(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】蒸気供給システムおよび供給方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20231117BHJP
【FI】
A24F40/53
(21)【出願番号】P 2021559758
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 GB2020050935
(87)【国際公開番号】W WO2020208367
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】サットン、ジョセフ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/019533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気前駆体材料から蒸気を発生させる気化器と、
蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵部と、
第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、
蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視および監視したパラメータと第1の閾値を含む複数の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、各閾値は蒸気前駆体材料の少なくとも一部の枯渇度合いを示し、
制御回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があったと判断した場合、第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給し、各閾値は制御回路によって出力されるように構成された複数の異なる非ゼロレベルの電力のうちの1つに対応するように構成された制御回路とを含む蒸気供給システム。
【請求項2】
第2のレベルの電力は、第1のレベルの電力の70%未満、50%未満または30%未満の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の蒸気供給システム。
【請求項3】
第2のレベルの電力は、制御回路が蒸気前駆体材料の前記少なくとも一部の枯渇があると判断した後であっても前記蒸気供給システムが蒸気を発生させ続けることができるように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の蒸気供給システム。
【請求項4】
制御回路は、パルス幅変調を使用して気化器に電力を供給するように構成され、第1および第2の電力レベルはパルス幅変調の1デューティサイクルに亘る平均電力であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項5】
前記システムは、表示部をさらに含み、制御回路は、制御回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した際に表示部を作動させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項6】
前記システムは、貯蔵部から気化器に蒸気前駆体材料を移送するように構成された蒸気前駆体材料移送部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項7】
蒸気前駆体材料の枯渇状態は、蒸気前駆体材料移送部材内の蒸気前駆体材料の量を示すものであることを特徴とする請求項6記載の蒸気供給システム。
【請求項8】
気化器は電気的に加熱される加熱素子を含み、蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータが加熱素子の電気抵抗であり、制御回路は加熱素子の電気抵抗を測定するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項9】
制御回路は、監視したパラメータを第1の閾値と繰り返し比較するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項10】
制御回路が第2のレベルの電力を気化器に供給
し始めた後において、制御回路は、制御回路が監視したパラメータと
第1の閾値との比較に基づいてもはや枯渇がないと判断した場合に
、第1のレベルの電力を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項11】
制御回路が第1の閾値に基づいて枯渇があると判断すると、制御回路は、監視したパラメータを第2の閾値と比較し、制御回路が監視したパラメータと第2の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した際に第2のレベルの電力より低い第3の非ゼロレベルの電力を
気化器に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項12】
蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための蒸気供給システムに使用するための制御回路であって、蒸気供給システムは、蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための気化器を含み、前記制御回路は、
第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、
蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、
監視したパラメータを第1の閾値を含む複数の閾値と比較し、各閾値は蒸気前駆体材料の少なくとも一部の枯渇度合いを示し、
前記回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した場合に第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給し、各閾値は制御回路によって出力されるように構成された複数の異なる非ゼロレベルの電力のうちの1つに対応するように構成されている制御回路。
【請求項13】
請求項12の制御回路を含む蒸気供給デバイス。
【請求項14】
蒸気前駆体材料から蒸気を発生させる気化器と蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵部とを含む蒸気供給システム用の制御回路の操作方法であって、この方法は、
制御回路を介して第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させることと、
制御回路を介して蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視および監視したパラメータと、第1の閾値を含む蒸気前駆体材料の少なくとも一部の枯渇度合いを示す複数の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断することと、
前記回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した際に制御回路を介して第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給し、各閾値を制御回路によって出力されるように構成された複数の異なる非ゼロレベルの電力のうちの1つに対応させることとを含む方法。
【請求項15】
蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための気化手段と、
蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵手段と、
第1の非ゼロレベルの電力を気化手段に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、
蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視および監視したパラメータと第1の閾値を含む複数の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、各閾値は蒸気前駆体材料の少なくとも一部の枯渇度合いを示し、
