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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】断熱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
B65D81/38 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022561946
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2021041225
(87)【国際公開番号】W WO2022102627
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2020188395
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】上山 健治
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-131546(JP,A)
【文献】実開昭59-175022(JP,U)
【文献】登録実用新案第3022214(JP,U)
【文献】実開昭47-028697(JP,U)
【文献】特開2002-179110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び側壁によって形成される収納空間と前記収納空間に連なる開口部とを有する容器本体と、変形可能な板状の蓋体と、を備える断熱容器であって、
前記蓋体は、前記容器本体の前記開口部から前記収納空間へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部が前記側壁の内面に密着するように構成されており、
前記蓋体は、複数の部分同士が連結弾性部で連結されることによって構成されており、前記連結弾性部が圧縮されることにより前記部分同士の間隔が狭められて少なくとも一辺の長さが対応する前記開口部の一辺の長さ以下になる一方、前記連結弾性部の圧縮が開放されることにより前記部分同士の間隔が広げられて前記一辺の長さが前記対応する前記開口部の一辺の長さ以上になる、断熱容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記連結弾性部が圧縮されることにより前記部分同士の間隔が狭められてその投影面積が前記開口部の面積以下になる一方、前記連結弾性部の圧縮が開放されることにより前記部分同士の間隔が広げられてその投影面積が前記開口部の面積以上になる、請求項に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記蓋体は、平面視で第一方向に延在する帯状の前記連結弾性部で前記複数の部分同士が連結されることにより平面視略矩形状に構成されており、かつ、前記連結弾性部が前記第一方向と交差する第二方向に沿って圧縮されることにより前記第二方向に沿った前記蓋体の辺の長さが短縮されて前記開口部の対応辺の長さ以下になる一方、前記連結弾性部の前記第二方向に沿った圧縮が開放されることにより前記第二方向に沿った前記蓋体の前記辺の長さが伸長されて前記対応辺の長さ以上になるように構成されている、請求項に記載の断熱容器。
【請求項4】
前記蓋体は、各々平面視略矩形状を呈する第一部分及び第二部分同士が前記連結弾性部で連結されることによって構成されており、
前記第一部分において前記連結弾性部の反対側に位置する第一辺及び前記第二部分において前記連結弾性部の反対側に位置する第二辺の少なくとも何れか一方には、前記連結弾性部から遠ざかる方向に突出する突出部が形成されており、
前記蓋体は、前記連結弾性部の圧縮が開放されることにより前記開口部の一辺の少なくとも一部に前記突出部が密着するように構成されている、請求項に記載の断熱容器。
【請求項5】
前記連結弾性部は、平面視で第一方向に延在するように帯状に形成されており、
前記突出部は、前記第一辺から突出する第一突出部と、前記第二辺から突出する第二突出部と、を含み、
前記第一突出部は、前記第一方向における一方の端部寄りに配置されており、
前記第二突出部は、前記第一方向における他方の端部寄りに配置されている、請求項に記載の断熱容器。
【請求項6】
前記連結弾性部は、蛇腹構造を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の断熱容器。
【請求項7】
前記蓋体の少なくとも一つの前記部分の表面には、使用者によって把持される把持部が設けられている、請求項1から6の何れか一項に記載の断熱容器。
【請求項8】
前記蓋体の前記周縁部の少なくとも一部には、周縁弾性部が設けられている、請求項1からの何れか一項に記載の断熱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品等を蓄冷材とともに収納した状態で輸送及び保管に供される断熱容器(保冷箱)が種々提案され、実用化されている。例えば現在においては、外箱10と、外箱10に収納される内箱20と、内箱20の開口部に架け渡される内蓋30と、内蓋30の上に配置される蓄冷材40と、を備える保冷箱100が提案されている(特許文献1参照)。かかる構成を採用すると、外箱10に内箱20を収納し、内箱20に対象物を収納し、内箱20の開口部に内蓋30を架け渡し、内蓋30上に蓄冷材40を配置して外箱10を密閉することにより、蓄冷材40を対象物よりも上方の位置に配置することができ、蓄冷材40によって冷却された冷気を外箱10内の上部から下降させて外箱10内で循環させ、外箱10内全体を効率良く冷却することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3204212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたような従来の保冷箱は、外箱が変形できないような構成になっているが、その内部に収納される対象物の容積は状況に応じて変化する。このため、例えば対象物の容積が大幅に減少した場合には、箱の内部に空気が比較的多く充填された状態となる。空気は内容物と比較して比熱が高いため、空気が箱の内部に比較的多く充填された状態では、保冷性(断熱効率)が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、収納される対象物の容積が減少した場合においても断熱効率の低下を抑制することができる断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る断熱容器は、底壁及び側壁によって形成される収納空間と収納空間に連なる開口部とを有する容器本体と、変形可能な板状の蓋体と、を備える断熱容器であって、蓋体は、容器本体の開口部から収納空間へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部が側壁の内面に密着するように構成されているものである。
