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特許7387014フェノチアジン誘導体およびアクリルゴム組成物
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  • 特許-フェノチアジン誘導体およびアクリルゴム組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】フェノチアジン誘導体およびアクリルゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 279/34 20060101AFI20231117BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20231117BHJP
   C08K 5/378 20060101ALI20231117BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C07D279/34 CSP
C08L33/08
C08K5/378
C08K5/17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022546903
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2021023915
(87)【国際公開番号】W WO2022049872
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2020148107
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502145313
【氏名又は名称】ユニマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114351
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-521947(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159459(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170043(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170042(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/141785(WO,A1)
【文献】特開2015-137323(JP,A)
【文献】特開2015-137322(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098911(WO,A1)
【文献】特開2014-167048(JP,A)
【文献】特開2013-028754(JP,A)
【文献】特開2012-211239(JP,A)
【文献】特開2012-180390(JP,A)
【文献】国際公開第2011/093443(WO,A1)
【文献】特開2010-174217(JP,A)
【文献】特開2015-227402(JP,A)
【文献】KIM D. Theriault, et al.,Optical and Electrochemical Properties of Ethynylaniline Derivatives of Phenothiazine, Phenothiazine,Physical Chemistry Chemical Physics,2014年,Vol.16(24),p. 12266-12274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 279/
C08L 33/08
C08K 5/378
C08K 5/17
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
(ここで、R1は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数7~20のアラルキル基であり、R2・Arはα,α-ジメチルベンジル基である)で表されるフェノチアジン誘導体。
【請求項2】
カルボキシル基含有アクリルゴムの配合剤として用いられる請求項1記載のフェノチアジン誘導体。
【請求項3】
カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、
(A) 一般式
(ここで、R1は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数7~20の
アラルキル基であり、R2・Arはアラルキル基であり、そのR2は炭素数1~10
の二価の脂肪族炭化水素基であり、Arは炭素数6~10の一価の芳香族炭化水
素基である)で表されるフェノチアジン誘導体 0.1~5重量部
(B) カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋剤 0.1~3重量部
(C) カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋促進剤 0.1~5重量部
を含有してなるカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【請求項4】
カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋剤が多価アミン化合物またはその誘導体である請求項記載のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【請求項5】
多価アミン化合物またはその誘導体がヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4′-ジアミノジフェニルエーテルまたは2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンである請求項記載のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【請求項6】
カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋促進剤がグアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩、または脂肪族3級モノアミン化合物である請求項記載のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【請求項7】
