(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20231120BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2019136210
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】武山 泰豊
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-179199(JP,A)
【文献】特開2011-248435(JP,A)
【文献】特開2011-141886(JP,A)
【文献】特開2015-043167(JP,A)
【文献】特開2008-176662(JP,A)
【文献】特開2017-091397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗で販売した商品毎の売上額を求めるためのデータを、3つ以上の店舗のそれぞれに関して取得する取得手段と、
前記3つ以上の店舗のうちの一店舗である基準店舗と前記3つ以上の店舗のうちの前記基準店舗とは別の対象店舗とで共に販売された商品に関しての前記基準店舗での総売上額と前記対象店舗での総売上額との比率を、前記取得手段により取得されたデータに基づいて算出する処理を、前記3つ以上の店舗のうちの複数の対象店舗に関してそれぞれ行う算出手段と、
前記対象店舗に関して前記取得手段により取得されたデータから求まる商品毎の売上額を、その対象店舗に関して前記算出手段により算出された比率によって正規化する処理を、前記複数の対象店舗に関してそれぞれ行う正規化手段と、
を具備した情報処理装置。
【請求項2】
前記3つ以上の店舗の1つとして予め定められたデフォルト店舗を前記基準店舗として設定する設定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記3つ以上の店舗の1つを予め定められたルールに従って選択して前記基準店舗として設定する設定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記3つ以上の店舗の1つとしてデフォルト店舗が予め定められている場合には当該デフォルト店舗を前記基準店舗として設定し、また前記デフォルト店舗が予め定められていない場合には、前記3つ以上の店舗の1つを予め定められたルールに従って選択して前記基準店舗として設定する設定手段、
をさらに具備する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置を構成するコンピュータを、
店舗で販売した商品毎の売上額を求めるためのデータを、3つ以上の店舗のそれぞれに関して取得する取得手段と、
前記3つ以上の店舗のうちの一店舗である基準店舗と前記3つ以上の店舗のうちの前記基準店舗とは別の対象店舗とで共に販売された商品に関しての前記基準店舗での総売上額と前記対象店舗での総売上額との比率を、前記取得手段により取得された前記データに基づいて算出する処理を、前記3つ以上の店舗のうちの複数の対象店舗に関してそれぞれ行う算出手段と、
前記対象店舗に関して前記取得手段により取得された前記データから求まる商品毎の売上額を、その対象店舗に関して前記算出手段により算出された比率によって正規化する処理を、前記複数の対象店舗に関してそれぞれ行う正規化手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗における売上実績を管理するためには、複数の店舗間で売上を比較することが有用である。しかしながら、売上の金額は、来店客数、客層及び棚作りなどの諸条件によって店舗毎に異なることが当然である。このため、複数の店舗間で売上を比較する場合、各店舗の売上を正規化することが一般的である。
正規化の手法の1つは、店舗間の売上比率を用いる手法である。売上比率は、2つの店舗で共に販売した商品についての両店舗それぞれの総売上額の比率である。このため売上比率は、同一の商品を2つの店舗で販売した場合に、一方の店舗において他方の店舗に対して何倍の売上が期待できるかの指標値となる。そして2つの店舗の一方で販売している商品の商品毎の売上額を売上比率で除算することによって、正規化した売上額を得る。
【0003】
この手法では、多数の店舗で売上を比較する場合には、それら多数の店舗のうちの2店舗の全組み合わせに関して売上比率を算出しなければならない。このため、計算量のオーダーは、店舗数をnと表すならばO(n^2)となる。つまり、店舗数の増加に伴って、計算量が大幅に増加してしまうことになる。