【0007】
かかる構成を採用すると、蓋体は、容器本体の開口部から収納空間へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部が側壁の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体の底壁と、容器本体の側壁の一部(底壁寄りの部分)と、蓋体と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体の位置(蓋体の周縁部と容器本体の側壁とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体の位置を容器本体の底壁側にシフトさせた状態で蓋体の周縁部を容器本体の側壁に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0008】
本発明に係る断熱容器において、複数の部分同士が連結弾性部で連結されることによって構成された蓋体を採用することができる。かかる場合において、連結弾性部を圧縮することにより部分同士の間隔を狭めて蓋体の投影面積を縮小する一方、連結弾性部の圧縮を開放することにより部分同士の間隔を広げて蓋体の投影面積を拡大することができる。また、連結弾性部を圧縮することにより部分同士の間隔を狭めて、蓋体の投影面積を容器本体の開口部の面積以下にする(又は蓋体の少なくとも一辺の長さを対応する開口部の一辺の長さ以下にする)一方、連結弾性部の圧縮を開放することにより部分同士の間隔を広げて、蓋体の投影面積を容器本体の開口部の面積以上とする(又は蓋体の少なくとも一辺の長さを対応する開口部の一辺の長さ以上とする)こともできる。連結弾性部は、蛇腹構造を有することができる。
【0009】
かかる構成を採用すると、蓋体は、複数の部分同士が連結弾性部で連結されることによって構成されている。そして、蓋体は、連結弾性部が圧縮されることにより部分同士の間隔が狭められて、その投影面積が縮小される(その結果、蓋体の投影面積が容器本体の開口部の面積以下となるか、又は、蓋体の一辺の長さが対応する開口部の一辺の長さ以下となる)一方、連結弾性部の圧縮が開放されることにより部分同士の間隔が広げられて、その投影面積が拡大される(その結果、蓋体の投影面積が容器本体の開口部の面積以上となるか、又は、蓋体の一辺の長さが対応する開口部の一辺の長さ以上となる)。かかる構成を有する蓋体は、容器本体の収納空間に挿入される際には連結弾性部を圧縮して投影面積を小さくして(容器本体の開口部の面積以下として)おき、その後、収納空間内で連結弾性部の圧縮を開放して投影面積を大きくして(容器本体の開口部の面積以上として)その周縁部を容器本体の側壁に密着させることができる。
【0010】
また、かかる構成を採用すると、複数の部分同士が連結弾性部で連結されることによって構成された蓋体を採用しているため、例えば、連結弾性部を境にして第一部分の高さと第二部分の高さとを異ならせることができる。従って、容器本体に収納した対象物の高さが異なる場合においても、その対象物の高さに合わせて第一部分の高さと第二部分の高さとを変更することができ、蓋体を対象物に近付ける(又は蓋体を対象物に密着させる)ことができる。この結果、高さの異なる対象物と蓋体との間に生じる空間を低減させる(又は当該空間をほぼなくす)ことができるため、断熱効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る断熱容器において、平面視で第一方向に延在する帯状の連結弾性部で複数の部分同士を連結することにより、平面視略矩形状の蓋体を構成することができる。かかる場合において、連結弾性部を第一方向と交差する第二方向(例えば、第一方向に対して直交する方向)に沿って圧縮することにより第二方向に沿った蓋体の辺の長さを短縮して容器本体の開口部の対応辺の長さ以下にする一方、連結弾性部の第二方向に沿った圧縮を開放することにより第二方向に沿った蓋体の辺の長さを伸長して対応辺の長さよりも長くするように蓋体を構成することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、蓋体の連結弾性部の第二方向に沿った圧縮を開放することにより、第二方向に沿った蓋体の辺の長さを伸長して、これらに対応する容器本体の開口部の辺(対応辺)の長さ以上にすることができる。従って、蓋体の第二方向に沿った辺に交差する辺を、これらの辺に対応する容器本体の開口部の辺における側壁の内面に密着させ、蓋体を容器本体に対して固定することができる。この際、連結弾性部の圧縮が開放された場合における蓋体の投影面積は、容器本体の開口部の面積よりも必ずしも大きくなくてもよい。
【0013】
本発明に係る断熱容器において、各々平面視略矩形状を呈する第一部分及び第二部分同士を連結弾性部で連結することによって蓋体を構成することができる。そして、第一部分において連結弾性部の反対側に位置する第一辺及び第二部分において連結弾性部の反対側に位置する第二辺の少なくとも何れか一方に、連結弾性部から遠ざかる方向に突出する突出部を形成しておき、連結弾性部の圧縮が開放されることにより開口部の一辺の少なくとも一部に突出部が密着するように蓋体を構成することができる。この際、平面視で第一方向に延在する帯状の連結弾性部を採用するとともに、第一辺から突出する第一突出部及び第二辺から突出する第二突出部を採用し、第一突出部を第一方向における一方の端部寄りに配置し、第二突出部を第一方向における他方の端部寄りに配置することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、連結弾性部の圧縮を開放したとき、突出部をそれに対応する容器本体の開口部の一辺の少なくとも一部における側壁の内面に密着させる一方、蓋体の他の周縁部をそれに対応する容器本体の側壁の内面の一部に密着させ、蓋体を容器本体に対して固定することができる。かかる構成を採用した場合においても、連結弾性部の圧縮が開放された場合における蓋体の投影面積は、容器本体の開口部の面積よりも必ずしも大きくなくてもよい。