グアニジン化合物が1,3-ジフェニルグアニジンまたは1,3-ジ-o-トリルグアニジンである請求項記載のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【請求項8】
ジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩が1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンまたはその有機酸塩である請求項記載のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノチアジン誘導体およびそれを含有するカルボキシル基含有アクリルゴム組成物に関する。さらに詳しくは、アクリルゴムの耐熱性を向上させることのできるフェノチアジン誘導体およびそれを含有するカルボキシル基含有アクリルゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策としてCO2排出量規制に代表される環境規制が一層厳しくなる傾向にある。その対応策として、自動車エンジンには高出力化、高熱効率化、排出ガスの低減および無害化が要求され、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。それに伴い、その周辺で使用されるゴム材料にはさらなる耐熱性の向上が求められている。
【0003】
具体例として、エンジンの燃費改善を目的としたターボチャージャシステムを搭載した車両の普及が進んでいる。このターボチャージャからインタークーラやエンジンに導かれる空気は高温高圧であることから、これを輸送するゴム製ホース材料には高い耐熱性が求められている。
【0004】
このように、自動車のエンジンに使用されるゴム材料の使用環境の高温化や長寿命化の要求に伴い、適切な老化防止剤をゴム製品部材に添加して耐熱性を向上させることが一般的に行われている。
【0005】
アクリルゴムの場合にあっても、寿命延長の目的から、老化防止剤としてフェノール系老化防止剤やアミン系老化防止剤が用いられている。アミン系老化防止剤としてジフェニルアミン系老化防止剤があり、その代表例として4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが挙げられる(特許文献1~4)。
【0006】
また、近年ではゴム材料の老化防止剤としてフェノチアジン系老化防止剤が有効であることが、多数の特許文献に記載されている。
【0007】
特許文献5には、加硫特性、機械的特性および熱老化特性にすぐれ、防振ゴム用途に特に好適なゴム材料として、(A)ジエン系ゴム、(B)ビスマレイミド化合物および(C)下記フェノチアジン化合物を含有するものが記載されている。
R1、R2:水素原子、芳香族環で置換されてもよい
C1~C8のアルキル基、アルコキシ基、
ハロゲン原子、シアノ基
R3:水素原子、C1~C6の鎖状または環状のアル
キル基、ビニル基、芳香族基
m、n:0~2
しかしながら、上記化合物においてR3が水素原子以外については、具体例によりその効果が実証されていない。また、R1およびR2がアラルキル基については言及されていない。さらに、5位の硫黄原子の酸化状態がスルホキシドまたはスルホン基である場合についても言及されてはいない。
【0008】
さらに、この5位の硫黄原子が-SO2-のフェノチアジン化合物も知られており、例えば特許文献6に記載されている。この文献には、下記一般式で示される縮合複素環化合物およびそれを含有する有機材料組成物が記載されており、酸化的、熱的あるいは光誘発性崩壊を受け易いポリマー等の有機材料に対し、高い加工安定性、耐熱性、長寿命を付与することが可能であると述べられている。
Y:化学的な単結合、-S(=O)-、-SO2-
Ra、Rb:置換基を有してもよいC1~C30有機基
Za、Zb:化学的な単結合、-SO2-
X1、X2:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ
基、ニトロ基、-OR1、-O-CO-R1、-CO-OR1
-O-CO-OR1、-NR2R3、-NR2-CO-R1、-CO-NR2R3
-O-CO-NR2R3
n、m:0~2、ただしいずれか一方は0ではない
しかしながら、10位のアミノ基上の水素原子が炭化水素基で置換された例について具体的な記載はない。さらに、例えば上記一般式の具体例として下記に示される化合物(以下CD-SO2と略称する)が挙げられるが、当該化合物はアクリル系エラストマーに対する相溶性が悪いため、オープンロール等により架橋性組成物を形成する際に分散不良を起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平11-21411号公報
【文献】WO 2011/58918 A1
【文献】特開2010-254579号公報
【文献】WO 2006/001299 A1
【文献】特開2015-227402号公報
【文献】WO 2011/093443 A1
【文献】WO 2009/096545 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
CD-SO2に代表されるフェノチアジン化合物は、アクリルゴム材料の耐熱性を向上させることができるもののアクリルゴムに対する分散性に課題があり、その向上が望まれている。本発明の目的は、アクリルゴムの耐熱性を向上せしめることを可能にするとともに、アクリルゴムに対する分散性にも優れた、新規な老化防止作用を有する化合物およびそれを含有するアクリルゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる本発明の第1の目的は、一般式
(ここで、R1は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数7~20のアラルキル基であり、R2・Arはα,α-ジメチルベンジル基である)で表されるフェノチアジン誘導体によって達成される。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、
(A) 一般式
(ここで、R 1 は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数7~20の
アラルキル基であり、R 2 ・Arはアラルキル基であり、そのR 2 は炭素数1~10
の二価の脂肪族炭化水素基であり、Arは炭素数6~10の一価の芳香族炭化水
素基である)で表されるフェノチアジン誘導体 0.1~5重量部
(B) カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋剤 0.1~3重量部
(C) カルボキシル基含有アクリルゴム用架橋促進剤 0.1~5重量部
