(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20231117BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231117BHJP
H01M 50/262 20210101ALN20231117BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/211
H01M50/271 S
H01M50/262 P
(21)【出願番号】P 2022515572
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2021004462
(87)【国際公開番号】W WO2021206493
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043764
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0045796
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャンジェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】デ・ジ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハンジョン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】カンイル・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ファン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヒョン・ペ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-091085(JP,A)
【文献】特表2019-502250(JP,A)
【文献】国際公開第2020/071833(WO,A1)
【文献】特開平08-077983(JP,A)
【文献】国際公開第2013/186862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する方向に結合する第1部材と第2部材を含み、
前記第1部材と前記第2部材は溶接結合し、
前記第1部材と前記第2部材の溶接部は、前記第1部材と前記第2部材の結合面を基準にして前記第1部材に形成される第1溶接部、および前記第2部材に形成される第2溶接部を含み、
前記第1溶接部と前記第2溶接部は互いに非対称の形状を有する、電池モジュール
であって、
複数の電池セルを含む電池セル積層体、および
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームをさらに含み、
前記モジュールフレームは、U字型フレーム、および前記U字型フレームと結合する板状型プレートを含み、
前記U字型フレームは、底部および互いに対向する2個の側面部を含み、
前記第1部材は前記板状型プレートであり、前記第2部材は前記側面部であり、
前記板状型プレートの一側の周縁部には陥没部が形成され、前記陥没部に囲まれる内側部分は、前記陥没部より厚く、かつ平坦に形成されており、前記陥没部で前記板状型プレートと前記側面部との結合面が形成され、
前記第1部材と前記第2部材の溶接部は、全体として、前記板状型プレートと前記側面部との前記結合面に対して斜め方向に向かう形状を有する、電池モジュール。
【請求項2】
前記結合面と隣接した前記板状型プレートの一側面と前記側面部の外側面は平行に形成される、請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セル積層体の前面および後面で前記モジュールフレームと結合されるエンドプレートをさらに含む、請求項
1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体をU字型フレームと板状型プレートとの間に装着する段階と、
互いに交差する方向に結合する
前記板状型プレートと
前記U字型フレームとを溶接結合する段階を含み、
前記板状型プレートと前記U字型フレームとを溶接結合する段階は、
前記板状型プレートと前記U字型フレームとの結合面にチルティングされた状態でレーザ溶接し、
前記板状型プレートと前記U字型フレームとの結合面と溶接照射ビームの照射方向の延長線が交差
し、
前記板状型プレートの一側の周縁部には陥没部が形成され、前記陥没部に囲まれる内側部分は、前記陥没部より厚く、かつ平坦に形成されており、前記陥没部で前記板状型プレートと前記U字型フレームとの結合面が形成される、電池モジュール製造方法。
【請求項5】
前記溶接照射ビームは、前記結合面を基準にしてシフトされた位置で前記U字型フレームに入射する、請求項
4に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項6】
前記U字型フレームは、底部および互いに対向する2個の側面部を含み、
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合することにより、前記側面部と前記板状型プレートが溶接結合される、請求項
5に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項7】
前記結合面と隣接した前記板状型プレートの一側面と前記側面部の外側面は、平行に形成される、請求項
6に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項8】
前記U字型フレームは、底部および互いに対向する2個の側面部を含み、
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、前記側面部の上端に前記板状型プレートが重畳した状態で溶接工程が行われる、請求項
