(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】可動インジケータを作動させるための機構を備える腕時計ケース
(51)【国際特許分類】
G04B 19/28 20060101AFI20231117BHJP
G04B 37/05 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G04B19/28 D
G04B19/28 A
G04B37/05 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072108
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・メール
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・チュミ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】スイス国特許発明第304088(CH,A)
【文献】特開昭63-134991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計ケース(10)であって、前記腕時計ケース(10)は、時刻値を表示するディスプレイを駆動するよう構成された時計ムーブメント(14)が配設される内部容積の範囲を定める風防(12)及び裏蓋(13)が取り付けられた、ミドルケース(11)を備え、前記
腕時計ケース(10)は、回転運動可能であり、前記
腕時計ケース(10)の前記内部容積内に収容された、インジケータ(16)を作動させるための機構を更に備え、前記腕時計ケース(10)は、前記
インジケータ(16)を作動させるための機構が、回転運動可能であり、ユーザによって操作されるよう構成された、ベゼル(15)と、前記ベゼル(15)及び前記インジケータ(16)と噛合するよう配設された伝動ピニオン(17)とを含み、前記ベゼル(15)、前記伝動ピニオン(17)、及び前記インジケータ(16)それぞれの回転軸が互いに対して平行であ
り、
前記ベゼル(15)、前記インジケータ(16)、及び前記伝動ピニオン(17)は、前記ベゼルが回転駆動された場合に、前記ベゼル(15)及び前記インジケータ(16)が同じ角速度で枢動するように、構成される、
ことを特徴とする、腕時計ケース(10)。
【請求項2】
腕時計ケース(10)であって、前記腕時計ケース(10)は、時刻値を表示するディスプレイを駆動するよう構成された時計ムーブメント(14)が配設される内部容積の範囲を定める風防(12)及び裏蓋(13)が取り付けられた、ミドルケース(11)を備え、前記
腕時計ケース(10)は、回転運動可能であり、前記
腕時計ケース(10)の前記内部容積内に収容された、インジケータ(16)を作動させるための機構を更に備え、前記腕時計ケース(10)は、前記
インジケータ(16)を作動させるための機構が、回転運動可能であり、ユーザによって操作されるよう構成された、ベゼル(15)と、前記ベゼル(15)及び前記インジケータ(16)と噛合するよう配設された伝動ピニオン(17)とを含み、前記ベゼル(15)、前記伝動ピニオン(17)、及び前記インジケータ(16)それぞれの回転軸が互いに対して平行であ
り、
前記伝動ピニオン(17)は上側歯部(170)及び下側歯部(171)を備え、前記上側歯部(170)及び前記下側歯部(171)は、前記上側歯部(170)が前記ベゼル(15)の歯部と噛合し、前記下側歯部(171)が前記インジケータ(16)の歯部と噛合するように、互いに対して同軸に延在する、腕時計ケース(10)。
【請求項3】
前記上側歯部(170)及び前記下側歯部(171)は、パッキン(172)を受承する径方向溝によって互いから隔てられている、請求項
2に記載のケース(10)。
【請求項4】
前記インジケータ(16)は円筒壁(160)を備えるフランジで形成され、前記円筒壁(160)の下端部では、歯付き径方向リップ(161)が前記円筒壁(160)の外面から径方向に延在し、前記径方向リップ(161)は、前記伝動ピニオン(17)の前記下側歯部(171)と噛合関係で協働するように、前記ミドルケース(11)の径方向支承表面(114)に対面するよう配設され、また前記フランジは、前記円筒壁(160)の内面から延在するインデックスを更に含む、請求項
2に記載のケース(10)。
【請求項5】
前記ベゼル(15)は、噛合している前記伝動ピニオン(17)の前記上側歯部(170)と協働するように外側歯部を有する円筒リップ(150)によって、前記ミドルケース(11)の軸方向環状溝(110)に係合する、請求項
2に記載のケース(10)。
【請求項6】
前記ベゼル(15)は、前記ミドルケース(11)のハウジング内で自由に回転できるよう設置された中間ピニオンの歯部と噛合することによって協働する内側歯部を有する円筒リップ(150)によって、前記ミドルケース(11)の軸方向環状溝(110)に係合し、前記中間ピニオンは、前記伝動ピニオン(17)の前記上側歯部(170)と協働するよう配設される、請求項
