(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】イソオイゲノールからのバニリンの生合成
(51)【国際特許分類】
C12P 7/24 20060101AFI20231120BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231120BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231120BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231120BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231120BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231120BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20231120BHJP
C12N 9/02 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
C12P7/24 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12N15/53
C12N9/02
(21)【出願番号】P 2021563651
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 US2020030573
(87)【国際公開番号】W WO2020223417
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516131979
【氏名又は名称】コナゲン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジュニョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,オリヴァー
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105219806(CN,A)
【文献】Database UniprotKB/TrEMBL[online], Accession No.A0A2H3SEB3, <https://www.uniprot.org/uniprotkb/A0A2H3SEB3/history>, uploaded on 2020-04-22, [retrived on 2022-11-17], WIEMANN, P. et al., Definition:Related to lignostilbene alpha, beta-dioxygenase 1
【文献】Agric. Biol. Chem., 1989; 53(10): pp. 2757-2761
【文献】Arch Microbiol., 2007; 187: pp. 511-517
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P1/00-41/00
C12N1/00-7/08
C12N15/00-15/90
C07K1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニリンを生成するバイオ変換方法であって、
a.FfLSD遺伝子を混合物中で発現させることであって、発現させたFfLSD
タンパク質が、配列番号2に対して少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ前記混合物中でイソオイゲノールをバニリンに変換する活性を有する;
b.イソオイゲノールを前記混合物に供給すること;及び
c.イソオイゲノールをバニリンに変換すること
を含む、バイオ変換方法。
【請求項2】
前記発現させたFfLSD
タンパク質が、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FfLSD遺伝子を発現させる工程が、インビトロ翻訳によって前記
FfLSD遺伝子を発現
させること;細胞系で前記
FfLSD遺伝子を発現させること;及び細菌又は酵母細胞内で前記
FfLSD遺伝子を発現させることからなる群から選択される、請求項1
又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記FfLSD遺伝子を発現させる工程が、組換えタンパク質として
前記FfLSD遺伝子を発現させる工程
であり、前記
組換えタンパク質を精製することをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記バニリンを収集することをさらに含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
イソオイゲノールからバニリンへの変換率が80%より高い、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
イソオイゲノールからバニリンへの変換率が85%より高い、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
イソオイゲノールからバニリンへの変換率が90%より高い、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
単離した組換え宿主細胞を用いてバニリンを生成する方法であって、
(i)単離した組換え宿主細胞を培地中で培養すること;
(ii)イソオイゲノールを(i)の培地に添加し、イソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換を開始すること;及び
(iii)前記培地からバニリンを抽出すること
を含み、
前記単離した組換え宿主細胞が、リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物で形質転換され、前記リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼが、配列番号2に対して少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつイソオイゲノールをバニリンに変換する活性を有する、方法。
【請求項10】
前記リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼが、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
消耗品を作製する方法であって、請求項1又は請求項
9に記載の方法に従ってバニリンを生成する工程;前記バニリンを収集する工程;及び消耗品に前記バニリンを組み込む工程、を含む方法。
【請求項12】
前記バニリンを前記消耗品と混合する工程を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記バニリンが、フレーバーノートを与えるのに十分な量で前記消耗品に組み込まれる、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記消耗品が、風味付けされた製品、食品、食品前駆体生成物、食品の生成に用いる添加剤、医薬組成物、ダイエットサプリメント、栄養補助食品、及び化粧品からなる群から選択される、請求項
11~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記バニリンがフレグランスノートを与えるのに十分な量で前記消耗品に組み込まれる、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項16】
前記消耗品が、フレグランス製品、化粧品、トイレタリー製品、及びハウスクリーニング製品からなる群から選択される、請求項
11、
12、及び
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物で形質転換し、単離した組換え宿主細胞であって、前記リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼが、配列番号2に対して少なくとも
90%の同一性のアミノ酸配列を有し、かつイソオイゲノールをバニリンに変換する活性を有する、単離した組換え宿主細胞。
【請求項18】
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号1
の核酸配列と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項
17に記載の単離した組換え宿主細胞。
【請求項19】
配列番号3の単離した核酸配列を含むベクターをさらに含む、請求項
17又は請求項
18に記載の単離した組換え宿主細胞。
【請求項20】
前記宿主細胞が、細菌、酵母、コレトトリカム属ではない糸状菌、シアノバクテリウム、藻類、及び植物細胞からなる群から選択される、請求項
17~
19のいずれか一項に記載の単離した組換え宿主細胞。
【請求項21】
前記宿主細胞が、エシェリキア属;サルモネラ属;バチルス属;アシネトバクター属;ストレプトマイセス属;コリネバクテリウム属;メチロサイナス属;メチロモナス属;ロドコッカス属;シュードモナス属;ロドバクター属;シネコシスティス属;サッカロミセス属;ザイゴサッカロミセス属;クルイベロミセス属;カンジダ属;ハンゼヌラ属;デバリオマイセス属;ケカビ属;ピキア属;トルロプシス属;アスペルギルス属;アルスロボトリス属;ブレビバクテリウム属;マイクロバクテリウム属;アルスロバクター属;シトロバクター属;クレブシエラ属;パントエア属;及びクロストリジウム属からなる微生物群から選択される、請求項
17~