【0015】
本発明に係る断熱容器において、複数の部分に分割されるとともに部分同士がヒンジ部で連結されることによって折曲状態と平坦状態との間で変形可能に構成されている蓋体を採用することができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、蓋体は、複数の部分に分割されるとともにその部分同士がヒンジ部で連結されることによって折曲状態と平坦状態との間で変形可能に構成されているため、容器本体の開口部の大きさに合わせて適宜変形してその周縁部を容器本体の側壁に密着させることができる。
【0017】
本発明に係る断熱容器において、ヒンジ部を、平面視において蓋体の略中央部に配置することができる。かかる場合において、蓋体を容器本体の開口部から収納空間へと挿入する際に蓋体を折曲状態とすることにより蓋体の投影面積を縮小する一方、蓋体を収納空間に挿入した後に蓋体を平坦状態とすることにより蓋体の投影面積を拡大することができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、蓋体は、容器本体の開口部から収納空間へと挿入される際に折曲状態とされることによりその投影面積が縮小される一方、収納空間に挿入された後に平坦状態とされることによりその投影面積が拡大される。かかる構成を有する蓋体は、容器本体の収納空間に挿入される際には折曲状態とされて投影面積を小さくしておき、その後、(略中央部にあるヒンジ部を収納空間側に押したり収納空間側から引き上げたりして)平坦状態とされることにより収納空間内で投影面積を大きくし、その周縁部を容器本体の側壁に密着させることができる。
【0019】
本発明に係る断熱容器において、ヒンジ部を、蓋体の周縁部の近傍に配置することができる。かかる場合において、蓋体が平坦状態にあるときに蓋体の投影面積を容器本体の開口部の投影面積よりも大きく設定しておき、蓋体を容器本体の開口部から収納空間へと挿入する際に蓋体を平坦状態から折曲状態へと移行させることにより蓋体の投影面積を縮小して開口部の投影面積と略同一とすることができる。
【0020】
かかる構成を採用すると、蓋体は、平坦状態にあるときにその投影面積が容器本体の開口部の投影面積よりも大きく設定されており、容器本体の開口部から収納空間へと挿入される際に平坦状態から折曲状態へと移行されることによりその投影面積が縮小されて開口部の投影面積と略同一とされる。かかる構成を有する蓋体は、容器本体の収納空間に挿入される際には周縁部の近傍にあるヒンジ部で折曲しその投影面積を容器本体の開口部の投影面積と略同一としてその周縁部を容器本体の側壁に密着させることができる。
【0021】
本発明に係る断熱容器において、蓋体の少なくとも一つの部分の表面に、使用者によって把持される把持部を設けることができる。
【0022】
かかる構成を採用すると、使用者は、蓋体を構成する部分の表面に設けられた把持部を把持して蓋体を変形させることができる。従って、蓋体の変形(連結圧縮部の圧縮、連結圧縮部の圧縮開放、折曲状態から平坦状態への移行、平坦状態から折曲状態への移行等)が容易となる。
【0023】
本発明に係る断熱容器において、蓋体の周縁部の少なくとも一部に、周縁弾性部を設けることができる。
【0024】
かかる構成を採用すると、蓋体の周縁部の少なくとも一部に周縁弾性部が設けられているため、容器本体の収納空間に挿入される際に蓋体の周縁弾性部を圧縮して投影面積を小さくしておき、その後、収納空間内で周縁弾性部の圧縮を開放し投影面積を大きくして周縁部(周縁弾性部が設けられている周縁部については周縁弾性部)を側壁の内面に密着させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、収納される対象物の容積が減少した場合においても断熱効率の低下を抑制することができる断熱容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の平面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図9】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図10】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図11】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図12】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図13】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の作用効果を説明するための説明図である。
図14】本発明の第二実施形態に係る断熱容器の蓋体の側面図((A)は折曲状態、(B)は平坦状態)である。
図15】本発明の第二実施形態に係る断熱容器の蓋体のヒンジ部の斜視図((A)は折曲状態、(B)は平坦状態)である。
図16】本発明の第二実施形態に係る断熱容器の蓋体のヒンジ部の側面図((A)は折曲状態、(B)は平坦状態)である。
図17】本発明の第三実施形態に係る断熱容器の蓋体の平面図である。
図18】本発明の第三実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図19】本発明の第三実施形態に係る断熱容器の蓋体の変形例の平面図である。
図20】本発明の第四実施形態に係る断熱容器の蓋体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれらに限定されるものではない。
【0028】
<第一実施形態>
まず、図1図13を用いて、本発明の第一実施形態に係る断熱容器1の構成について説明する。本実施形態に係る断熱容器1は、図1に示すように、容器本体10と蓋体20とを備えており、その内部に食品等の対象物を蓄冷材とともに収納して輸送及び保管に供されるものである。
【0029】