4に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項9】
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、N
2ガス雰囲気で行われる、請求項
4に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項10】
前記チルティングする角度は13.5度~21.5度である、請求項
4に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項11】
前記チルティングする角度は15度~20度である、請求項
10に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項12】
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、前記板状型プレートと前記U字型フレームの間のギャップを基準にしてデュアルビームレーザ溶接することを含む、請求項
4に記載の電池モジュール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年4月10日付韓国特許出願第10-2020-0043764号および2021年4月8日付韓国特許出願第10-2021-0045796号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびその製造方法に関するものであって、より具体的には、溶接によるスパッタ流入を防止する電池モジュールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から、環境に優しいおよびエネルギー効率性向上のための新たなエネルギー源として注目を浴びている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台当り一つまたは二、三、四個の電池セルが使用されるのに反し、自動車などのように中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。
【0005】
中大型電池モジュールはできれば小さな大きさと重量で製造されるのが好ましいので、高い集積度で積層でき容量に比べて重量の小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。一方、電池モジュールは、セル積層体を外部衝撃、熱または振動から保護するために、前面と後面が開放されて電池セル積層体を内部空間に収納するフレーム部材を含むことができる。
【0006】
図1は、従来のモジュールフレームを有する電池モジュールを示す斜視図である。
図2は、
図1のXZ平面に沿って切断した断面図一部を示す図である。
図3は、
図2で溶接線(Welding line)が誤整列される場合を示す図である。
【0007】
図1を参照すれば、電池モジュールは、複数の電池セルが積層されて形成された電池セル積層体を覆うように前面と後面が開放されたモジュールフレーム10、およびモジュールフレーム10の前面と後面を覆うエンドプレート20を含むことができる。モジュールフレーム10は、U字型のフレーム10aと、U字型フレーム10aの開放された上部を覆う上部プレート10bを含むことができる。エンドプレート20は、モジュールフレーム10の一側を覆う前面プレート20aと、モジュールフレーム10の他の一側を覆う後面プレート20bを含むことができる。
【0008】
このような電池モジュールを形成するために、前記電池セル積層体がモジュールフレーム10内部に装着された状態で、モジュールフレーム10のU字型フレーム10aと上部プレート10bを結合するために溶接などを行うことができる。
【0009】
図2を参照すれば、上部プレート10bとU字型フレーム10aの側面部の間に溶接部WPが形成できる。この時、溶接部WPを形成するためには、U字型フレーム10aの側面部と上部プレート10bの接合面が互いに対応して位置するようにU字型フレーム10aと上部プレート10bを固定させる必要がある。但し、U字型フレーム10aと上部プレート10bが互いに綿密に対応するように固定することに限界があり、これによって前記溶接が円滑に行われない問題がある。
【0010】
また、前記溶接のためにレーザ溶接を実施することができるが、溶接過程で貫通されたレーザ自体や溶接スパッタ(weld spatter)によって電池セルをはじめとする内部部品に損傷が加えられることがある。
図3を参照すれば、溶接線が誤整列される場合には溶接スパッタがはるかに多く電池セルの位置する電池モジュール内部に流入するので、さらに大きい問題が発生することがある。
【0011】
したがって、従来技術のこのような問題を解決することができる技術が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、溶接によるスパッタ流入を防止する電池モジュールおよびその製造方法を提供するためのものである。
【0013】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による電池モジュールは互いに交差する方向に結合する第1部材と第2部材を含み、前記第1部材と前記第2部材は溶接結合し、前記第1部材と前記第2部材の溶接部は、前記第1部材と前記第2部材の結合面を基準にして前記第1部材に形成される第1溶接部、および前記第2部材に形成される第2溶接部を含み、前記第1溶接部と前記第2溶接部は互いに非対称の形状を有する。
【0015】
前記電池モジュールは複数の電池セルを含む電池セル積層体、および前記複数の電池セル積層体を収容するモジュールフレームをさらに含み、前記モジュールフレームは、上部が開放されたU字型フレーム、および前記電池セル積層体を覆いながら前記U字型フレームと結合する板状型プレートを含み、前記U字型フレームは底部および互いに対向する2個の側面部を含み、前記第1部材は前記板状型プレートであり、前記第2部材は前記側面部である。
【0016】
前記結合面と隣接した前記板状型プレートの一側面と前記側面部の外側面は、平行に形成できる。