制御手段が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した際に第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化手段に供給し、各閾値は制御手段によって出力されるように構成された複数の異なる非ゼロレベルの電力のうちの1つに対応するように構成された制御手段とを含む蒸気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はニコチン送出装置(例えば、電子タバコ等)などの蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(e-シガレット)などの電子蒸気供給システムは、薬剤、典型的にはニコチンを含む液体源またはタバコ系製品などの固体材料などの貯蔵部のような蒸気前駆体材料を含み、ここから例えば熱気化を介してユーザーによって吸入される蒸気が発せられる。従って、蒸気供給システムは、通常、蒸気発生チェンバーを含み、これは前駆体材料の一部を気化させて蒸気発生チェンバー内に蒸気を発生させるために配置された気化器、例えば加熱素子を含む。ユーザーがデバイスを介して吸い込み、電気が気化器に供給されると、空気が入り口穴を介してデバイス内にそして蒸気発生チェンバー内に引き込まれ、そこで空気は気化された前駆体材料と混ざり、縮合エアロゾルを形成する。蒸気発生チェンバーとマウスピースの開口部の間に流路があり、蒸気発生チェンバーを介して引き込まれる流入空気が蒸気/縮合エアロゾルの一部を一緒に搬送しながらその流路に沿ってマウスピース開口部へと流れ続け、そしてユーザーによる吸入のためにマウスピース開口部から流出するようになっている。一部の電子タバコは、追加の風味を付与するためにデバイスを通る流路に風味部材を含んでもよい。このようなデバイスは、ハイブリッドデバイスと呼ばれる場合もあり、風味部材は、例えば蒸気発生チェンバーとマウスピースの間の空気通路に配されたタバコの一部を含んでもよく、デバイス内に引き込まれる蒸気/縮合エアロゾルがユーザーの吸入のためにマウスピースから出る前にタバコのその部分を通過するようになっている。
【0003】
もし加熱素子に隣接する蒸気前駆体材料が充分にないと、このような蒸気供給システムには問題(蒸気供給システムの枯渇としても知られている)が生じる可能性がある。これは、例えば加熱素子への蒸気前駆体材料の供給が滞ることによって起こり得る。その場合、加熱素子内または周囲で急速な過熱が起こり得る。典型的な作動条件の場合、過熱したセクションは、500~900℃までの温度に急速に達すると予想される。この急激な加熱は蒸気供給システム内の部品に損傷を与える可能性があるだけでなく、あらゆる残存する前駆体材料の気化工程に悪影響を与える場合がある。例えば、過剰な熱が残存する前駆体材料を例えば熱分解を介して分解し、ユーザーによって吸入される空気流に不快な味のする物質を放出する可能性がある。不快な味のする物質などは、一部の液体蒸気前駆体システムでは芯などのエアロゾル供給デバイスの他の部品の過熱から放出される場合もある。
【0004】
これらの問題点のいくつかに対処するのに役に立つために探し求められた種々の試みを説明する。
【発明の概要】
【0005】
特定の実施態様の第1の態様では蒸気供給システムが提供され、この装置は、蒸気前駆体材料から蒸気を発生させる気化器と、蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵部と、第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視および監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、制御回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があったと判断した場合、第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給するように構成された制御回路とを含む。
【0006】
特定の実施態様の第2の態様では蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための蒸気供給システムに使用するための制御回路が提供され、この蒸気供給システムは、蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための気化器を含み、制御回路は、第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータを監視し、監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、制御回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があったと判断した場合、第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給するように構成されている。
【0007】
特定の実施態様の第3の態様では第2の態様による制御回路を含む蒸気供給デバイスが提供される 。
【0008】
特定の実施態様の第4の態様では蒸気前駆体材料から蒸気を発生させる気化器と蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵部とを含む蒸気供給システム用の制御回路の操作方法が提供され、この方法は、制御回路を介して第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させることと、制御回路を介して蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータの監視および監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断することと、前記回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した際に制御回路を介して第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給することとを含む。
【0009】
特定の実施態様の第5の態様では蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための気化手段と、蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵手段と、制御手段とを含む蒸気供給システムが提供され、この制御手段は、第1の非ゼロレベルの電力を気化手段に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータを監視し、監視したパラメータを第1の閾値と比較することに基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、制御手段が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて枯渇があると判断した場合、第1のレベルの電力より低い第2の非ゼロレベルの電力を気化手段に供給するように構成されている。
【0010】
当然のことながら本発明の第1および他の態様に関連して上述した本発明の特徴および態様は、適宜本発明の他の態様による本発明の実施態様に適用可能であり、組み合わせてもよく、上述の特定の組み合わせのみ限定されるものではない。
【0011】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の特定の実施態様による蒸気供給システムの高度に省略された断面図である。
【
図2】本開示の一部の実行例による
図1の蒸気供給システム用の操作工程を表すフロー図であり、電力レベルがパフごとに測定される。
【
図3】本開示のさらなる実行例による
図1の蒸気供給システム用の操作工程を表すフロー図である。
【
図4】本開示のさらなる実行例による
図1の蒸気供給システム用の操作工程を表すフロー図であり、複数の電力レベルがパフごとに測定される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の例および実施態様の様相および特徴をここで述べ、説明する。特定の例および実施態様の様相および特徴は従来通り実施してもよく、それらについては簡潔にするために詳しく述べたり、説明したりしない。当然のことながら詳しくは説明されないここで述べられる装置および方法の様相および特徴はこのような様相および特徴を実行するための何らかの従来の技術に従って実行してもよい。
【0014】
本開示は、蒸気供給システムに関し、これはハイブリッドデバイスを含むe-シガレットなどのエアロゾル供給システムとも言われている。以下の説明を通して「e-シガレット」または「電子タバコ」なる用語が場合によっては使用されるが、当然のことながらこれらの用語は蒸気供給システム/デバイスおよび電子蒸気供給システム/デバイスとほとんど同じ意味で使われる。さらに本技術分野において共通して「蒸気」および「エアロゾル」なる用語および「気化する」、「揮発させる」および「エアロゾル化」なる関連用語もほぼ同じ意味で使われる。
【0015】
蒸気供給システム(e-シガレット)は、常にではないが、場合によっては再利用可能な部品と交換可能(使い捨て)なカートリッジ部の両方を含むモジュラーシステムを含む。時には交換可能なカートリッジ部は、蒸気前駆体材料と気化器とを含むこともあり、再利用可能な部品は、電源(例えば、充電可能なバッテリー)と、始動機構(例えばボタンまたはパフセンサ)と、制御回路とを含む。しかしながら、当然のことながらこれらの異なる部分は機能性に依存するさらなる要素も含む。例えばハイブリッドデバイスの場合、カートリッジ部は、さらに風味部材、例えばインサート(「ポッド」)として供される僅かな量のタバコを含む場合がある。そのような場合、風味部材インサートはそれ自体が使い捨てカートリッジ部から取り外し可能であり、従ってインサートは、カートリッジとは別に例えば風味を変えるためにまたは風味部材インサートの利用可能な時間がカートリッジの蒸気発生部品の利用可能な時間より短いので交換することができる。再利用可能なデバイスの部分は、時には追加の部品、例えばユーザー入力を受信し、操作状態特性を表示するするためのユーザーインターフェースを含む。
【0016】
