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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電子モジュールおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/32 20060101AFI20231117BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H05K3/32 Z
H01R13/24
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022540550
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2020113830
(87)【国際公開番号】W WO2021135356
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】201911398770.5
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】李 永耀
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 仕彬
(72)【発明者】
【氏名】康 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】王 峰
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 雪
(72)【発明者】
【氏名】朱 江
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-089284(JP,U)
【文献】特開2011-171168(JP,A)
【文献】特開2002-124742(JP,A)
【文献】実開平04-031282(JP,U)
【文献】特開2018-174018(JP,A)
【文献】特開2012-221783(JP,A)
【文献】特開2016-119456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/32
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュールであって、
第1の部品および第2の部品であって、前記第1の部品は、第1の予め設定された方向に沿って摺動するように前記第2の部品と嵌合し、前記第2の部品に対して第1の指定された位置でロックされ、前記第2の部品に面する前記第1の部品の表面には、複数の第1の半田パッドが設けられる、前記第1の部品および前記第2の部品と、
複数の端子であって、複数の前記第1の半田パッドの少なくとも一部に1対1対応し、前記端子それぞれが、本体部と、前記本体部に接続された第1の屈曲部とを備え、前記本体部は前記第2の部品に固定され、前記第1の屈曲部は、対応する前記第1の半田パッドを押圧する、複数の前記端子と、
を備える、前記電子モジュールにおいて、
前記第1の部品が前記第1の予め設定された方向に沿って前記第2の部品に対して摺動するとき、前記第1の部品によって前記端子それぞれの前記第1の屈曲部に加えられる摩擦力のトルクは、前記本体部によって前記第1の屈曲部に加えられるトルクより小さいか又は等しく、
複数の前記端子がアレイ状に分布し、前記第1の予め設定された方向に沿って分布した前記端子の行それぞれにおいて、幾つかの前記端子の前記第1の屈曲部および残りの前記端子の前記第1の屈曲部は、向かい合わせまたは背中合わせに配置される、電子モジュール。
【請求項2】
前記端子それぞれの前記第1の屈曲部の延在方向が位置する直線と前記第1の予め設定された方向が位置する直線との間の角度が0°~15°である、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記第1の予め設定された方向に沿って分布した前記端子の前記行それぞれにおいて、前記第1の予め設定された方向に向いた前記第1の屈曲部の端子の数は、前記第1の予め設定された方向の反対方向に向いた前記第1の屈曲部の端子の数に等しい、請求項に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記第1の予め設定された方向に沿って分布した前記端子の前記行それぞれにおいて、前記第1の予め設定された方向に向いた前記第1の屈曲部の前記端子が連続的に配置され、前記第1の予め設定された方向の反対方向に向いた前記第1の屈曲部の前記端子が連続的に配置される、請求項に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記第1の部品は、パッケージ基板およびチップを備え、前記パッケージ基板は、基板本体と、複数の前記第1の半田パッドとを備え、複数の前記第1の半田パッドおよび前記チップはそれぞれ、前記基板本体の対向する2つの面に配置され、前記チップは、複数の前記第1の半田パッドに電気的に接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記第2の部品は、回路基板およびマウントベースを備え、前記回路基板は、回路基板本体と、前記回路基板本体に配置された複数の第2の半田パッドとを備え、
複数の前記端子は、複数の前記第2の半田パッドと1対1で接続され、
前記マウントベースは、前記回路基板に接続され、複数の前記端子の前記本体部は、前記マウントベースを貫通して前記マウントベースに固定される、請求項に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記端子それぞれは、前記本体部の一端に接続され前記第1の屈曲部から離れている第2の屈曲部をさらに備え、前記端子それぞれの前記第2の屈曲部は、1つの第2の半田パッドを押圧し、
前記マウントベースは、第2の予め設定された方向に沿って摺動するように前記回路基板本体と嵌合し、前記回路基板本体に対して第2の指定された位置でロックされ、
前記マウントベースが前記第2の予め設定された方向に沿って前記回路基板本体に対して摺動するとき、前記回路基板本体によって前記端子それぞれの第2の屈曲部に加えられる摩擦力のトルクは、前記本体部によって前記第2の屈曲部に加えられるトルクより小さいか又は等しい、請求項に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記端子それぞれの前記第2の屈曲部の延在方向が位置する直線と前記第2の予め設定された方向が位置する直線との間の角度が0°~15°である、請求項に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記端子それぞれにおいて、前記第1の屈曲部の延在方向は前記第2の屈曲部の延在方向と反対である、請求項またはに記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記回路基板は、前記回路基板本体に形成された複数のトレースをさらに備え、複数の前記トレースと前記端子の少なくとも一部とは1対1対応して信号接続され、
