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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231120BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231120BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01B7/00 301
B60R16/02 623V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020060091
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158888
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊介
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/094903(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/093264(WO,A1)
【文献】特開2001-359217(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103030(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084623(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線と、
前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、
前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており
前記第1方向において、前記合流部の幅寸法は、前記複数の分離部におけるそれぞれの幅寸法よりも大きい、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、前記合流部の幅寸法は、前記複数の分離部におけるそれぞれの幅寸法よりも大きい、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
複数の電線と、
前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、
前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており、
前記合流部の側の端部において、前記複数の分離部の少なくとも1つにおける内部空間が前記合流部に近づくにつれて広くなる
イヤハーネス。
【請求項4】
複数の電線と、
前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、
前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており、
前記複数の電線は、第1電線と、第2電線とを有し、
前記複数の分割体は、第1分割体と、第2分割体と、第3分割体とを含み、
前記複数の分離部は、第1分離部と、第2分離部とを含み、
前記第1分離部は、前記第1分割体と前記第2分割体とに包囲された空間であり、
前記第2分離部は、前記第2分割体と前記第3分割体とに包囲された空間であり、
前記合流部は、前記第3分割体と前記第1分割体とに包囲された空間であり、
前記第1電線は、前記第1分離部と前記合流部とを貫通し、
前記第2電線は、前記第2分離部と前記合流部とを貫通している
イヤハーネス。
【請求項5】
前記第1分離部は、前記第1分割体と前記第2分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第1側壁を有し、前記一対の第1側壁は、前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第1側壁間の離隔距離が、前記合流部の側に近づくにつれて大きくなっており、
前記第2分離部は、前記第2分割体と前記第3分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第2側壁を有し、前記一対の第2側壁は、前記第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第2側壁間の離隔距離が、前記合流部の側に近づくにつれて大きくなっている、
請求項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記合流部は、前記第1分割体と前記第3分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第3側壁を有し、前記一対の第3側壁は、前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第3側壁間の離隔距離が、前記分離部の側に近づくにつれて小さくなっている、
請求項または請求項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記第1分割体は、前記第2分割体と前記第3分割体とに連結しており、
前記第2分割体は、前記第3分割体と前記第1分割体とに連結している、
請求項から請求項のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電線と、複数の電線が貫通するプロテクタとを含んだワイヤハーネスが知られている。このようなワイヤハーネスにおいては、複数の電線を種類ごとに分けた状態でプロテクタに収容したい場合がある。例えば、特許文献1には、プロテクタが、隔壁で仕切られた2つの電線挿通空間を有し、高電圧電線と低電圧電線を別々の電線挿通空間に貫通する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-134367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のワイヤハーネスでは、プロテクタが長尺の筒体で構成され、筒体の内部を長さ方向に延びる隔壁によって、筒体の内部が2つの電線挿通空間に分けられている。そのため、複数の電線をそれぞれの電線挿通空間に収容するためには、各電線を筒体の一端側の開口部から各電線挿通空間に挿し入れて、筒体の他端側の開口部から引き出す必要がある。それゆえ、プロテクタに対する複数の電線の通線作業に時間がかかり、ワイヤハーネスの組立作業性の悪化を招いていた。
【0005】
そこで、プロテクタに対する電線の通線作業性を向上することのできる、新規な構造のワイヤハーネスを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、複数の電線と、前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており、前記第1方向において、前記合流部の幅寸法は、前記複数の分離部におけるそれぞれの幅寸法よりも大きい、ものである。
本開示の別の態様におけるワイヤハーネスは、複数の電線と、前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており、前記合流部の側の端部において、前記複数の分離部の少なくとも1つにおける内部空間が前記合流部に近づくにつれて広くなる、ものである。
