(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】回収装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
A61B17/22 528
(21)【出願番号】P 2022142249
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2019226331の分割
【原出願日】2015-09-18
【審査請求日】2022-10-06
(32)【優先日】2015-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515308028
【氏名又は名称】エンドチョイス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCHOICE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギル カン
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー ナップ
(72)【発明者】
【氏名】チャーリー ジェイコブス
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05759187(US,A)
【文献】特表2010-528785(JP,A)
【文献】特表2000-513616(JP,A)
【文献】特許第6634440(JP,B2)
【文献】特許第7139306(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22-17/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された姿勢から伸びるときに開口部を提供するとともに、第1側部および第2側部を有し、前記第1側部は前記第2側部が向く方向とは反対の方向を向くワイヤループと、
前記ワイヤループに積層され、かつ、そのワイヤループを包み込む結合材であって、その結合材は前記ワイヤループの前記第1側部上の第1部分と、前記ワイヤループの前記第2側部上の第2部分とを含む結合材と、
前記ワイヤループ上に配置され、かつ前記結合材に結合されて前記ワイヤループの開口部を覆うメッシュであって、そのメッシュは前記第2部分ではなく前記第1部分に結合されるメッシュと
を備えた回収装置であって
、
前記回収装置はさらにシースを備え、そのシースは、内腔と、手元側端部と、先端側端部と、先端開口とを備え、前記内腔は前記手元側端部と前記先端側端部との間に延び、前記内腔は前記先端開口に連通し、
前記回収装置は、前記シースの前記内腔を通って前記ワイヤループまで延びる運動伝達リンクを備え、前記運動伝達リンクの前記シースの前記内腔内の運動により、前記ワイヤループの少なくとも一部および前記メッシュの少なくとも一部を、前記シースの前記先端開口から先端側外方へ移動させ、前記ワイヤループの前記少なくとも一部および前記メッシュの少なくとも一部を、前記シースの前記先端開口内に向かって手元側に移動させるように構成されており、
前記メッシュは複数の孔を包囲する複数のストランドを含み、前記複数のストランドの一部は、前記メッシュの外周に沿って、前記結合材の前記第1部分に結合される、
前記回収装置。
【請求項2】
前記メッシュは1cm
2あたり15~40の範囲の孔を有する請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記ワイヤループはニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つからなる請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
前記メッシュはナイロンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)のうち少なくとも1つからなる請求項1に記載の回収装置。
【請求項5】
前記メッシュは前記ワイヤループの中心にポーチを備える請求項1に記載の回収装置。
【請求項6】
前記ワイヤループの形状は楕円形状、円形状、ティアドロップ形状、正方形状、長方形状、四角形状および多角形状のいずれかである請求項1に記載の回収装置。
【請求項7】
前記メッシュは前記ワイヤループおよびメッシュを熱に曝すことにより、前記ワイヤループの結合材に固定的に結合されている請求項1に記載の回収装置。
【請求項8】
前記結合材は重合体である、請求項1に記載の回収装置。
【請求項9】
前記ワイヤループは金属製である、請求項1に記載の回収装置。
【請求項10】
前記複数のストランドが、前記結合材に少なくとも部分的に埋め込まれる、請求項1に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、米国特許仮出願第62/052,538号(2014年9月19日出願)、発明の名称「Method of Attaching a Mesh to a Coated Loop Member of a Surgical Snare Device」と、米国特許仮出願第62/162,786号(2015年5月17日出願)、発明の名称「Method of Attaching a Mesh to a Coated Loop Member of a Surgical Snare Device」との両方に依存し、優先権を主張する。
【0002】
上述した出願の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0003】
本明細書は一般に、外科用器具に関するものである。より具体的には、本明細書は、体管腔から対象物を除去するために使用される外科用スネア装置であり、メッシュ又はネットが外科用スネア装置の被覆ループ部材に融着され接着された、外科用スネア装置に関するものである。また、本願は外科用スネア装置のためのループ部材にメッシュを取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0004】
人体器官又は体腔から異物を把持し除去する既存の外科用装置は、機械的に作動する鉗子、機械的に作動するスネア又は機械的に作動するバスケットを備える。内視鏡による可視化、蛍光透視法による可視化及び直接可視化のもとに、これら外科用器具のそれぞれは体内に配置される。
【0005】
