IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トラス カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ ムン、ホ ソブの特許一覧

特許7387111両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ及びその製造方法
<>
  • 特許-両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ及びその製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20231120BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20231120BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 121/00 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J183/04
C09J7/10
B32B27/00 M
C09J11/06
C09J121/00
C09J133/00
C09J163/00
C09J175/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022022744
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2022127611
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022236
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517451641
【氏名又は名称】トラス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Truss Co.,Ltd
(73)【特許権者】
【識別番号】520510438
【氏名又は名称】ムン、ホ ソブ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ホ ソブ
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-184953(JP,A)
【文献】特開2019-123853(JP,A)
【文献】特開2020-041058(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0069819(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00-7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1離型フィルムに第1粘着層を塗布して硬化させるステップと、
前記第1粘着層上にプライマーコーティング層を塗布して硬化させるステップと、
第2離型フィルムに第2粘着層を塗布して硬化させるステップと、
前記プライマーコーティング層及び第2粘着層を積層させるステップと、を含み、
前記第1粘着層はシリコン粘着層である
ことを特徴とする両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造方法によって製造される両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープであって、
第1粘着層と第2粘着層とには、硬化剤が含まれ、
第1粘着層と、
第2粘着層と、
前記第1粘着層及び第2粘着層の間に介在するプライマーコーティング層と、を含み、
前記第1粘着層はシリコン粘着層である
ことを特徴とする両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項3】
前記シリコン粘着層はシリコンガム(gum)、シリコンレジン(resin)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むものである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項4】
前記シリコンガム(gum)はフェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基又はカルボキシ基より選択される1つ以上の官能基を持つオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、ビニル基を持つポリシロキサン、ビニル基を持つメチルポリシロキサン、ビニル基を持つポリジメチルシロキサン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むものである
請求項3に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項5】
前記シリコンレジン(resin)はM単位(RSiO1/2)、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)、D単位(RSiO)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の単位を有するオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)である
請求項3に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項6】
前記シリコン粘着層は粘着付与剤(tackifier)、密着向上剤(anchorage)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をさらに含むものである