容器本体10は、図1に示すように、平面視略矩形状の底壁11と、底壁11の各辺から立ち上がるように連接された4つの側壁12と、を有して略直方体状に構成されている。容器本体10の底壁11及び側壁12によって略直方体状の収納空間13が形成され、収納空間13の上部にはこれに連なる開口部14が形成されている。
【0030】
容器本体10の底壁11及び側壁12は何れも、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルで構成されている。かかる断熱材パネルとしては、例えば、50m・Kl/W以下の熱抵抗を有するとともに、0.15N/mm以上の曲げ強度を有する断熱材で構成した断熱材パネルを採用することができる。底壁11及び側壁12を構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さは、断熱容器1に収納される対象物の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0031】
蓋体20は、変形可能な板状の部材であり、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部21が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。本実施形態における蓋体20は、図2に示すように、複数の部分(第一部分20A及び第二部分20B)に分割されるとともに第一部分20A及び第二部分20B同士が平面視で第一方向(紙面上下方向)Dに延在する帯状の連結弾性部22で連結されることによって構成されており、その平面形状は、容器本体10の開口部14の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0032】
蓋体20は、連結弾性部22が圧縮されることにより、第一部分20A及び第二部分20B同士の間隔が狭められてその投影面積が縮小される(その結果、蓋体20の投影面積が容器本体10の開口部14の面積以下になるか、又は、蓋体20の一辺の長さが対応する開口部14の一辺の長さ以下となる)一方、連結弾性部22の圧縮が開放されることにより第一部分20A及び第二部分20B同士の間隔が広げられてその投影面積が拡大される(その結果、蓋体20の投影面積が容器本体10の開口部14の面積以上となるか、又は、蓋体20の一辺の長さが対応する開口部14の一辺の長さ以上となるなる)ように構成されている。なお、本明細書において「投影面積」とは、被投影対象(例えば蓋体20)の真上から光を照射したときにできる影の面積をいう。
【0033】
蓋体20を構成する第一部分20A及び第二部分20Bは何れも、容器本体10の底壁11及び側壁12と同様に、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルで構成することができる。これら第一部分20A及び第二部分20Bを連結する連結弾性部22としては、ポリウレタン製のスポンジと、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)と、から構成した蛇腹構造を採用することができる。ポリウレタン製のスポンジに含まれる空気層と、気密性の高いアルミ蒸着PETと、の組み合わせにより、高い断熱性能を得ることができる。
【0034】
蓋体20の各部分20A・20Bを構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さや、連結弾性部22の圧縮開放時の厚さは、容器本体10の開口部14のサイズに応じて適宜設定することができる。本実施形態においては、連結弾性部22が圧縮されていない状態における蓋体20の投影面積が、容器本体10の開口部14の投影面積よりも若干大きくなるように、第一部分20A及び第二部分20Bの縦横寸法及び連結弾性部22の圧縮開放時の厚さを設定している。
【0035】
図3図12は、本実施形態の変形例を示したものである。
【0036】
蓋体20を構成する第一部分20A及び第二部分20Bの平面形状は必ずしも同一でなくてもよく、例えば図3に示すように、第一部分20Aの面積を小さくする一方、第二部分20Bの面積を大きくしてもよい。また、蓋体20を構成する第一部分20A及び第二部分20Bの平面形状は必ずしも矩形状でなくてもよく、例えば図4に示すように、第一部分20A及び第二20Bの平面形状を台形状にし、これらを組み合わせて平面視略矩形状の蓋体20を構成してもよい。なお、蓋体20の少なくとも一つの部分(図3では第一部分20Aのみ、図4では第一部分20A及び第二部分20B)の表面に、使用者によって把持される把持部23を設けることもできる。
【0037】
蓋体20を構成する部分は必ずしも二つでなくてもよく、例えば図5図8に示すように、四つの部分(第一部分20A、第二部分20B、第三部分20C、第四部分20D)に分割し、これら四つの部分を連結弾性部22で連結してもよい。図5は、四つの部分が全て同一平面形状で同一面積を有する場合の変形例であり、図6は、四つの部分のうち二つの面積を小さくする一方、残り二つの面積を大きくした場合の変形例であり、図7は、四つの部分の全てが異なる平面形状及び面積を有する場合の変形例である。また、図5図7は、四つの部分の平面形状が全て矩形(長方形)状である場合の変形例を示したが、図8の変形例のように、四つの部分のうち二つの平面形状を五角形状とする一方、残り二つの平面形状を三角形状とすることもできる。何れにしても、蓋体20の平面形状は、容器本体10の開口部14の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0038】
また、図9及び図10に示すように、三つの部分(第一部分20A、第二部分20B、第三部分20C)を連結弾性部22で連結することにより平面視略矩形状の蓋体20を構成してもよい。図9は、蓋体20の長手方向両端部に比較的小さい面積の部分(第一部分20A及び第三部分20C)を配置し、長手方向中央部に比較的大きい面積の部分(第二部分20B)を配置して連結し、長手方向両端部に配置した二つの部分(第一部分20A及び第三部分20C)の表面に把持部23を設けた場合の変形例である。図10は、三つの部分の全てが異なる平面形状及び面積を有する場合の変形例である。何れにしても、蓋体20の平面形状は、容器本体10の開口部14の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0039】
