(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】物品保管装置、物品管理方法
(51)【国際特許分類】
E05B 65/00 20060101AFI20231120BHJP
G06Q 10/0836 20230101ALI20231120BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231120BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20231120BHJP
【FI】
E05B65/00 D
G06Q10/0836
H01M10/48
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2019139000
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】中尾 頼人
(72)【発明者】
【氏名】東出 和教
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 貴靖
(72)【発明者】
【氏名】小暮 正幸
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-111125(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027199(JP,U)
【文献】特開2018-97202(JP,A)
【文献】特開2017-143632(JP,A)
【文献】特開2013-69691(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039014(WO,A1)
【文献】特許第6528870(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/00
G06Q 10/0836
H01M 10/48
H01M 50/20
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠される扉で開閉される空間に物品を収容する複数のボックスと、
前記複数のボックスの
いずれか一つのボックスに配置される充電可能な蓄電池と、
前記いずれか一つのボックスに配置された蓄電池から電力が供給されて駆動される駆動部と、
各ボックスに物品を保管するときの保管条件に応じて各ボックスに対応する前記駆動部に対する必要電力量を演算する演算部と、
前記いずれか一つのボックスに配置されている蓄電池の充電量と、各ボックスの必要電力量と、に基づいて、
前記いずれか一つのボックスに配置された蓄電池の充電量を管理する管理部と、を備える物品保管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品保管装置において、
前記
いずれか一つのボック
スの前記空間には、前記蓄電池を保持する蓄電池保持部が設けられている、物品保管装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物品保管装置において、
前記蓄電池保持部は、前記扉を開けた状態で、前記蓄電池が挿入され、前記蓄電池が抜き出されるスロットを有する、物品保管装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の物品保管装置において、
前記蓄電池は、独立して交換可能な複数の電池を有し、
少なくとも一つの前記電池を前記駆動部に接続する切替器と、
前記接続されている前記電池の充電量が所定値以下になると、他の少なくとも一つの前記電池に制御を切換えるべく前記切替器を駆動する切換制御部とを含む、物品保管装置。
【請求項5】
請求項4に記載の物品保管装置において、
前記蓄電池の充電量が不足すると判定した場合、前記複数の電池の少なくとも一部の交換、または、前記蓄電池の交換を指示する指示部をさらに有している、物品保管装置。
【請求項6】
施錠される扉で開閉される空間に物品を収容する複数のボックスと、
前記複数のボックスの
いずれか一つのボックスに配置される充電可能な蓄電池と、
前記いずれか一つのボックスに配置された蓄電池から電力が供給されて駆動される駆動部と、を備えた物品管理装置において、
各ボックスに物品を保管するときの保管条件に応じて各ボックスに対応する前記駆動部に対する必要電力量を演算し、
前記いずれか一つのボックスに配置されている蓄電池の充電量と、各ボックスの必要電力量と、に基づいて、
前記いずれか一つのボックスに配置された蓄電池の充電量を管理する、
物品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管装置、物品保管システム、および、コンピュータによる物品の格納引取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている宅配ロッカーは、集荷した荷物を冷却して保管するボックスと、ボックス冷却用の直流電源と、外部のAC100V電源から電力の供給を受けるコントローラとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている宅配ロッカーは、AC100V電源を必要としている。したがって、AC100V電源などの商用電源が準備しがたい場所、たとえば、戸建て住宅の門扉の外、駐車場、広場、公園などに宅配ロッカーを設置することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の第1の態様による物品保管装置は、施錠される扉で開閉される空間に物品を収容する複数のボックスと、電力が供給されて駆動される駆動部と、商用電源を利用することなく、物品を保管する期間に必要十分な充電容量を有する蓄電池とを備える。
(2)本発明の第2の態様による物品保管システムは、施錠される扉で開閉される空間に物品を収容する複数のボックスと、電力が供給されて駆動される駆動部と、商用電源を利用することなく、物品を保管する期間に必要十分な充電容量を有する蓄電池と、駆動部への必要電力量を演算する演算部と、蓄電池の充電量と必要電力量とに基づいて、蓄電池の充電量を管理する管理部とを備える。