モジュラー式システムの場合、カートリッジおよび再利用可能なデバイス部分は、適当な電気接点係合を有する例えばネジ山、ラッチ、摩擦嵌合または差し込み口金を使用して使用の際に電気的かつ機械的に連結されている。カートリッジ内の蒸気前駆体材料が使い切られたときあるいはユーザーが異なる蒸気前駆体材料を有する異なるカートリッジに変えたいとき、カートリッジをデバイス部から取り外して交換カートリッジが所定の位置に取り付けられる。この種の2つの部品からなるモジュラー構造に対応するシステムは、通常ツーパーツデバイスまたはマルチパーツデバイスと言われる。
【0017】
マルチパーツデバイスを含む電子タバコは、ほぼ長尺の形状を有するのがほぼ共通しており、具体例を供するために本明細書に記載の本開示の特定の実施態様は、液体蒸気前駆体材料を含む使い捨てカートリッジを採用したほぼ長尺のマルチパーツシステムを含むものとする。しかしながら、当然のことながら本明細書で説明する基本原則は、異なる電子タバコ構造、例えばシングルパーツデバイスまたは3つ以上のパーツを含むモジュラーデバイス、詰め替え式デバイスおよび一回の使用での使い捨てデバイス並びに空気流経路に沿って気化器の上流に置かれるタバコポッドインサートなどの追加の風味部材を有するハイブリッドデバイスさらには例えば典型的には箱状の形状を有するいわゆるボックスモッド高性能デバイスをベースにした他の全体形状に対応するデバイスなどにも同等に適用される。さらに一般的には当然のことながら本開示の特定の実施態様は、本明細書で説明する原理にしたがって作動機能を供するように構成されている電子タバコに基づいており、説明された作動機能を供するように構成された電子タバコの特定の構造的態様は主たる重要性を持たない。
【0018】
図1は本開示の特定の実施態様によるe-シガレット1の一例の断面図である。e-シガレット1は、2つの主要部品、即ち再利用可能な部品2と、交換可能/使い捨てカートリッジ部4とを含む。
【0019】
通常の使用において、再利用可能な部品2およびカートリッジ部4は、接合部6で取り外し自在に連結される。カートリッジ部が使い切られるまたはユーザーが単に異なるカートリッジ部に変えたいときに カートリッジ部は再利用可能な部品から取り外され、交換カートリッジ部がその代わりに再利用可能な部品に取り付けられる。接続部6は、これら2つの部品間を構造的、電気的そして空気経路接続し、必要に応じてこれら2つの部品間の電気的接続および空気経路を構築するための適当に配置された電気接点および開口部によって例えばネジ山、ラッチ機構または差し込み口金をベースにした従来の技術に従って確立されてもよい。カートリッジ部4が再利用可能な部品2に機械的に具体的な方法は、本明細書に記載の原理には重要ではないが、具体例を供するためにここでは、例えばカートリッジの一部が再利用可能な部品2の対応する受け部に協働するラッチ係合部材(
図1に示されていない)によって受けられるラッチ機構を含むものと仮定する。また当然のことながら一部の実行例の接続部5は対応する部品間の電気接続を支持しない。例えば、一部の実行例では気化器はカートリッジ部ではなく再利用可能な部品に設けてもよく、あるいは再利用可能な部品とカートリッジ部との電気接続が必要なくなるように再利用可能な部品からカートリッジ部への電力の移行はワイヤレス(例えば電磁誘導に基づく)であってもよい。
【0020】
本開示の特定の実施態様によるカートリッジ部4は大まかに従来のものであってもよい。
図1においてカートリッジ4は、プラスチック材で形成されたカートリッジハウジング42を含む。カートリッジハウジング42は、カートリッジ部の他の部品を支持し、再利用可能な部品2との機械的接合部6を提供する。カートリッジハウジングは、長手方向軸を中心にほぼ円対称であり、この軸に沿ってカートリッジ部が再利用可能な部品2に連結される。この例ではカートリッジ部は、約4cmの長さおよび約1.5cmの直径を有する。しかしながら、当然のことながら特定の形状およびより一般的には全体形状および使用した材料は、異なる実行例では異なってもよい。
【0021】
カートリッジハウジング42内になるのは液体蒸気前駆体材料を含む貯蔵部44である。液体蒸気前駆体材料は、従来のものであってもよく、e-リキッドとも言われる。この例の液体貯蔵部44は、カートリッジハウジング42によって画定された外壁およびカートリッジ部4を通る空気経路52を画定する内壁を有する環状形状を有する。貯蔵部44は、e-リキッドを含むために端部壁で各端部が閉じられている。貯蔵部44は、従来の技法に従って形成されてもよく、例えば貯蔵部はプラスチック材含んでもよく、カートリッジハウジング42に一体成型されてもよい。
【0022】
カートリッジ部は、マウスピース出口50と反対の貯蔵部44の端部の方に位置する芯(蒸気前駆体移送部材)46と加熱素子(気化器)48とをさらに含む。この例では芯46は、カートリッジ空気経路52を横断して横方向に延び、その両端は貯蔵部44の内壁の開口部を通ってe-リキッドの貯蔵部44内に延びている。貯蔵部の内壁にある開口部は、大まかに芯46の寸法に合った大きさであり、流体の移送性能に弊害をもたらす可能性がある芯の過度の圧縮無しに、液体容器からカートリッジ空気経路内への漏れに対して適度に封止する。
【0023】
芯46および加熱素子48は、実際には芯46および加熱素子48の周囲のカートリッジ空気経路52の領域がカートリッジ部のための気化領域を画定するようにカートリッジ空気経路52内に配されている。貯蔵部44内のe-リキッドは、貯蔵部44内に延びた芯の端部を通って芯46に浸透し、表面張力/毛管現象(即ち、吸い上げ)によって芯に沿って引き込まれる。この例では加熱素子48は、芯46に巻かれた電気抵抗性ワイヤを含む。加熱素子48は、温度で抵抗の変化を示すあらゆる好適な金属または導電性材料から形成してもよい。この例では加熱素子48は、ニッケル鉄合金(例えば、NF60)ワイヤを含み、芯46はコットン繊維束を含む。
【0024】
1つの例では加熱素子48は、厚さ(ワイヤの)が0.17mm~0.20mm(例えば、0.188mm±0.02mm)で、長さが55mm~65mm(例えば 60.0mm±2.5mm)のニッケル鉄合金ワイヤを含む。ワイヤは、軸方向の長さが4.0~6.0mm(例えば、5.00mm±0.5mm)で、外径が2.2mm~2.7mm(例えば、2.50mm±0.2mm)の螺旋コイルに形成される。この例のコイルは、9巻きに形成され、巻きピッチは1mm当たり0.67±0.2である。給電されていない状態で室温(例えば25°)で測定されたコイルの抵抗は、1.1~1.6オーム、より具体的には1.4オーム±0.1オームである。以下に詳しく説明するように加熱素子48に供給される電力は、6.0~6.5ワットになるように設定される。この例の芯46は、有機コットン(別の実行例はグラスファイバー繊維を使用してもよいが)で形成される。芯は、長さが15mm~25mm(例えば、20.00±2.0mm)で、直径が2~5mm(例えば、3.5mm+1.0mm/-0.5mm)のほぼ円筒状の構造に形成される。有機コットン繊維は、1メートル当たり40±5回のねじりでねじられる。このような構成によりe-リキッド吸収率が0.2g~0.5g(例えば、0.3g±0.05g)で吸収時間が65秒±10秒になる。注目すべきことは形成の際に芯46は螺旋コイルによって画定された内部容積内に部分的に配置されるということである。
【0025】
別の例では加熱素子48は、厚さ(ワイヤの)が0.14mm~0.18mm(例えば、0.16mm±0.02mm)で、長さが37mm~47mm(例えば、43.0mm±2.5mm)でニッケル鉄合金ワイヤを含む。ワイヤは、軸方向の長さが3.0~5.0mm(例えば、4.00mm±0.5mm)で、外径が2.2mm~2.7mm(例えば、2.50mm±0.2mm)である螺旋コイルに形成される。この例のコイルは、7巻きに形成され、巻きピッチは1mm当たり0.67±0.2である。給電されていない状態で室温(例えば25°)で測定されたコイルの抵抗は、1.1~1.6オーム、より具体的には1.4オーム±0.1オームである。上記のように加熱素子48に供給される電力は、6.0~6.5ワットになるように設定される。この例の芯46も有機コットン(別の実行例はグラスファイバー繊維を使用してもよいが)で形成される。芯は、長さが12mm~18mm(例えば、15.00±2.0mm)で、直径が2~5mm(例えば、3.5mm+1.0mm/-0.5mm)のほぼ円筒状の構造に形成される。有機コットン繊維は、1メートル当たり40±5回のねじりでねじられる。このような構成によりe-リキッド吸収率が0.2g~0.5g(例えば、0.3g±0.05g)で吸収時間が65秒±10秒になる。上記のように芯46は螺旋コイルによって画定された内部容積内に部分的に配置される。
【0026】
しかしながら、当然のことながら具体的な気化器の構造は、本明細書に記載の原理には重要ではなく、上記の限定事項は、具体例として提示されている。
【0027】
使用の際、芯46によって加熱素子48の近傍に引き込まれるある程度の量のe-リキッド(蒸気前駆体材料)を気化するために電力が加熱素子48に供給される。揮発したe-リキッドは、次にカートリッジ空気経路に沿って引き込まれ、気化領域からカートリッジ空気経路52を通ってユーザーによる吸入のためにマウスピース出口50から出る空気に同伴される。
【0028】