本開示のさらに別の態様におけるワイヤハーネスは、複数の電線と、前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられており、前記複数の電線は、第1電線と、第2電線とを有し、前記複数の分割体は、第1分割体と、第2分割体と、第3分割体とを含み、前記複数の分離部は、第1分離部と、第2分離部とを含み、前記第1分離部は、前記第1分割体と前記第2分割体とに包囲された空間であり、前記第2分離部は、前記第2分割体と前記第3分割体とに包囲された空間であり、前記合流部は、前記第3分割体と前記第1分割体とに包囲された空間であり、前記第1電線は、前記第1分離部と前記合流部とを貫通し、前記第2電線は、前記第2分離部と前記合流部とを貫通している、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プロテクタに対する電線の通線作業性が向上されたワイヤハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態1に係るワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたワイヤハーネスにおける別方向からの斜視図である。
図3図3は、図1に示されたワイヤハーネスにおける正面図である。
図4図4は、図1に示されたワイヤハーネスにおける分解斜視図である。
図5図5は、図2に示されたワイヤハーネスにおける分解斜視図である。
図6図6は、図1に示されたワイヤハーネスにおける縦断面斜視図である。
図7図7は、図1に示されたワイヤハーネスにおける断面斜視図である。
図8図8は、図1に示されたワイヤハーネスにおける別の位置の横断面斜視図である。
図9図9は、図1に示されたワイヤハーネスにおける更に別の位置の横断面斜視図である。
図10図10は、本開示の別の態様に係るワイヤハーネスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
(1)複数の電線と、前記複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体を有し、前記複数の電線が貫通するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、前記複数の電線を一括で覆う合流部と、前記複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有し、前記長さ方向において、前記合流部の一方の端部に前記複数の分離部が連続して設けられているものである。
【0010】
本開示のワイヤハーネスによれば、プロテクタが、複数の電線を一括で覆う合流部と、複数の電線を個別に覆う複数の分離部とを有している。そして、プロテクタは、複数の電線の長さ方向に交差する第1方向において互いに連結可能な複数の分割体によって構成されている。それゆえ、電線を間に配置した第1方向の両側から複数の分割体を相互に組み付けることにより、プロテクタの合流部と分離部にそれぞれ電線を貫通させることができる。したがって、プロテクタの合流部と複数の分離部に対して、電線を挿通させる必要がなく、プロテクタに対する通線作業性の向上を図ることができる。また、プロテクタの合流部と複数の分離部に対して、電線を挿通させる必要がないことから、電線の端末処理の前後の何れにおいてもプロテクタの電線への装着が可能となる。それゆえ、ワイヤハーネスの製造工程の順番の自由度の向上も図ることができる。
【0011】
加えて、プロテクタの合流部では、電線間を分離する隔壁はなく電線の屈曲を許容するスペースや屈曲可能な方向の自由度が向上されている。それゆえ、プロテクタから突出する電線の長さを合流部において調整することができ、複数の電線の公差吸収が容易となり、ワイヤハーネスの車両の組付け作業性を向上できる。
【0012】
なお、第1方向に互いに連結されてプロテクタを構成する複数の分割体は、第1方向で互いに連結可能であれば、いかなる形状であってもよい。例えば、複数の分離部は、断面U字形状で電線の長さ方向に沿う方向に延びる複数のU字状分割体を多段に重ね合せて構成してもよい。最上段のU字状分割体の開口は、蓋状分割体によって覆われてもよい。この場合、複数のU字状分割体において最下段のU字状分割体は、その長さ方向の一端部に第1部分合流部を有してもよい。最上段のU字状分割体の開口を覆う蓋状分割体は、その長さ方向の一端部に第2部分合流部を有してもよい。そして、第1部分合流部と第2部分合流部を第1方向で相互に連結することにより、合流部を構成してもよい。要するに、「第1方向で互いに連結可能な複数の分割体」には、各分割体が、少なくともいずれか1つの他の分割体と第1方向で互いに連結可能となっているものが含まれる。
【0013】
(2)前記第1方向において、前記合流部の幅寸法は、前記複数の分離部におけるそれぞれの幅寸法よりも大きい、ことが好ましい。合流部の第1方向における幅寸法が、各分離部の第1方向における幅寸法よりも大きいことから、合流部において電線の屈曲を許容するスペースも大きくなる。それゆえ、プロテクタから突出する電線の長さを合流部において一層有利に調整することができ、複数の電線の公差吸収性や、ワイヤハーネスの車両の組付け作業性をさらに有利に向上できる。
【0014】
(3)前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、前記合流部の幅寸法は、前記複数の分離部におけるそれぞれの幅寸法よりも大きい、ことが好ましい。合流部の第2方向における幅寸法が、各分離部の第2方向における幅寸法よりも大きいことから、合流部において電線の屈曲を許容するスペースも大きくなる。それゆえ、プロテクタから突出する電線の長さを合流部において一層有利に調整することができ、複数の電線の公差吸収性や、ワイヤハーネスの車両の組付け作業性をさらに有利に向上できる。
【0015】
(4)前記合流部の側の端部において、前記複数の分離部の少なくとも1つにおける内部空間が前記合流部に近づくにつれて広くなる、ことが好ましい。分離部の内部空間が合流部に近づくにつれて広くなっていることから、車両走行時の振動等により電線が揺動した際に、分離部の合流部側の端部に電線の絶縁被覆が接触して損傷することを抑制できるからである。
【0016】
(5)前記複数の電線は、第1電線と、第2電線とを有し、前記複数の分割体は、第1分割体と、第2分割体と、第3分割体とを含み、前記複数の分離部は、第1分離部と、第2分離部とを含み、前記第1分離部は、前記第1分割体と前記第2分割体とに包囲された空間であり、前記第2分離部は、前記第2分割体と前記第3分割体とに包囲された空間であり、前記合流部は、前記第3分割体と前記第1分割体とに包囲された空間であり、前記第1電線は、前記第1分離部と前記合流部とを貫通し、前記第2電線は、前記第2分離部と前記合流部とを貫通している、ことが好ましい。プロテクタを構成する第1方向で互いに連結可能な複数の分割体の数を抑えつつ、2つの電線を個別に覆う2つの分離部および2つの電線を一括して覆うつの合流部を、効率的に構成できるからである。
【0017】
(6)上記(5)において、前記第1分離部は、前記第1分割体と前記第2分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第1側壁を有し、前記一対の第1側壁は、前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第1側壁間の離隔距離が、前記合流部の側に近づくにつれて大きくなっており、前記第2分離部は、前記第2分割体と前記第3分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第2側壁を有し、前記一対の第2側壁は、前記第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第2側壁間の離隔距離が、前記合流部の側に近づくにつれて大きくなっている、ことが好ましい。第1分離部を構成する一対の第1側壁間の第2方向の離隔距離と、第2分離部を構成する一対の第2側壁間の第2方向の離隔距離とが、合流部の側に近づくにつれて大きくなっている。そのため、車両走行時の振動等により電線が揺動した際に、それぞれの分離部の合流部側の端部に電線の絶縁被覆が接触して損傷することを抑制できるからである。
