(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】氷室タイプ輸送用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 19/18 20060101AFI20231120BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B65D19/18
B65D81/38 B
(21)【出願番号】P 2019239183
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】593025619
【氏名又は名称】トーホー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】阿部 政男
(72)【発明者】
【氏名】小田 徹
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-523803(JP,A)
【文献】国際公開第2010/028636(WO,A2)
【文献】特表2005-503972(JP,A)
【文献】特開平10-101071(JP,A)
【文献】特開2019-172352(JP,A)
【文献】特開2012-171675(JP,A)
【文献】特開2020-132158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00 - 19/44
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略正方形のパレット本体と、前記パレット本体の周縁に立設されて前面、左右の側面及び背面の4面を成す壁体と、前記壁体の上端部に設けられる蓋体と、を備えた発泡樹脂製の氷室タイプ輸送用容器であって、
前記壁体は、側面、前面の一部及び背面の一部を成す平面視コの字形状の側部と、前面の一部又は背面の一部を成す平板形状の板部と、を有し、
前記側部は、前記壁体の側面を成す長板と、前記長板の両縁に夫々一体的に設けられて前記壁体の前面の一部及び背面の一部を成す一対の短板と、を有し、
前記パレット本体は、4辺の周縁に沿って形成された溝部を有し、
前記側部、前記板部及び蓋体は、各々の下端面に前記溝部に嵌挿される凸部を有し、
前記側部及び前記板部は、各々の上端面に各々の前記凸部に対応するように形成された凹部を有することを特徴とする氷室タイプ輸送用容器。
【請求項2】
前記壁体の前面又は背面は、正面視又は背面視において、前記短板より前記板部の占める面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の氷室タイプ輸送用容器。
【請求項3】
前記短板の幅が、前記板部の厚さの4倍より小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の氷室タイプ輸送用容器。
【請求項4】
前記側部及び前記板部の高さは、前記パレット本体の1辺の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の氷室タイプ輸送用容器。
【請求項5】
前記蓋体は、前記板部をスライドにより着脱可能とする切欠部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の氷室タイプ輸送用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等を用いた荷物の運搬に使用される発泡樹脂製のパレットに壁体及び蓋体を配置して保冷空間を形成した氷室タイプ輸送用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフトやハンドリフト等によって荷物を運搬する際の荷台として、各種のパレットが広く使用されている。一般的なパレットとして、木製、プラスチック製、金属製(鉄合金)又は紙製のものが知られている。しかしながら、最も一般的な木製のパレットは、10kg以上の重量があり、紙製パレットも、形状安定性を確保するために高密度で圧縮加工されており、かなりの重量がある。そこで、紙製パレットよりも更に軽量なパレットとして、発泡樹脂製のパレットがある(特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されたパレットは、底部の周縁から壁体が一体的に立設されており、所定の収容空間を有するパレット一体成型容器として構成されている。発泡樹脂は、軽量であるだけでなく、断熱性が高いので、上記特許文献1に記載されたパレットは、輸送時にはその容器部分の内部に氷や保冷材を配置することで氷室タイプ輸送用容器として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パレットは、通常、1辺の長さが1mを超える大きな輸送用部材である。特に、上記特許文献1に記載されたパレットに壁体が立設された氷室タイプの輸送用容器では、底部だけでなく底部に一体形成された壁体があるので、非使用時には非常に嵩張り、大容積の保管場所等を必要とする。
