つの固定接点を備える場合、コンタクトブリッジは相応して2つの接触領域を備えることができる。
【0009】
以下において、一般的な用語「接点」は、特に、全ての固定接点、及び、コンタクトブリッジ又はコンタクトブリッジを有する接触機構と関連付けられ得る。特に、接点は、金属、有利には銅又は銅合金を含むか又はこれらから成ることができる。更に、少なくとも接触領域のためには、例えば、有利には銅を含むか又はそれから成る金属マトリックス材料、及び、その中に分散された有利には例えば酸化アルミニウムのようなセラミック材料を含むか又はそれから成る粒子の形態の複合材料も可能である。
【0010】
別の実施形態によれば、スイッチング装置はハウジングを備え、当該ハウジング内には、接触機構及び少なくとも1つの固定接点又は少なくとも2つの固定接点が配置されている。接触機構は、特に、完全にハウジング内に配置されることができる。固定接点がハウジング内に配置されているということは、特に、少なくとも、接続状態において可動接点と機械的に接触する固定接点の接触領域が、ハウジングの内部に配置されていることを意味し得る。スイッチング装置によって切り替えられるべき回路の導線の接続のために、ハウジング内に配置された固定接点は、外部から、すなわちハウジングの外側から、電気的に接触可能であり得る。このために、ハウジング内に配置された固定接点は、一部がハウジングから突出することができ、ハウジングの外側において、導線のための接続の可能性を有し得る。
【0011】
別の実施形態によれば、接点は、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されている。これは、特に、接触機構がハウジング内において完全にガス雰囲気中に配置されており、更に、固定接点の一部、例えば固定接点の接触領域が、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されていることを意味し得る。それに応じて、スイッチング装置は、特に有利には、例えばガス充填接触器のようなガス充填されたスイッチング装置であることができる。
【0012】
別の実施形態によれば、接点、すなわち接触機構の全体及び固定接点の少なくとも一部は、ガス、すなわちガス雰囲気の少なくとも一部が存在するハウジングの内側のスイッチングチャンバ内に配置されている。ガスは、有利には少なくとも20%のH、有利には50%のHを含むことができる。水素に加えて、ガスは、不活性ガス、特に有利にはN及び/又は1つ又は複数の希ガスを含むことができる。
【0013】
別の実施形態によれば、接触機構は、スイッチング装置内において、マグネットアーマチュアによって移動可能である。マグネットアーマチュアは、このために、特に軸を備えることができ、当該軸は、接触機構が軸によって移動可能であるように、すなわち軸の移動の際に当該軸によって同様に移動されるように、一端において接触機構と接続されている。軸は、特に、スイッチングチャンバ内の開口を通って、スイッチングチャンバ内へ突出することができる。マグネットアーマチュアは、上述したスイッチング動作をもたらすために、磁気回路によって移動可能であることができる。このために、磁気回路は、開口を有するヨークを備えることができ、当該開口を通じて、マグネットアーマチュアの軸が突出する。軸は、有利には、特殊鋼を含むか又はそれから成ることができる。ヨークは、有利には、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか又はそれらから成ることができる。
【0014】
別の実施形態によれば、接触機構は保持要素を備えており、当該保持要素にはコンタクトブリッジが配置されている。更に、コンタクトブリッジは、保持要素にロック可能である。特に、コンタクトブリッジは、接触機構がスイッチング装置内に組み込まれた状態において、恒久的に、保持要素にロックされた状態にある。
【0015】
