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特許7386883サブペル動きベクトルしきい値を使用するデブロッキング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】サブペル動きベクトルしきい値を使用するデブロッキング
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20231117BHJP
   H04N 19/139 20140101ALI20231117BHJP
   H04N 19/86 20140101ALI20231117BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20231117BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/139
H04N19/86
H04N19/176
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021549588
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 SE2020050193
(87)【国際公開番号】W WO2020176026
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】62/811,354
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】アンデション, ケネト
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ルオヤン
(72)【発明者】
【氏名】エンホーン, ジャック
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-535238(JP,A)
【文献】特表2019-503629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0369428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0359484(US,A1)
【文献】国際公開第2012/077607(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0259142(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00-19/98
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための方法(700)であって、前記垂直または水平境界が前記コーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャが前記コーディングユニットを含み、前記第1の側と前記第2の側とが同じ参照ピクチャを使用し、前記方法は、
前記第1の側における第1の動きベクトル成分を取得すること(s710)と、
前記第2の側における第2の動きベクトル成分を取得すること(s720)と、
前記第1の動きベクトル成分と前記第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定すること(s730)であって、前記所定のしきい値がN/16であり、ここで、Nが、16よりも小さい整数である、ことと、
前記第1の動きベクトル成分と前記第2の動きベクトル成分との間の前記絶対差分が、前記所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、前記第1の側と前記第2の側との間の前記垂直または水平境界にデブロッキングを適用すること(s740)と
を含み、
単方向予測が前記ビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が前記所定のしきい値のために適用され、
双方向予測が前記ビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が前記所定のしきい値のために適用され、
前記第1の値が前記第2の値よりも低い、方法(700)。
【請求項2】
前記第1の動きベクトル成分が、前記第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、
前記第2の動きベクトル成分が、前記第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定のしきい値をビットストリーム中に含めること、または
前記所定のしきい値をビットストリームから導出すること
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のしきい値がスライスヘッダ中に含まれる、または
前記所定のしきい値がスライスヘッダから導出される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のしきい値は、特定のコーディングツールが前記ビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
処理回路(902)によって実行されたとき、前記処理回路(902)に、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を行わせる命令(944)を備える、コンピュータプログラム(943)。
【請求項7】
請求項に記載のコンピュータプログラムを含んでいる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための装置(802)であって、前記垂直または水平境界が前記コーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャが前記コーディングユニットを含み、前記第1の側と前記第2の側とが同じ参照ピクチャを使用し、前記装置は、
前記第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、
前記第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することと、
前記第1の動きベクトル成分と前記第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することであって、前記所定のしきい値がN/16であり、ここで、Nが、16よりも小さい整数である、ことと、
