(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】貫通孔をシールするためのシールコンポーネント、電池単体を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/645 20210101AFI20231117BHJP
H01M 50/308 20210101ALI20231117BHJP
【FI】
H01M50/645
H01M50/308
(21)【出願番号】P 2022568634
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2021105758
(87)【国際公開番号】W WO2022188323
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】202110262539.4
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 新祥
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 于▲煉▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 守君
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146587(JP,A)
【文献】特開2014-175143(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111490192(CN,A)
【文献】特開2018-185969(JP,A)
【文献】特開2015-082439(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106450070(CN,A)
【文献】中国実用新案第211980653(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/60-50/77
H01M 50/30-50/392
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池単体の貫通孔をシールするためのシールコンポーネントであって、
前記貫通孔内に設けられ、キャビティと、前記キャビティに連通する開口とを有するシールスリーブと、
前記キャビティ内に設けられ、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔を有する弾性スリーブと、
前記第1の取付孔内に設けられ、前記弾性スリーブに螺接されることで、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させて前記シールスリーブを押圧し、前記弾性スリーブの外壁に前記シールスリーブを前記貫通孔にかしめる隆起部が形成される中間ロッドとを含
み、
前記弾性スリーブの内壁の前記開口から離れた一端には、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させるように前記中間ロッドによって押圧され得るように配置された突起構造が設けられている、シールコンポーネント。
【請求項2】
前記シールスリーブは、前記開口と対向して設けられたシール端をさらに有する、請求項1に記載のシールコンポーネント。
【請求項3】
前記中間ロッドが前記弾性スリーブに設けられていない場合、前記第1の取付孔内には、内径が異なる位置がある、請求項1又は2に記載のシールコンポーネント。
【請求項4】
前記中間ロッドが前記弾性スリーブに設けられていない場合、少なくとも一部の前記第1の取付孔の内径は、前記シールスリーブの前記開口の一端から前記開口と対向する一端に向かう第1の方向に沿って次第に減少する、請求項3に記載のシールコンポーネント。
【請求項5】
前記シールスリーブは、第1のヘッド部と、第1の本体部とを含み、前記第1の本体部は、前記開口と前記キャビティとを有し、前記第1のヘッド部は、前記開口の外縁を囲んで設けられ、前記第1の本体部は、前記貫通孔内に設けられ、前記第1のヘッド部は、前記貫通孔外に固定されるためのものである、請求項1~
4のいずれか1項に記載のシールコンポーネント。
【請求項6】
前記弾性スリーブは、第2のヘッド部と、第2の本体部とを含み、前記第2の本体部には、前記第1の取付孔が設けられ、前記第2のヘッド部は、前記第1の取付孔の外縁を囲んで設けられ、前記第2の本体部は、前記キャビティ内に設けられ、前記第2のヘッド部は、少なくとも部分的に前記第1のヘッド部を覆う、請求項
5に記載のシールコンポーネント。
【請求項7】
前記第2の本体部は、少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、前記貫通孔の軸線方向に前記第2の本体部の前記開口から離れた一端から他端へ延び、且つ前記貫通孔の径方向に前記第2の本体部を貫通し、前記スリットは、前記第2の本体部の前記貫通孔の径方向に沿う膨張を実現するためのものである、請求項
6に記載のシールコンポーネント。
【請求項8】
前記中間ロッドは、第3のヘッド部と、第3の本体部とを含み、前記第3のヘッド部は、前記第3の本体部の一側に設けられ、前記第3の本体部は、前記第1の取付孔内に設けられ、前記第3のヘッド部は、少なくとも部分的に前記第2のヘッド部を覆う、請求項
6又は
7に記載のシールコンポーネント。
【請求項9】
前記第3の本体部の外壁と前記第2の本体部の内壁とが螺接される、請求項
8に記載のシールコンポーネント。
【請求項10】
前記シールコンポーネントは、
前記貫通孔の外に設けられ、前記弾性スリーブと前記シールスリーブとを固定接続するための外側スリーブをさらに含む、請求項
8又は
9に記載のシールコンポーネント。
【請求項11】
前記外側スリーブは、第2の取付孔を有し、前記第1のヘッド部と前記第2のヘッド部はいずれも前記第2の取付孔内に固定される、請求項
10に記載のシールコンポーネント。
【請求項12】
前記外側スリーブの内壁と前記第1のヘッド部とが螺接され、及び/又は、
前記外側スリーブの内壁と第2のヘッド部とが螺接される、請求項
10又は
11に記載
のシールコンポーネント。
【請求項13】
前記外側スリーブの前記第3のヘッド部に近い一端の表面と、前記第2のヘッド部の前記第3のヘッド部に近い一端の表面とが面一になる、請求項
10~
12のいずれか1項に記載のシールコンポーネント。
【請求項14】
前記第3のヘッド部は、少なくとも部分的に前記外側スリーブの前記第3のヘッド部に近い一端を覆う、請求項
10~
13のいずれか1項に記載のシールコンポーネント。
【請求項15】
前記外側スリーブの前記貫通孔に近い一端は、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びるリミット部を有し、前記第1のヘッド部と前記第2のヘッド部は、前記リミット部と前記第3のヘッド部との間に設けられる、請求項
10~
14のいずれか1項に記載のシールコンポーネント。
【請求項16】
前記弾性スリーブの硬度は、前記シールスリーブの硬度よりも大きい、請求項1~
15のいずれか1項に記載のシールコンポーネント。
【請求項17】
電池単体に設けられるエンドキャップコンポーネントであって、
注液するための貫通孔を有するエンドキャップと、
前記貫通孔をシールするための請求項1~
16のいずれか1項に記載のシールコンポーネントとを含む、エンドキャップコンポーネント。
【請求項18】
電池単体であって、
一端に開口が設けられたケースと、
前記ケースの開口をカバーするための請求項
17に記載のエンドキャップコンポーネントとを含む、電池単体。
【請求項19】
電池であって、
少なくとも1つの請求項
18に記載の電池単体を含む複数の電池単体を含む、電池。
【請求項20】
電気エネルギーを提供するための請求項
19に記載の電池を含む、電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年3月10日に提出された、発明の名称が「貫通孔をシールするためのシールコンポーネント、電池単体を製造する方法及び装置」である中国特許出願CN202110262539.4の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、充電電池分野に関し、より具体的には、貫通孔をシールするためのシールコンポーネント、電池単体を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電池単体は、構造の封止性に対する要求が極めて高い。使用中に電解液が滲出して周囲の空気と環境を汚染してはならない。また、水蒸気が電池単体の内部に進入して電解液と反応して電池単体の寿命を低下させてはならない。このため、従来は、電池単体の電解液注入が完了した後、電池単体のシール性を確保するために、一般的に貫通孔を完全に封止する操作が必要であった。どのようにこの貫通孔のシール効果を高めるかは、現在解決が望まれる課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施例は、電池単体上の貫通孔のシール性能を向上できる、貫通孔をシールするためのシールコンポーネント、電池単体を製造する方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によるシールコンポーネントは、貫通孔をシールするためのシールコンポーネントであって、前記シールコンポーネントは、前記貫通孔内に設けられ、キャビティと、前記キャビティに連通する開口とを有するシールスリーブと、前記キャビティ内に設けられ、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔を有する弾性スリーブと、前記第1の取付孔内に設けられ、前記弾性スリーブに螺接されることで、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させて前記シールスリーブを押圧し、前記弾性スリーブの外壁に前記シールスリーブを前記貫通孔にかしめる隆起部が形成される中間ロッドとを含む。