請求項3に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項7】
前記シリコン粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項8】
前記シリコン粘着層の粘着力は1gf/in乃至2,000gf/inである
請求項3に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項9】
前記第2粘着層はアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される粘着剤を含むものである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項10】
前記アクリル系粘着剤は炭素数2乃至18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(methacrylic acid alkylester)を含むアクリル共重合体である
請求項9に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項11】
前記第2粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項12】
前記第2粘着層の粘着力は10gf/in乃至5,000gf/inである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項13】
前記プライマーコーティング層は、前記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせて形成されたものである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【請求項14】
前記プライマーコーティング層の厚さは0.1μm乃至50μmである
請求項2に記載の両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープ及びその製造方法に関し、より具体的には、上記粘着テープは基材なし(non-substrate)プライマーコーティング層を用いて相違する性質を持つ異質の第1粘着層及び第2粘着層を積層させたことに特徴がある。
【背景技術】
【0002】
電子機器には多様な部材が粘着剤によって付着される。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルム及び輝度向上フィルムなどの多様な光学部材が粘着剤によって付着され得る。最近、電子機器の厚さが薄くなるにつれ、電子機器内の部材を付着するための粘着層の厚さを下げながらも優れた耐久性を具現するための試みが続いている。
【0003】
よって、無基材形態の粘着テープが研究されている。ただし、基材を使用しない場合、粘着層の高温せん断特性などに問題が生じ得る。また、連続工程を用いて電子機器を製造しており、このような無基材粘着テープを連続工程に適用するためには別途の打ち抜き工程が必要であった。
【0004】
一方、一般的な無基材粘着テープの場合、単一種類の粘着剤層からなるものだけが開発されており、多層構造の製品であっても同一又は類似系列の材質から離れないことが一般的であった。また、シリコン粘着剤及びアクリル粘着剤のように2種の相違する粘着特性を有する粘着層を用いて粘着テープを製造しようとする場合、層分離を防止するために上記2種の粘着層の間に別途のPETなどの基材層を挿入することが必須であった。ただし、上記のように別途の基材層を挿入する場合、中間に基材層が含まれるため、これを含む粘着テープは固く(hard)、付着面に対する密着性に劣り、特に折れる部位に対する耐反発性が大きいため、適用分野に限界があった。
【0005】
よって、本発明者らは上記のような問題を解決するために研究する中で、相違する性質を持つ異質の第1粘着層及び第2粘着層の間にプライマーコーティング層を介在させて粘着テープを製造した場合、層分離が起こらず、両面の粘着特性が相違し、柔らかく(soft)、折れる部位に対する耐反発性に優れた無基材(non-substrate)粘着テープの製造が可能であることを発見して本発明を完成するに至った。
【0006】
これと関連して、特許文献1は放火ドア用不燃性粘着テープについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国登録特許第10-0924320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであり、両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープを提供することにその目的がある。
【0009】
また、上記両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、
第1粘着層と、第2粘着層と、上記第1粘着層及び第2粘着層の間に介在するプライマーコーティング層と、を含み、上記第1粘着層はシリコン粘着層である両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープを提供する。
【0011】
上記シリコン粘着層はシリコンガム(gum)、シリコンレジン(resin)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。
【0012】
上記シリコンガム(gum)はフェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基又はカルボキシ基より選択される1つ以上の官能基を持つオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、ビニル基を持つポリシロキサン、ビニル基を持つメチルポリシロキサン、ビニル基を持つポリジメチルシロキサン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。