【0017】
前記板状型プレートの一側には陥没部が形成され、前記陥没部で前記板状型プレートと前記側面部の結合面が形成できる。
【0018】
前記電池セル積層体の前面および後面で前記モジュールフレームと結合されるエンドプレートをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法は互いに交差する方向に結合する第1部材と第2部材を溶接結合する段階を含み、前記第1部材と前記第2部材を溶接結合する段階は、前記第1部材と前記第2部材の結合面にチルティング(tilting)された状態でレーザ溶接し、前記第1部材と前記第2部材の結合面と溶接照射ビームの照射方向の延長線が交差する。
【0020】
前記電池モジュール製造方法は、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体を上部が開放されたU字型フレームに装着する段階、および前記開放されたU字型フレーム上部で前記電池セル積層体を板状型プレートで覆う段階をさらに含み、前記第1部材と前記第2部材を溶接結合する段階は、前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階を含む。
【0021】
前記溶接照射ビームは、前記結合面を基準にしてシフトされた位置で前記U字型フレームに入射できる。
【0022】
前記U字型フレームは底部および互いに対向する2個の側面部を含み、前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合することにより、前記側面部と前記板状型プレートが溶接結合されることができる。
【0023】
前記結合面と隣接した前記板状型プレートの一側面と前記側面部の外側面は、平行に形成できる。
【0024】
前記U字型フレームは底部および互いに対向する2個の側面部を含み、前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、前記側面部の上端に前記板状型プレートが重畳した状態で溶接工程を行うことができる。
【0025】
前記板状型プレートの一側には陥没部が形成され、前記陥没部で前記板状型プレートと前記U字型フレームの結合面が形成できる。
【0026】
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、N2ガス雰囲気で行うことができる。
【0027】
前記チルティングする角度は、13.5度~21.5度であってもよい。
【0028】
前記チルティングする角度は、15度~20度であってもよい。
【0029】
前記板状型プレートと前記U字型フレームを溶接結合する段階は、前記板状型プレートと前記U字型フレームの間のギャップを基準にしてデュアルビームレーザ溶接することを含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
実施形態によれば、チルト溶接工程によって電池モジュール内側にスパッタ(Spatter)が流入するのを防止することができる。したがって、溶接によって電池セル不良が発生することを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来のモジュールフレームを有する電池モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図1のXZ平面に沿って切断した断面図一部を示す図である。
【
図3】
図2で溶接線(Welding line)が誤整列される場合を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電池モジュールにおいてモジュールフレームとエンドプレートを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図6】
図5の電池モジュールの構成要素が結合した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法を示す図である。
【
図8】本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法を示す図である。
【
図9】本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法を示す図である。
【
図10】本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法を示す図である。
【
図11】本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による電池モジュール製造方法でチルティング角度による引張強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0034】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張されるように示した。
【0035】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0036】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0037】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態による電池モジュールにおいてモジュールフレームとエンドプレートを示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
図6は、
図5の電池モジュールの構成要素が結合した状態を示す斜視図である。
【0039】
図4を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100は、一方向に互いに対向する一側と他の一側が開放されたモジュールフレーム500、およびモジュールフレーム500の一側および他の一側でモジュールフレーム500と結合されるエンドプレート150を含む。モジュールフレーム500は、y軸方向に開放された両側を除いて複数の電池セルが積層されて形成された電池セル積層体を覆っている。
