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特許7387114動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/254 20110101AFI20231120BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20231120BHJP
   H04N 17/00 20060101ALI20231120BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231120BHJP
【FI】
H04N21/254
H04N21/258
H04N17/00 M
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022156319
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2021053227の分割
【原出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022179571
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020204706
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515097878
【氏名又は名称】インフォームシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰史
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-260275(JP,A)
【文献】特表2019-523935(JP,A)
【文献】特開2006-054630(JP,A)
【文献】特開2014-229992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 13/00-17/06
G06Q 10/00-10/30
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者に動画を配信する動画配信部と、
前記動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定部と、
前記利用者が、前記表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価部と、
前記視聴評価部の評価結果を前記利用者および前記動画の配信元にフィードバックするフィードバック部と、を含み、
前記シーン設定部は、表題と前記動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータを生成し、
前記視聴評価部は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、前記表題付きシーンの終了前の第2の所定の時間、または終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認された場合に前記表題付きシーンが設定された個所を視聴したと評価する、動画視聴提供装置。
【請求項2】
前記シーン設定部が生成した前記表題付きシーンデータは、シーンデータファイルとして動画データファイルとは別に保存され、1つの前記動画データファイルに対して、属性の異なる利用者ごとに異なる前記シーンデータファイルを生成することができる、請求項1に記載の動画視聴提供装置。
【請求項3】
前記シーン設定部は、前記動画の総時間を取得し、
前記第1の所定の時間は0.5秒であって、前記第2の所定の時間、および前記第3の所定の時間は、ともに前記動画の前記総時間の1/100である、請求項1または2に記載の動画視聴提供装置。
【請求項4】
前記表題付きシーンデータは、それぞれのシーンを視聴した前記利用者に付与すべきポイントをさらに含み、
前記フィードバック部は、前記表題付きシーンが設定された個所のうち、各前記利用者が視聴した個所の前記ポイントを合計して各前記利用者の合計ポイントとする、請求項1から3のいずれか1項に記載の動画視聴提供装置。
【請求項5】
前記動画は、企業内における経営者からのメッセージ動画であって、前記ポイントは前記企業内の各組織に対するメッセージ浸透のためのデータとして用いられる、請求項4に記載の動画視聴提供装置。
【請求項6】
前記動画は、広告動画であって、前記ポイントはセールスまたはマーケティングの基礎データとして用いられる、請求項4に記載の動画視聴提供装置。
【請求項7】
前記フィードバック部は、前記表題付きシーンごとに全利用者中の視聴した前記利用者の割合を計算してグラフ化する、請求項1から6のいずれか1項に記載の動画視聴提供装置。
【請求項8】
複数の利用者に動画を配信する動画配信工程と、
前記動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定工程と、
前記利用者が、前記表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価工程と、
前記視聴評価工程の評価結果を前記利用者および前記動画の配信元にフィードバックするフィードバック工程と、を含み、
前記シーン設定工程では、表題と前記動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータが生成され、
前記視聴評価工程は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、前記表題付きシーンの終了前の第2の所定の時間、または前記表題付きシーンの終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば前記表題付きシーンが視聴されたとする、動画視聴提供方法。