【0013】
上記シリコンレジン(resin)はM単位(RSiO1/2)、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)、D単位(RSiO)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の単位を有するオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)であり得る。
【0014】
上記シリコン粘着層は粘着付与剤(tackifier)、密着向上剤(anchorage)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をさらに含むことができる。
【0015】
上記シリコン粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmであり得る。
【0016】
上記シリコン粘着層の粘着力は1gf/in乃至2,000gf/inであり得る。
【0017】
上記第2粘着層はアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される粘着剤を含むことができる。
【0018】
上記アクリル系粘着剤は炭素数2乃至18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(methacrylic acid alkylester)を含むアクリル共重合体であり得る。
【0019】
上記第2粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmであり得る。
【0020】
上記第2粘着層の粘着力は10gf/in乃至5,000gf/inであり得る。
【0021】
上記プライマーコーティング層は上記シリコン粘着層に物理的表面処理を行うか又は化学的結合を行って形成されたものであり得る。
【0022】
上記物理的表面処理は上記シリコン粘着層にコロナ又は二酸化炭素(CO)プラズマ処理を用いて行うことであり得る。
【0023】
上記化学的結合は上記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせて行うことであり得る。
【0024】
上記プライマーコーティング層の厚さは0.1μm乃至50μmであり得る。
【0025】
また、本発明の他の一側面は、
第1離型フィルムに第1粘着層を塗布して硬化させるステップと、上記第1粘着層上にプライマーコーティング層を塗布して硬化させるステップと、第2離型フィルムに第2粘着層を塗布して硬化させるステップと、上記プライマーコーティング層及び第2粘着層を積層させるステップと、を含む両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
以上のような本発明による無基材粘着テープは基材なし、すなわち、無基材(non-substrate)で製造されるため、柔らかく(soft)、付着面に対する密着性及び折れる部分に対する耐反発性に優れ屈曲及び形態変形に対して非常に優れた特性を持つことができる。したがって、モバイル機器内OCAフィルムなど多様な分野に使用可能であり得る。
【0027】
また、相違する性質を持つ異質の第1粘着層及び第2粘着層の間にプライマーコーティング層を介在させて製造するため、上記第1粘着層及び第2粘着層の層分離が起こらず非常に安定したものであり得る。さらには、両面の粘着特性が相違する粘着テープの具現が可能なので、表面エネルギーの低い素材から高い素材まで広範囲に適用可能で、弱粘着から強粘着まで多様な粘着力の具現が可能なものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一具体例による無基材粘着テープの使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明は多様な相違する形態で具現されることができ、ここで説明する実施例によって本発明が限定されず、本発明は後述する請求範囲によってのみ定義される。
【0030】
ちなみに、本発明で使用した用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は文脈上明らかに異なることを示さない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書全体で任意の構成要素を「含む」ということは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0031】
本願の第1側面は、第1粘着層と、第2粘着層と、上記第1粘着層及び第2粘着層の間に介在するプライマーコーティング層と、を含み、上記第1粘着層はシリコン粘着層である両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープを提供する。
【0032】
以下、本願の第1側面による無基材粘着テープを図1を参照して詳細に説明する。この時、上記図1は本発明の一具現例による無基材粘着テープの使用状態を示す概略図である。
【0033】
本願の一具現例において、上記両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープは第1粘着層200を含むことができ、上記第1粘着層200はシリコン粘着層であり得る。
【0034】
本願の一具現例において、上記シリコン粘着層は表面エネルギーが非常に低い非極性のオレフィン系又はシリコンパッドのような素材に対する付着力に優れたものであることができ、シリコンガム(gum)、シリコンレジン(resin)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。また、上記シリコン粘着層を構成するシリコン粘着剤は過酸化物のラジカル生成でシリコン樹脂にラジカルが発生して硬化反応が起こる縮合反応型と、白金触媒と硬化剤及びシリコン樹脂成分で構成される付加反応型のいずれも使用可能であることができ、それぞれのシリコン粘着剤に使用される硬化剤の種類が相違するものであり得る。これについては下記本願の第2側面でより詳細に説明する。