前記複数の端子がアレイ状に分布する場合には、前記トレースそれぞれは、2つの隣接する端子列および/または前記2つの隣接する端子列間の中間位置に沿って延在し、前記トレースの両側の端子の配列方向に平行である、請求項からのいずれか一項に記載の電子モジュール。
【請求項11】
前記パッケージ基板の対向する2辺から成る少なくとも1つのグループにおいて、側辺それぞれの中央が配置され、前記マウントベースに接続される、請求項から10のいずれか一項に記載の電子モジュール。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電子モジュールと、記憶モジュールとを備える電子デバイスであって、前記第1の部品は、前記記憶モジュールに電気的に接続される、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年12月30日に中国国家知識産権局に出願された「電子モジュールおよび電子デバイス」という名称の中国特許出願第201911398770.5号の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、電子技術の分野に関し、特に、電子モジュールおよび電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電子モジュール内の2つの部品が組み立てられるとき、部品の一方(例えば、パッケージ基板にチップを実装してなる部品)は、特定の方向(例えば、パッケージ基板は、回路基板に摺動可能に実装される)に沿って他方の部品に対して指定された位置に摺動する必要があり、その後ロックされ、2つの部品間の信号接続が、複数の端子を用いて実施される。各端子には、屈曲部が設けられており、屈曲部を用いて部品に弾性的に接触する。
【0004】
しかしながら、従来技術では、端子の屈曲部の延在方向と組立時の両部品の相対的な摺動方向との角度は、通常45°である。そのため、2つの部品の相対的な摺動プロセスにおいて、接触している部品の摩擦力の作用下で各端子の屈曲部が容易にずれ、その結果、異なる端子間の間隔が変化する。端子を用いて2つの部品間でデータが送信される場合、特にデータが高速で送信される場合、信号が容易に歪められ、信号の完全性が低下する。
【0005】
図1は、従来技術における電子モジュールの概略図である。図1を参照されたい。部品10は、パッケージ基板12と、パッケージ基板12に実装されたチップ11とを含む。部品20は、回路基板22と、回路基板22上に配置されたマウントベース21とを含む。パッケージ基板12は、マウントベース21を貫通する複数の端子30を用いて回路基板と電気的に接続される。図2を参照されたい。各端子30は、本体部32と、本体部32の一端に接続された屈曲部31と、本体部32の他端に接続された半田ボール33とを含む。本体部32は、マウントベース21に固定され、半田ボール33は、回路基板22上の半田パッドに接続され、回路基板22の実装面S1上の屈曲部31の正投影の延在方向は、屈曲部31の延在方向Tである。図3aは、パッケージ基板12が実装される前の図1の一部の端子30の上面図を示す。図1および図3aを参照して、パッケージ基板12がP方向に沿って摺動可能にマウントベース21に実装されるとき、屈曲部31の延在方向TとP方向との狭角は、通常45°である。パッケージ基板12の実装後、図3aの端子の状態を図3bに示す。異なる端子30の屈曲部31間の距離が変化すると、端子30を用いて信号を伝送する場合、信号の完全性が低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、2つの部品が互いに対して摺動するときに2つの部品の端子間の間隔が変化するという技術的問題を解決するために、電子モジュールおよび電子デバイスを提供し、その結果、端子を用いて2つの部品間でデータが高速で送信されるときに信号の完全性が良好である。
【0007】
第1の態様によれば、電子モジュールが提供される。電子モジュールは、携帯電話、コンピュータ、またはスイッチなどの電子デバイスに適用されてもよい。電子モジュールは、第1の部品と、第2の部品と、複数の端子とを備える。第1の部品および第2の部品が組み立てられると、第1の部品は、第1の予め設定された方向に沿って摺動するように第2の部品と嵌合し、第2の部品に対して第1の指定された位置でロックされ、第2の部品に面する第1の部品の表面には、複数の第1の半田パッドが設けられ、複数の端子は、複数の第1の半田パッドの少なくとも一部に1対1対応し、各端子は、本体部と、本体部に接続された第1の屈曲部とを含み、本体部は、第2の部品に固定され、第1の屈曲部は、対応する第1の半田パッドを押圧し、第1の部品が第1の予め設定された方向に沿って第2の部品に対して摺動するとき、各端子の第1の屈曲部に第1の部品によって加えられる摩擦力のトルクは、第1の屈曲部に本体部によって加えられるトルク以下である。したがって、各端子について、第1の部品は、第1の屈曲部を、対応する本体部を中心として回転駆動することが困難であり、異なる端子の第1の屈曲部間の距離が変化しにくく、各端子対の差動インピーダンスが増加しにくく、異なる端子対間のクロストークが増加しにくい。端子を用いて第1の部品と第2の部品との間で信号が送信されるとき、高速で良好なSI(信号(Signal)完全性、SI)性能も維持することができる。
【0008】
例えば、特定の実施態様では、各端子において、本体部および第1の屈曲部が両方とも銅合金およびリン青銅などの共通の材料で作られ、第1の屈曲部の延在方向が位置する直線と第1の予め設定された方向が位置する直線との間の角度が0°~15°である場合、第1の部品によって第1の屈曲部に加えられる摩擦力に対応する力の小さな腕を確保することができる。各端子の第1の屈曲部に摩擦力によって加えられるトルクは、第1の屈曲部に本体部によって加えられるトルクに打ち勝つには不十分である。
【0009】
端子が具体的に配置される場合、端子の配置は、第1の部品に加えられる力に影響を及ぼす。例えば、複数の端子がアレイ状に分布している場合、第1の予め設定された方向に沿って分布しれた端子の各行において、一部の端子の第1の屈曲部および他の端子の第1の屈曲部は、向かい合ってまたは背中合わせに配置される。このようにして、同じ行の端子によって第1の部品に加えられる摩擦力の少なくともいくつかの成分は反対である。したがって、反対方向に向いた第1の屈曲部の端子によって第1の部品に加えられる摩擦力の一部を相殺することができ、第1の部品に可能な限り均一に応力を加えることができ、各端子の第1の屈曲部と第1の部品の対応する第1の半田パッドとの間の転位を回避することができる。
【0010】