【請求項9】
複数の利用者に動画を配信する動画配信処理と、
前記動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定処理と、
前記利用者が、前記表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価処理と、
前記視聴評価処理の評価結果を前記利用者および前記動画の配信元にフィードバックするフィードバック処理と、を含み、
前記シーン設定処理では、表題と前記動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータが生成され、
前記視聴評価処理は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、前記表題付きシーンの終了前の第2の所定の時間、または前記表題付きシーンの終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば前記表題付きシーンが視聴されたとする、動画視聴提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の動画視聴を評価することのできる動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の動画視聴を評価することのできる動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラムに関しては以下の特許文献が開示されている。
例えば、特許文献1(特開2019-062502号公報)には、ユーザが視聴するコンテンツに近いコンテンツを簡易に提供できるようにする情報処理装置が開示されている。
特許文献1に記載の情報処理装置は、コンテンツ毎の再生開始時刻と再生終了時刻とを含む操作情報に含まれるシーン毎の再生時間および再生回数に基づき第1のユーザの視聴パターンに近い視聴パターンを持つ第2のユーザを抽出し、抽出した第2のユーザが視聴し、第1のユーザが視聴していないコンテンツを、第2のユーザの操作情報に基づき決定する。
【0003】
また、特許文献2(特開2010-259105号公報)には、特定のユーザの嗜好に特化した番組を推薦する番組視聴端末が記載されている。
特許文献2に記載の番組視聴端末は、放送波又は通信データに含まれる番組を受信する番組受信部と、番組受信部によって受信された番組に対するユーザの選択操作を表す操作情報の入力を受け付ける操作受付部と、番組受信部によって受信された番組の操作受付部で受け付けた選択操作に基づいて、番組内の少なくとも選択操作の開始位置及び終了位置を含む選択位置情報を抽出する番組位置情報抽出部と、番組位置情報抽出部によって抽出された選択位置情報を記憶する選択位置記憶部と、選択位置記憶部に記憶されている番組の選択位置情報を、ネットワークを介して通信可能に接続され、ユーザの嗜好に合った番組に関する、番組識別情報と番組内の位置情報とを含む推薦情報を選択位置情報に応じて作成する番組推薦サーバに送信する操作情報送信部と、番組推薦サーバによって送信された推薦情報を受信する推薦情報受信部と、推薦情報受信部によって受信された推薦情報に基づいて、番組の再生及び消去の少なくとも1つを行う番組制御部とを備えている。
【0004】
また、特許文献3(特開2002-149897号公報)には、動画情報の視聴結果を確実に把握できるようにするネットワーク上での情報視聴完了確認方法が記載されている。
特許文献3に記載の情報視聴完了確認方法は、複数の動画情報から再生すべき動画情報を決定するステップと、動画情報の再生・非再生を促すステップと、再生される動画情報毎に再生完了識別手段を生成するステップと、再生が指示されたときに、再生完了識別手段に基づいて再生完了を監視する監視手段を起動するステップと、監視手段によって再生完了または非完了を通知するステップとからなる。
【0005】
また、特許文献4(特開2017-224010号公報)には、ユーザの負担なく広告動画を視聴して貰えるとともに、ユーザに対して広告報酬の一部を還元することが可能な広告視聴確認システム及び広告視聴確認プログラムが開示されている。
特許文献4に記載の広告視聴確認プログラムは、ウェブブラウザにより閲覧されるウェブページの識別情報を動画関連情報として記憶手段に記憶する情報蓄積工程と、動画関連情報が含まれる動画関連情報データセットをサーバーコンピュータに送信する情報送信工程とをコンピュータに実行させるための広告視聴確認プログラムであって、情報蓄積工程は、ウェブページの識別情報が動画に関連する識別情報であるか否かを判別する識別情報判別工程と、動画の再生時間を認識し、識別情報と関連付けて記憶手段に記憶する再生時間記憶工程と、動画の視聴時間を認識し、識別情報と関連付けて記憶手段に記憶する視聴時間記憶工程とを含む。
【0006】
また、特許文献5(特開2019-216355号公報)には、ユーザの見所を適切に検出できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが開示されている。
特許文献5に記載の情報処理装置は、動画に含まれる複数のシーンを特定するシーン特定部と、動画を視聴するユーザの特性に関するユーザ特性情報を取得するユーザ特性取得部と、動画内の複数のシーンのうち、ユーザの特性に応じた見所を検出する見所検出部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-062502号公報
【文献】特開2010-259105号公報
【文献】特開2002-149897号公報
【文献】特開2017-224010号公報
