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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20231117BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20231117BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20231117BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 U
H01L29/06 301F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022187033
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019226743の分割
【原出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2023015378
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-003301(JP,A)
【文献】特表2011-529639(JP,A)
【文献】特開2014-003231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0018199(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025730(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102171830(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0341640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/812
H01L 29/778
H01L 21/338
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は第1方向に沿う、前記第2電極と、
第1電極部分を含む第3電極であって、前記第1電極部分の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第2電極の前記第1方向における位置と、の間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層であって、前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第1電極部分への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体層と、
第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、Al及び窒素を含み、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、アモルファスである、前記第1絶縁部材と、
第1絶縁部分及び第2絶縁部分を含む第2絶縁部材であって、前記第1絶縁部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第2絶縁部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁領域との間にあり、前記第2絶縁部分は、シリコン及び窒素を含む、前記第2絶縁部材と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層であって、前記第2半導体層は、第1半導体部分、第2半導体部分及び第3半導体部分を含み、前記第1半導体部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁部分との間にあり、前記第2半導体部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁部分との間にあり、前記第3半導体部分は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第1電極部分との間にある、前記第2半導体層と、
Alx3Ga1-x3N(0<x3≦1、x2<x3)を含む第1部材であって、前記第1部材は、前記第2方向において前記第3半導体部分と前記第1電極部分との間にあり、結晶を含む、前記第1部材と、
を備えた、ノーマリオンの半導体装置。
【請求項2】
前記第1部材は、前記第1電極部分と接する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極部分は、前記第1部材とショットキー接触する、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記第3半導体部分と接する、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁部材は、第3絶縁領域をさらに含み、
前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第1絶縁部分と、前記第1電極部分の一部と、の間にある、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁部材は、第4絶縁領域をさらに含み、
前記第4絶縁領域は、前記第1方向において、前記第1電極部分の前記一部と、前記第2絶縁部分と、の間にある、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4絶縁領域は、前記第1方向において前記第2絶縁部分と対向する第2側面を含み、
前記第2側面は、前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜した、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3絶縁領域は、前記第1方向において前記第1絶縁部分と対向する第1側面を含み、
