特許 7387144 玩具銃

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-11-17

(45)【発行日】2023-11-28

(54)【発明の名称】玩具銃

(51)【国際特許分類】

   A63H 33/18 20060101AFI20231120BHJP

   F41B 11/55 20130101ALI20231120BHJP

【ＦＩ】

A63H33/18 A

F41B11/55

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2019173577

(22)【出願日】2019-09-24

(65)【公開番号】P2021049085

(43)【公開日】2021-04-01

【審査請求日】2022-07-20

(73)【特許権者】

【識別番号】592153584

【氏名又は名称】株式会社東京マルイ

(74)【代理人】

【識別番号】100134430

【弁理士】

【氏名又は名称】加藤 卓士

(72)【発明者】

【氏名】岩澤 隆弘

(72)【発明者】

【氏名】岩澤 茂

【審査官】遠藤 孝徳

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０１９／０５８５２６（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特許第６２２９０８２（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】国際公開第２００５／６６５７４（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特許第３９４７１６７（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】特許第３９３５７３４（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】国際公開第２０１７／０６４８０６（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特許第３９５８７６５（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】特開２０１８－９７５１（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３１７９１２６（ＪＰ，Ｕ）

【文献】欧州特許出願公開第３０１５８１２（ＥＰ，Ａ１）

【文献】実用新案登録第２５５６５１０（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】特許第４９６５５２６（ＪＰ，Ｂ２）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ６３Ｈ ３３／００－ ３３／４２

Ｆ４１Ｂ １１／００－ １１／８９

Ａ６３Ｈ ５／００－ ５／０４

Ｆ４１Ａ ９／００－ ９／８７

Ｆ４１Ｂ ７／００－ ７／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

マガジンから供給された弾がメカボックス内に入る供給口から、ノズル当接位置までの弾通路において、弾の動きを監視する監視部と、
発射モードにおいてトリガーが入力されている状態であっても、前記監視部からの出力に基づいて前記弾通路内で弾の動きが止まっていると判定した場合には、弾の発射を停止させるオートストップ制御部と、
を備え、
前記監視部は、前記弾通路上に設けられたＯＮ／ＯＦＦスイッチであり、前記ＯＮ／ＯＦＦスイッチが、第１時間連続してＯＮの場合または第２時間連続してＯＦＦの場合に、前記弾通路において弾の動きが止まっていると判定する玩具銃。

【請求項2】

前記第１時間および前記第２時間は、連射間隔の２倍以上１０倍以下の時間である請求項１に記載の玩具銃。

【請求項3】

前記ＯＮ／ＯＦＦスイッチは、前記供給口から前記ノズル当接位置に向かって移動する弾によってはＯＮにならず、前記ノズル当接位置方向から押し戻された弾によってＯＮになる位置に設けられた請求項１または２に記載の玩具銃。

【請求項4】

前記ＯＮ／ＯＦＦスイッチは、前記供給口から前記ノズル当接位置に向かう弾の移動に影響を与えない程度に反発するテンションを有する請求項１乃至３のいずれか１項に記載の玩具銃。

【請求項5】

前記マガジンからの弾の押上げで前記ノズルに給弾しており、
前記ＯＮ／ＯＦＦスイッチは、前記マガジンが弾を押し上げる力が不安定でも、弾の押上げをアシストするテンションを有する請求項１乃至４のいずれか１項に記載の玩具銃。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、玩具銃に関する。

【背景技術】

【0002】

上記技術分野において、特許文献１には、給弾経路に弾丸がなくなったときに弾丸の発射を停止させる技術（オートストップ機構）が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】再表２０１７／０６４８０６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、上記文献に記載の技術では、フォロワーと呼ばれる部品が必須の構成となっており、連射マガジンと呼ばれる、フォロワーを持たないマガジンから弾が供給された場合には、弾切れによるオートストップ機構を実現することができなかった。

