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特許7386979ウエハー研磨ヘッド、ウエハー研磨ヘッドの製造方法及びそれを備えたウエハー研磨装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ウエハー研磨ヘッド、ウエハー研磨ヘッドの製造方法及びそれを備えたウエハー研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/32 20120101AFI20231117BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20231117BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B24B37/32 Z
B24B37/10
H01L21/304 622G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022520590
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2019013927
(87)【国際公開番号】W WO2021066242
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121299
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517354250
【氏名又は名称】エスケイ・シルトロン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジェ・チェル
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507764(JP,A)
【文献】特開2001-287157(JP,A)
【文献】特開2018-069352(JP,A)
【文献】米国特許第06835125(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00-57/04
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板、前記ベース基板の縁部に配置されるガイドリング、前記ガイドリングと前記ベース基板を接合する接着物質、前記ガイドリングの外側面に形成されたラウンド面、及び前記ベース基板の一面に塗布された接着剤を含むテンプレートアセンブリーと、
前記ラウンド面にコーティングされる第1コーティング層と、
前記ベース基板を固定し、前記テンプレートアセンブリーを支持するラバーチャックと、
前記接着剤及び前記接着物質の外周面にコーティングされる第2コーティング層とを含み、
前記第1コーティング層は、2mm~5mmの厚さと、前記ガイドリングのラウンド加工された部分の幅よりも大きい幅とを有する、ウエハー研磨ヘッド。
【請求項2】
前記第1及び第2コーティング層はエポキシコーティング層である、請求項に記載のウエハー研磨ヘッド。
【請求項3】
前記第1及び第2コーティング層はエポキシとポリマーを2:1~4:1の質量比で含む、請求項に記載のウエハー研磨ヘッド。
【請求項4】
前記第2コーティング層の厚さは前記第1コーティング層の厚さと同じかそれより小さい厚さを有する、請求項に記載のウエハー研磨ヘッド。
【請求項5】
前記第2コーティング層は1mm~5mmの厚さを有する、請求項に記載のウエハー研磨ヘッド。
【請求項6】
前記第2コーティング層は前記ラバーチャックから前記第1コーティング層までの長さを有する、請求項に記載のウエハー研磨ヘッド。
【請求項7】
ベース基板の縁部に複数の層からなるガイドリングを結合する段階と、
前記ガイドリングの縁部をラウンド加工する段階と、
前記ガイドリングのラウンド面に第1コーティング層をコーティングする段階と、
前記ベース基板とラバーチャックを固定する段階と、
前記ラバーチャックから前記第1コーティング層まで接着剤及び接着物質の外周面に第2コーティング層をコーティングする段階とを含み、