前記第1側面は、前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜した、請求項5~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3電極は、第2電極部分及び第3電極部分をさらに含み、
前記第1絶縁領域の一部は、前記第2方向において、前記第1絶縁部分と前記第2電極部分との間にあり、
前記第2絶縁領域の一部は、前記第2方向において、前記第2絶縁部分と前記第3電極部分との間にある、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2電極部分の前記第1方向に沿う長さ、及び、前記第3電極部分の前記第1方向に沿う長さの少なくともいずれかは、0.2μm以下である、請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1部材の前記第2方向に沿う厚さは、0.5nm以上10nm以下である、請求項1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1絶縁部材は、酸素をさらに含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁部材における酸素の濃度は、5%以上である、請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1絶縁部材は、シリコンをさらに含む、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1絶縁部材におけるシリコンの濃度は、5%以上である、請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
第3絶縁部材をさらに備え、
前記第2方向において、前記第1電極部分は、前記第1部材と、前記第3絶縁部材の少なくとも一部と、の間にある、請求項1~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第3絶縁部材は、窒素及び酸素よりなる群から選択された少なくとも1つと、シリコンと、を含む、請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1電極と電気的に接続された導電部材をさらに備え、
前記第3絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記第1電極部分と、前記導電部材の少なくとも一部との間にある、請求項16または17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1電極部分の前記第1方向に沿う長さは、1μm以下である、請求項1~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第3電極は、Ni、Au、Pt、W、Ta、Al及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第1部材におけるAlの組成比は、0.8以上である、請求項1~20のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-18848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1半導体層、第1絶縁部材、第2絶縁部材、第2半導体層及び第1部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への方向は第1方向に沿う。前記第3電極は、第1電極部分を含む。前記第1電極部分の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第2電極の前記第1方向における位置と、の間にある。前記第1半導体層は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第1電極部分への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域は前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第5部分領域は前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む。前記第1絶縁部材は、Al及び窒素を含む。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、アモルファスである。前記第2絶縁部材は、第1絶縁部分及び第2絶縁部分を含む。前記第1絶縁部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁領域との間にある。前記第2絶縁部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁領域との間にある。前記第2絶縁部分は、シリコン及び窒素を含む。前記第2半導体層は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。前記第2半導体層は、第1半導体部分、第2半導体部分及び第3半導体部分を含む。前記第1半導体部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁部分との間にある。前記第2半導体部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁部分との間にある。前記第3半導体部分は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第1電極部分との間にある。前記第1部材は、Alx3Ga1-x3N(0<x3≦1、x2<x3)を含む。前記第1部材は、前記第2方向において前記第3半導体部分と前記第1電極部分との間にあり、結晶を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層10、第2半導体層20、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62、及び、第1部材31を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向D1に沿う。第1方向D1は、例えば、X軸方向である。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第3電極53は、第1電極部分53pを含む。第1電極部分53pの第1方向D1における位置は、第1電極51の第1方向D1における位置と、第2電極52の第1方向D1における位置と、の間にある。例えば、第3電極53は、第1方向D1において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0011】