【0005】

本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

マガジンから供給された弾がメカボックス内に入る供給口から、ノズル当接位置までの弾通路において、弾の動きを監視する監視部と、
発射モードにおいてトリガーが入力されている状態であっても、前記監視部からの出力に基づいて前記弾通路内で弾の動きが止まっていると判定した場合には、弾の発射を停止させるオートストップ制御部と、
を備え、
前記監視部は、前記弾通路上に設けられたＯＮ／ＯＦＦスイッチであり、前記ＯＮ／ＯＦＦスイッチが、第１時間連続してＯＮの場合または第２時間連続してＯＦＦの場合に、前記弾通路において弾の動きが止まっていると判定する玩具銃。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、フォロワーを有さない玩具銃においても弾切れによるオートストップ機構を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明の第１実施形態に係る玩具銃の構成を示す部分拡大断面図である。

【図2】本発明の第１実施形態に係る玩具銃の構成を示す部分拡大断面図である。

【図3】本発明の第１実施形態に係る玩具銃の構成を示す部分拡大断面図である。

【図4】本発明の第２実施形態に係る玩具銃の構成を示す部分拡大断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

【0010】

［第１実施形態］
本発明の第１実施形態としての玩具銃１００について、図１を用いて説明する。図１は、本発明の第１実施形態に係る玩具銃の構成を示す部分拡大図である。

【0011】

図１に示すように、玩具銃１００は、マガジン１２０から供給された弾１３０がチャンバーシャーシ１４０内に入る供給口１０４から、弾１３０がノズル１５０に当接するノズル当接位置１６０までの弾通路１０３において、弾の動きを監視する監視部１０１を備える。また、玩具銃１００は、発射モードにおいてトリガーが入力されている状態であっても、弾通路１０３において弾の動きが止まっていると判定した場合には、弾の発射を停止させるオートストップ制御部１０２を備える。

【0012】

連射マガジンのように、フォロワーを有しないマガジン１２０から弾１３０が供給されている場合でも、弾通路１０３内の弾の挙動を監視することで、弾切れを検知し、オートストップを行なうことができる。これにより、よりリアルな動作を行なうことになり、ユーザはより実銃に近い操作感を得ることができる。

【0013】

監視部１０１は、弾通路１０３上に設けられたＯＮ／ＯＦＦスイッチである。オートストップ制御部１０２は、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１からの出力が、第１時間連続してＯＮの場合または第２時間連続してＯＦＦの場合に、弾通路１０３において弾の動きが止まっていると判定し、オートストップする。つまり、バッテリ１２１から、トリガースイッチ１２２を介してモータ１２３に供給される電流を遮断する。ここで、「第１時間」および「第２時間」はプログラム作成者が任意に設定可能である。なお、玩具銃１００は、さらにオートストップ解除部１２４を備えており、マガジンに弾を装填し、所定の操作を行なった場合には、オートストップが解除され、再度、トリガーを引いて弾を発射させることが可能となる。

【0014】

ここで、オートストップ制御部１０２が測定する第１時間および第２時間は、連射間隔の２倍以上１０倍以下の時間である。例えば、連射間隔が０．０７秒の場合（１秒間に１３発発射）、オートストップ制御部１０２は、０．２５秒間、連続してＯＮ、または、０．２５秒間、連続してＯＦＦとなったことを検知して、オートストップする。
ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、供給口１０４からノズル当接位置１６０に向かって移動する弾によってはＯＮにならず、ノズル当接位置１６０方向から押し戻された弾によってＯＮになる。これにより、連射マガジンの弾供給力が弱まったとしても、スイッチによる抵抗が給弾を妨げることはない。

【0015】

ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、ピン押ボタン１１１を有する超小型マイクロスイッチである。ＢＢ弾径６ｍｍ、通路幅約７ｍｍ、に対して、ピン押ボタン１１１の押し込み深さは約１ｍｍである。

【0016】

ノズル１５０によって、ノズル当接位置１６０からインナーバレル１７０の所定位置に装填されたＢＢ弾は、ピストン１８０が前方に移動することにより発生した圧縮空気によって、不図示のアウターバレルが延設された前方（矢印１７５方向）に向けて発射される。

【0017】

図２は、マガジンからＢＢ弾が供給された状態の玩具銃１００の構成を示す部分拡大図である。

【0018】

ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、弾通路１０３のカーブ（曲折部）の外側の内壁に設けられており、下方の供給口１０４から供給されてきたＢＢ弾は、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１をＯＮにすることなく、ノズル当接位置１６０まで移動することができる。具体的には、ＢＢ弾はノズル当接位置１６０に向けて通過する際にピン押ボタン１１１に接触はする。しかし、ピン押ボタン１１１自体が有する反発するテンションにより、ＢＢ弾が上方に通過する際の力だけでは押し込み続けることができない。つまり、０．２５秒間、連続してＯＮにはならない。言い換えれば、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、供給口１０４からノズル当接位置１６０に向かう弾の移動に影響を受けない程度に反発するテンションを有する。これにより、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１のテンションによってＢＢ弾の移動を阻害すること無く弾の移動を監視することができる。