【0040】
本実施形態によるモジュールフレーム500は、U字型フレーム300とU字型フレーム300の開放された上部を覆う上部プレート400を含むことができる。エンドプレート150は、モジュールフレーム500の一側を覆う前面プレート150aと、モジュールフレーム500の他の一側を覆う後面プレート150bを含むことができる。
【0041】
このような電池モジュールを形成するために、前記電池セル積層体がモジュールフレーム500内部に装着された状態で、モジュールフレーム500とエンドプレート150を整列した後、モジュールフレーム500の開放された一側および他の一側を定義する角部分に前面プレート150aと後面プレート150bを溶接結合することができる。
図4に示したように、溶接による結合部CPは総10ヶ所であり得る。
【0042】
図5および
図6を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110を含む電池セル積層体120、上部面、前面および後面が開放されたU字型フレーム300、電池セル積層体120の上部を覆う上部プレート400、電池セル積層体120の前面と後面にそれぞれ位置するエンドプレート150、および電池セル積層体120とエンドプレート150a、150bの間に位置するバスバーフレーム130を含む。また、電池モジュール100は、U字型フレーム300と電池セル積層体120の間に位置する熱伝導性樹脂層310を含む。熱伝導性樹脂層310は一種の放熱層であって、放熱機能を有する物質を塗布して形成することができる。
【0043】
U字型フレーム300の開放された両側をそれぞれ第1側と第2側という時、U字型フレーム300は、前記第1側と前記第2側に対応する電池セル積層体120の面を除いて残り外面のうち、互いに隣接した前面、下面および後面を連続的に囲むように折り曲げられた板状型構造からなっている。U字型フレーム300の下面に対応する上面は開放されている。
【0044】
上部プレート400は、U字型フレーム300によって囲まれる前面、下面および後面を除いた残り上面を囲む一つの板状型構造からなっている。具体的には、本実施形態によるU字型フレーム300は、底部300aおよび互いに対向する2個の側面部300bを含む。U字型フレーム300と上部プレート400は互いに対応する角部位が接触された状態で、溶接などによって結合されることによって電池セル積層体120を囲む構造を形成することができる。即ち、U字型フレーム300と上部プレート400は互いに対応する角部位に溶接などの結合方法で形成された結合部CPが形成できる。
【0045】
図5で説明した電池セル積層体120がU字型フレーム300の底部300aに装着される前に、U字型フレーム300の底部300aに熱伝導性樹脂を塗布し、熱伝導性樹脂を硬化して熱伝導性樹脂層310を形成することができる。
【0046】
熱伝導性樹脂層310を形成する以前に、即ち、前記塗布した熱伝導性樹脂が硬化される前に、電池セル積層体120がU字型フレーム300の底部300aに垂直な方向に沿って移動しながらU字型フレーム300の底部300aに装着できる。その後、熱伝導性樹脂が硬化されて形成された熱伝導性樹脂層310は、U字型フレーム300の底部300aと電池セル積層体120の間に位置する。熱伝導性樹脂層310は、電池セル110から発生する熱を、電池モジュール100の底に伝達し、電池セル積層体120を固定する役割を果たすことができる。
【0047】
電池セル積層体120は一方向に積層された複数の電池セル110を含み、複数の電池セル110は
図5に示したようにY軸方向に積層できる。言い換えれば、複数の電池セル110が積層される方向は、U字型フレーム300の2個の側面部が互いに対向する方向と同一であり得る。電池セル110はパウチ型電池セルであるのが好ましい。
【0048】
本実施形態によるU字型フレーム300の側面部300bと上部プレート400の幅は互いに同一であり得る。言い換えれば、上部プレート400でX軸方向に沿って伸びる角部分と、U字型フレーム300の側面部300bでX軸方向に沿って伸びる角部分が直接当たって溶接などの方法によって結合できる。
【0049】
以下、
図7~
図11を参照して、本発明の一実施形態による電池モジュールの製造方法および電池モジュール構造について説明する。
【0050】
図7を参照すれば、本実施形態による電池モジュール製造方法は、上部が開放されたU字型フレーム300の底部300aに電池セル積層体120を積層する段階を含む。この時、電池セル積層体120に含まれている複数の電池セル110の積層方向と垂直な方向(Z軸方向)に電池セル積層体120がU字型フレーム300の底部300aに挿入されるのが好ましい。
【0051】
本実施形態による電池モジュール製造方法は、電池セル積層体120をU字型フレーム300の底部300aに装着する前に、電池セル積層体120に含まれている電池セル110の電極リードが突出した方向と反対の方向にバスバーフレーム130を移動しながら電池セル積層体120とバスバーフレーム130を連結する段階をさらに含むことができる。追加的に、電池モジュール製造方法は、電池セル積層体120をU字型フレーム300の底部300aに装着する前にU字型フレーム300の底部300aに熱伝導性樹脂を塗布する段階をさらに含むことができる。
【0052】
図8を参照すれば、本実施形態による電池モジュール製造方法は、開放されたU字型フレーム300上部で電池セル積層体120を覆うように上部プレート400を装着する段階を含む。本実施形態では、垂直方向であるZ軸方向に上部プレート400をU字型フレーム300上部と隣接するように配置した後に溶接などの方法で結合して