前記第1コーティング層は、2mm~5mmの厚さと、前記ガイドリングの前記ラウンド加工された部分の幅よりも大きい幅とを有するようにコーティングされる、ウエハー研磨ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記第2コーティング層は、エポキシとポリマーを2:1~4:1の比で含む材料を塗布して乾燥させる、請求項に記載のウエハー研磨ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記乾燥は、45℃以上で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させる、請求項に記載のウエハー研磨ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記第2コーティング層は、エポキシとポリマーを含む材料を1mm~5mmの厚さに塗布する、請求項に記載のウエハー研磨ヘッドの製造方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載のウエハー研磨ヘッドと、
研磨パッドが付着され、前記ウエハー研磨ヘッドの下に配置される研磨テーブルとを含む、ウエハー研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエハー研磨装置に関し、より詳しくはウエハー研磨に用いられる研磨ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハーの製造工程は、単結晶インゴット(Ingot)を製造するための単結晶成長(Growing)工程と、単結晶インゴットをスライシング(Slicing)して薄板状のウエハーを収得するスライシング(Slicing)工程と、スライシング工程によって収得されたウエハーの破断や歪みを防止するためにそのエッジを加工するエッジグラインディング(Edge Grinding)工程と、ウエハーに残存する機械的加工による損傷(Damage)を除去するラッピング(Lapping)工程と、ウエハーを鏡面化する研磨(Polishing)工程と、研磨されたウエハーに付着された研磨剤や異物を除去する洗浄(Cleaning)工程とからなる。
【0003】
このうち、ウエハー研磨工程は、1次研磨、2次研磨、3次研磨などの多くの段階によって遂行することができ、ウエハー研磨装置によって遂行することができる。
【0004】
一般的なウエハー研磨装置は、研磨パッドが付着された定盤と、ウエハーを取り囲み、定盤上で回転する研磨ヘッド(polishing head)と、研磨パッドにスラリーを供給するスラリー噴射ノズルとを含んでなることができる。
【0005】
研磨工程のうち、定盤は定盤回転軸によって回転することができ、研磨ヘッドはヘッド回転軸によって研磨パッドと密着した状態で回転することができる。ここで、スラリー噴射ノズルによって供給されたスラリーは研磨ヘッドに位置するウエハーに浸透しながら研磨パッドと接触するウエハーを研磨することができる。
【0006】
一方、最後の研磨工程であるFP(Final Polishing)工程では、ラバーチャック(Rubber chuck)と、ラバーチャックに付着され、ウエハーを固定させるテンプレートアセンブリー(Template Assembly)とを備える研磨ヘッドを用いる。
【0007】
図1はテンプレートアセンブリーの平面図、図2aは図1の線II-II’についての断面図であり、テンプレートアセンブリー及びラバーチャックを示し、図2bは図1のテンプレートアセンブリーとラバーチャックが結合された研磨ヘッドにウエハーが装着された状態を示す。
【0008】
図1及び図2に示すように、テンプレートアセンブリー10は、バックマテリアル(Back Material)とも呼ばれる円盤状フィルム20と、円盤状フィルム20の上面外周部にホットメルトシート(Hot-melt Sheet)30aを介して接着されたガイドリング(Guide Ring)30とを含むことができる。
【0009】
ガイドリング30は円盤状フィルム20に着座されたウエハーW(図2b)を取り囲むように円形の内周面を有することができる。ガイドリング30は多数枚のエポキシガラス(epoxy glass)を圧着してその厚さを調整することができる。
【0010】
ここで、テンプレートアセンブリー10は消耗材であり、ラバーチャック50に着脱できるように構成される。したがって、テンプレートアセンブリー10の下端にはラバーチャック50との結合のための両面接着剤20aが塗布され、両面接着剤20aは離型紙20bによって覆われている。
【0011】
テンプレートアセンブリー10の付着過程は、まずラバーチャック50を予熱(Preheating)し、その表面をメタノールで洗浄(cleaning)する。次いで、テンプレートアセンブリー10をラバーチャック50に位置させ、離型紙20bを徐々に剥ぎ取りながら両面テープ20aが位置する円盤状フィルム20をラバーチャック50に付着させる。
【0012】
