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特許7387252信号中継装置、および生体情報モニタリングシステム
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  • 特許-信号中継装置、および生体情報モニタリングシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】信号中継装置、および生体情報モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
A61B5/00 102Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018055108
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019165894
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 博
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】櫃本 研太郎
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530901(JP,A)
【文献】特開2007-229077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着されたセンサから信号を受け付けるインターフェースと、
前記信号を解析して前記被検者について生体パラメータを示す波形と数値の少なくとも一方を含む第一生体情報に対応するデータを取得する解析部と、
生体情報モニタに前記第一生体情報と当該第一生体情報よりも緊急度の低い第二生体情報の双方を表示させるために前記信号を当該生体情報モニタに送信する通信部と、
前記データに基づいて前記第一生体情報を表示する表示部と、
前記生体情報モニタにおける前記第一生体情報と前記第二生体情報の表示が正常に維持できているか、および前記生体パラメータの数値が正常範囲内にあるかを判断する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記生体情報モニタにおける前記第一生体情報と前記第二生体情報の表示が正常に維持できておらず、かつ前記生体パラメータの数値が正常範囲内にないと判断すると、報知処理を行なう、
信号中継装置。
【請求項2】
前記生体情報モニタとは独立して電力を供給可能な電力供給部を備えている、
請求項1に記載の信号中継装置。
【請求項3】
生体情報モニタと、
前記生体情報モニタと通信可能な信号中継装置と、
を含んでおり、
前記信号中継装置は、
被検者に装着されたセンサから信号を受け付けるインターフェースと、
前記信号を解析して前記被検者について生体パラメータを示す波形と数値の少なくとも一方を含む第一生体情報に対応するデータを取得する解析部と、
前記生体情報モニタに前記第一生体情報と当該第一生体情報よりも緊急度の低い第二生体情報の双方を表示させるために前記信号を前記生体情報モニタに送信する通信部と、
前記データに基づいて前記第一生体情報を表示する表示部と、
前記生体情報モニタにおける前記第一生体情報と前記第二生体情報の表示が正常に維持できているか、および前記生体パラメータの数値が正常範囲内にあるかを判断する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記生体情報モニタにおける前記第一生体情報と前記第二生体情報の表示が正常に維持できておらず、かつ前記生体パラメータの数値が正常範囲内にないと判断すると、報知処理を行なう、
生体情報モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者の生体情報に対応する信号を生体情報モニタに中継する信号中継装置に関する。また、本開示は、当該信号中継装置と当該生体情報モニタを含む生体情報モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の生体情報モニタリングシステムを開示している。被検者には、所望の生体情報を取得するための各種のセンサが装着される。当該センサから出力される信号は、当該文献において入力ユニットと称される信号中継装置に一旦入力される。信号中継装置と生体情報モニタが接続されると、センサから出力される信号は、信号中継装置を経由して生体情報モニタに入力される。生体情報モニタにおいては、入力された信号に各種の処理や解析が行なわれ、所望の生体情報が表示される。
【0003】
上記の生体情報モニタに対する信号中継装置の接続を解除し、離れた場所に設置されている別の生体情報モニタに接続することにより、当該別の生体情報モニタに生体情報を表示させることができる。すなわち、信号中継装置を使用することにより、異なる生体情報モニタ間の被検者の移動が、身体に装着されたセンサを取り外すことなく許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-171965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、生体情報モニタに生体情報が正常に表示されない場合においても、信号中継装置を用いて生体情報のモニタリングを継続可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の一態様は、信号中継装置であって、