【0035】
本願の一具現例において、上記シリコンガム(gum)はフェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基又はカルボキシ基より選択される1つ以上の官能基を持つオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、ビニル基を持つポリシロキサン、ビニル基を持つメチルポリシロキサン、ビニル基を持つポリジメチルシロキサン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。上記のようなシリコンガム(gum)は粘着力及び凝集力に大きく影響を及ぼす要素であることができ、その分子量は100,000g/mol乃至2,000,000g/molであり得る。上記シリコンガム(gum)の分子量が低い場合は高温多湿条件下で信頼性(粘着力)が低下する場合があり、高い場合は無基材粘着テープを製造するための作業性に問題が生じ得る。
【0036】
本願の一具現例において、上記シリコンレジン(resin)はM単位(RSiO1/2)、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)、D単位(RSiO)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の単位を有するオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)であり得る。好ましくは、上記シリコンレジンはM単位(RSiO1/2)及びQ単位(SiO)によって構成されるMQレジンであり得る。一方、上記シリコンレジンに使用される共重合体は必要に応じて官能基が導入されたものを使用することができ、この場合、上記官能基は架橋反応を起こすものであり得る。
【0037】
本願の一具現例において、上記シリコン粘着層は粘着付与剤(tackifier)、密着向上剤(anchorage)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をさらに含むことができる。
【0038】
本願の一具現例において、上記粘着付与剤はロジンエステル粘着付与剤(rosin ester tackifier)、テルペン由来粘着付与剤(terpene-based tackifier)、石油樹脂系粘着付与剤、コールタール由来粘着付与剤(coal-based tackifier)、アルキルフェノール系粘着付与剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される粘着付与剤を含むことができる。この時、上記粘着付与剤の含量は上記シリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して1重量部乃至20重量部であることができ、好ましくは5重量部乃至15重量部であることができる。上記粘着付与剤の含量が上記シリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して1重量部未満の場合はシリコン粘着層の物性改質効果が微々たる場合があり、20重量部を超える場合は粘着面が固くなり流動性が低下して返ってシリコン粘着層の粘着力が低下する問題が生じ得る。
【0039】
本願の一具現例において、上記密着向上剤(anchorage)はシリコン粘着層及びプライマーコーティング層の間の密着力を向上させるために含まれることができ、テトラ(トリメチルシロキシ)シラン、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。一方、上記密着向上剤(anchorage)の含量は上記シリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して0.5重量部乃至2重量部であることができる。上記密着向上剤(anchorage)の含量が上記シリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して0.5重量部未満の場合はシリコン粘着層及びプライマーコーティング層の間の密着力が向上せず層分離が起こる場合があり、2重量部を超える場合は層間密着力を向上させるための十分な含量を既に超えているため、非経済的であり得る。
【0040】
本願の一具現例において、上記シリコン粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmであることができ、好ましくは約10μm乃至500μmであることができる。また、上記シリコン粘着層の粘着力は1gf/in乃至2,000gf/inであることができ、好ましくは約5gf/in乃至2,000gf/inであることができる。
【0041】
本願の一具現例において、上記両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープは第2粘着層400を含むことができ、上記第2粘着層400は極性又は非極性粘着層からなることができる。
【0042】
本願の一具現例において、上記第2粘着層は金属、プラスチックのように表面エネルギーの高い素材に対する付着力に優れたものであることができ、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される粘着剤を含むことができ、好ましくはアクリル系粘着剤を含むことができる。
【0043】