【文献】特開2019-216355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウェブサイトのアクセス解析では、サイトは複数ページのかたまりであるので、ページ単位でアクセスされたことが簡単に分かり、訪問者が何に興味や目的があるのかなどを可視化することができる。しかし動画配信では、動画は大量の情報を持っているが動画データはひとかたまりのデータであるため、再生されたかどうか、または内容に関係なく時間軸でどこまで視聴したか、どのあたりが視聴されているのかなど漠然としたデータ解析しかできなかった。例えば、動画配信元の管理者が動画のうちのある特定個所を視聴した利用者の人数、あるいは割合等について解析したいと考えても、容易に解析することができなかった。
今後さらに動画の活用が増えてくるために、ウェブサイトのアクセス解析のような可視化できる評価方法が必要となる。
【0009】
特許文献1に記載の情報処理装置は、コンテンツ毎の再生開始時刻と再生終了時刻とを含む操作情報を取得することができるため、視聴した動画の内容に関係なく、各視聴者が時間軸でどこからどこまで視聴したかをデータ収集することはできる。
しかし、各視聴者が時間軸でどこからどこまで視聴したかをそのままデータ収集した場合、データ量が膨大となり、多数の視聴者に対して、それぞれが複数の特定個所を視聴したか、あるいは、複数の特定個所を視聴した視聴者の割合が何パーセントであったか等の解析をすることは困難である。
【0010】
特許文献2に記載の番組視聴端末の場合も、番組位置情報抽出部が番組内の少なくとも選択操作の開始位置及び終了位置を含む選択位置情報を抽出しているため、視聴した動画の内容に関係なく、各視聴者が時間軸でどこからどこまで視聴したかをデータ収集することはできる。
しかし、各視聴者が時間軸でどこからどこまで視聴したかをそのままデータ収集した場合、データ量が膨大となり、多数の視聴者に対して、それぞれが複数の特定個所を視聴したか、あるいは、複数の特定個所を視聴した視聴者の割合がそれぞれ何パーセントであったか等の解析をすることは困難である。
【0011】
また、特許文献3に記載の情報視聴完了確認方法の場合は、再生完了識別手段に基づいて再生完了を監視するのみであり、動画の中の特定個所を視聴したかどうかはデータ収集することができない。
【0012】
同様に、特許文献4に記載の広告視聴確認プログラムの場合も、視聴時間記憶工程において動画の再生時間、視聴時間を記憶するが、これは、ユーザが該動画を最後まで視聴したか否かを判別し、ユーザが広告動画を途中までスキップした場合には、還元報酬を付与しないようにすることを主な目的としており、動画の中の特定の個所を視聴したかどうかをデータ収集することは記載されていない。
【0013】
特許文献5に記載の情報処理装置では、動画の各シーンにシーンタグを付与し、付与されたシーンタグを抽出することにより、動画中のそれぞれのシーンが視聴されたかどうかを検出する。したがって、動画配信元の管理者が動画のうちのある特定個所を視聴した利用者の人数、あるいは割合等についてデータ解析したい場合、その個所に特定のシーンタグを付与することによって、比較的容易に特定個所を視聴した利用者の人数、あるいは割合等のデータを収集することができる。
しかし、特許文献5に記載の情報処理装置の場合、動画データファイルを加工する必要があるため作業が比較的困難である、また、動画データにシーンタグをつけた場合、例えば組織内部向けと外部向けなど利用者の属性ごとに異なるシーンタグを付与できないなどの課題がある。
【0014】
本発明の主な目的は、動画配信において、配信元の管理者が任意で設定した表題付きシーン単位で、各視聴者がどのシーンを視聴したかが可視化され、容易に動画を評価、または動画を視聴した人を評価することができる、動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラムを提供することにある。
本発明の他の目的は、動画を視聴した人を評価することにより、セールスまたはマーケティングの基礎データとして用いることのできる、または、企業内の各組織に対するメッセージ浸透のためのデータとして用いることのできる、動画視聴提供装置、動画視聴提供方法、および動画視聴提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)
一局面に従う動画視聴提供装置は、複数の利用者に動画を配信する動画配信部と、動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定部と、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価部と、視聴評価部の評価結果を利用者および動画の配信元にフィードバックするフィードバック部と、を含み、シーン設定部は、表題と動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータを生成する。
【0016】
従来の動画配信におけるアクセス解析では、動画データ単体が再生されたかどうか、または内容に関係なく時間軸でどこまで視聴したか、どのあたりが視聴されているのかなど漠然としたデータ解析しかできなかった。
これに対して、一局面に従う動画視聴提供装置では、シーン設定部において表題と動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータを生成し、この表題付きシーンデータを参照しつつ利用者の視聴状態を評価することによって、それぞれの表題付きシーンが設定された個所を各利用者が視聴したかどうかを容易にチェックすることができる。
また、表題付きシーンデータは、例えばテキストデータとして、動画データファイルと別のファイルとすることが望ましい。この場合、動画データ中にタグを追加する場合と比較して、生成が容易である。