機械的に作動するスネアは、シースに囲まれたワイヤのループに装着された軟性ウェブ部材のアセンブリを備える。ワイヤのループは、シースを越えて成形された開口部内に自動的に伸張することができ、またその結果、取り付けられ/装着されたウェブ部材を捕捉ポケットへ開く。開口部の寸法は、シースの端部を越えて前進させたワイヤの長さによって制御される。使用時に、スネアが対象物に隣接して配置された後、ワイヤをシースの端部を越えて、対象物よりも大きなループが形成されるまで前進させる。その後、ウェブ部材及びループの面が対象物を取り囲むまで、ループが位置決めされる。それから、ループ及びウェブ部材が対象物を締め付け、引掛け/捕らえるように、シースを前進させてワイヤを格納する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェブ部材は一般に、ウィービングによって及び/又はワイヤのループの周囲に沿ったクリップ若しくはリングレットを用いて、ワイヤのループに取り付けられる。ループをシース内に引き戻して対象物を締付けるときに、ウェブ部材をループに接続し一例ではウェブ部材を備える器具のストランドは、ループに沿って摺動してループの先端側端部で圧縮することがある。またウェブ部材が集まり、対象物とループの先端側端部との間に挿入することがある。また同様に、ウェブ部材をループに接合させるクリップ又はリングレットの存在は、対象物の捕獲を妨げ、より困難にし、時間がかかるものになることがある。
【0007】
ゆえに本技術分野では、手技を妨げることなく、ウェブ部材、メッシュ又はネットを外科用スネア装置のループ部材に取り付け又は接続する改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
システム、道具及び方法と関連する、以下の実施形態と実施形態の態様とを説明し図示する。当該実施形態及び態様は、例示的かつ説明的とするつもりであり、範囲を限定するものではない。本願は、多数の実施形態を開示する。
【0009】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法であり、前記方法は、第1材料からなるワイヤを操作して、ある形状を有するループ部材を形成するステップと、接着剤の層を前記ループ部材に当てるステップと、第2材料からなり、少なくとも部分的に前記ループ部材の周囲を覆い、一部が前記ループ部材の周囲を越えて延在する前記メッシュを、前記ループ部材の上に配置するステップと、前記メッシュを前記ループ部材の上に保持しながら、前記接着剤を紫外線照射にさらすステップと、前記メッシュを前記接着剤に接着させるステップと、前記ループ部材の周囲を越えて延在する、前記メッシュの部分を切り取るステップと、を含み、前記取り付けたメッシュと一緒の前記ループ部材は、シースの内腔に格納することによって圧縮可能であるとともに、前記シースから伸びるときに前記形状に展開可能である、方法を開示する。
【0010】
前記ループの前記形状を、楕円状、円形状、ティアドロップ形状、長方形状、四角形状又は多角形状のいずれか1つとすることができる。
【0011】
前記ループ部材は、前記ループ部材の中心を通る長手方向軸線に沿った第1の大きさと、前記長手方向軸線と垂直であり同様に前記ループ部材の前記中心を通る他の軸線に沿った第2の大きさとを有することができる。前記第1の大きさを前記第2の大きさよりも大きくすることができる。任意に、前記第1の大きさは30ミリメートルから70ミリメートルの範囲であり、前記第2の大きさは15ミリメートルから40ミリメートルの範囲である。あるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさと等しい。またあるいは、第1の大きさは前記第2の大きさよりも小さい。
【0012】
前記ワイヤの前記第1材料は、ニチノール、鋼又はステンレス鋼の少なくとも1つからなることができる。
【0013】
前記メッシュの前記第2材料は、重合体からなることができる。任意に、前記メッシュの前記第2材料は、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート又はペバックス(登録商標)の少なくとも1つからなる。
【0014】
接着後、前記メッシュは前記ループ部材の中心にポーチを有することができる。
【0015】
本明細書は、軟性ワイヤのループと、前記軟性ワイヤのループ上に積層する結合材と、前記結合材に結合されて前記軟性ワイヤのループに囲まれた開口部を有するネットを生み出すメッシュであり、前記結合材を加熱して前記結合材をわずかに接着性である状態とし、部分的に湿らせた状態とし、又は粘着性である状態として、前記結合材の上に前記メッシュの外縁を配置して、前記結合材を冷却する工程を通じて前記結合材に固定的に結合されるメッシュと、長尺本体、手元側端部及び先端側端部を含み、内部に内腔を含む管状シースと、を備える回収装置であり、前記管状シースの前記先端側端部に配置された伝達リンクの操作によって、前記軟性ワイヤのループは接合されたメッシュとともに前記内腔に格納可能であり、前記内腔から前記管状シースの前記先端側端部に存在する開口部を通じて伸張可能である、回収装置も開示する。
【0016】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法であり、前記方法は、第1材料からなるワイヤを、第2材料からなる層で被覆するステップと、前記ワイヤ及び前記層を操作して、ある形状を有するとともに、前記ループ部材の中心を通る長手方向軸線に沿った第1の大きさと、前記長手方向軸線と垂直であり同様に前記ループ部材の前記中心を通る他の軸線に沿った第2の大きさとを有する、前記ループ部材を形成するステップと、第3材料からなり、少なくとも部分的に前記ループ部材の周囲を覆い、一部が前記ループ部材の周囲を越えて延在する前記メッシュを、前記ループ部材の上に配置するステップと、前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記層に熱を伝えて、前記第2材料を部分的に融解させて、前記第2材料を粘着性とし、わずかに接着性とし又は部分的に湿らせるステップと、前記メッシュを、部分的に融解し粘着性とした、前記層の前記第2材料と共に、前記ループ部材の周囲に沿って接着して、冷却時に強固に接着するステップと、前記ループ部材の前記周囲を越えて延在する、前記メッシュの部分を切り取るステップと、を含み、前記取り付けたメッシュと一緒の前記ループ部材は、シースの内腔に格納することによって圧縮可能であるとともに、前記シースから伸びるときに前記形状に展開可能であるように構成される、方法も開示する。
【0017】
前記ループ部材の前記形状を、楕円形状、円形状、ティアドロップ形状、正方形状、長方形状、四角形状又は多角形状のいずれか1つとすることができる。
【0018】
任意に、前記第1の大きさは前記第2の大きさよりも大きい。更に任意に、前記第1の大きさは30ミリメートルから70ミリメートルの範囲であり、前記第2の大きさは15ミリメートルから40ミリメートルの範囲である。あるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさと等しい。またあるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさよりも小さい。
【0019】
前記ワイヤの前記第1材料は、ニチノール、鋼又はステンレス鋼の少なくとも1つからなることができる。任意に、前記メッシュの前記第2材料は、重合体からなる。さらに任意に、前記メッシュの前記第2材料は、ナイロン、ペバックス又はポリエチレンテレフタレートの少なくとも1つからなる。