2に記載のケース(10)。
【請求項7】
前記ベゼル(15)は二方向性である、請求項
1又は2に記載のケース(10)。
【請求項8】
前記伝動ピニオン(17)は、前記ミドルケース(11)内に形成されたハウジング(111)に係合し、前記ハウジング(111)は、下端部及び上端部において径方向開口へと通じている、請求項
1又は2に記載のケース(10)。
【請求項9】
前記ミドルケース(11)内に形成されたハウジング(111)は、
上端部において前記ミドルケース(11)の
軸方向環状溝(110)へと通じ、
下端部において前記径方向支承表面(114)へと、及び前記ミドルケース(11)に設けられた凹部(112)へと通じ、前記凹部(112)は支持用ソール(113)を受承する、
請求項4に記載のケース(10)。
【請求項10】
前記
ミドルケース(11)内に形成されたハウジング(111)は、
上端部において前記ミドルケース(11)の
軸方向環状溝(110)へと通じ、
下端部において前記径方向支承表面(114)へと、及び前記伝動ピニオン(17)の下端部と前記裏蓋(13)との間に挟まれたプラグ(117)へと通じる、
請求項4に記載のケース(10)。
【請求項11】
周縁パッキン(118)は、前記フランジと前記ミドルケース(11)との間に挟まれる、請求項
10に記載のケース。
【請求項12】
前記ミドルケース(11)は、ばね負荷式プッシュピース(23)を受承する少なくとも1つの孔(22)を備え、前記ばね負荷式プッシュピース(23)の1つの弾性変形可能な端部は、前記ベゼル(15)が回転する際にノッチを生成するために、ベゼル(15)内に作製された位置決め用キャビティ(152)と協働するよう構成される、請求項
1又は2に記載のケース(10)。
【請求項13】
前記ベゼル(15)、前記伝動ピニオン(17)、及び前記インジケータ(16)はそれぞれ、前記ベゼル(15)、前記伝動ピニオン(17)、及び前記インジケータ(16)それぞれの前記歯部が取り付けられる本体を有する、請求項
1又は2に記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計学の分野、特に時計構成部品の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、可動インジケータを作動させるための機構を備える腕時計ケースに関する。
【背景技術】
【0003】
特定の情報をユーザに示すよう構成された1つ以上の回転ベゼルを備える腕時計ケースが存在する。
【0004】
特に、航空パイロットが飛行時間を計算するために使用できる、ミドルケースの内部に配置されたインジケータを駆動するよう適合された溝付き回転ベゼルを有する、ケースが公知である。
【0005】
特に、回転ベゼルの変位によるインジケータの駆動は、多数の文献から公知である。
【0006】
例えば、WERTHANORによって出願された特許文献1は、回転ベゼル、風防、及びフランジで形成された可動アセンブリを記載しており、上記可動アセンブリは、パッキンによってミドルケースから隔てられている。
【0007】
このタイプの機構は、製造するのが比較的複雑であるということに加えて、水密性及び気密性に関する欠点を有する。一般的に、これらの機構は、外部環境からの攻撃に対して非常に敏感である。
【0008】
LVMHによって出願された特許文献2は、磁気引力によってインジケータを駆動するための機構を備える回転ベゼルを記載している。このタイプのデバイスの動作は、腕時計が磁場の近傍に位置するときに妨害される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】スイス特許第681127号
【文献】欧州特許第1342131号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、腕時計のケースの内部のインジケータを駆動するための簡単で信頼性の高い解決策を提供することにより、上述の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は腕時計ケースに関し、上記腕時計ケースは、時間及び分といった時刻値を表示するディスプレイを駆動するよう構成された時計ムーブメントが配設される内部容積の範囲を定める風防及び裏蓋が取り付けられた、ミドルケースを備え、上記ケースは、回転運動可能であり、上記ケースの上記内部容積内に収容された、インジケータを作動させるための機構を更に備え、上記腕時計ケースは、上記作動機構が、回転運動可能であり、ユーザによって操作されるよう構成された、ベゼルと、上記ベゼル及び上記インジケータと噛合するよう配設された伝動ピニオンとを含み、上記ベゼル、上記伝動ピニオン、及び上記インジケータそれぞれの回転軸が互いに対して平行であることを特徴とする。