を含有してなるカルボキシル基含有アクリルゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、カルボキシル基含有アクリルゴムの耐熱性を向上せしめるとともに、アクリルゴムに対する分散性に優れたフェノチアジン誘導体およびそれを含有するカルボキシル基含有アクリルゴムが提供される。また、従来のジフェニルアミン系老化防止剤と比較して、高温環境下においてアクリルゴム架橋物の破断時伸びの低下をも抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アクリルゴム架橋物の破断強度変化率を、図式化(実線:実施例3、破線:実施例4、一点鎖線:比較例1、点線:比較例2)したものである。
図2】アクリルゴム架橋物の破断時伸び変化率を、図式化(実線:実施例3、破線:実施例4、一点鎖線:比較例1、点線:比較例2)したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般式〔I〕で表されるフェノチアジン誘導体において、R1は炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数7~20のアラルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-ウンデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘプタデシル基等の1級炭化水素基、イソプロピル基、2-ブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基等の2級炭化水素基、第3ブチル基、1,1-ジメチル-1-プロピル基、1,1-ジメチル-1-ブチル基、1,1-ジメチル-1-ペンチル基、1,1-ジメチル-1-ヘキシル基、3-メチル-3-ペンチル基、3-エチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ヘキシル基等の3級炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1-メチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基等の脂環状炭化水素基、1-アダマンチル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基等が挙げられる。
【0016】
一般式〔I〕のR2・Arで表されるアラルキル基において、そのR2としては炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基であり、具体例としてメチレン基、エチリデン基、1-プロピリデン基、2-プロピリデン基、1-ブチリデン基が挙げられる。Arは炭素数1~10の一価の芳香族炭化水素基であり、具体例としてフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R2・Ar としては、α,α-ジメチルベンジル基が好ましい。
【0017】
かかる化合物、特にアラルキル基がα,α-ジメチルベンジル基である化合物は、特許文献6記載の方法によって、下記化合物(以下CD-Sと略称する)
を製造した後、10位のNH基をN-アルキル化した後、5位の硫黄原子を過酸化水素/酢酸等の酸化剤により酸化することにより容易に製造することができる(A法)。また、N-アルキル化反応と酸化反応とを逆の順序の方法(B法)とすることもできる。
【0018】
A法について具体的に説明する。
アルキル化剤としては、R1-X(Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である)で表されるアルキル化剤を用いることができる。その使用量は、化合物CD-S 1モルに対して約1~2モルの範囲である。
【0019】
反応に際しては、水素化ナトリウム、カリウム第3ブトキシド等の塩基をCD-Sに反応させた後、アルキル化剤を反応させることが好ましい。上記塩基の使用量は、化合物CD-S 1モルに対して約1~2モルの範囲である。
【0020】
反応溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。
【0021】
CD-Sと塩基の反応は約0~10℃で、アルキル化剤との反応は0~100℃行われる。
【0022】
酸化反応に用いられる酸化剤としては、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、酢酸/過酸化水素が用いられる。酸化剤の使用量は、アルキル化されたCD-S 1モルに対して、約2~10モルの割合で用いられる。
【0023】
反応溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼン等の含塩素炭化水素系溶媒、酢酸等が用いられる。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0024】
反応は、約50~150℃、好ましくは約80~120℃の範囲で行われる。
【0025】
次に、本発明のフェノチアジン誘導体化合物〔I〕を含有するアクリルゴム組成物について説明する。
【0026】
カルボキシル基含有アクリルゴム組成物は、カルボキシル基含有アクリルゴムに、このフェノチアジン誘導体〔I〕、カルボキシル基含有アクリルゴム用の架橋剤およびカルボキシル基含有アクリルゴム用の架橋促進剤を配合することにより形成される。
【0027】
本発明のフェノチアジン誘導体〔I〕は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して約0.1~5重量部用いられる。フェノチアジン誘導体〔I〕がこれより少ないと、アクリルゴム架橋物に十分な耐熱性および耐圧縮永久歪特性を付与できない。また、フェノチアジン誘導体〔I〕をこれより多く用いても、アクリルゴム架橋物の耐熱性および耐圧縮永久歪特性を向上させることはできず、不経済である。
【0028】
アクリルゴムとしては、カルボキシル基含有アクリルゴム、エポキシ基含有アクリルゴム、活性塩素基含有アクリルゴムが挙げられるが、特にカルボキシル基含有アクリルゴムが好ましい。
【0029】
一般的に入手可能なアクリルゴムとして、具体的には、日本ゼオン製品のニポールARシリーズ、電気化学工業製品のデンカERシリーズ、NOK製品のノックスタイトシリーズ、デュポン社製品のVamacシリーズ等を挙げることができる。
【0030】
カルボキシル基含有アクリルゴムは、アルキルアクリレートおよびアルコキシアルキルアクリレートの少なくとも一種を共重合成分とし、これにカルボキシル基含有不飽和化合物を共重合させたものである。
【0031】
アルキルアクリレートとしては、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキルアクリレートが用いられる。例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-シアノエチルアクリレート等が用いられ、好ましくはエチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが用いられる。