本願の一具現例において、上記アクリル系粘着剤は炭素数2乃至18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(methacrylic acid alkylester)を含むアクリル共重合体であり得る。また、上記アクリル共重合体はガラス転移温度(Tg)が-60℃乃至-10℃で、重量平均分子量が50万乃至150万であり得る。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)及び重量平均分子量が上記範囲未満の場合はこれを含む第2粘着層の凝集力と耐熱性が減少する場合があり、上記範囲を超える場合は凝集力が過度に高くなり初期粘着力(tack)と粘着力が低下する問題が生じ得る。一方、上記アクリル共重合体はカルボキシ基又はヒドロキシ基の中から選択される1つ以上の官能基を持つことができる。
【0044】
本願の一具現例において、上記第2粘着層の厚さは1μm乃至1,000μmであることができ、好ましくは約10μm乃至500μmであることができる。また、上記第2粘着層の粘着力は10gf/in乃至5,000gf/inであることができ、適用用途によって適切に調節可能であり得る。この時、上記第2粘着層の厚さ及び粘着力が上記範囲未満の場合は被着材に対するwetting性能と粘着力が減少する場合があり、上記範囲を超える場合は粘着力が過度に上昇して被着材に対する再剥離性が低下する問題が生じ得る。
【0045】
本願の一具現例において、上記両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープは上記シリコン粘着層からなる第1粘着層200及び第2粘着層400の間に介在するプライマーコーティング層300を含むことができる。すなわち、表面エネルギーの低い非極性のシリコン粘着層200と第2粘着層400は表面の濡れ性の差によって十分な接着力の発現が難しいが、上記シリコン粘着層200の表面に物理的表面処理を行うか又は化学的結合を行ってプライマーコーティング層を形成することによってその付着性を向上させることができる。
【0046】
本願の一具現例において、上記物理的表面処理は上記シリコン粘着層にコロナ又は二酸化炭素(CO)プラズマ処理を用いて行うことであり得る。また、上記化学的結合は上記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせて行うことであり得る。上記化学的結合についてより具体的に説明すると、シリカと有機シラン又は有機シロキサンを処理して疏水性を付与することとシリコン粘着剤組成物の成分の中の1つであるシロキサン結合内にエポキシ基及びヒドロキシ基又はアルコキシ基を含むオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)のエポキシ基との反応性を利用することであって、エポキシ基はカルボキシ基及びヒドロキシ基と優れた反応性を有するものであり得る。よって、上記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シラン系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせてプライマーコーティング層を形成できる。
【0047】
本願の一具現例において、上記プライマーコーティング層の厚さは0.1μm乃至50μmであることができ、好ましくは約0.5μm乃至30μmであり得る。
【0048】
本願の一具現例において、上記無基材粘着テープの厚さは2μm乃至2,000μmであることができ、好ましくは約20μm乃至1,000μmであり得る。
【0049】
本願の一具現例において、上記両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープは基材なし、すなわち、無基材(non-substrate)で製造されるため、柔らかく(soft)、付着面に対する密着性及び折れる部分に対する耐反発性に優れ屈曲及び形態変形に対して非常に優れた特性を持つことができる。したがって、モバイル機器内OCAフィルムなど多様な分野に使用可能であり得る。
【0050】
また、シリコン粘着層からなる第1粘着層200及び第2粘着層400の間にプライマーコーティング層300を介在させて製造するため、上記シリコン粘着層200及び第2粘着層400の層分離が起こらず非常に安定したものであり得る。さらには、両面の粘着特性が相違する粘着テープの具現が可能なので、表面エネルギーの低い素材から高い素材まで広範囲に適用可能で、弱粘着から強粘着まで多様な粘着力の具現が可能なものであり得る。
【0051】
本願の第2側面は、
第1離型フィルムに第1粘着層を塗布して硬化させるステップと、上記第1粘着層上にプライマーコーティング層を塗布して硬化させるステップと、第2離型フィルムに第2粘着層を塗布して硬化させるステップと、上記プライマーコーティング層及び第2粘着層を積層させるステップと、を含み、上記第1粘着層はシリコン粘着層である両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造方法を提供する。
【0052】
本願の第1側面と重複する部分については詳細な説明を省略したが、本願の第1側面について説明した内容は第2側面でその説明が省略されても同様に適用され得る。
【0053】
以下、本願の第2側面による上記無基材粘着テープの製造方法を図1を参照してステップ毎に詳細に説明する。この時、上記図1は本発明の一具現例による無基材粘着テープの使用状態を示す概略図である。
【0054】
まず、本願の一具現例において、上記無基材粘着テープの製造方法は第1離型フィルム100にシリコン粘着層からなる第1粘着層200を塗布して硬化させるステップを含むことができる。
【0055】
本願の一具現例において、上記シリコン粘着層を構成するシリコン粘着剤は過酸化物のラジカル生成でシリコン樹脂にラジカルが発生して硬化反応が起こる縮合反応型と、白金触媒と硬化剤及びシリコン樹脂成分で構成される付加反応型のいずれも使用可能であることができ、それぞれのシリコン粘着剤に使用される硬化剤の種類が相違するものであり得る。