【0006】
従って、本出願の実施例による貫通孔をシールするためのシールコンポーネントでは、中間ロッドを弾性スリーブの第1の取付孔内に設ける際、弾性スリーブを貫通孔の径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブを押圧して、シールスリーブと貫通孔とを締まり嵌めすることにより、この貫通孔をシールする目的を達成することができる。同時に、このような径方向の押圧により、シールスリーブと弾性スリーブの電池単体の内部に位置する部分が押圧後に貫通孔に対して外返り、外返った弾性スリーブが隆起部を形成し、且つ、それに応じて、シールスリーブに突起部が形成されることで、シールコンポーネントのこの突起部に対応する直径が貫通孔の直径よりも大きいようにし、さらに貫通孔と係止固定して、このシールコンポーネントが貫通孔の軸方向に沿って安定的に固定されることを確保する。また、中間ロッドと弾性スリーブとの間は螺接を用いたので、各部材を破損することなく、このシールコンポーネントを迅速に取り外すことができる。このように、このシールコンポーネントを用いて電池単体上の注液孔をシールする場合を例にして、電池単体の注液又は補液の前後での外観の一致を保つことができ、且つ電池単体のシール性を保つことができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記シールスリーブは、前記開口と対向して設けられたシール端をさらに有する。それにより、このシールコンポーネントのシール性をさらに向上させる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記中間ロッドが前記弾性スリーブに設けられていない場合、前記第1の取付孔内には、内径が異なる位置がある。
【0009】
いくつかの実施例では、前記中間ロッドが前記弾性スリーブに設けられていない場合、少なくとも一部の前記第1の取付孔の内径は、前記シールスリーブの前記開口の一端から前記開口と対向する一端に向かう第1の方向に沿って次第に減少する。
【0010】
このように、このシールコンポーネントを取り付ける際に、中間ロッドが第1の取付孔内に下方へ移動する過程において、弾性スリーブの内径が次第に減少するので、弾性スリーブは、中間ロッドによって押圧されて外返り、つまり、弾性スリーブを径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブを押圧して、シールスリーブと貫通孔との間にシールを形成する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記弾性スリーブの内壁の前記開口から離れた一端には、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させるように前記中間ロッドによって押圧され得るように配置される突起構造が設けられている。
【0012】
このように、このシールコンポーネントを取り付ける際に、中間ロッドが第1の取付孔内に下方へ移動する過程において、この突起構造は、径方向に沿って膨張するように中間ロッドによって押圧される可能であり、それにより、弾性スリーブを貫通孔の径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブを押圧してシールスリーブと貫通孔との間にシールを形成する。また、このような径方向の膨張により、弾性スリーブの電池単体内部に近い一端が貫通孔に対して外返って隆起部を形成し、且つ、それに応じて、シールスリーブに突起部が形成されることで、シールコンポーネントのこの突起部に対応する部分の直径が貫通孔の直径よりも大きいようにし、さらにこの貫通孔と係止固定して、シールコンポーネントが貫通孔の軸方向に沿って安定的に固定されることを確保する。
【0013】
いくつかの実施例では、前記シールスリーブは、第1のヘッド部と、第1の本体部とを含み、前記第1の本体部は、前記開口と前記キャビティとを有し、前記第1のヘッド部は、前記開口の外縁を囲んで設けられ、前記第1の本体部は、前記貫通孔内に設けられ、前記第1のヘッド部は、前記貫通孔外に固定されるためのものである。
【0014】
いくつかの実施例では、前記弾性スリーブは、第2のヘッド部と、第2の本体部とを含み、前記第2の本体部には、前記第1の取付孔が設けられ、前記第2のヘッド部は、前記第1の取付孔の外縁を囲んで設けられ、前記第2の本体部は、前記キャビティ内に設けられ、前記第2のヘッド部は、少なくとも部分的に前記第1のヘッド部を覆う。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第2の本体部は、少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、前記貫通孔の軸線方向に前記第2の本体部の前記開口から離れた一端から他端へ延び、前記貫通孔の径方向に前記第2の本体部を貫通し、前記スリットは、前記第2の本体部の前記貫通孔の径方向に沿う膨張を実現するためのものである。
【0016】
いくつかの実施例では、前記中間ロッドは、第3のヘッド部と、第3の本体部とを含み、前記第3のヘッド部は、前記第3の本体部の一側に設けられ、前記第3の本体部は、前記第1の取付孔内に設けられ、前記第3のヘッド部は、少なくとも部分的に前記第2のヘッド部を覆う。
【0017】
いくつかの実施例では、前記第3の本体部の外壁と前記第2の本体部の内壁とが螺接される。
【0018】
螺接では取り外し易いので、第3の本体部と第2の本体部との螺接により、中間ロッドと弾性スリーブとの間の迅速な脱着を実現でき、さらに、シールコンポーネントとエンドキャップとの間の迅速な脱着を実現することもできる。
【0019】
いくつかの実施例では、前記シールコンポーネントは、前記貫通孔外に設けられ、前記弾性スリーブ及び前記シールスリーブに固定接続される外側スリーブをさらに含む。
【0020】
外側スリーブは、シールスリーブと弾性スリーブが貫通孔の軸方向に沿って脱落しにくいようにすることができる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記外側スリーブは、第2の取付孔を有し、前記第1のヘッド部と前記第2のヘッド部は、いずれも前記第2の取付孔内に固定される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記外側スリーブの内壁と前記第1のヘッド部とが螺接され、及び/又は、前記外側スリーブの内壁と前記第2のヘッド部とが螺接される。
【0023】
螺接により、外側スリーブと、弾性スリーブ及びシールスリーブの各々との迅速な取り外しを実現することができる。
【0024】
いくつかの実施例では、前記外側スリーブの前記第3のヘッド部に近い一端の表面と、第2のヘッド部の前記第3のヘッド部に近い一端の表面とが面一になる。
【0025】
このように、中間ロッドの取り付けと固定を容易にし、中間ロッドの第3のヘッド部をより安定させることができる。
【0026】
いくつかの実施例では、前記第3のヘッド部は、少なくとも部分的に前記外側スリーブの前記第3のヘッド部に近い一端を覆う。それにより、中間ロッドは、この外側スリーブを固定し、外側スリーブが貫通孔の軸方向に沿って脱落するのを回避することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、前記外側スリーブの前記貫通孔に近い一端は、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びるリミット部を有し、前記第1のヘッド部と前記第2のヘッド部は、前記リミット部と前記第3のヘッド部との間に設けられる。
【0028】
このように、取り付け後の外側スリーブ、弾性スリーブ及びシールスリーブの間をより安定させることができ、弾性スリーブ及びシールスリーブが脱落しにくくなる。
【0029】
いくつかの実施例では、前記弾性スリーブの硬度は、前記シールスリーブの硬度よりも大きい。
【0030】
このように、電池単体が衝撃されたときに、弾性スリーブの材質が軟らかすぎることに起因してシールコンポーネントが貫通孔から脱出することがない。
【0031】
第2の態様によるエンドキャップコンポーネントは、電池単体に設けられるエンドキャップコンポーネントであって、注液するための貫通孔を有するエンドキャップと、前記貫通孔をシールするための、第1の態様又は第1の態様のうちのいずれかの実施例におけるシールコンポーネントとを含む。
【0032】
第3の態様による電池単体は、一端に開口が設けられたケースと、前記ケースの開口をカバーするための、第2の態様におけるエンドキャップコンポーネントとを含む。
【0033】
第4の態様による電池は、少なくとも1つの第3の態様における電池単体を含む複数の電池単体を含む。
【0034】
第5の態様による電力消費機器は、電気エネルギーを提供するための、第4の態様における電池を含む。
【0035】
いくつかの実施例では、前記電力消費機器は、車両、船舶、又は宇宙船である。
【0036】
第6の態様による方法は、電池単体を製造する方法であって、一端に開口が設けられたケースを提供することと、前記ケースの開口をカバーするためのエンドキャップコンポーネントであって、注液するための貫通孔を有するエンドキャップと、シールコンポーネントとを含むエンドキャップコンポーネントを提供することと、前記貫通孔内に設けられ、キャビティと、前記キャビティに連通する開口とを有するシールスリーブを提供することと、前記キャビティ内に設けられ、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔を有する弾性スリーブを提供することと、前記第1の取付孔内に設けられ、前記弾性スリーブに螺接されることで、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させて前記シールスリーブを押圧し、前記弾性スリーブの外壁に前記シールスリーブを前記貫通孔にかしめる隆起部が形成される中間ロッドを提供することとを含む。
