(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】玩具銃およびウエイトユニット
(51)【国際特許分類】
A63H 33/18 20060101AFI20231120BHJP
F41B 11/00 20130101ALI20231120BHJP
【FI】
A63H33/18 A
F41B11/00
(21)【出願番号】P 2019173575
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592153584
【氏名又は名称】株式会社東京マルイ
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 茂
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195670(JP,U)
【文献】登録実用新案第3101021(JP,U)
【文献】国際公開第2019/058526(WO,A1)
【文献】特許第4959838(JP,B1)
【文献】国際公開第2008/099514(WO,A1)
【文献】特許第4987836(JP,B2)
【文献】特許第6336244(JP,B2)
【文献】特許第5517380(JP,B1)
【文献】特開2011-2200(JP,A)
【文献】特開2018-9751(JP,A)
【文献】特許第5894863(JP,B2)
【文献】特開2009-138979(JP,A)
【文献】特許第6318319(JP,B2)
【文献】米国特許第8662063(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/00 - 33/42
F41B 11/00 - 11/89
A63H 5/00 - 5/04
F41A 9/00 - 9/87
F41B 7/00 - 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に第1係合部を有し、前後方向に移動してシリンダ内に圧縮エアを生成するピストンと、
前記第1係合部と係合する第2係合部を底面に有し、前記ピストンの後方移動に連動して後方向に移動するウエイトと、
前記ウエイトを前方向に付勢する付勢部と、
メカボックスを収容するフレームに固定され、前後方向に移動する前記ウエイトの最後方位置を規制する規制部と、
前方向に移動した前記ウエイトによる衝撃を前記フレームに伝えるため前記フレームに固定された衝撃伝達部と、
を備えた玩具銃
であって、
前記ウエイトが、前記規制部と前記衝撃伝達部の間に設けられ、
前記ウエイトによる衝撃を受ける前記衝撃伝達部は、前記メカボックスに固定されていない玩具銃。
【請求項2】
前記付勢部は、前記規制部と前記ウエイトとの間に設けられたウエイトスプリングである請求項1に記載の玩具銃。
【請求項3】
前記ウエイトにアクセスできるように上方に開くカバーをさらに有する請求項1または2に記載の玩具銃。
【請求項4】
ピストン上面に設けられた第1係合部と係合する第2係合部を底面に有し、前記ピストンの後方移動に連動して後方向に移動するウエイトと、
前記ウエイトを前方向に付勢する付勢部と、
メカボックスを収容するフレームに固定され、前後方向に移動する前記ウエイトの最後方位置を規制する規制部と、
前方向に移動した前記ウエイトによる衝撃を前記フレームに伝えるため前記フレームに固定された衝撃伝達部と、
を備えたウエイトユニット
であって、
前記ウエイトが、前記規制部と前記衝撃伝達部の間に設けられ、
前記ウエイトによる衝撃を受ける前記衝撃伝達部は、前記メカボックスに固定されていないウエイトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具銃およびウエイトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のようにリコイルショックを生じさせて、よりリアルな体験を提供する玩具銃が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、メカボックスに直接ウエイトの衝撃が伝わる構成になっていたため、従来よりもウエイトを増量した場合には、メカボックスの耐久性の面で不安があった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にかかる玩具銃は、
上面に第1係合部を有し、前後方向に移動してシリンダ内に圧縮エアを生成するピストンと、
前記第1係合部と係合する第2係合部を底面に有し、前記ピストンの後方移動に連動して後方向に移動するウエイトと、
前記ウエイトを前方向に付勢する付勢部と、
メカボックスを収容するフレームに固定され、前後方向に移動する前記ウエイトの最後方位置を規制する規制部と、
前方向に移動した前記ウエイトによる衝撃を前記フレームに伝えるため前記フレームに固定された衝撃伝達部と、
を備えた玩具銃であって、
前記ウエイトが、前記規制部と前記衝撃伝達部の間に設けられ、