また、各利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックした結果を、セールスまたはマーケティングの基礎データとして用いる、または、企業内の各組織に対するメッセージ浸透のためのデータとして用いることができる。
【0017】
(2)
第2の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面に従う動画視聴提供装置において、シーン設定部が作成した表題付きシーンデータは、シーンデータファイルとして動画データファイルとは別に保存され、1つの動画データファイルに対して、属性の異なる利用者ごとに異なるシーンデータファイルを生成することができてもよい。
【0018】
例えば広告動画などの場合、利用者の属性(例えば男性と女性)ごとに異なる個所に表題付きシーンデータを設定したい場合がある。第2の発明にかかる動画視聴提供装置では、このような場合にも、複数のシーンデータファイルを生成し、視聴評価部でそれぞれの属性に対応したシーンデータファイルを用いることによって、より適切な動画視聴の評価を行うことができる。
【0019】
(3)
第3の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面から第2の発明にかかる動画視聴提供装置において、視聴評価部は、利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間に各表題付きシーンデータの開始時間と終了時間とが含まれているかどうかを調べることによって、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックしてもよい。
【0020】
この場合、視聴評価部は、各利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間の情報を受信することだけで、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したか否かをチェックすることができる。
【0021】
(4)
第4の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面に従う動画視聴提供装置において、シーン設定部は、動画の総時間を取得し、mを正の整数とし、nを0からm-1の整数として、総時間のn/mと(n+1)/mとの区間をそれぞれ表題付きシーンとし、視聴評価部は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、区間の終了前の第2の所定の時間、または区間の終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば区間が視聴されたとしてもよい。
【0022】
動画の任意の個所に表題付きシーンを設定し、さらに、利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間を各利用者ごとに記録しておいて、その視聴時間に各表題付きシーンデータの開始時間と終了時間とが含まれているかどうかを調べる場合、まず第1に、各動画に対して管理者が必ず表題付きシーンを設定する必要がある。また、利用者ごとの視聴時間を保存したうえで、視聴時間と各表題付きシーンデータの開始時間および終了時間とを比較する必要がある。したがって、動画配信の管理者の負荷が増大するとともに、利用者の数が多くなると、必要な記憶領域と処理量が増大する。
これに対して、第4の発明にかかる動画視聴提供装置では、表題付きシーンは自動的に設定され、視聴評価も、それぞれの利用者に対して、m個の区間の終了前の第2の所定の時間、または終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されたかどうかを記録するだけでよいので、利用者の数が多くなっても必要な記憶領域と処理量が少なくて済む。
【0023】
(5)
第5の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面に従う動画視聴提供装置において、シーン設定部は、動画の任意の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定方法と、動画の総時間を取得し、mを正の整数とし、nを0からm-1の整数として、総時間のn/mと(n+1)/mとの区間をそれぞれ表題付きシーンとするシーン設定方法と、を実行できるように構成され、視聴評価部は、利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間に各表題付きシーンデータの開始時間と終了時間とが含まれているかどうかを調べることによって、利用者が表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価方法と、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、区間の終了前の第2の所定の時間、または区間の終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば区間が視聴されたとする視聴評価方法と、を実行できるように構成されてもよい。
【0024】
この場合、提供する動画の種類、あるいは動画の利用者に応じて、よりきめ細かな動画視聴の評価と、より効率的な動画視聴の評価とのうちのいずれかを選択することができる。
【0025】
(6)
第6の発明にかかる動画視聴提供装置は、第4または第5の発明にかかる動画視聴提供装置において、mは10であり、第1の所定の時間は0.5秒であって、第2の所定の時間、および第3の所定の時間は、ともに動画の総時間の1/100であってもよい。
【0026】
この場合、動画を10分割して視聴評価をすることによって、動画のどの部分が視聴されたかどうかを把握することができる。
動画再生の監視は、通常再生では1秒ごとで問題ないが、倍速再生の場合等も含めると0.5秒ごとに監視することが望ましい。