保持要素は、特に、接触機構がスイッチング装置内に組み込まれた状態において、軸に固定されることができる。特に有利には、保持要素は円筒軸を有する円筒形の孔を備えることができ、当該孔は、保持要素が軸上に配置可能であり、特に接触機構がスイッチング装置内に組み込まれた状態において軸上に配置されるよう、設けられ適合されている。特に有利には、軸は、接触機構がスイッチング装置内に組み込まれた状態において、保持要素の円筒形の孔内に配置されることができる。このために、軸は、保持要素の孔の中へ押し込まれることができる。特に有利には、軸は、孔を通じて押し込まれることができ、その結果、軸は、両側で保持要素の孔から突出する。更に、保持要素、したがって接触機構は、軸にロックされることができる。これは、例えば、軸上のスナップリング又はリベットによって可能であり得る。更に、保持要素、したがって接触機構は、軸にねじ止めされることができる。このために、保持要素は、孔内にねじ山を備えることができ、当該ねじ山によって、保持要素は、軸のねじ山にねじ込まれている。更に、保持要素は、この場合、例えば同様にスナップリング及び/又はリベット及び/又はロックナットによって、軸にロックされることができる。
【0016】
別の実施形態によれば、コンタクトブリッジは、保持要素上に差し込まれている。特に、コンタクトブリッジは、保持要素上に差し込まれた後、保持要素の孔の円筒軸の周りに回転させることによって、ロックされた状態へ移行可能であることができる。接触機構が組み立てられた状態において、コンタクトブリッジは、保持要素上でロックされた状態にあることができる。これは、特に、コンタクトブリッジが円筒軸に沿う方向においてロックされていること、すなわち保持要素から抜き取られ得ないことを意味し得る。したがって、ロックされた状態において、保持要素とコンタクトブリッジはもはや分離することはできないが、コンタクトブリッジは、移動可能な状態で、特に保持要素の孔の円筒軸に沿って移動可能な状態で、保持要素にロックされることができる。
【0017】
別の実施形態によれば、保持要素は差し込み部を備えており、当該差し込み部にはコンタクトブリッジが差し込まれている。このために、コンタクトブリッジは、有利には孔を備えており、当該孔を通って、保持要素の差し込み部が突出している。これは、特に、コンタクトブリッジが保持要素上に差し込まれる際、孔を有するコンタクトブリッジが保持要素の差し込み部上に押し込まれるか、又は逆に、保持要素の差し込み部がコンタクトブリッジの孔内に押し込まれることを意味し得る。特に、保持要素の差し込み部は、コンタクトブリッジが差し込まれた後、コンタクトブリッジの孔を通って突出することができる。特に、コンタクトブリッジは、更に、差し込み部よりも幾分大きな寸法を有する孔を備えることができ、その結果、コンタクトブリッジは、傾斜可能な状態で差し込み部に支持されることができる。
【0018】
別の実施形態によれば、差し込み部は少なくとも1つの保持ラグを備え、当該保持ラグによってコンタクトブリッジは保持要素にロック可能であり、前記保持ラグはロックされた状態においてコンタクトブリッジの上面の領域に配置されている。少なくとも1つの保持ラグにより、ロックされた状態において、特に、保持要素の孔の円筒軸の方向に沿ってコンタクトブリッジが保持要素から抜き取られることが、防止され得る。更に、コンタクトブリッジの孔は、保持要素の少なくとも1つの保持ラグのための少なくとも1つの導入溝を有する孔壁を備えることができ、少なくとも1つの導入溝は、コンタクトブリッジの上面から下面まで延びている。差し込みの際、接触ブリッジは、特に、保持ラグが導入溝を通って押し込まれることができるよう、保持要素に対して回転されて位置合わせされる。保持ラグが完全に押し込まれた後、コンタクトブリッジは、保持要素の孔の円筒軸の周りで保持要素に対して回転され、その結果、導入溝及び保持ラグは、互いにオフセットされた状態で位置合わせされる。
【0019】
別の実施形態によれば、コンタクトブリッジは孔壁に少なくとも1つの保持溝を備え、当該保持溝はコンタクトブリッジの上面から下面の方向へ延びている。特に、保持溝は、下面までは延びていない。コンタクトブリッジがロックされた状態において、保持要素上では、保持ラグが、有利には保持溝内に配置される。これにより、保持要素に対するコンタクトブリッジの回転が防止され得る。
【0020】
更に、差し込み部が2つの保持ラグを備え、当該保持ラグが、円筒軸に対して垂直な方向において、差し込み部の対向する側に配置されていることもできる。したがって、コンタクトブリッジは、孔壁に、保持ラグに関係付けられた少なくとも2つの導入溝を備えることができる。更に、コンタクトブリッジは、孔壁に、少なくとも2つの保持ラグに関連付けられた保持溝を備えることができる。
【0021】