特定の実施態様では、第1の予め設定された方向に沿って分布しれた端子の各行において、第1の予め設定された方向に向いた第1の屈曲部の端子の数は、第1の予め設定された方向から離れた第1の屈曲部の端子の数に等しく、異なる方向に向いた第1の屈曲部の端子の同じ行によって第1の部品に加えられる摩擦力を完全に相殺することができることを確実にする。
【0011】
端子を用いて第1の部品と第2の部品との間で信号が送信されるときのSI性能をさらに改善するために、特定の実施態様では、第1の予め設定された方向に沿って分布しれた端子の各行において、第1の予め設定された方向に向いた第1の屈曲部の端子が連続的に配置され、第1の予め設定された方向から離れた第1の屈曲部の端子が連続的に配置され、第1の屈曲部が異なる端子に面するときに、本体部間の距離および第1の屈曲部間の距離が均一になることを確実にする。
【0012】
第1の部品は、複数の形態であってもよい。特定の実施態様では、第1の部品は、パッケージ基板およびチップを含み、パッケージ基板は、基板本体と、複数の第1の半田パッドとを含み、複数の第1の半田パッドおよびチップは、基板本体の対向する2つの面にそれぞれ配置され、チップは、複数の第1の半田パッドに電気的に接続される。また、第1の部品は、第1の半田パッドが設けられた寄生回路基板であってもよい。
【0013】
これに対応して、第2の部品は、複数の形態であってもよい。特定の実施態様では、第2の部品は、回路基板およびマウントベースを含む。回路基板は、回路基板本体と、回路基板本体に配置された複数の第2の半田パッドとを含む。複数の端子は、複数の第2の半田パッドと1対1で接続される。マウントベースは、回路基板に接続される。複数の端子の本体部は、マウントベースを貫通してマウントベースに固定される。
【0014】
第1の屈曲部は、第1の部品に面する本体部の一端に配置される。加えて、特定の実施態様では、各端子は、本体部の一端に接続され第1の屈曲部から離れている第2の屈曲部をさらに含み、各端子の第2の屈曲部は、1つの第2の半田パッドを押圧する。マウントベースは、第2の予め設定された方向に沿って摺動するように回路基板本体と嵌合し、回路基板本体に対して第2の指定された位置でロックされる。マウントベースが第2の予め設定された方向に沿って回路基板本体に対して摺動するとき、各端子の第2の屈曲部に回路基板本体によって加えられる摩擦力のトルクは、第2の屈曲部に本体部によって加えられるトルク以下であり、その結果、第2の屈曲部は、本体部に対して回転しにくく、端子を用いて信号が送信されるときのSI性能をさらに確保する。
【0015】
例えば、特定の実施態様では、各端子において、本体部および第2の屈曲部の両方が銅合金およびリン青銅などの共通の材料で作られ、各端子の第2の屈曲部の延在方向が位置する直線と第2の予め設定された方向が位置する直線との間の角度が0°~15°である場合、第2の屈曲部に回路基板本体によって加えられる摩擦力に対応する力の小さな腕を確保することができる。各端子の第2の屈曲部に摩擦力によって加えられるトルクは、第2の屈曲部に本体部によって加えられるトルクに打ち勝つには不十分である。
【0016】
各端子が均一に応力を受け、各端子が対応する第1の半田パッドおよび対応する第2の半田パッドと正確に位置合わせされることを保証するために、特定の実施態様では、各端子において、第1の屈曲部の延在方向は第2の屈曲部の延在方向と反対である。
【0017】
特定の実施態様では、回路基板は、回路基板本体に形成された複数のトレースをさらに含む。複数のトレースと端子の少なくとも一部とは1対1対応して信号接続される。複数の端子がアレイ状に分布する場合、各トレースは、2つの隣接する端子列および/または2つの隣接する端子列間の中間位置に沿って延在し、トレースの両側の端子の配列方向に平行である。これにより、トレースが片側の端子に近づきすぎることが防止され、端子の性能に影響を及ぼすことがない。
【0018】
特定の実施態様では、パッケージ基板の対向する2辺の少なくとも1つのグループにおいて、各辺の中央部が配置され、マウントベースに接続される。各端子は、対応する位置決めバンプにより近く、端子と第1の半田パッドとの間の位置合わせの累積誤差を低減する。
【0019】
第2の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、携帯電話、コンピュータ、またはスイッチであってもよい。電子デバイスは、前述の技術的解決策に記載された記憶モジュールおよび電子モジュールを含む。電子モジュール内の第1の部品は、記憶モジュールに電気的に接続される。第1の部品が第1の予め設定された方向に沿って第2の部品に対して摺動するとき、各端子の第1の屈曲部に第1の部品によって加えられる摩擦力のトルクは、第1の屈曲部に本体部によって加えられるトルク以下である。各端子について、第1の部品は、対応する本体部の周りに第1の屈曲部を回転駆動することが困難であり、異なる端子の第1の屈曲部間の距離が変化しにくい。端子を用いて第1の部品と第2の部品との間で信号が送信されるとき、高速で良好なSI(信号(Signal)完全性、SI)性能も維持することができ、電子デバイスの性能を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術における電子モジュールの概略図である。
図2図1の端子の構造の概略図である。
図3a】パッケージ基板がマウントベースに実装されていないときの図1のn1列の端子の上面拡大図である。
図3b】パッケージ基板がマウントベースに実装された後の図1のn1列の端子の上面拡大図である。
図4a】本出願の一実施形態による電子モジュールの概略図である。
図4b図4aの位置Aの部分拡大図である。
図4c図4aの位置Bの部分拡大図である。
図5図4aのパッケージ基板の底面図である。
図6図4aのマウントベースの構造の概略図である。
図7図4aの回路基板の上面図である。
図8図4aの端子の構造の概略図である。
図9図6の領域E’における端子固定キャビティに対応する複数の端子の上面拡大図である。
図10】パッケージ基板を用いて図4aの第1の部品をマウントベースに嵌合することによって形成された複合体の上面図である。
図11a】本出願の一実施形態による別の電子モジュールの部分概略図である。
図11b】本出願の一実施形態による別の電子モジュールの部分概略図である。
図12】本出願の一実施形態による別の電子モジュールの部分概略図である。
図13図4aの回路基板上の部分的な端子とトレースとの位置関係の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下でさらに、添付図面を参照して本出願を詳細に説明する。
【0022】
本出願の実施形態で提供される電子モジュールの理解を容易にするために、電子モジュールの適用シナリオを最初に説明する。電子モジュールは、携帯電話、コンピュータ、またはスイッチなどの電子デバイスに適用されてもよい。
