(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20231120BHJP
B65D 47/40 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B65D47/36 210
B65D47/40 200
(21)【出願番号】P 2020012860
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-099317(JP,A)
【文献】特開2014-108799(JP,A)
【文献】特開2001-270542(JP,A)
【文献】特開2020-055535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/36
B65D 47/40
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に連設された上蓋とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器本体の口部を密封する隔壁を備え、
隔壁は、破断可能な薄肉弱化部によって画成された注出口を開口する除去部と、注出口の周囲に、ヒンジと反対側を中心とする所定円弧範囲にわたって立設された注出筒と、ヒンジ側の注出筒
の周方向の端部間を含む所定円弧範囲に形成された肩部とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の内面から垂設され、注出筒および肩部と密接する密封リングとを備え、
隔壁は、
肩部から垂設され、密封リングと密接するシール壁と、シール壁の下端から薄肉弱化部に向けて延設された最低上面と、肩部と薄肉弱化部との間
の最低上面から立設されたストッパーリブ
とを備えることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
隔壁の最低上面は、シール壁の下端から薄肉弱化部に向けて上り勾配で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
隔壁は、注出筒の外周と肩部の上面に、ヒンジと反対側からヒンジ側に向けて下り勾配の液回収路を備え、
液回収路は、肩部で注出口と連通することを特徴とする請求項
1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
上蓋は、頂壁の周縁から垂設された側周壁と、側周壁の内周から上下方向に形成され、閉蓋時にキャップ本体と当接する複数の補強リブとを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか
1項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に連設された上蓋とからなるヒンジキャップに関し、とくに内容液を注出する注出筒の外側に垂れた液を容器本体内に回収できるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体に装着したヒンジキャップにおいて、使用前は、注出口を閉塞する抜栓式の隔壁を備え、使用時に、隔壁を抜栓して開口した後、容器本体を傾け、キャップ本体の注出口から内容液を注出する際には、通常、注出口の周囲に立設した注出筒によって内容液を注出方向に案内している。
このとき、内容液の種類や注ぎ方によって注出筒の外側に液がまわったり、液が垂れたりすることがあり、ヒンジキャップ内が汚れて不衛生になったり見映えが悪いという問題があった。
【0003】
このため、注出口の周囲にヒンジ側を切欠き開口した半筒状の注出筒を起立し、注出時に注出筒の注出方向に垂れた内容液が、該切欠き開口から容器本体内へ回収されるようにした抜栓式のヒンジキャップが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載のヒンジキャップでは、抜栓後、容器本体を倒しても液が漏れないようにするために、キャップ本体の注出筒と上蓋の密封リングとの係合で容器本体内を密封しているが、半筒状に形成された注出筒の切欠き開口部分に対応するように、ヒンジ側の密封リングの下端部を延長し、密封リングが注出筒の切欠き開口部分を塞ぐとともに、密封リングの延長部が隔壁の薄肉弱化部付近まで近接し、密封するようにしている。
しかしながら、上蓋の密封リングの下端部は、隔壁に近接しているため、例えば、抜栓前に、容器を落下させてしまい、容器が倒立した状態で上蓋が着地した場合、その衝撃で上蓋の密封リングが押し込まれ、隔壁の薄肉弱化部の一部を破断させてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、内容液を注出する際に、注出筒の外側に垂れた液を容器本体内に回収することができるとともに、閉蓋時に容器本体を密封するために、密封リングの下端部が隔壁の薄肉弱化部に近接していても、倒立落下時に薄肉弱化部が破断しないようにしたヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に連設された上蓋とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器本体の口部を密封する隔壁を備え、隔壁は、破断可能な薄肉弱化部によって画成された注出口を開口する除去部と、注出口の周囲に、ヒンジと反対側を中心とする所定円弧範囲にわたって立設された注出筒と、ヒンジ側の注出筒の周方向の端部間を含む所定円弧範囲に形成された肩部とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の内面から垂設され、注出筒および肩部と密接する密封リングとを備え、隔壁は、肩部から垂設され、密封リングと密接するシール壁と、シール壁の下端から薄肉弱化部に向けて延設された最低上面と、肩部と薄肉弱化部との間の最低上面から立設されたストッパーリブとを備えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
本発明のヒンジキャップの実施形態として、隔壁の最低上面は、シール壁の下端から薄肉弱化部に向けて上り勾配で形成されたことを特徴とする構成を採用する。
【0009】
ヒンジキャップの具体的実施形態として、隔壁は、注出筒の外周と肩部の上面に、ヒンジと反対側からヒンジ側に向けて下り勾配の液回収路を備え、液回収路は、肩部で注出口と連通することを特徴とする構成を採用し、また、上蓋は、頂壁の周縁から垂設された側周壁と、側周壁の内周から上下方向に形成され、閉蓋時にキャップ本体と当接する複数の補強リブとを備えることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、上蓋の密封リング下端部が、隔壁の薄肉弱化部に近接していても、開栓前に、容器を落下させてしまい、容器が倒立した状態で上蓋が着地した場合でも、密封リングが押し込まれ、隔壁に形成される注出口を画成する薄肉弱化部を破断するおそれがなく、容器内の密封性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す断面側面図である。
【
図2】本発明の実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面側面図である。
【
図3】本発明の実施例であるヒンジキャップを装着した容器の抜栓後の断面側面図である。
【
図4】本発明の実施例であるヒンジキャップを装着した容器の倒立落下時の説明図で、(a)は断面側面図、(b)は、(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例の図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【実施例】
【0013】
図1において、Aは容器本体Dに装着されるキャップ本体、BはヒンジCを介してキャップ本体Aに連設された上蓋である。
容器本体Dは、上部に口部1を有し、口部1の外周には、キャップ本体Aを装着するために、環状に突出する係合突条2が設けられている。
【0014】
図1および2に示すように、キャップ本体Aは、容器本体Dの口部1に装着される装着部4と、装着部4から内方に延設され、容器本体Dの口部1を密封する隔壁5とを備え、装着部4は、容器本体Dの口部1の内周に嵌合する内筒6と、内筒6の上端部に内周縁が連設する基壁7と、基壁7の外周縁に連設し口部1の外周に嵌合する外筒8と、基壁7の上部に設けられ、上蓋Bに係合して閉蓋状態を保つ環状の蓋係合部9とを備えている。
【0015】
外筒8の内周下端部には、嵌合突条10が設けられており、装着部4は、打栓することにより容器本体Dの口部1に嵌合し、内筒6の外周と基壁7と外筒8の内周とにより口部1を挟持するとともに、口部1の係合突条2と外筒8の嵌合突条10とが係合して、キャップ本体Aが容器本体Dの口部1に装着されている。
【0016】
外筒8には、下端外周で一定の間隔をおいて連設され、上端外周の所定個所にヒンジCを連設する外周筒部11が形成され、内筒6の内側には、隔壁5の上面からヒンジCと反対側を中心とする所定円弧範囲にわたって立設されるとともに、中心の所定の範囲から両側に向かって高さが次第に低くなる注出筒12が形成されている。
注出筒12は、内容液を案内するのに十分な範囲に設けられていればよく、本実施例では約260°程度の円弧範囲に設けられているが、200~280°の円弧範囲が好ましい。
【0017】
隔壁5には、破断可能な薄肉弱化部13が設けられ、薄肉弱化部13は、破断されたときに容器本体D内と連通して注出口Sが形成される除去部14を画成し、除去部14のヒンジC側には、支柱15を介してプルリング16が連設されている。
図2に示すように、注出筒12の周方向の端部17,17の間を含むヒンジC側の隔壁5の上部には、後述する上蓋Bの密封リング32の最長先端部32bと密嵌するシール壁19を形成する肩部18が所定円弧範囲にわたって設けられている。
【0018】
図3に示すように、隔壁5には、注出筒12の外周、および注出筒12の端部17,17の間の肩部18上面に液回収路20が設けられており、液回収路20は、ヒンジCと反対側が最も高く、ヒンジC側が最も低くなるように下り勾配で底部が形成され、ヒンジC側の注出筒12の端部17,17間の肩部18で注出口Sと連通している。液回収路20には、隔壁5のヒンジCと反対側に、最も高い最高面20aが注出筒12の外周側に形成され、ヒンジC側に、最も低い最低面21が肩部18に形成されている。