【0019】

図３は、ピン押ボタン１１１が押される状況について説明するための図である。ＢＢ弾が上に進み、ノズル当接位置１６０まで移動すると、閉じたノズル１５０から圧力がかかり次弾３３１が上から押されることになる。上からの圧力で押された次弾３３１は、やや後退する。ノズル１５０が閉じることで次弾３３１に対して上から押圧力が加えられている際にもマガジンからＢＢ弾を押し上げる力は引き続き働くため、通路上の弾には上下からの力がかかる。そのためＢＢ弾３３２がピン押ボタン１１１を押し続けることができる位置にまで移動する。結果的に、マガジン１２０にＢＢ弾があり、弾通路１０３にＢＢ弾が供給されつづければ、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、約０．０７秒間隔でＯＮ、ＯＦＦを交互に繰り返すことになる。一方、マガジン１２０にＢＢ弾がなくなれば、マガジン１２０からＢＢ弾を押し上げる力がなくなってしまうため、ＢＢ弾３３１にかかる力は、上からの力だけになってしまう。そうすると、ＢＢ弾３３２がピン押ボタン１１１を押し込み続けるだけの力を得られなくなる。そのため、ピン押ボタン１１１は、０．２５秒間以上連続してＯＦＦとなる。オートストップ制御部１０２は、これを検知して、トリガースイッチ１２２からモータ１２３への電流の供給をオートストップする。

【0020】

マガジン１２０内のゼンマイ（不図示）の力が弱まり、マガジン１２０からのＢＢ弾を押し上げる力が限りなく０に近い状態でギリギリＢＢ弾３３２がピン押ボタン１１１を押せる場合がある。この場合には、ノズル１５０が開いて給弾される際に、マガジン１２０から押し上げる力が無くても、押し込まれたピン押ボタン１１１が元の位置に復旧する際に発生する力で次弾３３１を給弾口に押し上げることができる。言い換えれば、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、マガジン１２０が弾を押し上げる力が不安定になるゼンマイの開放付近でも、弾の押上をアシストするテンションを有する。

【0021】

以上、本実施形態によれば、弾通路内でＢＢ弾が動いているか動いていないかを見て、マガジン１２０内の弾切れやゼンマイ切れを検知できる。

【0022】

マガジンによって、装弾数も違うし、ゼンマイも違うため、発射数のカウントなどでは弾切れを検知できない。しかし、上記構成であれば弾通路内のＢＢ弾の挙動を監視することによって、いかなるマガジンが装着された場合にも弾切れやゼンマイ切れを検知し、オートストップすることができる。弾が出ない状態でのモータ駆動や、ピストンおよびウエイトの挙動がなくなるため、非常に実銃に近い、リアルな操作感を提供することができる。 なお監視部は、上記ＯＮ／ＯＦＦスイッチに限定されるものではない。光スイッチなど、他の機構のスイッチであってもよい。

【0023】

［第２実施形態］
次に本発明の第２実施形態に係る玩具銃について、図４を用いて説明する。図４は、本実施形態に係る玩具銃４００の内部構成を説明するための部分拡大断面図である。本実施形態に係る玩具銃は、上記第１実施形態と比べると、ピン押ボタン４１１の位置がより上方に設けられている点で異なる。その他の構成および動作は、第１実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。

【0024】

図４にしめす構成では、ピン押ボタン４１１の位置が、第１実施形態より上方に設けられており、直線部分であるため、ピン押ボタン４１１をＯＮにせずには、ＢＢ弾がノズル当接位置１６０に移動できない。したがって、ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１０１は、ＢＢ弾の上方移動時のタイミングでＯＮされる。

【0025】

本実施形態でも、弾通路内でＢＢ弾が動いているか動いていないかを見て、マガジン１２０内の弾切れやゼンマイ切れを検知できる。

【0026】

［他の実施形態］
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせた装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】