【0020】
任意に、前記メッシュの前記第3材料は、重合体からなる。更に任意に、前記メッシュの前記第3材料は、ニチノール又はポリエチレンテレフタレートの少なくとも一方からなる。
【0021】
前記層は、前記ワイヤ上を被覆することができる。
【0022】
任意に、前記層は前記ワイヤが挿入される中空管を含む。
【0023】
任意に、前記メッシュは前記ループ部材の前記形状に近似する形状を有する。
【0024】
前記ワイヤを加熱することによって、前記熱を前記層の前記第2材料に伝えることができる。外部電源を用いて前記ワイヤを電気的に加熱することができる。前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記ループ部材を加熱することによって、前記熱を前記層の前記第2材料に伝えることができる。任意に、前記ループ部材を熱気にさらすことによって、前記ループ部材を加熱し、前記熱気は120℃から180℃の範囲内の温度、又は前記第2材料の融解温度の範囲内の温度を持つ。
【0025】
任意に、前記層は0.05ミリメートルから0.6ミリメートルの範囲の厚さを有する。
【0026】
接着後、前記メッシュは前記ループ部材の中心にポーチを有することができる。
【0027】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法であり、前記方法は、第1材料からなるワイヤを操作して成形されたワイヤを形成するステップと、前記成形されたワイヤを第2材料からなる層で被覆して前記ループ部材を形成するステップと、第3材料からなり、少なくとも部分的に前記ループ部材の周囲を覆い、一部が前記ループ部材の周囲を越えて延在する前記メッシュを、前記ループ部材の上に配置するステップと、前記メッシュを前記ループ部材の上に保持しながら、熱を前記層に伝えて前記第2材料を部分的に融解させるとともに、粘着性とし、わずかに接着性とし、又は部分的に湿らせるステップと、前記メッシュを部分的に融解させるとともに、粘着性とした前記層の前記第2材料に接着させるステップと、前記ループ部材の周囲を越えて延在する、前記メッシュの部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、前記取り付けたメッシュと一緒の前記ループ部材をシースの内腔に格納することによって圧縮可能であるとともに、前記シースから伸びるときにある形状に展開可能である、方法も開示する。
【0028】
前記ワイヤの前記形状を、楕円形状、円形状、ティアドロップ形状、正方形状、長方形状、四角形状又は多角形状のいずれか1つとすることができる。
【0029】
前記ループ部材は、前記ループ部材の中心を通る長手方向軸線に沿った第1の大きさと、長手方向軸線と垂直であり同様に前記ループ部材の前記中心を通る他の軸線に沿った第2の大きさとを有することができる。前記第1の大きさを前記第2の大きさよりも大きくすることができる。任意に、前記第1の大きさは30ミリメートルから70ミリメートルの範囲であり、前記第2の大きさは15ミリメートルから40ミリメートルの範囲である。あるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさと等しい。またあるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさよりも小さい。
【0030】
前記ワイヤの前記第1材料は、ニチノール、鋼又はステンレス鋼の少なくとも1つからなることができる。
【0031】
前記層の前記第2材料は、重合体からなることができる。任意に、前記層の前記第2材料は、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート又はペバックスの少なくとも1つからなる。
【0032】
前記メッシュの前記第3材料は、重合体からなることができる。任意に、前記メッシュの前記第3材料は、ニチノール又はポリエチレンテレフタレートの少なくとも一方である。
【0033】
前記層は、前記成形されたワイヤ上を被覆することができる。
【0034】
任意に、前記層は前記成形されたワイヤが挿入される中空管である。
【0035】
前記成形されたワイヤを加熱することによって、熱を前記層の前記第2材料に伝えることができる。任意に、外部電源を用いて前記成形されたワイヤを電気的に加熱する。
【0036】
前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記ループ部材を加熱することによって、熱を前記層の前記第2材料に伝えることができる。任意に、前記ループ部材を熱気の熱風にさらすことによって、前記ループ部材を加熱し、前記熱気は120℃から180℃の範囲の温度、又は前記第2材料の融解温度の範囲内の温度を持つ。
【0037】
任意に、前記層は0.05ミリメートルから0.6ミリメートルの範囲の厚さを有する。
【0038】
接着後、前記メッシュは前記ループ部材の中心にポーチを有することができる。
【0039】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法であり、前記方法は、第1材料からなるワイヤを、第2材料からなる層で覆うステップと、前記層と一緒の前記ワイヤを操作して、ある形状を有するとともに、前記ループ部材の中心を通る長手方向軸線に沿った第1の大きさと、前記長手方向軸線と垂直であり同様に前記ループ部材の前記中心を通る他の軸線に沿った第2の大きさとを有する、前記ループ部材を形成するステップと、前記ループ部材を少なくとも部分的に基礎取付具上に配置して、前記基礎取付具内に受け込まれた複数の磁石によって保持するステップであり、保持された前記ループ部材は前記基礎取付具に形成された中空部に外接し、前記中空部はポーチ形状固定具を受け止めるように構成される、前記ループ部材を保持するステップと、第3材料からなり、少なくとも部分的に前記中空部と一緒の前記ループ部材の周囲を覆い、一部が前記ループ部材の周囲を越えて延在する前記メッシュを、前記ループ部材の上に配置するステップと、前記ポーチ形状固定具を前記メッシュの上に配置することによって、前記メッシュを中空部にプレスするステップと、前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記層に熱を伝えて、前記第2材料を部分的に融解させて、前記第2材料を粘着性とし、わずかに接着性とし又は部分的に湿らせるステップと、前記メッシュを、部分的に融解した、前記層の前記第2材料と共に、前記ループ部材の周囲に沿って溶解させて、冷却時に強固に接着するステップと、前記ループ部材の前記周囲を越えて延在する、前記メッシュの部分を切り取るステップと、を含み、前記取り付けたメッシュと一緒の前記ループ部材は、シースの内腔に格納することによって圧縮可能であるとともに、前記シースから伸びるときに前記形状に展開可能である、方法も開示する。
【0040】