【0037】
第7の態様による装置は、電池単体を製造する装置であって、上記第6の態様の方法を実行するモジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本出願の一実施例による車両の概略図である。
【
図2】本出願の一実施例による電池の概略図である。
【
図3】本出願の一実施例による電池モジュールの概略図である。
【
図4】本出願の一実施例による電池単体の構造概略図である。
【
図5】本出願の一実施例による電池単体の分解図である。
【
図6】本出願の一実施例によるエンドキャップのシールコンポーネントが設けられた部分領域の断面図である。
【
図7】
図6に示すシールコンポーネントの分解図である。
【
図8】本出願の一実施例によるエンドキャップの部分断面図である。
【
図9】本出願の一実施例によるシールスリーブの概略図である。
【
図10】本出願の一実施例による弾性スリーブの概略図である。
【
図11】本出願の一実施例による中間ロッドの概略図である。
【
図12】本出願の一実施例による弾性スリーブの異なる視点の概略図である。
【
図13】本出願の別の実施例によるエンドキャップのシールコンポーネントが設けられた部分領域の断面図である。
【
図14】本出願の別の実施例による弾性スリーブの概略図である。
【
図15】本出願のさらに別の実施例によるエンドキャップのシールコンポーネントが設けられた部分領域の断面図である。
【
図16】本出願のさらに別の実施例によるエンドキャップのシールコンポーネントが設けられた部分領域の断面図である。
【
図18】本出願の別の実施例によるシールスリーブの概略図である。
【
図19】本出願の一実施例による外側スリーブの概略図である。
【
図20】本出願の一実施例による取り付け後の外側スリーブ、弾性スリーブ及びシールスリーブの概略図である。
【
図21】本出願の一実施例による取り付け後の外側スリーブ、弾性スリーブ及びシールスリーブの概略図である。
【
図22】本出願の一実施例による電池単体を製造する方法の概略フローチャートである。
【
図23】本出願の一実施例による電池単体を製造する装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下は、添付図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を説明する。
【0040】
本出願の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例の図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明確に説明する。説明される実施例は、本出願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0041】
特に定義されない限り、本出願で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本出願において、出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記の図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と請求の範囲又は上記の図面における用語である「第1の」、「第2の」などは、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではない。
【0042】
本出願に言及される「実施例」は、実施例を結び付けながら説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書における各箇所に記載されたこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に説明された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ暗示的に理解できる。
【0043】
なお、本出願の説明において、特に明確に規定、限定されていない限り、用語「装着」、「繋がる」、「接続」、「外付け」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続されていてもよいし、着脱可能に接続されていてもよいし、又は一体化されてもよい。直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、両素子の内部の連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0044】
本出願において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0045】
本出願の実施例において、同一の符号は同一の構成要素を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の構成要素に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本出願の実施例における各部材の厚さ、長さ・幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ・幅などの寸法は、例示的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0046】
本出願に記載された「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味する。同じ理由により、「複数のグループ」は、2つのグループ以上(2つのグループを含む)を意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0047】
本出願において、電池単体は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例ではこれについて限定しない。電池単体は、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などを有してもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池単体は、一般的に、パッケージング方式によって、柱形電池単体、直方体角型電池単体及び軟質バッグ電池単体という3種類に分けられ、本出願の実施例ではこれについても限定しない。
【0048】
本出願の実施例に言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するための1つ又は複数の電池単体を含む単一の物理モジュールを意味する。例えば、本出願に言及される電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池は、一般的には、1つ又は複数の電池単体をパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池単体の充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0049】
電池単体は、正極板、負極板及びセパレータで構成される電極コンポーネントと、電解液とを含む。電池単体は、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極活物質層が塗布された集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層されている。セパレータの材質は、PP又はPEなどであってもよい。また、電極コンポーネントは、巻回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0050】
なお、上記の電池の筐体における各構成要素は、本出願の実施例を限定するものではなく、つまり、本出願の実施例の電池に用いられる筐体は、上記の構成要素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0051】
本出願の実施例に説明された技術案は、例えば、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、電動バイク、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶、宇宙船などの電池を用いた様々な装置に適用でき、例えば、宇宙船には、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙飛行船などが含まれる。
【0052】
なお、本出願の実施例に説明された技術案は、上記の機器に適用できるだけではなく、電池を用いた全ての機器にも適用可能である。但し、説明を簡潔にするために、下記の実施例はいずれも電動車両を例にして説明する。
【0053】
例えば、
図1に示すように、本出願の一実施例による車両1の構造概略図である。車両1は、ガソリン自動車、ガス自動車、又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車、又はレンジエクステンダー車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40と、コントローラ30と、電池10とが設けられてもよく、コントローラ30は、電池10がモータ40に給電するように制御するためのものである。例えば、車両1の底部又は先頭又は後尾に電池10を設けてもよい。電池10は、車両1への給電に用いられてもよい。例えば、電池10を車両1の動作電源とすることができ、車両1の電気回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本出願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0054】