【0056】
本願の一具現例において、上記縮合反応型に使用される硬化剤は過酸化ベンゾイル、t-ブチルペルオキシベンゾアート、ジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。この時、上記硬化剤の含量は上記シリコン粘着剤の主成分であるシリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して0.3重量部乃至5重量部であることができ、好ましくは約0.5重量部乃至3重量部であることができる。
【0057】
本願の一具現例において、上記付加反応型の場合、ヒドロシリル化反応を促進する触媒として白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系、イリジウム系などの触媒を使用することができ、好ましくは白金系触媒を使用することができる。この時、上記白金系触媒は塩化白金酸、塩化白金産のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸とアルコールの反応物、塩化白金酸又は白金の各種オレフィン又はビニルシロキサンの錯体などを使用できる。一方、上記触媒は適切な含量だけ使用されることができ、触媒量が少ないと硬化性能が低下して架橋密度が低くなり粘着力や密着性が低下し、使用量が多いと硬化の進行が過度に速くて粘着組成物の安定性が低下して工程上の問題が生じ未反応触媒が残留して粘着テープの経時変化が起こる場合がある。
【0058】
本願の一具現例において、上記付加反応型に使用される硬化剤はビニルシロキサン基と反応性を有するSi-OH、Si-OR又はSi-Hなどの官能基の中のいずれか1つ以上を有するポリシロキサン化合物を使用することができ、好ましくは反応時に付加物の発生がなく優れた密着性を有するSi-H基を持つポリジメチルシロキサンを使用することができる。この時、上記硬化剤の含量は好ましくは上記シリコン粘着剤の主成分であるシリコンガム(gum)又はシリコンレジン(resin)100重量部に対して0.3重量部乃至3重量部であることができる。上記硬化剤の含量が0.3重量部未満の場合は架橋度が低下してレジンフローが生じシリコン成分がmigrationされて被着材に転移される場合があり、3重量部を超える場合は過度な硬化とともに一部の未反応した硬化剤によって粘着力と耐久性が返って低下し得る。
【0059】
本願の一具現例において、上記第1離型フィルム100は上記無基材粘着テープを外部汚染物質から保護するために形成されているものであることができ、実際の使用時には上記第1離型フィルム100を除去した後、被着材に接着させるものであり得る。好ましくは上記第1離型フィルム100はシリコン粘着層200との円滑な粘着のためにフッ素処理されたものを使用できる。
【0060】
本願の一具現例において、上記硬化は100℃乃至200℃の温度で行われることができ、本発明の一実施例によれば、約170℃の温度で行われることができる。
【0061】
次に、本願の一具現例において、上記無基材粘着テープの製造方法は上記シリコン粘着層からなる第1粘着層200上にプライマーコーティング層300を塗布して硬化させるステップを含むことができる。
【0062】
本願の一具現例において、上記プライマーコーティング層300はシリコン粘着層200の表面に物理的表面処理を行うか又は化学的結合を行って形成できる。
【0063】
本願の一具現例において、上記物理的表面処理は上記シリコン粘着層にコロナ又は二酸化炭素(CO)プラズマ処理を用いて行うことであり得る。また、上記化学的結合は上記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせて行うことであり得る。上記化学的結合についてより具体的に説明すると、シリカと有機シラン又は有機シロキサンを処理して疏水性を付与することとシリコン粘着剤組成物の成分の中の1つであるシロキサン結合内にエポキシ基及びヒドロキシ基又はアルコキシ基を含むオルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)のエポキシ基との反応性を利用することであって、エポキシ基はカルボキシ基及びヒドロキシ基と優れた反応性を有するものであり得る。よって、上記シリコン粘着層にカルボキシ基及びヒドロキシ基を持つアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン変性樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質をコーティングさせてプライマーコーティング層を形成できる。
【0064】
本願の一具現例において、上記プライマーコーティング層の厚さは0.1μm乃至50μmであることができ、好ましくは約0.5μm乃至30μmであり得る。また、上記硬化は80℃乃至200℃の温度で行われることができ、本発明の一実施例によれば、約110℃の温度で行われることができる。
【0065】
次に、本願の一具現例において、上記無基材粘着テープの製造方法は第2離型フィルムに第2粘着層を塗布して硬化させるステップと、上記プライマーコーティング層及び第2粘着層を積層させるステップと、を含むことができる。
【0066】
本願の一具現例において、上記第2粘着層は金属、プラスチックのように表面エネルギーの高い素材に対する付着力に優れたものであることができ、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される粘着剤を含むことができ、好ましくはアクリル系粘着剤を含むことができる。
【0067】