【0006】
一方、壁部と底部(パレット)とを別体とした組み立て式の輸送用容器であれば、非使用時にはコンパクトに収納することができるが、壁部を構成する板材を適切に固定しなければ、必要な強度を確保できない虞がある。また、壁部を構成する板材も1辺が1mを超える大きなサイズであり、その組み立てに際しては、底部に対して大きな板材を垂直に立てる作業等が必要になり、組み立て作業が困難になると懸念される。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、非使用時にコンパクトに収納することができ、使用時に組み立てが容易で、しかも、輸送用容器として必要な強度を確保できる発泡樹脂製の氷室タイプ輸送用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、平面視略正方形のパレット本体と、前記パレット本体の周縁に立設されて前面、左右の側面及び背面の4面を成す壁体と、前記壁体の上端部に設けられる蓋体と、を備えた発泡樹脂製の氷室タイプ輸送用容器であって、前記壁体は、側面、前面の一部及び背面の一部を成す平面視コの字形状の側部と、前面の一部又は背面の一部を成す平板形状の板部と、を有し、前記側部は、前記壁体の側面を成す長板と、前記長板の両縁に夫々一体的に設けられて前記壁体の前面の一部及び背面の一部を成す一対の短板と、を有し、前記パレット本体は、4辺の周縁に沿って形成された溝部を有し、前記側部、前記板部及び蓋体は、各々の下端面に前記溝部に嵌挿される凸部を有し、前記側部及び前記板部は、各々の上端面に各々の前記凸部に対応するように形成された凹部を有することを特徴とする。また、上記氷室タイプ輸送用容器において、前記壁体の前面又は背面は、正面視又は背面視において、前記短板より前記板部の占める面積が大きいことが好ましい。
【0009】
上記氷室タイプ輸送用容器において、前記短板の幅が、前記板部の厚さの4倍より小さいことが好ましい。
【0012】
上記氷室タイプ輸送用容器において、前記側部及び前記板部の高さは、前記パレット本体の1辺の長さよりも小さいことが好ましい。
【0013】
上記氷室タイプ輸送用容器において、前記蓋体は、前記上板部をスライドにより着脱可能とする切欠部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る氷室タイプ輸送用容器によれば、壁体を成す側部と板部とを組み立て式にしたので、非使用時にコンパクトに収納することができる。また、壁体の前面又は背面は、正面視又は背面視において、側部の短板より板部の占める面積が大きい。つまり、側部の短板の幅が小さいので、収納時に嵩張らず、また、側部の間に板部を収納することができ、更にコンパクトになる。また、側部は、各板を鉛直に立てたときに自立するので、作業者は、側部を容易に配置することができ、輸送用容器の使用時の組み立て作業を容易にすることができる。また、側部は、側面と前面の一部及び背面の一部が一体成型されているので、氷室タイプ輸送用容器の4方の角部には、一体成型物が配置されることになり、損傷を受け易い角部が頑丈になり、輸送用容器として必要な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)本発明の一実施形態に係る氷室タイプ輸送用容器の正面及び平面を主とした斜視図、(b)は板部をスライド嵌挿させる状態を示す斜視図。
【
図2】(a)は同氷室タイプ輸送用容器の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は(c)のA-A線断面図、(f)は(c)のB-B線断面図。
【
図4】(a)は同氷室タイプ輸送用容器に用いられるパレット本体の平面を主とした斜視図、(b)は(a)底面を主とした斜視図。
【
図5】(a)は上記パレット本体の側面図、(b)は平面図、(c)は底面図。