別の実施形態によれば、保持要素は、差し込み部に隣接する台座部を備えており、保持要素の円筒形の孔は、差し込み部及び台座部を通じて延びている。台座部は、有利には、少なくとも部分的にコンタクトブリッジの孔に嵌り込まないように形成されており、その結果、台座部は、保持要素の孔の円筒軸に沿った方向におけるコンタクトブリッジの移動の自由度を制限することができる。例えば、差し込み部及び台座部は、それぞれ、それらの外面に関して円筒形又は実質的に円筒形であるように設計されることができ、台座部は差し込み部よりも大きい直径を有している。特に、台座部及び少なくとも1つの保持ラグにより、移動の自由度の制限、したがってコンタクトブリッジのロックは、保持要素の孔の円筒軸に沿った両方の方向においてもたらされ得る。
【0022】
別の実施形態によれば、接触機構はコンタクトスプリングを更に備え、当該コンタクトスプリングは少なくとも1つの接触領域とは反対側のコンタクトブリッジの下面上に配置されている。特に、コンタクトスプリングは、保持要素の一部、特に有利には台座部の少なくとも一部を取り囲むことができる。コンタクトスプリングは、コンタクトブリッジが保持要素にロックされた状態において、コンタクトブリッジの下面と直接的に接触することができ、その結果、コンタクトブリッジの下面は、コンタクトスプリングのための対抗支持部を形成する。更に、保持要素、特に台座部は、コンタクトスプリングのコンタクトブリッジとは反対側に、コンタクトスプリングのための対抗支持部を備えることができる。換言すれば、台座部の一部は、コンタクトスプリングのための対抗支持部として設計され得る。
【0023】
別の実施形態によれば、保持要素は電気絶縁材料を含む。特に有利には、保持要素は、1つ又は複数の電気絶縁材料から成り、その結果、保持要素は電気絶縁性であることができる。電気絶縁材料は、ポリマー及びセラミック材料から選択することができ、例えば、特に構造(CHO)を有するポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維充填PBT及び例えばAlのような電気絶縁性の金属酸化物から選択することができる。特に、保持要素は、コンタクトブリッジ、又は、有利にはコンタクトブリッジ及びコンタクトスプリングを、軸から電気的に絶縁することができる。それにより、コンタクトブリッジは、磁気駆動装置の構成要素から、すなわち特にマグネットアーマチュアの構成要素から、電気的に絶縁された状態で支持されることができる。それにより、保持要素は、コンタクトブリッジの支持及びロック、並びに、コンタクトブリッジの電気的絶縁を、同時に可能とすることができる。
【0024】
ここに記載された接触機構の場合、上述した特徴に対応して、特に、以下の利点のうちの少なくとも1つ又は複数又は全てが達成され得る:
- 容易な組立可能性
- 低コストをもたらし得る少ない材料の使用
- 軸からのコンタクトブリッジの完全な電気的絶縁
- コンタクトブリッジの熱的絶縁
- コンタクトブリッジの柔軟な支持及び傾斜可能性
- 保持要素に対するコンタクトブリッジの回り止め
- スイッチングチャンバ及び固定接点に対する保持要素、したがって接触機構の回り止め
【0025】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して説明される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】スイッチング装置の概略図である。
図2A】一実施例によるスイッチング装置用の接触機構の概略図である。
図2B】一実施例によるスイッチング装置用の接触機構の概略図である。
図2C】一実施例によるスイッチング装置用の接触機構の概略図である。
図2D】一実施例によるスイッチング装置用の接触機構の概略図である。
図2E】一実施例によるスイッチング装置用の接触機構の概略図である。
図3】別の実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
図4A】別の実施例によるコンタクトブリッジの一部の概略図である。
図4B】別の実施例によるコンタクトブリッジの一部の概略図である。
図5】別の実施例による接触機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部品、部材及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0028】