図2bに示すように、テンプレートアセンブリー10がラバーチャック50に付着されれば、ラバーチャック50はテンプレートアセンブリー10が下側に位置するように研磨ヘッドに装着される。そして、テンプレートアセンブリー10のガイドリング30の内側にはウエハーWが装着され、テンプレートアセンブリー10は研磨パッドと接することになる。
【0013】
一方、研磨工程を遂行しているうち、研磨ヘッドと研磨パッドとの間にはスラリーを供給しながらウエハーの研磨を遂行する。ところで、研磨の際に発生する熱によってラバーチャックとテンプレートアセンブリーに含まれた粘着層(接着剤)がスラリーに溶出すれば、ウエハーを汚染させてウエハーの平坦度品質を低下させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、研磨工程を遂行しているうち、ラバーチャックとテンプレートアセンブリーに含まれた粘着層がスラリーに溶出することを防止してウエハーの平坦度品質を向上させることができるウエハー研磨装置用研磨パッド及びそれを備えたウエハー研磨装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ベース基板、前記ベース基板の縁部に配置されるガイドリング、及び前記ガイドリングと前記ベース基板を接合する接着物質を有するテンプレートアセンブリーと、前記接着物質の外周面及び前記ガイドリングの外周面にコーティングされる第2コーティング層とを含むウエハー研磨ヘッドを提供する。
【0016】
前記第2コーティング層はエポキシコーティング層であってもよい。
【0017】
前記第2コーティング層はエポキシとポリマーを2:1~4:1の質量比で含むことができる。
【0018】
前記第2コーティング層は1mm~5mmの厚さを有することができる。
【0019】
一方、本発明は、ベース基板、前記ベース基板の縁部に配置されるガイドリング、前記ガイドリングと前記ベース基板を接合する接着物質、前記ガイドリングの外側面に形成されたラウンド面、及び前記ベース基板の一面に塗布された接着剤を含むテンプレートアセンブリーと、前記ラウンド面にコーティングされる第1コーティング層と、前記ベース基板を固定し、前記テンプレートアセンブリーを支持するラバーチャックと、前記接着剤及び前記接着物質の外周面にコーティングされる第2コーティング層とを含むウエハー研磨ヘッドを提供する。
【0020】
前記第1及び第2コーティング層はエポキシコーティング層であってもよい。
【0021】
前記第1及び第2コーティング層はエポキシとポリマーを2:1~4:1の質量比で含むことができる。
【0022】
前記第2コーティング層の厚さは前記第1コーティング層の厚さと同じかそれより小さい厚さを有することができる。
【0023】
前記第2コーティング層は1mm~5mmの厚さを有することができる。
【0024】
前記第2コーティング層は前記ラバーチャックから前記第1コーティング層までの長さを有することができる。
【0025】
一方、本発明は、ベース基板の縁部に複数の層からなるガイドリングを結合する段階と、前記ガイドリングの縁部をラウンド加工する段階と、前記ガイドリングのラウンド面に第1コーティング層をコーティングする段階と、前記ベース基板とラバーチャックを固定する段階と、前記ラバーチャックから前記第1コーティング層まで前記接着剤及び前記接着物質の外周面に第2コーティング層をコーティングする段階とを含むウエハー研磨ヘッドの製造方法を提供する。
【0026】
前記第2コーティング層は、エポキシとポリマーを2:1~4:1の比で含む材料を塗布して乾燥させることができる。
【0027】
前記乾燥は、45℃以上で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させることができる。
【0028】
前記第2コーティング層は、前記エポキシとポリマーを含む材料を1mm~5mmの厚さに塗布することができる。
【0029】
一方、本発明は、前述したいずれか一形態のウエハー研磨ヘッドと、研磨パッドが付着され、前記ウエハー研磨ヘッドの下に配置される研磨テーブルとを含むウエハー研磨装置を提供する。
【発明の効果】
【0030】
このように、本発明のウエハー研磨ヘッド及びそれを備えたウエハー研磨装置は、研磨工程を遂行しているうち、ラバーチャックとテンプレートアセンブリーに含まれた粘着層が第2コーティング層によって覆われているので、スラリーに溶出するおそれがなく、ウエハーの平坦度品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】テンプレートアセンブリーの平面図である。
【0032】
図2a図1の線II-II’についての断面図で、テンプレートアセンブリー及びラバーチャックを示す断面図である。
【0033】