大まかに気化器(加熱素子)48によって電子液体が気化される速度は、通常の使用時に加熱素子48に供給される電力の量(レベル)に依存する。従って、電力を加熱素子48に供給して、カートリッジ部4内のe-リキッドから蒸気を選択的に発生させることができ、さらに蒸気発生の速度は、例えば、パルス幅および/または周波数変調技術により加熱素子48に供給される電力量を変えることで変更することができる。しかしながら、より詳しく以下に考察するように 気化の速度および/または量に影響を与える1つの要因は、加熱素子48近傍の蒸気前駆体材料の量である。
【0029】
再利用可能な部品2は、e-シガレット用の空気入り口28を画定する開口部を有する外方ハウジング12と、電子タバコに作動電力を供するためのバッテリー26と、電子タバコの作動を制御し、監視するための制御回路20と、ユーザー入力ボタン14と、この例では圧力センサチェンバー18に位置する圧力センサ を含む吸入センサ(パフ検知器)16と、視覚表示装置24とを含む。
図1の再利用可能な部品2は表示部25を含むが、表示部25は任意であり、他の実行例では含まれなくてもよい。
【0030】
外方ハウジング12は、例えばプラスチックまたは金属材料から形成されてもよく、この例ではカートリッジ部4の形および大きさにほぼ一致する円形の断面を有し、接続部6でこれら2つの部分間の移行部を滑らかにしている。この例では再利用可能な部品は長さが約8cmであり、したがって、カートリッジ部と再利用可能な部品を合体させた際のe-シガレットの全長は約12cmになる。しかしながら、既に記載したように当然のことながら本開示の実施態様を実行する電子タバコの全体形状および縮尺は本明細書に記載の原理には重要ではない。
【0031】
空気入り口28は再利用可能な部品2を介して空気経路30に接続する。再利用可能な部品の空気経路30は、再利用可能な部品2とカートリッジ部4が互いに接続されると、接続部6を横断してカートリッジ空気経路52に接続する。圧力センサ16を含む圧力検知チェンバー18は、再利用可能な部品2の空気経路30と流体連通している(即ち、圧力検知チェンバー18は、再利用可能な部品2の空気経路30から分岐している)。したがって、ユーザーがマウスピース開口部50で吸入すると、圧力センサ16によって検出される圧力検知チェンバー18内の圧力降下があり、また、空気は、空気入口28から再利用可能な部品空気経路30に沿って、接続部6を横断し、アトマイザー48の近くの蒸気発生領域(気化器が作動中のときに気化したe-リキッドが空気流に同伴される)を通り、カートリッジ空気経路52に沿って、ユーザー吸入用のマウスピース開口部50に引き込まれる。
【0032】
この例のバッテリー26は、再充電可能であり、従来の種類、例えば、電子タバコおよび比較的短い期間に亘って比較的大電流の供給を必要とする他の用途で通常使用される種類のものであればよい。バッテリー26は、再利用可能な部品のハウジング12内の充電コネクタ、例えば、USBコネクタから再充電することができる。
【0033】
この例のユーザー入力ボタン14は、例えば、電気的接触を確立するためにユーザーによって押されるばねに取り付けられた部品を含む従来の機械的ボタンである。この点に関して、入力ボタンは、ターミナルデバイスのための手動入力機構を提供すると見なすことができるが、ボタンが実装される特定の方法は重要ではない。例えば、異なる形態の機械的ボタンまたは触覚式ボタン(例えば、静電容量式または光学的感知技術に基づく)を他の実行例で使用することができる。ボタンが実装される特定の方法は、例えば、所望の美的外観を考慮して選択される。
【0034】
表示装置24は、電子タバコに関連する種々の特性、例えば現時点での電力設定情報、残りのバッテリー電力などをユーザーに視覚的に表示するものである。この表示装置は種々の方法で実装される。この例では表示装置24は、従来の技術に従って所望の情報を表示するために駆動させられる従来の画素化されたスクリーンを含む。その他の実行例では表示装置は、例えば特定の色および/または点滅などによって所望の情報を表示するために配置された例えばLEDなどの1つ以上の個別の指示器を含んでもよい。より一般的には表示装置を設ける、情報を表示装置を使用するユーザーに表示する方法は、本明細書に記載の原理には重要ではない。一部の実施態様は視覚表示装置を含まなくてもよく、電子タバコの作動特性に関連する情報をユーザーに提供する他の手段、例えば音声信号または触覚フィードバックを使用する手段を含んでもよく、あるいは電子タバコの作動特性に関連する情報をユーザーに提供する手段をなんら含まなくてもよい。
【0035】
制御回路20は、電子タバコの動作を制御して、本明細書でさらに説明する本開示の実施態様による機能を提供し、かつそのようなデバイスを制御する確立された技術に従って電子タバコの従来の動作機能を提供するように適切に構成/プログラムされる。制御回路(処理回路)20は、本明細書に記載の原理による電子タバコの動作の異なる態様および表示駆動回路およびユーザー入力検知などの電子タバコの他の従来の動作の態様に関連する様々な副回路/回路素子を論理的に含むと見なすことができる。当然のことながら制御回路20の機能は、種々の異なる方法、例えば1つ以上の好適なプログラム化されたプログラム可能なコンピュータおよび/または1つ以上の好適に構成された所望の機能を供するための特定用途向け集積回路/電気回路/チップ/チップセットを使用して設けることができる。
【0036】
図1の蒸気供給システム1は、ユーザー入力ボタン14と、吸入センサ16とを含んで示されている。
図1の説明される実行例では制御回路20は、吸入センサ16から信号を受信し、ユーザーが電子タバコで吸入しているかを判断するためにこの信号を使用し、そしてまた入力ボタン14から信号を受信し、ユーザーが入力ボタンを押しているか(即ち、作動させてるか)を判断するためにこの信号を使用するように構成されている。電子タバコの作動のこれらの態様(即ち、パフ検知およびボタン押し検知)は、それら自体において確立された技術(例えば、従来の吸入センサおよび吸入センサ信号処理技術を使用してそして従来の入力ボタンおよび入力ボタン信号処理技術を使用して)に従って実行してもよい。制御回路20は、制御回路20がユーザーが電子タバコで吸入し、および/またはユーザーが入力ボタン14を押していると判断した場合加熱素子48に電力を供給するように構成されている。しかしながら、他の実行例では当然のことながらe-リキッドを揮発させる目的でパフセンサ16またはユーザー入力ボタン14の一方だけが設けられる。
【0037】
上述の表示部25は、蒸気供給システム1の特定の状態を示す信号をユーザーに出力するように構成されている。特に表示部は蒸気供給システム1の枯渇状態を示す信号をユーザーに出力するように構成されている。枯渇状態は本明細書では蒸気供給システム1内の蒸気前駆体材料の枯渇を示すシステムの状態として定義される。例えば、枯渇状態は芯46に関して定義することができる。芯内のe-リキッドの量が通常の作動量を下回った場合、蒸気供給システムは枯渇していると言える。芯46は多くの理由で枯渇し、そのうちのいくつかを詳しく以下に説明する。当然のことながら枯渇状態は、カートリッジ部4の貯蔵部44などの他の部品に関して定義してもよい。
【0038】
再度、表示部25を参照すると、表示部25は、システム1の枯渇状態を表示するためのあらゆる好適な信号をユーザーに出力してもよい。例えば、信号は、光学的信号(例えば、LEDまたは類似の光出力素子)、触覚的信号(例えば、バイブレーターなどによって出力される)または音声的信号(例えば、スピーカーによって出力される)であってもよい。従って、表示部はこれらの信号のうちの1つ以上を出力できるあらゆる好適な部品であってもよい。具体例として
図1の説明した実行例の表示部25は、枯渇が検知された際に光学的信号を出力するように構成されたLEDである。当然のことながら一部の実行例では個別の表示部25を設けなくてもよく、代わりにエアロゾル供給システム1の他の部品が表示部25の機能を提供してもよい。例えば一部の実行例では表示装置24を枯渇を示す信号を出力するように構成してもよい。当然のことながら表示部25は、電子タバコ1自体から離してもよく、あるいは電子タバコ1から離れた素子の一部を形成してもよい。例えば、表示部25は、スマートフォンまたは電子タバコ1に通信接続(無線または有線で)するように構成された類似のリモートデバイスの一部であってもよい。
【0039】
上記で示唆したように本開示は、蒸気供給システム1の枯渇状態が検知されるおよび/またはユーザーに表示されるシステム1を提供する。
図2は本開示のいくつかの態様によるそのような蒸気供給システム1の操作方法を説明している。
【0040】
図2はユーザーが蒸気供給システム1の電源を入れる工程S102で始まる。蒸気供給システム1は、ユーザー入力に応答して電源が入れられる。
図1の実行例ではこれはユーザー入力ボタン14をユーザーが作動させることによって行われる。
図1の例の蒸気供給システム1ではシステム1の電源をオンにするためにユーザー入力ボタン14を例えばボタンを素早く連続して(例えば2秒以内に)3回押すなどの所定の順序にしたがってユーザーによって作動させる。予め決められた所定の電源オン順序があることは、ユーザー入力ボタン14が
図1に示す蒸気供給システムの場合のように複数の機能を実行する場合に有利である。同じ順序(または別の順序)を使用して蒸気供給システム1をオフにしてもよい。当然のことながら他の実行例では専用の機構のオン/オフボタン(または他のユーザー入力機構)をこれとは別に採用してもよい。
【0041】