図1には、例えば、大電流及び/又は高電圧のスイッチングのために使用することができ、リレー又は接触器、特に電力接触器であり得る、スイッチング装置100が示されている。図示された幾何学的形状は、例示的なものにすぎず、限定的なものではないと理解されるべきであり、別の態様でも設計され得る。
【0029】
スイッチング装置100は、ハウジング1内に、2つの固定接点2、3と、コンタクトブリッジ4の形態の1つの可動接点と、を備えている。コンタクトブリッジ4は、コンタクトプレートとして設計されている。固定接点2、3は、コンタクトブリッジ4と共に、スイッチング接点を形成している。図示された接点数に代えて、固定接点及び/又は可動接点の他の数も可能である。ハウジング1は、主として、内部に配置された構成要素のための接触保護(Beruhrschutz)として用いられており、例えばPBT又はガラス繊維充填PBTのようなプラスチックを含むか又はそれから成っている。固定接点2、3及びコンタクトブリッジ4は、例えば、Cu、Cu合金、あるいは、銅と例えばW、Ni及び/又はCrのような少なくとも1つの別の金属との混合物を含むか又はそれらから成ることができる。
【0030】
図1において、スイッチング装置100は、コンタクトブリッジ4が固定接点2、3から隔てられたアイドル状態で示されており、その結果、固定接点2、3とコンタクトブリッジ4とは電気的に互いに切断されている。スイッチング接点及び特にその幾何学的形状の図示された実施形態は、純粋に例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。代替的に、スイッチング接点を他の態様で設計することもできる。例えば、スイッチング接点のうちの1つのみが固定接点として設計されていることが、可能であり得る。
【0031】
スイッチング装置100は、実質的にスイッチング運動を実行する可動のマグネットアーマチュア(Magnetanker)5を備えている。マグネットアーマチュア5は、例えば強磁性材料を含むか又はそれから成る磁心6を備えている。更に、マグネットアーマチュア5は、磁心6を貫通して導かれ、軸端において強固に磁心6と接続された軸7を備えている。磁心6に対向する軸の他端において、マグネットアーマチュア5は、軸7の動きに追随するように当該軸と接続されるか又は当該軸に支持されたコンタクトブリッジ4を備えている。軸7は、有利には、特殊鋼を含むか又はそれから製造することができる。
【0032】
磁心6は、コイル8によって取り囲まれている。制御回路を介して外部から接続可能なコイル8内の電流は、コンタクトブリッジ4が固定接点2、3と接触するまで、磁心6、したがってマグネットアーマチュア5全体の軸方向の運動を発生させる。図示された例では、マグネットアーマチュアは上方へ移動する。したがって、マグネットアーマチュア5は、図示されたアイドル状態及び同時に切断状態すなわち非接続状態したがってスイッチオフ状態に相当する第1の位置から、アクティブ状態すなわち接続状態したがってスイッチオン状態に相当する第2の位置へ、移動する。アクティブ状態において、固定接点2、3とコンタクトブリッジ4とは、電気的に互いに接続されている。コイル8内の電流が遮断されると、マグネットアーマチュア5は、1つ又は複数のスプリング10によって再び第1の位置へ移動される。したがって、図示された例では、マグネットアーマチュア5は再び下方へ移動する。スイッチング装置100は、その際、再びスイッチング接点が開放されたアイドル状態にある。
【0033】
スイッチング接点の開放の際、接触面に損傷を与え得るアークが発生する可能性がある。それにより、固定接点2、3及びコンタクトブリッジ4のうちの少なくとも1つが、アークによって引き起こされる溶接により互いに「固着」したままとなり、もはや互いに分離されないという危険性が存在し得る。したがって、この場合、スイッチング装置は、コイル内の電流がスイッチオフされ、したがって負荷回路が切断されなければならないときに、依然としてスイッチオンされた状態にある。このようなアークの発生を防止するために、又は、少なくとも発生するアークの消滅を促進するために、固定接点2、3及びコンタクトブリッジ4はガス雰囲気中に配置されており、その結果、スイッチング装置100は、ガス充填リレー又はガス充填接触器として設計されている。