図2b図1のテンプレートアセンブリーとラバーチャックが結合された研磨ヘッドにウエハーが装着された状態を示す図である。
【0034】
図3】本発明の実施例によるウエハー研磨ヘッドを示す図である。
【0035】
図4図3のテンプレートアセンブリーを製作する過程を順次示す図である。
図5図3のテンプレートアセンブリーを製作する過程を順次示す図である。
【0036】
図6図5のテンプレートアセンブリーとラバーチャックを付着して第2コーティング層をコーティングする過程を示す図である。
【0037】
図7図6の要部の拡大図である。
【0038】
図8】比較例として互いに異なるテンプレートアセンブリーを有する研磨ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明は添付図面及び実施例についての説明によって明らかになるであろう。実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)、領域、パッドまたはパターンの「上(on)」にまたは「下(under)」に形成されるものとして記載される場合、「上(on)」と「下(under)」は「直接(directly)」または「他の層を介して(indirectly)」形成されるものの全部を含む。また、各層の上または下に対する基準は図面を基準に説明する。
【0040】
図面で、大きさは説明の便宜及び明確性のために誇張または省略されるかまたは概略的に示されている。また、各構成要素の大きさは実際の大きさをそのまま反映するものではない。また、同じ参照番号は図面の説明で同じ要素を指す。以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
【0041】
図3は本発明の実施例によるウエハー研磨ヘッドを示す図である。
【0042】
図3に示すように、本実施例のウエハー研磨装置1は、大別して、ウエハー研磨ヘッド5と、研磨テーブル7とを含むことができる。研磨テーブル7は定盤と呼ばれることができ、上面には研磨パッド8が装着されることができる。
【0043】
ウエハー研磨ヘッド5は、ボディー500、バックプレート510、ラバーチャック520などを含んでなることができる。
【0044】
ボディー500は研磨ヘッド5の主体を成し、昇降可能に構成されることができる。ボディー500はセラミックまたはステンレススチールなどからなり、圧縮空気が流入することができる空圧ライン600が設けられることができる。空圧ライン600を通してボディー500の内部には圧縮空気が流入して、バックプレート510とラバーチャック520との間には膨張空間530が形成されることができる。膨張空間530は圧縮空気によって容積が変化することができる。
【0045】
バックプレート510はボディー500の下側に配置され、ラバーチャック520が装着されることができる。バックプレート510はボディー500にボルトなどで固定されることができる。詳細に示されてはいないが、バックプレート510の内部には、上述した空圧ライン600を介して圧縮空気が流動することができる空気流入路が形成されることができる。
【0046】
ラバーチャック520はバックプレート510の下側に配置され、バックプレート510の外周面を取り囲むようにバックプレート510に結合される。ラバーチャック520は圧縮空気によって厚さが可変し、膨張しながらウエハーWを押圧することができる。
【0047】
ラバーチャック520はゴム材からなることができ、ラバーチャック520の縁部は固定手段によって固定されることができる。また、ラバーチャック520は縁部の膨張に不利であることがあるので、ラバーチャック520の縁部を中央部より薄く形成することができる。
【0048】
ラバーチャック520の下部にはテンプレートアセンブリー100が装着される。ラバーチャック520は研磨工程のうちに下方に膨張しながらテンプレートアセンブリー100を押圧して、ウエハーWが研磨パッド8と密着するようにすることができる。テンプレートアセンブリー100はラバーチャック520と接しながらウエハーWを固定的に支持することができる。
【0049】
テンプレートアセンブリー100は、バックマテリアル(Back Material)とも呼ばれるベース基板120と、ベース基板120の上面外周部にホットメルトシート(Hot-melt Sheet)135(図4参照)を介して接着されたガイドリング(Guide Ring)130とを含むことができる。
【0050】
ここで、ベース基板120は円盤状フィルムと呼ばれることができる。ガイドリング130はベース基板120に着座されたウエハーWを取り囲むように円形の内周面を有することができる。ガイドリング130は、多数枚のエポキシガラス(epoxy glass)を圧着してその厚さを調整することができる。ガイドリングはウエハーWを支持するので、支持部と呼ばれることができる。