【
図6】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器に用いられる側部(標準タイプ)であって、主に外面と下端面を主とした斜視図、(b)は内面と下端面を主とした斜視図。
【
図7】(a)は上記側部の正面図、(b)は左側面(内面)図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図。
【
図8】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器に用いられる板部(標準タイプ)であって、内面を主とした斜視図、(b)は外面を主とした斜視図、(c)は正面図、(d)は背面(内面)図、(e)は右側面図、(f)は平面図、(g)は底面図。
【
図9】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器に用いられる側部(低タイプ)であって、主に外面と下端面を主とした斜視図、(b)は主に内面と下端面を主とした斜視図。
【
図10】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器に用いられる板部(低タイプ)であって、主に外面と下端面を主とした斜視図、(b)は主に内面と下端面を主とした斜視図。
【
図11】(a)は上記蓋体の平面(外面)及び背面を主とした斜視図、(b)は底面(内面)及び正面を主とした斜視図。
【
図12】(a)は上記蓋体の正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図。
【
図13】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器の蓋体の切欠部に装着される上止部の正面及び平面を主とした斜視図、(b)は底面(内面)及び背面を主とした斜視図。
【
図14】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器を分解してコンパクト収納した状態の斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図。
【
図15】(a)は上記氷室タイプ輸送用容器の変形例で壁体が2段の構成例を示す斜視図、(b)は壁体が1段の構成例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る氷室タイプ輸送用容器について、図面を参照して説明する。
図1(a)(b)及び
図2(a)乃至(f)に示すように、本実施形態の氷室タイプ輸送用容器1は、物流の現場等においてフォークリフト等を用いた荷物の管理・運搬に好適に使用されるものであり、平面視略正方形のパレット本体2と、パレット本体2の周縁に立設される壁体3(側部4、板部5)と、壁体の上端部に設けられる蓋体6と、を備える。壁体3は、略正方形状のパレット本体2の4辺から立設され、前面31、左側面32、右側面33、背面34の4面を有する(
図1(b)参照)。
【0017】
パレット本体2、壁体3及び蓋体6は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂といった発泡合成樹脂製であり、本実施形態では、発泡ポリスチレン(EPS(expanded polystyrene))により成型される。なお、パレット本体2、壁体3及び蓋体6は、夫々同じ樹脂材料により構成されていてもよいが、夫々密度や硬さが異なるものが用いられてもよい。
【0018】
パレット本体2、壁体3及び蓋体6は、夫々別体として成型されており、それらを組み立てることで氷室タイプ輸送用容器1が完成する。壁体3は、側面32(33)、前面31の一部及び背面34の一部を成す平面視コの字形状の側部4(左側部4a、4’a、右側部4b、4’b)と、前面31の一部又は背面34の一部を成す平板形状の板部5(正面板部5a、5’a、背面板部5b、5’b(
図3も参照))と、を有する。左側部4a、4’a及び右側部4b、4’b、パレット本体2に対して左右の配置及び向きが異なるだけで夫々同じ形状の部材であり、正面板部5a、5’a及び背面板部5b、5’bも前後の配置及び向きが異なるだけで夫々同じ形状の部材である。本実施形態では、
図3に示すように、標準タイプの側部4aが4つと、高さが低い低タイプの側部4’aが2つと、標準タイプの板部5aが4つと、標準タイプよりも高さが低い低タイプの板部5’aを2つ用いて、パレット本体2上に3段の壁体3を組み立てる例を示している。