このために、スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13によって形成されたスイッチングチャンバ11の内部の固定接点2、3及びコンタクトブリッジ4は、気密に閉鎖された部分によって形成された気密領域16内に配置されている。気密領域16は、固定接点2、3のうち外部接続のために設けられた部分を除いて、マグネットアーマチュア5及びスイッチング接点を完全に取り囲んでいる。気密領域16、したがってスイッチングチャンバ11も、ガス14で充填されている。気密領域16は、実質的に、スイッチングチャンバ11、ヨーク9及び追加の壁の一部によって形成される。スイッチング装置100の生産の過程でガス充填ノズル(図示せず)を通じて気密領域16内に充填され得るガス14は、特に有利には、例えば不活性ガス中に少なくとも20%又は少なくとも50%以上のHを含むか、あるいは、100%のHを含む、水素含有ガスであることができる。というのは、水素含有ガスは、アークの消滅を促進し得るからである。更に、いわゆるブローアウト磁石(図示せず)、すなわちアーク経路の延長をもたらし、したがってアークの消滅を改善することができる永久磁石を、スイッチングチャンバ11の内側又は外側に存在させることができる。スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13は、例えば、Alのような金属酸化物で又はそれから製造することができる。更に、十分に高い温度安定性を有するプラスチック、例えばPEEK、PE及び/又はガラス繊維充填PBTも好適である。代替的に又は付加的に、スイッチングチャンバ11は、少なくとも部分的に、特に構造(CHO)を有するPOMも含むことができる。
【0034】
コンタクトブリッジ4の切り換えの際の高さの差を調整すると共に、固定接点2、3とコンタクトブリッジ4との間の十分な機械的接触を達成することができるよう、コンタクトブリッジ4の下方には、固定接点2、3の方向の力をコンタクトブリッジ4に作用させるコンタクトスプリング17が配置されている。ヨーク9の領域には、コンタクトブリッジ4とは反対側のコンタクトスプリング17の端部のための対抗支持部が配置されている。コンタクトスプリング17の他端には、コンタクトブリッジ4とコンタクトスプリング17との間に、電気絶縁材料から成る別のスプリング支持部18が付加的に配置されている。これにより、コンタクトブリッジ4と、コンタクトスプリング17、軸7及び他の導電性構成要素のような別の部材との間の電気的な絶縁が達成され得る。そのような電気的な絶縁は、特定の用途における動作中に負荷回路と制御回路との間に高電圧が発生する可能性があるため、必要である。絶縁要求は、これに関して、通常、2400VAC~5000VACの範囲又は更に高い電圧である。負荷回路すなわち特にコンタクトブリッジと、制御回路との間に、十分な電気的な絶縁が存在しない場合、制御回路網へのフラッシュオーバーに至る可能性があり、これは高い安全性リスクを意味する。上述したスプリング支持部及び/又は他の適切な付加的な絶縁要素のような、付加的に取り付けられる絶縁要素による絶縁に代えて、例えばコイルを絶縁材料で鋳込むことも、従来技術において知られている。しかしながら、絶縁措置は、通常、費用が掛かり、生産及び製造コストを高める。
【0035】
以下の図面に関連して、接触機構200及びそのような接触機構200を有するスイッチング装置100の実施例が説明されるが、これらの実施例は、とりわけ、容易な組立可能性並びにより少ない材料及びより少ない構成要素の使用という利点を提供する。更に、接触機構200の構造によって、図1に関連して説明したようにコンタクトスプリングとコンタクトブリッジとの間に付加的な絶縁性のスプリング支持部が存在することを必要とせずに、コンタクトブリッジ4を電気的にも熱的にも絶縁することが可能である。更に、以下で説明される接触機構200は、コンタクトブリッジ4の柔軟な支持及び傾斜可能性、並びに、接触機構200に対するコンタクトブリッジ4の、並びに、スイッチングチャンバ11及び固定接点2、3に対する接触機構200の回り止めを可能とすることができる。
【0036】
図2A~2Eに関連して、スイッチング装置のための接触機構200の実施例が示されており、スイッチング装置は、以下に記載される特徴を除いて、図1に関連して記載されたスイッチング装置のように設計され得る。図2A図2Cは、保持要素20及びコンタクトブリッジ4を有する接触機構200の概略的な3次元図及び互いに垂直な概略断面図を示しており、一方、図2D及び2Eでは、保持要素20及びコンタクトブリッジ4が、それぞれ個別に概略的な3次元図で示されている。以下の記載は、図2A~2Eに同様に当てはまる。