【0051】
参考までに、エポキシ(epoxy)またはエポキシ樹脂は熱硬化性プラスチックの1種であり、水と天気の変化によく耐え、早く固まり、接着力が強い。接着剤、強化プラスチック、鋳型、保護用コーティングなどに使用する。エポキシは、機械的強度、耐水性、電気的特性などに優れるが、その他に硬化の際に収縮しないことと接着性が非常に大きいという点で、注型品や積層板としてかつ接着剤として使われている。
【0052】
ここで、テンプレートアセンブリー100は消耗材であり、ラバーチャック520に着脱可能に構成される。したがって、テンプレートアセンブリー100の一面にはラバーチャック520との結合のための両面接着剤120aが塗布されることができる。ラバーチャック520との結合に先立ち、両面接着剤120aの一面はテンプレートアセンブリー100に付着され、他面は離型紙(図示せず、図2aの20b参照)によって覆われられている。図3には、離型紙が除去されたテンプレートアセンブリー100がラバーチャック520に装着された状態が示されている。
【0053】
上述したように、テンプレートアセンブリー100には、ベース基板120とガイドリング130との接着、ベース基板120とラバーチャック520との付着のために、接着剤または接着物質などの粘着層が存在する。このような粘着層は、ウエハー研磨工程のうち、スラリーとの接触や高温環境によってスラリーに溶出すれば、ウエハーを汚染させてウエハーの平坦度品質を低下させるおそれがある。
【0054】
したがって、本発明はこのような問題を予め防止することができるテンプレートアセンブリー及びラバーチャックを備えるウエハー研磨ヘッド及びその製造方法を提供することができる。
【0055】
図4及び図5図3のテンプレートアセンブリーを製作する過程を順次示す。
【0056】
以下、図4及び図5を参照してテンプレートアセンブリーの製造方法の一実施例を説明する。
【0057】
まず、図4の(a)に示すように、ベース基板120を準備する。ベース基板120は、ウエハー研磨工程の際にウエハーWの一面と接触したままでウエハーWを押圧する役割を果たす。研磨ヘッド5にテンプレートアセンブリー100を付着するために、ベース基板120の第1面には接着剤120aを付着することができる。例えば、接着剤120aとして両面接着剤を使うことができる。接着剤120aの一面には離型紙(図示せず)が付着されることができる。
【0058】
ベース基板120の一面には上述した接着剤120aが付着され、他面の外周部にはガイドリング130が付着されることができる。ガイドリング130の内側とベース基板120の他面にはウエハーWが置かれる。
【0059】
ベース基板120は、ウエハーWの形状に対応するように、円盤状を有することができる。したがって、前述したように、ベース基板120は円盤状フィルムと呼ばれることができる。ベース基板120の直径はウエハーWの直径より大きくなることができる。
【0060】
次いで、図4の(b)に示すように、ベース基板120の縁部にガイドリング130を積層する。ガイドリング130は、ウエハーWの研磨工程の際、研磨ヘッド5でウエハーWをガイドしながら支持する役割を果たす。ガイドリング130の内周面は、ウエハーWを収容することができるほどに十分な直径を有しなければならない。
【0061】
このために、ガイドリング130はベース基板120の外周面に所定の厚さに接着されることができる。ガイドリング130は、複数の層131、132、133、134が積層されて所望の厚さを得ることができる。例えば、ガイドリング130はエポキシガラス(epoxy glass)などからなることができる。
【0062】
ガイドリング130は接着物質135を介してベース基板120上に固定されることができる。例えば、接着物質135はホットメルトシート(hot melt sheet)などを使うことができ、粘着層を成す。
【0063】
ガイドリング130が接着物質135によってベース基板120に接着された後には、図5の(a)に示すように、ガイドリング130の縁部をラウンド加工することができる。例えば、ベース基板120上に積層されたガイドリング130の上層の外側面をラウンド形に柔らかに加工することができる(以下、ラウンド面130aという)。ここで、外側面はウエハーWと接触することができる部分の反対方向を意味する。
【0064】
以下、ガイドリング130にラウンド面130aを形成するラウンド加工過程を詳細に説明すれば次のようである。
【0065】