前記ループ部材の前記形状を、楕円形状、円形状、ティアドロップ形状、正方形状、長方形状、四角形状又は多角形状のいずれか1つとすることができる。
【0041】
前記第1の大きさを前記第2の大きさよりも大きくすることができる。任意に、前記第1の大きさは30ミリメートルから70ミリメートルの範囲であり、前記第2の大きさは15ミリメートルから40ミリメートルの範囲である。あるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさと等しい。またあるいは、前記第1の大きさは前記第2の大きさよりも小さい。
【0042】
前記ワイヤの前記第1材料を、ニチノール、鋼又はステンレス鋼とすることができる。
【0043】
前記層の前記第2材料は、重合体からなることができる。任意に、前記層の前記第2材料を、ナイロン、ペバックス又はポリエチレンテレフタレートとする。
【0044】
前記メッシュの前記第3材料は、重合体からなることができる。任意に、前記メッシュの前記第3材料は、ニチノール又はポリエチレンテレフタレートである。
【0045】
前記層は、前記ワイヤ上を被覆することができる。
【0046】
任意に、前記層は前記ワイヤが挿入される中空管である。
【0047】
前記メッシュは前記ループ部材の前記形状に近似する形状を有することができる。
【0048】
前記ワイヤを加熱することによって、熱を前記層の前記第2材料に伝えることができる。任意に、外部電源を用いて前記ワイヤを電気的に加熱する。
【0049】
任意に、前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記ループ部材を加熱することによって、熱を前記層の前記第2材料に伝える。任意に、前記ループ部材を熱気の熱風にさらすことによって、前記ループ部材を加熱し、前記熱気は120℃から180℃の範囲の温度、又は前記第2材料の融解温度の範囲内の温度を持つ。
【0050】
任意に、前記層は0.05ミリメートルから0.6ミリメートルの範囲の厚さを有する。
【0051】
接着後、前記メッシュは前記ループ部材の中心にポーチを有することができる。
【0052】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法であり、前記方法は、第1材料からなるワイヤを操作して成形されたワイヤを形成するステップと、成形された前記ワイヤを第2材料からなる層で覆って前記ループ部材を形成するステップと、前記ループ部材を少なくとも部分的に基礎取付具上に配置して、前記基礎取付具内に受け込まれた複数の磁石によって保持するステップであり、保持された前記ループ部材は前記基礎取付具に形成された中空部を前記基礎取付具と前記ループ部材との間に囲み、前記中空部はポーチ形状固定具を受け止めるように構成される、前記ループ部材を保持するステップと、第3材料からなり、少なくとも部分的に前記中空部と一緒の前記ループ部材の周囲を覆い、一部が前記ループ部材の周囲を越えて延在する前記メッシュを、前記ループ部材の上に配置するステップと、前記ポーチ形状固定具を前記メッシュの上に配置して、前記メッシュを前記中空部にプレスするステップと、前記メッシュを前記ループ部材上に保持しながら前記層に熱を伝えて、前記第2材料を部分的に融解させて、前記第2材料を粘着性とし、わずかに接着性とし又は部分的に湿らせるステップと、前記メッシュを、部分的に溶解した、前記層の前記第2材料と共に接合するステップと、前記ループ部材の前記周囲を越えて延在する、前記メッシュの部分を切り取るステップと、を含み、前記取り付けたメッシュと一緒の前記ループ部材は、シースの内腔に格納することによって圧縮可能であるとともに、前記シースから伸びるときに前記形状に展開可能である、方法も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1A】本明細書の実施形態に従う、スネアループの下方斜視図である。
【
図2】ある実施形態に従う目標物捕捉及び回収スネア装置の斜視図であり、拡大した部分も表す。
【
図3】
図1Aのスネアループが保管されて完全に格納され又は圧縮された姿勢である、管状部材又はシースの断面図である。
【
図4】本明細書の実施形態に従う、スネアループの被覆ループ部材の断面概略図である。
【
図5A】本明細書のいくつかの実施形態に従う、スネアループの被覆ループ部材を示す。
【
図5B】本明細書の他の実施形態に従う、スネアループの被覆ループ部材を示す。
【
図6】本明細書の実施形態に従うスネアループを表す上方斜視図であり、メッシュは取り除かれ、スネアループはティアドロップ構成である。
【
図7A】ある実施形態に従い、ループの手元側端部に存在するファスナ、ひも又は留め金(例えば少なくとも1つの接合部)を含むループ部材の平面図を示す。
【
図7B】無造作に切断され、ひいては波状又はギザギザな切断表面を有する、ファスナ(例えば接合部)を表す。
【
図7C】滑らかな切断表面となるように切断された、ファスナ(例えば接合部)を表す。
【
図8】ある実施形態における、メッシュを被覆ループ部材に取り付け、接合し又は接続するために使用される取付具の斜視図である。
【
図9】メッシュが被覆ループ部材に接合される、熱接合機構を示す。
【
図10】ある実施形態に従い、被覆ループ部材に接合されたメッシュの延在部分を切断するために使用されるレーザビームを示す。
【
図11】被覆ループ部材に接合されたメッシュの延在部分を切断するために使用されるメッシュ切断ダイの斜視図である。
【
図12】被覆ループ部材の手元側の丈に沿って接合され、被覆ループ部材の手元側端部を補強する収縮管を形成するメッシュの一部を示す。
【
図13】本明細書の実施形態に従う、メッシュ/ネットを被覆ループ部材に取り付け/接続する例示的ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書の上述した実施形態及び他の実施形態を、図面及び下記の詳細な説明で更に深く説明するものとする。
【0055】
添付の図面に関連して考慮するときに、以下の詳細な説明を参照することでより良く理解しながら、本発明のこれらの構成、他の構成及び利点を更に認識するであろう。
【0056】
人間の被術者内から対象物を回収する外科用スネア又は回収装置を開示する。スネア装置は、内視鏡で使用するために設計され、比較的堅い内腔内で比較的重い対象物を回収するため(例えば食堂から詰まった食塊を回収するため)に使用することができる。当該装置を議論する際に、用語「先端側」及び「手元側」は、オペレータの手に関して使用される。言い換えれば、装置を内視鏡又は類似する装置の作業/サービスチャンネル内で使用する際に、先端側方向及び手元側方向は外科医又は装置のオペレータに対するものであり、手元側位置は外科医又は装置のオペレータにより近い装置の一部を表し、先端側位置は患者に向かう方向である装置の遠くの先端部を表す。
【0057】