被検者に装着されたセンサから信号を受け付けるインターフェースと、
前記信号を解析して前記被検者の生体情報に対応するデータを取得する解析部と、
前記信号と前記データの少なくとも一方を生体情報モニタに送信する通信部と、
前記生体情報モニタにおける前記生体情報の表示が第一異常条件を満たした場合、報知処理を行なう制御部と、
を備えている。
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様は、生体情報モニタリングシステムであって、
被検者の生体情報を表示する生体情報モニタと、
前記生体情報モニタと通信可能な信号中継装置と、
を含んでおり、
前記信号中継装置は、
被検者に装着されたセンサから信号を受け付けるインターフェースと、
前記信号を解析して前記生体情報に対応するデータを取得する解析部と、
前記信号と前記データの少なくとも一方を前記生体情報モニタに送信する通信部と、
前記生体情報モニタにおける前記生体情報の表示が第一異常条件を満たした場合、報知処理を行なう制御部と、
を備えている。
【0008】
上記のような構成によれば、報知を受けたユーザは、生体情報のモニタリングを継続するための対応を即座にとることができる。したがって、生体情報モニタに生体情報が正常に表示されない場合においても、信号中継装置を用いて被検者の生体情報のモニタリングを継続可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る生体情報モニタリングシステムの構成を示している。
図2】上記の生体情報モニタリングシステムにおける信号中継装置の機能構成を示している。
図3】上記の生体情報モニタリングシステムの動作例を示している。
図4】上記の生体情報モニタリングシステムの動作例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。各図面においては、説明対象の各要素を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0011】
図1に示されるように、一実施形態に係る生体情報モニタリングシステム1は、生体情報モニタ2と信号中継装置3を含んでいる。信号中継装置3は、生体情報モニタ2よりも小型かつ軽量な可搬型の装置であることが好ましい。
【0012】
被検者Sには、所望の生体情報を取得するための各種のセンサSRが装着される。センサSRとしては、心電図を取得するための電極、脳波を取得するための電極、非観血血圧を取得するためのカフ、脈拍を取得するためのプローブ、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)を取得するためのプローブなどが例示されうる。
【0013】
各センサSRから出力された生体情報に対応する信号は、信号中継装置3に入力される。信号中継装置3と生体情報モニタ2は、双方向通信可能に接続されている。信号中継装置3と生体情報モニタ2は、有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。各センサSRから出力された信号は、信号中継装置3を経由して生体情報モニタ2に入力される。
【0014】
生体情報モニタ2は、表示部21を備えている。表示部21は、信号中継装置3から入力された信号に基づいて、対応する生体情報を表示する。
【0015】
本明細書において「生体情報」とは、生体パラメータの状態が視覚や聴覚を通じて認識可能とされたものを意味する。生体情報としては、心電図、脳波、非観血血圧、脈拍、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)、心拍出量などの生体パラメータの少なくとも一つに係る波形と数値の少なくとも一方が例示されうる。
【0016】
図2に示されるように、信号中継装置3は、インターフェース31を備えている。インターフェース31は、被検者Sに装着された各センサSRから出力された信号を受け付ける。各センサSRとインターフェース31は、有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。
【0017】
図2に示されるように、信号中継装置3は、解析部32を備えている。解析部32は、インターフェース31に入力された信号を解析して被検者Sの生体情報に対応するデータを取得する。
【0018】
図2に示されるように、信号中継装置3は、通信部33を備えている。通信部33は、生体情報モニタ2との双方向通信を許容する通信インターフェースである。通信部33は、解析部32により取得されたデータを、生体情報モニタ2へ送信する。生体情報モニタ2は、データの受信に応答して確認信号を返信するように構成されうる。
【0019】
生体情報モニタ2は、通信部33より入力されたデータに基づいて所定の可視化処理を行ない、被検者Sの生体情報を表示部21に表示する。入力されたデータに基づいて生体情報を可視化する構成自体は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