まず、ガイドリング130の上層の外側面をサンドペーパー(sand paper)などでラウンド状を有するように1次研磨する。この際、マスク(図示せず)などを使うことにより、加工しようとする部分を除いた残りの部分のガイドリング130を保護することができる。
【0066】
1次研磨の後には、エアクリーニング(air cleaning)などの工程によって、残っているサンド(sand)などを除去する。ガイドリング130のラウンド加工された部位は粗い面が残存するので、ラビング(rubbing)などの方法で2次研磨する。
【0067】
1次研磨工程によってガイドリング130の縁部をラウンド加工した後、2次研磨工程でガイドリング130の表面を滑らかに加工してラウンド面130aを完成することができる。ラウンド面130aが完成された後、ガイドリング130の表面の残存物などはDIWクリーニングなどの洗浄工程で十分に除去することができる。
【0068】
次いで、図5の(b)に示すように、ガイドリング130のラウンド面130aにコーティングを遂行することができる(以下、第1コーティング層200という)。
【0069】
第1コーティング層200は、1次及び2次研磨、エアクリーニング及びDIWクリーニング工程の後にガイドリング130上に微量が残っていることがあり得る不純物及び食刻物を除去し、ラウンド面130aの粗い部分を柔らかにして研磨パッド8の損傷を予め防止することができる効果がある。
【0070】
例えば、第1コーティング層200は複数のガイドリング130の中で最上端のレイヤー(layer)に主にコーティングされることができる。もちろん、第1コーティング層200は、ラウンド面130aの曲率または形状によって、複数のガイドリング130の中で1個または数個のレイヤーにコーティングされることもできる。
【0071】
ここで、第1コーティング層200を成すコーティング材料としてはエポキシなどを使うことができる。コーティング材料は、一定の比で混合したエポキシをラウンド面130aに塗布しなければならなく、特定の条件で硬化及び乾燥しなければならない。仮に、一定の比で配合しなければ、第1コーティング層200が一定水準以上の硬度に硬化しないことがあり、乾燥方式によって第1コーティング層200の流下または気泡が発生することがある。
【0072】
コーティング工程を具体的に説明すれば次のようである。
【0073】
まず、コーティング材料を準備する。コーティング材料としては、エポキシとポリマーを10:3の質量比で含む材料を使うことができる。エポキシとポリマーの比は、エポキシ対ポリマーの質量比が2:1~4:1の範囲であれば、上述した第1コーティング層200の材料として十分である。
【0074】
コーティング材料を塗布した後、コーティング材料から有機物などを除去する。本実施例では、ドーピングされたコーティング材料を45℃以上の温度で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させる。1次乾燥過程で主に焼成されることにより、コーティング材料内の有機物などが除去され、2次乾燥過程ではコーティング材料が硬化することができる。
【0075】
ここで、あまりにも低い温度で乾燥させればエポキシを充分に硬化させることができなく、あまりにも高い温度で乾燥させれば接着物質135の短絡を引き起こすことがある。
【0076】
このように、実施例のテンプレートアセンブリー100は、ベース基板120と、ベース基板120の縁部に配置されるガイドリング130と、ガイドリング130とベース基板120とを接合する接着物質135と、ガイドリング130の外側面に形成されたラウンド面130aと、ラウンド面130aにコーティングされた第1コーティング層200と、ベース基板120の一面に塗布された接着剤120aとを含んでなることができる。
【0077】
図6図5のテンプレートアセンブリーとラバーチャックを付着し、第2コーティング層をコーティングする過程を示す。
【0078】
図6及び図7に示すように、上述した過程によって製造されたテンプレートアセンブリー100はラバーチャック520に付着されて研磨ヘッド5を構成することができる。
【0079】
より詳細には、テンプレートアセンブリー100はベース基板120の一面に塗布された接着剤120aまたは両面テープを介してラバーチャック520に結合されることができる。
【0080】
上述したように、テンプレートアセンブリー100には、ベース基板120とガイドリング130の接着、及びベース基板120とラバーチャック520の付着のために接着物質135または接着剤120aなどの粘着層が存在することになる。ウエハー研磨ヘッド5はこのような粘着層を含むので、ウエハー研磨工程のうち、スラリーとの接触または高温の環境によってスラリーに溶出するおそれがある。したがって、本実施例は、このような問題を予め防止するように、第2コーティング層300をさらに含んでなることができる。