【0018】
(7)上記(5)または(6)において、前記合流部は、前記第1分割体と前記第3分割体の少なくとも一方によって構成される一対の第3側壁を有し、前記一対の第3側壁は、前記長さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向において、互いに隙間を隔てて対向しており、前記第3側壁間の離隔距離が、前記分離部の側に近づくにつれて小さくなっている、ことが好ましい。合流部を構成する一対の第3側壁間の第2方向の離隔距離が、分離部の側に近づくにつれて小さくなっている。それゆえ、車両走行時の振動等により電線が揺動した際に、合流部の分離部側の端部に電線の絶縁被覆が接触して損傷することを抑制できるからである。また、一対の第3側壁間の第2方向の離隔距離は、電線の長さ方向で、合流部の他方の端部に近づくにつれて、大きくなっている。それゆえ、電線の公差吸収等のために、合流部で電線を屈曲させる際に、電線の振れ幅が大きくなる合流部の他方の端部側で、合流部のスペースが広げられており、電線と一対の第3側壁との当接を有利に抑制できる。
【0019】
(8)上記(5)から(7)のいずれか1つにおいて、前記第1分割体は、前記第2分割体と前記第3分割体とに連結しており、前記第2分割体は、前記第3分割体と前記第1分割体とに連結している、ことが好ましい。各分割体が互いに連結し合っていることから、一組の分割体同士の連結が解除されたとしても、他の分割体との連結を維持することができる。これにより、分割体の脱落を抑制でき、ワイヤハーネスの耐久性を向上させることができる。
【0020】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
<ワイヤハーネス10>
以下、本開示の実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。ワイヤハーネス10は、複数の電線12a,12bと複数の電線12a,12bが貫通する後述するプロテクタ18を備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、プロテクタ18において後述する複数の分割体20が連結する方向であり、図3中の上下方向である。また、前後方向とは、第1および第2電線12a,12bの長さ方向(図3中の左右方向)である。更に、前方とは、第1および第2電線12a,12bの延びる方向の一方である図3中の左方をいう。更にまた、後方とは、第1および第2電線12a,12bの延びる方向の他方である図3中の右方をいう。尤も、以下の説明中で用いられる各方向は、車両装着時におけるワイヤハーネス10の方向と必ずしも一致するものではない。
【0022】
<電線12a,12b>
実施形態1では、第1電線12aおよび第2電線12bを備えている。これら第1電線12aおよび第2電線12bは、それぞれ芯線14が軟質の合成樹脂等からなる絶縁層16により被覆された被覆電線である。第1および第2電線12a,12bは、例えば被覆電線の外周側に更に導電性の電磁シールド部材と絶縁性のシースとを備えるシールド電線であってもよい。第1および第2電線12a,12bは、後述するプロテクタ18から突出する部分が、コルゲートチューブ等の任意の外装部材で覆われていてもよい。また、例えば第1電線12aが高電圧電線、第2電線12bが低電圧電線とされてもよいが、限定されるものではない。第1電線12aと第2電線12bの何れもが高電圧電線または低電圧電線であってもよい。或いは、第1電線12aが低電圧電線、第2電線12bが高電圧電線であってもよい。
【0023】
第1および第2電線12a,12bは、プロテクタ18の前方側開口端部である合流部側開口端部19から前方(図3中の左方)に向かって突出している。また、第1および第2電線12a,12bは、プロテクタ18の後方側開口端部である後述する第1分離部側開口端部68aおよび第2分離部側開口端部68bから後方(図3中の右方)に向かって突出している。
【0024】
<プロテクタ18>
プロテクタ18は、前後方向に延びている。また、プロテクタ18は、上下方向で互いに連結可能な複数の分割体20を有している。即ち、実施形態1では、複数の電線(第1および第2電線12a,12b)の長さ方向に交差して、且つ複数の分割体20が連結する方向である第1方向が、上下方向である。なお、実施形態1では、複数の分割体20が、何れも硬質の合成樹脂により形成されている。
【0025】
また、実施形態1では、プロテクタ18が、3つの分割体20を有している。即ち、プロテクタ18が、最も下方の第1分割体20aと、第1分割体20aの上方に位置する第2分割体20bと、最も上方の第3分割体20cとを含んで構成されている。これら第1、第2、第3分割体20a,20b,20cは何れも、前後方向に延びている。また、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cは何れも、所定の前後方向寸法を有している。
【0026】
第1分割体20aは、全体として略U字状断面を有して上方に開口する略樋状の部材である。即ち、第1分割体20aは、前後方向に延びる第1底壁22を備えている。第1底壁22は、例えば湾曲板形状であってもよいが、実施形態1では、全体として略平坦な平板形状である。そして、第1底壁22の幅方向(後述する第2方向)の両端縁部からは、一対の第1縦壁24,24が上方に突出している。これら第1縦壁24,24は、第1および第2電線12a,12bの長さ方向と第1方向(上下方向)とに直交する第2方向(図3中の紙面直交方向)で隙間を隔てて相互に対向している。なお、実施形態1では、第1分割体20aの後端部において、内周面に開口する嵌合溝部26が設けられている。この嵌合溝部26には、例えば第1電線12aにおいて第1分割体20aから突出する部分に外装される、例えばゴム等の絶縁体で形成された略筒状の外装部材(ゴムブーツ)を装着することができる。
【0027】
また、実施形態1では、第1底壁22の幅方向寸法が、前後方向で異ならされている。具体的には、第1底壁22の幅方向寸法が、第1分割体20aの後方側で略一定とされている。また、第1底壁22は、第1分割体20a前方側において、幅方向寸法が前端部に向かって次第に大きくされた部分を有している。
【0028】
これにより、第1縦壁24,24の第2方向における離隔距離が、第1分割体20aの長さ方向(前後方向)で異ならされている。即ち、第1縦壁24,24の第2方向における離隔距離は、第1分割体20aの後方側で略一定とされている。また、第1分割体20aは、前方側において、第1縦壁24,24の第2方向における離隔距離が前端部に向かって次第に大きくされた部分を有している。
【0029】
実施形態1では、一方(例えば図1中、右方)の第1縦壁24aが、第1底壁22の幅方向一方の端縁部に沿って、前後方向の略全長に亘って略ストレートに延びている。また、他方(例えば、図1中、左方)の第1縦壁24bが、第1分割体20aの前方側において、第1底壁22の幅方向他方の端縁部に沿って、一方の第1縦壁24aから離隔する部分を有している。即ち、他方の第1縦壁24bは、第1分割体20aの前方側において、前後方向に対して傾斜する第1傾斜部28を備えている。