また、動画の各区間の終了時間が視聴されたかどうかを確認することによって動画の各区間が視聴されたかどうかを評価することができるが、インターネットを経由した動画視聴においては、通信回線の遅延等により、動画視聴提供装置が検知した視聴時間と利用者の実際の視聴時間とが異なる場合がある。第6の発明にかかる動画視聴提供装置では、各区間の終了時間の前後の、動画の総時間の1/100の時間の期間に視聴が確認された場合に各区間の終了時間の動画が視聴されたとすることによって、動画の各区間の終了時間が視聴されたかどうかを確実に検出することができる。
【0027】
(7)
第7の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面から第6の発明にかかる動画視聴提供装置において、表題付きシーンデータはそれぞれのシーンを視聴した利用者に付与すべきポイントをさらに含み、フィードバック部は、表題付きシーンが設定された個所のうち、各利用者が視聴した個所のポイントを合計して各利用者の合計ポイントとしてもよい。
【0028】
この場合、動画配信元の管理者は利用者により視聴してほしいシーンに高いポイントを設定することにより、動画の視聴結果および効果をより客観的に評価することができる。
【0029】
(8)
第8の発明にかかる動画視聴提供装置は、第7の発明にかかる動画視聴提供装置において、動画は企業内における経営者からのメッセージ動画であって、ポイントは企業内の各組織に対するメッセージ浸透のためのデータとして用いられてもよい。
【0030】
この場合、部門ごとのポイントを評価し、ポイントが低い、すなわち、経営者からのメッセージが浸透していないと思われる部門に対しては、メッセージを浸透させるための追加の施策を執り行うことができる。
また、企業内における経営者からのメッセージ動画では、利用者の属性(例えば、開発部門、製造部門、営業部門、あるいは、上位管理職、中間管理職、若手社員など)ごとに視聴してほしいシーンが異なる場合もある。このような場合には、属性の異なる利用者ごとに、表題付きシーンを設定する個所は同じであって、ポイントだけが異なる複数のシーンデータファイルを生成してもよい。
【0031】
(9)
第9の発明にかかる動画視聴提供装置は、第7の発明にかかる動画視聴提供装置において、動画は広告動画であって、ポイントはセールスまたはマーケティングの基礎データとして用いられてもよい。
【0032】
この場合、例えば、2021年夏の新作商品紹介など、一般の顧客マーケティング用の動画であれば、60点以上の利用者を抽出してダイレクトメールを配信する、あるいは、2021年上期の新薬品紹介など、重要顧客のマンツーマンマーケティング用の動画であれば80点以上のユーザを抽出して、電話でアポイントを取るなどの取り組みにより、より有効なマーケティングツールとして活用することができる。
【0033】
(10)
第10の発明にかかる動画視聴提供装置は、一局面から第9の発明にかかる動画視聴提供装置において、フィードバック部は、表題付きシーンごとに全利用者中の視聴した利用者の割合を計算してグラフ化してもよい。
【0034】
この場合、動画の配信元は、動画を視聴した利用者の各表題付きシーンに対する関心の高さを可視化することにより、客観的に動画を評価することができる。
【0035】
(11)
他の局面に従う動画視聴提供方法は、複数の利用者に動画を配信する動画配信工程と、動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定工程と、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価工程と、視聴評価工程の評価結果を利用者および動画の配信元にフィードバックするフィードバック工程と、を含み、シーン設定工程では、表題と動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータが生成される。
【0036】
他の局面に従う動画視聴提供方法は、一局面に従う動画視聴提供装置に対応する動画視聴提供方法の発明である。
【0037】
(12)
第12の発明にかかる動画視聴提供方法は、他の局面に従う動画視聴提供方法において、シーン設定工程は、動画の総時間を取得し、mを正の整数とし、nを0からm-1の整数として、総時間のn/mと(n+1)/mとの区間をそれぞれ表題付きシーンとし、視聴評価工程は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、区間の終了前の第2の所定の時間、または区間の終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば区間が視聴されたとしてもよい。
【0038】
第12の発明にかかる動画視聴提供方法は、第4の発明にかかる動画視聴提供装置に対応する視聴方法の発明である。
【0039】
(13)
さらに他の局面に従う動画視聴提供プログラムは、複数の利用者に動画を配信する動画配信処理と、動画の複数の個所に表題付きシーンを設定するシーン設定処理と、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする視聴評価処理と、視聴評価処理の評価結果を利用者および動画の配信元にフィードバックするフィードバック処理と、を含み、シーン設定処理では、表題と動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを含む複数の表題付きシーンデータが生成される。
【0040】
さらに他の局面に従う動画視聴提供プログラムは、一局面に従う動画視聴提供装置に対応する動画視聴提供プログラムの発明である。