さらに、
図2に示すように、隔壁5には、注出筒12の端部17,17間の肩部18から垂設されたシール壁19と、シール壁19の下端から薄肉弱化部13に向けて上り勾配で延設された最低上面5aとが形成され、肩部18と薄肉弱化部13との間には、最低上面5aから平面視で円弧状のストッパーリブ22が所定の円弧範囲にわたって立設されている。
【0019】
蓋係合部9のヒンジCと反対側の内周上部には、所定の円弧範囲にわたって、斜め内側方向に突き出した液だれ防止フィン23が形成されている。
外筒8の下端外周には、ヒンジCと反対側に設けられた破断不能な連結片24と、間隔をおいて複数配設された破断可能な弱化片25とを介して外周筒部11が連設されており、外周筒部11の上端にはヒンジCを介して上蓋Bが連設されている。
【0020】
上蓋Bは、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設され、下端が閉蓋時に、キャップ本体Aの外周筒部11上面に当接するとともに、外周下端の所定の位置にヒンジCが連設される側周壁31と、頂壁30の内面から垂設され、キャップ本体Aの注出筒12の内周および隔壁5の肩部18に形成されたシール壁19に嵌入する密封リング32とを備えている。
【0021】
頂壁30の内面には、密封リング32の内周のヒンジC側に、枝状に設けられた複数の液回収リブ33が突出されている。
それぞれの液回収リブ33は、所定の断面高さを有してヒンジCと反対側の末端では互いに間隔を隔てて配置され、ヒンジC側に向かって互いの間隔を狭めつつ、それぞれの基部が集束している。
なお、本実施例では、液回収リブ33は、5本設けられているが、その本数は、内容液の表面張力や粘性などの性状によって適宜決定することができる。
また、液回収リブ33の具体的形状や高さ、肉厚、および延びる領域等についても同様に、適宜決定することができる。
【0022】
側周壁31には、外周のヒンジCと反対側に、摘み部34が設けられ、側周壁31の内周下端部には、蓋係合部9と係合する環状凹部35が設けられている。
さらに、側周壁31の内周には、比較的薄肉に形成された側周壁31の座屈を防止するために、上端から環状凹部35に達するように上下方向に補強リブ36が所定の間隔をあけて複数設けられている。
【0023】
密封リング32は、開栓後の閉蓋時に、上蓋Bに付着した内容液が周りを汚さず、キャップ本体A内に速やかに回収されるように、先端部までの長さがヒンジCと反対側の最短先端部32aからヒンジC側に向けて長くなるように形成され、ヒンジC側の最長先端部32bが一番長くなっている。
最長先端部32bは、
図1に示すように、開栓前の閉蓋時、隔壁5の最低上面5aに近接するとともに、ストッパーリブ22の外周側に近接した状態におかれている。
さらに、密封リング32には、最長先端部32bを中心に所定の円弧範囲にわたり、内周側に突出する液だれ防止フラップ37が設けられている。
【0024】
密封リング32の最長先端部32bは、開栓後の閉蓋時、上蓋Bの密封リング32内方に付着した液が、液回収リブ33の効果で頂壁30のヒンジC側に集められ、さらに、密封リング32の先端部の傾斜によりヒンジC側に集められ、内周中央で、より速やかに下方に流すことができるとともに、可能な限り下端が隔壁5近傍まで延び、周りを汚さないように形成されている。
【0025】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、
図1に示す閉蓋状態で容器本体Dの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、キャップ本体Aの内筒6と基壁7と外筒8との間に形成される環状溝部に容器本体Dの口部1を当てがい、上蓋Bの上から押圧力が加えられると、最初に、外筒8の嵌合突条10が、口部1の係合突条2を乗り越えて嵌合し、口部1は、前記環状溝部によって挟持され、ヒンジキャップが装着される。
【0026】
容器を開栓する前に、
図4に示すように、容器が倒立した状態で落下し、上蓋Bを下に着地した場合、とくに上蓋BのヒンジC付近の角で着地した場合、従来のヒンジキャップでは、衝撃で上蓋Bが変形し、密封リング32を容器本体D側に押し込み、とくに最長先端部32bが近接するキャップ本体Aの隔壁5の最低上面5aと当接して内側に変形し、隣接する薄肉弱化部13を切断してしまうおそれがあった。
ちなみに、従来のヒンジキャップでも、最長先端部32bの付近以外の密封リング32が押し込まれたとしても、隔壁5から密封リング32の先端部が離れているために、最長先端部32bより先に隔壁5に当接するおそれはない。
【0027】
本実施例のヒンジキャップでは、まず、上蓋Bの側周壁31の内周に、頂壁30から環状凹部35に達するように上下方向に所定の間隔をあけて複数設けられた補強リブ36により、上蓋Bの側周壁31の変形が抑制され、さらに、補強リブ36の下面36aがキャップ本体Aの蓋係合部9の上面に当接し、側周壁31が押し込まれて変形することを抑制している。
