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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20231117BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20231117BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231117BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/233
H01M50/244 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022520912
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2021010201
(87)【国際公開番号】W WO2022045619
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0107737
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0102180
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キテク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンキュ・パク
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517080(JP,A)
【文献】特開2017-054865(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0064257(KR,A)
【文献】特開2017-126536(JP,A)
【文献】特開2014-093240(JP,A)
【文献】特開2019-133778(JP,A)
【文献】特表2020-501320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容し、上部が開放されたフレーム部材、および
前記フレーム部材の上部で前記電池セル積層体を覆う上部プレートを含み、
前記フレーム部材は、互いに向き合う二つの側面部と、前記二つの側面部を連結する底部と、を含み、
前記側面部には、内側に陥没した陥没部が形成されており、
前記側面部の上側端部と隣接した陥没部の部分には、傾斜部が形成される、電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容し、上部が開放されたフレーム部材、および
前記フレーム部材の上部で前記電池セル積層体を覆う上部プレートを含み、
前記フレーム部材は、互いに向き合う二つの側面部と、前記二つの側面部を連結する底部と、を含み、
前記側面部には、内側に陥没した陥没部が形成されており、
前記側面部に形成された陥没部の上端は、前記側面部の上端と一致するように形成される、電池モジュール。
【請求項3】
前記側面部は、前記陥没部が位置する第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を含み、
前記第2領域は、前記側面部の少なくとも一つの一側周縁に沿って位置する、請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1領域の厚さと前記第2領域の厚さとは、互いに同一である、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記側面部に形成された陥没部の下端は、前記底部から離隔している、請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記陥没部は、前記側面部で複数個が形成され、前記複数の陥没部は、前記電池セルの長さ方向に沿って互いに離隔して形成され、前記陥没部は、前記電池セルの高さ方向に長く伸びている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記陥没部は、前記側面部で複数個が形成され、前記複数の陥没部は、前記電池セルの高さ方向に沿って互いに離隔して形成され、前記陥没部は、前記電池セルの長さ方向に長く伸びている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容し、上部が開放されたフレーム部材、および
前記フレーム部材の上部で前記電池セル積層体を覆う上部プレートを含み、
前記フレーム部材は、互いに向き合う二つの側面部と、前記二つの側面部を連結する底部と、を含み、
前記側面部には、内側に陥没した陥没部が形成されており、
前記陥没部は、第1陥没部と第2陥没部を含み、前記第2陥没部の面積は、前記第1陥没部の面積より小さくなっており、
前記側面部は、前記第1陥没部を囲む第1側面部と、前記第1陥没部と前記第2陥没部の間に位置する第2側面部と、を含む、電池モジュール。
【請求項9】
前記フレーム部材に含まれる前記底部と前記側面部とは、一体に形成される、請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