また、蓋体20の周縁部21は、必ずしも全周にわたって容器本体10の側壁12の内面に接触しなくてもよい。例えば、図11に示すように、蓋体20を構成する第一部分20A及び第二部分20Bのコーナー部を切り欠き、蓋体20の四隅と容器本体10との間に間隙を形成してもよい。この際、連結弾性部22の圧縮が開放されて第一部分20A及び第二部分20B同士の間隔が広げられたときに、蓋体20の投影面積が容器本体10の開口部14の面積よりも必ずしも大きくならなくてよいが、例えば図11に示すように、連結弾性部22の延在方向(第一方向D)と直交する第二方向(紙面左右方向)Dに沿った圧縮が開放されたとき、第二方向Dに沿った蓋体20の辺21A・21Bの長さが伸長されて、これらの辺21A・21Bに対応する容器本体10の開口部14の辺(対応辺)14A・14Bの長さ以上になるようにする。これにより、蓋体20の辺21A・21Bに直交する辺21C・21Dが、これらの辺21C・21Dに対応する容器本体10の開口部14の辺14C・14Dにおける側壁12の内面に密着し、蓋体20が容器本体10に対して固定されることとなる。なお、蓋体20が連結弾性部22の第二方向Dに沿って圧縮されたときには、第二方向Dに沿った蓋体20の辺21A・21Bの長さが短縮されて、容器本体10の開口部14の対応辺14A・14Bの長さ以下になるようにする。なお、連結弾性部22の延在方向(第一方向D)と圧縮方向(第二方向D)は交差していればよく、必ずしも直交していなくてもよい。例えば、図4及び図8に示すように連結弾性部22の延在方向が紙面上下の辺に対して直交せずに若干傾斜した方向になっている場合において、連結弾性部22を紙面上下の辺に平行な方向に圧縮してもよい。この場合、連結弾性部22の延在方向(第一方向D)と圧縮方向(第二方向D)は直交していないものの、交差している。
【0040】
また、図12に示すように、蓋体20の第一部分20Aにおいて連結弾性部22の反対側に位置する辺(第一辺)21Cに、連結弾性部22から遠ざかる方向に第一辺21Cから突出する第一突出部24を形成する一方、蓋体20の第二部分20Bにおいて連結弾性部22の反対側に位置する辺(第二辺)21Dに、連結弾性部22から遠ざかる方向に第二辺21Dから突出する第二突出部25を形成することもできる。この際、図12に示すように、第一突出部24を、第一方向Dにおける一方の端部寄りに配置し、第二突出部25を、第一方向Dにおける他方の端部寄りに配置する(すなわち、第一突出部24及び第二突出部25を蓋体20の対角線上に配置する)ことができる。そして、連結弾性部22の第二方向Dに沿った圧縮が開放されたとき、第一突出部24はそれに対応する容器本体10の開口部14の辺14Dにおける側壁12の内面に密着し、第二突出部25はそれに対応する容器本体10の開口部14の辺14Dにおける側壁12の内面に密着するようにする。これにより、蓋体20が容器本体10に対して固定されることとなる。なお、蓋体20が連結弾性部22の第二方向Dに沿って圧縮されたときには、第一突出部24及び第二突出部25と容器本体10の開口部14の辺14C・14Dとの間の密着状態が解除されるようにし、蓋体20を容器本体10から取り外すことができるようにする。なお、突出部の個数は2つに限られるものではなく、蓋体20を容器本体10に対して固定することができれば何れか一方の辺のみに突出部を設けてもよい。例えば、辺21Cにのみ第一突出部24を設けておき、連結弾性部22の圧縮を開放したとき第一突出部24をそれに対応する容器本体10の開口部14の一辺14Cの一部における側壁12の内面に密着させる一方、蓋体20の第一突出部24と反対側にある辺21Dをそれに対応する容器本体10の開口部14の辺14Dにおける側壁12の内面に密着させ、蓋体20を容器本体10に対して固定することができる。
【0041】
以上説明した実施形態に係る断熱容器1において、蓋体20は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部21が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体10の底壁11と、容器本体10の側壁12の一部(底壁11寄りの部分)と、蓋体20と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間13の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体20の位置(蓋体20の周縁部21と容器本体10の側壁12とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体20の位置を容器本体10の底壁11側にシフトさせた状態で蓋体20の周縁部21を容器本体10の側壁12に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0042】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1において、蓋体20は、複数の部分(第一部分20A、第二部分20B等)に分割されるとともにこれら部分同士が連結弾性部22で連結されることによって構成されている。そして、蓋体20は、連結弾性部22が圧縮されることにより部分同士の間隔が狭められてその投影面積が縮小される(その結果、蓋体20の投影面積が容器本体10の開口部14の面積以下となるか、又は、蓋体20の一辺の長さが対応する開口部14の一辺の長さ以下となる)一方、連結弾性部22の圧縮が開放されることにより部分同士の間隔が広げられてその投影面積が拡大される(その結果、蓋体の投影面積が容器本体10の開口部14の面積以上となるか、又は、蓋体の一辺の長さが対応する開口部の一辺の長さ以上となる)。かかる構成を有する蓋体20は、容器本体10の収納空間13に挿入される際には連結弾性部22を圧縮して投影面積を小さくして(容器本体10の開口部14の面積以下として)おき、その後、収納空間13内で連結弾性部22の圧縮を開放して投影面積を大きくして(容器本体10の開口部14の面積以上として)その周縁部21を容器本体10の側壁12に密着させることができる。
