(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20231120BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231120BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20231120BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20231120BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/81
A61Q5/06
A61Q5/12
A61Q5/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018221080
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-10-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・ファレンティナ
(72)【発明者】
【氏名】川上 一光
(72)【発明者】
【氏名】ディモイ・ロイ
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-077641(JP,A)
【文献】特開2006-117606(JP,A)
【文献】特開2000-119131(JP,A)
【文献】特開2015-124148(JP,A)
【文献】特開2003-146868(JP,A)
【文献】特開2004-067650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0092826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のアミノシリコーン;
(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマー;
(c)
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25クロスポリマー;及び
(d)水
を含み、
前記(b)親水性アクリルポリマーがアクリロイルジメチルタウレートポリマーから選択される、ケラチン繊維を処置するための組成物。
【請求項2】
(a)アミノシリコーンがアミノプロピルジメチコーンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)アミノシリコーンの量が、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)親水性アクリルポリマーが、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物中の(b)親水性アクリルポリマーの量が、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(c)
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25クロスポリマーの量が、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して50質量%から95質量%の範囲である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)アミノシリコーン以外に、(e)少なくとも1種のシリコーン油を更に含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(e)シリコーン油が、不揮発性シリコーン油から選択される、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
(e)シリコーン油が、ポリジメチルシロキサンから選択される、請求項
8又は
9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(e)シリコーン油の量が、組成物の総質量に対して0.1質量%から15質量%の範囲である、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(f)少なくとも1種の非シリコーン油を更に含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
リーブオンタイプ又はリンスオフタイプである、請求項1から
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む、ケラチン繊維の美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の美容処置の分野において、リーブオンタイプ及びリンスオフタイプの毛髪化粧料は、ヘアケアのカテゴリーにおける重要な部門であり、消費者はこれらの毛髪化粧料を使用し、毛髪へ、滑らかさ、しっとり感、ボリュームダウンコントロール等を付与する。
【0003】
特に、クリーム形態の毛髪化粧料が広く使用される。これらは、相が一切分離せず安定である。しかし、特有のテクスチャを呈し、同時に滑らかさ、しっとり感、ボリュームダウンコントロール等の毛髪の美容処置のための必須要件を満たすことは、クリーム形態の毛髪化粧料にとって困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4 185 087号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0 530 974(A)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0 503 853(A)号明細書
【文献】仏国特許出願公開第8516334号明細書
【文献】米国特許第4,957,732号明細書
【文献】欧州特許第0 186 507号明細書
【文献】欧州特許出願第0342834号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ケラチン繊維、例えば毛髪のための組成物であって、安定であり、特有のテクスチャ(例えば、指で擦り込むときの「融けるようなテクスチャ」)を呈することができ、且つケラチン繊維へ、コンディショニング及び扱い易さの美容効果、例えば、滑らかさ、しっとり感、毛髪に対する指の通り易さ及びボリュームダウンコントロールを付与することができる組成物を提供することである。
【0007】
「融けるようなテクスチャ」という用語は、指で擦り込んだ結果、低流動性物質が流動性物質になる感覚を意味する。例えば、指でゲルを擦り込むことによってゲルが液体へ変化する場合、これは「融けるようなテクスチャ」を付与することになる。
【0008】
「ボリュームダウン」という用語は、ケラチン繊維の広がりを低減又はコントロールし、その結果、ケラチン繊維のスタイルを良好にコントロールできることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(a)少なくとも1種のアミノシリコーン;
(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマー;
(c)少なくとも1種の両親媒性ポリマー;及び
(d)水
を含む組成物によって達成することができる。
【0010】
(a)アミノシリコーンは、アミノプロピルジメチコーンであってもよい。
【0011】
本発明による組成物における(a)アミノシリコーンの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%、好ましくは0.05質量%から3質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%であってもよい。
【0012】
(b)親水性アクリルポリマーは、アクリロイルジメチルタウレートポリマーであってもよく、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー、及びこれらの組合せからなる群から好ましくは選択されてもよく、より好ましくはアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーである。
【0013】
本発明による組成物における(b)親水性アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%以下、より好ましくは0.1質量%から1質量%以下であってもよい。
【0014】
(c)両親媒性ポリマーは、
(1)少なくとも1つの以下の式(I)の単位:
【0015】
【0016】
(式中、
X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンである)
及び
(2)少なくとも1つの以下の式(II)の単位:
【0017】
【0018】
(式中、
n及びpは、独立して、モル数であり、且つ0から50まで、好ましくは10から40まで、より好ましくは20から30までで変化し、ただし、n+pは50以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下であり、R1は、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル基、好ましくはメチルであり、R3は、m個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキル基であり、mは、6から30、好ましくは10から26、より好ましくは14から22の数である)
を含むポリマーから選択されてもよい。
【0019】
本発明による組成物における(c)両親媒性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%以下、より好ましくは0.1質量%から1質量%以下であってもよい。
【0020】
本発明による組成物における(d)水の量は、組成物の総質量に対して50質量%から95質量%、好ましくは60質量%から90質量%、より好ましくは70質量%から85質量%の範囲であってもよい。
【0021】
本発明による組成物は、(a)アミノシリコーン以外に、(e)少なくとも1種のシリコーン油を更に含んでいてもよい。(e)シリコーン油は、不揮発性シリコーン油から選択されてもよい。(e)シリコーン油は、ポリジメチルシロキサンから選択されてもよい。
【0022】
本発明による組成物における(e)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%から15質量%、好ましくは0.5質量%から10質量%、より好ましくは1質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0023】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1つの非シリコーン油を更に含んでいてもよい。
【0024】
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリンスオフタイプであってもよい。
【0025】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む美容方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
鋭意検討の結果、本発明者らは、2種類の異なる種類のポリマーの組合せを使用することによって、ケラチン繊維、例えば毛髪のための組成物であって、安定であり、特有のテクスチャを呈することができ、且つケラチン繊維へ、コンディショニング及び扱い易さの美容効果、例えば、滑らかさ、しっとり感、毛髪に対する指の通り易さ、及びボリュームダウンコントロールを付与することができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0027】
したがって、本発明は主に、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(a)少なくとも1種のアミノシリコーン;
(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマー;
(c)少なくとも1種の両親媒性ポリマー;及び
(d)水
を含む組成物に関する。
【0028】
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマー及び(c)少なくとも1種の両親媒性ポリマーの組合せを含む。
【0029】
本発明による組成物は、相が一切分離せず安定である。
【0030】
本発明による組成物は、指で擦り込むときに、特有のテクスチャ、例えば融けるようなテクスチャを呈することができ、したがって本発明による組成物は、消費者に対して魅力的でありうる。
【0031】
本発明による組成物はまた、ケラチン繊維、例えば毛髪へ、コンディショニング及び扱い易さの美容効果、例えば、滑らかさ(例えば、たとえケラチン繊維が濡れているとしても滑らかな櫛通り、及び/又はケラチン繊維が乾燥しているときの滑らかな感触)、ケラチン繊維に対する指の通り易さ、しっとり感(たとえケラチン繊維が乾燥しているとしても)、及びボリュームダウンコントロールを付与することができる(したがって、本発明による組成物の抗縮れ毛特性に起因して、ケラチン繊維の形状をスタイリングし易い場合がある)。
【0032】
本発明による組成物は、ゲル形態とすることができる。
【0033】
以下では、本発明を、詳細に説明する。
【0034】