なお、シーン設定処理とは例えば、動画配信元の管理者が、表題を入力し、動画を視聴しながら開始時間と終了時間にボタンをクリックすると表題付きシーンデータが生成されるプログラムであり、フィードバック処理とは例えば、ポイントの集計とグラフの表示が行われるプログラム、あるいは、広告動画の視聴において、自動的にポイントが60点以上の利用者を抽出してダイレクトメールが発信されるプログラム等である。
【0041】
(14)
第14の発明にかかる動画視聴提供プログラムは、さらに他の局面に従う動画視聴提供プログラムにおいて、シーン設定処理は、動画の総時間を取得し、mを正の整数とし、nを0からm-1の整数として、総時間のn/mと(n+1)/mとの区間をそれぞれ表題付きシーンとし、視聴評価処理は、再生開始から第1の所定の時間ごとに動画再生を監視し、区間の終了前の第2の所定の時間、または区間の終了後の第3の所定の時間において、視聴が確認されれば区間が視聴されたとしてもよい。
【0042】
第14の発明にかかる動画視聴提供プログラムは、第4の発明にかかる動画視聴提供装置に対応する視聴プログラムの発明である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1の実施形態の動画視聴提供装置が組み込まれた動画視聴システム全体の構成を示す模式図である。
図2】第1の実施形態の動画視聴提供装置の構成を示す模式的ブロック図である。
図3】第1の実施形態の動画視聴提供装置の動作を示す模式的フローチャートである。
図4】シーン設定部によるシーン設定の一例を示す模式図である。
図5】シーンデータファイルの内容の一例を示す表である。
図6】視聴評価部による視聴評価の一例を示す模式図である。
図7】フィードバック部による利用者合計ポイントの計算の一例を示す表である。
図8図8(a)は、動画視聴提供装置を経営者からのメッセージ動画に用いた場合のフィードバック部によるフィードバックの一例を示す模式的フローチャートであり、図8(b)は、動画視聴提供装置を広告動画に用いた場合のフィードバック部によるフィードバックの一例を示す模式的フローチャートである。
図9】表題付きシーンごとの、全利用者中の視聴した利用者の割合を示すグラフである。
図10】第2の実施形態におけるシーン設定部によるシーン設定と視聴評価部による視聴評価の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0045】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の動画視聴提供装置100が組み込まれた動画視聴システム200全体の構成を示す模式図であり、図2は、動画視聴提供装置100の構成を示す模式的ブロック図であり、図3は、動画視聴提供装置100の動作を示す模式的フローチャートである。
【0046】
図1において、動画視聴提供装置100は、ネットワーク120を通じて利用者端末110に接続されている。利用者端末110としては、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォンなどを挙げることができるが、ネットワーク120を通じて動画視聴提供装置100に接続することができ、動画再生が可能な利用者端末110であればよく、したがって上記に限定されるものではない。
また、例えば動画視聴システム200としては、DOUPA!(登録商標)を利用することができるが、その他、利用者がアカウント情報を登録している会員サイトまたはECサイトでも利用可能である。
【0047】
図2において、動画視聴提供装置100は、動画配信部10、シーン設定部20、視聴評価部30、フィードバック部40、記憶部50、通信部60、およびディスプレイ70を備える。
経営者からのメッセージ動画、広告動画など、制作された動画はネットワーク120から通信部60を介して記憶部50に保存される(図3のステップS1)。
記憶部50に保存された動画は、動画配信部10により、ディスプレイ70に表示することができる。
【0048】
シーン設定部20は、記憶部50に保存され、ディスプレイ70に表示された動画に対して、表題と動画のタイムラインにおける開始時間と終了時間とを指定することにより、複数の表題付きシーンを設定する(ステップS2)。
また、動画は、通信部60およびネットワーク120を経由して利用者端末110に配信される。利用者は、利用者端末に実装された動画プレイヤーにより配信された動画を視聴する(ステップS3)。
なお、利用者は動画を視聴する前に、ログイン、パスワード入力等により本人認証を行う。動画プレイヤーとしては、DOUPA!(登録商標)などの動画視聴システム200に読み込むことのできる形式の動画プレイヤーであれば、特に限定されない。
【0049】
視聴評価部30は、通信部60およびネットワーク120を経由して利用者端末110に接続され、利用者端末110で動画が再生された場合、動画のタイムラインにおける視聴開始時間と視聴終了時間とを受信し、利用者が、表題付きシーンが設定された個所を視聴したかどうかをチェックする(ステップS4)。
フィードバック部40は、視聴評価部30より各利用者がどの表題付きシーンを視聴したかに関する情報を受け取って各利用者の合計ポイントを計算し、各利用者に対して、合計ポイントに応じたフィードバックを行う(ステップS5)。
【0050】
(シーン設定部20の動作)
図4は、シーン設定部20によるシーン設定動作の一例を示し、図5は、複数の表題付きシーンデータが保存されたシーンデータファイルの内容の一例を示す。図4および図5は、企業内における社長メッセージの動画の例である。
【0051】
シーン設定を行う動画配信元の管理者は、動画一覧から視聴評価する動画を選択し、視聴評価の対象となる期間(日時)を設定する。
次に、管理者は、動画を再生し、設定したいそれぞれの表題付きシーンの開始時間と終了時間を調べる。この場合、シーン設定部20は、例えば図4のように、タイムライン上の各位置の再生画像をスクロールにより確認し、タイムライン上に枠をつけることにより、各表題付きシーンの開始時間と終了時間とを取得できる機能を備えることが望ましい。