このような事情から、多数の店舗に関する売上を比較するための正規化を行う場合でも計算量を少なく抑えられることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、多数の店舗に関する売上を比較するための正規化を行う場合でも計算量を少なく抑えられる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理装置は、取得手段、算出手段及び正規化手段を備える。取得手段は、店舗で販売した商品毎の売上額を求めるためのデータを、3つ以上の店舗のそれぞれに関して取得する。算出手段は、3つ以上の店舗のうちの一店舗である基準店舗と3つ以上の店舗のうちの基準店舗とは別の対象店舗とで共に販売された商品に関しての基準店舗での総売上額と対象店舗での総売上額との比率を、取得手段により取得されたデータに基づいて算出する処理を、3つ以上の店舗のうちの複数の対象店舗に関してそれぞれ行う。正規化手段は、対象店舗に関して取得手段により取得されたデータから求まる商品毎の売上額を、その対象店舗に関して算出手段により算出された比率によって正規化する処理を、複数の対象店舗に関してそれぞれ行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る情報提供サーバの要部回路構成及び当該情報提供サーバが適用される情報提供システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】
図1中のプロセッサによる集計処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、情報処理装置としての機能を備え、通信ネットワークを介した情報提供を行う情報提供サーバを例に説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供サーバ1の要部回路構成及び当該情報提供サーバ1が適用される情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
この情報提供システムは、情報提供サーバ1、複数の店舗システム2及び情報端末3を含む。そして情報提供サーバ1、複数の店舗システム2及び情報端末3は、通信ネットワーク4を介して通信可能とされている。
なお、本実施形態において「店舗」とは、実店舗及び仮想店舗のいずれであってもよい。そして複数の店舗には、実店舗及び仮想店舗が混在していてもよい。ただし本実施形態では、実店舗のみとする。
【0009】
情報提供サーバ1は、後述する情報提供サービスを提供するための情報処理を実行する。情報提供サーバ1は、例えば情報提供サービスを提供する事業者により運営される。情報提供サーバ1は、当該事業者により所有されていてもよいし、レンタルサーバが用いられてもよい。つまり情報提供サービスは、情報提供サービスの利用者から見ると、クラウドサービスとして提供される。なお、情報提供サービスの提供は、営利及び非営利のいずれであるかは問わない。情報提供サービスを提供する事業者は、店舗を運営する事業者と同じであってもよい。
【0010】
店舗システム2は、商品を販売する店舗毎に設けられる。店舗システム2は、複数のPOS端末21、店舗サーバ22及び店内通信網23を含む。POS端末21は、商品の販売に係わる登録、勘定及び決済などに関わる情報処理を行う。そしてPOS端末21は、そのような情報処理の結果として得られる販売データを店舗サーバ22に送る。販売データは、店舗コード、取引日時、商品リスト、決済結果及び顧客コードなどを含むものであり、既存のPOSシステムで用いられている同種のデータと同様なデータであってよい。店舗コードは、POS端末21が設置されている店舗を識別するために予め定められたコードである。取引日時は、取引が行われた日時である。商品リストは、該当する取引により販売された商品を識別するために定められたSKU(stock keeping unit)コード及び商品の個々の販売金額を表したリストである。SKUコードとしては、JAN(Japan article number)コードが用いられてもよいし、それ以外に定められたコードが用いられてもよい。なお、SKUとは、販売管理上での商品のグループを表す。例えば、「ミックス・サンドウィッチ」と称される同様な多数の商品が販売される場合、これら「ミックス・サンドウィッチ」と称される同様な多数の商品は同一のSKUに属する商品として、同一のSKUコードにより識別される。決済結果は、決済した金額及び適用した決済方法などを表す。
【0011】
店舗サーバ22は、複数のPOS端末21から送られる販売データを収集し、管理する。店舗サーバ22は、収集した販売データを予め定められたタイミングで一括して情報提供サーバ1へと送る。店舗サーバ22は、販売データに任意のデータを付加してもよい。例えば、POS端末21では店舗コードを販売データに含めず、店舗サーバ22が店舗コードを販売データに付加してもよい。
複数の店舗システム2は、いずれも同一の企業に属していてもよいし、複数の企業のいずれかに属していてもよい。ただし本実施形態においては、複数の店舗システム2が、いずれも同一の企業に属することとする。
【0012】
情報端末3は、情報提供サーバ1が販売データ管理のために提供する各種の情報を店舗の担当者等の閲覧者が確認するために用いる情報処理装置である。情報端末3としては、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、あるいはウェアラブル端末などのようなウェブブラウジング機能を備えた既存の機器を用いることが想定される。なお、情報端末3は、複数が情報提供システムに含まれ得るが、