[組成物]
本発明の1つの態様は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(a)少なくとも1種のアミノシリコーン;
(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマー;
(c)少なくとも1種の両親媒性ポリマー;及び
(d)水
を含む組成物に関する。
【0035】
成分(a)、(b)及び(c)は互いに異なる。
【0036】
(アミノシリコーン)
組成物は、少なくとも1種のアミノシリコーンを含む。単一の種類のアミノシリコーンを使用しても、2種類以上の異なる種類のアミノシリコーンを組み合わせて使用してもよい。
【0037】
アミノシリコーンとして、化粧料分野における任意のアミノシリコーンを使用してもよい。
【0038】
本明細書において「アミノシリコーン」という用語は、少なくとも1つの第一級、第二級若しくは第三級アミン基又は少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味する。
【0039】
本発明において使用してもよいアミノシリコーンとして、以下を挙げることができる:
【0040】
(i)式(A)に相当するポリシロキサン:
【0041】
【0042】
(式中、x'及びy'は、独立して、質量平均分子量(Mw)が約5,000から500,000の間となる整数である);
【0043】
(ii)式(B)に相当するアミノシリコーン:
R'aG(3-a)-Si(OSiG2)n-(OSiGbR'(2-b))m-O-SiG(3-a')R'a'(B)
(式中、
Gは、独立して、水素原子、又はフェニル、OH、又はC1~C8アルキル基、例えばメチル、又はC1~C8アルコキシ基、例えばメトキシを示し、
a及びa'は、独立して、0の数、又は1から3の整数、特に0を示し;
bは、0又は1、特に1を示し;
m及びnは、和(n+m)が1から2,000、特に50から150の範囲となる数であり、nは0から1,999、特に49から149の数を示すこと、且つmは1から2,000、特に1から10の数を示すことが可能であり;
R'は、独立して、式-CqH2qLを有する一価の基を示し、ここで、qは、2から8の範囲の数であり、Lは、以下の基:
-NR"-Q-N(R")2
-N(R")2
-N+(R")3A-
-N+H(R")2A-
-N+H2(R")A-
-NR"-Q-N+R"H2A-
-NR"-Q-N+(R")2H A-
-NR"-Q-N+(R")3A-
から選択される、任意選択で四級化されたアミノ基であり、ここで、
R"は、独立して、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和の一価の炭化水素系基、例えばC1~C20アルキル基を示し、
Qは、直鎖状又は分岐状のCrH2r基を示し、rは、2から6、好ましくは2から4の範囲の整数であり;
A-は、化粧品的に許容されるイオン、特にハロゲン化物イオン、例えばフッ素イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンを表す)。
【0044】
この定義(B)に相当するアミノシリコーンの群は、式(C)を有する「トリメチルシリルアモジメチコーン」と呼ばれるシリコーンで表される:
【0045】
【0046】
(式中、n及びmは、上記式(B)で与えられた意味を有する)。
【0047】
この定義に相当するアミノシリコーンの別の群は、以下の式(D)又は(E)を有するシリコーンで表される:
【0048】
【0049】
(式中、
m及びnは、和(n+m)が1から1,000、特に50から250、より詳細には100から200の範囲となりうる数であり、nは0から999、特に49から249、より詳細には125から175の数を示すこと、且つmは1から1,000、特に1から10、より詳細には1から5の数を示すことが可能であり;
R1、R2、R3は、独立して、ヒドロキシ基又はC1~C4アルコキシ基を表し、ここで、R1からR3基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基を示す)。
アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、好ましくは0.2:1から0.4:1、好ましくは0.25:1から0.35:1の範囲であり、より詳細には0.3:1に等しい。
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000から1,000,000、より詳細には3,500から200,000の範囲である。
【0050】
【0051】
(式中、
p及びqは、和(p+q)が1から1,000、特に50から350、より詳細には150から250の範囲となる数であり;pが0から999、特に49から349、より詳細には159から239の数を示すこと、且つqが1から1,000、特に1から10、より詳細には1から5の数を示すことが可能であり;
R1、R2は、独立して、水素又はC1~C4アルコキシ基を表し、ここで、R1又はR2基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基を示す)。
アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、一般に、1:0.8から1:1.1、好ましくは1:0.9から1:1の範囲であり、より詳細には1:0.95に等しい。
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000から200,000、より一層詳細には5,000から100,000、より詳細には10,000から50,000の範囲である。
【0052】
構造(D)又は(E)を有するこれらのシリコーンに相当する市販製品は、それらの組成物中に、その構造が式(D)又は(E)とは異なる1種又は複数の他のアミノシリコーンを含むことができる。
【0053】
構造(D)を有するアミノシリコーンを含有する製品は、Wacker社によりBELSIL ADM 652の名称で販売されている。
【0054】
構造(E)を有するアミノシリコーンを含有する製品は、Wacker社によりFLUID WR 1300(登録商標)の名称で販売されている。
【0055】
この定義に相当するアミノシリコーンの別の群は、以下の式(F)で表される:
【0056】
【0057】
(式中、
m及びnは、和(n+m)が1から2,000、特に50から150の範囲となる数であり、nは0から1,999、特に49から149の数を示すこと、且つmは、1から2,000、特に1から10の数を示すことが可能であり;
Aは、4から8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す)。この基は、好ましくは直鎖状である。
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000から1,000,000、より一層詳細には3,500から200,000の範囲である。
【0058】
式(F)の好ましいシリコーンは、Dow Corning社によりXIAMETER(登録商標)MEM-8299 Cationic Emulsionの商品名で販売されているアモジメチコーンである。
【0059】
この定義に相当するアミノシリコーンの別の群は、以下の式(G)で表される:
【0060】
【0061】
(式中、
m及びnは、和(n+m)が1から2,000、特に50から150の範囲となる数であり、nは0から1,999、特に49から149の数を示すこと、mは1から2,000、特に1から10の数を示すことが可能であり;
Aは、4から8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す)。この基は、好ましくは分岐状である。
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは500から1,000,000、より一層詳細には1,000から200,000の範囲である。
【0062】
この式を有するシリコーンは、例えばDow Corning社によるDC2-8566 Amino Fluidである。
【0063】
(iii)式(H)に相当するアミノシリコーン:
【0064】
【0065】
(式中、
R5は、独立して、1から18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキル基又はC2~C18アルケニル基、例えばメチルを表し;
R6は、二価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキレン基、又はSiC結合を介してSiへ連結している二価のC1~C18、例えばC1~C8アルキレンオキシ基を表し;
Q-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、又は有機酸塩(例えば酢酸塩)であり;
rは、2から20、特に2から8の平均統計値を表し;
sは、20から200、特に20から50の平均統計値を表す)。
【0066】
このようなアミノシリコーンは、より詳細には米国特許第4 185 087号明細書に記載されている。
【0067】
(iv)式(I)を有する第四級アンモニウムシリコーン:
【0068】
【0069】
(式中、
R7は、独立して、1から18個の炭素原子を含む一価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキル基、C2~C18アルケニル基、又は5個若しくは6個の炭素原子を含む環、例えばメチルを表し;
R6は、独立して、二価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキレン基、又はSiC結合を介してSiへ連結している二価のC1~C18、例えばC1~C8アルキレンオキシ基を表し;
R8は、独立して、水素原子、1から18個の炭素原子を含む一価の炭化水素系基、特にC1~C18アルキル基、C2~C18アルケニル基又は-R6-NHCOR7基を表し;
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、又は有機酸塩(例えば酢酸塩)であり;
rは、2から200、特に5から100の平均統計値を表す)。
これらのシリコーンは、例えば欧州特許出願公開第0 530 974(A)号明細書に記載されている。
【0070】
(v)式(J)を有するアミノシリコーン:
【0071】
【0072】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、独立して、C1~C4アルキル基又はフェニル基を示し;
R5は、C1~C4アルキル基又はヒドロキシ基を示し;
mは、1から5の範囲の整数であり;
nは、1から5の範囲の整数であり;
xは、アミン価が0.01から1meq/gの間であるように選択される)。
【0073】
(vi)(AB)nタイプのマルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン(Aは、ポリシロキサンブロックであり、Bは少なくとも1つのアミン基を含むポリオキシアルキレン化ブロックである)。
【0074】
前記シリコーンは、以下の一般式を有する繰り返し単位より好ましくは構成される:
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R")-R'-O(C2H4O)a(C3H6O)b-R'-N(H)-R-]
或いは
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R")-R'-O(C2H4O)a(C3H6O)b-]
(式中、
aは、1以上、好ましくは5から200の範囲、より詳細には10から100の範囲の整数であり;
bは、0から200の間、好ましくは4から100の範囲、より詳細には5から30の間に含まれる整数であり;
xは、1から10,000、より詳細には10から5,000の範囲の整数であり;
R"は、水素原子又はメチルであり;
Rは、独立して、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば酸素を任意選択で含む二価の直鎖状又は分岐状C2~C12炭化水素系基を表し;好ましくは、Rは、独立して、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状プロピレン基、直鎖状若しくは分岐状ブチレン基、又は-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し;優先的にはRは、独立して、-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し;
R'は、独立して、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば酸素を任意選択で含む二価の直鎖状又は分岐状C2~C12炭化水素系基を表し、;好ましくは、R'は、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状プロピレン基、直鎖状若しくは分岐状ブチレン基、又は-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し;優先的には、R'は、-CH(CH3)-CH2-を示す)。
【0075】
シロキサンブロックは、シリコーンの総質量の50から95mol%の間、より詳細には70から85mol%を好ましくは占める。
【0076】