本願の一具現例において、上記第2粘着層は硬化剤を含むことができ、この時、上記硬化剤は2,4-トルエンジイソシアネート、2.6-トルエンジイソシアネート、1.5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、P-キシリレンジイソシアネート、M-キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。また、上記硬化剤はイソシアネート系物質のみに限定されることはなく、メラミン系、金属キレート、エポキシ、アジリジン等共重合体及び樹脂に含まれている官能基と結合して架橋が可能なものであればいずれも使用が可能である。
【0068】
本願の一具現例において、上記硬化は80℃乃至200℃の温度で行われることができ、本発明の一実施例によれば、約110℃の温度で行われることができる。
【0069】
本願の一具現例において、上記第2離型フィルム500は第1離型フィルム100と同様に無基材粘着テープを外部汚染物質から保護するために付着させるものであることができ、実際の使用時には上記第2離型フィルム500を除去した後、被着材に接着させるものであり得る。好ましくは上記第2離型フィルム500は第2粘着層400との円滑な粘着のためにシリコン処理されたものを使用できる。
【0070】
以下、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0071】
実施例1.両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造
【0072】
まず、シリコン粘着層を形成するシリコン粘着剤組成物を製造するために、ポリジメチル/メチルビニルシロキサン系シリコン粘着樹脂とMQ樹脂をシリコンレジンに使用し、硬化剤はSi-H基を持つポリジメチルシロキサンを使用し、シリコン粘着剤100重量部に対してアンカレッジはテトラ(トリメチルシロキシ)シランを1重量部、白金系触媒は0.5重量部、粘着付与剤は5重量部及び硬化剤は1重量部だけ使用した。上記製造されたシリコン粘着剤組成物をフッ素処理された離型フィルムに50μmの厚さで塗布し、170℃の温度で硬化させてシリコン粘着層を形成した。
【0073】
以後、上記シリコン粘着層上にプライマーコーティング組成物として、シリコン変性樹脂((Siloxanes and Silicones, di-Me, hydroxy-terminated, reaction products with chlorotrimethylsilane, hydrochloric acid, iso-Pr alc. and sodium silicate (CAS NO. 68440-70-0))100重量部にトルエン100重量部を希釈した物質を塗布し、110℃の温度で硬化させてプライマーコーティング層を形成した。
【0074】
次に、シリコン処理された離型フィルムにC~C18(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル共重合体(ガラス転移温度(Tg):-30℃/重量平均分子量:100万)及び硬化剤として2,4-トルエンジイソシアネートを上記アクリル共重合体100重量部に対して0.75重量部混合して50μmの厚さで塗布し、110℃の温度で硬化させてアクリル粘着層を形成した。
【0075】
以後、上記プライマーコーティング層に上記アクリル粘着層を積層させて無基材粘着テープを製造し、最終的に製造された無基材粘着テープの厚さは100μmであった。
【0076】
実施例2.両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造
【0077】
上記実施例1でシリコン粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含量を10重量部としたことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0078】
実施例3.両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造
【0079】
上記実施例1でシリコン粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含量を15重量部としたことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0080】
実施例4.両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造
【0081】
上記実施例1でシリコン粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含量を20重量部としたことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0082】
実施例5.両面の粘着特性が相違する無基材粘着テープの製造
【0083】
上記実施例1でシリコン粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤及び硬化剤の含量をそれぞれ10重量部及び4重量部としたことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0084】
比較例1.無基材粘着テープの製造
【0085】
上記実施例1でプライマーコーティング層を形成しないことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0086】
比較例2.無基材粘着テープの製造
【0087】
上記実施例2でプライマーコーティング層を形成しないことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0088】
比較例3.無基材粘着テープの製造
【0089】
上記実施例3でプライマーコーティング層を形成しないことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0090】