前記第1の動きベクトル成分と前記第2の動きベクトル成分との間の前記絶対差分が、前記所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、前記第1の側と前記第2の側との間の前記垂直または水平境界にデブロッキングを適用することと
を行うように設定された処理回路(902)を備え、
前記所定のしきい値が1つのサンプルよりも小さく、
単方向予測が前記ビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が前記所定のしきい値のために適用され、
双方向予測が前記ビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が前記所定のしきい値のために適用され、
前記第1の値が前記第2の値よりも低い、装置(802)。
【請求項9】
前記第1の動きベクトル成分が、前記第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、
前記第2の動きベクトル成分が、前記第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む、
請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置がエンコーダまたはデコーダである、請求項またはに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高効率ビデオコーディング(HEVC)および多用途ビデオコーディング(VVC)に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオシーケンスは、各画像が1つまたは複数の成分からなる一連の画像からなる。各成分は、サンプル値の2次元矩形アレイとして説明され得る。ビデオシーケンス中の画像は、3つの成分、すなわち、サンプル値がルーマ値である1つのルーマ成分Yと、サンプル値がクロマ値である2つのクロマ成分CbおよびCrとからなることが一般的である。他の例は、Y’ Cb Cr、YuvおよびICを含む。ICにおいて、Iは、「強度ルーマ」成分である。本明細書の残りでは、任意のルーマ成分Y’、YまたはIを、Yまたは単にルーマと呼ぶ。クロマ成分の次元は、各次元においてルーマ成分よりも1/2だけ小さいことが一般的である。たとえば、HD画像のルーマ成分のサイズは1920×1080となり、クロマ成分は、各々、960×540の次元を有する。成分は色成分と呼ばれることがある。
【0003】
ブロックは、サンプルの1つの2次元アレイである。ビデオコーディングでは、各成分がブロックにスプリットされ、コーディングされたビデオビットストリームは一連のブロックである。ビデオコーディングでは、画像は、画像の特定のエリアをカバーするユニットにスプリットされることが一般的である。各ユニットは、その特定のエリアをなす、すべての成分からのすべてのブロックからなり、各ブロックは、1つのユニットに完全に属する。H.264におけるマクロブロック、およびHEVCにおけるコーディングユニット(CU)が、ユニットの例である。
【0004】
HEVCでは、各ピクチャは、コーディングツリーユニット(CTU)に区分される。CTUは、ルーマサンプルのN×Nブロックと2つのM×Mの対応するクロマブロックとからなる。HEVCにおけるCTUは、H.264および以前の規格におけるマクロブロックのようなものであるが、マクロブロックとは対照的に、CTUサイズが設定可能である。しかしながら、ほとんどの場合、HEVCにおけるCTUサイズは64×64ルーマサンプルにセットされる。各CTUは、再帰的に4分木スプリットされ得る。4分木のルートは、その場合、CTUに関連付けられる。4分木は、リーフに達するまでスプリットされ、リーフは、コーディングユニット(CU)と呼ばれる。HEVCにおけるCUは、常に、等しい高さおよび幅をもつルーマブロックからなる。各CTUがどのようにスプリットされるかが、ビットストリーム中で伝達される。CUは、さらに、2つの他のツリー、すなわち、ノードとして予測ユニット(PU)を得た予測ツリー、およびノードとして変換ユニット(TU)を得た変換ツリーのルートノードである。HEVCにおけるいくつかの復号プロセスがCUレベルで行われ、いくつかがPUレベルで行われ、いくつかがTUレベルで行われる。PU間の境界およびTU間の境界が、TU間およびPU間の不連続性を低減するために、デブロッキングフィルタによってフィルタ処理される。HEVCでは、PUについて2つの種類の予測タイプ、すなわち、予測のために、現在ピクチャの、前に復号されたサンプルからの予測のみを使用するイントラ予測と、少なくとも1つの前に復号されたピクチャからの予測を使用するインター予測とが存在する。
【0005】
HEVCでは、デブロッキングは、最初に垂直境界に対して適用され、次いで、水平境界に対して適用される。境界は、TU境界またはPU境界のいずれかである。並列フレンドリデブロッキングを可能にするために、デブロッキングは、8×8サンプルグリッドに対して実施される。
【0006】
各境界について、デブロッキングフィルタ強度パラメータ(bs)がセットされる。bsの値が0よりも大きい場合、デブロッキングが適用され得る。境界強度が大きくなるほど、適用されるフィルタ処理が強くなる。最初に以下が検査され、ブロック間のPU境界におけるブロックのいずれかがイントラ予測されたブロックであるかどうか、その場合(bsは=2にセットされる)、あるいは両方のブロックがインター予測を使用するが、両方のブロックが、異なる参照フレームを使用するかまたは著しく異なる動きベクトル(少なくとも1つの動きベクトル成分、垂直または水平動きベクトル成分における、1つのルーマサンプルまたはそれよりも大きい差分)を有するかどうか、その場合(bsは=1にセットされる)。ブロック間のTU境界が、ブロックのうちの少なくとも1つ中に非0変換係数(1に等しいコードブロックフラグ(CBF))を有するかどうかも検査され、その場合(bsは=1にセットされる)。この最初の検査は、デブロッキングが適用されるべきであることを指示するために0よりも大きい境界強度(bs)をセットする。境界強度が大きくなるほど、適用されるフィルタ処理が強くなる。デブロッキングするときに自然構造を除去することを低減/回避するために、境界のそれぞれの側に自然構造がないという検査が、次いで、ルーマについて適用される。HEVCでは、以下の不等式、すなわち、abs(p0-2*p1+p2)+abs(q0-2*q1+q2)<betaを使用して境界のそれぞれの側で勾配計算が使用され、ここで、betaは、ブロックについての量子化パラメータに基づくパラメータであり、p0、p1~p2は、ブロック境界の一方の側のサンプルであり、q0、q1~q2は、ブロック境界の反対側のサンプルである。条件が、境界に沿った2つの位置において検査され、両方の条件が満たされる場合、ルーマサンプルは、境界のその4サンプル部分についてデブロックされる。クロマ境界は、近隣ブロックのうちのいずれか1つがイントラコーディングされる場合、常にフィルタ処理され得る。