異なる電力使用需要を満たすために、電池10は、複数の電池単体を含んでもよい。ここで、複数の電池単体同士は、直列又は並列又は直並列接続されてもよく、直並列接続されるとは、直列接続と並列接続の混合を意味する。電池10は、電池パックと呼ばれてもよい。任意選択的に、複数の電池単体は、先に直列又は並列又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列又は並列又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。つまり、複数の電池単体は、直接電池10を構成してもよいし、先に電池モジュールを構成して、電池モジュールがさらに電池10を構成してもよい。
【0055】
例えば、
図2は本出願の一実施例による電池10の構造概略図である。電池10は、複数の電池単体20を含んでもよい。電池10は、筐体(又はカバーと呼ばれる)をさらに含んでもよく、筐体内部が中空構造であり、複数の電池単体20が筐体内に収容される。
図2に示すように、筐体は2つの部分を含んでもよく、ここではそれぞれ第1の部分111と第2の部分112と呼び、第1の部分111と第2の部分112は、互いに係合される。第1の部分111と第2の部分112の形状は、複数の電池単体20を組み合わせた形状に応じて決定でき、第1の部分111と第2の部分112のうちの少なくとも一つは1つの開口を有する。例えば、第1の部分111と第2の部分112は、いずれも中空長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口とが対向して設けられ、且つ第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して、閉鎖されたチャンバを有する筐体を形成する。また、例えば、第1の部分111と第2の部分112のうち、一方のみが開口を有する中空長方体であり、他方が開口をカバーする板状であってもよい。例えば、ここで第2の部分112が中空長方体であり、且つ一面のみが開口面であり、第1の部分111が板状である場合を例にすると、第1の部分111は、第2の部分112の開口をカバーすることにより、閉塞されたチャンバを有する筐体を形成し、このチャンバは、複数の電池単体20を収容するために用いることができる。複数の電池単体20は、互いに並列又は直列又は直並列接続されて組み合わせた後、第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して形成した筐体内に置かれる。
【0056】
任意選択的に、電池10は、他の構造をさらに含んでもよい。例えば、この電池10は、複数の電池単体20同士の電気的接続、例えば、並列又は直列又は直並列接続を実現するためのバスバー部材をさらに含んでもよい。具体的に、バスバー部材は、電池単体20の電極端子に接続されることで電池単体20同士の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部材は、溶接により電池単体20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池単体20の電気エネルギーは、さらに導電手段により筐体を貫通して導出することができる。任意選択的に、導電手段は、バスバー部材に属するものであってもよい。
【0057】
異なる電力需要に応じて、電池単体20の数を任意の数値に設定してもよい。複数の電池単体20を直列、並列、又は直並列接続することにより、比較的大きい容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池単体20の数は比較的多い場合があるため、取り付けを容易にするために、電池単体20をグループ化して設置し、各グループの電池単体20が電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールに含まれる電池単体20の数は限定されず、需要に応じて設ければよい。例えば、
図3は電池モジュールの一例である。電池は、複数の電池モジュールを含んでもよく、これら電池モジュールは、直列、並列、又は直並列に接続することができる。
【0058】
以下、いずれかの電池単体について詳細に説明する。
図4は、本出願の一実施例による電池単体20の構造概略図である。
図5は、対応する
図4におけるこの電池単体20の分解図である。
図4及び
図5に示すように、電池単体20は、1つ又は複数の電極コンポーネント22と、ケース24と、エンドキャップコンポーネント21とを含む。ここで、ケース24は、1つ又は複数の電極コンポーネント22を組み合わせた形状によって決定される。例えば、ケース24は、中空長方体又は立方体又は円柱体であり、且つケース24のうちの1つの面が開口を有する。それにより、1つ又は複数の電極コンポーネント22をケース24内に置けることができる。例えば、ケース24が中空長方体又は立方体である場合、ケース24のうちの1つの平面が開口面である。即ち、この平面は壁体を有さず、ケース24の内外を連通させる。ケース24が中空の円柱体であり得る場合、ケース24の端面が開口面である。即ち、この端面は壁体を有さず、ケース24の内外を連通させる。エンドキャップコンポーネント21はエンドキャップ211を含み、エンドキャップ211は、開口を覆い、ケース24に接続される。それにより、電極コンポーネント22が置かれる閉鎖されたチャンバを形成する。ケース24内には、電解質、例えば、電解液が充填されている。
【0059】
この電池単体20のエンドキャップコンポーネントは、2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214は、エンドキャップ上211に設けられてもよい。エンドキャップ211は、一般的に平板形状であり、2つの電極端子214は、エンドキャップ211の平板面に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ正極端子と負極端子である。各電極端子214には、それぞれ1つの連結部材23(又は集電部材23とも呼ばれる)が対応して設けられ、それは、エンドキャップ211と電極コンポーネント22との間に位置し、電極コンポーネント22と電極端子214とを電気的に接続するためのものである。
【0060】
任意選択的に、需要に応じて、電極端子214の設置方式は異なってもよく、例えば、2つの電極端子214は、異なる2つのエンドキャップ211に設けられてもよい。
【0061】
図4及び
図5に示すように、各電極コンポーネント22は、第1のタブ221と、第2のタブ222とを有する。第1のタブ221と第2のタブ222は、極性が反対である。例えば、第1のタブ221が正極タブである場合、第2のタブ222は負極タブである。1つ又は複数の電極コンポーネント22の第1のタブ221は、1つの連結部材23を介して一方の電極端子214に接続され、例えば、正極端子に接続される。1つ又は複数の電極コンポーネント22の第2のタブ222は、他の連結部材23を介して他方の電極端子214に接続され、例えば、負極端子に接続される。
【0062】
この電池単体20では、実際の使用需要に応じて、電極コンポーネント22を1つ設けてもよいし、複数設けてもよい。
図5に示すように、電池単体20内には、2つの独立した電極コンポーネント22が設けられる。
【0063】
任意選択的に、電池単体20のエンドキャップコンポーネント21に圧力逃がし機構213をさらに設けてもよい。圧力逃がし機構213は、電池単体20の内圧又は温度が閾値に達したときに作動して内圧又は温度を逃がすためのものである。
【0064】
図4及び
図5に示すように、この電池単体20のエンドキャップコンポーネント21には、貫通孔212と、この貫通孔をシールするシールコンポーネント215とがさらに設けられている。任意選択的に、この貫通孔212は、注液孔又は他の用途の孔であってもよく、例えば、排気孔であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0065】
電池単体20は構造の封止性に対する要求が極めて高いことを考慮する。使用中に電解液が滲出して周囲の空気と環境を汚染してはならない。また、水蒸気が電池単体20の内部に進入して電解液と反応して電池単体20の寿命を低下させてはならない。従って、このシールコンポーネント215のシール性によるこの電池単体20の性能に対する影響が比較的大きく、シールコンポーネント215による貫通孔212に対するシール効果を高めることは、現在解決が望まれる課題である。
【0066】
また、この貫通孔212が注液孔である場合を例にして、電池単体20の電解液の注液は、一般的には、乾燥環境で行う必要があり、乾燥環境の製造に多大なエネルギーを消費する必要があり、製造コストが大幅に上昇する。電池単体20の完成品のシール性を確保するために、現在では、注液孔をシールするには、通常、レーザー溶接方式を採用して、この注液孔を完全に封止する。しかしながら、電池単体20は、使用中に、充放電サイクルを複数回経るため、電池単体20の内部の電解液の一部が不可逆的に反応消費されることが避けられず、それに伴い、電池単体20の使用容量が低下する。電池単体20を一定期間使用した後、電池単体20に電解液を補充することができれば、電池単体20の容量低下の程度を効果的に緩和し、電池単体20の耐用年数を延長することができる。しかし、溶接方式で注液孔をシールするため、この電池単体20を一定期間使用した後に電解液を補充すると、レーザー溶接継目構造を壊す必要がある。よって、補液ができても電池単体20の構造が不可逆的な損傷を受けるため、外観上、出荷状態に戻すことができず、ユーザエクスペリエンスに影響する。
【0067】
このため、本出願の実施例は、上記課題を解決できる貫通孔をシールするためのシールコンポーネントを提供する。
【0068】
なお、本出願の実施例によるシールコンポーネントは、貫通孔をシールするために用いることができる。例えば、以下は、シールコンポーネントが上記の
図5に示すエンドキャップ211上の貫通孔212をシールするために用いられる場合を例にして説明する。
図6には、本出願の実施例によるエンドキャップ211のシールコンポーネント215が設けられた部分領域の断面図が示される。