第1半導体層10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層10におけるAlの組成比は、例えば、0以上0.05以下である。第1半導体層10は、例えば、GaNを含む。
【0012】
第1半導体層10は、第1部分領域10a、第2部分領域10b、第3部分領域10c、第4部分領域10d及び第5部分領域10eを含む。第1部分領域10aから第1電極51への第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第2方向D2は、例えば、Z軸方向である。第1半導体層10は、例えば、X-Y平面に平行に広がる。
【0013】
第2部分領域10bから第2電極52への方向は、第2方向D2に沿う。第3部分領域10cから第1電極部分53pへの方向は、第2方向D2に沿う。第4部分領域10dは、第1方向D1において、第1部分領域10aと第3部分領域10cとの間にある。第5部分領域10eは、第1方向D1において、第3部分領域10cと第2部分領域10bとの間にある。
【0014】
第1絶縁部材61は、第1絶縁領域61a及び第2絶縁領域61bを含む。第1絶縁部材61は、Al及び窒素を含む。第1絶縁部材61の少なくとも一部は、アモルファスである。第1絶縁部材61は、例えば、アモルファスのAlNを含む。後述するように、第1絶縁部材61は、酸素などの他の元素をさらに含んでも良い。
【0015】
第2絶縁部材62は、第1絶縁部分62p及び第2絶縁部分62qを含む。第1絶縁部分62pは、第2方向D2において、第4部分領域10dと第1絶縁領域61aとの間にある。第2絶縁部分62qは、第2方向D2において、第5部分領域10eと第2絶縁領域61bとの間にある。第2絶縁部材62は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第2絶縁部材62は、例えば、SiN(例えば、Si)を含む。第2絶縁部材62は、組成が互いに異なる、シリコン及び窒素を含む複数の膜を含む積層構造を有しても良い。第2絶縁部材62は、例えば、SiリッチなSiN膜と、NリッチなSiN膜と、を含む積層体でも良い。このような積層構造(または積層体)によって、例えば、低い電流コラプスと、低い電流リークと、が得られる。高い信頼性を有する半導体装置が得られる。
【0016】
第2半導体層20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。第2半導体層20におけるAlの組成比は、0.05以上0.35以下である。第2半導体層20は、AlGaNを含む。
【0017】
第2半導体層20は、第1半導体部分21、第2半導体部分22及び第3半導体部分23を含む。第1半導体部分21は、第2方向D2において、第4部分領域10dと第1絶縁部分62pとの間にある。第2半導体部分22は、第2方向D2において、第5部分領域10eと第2絶縁部分62qとの間にある。第3半導体部分23は、第2方向D2において、第3部分領域10cと第1電極部分53pとの間にある。
【0018】
第1部材31は、Alx3Ga1-x3N(0<x3≦1、x2<x3)を含む。第1部材31におけるAlの組成比は、例えば、0.8以上である。第1部材31は、例えば、AlNを含んでも良い。第1部材31は、第2方向D2において、第3半導体部分23と第1電極部分53pとの間にある。第1部材31は、結晶を含む。
【0019】
第1部材31の結晶状態に関する情報、及び、第1絶縁部材61におけるアモルファス状態に関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察またはX線回折像などにより得られる。
【0020】
図1に示すように、例えば、基板10sが設けられる。基板10sは、例えば、SiC基板でも良い。基板10sは、シリコン基板でも良い。必要に応じて、基板10sの上に、バッファ層17が設けられても良い。バッファ層17は、例えば、窒化物半導体を含む。例えば、基板10sの上(例えばバッファ層17の上)に、第1半導体層10が設けられる。第1半導体層10の上に第2半導体層20が設けられる。第2半導体層20の一部の上に第1電極51及び第2電極52が設けられる。第2半導体層20の一部の上に、第1部材31が設けられる。第1部材31の上に第3電極53が設けられる。
【0021】
第2半導体層20の上において、第1電極51と第3電極53との間に、第1絶縁部分62pが設けられる。第1絶縁部分62pの上に、第1絶縁領域61aが設けられる。第2半導体層20の上において、第3電極53と第2電極52との間に、第2絶縁部分62qが設けられる。第2絶縁部分62qの上に、第2絶縁領域61bが設けられる。
【0022】
基板10sが絶縁性である場合の1つの例において、基板10sの下面に導電層56が設けられても良い。導電層56は、第1電極51と電気的に接続される。電気的接続は、例えば、配線57などにより行われる。
【0023】