上部が開放されたフレーム部材の内部に電池セル積層体を挿入する段階、および
前記フレーム部材の開放された上部を覆うように前記電池セル積層体上に上部フレームを形成する段階を含み、
前記フレーム部材は、底部、および互いに向き合う二つの側面部を含み、前記側面部の上側端部と隣接した陥没部の部分には、傾斜部が形成され、
前記フレーム部材の内部に前記電池セル積層体を挿入する段階は、前記側面部に形成された陥没部に沿って前記電池セル積層体を挿入し、前記傾斜部に前記電池セル積層体が最も先に接触しながら前記電池セル積層体が挿入される、電池モジュール製造方法。
【請求項11】
前記フレーム部材の内部に前記電池セル積層体を挿入する段階において、前記電池セル積層体は、互いに向き合う側面部間の内側距離以上であり、互いに向き合う側面部間の外側距離以下の幅を有する条件で前記フレーム部材の開放された上部を通じて進入する、
請求項10に記載の電池モジュール製造方法。
【請求項12】
前記陥没部は、プレス成形により形成される、請求項10または11に記載の電池モジュール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願(ら)との相互引用]
本出願は、2020年8月26日付韓国特許出願第10-2020-0107737号および2021年8月3日付韓国特許出願第10-2021-0102180号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびその製造方法に関し、より具体的に加工性を向上させた電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有している二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源により駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から、環境にやさしく、エネルギー効率性の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台当たり1個または2~4個の電池セルが使用されることに対し、自動車などのように中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。
【0005】
中大型電池モジュールは、なるべく小さいサイズと重量で製造されることが好ましいため、高い集積度に積層可能であり、容量に比べて重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。一方、電池モジュールは、セル積層体を外部衝撃、熱または振動から保護するために、前面と後面が開放されて電池セル積層体を内部空間に収納するフレーム部材を含むことができる。
【0006】
図1は従来のモノフレームを有する電池モジュールを示す斜視図である。
【0007】
図1を参照すると、電池モジュールは、複数の電池セル11が積層されて形成された電池セル積層体12、電池セル積層体12を覆うように前面と後面が開放されたモノフレーム20、およびモノフレーム20の前面と後面を覆うエンドプレート60を含むことができる。このような電池モジュールを形成するために、図1に示した矢印のようにx軸方向に沿ってモノフレーム20の開放された前面または後面に電池セル積層体12が挿入されるように水平組立が必要である。ただし、このような水平組立が安定的になるように電池セル積層体12とモノフレーム20との間に十分な余裕空間(clearance)を確保しなければならない。ここで、余裕空間(clearance)とは、嵌め合いなどにより発生する隙間をいう。余裕空間が小さい場合に水平組立過程で部品損傷が発生することがある。したがって、モノフレーム20の高さは電池セル積層体12の最大高さと挿入過程での組立公差(tolerance)などを考慮して大きく設計されなければならず、そのため、不必要に浪費される空間が発生することがある。このような組立公差を最小化するためにガイドフィルムを使用したりするが、挿入過程でガイドフィルムが切れたり交換による費用が増加するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、フレーム部材内に電池セル積層体を挿入する速度を改善し、剛性を向上させる電池モジュールおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容し、上部が開放されたフレーム部材、および前記フレーム部材の上部で前記電池セル積層体を覆う上部プレートを含み、前記フレーム部材は、互いに向き合う二つの側面部と、前記二つの側面部を連結する底部と、を含み、前記側面部には、内側に陥没した陥没部が形成されている。
【0011】
前記側面部は、前記陥没部が位置する第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を含み、前記第2領域は、前記側面部の少なくとも一つの一側周縁に沿って位置することができる。
【0012】
前記第1領域の厚さと前記第2領域の厚さとは、互いに同一であり得る。
【0013】
前記側面部の上側端部と隣接した陥没部の部分には、傾斜部が形成され得る。
【0014】
前記側面部に形成された陥没部の下端は、前記底部から離隔していることができる。
【0015】