本明細書は、複数の実施形態に向けたものである。以下の開示を、当業者が本発明を実施できるようにするために提供する。この明細書で使用される文言は、任意の具体的な実施形態の一般的な否定として解釈されるべきではなく、当該文言を用いて、特許請求の範囲で使用される用語の意味を超えて特許請求の範囲を限定するべきでない。本明細書で特徴付ける一般的な原理を、本発明の精神及び範囲から離れることなく、他の実施形態及び応用に適用することができる。また、専門用語及び表現は、例示的な実施形態を説明するために使用され、限定するものと見なすべきではない。したがって、本発明は、開示された原理及び構成と調和する多数の代替手段、変更、及び均等物を包含する最も広い範囲と合致する。明瞭さのため、本発明に関連する技術分野で知られる技術項目に関する詳細を、本発明をいたずらに不明瞭としないように、詳細に説明しない。
【0058】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、単語「備える」、「含む」及び「有する」のそれぞれ、並びにこれらの形態は、必ずしも当該用語を関連付けることができるリストの要素に限定するとは限らない。
【0059】
本明細書で使用されるように、不定冠詞「一つの(“a” and “an”)」は、文脈が異なる意味を明示しない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。
【0060】
なお、本明細書で言及されるような用語「内視鏡」は、特にいくつかの実施形態に従う大腸内視鏡及び胃内視鏡を指すことができるが、大腸内視鏡及び胃内視鏡のみに限定されるものではない。用語「内視鏡」は、体の中空の器官又は腔の内部を検査するために使用される任意の器具を指すことができる。
【0061】
図1A及び1Bはそれぞれスネアループ101の下方及び側方斜視図であり、一方
図2及び3はそれぞれ本明細書の実施形態に従う目標物捕捉及び回収スネア装置100の斜視図及び長手方向断面図である。これから
図1A、1B、2及び3を参照して、スネアループ101は軟性かつ伸縮可能な被覆ループ部材105(以下交換可能に「ループ」とも呼ぶ)を備え、メッシュ又はネット110がループ部材105に分離可能で着脱可能であるが強固に取り付けられ又は接続される。
図3を参照して以下議論するように、ループ105のワイヤが結合材によって被覆され又は包まれているため、ループ部材105は「被覆された」ものとして説明される。スネア装置100は、手元側端部115a及び先端側端部115bを有する長尺本体を持つ、管状部材又はシース115と、
図3に示すように完全に圧縮されて(collapsed)格納された姿勢であるときにメッシュ又はネット110が取り付けられた被覆ループ部材105を回収可能に中に保管する導管又は管腔120とを更に備える。
【0062】
ある実施形態では、メッシュ又はネット110を、例えばナイロン若しくはPET(ポリエチレンテレフタレ-ト)又は本明細書で後述する他のポリマー等の高分子材料の複数のストランドを包み編む(ただしこれに限定されるものではない)工程によって形成する。そして管状部材又はシース115は、高密度ポリエチレン(HDPE)、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂、又はテフロン(登録商標)若しくはフルオン(登録商標)等のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーを含む絶縁軟性材料から製造される。ある実施形態によれば、メッシュ、ネット又はウェブ110の高分子材料はエラストマ特性を有し、当該高分子材料は、長さ方向(MD)において最低10%から40%だけ進み、伸び又は伸張するとともに、幅方向(CMD)において最低20%から70%だけ進み、伸び又は伸張する。当業者は、本明細書で使用される用語「長さ方向(MD)」が工程を通じて材料が流れる方向を指す一方、本明細書で使用される用語「幅方向(CMD)」が縦方向に一般に垂直な方向を指すことを理解することができる。様々な実施形態において、メッシュ110は1 cm2あたり15~40の範囲の孔を持つ多孔性を有する。ある実施形態では、メッシュ又はネット110を形成する高分子材料の厚さの範囲は0.05 mmから0.3 mmである。あるいは、メッシュ又はネット110を、高分子材料の連続膜又はウェブとすることができる。また様々な実施形態では、メッシュ、ネット又はウェブ110をきめ細かくすることができ、又はきめがないようにすることもできる。ある実施形態に従って、メッシュ、ネット又はウェブ110は、被覆ループ部材105を有するメッシュ110が接着されたポーチ又はたわみ145を含む。
【0063】
シース115は管腔120と連通する先端側開口部122を有し、先端側開口部122を通じて、展開するために被覆ループ部材105を部分的に又は完全に伸ばすことができ、保管するために被覆ループ部材105を部分的に又は完全に格納することができる。一実施形態では、被覆ループ部材105のシースの管腔120からの展開及びシースの管腔120への格納は、被覆ループ部材105の手元側端部107にシース115の手元側開口部124を通じて接続する運動伝達リンク170を用いて実施する。様々な実施形態において、運動伝達リンク170は、適切な硬性材料(ステンレス鋼等)の中空管、ねじれたストランドワイヤ又は編組線である。オペレータがリンク170を手元側開口部124から引き出すときに被覆ループ部材105はシース115内に格納される一方、オペレータがリンク170を手元側開口部124に押し込むときに被覆ループ部材105はシース115の先端側開口部122を越えて延びる。
【0064】
図2に表すように、シース115はハンドルアセンブリ196の先端側端部196aから先端方向に延在する。一実施形態では、シース115のハンドルアセンブリ196の先端側端部196aに最も近い丈は、シャフトのストレインリリーフ197を含む。シャフトのストレインリリーフ197はシース115を覆い、運動伝達リンク170がシース内に前進してスネアループを展開するときに、硬性の運動伝達リンク170(
図3に表す)に対する歪みを緩和する。シャフトのストレインリリーフ197は、運動伝達リンク170の滑らかな動きを確保して、スネアループの適切な展開を促進する。
【0065】
図4は、本明細書の態様に従って製造される、目標物捕獲及び回収装置の被覆ループ部材105の断面概略図である。これから
図1A、1B、2、3及び4を参照して、被覆ループ部材105のコアに存在して直径が“d”であるワイヤ130は、所望のループ形状になるのに適した、弾性的であるが耐久性があり伝導性がある材料から構成される。一実施形態に従って、ワイヤ130の直径“d”は、0.2ミリメートルから0.6ミリメートルの範囲である。被覆ループ部材105が管状部材又はシース115内で圧縮された姿勢又は縮んだ姿勢(
図3)から伸びる(