図1においては1つのみを図示している。
【0013】
通信ネットワーク4は、情報提供サーバ1と、店舗システム2及び情報端末3との間で授受される各種のデータを伝送する。通信ネットワーク4としては、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
【0014】
情報提供サーバ1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、通信インタフェース14及び伝送路15を含む。この情報提供サーバ1のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ用コンピュータ装置を用いることができる。
情報提供サーバ1においては、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶ユニット13が伝送路15によって接続されることにより、情報提供サーバ1としての機能を実現するための情報処理を行うコンピュータが構成されている。
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの各種の情報処理プログラムに従って上記の情報処理を実行する。
【0015】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。またメインメモリ12は、プロセッサ11が各種の情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0016】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)などである。補助記憶ユニット13は、プロセッサ11が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ11での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
補助記憶ユニット13が記憶する情報処理プログラムの1つは、情報提供プログラムP1である。情報提供プログラムP1は、情報提供のための後述する情報処理について記述した情報処理プログラムである。また補助記憶ユニット13の記憶領域の一部は、収集データD1及び売上テーブルD2を記憶する領域として利用される。
【0017】
補助記憶ユニット13には、複数の収集データD1が記憶され得る。収集データD1は、複数の店舗システム2のいずれかに関連付けられる。収集データD1は、関連付けられた店舗システム2で予め定められた単位期間に得られた販売データを集積したデータである。単位期間は、情報提供プログラムP1の作成者又は情報提供サーバ1の管理者などによって任意に定められてよい。本実施形態では単位期間は、1日とする。単位期間は他に、1週間又は1ヶ月などとすることが想定される。
【0018】
補助記憶ユニット13には、複数の売上テーブルD2が記憶され得る。売上テーブルD2は、複数の店舗システム2のいずれかが設けられた店舗に関連付けられる。売上テーブルD2は、関連付けられた店舗での売上に関して後述する情報処理によって正規化された売上額を商品毎に表したテーブルデータである。
【0019】
通信インタフェース14は、通信ネットワーク4を介したデータ通信のインタフェースである。
伝送路15は、アドレスバス、データバスおよび制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0020】
次に以上のように構成された情報提供サーバ1の動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
店舗で商品の販売を伴う取引が行われると、POS端末21では当該取引に関する販売データが生成される。そして、1つの店舗システム2に含まれた複数のPOS端末21でそれぞれ生成された販売データは、予め定められたタイミング毎にPOS端末21から店舗サーバ22に収集される。なお、これらの店舗システム2における処理は、既存のPOSシステムなどにおける処理と同様であってよい。
【0021】
さて情報提供サーバ1においてプロセッサ11は、単位期間毎の予め定められた実行タイミングになると、情報提供プログラムP1に基づいて以下に説明する集計処理を実行する。実行タイミングは例えば、単位期間を1日とし、かつ各店舗の営業時間が昼間~夜間であるとするならば、毎日の深夜の一定時刻とする。
図2はプロセッサ11による集計処理のフローチャートである。
なお以下においては、このフローチャートに基づく情報処理の説明に、具体例を併記する。この具体例は、単純化のために、第1の店舗、第2の店舗及び第3の店舗の3店舗が存在することとする。そして直近の1日における第1の商品の売上額が、第1、第2及び第3の店舗にて100万円、0円及び400万円であるとする。直近の1日における第2の商品の売上額が、第1、第2及び第3の店舗にて200万円、300万円及び500万円であるとする。また直近の1日における第3の商品の売上額が、第1、第2及び第3の店舗にて300万円、700万円及び0円であるとする。