【0032】
アルコキシアルキルアクリレートとしては、炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレートが用いられる。例えばメトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエチルアクリレート等が用いられ、好ましくは2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレートが用いられる。
【0033】
これらのアルキルアクリレートまたはアルコキシアルキルアクリレートは、一般にモノマー混合物中約60~99.9重量%、好ましくは約80~99重量%の割合で共重合反応に用いられ、共重合反応の重合反応率が90%以上では、モノマー混合割合がほぼ共重合割合となる。
【0034】
アルコキシアルキルアクリレートとアルキルアクリレートとは、それぞれ単独でも用いられるが、好ましくは前者が約60~0重量%、また後者が約40~100重量%の割合で用いられ、アルコキシアルキルアクリレートを共重合させた場合には耐油性と耐寒性のバランスが良好となり、ただしこれよりも多い割合で共重合させると常態物性と耐熱性が低下する傾向がみられるようになる。
【0035】
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等の一塩基酸不飽和化合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の二塩基酸不飽和化合物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ-n-ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノ-n-ブチル等の二塩基酸不飽和化合物モノエステルが用いられる。好ましくは、マレイン酸モノ-n-ブチル、フマル酸モノ-n-ブチルが用いられる。
【0036】
これらのカルボキシル基含有不飽和化合物は、モノマー混合物中約0.1~10重量%、好ましくは約1~5重量%の割合で用いられる。
【0037】
以上の成分以外に、約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下の割合で上記アクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和化合物を共重合させたものでも良い。例えばエチレン性不飽和化合物としては、上記以外のアルキルメタクリレート、アルコキシアルキルメタクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、アクリル酸アミド、酢酸ビニル、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0038】
カルボキシル基含有アクリルゴムの架橋剤としては、多価アミン化合物またはその誘導体が用いられる。具体的には脂肪族多価アミン化合物、脂肪族多価アミン化合物の炭酸塩、アミノ基が有機基で保護された脂肪族多価アミン化合物または芳香族多価アミン化合物を用いることができる。
【0039】
例えば、脂肪族多価アミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、脂肪族多価アミン化合物の炭酸塩としては、ヘキサメチレンジアミンカーバメートが挙げられる。アミノ基が有機基で保護された脂肪族多価アミンとしては、N,N′-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミンまたは特許文献7に開示された化合物が挙げられる。
【0040】
芳香族多価アミン化合物としては、4,4′-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、4,4′-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4′-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4′-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。
【0041】
上記に挙げた多価アミン化合物を単独で用いてもよいし、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンが好ましい。
【0042】
上記架橋剤は、アクリルゴム100重量部に対して約0.1~3重量部用いられる。架橋剤の配合量がこれより少ないと架橋が不十分となり、架橋物の機械的物性の低下および架橋速度の低下を招く。架橋剤の配合量がこれよりも多いと、架橋が過度に進行し、架橋物の弾性の低下および耐圧縮永久歪特性の悪化を招く場合がある。
【0043】
カルボキシル基含有アクリルゴムの架橋促進剤としては、グアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩、脂肪族3級モノアミン化合物が用いられる。
【0044】
グアニジン化合物としては、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン等が挙げられる。好ましくは、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジンまたはそれらの組み合わせである。
【0045】
ジアザビシクロアルケン化合物としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンまたはその有機酸塩が好ましい。1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンの有機酸塩に用いられる有機酸としては、有機一塩基酸または有機二塩基酸が挙げられる。
【0046】
有機一塩基酸としては、n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、n-カプリン酸、n-ラウリン酸、p-トルエンスルホン酸、フェノール等が挙げられる。有機二塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸等が挙げられる。好ましくは、炭素数6~18のモノカルボン酸またはジカルボン酸が好ましい。
【0047】