前記側面部に形成された陥没部の上端は、前記側面部の上端と一致するように形成され得る。
【0016】
前記陥没部は、前記側面部で複数個が形成され、前記複数の陥没部は、前記電池セルの長さ方向に沿って互いに離隔して形成され、前記陥没部は、前記電池セルの高さ方向に長く伸びていることができる。
【0017】
前記陥没部は、前記側面部で複数個が形成され、前記複数の陥没部は、前記電池セルの高さ方向に沿って互いに離隔して形成され、前記陥没部は、前記電池セルの長さ方向に長く伸びていることができる。
【0018】
前記陥没部は、第1陥没部と第2陥没部を含み、前記第2陥没部の面積は、前記第1陥没部の面積より小さくてもよい。
【0019】
前記側面部は、前記第1陥没部を囲む第1側面部と、前記第1陥没部と前記第2陥没部の間に位置する第2側面部と、を含むことができる。
【0020】
前記フレーム部材に含まれる前記底部と前記側面部とは、一体に形成され得る。
【0021】
本発明の他の一実施形態による電池モジュール製造方法は、上部が開放されたフレーム部材の内部に電池セル積層体を挿入する段階、および前記フレーム部材の開放された上部を覆うように前記電池セル積層体上に上部フレームを形成する段階を含み、前記フレーム部材は、底部、および互いに向き合う二つの側面部を含み、前記側面部の上側端部と隣接した前記陥没部の部分には、傾斜部が形成され、前記フレーム部材の内部に前記電池セル積層体を挿入する段階は、前記側面部に形成された陥没部に沿って前記電池セル積層体を挿入し、前記傾斜部に前記電池セル積層体が最も先に接触しながら前記電池セル積層体が挿入され得る。
【0022】
前記フレーム部材の内部に前記電池セル積層体を挿入する段階において、前記電池セル積層体は、互いに向き合う側面部間の内側距離以上であり、互いに向き合う側面部間の外側距離以下の幅を有する条件で前記フレーム部材の開放された上部を通じて進入することができる。
【0023】
前記陥没部は、プレス成形により形成され得る。
【発明の効果】
【0024】
実施形態によると、垂直方向に電池セル積層体を積層することによって挿入速度を改善し、既存のガイドフィルムを省略して費用を節減することができる。
【0025】
また、フレーム部材の内側部分をプレス成形することによって、フレーム部材の左右上端を強制的に広げなくても自然に電池セル積層体がフレーム部材内に挿入され得る。
【0026】
また、プレス成形構造によりスウェリング現象による電池セルの性能低下を防止することができる。
【0027】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来のモノフレームを有する電池モジュールを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
図3】本発明の比較例による電池モジュール製造方法を示す図面である。
図4】本発明の一実施形態による電池モジュールに含まれているフレーム部材および電池モジュール製造方法を示す図面である。
図5図4の電池モジュールに含まれているフレーム部材を示す斜視図である。
図6図4のフレーム部材の変形例を示す図面である。
図7図4のフレーム部材の変形例を示す図面である。
図8】本発明の他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。
図9】本発明のまた他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。
図10図9のフレーム部材を正面で眺めた図面である。
図11図10のフレーム部材の変形例を示す図面である。
図12】本発明のまた他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0030】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0031】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ず図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0032】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ず重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0033】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0035】
図2は本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
【0036】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されて形成された電池セル積層体200、電池セル積層体200を収納するモジュールフレーム300、電池セル積層体200の前面と後面にそれぞれ位置するエンドプレート600、および電池セル積層体200とエンドプレート600の間に位置するバスバーフレーム130を含む。また、電池モジュール100は、電池セル積層体200の両側面にそれぞれ位置し、電池セル110と平行に配置される圧縮パッド750を含むことができる。
【0037】