【0030】
特に、実施形態1では、他方の第1縦壁24bにおいて、第1傾斜部28が、前後方向中間部分に設けられている。要するに、他方の第1縦壁24bは、後方側において、前後方向に対して略ストレートに延びている。また、他方の第1縦壁24bは、第1傾斜部28において、第1分割体20aの前端部に向かって、一方の第1縦壁24aから次第に離隔している。更に、第1分割体20aの前端部では、他方の第1縦壁24bが、前後方向に対して略ストレートに延びている。
【0031】
したがって、実施形態1では、第1分割体20aが、後方側において略ストレートに延びる第1ストレート部29aを備えている。また、第1分割体20aは、前方側において、第1ストレート部29aよりも第2方向の寸法が大きくされた第1拡開部29bを備えている。これら第1ストレート部29aと第1拡開部29bとは、前後方向で連続して設けられている。
【0032】
なお、実施形態1では、第1分割体20aの上端部(即ち、第1縦壁24a,24bの上端部)において、第2方向外方となる両外側面に複数の嵌合凹部30が設けられている。特に、実施形態1では、複数の嵌合凹部30が、前後方向で相互に離隔して設けられている。この嵌合凹部30は、後述する第2および第3分割体20b,20cの嵌合凸部46,58と凹凸嵌合可能であれば、具体的な構造は限定されるものではない。実施形態1では、略枠状の嵌合凹部30が採用されている。また、他方の第1縦壁24bには、第2方向外方に突出する脚部32が設けられている。この脚部32には、上下方向で貫通する挿通孔34が形成されている。実施形態1では、2つの脚部32,32および挿通孔34,34が設けられている。
【0033】
第2分割体20bは、全体として略U字状断面を有して上方に開口する略樋状の部材である。即ち、第2分割体20bは、前後方向に延びる第2底壁36を備えている。第2底壁36は、例えば湾曲板形状であってもよいが、実施形態1では、全体として略平坦な平板形状である。そして、第2底壁36の幅方向(第2方向)の両端縁部からは、一対の第2縦壁38,38が上方に突出している。これら第2縦壁38,38は、第2方向で隙間を隔てて相互に対向している。なお、第2分割体20bの前後方向寸法は、第1分割体20aの前後方向寸法に対して、略等しい長さとされてもよいし、長くされても短くされてもよい。なお、実施形態1では、第2分割体20bの後端部において、内周面に開口する嵌合溝部39が設けられている。嵌合溝部39が設けられることで、第2分割体20bの後端部には、前後方向で連続する凹凸が形成されている。
【0034】
第2底壁36の幅方向寸法は、前後方向で異ならされている。具体的には、第2底壁36の幅方向寸法は、第2分割体20bの後方側で略一定とされている。また、第2底壁36の幅方向寸法は、第2分割体20bの前端部分において、端部に向かって次第に大きくされている。これにより、第2縦壁38,38の第2方向における離隔距離は、前後方向で異ならされている。即ち、第2縦壁38,38の第2方向における離隔距離が、第2分割体20bの前端部分において、端部に向かって次第に大きくなっている。
【0035】
実施形態1では、一方(例えば図1中、右方)の第2縦壁38aが、第2底壁36の幅方向一方の端縁部に沿って、前後方向で略全長に亘って略ストレートに延びている。また、他方(例えば図1中、左方)の第2縦壁38bが、第2分割体20bの前端部分において、第2底壁36の幅方向他方の端縁部に沿って、一方の第2縦壁38aから離隔する部分を有している。即ち、他方の第2縦壁38bは、第2分割体20bの前端部分において、前後方向に対して傾斜する第2傾斜部40を備えている。
【0036】
特に、実施形態1では、他方の第2縦壁38bにおいて、第2傾斜部40が、第2分割体20bの前端部に設けられている。要するに、他方の第2縦壁38bは、前後方向において、後端部から中間部分にかけて、略ストレートに延びている。また、他方の第2縦壁38bは、第2傾斜部40において、第2分割体20bの前端部に向かって、一方の第2縦壁38aから次第に離隔している。
【0037】
したがって、実施形態1では、第2分割体20bが、後端部から中間部分にかけて略ストレートに延びる第2ストレート部41aを備えている。また、第2分割体20bは、前端部において、第2ストレート部41aよりも第2方向の寸法が大きくされた第2拡開部41bを備えている。これら第2ストレート部41aと第2拡開部41bとは、前後方向で連続して設けられている。
【0038】
なお、実施形態1では、第2分割体20bの上端部(即ち、第2縦壁38a,38bの上端部)において、第2方向外方となる両外側面に嵌合凹部42が設けられている。この嵌合凹部42は、第1分割体20aに設けられた嵌合凹部30と同様の構造とされている。嵌合凹部42は、第2分割体20bの後端部に設けられている。また、一方の第2縦壁38aの長さ方向中間部分には、第2方向外方に突出する位置決め部44が設けられている。この位置決め部44は、所定の前後方向寸法と幅方向寸法を有する略矩形状となっている。そして、この位置決め部44において、他方の第2縦壁38bとの離隔距離が部分的に大きくされている。更に、位置決め部44の形成位置において、両第2縦壁38a,38bには、下方に突出する嵌合凸部46が設けられている。この嵌合凸部46は、嵌合凹部30と凹凸嵌合可能であれば、具体的な構造は限定されるものではない。実施形態1では、略突片状の嵌合凸部46が採用されている。
【0039】
また、第2底壁36の下面には、下方に突出する嵌合リブ48が設けられている。この嵌合リブ48は、第2底壁36の幅方向両側において、所定の前後方向寸法をもって形成されている。嵌合リブ48,48は、第2方向において、第2縦壁38a,38bと等しい位置か、第2縦壁38a,38bよりも内側か、或いは第2縦壁38a,38bよりも外側に設けられている。実施形態2では、嵌合リブ48,48が、前後方向中間部分から前端部にかけて、即ち第2傾斜部40にかけて設けられている。
【0040】
第3分割体20cは、全体として、略平板形状または下方に開口する略樋状の部材である。第3分割体20cは、第1分割体20aおよび第2分割体20bよりも長い前後方向寸法をもって形成されている。また、第3分割体20cは、前後方向に延びる第3底壁50を備えている。実施形態1では、第3底壁50は、全体として略平坦な平板形状である。なお、第3底壁50の前端部において、第3底壁50の幅方向(第2方向)の両端縁部からは、一対の第3縦壁52,52が下方に突出している。実施形態1では、第3底壁50の前端部が下方に傾斜している。これにより、一対の第3縦壁52,52は、第2方向視において、略台形状である。これら第3縦壁52,52は、第2方向で隙間を隔てて相互に対向している。
【0041】
なお、実施形態1では、第3分割体20cの後端部において、第3底壁50から下方に突出する嵌合突部54が設けられている。嵌合突部54が設けられることにより、第3分割体20cの後端部には、前後方向で連続する凹凸が形成されている。そして、これらの凹凸(嵌合突部54)は、第2分割体20bの後端部に設けられた凹凸(嵌合溝部39)と協働して、前後方向で連続する略環状の凹凸からなるコルゲート支持部55を構成する。コルゲート支持部55の凹凸に、第2電線12bにおいて第2分割体20bから突出する部分に外装される図示しないコルゲートチューブの凸部と凹部が嵌め入れられることにより、第2電線12bがプロテクタ18に対して位置決めされる。
【0042】