図1A、1B及び2)ときに、被覆ループ部材105は自動的に展開して所望のループ形状の構成を保ち、このことによって取り付けられたメッシュ又はネット110に対する開口部を提供する。同様に、被覆ループ部材105が管状部材又はシース115内に格納されるときに、被覆ループ部材105は取り付けられたメッシュ又はネット110と一緒に収縮し、シースの管腔120内に圧縮される。様々な実施形態において、ワイヤ130は編組鋼、金属製形状記憶合金(ニチノール等)、又は熱及び電気の伝導体であると同時に、展開時に所望のループ形状を維持するのに十分に弾性を持つ、他の任意の適切な軟性材料から製造される。
【0066】
一実施形態では、ワイヤ130の展開時の所望の形状、ひいては被覆ループ部材105の展開時の所望の形状は、(メッシュ/ネットを取り除いた被覆ループ部材105を示す
図6に表すような)ティアドロップ形状である。一方、代替的実施形態では、この展開時の所望の形状は、楕円形状(
図1A、1B)、円形状、正方形状、長方形状、四角形状、多角形状、又は当業者が有利であるとわかるであろう他の任意の適切な形状である。
図1Aを参照して、楕円形状又はティアドロップ形状について説明する一実施形態では、ループは、ループの基準中心155を通る長手方向軸線150に沿った第1の大きさ L
1と、長手方向軸線150と実質的に垂直であり同様にループの基準中心155を通る他の軸線165に沿った第2の大きさ L
2とを有する。様々な実施形態において、第1の大きさ L
1は第2の大きさ L
2よりも大きい。ある実施形態では、第1の大きさ L
1は第2の大きさ L
2と等しい。更に他の実施形態では、第1の大きさ L
1は第2の大きさ L
2よりも小さい。様々な実施形態に従って、ワイヤ130の所望の形状がティアドロップ又は楕円形状である場合には、第1の大きさ L
1の範囲は30ミリメートルから70ミリメートルであり、第2の大きさ L
1の範囲は15ミリメートルから40ミリメートルである。
【0067】
再び
図4を参照して、本明細書の態様によれば、ワイヤ130を、厚さ“t”を有し高分子材料から構成され、一実施形態では「粘着性接着剤」として機能する、層135によって被覆し又は層135に包み込む。本明細書で使用される用語「粘着性接着剤」は、熱又は溶剤を加えることで変化でき(又は部分的に融解でき)十分な粘着性となり又は接着性となり、冷却時に他の高分子材料及び/又は金属と強固に接着する材料を意味するよう定義される。「粘着性接着剤」は、メッシュをループにこれらの接触領域で接着することができ、接着剤が冷却された後に堅い接続を提供することができる。本明細書の適用上、粘着性を、わずかな粘着特性を有すること又は部分的に湿っていること又は完全に乾いてはいないことと定義する。高分子材料は、分解温度又は発火温度未満の温度まで加熱された場合に、熱可塑性になり、十分な粘着性又は粘着特性を持ち、類似の表面又は非類似の表面(金属等)に接着する。高分子材料の例は、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリノルボルネン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド(ペバックスとも呼ばれるポリエーテルブロックアミド)、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、トランス型ポリイソプレン、ポリメチルアクリレート(PMMA)、架橋トランス型ポリエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリイソプレン、架橋ポリシクロオクテン、無機有機ハイブリッドポリマー、ポリエチレン及びクレイトン(登録商標)を含む共重合体ブレンド、スチレンブタジエン共重合体、ウレタンブタジエン共重合体、ポリカプロラクトン又はオリゴカプロラクトン共重合体、ポリ乳酸(PLLA)又はポリラクチド(PL/DLA)共重合体、ポリ乳酸ポリグリコール酸(PGA)共重合体並びに光架橋性共重合体を含む。
【0068】
ある実施形態では、層135の高分子材料はナイロン又はペバックスである。ある実施形態では、ワイヤ130を、従来の方法(押出加工、オーバーモールディング又はディッピング等)を用いて高分子材料(ペバックス等)で被覆することによって層135を形成する。他の実施形態では、層135は高分子材料(ペバックス等)の中空管であり、ワイヤ130が該中空管内に挿入され、該中空管がシースのようにワイヤ130を包み込み又は被覆する。ある実施形態では、中空管の形をとる層135は、0.3ミリメートル~1.0ミリメートルの範囲の内径と、0.5ミリメートル~1.50ミリメートルの範囲の外径とを有する。様々な実施形態において、高分子材料(ペバックス等)の被覆又は中空管の形をとる層135の厚さ“t”は、0.05ミリメートル~0.6ミリメートルの範囲である。
【0069】
図5Aは、(被覆又は中空管の形をとる)層135がワイヤ130を連続的に包み込み又は覆う、スネアループ101aの実施形態を表す。代替的実施形態では、
図5Bでスネアループ101bとして示されるように、層135が複数のセグメントに分割されて、ワイヤ130の複数の部分130’は露出したままであり、又は被覆若しくは中空管(層135)が無いままである。この不連続な又は分割された層135は、スネアループ101が伸張又は収縮するときに変形する、より柔軟なメッシュ110を提供する。ある態様によれば、(被覆又は中空管の形をとる)層135は明色(例えば青、緑、赤であるがこれらに限定されるものではない)を持つ。層135の明色は、ループ101が体液と流体連通している間の(例えば内視鏡手技中の)、ループの境界の視認性を向上させることができる。
【0070】
一実施形態では、本明細書のスネアループ101を製造し又は組み立てる工程中、まずワイヤ130を所望のループ形状に曲げ又は折って、その後ワイヤ130を層135で被覆し又は包み込む。ただし代替的実施形態では、まずワイヤ130を層135で被覆し又は包み込み、その後ワイヤ130を所望のループ形状に曲げ又は折る。いくつかの実施形態では、
図7Aに表すように、既に所望のループ形状に曲げられ又は折られたワイヤ130は、ループ105の手元側端部に、ファスナ、ひも又は留め金140を含む。様々な実施形態において、ファスナ、ひも又は留め金140は、少なくとも1つの接合部、ハイポチューブ、少なくとも1つのクリップ又は他の任意の取付具を含み、ワイヤ130をループ105に曲げることで生じる手元側アーム141、142を結合させる。しかしながら、ワイヤ130を中空管135内に包み込む必要がある実施形態では、ファスナ、ひも又は留め金140が妨げとなる。したがって、一実施形態では、ワイヤ130を損傷させることなくまた切断領域又は切断面を滑らかに維持しながらファスナ140(例えば少なくとも1つの接合部)を切断する。
図7Bに表すように、不適切に又は無造作に切断されたファスナ又はひも(例えば接合部)は、波状又はギザギザな表面143を有する一方、