電池セル110は、二次電池であって、パウチ型二次電池で構成され得る。このような電池セル110は、複数個で構成され得、複数の電池セル110は、互いに電気的に連結され得るように互いに積層されて電池セル積層体200を形成することができる。具体的に図示していないが、複数の電池セル110は、それぞれ電極組立体、電池ケース、および電極組立体から突出した電極リードを含むことができる。一方、図2に示したように、複数の電池セル110は、フレーム部材400の両側面部420と平行に配置されてy軸方向に沿って順次に積層され得る。
【0038】
電池セル積層体200は、外部衝撃などに対する保護のために剛性を有するモジュールフレーム300に収納される。
【0039】
この時、モジュールフレーム300は、電池セル積層体200を収納し、上部(z軸方向)が開放されたフレーム部材400、およびフレーム部材400の開放された上部を覆う上部フレーム450を含むことができる。このようなフレーム部材400は、底部410、および底部410の両端部からそれぞれ上向きに延長された側面部420を含むことができる。フレーム部材400は、U字形であり得る。
【0040】
つまり、電池セル積層体200の下部および両側部はフレーム部材400に囲まれ、電池セル積層体200の上部は上部フレーム450により覆われ得る。
【0041】
フレーム部材400の底部410上に電池セル積層体200が位置し、その後、上部フレーム450を通じて電池セル積層体200の上面を覆う方法で電池セル積層体200がモジュールフレーム300内部に装着され得る。
【0042】
この時、フレーム部材400と上部フレーム450は溶接を通じて接合され得るが、接合方式はこれに限定されず、多様な実施形態を通じて実現され得る。
【0043】
互いに結合されたフレーム部材400と上部フレーム450の開放された前、後面(x軸方向およびその反対方向)にそれぞれエンドプレート600が結合され得る。
【0044】
エンドプレート600は、外部の衝撃から電池セル積層体200をはじめとする多様な電装品を保護し、同時に電池セル積層体200の電池セル110と外部電源の間の電気的連結を案内することができる。
【0045】
一方、電池セル110は、リチウム二次電池であり得、パウチ型二次電池であり得る。このようなパウチ型二次電池は、一般にラミネートシートに電極組立体を内蔵した形態で備えられるため、小さいサイズと重量に比べてエネルギー密度が高いという長所があるが、機械的剛性が弱いという短所がある。特に、リチウム二次電池の場合、反復的な充放電過程で電極が厚くなったり、副反応により内部電解質が分解されてガスが発生することがある。この時、電極膨張や発生したガスによりパウチ型二次電池セルが膨らむ現象を「スウェリング現象」という。
【0046】
本実施形態では、電池セル積層体200の両側面にそれぞれ圧縮パッド750を配置することができる。このような圧縮パッド750を通じて電池セル110を初期から強く圧迫することができるため、相対的にスウェリングによる厚さ膨張が小さくなり、スウェリング現象による電池セル110の性能低下を防止し、電池モジュール100の外形変化を減らすことができる。
【0047】
このような圧縮パッド750は、スウェリング現象を抑制することができるようにポリウレタン発泡体(Polyurethane Foam)を含むことができる。
【0048】
一方、電池セル積層体200の両側面にそれぞれ圧縮パッド750を配置する時、電池セル積層体200と圧縮パッド750の間のそれぞれに両面テープを設け、圧縮パッド750を電池セル積層体200に一次的に固定することができる。
【0049】
また、両面テープの代わりに噴射された粘着剤を利用して圧縮パッド750を固定することができる。具体的には、電池セル積層体200の両側面にそれぞれ粘着剤を噴射した後、その上に圧縮パッド750を付着させることができる。前記粘着剤は高温の溶けた形態で、圧力ポンプによりノズルから噴射され得る。
【0050】
一方、フレーム部材400の開放された上面(z軸方向)を通じて電池セル積層体200をフレーム部材400の底部410上に位置させることができるが、この時、圧縮パッド750がそれぞれ側面部420により巻き上げられる不良が発生することがある。このような不良により電池モジュール100の製造のための自動化工程に大きい悪影響を及ぼす。このような不良を防止するために開きジグのような装置を使用して電池セル積層体挿入工程を進行することができる。
【0051】
本実施形態による電池モジュール100は、電池セル積層体200の下部面に位置する熱伝導性樹脂層411をさらに含むことができる。また、一つ以上の電池モジュール100が電池パックを構成する時、電池モジュール100の下端部にヒートシンク(heat sink)が位置することができる。
【0052】
熱伝導性樹脂層411は、熱伝導性樹脂(Thermal resin)を含むことができ、特に熱伝導性接着物質を含むことができる。例えばシリコン(Silicone)系素材、ウレタン(Urethane)系素材およびアクリル(Acrylic)系素材のうちの少なくとも一つを含むことができ、特にウレタン系素材を含むことが好ましい。
【0053】