アミン含有量は、ジプロピレングリコール中の30%溶液において、好ましくは0.02から0.5meq/gコポリマーの間、より詳細には0.05から0.2の間である。
【0077】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000から1,000,000の間、より詳細には10,000から200,000の間である。
Momentive社によりSilsoft A-843又はSilsoft A+の名称で販売されているシリコーンを特に挙げることができる。
【0078】
(vii)以下の式(K'及びK)に相当するアルキルアミノシリコーン:
【0079】
【0080】
(式中、
R、R'及びR"は、独立して、C1~C4アルキル又はヒドロキシ基を表し、
Aは、C3アルキレン基を表し、且つm及びnは、化合物の質量平均分子量がおよそ5,000から500,000の間となるものである);
【0081】
【0082】
(式中、
x及びyは、1から5,000の範囲の数であり;好ましくは、xは10から2,000、特に100から1,000の範囲であり;好ましくは、yは1から100の範囲であり;
R1及びR2は、独立して、好ましくは同一であり、6から30個の炭素原子、好ましくは8から24個の炭素原子、特に12から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和アルキル基であり;
Aは、2から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキレン基を示す)。
好ましくは、Aは、3から6個の炭素原子、特に4個の炭素原子を含み;好ましくは、Aは、分岐状である。
以下の二価基を特に挙げることができる:-CH2CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)CH2-。
【0083】
好ましくは、R1及びR2は、独立して、6から30個の炭素原子、好ましくは8から24個の炭素原子、特に12から20個の炭素原子を含む、飽和直鎖状アルキル基であり;ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基が特に挙げられてもよく;優先的には、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、ヘキサデシル(セチル)及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される。
【0084】
優先的には、シリコーンは、式(K)のものである(式中、
xは、10から2,000、特に100から1,000の範囲であり;
yは、1から100の範囲であり;
Aは、3から6個の炭素原子、特に4個の炭素原子を含み;好ましくは、Aは分岐状であり;より詳細には、Aは以下の二価基: CH2CH2CH2及び-CH2CH(CH3)CH2-から選択され;
R1及びR2は、独立して、6から30個の炭素原子、好ましくは8から24個の炭素原子、特に12から20個の炭素原子を含む、直鎖状飽和アルキル基であり;ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基から特に選択され;優先的にはR1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、ヘキサデシル(セチル)及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される)。式(K)の好ましいシリコーンは、ビス-セテアリルアモジメチコーンである。
【0085】
Momentive社によりSilsoft AXの名称で販売されているシリコーンを特に挙げることができる。
【0086】
本開示のアミノシリコーンはまた、鎖末端に又は側鎖上に、例えばアミノプロピル末端基又は側鎖基に第一級アミン基を含むポリジメチルシロキサン、例えば式(A)、(B)又は(C)のものから選択されてもよい:
【0087】
【0088】
式(A)中、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500から55,000の間であるようなものである。アミノシリコーン(A)の例として、Gelest社によりDMS-A11、DMS-A12、DMS-A15、DMS-A21、DMS-A31、DMS-A32及びDMS-A35の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0089】
式(B)中、n及びmの値は、シリコーンの質量平均分子量が1,000から500,000の間、好ましくは100,000から300,000の間となるものである。シリコーン(B)の例として、Gelest社によりAMS-132、AMS-152、AMS-162、AMS-163、AMS-191及びAMS-1203、並びに信越化学工業株式会社によりKF-8020の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0090】
式(C)中、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500から3,000の間であるようなものである。シリコーン(C)の例として、Gelest社によりMCR-A11及びMCR-A12の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0091】
好ましくは、本発明によるアミノシリコーンは、アモジメチコーン、又はMOMENTIVE PERFORMANCE MATERIALS社という供給業者製の商品名Silsoft253である。別の好ましいアミノシリコーンは、Dow Corning社によりXIAMETER(登録商標)MEM-8299 Cationic Emulsionの商品名で販売されている、式(F)のアモジメチコーンである。
【0092】
別の実施形態において、本発明によるアミノシリコーンは、ビス-セテアリルアモジメチコーン(Momentive社によりSilsoft AXの名称で販売されている)から選択される。本発明の組成物において使用されてもよい別の好ましいアミノシリコーンは、アミノプロピルジメチコーン、例えば信越化学工業株式会社からKF-8020の名称で販売されているアミノプロピルジメチコーンである。
【0093】
本発明に従って使用するのに好適なアミノシリコーンとしては、これらに限定されるものではないが、25℃で5×10-6から2.5m2/s、例えば1×10-5から1m2/sの範囲の粘度を有する、揮発性及び不揮発性の、環式、直鎖状及び分岐状アミノシリコーンがある。
【0094】
本発明による組成物における(a)アミノシリコーンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0095】
一方、本発明による組成物における(a)アミノシリコーンの量は、組成物の総質量に対して5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0096】
したがって、本発明による組成物における(a)アミノシリコーンの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%、好ましくは0.05質量%から3質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲であってもよい。
【0097】
[親水性アクリルポリマー]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の親水性アクリルポリマーを含む。単一の種類の親水性アクリルポリマーを使用しても、2種類以上の異なる種類の親水性アクリルポリマーを組み合わせて使用してもよい。
【0098】
(b)親水性アクリルポリマーは、増粘剤として作用することができる。
【0099】
本発明によれば、「親水性アクリルポリマー」という用語は、非疎水性の及び非両親媒性のアクリルポリマーを意味する。
【0100】
本発明による前記親水性アクリルポリマーは、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)アクリルポリマー又はアクリル酸ポリマーのいずれかである。
【0101】
親水性アクリルポリマーの中でも、以下のポリマーを挙げることができる。
【0102】
1)スルホン酸基を有する少なくとも1つのモノマーを含むアクリルポリマー
【0103】
第1の実施形態によれば、本発明に従って使用される親水性アクリルポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1つのモノマーを含む。
【0104】
本発明に従って使用されるポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーより得ることができるホモポリマーであり、遊離形態又は部分的若しくは完全に中和された形態であってもよい。
【0105】
優先的には、本発明によるポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニア水)、又は有機塩基、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの化合物の混合物を用いて部分的に又は完全に中和されている。それらは、一般に中和されている。
【0106】
本発明において、「中和された」という用語は、完全に又は実質的に完全に中和された、すなわち、少なくとも90%が中和されたポリマーを意味する。
【0107】
本発明の組成物において使用されるポリマーは、1000から20 000 000g/molの範囲、好ましくは20 000から5 000 000g/molの範囲、より一層優先的には100 000から1 500 000g/molの範囲の数平均分子量を通常有する。
【0108】
本発明によるこれらのポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。
【0109】
本発明の組成物において使用されるポリマーの、スルホン基を有するモノマーは、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、N-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えばウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、また、これらの部分的に又は完全に中和された形態、及びこれらの混合物から特に選択される。
【0110】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、スルホン基を有するモノマーは、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、並びにそれらの部分的に又は完全に中和された形態、及びそれらの混合物から選択される。
【0111】
より詳細には、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、及びこれらの部分的に又は完全に中和された形態が使用される。
【0112】
ポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に通常使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択することができる。
【0113】
挙げることができる架橋剤の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール若しくはテトラエチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル、糖系アルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリル若しくはビニルエーテル、並びにリン酸及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、又はこれらの化合物の混合物がある。
【0114】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸アリル及びトリアクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般に、ポリマーに対して0.01mol%から10mol%、より詳細には0.2mol%から2mol%の範囲である。
【0115】
スルホン基を有するモノマーのホモポリマーは、1種又は複数の架橋剤で架橋してよい。
【0116】
これらのホモポリマーは通常、架橋及び中和され、且つ以下の工程を含む調製方法に従って得ることができる:
(a)遊離形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のモノマーを、tert-ブタノール溶液又は水及びtert-ブタノールの溶液中に、分散又は溶解する工程;
(b)(a)で得られたモノマー溶液又は分散体を、90%から100%の範囲のポリマーのスルホン酸官能基の中和度を得ることを可能にする量の、1種又は複数の無機又は有機塩基、好ましくはアンモニアNH3水で中和する工程;
(c)架橋モノマーを、(b)で得られた溶液又は分散体へ添加する工程;
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下、10から150℃の範囲の温度で行い;ポリマーを、tert-ブタノール系溶液又は分散体中で沈殿させる工程。