図7には、本出願の実施例によるシールコンポーネント215の分解図が示される。
図8には、本出願の実施例による貫通孔212の位置するエンドキャップ211の部分断面図が示される。
【0069】
図6乃至
図8に示すように、本出願の実施例によるシールコンポーネント215は、貫通孔212内に設けられ、キャビティと、キャビティに連通する開口511とを有するシールスリーブ510と、シールスリーブ510のキャビティ内に設けられ、貫通孔212の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔521を有する弾性スリーブ520と、第1の取付孔521内に設けられ、弾性スリーブ520に螺接されることで、弾性スリーブ520を貫通孔212の径方向に沿って膨張させてシールスリーブ510を押圧し、この弾性スリーブ520の外壁に前記シールスリーブ510を貫通孔212にかしめる隆起部525を形成する中間ロッド530と、を含んでもよい。
【0070】
図6に示すように、中間ロッド530が第1の取付孔521内に取り付けられる際に、弾性スリーブ520は、貫通孔212の径方向に沿って膨張するとともに、径方向に沿って外部のシールスリーブ510を押圧して、シールコンポーネント215と貫通孔212とを締まり嵌めすることにより、貫通孔212のシールを実現することができる。また、シールコンポーネント215の高さは、貫通孔212の深さよりも大きいように設定される。このように、中間ロッド530が第1の取付孔521内に設けられた場合、
図6において弾性スリーブ520の下端が貫通孔212を超えて電池単体20の内部に突入する部分に対して、弾性スリーブ520の外壁は、中間ロッド530の作用で貫通孔212に対して突出する隆起部525を形成し、この隆起部525により、シールスリーブ510の下端部分にも突起部515が形成され、この隆起部525と突起部515により、シールスリーブ510が貫通孔212にかしめされる。それにより、シールコンポーネント215の貫通孔212の軸線方向に対する固定とシールを実現し、シールコンポーネント215が貫通孔212の軸線方向に沿って脱落することを回避する。
【0071】
従って、本出願の実施例による貫通孔212をシールするためのシールコンポーネント215では、中間ロッド530を弾性スリーブ520の第1の取付孔521内に設ける際、弾性スリーブ520を貫通孔212の径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブ510を押圧して、シールスリーブ510と貫通孔212とを締まり嵌めすることにより、この貫通孔212をシールする目的を達成することができる。同時に、このような径方向の押圧により、シールスリーブ510の電池単体20の内部に位置する部分が押圧後に貫通孔212に対して外返り、外返った弾性スリーブ520が隆起部525を形成し、且つ、それに応じて、シールスリーブ510に突起部515が形成されることで、シールコンポーネント215のこの突起部515に対応する直径が貫通孔212の直径よりも大きいようにし、さらに貫通孔212と係止固定して、このシールコンポーネント215の構成が貫通孔212の軸方向に沿って安定的に固定されることを確保する。また、中間ロッド530と弾性スリーブ520との間は螺接を用いたので、各部材を破損することなく、このシールコンポーネント215を迅速に取り外すことができる。このように、このシールコンポーネント215を用いて電池単体20上の注液孔をシールする場合を例にして、電池単体20の注液又は補液の前後での外観の一致を保つことができ、且つ電池単体20のシール性を保つことができる。
【0072】
以下、図面を結び付けながらこのシールコンポーネント215の各部材を詳細に説明する。
【0073】
図9には、本出願の実施例によるシールスリーブ510の概略図が示され、そのうち、
図9における左側はシールスリーブ510の上面図であり、右側は、シールスリーブ510の左側の図に示すA-A’方向断面図である。
図9に示すように、このシールスリーブ510は、一端に開口511を有する中空構造であり、シールスリーブ510のキャビティ512と開口511とは連通しており、且つ、貫通孔212内にこのシールスリーブ510を取り付ける際に、開口511は、電池単体20の外部に向けられる。それにより、この開口511を介してこのキャビティ512内に弾性スリーブ520を取り付け続ける。
【0074】
具体的には、
図9に示すように、このシールスリーブ510は、第1のヘッド部513と第1の本体部514とを含んでもよく、そのうち、この第1のヘッド部513とこの第1の本体部514は、一体構造であってもよい。第1の本体部514は、開口511とキャビティ512とを有し、第1のヘッド部513は、開口511の外縁を囲んで設けられ、第1の本体部514は、貫通孔212内に設けられ、第1のヘッド部513は、貫通孔212外に固定されるためのものである。
【0075】
なお、本出願の実施例における第1の本体部514は貫通孔212内に設けられるため、この第1の本体部514の外形は、貫通孔212と一致する。例えば、電池単体20の貫通孔212が通常円形に設けられることを考慮すると、第1の本体部514の外形は、貫通孔212に合うように、それに応じて円筒形に設けられてもよい。また、第1の本体部514の内部のキャビティ512の形状と第1のヘッド部513の形状は、実際の応用に応じて設けられてもよく、例えば、円形に設けられてもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0076】
図8及び
図9に示されることを結び付けて、このシールスリーブ510の第1のヘッド部513は、貫通孔212の外に設けられてもよい。即ち、エンドキャップ211の電池単体20の外部に向かう上面に設けられてもよい。任意選択的に、エンドキャップ211の表面には、凹溝2111があってもよく、この凹溝2111の開口は、電池単体20の外部に向かい、この貫通孔212は、この凹溝2111の底壁に設けられてもよく、この第1のヘッド部513は、この凹溝2111内に設けられてもよい。そのうち、この凹溝2111の深さは、この第1のヘッド部513の厚さよりも小さくてもよいし、等しくてもよく、又は大きくてもよい。また、この凹溝2111の底壁の電池単体20の内部に向かう下面と、エンドキャップ211の電池単体20の内部に向かう内面とが面一になってもよい。又は、
図8に示すように、この凹溝2111の底壁の下面は、エンドキャップ211の内面に対して電池単体20の内部に向かって凹んでもよい。このように、凹溝2111の底壁の厚さを厚くして、この凹溝2111の強度を高めることができる。
【0077】
図9に示すように、本出願の実施例におけるこのシールスリーブ510の開口511と対向する他端が封止されるように設けられてもよい。又は、
図9とは異なり、他端が開口するように設けられてもよい。このシールスリーブ510の開口511と対向する他端が電池単体20の内部に設けられるため、この他端が封止されるように設けられる場合、このシールコンポーネント215のシール性能を向上させることができる。
【0078】
また、このシールスリーブ510の開口511と対向する他端が封止されるように設けられる場合、
図9に示すように、この第1の本体部514の下部分は、中空領域5141として設けられてもよい。例えば、中空領域5141は、
図9に示すように、三角形として設けられてもよく、又は他の形状として設けられてもよい。具体的には、中間ロッド530と弾性スリーブ520をシールスリーブ510のキャビティ512内に設けると、このシールスリーブ510の第1の本体部514を押圧して、シールスリーブ510の第1の本体部514と貫通孔212の内壁との間に圧縮シールを形成することを考慮すると、このシールスリーブ510の開口511と対向する他端が封止されるように設ける場合、局所的な変形が大き過ぎることに起因して、第1の本体部514が構造的に破断することを防止するために、この第1の本体部514の下部分に中空領域5141があるように設けてもよい。
図6及び
図9に示されることを結び付けて、弾性スリーブ520がキャビティ512内に取り付けられる際に、この中空領域5141には到達せず、弾性スリーブ520が径方向に沿って膨張するに伴い、この中空領域5141は変形して、シールスリーブ510の突起部515を形成することができ、この中空領域5141は、局所的な変形が大き過ぎることに起因する第1の本体部514の破断を回避することができる。
【0079】
なお、
図9に示すように、この第1の本体部514は、等壁厚の構造であってもよい。即ち、第1の本体部514の、貫通孔212の内壁と接触する部分の壁厚は、下部分の中空領域5141の壁厚と等しくてもよい。又は、この第1の本体部514の壁厚は、不均一に設けられてもよい。例えば、実際の応用に応じて、この第1の本体部514の局所的な壁厚を厚くしてもよいが、本出願の実施例は、これに限定されるものではない。
【0080】
このシールスリーブ510の一部が電池単体20の内部に設けられ、電解液と接触することを考慮して、このシールスリーブ510として、電解液に耐える高分子絶縁材料を選択してもよい。例えば、フッ素ゴム又はエチレンプロピレンゴムを選択してもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0081】
図10には、本出願の実施例による弾性スリーブ520の概略図が示され、そのうち、
図10における左側は弾性スリーブ520の上面図であり、右側は、弾性スリーブ520の左側の図に示すB-B’方向断面図である。
図11には、本出願の実施例による中間ロッド530の概略図が示され、そのうち、
図11における左側は中間ロッド530の上面図であり、右側は、中間ロッド530の左側の図に示すC-C’方向断面図である。
図10及び