【0023】
図1は、パッケージ基板とマウントベースとを用いて、既存の電子モジュールのチップを回路基板上に組み立てる概略図である。図1を参照されたい。既存の電子モジュールは、部品10と、部品20と、複数の端子30とを含む。部品10は、パッケージ基板12と、パッケージ基板12に実装されたチップ11とを含む。部品20は、回路基板22と、回路基板22上に配置されたマウントベース21とを含む。マウントベース21には、実装スロット(すなわち、Socket)が設けられている。図2は、図1の端子30の構造の概略図である。図2を参照されたい。各端子30は、本体部32と、本体部32の一端に接続された屈曲部31と、本体部32の他端に接続された半田ボール33とを含む。図1を参照されたい。複数の端子30は、本体部32を貫通してマウントベース21に実装される。一般に、端子30はアレイ状に分布している。各端子30では、屈曲部31がパッケージ基板12の底面の1つの半田パッド(図1には示されていないが、半田パッドの表面はXOY面と平行である)に押圧され、半田ボール33が回路基板22上の1つの半田パッド(図1には示されていないが、半田パッドの表面はXOY面と平行である)に溶接される。
【0024】
図1および図2を参照して、回路基板22の実装面S1(実装面S1はXOY面に平行である)における各端子30の屈曲部31の正射影の延在方向を、端子30の屈曲部31の延在方向(Tで表す)として定義する。部品10と部品20とが組み立てられる際には、パッケージ基板12の一端がマウントベース21に対してパッケージ基板12の摺動方向に沿って下方に傾斜し、パッケージ基板12がマウントベース21の実装スロットの壁に接触するまで、パッケージ基板12がマウントベース21に対して実装方向P(図1のX軸の正方向)に沿って摺動するように押された後、パッケージ基板12の他端がマウントベース21の実装スロット内に押し下げられる。
【0025】
図3aは、パッケージ基板12がマウントベース21に実装されていないときの、図1におけるn1列の端子30の上面図(Z軸の負方向から見た図)の拡大図である。図3aから、Y軸の負方向に沿って、n1列の複数の端子30は順次、グランド端子グランド(Ground)、信号端子信号(Signal)1P(+)、信号端子信号(Signal)1N(-)、グランド端子グランド(Ground)、信号端子信号(Signal)2P(+)、信号端子信号(Signal)2N(-)、グランド端子グランド(Ground)であることが分かる。信号端子信号(Signal)1P(+)と信号端子信号(Signal)1N(-)は、P/N端子対を構成する。信号端子信号(Signal)2P(+)と信号端子信号(Signal)2N(-)は、P/N端子対を構成する。自然状態では、n1列の端子30の屈曲部31の延在方向は互いに平行であり、全てT方向に位置している。これにより、n1列の端子30のうち、隣り合う2つの端子30の屈曲部31間の距離を適度に確保することができる。また、図1を参照して、パッケージ基板12をマウントベース21に実装する際には、パッケージ基板12がマウントベース21に対して実装方向Pに沿って摺動するように押される。各端子30の屈曲部31は、実装方向Pに沿ってパッケージ基板12によって加えられる摩擦力を受ける。従来技術では、各端子30の屈曲部31の延在方向Tと実装方向Pとの間に角度(例えば、角度は45°である)が存在するため、屈曲部31はバランスを失いやすく、半田パッドの摩擦力の作用によって回転(回転軸はZ軸と平行である)しやすい。そして、各端子30の屈曲部31は、パッケージ基板12上の半田パッドの摩擦力の作用下で、異なる方向に異なる程度にずれる。
【0026】
図3bは、パッケージ基板12が実装方向Pに沿ってマウントベース21に対して指定された位置まで摺動して実装スロットに実装された後のn1列の端子の上面拡大図である。図3bを参照されたい。図1のn1列の複数の端子30において、信号端子信号(Signal)1P(+)の屈曲部31が信号端子信号(Signal)1N(-)の屈曲部31から遠く離れていると、信号端子信号(Signal)1P(+)と信号端子信号(Signal)1N(-)の端子対の差動インピーダンスが大きくなる。信号端子信号(Signal)2P(+)の屈曲部31が信号端子信号(Signal)1N(-)の屈曲部31に近いと、異なるP/N端子対間のクロストークが大きくなる。上記2つの要因により、端子30を用いてチップ11と回路基板22との間でデータが送信される場合、信号が歪みやすい。特に、データが高速で送信される場合、信号は著しく歪み、すなわち信号完全性(Signal Integrity、SI)性能が低下し、データは25Gbps未満の速度でしか送信できない。
【0027】
前述の技術的問題を解決するために、本出願の一実施形態は電子モジュールを提供する。
【0028】
例えば、図4aは、本出願の実施形態で提供される電子モジュール内の第1の部品を第2の部品上に組み立てる概略図である。図4aを参照されたい。本出願のこの実施形態で提供される電子モジュールは、第1の部品100と、第2の部品200と、複数の端子300とを含む。第1の部品100は、チップ110とパッケージ基板120とを含む。チップ110は、パッケージ基板120のZ軸の正方向側に位置している。チップ110は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、キャッシュなどであってもよい。第2の部品200は、マウントベース210と、回路基板220とを含む。マウントベース210は、回路基板220のZ軸の正方向側に配置され、パッケージ基板120は、マウントベース210の回路基板220から遠い側に実装される。各端子300は、マウントベース210を貫通し、パッケージ基板120と回路基板220との間の信号接続を実現する。
【0029】
例えば、図5は、図4aのパッケージ基板120の底面図(Z軸の方向から観察した図)である。図5を参照されたい。パッケージ基板120は、基板本体121と、基板本体121の底面(Z軸の負方向の面、例えば、この面はXOY面に平行である)に分布する複数の第1の半田パッド122とを有する。例えば、複数の第1の半田パッド122は、4つのグループに分けられ、第1の半田パッド122の4つのグループは、基板本体121の底面の角部の領域E1、領域F1、領域G1、および領域H1に1対1で分布している。第1の半田パッド122の各グループは、アレイ状に分布している。行方向がX軸の方向として定義され、列方向がY軸の方向として定義される。領域E1の第1の半田パッド122の各行は、領域F1の第1の半田パッド122の1つの行と整列し、領域G1の第1の半田パッド122の各行は、領域H1の第1の半田パッド122の1つの行と整列し、領域E1の第1の半田パッド122の各列は、領域G1の第1の半田パッド122の1つの列と整列し、領域F1の第1の半田パッド122の各列は、領域H1の第1の半田パッド122の1つの列と整列している。しかしながら、第1の半田パッド122の各グループの上記の分布方法は単なる例であり、第1の半田パッド122の各グループは別の方法で分布してもよい。例えば、全ての第1の半田パッド122は連続して配置され、全体としてアレイ状に分布する。チップ110は、基板本体121の上面(Z軸の正方向側の面)に実装されている。また、チップ110が基板本体121上の一部のコンタクトにピンなどを用いて接続されることで、チップ110は基板本体121の他方側の複数の第1の半田パッド122に電気的に接続されてもよい。チップ110と第1の半田パッド122との間の電気的接続は、従来技術で知られている一般的な接続方法であってもよい。ここでは詳細は説明されない。基板本体121のX軸に平行な対向する2辺の中央には、基板本体121の内側に凹む位置決め凹部(123a、123b)が設けられている。