当然のことながら蒸気供給システム1は、工程S102の前は低い電力状態であり、制御回路20(またはその特定の部品)が特定の機能、例えばユーザーが入力ボタン14を使用してシステム1をオンにしたときを監視するために低い(最小)レベルの電力が供給されるようになっている。他の実行例ではユーザーは、スライドボタンなどのボタン(図示せず)を物理的に動かすことによってシステム1の電源を入れ、制御回路20内のまたは制御回路20とバッテリー26の間の電気回路を完成させて電力が制御回路に流れるようにしてもよい。
【0042】
工程S102でシステム1の電源が入れられると、制御回路20は、工程S104で(エアロゾルをユーザーに発生させるまたは送出するための)ユーザー入力を監視するように構成されている。上述したように
図1の説明した実行例では制御回路20は、吸入センサ16から信号を受信し、ユーザーが電子タバコで吸入しているかを判断するためにこの信号を使用し、および/または入力ボタン14から信号を受信し、ユーザーが入力ボタンを押しているか(即ち、作動させてるか)を判断するためにこの信号を使用するように構成されている。ここで説明している実行例では制御回路20はユーザー入力が受信されたか否かを繰り返し判断するように構成されている。例えば、制御回路20は、入力ボタン14または吸入センサ16のいずれか(または両方)がユーザー作動を示す信号を出力しているかを判断するために例えば5秒ごとに周期的にチェックするように構成してもよい。別の実行例では入力ボタンおよび/または吸入センサ16から出力された信号は、例えばコンデンサの充電またはコンパレーターなどへの入力として制御回路20内の作動を引き起こしてもよい。即ち、制御回路20は、代わりに信号に応答してもよく、信号の受信に応答して作動を行ってもよい。当然のことながらいずれの試み(即ち、能動的監視または信号の受動的受信)も本開示の原理によって実行してもよい。
【0043】
図2では制御回路20が吸入センサ16または入力ボタン14のいずれかが作動を示す信号を出力していると判断したら、制御回路20はエアロゾルを受け取るというユーザーの意思を示すユーザー入力が受信されたと判断する。それは工程106の“はい”である。逆に制御回路20がエアロゾルを受け取るというユーザーの意思を示すユーザー入力が受信されなかったと判断したら、本発明の方法は工程S104に戻り、制御回路20はエアロゾルを受け取るというユーザーの意思を示すユーザー入力の監視を続ける。
【0044】
工程S106でのユーザー入力が受信されたとの判断に応答して制御回路20は、工程S108で加熱素子48に第1のレベルの電力を供給するように構成されている。
【0045】
第1のレベルの電力は、加熱素子48に供給され、これは加熱素子48の温度を芯46内に保持されたe-リキッドの少なくとも一部が気化される作動温度まで徐々に上昇させる。一般に第1のレベルの電力として供給される電力の量は、実行例ごとに変わり、芯内に保持された液体の量、加熱素子とe-リキッド間の相対表面積および加熱素子の電圧および電流特性などの複数の異なる要因によって変わる可能性があるが、これらに限定されない。
図1の上述の例では第1のレベルの電力は、通常の使用で加熱素子48によって散逸され、e-リキッドを気化するために使用される電力と加熱されるe-リキッドの質量間が均衡するように設定される。液体は液体からこの場合には蒸気へ相転移するので、液体に散逸されるエネルギーは液体を揮発させ、大まかに言えば液体の温度をそれ以上上昇させない。しかしながら、e-リキッドの質量の一定の割合だけが気化されやすくなり、芯46に保持された残りのe-リキッドは加熱されるが、揮発させないような考慮すべき他の要因がある。この残りの質量はヒートシンクとして作用し、加熱素子48からの散逸エネルギーの一部を吸収する。この例の蒸気供給システム1では加熱素子48に供給される電力と芯46に保持されたe-リキッドの質量とのバランスが取られ、加熱素子48の温度を実質的に上昇させることなく充分なエアロゾルを発生させる。即ち、芯46のe-リキッドが充分に継ぎ足されると、加熱素子の温度は、特定の公差内で通常使用時(そして初期のウォームアップ時の後に)にはほぼ一定になる。
【0046】
加熱素子がニッケル合金ワイヤであり、室温(例えば25℃)で測定した抵抗が1.3~1.5オーム、巻きピッチが1mm当たり0.67±0.2、芯が液体吸収率が0.3g±0.05gで吸収時間が65秒±10秒(上記例で説明したように)である有機コットン芯である上述システムのようなシステム1の例ではそのようなシステムに適した電力レベルは6~7ワット、一部の実行例では6.0~6.5ワットである。制御回路20は、なんらかの好適な技術に従って加熱素子48に電力を送るように構成してもよい。一部の実施例では制御回路20は、工程S106でユーザー入力があると判断したとき、直流電力を連続的に(一定に)電源26から加熱素子48に場合によってはDC/DCブーストコンバータなどのなんらかの部品を介して供給し、必要に応じて供給された電力の電気的特性(例えば電圧)を調節するように構成されている。他の実行例ではパルス幅変調、PWMなどの変調技術を使用してもよい。これらの実行例では電力のパルスが加熱素子48に供給される。PWMは、パルスを特定のデューティサイクルに従って供給し、これは大まかに言えばパルス幅と信号波形の長さとの比である。これらの実行例では工程S108で供給される第1のレベルの電力は、1デューティサイクルに亘って供給される平均(RMS)電力(即ち、デューティサイクルの継続時間に亘ってパルスの継続時間の割合によって乗ぜられたパルスによって供される電力)であると考えてもよい。典型的なデューティサイクルは、40ミリ秒以下程度であってもよい(ここで留意すべきは大きすぎるデューティサイクルを有することは加熱素子の温度の変動の原因になるということである)。
【0047】
図2に示すように制御回路20が工程S108で第1のレベルの電力を供給する際、制御回路20は、蒸気供給システム1の枯渇状態に関連したパラメータを監視するようにも構成されている。
図2の例では制御回路20は、加熱素子48の電気抵抗を監視するように構成されている。加熱素子48の電気抵抗は芯46の枯渇状態を示すパラメータである。これは芯46が枯渇すると、気化するために利用できるe-リキッドが少なくなる、または加熱素子48からの散逸エネルギーを吸収するという事実によって加熱素子48の温度、そしてしたがってその電気抵抗が上昇するためである。
【0048】
加熱素子48の抵抗を監視するために制御回路20によって使用されるシステムに関して、加熱素子48の抵抗を測定する過程は、従来の抵抗測定技術に従って実行される。即ち、制御回路20は、抵抗(または対応する電気的パラメータ)を測定するための確立された技術に基づく抵抗測定部品を含んでもよい。1つの実行例では制御回路20は、加熱素子48と直列につながれた公知の抵抗値の参照抵抗器(図示せず)を含む(参照抵抗器はカートリッジ部4ではなくデバイス部2に設けてもよい)。制御回路20は、選択的に参照抵抗器を制御回路20(そして特に接地に)に結合するように作用する1つ以上のFETを含む切り替え装置を含む。信号ラインが参照抵抗器と加熱素子48の間でつながれ、制御回路20の電圧測定部品に送り込まれる。参照抵抗が加熱素子48につながれると、信号ラインに沿って電圧が加熱素子48の電圧を示す。このようにして分圧器平衡を使用して参照抵抗器の公知の抵抗と加熱素子48への入力電圧を基に加熱素子48の抵抗を推論することができる。しかしながら、当然のことながら これは抵抗を測定する方法の一例に過ぎず、加熱素子の抵抗を測定するあらゆる他の好適な技術を本開示の原理にしたがって使用してもよい。
【0049】
制御回路20は、加熱素子48に第1のレベルの電力を供給する際に周期的に(例えば50ミリ秒毎に)抵抗をサンプルするように構成してもよい。別の実行例では制御回路20は、例えば電圧信号(または派生抵抗信号)が供給される比較器を使用して連続的に監視してもよい。いずれの場合において制御回路20は、加熱素子48の抵抗値を繰り返し判断/導くまたは測定するように構成されている。
【0050】
工程S112では制御回路20は、第1の閾値に対して加熱素子の抵抗を比較するように構成されている。具体的には制御回路20は、加熱素子48の抵抗が第1の閾値より大きいかを判断するように構成されている。注目すべきことは第1の閾値の値および制御回路20がセットアップされている具体的な方法によっては制御回路の別の実行例が抵抗値が単に第1の閾値より大きいかを判断してもよい。
【0051】
加熱素子48が電流を導電性加熱素子48に通して抵抗加熱される上述の蒸気供給システム1では加熱素子48の抵抗は一般には温度と共に上昇する。一部の例では抵抗と温度は、ほぼ直線的であってもよい。したがって、加熱素子48の抵抗は、加熱素子48の温度に比例する。
【0052】
加熱素子48は、一般に室温抵抗値と作動抵抗値(即ち加熱素子が作動温度に到達する値)を有する。例えば、上述のシステムでは作動抵抗値は、約2.1オームである。第1の閾値は、作動抵抗値より例えば少なくとも5%高い値に設定される。上記の例ではこれは約2.21オームの値に等しい。第1の閾値は、作動温度付近で振動することによって生じる加熱素子48の温度の僅かな変動が無視されるのに充分なほど大きいが、加熱素子48の温度が著しく上昇するには大きくなり過ぎない値に設定される。例えば、上記の例の2.21オームという抵抗値は、作動温度(約200℃の)に比較して約10~20℃(約210~220℃の合計温度に)の温度増加に対応する。第1の閾値は、制御回路20のメモリに予め記憶されている例えば2.21オームという固定された抵抗値として定義されてもよく、あるいは第1の閾値は加熱素子の抵抗の以前の測定値に基づいて計算してもよい(例えば、以前の測定値プラス固定された抵抗値または以前の測定値プラスこの以前の測定値の特定の割合、例えば14%)。以前の測定値は、例えばパフの開始時に測定され、従って加熱素子の作動抵抗値に近似する。