【0117】
好ましいAMPSホモポリマーは、一般的に、ランダムに分布された以下を含むことを特徴とする:
a)90質量%から99.9質量%の以下の一般式(II)の単位:
【0118】
【0119】
(式中、X+はプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンを示し、10mol%以下のカチオンX+は場合によってはプロトンH+である);
b)少なくとも2つのオレフィン性二重結合を含む少なくとも1つのモノマー由来の0.01質量%から10質量%の架橋単位;その質量比はポリマーの総質量に対して定義される。
【0120】
より特に好ましい本発明によるホモポリマーは、98質量%から99.5質量%の式(II)の単位及び0.2質量%から2質量%の架橋単位を含む。
【0121】
特に挙げることができるこのタイプのポリマーは、Clariant社によりHostacerin AMPS(CTFA名:ポリアクリルジメチルタウラミドアンモニウム)の商品名で販売されている又はSeppic社によりSimulgel 800(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)の商品名で販売されている架橋され且つ中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーである。
【0122】
スルホン基を有する少なくとも1つのモノマーを含む他のアクリルポリマーとして、アクリロイルジメチルタウレートポリマー、好ましくはアクリロイルジメチルタウレートコポリマーを特に挙げることができる。アクリロイルジメチルタウレートポリマーは、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウレートを含むポリマーであり、アクリロイルジメチルタウレートコポリマーは、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウレート及び1つ又は複数の他のモノマーを含むコポリマーである。アクリロイルジメチルタウレートコポリマーとして、アクリロイルジメチルタウレート及びビニルピロリドン(VP)のコポリマー、例えばClariant社からAristoflex AVCの名称で販売されているアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーを挙げることができる。
【0123】
2)アクリルアミド/AMPSコポリマー
【0124】
他の実施形態によれば、親水性アクリルポリマーは、(i)アクリルアミド(モノマー1)と、(ii)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマー2、本明細書において以降は便宜上AMPSと称する)と、(iii)本明細書において架橋剤とみなされる、少なくとも1種のポリオレフィン性不飽和化合物(モノマー3)との間の反応由来の単位から形成される架橋アニオン性コポリマーである。
【0125】
本発明の文脈において使用される架橋アニオン性コポリマーは、それ自体に既に公知の物であり、その調製は欧州特許出願公開第0 503 853(A)号明細書で特に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に結果的に組み込まれるものとする。
【0126】
このように、上記のコポリマーは、エマルション重合技術に従って、それらの構成に含まれる3種類の異なるコモノマーより従来通りに得ることができる。
【0127】
本発明によるコポリマーを調製するための架橋剤として使用されるポリオレフィン性不飽和モノマーは、メチレンビスアクリルアミド、アリルスクロース及びペンタエリスリトールによって形成される群から好ましくは選択される。より一層優先的には、メチレンビスアクリルアミドが使用される。
【0128】
好ましくは、前記ポリオレフィン性不飽和化合物は、モノマー単位1mol当たり0.06から1mmolの間の濃度でコポリマーに総じて存在する。
【0129】
アクリルアミドとAMPSとの間のmol%で表される比は、優先的には85/15から15/85の間、有利には70/30から30/70の間、より一層優先的には65/35から35/65の間、より一層詳細には60/40から40/60の間である。更に、AMPSは、一般的に、例えば、水酸化ナトリウムを用いて、水酸化カリウムを用いて、若しくは低分子量アミン、例えばトリエタノールアミンを用いて塩、又はこれらの混合物の形態で、少なくとも部分的に中和されている。
【0130】
本発明の実施の文脈において特に好ましい架橋コポリマーは、上述の欧州特許出願公開第0 503 853(A)号明細書の実施例1で調製されるものに相当し、したがってそれは油中水型逆エマルション形態である。より正確には、このコポリマーは、60mol%のアクリルアミド及び40mol%のAMPSナトリウム塩から形成され、それは総モノマー混合物1molに対して0.22mmolの比で、メチレンビスアクリルアミドを用いて架橋されている。最終的な油中水型逆エマルションは、約40質量%の上記で定義した架橋コポリマー及び約4質量%のエトキシル化脂肪アルコールを好ましくは含み、HLBは約12.5である。
【0131】
本発明に従ってより特に使用される架橋コポリマーは、SEPPIC社によりSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~14イソパラフィン/ラウレス7)又はSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で販売されている製品、又はSimulgel EG(CTFA名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)である。
【0132】
3)他の親水性アクリルポリマー
【0133】
本発明に従って使用してもよい他の親水性アクリルポリマーとして、以下も挙げることができる:
アクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの塩及びこれらのエステルのホモポリマー又はコポリマー、例えばNoveon社によりCarbopol 934、940、954、981及び980の名称で販売されている製品、3V社製のSynthalen L(登録商標)、Vanderbilt社によりDarvan No. 7(登録商標)の名称で販売されているポリメタクリル酸ナトリウム、Allied Colloid社によりVersicol F又はVersicol Kの名称で販売されている製品、Ciba Geigy社によるUltrahold 8並びにSynthalen Kタイプのポリアクリル酸、
ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばアクリル酸グリセリルポリマー、特にアクリル酸グリセリルとアクリル酸とのコポリマー、例えばGuardian Laboratories社によりLubrajel(登録商標)MS、Lubrajel(登録商標)CG、Lubrajel(登録商標)DV、Lubrajel(登録商標)NP、Lubrajel(登録商標)OIL、Lubrajel(登録商標)Oil BG、Lubrajel(登録商標)PF、Lubrajel(登録商標)TW及びLubrajel(登録商標)WAの名称で販売されている製品。Lubrajel MS、
Pemulenタイプのポリアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、
アクリル酸塩/ビニルアルコールのコポリマー、例えばCognis社からHydragen FN(登録商標)の名称で販売されている製品、及び
これらの混合物が好ましくは使用される。
【0134】
(b)親水性アクリルポリマーは、アクリロイルジメチルタウレートポリマーであり、より好ましくは、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0135】
(b)親水性アクリルポリマーは、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーであることがより好ましい場合がある。
【0136】
本発明による組成物における(b)親水性アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0137】
一方、本発明による組成物における(b)親水性アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0138】
したがって、本発明による組成物における(b)親水性アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲であってもよい。
【0139】
(両親媒性ポリマー)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の両親媒性ポリマーを含む。単一の種類の両親媒性ポリマーを使用しても、2種類以上の異なる種類の両親媒性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。
【0140】
「両親媒性ポリマー」という用語は、少なくとも1つの親水性部分(又はブロック)及び少なくとも1つの疎水性部分(又はブロック)を含むポリマーを意味すると理解される。このポリマーは、水溶性又は水分散性である。
【0141】
(c)両親媒性ポリマーは、一方において少なくとも1つの水溶性又は水分散性ポリマーブロック、及びもう一方において少なくとも1つの疎水性ブロックを含む、ブロックポリマー又は「櫛型」ポリマーとすることができる。
【0142】
したがって、(c)両親媒性ポリマーは、例えば、水溶性ブロックと疎水性ブロックを交互に含むブロック(マルチブロック)ポリマーとすることができる。
【0143】
(c)両親媒性ポリマーは、その骨格が水溶性又は水分散性ブロックからなり、且つ疎水性グラフトを有し、そのグラフトポリマー骨格が架橋又は非架橋である、グラフトポリマーの形態で提供することもできる。
【0144】
「水溶性又は水分散性ポリマー」という用語は、1%に等しい濃度で水中に導入すると、肉眼的に均質な溶液をもたらし、500nmに等しい波長の光が厚さ1cmのサンプルを通過するときのその透過率は、少なくとも10%であり、それが1.5未満の吸光度[abs=-log(透過率)]に相当するポリマーを意味すると理解される。
【0145】
「両親媒性ポリマー」という用語はまた、0.05(質量)%で水溶液中に導入すると、25℃における水の表面張力を50mN/m未満、好ましくは40mN/m未満の値へ低下させることが可能なポリマーを意味すると理解することができる。
【0146】
(C)両親媒性ポリマーは、10 000から10 000 000、より好ましくは50 000から8 000 000、より一層好ましくは100 000から3 000 000の範囲の質量平均モル質量を一般的に有することができる。
【0147】
A)水溶性ポリマーブロック
「水溶性ブロック」という用語は、1%に等しい濃度で水中に導入すると、肉眼的に均質な溶液をもたらし、500nmに等しい波長の光が厚さ1cmのサンプルを通過するときのその透過率は、少なくとも10%であり、それが1.5未満の吸光度[abs=-log(透過率)]に相当するブロックを意味すると理解される。
【0148】
これらの水溶性ブロックは、ビニルモノマーのラジカル重合によって、又は重縮合によって得ることができ、又は現存する天然若しくは変性天然ポリマーで構成することもできる。
【0149】
例として、前記水溶性又は水分散性のブロック又は単位を単独で又は混合物として形成するために用いることができる、以下の水溶性モノマー(a)及びこれらの塩を挙げることができる:
(メタ)アクリル酸、
ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルホスホン酸、
メチルビニルイミダゾリウムクロリド、
(メタ)アクリルアミド、
2-ビニルピリン及び4-ビニルピリジン、
マレイン酸及びマレイン酸無水物、
クロトン酸、
イタコン酸、
式CH2=CHOHのビニルアルコール、
N-ビニルラクタム、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム及びN-ブチロラクタム、
水溶性スチレン誘導体、特にスチレンスルホネート、
ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、
N-ビニルアセトアミド及びN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
N-ビニルホルムアミド及びN-メチルビニルホルムアミド、
以下の式(1)の水溶性ビニルモノマー:
【0150】
【0151】
[式中、
Rは、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7から選択され、
Xは以下から選択される:
-OR'タイプのアルキル酸化物(式中、R'は、1から6個の炭素を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の炭化水素基であって、少なくとも1つのハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素又はフッ素);少なくとも1つのスルホン(-SO3-)、スルフェート(-SO4-)又はホスフェート(-PO4H2)基;少なくとも1つのヒドロキシル(-OH)基;少なくとも1つのエーテル(-O-)基;又は少なくとも1つの第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)又は第四級アミン(-N+R1R2R3)基(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基であり、ただし、R'+R1+R2+R3の炭素原子の和が7を超えないものとする)で置換された炭化水素基である);例えば四級化メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール又は(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールを挙げることができる。
-NH2、-NHR'及び-NR'R''基(式中、R'及びR''は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基であって、ただし、R'+R''の炭素原子の合計数が7を超えないものとし、前記R'及び/又はR''基が、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、フッ素)、又はヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、スルホン(-SO3-)、スルフェート(-SO4-)、ホスフェート(-PO4H2)、第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)及び/又は第四級アミン(-N+R1R2R3)基(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基である)で置換された炭化水素基であり、ただし、R'+R''+R1+R2+R3の炭素原子の和が7を超えないものとする炭化水素基;例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又は(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC及びMAPTAC)を挙げることができる。]。
【0152】
水溶性ブロックは、疎水性モノマー(b)を含むことができ、前記疎水性モノマーは、これらの単位が水溶性となるために十分に低量で存在する。
【0153】
例えば、疎水性モノマー(b)として、以下を挙げることができる:
スチレン及びその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン、
式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1から6個の炭素を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基である)、
アクリロニトリル、
カプロラクトン、
塩化ビニル及び塩化ビニリデン、
シリコーン誘導体、例えばメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド、
以下の式(2)の疎水性ビニルモノマー:
【0154】
【0155】
[式中、
Rは、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7から選択され、
Xは、
-OR'タイプのアルキル酸化物(式中、R'は、1から6個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基である)、
-NH2、-NHR'及び-NR'R''基(式中、R'及びR''は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状炭化水素基であり、ただし、R'+R''の炭素原子の合計数が6を超えないものとする)
から選択される]。例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、及びアクリル酸イソボルニル、並びにアクリル酸エチル2-ヘキシルを挙げることができる。
【0156】
水溶性ブロックは、中和されていなくても、或いは無機又は有機塩基で完全に又は部分的に中和されていてもよい。この塩基は、例えば、1から15個の炭素原子を有する、1から4個のアルキル基で置換されたナトリウム、アンモニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム若しくはアンモニウム塩から、又はモノ-、ジ-及びトリエタノールアミン、アミノエチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0157】
全ての又は一部の水溶性ブロックを形成することができる重縮合物及び天然又は変性天然ポリマーの中でも、以下を挙げることができる:
水溶性ポリウレタン、
ポリエチレンイミン、
ポリエーテル、例えばポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン、
キサンタンガム、特にKelco社によりKeltrol T及びKeltrol SF、又はRhodia社によりRhodigel SM及びRhodigel 200の名称で販売されているもの;
アルギネート(Kelcosol、Monsanto社製)及びその誘導体、例えばアルギン酸プロピレングリコール(KelcoloidLVF、Kelco社製);
ι、κ及びλタイプのカラゲナン、
異なる変性度(HM及びLM)を有するペクチン、
セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(Aquasorb A500、Hercules社)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び四級化ヒドロキシエチルセルロース;
ガラクトマンナン及びこれらの誘導体、例えばコンニャクガム、ゲランガム、ローカストビーンガム、コロハガム、カラヤゴム、トラガカントゴム、アラビアゴム、アカシアガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルナトリウム基で変性されたヒドロキシプロピルグアー(Jaguar XC97-1、Rhodia社)又はヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムグアークロリド、
デンプン誘導体、及びこれらの混合物。
【0158】
水溶性ポリマーブロックは、これらが櫛型ポリマーの水溶性骨格を構成するときに、1000g/molから10 000 000g/molの間のモル質量を有する。これらの水溶性ブロックは、これらがマルチブロックポリマーのブロックを構成するときに、500g/molから500 000g/molの間のモル質量を好ましくは有する。
【0159】
B)疎水性ブロック
「疎水性ブロック」という用語は、室温(25℃)で液体である脂肪物質、又は油、例えばアルカン、エステル、エーテル、トリグリセリド、シリコーン若しくはフッ化化合物、若しくは上述の油の混合物に、溶解性又は分散性であるブロックを意味すると理解される。
【0160】
これらのブロックは、50℃で48時間撹拌しながら1%に等しい濃度で油又は油性混合物中に導入すると、室温へ戻した後に、肉眼的に均質な溶液をもたらし、500nmに等しい波長の光が厚さ1cmのサンプルを通過するときのその透過率は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%である。検討する油は、アルカン、エステル、トリグリセリド、エーテル、シリコーン若しくはフッ化タイプのもの又は上述の油の混合物とすることができる。
【0161】
例えば、以下を含む疎水性ブロックを挙げることができる:
少なくとも1つの6から30個の炭素原子を含むアルキル基、
少なくとも1つのフッ化された又は部分的にフッ化されたC6~C30アルキル基(例えば、式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基)、
少なくとも1つのコレステリル基又は少なくとも1つのコレステロール由来の基(例えば、ヘキサン酸コレステリル)、
少なくとも1つ又は複数の環式芳香族基、例えばベンゼン、ナフタレン又はピレン、
少なくとも1つのシリコーン又はアルキルシリコーン或いはアルキルフルオロシリコーン基。
【0162】
これらの疎水性ブロックのモル質量は、100から10 000g/molの間、好ましくは200から5000g/molの間とすることができる。
【0163】
最終的な両親媒性ポリマーにおける疎水性ブロックの質量比は、最終的なポリマーに対して好ましくは1質量%から60質量%の間、特に2質量%から40質量%の間、特に5質量%から30質量%の間とすることができる。
【0164】
C)両親媒性ポリマーの調製
本発明の文脈において用いるポリマーは、例えば、以下を含む様々な方法に従って容易に調製することができる:
【0165】
「櫛型」ポリマーに関して:
共重合: 「櫛型」ポリマーを調製するための1つの可能性は、例えば、疎水性ブロック(ビニル末端を有する上述の疎水性ブロック)を含むマクロモノマー及び水溶性ビニルモノマー、例えば式(1)を有するアクリル酸又はビニルモノマーを共重合することからなる。
グラフト: 他の可能性は、少なくとも1つの反応性末端を有する疎水性ブロックを、相補的な反応物を含む水溶性ポリマーへグラフトすることからなる。
【0166】
ブロックポリマーに関して:
カップリング反応: 最終的なポリマーをブロックポリマーの形態で提供する場合、各末端に相補的な反応物を有する、水溶性ブロックと疎水性ブロックとの間のカップリングによって調製することが可能である。
リビング重合: 本発明のポリマーを、アニオン性又はカチオン性タイプのリビング重合によって、或いはラジカル重合をコントロールすることによって調製することが可能である。後者の合成方法は、様々な方法、例えば、原子移動による経路(原子移動ラジカル重合又はATRP)、ラジカル、例えば窒素酸化物が関与する方法、又は可逆的付加開裂連鎖移動、例えばMADIX(キサンテートの交換を介した高分子設計)方法を介した経路に従って用いることができる。これらの合成方法を使用し、本発明のポリマーの水溶性ブロック及び疎水性ブロックを得ることができ;これらを使用し、本発明のポリマーの2種類のブロックのうちの1つのみを合成することもでき、もう一方のブロックは、使用した開始剤を介して、或いは水溶性ブロックと疎水性ブロックとの間のカップリング反応によって最終的なポリマーへ導入する。
【0167】
(c)両親媒性ポリマーは、AMPS両親媒性ポリマー、すなわち、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)由来のポリマーから選択されることが好ましい。
【0168】
(c)両親媒性ポリマーは、
(a)少なくとも1つの以下の式(3)の単位:
【0169】
【0170】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンである);及び
(b)少なくとも1つの以下の式(3a)の単位:
【0171】
【0172】
(式中、
n及びpは、互いに独立して、モル数を示し、且つ0から50まで、好ましくは10から40まで、より好ましくは20から30までで変化し、ただし、n+pは50以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下であり;R1は、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル(好ましくはメチル)基を示し、R3は、6から30個、好ましくは10から26個、より好ましくは14から22個の範囲のm個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキル基を示す)。
含むポリマーから選択されることがより好ましい。
【0173】
式(3a)におけるpは、0であり、しかもnは、1から50、より好ましくは10から40、より一層好ましくは20から30の範囲であることが好ましい。
【0174】
例えば、上記単位(a)は、ポリマーの80から99mol%とすることができ、単位(b)は、ポリマーの1から20mol%とすることができる。
【0175】
本発明によるこれらのポリマーは、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくはアンモニア)、又は有機塩基、例えば、モノ-、ジ-及びトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの混合物によって、好ましくは部分的に又は完全に中和されている。
【0176】
両親媒性AMPSポリマーは、架橋されていてもよい。しかし、本発明による組成物において使用される両親媒性AMPSポリマーは、架橋されていないことが好ましい。
【0177】
これらは、1つ又は複数の開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス[2-アミジノプロパン]塩酸塩(ABAH)、有機過酸化物、例えばジラウリル過酸化物、ベンゾイル過酸化物、tert-ブチルヒドロペルオキシド等、無機過酸化物化合物、例えば過硫酸カリウム又は過硫酸アンモニウム、又はH2O2の存在下、任意選択で還元剤の存在下で、従来のラジカル重合方法に従って得ることができる。
【0178】
ポリマーは、tert-ブタノール媒体中でラジカル重合させ、その媒体から沈殿させることによって特に得られる。tert-ブタノール中での重合を使用することによって、ポリマーの使用に特に好ましいポリマー粒径の分布を得ることが可能である。
