(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】長竿型清掃機
(51)【国際特許分類】
A47L 11/16 20060101AFI20231120BHJP
A47L 11/283 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A47L11/16
A47L11/283
(21)【出願番号】P 2019192138
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 進也
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3024329(JP,U)
【文献】特開2002-325712(JP,A)
【文献】中国実用新案第202437017(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃作用部を有する先端工具と、
前記先端工具が電動モータの駆動力により運動可能な状態で装着されるヘッド部と、
竿状の竿部と、
前記ヘッド部と前記竿部との間に介装される回転機構部と、
を備える長竿型清掃機であって、
前記ヘッド部は、前記清掃作用部の周囲に配置される周囲部を有しており、
前記周囲部における清掃面の側の部分である清掃面側部は、前記清掃作用部と共に前記清掃面に接触可能であり、
前記回転機構部は、前記ヘッド部を前記竿部に対して
第1回転軸及び第2回転軸を含む2軸以上の周りで回転可能に接続すると共に、
前記第1回転軸の周りで回転しないような固定、及び前記第2回転軸の周りで回転しないような固定の少なくとも一方により、当該回転の全部又は一部を規制する回転規制手段を有している
ことを特徴とする長竿型清掃機。
【請求項2】
前記清掃面側部は、前記清掃作用部が前記清掃面に接触する前に、又は前記清掃作用部が前記清掃面に接触するときと同時に、前記清掃面に接触する
ことを特徴とする請求項1に記載の長竿型清掃機。
【請求項3】
前記回転規制手段は、相対的に移動する複数の部材を互いに固定するものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の長竿型清掃機。
【請求項4】
前記回転規制手段は、ボルトを含んでいる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項5】
前記先端工具は、第1ブラシである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項6】
前記清掃面側部は、第2ブラシである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項7】
前記周囲部は、前記清掃面側部を前記清掃面の側に付勢する周囲部弾性体を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項8】
前記周囲部は、周囲部本体と、周囲部アタッチメントと、を備えており、
前記周囲部アタッチメントは、前記周囲部本体に対して着脱自在であり、
前記周囲部アタッチメントが取り外されると、前記先端工具の一部が露出する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項9】
前記回転機構部は、第1枠と、第2枠と、を備えており、
前記第2枠は、前記第1枠に対して
前記第1回転軸の周りで回転可能であり、
前記ヘッド部は、前記第2枠に対して
前記第2回転軸の周りで回転可能であり、
前記回転規制手段は、前記第1回転軸の周りでの回転、及び前記第2回転軸の周りでの回転の少なくとも一方を規制する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の長竿型清掃機。
【請求項10】
前記回転機構部は、ユニバーサル
ジョイントを含んでいる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の長竿型清掃機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、長竿型スクラバー、長竿型ポリッシャ、長竿型バッフィングマシン等の長竿型清掃機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるような長竿型のスクラバーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような長竿型スクラバーでは、清掃時、回転するディスクが片当たりされることで、スクラバーユニットが振られる。かような振られは、テレスコピックハンドルアセンブリを介して使用者に伝わる。よって、清掃が行い難くなる。