【0007】
VVCについての仕様の現在のドラフト(VVCドラフト2 JVET-M1001)では、コーディングツリーユニット(CTU)は、HEVCにおけるCTUと同様であるが、H.266におけるCTUは、128×128ルーマサンプルのサイズを有するという違いがある。VVCでは、CTUは、よりフレキシブルにスプリットされ得、その結果、得られたCUは矩形ルーマブロックからなり得る。VVCでは、HEVCの場合のような予測ツリーまたは変換ツリーがない。しかしながら、VVCにおけるCUは、以下のような場合、複数のTUに分割され得る。
【0008】
(1)CUが、最大変換サイズよりも大きいサイズを有する。たとえば、最大変換サイズが64×64であり、CUが128×128のサイズを有する場合、CUは、図1に示されているように、4つの64×64暗黙的スプリット変換ブロックに分割される。
【0009】
(2)CUが、図2に示されているように、非0係数を伴って、垂直方向または水平方向のいずれかに、CUサイズのサイズ1/2または1/4の1つのサブブロック変換を可能にし得、方向(水平または垂直)と、位置(サイズ1/2の場合、第1または第2のサブブロック、サイズ1/4の場合、第1または最後のサブブロック)と、サイズ(1/2または1/4)とがビットストリームから導出される、SBT(サブブロック変換)を使用する。
【0010】
(3)CUが、図3に示されているように、垂直方向または水平方向のいずれかに、各々がCUサイズのサイズ1/4の4つのサブブロックを可能にし得、あるいは、より小さいブロックについて、垂直方向または水平方向のいずれかに、各々がCUサイズのサイズ1/2の2つのサブブロックを可能にし得る、ISP(イントラサブパーティション)を使用する。
【0011】
VVCでは、CUは、以下のような場合、複数の予測サブブロックに分割され得る。
【0012】
(1)CUが、サブブロックインター予測ツールAFFINEを使用する。このツールは、サブブロックサイズ4×4に関する動きパラメータ(動きベクトル、および参照フレームの指示)を有することができる。
【0013】
(2)CUが、サブブロックインター予測ツールATMVPを使用する。このツールは、図4に示されているように、サブブロックサイズ8×8に関する動きパラメータ(動きベクトル、および参照フレームの指示)を有することができる。
【0014】
(3)CUが、組み合わせられたイントラインター予測モードを使用し、これは、図5に示されているように、イントラ予測とインター予測の重み付けされた組合せについての予測の方向において、各々がCUの1/4サイズについて、4つのサブブロックの特定の重みを使用する。
【0015】
VVCの現在のドラフトでは、再整形と呼ばれる新しいツールが導入された。この再整形ツールは、より良いコーディング効率のために、コーディングループ内で、ピクチャまたはタイルに基づいて、サンプル値の範囲をどのようにマッピングし、次いで、サンプルを再構築するときに、サンプル値の範囲をどのように再マッピングすべきかをシグナリングすることができる。
【0016】
VVCでは、デブロッキングは、最初に垂直境界(CU/暗黙的TU/予測サブブロック境界)上で、次いで水平境界(CU/暗黙的TU/予測サブブロック境界)上で8×8グリッドと整合されたCU境界を有するCUについて、8×8グリッドに対して適用される。デブロッキングは、HEVCデブロッキング、およびより長いデブロッキングフィルタに基づき、これは、ブロック境界に直交するサイズが、ルーマについて少なくとも1つの側で32に等しいかまたはそれよりも大きい場合、その側で、多くとも7つのサンプルを修正し、多くとも8つのサンプルを読み取り、ブロック境界に直交するサイズが、ルーマについて1つの側について32よりも小さい場合、それは、その側で、多くとも3つのサンプルを修正し、多くとも4つのサンプルを読み取り、ブロック境界に直交するサイズが、クロマについてクロマサンプルにおける境界の両方の側で8に等しいかまたはそれよりも大きい場合、境界のそれぞれの側で、多くとも3つのクロマサンプルを修正し、多くとも4つのクロマサンプルを読み取り、他の場合、それは、境界のそれぞれの側で、多くとも1つのサンプルを修正し、多くとも2つのサンプルを読み取る。
【0017】
読み取るべきおよび修正すべきサンプルの数が、以下に応じて制限されるので、CU、暗黙的TU境界と予測サブブロック境界の両方が並列にデブロックされ得る。
【0018】
(1)CUまたは暗黙的TU境界について修正すべきサンプルの最大数が、CUが予測サブブロックを使用する場合、5つ(多くとも6つのサンプルを読み取ること)に限定される。
【0019】
(2)CUまたは暗黙的TU境界に隣接する予測サブブロック境界について修正すべきサンプルの最大数が、そのような境界の両方の側で2つ(各側で多くとも3つのサンプルを読み取ること)である。
【0020】
(3)他の場合、修正すべきサンプルの最大数が、境界の各側で3つである。
【0021】
修正すべきサンプルの最大数を、ルーマについて、境界の上にある側で3つのサンプル(多くとも4つのサンプルを読み取ること)に制限し、クロマについて、CTU境界と整合された水平境界についての境界の両方の側で1つのクロマサンプル(多くとも2つのサンプルを読み取ること)に制限することにより、ルーマについて4およびクロマについて2の、CTUラインバッファのみが必要とされる。
【0022】
少なくとも1つの側が、垂直境界について、32に等しいかまたはより大きいCU幅を有し、水平境界について、32に等しいかまたはより大きいCU高さを有する場合、ルーマのための長いフィルタ判断が適用される。P側は、P側が32であるかまたはより長い場合、1にセットされ、他の場合、0にセットされる、変数bSidePisLargeBlkを有する。Q側は、Q側が32であるかまたはより長い場合、1にセットされ、他の場合、0にセットされる、変数bSideQisLargeBlkを有する。
【0023】
図6では、4つのライン(ライン0~ライン3)の場合の、ならびに各ラインおよびブロックについてサンプル0~7の場合の、ブロックP602とブロックQ604との間の境界606が示されている。
【0024】
図6に示されている、垂直境界のデブロッキングのための長いフィルタ判断が、以下でさらに詳細に説明される。以下で説明される長いフィルタ判断は、同様に水平境界のために適用され得る。