【0012】
従って、本発明の特徴により、上記作動機構の動作は、磁場に対して敏感でなく、また比較的簡単に実施できる。
【0013】
有利には、本発明では、含まれる可動部品の点数が削減され、これは上記作動機構の信頼性の保証に寄与する。
【0014】
更に有利には、上記ベゼルが上記風防に機械的に連結されることを考慮すると、本発明の特徴によって、上記ケースの上記内部容積と上記外部環境との間の有効なシールが可能となる。
【0015】
具体的な実施形態によると、本発明は、単独で、又は技術的に可能ないずれの組み合わせで考慮される、以下の特徴のうちの1つ以上を更に含むことができる。
【0016】
具体的な実施形態によると、上記ベゼル、上記インジケータ、及び上記伝動ピニオンは、上記ベゼルが回転駆動された場合に、上記ベゼル及び上記インジケータが同じ角速度で枢動するように、構成される。
【0017】
具体的な実施形態によると、上記伝動ピニオンは上側歯部及び下側歯部を備え、上記上側歯部及び上記下側歯部は、上記上側歯部が上記ベゼルの歯部と噛合し、上記下側歯部が上記インジケータの歯部と噛合するように、互いに対して同軸に延在する。
【0018】
具体的な実施形態によると、上記上側歯部及び上記下側歯部は、パッキンを受承する径方向溝によって互いから隔てられている。
【0019】
この配置により、上記ケースの上記内部容積と外部環境との間の効果的なシールが得られる。
【0020】
具体的な実施形態によると、上記インジケータは円筒壁を備えるフランジで形成され、上記円筒壁の下端部では、歯付き径方向リップが上記円筒壁の外面から径方向に延在し、上記径方向リップは、上記伝動ピニオンの上記下側歯部と噛合関係で協働するように、上記ミドルケースの径方向支承表面に対面するよう配設され、また上記フランジは、上記円筒壁の内面から延在するインデックスを更に含む。
【0021】
具体的な実施形態によると、上記ベゼルは、上記伝動ピニオンの上記下側歯部と噛合関係で協働するように外側歯部を有する円筒リップによって、上記ミドルケースの軸方向環状溝に係合する。
【0022】
具体的な実施形態によると、上記ベゼルは、上記ミドルケースのハウジング内で自由に回転できるよう設置された中間ピニオンの歯部と噛合することによって協働する内側歯部を有する円筒リップによって、上記ミドルケースの軸方向環状溝に係合し、上記中間ピニオンは、上記伝動ピニオンの上記上側歯部と協働するよう配設される。
【0023】
具体的な実施形態によると、上記ベゼルは二方向性である。
【0024】
具体的な実施形態によると、上記伝動ピニオンは、上記ミドルケース内に形成されたハウジングに係合し、上記ハウジングは、下端部及び上端部において径方向開口へと通じている。
【0025】
具体的な実施形態によると、上記ハウジングは、上記上端部において上記ミドルケースの上記軸方向環状溝へと通じ、上記下端部において上記径方向支承表面へと、及び上記ミドルケースに設けられた凹部へと通じ、上記凹部は支持用ソールを受承するよう構成される。
【0026】
具体的な実施形態によると、上記ハウジングは、上記上端部において上記ミドルケースの上記軸方向環状溝へと通じ、上記下端部において上記径方向支承表面へと、及び上記伝動ピニオンの下端部と上記裏蓋との間に挟まれたプラグへと通じる。
【0027】
具体的な実施形態によると、周縁パッキンは、上記フランジと上記ミドルケースとの間に挟まれる。
【0028】
具体的な実施形態によると、上記ミドルケースは、ばね負荷式プッシュピースを受承する少なくとも1つの孔を備え、上記ばね負荷式プッシュピースの1つの弾性変形可能な端部は、上記ベゼルが回転する際にノッチを生成するために、ベゼル内に作製された位置決め用キャビティと協働するよう構成される。
【0029】
具体的な実施形態によると、上記ベゼル、上記伝動ピニオン及び上記インジケータはそれぞれ、上記ベゼル、上記伝動ピニオン及び上記インジケータそれぞれの歯部が取り付けられる本体を有する。
【0030】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、大まかな、そして非限定的な例として提供される以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい例示的実施形態による腕時計ケースの分解上面斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のケースの特定の要素の分解底面斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図1の腕時計ケースの例示的実施形態の代替例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、