比較例4.無基材粘着テープの製造
【0091】
上記実施例4でプライマーコーティング層を形成しないことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0092】
比較例5.無基材粘着テープの製造
【0093】
上記実施例5でプライマーコーティング層を形成しないことを除いては同じ方法を用いて無基材粘着テープを製造した。
【0094】
下記表1に実施例1乃至5及び比較例1乃至5でそれぞれ使用されたシリコン粘着剤組成物に含まれた造成の含量及びプライマーコーティング層の形成有無を示した。
【0095】
【表1】
【0096】
実験例1.粘着力測定試験
【0097】
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至5で製造した無基材粘着テープのシリコン粘着層及びアクリル粘着層の粘着力を測定するために、ASTM D-1000に基づいてテスト試験片をSUS304に2kgローラで1回往復圧搾し、常温で20分放置した後、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minでINSTRON 3343を用いてこれを測定した。この時、雰囲気温度は23℃で、湿度は65%であって、その結果を下記表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
上記表2に示したように、本発明の実施例によって製造された無基材粘着テープのシリコン粘着層の場合は粘着付与剤と硬化剤の含量が増加するほどtackが低下して粘着力が減少することを確認できた。ただし、比較例によって製造された無基材粘着テープの場合はシリコン粘着層及びアクリル粘着層の間の層分離が起こり一部のシリコン粘着層及び全てのアクリル粘着層に対する粘着力測定が不可能であった。
【0100】
実験例2.プローブタック(probe tack)測定実験
【0101】
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至5で製造した無基材粘着テープのシリコン粘着層及びアクリル粘着層のtackを測定するために、テスト試料を25×25mmサイズに切断してテスト面が下方に向かうようにAnnular ringに付着した後、Cheminstrument PT-1000を用いてこれを測定した。この時、雰囲気温度は23℃で、湿度は65%であって、その結果を下記表3に示した。
【0102】
一方、Tackは基材に対する濡れ性と密接な関係があり、tackが高いほど基材に対する濡れ性に優れ密着力が向上する。
【0103】
【表3】
【0104】
上記表3に示したように、本発明の実施例及び比較例によって製造された無基材粘着テープのプローブタック(probe tack)を用いたtackは粘着付与剤の含量が増加するほど表面が固くなり、硬化剤による架橋度の増加によってtackが低下することを確認できた。
【0105】
実験例3.保持力測定実験
【0106】
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至5で製造した無基材粘着テープのシリコン粘着層及びアクリル粘着層の保持力を測定するために、洗浄が完了したSUS板に幅25mm、長さ25mmでこれを付着して重さ2kgの圧搾ローラを用いて試験片を300mm/minの速度で往復圧搾して常温23℃に20分間放置した後、試料を保持力試験機内に装着した後、試験温度90℃に錘(1kg)を付けて1時間後にずれた距離を測定し、その結果を下記表4に示した。
【0107】
【表4】
【0108】
上記表4に示したように、本発明の比較例によって製造された無基材粘着テープの場合はシリコン粘着層及びアクリル粘着層の間の層分離が起こり全てのシリコン粘着層及び全てのアクリル粘着層に対する保持力測定が不可能であった。
【0109】
実験例4.層間分離有無の測定
【0110】
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至5で製造した無基材粘着テープの層間分離有無を測定するために、テスト試料を25×25mmサイズに切断してSUSを両側粘着面にそれぞれ付着した後、2kgローラで1回往復圧搾した後、製作した試験片を50℃チャンバに30分間放置した後に取り出して常温で10分間放置した。以後、準備した試験片の両端をUTM上下治具に装着して12.7mm/minの速度でせん断強度30kgf/cmまで引っ張って無基材で積層されたシリコン粘着層とアクリル粘着層の間が分離されるか否かを確認し、その結果を下記表5に示した。
【0111】
【表5】
【0112】
上記表5に示したように、本発明の実施例によって製造された無基材粘着テープの場合はプライマーコーティング層を含むことによってシリコン粘着層及びアクリル粘着層の間に層分離が起こらないことを確認できた。
【0113】
ただし、比較例によって製造された無基材粘着テープの場合はプライマーコーティング層を含まないため、シリコン粘着層及びアクリル粘着層の間の粘着力が低くて層分離が起こることが確認でき、これにより実際の産業分野での使用に適していないことが確認できた。
【0114】
以上、図面を参照して好ましい実施例とともに本発明について詳しく説明したが、このような図面と実施例で本発明の技術的思想の範囲が限定されるわけではない。よって、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形例又は均等な範囲の実施例が存在し得る。したがって、本発明による技術的思想の権利範囲は請求範囲によって解釈され、これと同等又は均等な範囲内の技術思想は本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0115】
100:第1離型フィルム
200:第1粘着層
300:プライマーコーティング層
400:第2粘着層
500:第2離型フィルム

図1