【0081】
図6の(b)及び図7に示すように、第2コーティング層300は接着物質の外周面とガイドリングの外周面の露出部位を覆うようにコーティングされることができる。
【0082】
ここで、第2コーティング層300を成すコーティング材料としては、エポキシなどを使うことができる。コーティング材料は、一定の比で混合したエポキシを噴射方式で塗布した後、特定の条件で硬化及び乾燥させることができる。
【0083】
コーティング過程は、テンプレートアセンブリー100とラバーチャック520が結合した状態で遂行する。コーティング材料としては、エポキシとポリマーを10:3の質量比で含む材料を使うことができる。エポキシとポリマーの比は、エポキシ対ポリマーの質量比が2:1~4:1の範囲であれば、上述した第2コーティング層300の材料として十分である。
【0084】
コーティング材料を塗布した後、コーティング材料から有機物などを除去することができる。本実施例では、ドーピングされたコーティング材料を45℃以上の温度で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させる。1次乾燥過程で主に焼成されることにより、コーティング材料内の有機物などが除去され、2次乾燥過程ではコーティング材料が硬化することができる。
【0085】
ここで、あまりにも低い温度で乾燥させればエポキシを充分に硬化させることができなく、あまりにも高い温度で乾燥させれば接着物質135の短絡を引き起こすことがある。
【0086】
上述した第1コーティング層200はガイドリング130のラウンド面130aに形成され、第2コーティング層300は、図7に示すように、ラバーチャック520から第1コーティング層200までの長さLを有することができる。もちろん、第2コーティング層300の長さはテンプレートアセンブリー100とラバーチャック520に含まれた粘着層が外部に漏出することを防止することができる領域にのみ最小限に塗布されることもできる。
【0087】
一方、第1コーティング層200の厚さT1は2mm~5mmの厚さを有するように積層されることができる。仮に、第1コーティング層200の厚さT1が2mm以下であればウエハーWの研磨工程中に第1コーティング層200が損傷されることがあり、第1コーティング層200の厚さT2が5mm以上であれば縁部の圧力が不均一になり、ウエハーWの研磨中にウエハーWがテンプレートアセンブリー100の外部に離脱することがある。
【0088】
第1コーティング層200の幅W2はガイドリング130のうちラウンド加工された部分の幅W1より広く形成されることができる。すなわち、ガイドリング130のうちラウンド加工された部分の全体を保護するためには、第1コーティング層200をより広く形成しなければならない。
【0089】
ガイドリング130のうちラウンド加工された部分の幅W1は30mm程度であり、10%以下の誤差を有する幅に加工されることができる。そして、ラウンド加工されたエポキシガラスの幅W1と第1コーティング層200の幅W2の比は1:14~1:16であることができる。
【0090】
また、第1コーティング層200の厚さはガイドリング130の内部より外部で厚い。これは、乾燥及び硬化の前、塗布されたエポキシなどの材料が外部に流れることがあるからである。
【0091】
一方、第2コーティング層300の厚さT2は1mm~5mmであることができる。第2コーティング層300は、第1コーティング層200とは違い、研磨パッド8(図3参照)と接触しない。したがって、第1コーティング層200の厚さT1よりは小さくてもかまわない。
【0092】
しかし、第1コーティング層200との均衡、製作時の便宜性などのために、第2コーティング層300の厚さT2と第1コーティング層T1の厚さとは同じに形成することができる。
【0093】
以下、上述したウエハー研磨ヘッドの製造方法を段階別に略述する。
【0094】
まず、ベース基板120を準備する。ベース基板120の一面には接着剤120aが覆われていることができる。次いで、ベース基板120の他面の縁部に複数の層131、132、133、134からなるガイドリング130を結合する段階を遂行する。
【0095】
ガイドリング130は接着物質135を介してベース基板120に付着されることができる。ガイドリング130がベース基板120に付着されれば、ガイドリング130の縁部をラウンド加工する。ラウンド加工によって、ガイドリング130の外側面にはラウンド面130aが形成される。ラウンド面130aは研磨及び洗浄過程を受けることができる。