【0030】
例えば、図6は、図4aのマウントベース210の構造の概略図である。図6を参照されたい。マウントベース210は、板状のベース本体211と、ベース本体211の角の縁に位置するストッパバッフルプレート(213e、213f、213g、および213h)と、X軸に平行な対向する2辺の中央に位置する位置決めバンプ(214aおよび214b)と、X軸に平行な対向する2辺に沿って別々に延在する補強構造体(215aおよび215b)とを含む。補強構造体(215aおよび215b)は、位置決めバンプ(214aおよび214b)の構造強度を高めることができるとともに、基板本体121を予備的に停止させることができる。例えば、ベース本体211の厚み方向の対向する2つの面は、いずれもXOY面と平行である。ベース本体211の四隅に近い位置には、領域E2、領域F2、領域G2、領域H2がそれぞれ設けられている。端子固定キャビティ212のグループが、4つの領域の各々にアレイ状に分布している。
【0031】
例えば、図7は、図4aの回路基板220の上面図である。図7を参照されたい。回路基板220は、回路基板本体221と、回路基板本体221の実装面S2(例えば、実装面S2はXOY面と平行である)に分布する複数の第2の半田パッド222とを含む。回路基板本体221は、領域E3、領域F3、領域G3、および領域H3の4つの領域を有する。複数の第2の半田パッド222は、4つのグループに分けられ、各グループの第2の半田パッド222は、4つの領域のうちの1つの領域にアレイ状に分布している。特定の実施態様では、第2の半田パッド222は、NSMD(非半田マスク画定パッド)を使用する。NSMDは、SMD(半田マスク画定パッド)と比較して、第2の半田パッド222の位置精度をより向上させることができ、端子300を第2の半田パッド222に半田付けする際の難易度を低減することができる。
【0032】
例えば、図8は、図4aの端子300の構造の概略図である。例えば、端子300は、金属部材310と、半田ボール320とを含む。金属部材310は、第1の屈曲部312と、細片状(一例に過ぎない)の本体部311とを有する。第1の屈曲部312は、本体部311の一端(例えば、一体化された接続部)に接続され、半田ボール320は、本体部311の他端に接続されている。
【0033】
図4bは、図4aの位置Aの部分拡大図である。図4a図4b図6、および図8を参照すると、例えば、第1の部品100および第2の部品200が組み立てられると、実際の要件に従って、端子固定キャビティ212の一部または全ての各端子固定キャビティ212内に1つの金属部材310が配置される。金属部材310の本体部311は、対応する端子固定キャビティ212を貫通し、次いでベース本体211に固定される。第1の屈曲部312をベース本体211の上面(ベース本体211のZ軸の正方向側の面。この上面は、第2の部品200の実装面S3とも称される。第1の部品100が第2の部品200に実装された状態では、実装面S3は第1の部品100とは反対側に位置する)の一方側に露出させた後、ベース本体211に固定された複数の金属部材310にボールが取り付けられることにより、第1の屈曲部312から離れた本体部311の一端に半田ボール320を形成する。図7を参照して、マウントベース210は、領域E2が領域E3に対向し、領域F2が領域F3に対向し、領域G2が領域G3に対向し、領域H2が領域H3に対向するように、回路基板220の上面(Z軸の正方向側の面)に配置される。以下では、領域E2および領域E3を例にとる。領域E2の複数の端子固定キャビティ212は、領域E3の複数の第2の半田パッド222に1対1対応しており、各端子300の半田ボール320は、領域E3の対応する第2の半田パッド222に接触し(図4b)、その後、熱処理により半田ボール320が対応する第2の半田パッド222に固定される。他の領域に端子300を配置する方法については、領域E2に端子300を配置する方法を参照されたい。第2の部品200の実装面S3における各端子300の第1の屈曲部312の正射影の延在方向が、端子300の第1の屈曲部312の延在方向(Rで表す)として定義される。各端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが位置する直線は、第1の予め設定された方向Q(例えば、第1の予め設定された方向QはX軸の負方向である)が位置する直線と平行であり、すなわち、延在方向Rは、第1の予め設定された方向Qと同一または反対である。図9は、図6の領域E’における端子固定キャビティ212に対応する複数の端子300の上面拡大図である。図9では、各端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが第1の予め設定された方向Qと反対方向である例を用いている。そして、チップ110付きのパッケージ基板120がマウントベース210に実装される。まず、基板本体121の一端が、ストッパバッフルプレート(213e、213f、213g、および213h)によって形成された溝状の空間に入れられ、基板本体121の端部がストッパバッフルプレート213gおよび213fに接触するまで基板本体121を第1の予め設定された方向Qに沿って押し込まれた後、基板本体121の底面がベース本体211の上面と平行になるまで基板本体121を下降させる。この場合、基板本体121の四隅がストッパバッフルプレート(213e、213f、213g、および213h)に1対1に当接して停止する(図10参照)。位置決めバンプ214aが位置決め凹部123aに嵌合し、位置決めバンプ214bが位置決め凹部123bに嵌合することにより、基板本体121とマウントベース210との位置決めおよび接続が実現される。位置決めバンプ(214aおよび214b)がベース本体211の対応する辺の中央に配置されているため、対応する辺の縁部と比較して、端子固定キャビティ212の各グループは、対応する位置決めバンプ(214aおよび214b)により近い。