【0028】
さらに、密封リング32が容器本体D側に押し込まれ、
図4(b)に示すように、最長先端部32bが隔壁5の最低上面5aに当接したとしても、最長先端部32bの内周側は、ストッパーリブ22の外周側と当接することにより、最長先端部32bが薄肉弱化部13側に移動することを防止している。
また、ストッパーリブ22は、隔壁5の最低上面5aの勾配により、最長先端部32bの当接に対して最長先端部32bが外方(シール壁19側)にずれる力が働き、最長先端部32bがストッパーリブ22を乗り越えるおそれがない。
【0029】
以上のように、本実施例のヒンジキャップは、容器を開栓する前に、容器が倒立した状態で落下し、上蓋Bを下に着地した場合でも、上蓋Bの側周壁31の内周に設けた補強リブ36と、キャップ本体Aの隔壁5に設けたストッパーリブ22とにより、上蓋Bが変形し、密封リング32の最長先端部32bが押し込まれて、隔壁5の薄肉弱化部13を破断させることがなく、容器本体D内の密封性を保つことができる。
【0030】
容器本体D内の内容液を使用する際には、上蓋Bの摘み部34を引き上げ、上蓋Bをキャップ本体Aから開いた後、隔壁5に画成された除去部14に連設したプルリング16を上方に引っ張り、支柱15を介して除去部14を引き上げ、薄肉弱化部13を破断して隔壁5から除去部14を切り離して抜栓し、注出口Sを開口する。
【0031】
容器本体Dに収容されている内容液が、ドレッシングや油など使用前に容器本体Dを振って攪拌するものであれば、除去部14を隔壁5から切り離して注出口Sを開口した後、一旦上蓋Bを閉めて容器本体Dを振ってから、再び上蓋Bを開き、容器本体Dを傾けて内容液をキャップ本体Aの注出筒12内面で案内して注出する。
【0032】
容器本体Dを振ったときに攪拌された内容液は、注出口Sから流出して上蓋Bの頂壁30内面の密封リング32の内側にも付着するが、付着した液は、複数の液回収リブ33に導かれ、それぞれヒンジC側に流下し、さらに密封リング32の先端部の傾斜によりヒンジC側の最長先端部32b内周面に集められ、速やかに流下して容器本体D内に回収され、頂壁30内面の付着液を少なくすることができる。
【0033】
また、再度、容器を使用するために開蓋するときには、上蓋Bは、ヒンジCを中心に回動させられるが、密封リング32の最長先端部32b側の液だれ防止フラップ37は、密封リング32の内周に付着した液を一時的に受け止めて、液だれを防ぐように作用する。
【0034】
注出時または注出後に容器の傾きを元に戻すときに、内容液が注出筒12の外周面を伝って外側に漏れ出してしまうことがある。
その際に、
図3に示す矢印のように、注出筒12の外側に漏れ出した液は、液回収路20に流下するが、液回収路20の底部は、ヒンジCと反対側からヒンジC側に向かって下り勾配の傾斜が設けられているので、容器の傾きを元に戻すとヒンジC側に向かって流下していく。
【0035】
液回収路20の傾斜面を流下してきた液は、液回収路20のヒンジC側に形成された最低面21に集められ、注出筒12の端部17,17間の肩部18からシール壁19を伝って注出口Sから容器本体D内に還流する。
以上のようにしても、液回収路20に液が残留している場合は、容器本体Dを傾けても、液回収路20のヒンジCと反対側に設けられた液だれ防止フィン23に液が一時的に滞留して液だれを防ぎ、ヒンジキャップ周辺を汚すことはない。
【0036】
また、本実施例のヒンジキャップは、容器本体D内の内容液を使用した後に、容器本体Dから分離して分別廃棄することができる。
まず、上蓋Bを開いて上方に引っ張ると、キャップ本体Aの外筒8と外周筒部11とを連結する弱化片25が破断して、外周筒部11のヒンジC側が外筒8から引き離され、さらに上蓋Bを引っ張り続けると、破断不能な連結片24に連結された部分からめくれあがるようにして外筒8を容器本体Dの口部1から簡単に外すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のヒンジキャップは、ヒンジキャップ内での内容液の付着を少なくし、ヒンジキャップ周辺を汚すことがなく、使用前に、容器を倒立落下しても、容器内の密封性を保つことができるので、衛生的な使用環境を必要とする容器のヒンジキャップとして広く使用することができ、とくに食用油や液体調味料などの液状食品を充填する容器のヒンジキャップとして好適である。
【符号の説明】
【0038】
A キャップ本体
B 上蓋
C ヒンジ
D 容器本体
S 注出口
1 口部
2 係合突条
4 装着部
5 隔壁
5a 最低上面
6 内筒
7 基壁
8 外筒
9 蓋係合部
10 嵌合突条
11 外周筒部
12 注出筒
13 薄肉弱化部
14 除去部
15 支柱
16 プルリング
17 端部
18 肩部
19 シール壁
20 液回収路
20a 最高面
21 最低面
22 ストッパーリブ
23 液だれ防止フィン
24 連結片
25 弱化片
30 頂壁
31 側周壁
32 密封リング
32a 最短先端部
32b 最長先端部
33 液回収リブ
34 摘み部
35 環状凹部
36 補強リブ
36a 下面
37 液だれ防止フラップ