【0043】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、複数の部分(第一部分20A、第二部分20B等)同士が連結弾性部22で連結されることによって構成された蓋体20を採用しているため、連結弾性部22を境にして第一部分20Aの高さと第二部分20Bの高さとを異ならせることができる。従って、図13に示すように、容器本体10に収納した対象物C、Cの高さが異なる場合においても、その対象物C、Cの高さに合わせて第一部分20Aの高さと第二部分20Bの高さとを変更することができ、蓋体20を対象物C、Cに近付ける(又は蓋体20を対象物C、Cに密着させる)ことができる。この結果、高さの異なる対象物C、Cと蓋体20との間に生じる空間を低減させる(又は当該空間をほぼなくす)ことができるため、断熱効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、蓋体20の少なくとも一つの部分の表面に、使用者によって把持される把持部23を設けているため、使用者は、蓋体20を構成する部分の表面に設けられた把持部23を把持して蓋体20を変形させることができる。従って、蓋体20の変形(連結圧縮部22の圧縮及び圧縮開放)が容易となる。
【0045】
<第二実施形態>
次に、図14図16を用いて、本発明の第二実施形態に係る断熱容器の構成について説明する。本実施形態に係る断熱容器は、第一実施形態に係る断熱容器1の蓋体20の構成を変更したものであり、容器本体10の構成は第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成(蓋体30)を中心に説明することとし、共通する構成(容器本体10)については同一の符号を付すとともに詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態に係る断熱容器の蓋体30は、第一実施形態と同様に変形可能な板状の部材であり、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部31が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。
【0047】
本実施形態における蓋体30は、図14に示すように、複数の部分(第一部分30A及び第二部分30B)に分割されるとともに第一部分20A及び第二部分20B同士がヒンジ部32で連結されることによって折曲状態(図14(A))と平坦状態(図14(B))との間で変形可能に構成されている。平坦状態にあるときの蓋体30の平面形状は、容器本体10の開口部14の平面形状に対応するように略矩形状とされている。
【0048】
蓋体30は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入される際に図14(A)に示すように折曲状態とされることによりその投影面積が縮小される一方、容器本体10の収納空間13に挿入された後に図14(B)に示すように平坦状態とされることによりその投影面積が拡大されるようになっている。
【0049】
蓋体30を構成する第一部分30A及び第二部分30Bは何れも、容器本体10の底壁11及び側壁12と同様に、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルで構成することができる。蓋体30の各部分30A・30Bを構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さは、容器本体10の開口部14のサイズに応じて適宜設定することができる。
本実施形態においては、蓋体30が平坦状態(図14(B))にあるときの投影面積が、容器本体10の開口部14の投影面積と略同一になる(若しくは若干大きくなる)ように、第一部分30A及び第二部分30Bの縦横寸法を設定している。
【0050】
ヒンジ部32は、平面視において蓋体30の略中央部に配置されており、図15及び図16に示すように、蓋体30の第一部分30Aに固定される板状の第一固定部32Aと、蓋体30の第二部分30Bに固定される板状の第二固定部32Bと、が回動軸32Cによって回動自在に連結されてなるものである。ヒンジ部32の第一固定部32Aが蓋体30の第一部分30Aに固定され、ヒンジ部32の第二固定部32Bが蓋体30の第二部分30Bに固定されることにより、蓋体30は、折曲状態(図14(A))と平坦状態(図14(B))との間で変形可能となる。
【0051】
蓋体30の第一部分30A及び第二部分30Bの表面には、図14に示すように、使用者によって把持される把持部33を設けることができる。また、蓋体30の第一部分30A及び第二部分30Bを連結するヒンジ部32の裏側に、第一実施形態で説明したような連結弾性部34(例えば、ポリウレタン製のスポンジと、アルミ蒸着PETと、から構成した蛇腹構造)を設けることができる。
【0052】
以上説明した実施形態に係る断熱容器において、蓋体30は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部31が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体10の底壁11と、容器本体10の側壁12の一部(底壁11寄りの部分)と、蓋体30と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間13の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体30の位置(蓋体30の周縁部31と容器本体10の側壁12とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体30の位置を容器本体10の底壁11側にシフトさせた状態で蓋体30の周縁部31を容器本体10の側壁12に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0053】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器において、蓋体30は、複数の部分(第一部分30A及び第二部分30B)に分割されるとともにその部分同士がヒンジ部32で連結されることによって折曲状態と平坦状態との間で変形可能に構成されているため、容器本体10の開口部14の大きさに合わせて適宜変形してその周縁部31を容器本体10の側壁12に密着させることができる。特に、本実施形態における蓋体30は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入される際に折曲状態とされることによりその投影面積が縮小される一方、収納空間13に挿入された後に平坦状態とされることによりその投影面積が拡大されるようになっている。このため、蓋体30を容器本体10の収納空間13に挿入する際には折曲状態として投影面積を小さくしておき、その後、使用者が把持部33を上方に引いて蓋体30を平坦状態とすることにより収納空間13内で投影面積を大きくしてその周縁部31を容器本体10の側壁12に密着させることができる。