また、実施形態1では、第3底壁50の幅方向寸法が、前後方向で異ならされている。具体的には、第3底壁50の幅方向寸法が、第3分割体20cの後方側で略一定とされている。また、第3底壁50は、第3分割体20cの前方側において、幅方向寸法が前端部に向かって次第に大きくされた部分を有している。
【0043】
これにより、第3縦壁52,52の第2方向における離隔距離が、前後方向で異ならされている。即ち、第3縦壁52,52の第2方向における離隔距離は、第3底壁50において幅寸法が次第に大きくされた部分において、前端部に向かって次第に大きくされている。また、第3縦壁52,52の第2方向における離隔距離は、第3分割体20cの前端部において、略一定とされている。
【0044】
実施形態1では、一方(例えば図1中、右方)の第3縦壁52aが、第3底壁50の幅方向一方の端縁部に沿って、前後方向で略ストレートに延びている。また、他方(例えば図1中、左方)の第3縦壁52bが、第3分割体20cの前方側において、第3底壁50の幅方向他方の端縁部に沿って、一方の第3縦壁52aから離隔する部分を有している。即ち、他方の第3縦壁52bは、後方側に、前後方向に対して傾斜する第3傾斜部56を有している。
【0045】
特に、実施形態1では、第3傾斜部56が、他方の第3縦壁52bにおける後方側の端部に設けられている。要するに、他方の第3縦壁52bは、後方側の端部において、前方に向かって、一方の第3縦壁52aから次第に離隔している。そして、第3分割体20cの前端部では、他方の第3縦壁52bが、前後方向に対して略ストレートに延びている。換言すれば、他方の第3縦壁52bは、後方側の端部分において、後端部に向かって次第に一方の第3縦壁52aに接近している。
【0046】
したがって、実施形態1では、第3分割体20cが、後方側において第3底壁50が略ストレートに延びる第3ストレート部57aを備えている。また、第3分割体20cは、第3縦壁52a,52bの形成位置において、第3ストレート部57aよりも第2方向の寸法が大きくされた第3拡開部57bを備えている。これら第3ストレート部57aと第3拡開部57bとは、第3分割体20cの長さ方向で連続して設けられている。
【0047】
なお、実施形態1では、第3分割体20cにおける幅方向両側には、下方に突出する複数の嵌合凸部58が設けられている。この嵌合凸部58は、第2分割体20bにおける嵌合凸部46と同様の構造である。即ち、第1および第2分割体20a,20bの嵌合凹部30,42と嵌合可能である。実施形態1では、略突片状の嵌合凸部58が採用されている。この嵌合凸部58は、前後方向の略全長に亘って、所定の間隔を隔てて設けられている。なお、これら嵌合凸部58は、第3底壁50の幅方向両端部および第3縦壁52a,52bに対して、第2方向の外側に設けられている。
【0048】
また、第3分割体20cにおける幅方向両側には、下方に突出する嵌合リブ60が設けられている。これら嵌合リブ60,60は、前後方向の略全長に亘って形成されている。即ち、嵌合リブ60,60は、第3底壁50および第3縦壁52a,52bの両方に設けられている。嵌合リブ60,60は、第3底壁50の幅方向両端部に対して、第2方向の内側に設けられている。また、嵌合リブ60,60は、第3縦壁52a,52bに対して、第2方向の外側に設けられている。
【0049】
さらに、一方(図中の右方)の嵌合リブ60において、前後方向中間部部分には、第2方向外方に突出する位置決め部62が設けられている。この位置決め部62は、所定の前後方向寸法と幅方向寸法を有する略矩形状となっている。そして、この位置決め部62において、他方の嵌合リブ60との離隔距離が部分的に大きくされている。なお、位置決め部62の形成位置では、第3底壁50も部分的に第2方向外方に突出している。
【0050】
<合流部64および分離部66>
上記の第1分割体20aと第2分割体20bと第3分割体20cとを第1方向(上下方向)で互いに連結することで、プロテクタ18には、第1および第2電線12a,12bを一括で覆う合流部64が形成されている。また、第1分割体20aと第2分割体20bと第3分割体20cとを第1方向で互いに連結することで、プロテクタ18には、第1および第2電線12a,12bを個別に覆う複数の分離部66(第1分離部66aおよび第2分離部66b)が形成されている。
【0051】
すなわち、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cにおけるそれぞれのストレート部(第1ストレート部29a、第2ストレート部41a、第3ストレート部57a)が重ね合わされて連結される。また、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cにおけるそれぞれの拡開部(第1拡開部29b、第2拡開部41b、第3拡開部57b)が、第1、第2、第3傾斜部28,40,56を重ね合わせるように連結される。なお、第1分割体20aと第2分割体20bとは前後方向で位置がずれており、第2分割体20bの後端部が第1分割体20aの後端部よりも後方に位置している。これにより、第1分割体20aにおける第1ストレート部29aに第2分割体20bにおける第2ストレート部41aが重ね合わされて、第1ストレート部29aが、前後方向略全長に亘って第2ストレート部41aで覆蓋されるようになっている。
【0052】
この結果、第1ストレート部29a(第1底壁22および第1縦壁24a,24b)と、第2ストレート部41aの第2底壁36とを含んで、第1電線12aを覆う第1分離部66aが形成される。即ち、実施形態1では、第1分離部66aは、第1分割体20aと第2分割体20bにより包囲された空間である。また、第1分離部66aを構成する一対の第1側壁が、第1分割体20aにおける第1縦壁24a,24bにより構成されている。なお、第2底壁36は、第2ストレート部41aだけでなく、第2拡開部41bにも亘って設けられていることから、第1分離部66aは、第1ストレート部29aだけでなく、第2拡開部41bに重ね合わされる第1拡開部29bの一部分も含んで構成される。
【0053】
また、第3分割体20cは、これら第1および第2分割体20a,20bを覆い得る前後方向寸法を有している。即ち、第2分割体20bにおける第2ストレート部41aに第3分割体20cにおける第3ストレート部57aを重ね合わせることで、第2ストレート部41aが、前後方向略全長に亘って第3ストレート部57aで覆蓋されるようになっている。この結果、第2ストレート部41a(第2底壁36および第2縦壁38a,38b)と、第3ストレート部57aの第3底壁50とを含んで、第2電線12bを覆う第2分離部66bが形成される。即ち、実施形態1では、第2分離部66bは、第2分割体20bと第3分割体20cにより包囲された空間である。また、第2分離部66bを構成する一対の第2側壁が、第2分割体20bにおける第2縦壁38a,38bにより構成されている。なお、第2底壁36は、第2ストレート部41aだけでなく、第2拡開部41bにも亘って設けられていることから、第2分離部66bは、第2ストレート部41aだけでなく、第2拡開部41bも含んで構成される。
【0054】
さらに、第1分割体20aにおける第1拡開部29bは、部分的に第2分割体20bにおける第2拡開部41bで覆蓋されると共に、残りの大部分は第3分割体20cにおける第3拡開部57bで覆蓋されるようになっている。この結果、第1拡開部29b(第1底壁22および第1傾斜部28を含む第1縦壁24a,24b)と、第3拡開部57b(第3底壁50および第3傾斜部56を含む第3縦壁52a,52b)とを含んで、第1および第2電線12a,12bを一括で覆う合流部64が形成される。即ち、実施形態1では、合流部64は、第3分割体20cと第1分割体20aにより包囲された空間である。また、合流部64を構成する第3側壁が、第1分割体20aにおける第1縦壁24a,24bと第3分割体20cにおける第3縦壁52a,52bを含んで構成されている。