【0019】
図4(a)(b)及び
図5(a)乃至(c)に示すように、パレット本体2は、所定の肉厚を有する板状部材である。なお、パレット本体2の形状は、平面視で多角形状を含む各種の形状から適宜に選択され得るが、一般的なパレットと同様に、平面視で略正方形であることが好ましい。パレット本体2は、荷物が積載される積載面となる上面21と、複数(本実施形態では9個)の桁体7が設けられる下面22と、上面21及び下面22を繋ぐ側面23と、を有する。上面21及び下面22は、夫々外形寸法が略等しく、各側面23の角部は丸みを帯びるように面取りされている。パレット本体2は、平面視における1辺の長さLが1m以上になる大型部材であり、例えば、図示した1辺の長さL=1100mmである。
【0020】
上面21は、4辺の周縁に沿って、荷物が積載される積載面を囲うように全周に亘って形成された溝部24を有する。溝部24は、周縁から所定の間隔を空けてやや内側に設けられた内溝24aと、周縁の側面側に窪みが露出した外溝24bと、を有する。内溝24a及び外溝24bは互い違いに配置され、例えば、前面・背面側の周縁には、中央の外溝24bを含む3つの外溝24bと、それらに挟まれた2つの内溝24aと、が配置される。一方、左右両側面の周縁には、中央の内溝2aを含む3つの内溝24aと、それらに挟まれた2つの外溝24bと、が配置される。内溝24aは、例えば、上面21の周縁から20mm程内側の位置に形成される。また、内溝24a及び外溝24bは、後述する側部4の外凸部41a、42a、43a、内凸部41’a及び板部5の内凸部51a、外凸部51bを嵌挿・保持できるように、例えば、溝幅20mm、深さ20mmで形成される。
【0021】
桁体7は、積載面となる上面21の高さを嵩上げする支持部材であり、複数の桁体7(図例では9個)が、隣り合う桁体7と所定間隔を空けて配置されることにより、フォークリフトのフォークが差し込まれるフォーク差し込み部20が形成される。本実施形態の桁体7では、フォークリフトのフォークを4方から差し込み可能とすべく、パレット本体2の下面22の四隅、これら4隅の側部側の中間位置、及び下面22の中心部に夫々設けられる。
【0022】
桁体7は、氷室タイプ輸送用容器1が載置される際に底面となる載置面71と、載置面71とパレット本体2の下面22とを繋ぐ側面72と、を有する。本実施形態の桁体7では、載置面71が平面視で矩形状であり、側面72が4面あるブロック形状のものである。載置面71には、肉抜き(軽量化)のための凹部73が形成されている。本実施形態の桁体7は、パレット本体2と一体的に成型されているが、別体として成型されて任意の手段によりパレット本体2に固定されたものであってもよい。また、桁体7は、図示した形状に限らず、例えば、円柱形状、四角柱以外の多角柱形状であってもよい。更に、桁体7は、例えば、フォークリフトを用いた複数回の運搬による発泡スチロールの劣化や屑ごみの発生を防止するため、載置面71に硬化性樹脂、木材、金属等から成るカバー等(不図示)が取り付けられてもよい。
【0023】
図6(a)(b)及び
図7(a)乃至(e)に示すように、側部4(図例は標準タイプ)は、壁体3の側面32(33)を構成する長板41と、長板41の正面側及びの背面側の両縁部に夫々設けられ、前面31の一部及び背面34の一部を構成する1対の短板42、43と、を有し、これら長板41及び短板42、43は一体成型されている。側部4を成す長板41の下端面には、パレット本体2の外溝24bに嵌挿される2つの外凸部41aと、パレット本体2の内溝24aに嵌挿される3つの内凸部41’aと、が設けられている。また、側部4を成す短板42、43の各々の下端面にも、外溝24bに嵌挿される外凸部42a、43aが設けられている(特に、
図6(a)(b)参照)。
【0024】
また、長板41及び短板42、43の各々の上端面には、外凸部41a、42a、43a、内凸部41’a、に対応する外凹部41b、42b、43b、内凹部41’bが形成されている(
図7(c)も参照)。短板42、43の鉛直辺を成す側端面には、その上端から下端まで外溝42c、43cが形成されている(
図6(b)(c)参照)。外溝42c、43cは、各側縁面の内側よりも外側が窪むように段違いに形成されている(
図7(d)参照)。これら外溝42c、43cには、後述する板部5の外凸条53、54が嵌挿される。
【0025】