【0053】
工程S112では制御回路20が加熱素子48の抵抗が第1の閾値未満であると判断すると(即ち、工程S112で“いいえ”)、本発明の方法は工程S114に進む。
【0054】
工程S114で制御回路20はエアロゾルを発生させるユーザーの意思を示すユーザー入力がまだあるか否かを判断する。通常の使用ではユーザーは、ユーザーがエアロゾルを受け取るのを望む限り、通常約3秒間、システム1で吸入する、または入力ボタン14を押すことになる。言い換えればこの実行例ではユーザーはエアロゾルの発生の開始および停止を制御する。制御回路20は、入力ボタン14からまたは入力ボタン14または吸入センサ16の一方または両方の作動を示す吸入センサ16から信号が受信されているか否かを判断する。もし受信している、即ち工程S114で“はい”なら、本発明の方法は工程S108に戻り、制御回路20は第1のレベルの電力を加熱素子48に供給し続ける。次に本発明の方法は上述のように工程S110およびS112に進む。したがって、制御回路20は、第1のレベルの電力が供給されているとき加熱素子48の抵抗が第1の閾値より大きいまたは第1の閾値に等しいかを繰り返し(または周期的に)判断する。
【0055】
一方ユーザー入力がそれ以上受信されない、即ち工程S114で“いいえ”の場合、本発明の方法は工程S120に進み、そこで加熱素子48への電力の供給が停止する。ユーザー入力がそれ以上受信されなくなると、これはユーザーがシステム1での吸入を止めたまたは入力ボタン14を押すのを止めて、それ以上エアロゾルを受けるのを望まないことを示す。即ち ユーザーはパフ/吸入を終了したことになる。その結果、制御回路20がこれを検知すると、加熱素子48への電力供給は、エアロゾルがそれ以上システム1によって発生されないように停止する。本発明の方法は工程S104に戻り、制御回路20はその後エアロゾルを受けたいというユーザーの欲求(即ち、次のパフの開始)を示す次のユーザー入力を監視する。
【0056】
本開示のいくつかの態様では工程S112で加熱素子48の抵抗が第1の閾値より高くなるまたは第1の閾値に等しい(即ち、工程S112で“はい”)の場合、本発明の方法は、工程S116に進み、そこで制御回路20は第2のレベルの電力(第1のレベルの電力の代わりに)を加熱素子48へ送る。言い換えれば 加熱素子48の温度は、抵抗が第1の閾値を超えるようになったとき、小さい電力が加熱素子48に供給される。第2のレベルの電力は第1のレベルの電力より小さいが、非ゼロレベルの電力である。言い換えれば制御回路は非ゼロレベルの電力を第2のレベルの電力として加熱素子48に供給する。上述のように加熱素子48に供給される電力は、制御回路20、例えばPWM制御を介して制御される。制御回路20は、したがってPWM制御(デューティサイクルを変えることによる)などのあらゆる好適な技術を使用してまたは加熱素子へ供給される電圧の大きさを小さくすることによって加熱素子48に供給される電力のレベルを変更するように構成されている。
【0057】
上述のように当然のことながら通常の使用の間、芯46内に保持された特定の量のe-リキッドは気化され、ユーザーによって吸入される。通常の状態そして特に貯蔵部44内に充分なe-リキッドがあるとき、芯46は、芯46がほぼ一定の量のe-リキッドを保持するようにe-リキッドが充分に補充される。気化されるe-リキッドが充分あると仮定すると、加熱素子によって散逸した電力はe-リキッド内に吸収され、気化される。このときe-リキッドの温度はほぼ一定である。さらに気化される多くのe-リキッドがある場合、残りのe-リキッドはヒートシンクとして作用し、残りのe-リキッドの温度を上げるが、気化させない散逸した電力の一部を吸収する。
【0058】
しかしながら、芯46の液体の量が一定の量を例えば貯蔵部44がe-リキッドを使い切って、従って芯46に補充できないことによって下回った場合、それほど多くの散逸電力がe-リキッドに吸収されない。一部の例では電力は、芯46の材料またはe-リキッドとして同様の相変化特性を持たないカートリッジ部4に供給される。その結果、芯と加熱素子48の温度が上昇し続け、芯46の焦げにつながり、これはとりわけ発生させたエアロゾルの味に影響を与えるおよび/または蒸気供給システム1の損傷の原因になる望ましくない影響を与える。即ち、芯46のe-リキッドが枯渇すると、e-リキッドに移行しない加熱素子48によって散逸されるエネルギーの割合が多くなる(そして代わりに例えば芯46の芯材に移行する)。
【0059】
しかしながら、実際面で 芯46から完全にe-リキッドを全く無くなるというわけではない。乾燥した芯を通常より早期に検知する一部のシステムでは芯に残っているこのe-リキッドは、気化するe-リキッドがかなりの量あったとしても気化されにくい。したがって、消費者は、気化可能で、吸入可能なe-リキッドを含むカートリッジ部を不必要に廃棄することになる。これは材料利用の点で非効率であり、消費者にとって多くのコストにつながり、さらには廃棄される廃棄物の増加につながる。
【0060】
本開示による工程S112で加熱素子48の抵抗(したがって温度)が第1の閾値に等しいまたは高くなる場合、制御回路20はシステム1が枯渇したと、そして特に芯46内のe-リキッドが枯渇していると判断する。注目すべきことは工程S112において抵抗値を第1の閾値と比較した際、制御回路20は、蒸気供給システム1に関連する枯渇状態を判断していると言ってもよい(即ちシステム1が枯渇しているか否か)。
【0061】
その結果、工程S116に示すように制御回路20は第2の減少したレベルの電力を加熱素子48に供給する。第1のレベルの電力を供給するのと比較して、芯46に所定の質量のe-リキッドがある場合、第2のレベルの電力はその所定の量のe-リキッドの場合に加熱素子が到達する温度を下げる(散逸したエネルギーとこの散逸エネルギーを受けるのに利用可能なe-リキッドの質量との均衡に基づいて)。実際にはこれは加熱素子の温度が作動温度を下回ることを必ずしも意味せず、一部の実行例では第2のレベルの電力は、温度が作動温度を下回らないように選択される。むしろ気化に利用できるe-リキッドの質量が少ないので散逸される電力が減少する。次にこれは加熱素子48が実質的に作動温度を超えにくくなり、芯材を焦がしにくくなることを意味する。この点に関し、制御回路20は芯46内に貯蔵されたe-リキッドが枯渇していると判断するが、蒸気供給システム1は、それでもユーザーが吸入できる、そしてそうでなければ失われるであろう蒸気を残りのe-リキッドから発生させることができるが、e-リキッドまたは芯材の過熱の可能性を減らすことができる。
【0062】
第2のレベルの電力は第1のレベルの電力より70%以下、第1のレベルの電力の50%以下または第1のレベルの電力の30%以下に設定してもよい。正確な値は、第1の閾値と加熱素子48の作動抵抗値との差などのいくつかの要因によって決まる。
【0063】
再度
図2を参照すると工程S118で制御回路20はエアロゾルを発生させるユーザーの意思を示すユーザー入力がまだあるか否かを判断するように構成されている。工程S114に関連して上述のように制御回路20は、入力ボタン14からまたは入力ボタン14または吸入センサ16の一方または両方の作動を示す吸入センサ16から信号が受信されているか否かを判断する。もし受信されている場合、即ち工程S118で“はい”の場合、本発明の方法は、工程S116に戻り、制御回路20は第2のレベルの電力を加熱素子48に供給し続ける。したがって、制御回路20は、第2のレベルの電力を加熱素子48に供給している際にまだユーザー入力が受信されているか否かを監視し続ける。
【0064】
一方ユーザー入力がそれ以上受信されない、即ち、工程S114で“いいえ”の場合、本発明の方法は、上述のように工程S120に進み、そこで加熱素子48への電力の供給が停止する。本発明の方法は、工程S104に戻り、制御回路20はエアロゾルを受けたいというユーザーの欲求を示す次のユーザー入力を監視する。
【0065】
上述のように本開示は、蒸気供給システム1を提供し、このシステムではシステムの少なくとも一部内の特に芯内のe-リキッドが枯渇しているか否かを判断するために加熱素子48の抵抗が第1の閾値に対して比較される。枯渇が検知された際に(上述の実行例では加熱素子48の温度または抵抗の上昇に対応する)、減少させたレベルの電力が加熱素子に供給される。減少させたレベルの電力は、エアロゾルを芯46に残っているe-リキッドからまだ発生させるが、カートリッジ部4(特に芯および/または加熱素子)の損傷の機会を少なくする方法で供給される。これによりカートリッジ部4内のe-リキッドの使用効率が向上し、その結果ユーザーはカートリッジ部4内に供給されたe-リキッドを多く使用することができる。これは他のモジュラーシステムに較べてカートリッジ部4をユーザーが交換を必要とする回数を減らすことができる。
【0066】
当然のことながら制御回路が第2の減少させたレベルの電力を加熱素子48に供給する際、発生させるエアロゾルの(または揮発させる液体の)量は、制御回路20が第1のレベルの電力を供給するときと較べて減少させてもよい。量の違いによってこれは例えばユーザーが吸入したエアロゾルを吐き出す際にユーザーは気づくことができる。一部の例ではこれは貯蔵部44が枯渇して、カートリッジ部4がすぐに交換を必要としていることを理解するのに充分である。エアロゾルの量の変化はユーザーが必要な行動をとるきっかけとして作用することができる。