(3)本発明の第3の態様は、格納者が蓄電池内蔵の物品保管装置に物品を第1地点で格納し、引取者が格納した物品を第2地点で引き取るコンピュータで管理する物品格納引取り方法において、コンピュータは、第1地点における物品の格納処理では、格納者による物品の格納情報と引取り情報を受信し、物品保管装置を第1地点から第2地点まで搬送することを指示し、物品保管装置が第2地点に到着したことの確認情報を受信し、確認情報を受信すると、第2地点で物品の引取りが可能であることと引取り情報を引取者に通知する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、商用電源がない場所、商用電源が使用しづらい場所に物品保管装置を設置することができる。また、商用電源を用いることなく蓄電池のみで物品を保管する装置であっても、保管期間の充電量を管理するので、保管期間内に物品を確実に引き取ることができる。さらに、異なる地点で物品を授受する際、格納者、搬送者、引取り者との間の情報をコンピュータが一括管理することで、円滑で効率のよい物品格納引取りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態の物品保管装置の利用例を説明する図
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る物品保管装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)は一部内部構造を示す側面図
【
図3】
図3は、第1実施形態の物品保管装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図4】
図4(A)は、第1実施形態の一つの荷物ボックスの外観斜視図、(B)は荷物ボックス内を示す斜視図
【
図5】
図5は、第1実施形態の制御処理で使用される対応テーブルを示す図
【
図6】
図6は、第1実施形態の預かり処理の処理手順を示すフローチャート
【
図7】
図7は、第1実施形態の引取処理の処理手順を示すフローチャート
【
図8】
図8は、第1実施形態の温調設定処理手順を示すフローチャート
【
図9】
図9は、第1実施形態の温調制御処理手順を示すフローチャート
【
図10】
図10は、第1実施形態の電池切替処理手順を示すフローチャート
【
図11】
図11は、第1実施形態の電池交換処理手順を示すフローチャート
【
図12】
図12は、第2実施形態の物品保管システムの利用例を説明する図
【
図13】
図13は、第2実施形態の格納処理の処理手順を示すフローチャート
【
図14】
図14は、第2実施形態の引取処理の処理手順を示すフローチャート
【
図15】
図15は、第3実施形態の物品保管システムの利用例を説明する図
【
図16】
図16は、第3実施形態の格納処理の処理手順を示すフローチャート
【
図17】
図17は、第3実施形態の搬送、引取処理の処理手順を示すフローチャート
【
図18】
図18は、第3実施形態の引取処理の処理手順を示すフローチャート
【
図19】
図19は、第1実施形態の物品保管装置を移動して利用する例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
-第1実施形態-
第1実施形態による物品保管装置の利用形態について、
図1を参照して説明する。第1実施形態は、単体で使用されるスタンドアロン式の物品保管装置10に本発明を適用するものであり、商用電源の接続が難しい場所に設置されて使用される。
物品保管装置10には複数の荷物ボックス12と、電源装置13とが設けられている。電源装置13は蓄電池を電源とするものであり、蓄電池を含んで構成されている。格納者100は荷物PAを荷物ボックス12に預け入れし(保管し)、引取者150が荷物PAを荷物ボックス12から取り出して引き取る。荷物ボックス12には施錠される開閉扉11が設けられている。また、物品保管装置は、保管条件などに応じた料金を算出し、保管条件を表示したり印字する機能を有する。これら施解錠部、表示部、機能を実現する制御部などに電源装置13から電力が供給される。
荷物ボックス12に、保冷用温調装置、保温用温調装置を設け、保冷が必要な荷物、保温が必要な荷物を一時的に保管可能に構成してもよい。この場合、電源装置13からこれらの温調装置に電力が供給される。
電源装置13を搭載しているので、商用電源が利用できない場所や利用しにくい場所にも物品保管装置を設置することができる。
【0009】
なお、格納者100と引取者150は同一人物、または、他人である。他人が配送サービス会社の集荷担当者でもよい。同一人物の場合、物品保管装置10は、本人が一時的に荷物を預けるコインロッカーとして利用される。引取者150が他人の場合、フリマーケットなどで販売した商品の受け渡し装置として利用される。引取者150が集荷担当者の場合、配送した物品の集荷装置として利用される。
【0010】
図19に示すように、物品保管装置10を第1地点から第2地点へトラック61で搬送して利用することもできる。第1地点で開催された多くの参加者が集まるイベント会場で使用した物品を、本人が第2地点で引取るような利用形態である。例えば、横浜在住のイベント参加者が東京で開催されたイベントに参加し、イベントで使用した物品、入手した物品を横浜で引き取るような利用形態である。商用電源が入手しづらい会場でのイベント開催時に有効に活用できる。
【0011】
(物品保管装置の全体構成)
図2は、第1実施形態の物品保管装置を説明する図である。第1実施形態の物品保管装置10は、多数の人々が集まる場所に設置して使用される。扉11で開閉される空間内に荷物が格納される複数個のボックス12と、荷物の保管中は扉11を施錠し、保管終了時に扉11を解錠する図示しない施解錠機構とを有する。
物品保管装置10はまた、商用電源を利用することなく、電力を供給する電源装置13と、電源装置13の電力を利用して、ボックス内の荷物を温調する温調装置14と、扉11に設けられている表示操作装置15と、扉11の施錠/解錠制御、温調装置14の温度制御、表示操作装置15の表示制御などを行う制御装置16とを備える。
表示操作装置15は扉11の表側に設けられ、制御装置16は扉11の裏側(背面側)に設けられている。
【0012】
(ボックス12)
実施形態では、15個のボックス12がフレーム12aにマトリクス状に配置されている。いずれか一つのボックス12の内部空間(