【0037】
図2A~2Cでは、軸7上での、したがってスイッチング装置内での接触機構200の配置を示すために、スイッチング装置の軸7も付加的に示されている。保持要素20は円筒軸Aを有する円筒形の孔23を備え、当該孔は、保持要素20が軸7上に配置可能であり、特に接触機構がスイッチング装置内に組み込まれた状態において軸7に接して配置されるよう、設けられ適合されている。特に、軸7は、スイッチング装置内に組み込まれた状態において、軸7の磁心とは反対側の端部を形成する上部領域70が円筒形の孔23内に差し込まれている。ここで、軸7は、孔23を貫通して差し込まれていることができ、その結果、軸7は、両側で保持要素20の孔23から突出することができる。図2B及び2Cにおいて認識され得るように、軸7は、領域70において、軸7の残りの部分よりも小さい直径を有することができ、領域70の直径は、円筒形の孔23の内径に適合され、実質的にこれと同一であり、その結果、軸7は、軸7が孔23内に差し込まれた後に、保持要素20、したがって接触機構200がその上に載置される段を備えている。更に、保持要素20、したがって接触機構200は、スイッチング装置内に組み込まれた状態において、例えば図示されたようにスナップリング19によって、及び/又は、例えば軸7上のリベットによって、軸7にロックされることができる。後者の場合、軸7は、その代わりに座金を用いることもできるスナップリング19の上方の領域で、変形され得る。図示されているように、保持要素20は、上部領域に、孔23に隣接する凹部26を備えることができ、その内部へは軸7が突出し、その内部にはスナップリング19及び/又はリベットが配置され得る。
【0038】
コンタクトブリッジ4は、図示された実施例では、図1に示されたスイッチング装置の設計に対応して、スイッチング装置の固定接点の接触のための2つの接触領域40を上面41上に備えている。図2Bにおいて認識され得るように、コンタクトブリッジ4の上面41に対向する下面42上には、接触領域40の下方に窪みが存在していてもよい。これに代えて、下面42は、これらの領域において平坦に設計されることもできる。
【0039】
コンタクトブリッジ4は、保持要素20上に差し込まれており、少なくとも接触機構200がスイッチング装置内に組み込まれた状態において、保持要素20にロックされている。ロックは、以下で説明されるように、差し込みの後、コンタクトブリッジ4を孔23の円筒軸Aの周りに回転させることによって行われる。コンタクトブリッジ4がロックされた状態にあるということは、特に、コンタクトブリッジ4が円筒軸Aに沿った方向においてロックされており、したがって保持要素20から抜き取られ得ないことを意味している。したがって、ロックされた状態において、保持要素20とコンタクトブリッジ4はもはや分離することはできないが、コンタクトブリッジ4は、保持要素20の孔23の円筒軸Aに沿って移動可能である。
【0040】
保持要素20は、その上にコンタクトブリッジ4が差し込まれる差し込み部21を備えている。このためにコンタクトブリッジ4は孔43を備えており、当該孔を通じて、差し込みの後に差し込み部21が突出する。特に、コンタクトブリッジ4が保持要素20上に差し込まれる際、孔43を有するコンタクトブリッジ4が差し込み部21上に押し込まれ、あるいは逆に、差し込み部21が孔43内へ押し込まれる。特に有利には、コンタクトブリッジ4の孔43は、差し込み部21よりも幾分大きい寸法を有し、その結果、コンタクトブリッジ4は、変位可能かつ少なくとも部分的に傾斜可能に、差し込み部21に配置されている。
【0041】