前記ウエイトによる衝撃を受ける前記衝撃伝達部は、前記メカボックスに固定されていない玩具銃である。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかるウエイトユニットは、
ピストン上面に設けられた第1係合部と係合する第2係合部を底面に有し、前記ピストンの後方移動に連動して後方向に移動するウエイトと、
前記ウエイトを前方向に付勢する付勢部と、
メカボックスを収容するフレームに固定され、前後方向に移動する前記ウエイトの最後方位置を規制する規制部と、
前方向に移動した前記ウエイトによる衝撃を前記フレームに伝えるため前記フレームに固定された衝撃伝達部と、
を備えたウエイトユニットであって、
前記ウエイトが、前記規制部と前記衝撃伝達部の間に設けられ、
前記ウエイトによる衝撃を受ける前記衝撃伝達部は、前記メカボックスに固定されていないウエイトユニット。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メカボックスの寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の構成を示す組立図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の動作を説明するための断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の動作を説明するための断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の動作を説明するための断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の動作を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る玩具銃の動作を説明するための断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る玩具銃のカバーを閉じた状態を説明するための部分斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る玩具銃のカバーを閉じた状態を説明するための部分側面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る玩具銃のカバーを開いた状態を説明するための部分斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る玩具銃のカバーを開いた状態を説明するための部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての玩具銃100について、
図1~
図10を用いて説明する。
図1は、リコイルショック機能を有する玩具銃100の分解図である。玩具銃100は、電動ガンの構成を備えており、ピストン101と、ウエイト102と、付勢部としてのウエイトスプリング103と、規制部104と、衝撃伝達部105とを有する。ウエイト102と、付勢部としてのウエイトスプリング103と、規制部104と、衝撃伝達部105とは、ウエイトユニットを構成する。
【0012】
ピストン101は、上面に係合部111を有し、前後方向に移動してシリンダ106内に圧縮エアを生成する。
【0013】
ウエイト102は、係合部111と係合する係合部(
図1では不図示)を底面に有し、ピストン101の後方移動に連動して後方向に移動する。
【0014】
ウエイトスプリング103は、ウエイト102と規制部104との間に設けられ、ウエイト102を前方向に付勢する。規制部104は、メカボックス107を収容するフレーム108に固定され、前後方向に移動するウエイト102の最後方位置を規制する。
【0015】
衝撃伝達部105は、前方向に移動したウエイト102による衝撃をフレーム108に伝えるためフレーム108に固定される。
【0016】
規制部104および衝撃伝達部105がフレーム108に固定され、メカボックス107に固定されていないため、メカボックス107に直接ウエイト102の反動が伝わらない。このため、反動により、リアルな感覚をユーザに提供しつつも、メカボックス107の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0017】
ここで、ピストン101およびシリンダ106は、メカボックス107に収容されている。メカボックス107をフレーム108内に収容した後、その上部にウエイト102、ウエイトスプリング103、規制部104および衝撃伝達部105を含むウエイトユニット110を取り付けるという組立手順になる。
【0018】
次に、
図2~
図6に示された断面図を用いて、ウエイト102の動作について説明する。
図2~
図6は、発射方向に向いて左側から玩具銃100を見た場合の側方部分断面図である。
【0019】
図2は、停止状態、つまり、発射動作前の状態を示しており、ピストン101およびウエイト102は、前方位置に静止した状態を示す断面図である。
【0020】