図11に示すように、本出願の実施例の弾性スリーブ520は、シールスリーブ510のキャビティ512内に設けられ、弾性スリーブ520は、貫通孔212の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔521を有し、この第1の取付孔521は、中間ロッド530を取り付けるために用いることができる。中間ロッド530と弾性スリーブ520とが螺接されており、中間ロッド530が第1の取付孔521内に設けられたとき、弾性スリーブ520を貫通孔212の径方向に沿って膨張させることにより、外側のシールスリーブ510を押圧することができ、シールスリーブ510は、押圧されて変形し、且つシールスリーブ510と貫通孔212とが締まり嵌めし、それにより、貫通孔212をシールする。
【0082】
任意選択的に、本出願の実施例による中間ロッド530の材料として、変形しにくい高強度金属を選択してもよい。弾性スリーブ520は、中間ロッド530の作用で径方向に膨張するため、弾性スリーブ520として、弾性を有する材料を選択してもよく、例えば、バネ鋼、ベリリウム青銅などの強度が高く、弾性に優れた金属材料を選択してもよい。また、例えば、同等の力学的性能を有する高分子材料を選択してもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0083】
また、中間ロッド530と弾性スリーブ520としていずれも金属材料を選択した場合、中間ロッド530が弾性スリーブ520に対して相対移動する過程において、両者が摩擦して金属屑が発生するおそれがあることを考慮して、シールスリーブ510の電池単体20の内部に近い一端が封止されるように設けることにより、発生した金属屑が電池単体20の内部に落下することを防止し、さらに、この金属屑により電池単体20がショートして制御不能になることを防止することができる。
【0084】
具体的に、
図6、
図10及び
図11に示すように、本出願の実施例の弾性スリーブ520は、第2のヘッド部522と第2の本体部523とを含んでもよく、中間ロッド530は、第3のヘッド部531と第3の本体部532とを含んでもよい。そのうち、この第2のヘッド部522とこの第2の本体部523は、一体構造であってもよく、第3のヘッド部531と第3の本体部532は一体構造であってもよい。第2の本体部523には、第1の取付孔521が設けられ、第2のヘッド部522は、第1の取付孔521の外縁を囲んで設けられ、第3のヘッド部531は、第3の本体部532の一側に設けられる。取り付ける際に、第2の本体部523は、キャビティ512内に設けられ、第2のヘッド部522は、少なくとも部分的に第1のヘッド部513を覆い、第3の本体部532は、第1の取付孔521内に設けられ、第3のヘッド部531は、少なくとも部分的に第2のヘッド部522を覆う。
【0085】
なお、本出願の実施例における第2の本体部523はキャビティ512内に設けられるため、この第2の本体部523の外形はキャビティ512の形状と一致する。例えば、キャビティ512は円筒形であってもよく、それに応じて、第2の本体部523の外形も円筒形に設けられてもよい。同様に、本出願の実施例における第3の本体部532は第1の取付孔521内に設けられるため、この第3の本体部532の形状は、第1の取付孔521と一致する。例えば、第1の取付孔521は、円筒形であってもよく、それに応じて、第3の本体部532の外形も円筒形に設けられてもよい。また、第2のヘッド部522と第3のヘッド部531の形状は、実際の応用に応じて設けることができ、例えば、
図10及び
図11に示すように、第2のヘッド部522と第3のヘッド部531の形状は、いずれも円筒形に設けてもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0086】
本出願の実施例における弾性スリーブ520と中間ロッド530とが螺接され、即ち、第3の本体部532の外壁と第2の本体部523の内壁とが螺接されてもよい。螺接では取り外し易いので、このシールコンポーネント215とエンドキャップ211との間の迅速な着脱を実現することができる。任意選択的に、弾性スリーブ520と中間ロッド530との間のネジ山は、セルフロック効果を有するネジ山を選択してもよい。それにより、電池単体20の使用中にシールコンポーネント215が振動を受ける際に、中間ロッド530と弾性スリーブ520との間で緩みが生じにくく、シールコンポーネント215の電池単体20の内部に位置する一端の隆起部がなくならないことを確保することができる。それにより、シールコンポーネント215を貫通孔212内に良好に固定封止することができ、このシールコンポーネント215のシール性及び安定性を向上させることができる。
【0087】
任意選択的に、
図10及び
図11に示すように、この中間ロッド530の第3のヘッド部531の外面にインターフェース5311が設けられてもよく、このインターフェース5311は、外部の工具を挿入するための工具汎用インターフェースである。このように、この工具により、中間ロッド530が第1の取付孔521内でこの第1の取付孔521の軸線回りに回転することを実現できる。第3の本体部532の外壁と第2の本体部523の内壁とが螺接されるため、このねじ山により、中間ロッド530の外部工具の作用での軸回りの回転を軸方向の上下移動に変換することを実現することができ、さらに、シールコンポーネント215の取り付け及び取り外しを実現することができる。任意選択的に、このインターフェース5311は、実際の応用に応じて任意の形状に設けられてもよい。例えば、取り付けに用いる工具に応じて、このインターフェース5311は、
図10に示される十字状に設けられてもよく、又は、一字状若しくは他の汎用構造形状に設けられてもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0088】
なお、
図10及び
図11に示すように、取り付ける際に、中間ロッド530が第1の取付孔521内で下方に移動すると、弾性スリーブ520は、第1の取付孔521の径方向に沿って膨張する。ここで、この弾性スリーブ520の径方向の膨張は、第2の本体部523に設けられたスリットによって実現されることができる。具体的には、
図12には、本出願の実施例による弾性スリーブ520の異なる視角の概略図が示される。
図10及び
図12に示すように、第2の本体部523は、少なくとも1つのスリット5231を含んでもよい。いずれのスリット5231は、第1の取付孔521の軸線方向に、第2の本体部523の第2のヘッド部522から離れた一端から他端へ延在し、延在距離は、実際の応用に応じて設定してもよい。また、貫通孔212の径方向において、スリット5231は、第2の本体部523を貫通しており、スリット5231は、第2の本体部523が貫通孔212の径方向に沿って膨張することを実現することができる。
【0089】
任意選択的に、各弾性スリーブ520に1つ又は複数のスリット5231を設けてもよい。例えば、図面では4つのスリット5231を含む場合を例にする。そのうち、弾性スリーブ520に複数のスリット5231を設ける場合、この弾性スリーブ520の第2の本体部523は、複数の部分に分割されてもよく、さらに、この弾性スリーブ520の下部分の大きな角度の外返りを実現することができる。複数のスリット5231は、第2の本体部523に均一に分布されてもよく、即ち、複数のスリット5231の間の距離が同じであってもよい。さらに、複数のスリット5231は、例えば、
図12に示すように、対称に分布されてもよい。それにより、弾性スリーブ520の第2の本体部523を複数の対称な部材に分割する。
【0090】
本出願の実施例では、中間ロッド530の第3の本体部532の直径と弾性スリーブ520の第1の取付孔521の内径を設けることにより、弾性スリーブ520の径方向に沿って膨張する寸法を調節して、シールスリーブ510を押圧してシールを実現することができる。例えば、中間ロッド530が弾性スリーブ520内に取り付けられる時に弾性スリーブ520の径方向の膨張を実現するために、中間ロッド530が第1の取付孔521に取り付けられない場合、第3の本体部532の異なる位置での直径が同じである一方、弾性スリーブ520の第1の取付孔521の少なくとも一部の領域が異なる位置での内径が異なることを満たすように設けてもよい。又は、第3の本体部532の少なくとも一部の領域が異なる位置での直径が異なることを満たす一方、弾性スリーブ520の第1の取付孔521の異なる位置での内径が全て同じであるように設けてもよい。又は、第3の本体部532の少なくとも一部の領域が異なる位置での直径が異なることを満たし、且つ弾性スリーブ520の第1の取付孔521の少なくとも一部の領域も異なる位置での内径が異なることを満たすように設けてもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。説明の便宜上、本明細書では、第3の本体部532の異なる位置での直径が同じであるが、弾性スリーブ520の第1の取付孔521の少なくとも一部の領域が異なる位置での内径が異なることを満たす場合を例にする。
【0091】
任意選択的に、
図10及び
図11に示すように、中間ロッド530が第1の取付孔521内に取り付けられない場合、少なくとも一部の第1の取付孔521の内径が、第1の方向に沿って次第に減少するように設けてもよい。この第1の方向は、シールスリーブ510の開口511がある一端からこの開口511と対向する他端に向かう方向である。即ち、少なくとも一部の第1の取付孔521の内径が、電池単体20の外部から電池単体20の内部に向かって次第に減少する。このように、中間ロッド530が第1の取付孔521内で下方に移動する過程において、弾性スリーブ520の下部の内径が比較的小さいため、中間ロッド530によって押圧されて外返る。つまり、弾性スリーブ520を径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブ510を押圧して、シールスリーブと貫通孔212との間にシールを形成する。同時に、弾性スリーブ520の径方向の膨張によって、その下端が貫通孔212を越えた部分は、隆起部525を形成し、この隆起部525により、シールスリーブ510が貫通孔212にかしめされる。
【0092】
具体的には、