脂肪族3級モノアミン化合物としては、トリ-n-オクチルアミン、トリ-2-エチルヘキシルアミン、トリ-n-デシルアミン、トリ-n-ドデシルアミン、トリ-n-テトラデシルアミン、トリ-n-ヘキサデシルアミン、トリ-n-オクタデシルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチルウンデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルテトラデシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルオクタデシルアミン等が挙げられ、特にN,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチルウンデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルテトラデシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルオクタデシルアミンが好ましい。
【0048】
上記架橋促進剤は、アクリルゴム100重量部に対して約0.1~5重量部、好ましくは約0.3~3重量部用いられる。架橋促進剤がこれより少ないと、架橋速度の著しい低下、架橋後のアクリルゴムの機械的物性の低下および熱老化後の機械的物性の低下を招くことがある。一方、これより多く用いられると、アクリルゴムの耐圧縮永久歪特性の悪化を招くことがある。
【0049】
カルボキシル基含有アクリルゴム組成物には、必要に応じて、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0050】
充填剤としては、塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;合成ハイドロタルサイト、ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FEFカーボンブラック等)、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
【0051】
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
【0052】
可塑剤としては、例えばエポキシ樹脂、フタル酸誘導体、セバシン酸誘導体、軟化剤としては、例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、例えばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩等が挙げられる。
【0053】
カルボキシル基含有アクリルゴム組成物の調製は、前記カルボキシル基含有アクリルゴムに、フェノチアジン誘導体〔I〕、架橋剤、架橋促進剤および必要に応じて使用されるその他の配合剤などを配合し、バンバリーミキサや加圧ニーダ、オープンロール等を用いて混和することでできる。それの架橋は、約120~250℃、約1~60分間の一次架橋および必要に応じて約120~200℃、約1~20時間のオーブン架橋(二次架橋)が行われる。
【実施例
【0054】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0055】
参考例1
3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン〔CD-S〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量1000mlの四口フラスコに、フェノチアジン 59.8g(0.3モル)、p-トルエンスルホン酸 1.44gおよびトルエン 280mlを投入し、80℃に昇温した後、α-メチルスチレン 70.9g(0.6モル)を加え、窒素ガス雰囲気下で1時間反応させた。
【0056】
反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下でトルエンを留去し、紫色固体状の反応生成物132gを得た。これを600~800mlのエタノールで再結晶することにより、薄赤紫色の結晶として粗製CD-S 90g(収率69%)が得られた。さらに、この粗製CD-S 20gをエタノールで再度再結晶し、無色鱗片状の結晶として精製CD-S 18gを得た。
【0057】
参考例2
3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキシド〔CD-SO2〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコに、フェノチアジン 24.9g(0.125モル)、p-トルエンスルホン酸 0.6gおよびトルエン 115mlを投入し、80℃に昇温した後、α-メチルスチレン 29.5g(0.25モル)を加え、窒素ガス雰囲気下で1時間反応させた。
【0058】
次に、反応混合物に酢酸30gを加えた後、30%過酸化水素水42.5gを5回に分けて加え、さらに80℃で2時間反応させた。内容物を室温まで冷却し、静置した後、上層のトルエン層を500mlのメタノール中に注いだ。室温で一夜放置後、淡黄色の結晶として粗製CD-SO2 42.5g(収率72%)を得た。これをエタノールで再結晶し、淡黄色の針状結晶としてCD-SO2 38g(収率65%)を得た。
【0059】
実施例1
10-ベンジル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキシド〔CD-SO2-Bn〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量300mlの四口フラスコに、精製CD-S 21.8g(50ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミド160mlを投入し、窒素雰囲気下5℃以下に冷却した。系内の温度を10℃以下に保ちながら水素化ナトリウム 1.8g(75ミリモル)を加え1時間反応させた。ベンジルクロリド9.5g(75ミリモル)を加えた後、70℃で1時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、飽和塩化ナトリウム水溶液に注いだ。生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液から揮発性成分を減圧留去し、僅かに黄色みをおびた固体として粗製CD-S-Bnを27.2g得た。
【0060】
粗製CD-S-Bn 26.3gをトルエン300mlに溶解し、マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量500mlの三口フラスコ中に投入した。次いで、酢酸30gおよび30%過酸化水素水34gを順次投入し、90℃で2時間反応させた。
【0061】
内容物を室温まで冷却した後、上層のトルエン層を取出し、減圧下で揮発性物質を留去した。得られた淡黄色の固体をトルエンで再結晶し、無色の結晶としてCD-SO2-Bn を19.5g(CD-Sからの収率70%)得た。