図1に示されているような腕時計のケース10に関し、上記ケース10は、時間、分、及び任意に秒といった時刻値を表示するディスプレイを駆動するよう構成された時計ムーブメント14が配設される内部容積の範囲を定める風防12及び裏蓋13が取り付けられた、ミドルケース11を備える。ディスプレイは、針、ディスクの形態、又は当業者に公知のいずれの他の形態をとることができる。
【0033】
本発明では、時計ムーブメント14は、機械式又は電気機械式とすることができ、文字盤20で覆われる。
【0034】
本発明によるケース10は有利には、ケース10の内部容積内に収容された可動インジケータ16を作動させるための機構を含む。
【0035】
作動機構は、回転運動可能であり、ユーザによって操作されるよう構成された、ベゼル15と、一方で上記ベゼル15、他方で上記インジケータ16と噛合するよう配設された伝動ピニオン17とを含む。
【0036】
有利には、ベゼル15、伝動ピニオン17、及びインジケータ16それぞれの回転軸は互いに対して平行である。この特徴により、上記作動機構が可動部品をごく少数しか有さないことから、上記作動機構を、設計が単純で、信頼性が高いものとすることができる。
【0037】
更に、
図1及び3において確認できるように、ベゼル15は有利には、支持パッキン18によってミドルケース11内の所定の位置に保持された風防12の周りで、枢動するよう構成される。
【0038】
ベゼル15は、ミドルケース11に係合され、また並進運動ロック部材によって所定の位置に軸方向に保持され、上記並進移動ロック部材は、本発明の本例示的実施形態では、一部がミドルケース11の外側径方向溝内に、そして一部がベゼル15の内側径方向溝内に収容された、弾性リング19で形成される。弾性リング19は好ましくは、当業者に公知の様式で、互いに接続された連続した直線セグメントを備えるか、又は楕円形状を有し、これによって開放リングを形成する。
【0039】
ベゼル15は、外側歯部を有する円筒リップ150によって、ミドルケース11の軸方向環状溝110に係合する。軸方向環状溝110は、ミドルケース11の「上面(upper face)」と呼ばれる面上に延在する。
【0040】
ベゼル15のリップ150は、ミドルケース11の上面に対面するように配設されたベゼル15の径方向支承表面151と共に、肩部を形成する。
【0041】
本文において、相対的な用語「上(upper)」及び「下(lower)」は、
図1、3に示されているケース10の配向に従って定義される。
【0042】
ミドルケース11は、特に
図2の分解図において見ることができる、伝動ピニオン17を受承する略円筒形のハウジング111を含む。
【0043】
伝動ピニオン17は、パッキン172を受承する径方向溝によって互いから隔てられた2つの同軸歯部を備え、これらはこれ以降、それぞれ「上側歯部(upper toothing)」170及び「下側歯部(lower toothing)」171と呼ばれる。伝動ピニオン17は、ほぞを形成する2つの対向する長手方向端部を備え、これらはこれ以降、それぞれ下端部(lower end)及び「上端部(upper end)」と呼ばれる。
【0044】
図3の断面図に示されているように、パッキン172は有利には、ハウジング111の周縁壁に接して配置され、これによりケース10の内部容積と外部との間の水密性及び気密性のシールを保証する。
【0045】
ミドルケース11は、「上端部(upper end)」と呼ばれる、ベゼル15に対面するよう構成されたハウジング111の第1の端部に、ミドルケース11の上面へと通じて伝動ピニオン17の上端部の回転をガイドする、好ましく貫通した孔を含む。
【0046】
有利には、ハウジング111の上端部は、ミドルケース11の軸方向環状溝110にも通じており、これにより、
図3の断面図に示されているように、伝動ピニオン17の上側歯部170がベゼル15の歯部と噛合する。
【0047】
「下端部(lower end)」と呼ばれるハウジング111の第2の端部は、ミドルケース11内に設けられた凹部112へと通じている。有利には、凹部112は、
図2の分解立体図で示唆されているように、そして
図3の断面図で示されているように、伝動ピニオン17の下端部の回転をガイドする孔を含む支持用ソール113を、固定された様式で受承する。
【0048】
支持用ソール113は好ましくは、ミドルケース11にねじ留めされ、凹部112の形状に相補的な形状を有する。
【0049】
更に、ミドルケース11は径方向支承表面114を備え、これに対面するようにインジケータ16が配設される。本発明の好ましい例示的実施形態では、径方向支承表面114は、
図2の分解図で示されているように裏蓋13に対面するように配向され、ハウジング111が径方向において上記径方向支承表面114へと通じるように、凹部112と共に肩部を形成する。
【0050】
より具体的には、インジケータ16は、下端部に円筒壁160を備えるフランジで形成され、その外面からは歯付き径方向リップ161が延在し、上記径方向リップ161は、径方向支承表面114に対面して延在するように配設され、これにより、伝動ピニオン17の下側歯部171と噛合によって協働する。