図7Cに表すように、適切に切断されたファスナ又はひも(例えば接合部)は、滑らかな表面143’となる。様々な実施形態において、ワイヤ130及び/又は中空管135の内部チャンネルを、乾式潤滑剤で被覆して、ワイヤ130を中空管135内に包む工程中の摩擦を減少させることができる。乾式潤滑剤の非限定的な例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の粉末、McLube又はシリコーン油等を含む。ただしある実施形態では、接合点を設けずにワイヤ130を所望の形状に曲げ又は折る。かかる実施形態では、ワイヤ130を中空管135内に包むことが容易に成し遂げられる。
【0071】
以下
図1A、1B、2-4、5A及び5Bと
図7A、7B、7C及び8-12とを同時に参照して、本明細書のある実施形態によれば、メッシュ又はネット110を被覆ループ部材105に取り付けるために、メッシュ又はネット110を被覆ループ部材105の上に配置し保持して、ワイヤ130を加熱する。メッシュ110の形状は、被覆ループ部材105の形状に近似する。またメッシュ110の寸法は、メッシュ110の一部が下方に位置する被覆ループ部材105の縁に沿った周囲を越えるように選択される。一実施形態では、メッシュ110は、被覆ループ部材105上に配置される間、意図的なたるみを有する。このたるみによって、メッシュ110を被覆ループ部材105に取り付け又は接続した後に、好ましくは被覆ループ部材105の中心155に、ポーチ145が形成される。
【0072】
図8は、メッシュ110を被覆ループ部材105に取り付けるために使用される基礎取付具175の実施形態を表す。基礎取付具175は上面177に、被覆ループ部材105の形状に近似した形状のループ保持領域176を含む。一実施形態において、ループ保持領域176は、被覆ループ部材105をループ保持領域176の上に配置した後に被覆ループ部材105を定位置に堅固に保持する、複数の磁石178を備える。ループ保持領域176は、基礎取付具175のループ保持領域176と被覆ループ部材105との間に形成される中空部を画定する。この中空部は、中にポーチ形状固定具180を受け止めるように構成される。
【0073】
組立のために、被覆ループ部材105はループ保持領域176の上に配置され、複数の磁石178は被覆ループ部材105を堅固に保持する。一実施形態では、複数の磁石178は基礎取付具175に埋め込まれ、ループ保持領域176が画定する周囲又は境界にほぼ沿って存在する。次に、メッシュ110は、保持された被覆ループ部材105の上に配置される。この個所で、メッシュ110の縁に沿った部分が下方の被覆ループ部材105の周囲を越えて延びるように、メッシュ110は被覆ループ部材105を覆う。その後ポーチ形状固定部180を中空部の上に位置するメッシュ110の部分上に配置することによって、メッシュ110を中空部内に位置させ、プレスし又は押し付ける。このメッシュ110のプレスによって中空部を満たし、ポーチ145(
図1Bに示す)を形成する。ある態様によれば、少なくともポーチ形状固定具180の重量によって、メッシュ110を定位置に保持する。複数のガイドピン孔182によって、対応するガイドピンを導いてガイドピン孔182に挿入させ、メッシュ110、ループ105及びポーチ形状固定具180を共に位置合わせして保持し及び/又は維持することができる。
【0074】
メッシュ110を被覆ループ部材105に取り付け接続するために、ワイヤ130を適切な温度まで加熱して、高分子材料(ナイロン又はペバックス等)の層135を、燃焼又は分解させることなく、部分的に融解させ、柔らかくし、及び十分な粘着性又は接着性とする。この適切な温度は、少なくとも使用される具体的な高分子材料に依存する。一実施形態では、外部の電気回路/電源を用いてワイヤ130を電気的に加熱することによって、熱を層135に伝える。代替的実施形態では、その上方に位置するメッシュ110を被覆ループ部材105上で堅固に保持しながら被覆ループ部材105に熱気を送風することによって、熱を層135に伝える。様々な実施形態において、熱気の温度は120℃から180℃の範囲であり、又は結合材の融解温度の範囲内である。
図9に表すように、更に他の実施形態では、焼きごて、熱プレス185(又は当業者にとって明らかな他の任意の熱源)を使用して、メッシュ110を、被覆ループ部材105の周囲の上方に位置する縁に沿って焼きごてし、熱プレスし又は熱溶接することによって熱を層135に伝える。その結果、メッシュ110の複数の高分子ストランド(例えばナイロン又はPETストランド)を粘着又は接着層135によってループのワイヤに接着し、ひいては冷却時に強固な接着を形成する。
【0075】
メッシュ110を層135に(ひいては被覆ループ部材105に)強固に接着するときに、
図10に表すように、被覆ループ部材105の周囲を越えて延在するメッシュ110の部分186を切断し又は切り取って、緩んだ端部又は部分186(「延在部分」とも呼ぶ)を除去する。一実施形態では、
図10に表すように、レーザビーム187を使用して、延在部分186を切断し又は切り取る。代替的実施形態では、
図11に表すように、メッシュ切断ダイ190を使用する。図示するように、取り付けられた、接着された又は溶融したメッシュ110及び被覆ループ部材105のアセンブリ(以下「接着アセンブリ」とも呼ぶ)は、案内又は位置合わせピン192及び194の間に配置され位置合わせされる。切断ダイ190の形状は、ループ部材105の形状に近似し、ダイ190が「接着アセンブリ」上でプレスされるときに形成されたポーチ145を囲む中空部195も有する。ダイ190を「接着アセンブリ」上で押し付け又は押圧プレスすることによって、延在部分186を切断し又は切り取る。切断ダイ190が「接着アセンブリ」上でプレスされるときに、嵌合孔192’は位置合わせピン192を受け入れて、ダイ190の「接着アセンブリ」に対する適切な位置合わせを可能とし、それによって延在部分186を正確に切断し又は切り取ることができる。更に他の実施形態では、超音波溶接を使用して延在部分186を切断し又は切り取る。超音波溶接によって熱が生成されることで、メッシュの領域を融解させて当該領域を切断する。
【0076】
図12に表すように、ある実施形態によれば、ループ105の手元側の丈198上に延びるメッシュ110の部分を、手元側の丈198に沿った層135の対応する部分と融着又は接着する。延在部分186(
図10及び11に表す)を切断し又は切り取った後に、手元側の丈198は、手元側の丈198上に収縮管を形成するメッシュ110の融解部分を維持し、それによって、手元側の丈198及びメッシュ110の溶解部分を一緒に保持し、手元側アーム141、142(
図7Aに見える)を十分に補強する。
【0077】
本明細書の代替的実施形態によれば、メッシュ110をワイヤ130に直接接着して、層135を不要にする。かかる実施形態では、その後乾燥させる接着剤、紫外線溶接、レーザ溶接、熱溶接、熱ステーキング又は当業者が既知の他の任意の方法を用いて、メッシュ130をワイヤ130に接着する。一実施形態では、高強度の紫外線光又は紫外線照射を用いて(接着剤を紫外線照射によって露光し又は照射することによって)、接着剤の硬化又は乾燥を加速する硬化工程において、紫外線(UV)硬化型接着剤を用いて、メッシュ110をワイヤ130に直接接着剤で付ける(層135が不要になる)。紫外線硬化型接着剤の例は、ヘンケル社が販売する接着剤のブランドであるロックタイト(登録商標)である。