図2では、ボックス12A)内には、電源装置13と温調装置14とが収容されている。フレーム12aは、ボックス12を支持する構造物であり、移動して使用することを想定して搬送補助装置を設けることもできる。搬送補助装置として、図示しないが、クレームなどで持ち上げるための吊下環、フォークリフトで持ち上げるためのフォーク差し込み構造などが使用できる。あるいは、走行装置を内蔵して自走式物品保管装置10として構成しても良い。
【0013】
(温調装置14)
温調装置14は、一つのボックス12Aに設けられ、
図3に示すように、保冷装置14Eと、保温装置14Fと、温調制御部14Dとを含んで構成されている。温調装置14は、冷却空気を生成するコンプレッサなどを有する冷却装置、加熱空気を生成するヒータなどを有する加熱装置、温調空気を送風するファン装置14Bなどを含む。温調装置14で保冷用に温調された空気は、ファン装置で冷却用管路14C(
図2参照)から各ボックス12に供給され、保温用に温調された空気は、ファン装置14Bで保温用管路14H(
図2参照)から各ボックス12に供給されるように構成されている。これにより、各ボックス12の空間内の温度を冷蔵または保温に適した温度に維持することができる。
なお、
図2では、冷却用管路14Cおよび保温用管路14Hが一つの荷物ボックスに接続されているが、すべての荷物ボックスが温調可能に構成する場合、すべての荷物ボックスに二つの管路14C,14Hが接続されている。また、第1実施形態の温調装置14は、冷蔵、保温の双方の温調装置を設けているが、いずれか一方の温調装置のみを設けてもよい。
【0014】
(表示操作装置15)
図3と
図4に示すように、表示操作装置15は、表示パネル15aとタッチパネル15bとを有するタッチパネル付きディスプレイ15Aと、表示操作制御部15Bとを有する。荷物預入れ時と荷物引取り時にタッチパネル15bが操作されると、表示操作制御部15Bは、荷物の預入れ、荷物の引取りに関する入力操作を受け付け、各種情報が表示パネル15aに表示される。すなわち、荷物の預け入れ操作と引取り操作はタッチパネル15bのタッチ操作で行われる。荷物を預入する際は、タッチパネル15bからボックス番号、保冷、保温機能の使用の有無、希望引取り日時などを含む保管条件が入力される。保管条件が入力されると、表示パネル15aには、ボックス番号、引取り番号、引取り期限、料金などの保管情報が表示される。料金を収納して施錠スイッチ17Aを操作すると、施解錠機構17Bにより扉11が施錠される。また、引取り番号を含む保管受付情報が印字された引き受け領収証が発行される。
図4(B)に示すように、表示操作装置15は、扉11に内蔵され、扉11の表面に表示パネル15aの画面が露出され、扉11の後面に制御装置16が固定されている。
【0015】
(電源装置13)
電源装置13は、商用電源の電力に代えて、物品保管装置が必要とする電力を供給するものである。この電源装置13は、独立して交換可能な複数の電池パック13A(
図3、
図4参照)を備える。電池パック13Aは2次電池であり、たとえば、電動車両の車載バッテリとして利用されているものを流用してもよい。電源装置13の充電量が低減したときは電源装置ごと交換するか、電池パックごと交換することができる。4つの電池パック13Aを含む電源装置13を蓄電池と総称することができる。
電源装置13に必要な充電量は、各ボックスの預かり条件(保管条件)に基づき計算される電力と、物品保管装置10の基本電力とに基づいて計算される。電力計算に用いられる預かり条件は、たとえば、保冷、保温機能の有無、預かり期限などである。基本電力は、複数個のボックスの使用頻度を予め設定し、使用頻度に基づいて算出される扉11の施解錠駆動電力と、表示操作装置15の駆動電力などから予め設定されている。
【0016】
図3に示すように、電源装置13は、複数の電池パック13Aと、複数個の電池パック13Aの容量などを管理する電池制御部13Bと、切替スイッチ13Cとを含んで構成されている。電池制御部13Bは、複数個の電池パック13Aの電圧、電流、温度などを検出するセンサ(
図3では電圧センサ13Dのみ図示)の出力を入力し、個々の電池パック13AのSOC(State of Charge)を演算する。電池制御部13Bには搭載される電池パック13Aの満充電量Qmaxが記憶されている。電池制御部13Bは、SOCと満充電量Qmaxとに基づいて電池パック13Aの切替え、電池パック13Aの充電、交換を制御する。
【0017】
たとえば
図4に示すように、ボックス12A内には、電池パック13Aを交換可能に保持する電池ホルダ13Hが設けられ、電池ホルダ13Hの4つのスロットのそれぞれには、それぞれ電池パック13Aが収容されている。電池パック13Aは、扉11を開いて一つずつ手前に引き出して取り外すことができる。ボックス12Aには、電池パック13Aを挿入すると後述する切替えスイッチ13Cの接点に接続し、抜出すと接点から外れるようなコネクタが設けられている。電池ホルダ13Hにはまた、扉11が閉じているときは電池パック13Aをロックし、扉11が開いているときは電池パック13Aをロック解除する電池パックロック/アンロック機構も備えている。また、4つの電池パック13Aが挿入されたまま、電池ホルダ13Hを抜き出すこともできる。電池ホルダ13Hのロックアンロック機構も設けられている。
【0018】
(制御装置16)
制御装置16は、物品保管装置の有する種々の機能を実現する装置である。種々の機能は、物品保管装置としての基本機能、保管条件に従ってボックス12内の温度を維持する温調装置14の温度制御機能、表示操作装置15の表示制御機能、電源装置13の電力制御機能などがある。
基本機能は、タッチパネル15bからのデータ(ボックス番号、保管条件、保管期限、料金の支払など)を入力し、預かりサービス(保管サービス)を受付けて扉11を施錠し、および、預かり終了の指示によって預かりサービスを終了する預かり制御、ボックス12の荷物保管状況などをディスプレイ15Aに表示する機能である。扉11の施錠/解錠制御も基本機能である。
温調制御機能は、保管条件にしたがって温調装置14を駆動制御する機能である。
電力制御機能は、電源装置13の充電量などを管理する、いわゆるバッテリメネジメント機能である。電力制御機能は、保管条件として温調装置14で保冷、保温機能が指示されている場合、荷物の保管期間内に必要な電力量を計算し、各電池パックの残容量に基づき、使用する電池パックの切替え条件の設定、充電量が不足する場合の保管条件の変更、電源装置13への充電制御などを実行する機能である。
