(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの設置構造
(51)【国際特許分類】
E04D 1/30 20060101AFI20231120BHJP
E04D 3/40 20060101ALI20231120BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20231120BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20231120BHJP
H02S 20/25 20140101ALI20231120BHJP
H02S 30/10 20140101ALI20231120BHJP
H02S 40/34 20140101ALI20231120BHJP
【FI】
E04D1/30 603H
E04D3/40 V
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
H02S20/25
H02S30/10
H02S40/34
(21)【出願番号】P 2019134710
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕之
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-167706(JP,A)
【文献】特開平11-270085(JP,A)
【文献】実開昭64-013738(JP,U)
【文献】特開2001-135848(JP,A)
【文献】特開2000-114577(JP,A)
【文献】特開2005-056904(JP,A)
【文献】特開2002-170979(JP,A)
【文献】特開2006-278672(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182256(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
H02S 10/00-10/40
H02S 20/23-20/26
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の野地板および防水シート上に、屋根材の代わりに2次元状に設置される太陽電池モジュールであって、
太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの裏面側に設けられ、前記太陽電池パネルを支持する支持部材と、
前記太陽電池パネルのケーブルまたはコネクタを収容する収容トレーと、
を備え、
前記収容トレーは、
長尺形状であり、
前記ケーブルまたは前記コネクタを収容するための複数の収容部であって、前記太陽電池パネルの端部に沿う第1方向に延びる底部と、前記第1方向に交差する第2方向における前記底部の両端のうち前記太陽電池パネル側の一方端の少なくとも一部から立ち上がる第1側部と、前記底部の両端のうち前記一方端と反対側の他方端の少なくとも一部から立ち上がる第2側部とをそれぞれ有し、前記長尺形状の長手方向に離間して並んだ前記複数の収容部と、
前記複数の収容部から前記太陽電池パネルの端部へ向けて延び、前記複数の収容部を前記太陽電池パネルに固定するための固定部と、
を有し、
前記収容トレーは、前記支持部材の底面を含み、前記底面と平行な平面と離間する、
太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記
複数の収容部
の各々は、前記第1方向に離間する2つの前記第2側部を有し、
2つの前記第2側部の間には、前記底部の他方端側に前記ケーブルを引き出すための空間が形成されている、
請求項1に記載の
太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記収容トレーは、前記
複数の収容部に収容される前記ケーブルまたは前記コネクタを係止するための係止部を更に備える、請求項1または2に記載の
太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記収容トレーは、不燃性材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の
太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記支持部材は、前記太陽電池パネルの一端側に設けられ、
前記収容トレーは、前記太陽電池パネルの一端側に設けられる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記太陽電池パネルの裏面の少なくとも一部を覆う不燃性部材を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記野地板および前記防水シート上に2次元状に設置される状態において、隣り合う太陽電池モジュール同士を係合するための一対の係合部および被係合部を更に備え、
前記係合部は、前記太陽電池パネルの棟側端部である一端側端部の受光面側に設けられ、
前記被係合部は、前記太陽電池パネルの軒側端部である他端側端部の裏面側に設けられる、
請求項
1~6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記係合部と前記収容トレーとは一体的に形成されている、請求項
7に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
建物の野地板および防水シート上に、屋根材の代わりに複数の太陽電池モジュールが2次元状に設置された構造であって、
前記複数の太陽電池モジュールの各々は、
請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールであり、
前記収容トレーは、前記野地板および前記防水シートと離間している、