20のいずれか一項に記載の単離した組換え宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2019年4月29日出願の米国仮特許出願第62/840,276号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、細菌、酵母若しくは他の細胞系において、又は非細胞系においてイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換を触媒するために、真菌リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼを利用するための方法及び材料に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
バニラフレーバーは、世界中で最も頻繁に使用されるフレーバーの一部である。それらは、アイスクリーム、乳製品、デザート、菓子、ベーカリー製品及び蒸留酒などの多数の食品の風味付けに使用されている。それらは、香水、医薬品及び個人衛生製品にも使用されている。
【0004】
天然バニラ風味は、バニラ蘭の発酵ポッドから伝統的に取得されている。これは主に、収穫後、豆に存在するバニリングルコシドの加水分解により、豆の乾燥及び発酵プロセスの数週間の間に形成される。バニラフレーバーの最も重要な芳香物質は、バニリン(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド)である。
【0005】
バニリン(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド)は、最も一般的なフレーバー化学物質の1つであり、食品及び飲料、香料、医薬品、及び医療産業で広く使用されている。年間約12,000トンのバニリンが消費され、そのうちわずか20~50トンがバニラビーンズから抽出され、残りは、主にグアヤコール及びリグニンなどの石油化学製品から合成的に生産されている。近年、天然フレーバーに対する要求の高まりから、バイオ変換によってバニリンを生成するフレーバー産業がもたらされ、そのようなバイオ変換の生成物は、生細胞などの生物学的供給源又はそれらの酵素から生成される場合、様々な規制当局及び立法当局(例えば、欧州共同体法)によって天然とみなされるので、「天然物」として販売することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
天然イソオイゲノールは精油から抽出することができ、酵素変換又は微生物バイオ変換によるバニリンの生成に使用するのに経済的である。イソオイゲノールの変換によるバニリン生成は、アスペルギルス・ニガー、バチルス・サブティリス、及びシュードモナス・プチダを含むいくつかの微生物で広く報告されている。しかし、これらの微生物によって生成される報告された力価は非常に低い(2g/L未満)ことから、産業におけるこのアプローチの実用が著しく制限された。さらに、報告されたバイオ変換プロセスは複雑であり、バニリン生成のコストをさらに増加させた。
【0007】
したがって、より高い力価及び変換速度でバニリンを生成するためのより費用対効果の高い方法が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、以前に報告され、バニリンの生成に使用されてきた細菌のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼ及びリグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼと非常に低い配列同一性を有する真菌リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼを同定することにより、上述の問題を解決した。同定した真菌リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼ(FfLSD)は、イソオイゲノールをバニリンに変換するのに驚くほど高い活性を示した。前記FfLSD遺伝子を保有する発現プラスミドが構築され、遺伝子操作された宿主株が開発され、高い力価及び変換率でイソオイゲノールからバニリンを生成するために利用された。前記FfLSD遺伝子によって発現される組換えタンパク質も、単離及び精製して、インビトロでイソオイゲノールをバニリンに変換するために使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
したがって、一態様では、本開示は、バニリンを生成するバイオ変換方法に関する。本方法は、混合物中でFfLSD遺伝子を発現させ、その混合物にイソオイゲノールを供給し、イソオイゲノールをバニリンに変換することを含むことができる。いくつかの実施形態では、発現したFfLSD遺伝子は、配列番号2に対して少なくとも60%の同一性、配列番号2に対して少なくとも65%の同一性、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性、又は配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、発現したFfLSD遺伝子は、配列番号2と同一のアミノ酸配列を有することができる。
【0010】
様々な実施形態では、バイオ変換方法は、インビトロ翻訳によるFfLSD遺伝子の発現を含むことができる。代替実施形態では、バイオ変換方法は、細胞系におけるFfLSD遺伝子の発現を含むことができる。ある実施形態では、バイオ変換方法は、細菌又は酵母細胞においてFfLSD遺伝子を発現することを含むことができる。本バイオ変換方法は、組換えタンパク質としてFfLSD遺伝子を発現させる工程から生成物を精製することを含むことができる。いくつかの実施形態では、精製された組換えタンパク質は、イソオイゲノールを含む反応混合物に生体触媒として添加することができる。いくつかの実施形態では、イソオイゲノールを、FfLSD遺伝子が発現した混合物に直接供給することができる。
【0011】
本明細書に記載のバイオ変換方法は、混合物からバニリンを回収することを含むことができる。バニリンの回収は、当技術分野で知られている任意の従来の単離又は精製方法に従って行うことができる。バニリンの回収の前に、本方法はまた、混合物からバイオマス(酵素、細胞材料など)を除去することを含むことができる。
【0012】
一態様では、本開示は、単離した組換え宿主細胞を用いてバニリンを生成する方法に関し、単離した組換え宿主細胞は、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼをコードすることができるポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物で形質転換された。例えば、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼは、配列番号2に対して少なくとも60%の同一性、配列番号2に対して少なくとも65%の同一性、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性、又は配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼは、配列番号2と同一のアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、(i)単離した組換え宿主細胞を培地中で培養すること、(ii)イソオイゲノールを培地に添加し、イソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換を開始すること、及び(iii)バニリンを培地から抽出することを含むことができる。他の実施形態では、本方法は、(i)リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼの発現を可能にするために、単離した組換え宿主細胞を培地中で培養すること、(ii)リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼを単離すること;(iii)イソオイゲノールを含む反応混合物に単離したリグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼを添加すること;及び(iv)反応培地からバニリンを抽出することを含むことができる。
【0013】
一態様では、本開示は、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物で形質転換され、単離された組換え宿主細胞に関し、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼは、配列番号2に対して少なくとも60%の同一性、配列番号2に対して少なくとも65%の同一性、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性、又は配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼは、配列番号2と同一のアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、核酸構築物は、配列番号1の核酸配列と少なくとも70%同一である、配列番号1の核酸配列と75%同一である、配列番号1の核酸配列と80%同一である、配列番号1の核酸配列と85%同一である、配列番号1の核酸配列と90%同一である、又は配列番号1の核酸配列と95%同一である配列を含むポリヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、核酸構築物は、配列番号1と同一のポリヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、単離した組換え宿主細胞は、配列番号5の単離した核酸配列を含むベクターを含むことができる。様々な実施形態では、宿主細胞は、細菌、酵母、コレトトリカム属ではない糸状菌、シアノバクテリウム、藻類、及び植物細胞からなる群から選択することができる。例えば、宿主細胞は、エシェリキア属;サルモネラ属;バチルス属;アシネトバクター属;ストレプトマイセス属;コリネバクテリウム属;メチロサイナス属;メチロモナス属;ロドコッカス属;シュードモナス属;ロドバクター属;シネコシスティス属;サッカロミセス属;ザイゴサッカロミセス属;クルイベロミセス属;カンジダ属;ハンゼヌラ属;デバリオマイセス属;ケカビ属;ピキア属;トルロプシス属;アスペルギルス属;アルスロボトリス属;ブレビバクテリウム属;マイクロバクテリウム属;アルスロバクター属;シトロバクター属;クレブシエラ属;パントエア属;及びクロストリジウム属からなる微生物群から選択することができる。