第1半導体層10のうちの第2半導体層20の側の部分に、キャリア領域10Eが形成される。キャリア領域10Eは、例えば、2次元電子ガスである。第3電極53の電位を変えることにより、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流が制御可能である。第1電極51は、例えば、ソース電極である。第2電極52は、例えば、ドレイン電極である。第3電極53は、例えば、ゲート電極である。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。半導体装置110は、例えば、ノーマリオンの半導体装置である。
【0024】
実施形態においては、結晶の第1部材31が設けられる。これにより、第3電極53の下のキャリア領域10Eにおけるキャリア密度が上昇する。これにより、大きな最大出力電流が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0025】
発明者の実験によると、第部材31が結晶である場合におけるキャリア密度は、第部材31に対応する部材がアモルファスである場合におけるキャリア密度の1.5倍である。実施形態によれば、例えば、1.5倍の最大出力電流が得られる。
【0026】
実施形態において、第1電極51と第3電極53との間の部分に、アモルファスの第1絶縁領域61aが設けられる。第2電極52と第3電極53との間の部分に、アモルファスの第2絶縁領域61bが設けられる。例えば、第1絶縁領域61a及び第2絶縁領域61bにより、第2絶縁部材62及び第2半導体層20の少なくともいずれかに、外部から意図しない元素が侵入することが抑制できる。意図しない元素は、例えば、水素である。例えば、第1絶縁部材61と第2絶縁部材62との界面で、水素がトラップされる。第2絶縁部材62中の水素の濃度を低くすることができる。
【0027】
意図しない元素(例えば水素)の導入が抑制されることにより、例えば、リーク電流が抑制できる。デバイス特性の変動を抑制できる。例えば、高い信頼性が得られる。
【0028】
例えば、第1絶縁部材61が、結晶を含む場合、結晶の粒界に起因してリーク電流が流れやすい。第1絶縁部材61がアモルファスの場合、リーク電流を抑制できる。実施形態によれば、リーク電流を抑制しつつ、高いキャリア密度が得られる。
【0029】
実施形態において、例えば、第1部材31は、第1電極部分53pと接する。第1電極部分53pは、例えば、第1部材31とショットキー接触する。第3電極53は、例えば、Ni、Au、Pt、W、Al、Ta及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。これにより、ショットキー接触が得やすくなる。
【0030】
一方、例えば、第1部材31は、第3半導体部分23と接する。第1部材31は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)により、第3半導体部分23の上に形成できる。例えば、第1部材31及び第1絶縁部材61となる膜がALDなどの方法により形成される。結晶の第3半導体部分23の上に設けられた部分が、第1部材31となる。アモルファスの第2絶縁部材62の上に設けられた部分が、第1絶縁部材61となる。
【0031】
第1部材31の第2方向D2に沿う厚さt1(図1参照)は、0.5nm以上10nm以下であることが好ましい。厚さt1が0.5nm以上であることにより、キャリア濃度が効果的に向上できる。厚さt1が10nm以下であることにより、ゲート容量を小さくすることができ、良好な高周波利得が得やすくなる。実施形態において、厚さt1は、4nm以上10nm以下でも良い。キャリア濃度り効果的に向上できる。良好な高周波利得が、より得やすくなる。
【0032】
実施形態において、第1電極部分53pの第1方向D1に沿う長さL1(図1参照)は、例えば、0.1μm以上である。これにより、特性ばらつきの小さい半導体装置が得やすくなる。長さL1は、例えば、1μm以下である。これにより、良好な高周波特性が得やすくなる。
【0033】
図1に示すように、第1絶縁部材61は、第3絶縁領域61cをさらに含んでも良い。第3絶縁領域61cは、第1方向D1において、第1絶縁部分62pと、第1電極部分53pの一部と、の間にある第3絶縁領域61cは、第1絶縁部材61の側部である。
【0034】
例えば、第3絶縁領域61cは、第1側面61caを含む。第1側面61caは、第1方向D1において、第1絶縁部分62pと対向する。この例では、第1側面61caは、第1方向D1及び第2方向D2に対して傾斜する。例えば、第1絶縁部分62pの側面が傾斜し、その側面に第1側面61caが設けられる。第1側面61caを含む第3絶縁領域61cもアモルファスである。これにより、第1絶縁部分62pの側面部分におけるリーク電流も抑制できる。例えば、第1側面61caと第1絶縁部分62pとの間の界面においても、水素などの意図しない元素をトラップできる。界面が傾斜しているため、界面の面積が大きくできる。大きな面積の界面で元素をトラップできるため、意図しない元素を効率的にトラップし易くなる。界面が傾斜していることで、第1側面61caにおいて、膜厚や膜質が均一な膜が得やすくなる。
【0035】
図1に示すように、第1絶縁部材61は、第4絶縁領域61dをさらに含んでも良い。第4絶縁領域61dは、第1方向D1において、第1電極部分53pの一部と、第2絶縁部分62qと、の間にある。例えば、第4絶縁領域61dは、第2側面61dbを含む。第2側面61dbは、第1方向D1において第2絶縁部分62qと対向する。この例では、第2側面61dbは、例えば、第1方向D1及び第2方向D2に対して傾斜する。第2側面61dbを含む第4絶縁領域61dもアモルファスである。リーク電流が効果的に抑制できる。意図しない元素を効率的にトラップし易くなる。界面が傾斜していることで、第1側面61caにおいて、膜厚や膜質が均一な膜が得やすくなる。界面が傾斜していることで、第2電極52からの強い電界ストレスに対して、側面端部での局所集中的な電界を緩和できる。例えば、高い信頼性が得られる。
【0036】
図1に示すように、第3電極53は、第2電極部分53q及び第3電極部分53rをさらに含んでも良い。第1絶縁部材61の第1絶縁領域61aの一部は、第2方向D2において、第1絶縁部分62pと第2電極部分53qとの間にある。第1絶縁部材61の第2絶縁領域61bの一部は、第2方向D2において、第2絶縁部分62qと第3電極部分53rとの間にある。