メカボックス107は、下部に前後方向に延設されたラック201を有するピストン101と、ラック201に噛み合う歯部と早戻りのための無歯部と含むセクターギア202を収容している。セクターギア202の1回転でピストン101の後退(蓄圧)と、前進(蓄圧の解放によるエアの圧縮)を行う。セクターギア202は減速歯車組203を介して不図示のモータにより駆動される。モータは、引き金204を引く操作によって導電される。
【0021】
引き金204が引かれて、モータの駆動が開始すると、減速歯車組203を介してセクターギア202に駆動力が伝達し、セクターギア202が図中時計回りに回転を始める。これにより、ラック201に対して後方向きに力が付勢され、ピストン101がピストンスプリング208による前方への付勢力に抗して、後退を開始する。
【0022】
メカボックス107の上方において、フレーム108にそれぞれ固定された規制部104と衝撃伝達部105との双方に対して、細い円柱形状のウエイト支持軸206が固定されており、ウエイト支持軸206は、規制部104の一部を構成する。ウエイト102は、ウエイト支持軸206を挿入する貫通孔221と滑り軸受222、223とを備えており、ウエイト支持軸206に沿って前後にスムーズにスライド可能となっている。
【0023】
図3は、ピストン101が後退し、ピストン101上部に設けられた係合部111とウエイト下部に設けられた係合部305とが衝突した状態を示す断面図である。ウエイト102側の係合部305は、前後方向にスライド移動可能なスライドブロック351と、スライドブロック351を前方に付勢するばね352とを備えている。これらのスライドブロック351とばね352は、ダンパーとして機能し、セクターギア202によって後退してきたピストン101の係合部111が、ウエイト102の係合部305に衝突した際の衝撃を和らげることが可能となる。このままウエイト102がさらに後退すると、規制部104とウエイト102に挟まれたウエイトスプリング103が圧縮状態となる。
【0024】
図4は、さらにセクターギア202が回転することでラック201とともにピストン101が後退し、ピストン101から係合部305を介して伝達された押圧力によって、ウエイト102がピストン101に連動して後方に移動した状態を示す断面図である。
【0025】
この状態では、ウエイトスプリング103が最圧縮状態となり、ウエイト102の後端面が規制部104の前面に当接する。さらにセクターギア202が回転することで、セクターギア202の無歯部がラック201に対向する位置に移動すると、ピストン101はセクターギア202による後方への付勢力から解放される。これにより、ピストンスプリング208による前方向きの付勢力を受けてピストン101は前方に勢いよく移動する。このとき、ピストンスプリング208とウエイトスプリング103とのテンションの違いにより、ピストン101が先に前進し、続けてウエイト102が前進する。
【0026】
図5は、ピストン101が、ピストンスプリング208の付勢力により前方に移動し、シリンダ106前端まで到達した状態を示す図である。この状態で、遅れてウエイト102が、ウエイトスプリング103からの付勢力によって動き始める。
【0027】
図6は、ウエイト102が、ウエイトスプリング103からの付勢力によって大きく前進し、衝撃伝達部105に衝突して、衝撃をフレーム108全体に伝えた状態を示す断面図である。この衝撃により、ユーザは、リアルな発射感覚を体験することが可能になる。
【0028】
図7~
図10は、ウエイト102にアクセスできるように上方に開くカバー701について説明する図である。
図7は、カバー701が閉じて、フレーム108に係止された状態を示す外観斜視図であり、
図8は、その状態の側面図(発射方向に向いて左側方から見た図)である。カバー701は、軸702を中心に、矢印703方向に動くことにより、大きく開くことができるが、閉じている状態では、ウエイトを完全に覆い隠す構成になっている。
【0029】
図9は、カバー701を開いた状態を示す外観斜視図であり、
図10はその状態の側面図(発射方向に向いて左側方から見た図)である。カバー701を開くと、ウエイト102や、ウエイトスプリング103や、規制部104を取り外すことが可能となる。すなわち、ウエイトの重さを変えたり、ウエイトスプリング103の弾性係数を変えたり、ウエイト支持軸206のメンテナンスを行なったりすることが可能となる。
【0030】
本実施形態によれば、ウエイトショックは、従来のようにメカボックス107を介するのではなく、直接フレーム108を介してユーザに伝達される。このため、ウエイトショックによるメカボックス107の破損を防止することができ、メカボックス107の寿命を向上させることができる。
【0031】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術思想内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせた装置も、本発明の範疇に含まれる。