【0022】
ACT1としてプロセッサ11は、複数の店舗システム2のそれぞれの店舗サーバ22から、直近の1日分の販売データを収集する。このときにプロセッサ11は、店舗サーバ22から受信した販売データを、それを送信した店舗サーバ22に関連付けら収集データD1に追加する。販売データは、店舗で販売した商品毎の売上額を求めるためのデータの一例である。かくして情報提供プログラムP1に基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは取得手段として機能する。
【0023】
ACT2としてプロセッサ11は、デフォルト店舗が登録済みであるか否かを確認する。デフォルト店舗は、店舗システム2のいずれかが設けられた店舗である。デフォルト店舗は、例えば情報提供サーバ1の管理者によって任意に定められる。プロセッサ11は、別の設定処理において、管理者により指定された店舗の店舗コードを、デフォルト店舗の店舗コードとしてメインメモリ12又は補助記憶ユニット13に保存しておく。そしてプロセッサ11は、ACT2としては例えば、デフォルト店舗の店舗コードがメインメモリ12又は補助記憶ユニット13に保存されているならばYESと判定し、ACT3へと進む。
ACT3としてプロセッサ11は、デフォルト店舗を基準店舗として設定する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT5へと進む。
【0024】
一方でプロセッサ11は、デフォルト店舗の店舗コードがメインメモリ12又は補助記憶ユニット13に保存されていないならばACT2にてNOと判定し、ACT4へと進む。
ACT4としてプロセッサ11は、予め定められたルールに従って、複数の店舗システム2が設けられている複数の店舗のうちの1つの店舗を基準店舗として設定する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT5へと進む。上記のルールは、情報提供プログラムP1の作成者又は情報提供サーバ1の利用者によって定められればよい。上記のルールは例えば、単位期間内に販売した商品のSKUの数が最多であることとする。上記のルールは例えば、単位期間における総売上額が最大であることとする。上記のルールは例えば、単位期間における総売上点数が最大であることとする。
【0025】
単位期間内に販売した商品のSKUの数が最多であることをルールとするならば、具体例の場合、プロセッサ11は第1の店舗を基準店舗として設定する。以下の具体例の説明では、このように第1の店舗を基準店舗とする。
かくして情報提供プログラムP1に基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは設定手段として機能する。
【0026】
ACT5としてプロセッサ11は、複数の店舗システム2が設けられている複数の店舗のうちの基準店舗以外の1つの店舗を対象店舗として選択する。具体例ではプロセッサ11はまず、第2の店舗を対象店舗として選択する。
ACT6としてプロセッサ11は、基準店舗と対象店舗とで単位期間内に共に販売された商品を判定する。つまりプロセッサ11は、ACT1にて基準店舗及び対象店舗に関してそれぞれ取得した直近の1日分の販売データに共通に含まれるSKUコードを全て抽出する。ここで抽出されるSKUコードで識別される商品が、基準店舗と対象店舗とで共に販売された商品である。具体例では、第2の店舗が対象店舗とされているならば、プロセッサ11は、第2の商品及び第3の商品を共に販売された商品として判定する。
【0027】
ACT7としてプロセッサ11は、ACT6にて判定した全ての商品に関して、基準店舗での総売上額と、対象店舗での総売上額とを算出する。プロセッサ11は例えば、ACT1にて基準店舗に関して取得した販売データを対象として以下に説明する計算を行って、基準店舗での総売上額を算出する。またプロセッサ11は例えば、ACT1にて対象店舗に関して取得した販売データを対象として以下に説明する計算を行って、対象店舗での総売上額を算出する。
ここで販売データに含まれる商品リストは、SKUコードに個数と売価とを関連付けて表す場合と、個数は表さずにSKUコードに売価を関連付けて表す場合とが考えられる。後者の場合は、同一のSKUコードが商品リストに複数含まれ得る。ただし、販売データは、通常は複数の商品リストを含むから、販売データには同一のSKUコードが複数含まれ得る。そこで商品リストが個数を表す場合、プロセッサ11は、販売データにおいてACT6にて抽出したSKUコードに関連付けられた販売金額及び個数を個別に乗算する。そしてプロセッサ11は、ACT6にて抽出したSKUコードが販売データに複数含まれるならば、それらに関しての上記の乗算の結果の総和を求め、これを総売上額とする。また商品リストが個数を表さない場合には、プロセッサ11は、ACT6にて抽出したSKUコードに関連付けて販売データに表された販売金額の総和を求め、これを総売上額とする。