【0014】
本明細書に記載の方法及び/又は単離した組換え宿主細胞を用いて生成されたバニリンは、回収して、消耗品に組み込むことができる。例えば、バニリンを消耗品と混合することができる。いくつかの実施形態では、バニリンは、望ましい味、風味、若しくは感覚を付与、変更、強化又は増強するのに十分な量で、又は望ましくない味、風味若しくは感覚を隠蔽、変更、又は最小限にするのに十分な量で消耗品に組み込むことができる。消耗品は、例えば、食品、食品原料、食品添加物、飲料、薬物及びタバコからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、バニリンは、望ましい香り若しくは臭いを付与、変更、強化又は増強するのに十分な量で、又は望ましくない香り若しくは臭いを隠蔽、変更、又は最小限にするのに十分な量で消耗品に組み込むことができる。消耗品は、例えば、香料、化粧品、トイレタリー、ホームケア及びボディケア、洗剤、忌避剤、肥料、空気清浄機、及び石鹸からなる群から選択することができる。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、イソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換経路を示す。
【
図2】
図2は、本開示によるpUVAPプラスミドの概略図を提供する。
【
図3】
図3は、本開示によるFfLSD-pET28構築物の概略図を提供する。
【
図4】
図4は、本開示によるFfLSD-pUVAP構築物の概略図を提供する。
【
図5】
図5は、SDS-PAGEによる精製組換えタンパク質FfIEM/FfLSDの測定結果を示すダイアグラムである。
【
図6】
図6は、変性FfLSD(下パネル)と比較した、本開示によるFfLSD(上パネル)によるイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換を示すHPLCクロマトグラムを提供する。
【
図7】
図7は、大腸菌株FfLSD-W対照に対して、本開示による大腸菌株FfLSD-W3110によるバニリンの生成を比較する。
【
図8】
図8は、本開示による大腸菌株FfLSD-W3110による基質としてイソオイゲノールを用いた5リットル発酵槽でのバニリンの生成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本明細書で使用する場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、内容が特に明確に指示しない限り、複数参照を含む。
【0018】
用語「含む(include)」、「有する」などは、本明細書又は特許請求の範囲に使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲で移行語として用いられる場合に、用語「含む(comprise)」が解釈されるのと同じように包含されることを意味する。
【0019】
単語「例示的」は、本明細書では例、事例、又は図として役立つことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載の任意の実施形態を、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈する必要はない。
【0020】
「細胞系」は、異所性タンパク質の発現を提供する任意の細胞である。それは、細菌、酵母、植物細胞及び動物細胞を含んだ。それは、原核細胞と真核細胞の両方を含む。それはまた、リボソームなどの細胞成分に基づくタンパク質のインビトロ発現も含む。
【0021】
「コード配列」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指すために使用される。
【0022】
細胞系の「増殖(Growing)」又は「培養」は、細胞が増殖して(multiply)分裂することを可能にする適切な培地を提供することを含む。それはまた、細胞又は細胞の構成要素が、翻訳して、組換えタンパク質を作ることができるように資源を提供することも含む。
【0023】
「酵母」は、真菌界のメンバーとして分類される真核生物で単細胞の微生物である。酵母は、多細胞祖先から進化した単細胞生物であるが、本発明に有用ないくつかの種と共に、仮性菌糸又は偽菌糸として知られている連結した出芽細胞のストリングを形成することによって多細胞特性を発達させる能力を有するものである。
【0024】
用語「相補的」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基の関係を説明するために使用される。例えば、DNAに関しては、アデノシンはチミンと相補的であり、シトシンはグアニンと相補的である。したがって、本技術はまた、添付の配列表に報告される完全な配列及びそれらの実質的に類似の核酸配列と相補的である単離された核酸断片も含む。
【0025】
用語「核酸」及び「ヌクレオチド」は、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、一本鎖若しくは二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそれらのポリマーを指すために使用される。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、天然のヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸を包含する。特に示されない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的改変バリアント又は縮重バリアント(例えば、縮重コドン置換)及び相補的な配列、並びに明示的に示された配列を黙示的に包含する。
【0026】
用語「単離」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、単離核酸又は単離ポリペプチドの文脈で使用される場合、限定されないが、人間の手によって、その天然環境から離されて存在し、したがって自然の産物ではない核酸又はポリペプチドを指すために使用される。単離核酸又はポリペプチドは、精製された形態で存在することができるか、又は例えば、トランスジェニック宿主細胞などの非天然環境に存在することができる。
【0027】
本明細書で使用する用語「インキュベート」及び「インキュベーション」は、2以上の化学的又は生物学的実体(化合物及び酵素など)を混合し、バニリンの生成に有利な条件下で相互作用することを可能にするプロセスを意味する。
【0028】
用語「縮重バリアント」は、1以上の縮重コドン置換によって参照核酸配列と異なる残基配列を有する核酸配列を指す。縮重コドン置換は、選択された1以上(又は全て)のコドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成することができる。核酸配列及びその全ての縮重バリアントは、同じアミノ酸又はポリペプチドを発現する。
【0029】
用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」は、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、これらの3つの用語は、時には互換的に使用され、限定されないが、その大きさ又は機能に関係なく、アミノ酸、又はアミノ酸類似体のポリマーを指すために使用される。「タンパク質」は、比較的大きなポリペプチドを参照して使用される場合が多く、「ペプチド」は、小さなポリペプチドを参照して使用される場合が多いが、これらの用語の使用は当技術分野では重複したり、変化したりする。本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、特に記載のない限り、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を指す。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」は、ポリヌクレオチド生成物を参照する場合に、本明細書では互換的に使用される。そのため、例示的なポリペプチドは、ポリヌクレオチド生成物、天然タンパク質、相同体、オルソログ、パラログ、断片及び他の同等物、上記の変異体、及び類似体を含む。
【0030】
用語「ポリペプチド断片」及び「断片」は、参照ポリペプチドを参照して使用される場合、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、アミノ酸残基が参照ポリペプチド自体と比較して欠失しているが、残りのアミノ酸配列は、通常、参照ポリペプチド内の対応する位置と同一であるポリペプチドを指すために使用される。そのような欠失は、参照ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端、あるいはその両者に生じ得る。
【0031】
ポリペプチド又はタンパク質の「機能的断片」という用語は、全長ポリペプチド又はタンパク質の一部であるペプチド断片を指し、実質的に同じ生物学的活性を有するか、又は全長ポリペプチド若しくはタンパク質と実質的に同じ機能を行う(例えば、同じ酵素反応を行う)。
【0032】
用語「変異体ポリペプチド」、「改変アミノ酸配列」又は「改変ポリペプチド」は、互換的に使用され、1以上のアミノ酸によって、例えば、1以上のアミノ酸置換、欠失、及び/又は付加によって、参照ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を指す。一態様では、変異体は、参照ポリペプチドの一部又は全ての能力を保持する「機能的変異体」である。
【0033】