図2に示されるように、信号中継装置3は、制御部34を備えている。制御部34は、第一異常条件が満たされているかを判断する。第一異常条件は、生体情報モニタ2の表示部21における生体情報の表示が正常に維持できていないことを判断するための条件である。第一異常条件の例を以下に列挙する。

・生体情報が表示部21に表示されない。
・特定時刻における生体情報が表示部21に表示されたままフリーズ状態となる。
【0021】
このような状態に至る原因の例は、以下の通りである。

・停電などにより生体情報モニタ2に電力が供給できない
・生体情報モニタ2の故障や動作異常
・生体情報モニタ2と信号中継装置3を接続する通信ケーブルの断線
・生体情報モニタ2と信号中継装置3の間の無線通信不良
・センサSRの装着状態異常
・センサSRの故障や動作異常
【0022】
したがって、例えば、上記のような第一異常条件の成立は、制御部34が通信部33と生体情報モニタ2の間の通信状態を監視することによって判断されうる。通信部33と生体情報モニタ2の間の通信確立状態が正常に維持されていないと判断されると、第一異常条件が満足されたと判断される。通信確立状態が正常に維持されていないと判断される条件の例を以下に列挙する。

・通信が途絶している状態の継続時間が所定値を超える
・通信が途絶している時間の累積値が所定値を超える
・所定時間内に通信の途絶回数が所定値を超える

制御部34は、例えば通信部33から送信されたデータに応答して生体情報モニタ2からの確認信号を受信できない場合に、通信が途絶していると判断可能である。
【0023】
あるいは、上記のような第一異常条件の成立は、生体情報モニタ2における動作状態を示すステータス信号を監視することによって判断されうる。ステータス信号が生体情報モニタ2の動作異常を示している場合や、ステータス信号そのものを取得できない場合、第一異常条件が満足されたと判断可能である。
【0024】
あるいは、上記のような第一条件の成立は、センサSRからインターフェース31に入力されるセンサ信号を監視することによって判断されうる。センサ信号のレベルが正常範囲内にない場合や、センサ信号そのものを取得できない場合、第一異常条件が満足されたと判断可能である。
【0025】
制御部34は、第一異常条件が満たされたと判断すると、報知処理を行なうように構成されている。例えば、信号中継装置3は、報知部35を備えうる。報知部35は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを行なうことができる周知の構成を備えうる。この場合、制御部34は、報知部35に視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを行なわせ、生体情報モニタ2の表示部21における生体情報の表示が正常になされていない旨をユーザに報知する。
【0026】
あるいは、通信部33は、生体情報モニタ2以外の外部機器との通信を可能にする通信インターフェースを備えうる。この場合、制御部34は、第一異常条件が満たされたと判断すると、通信部33を介して外部機器に報知信号を送信しうる。外部機器は、当該報知信号を受信すると、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを通じて、生体情報モニタ2の表示部21における生体情報の表示が正常になされていない旨をユーザに報知する。
【0027】
上記のような構成によれば、報知を受けたユーザは、生体情報のモニタリングを継続するための対応を即座にとることができる。したがって、生体情報モニタ2に生体情報が正常に表示されない場合においても、信号中継装置3を用いて被検者Sの生体情報のモニタリングを継続可能にできる。
【0028】
信号中継装置3は、表示部36を備えうる。表示部36は、液晶表示装置や有機EL表示装置を備えうる。
【0029】
この場合、制御部34は、第一異常条件が満たされたと判断すると、解析部32が取得したデータに基づいて、被検者Sの生体情報を表示部36に表示させる。この処理もまた、報知処理の一例である。すなわち、生体情報モニタ2と信号中継装置3の間の通信が確立している際に生体情報モニタ2の表示部21に表示される生体情報が、信号中継装置3の表示部36に表示される。ユーザは、表示部36に生体情報が表示された事実をもって、生体情報モニタ2において生体情報が正常に表示されていないことを報知されうる。
【0030】
図3における上の図は、被検者Sに装着されたセンサSR(不図示)と信号中継装置3が接続され、信号中継装置3と生体情報モニタ2が接続された状態を示している。生体情報モニタ2の表示部21には、生体情報が表示されている。他方、信号中継装置3の表示部36は、非表示状態にある。
【0031】
図3における下の図は、生体情報モニタ2の表示部21に生体情報を正常に表示できなくなった状態を示している。すなわち、第一異常条件が成立している。したがって、信号中継装置3の表示部36には、生体情報モニタ2の正常動作時に表示部21に表示されていた生体情報が表示される。
【0032】
このような構成によれば、生体情報モニタ2の表示部21に生体情報を正常に表示できない場合においても、当該生体情報が信号中継装置3の表示部36を通じて提供される。したがって、生体情報モニタ2に生体情報を正常に表示できない場合においても、信号中継装置3を用いて被検者Sの生体情報のモニタリングを継続できる。