【0025】
最初に、長いフィルタ判断は、境界の側がライン0およびライン3上で十分に平滑であるかどうかを検査する。
【0026】
dLがβ(QP依存パラメータ)よりも小さい場合、ライン=0とライン=3の両方のための追加の長いフィルタ判断検査が、以下のように実施される。
【0027】
ここで、tCは、QP依存パラメータである。
【0028】
追加の長いフィルタ判断検査dSam0およびdSam3も真である場合、長いデブロッキングフィルタが、ライン0~3について以下のように適用され、ここで、以下で示されているように、どのラインかの指示がない。
【0029】
ここで、i=0..maxFilterLengthP-1、およびj=0..maxFilterLengthQ-1であり、ここで、refMiddle、refP、およびrefQは、3つの事前フィルタ処理されたサンプルであり、refMiddleがブロックPとブロックQとの間の中間に中心を置かれ、refPがブロックP中にあり、refQがブロックQ中にあり、gおよびfは、Q側およびP側のための補間フィルタ係数をもつベクトルであり、tCPDおよびtCQDは、P側およびQ側のための位置依存クリッピング値をもつベクトルであり、これらは、以下で示されているように、maxFilterLengthPとmaxFilterLengthQとに基づいて導出される。
【0030】
変数fおよびtCPDは、以下のように規定される。
【0031】
変数gおよびtCQDは、以下のように規定される。
【0032】
VVCでは、境界強度(bS)が、ルーマ成分とクロマ成分とについて個別にセットされ、ルーマとクロマの両方は、イントラモードがいずれかの側で使用される場合、または組み合わせられたイントラインター予測(CIIP:Combined Intra Inter Prediction)がいずれかの側で使用される場合、変換ブロック境界について2に等しいbSを与えられる。境界が変換ブロック境界であり、変換ブロックが色成分に関する非0変換係数を有する場合、その成分は1に等しいBsを与えられる。他の事例では、境界強度は、デブロッキング無し(no deblocking)に対応する両方のクロマ成分について0にセットされる。境界が予測ブロック/サブブロック境界であり、CIIPがいずれかの側で使用される場合、bSは、ルーマについて1に等しくセットされる。境界が予測ブロック/サブブロック境界であり、境界のそれぞれの側で使用される参照ピクチャの数の差分があるか、または異なる参照ピクチャが使用される場合、あるいは(1つまたは複数の)同じ参照ピクチャが使用されるとき、動きベクトルにおける著しい差分(少なくとも1つの動きベクトル成分、垂直または水平動きベクトル成分における、1つのルーマサンプルのまたはより大きい差分)がある場合、bSは、ルーマについて1に等しくセットされる。他の場合、bSは、ルーマのデブロッキング無しに対応するルーマについて0に等しくセットされる。
【発明の概要】
【0033】
VVCに関する1つの問題は、デブロッキング判断が、フルペルよりも著しく低い動き精度(動き精度は、現在のVVCテストモデル(VTM)においてルーマについて1/16である)を使用するとき、大きすぎる動きの差分に基づくことである。
【0034】
一実施形態では、動きベクトルしきい値は、ブロック境界のそれぞれの側の動きベクトルを比較するためにサブペル精度を伴って使用される。
【0035】
一実施形態では、隣接ブロックにおける動きベクトル成分を比較するためのしきい値が、デブロッキングを適用すべきかどうかを判断するために使用される。いくつかの実施形態では、しきい値は、フルピクセル差分よりも小さい。
【0036】
一態様では、コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための方法であって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することとを含む。本方法は、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、1つのサンプルよりも小さい所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することをも含む。本方法は、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用することをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の動きベクトル成分は、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、第2の動きベクトル成分は、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値はN/16であり、ここで、Nは、16よりも小さい自然数である。
【0039】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値はNに等しく、ここで、NはMよりも小さく、1/Mはピクセルの部分における動きベクトル精度である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法は、所定のしきい値をビットストリーム中に含めることをさらに含む。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はスライスヘッダ中に含まれる。他の実施形態では、本方法は、所定のしきい値をビットストリームから導出すること(たとえば、復号すること)をさらに含む。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はビットストリームのスライスヘッダから導出される。
【0041】
いくつかの実施形態では、ビデオピクチャが第1の時間レイヤであるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2の時間レイヤであるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の時間レイヤは第2の時間レイヤよりも高く、第1の値は第2の値よりも低い。
【0042】