【0179】
重合反応は、0℃から150℃の間、好ましくは20℃から100℃の間の温度で、大気圧で又は減圧下でのいずれかで行うことができる。不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で行うこともできる。
【0180】
本発明による組成物において使用することができるAMPS由来のポリマーとして、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はそのナトリウム又はアンモニウム塩のうちの1つから、(メタ)アクリル酸と以下とのエステルと共に調製されたポリマーを特に挙げることができる:
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC10~C18アルコール(Genapol C-080、Clariant社製)、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(Genapol UD-080、Clariant社製)、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(Genapol UD-070、Clariant社製)、
7molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-070、Clariant社製)、
9molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-090、Clariant社製)、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコール(Genapol LA-110、Clariant社製)、
8molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-080、Clariant社製)、
11molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-110、Clariant社製)、
15molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-150、Clariant社製)、
20molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-200、Clariant社製)、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコール(Genapol T-250、Clariant社製)、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC18~C22アルコール、
25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18イソアルコール。
【0181】
好ましい実施形態によれば、両親媒性ポリマーは、AMPSと、メタクリル酸又はメタクリル酸塩及び6から25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16~C18アルコールから得られた6から25個のオキシエチレン基を含むC16~C18アルコールのメタクリル酸エステルとのコポリマーである。両親媒性ポリマーはまた、AMPSと、メタクリル酸又はメタクリル酸塩及び6から25molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12~C14アルコールから得られた6から25個のオキシエチレン基を含むC12~C14アルコールとのメタクリル酸エステルとのコポリマーとすることができる。
【0182】
本発明による好ましい両親媒性ポリマーとして、以下を挙げることができる:
92.65mol%のAMPSと、7.35mol%の、8個のオキシエチレン基を含むC16~C18アルコールのメタクリル酸エステルとから得られた非架橋コポリマー(Genapol T-080)、例えばClariant社によりAristoflex SNCの名称で販売されているもの、
91.5mol%のAMPと、8.5mol%の、7個のオキシエチレン基を含むC12~C14アルコールのメタクリル酸エステルとから得られた非架橋コポリマー(Genapol LA-070)、例えばClariant社によりAristoflex LNCの名称で販売されているもの、
及びこれらのブレンド。
【0183】
これらのコポリマーは、噴霧可能な液体からクリームにわたって非常に多様な質感が付与され、非常に優れた化粧料品質を有する安定なエマルションを得るために適している。
【0184】
これらのポリマーは、化粧用組成物の標準値である4から8の間の値のpH変化に対して比較的影響が少ないという利点を示す。
【0185】
AMPS由来の両親媒性ポリマーは、50 000から10 000 000、より好ましくは100 000から8 000 000、より一層好ましくは200 000から3 000 000の範囲の質量平均モル質量を示すことができる。
【0186】
本発明の好ましい実施形態によれば、(c)両親媒性ポリマーは、ポリアクリルアミド/C13~14イソパラフィン/ラウレス-7、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス25クロスポリマー及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0187】
本発明による組成物における(c)両親媒性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0188】
一方、本発明による組成物における(c)両親媒性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0189】
したがって、本発明による組成物における(c)両親媒性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲であってもよい。
【0190】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0191】
本発明による組成物における(d)水の量は、組成物の総質量に対して50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0192】
本発明による組成物における(d)水の量は、組成物の総質量に対して95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0193】
したがって、本発明による組成物における(d)水の量は、組成物の総質量に対して50質量%から95質量%、好ましくは60質量%から90質量%、より好ましくは70質量%から85質量%の範囲であってもよい。
【0194】
(シリコーン油)
本発明による組成物は、(a)アミノシリコーンとは異なる(e)少なくとも1種のシリコーン油を含んでいてもよい。単一の種類のシリコーン油を使用しても、2種類以上の異なる種類のシリコーン油を組み合わせて使用してもよい。
【0195】
本明細書において「シリコーン油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で、液体又はペーストの形態である、シリコーン化合物又はシリコーン物質を意味する。シリコーン油として、化粧料において一般的に使用されるものを単独で又はこれらの組合せで使用してもよい。
【0196】
シリコーン又はオルガノポリシロキサンは、例えば、Walter NOLLにより「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Pressで定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0197】
そのため、(e)シリコーン油は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0198】
そのため、(e)シリコーン油は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油若しくは少なくとも1種の不揮発性シリコーン油のいずれか、又は少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油の両方を含んでもよい。
【0199】
揮発性又は不揮発性シリコーンは、少なくとも1つの有機官能性部分又は基により任意選択で変性された、直鎖状、分岐状又は環状シリコーンから選択されてもよい。
【0200】
例えば、(e)シリコーン油は、ポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルトリメチコーン、ポリジアリールシロキサン、並びにポリ(オキシアルキレン)部分又は基、アミド部分又は基、アルコキシ又はアルコキシアルキル部分又は基、ヒドロキシル又はヒドロキシル化部分又は基、アシルオキシ又はアシルオキシアルキル部分又は基、カルボン酸又はカルボキシレート部分又は基、アクリル部分又は基、ポリアミド部分又は基、及びオキサゾリン部分から選択される少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含む有機変性ポリシロキサンからなる群から選択されてもよい。
【0201】
(e)シリコーン油が揮発性である場合、(a)シリコーン油は、沸点が60℃から260℃の範囲のもの、例えば以下から選択されてもよい:
(i)環状シリコーン、例えば3から7個、例えば4から6個のケイ素原子を含むポリジアルキルシロキサン。そのようなシロキサンの非限定的な例としては、例えばUNION CARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標)7207、及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標)70045 V2の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、UNIONCARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標)7158及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標)70045 V5、信越化学工業株式会社によりKF-995の商品名で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びに例えば、XIAMETER(登録商標)PMX-246の商品名及びDow Corning社によりDC246 Fluidの商品名で市販されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン(INCI:シクロヘキサシロキサン)、並びにこれらの混合物がある。シクロメチコーン、例えば、DOW CORNING社によりDC 244、DC 245、DC 344、DC 345、及びDC 246の参照名で市販されているものも使用してもよい。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンタイプのシクロコポリマー、例えば以下の式のUNION CARBIDE社により市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標)FZ 3109も使用してもよい
【0202】
【0203】
(式中、
【0204】
【0205】
環式シリコーンの、例えばポリジアルキルシロキサンの、ケイ素由来有機化合物との組合せ、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)混合物、並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタン混合物をまた使用してもよい;及び
(ii)2から9個のケイ素原子を含む直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。そのような化合物の非限定的な例は、例えばTORAY SILICONE社により「SH-200」の商品名で市販されているデカメチルテトラシロキサンである。このクラスに属するシリコーンもまた、例えば、Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」に記載されている。
【0206】
(e)シリコーン油が揮発性である場合、(e)シリコーン油は、環状シリコーンから選択されてもよい。
【0207】
一方、(e)シリコーン油は、不揮発性シリコーン、例えばポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及び有機変性ポリシロキサンから選択されてもよい。
【0208】
1つの実施形態によれば、(e)シリコーン油は、不揮発性ポリジアルキルシロキサン、例えば、ジメチコーンの商品名で知られているトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンから選択されてもよい。
【0209】
そのようなポリジアルキルシロキサンに相当する市販製品の非限定的な例としては、以下がある:
47及び70 047シリーズのSILBIONE(登録商標)fluid、並びにRHODIA社により市販されているMIRASIL(登録商標)fluid、例えば、70 047 fluid V 500000;