用語「機能的変異体」は、保存的置換された変異体をさらに含む。用語「保存的置換された変異体」は、1以上の保存的アミノ酸置換によって参照ペプチドと異なり、参照ペプチドの活性の一部又は全部を維持するアミノ酸配列を有するペプチドを指す。「保存的アミノ酸置換」は、機能的に類似した残基を有するアミノ酸残基の置換である。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンなどの非極性(疎水性)残基と別の残基の置換;アルギニンとリジン間、グルタミンとアスパラギン間、スレオニンとセリン間などの、1つの荷電残基若しくは極性(親水性)残基と別の残基の置換;リジン若しくはアルギニンなどの1つの塩基性残基と別の残基の置換;又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸などの1つの酸性残基と別の残基の置換;又はフェニルアラニン、チロシン、若しくはトリプトファンなどの1つの芳香族残基と別の残基の置換が含まれる。そのような置換は、タンパク質若しくはポリペプチドの見かけの分子量又は等電点にほとんど又は全く影響を及ぼさないと予想される。語句「保存的に置換された変異体」は、残基が化学的誘導体化残基と置換されたペプチドも含み、ただし、生じたペプチドは、本明細書に記載の参照ペプチドの活性の一部又は全てを維持することを条件とする。
【0034】
用語「変異体」は、本技術のポリペプチドと関連して、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、及びさらには100%同一であるアミノ酸配列を有する機能的に活性のあるポリペプチドをさらに含む。
【0035】
全てのその文法的形態及びスペルの変形における用語「相同性」は、スーパーファミリーからのポリヌクレオチド又はポリペプチド及び異なる種からの相同性のあるポリヌクレオチド又はタンパク質を含む「共通進化起源」を有するポリヌクレオチド間又はポリペプチド間の関係を指す(Reeckら,CELL 50:667,1987)。そのようなポリヌクレオチド又はポリペプチドは、パーセント同一性の観点から、又は保存された位置における特定のアミノ酸又はモチーフの存在の観点からそれらの配列類似度によって反映されるように、配列相同性を有する。例えば、2つの相同性のあるポリペプチドは、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも900、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、さらには100%同一であるアミノ酸配列を有することができる。
【0036】
「適切な調節配列」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、コード配列の上流に位置するヌクレオチド配列(5’非コード配列)、コード配列内、又はコード配列の下流(3’非コード配列)を指すために使用され、関連付けられるコード配列の転写、RNAのプロセシング若しくは安定性、又は翻訳に影響を与える。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、及びポリアデニル化認識配列を含んでよい。
【0037】
「プロモーター」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、コード配列又は機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指すために使用される。一般に、コード配列はプロモーター配列に対して3’側に位置する。プロモーターは、その全体が天然遺伝子から由来するか、又は天然に見られる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されるか、又は合成DNAセグメントを含んでもよい。異なるプロモーターが異なる組織又は細胞型内で、又は異なる発達段階で、又は異なる環境条件に応答して遺伝子の発現を指示し得ることは、当業者なら理解する。ほとんどの時期に、ほとんどの細胞型で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれている。さらに、ほとんどの場合、調節配列の厳密な境界が完全に定義されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることはさらに認識される。
【0038】
用語「作用可能に連結された」は、一方の機能が他方の機能に影響されるように単一の核酸断片上での核酸配列の結合を指す。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響を与えることができる場合に、コード配列と作用可能に連結される(すなわち、そのコード配列がプロモーターの転写制御下にある)。コード配列は、センス又はアンチセンス方向で調節配列に作用可能に連結することができる。
【0039】
本明細書で使用する用語「発現」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、本技術の核酸断片に由来するセンス(mRNA)又はアンチセンスRNAの転写及び安定な蓄積を指すために使用される。「過剰発現」は、正常な生物又は形質転換されていない生物における生成レベルを超えるトランスジェニック又は組換え生物における遺伝子生成物の生成を指す。
【0040】
「形質転換」は、当業者にとってその通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、標的細胞へのポリヌクレオチドの導入を指すために使用される。導入されたポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノム又は染色体DNAに組み込まれ、遺伝的に安定な継承をもたらすか、又は宿主染色体とは無関係に複製することができる。形質転換された核酸断片を含む宿主生物は、「トランスジェニック」又は「形質転換」又は「組換え型」と呼ばれる。
【0041】
用語「形質転換」、「トランスジェニック」、及び「組換え型」は、宿主細胞と関連して本明細書で使用される場合、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、異種核酸分子が導入された植物細胞又は微生物細胞などの宿主生物の細胞を指すために使用される。核酸分子は、宿主細胞のゲノムに安定的に組み込むことができるか、又は核酸分子は染色体外分子として存在することができる。そのような染色体外分子は、自己複製することができる。形質転換された細胞、組織、又は対象は、形質転換過程の最終生成物だけでなく、そのトランスジェニック子孫も包含することが理解される。
【0042】
用語「組換え型」、「異種」及び「外来」は、ポリヌクレオチドに関連して本明細書で使用される場合、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、特定の宿主細胞にとって外来の供給源に由来するか、又は同じ供給源由来の場合は、その元の形態から改変されたポリヌクレオチド(例えば、DNA配列又は遺伝子)を指すために使用される。そのため、宿主細胞内の異種遺伝子は、特定の宿主細胞にとって内在性であるが、例えば、部位特異的変異誘発又は他の組換え技術の使用により改変された遺伝子を含む。この用語はまた、天然に存在するDNA配列の天然に存在しない複数のコピーを含む。そのため、この用語は、細胞にとって外来若しくは異種であるか、又は細胞と相同であるが、通常見られない宿主細胞内の位置又は形態にエレメントがあるDNAセグメントを指す。
【0043】
同様に、用語「組換え型」、「異種」、及び「外来」は、ポリペプチド又はアミノ酸配列に関連して本明細書で使用される場合、特定の宿主細胞にとって外来の供給源に由来するか、又は同じ供給源由来の場合は、その元の形態から改変されるポリペプチド又はアミノ酸配列を意味する。そのため、組換えDNAセグメントは、組換えポリペプチドを生成するために宿主細胞内で発現させることができる。
【0044】
「タンパク質発現」は、遺伝子発現後に生じるタンパク質生成を指す。それは、DNAがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写された後の段階からなる。次いで、mRNAは、最終的にタンパク質に折り畳まれるポリペプチド鎖に翻訳される。DNAは、トランスフェクション-意図的に細胞に核酸を導入するプロセスにより細胞内に存在する。この用語は、真核細胞における非ウイルス法で使用される場合が多い。また、他の方法及び細胞型を指してもよいが、他の用語が好ましい。「形質転換」は、細菌、植物細胞を含む非動物真核細胞に非ウイルス性DNA導入を説明するためにより頻繁に使用される。動物細胞では、形質転換もこれらの細胞における癌状態(発癌)への進行を指すために使用されるので、トランスフェクションは好ましい用語である。形質導入は、ウイルス媒介DNA導入を説明するために使用される場合が多い。形質転換、形質導入、及びウイルス感染は、本出願のトランスフェクションの定義の下に含まれる。
【0045】
用語「プラスミド」、「ベクター」、及び「カセット」は、当業者にとってそれらのそれぞれの通常の慣習的な意味を与えられ、限定されないが、細胞の中心的代謝の一部ではなく、通常は環状の二本鎖DNA分子の形態にある遺伝子を保有する場合が多い染色体外エレメントを指すために使用される。そのようなエレメントは、任意の供給源に由来する1本鎖若しくは2本鎖のDNA若しくはRNAの線状又は環状の自己複製する配列、ゲノム組み込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列であり得、その中のいくつかのヌクレオチド配列は、適切な3’非翻訳配列と共に選択された遺伝子生成物のプロモーター断片及びDNA配列を細胞に導入することができる特有の構造に結合するか、又は組み換えられている。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含み、特定の宿主細胞の形質転換を促進する外来遺伝子に加えてエレメントを有する特定のベクターを指す。「発現カセット」は、外来遺伝子を含み、外来宿主内でその遺伝子の発現を増強することを可能にする外来遺伝子に加えてエレメントを有する特定のベクターを指す。
【0046】