【0067】
発生させるエアロゾルの量の変化が顕著でない、またはユーザーにこの変化を強調する例では制御回路20が工程S112で枯渇があると判断した場合、
図1で説明したような一部の実行例の制御回路20は、表示部25を始動させるように構成されている。既に述べてきたように表示部25は、枯渇が検知されたことをユーザーに示すためにLEDを介した光学信号などの信号を出力するために使用することができる。上記とほぼ同じように表示部25は、カートリッジ部4の交換という点で必要な行動をユーザーにとらせるきっかけとして作用することができる。より具体的には表示部25が使用される実行例では制御回路は
図2の工程S116と同時に表示部を作動させるように構成されている。制御回路20は、工程S120で表示部を切るまたは表示部は、ユーザーが例えばカートリッジ部4を別のカートリッジ部4に変えるなどの制御回路20によって検知される行為をユーザーが行うまで作動し続けてもよい。表示部25は例えば連続した光信号などの連続信号または例えば一連の光パルスなどの間欠信号を出力してもよい。いずれの場合においても 表示部25は、芯内の液体の枯渇(より広い意味で蒸気供給システム1内の枯渇)が検知されたことをユーザーに知らせる信号を供する。
【0068】
また当然のことながらユーザーが第2のレベルの電力を使用して残りのe-リキッドを気化できるようにするということは使用できるe-リキッドの量を増やすだけでなく、さらにユーザーに例えば運転しているときなどユーザーがカートリッジ部4を変えることができないときであってもエアロゾルを吸入し続けるという選択肢を提供する。発生させるエアロゾルの量が僅かに少なくなったとしても ユーザーにそれでもある程度のエアロゾルが供される。したがって、枯渇の警告(エアロゾル量の顕著な変化を介したまたは表示部25を介した)とシステム1内の枯渇が検知された場合であっても蒸気を発生させることができることの組み合わせによってユーザーは必要な行動をとるまたはべーピング行為を計画することができるようになる。
【0069】
制御回路20はユーザー入力信号が依然として受信されているか否か(工程S114およびS118で)を判断すると説明したが、これらの工程は省略してもよい。例えば一部の実行例では制御回路20が工程S106でユーザー入力が受信されたと判断した場合、電力はユーザー入力の検知から所定の時間、加熱素子に供給されるようになっている。例えば、電力は典型的なパフ継続時間、例えば3秒にほぼ等しい時間、供給されてもよい。所定の時間が過ぎた後、加熱素子48への電力の供給は停止してもよい。当然のことながらこれらの実行例では制御回路20は、加熱素子48の抵抗値が第1の閾値を超えるまたは下回るか否かによって異なるレベルの電力を供給するように構成してもよいが、ユーザー入力が受信されているかを判断する代わりに制御回路20は所定の時間が経過したか否かを判断するように構成してもよい。
【0070】
図2の上述の実行例では制御回路20は、枯渇が起こったことの検知に応答して第2のレベルの電力を供給するように構成されている。第2のレベルの電力は、所定のパフの間、依然としてユーザー入力が入力されている限り(工程S118)供給される。加熱素子48への電力の供給が停止すると(工程S120で)、即ち所定のパフが終わったとき、本発明の方法は工程S104に戻り、制御回路はユーザー入力を監視する。その後のパフでは制御回路20は工程S116で第2のレベルの電力を供給する前に工程S108に従って第1のレベルの電力を供給する。この方法は一部の用途、特に芯46がe-リキッドが枯渇すると考えられるが(加熱素子48の抵抗に基づいて)、貯蔵部44は完全に枯渇していない場合に役立つ。例えば、一部のユーザーは蒸気供給システム1をそれを通常の使用時の角度より傾けて(例えば、ユーザーが横になっている)使用する場合がある。これらの例では貯蔵部44内に配置された芯46の端部は、貯蔵部44内のe-リキッドと接触しない場合があり、したがって、この向きでのべーピングは芯46が枯渇していると考えられるが、貯蔵部44は枯渇していないと考えられることを意味する。表示部25からの表示をユーザーが受け取るおよび/またはエアロゾルの量の減少に応じて、ユーザーは、芯46の端部が貯蔵部44内のe-リキッドと再度接触するようにシステム1を傾ける。したがって、所定のパフの間に枯渇するか否かを判断することはパフの間に効果的にリセットされる。
【0071】
さらに
図2によれば枯渇があったと判断され、制御回路が第2のレベルの電力を供給すると仮定すると、ユーザーがそのパフを終えると、次のパフの開始のために制御回路20は第1のレベルの電力を加熱素子48に供給する。これは加熱素子48が低温である場合に有利であり、即ち芯46に少量のe-リキッドが保持されているとしても加熱素子の温度を作動温度に素早く上昇させることができる。
【0072】
図2の例では所定のパフの間に枯渇があるか否かを判断することはパフ間で効果的にリセットされる。枯渇があったとの判断が工程S112でなされると、制御回路20は、したがって、加熱素子48の抵抗が第1の閾値を超えるまたは第1の閾値に等しいと判断した時点で加熱素子48の抵抗の監視を続けなくてもよい。これはそうでなければパフ中の抵抗を監視するためにそして比較するために使用されるであろう電力を節約する。
【0073】
しかしながら、一部の実施例では蒸気供給システム1の枯渇状態のより速い変化に対応するためにパフの間に電力を複数回調節するのが有益の場合がある。
図3は本開示のさらなる態様による
図1の蒸気供給システム1の操作方法の別例を示し、これにより電力レベルを所定のパフの間、複数回、調節することができる。
図3の方法は、大まかに
図2の方法と類似しており、
図3と共通(共通の符号で示されているように)種々の工程等を繰り返して説明しない。違いだけを詳しく説明する。
【0074】
図2では工程S118でユーザー入力がまだ受信されていると、制御回路20は、加熱素子48に第2のレベルの電力を供給するように構成されている。しかしながら、
図3ではユーザー入力が工程S118で依然として受信されている、即ち、工程S118で“はい”の場合、本発明の方法は、工程S112に戻る。即ち、制御回路20は、ユーザー入力が受信されている間、加熱素子48の抵抗を監視するように構成されている。この点に関し当然のことながら
図3は、制御回路20が加熱素子48に第1のレベルまたは第2のレベルの電力を供給しているかに関係なく、加熱素子48の抵抗が所定の吸入中に第1の閾値と繰り返し比較されるシステム1を説明している。一部の実施例では工程S118と工程S110間の所定の遅れ(例えば、10~20ミリ秒)は、加熱素子48の抵抗値が第2の電力レベルが投入されることに応答して調節されるように強制的に生じさせてもよい。
【0075】
このようにして構成された制御回路20を設けることは、芯46の枯渇状態のより速い変化の説明がつき、好適な電力レベルがそれに応じて供給できることを意味する。
【0076】
制御回路20が工程S112で枯渇があると判断した際に芯が焦げる可能性を減らすために図示していないが、
図2をベースにした別の例では制御回路20は、枯渇が検知されたことの表示をメモリなどに記憶または記録するように構成されている。その後、次のパフにおいてなんらかの電力を供給する前に制御回路20は、最後のパフ中に枯渇が検知されたかを判断し、もし検知されたら第2のレベルの電力を供給し始める。この構成は、枯渇が芯46に加えて貯蔵部の枯渇、即ち芯46の枯渇だけでない場合に有利である場合がある。
【0077】
図4は本開示のさらなる態様による
図1の蒸気供給システム1の操作方法の別例を示し、ここでは電力レベルを所定のパフ中に調節することができる。
図4の方法は、大まかに
図2の方法と類似しており、
図4と共通の(共通の符号で示されているように)種々の工程等を繰り返して説明しない。違いについてのみ詳しく説明する。
【0078】
大まかな概要において
図4は、制御回路20が複数の(3つの)電力レベル、即ち第1の電力レベル、第1の電力レベルより低い第2の電力レベルおよび第2の電力レベルより低い第3の電力レベルのうちの1つを選択して加熱素子48に供給するように構成されているシステム1を例示している。このようなシステムは、芯46内に残っているe-リキッドをさらに気化させる可能性を提供するが、加熱素子48に供給される電力レベルを下げる。操作原理は、追加の電力レベルを除いて
図2について説明したものとほぼ同じである。
【0079】
工程S116で加熱素子48の監視した抵抗が工程S112で第1の閾値より大きいまたは第1の閾値に等しいと以前に判断された場合、本発明の方法は工程S130に進む。工程S130で加熱素子48の監視された抵抗は第2の閾値と比較される。一部の実施例では第2の閾値は、加熱素子48の抵抗が加熱素子48の温度に比例すると仮定すると第1の閾値と同じであり、その場合システム1は、加熱素子48が使用中に同じまたは同様の温度に到達するように作動するように構成される。即ち、
図2に関連して使用した値を採用すると、第1および第2の閾値は、2.21オームに設定される。他の実行例では第2の閾値は、第1の閾値より僅かに低く設定されてもよく、例えば第1の閾値より10%低くてもよい。このようにして加熱素子48の最大温度は、第2のレベルの電力が投入されるとさらに制限され、これはシステム1が芯に残っているe-リキッドの質量の突然の著しい変化を受けた際に有利になる。しかしながら、他の実行例では第2の閾値は、特に加熱素子48の加熱特性が芯46に保持されているe-リキッドの量に基づいて異なる実行例では第1の閾値と異なって設定されてもよい。