【0051】
従って、ベゼル15の回転は、伝動ピニオン17を介してフランジの回転を駆動する。好ましくは、ベゼル15の歯部と、上側歯部170及び下側歯部171と、フランジの径方向リップ161の歯部との間の伝達比は、ベゼル15及びフランジが同じ角速度で回転するようなものである。
【0052】
好ましくは、ベゼル15の回転軸とフランジの回転軸とは同心である。
【0053】
円筒壁160は、特に
図3の断面図に示されているように、時計ムーブメント14とミドルケース11との間に挟まれている。有利には、フランジはその上端部に、円筒壁160の内面から径方向に延在する図形表示又はレリーフの形態のインデックス162を更に含む。
【0054】
有利には、
図2に示されているように、ミドルケース11は、第2の支持用ソール116を固定された様式で受承する第2の凹部115を含むことができ、支持用ソール113、116はそれらの形状によって、フランジの回転駆動を可能にする機械的クリアランスを有しながら、フランジのいずれの軸方向運動を防止する軸方向停止部材を構成するよう適合される。
【0055】
あるいは、
図4に示されているように、ケース10は支持用ソール113、116の代わりに略円筒形のプラグ117を含み、このプラグ117は、このプラグ117が回転をガイドする伝動ピニオン17の下端部と、裏蓋13との間に挟まれている。
【0056】
プラグ117は、いずれの好適な材料、例えばプラスチック材料で作製でき、ミドルケース11及び/又はケーシングリング21へと延在するするハウジングに打ち込むことができる。
【0057】
文字盤20及び時計ムーブメント14は好ましくは、ケーシングリング21によって、当業者に公知の様式で、ケース10の内部容積内の所定の位置に軸方向に保持される。
【0058】
有利には、ケース10がプラグ117を備える例では、周縁パッキン118がフランジの外面とミドルケース11との間に挟まれていてよい。
【0059】
より詳細には、周縁パッキン118は、径方向支承表面114と共に肩部を形成する、この目的のために設けられた溝119内に配設できる。
【0060】
このような周縁パッキン118により、ケース10の製造中にフランジを所定の位置に軸方向に保持でき、上記フランジはその後、ケーシングリング21によって、ケース10の内部容積内に軸方向に取り付けられる。
【0061】
本発明の好ましい例示的実施形態では、ミドルケース11は、その上面の反対側の下面に、上記上面へと通じる少なくとも1つの孔22を備える。孔22は、上記上面を通って延在する弾性変形可能な端部を有するばね負荷式プッシュピース23を受承し、上記端部は、ベゼル15内に作製された位置決め用キャビティ152と協働して、ベゼル15の回転時に回転角度割り出しを生成するよう適合される。
【0062】
好ましくは、60個の位置決め用キャビティ152がベゼル15上に角度的に分配され、これにより、インデックスによって取られる各角度位置が1分の区画に対応する。
【0063】
非限定的な例として、3つのばね負荷式プッシュピース23は、ミドルケース11内で互いに対して120°で配設される。
【0064】
図示されていない本発明の別の例示的実施形態では、ベゼル15は外側歯部の代わりに内側歯部を含むことができ、これは、ミドルケース11のハウジングの内部で自由に回転するように設置された中間ピニオンの歯部と、噛合によって協働する。中間ピニオンは、伝動ピニオン17の上側歯部170と協働するように配設される。
【0065】
本発明の一実施形態を記載したが、ここでは、ベゼル15、伝動ピニオン17、及びインジケータ16は一体部品として作製され、これらそれぞれの歯部は、上記構成部品の本体に直接形成される。
【0066】
あるいは、ベゼル15、伝動ピニオン17、及びインジケータ16はそれぞれ、これらそれぞれの歯部が例えば打ち込み又は溶接によって取り付けられる本体を有することができる。ベゼル15、伝動ピニオン17、及びインジケータ16がそれぞれ2つの部分として形成されるこのような代替実施形態は、
図4に示されている。
【0067】
この特徴により、これらの構成部品の製造が簡略化され、従ってこれらの構成部品それぞれの製造コストが削減される。
【符号の説明】
【0068】
10 腕時計ケース、ケース
11 ミドルケース
12 風防
13 裏蓋
14 時計ムーブメント
15 ベゼル
16 インジケータ
17 伝動ピニオン
22 孔
23 ばね負荷式プッシュピース
110 軸方向環状溝
111 ハウジング
112 凹部
113 支持用ソール
114 径方向支承表面
118 周縁パッキン
150 円筒リップ
152 位置決め用キャビティ
160 円筒壁
161 歯付き径方向リップ、径方向リップ
170 上側歯部
171 下側歯部
172 パッキン