太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項10】
前記収容トレーは、前記太陽電池パネルの棟側に設けられている、請求項
9に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項11】
前記複数の太陽電池モジュールの各々は、前記太陽電池パネルにおける前記野地板および前記防水シートと対向する主面の少なくとも一部を覆う不燃性部材を更に備える、請求項
9または10に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項12】
前記複数の太陽電池モジュールの各々は、隣り合う太陽電池モジュール同士を係合するための一対の係合部および被係合部を更に備え、
前記係合部は、前記太陽電池パネルの棟側端部の受光面側に設けられており、
前記被係合部は、前記太陽電池パネルの軒側端部の裏面側に設けられており、
前記隣り合う太陽電池モジュール同士における一方の太陽電池モジュールの係合部は、前記隣り合う太陽電池モジュール同士における他方の太陽電池モジュールの被係合部に係合している、
請求項
9~11のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項13】
前記複数の太陽電池モジュールの各々において、前記係合部と前記収容トレーとは一体的に形成されている、請求項
12に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールのケーブルまたはコネクタを収容する収容トレー、その収容トレーを備えた太陽電池モジュール、およびその太陽電池モジュールの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1および2には、建物における屋根材の代わりに用いられる太陽電池モジュールが開示されている。このような太陽電池モジュールの直下には、防水シート(ルーフィング)および野地板(合板)等の可燃性部材が存在する。
【0003】
特許文献1には、隣接地における火災発生時に、隣接地から太陽電池モジュールの表面に飛び火があると、太陽電池モジュールにおける端子ボックスのための裏面金属板の貫通孔を介して端子ボックスまで火が拡がり、屋根の野地板に延焼することがあると記載されている。この点に関し、特許文献1には、太陽電池モジュールの側部まで延ばした裏面金属板上に端子ボックスを配置することが記載されている。また、特許文献2には、太陽電池モジュールの端子ボックスと屋根の野地板との間にこれらを隔離する部材を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-54579号公報
【文献】特許2001-182264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽電池モジュールの高出力化、大電流化により、太陽電池モジュールに何らかの不具合が生じた場合に、太陽電池モジュールのケーブルまたはコネクタから出火する可能性がある。太陽電池モジュールのケーブルおよびコネクタは、防水シート(ルーフィング)および野地板(合板)等の可燃性部材上に直接配置されることがあり、太陽電池モジュールのケーブルまたはコネクタからこれらの可燃性部材へ延焼する可能性がある。
【0006】
本発明は、太陽電池モジュールの設置構造の防火性を高める収容トレー、太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収容トレーは、太陽電池パネルのケーブルまたはコネクタを収容する収容トレーであって、前記太陽電池パネルに固定される状態において、前記ケーブルまたは前記コネクタを収容するための収容部であって、前記太陽電池パネルの端部に沿う第1方向に延びる底部と、前記第1方向に交差する第2方向における前記底部の両端のうち前記太陽電池パネル側の一方端の少なくとも一部から立ち上がる第1側部と、前記底部の両端のうち前記一方端と反対側の他方端の少なくとも一部から立ち上がる第2側部とを有する前記収容部と、前記収容部から前記太陽電池パネルの端部へ向けて延び、前記収容部を前記太陽電池パネルに固定するための固定部と、を備え、前記太陽電池パネルの底面を含み、前記底面と平行な平面と離間する。
【0008】
本発明に係る太陽電池モジュールは、建物の野地板および防水シート上に、屋根材の代わりに2次元状に設置される太陽電池モジュールであって、太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの裏面側に設けられ、前記太陽電池パネルを支持する支持部材と、前記太陽電池パネルのケーブルまたはコネクタを収容する上記の収容トレーと、を備え、前記収容トレーは、前記支持部材の底面を含み、前記底面と平行な平面と離間する。
【0009】
本発明に係る太陽電池モジュールの設置構造は、建物の野地板および防水シート上に、屋根材の代わりに複数の太陽電池モジュールが2次元状に設置された構造であって、前記複数の太陽電池モジュールの各々は、太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルのケーブルまたはコネクタを収容する上記の収容トレーと、備え、前記収容トレーは、前記野地板および前記防水シートと離間している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、太陽電池モジュールの設置構造の防火性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る太陽電池モジュールの設置構造を側面側から示す図である。
【
図2】本実施形態に係る太陽電池モジュール(収容トレー省略)を側面側から示す図である。
【
図3】本実施形態に係る太陽電池モジュール(収容トレー省略)を裏面側から示す図である。
【
図4】本実施形態に係る収容トレーを側面側から示す図である。