【0033】
制御部34は、第一異常条件が解消されたと判断すると、表示部36における生体情報の表示を停止させうる。
【0034】
このような構成によれば、生体情報の重複表示を回避することにより、信号中継装置3による電力消費を抑制できる。
【0035】
図2に示される報知部35は、インターフェース31が受け付けた信号と解析部32により取得されたデータの少なくとも一方が、表示部36に生体情報が表示されている間に第二異常条件を満たした場合、報知を行なうように構成される。第二異常条件は、当該信号またはデータに関連付けられた被検者Sの生体パラメータの値が正常範囲内にないことを判断するための条件である。第二異常条件に係る正常範囲を規定する閾値は、生体パラメータごとに適宜に定められる。
【0036】
より具体的には、上記の信号とデータの少なくとも一方が第二異常条件を満たしたかの判断は、解析部32によって行なわれる。制御部34は、第二異常条件が満たされたと解析部32が判断した場合、報知部35に報知を行なわせる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれる。例えば被検者Sの心拍数が正常範囲内にない場合、報知部35は、心拍数の異常を示すアラーム表示とアラーム音出力の少なくとも一方を行なう。
【0037】
このような構成によれば、生体情報モニタ2においては一般的に実装されている報知機能の少なくとも一部を、信号中継装置3に担わせることができる。したがって、生体情報モニタ2において生体情報が正常に表示されない場合においても、被検者Sの生体パラメータに生じた異常をユーザに報知できる。
【0038】
図2に示されるように、信号中継装置3は、ユーザインターフェース37を備えうる。ユーザインターフェース37は、表示部36に生体情報が表示されている間、生体情報モニタ2において行なわれる操作の一部を代替する操作を受け付けるように構成される。ユーザインターフェース37としては、物理的ボタンやレバー、表示部36に表示されたタッチ操作可能なボタン、音声認識インターフェースなどが例示されうる。
【0039】
このような構成によれば、生体情報モニタ2において生体情報が正常に表示されない場合においても、操作入力を伴う生体情報モニタ2の機能の一部を信号中継装置3上で再現できる。これにより、不測の事態における生体情報のモニタリングの継続を支援できる。
【0040】
また、不測の事態に限られず、図4に示されるような異なる生体情報モニタ2の間での被検者Sの移動時においても、外部からの電力供給が絶たれる場合がある。具体的には、被検者Sは、初めは第一生体情報モニタ2Aの付近にいる。信号中継装置3は、第一生体情報モニタ2Aに接続されており、表示部21に生体情報の表示が正常になされている。したがって、信号中継装置3の表示部36に生体情報の表示はなされない。
【0041】
第二生体情報モニタ2Bは、第一生体情報モニタ2Aから離れた場所に設置されている。第二生体情報モニタ2Bの設置場所へ被検者Sが移動する場合、信号中継装置3と第一生体情報モニタ2Aの接続が意図的に解除される。このような場合においても第一生体情報モニタ2Aの表示部21には生体情報が表示されなくなるので、制御部34は、第一異常条件が満足されたと判断する。したがって、表示部36に生体情報が表示され、被検者Sが移動中においても、被検者Sの生体情報のモニタリングを継続できる。
【0042】
信号中継装置3が第二生体情報モニタ2Bに接続されると、第二生体情報モニタ2Bの表示部21に生体情報が正常に表示される。これにより、制御部34は、第一異常条件が解消されたと判断する。この場合、制御部34は、表示部36における生体情報の表示を停止させうる。
【0043】
このような構成によれば、生体情報の重複表示を回避することにより、信号中継装置3による電力消費を抑制できる。
【0044】
生体情報モニタ2の表示部21に表示可能な生体情報は、相対的に緊急度の高い第一生体情報と、相対的に緊急度の低い第二生体情報を含みうる。この場合、第一生体情報は、主として被検者Sの状態把握に利用される情報である。第二生体情報は、主として被検者Sの診察や診断に利用される情報である。第一生体情報および第二生体情報の例を以下に示す。

第一生体情報
・心電図、脳波、心拍数、非観血血圧、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)などの生体パラメータを示す波形と数値の少なくとも一方
・心拍出量に係る各種パラメータを示す波形と数値の少なくとも一方
・不整脈の有無

第二生体情報
・標準12誘導心電図、導出18誘導心電図
・心電図や筋電図における誘発電位
・ポリグラフ
・データ解析に基づく予知・予測情報、診断支援情報
【0045】
この場合、信号中継装置3の解析部32は、上記の第一生体情報に対応するデータを取得するように構成されうる。信号中継装置3は、第一生体情報と第二生体情報を表示するために必要な信号とデータの少なくとも一方を、生体情報モニタ2に転送しうる。当該信号とデータの少なくとも一方を受信した生体情報モニタ2は、第一生体情報と第二生体情報の双方を表示部21に表示する。他方、信号中継装置3は、解析部32により取得された第一生体情報を、表示部36に表示する。