【0005】
そこで、本開示の主な目的は、片当たりによる振られを防止可能であり、且つ局所の清掃にも対応可能な長竿型清掃機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、清掃作用部を有する先端工具と、前記先端工具が電動モータの駆動力により運動可能な状態で装着されるヘッド部と、竿状の竿部と、前記ヘッド部と前記竿部との間に介装される回転機構部と、を備えており、前記ヘッド部は、前記清掃作用部の周囲に配置される周囲部を有しており、前記周囲部における清掃面の側の部分である清掃面側部は、前記清掃作用部と共に前記清掃面に接触可能であり、前記回転機構部は、前記ヘッド部を前記竿部に対して第1回転軸及び第2回転軸を含む2軸以上の周りで回転可能に接続すると共に、前記第1回転軸の周りで回転しないような固定、及び前記第2回転軸の周りで回転しないような固定の少なくとも一方により、当該回転の全部又は一部を規制する回転規制手段を有していることを特徴とする長竿型清掃機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の主な効果は、片当たりによる振られを防止可能であり、且つ局所の清掃にも対応可能な長竿型清掃機が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のスクラバーの前上方からみた斜視図である。
【
図4】
図1のスクラバーにおける吊枠部及びヘッド部の斜視図である。
【
図6】
図4の前面図(ヘッド部8下部は中央横断面図、吊枠部6右部は横断面図,パッド装着時)である。
【
図7】
図6のA-A線断面図(ヘッド部中央縦断面図,ブラシ装着時)である。
【
図10】ヘッド部を清掃面に押し当てた状態における
図5のF-F線断面図である。
【
図11】周囲部アタッチメントを取り外した場合の
図5相当図である。
【
図12】周囲部アタッチメントを取り外した場合の
図7相当図(パッド装着時)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態は、長竿型清掃機の一例としてのスクラバーに係るものである。
当該形態及び変更例における前後上下左右は、通常(床清掃時)の姿勢をとった状態で使用者からみたものとして説明の便宜上定めたものであり、作業の状況及び移動する部材の状態の少なくとも一方等により変化することがある。
尚、本開示は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0010】
図1は、本開示の実施形態に係る長竿型のスクラバー1の斜視図である。
図2は、スクラバー1の前上方からみた斜視図である。
図3は、スクラバー1の左側面図である。
スクラバー1は、竿部2と、本体部4と、前グリップ5と、回転機構部としての吊枠部6と、ヘッド部8と、を備えている。
【0011】
竿部2は、竿状であり、筒状である。竿部2は、前下から後上に延びている。尚、竿部2は、中実の棒状等であっても良い。
竿部2は、第1竿体としての大径パイプ10と、第2竿体としての小径パイプ(図示略)と、を有している。大径パイプ10は、円筒状である。小径パイプは、大径パイプ10の内側にスライド可能に入る。大径パイプ10と小径パイプとの一方が他方に対してスライドすることにより、竿部2がテレスコピック機構を有して伸縮自在となる。
小径パイプは、円筒状である。小径パイプは、本体部4に取り付けられている。
大径パイプ10は、第1中空部14及び第2中空部16を有する二穴管である。第1中空部14には、小径パイプが通っている。第2中空部16は、第1中空部14の下部に添っている。大径パイプ10は、アルミニウム材の押し出しにより形成されている。
【0012】
本体部4は、竿部2の後上端部(第2端部)に設けられる。
本体部4の外郭は、本体ハウジング18となっている。本体ハウジング18は、左右半割であり、左部と右部とが互いに組み合わせられた状態でネジ止めされることで形成されている。
本体ハウジング18は、竿収納部20と、グリップ基部22と、グリップ部24と、バッテリ装着部26と、を有している。