図10に示すように、内径の違いによって、第1の取付孔521を高さ方向に3段に分けてもよく、第1段は、電池単体20の外部に近く、第3段は、電池単体20の内部に近く、第2段は、第1段と第3段との間に位置する。第1段において、第1の取付孔521の異なる位置での内径は全て同じである。第3段において、第1の取付孔521の異なる位置での内径も全て同じである。しかし、第2段において、第1の取付孔521の内径は、第1段に近い側から第3段に近い側に向かって直線的に減少している。第1段における第1の取付孔521の内径は、第2段における第1の取付孔521の内径の最大値と等しく、第3段における第1の取付孔521の内径は、第2段における第1の取付孔521の内径の最小値と等しい。任意選択的に、本出願の実施例では、少なくとも一部の第1の取付孔521の内径が第1のヘッド部522に向かう一端から開口511から離れた一端に向かって次第に減少することは、
図10に示す場合、つまり、第1の取付孔521が上記の第1段乃至第3段を含む場合を指してもよい。又は、
図10に示す場合とは異なり、第1の取付孔521が上記の第2段を含むが、上記の第1段を含まない場合、又は第3段を含まない場合、又は第1段及び第3段を含まない場合を指してもよい。
【0093】
任意選択的に、第1の取付孔521の内壁に突起構造を設けることにより、第1の取付孔521の異なる位置での内径を異ならせてもよい。具体的に、
図13には、本出願の別の実施例によるエンドキャップ211のシールコンポーネント215が設けられた部分領域の断面図が示され、
図14は、
図13における弾性スリーブ520の可能な概略図である。そのうち、
図14における左側は弾性スリーブ520の上面図であり、右側は、弾性スリーブ520の左側の図に示すD-D’方向断面図である。なお、
図13と
図6との相違点は、弾性スリーブ520にある。
図13及び
図14に示すように、弾性スリーブ520の第1の取付孔521の内壁には、電池単体20に近い一端に突起構造524が設けられている。このように、中間ロッド530が第1の取付孔521内で下方に移動する過程において、この突起構造524は、中間ロッド530によって押圧されて、弾性スリーブ520を貫通孔212の径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブ510を押圧して、シールスリーブ510と貫通孔212との間にシールを形成することができる。また、このような径方向膨張により、弾性スリーブ520が外返って隆起部525を形成し、且つ、それに応じて、シールスリーブ510に突起部515が形成されることで、シールコンポーネント215のこの突起部515に対応する直径が貫通孔212の直径よりも大きいようにし、さらに貫通孔212と係止固定して、このシールコンポーネント215の構造が貫通孔212の軸方向に沿って安定的に固定されることを確保する。
【0094】
任意選択的に、この突起構造524は、弾性スリーブ520のエンドキャップ211を超えた部分にのみ設けられてもよい。それにより、突起構造524は、シールスリーブ510とエンドキャップ211とのかしめを実現することのみに用いられる。
【0095】
任意選択的に、この突起構造524の形状と寸法は、実際の応用に応じて設定してもよい。例えば、
図13及び
図14に示すように、突起構造524の断面を円弧状としてもよい。また、第2の本体部523の下半分が複数のスリット5231によって複数の部分に分割されていることを考慮して、それに応じて、複数の部分のうちの1つ又は複数の部分に、突起構造524を設けてもよい。例えば、図では第2の本体部523が4つの部分に分けられている場合を例にし、この4つの部分のうちの各部分にそれぞれ1つの突起構造524が設けられ、合計4つの突起構造524が設けられている。そのうち、この4つの突起構造524同士の形状、高さ方向における設置位置及び寸法は、同じであっても異なっていてもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。例えば、
図14では、4つの突起構造524同士の形状、高さ方向における設置位置及び寸法が全て同じである場合を例にする。それにより、この弾性スリーブ520の各部分が軸方向に沿って膨張する寸法も同じである。
【0096】
なお、
図13において、弾性スリーブ520の内壁に設けられた突起構造524と
図6における弾性スリーブ520の設置方式が異なる以外、残る部材は
図6と一致し、関連説明に適用される。簡潔のために、ここではこれ以上説明しない。
【0097】
任意選択的に、
図10及び
図14に示す2種類の第1の取付孔521の内径の設置方式に加えて、他の方式でこの第1の取付孔521の内径を設定してもよく、且つ、異なる方式を独立して用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、
図10及び
図14に示す2種類の第1の取付孔521の内径の設置方式は、それぞれ独立して用いてもよいし、又は、両者を組み合わせて、つまり、第1の取付孔521の内径が電池外部から電池内部に向かって次第に減少すると同時に、第1の取付孔521内に突起構造524を設けてもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0098】
なお、中間ロッド530が第1の取付孔521内に設けられ、且つそれに螺接される。それにより、弾性スリーブ520が貫通孔212の径方向に沿って膨張し、シールスリーブ510を押圧することで、シールスリーブ510と貫通孔212とが締まり嵌めして、貫通孔212の径方向のシールを実現することができる。なお、貫通孔212の軸線方向に対して、このシールコンポーネント215の軸方向に沿う安定性を更に向上させるために、このシールコンポーネント215は、外側スリーブを更に含んでもよい。
【0099】
図15には、本出願の別の実施例によるエンドキャップ211のシールコンポーネント215が設けられた部分領域の断面図が示される。
図16には、本出願のさらに別の実施例によるエンドキャップ211のシールコンポーネント215が設けられた部分領域の断面図が示される。
図17には、
図15又は
図16に示すシールコンポーネント215の分解図が示される。
図15~
図17に示すように、シールコンポーネント215は、貫通孔212の外に設けられ、弾性スリーブ520とシールスリーブ510に固定接続されている外側スリーブ540をさらに含んでもよい。ここで、本出願の実施例による外側スリーブ540の材料は、変形しにくい金属又は硬質プラスチックなどを選択することができるが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0100】
なお、
図15は
図6に対応し、
図15と
図6との相違点は、
図15に外側スリーブ540が設けられることにあり、
図15における他の部材の説明は、
図6の関連説明に適用される。簡潔のため、ここではこれ以上説明しない。同様に、
図16は
図13に対応し、
図16と
図13との相違点は、
図16に外側スリーブ540が設けられたことにあり、
図16における他の部材の説明は、
図13の関連説明に適用される。簡潔のため、ここではこれ以上説明しない。
【0101】
具体的に、
図18には、
図15又は
図16に示されるシールコンポーネント215におけるシールスリーブ510の概略図が示される。そのうち、
図18における左側はシールスリーブ510の上面図であり、右側は、シールスリーブ510の左側の図に示すE-E’方向断面図である。
図19には、
図15又は
図16に示されるシールコンポーネント215における外側スリーブ540の概略図が示される。そのうち、
図19における左側は外側スリーブ540の上面図であり、右側は、外側スリーブ540の左側の図に示すF-F’方向断面図である。
図15乃至
図19に示すように、この外側スリーブ540は第2の取付孔541を有し、第1のヘッド部513と第2のヘッド部522はいずれも第2の取付孔541内に固定される。それにより、外側スリーブ540がシールスリーブ510及び弾性スリーブ520に固定されることを実現する。
【0102】
任意選択的に、外側スリーブ540の内壁と第1のヘッド部513とが螺接されてもよい。及び/又は、外側スリーブ540の内壁と第2のヘッド部522とが螺接されてもよい。外側スリーブ540の内壁にはねじ山が設けられている。それにより、外側スリーブ540、シールスリーブ510及び弾性スリーブ520の間が取り外し可能であることを実現する。また、この外側スリーブ540の第2の取付孔541の形状は、第1のヘッド部513と第2のヘッド部522の形状に応じて設けることができる。例えば、図では、第1のヘッド部513と第2のヘッド部522の形状は、円筒形である。よって、第2の取付孔541も円筒形に設けられるが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0103】
任意選択的に、取り付けを容易にするために、取り付けた後のシールコンポーネント215に対して、外側スリーブ540の第3のヘッド部531に近い一端の表面と、第2のヘッド部522の第3のヘッド部531に近い一端の表面とが面一になるように設けられてもよい。このように、上方の第3のヘッド部531の取り付けに影響を与えることがない。また、第3のヘッド部531は、少なくとも部分的に外側スリーブ540の第3のヘッド部531に近い一端を覆ってもよい。例えば、
図15及び
図16に示すように、第3のヘッド部531は、外側スリーブ540の第3のヘッド部531に近い一端を完全に覆ってもよい。それにより、外側スリーブ540は中間ロッド530の第3のヘッド部531により固定されることができ、さらに、電池単体20の使用中に、外側スリーブ540が貫通孔212の軸方向に沿って脱落することがない。
【0104】
なお、この外側スリーブ540の外形は、実際の応用に応じて設けることができる。例えば、外側スリーブ540の外形を第3のヘッド部531の形状と一致させることにより、この第3のヘッド部531が外側スリーブ540の第3のヘッド部531に近い一端を完全に覆うことができるようにしてもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0105】