【0078】
使用時に、軟性かつ伸縮可能な被覆ループ部材105を圧縮して有する管状部材又はシース115は、内視鏡の作業又はサービスチャンネルを通じて挿入され、目標物(体管腔内のポリープ、切り離された人体組織、異物又は詰まった食塊等)付近に配置される。目標物を捕捉しようとしているときに、被覆ループ部材105は管状部材又はシース115から外に伸び、本工程において自動的に展開し、それによって取り付けられたメッシュ110ひいてはポーチ145に対する開口部を提供する。一実施形態では、目標物がメッシュ110に捕捉されたときに、被覆ループ部材105が部分的に格納されて目標物をメッシュ部110内に固定する。他の実施形態では、目標物がメッシュ110に捕捉されると、被覆ループ部材105をシース115に格納することなく、回収装置及び目標物が患者から取り除かれる。一実施形態では、ポーチの存在が目標物を強固に保持するのに更に役立つ。
【0079】
図13は、本明細書の様々な実施形態に従い、被覆ループ部材を形成してメッシュ又はネットを該被覆ループ部材に取り付け、接着し又は接続する方法の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ1310では、ワイヤを取得する。ワイヤは直径“d”を持ち、編組んだ鋼、ステンレス鋼、ニチノール又は当業者が既知の他の任意の形状記憶合金からなる。一実施形態では、ステップ1315aにおいて、ワイヤを厚さ“t”の高分子材料(例えばニチノール又はペバックスであるがこれらに限定されるものではない)の層で被覆し又は包み込む。ワイヤを高分子材料で被覆すること又はワイヤを高分子材料の中空管に挿入することによって、層を形成することができる。ステップ1320aでは、高分子材料の層で被覆され又は包まれたワイヤをその後、所望の形状又は寸法のループに(例えば曲げ又は折ることで)操作して、被覆ループ部材を形成する。他の実施形態では、ステップ1315bにおいて、ワイヤをまず(例えば曲げ又は折ることで)操作して所望の形状及び寸法のループにする。その後ステップ1320bにおいて、成形されたループのワイヤを高分子材料の層で被覆し又は包み込み、被覆ループ部材を形成する。
【0080】
いくつかの実施形態では、ステップ1315bにおいてまず曲げられ又は折られて所望のループ形状にされたワイヤは、ループの手元側端部にファスナ、ひも又は留め金を含み、ワイヤを曲げることによって生じた手元側のアームを一緒に保持する。様々な実施形態において、ファスナ、ひも又は留め金は、少なくとも1つの接合具、ハイポチューブ、少なくとも1つのクリップ又は当業者にとって明らかな他の任意の取付具を備える。かかる実施形態では、ワイヤを高分子材料の層(一実施形態では中空管)で被覆し又は包み込んで被覆ループ部材を形成するステップ1320bの前に、ファスナ(少なくとも1つの接合具等)がまず切断され又は除去される。
【0081】
様々な実施形態において、ループの所望の形状は楕円形状、円形状、ティアドロップ形状、正方形状、長方形状、四角形状又は多角形状である。一実施形態では、ループは、被覆ループ部材の中心を通る長手方向軸線に沿った第1の大きさと、長手方向軸線と垂直であり同様に被覆ループ部材の中心を通る他の軸線に沿った第2の大きさとを有する。様々な実施形態において、第1の大きさは第2の大きさよりも大きい。ある実施形態では、第1の大きさは第2の大きさと等しい。更に他の実施形態では、第1の大きさは第2の大きさよりも小さい。ステップ1315a及び続くステップ1320aを用いて、又はステップ1315b及び続くステップ1320bを用いて、被覆ループ部材が形成されることを理解されるはずである。
【0082】
次にステップ1325では、高分子材料(例えばナイロン、ポリエチレンテレフタレ-トであるがこれらに限定されるものではない)のメッシュ、ウェブ又はネットを取得する。メッシュの形状は被覆ループ部材の形状に近似し、メッシュの寸法は被覆ループ部材の寸法よりも多少大きい。ステップ1330では、被覆ループ部材を複数の磁石を有する基礎取付具の上に配置して、被覆ループ部材を定位置に保持する。その後、被覆ループ部材の縁に沿ったメッシュの一部が被覆ループ部材の周囲を越えるように、メッシュ又はネットを被覆ループ部材の上に配置又は保持する。ある実施形態では、メッシュは部分的に被覆ループ部材の周囲を覆う。他の実施形態では、メッシュは完全に被覆ループ部材の周囲を覆う。一実施形態では、ポーチ形状固定部を用いて、被覆ループ部材の中心を覆うメッシュの部分がプレスされ又は押し付けられて、基礎取付具に画定された中空部に配置され、その結果少なくともポーチ形状固定部の重量によってメッシュが定位置に保持される。これにより、メッシュが被覆ループ部材の上に配置される間に、メッシュに意図的なたるみを持たせる。このたるみによって、メッシュが被覆ループ部材に接続された後に、被覆ループ部材の中心にポーチが形成されている。
【0083】
次にステップ1335において、熱を高分子材料の層に伝える。一実施形態では、被覆ループ部材のワイヤを適切な温度まで加熱し、当該温度は高分子材料の層を、燃焼又は分解させることなく、部分的に融解させ、柔らかくし、及び十分な粘着性とし、わずかに接着性とし又は部分的に湿らせる温度である。例えば、外部の電気回路又は電源を使用して電気的に下方のワイヤを加熱する方法、被覆ループ部材を熱風にさらす方法(熱風を被覆ループ部材及びメッシュの両方に吹き付けながら、ループ上に配置したメッシュを定位置に堅固に保持する)、焼きごてを当てる方法、メッシュの上からメッシュの境界に沿って上方に存在する被覆ループ部材の周囲を熱プレスする方法、又は当業者が有利であるとわかる他の任意の方法(ただしこれらに限定されるものではない)を用いて、熱を高分子材料の層に伝える。その結果、ステップ1340では、被覆ループ部材の周囲の表面上に位置するメッシュの複数のストランドが、粘着層若しくは接着層と融着し又は粘着層若しくは接着層と接着剤で接着し、冷却時に被覆ループ部材と強固に接着する。最後に、ステップ1345では、被覆ループ部材の周囲を越えて延びる、接着したメッシュの部分を、レーザビーム、超音波溶接又はメッシュ切断ダイを用いて、切断し又は切り取る。被覆ループ部材を越えて延びる緩んだ端部又はストランドによって、内視鏡手技で使用するときにメッシュが周囲の組織を傷つけ及び/又は損傷するおそれがあるが、上記の方法によってこのような緩んだ端部又はストランドを確実に無くす。
【0084】
上記の例は、本明細書の方法及びシステムの多数の応用の単なる例示である。本発明の少数の実施形態のみを本明細書で説明したが、本発明の精神又は範囲から離れることなく、本発明を多数の他の特定の形態で具体化できることを理解できるはずである。したがって、これらの例及び実施形態を例示であると考え限定的であるとは考えず、本発明を添付の特許請求の範囲の範囲内で変更することができる。