これらの機能を実現する制御装置16は、CPU、ROM、RAM、周辺回路を有する演算処理装置、ハードロジック回路、ハード駆動回路などで構成することができる。すなわち、制御装置16は温調装置14、電源装置13などの駆動要素を制御する。
【0019】
図3に示す施解錠制御部17は、電源装置13からの電力で駆動され、扉11を施錠し、解錠する装置であり、
図4に示す施錠スイッチ17A、施解錠機構17Bを含む。施解錠機構17Bは、扉11にキーを差し込んで施錠解錠する構成、タッチパネル15Bの施錠解錠アイコンをタッチして施錠解錠する構成など、種々の形式がある。管理センタ(不図示)で物品保管装置10を集中管理する形態であれば、扉11からの施錠解錠操作を許可、不許可する制御も可能である。
【0020】
(基本機能)
物品保管装置の基本機能について説明する。
荷物預入時、制御装置16は、格納者のタッチパネル15bの操作により、ボックス番号、保管条件、期限、料金の支払、荷物の引取り終了などが入力されると、預かりサービスを受け付ける。制御装置16は、預かりサービスを受け付けると、施解錠制御部17に施錠指令出力して扉11を施錠し、引取り番号などを表示し印刷した引取票を発行する。制御装置16は、ボックス番号と対応付けて保管条件、引取り番号を登録し、預かりサービスを開始する。
【0021】
荷物引取り時、制御装置16は、引取者のタッチパネル15bの操作により、ボックス番号、引取り番号などが入力されると、データの照合を行う。照合が正しければ正規の引取者による操作と判定し、料金が正しく清算されている場合には、施解錠制御部17に解錠指令を送信し、施解錠制御部17は扉11を解錠する。追加料金が発生するなどの理由により、料金の精算が完了していないと判定され場合、制御装置16は、不足する料金を表示パネル15aに表示する。引取者が追加料金を精算すると、制御装置16は、施解錠制御部17に解錠指令を出力し、施解錠制御部17は扉を解錠する。これにより、荷物預かりサービスを終了する。
【0022】
図5は保管条件テーブルを示す図である。保管条件テーブルは、荷物ボックス番号に対応づけた保管条件が記憶される対応テーブルであり、制御装置16の記憶装置に設けられる。
項目91には荷物ボックス番号項目が記憶される。第1実施形態では、予め荷物ボックス番「1」~「15」に対応する数値が登録される。92には保管モードの状態値が記憶される。状態値は、保管サービス実行中は「1」が、終了中は「0」がセットされる。項目93には保管サービス実行開始時間が記憶される。項目94には保管サービス終了予定日時が記憶される。項目95には保管サービス引取り番号が記憶される。項目96には温調制御の有無と、温調の種類が記憶される。温調制御無しは「00」、有は「01」が上位2ビットにセットされ、下位2ビットには、常温(温調制御無し)は「00」、保冷は「10」、保温は「11」がそれぞれセットされる。たとえば、常温は「0000」、保冷は「0110」、保温は「0111」である。項目97には料金と検収結果が記憶される。料金は、預かり期間に応じて計算される。料金は上位の数ビットにセットされ、下位2ビットには、検収未が「00」、検収済みが「01」にセットされる。項目98には延長の有無、延長後の引取り予定日時が記憶される。延長無しは「00」が、延長有りは「01」が上位2ビットにセットされる。下位ビットに延長日時が記憶される。
【0023】
図6および
図7は、基本機能の処理手順を示すフローチャートである。制御装置16のCPUでプログラムを実行して行われる。
(預かり処理)
図6は預かり処理を示す。預かり処理は、扉11が開かれたことを施解錠機構17Bに設けたセンサ(不図示)により検出して実行が開始されるプログラムで行われる。
ステップS1において、ボックス番号、保管条件(保管温度や引き取り期限)が入力されると、保管モードが設定され、ボックス番号、保管条件などが制御装置16の記憶装置に設定された対応テーブルに記憶される。ステップS2において、保管条件に基づいて料金計算を行うとともに、引き取り番号を自動採番し、預かり情報(引取り期限、引取り番号など)の表示を行う。ステップS3において、料金支払の検収が判定されると、ステップS4において、当該荷物ボックスに対する預かり制御(預かりサービス)が開始される。預かり制御には、施錠、保管条件情報の出力、温調管理が含まれる。保管条件情報の出力は、紙媒体への印刷出力、通信による依頼者へのデータ出力などが含まれる。
【0024】
(引取り処理)
図7は引取り処理を示す。引取り処理は、荷物保管処理中(預かりサービス実行中)にタッチパネル15bの施解錠アイコン等を操作することで解錠の意思表示を検出すると、実行が開始されるプログラムで行われる。
ステップS11において、ボックス番号、引取り番号が入力されると、ステップS12
において、当該ボックスは荷物保管処理中であったか否かを判定し、ステップS12Aにおいて、荷物保管中であった状態から解錠の意思があったと判定されると、ステップS13に進む。
ステップS13において、ボックス番号に対する引取り番号が記憶中の保管条件に一致するか否かを判定する。一致するとステップS14に進み、一致しないと処理を中止する。
ステップS14では、当該荷物ボックスの扉11を解錠する指令を施解錠駆動部17Bに出力する。これにより扉11が解錠される。ステップS15において、保管処理(預かり制御)を解除する。これにより、保管モードがリセットされる。
【0025】
図8は温調制御の有無と温調の種類を設定する手順を示すフローチャートである。扉11が開かれると保管サービスを始める際の初期設定が行われる。初期設定とは、タッチパネル15bから入力される保管条件に応じて対応テーブルに保管条件が設定されることである。ステップS21において、該当する荷物ボックス番号に預入する荷物の温調の有無が判定される。たとえば、タッチパネル15bから希望する温度が入力されると、ステップS22において、希望する温度が所定温度範囲以内であれば常温と判定し、ステップS23において対応テーブルには温調無しの状態値がセットされる。ステップS24において、希望する温度が所定温度範囲未満であればステップS25で保冷の状態値がセットされ、ステップS24において所定温度範囲を超えていればステップS26で保温の状態値がセットされる。
【0026】
(温度制御機能)
温度制御機能は、温調制御部14Cで実現される。制御装置16は、預かり荷物の保管条件として保冷、保温機能が含まれることを判定すると、温調制御部14Cに温調制御を実行させる。保冷機能は、荷物ボックス12内の温度を保冷温度に維持すべく温調制御を実行する。荷物ボックス12内には温度センサ12S(