いくつかの実施形態では、ビデオピクチャが第1の量子化パラメータ(QP)を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2のQPを使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1のQPは第2のQPよりも高く、第1の値は第2の値よりも低い。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の側が第1のコーディングユニット(CU)を含み、第2のブロックが第2のCUを含み、垂直または水平境界がCU境界を含むとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側が第1のサブブロックを含み、第2のブロックが第2のサブブロックを含み、垂直または水平境界がサブブロック境界を含むとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0044】
いくつかの実施形態では、単方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、双方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の側および第2の側が単方向予測を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側および第2の側が双方向予測を使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0046】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値は、特定のコーディングツールがビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される。いくつかの実施形態では、再整形が特定のコーディングツールである。
【0047】
いくつかの実施形態では、処理回路が、所定のしきい値をビットストリームから導出するようにさらに設定される。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はスライスヘッダ中に含まれる。
【0048】
別の態様では、コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための装置(たとえば、エンコーダまたはデコーダ)であって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用する、装置が提供される。いくつかの実施形態では、本装置は、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用することとを行うように設定された処理回路を備える。
【0049】
別の態様では、処理回路に、本明細書で開示される方法のいずれかを実施させるための命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。別の態様では、コンピュータプログラムを含んでいるキャリアが提供され、キャリアは、電子信号、光信号、無線信号、およびコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つである。
【0050】
本明細書で開示される実施形態は、ブロッキングアーティファクトを効率的に低減する著しい利点を提供する。
【0051】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部をなす添付の図面は、様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】一実施形態による、コーディングユニットを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、サブブロック変換(SBT)を使用するコーディングユニットを示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、イントラサブパーティション(ISP)を使用するコーディングユニットを示す。
図4】一実施形態による、コーディングユニットを示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、コーディングユニット示す図である。
図6】一実施形態による、垂直境界を示す図である。
図7】一実施形態による、プロセスを示すフローチャートである。
図8】一実施形態による、エンコーダまたはデコーダの機能ユニットを示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で開示される実施形態は、垂直および/または水平ブロック/サブブロック境界をデブロックするために、ビデオまたは画像エンコーダまたはデコーダにおいて使用され得る。
【0054】
実施形態1.
【0055】
この実施形態では、両方のブロックが同じ参照ピクチャを使用する、第1のブロックと第2のブロックとの間の境界についてデブロックキングを適用すべきかどうかの判断が、第1のブロックにおける水平動きベクトル成分と第2のブロックにおける水平動きベクトル成分との間の絶対差分、または第1のブロックにおける垂直動きベクトル成分と第2のブロックにおける垂直動きベクトル成分との間の絶対差分に基づく。いくつかの実施形態では、デブロッキングは、第1のブロックにおける水平動きベクトル成分と第2のブロックにおける水平動きベクトル成分との間の絶対差分、または第1のブロックにおける垂直動きベクトル成分と第2のブロックにおける垂直動きベクトル成分との間の絶対差分が、1よりも小さいしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいときに、適用される。本開示のコンテキストでは、1の値は、1フルピクセル差分(1つのサンプル)を指示する。
【0056】
実施形態2.
【0057】
実施形態1において上記で説明されたように、ここで、しきい値は、0.25に等しい。本開示のコンテキストでは、0.25の値は、1/4ピクセル差分を指示する。別の例は、N/Mに等しいしきい値を使用することであり、ここで、NはMよりも小さく、1/Mは動きベクトル精度に対応する。Mの一例は16である。一般に、動きベクトルは、整数の使用を可能にするために固定点において使用され、動きベクトル精度が1/16であるとき、1のピクセル差分が16によって指示される。
【0058】
実施形態3.
【0059】
前の実施形態、たとえば、実施形態1および2のいずれか1つにおいて上記で説明されたように、ここで、境界強度は、判断が境界についてデブロッキングを適用することであるとき、ルーマの境界について1に等しくセットされる。0よりも大きい境界強度をもつ境界は、デブロッキングがその境界について適用されることを意味する。より高い境界強度は、より強いデブロッキングが適用されることを意味する。たとえば、1つの側がイントラコーディングされたブロックである、境界は、2の境界強度を有する。
【0060】
実施形態4.