あるいは、通常の動画再生を行い、それぞれの表題付きシーンの開始時間と終了時間とを取得するようにしてもよい。
【0052】
開始時間と終了時間とを所得した表題付きシーンのデータは、図5のようなシーンデータファイルにまとめられる。図5には、表題欄、開始時間欄、終了時間欄に加えて、ポイント欄、および備考欄が設けられている。図5では、それぞれの表題付きシーンの長さは1分以内である。ただし、動画の内容によって表題付きシーンの長さは1分より長くてもよい。
ポイント欄はフィードバック部40で合計ポイントを計算するときに用いられる。図5では各表題付きシーンのポイントがすべて20ポイントになっているが、より重要と思われるシーンのポイントを大きく設定してもよい。また、重要課題1、2、3がそれぞれ、開発部門、製造部門、営業部門の課題である場合には、開発部門向けのシーンデータファイルと製造部門向けのシーンデータファイルと営業部門向けのシーンデータファイルとを別々のものとし、属性の異なる利用者ごとに、それぞれの部門向けの重要課題のシーンのポイントを大きく設定してもよい。
【0053】
また、ポイントは通常、各利用者単位の得点合計が最大100点になるように配点されるが、繰り返し視聴するような種類の動画の場合は、一人の利用者の得点が100点を超えてもよい。
シーンデータファイルは、動画データファイルの中に埋め込むこともできるが、動画データファイルと別のファイルとすることもできる。それぞれの部門向けにシーンデータファイルの内容(ポイントなど)を変更する場合は、シーンデータファイルを動画データファイルと別のファイルにした方がよい。
【0054】
(視聴評価部30の動作)
図6は、視聴評価部30による視聴評価動作の一例を示す模式図である。
視聴評価部30は、利用者端末110が動画の視聴を開始した場合、例えば、動画視聴ページ内に設定されたJava Script(登録商標)で、動画視聴開始から例えば0.5秒ごとに動画の再生を監視し、動画のタイムライン上の視聴時間情報を受信する。
そして、受信した視聴時間内にそれぞれの表題付きシーンの時間が含まれているかどうかをチェックし、表題付きシーンのうち、視聴時間内に表題付きシーンの時間のうちの例えば70%以上が含まれている表題付きシーンを視聴した表題付きシーンとする。
図6の例では、1、2、および5の表題付きシーンが視聴されたことになる。
なお、視聴評価部30は、視聴評価の対象期間の開始とともに視聴評価を開始し、対象期間の終了とともに視聴評価を終了する。
【0055】
(フィードバック部40の動作)
フィードバック部40は、視聴評価部30の評価結果を受け取り、利用者合計ポイントを計算して利用者にフィードバックするとともに、それぞれの表題付きシーンについて、全利用者中の視聴した利用者の割合等のデータを提供することにより、動画の配信元に対して、動画の評価結果をフィードバックする。
【0056】
図7は、フィードバック部40による利用者合計ポイントの計算の一例を示す表である。
図7では、利用者によって視聴された1、2、および5の表題付きシーンの視聴有無欄が1、視聴されなかった3および4の表題付きシーンの視聴有無欄が0になっている。
フィードバック部40は、各表題付きシーンのポイントと視聴有無との積を合計して利用者合計ポイントを計算する。図7の例では利用者合計ポイントは60点である。
なお、図7では各表題付きシーンのポイントがすべて20点になっているが、シーンデータファイルのポイントを利用者の属性に合わせて変更した場合は、利用者の視聴有無が同じであっても利用者合計ポイントは異なる場合がある。
動画配信元の管理者は、視聴評価の対象期間終了後、視聴した利用者を抽出し、利用者の表題付きシーンごとのポイント、および合計ポイントを記載したCSVデータ、各種グラフなどをダウンロードすることができる。
【0057】
図8(a)は、動画視聴提供装置100を経営者からのメッセージ動画の提供に用いた場合のフィードバック部40の動作の一例を示す模式的フローチャートであり、図8(b)は、動画視聴提供装置100を広告動画に用いた場合のフィードバック部40の動作の一例を示す模式的フローチャートである。
【0058】
ポイント計算のステップS51およびS54は上記記載(図7参照)のとおりであり、どちらの場合でも同じである。
動画視聴提供装置100を、経営者からのメッセージ動画の提供に用いた場合は、各利用者の利用者合計ポイントが所定のポイントN1以下であるかどうかをチェックする(ステップS52)。そして、合計ポイントが所定のポイントN1以下の利用者には再視聴を要請するメールを自動作成し発信する(ステップS53)。本実施形態において、N1は例えば60点である。この場合、図7の利用者は再視聴要請メールを受信することになる。
なお、上記ステップS52の利用者合計ポイントのチェックは、部門単位で利用者合計ポイントの平均値を計算し、平均値がN1以下の部門に対して、部門単位で再視聴を要請してもよい。
【0059】
動画視聴提供装置100を広告動画の提供に用いた場合には、各利用者の利用者合計ポイントが所定のポイントN2以上であるかどうかをチェックする(ステップS55)。そして、合計ポイントが所定のポイントN2以上の利用者にはさらなるセールスアプローチを行う(ステップS56)。
具体的には、例えば動画が2021年夏の新作衣料品を紹介する動画であれば、N2を60点とし、60点以上の利用者にダイレクトメールを自動作成して郵送してもよい。また、例えば動画が2021年上期の新薬品を紹介する動画であれば、N2を80点とし、80点以上の利用者に営業担当者から電話でアポイントを取るようにしてもよい。
【0060】
フィードバック部40は、表題付きシーンごとに全利用者中の視聴した利用者の割合を計算してグラフ化することにより、動画の評価を可視化することができる。