【0046】
例えば、信号中継装置3は、解析部32により取得された第一生体情報に対応するデータのみを生体情報モニタ2に送信しうる。これに加えてあるいは代えて、信号中継装置3は、センサSRから入力された信号を生体情報モニタ2に送信しうる。生体情報モニタ2は、当該信号に基づいて第一生体情報と第二生体情報の少なくとも一方を取得しうる。例えば、生体情報モニタ2と信号中継装置3の通信が正常である間は、解析部32による第一生体情報の取得を行なわずにセンサSRから入力された信号が生体情報モニタ2へ転送され、生体情報モニタ2において第一生体情報と第二生体情報の取得がなされうる。この場合、制御部34が第一異常条件の成立を判断したときに、解析部32による第一生体情報の取得が開始される。
【0047】
このような構成によれば、不測の事態においてより必要性の高い生体情報についてモニタリングを継続できる。また、生体情報モニタ2の表示部21と比較して表示領域が制限される表示部36に、より必要性の高い生体情報を表示できる。さらに、解析部32における演算負荷を必要最小限にできるので、信号中継装置3による電力消費を抑制できる。
【0048】
図2に示されるように、信号中継装置3は、電力供給部38を備えうる。電力供給部38は、生体情報モニタ2とは独立して信号中継装置3内の各必要箇所へ電力を供給可能に構成される。電力供給部38の例としては、使い捨て電池、商用電源または生体情報モニタ2から供給される電力で充電可能な充電池、生体情報モニタ2とは独立して商用電源からの電力を供給可能な電源回路などが例示されうる。
【0049】
使い捨て電池や充電池により電力供給部38が構成される場合、外部からの電力供給が絶たれても、被検者Sの生体情報のモニタリングを継続できる。そのような状況に至る原因としては、停電、生体情報モニタ2の故障、生体情報モニタ2から信号中継装置3へ電力を供給するケーブルの断線などが例示されうる。この場合、制御部34は、外部からの電力供給が絶たれたことを検知して電力供給部38に電力供給を開始させるように構成されうる。
【0050】
このような構成によれば、図4を参照して説明した外部からの電力供給が絶たれている第二生体情報モニタ2Bへの移動中においても、電力供給部38から供給される電力を用いて、被検者Sの生体情報のモニタリングを継続できる。
【0051】
生体情報モニタ2とは独立して商用電源からの電力を供給可能な電源回路により電力供給部38が構成される場合、生体情報モニタ2からの電力供給が絶たれても、電池残量を気にすることなく被検者Sの生体情報のモニタリングを継続できる。そのような状況に至る原因としては、生体情報モニタ2の故障、生体情報モニタ2から信号中継装置3へ電力を供給するケーブルの断線などが例示されうる。
【0052】
上述した解析部32と制御部34の機能の少なくとも一部は、少なくとも一つのプロセッサとメモリによって実現されうる。プロセッサとしては、CPUやMPUが例示されうる。プロセッサは、複数のプロセッサコアを含みうる。メモリの例としては、ROMやRAMが挙げられる。ROMには、上記の機能を実現するプログラムが記憶されうる。プロセッサは、ROMに記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上記の機能を実現しうる。
【0053】
上述した解析部32と制御部34の機能の少なくとも一部は、上記のプロセッサおよびメモリとは異なる少なくとも一つのハードウェア資源(例えば、ASICやFPGAなどの集積回路)によって実現されてもよい。
【0054】
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0055】
生体情報モニタ2の表示部21に表示される生体情報が第一生体情報と第二生体情報を含む例においては、生体情報モニタ2の表示部21に第一生体情報および第二生体情報を表示しつつ、信号中継装置3の表示部36に第一生体情報を表示させてもよい。
【0056】
この場合、ユーザが生体情報モニタ2の表示部21を視認しにくい位置にいる場合であっても、信号中継装置3の表示部36を参照することによって被検者Sの状態を把握するといった使用態様を実現できる。他方、ユーザが表示部21と表示部36の双方を参照できる場合は、必要に応じてより詳細な第二生体情報を参照することによって被検者Sの状態をより正確に把握するといった使用態様を実現できる。
【0057】
図3を参照して説明した例においては、生体情報モニタ2の表示部21に生体情報が正常に表示されている間は、信号中継装置3の表示部36は非表示状態とされている。しかしながら、生体情報モニタ2に生体情報が正常に表示されない事実が報知部35などを通じて報知されうるのであれば、表示部36は常に表示状態とされてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:生体情報モニタリングシステム、2:生体情報モニタ、21:表示部、3:信号中継装置、31:インターフェース、32:解析部、33:通信部、34:制御部、35:報知部、36:表示部、37:ユーザインターフェース、38:電力供給部、S:被検者、SR:センサ
図1
図2
図3
図4