【0080】
工程S130で制御回路20は、抵抗が第2の閾値より大きいまたは等しいかを判断するように構成されている。注目すべきことは第2の閾値に依存して制御回路の別の実行例が測定されたまたは判断された抵抗値が第2の閾値より大きいかを判断してもよいということである。工程S130で制御回路20が加熱素子48の抵抗が第2の閾値より小さい(即ち、工程S130で“いいえ”)と判断した場合、本発明の方法は工程S132に進む。
【0081】
工程S132で制御回路20はエアロゾルを発生させるユーザーの意思を示すユーザー入力がまだあるか否かを判断する。通常の使用ではユーザーは、ユーザーがエアロゾルを受け取るのを望む限り、通常約3秒間、システム1で吸入する、または入力ボタン14を押すことになる。言い換えれば この実行例ではユーザーはエアロゾルの発生の開始および停止を制御する。制御回路20は、入力ボタン14からまたは入力ボタン14または吸入センサ16の一方または両方の作動を示す吸入センサ16から信号が受信されているか否かを判断する。もし受信されていれば、即ち工程S132で“はい”であれば、本発明の方法は、工程S116に戻り、制御回路20は第2のレベルの電力を加熱素子48に供給し続ける。本発明の方法は上述のように工程S130に進む。したがって、制御回路20は、第2のレベルの電力が供給されているとき、加熱素子48の抵抗が第2の閾値より高いまたは第2の閾値に等しいかを繰り返し(または周期的に)判断する。
【0082】
一方、ユーザー入力がそれ以上受信されない、即ち工程S132で“いいえ”の場合、本発明の方法は工程S120に進み、そこで加熱素子48への電力の供給が停止する。ユーザー入力がそれ以上受信されなくなると、これはユーザーがシステム1での吸入を止めたまたは入力ボタン14を押すのを止めて、それ以上エアロゾルを受けるのを望まないことを示す。その結果、制御回路20がこの状態を検知すると、加熱素子48への電力の供給がエアロゾルがそれ以上発せられないように停止される。本発明の方法は工程S104に戻り、制御回路20はエアロゾルを受けたいというユーザーの欲求を示す次のユーザー入力を監視する。
【0083】
本開示のいくつかの態様では工程S130で加熱素子48の抵抗が第2の閾値より大きいまたは第2の閾値に等しい(即ち、工程S112で“はい”)場合、本発明の方法は、制御回路20が第3のレベルの電力(第2のレベルの電力の代わりに)を加熱素子48に送るように構成されている工程S134に進む。言い換えれば加熱素子48の温度が抵抗が第2の閾値を超えるような温度になったとき、さらに減少した電力が加熱素子48に供給される。第3のレベルの電力は第2のレベルの電力より小さいが、非ゼロレベルの電力である。言い換えれば制御回路は、非ゼロレベルの電力を第3のレベルの電力として加熱素子48に供給する。
【0084】
第3のレベルの電力は、第2のレベルの電力の70%以下、または第2のレベルの電力の50%以下、または第2のレベルの電力の30%以下になるように設定されてもよい。正確な値は、第2の閾値と加熱素子48の作動抵抗値との違いなどのいくつかの要因によって変わる。
【0085】
ほぼ上記と同じように 制御回路20は、工程S114またはS132と同じようにユーザー入力が依然として受信されているかを工程S136で判断する。もし受信されていると判断したら、本発明の方法は、工程S134に戻り、第3のレベルの電力が制御回路20によって加熱素子48に投入される。逆にユーザー入力が工程S136で受信されていないと、本発明の方法は工程S120に進み、加熱素子48への電力の供給が停止される。
【0086】
図4で説明した操作の方法において制御回路20は、それぞれが加熱素子48に供給される特定の電力レベルに対応する複数の閾値と加熱素子48の抵抗を比較するように構成されている。複数の電力レベルを設けることによって加熱素子48に供給される電力の細かい制御が可能になる。1つの例では電力は好適なレベルの電力が加熱素子48に投入されて芯内のe-リキッドの量の変化に対応するようにパフに亘って変化させることができる。
【0087】
図4の原理は
図3の原理に組み入れることができる。同様に
図4の原理は前のパフの電力レベルが記録され、後続のパフが以前に記録された電力レベルで始まるシステムに適用することができる。さらに当然のことながら3つの電力レベルのみを
図4に関連付けて説明してきたが、4つ以上の電力レベルも本開示の原理に従って適用してもよい。これら複数の電力レベルのそれぞれは、連続的に減少させた値を有するように設定され、電力レベルのそれぞれは非ゼロ電力レベルである。
【0088】
上記は枯渇状態を判断するために加熱素子48の抵抗の測定を目的としたシステム1に関するものであるが、当然のことながらあらゆる他の好適な技術を使用して枯渇を判断してもよい。例えば、赤外線カメラを使用して加熱素子48の温度を測定してもよい。温度を閾値と比較する類似の工程はそのような状況において実行できる。加えて枯渇は貯蔵部44に関連したパラメータを監視することによって判断され、例えばフライトセンサの時間を使用して受け部44内の液体レベルを監視してもよい。原理上は蒸気供給システムの一部(芯46または貯蔵部44)のe-リキッドの枯渇を判断するためのあらゆる好適な技術を本開示の原理に従って採用することができる。
【0089】
蒸気供給システム1は、密閉されたカートリッジ部4を含むと説明したが、当然のことながらカートリッジ部4は一部の実行例では再充填可能であってもよい。本開示の原理はこのような実行例に同様に適用される。またさらなる実行例ではカートリッジ部4は再利用可能なデバイス部2の一体部品であってもよく、例えば、ハウジングの1つの部品としてまたは極めて少ない共通態様で形成されてもよい。一体化されたカートリッジ部4は、e-リキッドを繰り返し充填可能である。蒸気供給システムのそのような構成はオープンシステムとして知られている。本開示の原理はこのような実行例に同様に適用される。
【0090】
上述の実施態様は、いくつかの点において一部の特定の例の蒸気供給システムに着目しているが、当然のことながら同じ原理が他の技術を使用した蒸気供給システムに適用可能である。即ち、蒸気供給システムの種々の態様が機能する特定の方法がここで説明した例にある原理に直接関連しない。
【0091】
例えば上述の実施態様が液体蒸気前駆体材料を加熱するための電子ヒーター系気化器を有するデバイスに主に着目しているのに対して 同じ原理が他の技術をベースにした気化器、例えば圧電バイブレーター系気化器または光学加熱気化器そしてまた他の蒸気前駆体材料、例えばタバコ由来材料などの植物由来材料などの固体材料またはゲル、ペーストまたは泡系蒸気前駆体材料などの他の形体の蒸気前駆体材料などの他の蒸気前駆体材料をベースにしたデバイスに従って適合させてもよい。
【0092】
さらにそして既に言及してきたように当然のことながら電子タバコに関連する上述のアプローチは、
図1に示したものと全体的な構造が異なるタバコにおいて実行してもよい。例えば、同じ原理をツーパーツモジュラー構造でなく、代わりにシングルパーツデバイス、例えば使い捨て(即ち非充電性で再充填不可の)デバイスを含む電子タバコに適合させてもよい。さらにモジュラーデバイスの一部の実行例では部品の配置が異なってもよい。例えば一部の実行例では制御ユニットは、蒸気を発生させるために使用する気化器用の蒸気前駆体材料源を供する交換可能なカートリッジを有する気化器も含んでもよい。その上さらに上述の例では電子タバコ1が風味インサートを含まないのに反して他の例示的実行例はそのような追加の風味部材を含んでもよい。
【0093】
同様に上記システムは液体蒸気前駆体材料に関して説明したが、同様の原理を異なる物質の状態の蒸気前駆体材料に適用できる。例えば、再生タバコなどの一部の固体は、気化されるとその熱特性が変化するという特徴を示す場合がある。そのような材料がその特徴を示す場合、本開示の技術はこれらの材料に等しく適用させてもよい。
【0094】
従って、蒸気前駆体材料から蒸気を発生させる気化器と、蒸気前駆体材料を貯蔵するための貯蔵部と、制御回路とを含み、この制御回路は、第1の非ゼロレベルの電力を気化器に供給して蒸気前駆体材料の少なくとも一部から蒸気を発生させ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部の量を示すパラメータを観察し、監視したパラメータを第1の閾値と比較することに基づいて蒸気前駆体材料の枯渇状態を判断し、制御回路が監視したパラメータと第1の閾値との比較に基づいて減少があったと判断した場合、第2の非ゼロレベルの電力を気化器に供給するように構成され、第2のレベルの電力は第1のレベルの電力より低い蒸気供給システムが説明されている。
【0095】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践される。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよく、当然のことながら従属請求項の特徴は独立請求項の特徴と請求項に明示的に記載された組み合わせ以外の組み合わせで組み合わせてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。