【0061】
前の実施形態、たとえば、実施形態1から3のいずれか1つにおいて上記で説明されたように、ここで、しきい値はビデオビットストリームから復号される(または場合によっては導出される)。
【0062】
いくつかの実施形態では、しきい値は、ピクチャレベルで、すなわち、スライスヘッダ中でシグナリングされる。いくつかの実施形態では、エンコーダは、異なるピクチャについて異なる動きベクトル差分しきい値をシグナリングし得る。
【0063】
たとえば、一般により低いQPをもつピクチャと比較して、一般により高いQPをもつピクチャについて、より低いしきい値が適用され得る。
【0064】
別の例は、ランダムアクセス設定の場合のものであり、より低い時間レイヤにおけるピクチャと比較して、より高い時間レイヤにおけるピクチャ、すなわち、より低い時間レイヤから予測されたピクチャについて、より低いしきい値が適用され得る。その理由は、より低い時間レイヤは、一般により多くの変換係数を使用し、したがってより良好な品質を有するが、より高い時間レイヤは、一般により少ない変換係数を使用し、したがって、一般により不良な品質を有することである。
【0065】
また別の例は、低遅延の場合のものであり、より低いQPを使用するピクチャと比較して、定期的により高いQP(量子化パラメータ)をもつピクチャについて、より低いしきい値が適用され得る。
【0066】
実施形態5.
【0067】
前の実施形態、たとえば、実施形態1から4のいずれか1つにおいて上記で説明されたように、ここで、しきい値は、境界がCU/ブロック境界であるのかサブブロック境界であるのかに応じて異なる。そのような事例では、CU境界については、より低いしきい値が適用され得、サブブロック境界については、より高いしきい値が適用され得る。これは、エンコーダが補償するために変換係数を送り得るので、ブロッキングアーティファクトがサブブロック境界についてあまりひどくないことがあるからである。
【0068】
実施形態6.
【0069】
前の実施形態、たとえば、実施形態1から5のいずれか1つにおいて上記で説明されたように、ここで、しきい値は、再整形がピクチャのために使用される場合、低減される。
【0070】
実施形態7.
【0071】
前の実施形態、たとえば、実施形態1から6のいずれか1つにおいて上記で説明されたように、ここで、単方向性予測のみ、たとえば、1つのフレームのみからの予測が使用されるときについてのしきい値は、2つ以上のフレームに基づく予測、たとえば双方向性予測が行われるときのしきい値と比較してより小さい。
【0072】
いくつかの実施形態では、両方のブロックが単方向性予測を使用するときについてのしきい値は、両方のブロックが双方向性予測を使用するときのしきい値と比較してより小さい。
【0073】
実施形態8.
【0074】
上記で提供された実施形態、たとえば、実施形態1~7の任意の組合せ。
【0075】
図7は、一実施形態による、プロセス700を示すフローチャートである。プロセス700は、コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための方法であって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用する、方法である。700の方法は、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得すること(s710)と、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得すること(s720)と、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定すること(s730)と、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用すること(s740)とを含む。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はビットストリームから導出される(s735)。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の動きベクトル成分は、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含む。いくつかの実施形態では、第2の動きベクトル成分は、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値は、1フルピクセル差分に等しい。
【0078】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値はNに等しく、ここで、NはMよりも小さく、1/Mはピクセルの部分における動きベクトル精度である。
【0079】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値はビットストリーム中に含まれる。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はスライスヘッダ中に含まれる。
【0080】
いくつかの実施形態では、ビデオピクチャが第1の時間レイヤであるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2の時間レイヤであるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の時間レイヤは第2の時間レイヤよりも高く、第1の値は第2の値よりも低い。
【0081】
いくつかの実施形態では、ビデオピクチャが第1の量子化パラメータ(QP)を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2のQPを使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1のQPは第2のQPよりも高く、第1の値は第2の値よりも低い。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の側が第1のコーディングユニット(CU)を含み、第2のブロックが第2のCUを含み、垂直または水平境界がCU境界を含むとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側が第1のサブブロックを含み、第2のブロックが第2のサブブロックを含み、垂直または水平境界がサブブロック境界を含むとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0083】
いくつかの実施形態では、単方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、双方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1の側および第2の側が単方向予測を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側および第2の側が双方向予測を使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値は第2の値よりも低い。
【0085】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値は、特定のコーディングツールがビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される。いくつかの実施形態では、再整形が特定のコーディングツールである。
【0086】
図8は、いくつかの実施形態による、エンコーダまたはデコーダ802の機能ユニットを示す図である。図8に示されているように、エンコーダまたはデコーダ802は、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得するための第1の取得ユニット804と、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得するための第2の取得ユニット806と、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定するための決定ユニット808と、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用するための適用ユニット810とを含む。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はビットストリームから導出される。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1の動きベクトル成分は、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含む。いくつかの実施形態では、第2の動きベクトル成分は、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、所定のしきい値は、1フルピクセル差分に等しい。いくつかの実施形態では、所定のしきい値はNに等しく、ここで、NはMよりも小さく、1/Mはピクセルの部分における動きベクトル精度である。