【0055】
要するに、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cを上下方向で重ね合わせて連結することで、プロテクタ18の後方部分に、それぞれ前後方向に延びる第1分離部66aと第2分離部66bとが上下方向で並んで設けられる。尤も、第2分割体20bは、プロテクタ18の前端部分までは達していないことから、プロテクタ18の前方部分では、第1分離部66aと第2分離部66bとが第2底壁36で仕切られることなく、1つの合流部64が形成される。
【0056】
したがって、第1分離部66aの前方に合流部64が連続して設けられている。また、第2分離部66bの前方に合流部64が連続して設けられている。ここで、第1分離部66aにおける合流部64側の端部には、他方の第1縦壁24bに設けられた第1傾斜部28が位置している。これにより、第1分離部66aにおける合流部64側の端部では、両第1縦壁24a,24b(第1側壁)間の第2方向の離隔距離が、第1分離部66aにおける他の部分よりも大きくされている。換言すれば、第1分離部66aにおける第1縦壁24a,24b(第1側壁)間の第2方向の離隔距離が、合流部64に近づくにつれて次第に大きくなっている。
【0057】
また、第2分離部66bにおける合流部64側の端部には、他方の第2縦壁38bに設けられた第2傾斜部40が位置している。これにより、第2分離部66bにおける合流部64側の端部では、両第2縦壁38a,38b(第2側壁)間の第2方向の離隔距離が、第2分離部66bにおける他の部分よりも大きくされている。換言すれば、第2分離部66bにおける第2縦壁38a,38b(第2側壁)間の第2方向の離隔距離が、合流部64に近づくにつれて次第に大きくなっている。したがって、実施形態1では、第1分離部66aと第2分離部66bの何れもの内部空間が、合流部64側の端部において、合流部64に近づくにつれて次第に広くなっている。尤も、複数の分離部(第1および第2分離部66a,66b)の全ての内部空間が合流部64に近づくにつれて広くなっている必要はなく、複数の分離部のうち少なくとも1つが合流部64に近づくにつれて広くなっていることが好適である。
【0058】
さらに、合流部64の一方の端部である後端部に第1および第2分離部66a,66bが連続して設けられている。ここで、合流部64における第1および第2分離部66a,66b側の端部には、他方の第1および第3縦壁24b,52bに設けられた第1および第3傾斜部28,56が位置している。これにより、合流部64における第1および第2分離部66a,66b側の端部において、一方の第1および第3縦壁24a,52aと、他方の第1および第3縦壁24b,52b(第3側壁)間の第2方向の離隔距離が、合流部64における他の部分よりも小さくされている。換言すれば、合流部64における一方の第1および第3縦壁24a,52aと、他方の第1および第3縦壁24b,52b(第3側壁)間の第2方向の離隔距離が、第1および第2分離部66a,66bに近づくにつれて次第に小さくなっている。
【0059】
ここにおいて、合流部64における第1方向の幅寸法(上下方向寸法)Ta 図1参照)は、第1分離部66aにおける第1方向の幅寸法(上下方向寸法)T1 図7参照)および第2分離部66bにおける第1方向の幅寸法(上下方向寸法)T2 図7参照)のそれぞれよりも大きくされている。なお、合流部64における第1方向の幅寸法Ta は、図1にも示されているように、合流部64の開口端部における上下方向寸法をいう。また、図面上では、Ta に対して、T1 ,T2 の方が大きく見えるが、図7は、プロテクタ18の要部を拡大して示すものであり、図1に示されるプロテクタ18と図7に示されるプロテクタ18とを同じ大きさに合わせると、T1 ,T2 に対してTa の方が大きいことが把握できる。
【0060】
また、合流部64における第2方向の幅寸法Wa 図1参照)は、第1分離部66aにおける第2方向の幅寸法W1 図7参照)および第2分離部66bにおける第2方向の幅寸法W2 図7参照)のそれぞれよりも大きくされている。なお、合流部64における第2方向の幅寸法Wa は、図1にも示されているように、合流部64の開口端部における第2方向の幅寸法をいう。また、第1および第2分離部66a,66bにおける第2方向の幅寸法W1 ,W2 は、第1傾斜部28および第2傾斜部40が設けられた位置でなく、即ち第2方向の幅寸法が大きくされた部分でない位置における寸法である。
【0061】
なお、実施形態1では、第1分割体20aは、第2分割体20bと第3分割体20cとに連結している。また、第2分割体20bは、第3分割体20cと第1分割体20aとに連結している。第1分割体20aと第2分割体20bとの連結は、嵌合凹部30と嵌合凸部46との凹凸嵌合に加えて、図7に示されるように、第1縦壁24a,24bに、第2分割体20bの嵌合リブ48,48が内側から嵌まり込むことで実現される。また、第2分割体20bと第3分割体20cとの連結は、嵌合凹部42と嵌合凸部58との凹凸嵌合に加えて、第2縦壁38a,38bに、第3分割体20cの第3底壁50に設けられる嵌合リブ60が内側から嵌まり込むことで実現される。特に、第2分割体20bにおける位置決め部44に第3分割体20cにおける位置決め部62が嵌まり込むことで、良好な位置決め効果が発揮される。更に、第1分割体20aと第3分割体20cとの連結は、嵌合凹部30と嵌合凸部58との凹凸嵌合に加えて、図8にも示されるように、第1縦壁24a,24bに、第3縦壁52a,52bに設けられる嵌合リブ60が側から嵌まり込むことで実現される。
【0062】
<ワイヤハーネス10の組み付け工程>
以下、ワイヤハーネス10を組み付ける手順の具体的な一例を説明する。尤も、ワイヤハーネス10を組み付ける手順は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0063】
先ず、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cを準備する。そして、第1分割体20aの上方開口部から第1電線12aを差し入れる。その後、第1分割体20aと第2分割体20bとを上下方向で重ね合わせて連結する。続いて、第2分割体20bの上方開口部から第2電線12bを差し入れる。最後に、第1分割体20aおよび第2分割体20bに対して第3分割体20cを上下方向で重ね合わせて連結する。これにより、ワイヤハーネス10が完成する。
【0064】
なお、第1電線12aや第2電線12bに外装される外装部材は、第1電線12aや第2電線12bが第1分割体20aや第2分割体20bに差し入れられる前において、第1および第2電線12a,12bに対して取り付けられ得る。また、第1電線12aおよび第2電線12bは、第1分割体20aおよび第2分割体20bに差し入れられる前、或いは後において、適時に端末処理がなされる。換言すれば、第1分割体20aおよび第2分割体20bに差し入れられる第1電線12aおよび第2電線12bは、端末処理がなされた後、または、なされる前の何れの電線であってもよい。さらに、第1電線12aは、例えば第1分離部66aの後方端部(第1分離部側開口端部68a)に固定されるゴムブーツ等の外装部材によりプロテクタ18に対して位置決めされる。また、第2電線12bは、例えば第2分離部66bの後方端部(第2分離部側開口端部68b)のコルゲート支持部55に支持されるコルゲートチューブによりプロテクタ18に対して位置決めされる。更にまた、合流部64側では、合流部側開口端部19から突出する第1および第2電線12a,12bが、所定の余長をもって突出している。