【
図5】本実施形態に係る収容トレーを示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る収容トレーを受光面側から示す図である。
【
図7】本実施形態の変形例に係る収容トレーを示す斜視図である。
【
図8】本実施形態の変形例に係る収容トレーを受光面側から示す図である。
【
図9】本実施形態の変形例に係る収容トレーを示す斜視図である。
【
図10】本実施形態の変形例に係る収容トレーを受光面側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0013】
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの設置構造を側面側から示す図である。
図2は、本実施形態に係る太陽電池モジュール(収容トレー省略)を側面側から示す図であり、
図3は、本実施形態に係る太陽電池モジュール(収容トレー省略)を裏面側から示す図である。
図4は、本実施形態に係る収容トレーを側面側から示す図であり、
図5は、本実施形態に係る収容トレーを示す斜視図であり、
図6は、本実施形態に係る収容トレーを受光面側から示す図である。
図1~6、並びに後述する図面には、XY直交座標系が示されている。XY平面は太陽電池モジュール(および後述する太陽電池パネル)の受光面および裏面に沿う面であり、X方向(第2方向)は建物の軒側から棟側に向かう方向である。
【0014】
(太陽電池モジュールの設置構造)
図1に示すように、太陽電池モジュールの設置構造では、建物の野地板5および防水シート(ルーフィング)6上に、屋根材の代わりに複数の太陽電池モジュール1が2次元状に設置されている。この設置構造では、太陽電池モジュール1の端部の一部が重なり合っている。具体的には、隣り合う太陽電池モジュール1,1のうちの一方(軒側)の太陽電池モジュール1の棟側(一端側)の一部は、他方(棟側)の太陽電池モジュール1の軒側の一部の下に重なる。
【0015】
このように、瓦を屋根に葺いたように、複数の太陽電池モジュール1が一様にある方向にそろって傾く堆積構造となることから、このようにして太陽電池モジュール1を設置する方式を、シングリング方式と称する。
【0016】
隣り合う太陽電池モジュール1,1のうちの一方(軒側)の太陽電池モジュール1の係合部17は、他方の太陽電池モジュール1の被係合部18に係合している。
【0017】
(太陽電池モジュール)
図1~
図6に示すように、太陽電池モジュール1は、太陽電池パネル10と、支持部材20と、収容トレー30とを備える。
【0018】
太陽電池パネル10は、太陽電池セルが発電した電力を取り出すための端子ボックス11、ケーブル12およびコネクタ13を有する。
【0019】
図3に示すように、端子ボックス11は、野地板5および防水シート6と対向する太陽電池パネル10の裏面側に設けられている。端子ボックス11は、接着剤を用いて太陽電池パネルの裏面保護材(フイルム、ガラスなど)に取り付けされている。
【0020】
また、太陽電池パネル10の裏面の少なくとも一部には、例えばシート状の不燃性の部材15が設けられている。不燃性部材15の材料としては、金属(例えば、鋼板、アルミニウム、ステンレス)等の不燃性材料が挙げられる。これにより、例えば隣接地における火災発生時に、隣接地から太陽電池モジュール1の受光面に飛び火があっても、建物の野地板5および防水シート6への延焼を抑制することができる。
【0021】
図1および
図2に示すように、太陽電池パネル10には、野地板5および防水シート6上に2次元状に設置された状態において、隣り合う太陽電池モジュール1,1同士を係合するための一対の係合部17および被係合部18が設けられている。係合部17は、例えばフック状の部材であり、太陽電池パネル10の受光面側の棟側端部(一端側端部)に設けられている。一方、被係合部18は、例えばフック状の部材であり、太陽電池パネル10の裏面側の軒側端部(他端側端部)に設けられている。これにより、上述したように、野地板5および防水シート6上に2次元状に設置された状態において、隣り合う太陽電池モジュール1,1同士における一方の太陽電池モジュール1の係合部17は、他方の太陽電池モジュール1の被係合部18に係合することができる。
【0022】
図1~
図3に示すように、支持部材20は、太陽電池パネル10の棟側(一端側)を支持する部材であり、不燃性部材15を介して太陽電池パネル10の裏面側に設けられている。これにより、例えば隣接地における火災発生時に、隣接地から太陽電池モジュール1の受光面に飛び火があっても、支持部材20への延焼を抑制することができる。
【0023】
図3に示すように、支持部材20は、端子ボックス11が野地板5および防水シート6から離間して配置されるように、端子ボックス11を囲う3次元形状であってもよい。
【0024】
収容トレー30は、太陽電池パネル10のケーブル12またはコネクタ13を収容するトレーである。以下、収容トレーについて説明する。
【0025】
(収容トレー)
図1に示すように、収容トレー30は、太陽電池パネル10の棟側(一端側)に配置され、例えば固定用ねじによって支持部材20とともに野地板5に共締めされる。収容トレー30は、太陽電池モジュール1が建物の野地板5および防水シート6上に屋根材の代わりに2次元状に設置された状態において、棟側の隣りの太陽電池モジュールと野地板5および防水シート6との間に配置される。
【0026】
また、収容トレー30は、太陽電池モジュール1が建物の野地板5および防水シート6上に屋根材の代わりに2次元状に設置された状態において、野地板5および防水シート6と離間する、すなわち野地板5および防水シート6から浮いている(換言すれば野地板5および防水シート6に接触していない)。すなわち、収容トレー30は、支持部材20の底面(すなわち、太陽電池モジュール1の底面)を含み、底面と平行な平面Pと離間する。
図1および