【0089】
図9は、いくつかの実施形態による、装置(たとえば、エンコーダまたはデコーダ802)のブロック図である。図9に示されているように、装置は、1つまたは複数のプロセッサ(P)955(たとえば、汎用マイクロプロセッサ、および/または、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、1つまたは複数の他のプロセッサ)を含み得る処理回路(PC)902と、ネットワークインターフェース948であって、装置が、ネットワークインターフェース948が接続されるネットワーク1110(たとえば、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク)に接続された他のノードにデータを送信し、他のノードからデータを受信することを可能にするための送信機(Tx)945および受信機(Rx)947を備える、ネットワークインターフェース948と、1つまたは複数の不揮発性記憶デバイスおよび/または1つまたは複数の揮発性記憶デバイスを含み得るローカル記憶ユニット(別名「データ記憶システム」)908とを備え得る。PC902がプログラマブルプロセッサを含む実施形態では、コンピュータプログラム製品(CPP)941が提供され得る。CPP941はコンピュータ可読媒体(CRM)942を含み、CRM942は、コンピュータ可読命令(CRI)944を備えるコンピュータプログラム(CP)943を記憶する。CRM942は、磁気媒体(たとえば、ハードディスク)、光媒体、メモリデバイス(たとえば、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)など、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム943のCRI944は、PC902によって実行されたとき、CRIが、装置に、本明細書で説明されるステップ(たとえば、フローチャートを参照しながら本明細書で説明されるステップ)を実施させるように設定される。他の実施形態では、装置は、コードの必要なしに本明細書で説明されるステップを実施するように設定され得る。すなわち、たとえば、PC902は、単に1つまたは複数のASICからなり得る。したがって、本明細書で説明される実施形態の特徴は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装され得る。
【0090】
様々な実施形態の概要
【0091】
A1.コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするための方法であって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用し、方法は、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用することとを含む、方法。
【0092】
A2.第1の動きベクトル成分が、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、第2の動きベクトル成分が、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む、実施形態A1に記載の方法。
【0093】
A3.所定のしきい値が、1フルピクセル差分に等しい、実施形態A1またはA2に記載の方法。
【0094】
A4.所定のしきい値がNに等しく、ここで、NがMよりも小さく、1/Mがピクセルの部分における動きベクトル精度である、実施形態A1またはA2に記載の方法。
【0095】
A5.所定のしきい値がビットストリーム中に含まれる、実施形態A1からA4のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
A6.所定のしきい値がスライスヘッダ中に含まれる、実施形態A5に記載の方法。
【0097】
A7.ビデオピクチャが第1の時間レイヤであるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2の時間レイヤであるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の時間レイヤが第2の時間レイヤよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態A1からA6のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
A8.ビデオピクチャが第1の量子化パラメータ(QP)を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2のQPを使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1のQPが第2のQPよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態A1からA6のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
A9.第1の側が第1のコーディングユニット(CU)を含み、第2のブロックが第2のCUを含み、垂直または水平境界がCU境界を含むとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側が第1のサブブロックを含み、第2のブロックが第2のサブブロックを含み、垂直または水平境界がサブブロック境界を含むとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態A1からA6のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
A10.単方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、双方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態A1からA6のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
A11.第1の側および第2の側が単方向予測を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側および第2の側が双方向予測を使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態A1からA6のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
A12.所定のしきい値は、特定のコーディングツールがビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される、実施形態A1からA11のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
A13.再整形が特定のコーディングツールである、実施形態A11に記載の方法。
【0104】
A14.処理回路によって実行されたとき、処理回路に、実施形態A1~A13のいずれか1つに記載の方法を行わせる命令を備える、コンピュータプログラム。
【0105】
A15.実施形態A14に記載のコンピュータプログラムを含んでいるキャリアであって、キャリアが、電子信号、光信号、無線信号、およびコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つである、キャリア。
【0106】
B1.コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするためのエンコーダであって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用し、エンコーダは、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用することとを行うように設定された処理回路を備える、エンコーダ。
【0107】
B2.第1の動きベクトル成分が、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、第2の動きベクトル成分が、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む、実施形態B1に記載のエンコーダ。
【0108】
B3.所定のしきい値が、1フルピクセル差分に等しい、実施形態B1またはB2に記載のエンコーダ。
【0109】
B4.所定のしきい値がNに等しく、ここで、NがMよりも小さく、1/Mがピクセルの部分における動きベクトル精度である、実施形態B1またはB2に記載のエンコーダ。
【0110】
B5.処理回路が、所定のしきい値をビットストリーム中に含めるようにさらに設定された、実施形態B1からB4のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0111】
B6.所定のしきい値がスライスヘッダ中に含まれる、実施形態B5に記載のエンコーダ。
【0112】