【0065】
さらに、このようにして形成されたワイヤハーネス10では、第1電線12aが、第1分離部66aと合流部64を貫通して延びている。即ち、第1電線12aが、合流部側開口端部19から前方に突出していると共に、第1分離部側開口端部68aから後方に突出している。また、第2電線12bが、第2分離部66bと合流部64を貫通して延びている。即ち、第2電線12bが、合流部側開口端部19から前方に突出していると共に、第2分離部側開口端部68bから後方に突出している。更にまた、ワイヤハーネス10は、例えば挿通孔34に挿通されるボルト等によって図示しない車体パネル等に設けられた車両側固定部に固定される。そして、プロテクタ18から前方および後方に突出する第1および第2電線12a,12bが、それぞれ適切な方向へ配線される。なお、第1分割体20aへの第1電線12aの差入れに先立って、第1分割体20aは車体パネル等に固定されていてもよい。
【0066】
上記の如き実施形態1のワイヤハーネス10では、第1、第2、第3分割体20a,20b,20cを互いに連結することで、第1電線12aと第2電線12bとを個別に覆う第1分離部66aと第2分離部66bが形成される。これにより、予め筒状に形成された第1分離部および第2分離部に対して第1電線および第2電線を挿通することが回避されて、プロテクタ18に対する第1および第2電線12a,12bの通線作業性の向上が図られる。
【0067】
また、実施形態1のように、プロテクタ18を第1、第2、第3分割体20a,20b,20cを含んで構成することで、例えば端末処理がなされた後の第1電線12aおよび第2電線12bに対してもプロテクタ18を装着することができる。それゆえ、ワイヤハーネス10の製造工程において、第1および第2電線12a,12bとして端末処理がなされる前と後の何れの電線を採用することも可能であり、製造工程の順番が制限されるおそれが低減され得る。これにより、例えば配線された後の電線に対して、任意のタイミングでプロテクタ18を取り付けることも可能となる。
【0068】
さらに、プロテクタ18には、第1および第2分離部66a,66bから連続する合流部64が設けられており、合流部64において第1および第2電線12a,12bが比較的大きく変形することが可能となっている。それゆえ、合流部64において第1および第2電線12a,12bをそれぞれ余長をもって収容することができる。合流部64に収容された第1および第2電線12a,12bの余長により、第1および第2電線12a,12bの経路長を容易に調整したり、第1および第2電線12a,12bの公差を吸収することが可能となる。この結果、ワイヤハーネス10の車両への組付作業性を向上させることもできる。
【0069】
更にまた、実施形態1では、合流部64の第1方向における幅寸法Ta が、第1および第2分離部66a,66bの第1方向における幅寸法T1 ,T2 よりも大きくされている。それゆえ、第1および第2電線12a,12bが、合流部64の第1方向において更に大きく変形することが可能となる。特に、実施形態1では、合流部64の第2方向における幅寸法Wa が、第1および第2分離部66a,66bの第2方向における幅寸法W1 ,W2 よりも大きくされている。この結果、第1および第2電線12a,12bが、合流部64の第2方向においても更に大きく変形することが可能となる。これらにより、第1および第2電線12a,12bの経路長の調整や公差吸収効果、ワイヤハーネス10の車両への組付作業性の向上効果がより安定して発揮され得る。
【0070】
また、実施形態1では、第1および第2分離部66a,66bの内部空間が、合流部64に近づくにつれて広がっている。それゆえ、第1および第2分離部66a,66bに収容された第1および第2電線12a,12bが、例えば車両走行時の振動等により第1および第2分離部における合流部側の角部に接触して損傷するおそれが低減され得る。
【0071】
さらに、実施形態1では、第1分離部66aが第1分割体20aと第2分割体20bにより構成されると共に、第2分離部66bが第2分割体20bと第3分割体20cにより構成されている。更にまた、合流部64が第1分割体20aと第3分割体20cにより構成されている。これにより、少ない部品点数で、合流部64や第1および第2分離部66a,66bを形成することが可能となる。即ち、略樋状とされた第1分割体20aや第2分割体20bを第1方向(上下方向)で連結することで、例えば第2分割体20bにおける第2底壁36を、第2分離部66bにおける下方の壁部としてだけではなく、第1分離部66aにおける上方の壁部として利用することも可能となる。これにより、第1分割体における上方開口部を覆蓋する蓋体を別途設けることもなく、部品点数の増加が抑えられる。
【0072】
特に、実施形態1では、第1および第2分割体20a,20bがそれぞれ上方に開口する略樋状の部材とされている。それゆえ、第1および第2分割体20a,20bの開口を上方に向けて第1および第2電線12a,12bを差し入れることで、第1および第2分割体20a,20bから第1および第2電線12a,12bが脱落するおそれも低減される。これにより、第1および第2分割体20a,20bに対して第1および第2電線12a,12bを配索するに際して、第1および第2電線12a,12bを保持する機構や労力等も不要となる。
【0073】
更にまた、実施形態1では、第1分離部66aにおいて、第1傾斜部28が設けられて、第2方向における第1側壁(第1縦壁24a,24b)間の離隔距離が、合流部64に向かって次第に大きくされている。また、第2分離部66bにおいて、第2傾斜部40が設けられて、第2方向における第2側壁(第2縦壁38a,38b)間の離隔距離が、合流部64に向かって次第に大きくされている。これにより、第1および第2分離部66a,66bの内部空間を合流部64に向かって安定して大きくすることができて、車両走行時の振動等による第1および第2電線12a,12bの損傷のおそれが更に低減され得る。
【0074】
また、実施形態1では、合流部64において、第1傾斜部28および第3傾斜部56が設けられることで、一方の第1および第3縦壁24a,52aと、他方の第1および第3縦壁24b,52b(第3側壁)の間の第2方向における離隔距離が、第1および第2分離部66a,66bに向かって次第に小さくされている。換言すれば、合流部64において、第1および第2分離部66a,66b側から開口部側に向かって次第に第2方向における幅寸法が大きくされていることから、車両走行時の振動等による第1および第2電線12a,12bの損傷のおそれが更に一層低減され得る。
【0075】
さらに、実施形態1では、第1分割体20aが、第2分割体20bと第3分割体20cの何れにも連結していると共に、第2分割体20bが、第1分割体20aと第3分割体20cの何れにも連結していることから、例えばプロテクタから何れかの分割体の連結が解除されて脱落するおそれが低減され得る。
【0076】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0077】