図4~
図6に示すように、収容トレー30は、収容部31と、固定部34と、係止部35とを備える。
【0027】
収容部31は、ケーブル12またはコネクタ13を収容する部分である。収容部31は、収容トレー30が太陽電池パネル10に固定され、太陽電池モジュール1が建物の野地板5および防水シート6上に屋根材の代わりに2次元状に設置された状態において、野地板5および防水シート6に沿って、かつ太陽電池パネル10の棟側端部(一端側端部)に沿って、Y方向(第1方向)に延在する。収容部31は、底部32と、第1側部33aと、第2側部33bとを備える。
【0028】
底部32は、野地板5および防水シート6に沿って、かつ太陽電池パネル10の棟側端部(一端側端部)に沿って、Y方向に延在する。
【0029】
第1側部33aは、底部32のX方向(第2方向)の両端のうち太陽電池パネル10側の一方端の全部から、野地板5および防水シート6と反対側に、X方向およびY方向に交差する方向に立ち上がるように延在する。
【0030】
第2側部33bは、底部32のX方向の両端のうち一方端と反対側の他方端の一部から、野地板5および防水シート6と反対側に、X方向およびY方向に交差する方向に立ち上がるように延在する。例えば、底部の他方端側に、Y方向に離間する2つの第2側部33bが形成され、2つの第2側部33bの間に空間が形成されてもよい。これによれば、収容部31に収容されたケーブル12を、2つの第2側部33bの間の空間を介して、隣接する太陽電池モジュール1に導く(引き出す)ことができる。
【0031】
なお、第1側部33aは、底部32の一方端の一部から立ち上がっていてもよいし、第2側部33bは、底部32の他方端の全部から立ち上がっていてもよい。
【0032】
固定部34は、収容部31を太陽電池パネル10に固定するための部材である。固定部34は、収容部31における第1側部33aから、太陽電池パネル10の棟側端部(一端側端部)に向けて延在する。
【0033】
係止部35は、少なくとも1つ設けられる。係止部35は、底部32または側部33a,33bから延在し、底部32と所定間隔で対抗する。係止部35は、底部32に配置されたケーブル12またはコネクタ13を、底部32と挟むようにして固定する(
図1)。
【0034】
収容トレー30の各部31,32,33a,33b,34,35は、不燃性材料を含む。不燃性材料としては、金属材料(例えば、鋼板、アルミニウム、ステンレス)等が挙げられる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の収容トレー30,太陽電池モジュール1および太陽電池モジュールの設置構造によれば、収容トレー30が、建物の野地板5および防水シート6と離間している、すなわち野地板5および防水シート6から浮いている(換言すれば、野地板5および防水シート6と接触していない)。換言すれば、収容トレー30と野地板5および防水シート6との間に空気層が存在する。そのため、ケーブル12またはコネクタ13から野地板5および防水シート6へ熱が伝わり難い。これにより、太陽電池モジュール1に何らかの不具合が生じ、太陽電池モジュール1のケーブル12またはコネクタ13から出火しても、野地板5および防水シート6への延焼を抑制することができ、防火性を高めることができる。
【0036】
更に、本実施形態の収容トレー30,太陽電池モジュール1および太陽電池モジュールの設置構造によれば、収容トレー30が不燃性部材を含むので、更に防火性を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態の収容トレー30,太陽電池モジュール1および太陽電池モジュールの設置構造によれば、収容トレー30が棟側に設けられるので、太陽電池モジュール1を軒側から設置する際に、作業性が向上する。例えば、太陽電池モジュール1のケーブル12またはコネクタ13の上段太陽電池モジュールへの挟み込みを低減することができる。また、例えば、太陽電池モジュール1のケーブル12が所定の場所(収容トレー30)にあるため、太陽電池モジュール1の固定用のねじまたはビスを打ち込む箇所にケーブル12がズレ動くことを防ぎ、誤ってケーブル12を打ち抜くことを防ぐことができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、
図5および
図6に示すように、1つの固定部34に対して1つの収容部31を備える短尺状の収容トレー30を例示した。しかし、収容トレー30はこれに限定されず、
図7および
図8に示すように、1つの固定部34に対して複数の収容部31を備える長尺状の収容トレー30であってもよい。この場合、複数の収容部31は離間していてもよい。これによれば、太陽電池モジュール1の裏面から引き出されたケーブル12またはコネクタ13を収容部31の間の隙間を介して収容部31に導くことができる。
【0039】
また、上述した実施形態では、係合部17と収容トレー30とが別部材である形態を例示した。しかし、係合部17と収容トレー30とはこれに限定されず、
図9および
図10に示すように一体的な部材であってもよい。係合部17と収容トレー30とが別部材である場合、係合部17は太陽電池モジュール1の製造時に取り付けられるのに対して、収容トレー30は太陽電池モジュール1の設置時に取り付ける(現場施工型)。これに対して、係合部17と収容トレー30とが一体的な部材である場合、収容トレー30は上述同様に太陽電池モジュール1の設置時に取り付けられてもよいし(現場施工型)、太陽電池モジュール1の製造時に取り付けられてもよい(太陽電池一体型)。
【符号の説明】
【0040】
1 太陽電池モジュール
5 野地板
6 防水シート
10 太陽電池パネル
11 端子ボックス
12 ケーブル
13 コネクタ
15 不燃性部材
17 係合部
18 被係合部
20 支持部材
30 収容トレー
31 収容部
32 底部
33a 第1側部
33b 第2側部
34 固定部
35 係止部