差し込み部21は、少なくとも1つの保持ラグ24を備えている。図示された実施例において、差し込み部21は2つの保持ラグ24を備えており、当該保持ラグは、円筒軸Aに対して垂直な方向において、差し込み部21の対向する側に配置されている。これに代えて、他の数の保持ラグも可能である。保持ラグ24によって、保持要素20へのコンタクトブリッジ4のロックは、円筒軸Aに沿った方向においてもたらされる。ロックされた状態において、保持ラグ24は、コンタクトブリッジ4の上面41の領域に配置されている。特に、コンタクトブリッジ4は、接触機構200が組み立てられた状態において、保持ラグ24に接触することができる。コンタクトブリッジ4の差し込み部21上への差し込みを可能とするために、コンタクトブリッジ4の孔43は、孔43を取り囲む孔壁430に、保持ラグ24の数及び位置に対応して1つ又は複数の導入溝44を備えており、当該導入溝は、コンタクトブリッジ4の上面41から下面に達している。図示された実施例において、コンタクトブリッジは、相応して孔壁430に2つの導入溝44を備えており、当該導入溝は保持ラグ24に関連付けられており、その大きさは、保持ラグ24が導入溝44を通じて押し込まれ得るように設定されている。差し込みの際、コンタクトブリッジ4は、保持ラグ24を有する差し込み部21が導入溝44を有する孔43を通って押し込まれ得るように、保持要素20に位置合わせされる。保持ラグ24が完全に押し込まれた後、コンタクトブリッジ4は、保持要素20の孔23の円筒軸Aの周りで保持要素20に対して回転され、その結果、導入溝44及び保持ラグ24は、互いにオフセットされた状態で位置合わせされる。
【0042】
更に、コンタクトブリッジ4は、図示された実施例において、保持ラグ24の数及び位置に対応して1つ又は複数の保持溝45を孔壁430に備えており、当該保持溝は、コンタクトブリッジ4の上面41から下面42の方向に延びているが、当該下面には達していない。図示された実施例において、コンタクトブリッジ4は、相応して2つの保持溝45を備えている。コンタクトブリッジ4のロックの際、当該コンタクトブリッジは、保持ラグ24が保持溝45内に配置され得る程度に回転される。これにより、保持要素20に対するコンタクトブリッジ4の回転が防止され得る。保持ラグ24は、所望の設計に応じて、コンタクトブリッジ4の傾斜可能性を促進又は低減するために、コンタクトブリッジ4の下面42に面する側において、直線状であるか、丸み付けされているか又は曲げられていることができる。保持ラグ24の適切な形状によって、コンタクトブリッジ4の可動性は、コンタクトブリッジ4が一種のシーソーとして機能し得るように、適切に選択されることができる。傾斜可能性によって、高さの差は、切り換えの際に調整され得る。
【0043】
保持ラグ24と対向する側において、保持要素20は、差し込み部21に隣接する台座部22を備えており、保持要素20の円筒形の孔23は、差し込み部21及び台座部22を通じて延びている。台座部22は、コンタクトブリッジ4の孔43に嵌り込まないように形成されており、その結果、台座部22は、円筒軸Aに沿った方向におけるコンタクトブリッジ4の移動の自由度を制限する。特に図2Dにおいて認識され得るように、差し込み部21及び台座部22は、それぞれ、それらの外面に関して円筒形又は実質的に円筒形であるように設計されることができ、台座部22は差し込み部21よりも大きい直径を有している。
【0044】
図2A~2Cに示されているように、接触機構200は、更に、コンタクトブリッジ4の下面42に配置されたコンタクトスプリング17を備えている。特に、コンタクトスプリング17は、コンタクトブリッジ4が保持要素20にロックされた状態において、コンタクトブリッジ4の下面42と直接的に接触することができ、その結果、コンタクトブリッジ4の下面42は、コンタクトスプリング17のための対抗支持部を形成する。更に、保持要素20、特に台座部22は、コンタクトスプリング17のコンタクトブリッジ4とは反対側に、コンタクトスプリング17のための対抗支持部25を備えることができる。コンタクトスプリング17は、図示されているように、台座部22の一部を取り囲んでいる。
【0045】
接触機構200の組み立ての際、保持要素20は、上述した方法で先ず軸7に接続されることができる。続いて、コンタクトスプリング17が載置され、コンタクトブリッジ4が、上述した方法で最終的な組み込み位置へと90°の角度だけ回転されて差し込み部21上に押し込まれ、90°の角度だけ回転させることによりロックされることができる。
【0046】