【0061】
図9は、経営者からのメッセージ動画の場合の、表題付きシーンごとの全利用者中の視聴した利用者の割合を示すグラフの一例である。
図9の表題付きシーンの番号は、図5に対応している。図9の場合、番号1の次期重要データ表示は視聴割合が高いが、番号4の重要課題3は視聴割合が低くなっている。これは、もともと重要課題3に対する利用者の関心が低いとも考えられるが、本発明の視聴評価部30では表題付きシーンの個所を最後まで視聴した利用者のみが視聴有と判定されるため、番号4の表題付きシーンの内容が利用者の興味をひかなかったとも考えられる。
また、動画が広告動画の場合には、各表題付きシーンをそれぞれの商品に対応させることにより、どの商品に利用者の関心がより高いかを、グラフから読み取ることができる。
【0062】
そして、各利用者の利用者合計ポイントおよび表題付きシーンごとの視聴した利用者の割合等のデータは、企業内の各組織に対するメッセージ浸透のためのデータ、および、セールスまたはマーケティングの基礎データとして利用することができる。
【0063】
[第2の実施形態]
第1の実施形態の動画視聴提供装置100は、動画の任意の個所に表題付きシーンを設定し、さらに、利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間を各利用者ごとに記録しておいて、その視聴時間に各表題付きシーンデータの開始時間と終了時間とが含まれているかどうかを調べて視聴評価とするものである。これに対して、第2の実施形態の動画視聴提供装置100は、mを正の整数として、動画全体をm分割しm個の区間を設けてそれぞれを表題付きシーンとし、それぞれの利用者に対して、m個の区間の終了前の第1の所定の時間、または終了後の第2の所定の時間において、視聴が確認されたかどうかをもって視聴評価とするものである。
したがって、第2の実施形態の動画視聴提供装置100の構成、動画視聴提供装置100が組み込まれた動画視聴システム200全体の構成、および動画視聴提供装置100の動作を示す模式的フローチャートは第1の実施形態と同一であり、図1-3は第2の実施形態にも適用される。
【0064】
図10に、第2の実施形態におけるシーン設定部20によるシーン設定と視聴評価部30による視聴評価の一例を示す。図10の例では、m=10であり、第1の所定の時間と第2の所定の時間はともに18秒である。
第2の実施形態のシーン設定部20は、まず動画全体の長さ(総時間)、図10の場合30分を取得し、それを10分割して各3分の表題付きシーンを10個形成する。この場合、各シーンの表題は例えば、第1シーン、第2シーン、・・・、第10シーンとしてもよい。
第2の実施形態の視聴評価部30は、再生開始から0.5秒ごとに動画再生を監視し、10個の区間の終了前の18秒の時間、または終了後の18秒の時間において視聴が確認された場合、視聴が確認されたそれぞれの利用者がそのシーンを視聴したとする。
なお、動画再生監視の時間間隔は、通常再生では1秒ごとで問題ないが、倍速再生の場合等も含めると0.5秒ごとに監視することが望ましい。さらに監視精度を向上させたい場合は0.5秒より短く、また、監視処理量を減らしたい場合は0.5秒より長く設定してもよい。
また、そのシーンを視聴したことを確認する時間である18秒は、動画の総時間の1/100程度であることが望ましいが、インターネットを経由した動画視聴においては、通信回線の遅延時間に合わせて、より長く、あるいはより短く設定してもよい。
【0065】
動画の任意の個所に表題付きシーンを設定し、さらに、利用者の動画のタイムラインにおける視聴時間を各利用者ごとに記録しておいて、その視聴時間に各表題付きシーンデータの開始時間と終了時間とが含まれているかどうかを調べる場合、まず第1に、各動画に対して管理者が必ず表題付きシーンを設定する必要がある。また、利用者ごとの視聴時間を保存したうえで、視聴時間と各表題付きシーンデータの開始時間および終了時間とを比較する必要がある。したがって、動画配信の管理者の負荷が増大するとともに、利用者の数が多くなると、必要な記憶領域と処理量が増大する。
これに対して、第2の実施形態の動画視聴提供装置100では、表題付きシーンは自動的に設定され、視聴評価も、それぞれの利用者に対して、m個の区間の終了前の第1の所定の時間、または終了後の第2の所定の時間において、視聴が確認されたかどうかを記録するだけでよいので、利用者の数が多くなっても必要な記憶領域と処理量が少なくて済む。
【0066】
なお、第1の実施形態と第2の実施形態とでは、動画視聴提供装置100の構成、動画視聴提供装置100が組み込まれた動画視聴システム200全体の構成、および動画視聴提供装置100の動作を示す基本のフローチャートは同一であるので、例えば、第1の実施形態と第2の実施形態の動画視聴提供プログラムを両方組み込むことによって、第1の実施形態の動画視聴提供装置100の機能と第2の実施形態の動画視聴提供装置100の機能との両方を備えた動画視聴提供装置100を構成することが可能である。
この場合、提供する動画の種類、あるいは動画の利用者に応じて、よりきめ細かな動画視聴の評価と、より効率的な動画視聴の評価とのうちのいずれかを選択することができる。
【0067】
本発明において、動画配信部10が『動画配信部』に相当し、シーン設定部20が『シーン設定部』に相当し、視聴評価部30が『視聴評価部』に相当し、フィードバック部40が『フィードバック部』に相当し、動画視聴提供装置100が『動画視聴提供装置』に相当する。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0069】
10 動画配信部
20 シーン設定部
30 視聴評価部
40 フィードバック部
100 動画視聴提供装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10