本明細書で使用する「配列同一性」は、2つの最適に整列させたポリヌクレオチド又はペプチド配列が、成分、例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸のアライメントのウィンドウ全体で不変である程度を指す。試験配列と参照配列の整列させたセグメントの「同一性の割合」は、2つの整列させた配列によって共有される同一の成分を参照配列セグメント内の成分の総数で割った数、すなわち、参照配列全体又は参照配列のより小さい定義部分である。
【0047】
本明細書で使用する用語「パーセント配列同一性」又は「パーセント同一性」は、2つの配列が最適に整列している(適切なヌクレオチドの挿入、欠失、又はギャップが比較のウィンドウにわたって参照配列の合計20%未満である)場合に、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)と比較した、参照(「問い合わせる」)ポリヌクレオチド分子の直鎖ポリヌクレオチド配列(又はその相補鎖)内の同一のヌクレオチドの割合を指す。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適なアライメントは、当業者によく知られており、SmithとWatermanのローカル相同アルゴリズム、NeedlemanとWunschの相同性アライメントアルゴリズム、PearsonとLipmanの類似度の探索方法などのツールによって、及び好ましくはGCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,Burlington,MA)の一部として利用可能であるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピュータ実装によって行われ得る。試験配列と参照配列の整列させたセグメントの「同一性の割合」は、参照配列セグメント、すなわち、参照配列全体又は参照配列のより小さな定義された部分内の成分の総数で割った2つの整列させた配列で共有される同一の成分の数である。パーセント配列同一性は、100を掛けた同一性の割合として表される。1以上のポリヌクレオチド配列の比較は、全長のポリヌクレオチド配列又はその一部、又はより長いポリヌクレオチド配列に対するものであり得る。本発明の目的では、「パーセント同一性」はまた、翻訳されたヌクレオチド配列のためのBLASTXバージョン2.0及びポリヌクレオチド配列のBLASTNバージョン2.0を用いて決定され得る。
【0048】
配列同一性のパーセントは、好ましくは、配列解析ソフトウェアパッケージ(商標)の「Best Fit」又は「Gap」プログラム(バージョン10;Genetics Computer Group,Inc.,Madison,WI)を用いて決定される。「Gap」は、NeedlemanとWunsch(Needleman及びWunsch,JOURNAL OF MOLECULAR BIOLOGY 48:443-453,1970)のアルゴリズムを利用して、一致数を最大化し、ギャップ数を最小限に抑える2つの配列のアライメントを見つける。「Best Fit」は、スミスとウォーターマンのローカル相同性アルゴリズムを用いて一致数を最大化するために、2つの配列間の類似度の最良のセグメントの最適なアライメントを実行し、ギャップを挿入する(Smith及びWaterman,ADVANCES IN APPLIED MATHEMATICS,2:482-489,1981,Smithら、NUCLEIC ACIDS RESEARCH 11:2205-2220,1983)。パーセント同一性は、「Best Fit」プログラムを用いて最も好ましく決定される。
【0049】
配列同一性を決定するための有用な方法は、米国立衛生研究所(ベセスダ、メリーランド州20894)の国立医学図書館の米国生物工学情報センター(NCBI)から一般に公開されているベーシックローカルアライメント検索ツール(BLAST)プログラムにも開示されている。BLAST Manual,Altschulら,NCBI,NLM,NIH;Altschulら,J.MOL.BIOL.215:403-410(1990)を参照されたい。BLASTプログラムのバージョン2.0以上では、アライメントにギャップ(欠失と挿入)を導入することができる。ペプチド配列については、BLASTXを用いて、配列同一性を決定することができる。ポリヌクレオチド配列については、BLASTNを用いて、配列同一性を決定することができる。
【0050】
本明細書で使用する用語「実質的パーセント配列同一性」は、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより高い配列同一性、約98%又は約99%の配列同一性などのパーセント配列同一性を指す。そのため、本発明の一実施形態は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより高い配列同一性、約98%又は約99%の配列同一性などを有するポリヌクレオチド分子である。本発明の活性遺伝子を有するポリヌクレオチド分子は、バニリンの生成を指示することができ、本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列に実質的なパーセント配列同一性を有し、本発明の範囲内に包含される。
【0051】
同一性は、配列のアライメント後の配列のペア間で同じであるアミノ酸の割合であり(配列情報又は構造情報又はいくつかの他の情報のみを用いて行うことができるが、通常は、配列情報のみに基づくものであり)、類似度は、いくつかの類似度マトリックスを用いてアライメントに基づいて割り当てられるスコアである。類似度指数は、以下のBLOSUM62、PAM250、又はGONNETのいずれか1つ、又はタンパク質の配列アライメントのために当業者が使用する任意のマトリックスであり得る。
【0052】
同一性は、2つのサブ配列間(配列間にギャップなし)の一致の程度である。25%以上の同一性は、機能の類似度を意味し、18~25%は構造又は機能の類似度を意味する。2つの完全に無関係又はランダムな配列(100超の残基)は、20%より高い同一性を有することができることに留意されたい。類似度は、比較される2つの配列間の類似の度合いである。これはそれらの同一性に依存する。
【0053】
コード核酸配列
本発明は、本明細書に記載のリグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼをコードし、必要な遺伝子工学操作を行うために適用することができる核酸配列に関する。本発明はまた、本明細書に具体的に開示される配列に対してある程度の「同一性」を有する核酸に関する。例えば、本発明の態様は、配列番号1に対して少なくとも60%の同一性、配列番号1に対して少なくとも65%の同一性、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性、又は配列番号1に対して少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を包含する。いくつかの実施形態では、本発明に有用なリグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼをコードするために使用される核酸配列は、配列番号1と同一の核酸配列を有することができる。
【0054】
本発明はまた、配列番号2に対して少なくとも60%の同一性、配列番号2に対して少なくとも65%の同一性、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性、又は配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するリグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼをコードする核酸配列に関する。いくつかの実施形態では、リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼは、配列番号2と同一のアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、上記酵素のいずれかの機能的同等物をコードする核酸配列に関連することができる。
【0055】
本発明による構築物
いくつかの態様では、本発明は、リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼを発現させるための発現ベクターのような構築物に関する。
【0056】
一実施形態では、該発現ベクターは、様々な宿主細胞での本明細書に記載の組換えポリペプチドの発現のための遺伝子エレメント(すなわち、FfLSD)を含む。宿主細胞における転写及び翻訳のためのエレメントは、プロモーター、タンパク質複合体のコード領域、及び転写ターミネーターを含むことができる。
【0057】
当業者は、発現ベクターの調製に利用できる分子生物学技術を認識するだろう。上記の本技術の発現ベクターへの組み込みに使用されるポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの日常的な技術によって調製することができる。分子クローニングでは、ベクターは、複製及び/又は発現することができる別の細胞へ外来遺伝物質を人工的に運ぶ手段として使用されるDNA分子である(例えば、プラスミド、コスミド、ラムダファージ)。外来DNAを含むベクターは組換えDNAと考えられる。ベクターの4つの主要なタイプは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、及び人工染色体である。このうち、最も一般的に使用されるベクターはプラスミドである。複製開始点、マルチクローニングサイト、及び選択マーカーは全て操作されたベクターに共通である。
【0058】
相補的な付着末端を介してベクターにDNAを作用可能に連結するために、多くの分子生物学技術が開発された。一実施形態では、ベクターDNAに挿入する予定の核酸分子に、相補的なホモポリマー鎖を付加することができる。次いで、組換えDNA分子を形成するために、ベクター及び核酸分子を相補的なホモポリマーテール間の水素結合によって結合する。
【0059】