これにより、端子300と第1の半田パッド122との位置合わせ誤差の累積が低減され、各端子300の第1の屈曲部312と対応する第1の半田パッド122との位置合わせが精度良く行われる(図10参照)。例えば、位置決めバンプ(214aおよび214b)の断面は半円状である。マウントベース210が具体的に製造される場合、各バンプ(214aおよび214b)の断面の円中心に基づいて、各端子固定キャビティ212の正確な位置が決定されることができる。これにより、端子固定キャビティ212の位置の精度が向上する。また、パッケージ基板120とマウントベース210とが逆向きに実装されることを回避するために、位置決めバンプ(214aおよび214b)の外径が小さい値と大きい値とに設定され、位置決めバンプがベース本体211の対向する辺の2つのグループの中央に配置されてもよい。基板本体121の位置決め凹部も同様に配置される。この場合、第1の部品100の位置は第1の指定された位置と称され、ストッパバッフルプレート(213e、213f、213g、および213h)および位置決めバンプ(214aおよび214b)によって第1の指定された位置でロックされる。領域E1は領域E2に対向し、領域F1は領域F2に対向し、領域G1は領域G2に対向し、領域H1は領域H2に対向する。以下では、領域E1および領域E2を例にとる。領域E2の複数の端子固定キャビティ212は、領域E3の複数の第1の半田パッド122に1対1対応しており、各端子300の半田ボール320は、領域E2の対応する第1の半田パッド122に接触し(図4b)、互いに対向する1対の第1の半田パッド122および第2の半田パッド222は、各端子300を介して電気的に接続されている。場合によっては、第1の半田パッド122と第2の半田パッド222と端子固定キャビティ212とは1対1対応する。すなわち、図4aに示す形態で第1のモジュール100および第2のモジュールが組み立てられた後、各端子固定キャビティ212内の端子300は、第1の半田パッド122および第2の半田パッド222にそれぞれ1対1で接続される。
【0034】
以上のプロセスにおいて、基板本体121が第1の予め設定された方向Qに沿って押し込まれると、基板本体121は、ベース本体211の上面の一方側に露出した第1の屈曲部312に直接接触しているため、基板本体121が第1の予め設定された方向Qに沿って移動するプロセスで、基板本体121は、基板本体121に接触している第1の屈曲部312に対して第1の予め設定された方向Qに沿って摩擦力を加える。各端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rは、第1の予め設定された方向Qと同一または反対であるため、各端子300の第1の屈曲部312に基板本体121によって加えられる摩擦力の力の腕は0であり、第1の屈曲部312に加えられるトルクは0である。このため、第1の屈曲部312は、本体部311を中心として回転しにくく、異なる端子300の第1の屈曲部312間の距離が変化しにくい。図9は、依然として一例として使用される。図9を参照すると、Pと記された端子300はP信号端子であり、Nと記された端子300はN信号端子であり、Gと記された端子はグランド端子である。図9から、P/N端子対におけるP信号端子とN信号端子との間隔が変化しにくいため、P信号端子とN信号端子とで形成される端子対のインピーダンスが変化しにくいことが分かる。また、異なるP/N端子対における信号端子(P信号端子およびN信号端子)間の間隔も変化しにくいため、異なるP/N端子対間のクロストークが低減されることが分かる。加えて、図9は依然として一例として使用される。P/N端子対において、P信号端子とN信号端子との配列方向に沿って、P信号端子と隣接するグランド端子との間の距離D1は、P信号端子と隣接するグランド端子との間の距離D2と等しいか、それに近い。図9は、等間隔に配置された4本の行基準線(L1、L2、L3、L4)を示している。対応する行基準線(例えば、L3)に対して、各端子300(例えば、P信号端子)の中心線のオフセットd1はd2以下であり、d2は、P信号端子およびN信号端子にそれぞれ対応する第1の半田パッド122の中心線間の距離、P信号端子および隣接するグランド端子にそれぞれ対応する第1の半田パッド122の中心線間の距離、ならびにN信号端子および隣接するグランド端子にそれぞれ対応する第1の半田パッド122の中心線間の距離の最小値の0.2倍である。端子300を用いて第1の部品100と回路基板220との間で高速にデータが送信されても、信号が歪みにくいため、電子モジュールのSI性能が向上する。
【0035】
なお、これは、端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが位置する直線と、第1の予め設定された方向Qが位置する直線とが平行である例に過ぎないことが留意されるべきである。同じ端子300の第1の屈曲部312は、以下の条件、すなわち、基板本体121から第1の屈曲部312に加えられる摩擦力によって生成されるトルクによって、本体部311に第1の屈曲部312によって加えられるトルクが、本体部311の材料の応力(本体部311は弾性的である)のために本体部311によって生成されるトルク以下であり、本体部311が本体部311の軸の周りに捻れて変形しにくいという条件が満たされれば、対応する本体部311の周りに回転しにくい。言い換えると、第1の屈曲部312に基板本体121によって加えられる摩擦力によって生成されるトルクは、第1の屈曲部312に本体部311によって加えられるトルク以下である。このため、第1の屈曲部312は、第1の本体部311の軸回りに回転しにくい。
【0036】
例えば、金属部材310が銅合金またはリン青銅などの一般的な材料からなる場合である。各端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが位置する直線と第1の予め設定された方向Qが位置する直線との角度は、0°~15°である。例えば、角度は、0°、2°、5°、7°、8°、10°、11°、13°、または15°であってもよい。この場合、第1の屈曲部312に基板本体121によって加えられる摩擦力に対応する力の腕が小さいため、第1の屈曲部312に基板本体121によって加えられる摩擦力によって生成されるトルクが小さい。そのため、本体部311に第1の屈曲部312によって加えられるトルクは、本体部311の材料の応力によって生成されるトルクに打ち勝つには不十分であり、第1の屈曲部312は、本体部311の周りに回転しにくい。
【0037】
図4cは、図4aの位置Bの部分拡大図である。図4a図4b図4c、および図6を参照すると、図4bの3つの端子300は、図6の領域H2におけるY軸の正方向の第1行の3つの端子固定キャビティ212に1対1対応する。図4cの3つの端子300は、図6の領域G2におけるY軸の正方向の第1行の3つの端子固定キャビティ212に1対1対応する。図4bの3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rは、図4cの3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rと一致している。他の行の端子300もまた、図4bおよび図4cの端子300の形態に従って配置されてもよい。