図3参照)が設置され、保管条件として温調が含まれている場合、温度センサ12Sを駆動して荷物ボックス12内の温度を監視する。温調制御部14Cは、監視した温度に基づき、荷物ボックス12内の温度が保冷、保温に適した温度範囲となるように温調装置14を駆動制御する。
【0027】
(温調制御処理)
図9は、温調制御機能の処理手順を示すフローチャートである。温調制御部14CのCPUでプログラムを実行して行われる。
図9を参照して温調制御処理を説明する。温調制御処理は、預かり保管モードが設定されると実行されるプログラムで行われる。
ステップS31において、荷物ボックス番号に基づいて保管条件テーブルを参照し、保管条件を読み出す。保管条件の温調条件に応じた温調制御を開始する。ステップS32において、荷物ボックスの温度センサ12Sの検出温度を読み込み、目標温度となるようにステップS33~S37の処理を実行して温調制御部14Cが保冷装置14A、保温装置14Bを駆動制御する。ステップS33において、常温での保管であると判定されると温度の増減は行わずに終了する。
【0028】
(電力制御機能)
電力制御機能は、電池制御部13Bで実現される。電池制御部13Bは、電源装置13の電池パック13Aの電池残容量を演算し、物品保管装置10で保管する預かり荷物の保管期限まで電池パック13Aの電池残容量を監視する。実施形態では、
図3,
図4に示すように、4つの電池パック13Aを並列接続し、いずれか一つの電池パックで必要な電力を供給する。使用中の電池パックの残容量は電圧センサ13Dで検出され、使用中の電池パック13Aの検出電圧、電流などから演算されたSOCが所定値以下になったことを電池制御部13Bが判定すると、電池制御部13Bは切替えスイッチ13Sを切換駆動して次の電池パック13Aに切替える。
予め設定された切替順に電池パック13Aを切替えたり、未使用の3つの電池パック13Aのうち残容量の最も多い電池パック13Aに切替えることもできる。なお、保管開始時にすべての電池パックが満充電となるように電池パックの充電容量を管理するのが好ましい。選択された電池パック13Aは保冷装置14A、保温装置14Bに接続されて電力を供給する。
【0029】
物品保管装置10に必要な電力量は、次のように計算される。
14個の荷物ボックス12の温調に必要な電力量をW1~W14、4つの電池パック13Aの各残容量をZ1~Z4とする。電源装置13に必要な電力量Wallは、15個の荷物ボックス12の電力量の総和WBallとして算出できる。電源装置13の使用可能電力量を、4つの電池パック13Aの充電量の総和Zallである。4つの電池パック13Aの充電量の総和Zallが電源装置13に必要な電力量WBallより大きい場合、電源装置13の交換、電池パック13Aの交換は不要である。4つの電池パック13Aの充電量の総和Zallが電源装置13に必要な電力量WBallより小さい場合、電源装置13の交換あるいは電池パック13Aの交換が必要である。
電源装置13を交換する必要があること、あるいは電池パック13Aを交換する必要があることは、制御装置16から図示しない管理センタへ通知したり、管理担当者に通知して行うことができる。
【0030】
荷物ボックス12で必要な電力量は次のように計算することができる。
荷物ボックス12に荷物が保管されていない場合の必要電力をWb0、温調せずに荷物が保管されている場合の必要電力をWb1、保冷で荷物が保管されている場合の必要電力をWb2、保温で荷物が保管されている場合の必要電力をWb3とすると、14個の荷物ボックス12のそれぞれの必要電力を合算した値が、必要電力量WBallである。各ボックスで必要な電力量は、上述した基本電力と温調装置14の電力とを加算して算出することができる。
【0031】
(電池切替処理)
図10は、電池切換制御機能の処理手順を示すフローチャートである。電池制御部13BのCPUでプログラムを実行して行われる。
図10を参照して説明する。電池切換制御処理は、物品保管装置10の利用期間中は所定時間間隔で実行され、4つの電池パックの切替えを制御する。
ステップS41において、使用中の電池パックのSOCを検出する。ステップS42において、検出したSOCが所定値以下であれば、ステップS43において電池制御部13Bは、次の電池パックに切替えるよう切換スイッチ13Cを切替える。これにより、予め設定されている順番の電池パックに切換えられる。
なお、SOCに代えて電圧を用いて切換え判定してもよい。
【0032】
(電池交換処理)
図11は、電池交換制御機能の処理手順を示すフローチャートである。電池制御部13BのCPUでプログラムを実行して行われる。
図11を参照して電池交換処理を説明する。電池交換処理は、物品保管装置10の利用期間中は所定時間間隔で実行され、電源装置13の交換の有無を判定する。
ステップS51において、14個の荷物ボックス12のそれぞれが必要とする電力量を計算し、ステップS52において、その総和WBallを演算する。総和電力量WBallが必要な電力量である。ステップS53において、4つの電池パックの残容量を計算し、その総和Zallを計算する。総和充電量Zallが電源装置13として出力可能な電池残容量である。ステップS54において、4つの電池パック13Aの充電量の総和Zallが電源装置13に必要な電力量WBallより小さいと判定されると、電源装置13の交換あるいは電池パック13Aの交換が必要である。この場合、ステップS55において、電源装置13を交換する必要があること、あるいは電池パック13Aを交換する必要があることを、制御装置16により管理センタへ通知したり、管理担当者に通知して行う。
ステップS54において、4つの電池パック13Aの充電量の総和Zallが電源装置13に必要な電力量WBallより大きいと判定されると、電源装置13の交換、電池パック13Aの交換は不要と判定し、ステップS51に戻り、電池交換要請は出力されない。
【0033】
第1実施形態の物品保管装置10を使用すると、たとえば、荷物の所有者本人がボックス内に荷物を収容し、所定期間経過後に、同一の場所で荷物を引き取ることができる。あるいは、物品保管装置10を使用すると、たとえば、配送業者は、物品保管装置に配送すべき荷物を預け入れし、引取り人宛に物品保管装置に荷物を届けたことを通知し、配送業者からの通知を受けた引取り人が荷物を引き取ることができる。
【0034】