図6(a)に示したように、長板41の幅W1は、パレット本体2の1辺の長さL(
図4(a)と略等しい。短板の幅W2は、パレット本体2の1辺の長さLの1/3より小さい。パレット本体2の1辺の長さLが1100mmであれば、短板の正面視(背面視)の幅W2は、例えば、150mmとされる。
【0026】
また、側部4の高さT1(標準タイプ)は、パレット本体2の1辺の長さL(
図4)よりも小さい。パレット本体2の1辺の長さLが1100mmであれば、例えば、側部4の高さT1は、420mmとされる(長板41及び短板42、43自体の高さ(400mm)及び外凸部41a、42a、43aの高さ(20mm))。このように、側部4の高さを抑えることで、氷室タイプ輸送用容器1の非使用時に分解したとき、側部4が嵩張ることを抑制することができる。一方、
図1(b)で示したように、壁体3を3段とすることで、氷室タイプ輸送用容器1として十分な収容容量を得るための高さを実現することができる。
【0027】
図8(a)乃至(g)に示すように、板部5は、側部4と同じ高さT1(420mm)の板状部材である。板部5の下端面にも、側部4と同様に、パレット本体2の内溝24a、外溝24bに嵌挿される内凸部51a、外凸部51bが形成されている。また、板部5の上端面には、内凸部51a、外凸部51bに対応する内凹部52a、外凹部52bが形成されている。更に、板部5の左右の側端面には、その上端から下端まで外凸条53、54が形成されている。外凸条53、54は、各側縁面の外側よりも内側が窪むように段違いに形成され、側部4の外溝42c、43cの形状に対応するように形成されている。板部5の正面視(背面視)の幅W3は、例えば、パレット本体2の1辺の長さLが1100mm、側部4の短板42(43)の幅W2が150mmであれば、830mmとされる。また、板部5の外面の下辺部には、板部5をスライドさせ易いように、持ち手部55が設けられている。
【0028】
また、
図9(a)(b)及び
図10(a)(b)に示すように、本実施形態の氷室タイプ輸送用容器1は、
図6及び
図8で示した標準タイプの側部4及び板部5の高さT1よりも低い低タイプの側部4’及び板部5’も用いられる。低タイプの側部4’及び板部5’の高さT2は、例えば、320mmである。なお、
図1等で示した構成では、下段と上段に標準タイプの側部4及び板部5による壁体3を設け、下段と上段に標準タイプの側部4及び板部5による壁体3を設け、中段に低タイプの側部4’及び板部’5による壁体3’を設けているが、低タイプの壁体3’が上段又は下段に配置されてもよい。
【0029】
図11(a)(b)及び
図12(a)乃至(d)に示すように、蓋体6は、上面部61及び下面部62を有する板状部材である。上面部61は、その外形寸法がパレット本体2と略等しくなるように形成される。下面部62には、側部4の外凹部41b、内凹部41’b、外溝42c、43c、板部5の内凹部52a、外凹部52bに嵌め込まれる内凸部62a、外凸部62bが設けられている。
【0030】
また、蓋体6の正面側の辺には、板部5をスライドにより着脱可能とする切欠部63が形成されている。この切欠部63には上止部6’が嵌め込まれる。切欠部63は、蓋体6の内面側よりも外面側の方が、開口面積が僅かに大きくなるよう形成されており、正面側に、上止部6’と平面で直接的に接する段差部63aが設けられている。この段差部63aがあることで、上止部6’が外れに難くなり、過度に押し下げられて、板部5の破損等を抑制することができる。
【0031】
図13(a)(b)に示すように、上止部6’は、蓋体6の一辺の一部に相当する形状とされ、内面側には、板部5の内凹部52a、外凹部52bに嵌め込まれる内凸部62’a、外凸部62’bと、蓋体6の段差部63aとの当接部63’が設けられている。
【0032】
上記のように構成された氷室タイプ輸送用容器1の組み立て手順について、上述した
図3を参照して説明する。まず、パレット本体2に対して、側部4(左側部4a、右側部4b)を夫々配置する。このとき、側部4は、側面32(33)を構成する長板41と、前面31の一部及び背面34の一部を構成する短板42、43とで構成された平面視でコの字形状となっているので、各板を鉛直に立てたときに自立する。そのため、組み立て作業者は、壁体が通常の平板材である場合に比べて、側部4をパレット本体2の溝部24の位置に容易に配置することができる。また、図示したように、側部4の上に更に側部4’を積み重ねることもできる。更に、側部4、4’の高さT1、T2が、パレット本体2の1辺の長さLよりも小さいので、側部4、4’の持ち運びも容易である。