【0054】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器においては、蓋体30の少なくとも一つの部分の表面に、使用者によって把持される把持部33を設けているため、使用者は、蓋体30を構成する部分の表面に設けられた把持部33を把持して蓋体30を変形させることができる。従って、蓋体30の変形(折曲状態から平坦状態への移行、及び、平坦状態から折曲状態への移行)が容易となる。
【0055】
<第三実施形態>
次に、図17図19を用いて、本発明の第三実施形態に係る断熱容器の構成について説明する。本実施形態に係る断熱容器は、第一実施形態に係る断熱容器1の蓋体20の構成を変更したものであり、容器本体10の構成は第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成(蓋体40)を中心に説明することとし、共通する構成(容器本体10)については詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る断熱容器の蓋体40は、第一実施形態と同様に変形可能な板状の部材であり、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部41(若しくは後述する周縁弾性部42)が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。
【0057】
本実施形態における蓋体40は、所定厚さを有する平面視略矩形状の断熱材パネルからなる第一部分40Aを有しており、この第一部分40Aの周縁部41には周縁弾性部42が設けられている。周縁弾性部42としては、例えば、空気層を含み断熱性能に優れるポリウレタン製のスポンジを採用することができる。
【0058】
蓋体40の第一部分40Aを構成する断熱材パネルの縦横寸法及び厚さや、周縁弾性部42の圧縮開放時の厚さは、容器本体10の開口部14のサイズに応じて適宜設定することができる。本実施形態においては、周縁弾性部42が圧縮されていない状態における蓋体40の投影面積が、容器本体10の開口部14の投影面積よりも若干大きくなるように、第一部分40Aの縦横寸法及び周縁弾性部42の圧縮開放時の厚さを設定している。
【0059】
図18及び図19は、本実施形態の変形例を示したものである。
【0060】
図17では、蓋体40の第一部分40Aの周縁部41の全てに周縁弾性部42を設けた例を示したが、図18及び図19に示すように、第一部分40Aの周縁部41の一部(対向する一組の辺)に周縁弾性部42を設けても良い。
【0061】
また、図19に示すように、蓋体40を複数の部分(第一部分40A、第二部分40B、第三部分40C)に分割し、これらをヒンジ部43で連結することによって、蓋体40を折曲状態と平坦状態との間で変形可能に構成することもできる。この際、ヒンジ部43を蓋体40の周縁部41の近傍に配置し、これらヒンジ部43に近い周縁部41に周縁弾性部42を設けることもできる。かかる構成を採用する場合には、平坦状態にあるときの蓋体40の投影面積を容器本体10の開口部14の投影面積よりも大きく設定しておき、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入する際に平坦状態から折曲状態へと移行させることによりその投影面積を縮小して開口部14の投影面積と略同一とする。
【0062】
以上説明した実施形態に係る断熱容器において、蓋体40は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部41(若しくは周縁弾性部42)が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体10の底壁11と、容器本体10の側壁12の一部(底壁11寄りの部分)と、蓋体40と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間13の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体40の位置(蓋体40の周縁部41と容器本体10の側壁12とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体40の位置を容器本体10の底壁11側にシフトさせた状態で蓋体40の周縁部41を容器本体10の側壁12に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0063】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器においては、蓋体40の周縁部41の少なくとも一部に周縁弾性部42が設けられているため、容器本体10の収納空間13に挿入される際に蓋体40の周縁弾性部42を圧縮して投影面積を小さくしておき、その後、収納空間13内で周縁弾性部42の圧縮を開放し投影面積を大きくして周縁部41(周縁弾性部42が設けられている周縁部41については周縁弾性部42)を側壁12の内面に密着させることができる。
【0064】
また、以上説明した実施形態の変形例(図19)に係る断熱容器においては、蓋体40が複数の部分(第一部分40A、第二部分40B、第三部分40C)に分割されるとともにその部分同士がヒンジ部43で連結されることによって折曲状態と平坦状態との間で変形可能に構成されているため、容器本体10の開口部14の大きさに合わせて適宜変形してその周縁部41を容器本体10の側壁12に密着させることができる。特に、本変形例における蓋体40は、平坦状態にあるときにその投影面積が容器本体10の開口部14の投影面積よりも大きく設定されており、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入される際に平坦状態から折曲状態へと移行されることによりその投影面積が縮小されて開口部14の投影面積と略同一とされるようになっている。このため、蓋体40を容器本体10の収納空間13に挿入する際に周縁部41の近傍にあるヒンジ部43で折曲しその投影面積を容器本体10の開口部14の投影面積と略同一としてその周縁部41(周縁弾性部42が設けられている周縁部41について周縁弾性部42)を容器本体10の側壁12に密着させることができる。