前記熱伝導性樹脂は、熱伝導度に優れた物質であり、電池セルに発生した熱が熱伝導性樹脂層411と前記ヒートシンクを経て外部に排出され得る。ただし、前記熱伝導性樹脂は、熱伝導性接着物質を含むものであって、塗布時には液状であるが、電池セル積層体200がその上に積層された後には硬化され得る。したがって、熱伝導性樹脂層411は、電池セル積層体200を電池モジュール100内で固定させることができる。つまり、本実施形態での熱伝導性樹脂層411は、電池セル積層体200に対する放熱特性を向上させるだけでなく、電池セル積層体200を効果的に固定する効果を有する。
【0054】
図3は本発明の比較例による電池モジュール製造方法を示す図面である。
【0055】
図3を参照すると、比較例による電池モジュール製造方法は、電池セル積層体70をフレーム部材30の底部に装着する前に開きジグ35を使用してフレーム部材30の両側面部を強制的に広げることができる。開きジグ35によりフレーム部材30の両側面部を強制的に広げた状態で、電池セル積層体70をフレーム部材30の底部に挿入することができる。しかし、フレーム部材30の幅および高さにより開き量が大きくなれば弾性限界を逸脱して永久変形されることがあるという問題がある。
【0056】
そこで、本実施形態による電池モジュール100は、フレーム部材を強制的に広げずに電池セル積層体が自然にフレーム部材内に挿入され得るようにすることによって、前記のような製造工程上の不良を解消しようとしており、これについて後述する。
【0057】
図4は本発明の一実施形態による電池モジュールに含まれているフレーム部材および電池モジュール製造方法を示す図面である。図5図4の電池モジュールに含まれているフレーム部材を示す斜視図である。
【0058】
図4および図5を参照すると、本実施形態による電池モジュールに含まれているフレーム部材400は、底部410、および底部410の両端部からそれぞれ上向きに延長された側面部420を含む。この時、底部410と二つの側面部420を一体に形成することができる。
【0059】
フレーム部材400の側面部420にはプレス成形により陥没部420pが形成されている。側面部420は、陥没部420pが位置する第1領域P1と、第1領域P1を囲む第2領域P2を含むことができる。本実施形態によると、陥没部420pが形成された側面部420の第1領域P1の厚さと、陥没部420pが形成されていない側面部420の第2領域P2の厚さとは互いに同一であり得る。
【0060】
第2領域P2は側面部420の少なくとも一つの一側周縁に沿って位置することができる。例えば、図5に示したように陥没部420pは側面部420の上側端部と両側端部を除いて形成され得る。側面部420の上側端部と隣接した陥没部420p部分には傾斜部420psが形成され得る。このように、本実施形態によるプレス成形による陥没部420pと傾斜部420psは電池セル積層体200がフレーム部材400内に挿入される過程で電池セル積層体200が自然に挿入され得るようにする役割を果たす。この時、電池セル積層体200は、互いに向き合うフレーム部材400の側面部420間の内側距離d1以上であり、互いに向き合うフレーム部材400の側面部420間の外側距離d2以下の幅を有する条件でフレーム部材400の開放された上部を通じて進入することができる。電池セル積層体200の幅は、図2に示したように電池セル110が積層される方向であるy軸方向への長さを意味し得る。
【0061】
本実施形態による側面部420は、金属材質で形成され得、一例としてスチールまたはアルミニウム合金などで形成され得る。側面部420は、電池セル積層体200が滑るようにフレーム部材400の側面部420を乗り越えることができる水準の剛性を有することができる。
【0062】
前記説明した電池モジュールを製造する方法について説明する。
【0063】
図2図4および図5を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュール製造方法は、上部が開放されたフレーム部材400内部に電池セル積層体200を挿入する段階を含む。この時、側面部420に形成された陥没部420pに沿って電池セル積層体200を挿入し、側面部420の上側端部と隣接した陥没部420p部分に形成された傾斜部420psに電池セル積層体200が最も先に接触しながら電池セル積層体200が挿入される。
【0064】
その後、フレーム部材400の開放された上部を覆うように電池セル積層体200上に上部フレーム450を形成し、上部フレーム450はフレーム部材400と溶接などの方法により結合され得る。その後、互いに結合されたフレーム部材400と上部フレーム450の開放された前、後面(x軸方向およびその反対方向)にそれぞれエンドプレート600を結合することができる。
【0065】
このように本実施形態による電池モジュールおよびその製造方法によると、フレーム部材の幅および高さに関係なしにフレーム部材素材の弾性限界範囲内で組み立てが可能であり、フレーム部材の開き工程を省略することができるため、工程時間を短縮することができる。
【0066】
図6および図7図4のフレーム部材の変形例を示す図面である。
【0067】
図6を参照すると、図4および図5で示したものとは異なり、側面部420に形成された陥没部420p’の下端が底部410から離隔していることができる。本実施形態において陥没部420p’の下端は傾いた形状で図6に示されているが、陥没部420p’の上端とは異なり、傾くことなく側面部420に垂直であることもできる。
【0068】
図7を参照すると、図4および図5で示したものとは異なり、側面部420に形成された陥没部420p”の上端が側面部420の上端と実質的に一致するように形成され得る。