【0038】
前述の形態と比較して、図11aは、図4aに示す電子モジュールの変形例を示す。図11a図4aとの相違点は、位置A’(図4aの位置Aに対応)の3つの端子300の第1の屈曲部312と、位置B’(図4aの位置Bに対応)の3つの端子300の第1の屈曲部312とが対向して配置されていることである。例えば、位置A’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rと、位置B’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rとは、同一直線上に位置し、かつ、互いに反対方向である。マウントベース210にパッケージ基板120が実装される際、各端子300の金属部材310は、第1の半田パッド122によって圧縮変形される。具体的には、端子300毎に、第1の屈曲部312が第1の屈曲部312の延在方向Rに沿って摺動し、本体部311が第1の屈曲部312の延在方向Rとは反対の方向に沿ってアーチ状となっている。本体部311および第1の屈曲部312の材料の弾性により、第1の屈曲部312は、第1の屈曲部312の延在方向Rとは反対の摩擦力を対応する第1の半田パッド122に加える。位置A’の3つの端子300と位置B’の3つの端子300とが同一行に位置しているので、2つの位置A’、B’の端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが逆向きとなり、2つの位置A’、B’の端子300の第1の屈曲部312がそれぞれ対応する第1の半田パッド122と反対の摩擦力を加えるので、2つの位置A’、B’の端子300によってパッケージ基板210全体に加えられる摩擦力を相殺することができる。これにより、パッケージ基板210が均一に応力を受けることが保証される。各第1の半田パッド122は、対応する端子300と置き間違えられにくく、端子300の他の行も、位置A’およびB’における端子300の形態に従って配置されてもよい。
【0039】
図11bは、図4aに示す電子モジュールの別の変形例を示す。図11b図11aとの相違点は、位置A’’(図4aの位置Aに対応)における3つの端子300の第1の屈曲部312と、位置B’’(図4aの位置Bに対応)における3つの端子300の第1の屈曲部312とが背中合わせに配置されていることである。例えば、位置A’’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rと、位置B’’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rとは、同一直線上に位置しており、かつ、互いに逆向きである。したがって、図11aの電子モジュールと同様に、位置A’’およびB’’の端子300によってパッケージ基板210全体に加えられる摩擦力を相殺することができ、パッケージ基板210が均一に応力を受けることが保証される。
【0040】
なお、図11aでは、位置A’における3つの端子300の第1の屈曲部312と、位置B’における3つの端子300の第1の屈曲部312とが対向して配置されている。あるいは、位置A’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが位置する直線と第1の予め設定された方向Pが位置する直線との間の角度、および、位置B’における3つの端子300の第1の屈曲部312の延在方向Rが位置する直線と第1の予め設定された方向Pが位置する直線との間の角度が形成されてもよい(例えば、角度は、5°、10°、15°のいずれかであってもよい)。これにより、パッケージ基板210に位置A’の端子300の第1の屈曲部312によって加えられる摩擦力の成分と、パッケージ基板210に位置B’の端子300の第1の屈曲部312によって加えられる摩擦力の成分とが、X軸の方向において逆向きとなり、少なくとも一部の成分を相殺することができる。これにより、パッケージ基板210が均一に応力を受けることが保証される。図11bの端子300の各行も同様に配置されてもよい。
【0041】
図11aの位置A’およびB’、または図11bの位置A’’およびB’’にかかわらず、端子300の同じ行および端子300の各行において、第1の予め設定された方向Qに向いた第1の屈曲部312の端子300の数が、第1の予め設定された方向Qから離れた第1の屈曲部312の端子300の数に等しい場合、パッケージ基板210に同じ行の端子によって加えられる摩擦力を十分に相殺することができ、または完全に相殺することさえできる。また、第1の予め設定された方向Qに向いた第1の屈曲部312の端子300が連続して配置され(例えば、図11aの位置B’の端子300および図11bの位置A’の端子300)、第1の予め設定された方向Qから離れた第1の屈曲部312の端子300も連続して配置されている(例えば、図11aの位置A’の端子300および図11bの位置B’の端子300)。これは配置方法の一例に過ぎない。端子300の同じ行に対して、第1の半田パッド122が均一な間隔で配置されていると、第1の屈曲部312の延在方向Rが同一である端子300の本体部311間の隙間、および、第1の屈曲部312間の隙間が均一になり、同一のP/N端子対のインピーダンスの上昇や、異なるP/N端子対同士のクロストークを回避することができ、電子モジュールのSI性能をより向上させることができる。しかしながら、互いに異なる方向を向いた第1の屈曲部312の端子300が間隔を空けて配置されている場合には、パッケージ基板210にある程度均一な応力が作用し得ることは言うまでもない。
【0042】
図12は、図4aに示す電子モジュールの別の変形例を示す。位置A’’’は、図4aの位置Aに対応する。図12の電子モジュールと図4aの電子モジュールとの相違点は、各端子300における半田ボール320が第2の屈曲部313に置き換えられており、各端子300に含まれる第1の屈曲部312、第2の屈曲部313、および本体部311が一体の金属部材であってもよいことである。第2の部品200の実装面S3における端子300の第2の屈曲部313の正射影の延在方向は、第1の屈曲部312と同様に、端子300の第2の屈曲部313の延在方向(Vで表す)として定義される。マウントベース210を回路基板220に組み付ける際には、一般的に、回路基板本体221に対してベース本体211を第2の予め設定された方向Wに沿って一定距離だけ摺動させるように押し込む必要がある(例えば、第2の予め設定された方向Wに沿って延びるストッパ壁が回路基板本体221に配置され、ストッパ壁に沿ってベース本体211を摺動させる。