竿収納部20は、竿部2を収める。竿収納部20には、小径パイプの全体が収納されている。
グリップ基部22は、竿収納部20の上後部の前上側に配置されている。グリップ基部22は、竿収納部20の上後部の前上面から前上方へ丘状に盛り上がっている。
グリップ部24は、前方視で“T”字状である。グリップ部24は、グリップ基部22の後上部から後上方に突出している。
バッテリ装着部26は、竿収納部20の後方に配置されている。
【0013】
竿収納部20の前端部には、ネジ溝及びネジ山を介して、外筒30が配置されている。
使用者により外筒30が緩められた状態では、大径パイプ10が小径パイプに対して相対的に前後移動可能であり、竿部2の長さが変更可能である。使用者は、竿部2において所望の長さが得られた状態で、外筒30を締める。すると、大径パイプ10が固定される。このように、外筒30により、竿部2が任意の伸縮位置で固定可能とされている。尚、
図1~3では、伸張した竿部2(大径パイプ10)の中間部が省略されている。
竿部2が短くなる場合、大径パイプ10は本体ハウジング18(竿収納部20)と小径パイプとの間を通過する。
竿部2が最も短い状態である場合、吊枠部6が、外筒30(前グリップ5)の前側に位置する。
【0014】
本体部4は、上述の本体ハウジング18と、端子(図示略)と、スイッチ(図示略)と、トリガ32と、ロックオン部材34と、トリガロック部材36と、速度調節ダイヤル38と、コントローラ(図示略)と、を備えている。
端子は、本体ハウジング18のバッテリ装着部26に保持されている。端子には、電力供給源としてのバッテリ40をスライド装着可能である。バッテリ40は、充電器(図示略)により充電可能である。バッテリ40は、直方体(四角柱)状である。バッテリ40は、例えば、18V出力のリチウムイオンバッテリである。バッテリ40は、他の電動工具等においても用いることができる汎用的なものである。バッテリ装着部26にバッテリ40が装着された場合、端子とバッテリ40とは電気的に接続される。バッテリ40は、バッテリボタン41を有している。バッテリ装着部26に装着されたバッテリ40は、バッテリボタン41の操作により取り外すことができる。
スイッチは、グリップ部24の下側の基部内に保持されている。
トリガ32は、グリップ部24の基部に沿っている。トリガ32は、スイッチの後下側に配置されている。トリガ32の後部は、グリップ部24から露出している。トリガ32は、左右方向の軸周りで揺動可能とされている。トリガ32が上方に引かれると、スイッチがオンとなる。
【0015】
ロックオン部材34は、左右方向に延びている。ロックオン部材34は、トリガ32の前側に配置されている。ロックオン部材34の左右各端部は、ロックオンボタン42として露出している。使用者がトリガ32を引いた状態で左右何れかのロックオンボタン42を押す(オンにする)と、移動したロックオン部材34がトリガ32の中央部に掛かり、引きを止めた場合に下方に戻ろうとするトリガ32を食い止めて引き状態に維持する。よって、ロックオンボタン42のオン操作時、スイッチはオンに維持される。使用者がトリガ32を更に上方に引くと、ロックオン部材34は元の位置に戻り、トリガ32の引き状態の維持が解除されるので、スイッチのオン状態の維持が解かれる。
トリガロック部材36は、左右方向に延びている。トリガロック部材36は、トリガ32の下側に配置されている。トリガロック部材36の左右両端部は、トリガロックボタン44として露出している。使用者がトリガ32を引かない状態で左のトリガロックボタン44を押す(オンにする)と、トリガ32の前端部にトリガロック部材36が掛かり、引かれることで後部が上昇(前部が下降)しようとするトリガ32を食い止めて、トリガ32の引き操作が規制される。他方、使用者が右のトリガロックボタン44を押す(オフにする)と、左方に復帰したトリガロックボタン44はトリガ32の引き操作の規制を解除する。
速度調節ダイヤル38は、グリップ基部22の前上部において、一部露出するように保持されている。使用者は、速度調節ダイヤル38の操作により、速度調節ダイヤル38の切替状態を変更可能である。速度調節ダイヤル38の切替状態は、速度設定に対応する。
【0016】
コントローラ(図示略)は、本体ハウジング18に保持されている。
コントローラは、バッテリ装着部26の端子と、トリガ32のスイッチと、速度調節ダイヤル38とに対して、図示されないリード線により電気的に接続されている。