【0069】
図8は本発明の他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。
【0070】
図8を参照すると、本実施形態によるフレーム部材500は、底部510、および底部510の両端部からそれぞれ上向きに延長された側面部520を含む。この時、底部510と二つの側面部520を一体に形成することができる。図5に示したフレーム部材400では一つの陥没部420pが形成されるが、本実施形態によるフレーム部材500の側面部520にはプレス成形により複数の陥没部520pが形成されている。複数の陥没部520pは図2に示した電池セル110の長さ方向であるx軸方向に沿って互いに離隔して形成され得る。それぞれの陥没部520pは電池セル110の高さ方向であるz軸方向に長くに延びている。
【0071】
本実施形態によると、プレス成形を通じて複数の陥没部520pを形成することによって構造的な剛性を向上させることができる。
【0072】
図8のフレーム部材500は図5で説明したフレーム部材400の変形例であり、前記で説明した差異点以外に図5で説明した内容は本実施形態に全て適用することができる。
【0073】
図9は本発明のまた他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。図10図9のフレーム部材を正面で眺めた図面である。
【0074】
図9および図10を参照すると、本実施形態によるフレーム部材600は、底部610、および底部610の両端部からそれぞれ上向きに延長された側面部620を含む。この時、底部610と二つの側面部620を一体に形成することができる。図5に示したフレーム部材400では一つの陥没部420pが形成されるが、本実施形態によるフレーム部材600の側面部620にはプレス成形により複数の陥没部620pが形成されている。図8に示したフレーム部材500では複数の陥没部520pが電池セルの長さ方向に沿って互いに離隔して形成されるが、本実施形態による陥没部620pは図2に示した電池セル110の高さ方向であるz軸方向に沿って互いに離隔して複数個が形成され得る。それぞれの陥没部620pは電池セル110の長さ方向であるx軸方向に長く伸びている。
【0075】
図9のフレーム部材600は図5、8で説明したフレーム部材400、500の変形例であり、前記で説明した差異点以外に図5、8で説明した内容は本実施形態に全て適用することができる。
【0076】
図11図10のフレーム部材の変形例を示す図面である。
【0077】
図11を参照すると、図10で示したものとは異なり、側面部620に形成された複数の陥没部620p’のうち、側面部620下部に位置する陥没部620p’の下端が底部610から離隔していることができる。本実施形態において陥没部620p’の下端は傾いた形状で図11に示されているが、陥没部620p’の上端とは異なり、傾くことなく側面部620に垂直であることもできる。
【0078】
図12は本発明のまた他の一実施形態によるフレーム部材を含む電池モジュールを示す斜視図である。
【0079】
図12を参照すると、本実施形態によるフレーム部材700は、底部710、および底部710の両端部からそれぞれ上向きに延長された側面部720を含む。この時、底部710と二つの側面部720を一体に形成することができる。図5に示したフレーム部材400では一つの陥没部420pが形成されるが、本実施形態によるフレーム部材700の側面部720にはプレス成形により複数の陥没部720pが形成されている。特に、本実施形態による陥没部720pは、第1陥没部720p1と第2陥没部720p2を含み、第2陥没部720p2の面積は第1陥没部720p1の面積より小さい。第1陥没部720p1は側面部720の外周縁に沿って形成され、第2陥没部720p2はプレス成形されていない側面部720中央に形成され得る。
【0080】
本実施形態による側面部720は、第1陥没部720p1を囲む第1側面部720aと、第1陥没部720p1と第2陥没部720p2の間に位置する第2側面部720bを含むことができる。
【0081】
図9のフレーム部材600は図5、8で説明1フレーム部材400、500の変形例であり、前記で説明した差異点以外に図5、8で説明した内容は本実施形態に全て適用することができる。
【0082】
一方、本発明の実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することができる。
【0083】
前述した本実施形態による電池モジュールや電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用され得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する
【0084】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0085】
110:電池セル
200:電池セル積層体
300:モジュールフレーム
400、500、600、700:フレーム部材
420、520、620、720:側面部
420p、520p、620p、720p:陥没部
420ps:傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12