RHODIA社により市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの流体;
DOW CORNING社により市販されている200シリーズの流体、例えば60,000mm2/sの粘度を有するDC200;
Dow Corning社により市販されているXIAMETER(登録商標)PMX-200 SILICONE FLUID 60000CS;
GENERAL ELECTRIC社のVISCASIL(登録商標)fluid、及びGENERAL ELECTRIC社のSFシリーズのうちのいくつかの流体(例えばSF 96及びSF 18);並びに
DOW CORNING社によりDC 1664の参照名で市販されている流体。
【0210】
GOLDSCHMIDT社による「ABIL Wax(登録商標)9800及び9801」の商品名で市販されている製品であって、このクラスのポリジアルキルシロキサンに属し、ポリジアルキル(C1~C20)シロキサンである製品をまた、使用してもよい。
【0211】
ポリアルキルアリールシロキサンは、ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、直鎖状及び/又は分岐状ポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択されてもよい。
【0212】
そのようなポリアルキルアリールシロキサンの非限定的な例としては、以下の商品名で市販されている製品がある:
RHODIA社製の70641シリーズのSILBIONE(登録商標)fluid;RHODIA社製の70 633及び763シリーズのRHODORSIL(登録商標)fluid;
DOW CORNING社によりDOW CORNING 556 COSMETIC GRADE FLUIDの参照名で市販されているフェニルトリメチコーン流体;
BAYER製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品;
BAYER社製のPN、PHシリーズのシリコーン、例えばPN1000及びPH1000製品;及び
GENERAL ELECTRIC社製のいくつかのSFシリーズの流体、例えばSF1023、SF1154、SF1250、及びSF1265。
【0213】
本発明に従って使用してもよい有機変性シリコーンとしては、これらに限定されるものではないが、シリコーン、例えば上記で定義され、且つその構造中に直接又は炭化水素基を用いて連結している少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含むものがある。
【0214】
有機変性シリコーンとしては、例えば以下を含むポリオルガノシロキサンがありうる:
ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ部分、任意選択でC6~C24アルキル部分、例えばDOW CORNING社によりDC 1248の商品名で市販されている及びUNION CARBIDE社によりDCQ2-5220及びSILWET(登録商標)L722、L7500、L77、及びL711fluidの商品名で市販されているジメチコーンコポリオール、並びにDOW CORNING社によりXIAMETER(登録商標)OFX-0193FLUIDの商品名で市販されているPEG12ジメチコーン、並びにDOW CORNING社によりQ2 5200の商品名で市販されている(C12)アルキルメチコーンコポリオールと呼ばれる製品;
アルコキシル化部分、例えばSWS SILICONES社により「SILICONE COPOLYMER F-755」の商品名で、並びにGOLDSCHMIDT社によりABIL WAX(登録商標)2428、2434及び2440の商品名で市販されている製品;
ヒドロキシル化部分、例えば、仏国特許出願公開第8516334号明細書に記載されている、ヒドロキシアルキル官能基を含有するポリオルガノシロキサン;
アシルオキシアルキル部分、例えば、米国特許第4,957,732号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン;
カルボン酸タイプのアニオン性部分、例えばチッソ株式会社により市販されている、欧州特許第0 186 507号明細書に記載されている製品、並びにカルボキシルアルキルのアニオン性部分、例えば信越化学工業株式会社により市販されているX-22-3701Eという製品中に存在するもの;スルホン酸2-ヒドロキシアルキル;及びチオ硫酸2-ヒドロキシアルキル、例えばGOLDSCHMIDT社により「ABIL(登録商標)S201」及び「ABIL(登録商標)S255」の商品名で市販されている製品;
ヒドロキシアシルアミノ部分、例えば欧州特許出願第0342834号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン。相当する市販製品の非限定的な例は、DOW CORNING社により市販されているQ2-8413の製品である;
アクリル部分、例えば、3M社によりVS80及びVS70の名称で市販されている製品、並びに
オキサゾリン部分。
【0215】
【0216】
本発明に従って使用されてもよいシリコーンは、1つ又は2つのオキサゾリン基、例えばポリ(2-メチルオキサゾリン-b-ジメチルシロキサン-b-2-メチルオキサゾリン)及びポリ(2-エチル-2-オキサゾリン-ジメチルシロキサン)を含んでもよい。花王株式会社によりOX-40、OS-51、OS-96及びOS-88の参照名で市販されている製品もまた使用されうる。
【0217】
ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンもまた使用されてもよく、例えば商品名ジメチコノール(CTFA)で販売されているもの、例えばRHODIA社により市販されている48シリーズの流体がある。
【0218】
(e)シリコーン油が不揮発性である場合、好ましい実施形態において、(e)シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン、有機変性ポリジメチルシロキサン及びこれらの組合せから選択されてもよい。有機変性ポリジメチルシロキサンは、ジメチコノールから選択されてもよい。ポリジメチルシロキサンの粘度は、100,000cstから1,000,000cst、好ましくは150,000cstから700,000cst、より好ましくは200,000cstから400,000cstであってもよい。有機変性ポリジメチルシロキサンの粘度は、10,000cstから100,000cst、好ましくは20,000cstから70,000cst、より好ましくは30,000cstから50,000cstであってもよい。
【0219】
本発明による組成物における(e)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0220】
一方、本発明による組成物における(e)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0221】
したがって、本発明による組成物における(e)シリコーンの量は、組成物の総質量に対して0.1質量%から15質量%、好ましくは0.5質量%から10質量%、より好ましくは1質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0222】
(非シリコーン油)
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の非シリコーン油を含んでいてもよい。単一の種類の非シリコーン油を使用しても、2種類以上の異なる種類の非シリコーン油を組み合わせて使用してもよい。
【0223】
本明細書において「非シリコーン油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で、液体又はペーストの形態である、非シリコーン化合物又はシリコーン物質を意味する。非シリコーン油として、化粧料において一般に使用されるものが、単独で又はそれらの組合せで使用されうる。
【0224】
(f)非シリコーン油は、非極性油、例えば炭化水素油;極性油、例えば植物又は動物油、エステル油、及びエーテル油;並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0225】
(f)非シリコーン油は、植物又は動物起源の油、合成油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択されてもよい。
【0226】
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0227】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0228】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、及び人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0229】
エステル油は、好ましくは、飽和の又は不飽和の、直鎖状又は分岐状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、エステルの炭素原子の合成数は10以上である。
【0230】
好ましくは、モノアルコールのエステルに関しては、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で少なくとも1つは分岐状である。
【0231】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0232】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸、及びC1~C22アルコールのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸、及び非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用することができる。
【0233】
セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを特に挙げることができる。
【0234】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0235】
挙げることができる適当な糖の例としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例えばメチルグルコースがある。
【0236】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選択されてもよい。これらの化合物が不飽和である場合、これらは1から3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0237】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0238】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルとすることができる。
【0239】
更に詳細には、モノエステル及びジエステル、特にモノオレイン酸又はジオレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレオパルミチン酸、リノール酸、リノレン酸及びオレオステアリン酸スクロース、グルコース又はメチルグルコースを使用する。
【0240】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0241】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0242】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0243】
炭化水素油の例として、以下を挙げることができる:
- 直鎖状又は分岐状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0244】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分岐状炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又は石油、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0245】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むものを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0246】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分岐状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態において、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0247】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0248】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0249】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分岐状の、飽和C6~C30アルコール、更に好ましくは、直鎖状又は分岐状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0250】