保持要素は、電気絶縁材料を含んでいる。特に有利には、保持要素は、1つ又は複数の電気絶縁材料から製造されており、したがって、全体として電気絶縁性である。電気絶縁材料は、ポリマー及びセラミック材料から選択することができ、例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維充填PBT及びAlのような電気絶縁性の金属酸化物から選択することができる。図示された保持要素20の設計により、保持要素20は、コンタクトブリッジ4、又は、有利にはコンタクトブリッジ4及びコンタクトスプリング17を、軸17から電気的に絶縁することができる。それにより、コンタクトブリッジ4は、スイッチング装置の磁気駆動装置の構成要素から、すなわち特にマグネットアーマチュアの構成要素から、電気的に絶縁された状態で支持されることができる。それにより、コンタクトブリッジ4と軸7との間に導電接触は存在しない。フラッシュオーバーの全ての可能な経路に、長い空間距離及び沿面距離を与えることもできる。このように、保持要素は、コンタクトブリッジ4の支持及びロック、並びに、コンタクトブリッジ4の電気的絶縁を、同時に可能とする。
【0047】
図3には、図1に関連して説明されたスイッチング装置と同様に設計され得るスイッチング装置100の一部が、図2Cに対応する断面図で示されており、図1とは異なり、前述の実施例によるスイッチング装置200が組み込まれている。図3に関連して図示及び/又は説明されていないスイッチング装置の構成要素及び特徴は、図1に関連して説明されたように設計されることができる。
【0048】
保持要素20の台座部の対抗支持部25は、図示されているように、付加的に両側の細長い設計により、スイッチングチャンバ11での支持を可能とすることができ、したがって、小さな回転でさえももはや可能ではないので、スイッチング装置100内での接触機構200の回り止めを保証することができる。このように、保持要素20の台座部の図示された形状により、スイッチング動作の際、上下移動の間の接触機構200全体の案内が可能とされ得る。
【0049】
図4A及び4Bには、別の実施例によるコンタクトブリッジ4の一部の概略図が、それぞれ上面41の平面図で示されている。導入溝44及び保持溝45が互いに90°の角度だけオフセットされてコンタクトブリッジ4の孔43に配置されている図2A~2Eの実施例と比較して、図4Aに示されているように、他の角度も可能である。純然たる例示として、45°の角度が示されている。図4Bに示されているように、保持溝が存在せず、保持要素の保持ラグがコンタクトブリッジ4の平坦な上面41に支持されることも可能である。
【0050】
図5には、別の実施例による接触機構200が示されており、当該接触機構では、保持要素20、したがって接触機構200が、図2A~2Eの実施例と比較して、軸7上にねじ止め可能である。このために、保持要素20は、孔23内にねじ山27を備えている。接触機構200が組み込まれるスイッチング装置は軸7を備えており、当該軸は、図5にも示されており、保持要素20がねじ込まれる対応するねじ山71を、領域70に備えている。更に、保持要素20は、スイッチング装置内への組み込みの際、図2A~2Eの実施例に関連して説明したように、例えば、スナップリング、リベットによって、又は、ねじ山71に基づいてロックナットによって、軸7にロックされることができる。
【0051】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、更なる実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、一般的な部分の記載による更なる特徴を備えていてもよい。
【0052】
本発明は、実施例を参照した記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0053】
1 ハウジング
2、3 固定接点
4 コンタクトブリッジ
5 マグネットアーマチュア
6 磁心
7 軸
8 コイル
9 ヨーク
10 スプリング
11 スイッチングチャンバ
12 スイッチングチャンバ壁
13 スイッチングチャンバ底部
14 ガス
16 気密領域
17 コンタクトスプリング
18 スプリング支持部
19 固定要素
20 保持要素
21 差し込み部
22 台座部
23 孔
24 保持ラグ
25 対抗支持部
26 窪み
27 ねじ山
40 接触領域
41 上面
42 下面
43 孔
44 導入溝
45 保持溝
70 領域
71 ねじ山
100 スイッチング装置
200 接触機構
430 孔壁
A 円筒軸
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図5