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  • 特許-車両構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
B60R19/24 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020030872
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133784
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】吉川 健治
(72)【発明者】
【氏名】青木 太希
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-083585(JP,A)
【文献】特開2007-125977(JP,A)
【文献】実開平01-161151(JP,U)
【文献】特開2008-087611(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008020539(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーを、バンパーサポートを介在させてフェンダーに取り付ける車両構造において、
前記バンパーサポートは、前記バンパーの両端部に配置されて、前記フェンダーとバンパーとを介在し、
前記バンパーの両端部に設けられる前記バンパーサポートへの取付け部は、前記バンパーが少なくともその一部を形成するボックス形状の閉断面を備えており、
前記ボックス形状の閉断面の一部は、前記取付け部を、車両外側に向けた凸状断面とすることで形成され、
前記バンパーの車両外側には、サイドカバーが配置され、
前記バンパーと前記サイドカバーとを重ね合わせることで、前記ボックス形状の閉断面が形成されていることを特徴とする、車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両構造においては、フェンダーに構成されているバンパーサポート(バンパホルダー)にバンパーを直接嵌合させる一般的なバンパー取付け構造が採用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-87611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に、従来のバンパー取付け構造の一例を示す。図4(A)は従来のバンパー取付け構造を模式的に示す分解斜視図であり、図4(B)は、前記バンパーの取付け構造を模式的に示す断面側面図であり図4(A)のB-B線断面図である。バンパー41はフェンダー42に取り付けられたバンパーサポート43に嵌合させ、バンパーの突合せ端部41Aとフェンダーの突合せ端部42Aとを位置決めするように構成されている。このようにバンパーサポートにバンパーを嵌合させた場合、軽衝突時に、バンパーサポートとの嵌合部周辺(図4(B)中の二点鎖線で囲まれた部分)に配置されるバンパーの突合せ端部41Aは破損しやすく、嵌合に用いる爪部分が千切れることもあった。バンパー41が破損して交換となる場合、修理費は高額となりがちであった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、バンパー構造の工夫により、バンパーサポートを用いてのバンパーとフェンダーとの建付剛性向上を実現する車両構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車両構造は、バンパーを、バンパーサポートを介在させてフェンダーに取り付ける車両構造において、前記バンパーサポートは、前記バンパーの両端部に配置されて、前記フェンダーとバンパーとを介在し、前記バンパーの両端部に設けられる前記バンパーサポートへの取付け部は、前記バンパーが少なくともその一部を形成するボックス形状の閉断面を備えており、前記ボックス形状の閉断面の一部は、前記取付け部を、車両外側に向けた凸状断面とすることで形成され、前記バンパーの車両外側には、サイドカバーが配置され、前記バンパーと前記サイドカバーとを重ね合わせることで、前記ボックス形状の閉断面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バンパー構造の工夫により、別部材を用いることなく、バンパーサポートを用いてのバンパーとフェンダーとの建付剛性向上を実現する車両構造を提供することができる。このような車両構造を備えることで、閉断面による建付剛性を向上させて、軽衝突時の破損防止性能を向上させることができる。また、少なくともバンパーの一部を用いて前記閉断面を形成するので、補強や係合のための特別な部材を設ける必要がなく、コストや重量が増加することなく、生産性の点でも優れた車両構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明にかかる車両構造の一例を、模式的に示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明にかかる車両構造におけるバンパーの、バンパーサポートへの取付け部付近の構造を説明する斜視図である。
図3図3は、本発明にかかる車両構造の一例を、模式的に示す断面側面図である。
図4図4(A)は、従来の車両構造におけるバンパー取付け構造の一例を模式的に示す分解斜視図である。図4(B)は、従来の車両構造におけるバンパー取付け構造の一例を模式的に示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。なお、以下で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。
【0010】
図1に、本発明にかかる車両構造の一例を、模式的に示す分解斜視図を示す。また、図2に、本発明にかかる車両構造におけるバンパー11の、バンパーサポート13への取付け部11A付近の構造を説明する斜視図を示す。図2は、バンパー11を図1の右側から見た図であり、図2の右方向が車両の前方、左方向が車両の後方、手前方向が車両の側面方向である。図3は、本発明にかかる車両構造の一例を、模式的に示す断面側面図であり、図1のA-A線断面を、バンパカバー14が上側となるように配置した図である。
【0011】
図1においては、紙面奥方向が車両の前方である。本実施の形態の車両構造を構成する要素として、バンパー11、フェンダー12、バンパーサポート13、バンパーカバー(サイドカバー)14、フェンダーカバー15があり、本実施の形態では、車両内側から、フェンダー12、バンパーサポート13、バンパー11、バンパーカバー14の順に配置され、バンパー11の端部に設けられるバンパーサポート13への取付け部11Aは、左右両側の外側に向けて凸状断面とすることで、ボックス形状の閉断面17の一部を形成している。
【0012】
本実施の形態においては、バンパー11とフェンダー12とが取付けられる位置において、バンパー11の車両外側に意匠用のバンパーカバー(サイドカバー)14が重ね合わされ、クリップ16で締結されており、ボックス形状の閉断面17の残りの部分は、バンパーカバー14によって形成されている。バンパー11およびバンパーカバー14の2部材を重ね合わせることで、ほぼ完璧なボックス形状の閉断面17を形成することができる。
【0013】
このようにボックス形状の閉断面17を形成することで、バンパー11一体で閉断面を形成する場合と比べて、より嵌合部の剛性が向上する。また、ボックス形状の閉断面17を成形によって1部材で作製する際には、型抜き用に開口を作らなければならないが、2つの部材を用いてボックス形状の閉断面17を形成することで、型抜き用の開口を設けることなく、効率よく閉断面を形成することができる。
【0014】
なお、図1では、車両の片側のバンパー11端部を示しているが、図示していない反対側の端部においても、同様にボックス形状の閉断面17が形成されている。
【0015】
組み立ての際には、バンパーサポート13は、バンパー11側のバンパーサポートへの取付け部11A(ボックス部)に先に取付けてもよいし、フェンダー12側に先に取付けてもよい。しかし、バンパー11側のバンパーサポートへの取付け部11A(ボックス部)と強力に結合させてから、フェンダー12側に締結すると、より組付けやすい。
【0016】
また、バンパーカバー14を、バンパー11のボックス形状の閉断面17(バンパーサポートへの取付け部11A)に締結することで、バンパーカバー14の建付剛性も向上する。例えば、積雪の際等、下側から力がかかった場合に、バンパーカバー14の破損も防止可能である。
【0017】
従来、バンパーをバンパーサポートへ嵌合させる際に、デザイン上、バンパーは、バンパーカバーとバンパーサポートとの2部品をまたぐ構造となり、割線部の段差や隙を管理することが困難である場合があったが、本実施形態の構造とすると、これらの問題がなくなる。また、軽衝突時には、バンパーサポート嵌合部周辺のバンパーが破損しやすく、バンパーが交換となり修理費が高額となる場合もあった。本実施の形態においては、バンパーカバー14が最も外側に配置されているため、軽衝突時にバンパー11の交換の必要はなく、バンパーカバー14のみの交換で済む場合が多くなるため、安価に修理を行うことができるという利点もある。
【符号の説明】
【0018】
11…バンパー
11A…バンパーサポートへの取付け部
12…フェンダー
13…バンパーサポート
14…バンパーカバー(サイドカバー)
15…フェンダーカバー
16…クリップ
17…ボックス形状の閉断面
41…バンパー
41A…バンパーの突合せ端部
42…フェンダー
42A…フェンダーの突合せ端部
43…バンパーサポート
図1
図2
図3
図4