【0096】
次いで、ガイドリング130のラウンド面130aに第1コーティング層200をコーティングする段階を遂行する。第1コーティング層200は、エポキシとポリマーを2:1~4:1で含む材料を塗布して乾燥させることができる。第1コーティング層200の厚さは2mm~5mmを有することができる。
【0097】
ここで、第1コーティング層200を塗布した後、45℃以上で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させることができる。
【0098】
上述したような方式でテンプレートアセンブリー100を製造した後、テンプレートアセンブリー100のベース基板120とラバーチャック520を固定する段階を遂行することができる。ここで、ベース基板120の一面に付着された接着剤120aを介してテンプレートアセンブリー100をラバーチャック520に固定することができる。
【0099】
次いで、ラバーチャックから第1コーティング層200まで接着剤と接着物質の外周面が露出されないように、第2コーティング層300をコーティングする段階を遂行する。
【0100】
第2コーティング層300は、エポキシとポリマーを2:1~4:1の比で含む材料を塗布して乾燥させることができる。第2コーティング層300の厚さは第1コーティング層200の厚さより小さいか同じ1mm~5mmを有することができる。ここで、第2コーティング層300を塗布した後、45℃以上で1次乾燥させ、常温で2次乾燥させることができる。
【0101】
このように、本発明のウエハー研磨ヘッド及びそれを備えたウエハー研磨装置は、研磨工程を遂行しているうち、ラバーチャックとテンプレートアセンブリーに含まれた粘着層が第2コーティング層によって覆われているので、スラリーに溶出するおそれがない。よって、ウエハーの平坦度品質を向上させることができる。
【0102】
一方、上述した構成を含む本実施例のウエハー研磨ヘッド及びそれを備えたウエハー研磨装置はすべての形態のテンプレートアセンブリーに適用することができるものではない。
【0103】
図8は比較例として互いに異なるテンプレートアセンブリーを有する研磨ヘッドを示す。
【0104】
図8の(A)に示すテンプレートアセンブリーは、ガイドリング30の垂直長h1が図8の(B)に示すテンプレートアセンブリーのガイドリング30bの垂直長h2より長く形成される(h1>h2)。
【0105】
したがって、図8の(A)に示すテンプレートアセンブリーのガイドリング30は研磨パッド8(図3参照)と直接接触(Contact)する構成であり、図8の(B)に示すテンプレートアセンブリーは、ガイドリング30bが研磨パッド8と接触しなくなる。
【0106】
本実施例で適用された第1コーティング層200または第2コーティング層300は、図8の(A)に示すように、ガイドリング30を研磨パッド8と直接接触するテンプレートアセンブリーに適用することができる。
【0107】
一方、図8の(B)に示すテンプレートアセンブリーは、ガイドリング30bが研磨パッド8と接触しないので、ウエハーWとガイドリング30bとの間に隙間Gが存在する。したがって、上述した形態は、隙間Gを補償するために、ハードウェア(H/W)タイプのリング形カバー部Cがガイドリング30bの外側を覆うように設けられている。したがって、上述した形態には本発明を適用することができない。
【0108】
一方、前述した実施例で、テンプレートアセンブリーは、ラウンド面と、ラウンド面にコーティングされた第1コーティング層とを備える場合に第2コーティング層を一緒に備える実施例を説明したが、必要に応じて第2コーティング層はラウンド面及び第1コーティング層を備えない形態のテンプレートアセンブリーに適用することもできるであろう。
【0109】
以上の実施例で説明した特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも単一の実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組合せまたは変形して実施可能である。したがって、このような組合せ及び変形に係る内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のウエハー研磨ヘッド、ウエハー研磨ヘッドの製造方法及びそれを備えたウエハー研磨装置は半導体製造装置に適用可能である。
図1
図2a
図2b
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8(A)】
図8(B)】