第1実施形態の物品保管装置の使用方法を説明する。
(荷物預入)
図1と
図6を参照して説明する。荷物を預け入れする者(以下、格納者と呼ぶ)100は荷物PAの所有者、荷物の配送業者などであるが、第1実施形態では、荷物の所有者を格納者として説明する。格納者100は、空のボックス12の扉11を開き、ボックス12に荷物PAを入れる。タッチパネル15bを操作してボックス番号と保管条件を入力する。制御装置16はこれらの入力情報を受け付ける(
図6のステップS1)。入力する保管条件は、温調の使用有無、預入(保管)期間などである。制御装置16は、保管条件から料金を計算し、引き取り番号を自動採番し、ディスプレイ15aに金額と引き取り情報を表示する(
図6のステップS2)。制御装置16は、温調の使用の有無と預入期間により料金を計算する料金算出マップを備えている。
料金の投入が確認されると(
図6のステップS3)、物品保管装置10は、所定の制御を実行する。すなわち、預かり制御(保管サービス)を開始する(
図6のステップS4)。所定の制御には、たとえば、扉11の施錠、ボックス12内の温調制御、ディスプレイ15aの表示(当該ボックス番号が使用中である旨の表示)、引取情報の出力などを含まれる。引取り情報には、預入したボックス番号、引取番号、引取り期限等を含み、出力とはそれらの情報を印刷することを含む。
なお、料金の精算は、硬貨や紙幣の投入によるものとして説明したが、プリペイドカード、ユーザが預入サービス業者に登録したクレジットカード、スマートフォンによる電子決済など、いずれでもよい。硬貨や紙幣を投入しない後者の決済方式では、ディスプレイ15aに表示した金額に格納者が合意することを入力すると預かり管理を開始する。
【0035】
(荷物引取り)
図1と
図7を参照して説明する。荷物の引取者150が、表示操作装置15のタッチパネル15bなどから解錠の意思を入力し、ボックス番号と引取り番号を入力すると、制御装置16はこれらの入力情報を受け付ける(
図7のステップS11)。制御装置16は、入力されたボックス番号と引取番号とが保存されているボックス番号と引取番号と一致したことを判定すると(
図7のステップS13)、該当ボックスを解錠し(
図7のステップS14)、当該ボックスの預かりが完了したと判断し、当該ボックスの保管条件をリセットする
図7のステップS15)。
配送業者が荷物の受け渡しを行うべく利用する場合は、配送業者に荷物の引取りが完了したことを通知する。
【0036】
-第2実施形態-
第2実施形態はクライアント-サーバ系で構成される物品保管システムである。
図12~
図14を参照して説明する。
図1と同様な箇所には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。物品保管装置10は、公衆回線52で管理センタ50と通信する通信装置18を備えている。荷物の格納者100と引取者150はスマートフォンのような携帯端末51で管理センタ50と通信して預かり荷物に関する情報を授受する。
管理センタ50は、サーバなどの演算処理装置と、種々の場所に設置されている複数の物品保管装置10を管理するデータベースと、公衆回線52を介して物品保管装置10と通信を行う通信装置などを備えて構成されている。
【0037】
図13は、第2実施形態の処理手順を示す。
格納者100は、携帯端末51により、管理センタ50と通信し、格納者情報、ボックス番号、保管条件(保管期間とボックスの温度)、および引取者情報(連絡先などを送信する(ステップS61)。管理センタ50は、格納者情報、ボックス番号、保管条件および引取者情報を受信し(ステップS62)、保管条件から料金を計算し、引き取り番号を自動採番して格納者100の携帯端末51に送信する(ステップS63)。管理センタ50は、温調の有無と期間により算出される料金マップを備えている。
格納者100は、携帯端末51により、支払の同意を示す支払方法を管理センタ50に通知する(ステップS64)。
管理センタ50は、格納者100から送られた支払方法に基づいて料金の検収処理を行い(ステップS65)、引取情報(ボックス番号、引取番号、期限等)を格納者100の携帯端末51に通知する(ステップS66)。
格納者100は、当該ボックスに荷物を格納し、携帯端末51により、荷物の格納完了を管理センタ50へ通知する(ステップS67)。
【0038】
管理センタ50は、当該ボックスの預かりサービスを開始するための指示を物品保管装置10の通信装置18に送信する(ステップS68)。その預かりサービス開始指示には、ボックスの施錠指示、温調指示、表示指示が含まれる。物品保管装置10の制御装置16は、この指示にしたがって、電池御部13B、温調制御部14D、表示操作制御部15B、施解錠制御部17を制御し、施錠、温調制御、電池制御、表示制御を行う。ディスプレイ15aにはボックス使用中が表示される。
【0039】
図14は、第2実施形態の引取者150と管理センタ50との送受信手順を説明する図である。
引取者150は、携帯端末51により管理センタ50と通信し、ボックス番号と引取番号を通知する(ステップS71)。ここでは引き取り者が格納者と同一人または格納者からボックス番号や引き取り番号を知らされているものとして説明する。
管理センタ50はボックス番号と引取番号を受信し(ステップS72)、予め登録されているボックス番号と引取番号の両者が一致するか否かを判定し(ステップS73)、一致していると判定したら、引取り期限内か否かを判定する(ステップS74)。期限内であれば、当該ボックスの預かり管理が完了したと判断し、当該ボックスの保管条件をリセットするとともに、物品保管装置10に解錠を指示する(ステップS75)。物品保管装置10の制御装置16は、施解錠制御部17に解錠指令を送り扉を解錠する。
ボックス番号と引取番号が一致していない場合、引取者150に番号不一致を通知する(ステップS76)。
【0040】
預かり期間を超えた場合、管理センタ50は、扉11を解錠する指示を送信せず、料金の再計算を行い、引取者150の携帯端末51に料金を送信する(ステップS77)。引取者150が同意して支払方法を管理センタ50へ送信する(ステップS78)。管理センタ50は、引取者150から支払方法を受信したか判定し(ステップS79)、再計算した料金の検収が完了したら、物品保管装置10の通信装置18に解錠を指示する(ステップS75)。再計算した料金の検収が完了しない場合、管理センタ50はその旨と再計算した料金を再度、引取者150に送信する(ステップS80)。