図15乃至
図19に示すように、本出願の実施例による外側スリーブ540の第2の取付孔541の内壁には、貫通孔212に近い一端に貫通孔212の軸線方向に沿って延びるリミット部542をさらに備えてもよい。このリミット部542は、シールスリーブ510及び弾性スリーブ520を固定するために用いることができ、例えば、第1のヘッド部513と第2のヘッド部522をリミット部542と第3のヘッド部531との間に固定してもよい。ここで、このリミット部542の内径は、貫通孔212の内径よりも大きく、且つ、第2の取付孔541の貫通孔212から離れた一端の内径よりも小さい。
【0106】
任意選択的に、本出願の実施例による第2の取付孔541の内壁に設けられたリミット部542は、環状であってもよい。即ち、第1の取付孔541を囲んで環状のリミット部542として設けられてもよい。又は、第2の取付孔541の内壁に複数の離間したリミット部542が設けられてもよい。例えば、均等に分布する複数のリミット部が設けられてもよいが、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。説明の便宜上、以下では、環状のリミット部542を例にする。
【0107】
本出願の実施例では、外側スリーブ540にリミット部542が設けられるため、第1のヘッド部513に段差構造がさらに設けられてもよい。具体的には、
図15~
図19に示すように、この第1のヘッド部513は段差構造である。それにより、第1のヘッド部513の貫通孔212に近い部分は、環状のリミット部542の内壁の間に設けられ、第1のヘッド部513の貫通孔212から離れた部分は、このリミット部542を覆うようにリミット部542の上方に設けられる。このように、取り付け後の外側スリーブ540、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510の間をより安定させることができ、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510が脱落しにくくなる。
【0108】
なお、シールコンポーネント215の取り付け及び取り外しを容易にするために、本出願の実施例における外側スリーブ540、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510は、取り付け後に一体化コンポーネントを形成してもよい。
図20及び
図21には、それぞれ本出願の2つの実施例による外側スリーブ540、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510の取り付け後の概略図が示される。そのうち、
図20は
図15に対応し、
図21は
図16に対応する。
図15乃至
図16及び
図20乃至
図21に示すように、シールコンポーネント215を取り付ける過程において、まず弾性スリーブ520及びシールスリーブ510を外側スリーブ540の第2の取付孔541内に固定することで、これら三者により
図20又は
図21に示す一体化コンポーネントを形成してから、この一体化コンポーネントを貫通孔212内に取り付け、工具により中間ロッド530を回転させて、この中間ロッド530を第1の取付孔521内で沈下させ、弾性スリーブ520を拡開させ、さらにシールスリーブ510を押圧して、シールスリーブ510と貫通孔212とを締り嵌めすることにより、この貫通孔212のシールを実現することができる。ここで、中間ロッド530が沈下する過程において、中間ロッド530は、さらに外側スリーブ540、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510に軸方向の圧力を加え、このシールコンポーネント215の各コンポーネントが軸方向に移動したり脱落したりすることがないことを確保して、軸方向の安定したシールを形成する。逆に、このシールコンポーネント215を取り外す際には、まず、工具により中間ロッド530を回転させて取り外し、次に、工具により
図20又は
図21に示す一体化コンポーネントを直接把持する。このように、外側スリーブ540、弾性スリーブ520及びシールスリーブ510の3つの部材を同時に取り外すことができ、取り外し工程を簡略化することができる。
【0109】
従って、本出願の実施例による貫通孔212をシールするためのシールコンポーネント215では、中間ロッド530を弾性スリーブ520の第1の取付孔521内に設ける際、弾性スリーブ520を貫通孔212の径方向に沿って膨張させ、さらにシールスリーブ510を押圧して、シールスリーブ510と貫通孔212とを締まり嵌めすることにより、この貫通孔212をシールする目的を達成することができる。同時に、このような径方向の押圧により、シールスリーブ510の電池単体20の内部に位置する部分が押圧後に貫通孔212に対して外返り、外返ったシールコンポーネント215の直径が貫通孔212の直径よりも大きいようにし、さらに貫通孔212と係止固定して、このシールコンポーネント215が貫通孔212の軸方向に沿って安定的に固定されることを確保する。また、このシールコンポーネント215は、外側スリーブ540をさらに含んでもよく、この外側スリーブ540によりシールスリーブ510と弾性スリーブ520を固定することで、シールスリーブ510と弾性スリーブ520が貫通孔212の軸方向に沿って脱落しないようにする。また、中間ロッド530と弾性スリーブ520とが螺接され、外側スリーブ540とシールスリーブ510及び弾性スリーブ520も螺接されて固定されるので、各部材を破損することなく、このシールコンポーネント215を迅速に取り外すことができる。このように、このシールコンポーネント215を用いて電池単体20上の注液孔をシールする場合を例にして、電池単体20の注液又は補液の前後での外観の一致を保つことができ、且つ電池単体20のシール性を保つことができる。
【0110】
以上は本出願の実施例による電池及び電力消費機器を説明した。以下は、本出願の実施例による電池を製造する方法と装置を説明する。ここで、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
【0111】
図22には、本出願の一実施例によるシールコンポーネントを製造する方法600の概略フローチャートが示される。
図22に示すように、この方法600は、一端に開口が設けられたケースを提供する610と、前記ケースの開口をカバーするためのエンドキャップコンポーネントであって、注液するための貫通孔を有するエンドキャップと、シールコンポーネントとを含むエンドキャップコンポーネントを提供する620と、前記貫通孔内に設けられ、キャビティと、前記キャビティに連通する開口とを有するシールスリーブを提供する630と、前記キャビティ内に設けられ、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔を有する弾性スリーブを提供する640と、前記第1の取付孔内に設けられ、前記弾性スリーブに螺接されることで、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させて前記シールスリーブを押圧し、前記弾性スリーブの外壁に前記シールスリーブを前記貫通孔にかしめる隆起部が形成される中間ロッドを提供する650とを含んでもよい。
【0112】
図23には、本出願の一実施例によるシールコンポーネントを製造する装置700の概略ブロック図が示される。
図23に示すように、この装置700は、提供モジュール710を含んでもよい。前記提供モジュール710は、一端に開口が設けられたケースを提供することと、前記ケースの開口をカバーするためのエンドキャップコンポーネントであって、注液するための貫通孔を有するエンドキャップと、シールコンポーネントとを含むエンドキャップコンポーネントを提供することと、前記貫通孔内に設けられ、キャビティと、前記キャビティに連通する開口とを有するシールスリーブを提供することと、前記キャビティ内に設けられ、前記貫通孔の軸線方向に沿って延びる第1の取付孔を有する弾性スリーブを提供することと、前記第1の取付孔内に設けられ、前記弾性スリーブに螺接されることで、前記弾性スリーブを前記貫通孔の径方向に沿って膨張させて前記シールスリーブを押圧し、前記弾性スリーブの外壁に前記シールスリーブを前記貫通孔にかしめる隆起部が形成される中間ロッドを提供することとに用いられる。
【0113】
最後に、上述の実施例は、本出願の技術案を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではない。前述した実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述した各実施例に記載の技術案を依然として変更し、又はそのうちの一部の技術的特徴を同等に置換することが可能であり、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させないものである。
【符号の説明】
【0114】
1 車両
10 電池
20 電池単体
21 エンドキャップコンポーネント
22 電極コンポーネント
23 連結部材(集電部材)
24 ケース
30 コントローラ
40 モータ
111 第1の部分
112 第2の部分
211 エンドキャップ
212 貫通孔
213 機構
214 電極端子
215 シールコンポーネント
221 第1のタブ
222 第2のタブ
510 シールスリーブ
511 開口
512 キャビティ
513 第1のヘッド部
514 第1の本体部
515 突起部
520 弾性スリーブ
521 第1の取付孔
522 第2のヘッド部
523 第2の本体部
524 突起構造
525 隆起部
530 中間ロッド
531 第3のヘッド部
532 第3の本体部
540 外側スリーブ
541 第2の取付孔
542 リミット部
2111 凹溝
5141 中空領域
5231 スリット
5311 インターフェース