代替実施形態では、1以上の制限部位を含む合成リンカーを用いて、本技術のポリヌクレオチドを発現ベクターに作用可能に連結する。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、制限エンドヌクレアーゼ消化によって作製される。一実施態様では、核酸分子を、それらの3’,5’-エキソヌクレアーゼ活性で突出している3’一本鎖末端を除去する酵素であるバクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ又は大腸菌DNAポリメラーゼIで処理し、それらの重合活性でくぼんだ3’末端を埋めることによって、平滑末端DNAセグメントを作製する。次いで、平滑末端セグメントを、バクテリオファージT4 DNAリガーゼなどの平滑末端DNA分子のライゲーションを触媒することができる酵素の存在下で、モル過剰のリンカー分子とインキュベートする。そのため、反応の生成物は、その末端にポリマーリンカー配列を保有するポリヌクレオチドである。次いで、これらのポリヌクレオチドを適切な制限酵素で切断して、ポリヌクレオチドのものと適合性のある末端を生成する酵素で切断された発現ベクターに連結する。
【0060】
あるいは、ライゲーション非依存クローニング(LIC)部位を有するベクターを用いることができる。次いで、必要なPCR増幅ポリヌクレオチドを、制限消化又はライゲーションなしに、LICベクターにクローニングすることができる(Aslanidis及びde Jong,NUCL.ACID.RES.18 6069-74,(1990),Haunら,BIOTECHNIQUES 13,515-18(1992)、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0061】
一実施形態では、選択したプラスミドに挿入するための目的のポリヌクレオチドを単離及び/又は改変するために、PCRを使用することが適切である。配列のPCR調製に使用するのに適切なプライマーを、核酸分子の必要なコード領域を単離するために設計し、制限エンドヌクレアーゼ又はLIC部位を付加して、所望のリーディングフレームにコード領域を配置することができる。
【0062】
一実施形態では、本技術の発現ベクターに組み込むためのポリヌクレオチドは、PCRに適するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて調製される。コード領域が増幅される一方で、プライマー自体は増幅された配列生成物に組み込まれる。一実施形態では、増幅プライマーは、増幅された配列生成物を適切なベクターにクローニングすることを可能にする制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む。
【0063】
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術によって植物又は微生物宿主細胞に導入することができる。本技術の発現ベクターでの適切な細胞の形質転換は、当技術分野で公知の方法によって達成され、典型的には、ベクターと細胞の両方の種類に依存する。適切な技術には、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、ケモポレーション又はエレクトロポレーションが含まれる。
【0064】
正常に形質転換された細胞、すなわち発現ベクターを含む細胞は、当技術分野で周知の技術によって特定することができる。例えば、本技術の発現ベクターでトランスフェクトした細胞を培養すると、本明細書に記載のポリペプチドを生成することができる。細胞は、当技術分野で周知の技術によって発現ベクターDNAの存在を調べることができる。
【0065】
宿主細胞は、前述した発現ベクターの単一コピーを含むことができるか、あるいは、発現ベクターの複数コピーを含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、植物細胞、藻細胞、コレトトリカム属ではない真菌細胞、又は酵母細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、キャノーラ植物細胞、菜種植物細胞、ヤシ植物細胞、ヒマワリ植物細胞、綿植物細胞、トウモロコシ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、亜麻植物細胞、ゴマ植物細胞、大豆植物細胞、及びペチュニア植物細胞からなる群から選択される植物細胞である。
【0067】
微生物宿主細胞発現系及び発現ベクターは、当業者に周知の外来タンパク質の高レベル発現を指示する調節配列を含む。これらのいずれも、微生物宿主細胞における本技術の組換えポリペプチドの発現のためのベクターを構築するために使用することができる。次いで、これらのベクターは、本技術の組換えポリペプチドの高レベル発現を可能にする形質転換を介して適切な微生物に導入することができる。
【0068】
適切な微生物宿主細胞の形質転換に有用なベクター又はカセットは、当技術分野では周知である。典型的には、ベクター又はカセットは、関連するポリヌクレオチドの転写及び翻訳を指示する配列、選択マーカー、及び自己複製又は染色体組み込みを可能にする配列を含む。適切なベクターは、転写開始を制御するポリヌクレオチドの領域5’及び転写終結を制御するDNA断片の領域3’を含む。両方の制御領域は、形質転換された宿主細胞に相同な遺伝子に由来することが好ましいが、そのような制御領域は宿主として選択された特定の種に存在する遺伝子に由来する必要はないことを理解すべきである。
【0069】
終止制御領域はまた、微生物宿主に存在する様々な遺伝子に由来し得る。本明細書に記載の微生物宿主については、終止部位が必要に応じて含まれ得る。
【0070】
好ましい宿主細胞は、イソオイゲノールからバニリンを生成する能力を有することが知られているものを含む。例えば、好ましい宿主細胞は、大腸菌属及びシュードモナス属の細菌を含むことができる。
【0071】
バニリンの発酵生成
イソオイゲノールは、プロペニルベンゼンの側鎖の酸化を伴うエポキシドジオール経路を介してバニリンに代謝される(
図1)。発明者らは、驚くことに、フザリウム・フジクロイ(Fusarium fujikuroi)由来の推定リグノスチルベン-α,β-ジオキシゲナーゼ(FfLSD)が、以前に報告された細菌IEM及びLSDと比較してイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換において驚くほど高い活性を示したことを発見した。より具体的には、FfLSD遺伝子を保有する宿主株を操作し、操作された宿主株をイソオイゲノール含有混合物中で培養することによって、発明者らは、90%超の変換率で、14g/L超の力価でバニリン生成を達成することができた。他の粗酵素及び/又はサブファクターを使用せずに、高い力価及び高い変換率が得られた。
【0072】
宿主細胞の培養は、通常の栄養物質の存在下で、水性培地中で行うことができる。適切な培地は、例えば、炭素源、有機又は無機窒素源、無機塩及び増殖因子を含有することができる。培地に関しては、グルコースが好ましい炭素源であり得る。酵母エキスは、窒素の有用な供給源であり得る。リン酸塩、増殖因子及び微量元素を加えることができる。
【0073】
培養液は、バイオリアクターで調製及び殺菌することができる。次いで、本発明による操作された宿主株を培養液に接種して、増殖期を開始することができる。増殖期の適切な期間は、約5~40時間、好ましくは約10~35時間、最も好ましくは約10~20時間であり得る。
【0074】
増殖期の終了後、発酵液のpHを8.0以上のpHにシフトすることができ、基質イソオイゲノールを培養物に供給することができる。適切な量の基質供給は、発酵液の0.1~40g/L、好ましくは約0.3~30g/Lであり得る。基質は、固体材料として、又は水溶液又は懸濁液として供給することができる。基質の総量は、1工程、2以上の供給工程で、又は連続的に供給することができる。
【0075】
バイオ変換期は、基質供給の開始から始まり、約5~50時間、好ましくは10~40時間、最も好ましくは15~30時間、すなわち全ての基質が生成物及び副生成物に変換されるまで続く。
【0076】
終了したバイオ変換期の後、バイオマスを、遠心分離又は膜濾過などの任意の周知の方法により発酵液から分離し、無細胞発酵液を得ることができる。
【0077】
抽出期は、例えば、水不混和性の有機溶媒、植物油又は任意の固体抽出剤、例えば、樹脂、好ましくは、中性樹脂を用いて発酵液に加えることができる。発酵液は、さらに殺菌又は低温殺菌することができる。いくつかの実施形態では、発酵液を濃縮することができる。発酵液から、例えば、連続液液抽出プロセス、又はバッチ式抽出プロセスを用いて、バニリンを選択的に抽出することができる。
【0078】
本発明の利点は、とりわけ、同じ培地で増殖期とそれに続くバイオ変換期の両方を行う能力を含む。これにより、生成プロセスが大幅に簡素化され、プロセスを効率的かつ経済的にさせ、工業生成レベルまでスケールアップが可能になる。
【0079】
当業者なら、本明細書に記載の方法によって生成されるバニリン組成物をさらに精製し、上記の香料及び/又は風味付けされた消耗品、並びに栄養のための、及び医薬品中の栄養補助食品、医療用組成物、薬用化粧品と混合することができることを認識するだろう。
【0080】
本開示は、以下の非限定的な実施例を考慮すると、より完全に理解される。これらの実施例は、本技術の好ましい実施形態を示す一方で、単に説明のために与えられることを理解すべきである。上記の議論及びこれらの実施例から、当業者は、本技術の本質的特徴を確かめることができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件に適合させるために本技術の様々な変更及び改変を行うことができる。
【0081】
実施例
細菌株、プラスミド及び培養条件
DH5a及びBL21(DE3)の大腸菌株をInvitrogenから購入した。大腸菌株W3110は、イェール大学の大腸菌遺伝子リソースの大腸菌遺伝子ストックセンター(http://cgsc2.biology.yale.edu/)から取得した。プラスミドpET28aは、EMD Millipore(Billerica,MA,USA)から購入した。本発明者らが、配列番号3を用いて、
図2に示す図に基づき、プラスミドpUVAPを構築し、遺伝子クローニングと遺伝子発現の両方の目的のために使用した。
【0082】