引取者150は、この通知を受けて同意すれば、支払方法を管理センタ50へ送信する(ステップS81)。
【0041】
第2実施形態では、管理センタ50が電源装置13の充電量管理を行う。第1実施形態で説明したとおり、充電量管理は、必要電力量の総和Wballと電池残容量の総和Zallを比較して行われる。必要電力量の総和Wallと電池残容量の総和Zallも管理センタ50が計算する。
必要電力量は、管理センタ50において、保管条件(保管温度、現時点から期限までの期間)から計算する。電池の残存容量は、預かり制御の開始後、所定時間毎に送信するよう管理センタ50は物品保管装置10に指示する。物品保管装置10は、電池制御部13Bで所定時間ごとに残存容量を計算し、通信装置18から管理センタ50に送信する。
管理センタ50は、電池の残存容量と必要電力量に基づいて、電池の交換の必要性を判断し、交換要請を指令する。交換要請とは、各地に設置されている物品保管装置10を一括して管理する管理会社に対して、電池の交換や充電を要請することである。
【0042】
-第3実施形態-
第3施形態はクライアント-サーバ系で構成される物品保管システムであり、物品保管装置を搬送業者が移動して利用する形態である。
図15は第3実施形態における物品保管装置10Aの構成を示す。第1実施形態、第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、相違点について主に説明する。
物品保管装置10Aは、搬送用のフック10Hを有し、搬送業者はフック10Hを利用いて物品保管装置10Aをつり上げ、トラック61で搬送する。
図15では、東京から横浜まで搬送する。物品保管装置10Aは、第2実施形態と同様の通信装置18を有している。符号20は物品保管装置10Aの設置場所を示している。この例では物品設置場所20に充電器19が設置されている。
第3実施形態の物品保管装置10Aは、特定の搬送場所へ搬送する物品のみを受け付けるものであり、搬送場所が表示されることが好ましい。
【0043】
上述したように、商用電源が設置されていない場所や、設置されていても使用許可を申請する必要があるなど、使用しづらい場所には、物品保管装置を設置することが難しい。そこで、あらかじめ充電した状態で物品保管装置10Aを搬送し物品引き取り場所30に物品保管装置10Aを設置することで、商用電源がない場所でも設置が容易になる。なお、物品格納場所20に充電器19を設置できない場合もあるが、物品格納場所20に物品保管装置10Aを搬送する前に物品の格納の時間、搬送時間、格納条件、引取情報などに基づいて予め必要電力量が計算できるため、物品格納場所20に物品保管装置10Aを搬送する前に充電しておくことも可能である。これにより、物品格納場所20に商用電源がない場所でも設置が可能となる
【0044】
図16~
図18は、第3実施形態の格納者150と管理センタ50と搬送業者と引取り者150の送受信手順を説明する図である。
図16は、第2実施形態の
図13と同様な処理のフローチャートであるが、ステップS61A、ステップS62A、ステップ63A、ステップS66Aの送信情報に、引取場所情報(保管場所番号30)が追加されている。以降の手順は、第2実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。 第3実施形態では、物品保管装置10Hを第1地点(例えば東京)から第2地点(例えば横浜)へ搬送し、格納者100は第1地点で荷物を預け入れし、引取者150が第2地点で荷物を引き取るものである。そこで、格納者は、ステップS61Aで管理センタに所定の情報を送信し、管理センターはステップS62Aで受信した情報に基づきステップS63Aで料金の計算と取引番号の自動採番を行い、格納者に送信する。ステップS64,S65で料金処理を行い、ステップS66Aで、引取情報(引取者の連絡先、保管場所番号/引取場所、引取番号、ボックス番号、保管条件等)を送信する。これにより引取に関する情報の確認を行うことができる。ステップS67で格納者が格納した旨を送信し、ステップS68で格納した旨を受信すると、物品保管装置10Aによる保管が開始される。
【0045】
図17に示すように、搬送業者は、物品保管装置10Hをトラック61で東京から横浜まで搬送する(ステップS91)。搬送業者は、横浜で荷物預かり10Hを設置し、設置完了を管理センタ50に通知する(ステップS92)。物品保管装置10Hの通信装置18を介して設置完了を通知することができる。搬送業者の携帯端末で通知してもよい。
なお、物品保管装置10Aを第1地点から第2地点まで搬送することの指示は、管理センタ50から搬送業者に送信される。
【0046】
管理センタ50は、物品保管装置10Hの設置完了通知を受信し(ステップS93)、引取者情報の連絡先情報に基づいて引取者150の携帯端末51に、保管場所番号、ボックス番号、保管条件(引取期限含む)、引取番号を通知する(ステップS94)
引取者150は、携帯端末51で管理センタ50と通信し、保管場所番号、ボックス番号、保管条件、引取番号を受信する(ステップS95)。そして、引取者は、荷物の引き取り作業を開始する旨を送信する(ステップS96)。
【0047】
図18は、引取り者150から引取り作業の開始した旨を受信すると管理センタ50で実行されるプログラム処理を示すフローチャートである。
ステップS72で引取り者150から引取り作業の開始した旨を受信すると、ステップS73以降の処理を行うことで荷物の引き取り処理が完了する。ステップS73からステップS81までの処理内容は
図14で説明した処理内容と同じであるため、同じ符号を付して説明は省略する。
なお、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に管理センタ50が充電量管理を行う。
【0048】
第3実施形態の管理センタ50のサーバは、第1地点における物品の格納処理では、格納者100による物品の格納情報と引取り情報を受信し、物品保管装置10Aを第1地点から第2地点まで搬送することを指示し、物品保管装置10Aが第2地点に到着したことの確認情報を受信し、確認情報を受信すると、第2地点で物品の引取りが可能であることと引取り情報を引取者に通知する。
このような構成を有する第3実施形態によれば、異なる地点で物品を授受する際、格納者、搬送者、引取り者殿間の情報をコンピュータが一括管理することで、円滑で効率のよい物品格納引取りが可能となる。