具体例では、プロセッサ11は、基準店舗の総売上額を500万円と算出する。また第2の店舗が対象店舗とされているならば、プロセッサ11は、対象店舗の総売上額を1,000万円と算出する。
【0028】
ACT8としてプロセッサ11は、基準店舗と対象店舗との売上比率を算出する。プロセッサ11は例えば、ACT7にて算出した基準店舗の総売上額と対象店舗の総売上額との比率を売上比率とする。具体例では、プロセッサ11は、上記の総売上額の比を、1,000万円/500万円=2と算出する。
ACT9としてプロセッサ11は、ACT6にて共に販売されたと判定された商品のうちの1つを対象商品として選択する。具体例では、プロセッサ11は例えば第2の商品を対象商品として選択する。
【0029】
ACT10としてプロセッサ11は、対象商品に関する対象店舗での売上額を正規化する。プロセッサ11は例えば、対象商品に関する対象店舗での売上額を売上比率で除算することで正規化された売上額を算出する。具体例では、上記のように第2の商品を対象商品としているならば、プロセッサ11は、[300万円/2=150万円]として第2の商品についての第2の店舗における正規化された売上額を算出する。
ACT11としてプロセッサ11は、売上テーブルD2を、ACT10で算出した正規化された売上額を対象店舗の店舗コードに関連付けて含むように更新する。
【0030】
ACT12としてプロセッサ11は、ACT6で判定された商品の全てを対象商品として選択し終えているか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、まだ対象商品とするべき商品が存在するならばNOと判定し、ACT9へと戻る。そしてプロセッサ11は、これまでに対象商品として選択した商品とは別の商品を対象商品として選択した上で、ACT10及びACT11を前述と同様に行う。具体例においては、プロセッサ11は、第3の商品を対象商品とし、[700万円/2=350万円]として正規化された売上額を算出する。
かくして情報提供プログラムP1に基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは算出手段として機能する。
【0031】
プロセッサ11は、ACT6で判定された商品の全てを対象商品としてACT10及びACT11を実行した後には、ACT12にてYESと判定し、ACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ11は、複数の店舗システム2が設けられている複数の店舗のうちの基準店舗以外の全ての店舗を対象店舗として選択し終えているか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、まだ対象店舗とするべき店舗が存在するならばNOと判定し、ACT5へと戻る。そしてプロセッサ11は、これまでに対象店舗として選択した店舗とは別の店舗を対象店舗として選択した上で、ACT6以降を前述と同様に行う。具体例においては、プロセッサ11は、第3の店舗を対象店舗とし、この第3の店舗に関してACT6以降を前述と同様に行う。これにより具体例においては、プロセッサ11は、第1の商品については[400万円/3=133万円]として正規化された売上額を算出する。またプロセッサ11は、第2の商品については[500万円/3=167万円]として正規化された売上額を算出する。なお、ここで具体例は、丸め処理として小数点以下を四捨五入する場合としているが、別の丸め処理を適用しても構わない。
【0032】
プロセッサ11は、複数の店舗システム2が設けられている複数の店舗のうちの基準店舗以外の全ての店舗を対象店舗としてACT6乃至ACT12を実行し終えてACT13へと進んだならば、ACT13にてYESと判定し、この集計処理を終了する。
かくして情報提供プログラムP1に基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは正規化手段として機能する。
【0033】
かくして、店舗のインデックスをi、基準店舗のインデックスをx、商品のインデックスをj、店舗iにおける商品jの売上額をPij、店舗iで販売された商品のインデックスの集合をs(i)としたとき、ACT8で算出される売上比率Riは次式により表される。
Ri=(Σj∈s(i)∩s(x)Pi,j)/(Σj∈s(i)∩s(x)Px,j)
【0034】
さて、店舗の担当者などの閲覧者は、店舗間で売上を比較したい場合には、情報端末3のウェブブラウジング機能を利用して、通信ネットワーク4を介して情報提供サーバ1へとアクセスする。そして閲覧者は、データ表示を要求する操作を情報端末3にて行う。そうすると情報端末3は、通信ネットワーク4を介して情報提供サーバ1に対し、表示開始を要求するための要求データを送信する。
【0035】