【0065】
<第四実施形態>
次に、図20を用いて、本発明の第四実施形態に係る断熱容器の構成について説明する。本実施形態に係る断熱容器は、第一実施形態に係る断熱容器1の蓋体20の構成を変更したものであり、容器本体10の構成は第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成(蓋体50)を中心に説明することとし、共通する構成(容器本体10)については詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態における蓋体50は、変形可能な板状の部材であり、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部51(若しくは周縁弾性部53)が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。
【0067】
本実施形態における蓋体50は、第一実施形態における蓋体20(図2)の構成と、第三実施形態における蓋体40(図18)の構成と、を組み合わせたような構成を有している。すなわち、蓋体20は、図20に示すように、二つの部分(第一部分50A及び第二部分50B)に分割されるとともに第一部分50A及び第二部分50B同士が連結弾性部52で連結されることによって構成されており、その平面形状は、容器本体10の開口部14の平面形状に対応するように略矩形状とされている。そして、蓋体50は、連結弾性部52が圧縮されることにより、第一部分50A及び第二部分50B同士の間隔が狭められてその投影面積が縮小される一方、連結弾性部52の圧縮が開放されることにより第一部分50A及び第二部分50B同士の間隔が広げられてその投影面積が拡大されるように構成されている。また、蓋体50の周縁部51のうち連結弾性部52に対して直交する二つの辺には、周縁弾性部53が設けられている。連結弾性部52及び周縁弾性部53については第一実施形態及び第三実施形態で説明済みであるため、詳細な説明を省略する。なお、蓋体50の第一部分50A及び第二部分50Bの表面に、使用者によって把持される把持部54が設けられている。
【0068】
以上説明した実施形態に係る断熱容器において、蓋体50は、容器本体10の開口部14から収納空間13へと挿入された状態でその少なくとも一部が変形することにより、その周縁部51(若しくは周縁弾性部53)が容器本体10の側壁12の内面に密着するように構成されている。このため、容器本体10の底壁11と、容器本体10の側壁12の一部(底壁11寄りの部分)と、蓋体50と、からなる断熱閉鎖空間を収納空間13の内部に形成することができ、この断熱閉鎖空間に対象物を収納して運搬等に供することができる。この際、収納する対象物の容積に応じて蓋体50の位置(蓋体50の周縁部51と容器本体10の側壁12とが密着する位置)を変更することにより、断熱閉鎖空間の容積を変更することができる。例えば収納する対象物の容積が減少した場合には、蓋体50の位置を容器本体10の底壁11側にシフトさせた状態で蓋体50の周縁部21を容器本体10の側壁12に密着させ、比較的小さい容積の断熱閉鎖空間を形成することができる。従って、収納する対象物の容積が変わっても、それに応じて断熱閉鎖空間の容積を変更することができ、比熱の高い空気が断熱閉鎖空間内に存在することを抑制することができるので、断熱効率の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器において、蓋体50は、複数の部分(第一部分50A、第二部分50B)に分割されるとともにこれら部分同士が連結弾性部52で連結されることによって構成されている。そして、蓋体50は、連結弾性部52が圧縮されることにより部分同士の間隔が狭められてその投影面積が縮小される一方、連結弾性部52の圧縮が開放されることにより部分同士の間隔が広げられてその投影面積が拡大される。かかる構成を有する蓋体50は、容器本体10の収納空間13に挿入される際には連結弾性部52を圧縮して投影面積を小さくしておき、その後、収納空間13内で連結弾性部52の圧縮を開放して投影面積を大きくしてその周縁部51(若しくは周縁弾性部53)を容器本体10の側壁12に密着させることができる。
【0070】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器においては、蓋体50の周縁部51の一部に周縁弾性部53が設けられているため、容器本体10の収納空間13に挿入される際に蓋体50の周縁弾性部53を圧縮して投影面積を小さくしておき、その後、収納空間13内で周縁弾性部53の圧縮を開放し投影面積を大きくして周縁部51(周縁弾性部53が設けられている周縁部51については周縁弾性部53)を側壁12の内面に密着させることができる。
【0071】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器においては、蓋体50の複数の部分の表面に、使用者によって把持される把持部54を設けているため、使用者は、蓋体50を構成する部分の表面に設けられた把持部54を把持して蓋体50を変形させることができる。従って、蓋体50の変形(連結圧縮部52の圧縮及び圧縮開放)が容易となる。
【0072】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0073】
1…断熱容器
10…容器本体
11…底壁
12…側壁
13…収納空間
14…開口部
14A・14B…対応辺(蓋体の第二方向に沿った辺に対応する辺)
20・30・40・50…蓋体
20A~D・30A~B・40A~C・50A~B…複数の部分
21・31・41・51…周縁部
21A・21B…第二方向に沿った辺
21C…第一辺
21D…第二辺
22・52…連結弾性部
23・33・54・・把持部
24…第一突出部
25…第二突出部
32・43…ヒンジ部
42・53…周縁弾性部
…第一方向
…第二方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20