例えば、イベント会場で使用し終わった衣装、道具などを自宅に配送させる要望がある。この場合、従来は、イベント会場に宅配業者が待機し、ユーザは、配送する物品を配送先に届けるよう宅配業者に依頼する。配送先が全国各地に分散するので、宅配業者はユーザから預かった物品を各地に配送する仕分け作業が必要である。
大きなイベント会場では、全国各地から多くの入場者が集まるが、東京、横浜、大阪、名古屋など大都市に配送を希望するユーザ数は相当数に上がる。そのため、イベント会場での宅配業者の集荷作業、および集荷した物品の仕分け作業が繁雑である。
第3実施形態の物品保管装置、システム、コンピュータで管理する物品格納引取り方法を用いると、イベント会場での集荷作業の効率が向上する。
第3実施形態の物品保管装置10Aは、複数の搬送先に応じて複数設置することができる。
【0049】
以上説明した実施形態の作用効果を説明する。
(1)実施形態の物品保管装置は、施錠される扉11で開閉される空間に物品を収容する複数のボックス12と、電力が供給されて駆動される駆動部(例えば温調装置)14と、商用電源を利用することなく、物品を保管する期間に必要十分な充電容量を有する蓄電池13とを備える。
蓄電池を内蔵しているので、商用電源のない場所や商用電源を使用しづらい場所に物品保管装置を設置できる。
(2)(1)の物品保管装置はさらに、駆動部(例えば温調装置)14への必要電力量を演算する制御装置(演算部)16と、電源装置(蓄電池)13の充電量と必要電力量とに基づいて、蓄電池の充電量を管理する制御装置(管理部)16または電池制御部13B(管理部)とを備える。
【0050】
(3)(1)、(2)の物品保管装置において、複数のボックス12のいずかの空間には、蓄電池13を保持する電池ホルダ(蓄電池保持部)12Hが設けられている。
このような構成により、蓄電池の設置スペースを新たに確保する必要がない。また、扉11を開けば蓄電池13の全部、または、電池パック13Aを交換できるので、交換の作業性がよい。蓄電池13を交換するだけで、物品保管装置を撤収するまでの期間を延長することができる。
(4)(1)から(3)の物品保管装置において、蓄電池保持部12は、扉11を開けた状態で、蓄電池13が挿入され、蓄電池13が抜き出されるスロットを有する。
【0051】
(5)(1)から(4)の物品保管装置において、電源装置13は、独立して交換可能な複数の電池パック13Aを有し、少なくとも一つの電池パック13Aを駆動部(例えば温調装置)14に接続する切替スイッチ(切換器)13Cと、接続されている電池パック13Aの充電量が所定値以下になると、他の少なくとも一つの電池パック13Aに接続を切換えるべく切替器13Cを駆動する電池制御部(切換制御部)13Bとを含む。
このような構成により、電池パックを並列接続する構成に比べて、駆動部(例えば温調装置)14などに電力を供給しつつ、使用していない電池パック13Aを安全に切換えることができる。
(6)制御装置(管理部)13は、電源装置13、すなわち4つの電池パック13Aの充電量が不足すると判定した場合、複数の電池パック13Aの少なくとも一部の交換、または、電池ホルダ12Hごとの交換を指示する制御装置(指示部)16を有している。
このような構成により、電池交換の時期を適切に判定することができ、また、物品保管装置10で使用する荷物ボックス12の数量や、温調装置14の使用状況等が変化しても、充電量の不足に対応できる。
【0052】
(7)物品保管システムは、施錠される扉11で開閉される空間に物品を収容する複数のボックス12と、電力が供給されて駆動される駆動部(例えば温調装置)14と、商用電源を利用することなく、物品を保管する期間に必要十分な充電容量を有する電源装置13と、駆動部(例えば温調装置)14への必要電力量を演算する演算部(例えば制御装置16)と、電源装置13の充電量、すなわち、4つの蓄電池13Aの充電量の総和と、必要電力量とに基づいて、電源装置13の充電量を管理する管理部(たとえば、制御装置16や管理センタ50)とを備える。
(8)(7)の物品保管システムにおいて、複数のボックス12と、駆動部(例えば温調装置)14と、電源装置13とにより物品保管装置10を構成し、演算部と、管理部とは、物品保管装置10とネットワークで通信するサーバ(管理センタ50)に実装される。
【0053】
(9)格納者は、蓄電池内蔵の物品保管装置に物品を第1地点で格納し、引取者は、前記格納した前記物品を第2地点で引き取る、コンピュータで管理する物品格納引取り方法において、コンピュータ(例えば、管理センタ50のサーバ)は、第1地点における物品の格納処理では、格納者100による物品の格納情報と引取り情報を受信し、物品保管装置10Aを第1地点から第2地点まで搬送することを指示し、物品保管装置10Aが第2地点に到着したことの確認情報を受信し、確認情報を受信すると、第2地点で物品の引取りが可能であることと引取り情報を引取者に通知する。
第1地点の物品保管装置10Aに物品を格納し、第2地点に搬送された物品保管装置10Aから荷物を引き取る際、管理センタ50のコンピュータが格納者、搬送者、引取り者との間で物品授受の情報を制御することで、効率的な物品の授受を可能とする。
(10)(9)のコンピュータで実行される物品の格納引取り方法において、物品保管装置10は、施錠される扉11で開閉される空間に物品を収容する複数のボックス12と、電力が供給されて駆動される駆動部(例えば温調装置)14と、商用電源を利用することなく、物品を保管する期間に必要十分な充電容量を有する交換可能な電源装置(蓄電池)13と、を備え、コンピュータは、格納者100が登録した格納の情報に基づい、蓄電池(電池パック13A)の充電量を管理する。
【0054】
本発明の物品保管装置、物品保管システム、コンピュータで管理する物品格納引取り方法は、以上説明した構成に限定されず、種々の形態に変形して実施することもできる。すなわち、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10,10A…物品保管装置 11…扉 12…荷物ボックス
13…電源装置 13A…電池パック 13B…電池制御部
13C…切換スイッチ 13H…電池ホルダ 14…温調装置
14D…温調制御部 14E…保冷装置 14F…保温装置
15…表示操作制御装置 16…制御装置 17…施解錠制御部
18…通信装置 50…管理センタ 51…携帯端末 100…格納者
150…引取者