この要求データが通信ネットワーク4を介して情報提供サーバ1へと伝送されると、情報提供サーバ1においては通信インタフェース14が当該要求データを受信する。そしてこのように要求データが受信されるとプロセッサ11は、データ表示のための情報処理を情報提供プログラムP1に基づいて実行する。そしてプロセッサ11は、この情報処理により、要求に応じた閲覧ページを表したページデータを生成する。そしてプロセッサ11は、生成したページデータを要求元の情報端末3に宛てて通信インタフェース14から通信ネットワーク4へと送出する。プロセッサ11は、商品毎の売上額を閲覧ページに表す場合には、売上テーブルに示された正規化された売上額を用いる。
【0036】
以上のように本実施形態の情報提供サーバ1によれば、売上額の正規化に関する計算量のオーダーがO(n)となり、多数の店舗に関する売上の比較を行う場合でも計算量を少なく抑えられる。
【0037】
ところで、上記の具体例における売上比率は、第2の店舗に関して「2」であり、また第3の店舗に関して「3」である。このため、この売上比率を用いて前述のように正規化された売上額を比較する場合、第2の店舗と第3の店舗での売上比率が3/2と近似することになる。しかしながら、上記の具体例における第2の店舗と第3の店舗との売上比率は、実際には5/3であり、誤差が生じる。
【0038】
このような誤差が生じても、以下の理由により売上額の比較には有効である。
基準店舗と各店舗との売上比率に生じる誤差が少なく計算される場合を仮定する。つまり、基準店舗と各店舗とについて「同一の商品を販売した場合に何倍の売上が期待できるかを表す倍率」が、誤差が少なく計算される場合を仮定する。基準店舗と第2の店舗との売上比率をRA、基準店舗と第3の店舗との売上比率をRBとすると、各店舗で同一の商品を同一の価格で販売した場合の売上額は以下のようになる。なお、売上比率RAに生じる誤差をεAと表す。また、売上比率RBに生じる誤差をεBと表す。
基準店 → k
第2の店舗 → k・RA+εA
第3の店舗 → k・RB+εB
このとき、第2の店舗と第3の店舗との、この商品のみに限った売上比率は(k・RB+εB)/(k・RA+εA)となる。仮定より、誤差εA,εBは十分に小さくなる。すると、第2の店舗と第3の店舗との、この商品のみに限った売上比率はRB/RAに近くなる。第2の店舗と第3の店舗とで共に販売された別の商品でも同様になり、実際の売上比率は近似された売上比率RB/RAに近くなる。
【0039】
また情報提供サーバ1は、デフォルト店舗が設定されているならば、常にそのデフォルト店舗を基準店舗に設定する。このため、複数の店舗の中にモデルとなるような店舗が存在する場合には、その店舗をデフォルト店舗として設定しておくことによって、その店舗を基準店舗とすることが可能である。
【0040】
また情報提供サーバ1は、デフォルト店舗が設定されていない場合には、予め定められたルールに従って基準店舗を選択する。このため、前述したようなルールを適用すれば、売上比率のために参照する商品のサンプル数を多くすることができ、売上比率がより正規化に適する値となる確率を高めることができる。
【0041】
また情報提供サーバ1は、基準店舗をデフォルト店舗とする場合と、ルールに従って自動的に選択する場合とを、使い分けることができる。このため、利用者のニーズに応じて、いずれかを使い分けることができる。
【0042】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
基準店舗は常にデフォルト店舗に固定であってもよい。あるいは基準店舗は、必ず予め定められたルールに従って選択されてもよい。つまりプロセッサ11は、ACT2を行うことなしに、ACT3又はACT4を行ってもよい。
【0043】
基準店舗を選択するためのルールとして、予め用意された複数のルールのうちの利用者により予め指定されたルールを適用してもよい。
【0044】
販売データは、商品リストを含まず、商品毎の総売上額をSKUコードに関連付けて表したデータであってもよい。つまり、商品毎の総売上額の算出は店舗サーバ22で行われてもよい。そしてこの場合にプロセッサ11は、ACT7を省略する。
【0045】
ACT5乃至ACT12の処理は、複数の店舗システム2が設けられている複数の店舗のうちの基準店舗以外の店舗の一部のみに関して実行してもよい。この場合にプロセッサ11は、例えば正規化を行うべき店舗として予め定められた店舗のみをACT5にて選択する。
【0046】
プロセッサ11が実行する情報処理を、複数の情報処理装置にそれぞれ備えられた複数のプロセッサにより分散処理してもよい。
【0047】
情報端末3における情報提供サーバ1とのやり取りや閲覧画面の表示のための情報処理は、専用のアプリケーションプログラムに従って実行されてもよい。
【0048】
情報処理によりプロセッサ11が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…情報提供サーバ、2…店舗システム、3…情報端末、4…通信ネットワーク、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶ユニット、14…通信インタフェース、15…伝送路、21…POS端末、22…店舗サーバ、23…店内通信網。