B7.ビデオピクチャが第1の時間レイヤであるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2の時間レイヤであるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の時間レイヤが第2の時間レイヤよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態B1からB6のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0113】
B8.ビデオピクチャが第1の量子化パラメータ(QP)を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2のQPを使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1のQPが第2のQPよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態B1からB6のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0114】
B9.第1の側が第1のコーディングユニット(CU)を含み、第2のブロックが第2のCUを含み、垂直または水平境界がCU境界を含むとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側が第1のサブブロックを含み、第2のブロックが第2のサブブロックを含み、垂直または水平境界がサブブロック境界を含むとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態B1からB6のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0115】
B10.単方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、双方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態B1からB6のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0116】
B11.第1の側および第2の側が単方向予測を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側および第2の側が双方向予測を使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態B1からB6のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0117】
B12.所定のしきい値は、特定のコーディングツールがビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される、実施形態B1からB11のいずれか1つに記載のエンコーダ。
【0118】
B13.再整形が特定のコーディングツールである、B11に記載のエンコーダ。
【0119】
C1.コーディングユニットの少なくとも1つの垂直または水平境界をデブロックするためのデコーダであって、垂直または水平境界がコーディングユニットの第1の側と第2の側とを形成し、ビデオピクチャがコーディングユニットを含み、第1の側と第2の側とが同じ参照ピクチャを使用し、デコーダは、第1の側における第1の動きベクトル成分を取得することと、第2の側における第2の動きベクトル成分を取得することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいかどうかを決定することと、第1の動きベクトル成分と第2の動きベクトル成分との間の絶対差分が、所定のしきい値に等しいかまたはそれよりも大きいと決定したことの結果として、第1の側と第2の側との間の垂直または水平境界にデブロッキングを適用することとを行うように設定された処理回路を備える、デコーダ。
【0120】
C2.第1の動きベクトル成分が、第1の側における第1の水平動きベクトル成分または第1の垂直動きベクトル成分を含み、第2の動きベクトル成分が、第2の側における第2の水平動きベクトル成分または第2の垂直動きベクトル成分を含む、実施形態D1に記載のデコーダ。
【0121】
C3.所定のしきい値が、1フルピクセル差分に等しい、実施形態C1またはC2に記載のデコーダ。
【0122】
C4.所定のしきい値がNに等しく、ここで、NがMよりも小さく、1/Mがピクセルの部分における動きベクトル精度である、実施形態C1またはC2に記載のデコーダ。
【0123】
C5.処理回路が、所定のしきい値をビットストリームから導出するようにさらに設定された、実施形態C1からC4のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0124】
C6.所定のしきい値がスライスヘッダ中に含まれる、実施形態C5に記載のデコーダ。
【0125】
C7.ビデオピクチャが第1の時間レイヤであるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2の時間レイヤであるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の時間レイヤが第2の時間レイヤよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態C1からC6のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0126】
C8.ビデオピクチャが第1の量子化パラメータ(QP)を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、ビデオピクチャが第2のQPを使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1のQPが第2のQPよりも高く、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態C1からC6のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0127】
C9.第1の側が第1のコーディングユニット(CU)を含み、第2のブロックが第2のCUを含み、垂直または水平境界がCU境界を含むとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側が第1のサブブロックを含み、第2のブロックが第2のサブブロックを含み、垂直または水平境界がサブブロック境界を含むとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態C1からC6のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0128】
C10.単方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、双方向予測がビデオピクチャのために使用されるとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態C1からC6のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0129】
C11.第1の側および第2の側が単方向予測を使用するとき、第1の値が所定のしきい値のために適用され、第1の側および第2の側が双方向予測を使用するとき、第2の値が所定のしきい値のために適用され、第1の値が第2の値よりも低い、実施形態C1からC6のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0130】
C12.所定のしきい値は、特定のコーディングツールがビデオピクチャをコーディングするために使用されるとき、低減される、実施形態C1からC11のいずれか1つに記載のデコーダ。
【0131】
C13.再整形が特定のコーディングツールである、C11に記載のデコーダ。
【0132】
様々な実施形態が(もしあれば、添付の書類を含む)本明細書で説明されたが、それらの実施形態は、限定ではなく、例として提示されたにすぎないことを理解されたい。したがって、本開示の広さおよび範囲は、上記で説明された例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでない。その上、本明細書で別段に指示されていない限り、またはコンテキストによって明確に否定されていない限り、上記で説明されたエレメントのそれらのすべての考えられる変形形態における任意の組合せが、本開示によって包含される。
【0133】
さらに、上記で説明され、図面に示されたプロセスは、ステップのシーケンスとして示されたが、これは、説明のためにのみ行われた。したがって、いくつかのステップが追加され得、いくつかのステップが省略され得、ステップの順序が並べ替えられ得、いくつかのステップが並行して実施され得ることが企図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9