図6のような電池モジュールを形成することができる。但し、このような方式に限定されず、変形実施形態として、板状型の下部プレートを底に置いて、前記下部プレート上に電池セル積層体120を装着した後に、下部が開放されたU字型フレームが電池セル積層体120を覆うようにすることができる。この時、前記下部プレートと電池セル積層体120の間に前述の熱伝導性樹脂を塗布して形成された熱伝導性樹脂層を形成することもできる。本実施形態では、垂直方向であるZ軸方向に下部が開放された前記U字型フレームの下部を前記下部プレートと隣接するように配置した後に溶接などの方法で結合することができる。
【0053】
この時、本実施形態による溶接方法について
図9および
図10を参照して説明する。
【0054】
図9は、
図6の第1切断面に沿って切断した部分断面図である。
図10は、
図9の上部プレートの陥没部を示す断面図である。
【0055】
図9を参照すれば、上部プレート400とU字型フレームの側面部300bを溶接結合する段階は、側面部300b上端に上部プレート400が重畳した状態で溶接工程を行うことができる。変形実施形態によれば、前述の上部プレート400とU字型フレーム300を含むモジュールフレーム構造が、板状型の下部プレートと下部が開放されたU字型フレームを含むモジュールフレーム構造に代替できる。
【0056】
本実施形態によれば、上部プレート400とU字型フレームの側面部300bを溶接結合する段階は、上部プレート400とU字型フレームの側面部300bの結合面CSがチルティング(tilting)された状態でレーザ溶接することができる。または、上部プレート400とU字型フレーム300を含むモジュールフレーム500を固定した状態で、溶接照射ビームを発射するレーザー光学系自体をチルティングしてレーザ溶接することもできる。
【0057】
この時、上部プレート400とU字型フレームの側面部300bの結合面CSと溶接照射ビームの照射方向の延長線が交差できる。
図9に示された第1地点aと第2地点bの間を溶接照射ビームが通過できる。第1地点aは結合面CSの最も外郭に位置する部分であり、第2地点bは結合面CSの最も内側に位置する部分である。溶接照射ビームは、第1地点aと第2地点bの間を通過する範囲を有するようにチルティングされる角度を有することができる。本実施形態によれば、チルティングされる角度は大略15度~20度であり得る。
【0058】
前記溶接照射ビームは、結合面CSを基準にしてシフト(shift)された位置でU字型フレームの側面部300bに入射できる。シフトされた位置は、上部プレート400を基準にしてU字型フレームの側面部300bの下方向に移動した位置である。結合面CSから下方向にシフトされた位置で溶接照射ビームが入射することによって溶接線が結合面CSを通過する可能性が高まる。したがって、溶接線が誤整列されても結合面CS周囲に十分な引張強度を有することができるように溶接部を形成するだけでなく、電池モジュール内部にスパッタが流入する可能性を最少化することができる。
【0059】
図12は、本発明の一実施形態による電池モジュール製造方法でチルティング角度による引張強度を示すグラフである。
【0060】
図12を参照すれば、チルティング角度が13.5度~21.5度の間の範囲で10kN以上の引張強度を有するため外部衝撃にも十分に耐えられる強い引張強度を有することができる。好ましくは、チルティング角度が15度~20度であり得る。
【0061】
上部プレート400とU字型フレームの側面部300bを溶接結合する段階は、N2ガス雰囲気で行うことができる。N2ガス雰囲気で溶接時、スパッタが内部に流入することを減らすことができる。
【0062】
本実施形態によれば、溶接はレーザ溶接であってもよく、変形実施形態として上部プレート400とU字型フレームの側面部300bの間のギャップ(gap)を基準にしてデュアルビームレーザ溶接を行うこともできる。
【0063】
図9を再び参照すれば、本実施形態によれば、上部プレート400と側面部300bの溶接部WPは、上部プレート400と側面部300bの結合面CSを基準にして上部プレート400に形成される第1溶接部WP1、および側面部300bに形成される第2溶接部WP2を含む。この時、第1溶接部WP1と第2溶接部WP2は互いに非対称の形状を有する。
【0064】
結合面CSと隣接した上部プレート400の一側面と側面部300bの外側面は平行に形成できる。言い換えれば、
図9に示されているように、上部プレート400の一側面とU字型フレームの側面部300bの外側面が同一平面上に配置できる。但し、完全に同一平面上に位置することに制限されるのではない。
【0065】
図10を参照すれば、上部プレート400の一側には陥没部DPが形成され、陥没部DPで
図9に示した上部プレート400と側面部300bの結合面CSが形成できる。
【0066】
図11を参照すれば、本実施形態による電池モジュール製造方法は、上部プレート400とU字型フレームの側面部300bを結合する段階およびU字型フレームの開放された両側にそれぞれエンドプレート150を結合する段階を含む。本実施形態によるチルティング溶接は、エンドプレート150とモジュールフレーム溶接では適用が不必要である。なぜなら、エンドプレート150とモジュールフレームの間には別途のスパッタ防止ガードが形成できてスパッタが流入するのを防止することができる。
【0067】
以上では、U字型フレーム300の側面部300bと上部プレート400の溶接結合された構造を一例として説明したが、変形実施形態として、互いに交差する方向に結合する第1部材と第2部材の溶接結合構造にも本発明が適用できる。
【0068】
一方、本発明の実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することができる。
【0069】
前述の電池モジュールおよびこれを含む電池パックは多様なデバイスに適用できる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0070】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0071】
300:U字型フレーム
300a:底部
300b:側面部
400:上部プレート
500:モジュールフレーム