【0033】
そして、側部4の下端面に形成された外凸部41a、42a、43a、内凸部41’aを、パレット本体2の内溝24a、外溝24bに嵌挿させる。同様に、板部5も、内凸部51a、外凸部51bをパレット本体2の内溝24a、外溝24bに嵌挿させる。これにより、パレット本体2と側部4、板部5とが連結される。このとき、互い違いに配置された内凸部と外凸部、内凹部と外凹部が噛み合うように嵌合されるので、パレット本体2に対して側部4、板部5を強固に連結することができる。
【0034】
同様の手順で、1段目の壁体3の上に、2段、3段目の壁体3を組み立ていく。そして、3段目の壁体3を組み立てたら、氷室タイプ輸送用容器1内に荷物を収容し、その上から、例えば、保冷材を配置するための保冷板(不図示)を配置し、2段目の壁体3の上端部に蓋体6が被せられ、切欠部63には、上止部6’が装着される。なお、上止部6’、蓋体6、板部5は、テープなどで固定されてもよい。このように組み立て、荷物が収容された氷室タイプ輸送用容器1は、
図1(b)に示したように、上止部6’及び上側の板部5を外し、中段の板部5a、下段の板部5を外せば、内容物を容易に確認することができる。また、本実施形態では、42b
【0035】
氷室タイプ輸送用容器1は、分解して収納する際には、
図14(a)乃至(c)に示すように、パレット本体2の上に、側部4を、内側面を上にして配置し、短板42、43の間に、板部5を収納し、次に、板部5を挟む様に側部4を内側面を下にして配置し、最後に、蓋体6を載せることで、図示したように、コンパクトに収納することができる。特に、側部4の短板42、43の水平幅を小さくしたので、収納時の高さを抑制することができる。短板42、43の幅は、板部5の厚さの4倍より小さいことが望ましく、略3倍であることが更に望ましい。こうすれば、3枚重ねた板部5を側部4間に効率的に収納することができる。
【0036】
また、
図15(a)に示すように、壁体3は1段構成であってもよく、
図15(b)に示すように、1段構成であってもよい。このように、氷室タイプ輸送用容器1に収容される荷物の量や大きさに応じて、高さを調節し、内部の収容容量を変えることができる。
【0037】
上記のように構成された氷室タイプ輸送用容器1では、壁体3に、側面32(33)、前面31の一部及び背面34の一部を成す平面視コの字形状の側部4と、前面31の一部又は背面34の一部を成す平板形状の板部5とを用い、組み立て式の構成にしたので、非使用時にコンパクトに収納することができる。また、壁体3の前面又は背面は、正面視又は背面視において、側部4の短板42、43より板部5の占める面積が大きい。つまり、側部4の短板42、43の水平幅が小さいので、収納時に嵩張らず、また、側部4の間に板部5を収納することができ、更にコンパクトになる。また、側部4は、各板を鉛直に立てたときに自立するので、組み立て作業者は、側部4を容易に配置することができ、氷室タイプ輸送用容器1の使用時に容易に組み立てることができる。また、側面32(長板41)と前面31の一部(短板42)及び背面34の一部(短板43)が一体成型されているので、氷室タイプ輸送用容器1の4方の角部には、一体成型物が配置されることになるので、4方に配置した板材を角部で連結させるよりも、角部が安定し、輸送用容器として必要な強度を確保することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施の形態においては氷室タイプ輸送用容器1の構造をフォークリフトによる荷物の運搬に適用する例を説明したが、他の発泡合成樹脂製の構造物にも適用できることは言うまでもない。ただし、一辺が1mを超える大きな輸送用部材であるパレット連結式の氷室タイプ輸送用容器1に適用することが、組み立ての便益上、特に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 氷室タイプ輸送用容器
2 パレット本体
3 壁体
4 側部(標準タイプ)
4’ 側部(低タイプ)
42、43 溝部
42 短板
43 短板
4a 左側部
4b 右側部
41a、42a、43a 外凸部(凸部)
41’a 内凸部(凸部)
41b 外凹部(凹部)
41’b 内凹部(凹部)
5 板部(標準タイプ)
5’ 板部(低タイプ)
51a 内凸部(凸部)
51b 外凸部(凸部)
52a 内凹部(凹部)
52b 内凹部(凹部)
6 蓋体
63 切欠部