1H NMR(400MHz、Acetone d6、δ ppm):
1.74 (s、12H、-C(CH 3)2-)
5.56 (s、2H、N-CH 2-Ar)
7.15~7.45 (m、19H、Ar)
7.93 (d、J=2.4Hz、2H、Ar)
【0062】
実施例2
10-n-プロピル-3,7-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-10H-フェノチアジン-5,5-ジオキシド〔CD-SO2-Pr〕の製造
マグネット攪拌子、温度計、ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量300mlの四口フラスコに、精製CD-S 21.8g(50ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミド160mlを投入し、窒素雰囲気下5℃以下に冷却した。系内の温度を10℃以下に保ちながら水素化ナトリウム 1.8g(75ミリモル)を加え1時間反応させた。N-プロピルブロミド8.0g(65ミリモル)を加えた後、70℃で1時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、飽和塩化ナトリウム水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液から揮発性成分を減圧留去し、僅かに黄色みをおびた固体として粗製CD-S-Prを24.9g得た。
【0063】
粗製CD-S-Pr 24.9gをトルエン250mlに溶解し、マグネット攪拌子、温度計および還流冷却管を備えた容量500mlの三口フラスコ中に投入した。次いで、酢酸40gおよび30%過酸化水素水34gを順次投入し、90℃で2時間反応させた。
内容物を室温まで冷却した後、上層のトルエン層を取出し、減圧下で揮発性物質を留去した。得られた赤色の高粘性液体をトルエン/エタノール(5/1(v/v))で再結晶し、無色の結晶としてCD-SO2-Pr を21.7g(CD-Sからの収率85%)得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3、δ ppm):
1.01 (t, J=7.2Hz, 3H,-CH2CH2CH 3)
1.73 (s, 12H, -C(CH 3)2-)
1.89 (sectet, J=7.6Hz, 2H,
-CH2CH 2CH3)
4.03 (t, J=8.0Hz, 2H,
-CH 2CH2CH3)
7.14-7.32 (m, 14H, Ar)
8.13 (d, J=2.4Hz, 2H, Ar)
【0064】
実施例3
カルボキシル基含有アクリルゴム 100重量部
(ユニマテック製品ノックスタイトPA-521、Tg:-21℃)
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGSO) 60 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品TST) 1 〃
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 0.5 〃
(東邦化学工業製品フォスファノールRL-210)
ステアリルアミン(n-オクタデシルアミン) 1 〃
(花王ケミカル製品ファーミン80S)
架橋促進剤 1 〃
(Safic-Alcan社製品Vulcofac ACT55)
ヘキサメチレンジアミンカーバメート 0.6 〃
(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)
CD-SO2-Bn 2 〃
以上の各成分の内、カルボキシル基含有アクリルゴム、FEFカーボンブラック、ステアリン酸およびポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を、バンバリーミキサで混和した。得られた混和物に、所定量の残りの各成分をオープンロールで混和し、アクリルゴム組成物を得た。これを、100トンプレス成形機により、180℃で8分間の一次架橋および175℃で4時間のオーブン架橋を行い、厚さ約2mmのシート状架橋物および直径約29mm、高さ約12.5mmの円柱状架橋物を得た。
【0065】
また、オープンロールで混和して得られたアクリルゴム組成物の表面を目視で観察し、老化防止剤に起因する微小な白点の有無を調べた。
【0066】
アクリルゴム組成物の架橋特性およびその架橋物の物性を、次のようにして測定した。
ムーニースコーチ試験:ISO 289-1に対応するJIS K6300-1準拠(125℃)
東洋精機製作所製ムーニービスコメータAM-3
を用い、最小ムーニー粘度(ML min)およびスコ
ーチ時間(t5)の値を測定
架橋試験:ISO 6502に対応するJIS K6300-2準拠(180℃、12分間)
東洋精機製作所製ロータレス・レオメータRLR-3使を用い、
ML、MH、tc(10)およびtc(90)の値を測定
ML:最小トルク
MH:最大トルク
tc(10):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.1に達するまでに要する
時間
tc(90):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.9に達するまでに要する
時間
常態物性:ISO 37に対応するJIS K6251、ISO 37に対応するJIS K6253
準拠
空気加熱老化試験:ISO 188に対応するJIS K6257準拠
(190℃:70時間、250時間、375時間、500時間)
圧縮永久歪:ISO 815-1に対応するJIS K6262準拠
(175℃:70時間、500時間)
【0067】
実施例4
実施例3において、CD-SO2-Bnの代りに、同量(2重量部)のCD-SO2-Prが用いられた。
【0068】
比較例1
実施例3において、CD-SO2-Bnの代りに、同量(2重量部)の4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業製品ノクラックCD)が用いられた。
【0069】
比較例2
実施例3において、CD-SO2-Bnの代りに、同量(2重量部)のCD-SO2が用いられた。
【0070】
以上の実施例3~4および比較例1~2で得られた結果は、次の表に示される。
【0071】
未架橋アクリルゴム組成物に対する老化防止剤の分散性は、比較例2で用いられたCD-SO2に比べて、実施例3で用いられたCD-SO2-Bnおよび実施例4で用いられたCD-SO2-Prが良好で、比較例1で用いられたNocrac CDと同等であった。熱老化試験において、実施例3および4では破断時伸び減少率が比較例1と比べて低く抑えられている。なお、図1において、試験時間250~500時間の破断強度変化率は、実施例と比較例2とが重複している。
図1
図2