DNA操作
全てのDNA操作を標準的な手順に従って行った。制限酵素、T4 DNAリガーゼをNew England Biolabsから購入した。全てのPCR反応を、製造業者のガイダンスに従って、New England Biolabs社のPhusion PCRシステムを用いて行った。
【0083】
実施例1:標的遺伝子の同定
NCBI参照配列がXM_023575505.1である1569bpの完全なORF(オープンリーディングフレーム)を有する推定遺伝子を、フザリウム・フジクロイのゲノムから同定した。その推定タンパク質、すなわちFFUJ-11801は、リグノスチルベン-アルファ,ベータ-ジオキシゲナーゼであると注釈がついていた(Wiemannら 2013)。このORFは、522個のアミノ酸(配列番号2)を有するタンパク質をコードし、理論分子量が59kDaであり、計算された等電点(pI)は6.26である。対応するヌクレオチドを、大腸菌での発現のためにコドン最適化した後に、GeneUniversal Inc.Company(Newark,NJ,USA)により合成した(配列番号1)。
【0084】
バイオインフォマティクス解析から、FfLSDが、以前に報告されたシュードモナス種からのLSDと低い同一性を示すことが示される。具体的には、バイオインフォマティクス解析から、FfLSDが、シュードモナス・パウシモビリス(Pseudomonas paucimohilis)TMYI009からのLSDと35%の同一性しか持たないことが示される。イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM)に関しては、FfLSDは、シュードモナス・ニトロレデュセンス(pseudomonas nitroreducens)からのIEMであるPnIEMと36%の同一性しか示さない。
【0085】
実施例2:プラスミドの構築
FfLSDのオープンリーディングフレーム(ORF)を、組換えタンパク質がN末端に抽出及び精製に便利な6×Hisタグを有するようにpET28aのNde I/Xho I制限部位にクローニングした。FfLSDのORFを、表1のFfLSD-NdeI-FとFfLSD-Xho I-R1のプライマー対を用いて、5’末端にNde I制限部位及び3’末端にXho I部位を導入して増幅した。Nde IとXho Iで消化した後、発現ベクターpET28aのNde IとXho Iの制限部位にPCR断片をライゲーションし、DH5アルファコンピテントセルに形質転換し、FfLSD-pET28のプラスミドを作製した(
図3)。配列の確認後、大腸菌株BL21(DE3)への形質転換用のプラスミドを用意した。
【0086】
発酵槽でイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換のための大腸菌株を作製するために、FfLSDのオープンリーディングフレームをpUVAPベクターのNde I/Not I部位にクローニングし(
図2)、使用したプライマーがFfLSD-Nde-F及びFfLSD-Not I-R2であることを除いて、上記と同じ手順で、FfLSD-pUVAPの発現ベクターを作製した(
図4)。この構築物を用いて発現させたFfLSDにはHisタグはない。
【0087】
表1.FfLSD発現ベクターの構築用プライマー
【表1】
【0088】
実施例3:開発した構築物を用いた大腸菌細胞の形質転換
標準的な化学変換プロトコルを用いて、FfLSD-pET28aの構築物を大腸菌BL21(DE3)細胞に導入して、株FfLSD-BL21を作製した。株FfLSD-BL21を、機能的特徴付けのための組換えタンパク質の発現に使用した。
【0089】
標準的な化学変換プロトコルを用いて、FfLSD-pUVAPのプラスミドを大腸菌W3110コンピテントセルに導入して、FfLSD-W3110の株を作製し、同様にFfLSD-W対照の対照株を、pUVAPプラスミドを用いて開発した。株FfLSD-W3110及びFfLSD-W対照を、全細胞を用いてイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換に使用した。
【0090】
実施例4:大腸菌におけるFfLSDの異種発現と組換えタンパク質の精製
大腸菌株FfLSD-BL21の単一コロニーを、100mg/Lのカナマイシンを有するLB培地5mL中で、37℃で一晩増殖させた。この種培養物を、100mg/Lのアンピシリンを有するLB培地200mLに移した。細胞を250rpmで、37℃で、0.6~0.8のOD600まで増殖させ、次いで、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.5mMの最終濃度まで添加し、増殖温度を16℃に変更した。大腸菌細胞を、4℃で15分間、4000gで遠心分離することにより、16時間のIPTG誘導後に収集した。生じたペレットを、100mM Tris-HCl、pH7.4、100mM NaOH、10%グリセロール(v/v)の5mLに再懸濁し、氷上で2分間超音波処理した。混合物を4℃で20分間、4000gで遠心分離した。上清中の組換えタンパク質を、製造業者のプロトコルに従ってClonetech社のHis60 Ni Superflow樹脂で精製した。組換えタンパク質の精製をSDS-PAGEによって確認した(
図5)。
【0091】
実施例5:インビトロでの酵素アッセイ
FfLSDの活性を、2種類の基質の4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメトキシスチルベン及びイソオイゲノールそれぞれによって決定した。4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメトキシスチルベンに対する活性を測定するために、適切な量の酵素溶液を含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.5)2.5ml中で、活性を30℃でアッセイした。10μLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した基質を200μMの最終濃度まで添加することによって、酵素反応を開始した。反応生成物のバニリンをHPLC分析で検出した。
【0092】
精製タンパク質は、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメトキシスチルベンに対する活性を示さなかった。4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメトキシスチルベンとインキュベートした場合に、HPLC分析ではバニリンの生成は観察されなかった。
【0093】
活性も、バニリンの形成を測定することによってイソオイゲノールを用いて測定した。反応混合物には、全容量1ml中に10mM イソオイゲノール、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、10%(v/v)エタノール及び適量の酵素が含まれた。反応を、エタノール溶液としてイソオイゲノールを添加することによって開始し、往復振盪で、30℃で10分間行い(160ストローク/分)、1mlのメタノールで停止した。21,500で遠心分離後、上清をイソオイゲノール、バニリン、バニリルアルコールの決定のためにHPLCにより分析した。5分間沸騰水で処理したFfLSD酵素を陰性対照として用いた。
【0094】
図6は、精製したFfLSD(上パネル)、及び陰性対照(下パネル)を用いた実験からの上清を用いて得られたHPLCクロマトグラムを示す。示すように、精製したFfLSDは、イソオイゲノールに対して高い活性を示した。反応混合物に添加したほぼ全てのイソオイゲノールはバニリンに変換した(上パネル)。予想通り、バニリンは、陰性対照(下パネル)では生成されなかった。
【0095】
実施例6:振盪フラスコを用いたイソオイゲノールからバニリンへのインビボでのバイオ変換
FfLSD-W3110及びFfLSD-W対照の大腸菌W3110株を、種培養物として一晩37℃で3mlのLB中50μg/Lのアンピシリンを有するLB培地でそれぞれ増殖させた。0.2mLの種培養物を、125mLの振盪フラスコに5g/Lの酵母エキス及び50μg/Lのアンピシリンを含む20mLのM9培地に接種した。細胞を30℃で6時間、250rpmの振盪速度で、シェーカー内で増殖させ、次いで、400μlの20%イソオイゲノール(ジメチルスルホキシド(DMSO)中のv/v)をフラスコに添加した。初回添加の12時間及び24時間後に、200μlの20%イソオイゲノール(DMSO中のv/v)を培養物にさらに2回添加した。100μlの培養混合物を、それぞれ示した時間間隔でフラスコから収集し、ボルテックスによって900μlのメタノールとよく混合し、次いで、20,000gで15分間遠心分離した。50μLの生じた上清を、HPLC分析用のHPLC試料バイアルに入れた。実験は三重に行った。
【0096】
図7は、大腸菌株FfLSD-W3110によるバニリンの生成を、大腸菌株FfLSD-W対照と比較している。
図7に示すように、FfLSDを保有する株は、培地中でイソオイゲノールをバニリンに変換したが、対照株ではバニリンは生成されなかった。
【0097】
実施例7:発酵槽におけるイソオイゲノールからバニリンへのバイオ変換
基質として天然イソオイゲノールを用いて発酵槽中で天然バニリンを生成するために、FfLSD-W3110株を使用する発酵プロセスを開発した。具体的には、1mLのFfLSD-W3110のグリセロールストックを、500mLフラスコ中の100mLの種培養用の培地(5g/Lの酵母抽出物、10g/Lのトリプトン、10g/LのNaCl、及び50mg/Lのアンピシリンを有するルリア・ベルタニ培地)に接種した。接種菌液をシェーカー中で、37℃で200rpmの振盪速度で8時間培養し、次いで、5リットル発酵槽中のルリア・ベルタニ培地+10g/Lの初期グルコース、50mg/Lのアンピシリンの3リットルの発酵培地に移した。
【0098】