(1)前記実施形態では、プロテクタ18が、3つの分割体20(第1分割体20a、第2分割体20b、第3分割体20c)により構成されていたが、図10に示されるワイヤハーネス70のように、プロテクタ71が、2つの分割体72(第1分割体72a、第2分割体72b)により構成されてもよい。即ち、第1分割体72aは、全体として上方に開口する樋状である。第1分割体72aは、底壁74と、当該底壁74の幅方向両端から上方に突出する一対の縦壁76,76を備えている。また、これら一対の縦壁76,76からは、内方に向かって仕切壁78,78が突出している。仕切壁78,78間には、複数の電線(第1および第2電線12a,12b)の長さ方向に延びる貫通溝80が形成されている。更に、第2分割体72bは、全体として略平板状または下方に開口する樋状である。第2分割体72bは、少なくとも底壁82を備えている。
【0078】
上記の如き第1分割体72aと第2分割体72bを上下方向で連結することで、第1分離部84aと第2分離部84bを備えるプロテクタ71が構成される。即ち、底壁74と一対の縦壁76,76と仕切壁78,78で囲まれた領域により第1分離部84aが構成される。また、仕切壁78,78と一対の縦壁76,76と第2分割体72bの底壁82で囲まれた領域により第2分離部84bが構成される。そして、第1分割体72aに対して、仕切壁78,78間の離隔距離と略等しいか、僅かに小さいまたは僅かに大きい外径寸法の第1電線12aを、貫通溝80を通じて差し入れる。その後、第1分割体72aに対して、仕切壁78,78間の離隔距離よりも外径寸法の大きい外径寸法の第2電線12bを差し入れる。これにより、仕切壁78,78よりも下方の空間に第1電線12aが配置される。また、仕切壁78,78よりも上方の空間に第2電線12bが配置される。そして、第1分割体72aと第2分割体72bとを、例えば前記実施形態と同様の嵌合凹部30と嵌合凸部46等による凹凸嵌合等により固定することで、ワイヤハーネス70が形成される。
【0079】
本態様では、仕切壁78,78は、プロテクタ71の長さ方向全長までは至っていない。それゆえ、プロテクタ71の長さ方向の端部において、仕切壁78,78が設けられないことにより、図示しない合流部が形成される。したがって、本態様においても、前記実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0080】
(2)前記実施形態では、複数の分割体20において、下方から順に、第1分割体20a、第2分割体20b、第3分割体20cとされていたが、単なる名称付けであり、上方から順に、第1分割体、第2分割体、第3分割体であってもよい。その場合、上下の分離部のうち、上方の分離部が第1分離部である。そして、当該第1分離部が、第1分割体の底壁(前記実施形態における第3底壁50に相当)と、第2分割体における底壁と両縦壁(前記実施形態における第2底壁36および第2縦壁38a,38bに相当)により構成される。したがって、第1分離部を構成する第1側壁が、第2分割体における第2縦壁により構成されてもよい。また、上下の分離部のうち、下方の分離部が第2分離部である。そして、当該第2分離部が、第2分割体の底壁(前記実施形態における第2底壁36)と、第3分割体における底壁と両縦壁(前記実施形態における第1底壁22および第1縦壁24a,24bに相当)により構成される。したがって、第2分離部を構成する第2側壁が、第3分割体における第3縦壁により構成されてもよい。
【0081】
(3)なお、プロテクタを構成する分割体の形状は限定されるものではない。前記実施形態では、第1および第2分割体20a,20bが上方に開口する略樋状とされると共に、第3分割体20cが略平板形状とされていたが、例えば最も下方に位置する第1分割体が略平板形状とされて、当該第1分割体の上方に位置する第2および第3分割体が、下方に開口する略樋状とされてもよい。或いは、第1および第3分割体が略平板形状とされて、第2分割体が、上方と下方に開口を有する略H字状の断面を有する部材とされてもよい。また、第2分割体が、略H字状断面を有する部材である場合、第1および第3分割体はそれぞれ、例えば上方および下方に開口する略樋状の部材であってもよい。その場合には、第1分離部における第1側壁を第1および第2分割体の両方で構成することも可能である。また、第2分離部における第2側壁を第2および第3分割体の両方で構成することも可能である。
【0082】
さらに、例えば第1分離部を第1および第2分割体の両方で構成する場合、例えば第1分割体において上方に開口する部分と第2分割体において下方に開口する部分とを、前後方向で異なる位置に設けて、第1分割体の上方開口部を第2分割体の第2底壁で覆蓋すると共に、第2分割体の下方開口部を第1分割体の第1底壁で覆蓋してもよい。なお、例えば第1分離部が第1および第2分割体の両方で構成される場合、第1分割体と第2分割体の何れか一方が略樋状の形状とされる必要はなく、例えば第1分割体が、第1分離部における底壁と一方の側壁を構成すると共に、第2分割体が、第1分離部における上方の壁部と他方の側壁を構成するようになっていてもよい。
【0083】
更にまた、前記実施形態のように相互に重ね合わされて連結されることで合流部を構成する第1および第3分割体において、前記実施形態では、合流部64の第3側壁が、第1分割体20aにおける第1縦壁24a,24bと第3分割体20cにおける第3縦壁52a,52bとの両方により形成されていた。しかし、第1分割体における第1縦壁または第3分割体における第3縦壁を相手方に至る大きさで形成することで、合流部における第3側壁を第1縦壁と第3縦壁の一方により構成することも可能となる。
【0084】
(4)電線とプロテクタとの固定構造は例示のものに限定されず、任意の構造が採用され得る。
【0085】
(5)前記実施形態では、2本の電線12a,12bが設けられていたが、電線は3本以上でもよく、プロテクタを構成する分割体は4つ以上でもよい。その場合、例えば最も下方の分割体を、前記実施形態における第1分割体20aと同様の形状として、最も上方の分割体を、前記実施形態における第3分割体20cと同様の形状としてもよい。更に、中間の分割体を、前記実施形態における第2分割体20bと同様の形状として、これら中間の分割体同士が互いに連結できるような形状としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 ワイヤハーネス
12a 第1電線(電線)
12b 第2電線(電線)
14 芯線
16 絶縁層
18 プロテクタ
19 合流部側開口端部
20 分割体
20a 第1分割体
20b 第2分割体
20c 第3分割体
22 第1底壁
24 第1縦壁(第1側壁、第3側壁)
24a 一方の第1縦壁
24b 他方の第1縦壁
26 嵌合溝部
28 第1傾斜部
29a 第1ストレート部
29b 第1拡開部
30 嵌合凹部
32 脚部
34 挿通孔
36 第2底壁
38 第2縦壁(第2側壁)
38a 一方の第2縦壁
38b 他方の第2縦壁
39 嵌合溝部
40 第2傾斜部
41a 第2ストレート部
41b 第2拡開部
42 嵌合凹部
44 位置決め部
46 嵌合凸部
48 嵌合リブ
50 第3底壁
52 第3縦壁(第3側壁)
52a 一方の第3縦壁
52b 他方の第3縦壁
54 嵌合突部
55 コルゲート支持部
56 第3傾斜部
57a 第3ストレート部
57b 第3拡開部
58 嵌合凸部
60 嵌合リブ
62 位置決め部
64 合流部
66 分離部
66a 第1分離部
66b 第2分離部
68a 第1分離部側開口端部
68b 第2分離部側開口端部
70 ワイヤハーネス
71 プロテクタ
72 分割体
72a 第1分割体
72b 第2分割体
74 底壁
76 縦壁
78 仕切壁
80 貫通溝
82 底壁
84a 第1分離部
84b 第2分離部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10