ベース本体211と回路基板本体221とを摺動可能に嵌合させる構造は、当分野で公知の一般的な従来技術であってよく、詳細はここでは説明しない)、その後、ベース本体211は、回路基板本体221に対して第2の指定された位置でロックされる(クランプされてもよい)。例えば、各第2の屈曲部313の延在方向Vが位置する直線は、第2の予め設定された方向Wが位置する直線と平行であり、すなわち、第2の屈曲部313の延在方向Vは、第2の予め設定された方向Wと同じまたは反対である。この場合、回路基板本体221に対してベース本体211が第2の予め設定された方向Wに沿って移動するように押されたときに、第2の屈曲部313に回路基板本体221によって加えられる摩擦力の力の腕はゼロである。そのため、摩擦力のトルクは、第2の屈曲部313を本体部311に対して相対回転駆動させるには不十分である。結論として、端子300が良好な剛性を有する材料で作られている場合、または端子300の第2の屈曲部313の延在方向Vが特定の要件を満たす場合、第2の屈曲部313に基板本体121によって加えられる摩擦力によって生成されるトルクは、第2の屈曲部313に本体部311によって加えられるトルク以下であり、第2の屈曲部313は、本体部311に対して回転しにくい。例えば、端子300が銅合金またはリン青銅などの一般的な材料で作られている場合、各端子300の第2の屈曲部313の延在方向Vが位置する直線と第2の予め設定された方向Wが位置する直線との角度は、0°~15°である。例えば、角度は、0°、2°、5°、7°、8°、10°、11°、13°、または15°であってもよい。この場合、第2の屈曲部313が本体部311に対して相対回転しにくくなるため、電子モジュールのSI性能が向上する。
【0043】
特定の実施形態では、各端子300における第1の屈曲部312の延在方向Rは、第2の屈曲部313の延在方向Vと反対であってもよい。例えば、第1の予め設定された方向Qと第2の予め設定された方向Pとが反対である場合、第1の屈曲部312の押出変形方向は第2の屈曲部313の押出変形方向とは反対となり、第1の屈曲部312および第2の屈曲部313に加えられる摩擦力の方向が互いに反対となる。これにより、端子300が均一に応力を受けることが保証される。
【0044】
図13は、本出願の実施形態で提供される電子モジュール内の端子300の配置と回路基板220上のトレース(例えば、223aおよび223b)との間の位置関係の図である。図13を参照されたい。複数の端子300は、回路基板220の表面にアレイ状に分布している。以下では、トレース223aを例として使用する。1対のP信号端子およびN信号端子は、それぞれ回路基板本体221のトレース223aに電気的に接続されている。トレース223aは、まずX軸の正方向に沿って延在し、X軸の方向に沿って延在する間、トレース223aは、両側の端子の配列方向(例えば、図13の第1列第3行のP信号端子と、P信号端子のX軸の正方向に位置するグランド端子との配列方向)に平行である。そして、トレース223aは、Y軸の正方向に沿って延在し、Y軸に沿って延在する間、トレース223aは、両側の端子の配列方向(例えば、図13の第2列第3行および第4行における2つのグランド端子の配置方向)に平行であり、2つのトレース223aは、全体として、2つのトレース223aの両側の端子の中央に沿って延在してもよい。これにより、トレース223aが片側の端子300に近づきすぎることが防止され、その結果、端子300の性能が影響を受けず、電子モジュールのSI性能が向上する。トレースはまた、一方向のみ、例えばトレース223bに広げられてもよい。
【0045】
なお、上述した第1の部品100は、チップ110とパッケージ基板120との組合せに限定されない。例えば、第1の部品の形態は、端子300を用いて第2の部品200の回路基板220に寄生回路基板が嵌合する形態であってもよい。また、第2の部品200は、回路基板220とマウントベース210との組合せに限らず、信号を伝達するように構成された(第2の半田パッド222と同様の)半田パッドの他の構造であってもよい。
【0046】
同じ発明的思想に基づいて、本出願の実施形態は、電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、コンピュータ、携帯電話、サーバなどであってもよい。電子デバイスは、前述の実施形態で提供された記憶モジュールおよび電子モジュールを含む。記憶モジュールは、電子モジュール内の第1の部品に電気的に接続される(「電気的接続」は、直接接続であっても間接接続であってもよい)。例えば、図4a図13を参照すると、電子モジュールは、第1の部品100が第2の部品200に対して第1の予め設定された方向Qに沿って摺動するときに、各端子300の第1の屈曲部312に第1の部品100によって加えられる摩擦力のトルクが、第1の屈曲部312に本体部311によって加えられるトルク以下であり、第1の屈曲部312が対応する本体部311に対して回転しにくいように配置されている。これにより、電子モジュールのSI性能および電子デバイスの性能が向上する。また、チップ110がCPUである場合、CPUは、記憶モジュールと電気的に接続され、記憶モジュール内のデータを読み出してもよいし、記憶モジュールにデータを書き込んでもよい。
【0047】
前述の説明は、本出願の特定の実施態様にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本出願に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に考え出されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内に入るものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0048】
10 部品
11 チップ
12 パッケージ基板
20 部品
21 マウントベース
22 回路基板
30 端子
31 屈曲部
32 本体部
33 半田ボール
100 第1の部品、第1のモジュール
110 チップ
120 パッケージ基板
121 基板本体
122 第1の半田パッド
123a 位置決め凹部
123b 位置決め凹部
200 第2の部品
210 マウントベース、パッケージ基板
211 ベース本体
212 端子固定キャビティ
213e ストッパバッフルプレート
213f ストッパバッフルプレート
213g ストッパバッフルプレート
213h ストッパバッフルプレート
214a 位置決めバンプ
214b 位置決めバンプ
215a 補強構造体
215b 補強構造体
220 回路基板
221 回路基板本体
222 第2の半田パッド
223a トレース
223b トレース
300 端子
310 金属部材
311 本体部
312 第1の屈曲部
313 第2の屈曲部
320 半田ボール
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13