【0037】
第3電極53の第2電極部分53qにより、第1絶縁部分62pの第3電極53の側の部分が覆われる。第3電極53の第3電極部分53rにより、第2絶縁部分62qの第3電極53の側の部分が覆われる。これにより、意図しない元素(例えば水素など)がこれらの部分に侵入することが、より効果的に抑制できる。例えば、リーク電流がより効果的に抑制できる。第2電極部分53qの第1方向D1における長さL2、及び、第3電極部分53rの第1方向D1における長さL3の少なくともいずれかは、0.2μm以下であることが望ましい。これにより、例えば、ゲート容量が抑制でき、良好な高周波特性が得やすい。
【0038】
実施形態において、第1絶縁部材61は、Al及び窒素に加えて、酸素をさらに含んでも良い。これにより、さらに高い、水素のトラップ効率が得られる。第1絶縁部材61を水素が通過することがより抑制できる。リーク電流がより抑制できる。第1絶縁部材61における酸素の濃度は、例えば、5%以上である。リーク電流がより効果的に抑制できる。
【0039】
実施形態において、第1絶縁部材61は、Al、窒素及び酸素に加えて、シリコンをさらに含んでも良い。これにより、さらに高い、水素のトラップ効率が得られる。第1絶縁部材61を水素が通過することがより抑制できる。リーク電流がより抑制できる。第1絶縁部材61におけるシリコンの濃度は、例えば、5%以上である。リーク電流がより効果的に抑制できる。
【0040】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層10、第2半導体層20、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62、及び、第1部材31に加えて、第3絶縁部材63をさらに含む。半導体装置120における、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層10、第2半導体層20、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62、及び、第1部材31には、半導体装置110におけるそれらの構成が適用できる。以下、第3絶縁部材63の例について説明する。
【0041】
第2方向D2において、第1電極部分53pは、第1部材31と、第3絶縁部材63の少なくとも一部と、の間にある。第3絶縁部材63は、第1電極51の少なくとも一部、第2電極52の少なくとも一部、及び、第3電極53の少なくとも一部を覆っても良い。第3絶縁部材63は、たとえば、パッシベーション層として機能する。
【0042】
第3絶縁部材63は、窒素及び酸素よりなる群から選択された少なくとも1つを、シリコンと、を含む。第3絶縁部材63は、例えば、SiN(例えば、Si)を含む。第3絶縁部材63は、例えば、SiOを含む。第3絶縁部材63は、例えば、SiONを含む。第3絶縁部材63が設けられることで、高い信頼性が得られる。
【0043】
第3絶縁部材63を形成するときに、水素が半導体層に向けて拡散し易い。実施形態においては、第1絶縁部材61が設けられることで、水素の拡散を効果的に抑制できる。
【0044】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係る半導体装置130は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層10、第2半導体層20、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62、第1部材31、及び、第3絶縁部材63に加えて、導電部材51Fをさらに含む。半導体装置130における、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層10、第2半導体層20、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62、第1部材31、及び、第3絶縁部材63には、半導体装置120におけるそれらの構成が適用できる。以下、導電部材51Fの例について説明する。
【0045】
導電部材51Fは、第1電極51と電気的に接続される。第3絶縁部材63の少なくとも一部は、第1電極部分53pと、導電部材51Fの少なくとも一部との間にある。導電部材51Fは、例えば、フィールドプレートとして機能する。導電部材51Fにより、例えば、良好な周波数特性が得やすくなる。
【0046】
実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0047】
実施形態において「窒化物半導体」は、BInAlGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれる。
【0048】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、半導体層、電極及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0049】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0050】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0051】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…第1半導体層、 10E…キャリア領域、 10a~10e…第1~第5部分領域、 10s…基板、 17…バッファ層、 20…第2半導体層、 21~23…第1~第3半導体部分、 31…第1部材、 51~53…第1~第3電極、 51F…導電部材、 53p~53r…第1~第3電極部分、 56…導電層、 57…配線、 61~63…第1~第3絶縁部材、 61a~61d…第1~第4絶縁領域、 61ca…第1側面、 61db…第2側面、 62…絶縁部材、 62p、62q…第1、第2絶縁部分、 63…第3絶縁部材、 110、120、130…半導体装置、 D1、D2…第1、第2方向、 L1~L3…長さ、 t1…厚さ
図1
図2
図3