本明細書において「飽和脂肪アルコール」という用語は、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分岐状の飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分岐状の飽和C6~C30脂肪アルコールのうち、直鎖状又は分岐状の飽和C12~C20脂肪アルコールが好ましくは使用されうる。任意の直鎖状又は分岐状の飽和C16~C20脂肪アルコールがより好ましくは使用されうる。分岐状C16~C20脂肪アルコールがより一層好ましくは使用されうる。
【0251】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。1つの実施形態において、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)、並びにベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0252】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物において使用される脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びそれらの混合物から好ましくは選択される。
【0253】
本発明による組成物における(f)非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0254】
一方、本発明による組成物における(f)非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0255】
したがって、本発明による組成物における(f)非シリコーンの量は、組成物の総質量に対して1質量%から15質量%、好ましくは2質量%から10質量%、より好ましくは3質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0256】
(ポリオール)
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを含んでいてもよい。単一の種類のポリオールを使用しても、2種類以上の異なる種類のポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0257】
本明細書において「ポリオール」という用語は、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖又はその誘導体を包含しない。糖誘導体としては、糖の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、並びにこれらの1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子又は原子が、少なくとも1つの置換基、例えばアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基で置き換えられている糖又は糖アルコールがある。
【0258】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2つから5つのヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってもよい。
【0259】
ポリオールは、天然のポリオールであっても合成のポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分岐状又は環状の分子構造を有していてよい。
【0260】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択されうる。
【0261】
(c)ポリオールが、3個以上の炭素原子を有し、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0262】
ポリオールは1.4以上の屈折率を有することがより好ましい場合がある。
【0263】
本発明による組成物におけるポリオール油の量は、組成物の総質量に対して1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0264】
一方、本発明による組成物におけるポリオールの量は、組成物の総質量に対して15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0265】
したがって、本発明による組成物におけるポリオールの量は、組成物の総質量に対して1質量%から15質量%、好ましくは2質量%から10質量%、より好ましくは3質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0266】
(他の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分も含んでもよい。
【0267】
任意選択の又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー;アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;脱毛に有効な薬剤;ふけ防止剤;天然又は合成の水用又は油用増粘剤;懸濁化剤;金属イオン封鎖剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;防腐剤、防腐補助剤(co-preservatives)、安定化剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0268】
任意選択又は追加の成分の量は、限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から10質量%でありうる。
【0269】
[調製]
本発明による組成物は、上記で説明した必須成分、及び必要に応じて上記で説明した任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0270】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合するための方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用し、上記の必須及び任意選択の成分を混合し、本発明による組成物を調製することができる。
【0271】
[形態]
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリンスオフタイプであってもよく、好ましくはリーブオフタイプである。
【0272】
[方法]
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として使用されうる。化粧用組成物は、ケラチン繊維を処置するために使用されうる。ケラチン繊維は、毛髪、まつ毛、眉毛等でありうる。
【0273】
特に、本発明による組成物は、ケラチン繊維、例えば毛髪等への適用が意図されうる。そのため、本発明による組成物は、ケラチン繊維のための美容方法のために使用されうる。
【0274】
本発明はまた、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための方法に関する。
【0275】
本発明による組成物が適用されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処置するのに必要とされる適切な時間の間、放置されうる。各処置のための時間の長さは限定されないが、1分から10分、好ましくは1分から5分、より好ましくは1分から3分でありうる。そのため、例えば、本発明による処置のための総時間は、3から30分、好ましくは3から15分、より好ましくは3から10分でありうる。
【0276】
ケラチン繊維は、室温で処置されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する工程の前に及び/又は間に及び/又は後に、15℃から45℃、好ましくは20℃から40℃、より好ましくは25℃から35℃、より一層好ましくは27℃から35℃で加熱されうる。
【0277】
本発明による組成物が適用されたケラチン繊維は、濯がれても濯がれなくてもよい。
【0278】
本発明による方法、好ましくは美容方法は、ケラチン繊維、例えば毛髪へ、コンディショニング及び扱い易さの美容効果、例えば、滑らかさ(例えば、たとえケラチン繊維が濡れているとしても滑らかな櫛通り、及び/又はケラチン繊維が乾燥しているときの滑らかな感触)、ケラチン繊維に対する指の通り易さ、しっとり感、及びボリュームダウンコントロールを付与することができる(したがって、本発明による組成物の抗縮れ毛特性に起因してケラチン繊維の形状をスタイリングし易い場合がある)。「ボリュームダウン」という用語は、ケラチン繊維の広がりが低減又はコントロールされ、したがってケラチン繊維のスタイルが良好にコントロールされうることを意味する。
【0279】
特に、本発明による方法は、ケラチン繊維、例えば毛髪へ、より高いレベルの滑らかさ、湿潤性、ボリュームコントロール等を付与することができる。
【実施例】
【0280】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0281】
(実施例1及び比較例1から3)
[調製]
実施例1及び比較例1から3による毛髪のための各組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。成分の量に関する数値は全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0282】
【0283】
[評価]
(安定性)
実施例1及び比較例1から3による組成物を調製した直後に、各組成物の外観を室温で目視により観察し、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「安定性」の行に示す。
良好:安定(分離なし)
不良:不安定(分離あり)
【0284】
比較例2及び3による組成物は不安定であった(相分離が生じた)ため、比較例2及び3に関する更なる評価は不可能であった。
【0285】
(滑らかさ)
実施例1及び比較例1による同量の各組成物を、毛髪見本(1g、27cm)へ適用した。これを更に2つの毛髪見本によって2回繰り返した。したがって、実施例1では3つの毛髪見本を調製し、比較例1でも3つの毛髪見本を調製した。これらを24℃の環境温度及び40%の相対湿度で30分間維持した。
【0286】
各毛髪見本のCOF(摩擦係数)を、Handy Rub Tester Model TL701(Trinity Lab社)を用いて測定した。最初に、毛髪見本をプレート上に載置し、その根元側を毛髪クリップで固定した。次に、センサーを毛髪見本上に適用し、毛束の根元から毛先まで移動させ、毛髪見本のCOFを測定した。測定を3回繰り返した。したがって、9例のCOFデータが、実施例1及び比較例1で得られた。COFデータの9例の平均を、COF値として判定した。結果を表1中の「滑らかさ」と表示する行に示す。
【0287】
(官能性評価)
組成物のテクスチャ
実施例1及び比較例1による各組成物のテクスチャを、6名のパネリストによって以下の基準に従って評価した。
良好:指で擦り込むときに融けるような感覚
不良:不良:指で擦り込むときに融けるような感覚がない
【0288】
結果を表1中の「組成物のテクスチャ」と表示する行に示す。
【0289】
滑らかさ、しっとり感、指通り、及び抗縮れ毛
毛髪見本を使用し、実施例1及び比較例1による各組成物を毛髪見本へ適用し、続いて乾燥した後に、滑らかさ、しっとり感(水分の喪失の低さ)、指の通り易さ、及び抗縮れ毛効果の項目を、6名のパネリストによって以下の基準に従って評価した。ベンチマークは、組成物が適用されていない毛髪見本を意味する。
+++:著しく良好
++:良好
+: わずかに良好
0:ベンチマークと同様
-:わずかに不良
--:不良
---:著しく不良
【0290】
パネリストによる評価の平均を、表1中の「滑らかさ」、「しっとり感」、「指通り」、及び「抗縮れ毛」と表示する行に示す。
【0291】
表1は、実施例1及び比較例1による組成物のみが安定であったことを示す。
【0292】
実施例1による組成物は、優れた滑らかさを付与することができ、これは官能性評価だけではなくCOFでも実証されている。表1はまた、実施例1による組成物は、特有のテクスチャ、並びにしっとり感、指の通り易さ、及びボリュームダウンコントロール(抗縮れ毛)を付与することができたことを示している。
【0293】
比較例1による組成物は、アミノシリコーンを含んでいなかった。比較例1による組成物は、特有のテクスチャを呈することができた。比較例1による組成物はまた、多少の滑らかさを付与することができたが、これは実施例1による組成物に劣った。一方、比較例1による組成物は、しっとり感、指の通り易さ、及びボリュームダウンコントロール(抗縮れ毛)に関する美容効果を付与することができなかった。
【0294】
比較例2による組成物は、親水性アクリルポリマーを一切含んでいなかった。比較例3による組成物は、両親媒性ポリマーを一切含んでいなかった。比較例2及び3による組成物は、不安定であった。したがって、これらは化粧料用途には好ましくない。