5リットルのバニリン発酵プロセスは、細胞増殖期とバイオ変換期の2つの期を有する。細胞増殖期は、発酵経過時間(EFT)0時間~EFT約16.5時間であった。発酵パラメータを次のように設定した:空気流量:0.6vvm;pHは、4N NaOHを用いて制御し、7.1以下にはならないようにした。増殖温度を30℃に設定し、攪拌を300~500rpmに設定した。溶存酸素(DO)は撹拌に合わせて落とし、30%以上を維持した。増殖時間は約16~17時間であった。
【0099】
バイオ変換期は、EFT 16.5時間~46.5時間であった。発酵パラメータを次のように設定した:空気流量:0.4vvm。pHは、4N NaOHで8.0以下にならないように制御し、温度は30℃であった。撹拌を250~500rpmに設定し、DOは撹拌に合わせて落として、30%以上維持した。イソオイゲノールを、EFT16.5時間に0.6g/Lの供給速度で供給し、次いで、速度を、EFT 27.5時間の時点でEFT44時間まで0.4g/Lに低下させ、発酵期はEFT46~47時間で完了した。
【0100】
培養混合物を、示した時間間隔で発酵槽から収集した。イソオイゲノール、バニリン、及びバニリルアルコールのHPLC分析を、Vanquish Ultimate 3000システムで行った。中間体を、0.2%(体積/体積)の三フッ素酸(溶出A)と10~40%(体積/体積)の範囲の溶出Bで0.2%(体積/体積)のアセトニトリル(溶出B)の勾配で、0.6ml/分の流速を用いるDionex Acclaim 120 C18カラム(粒子サイズ 3μm;150×2.1mm)にて逆相クロマトグラフィーによって分離した。定量化のために、全ての中間体を外部標準物質で較正した。化合物を、その保持時間、及びシステム内のダイオードアレイ検出器で同定された対応するスペクトルによって同定した。
【0101】
図8は、EFT 16.5時間~46.5時間までのバイオ変換期にわたって残っているイソオイゲノール及び生成されたバニリルアルコールの量に対する生成されたバニリンの量を示す。
図8に示すように、バニリン生成力価は14g/Lを超え、イソオイゲノールからの変換率は90%を超えた。
【0102】
上記の説明から明らかなように、本開示のある態様は、本明細書に提供される実施例の具体的な詳細によって制限されず、したがって、他の変更及び適用、又はその同等物が、当業者なら思いつくことが企図される。それに応じて、特許請求の範囲は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない全てのそのような変更及び適用を含むことが意図される。
【0103】
さらに、特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様の、又は同等の任意の方法及び材料は、本開示の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料は、上に記載されている。
【0104】
上記の発明は、実例によって、理解の目的のための例をある程度詳細に説明しているが、ある変更及び改変が実践され得ることは当業者には明らかであろう。したがって、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によって詳しく説明される。
【0105】
関心のある配列
配列番号1:FfLSDの核酸配列
ATGAGCGCACCGGAAGAACATCATGGTCTGAAAAGCAAATGGCCTCAGGCATTTGATCTGGCAGGTAGCAATAGCCCGTGTCGTATTGAAGGTGAAATTGGTGATCTGGTTGTTCTGGGTGAAATTCCGCCTGCAATTGATGGCACCTTTTATCGTGTTATGTGTGATCCGTTTGTTCCGCCTCATCCGGATAATGTTCCGCTGGATGGTGATGGTCATGTTAGCGCATTTCGTATCTATAATGGTCGCGTGGACATGAAAATCAAATATGTTGAAACCGAGCGCTACAAACTGGAACGTAAAGCAGGTAAAGCACTGTTTGGTCTGTATCGTAATCCGTTTACACATCATCCGTGTGTTCGTGCAGCAGTTGATAGCACCGCAAATACCAATATGGTTTATTGGGCAGATCGTCTGCTGGCACTGAAAGAAAGCGCACTGCCGTATGAAATGCATCCTGATACACTGGAAACCCTGTGTTATGATCCTTTTGGTGGTCAGGTTAAAGCAAAAGCATTTACCGCACATCCGAAAATCGATCCGTTTAGTGATGAACTGGTTGTGTATGGTTATGAAGCAAAAGGTCTGGCAACCCGTGATATTGTGATTTATAGCCTGGATAAAAACGGCATCAAACACGATGAACAGTGGATTGAAAGCCCGTGGTGTGCACCGATTCATGATTGTGTTATTACCCCGAACTTTATCGTTCTGATTCTGTGGCCGTTTGAAGCAAGCGTTGAACGTATGAAAGCCGGTAAACAGCATTGGGCATGGGATTATAGTCTGCCTGCAACCTTTATTGTTGTTCCGCGTCGTAAAACCAGCAAAATTCCGGCAAGCTGGAAACAGGGTGAACATCGTGTGTATCATTGGAAAAACTGCATGAACATTCATGCCGGTAGCGCATGGGAAGAAGATAACGGTAAACTGTATCTGGAAACCAGCCGTGTTCATGATAATGCCTTTCCGTTTTTTCCTCCGGTTGATGGTCGTATGCCTGCACCGGATGCAAAAGCAGATTTTGTTCGTTGGGAAATTGATCTGAATGCACCGAGCGGCACCCAGATGGCAGATCCGGAAGTTATTCTGGATGTTCCGAGCGAATTTCCGCGTATTGATGAACGTTTTATGACCAAACGTAACGAGTACCTGTTTCTGAATGTGTTTATTCCGGAAACCAGTCAAGGTGGCACCAACATTTTTCATGGCCTGAATGGTCTGGCCATGCATAATCATAGCACCGGTGAAACCAAATGGTTTTTTGCCGGTAAAGATAGCCTGGTTCAAGAACCGATCTTTATTCCGCGTACCGCAGATGCTCCGGAAGGTGATGGTTGGGTTATTGCAATGCTGGAACGTCGTGTTGCAAATCGTAGCGAACTGGTGGTTCTGGATACCCGTGAATTTGAAAAACCGGTTGCATTTATTCAGCTGCCGATGCATCTGAAAGCACAGGTTCATGGTAATTGGATTGATAGTCGTACCCGTGCAAGCACCGAAGCAATTGTTCGTCAGATTGGTGAAGTTAAAGTTAGCGCACGTGGTGCACTGGAACCGCTGGCATAA
配列番号2:FfLSDのアミノ酸配列
MSAPEEHHGLKSKWPQAFDLAGSNSPCRIEGEIGDLVVLGEIPPAIDGTFYRVMCDPFVPPHPDNVPLDGDGHVSAFRIYNGRVDMKIKYVETERYKLERKAGKALFGLYRNPFTHHPCVRAAVDSTANTNMVYWADRLLALKESALPYEMHPDTLETLCYDPFGGQVKAKAFTAHPKIDPFSDELVVYGYEAKGLATRDIVIYSLDKNGIKHDEQWIESPWCAPIHDCVITPNFIVLILWPFEASVERMKAGKQHWAWDYSLPATFIVVPRRKTSKIPASWKQGEHRVYHWKNCMNIHAGSAWEEDNGKLYLETSRVHDNAFPFFPPVDGRMPAPDAKADFVRWEIDLNAPSGTQMADPEVILDVPSEFPRIDERFMTKRNEYLFLNVFIPETSQGGTNIFHGLNGLAMHNHSTGETKWFFAGKDSLVQEPIFIPRTADAPEGDGWVIAMLERRVANRSELVVLDTREFEKPVAFIQLPMHLKAQVHGNWIDSRTRASTEAIVRQIGEVKVSARGALEPLA
配列番号3:プラスミドpUVAPの核酸配列
GGCAGTGAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATTAGGCACCATCGTTTAGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCAACTATAAGAAGGAGATATACATATGGCGGATCCGAATTCGGCGCGCCAGATCTCAATTGGATATCGGCCGGCCGACGTCGGTACCGCGGCCGCCACCGCTGAGCAATAACTAGCATAACCCCTTGGGGCCTCTAAACGGGTCTTGAGGGGTTTTTTGCTGAAAGGAGGAACTATATCCGGGTAACGAATTCAAGCTTGATATCATTCAGGACGAGCCTCAGACTCCAGCGTAACTGGACTGCAATCAACTCACTGGCTCACCTTCACGGGTGGGCCTTTCTTCGGTAGAAAATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCATCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCAGAAAGGCCCACCCGAAGGTGAGCCAGGTGATTACATTTGGGCCCTCATCAGAGGTTTTCACCGTCATCACCGAAACGCGCGAGGCAGCTGCGGTAAAGCTCATCAGCGTGGTCGTGAAGCGATTCACAGATGTCTGCCTGTTCATCCGCGTCCAGCTCGTTGAGTTTCTCCAGAAGCGTTAATGTCTGGCTTCTGATAAAGCGGGCCATGTTAAGGGCGGTTTTTTCCTGTTTGGTCATTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATAGCTCCTGAAAATCTCGATAACTCAAAAAATACGCCCGGTAGTGATCTTATTTCATTATGGTGAAAGTTGGAACCTCTTACGTGCCGATCAAGTCAAAAGCCTCCGGTCGGAGGCTTTTGACTTTCTGCTATGGAGGTCAGGTATGATTTAAATGGTCAGTATTGAGCGATATCTAGAGAATTCGTC