又、コントローラは、表示部46を搭載している。表示部46の上部には、4個のLED(図示略)が配置されている。表示部46の上部は、本体ハウジング18上面から露出している。コントローラは、表示部46において、端子に接続されたバッテリ40の残量及びモータ負荷の大小を表示する。
更に、コントローラには、ヘッド部8へ延びる竿部リード線(図示略)が接続されている。竿部リード線は、複数の単リード線の束であり、その単リード線の一部(制御リード線)がコントローラに接続されている。単リード線の別の一部(電源リード線)は、端子に接続されている。即ち、竿部リード線は、本体部4に連結されている。竿部リード線は、本体ハウジング18内で一本化し、一旦後方に向かった後でUターンして(たわんで)前方に向かい、大径パイプ10の第2中空部16に入る。
【0017】
前グリップ5は、竿部2の径方向外側に設けられている。尚、前グリップ5は、省略されても良い。
前グリップ5は、前グリップ本体部50と、連結部52と、ボルト54と、を有する。
前グリップ本体部50は、上面視で逆“U”字状である。前グリップ本体部50は、全体としては前方に突出している。前グリップ本体部50における両端部は、左右方向の内方に折れ曲がっている。
連結部52は、上面視で逆“Ω”字状である。連結部52のリング状部は、竿部2を囲んでいる。連結部52における2箇所の左右方向に延びる部分は、前グリップ本体部50の対応する端部と向かい合っている。連結部52の左右方向に延びる各部分の端面と、前グリップ本体部50の各端面とは、互いに噛み合い可能なカムとしてそれぞれ形成されている。各カムは、放射状に延びる山形状を、複数、周方向に並んだ状態で有している。
ボルト54は、連結部52の左右方向に延びる各部分と、前グリップ本体部50の左右方向に延びる各端部とに対し、共通して入っている。
ボルト54が緩められると、連結部52のリング状部が緩んで、前グリップ5が竿部2に対し移動可能となる。又、ボルト54が緩められると、各カムが互いに離れて、前グリップ本体部50の連結部52に対する角度が変更可能となる。
使用者は、所望の当該角度及び連結部52の竿部2上の位置においてボルト54を締める。すると、連結部52のリング状部が竿部2に対して締まり、前グリップ5の竿部2上の位置が固定される。又、各カムが接触状態で固定され、前グリップ本体部50の連結部52に対する角度が固定される。
【0018】
図4は、吊枠部6及びヘッド部8の斜視図である。
図5は、吊枠部6及びヘッド部8の上面図である。
図6は、吊枠部6及びヘッド部8の前面図(ヘッド部8下部は中央横断面図、吊枠部6右部は横断面図)である。
図7は、
図6のA-A線断面図である。
図8は、
図5のB-B線断面図である。
図9は、
図5のE-E線断面図である。
図10は、ヘッド部8を清掃面Cに押し当てた状態における
図5のF-F線断面図である。
吊枠部6は、竿部2の前下端部(第1端部)に接続されている。
吊枠部6は、第1枠としての外枠60と、第2枠としての内枠62と、を備えている。
外枠60は、左右二股の形状を呈している。外枠60は、樹脂製である。外枠60は、大径パイプ10の先端部に取り付けられている。
【0019】
内枠62は、内枠本体64と、ガイド66と、第1規制ボルト71と、第2規制ボルト72と、を備えている。内枠本体64及びガイド66は、金属製である。第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72は、回転規制手段としての役割を担う。尚、回転規制手段には、ガイド66が含められても良い。
内枠本体64は、上面視矩形状である。内枠本体64は、外枠60の先端部内において、左右に配置された左右方向の第1軸ボルト67によって、左右方向の軸周りに回転可能に接続されている。内枠本体64は、前面視及び後面視で共に“V”字状である。
ヘッド部8は、各“V”字状部分の最下部に挟まれるように配置される。ヘッド部8は、内枠本体64に、前後に配置された前後方向の第2軸ボルト112によって、前後方向の軸の周りで回転可能に接続されている。
ヘッド部8は、吊枠部6によって、左右方向の回転軸(第1回転軸)及び前後方向の回転軸(第2回転軸)に係る合計2軸の周りでの回転により、姿勢の変化が可能となっている。ヘッド部8は、比較的に大きな外枠60によって、第1回転軸の周りで姿勢変化し、比較的に小さな内枠62によって、第2回転軸の周りで姿勢変化する。第1回転軸は、第1軸ボルト67の中心軸を含んでいる。第2回転軸は、第2軸ボルト112の中心軸を含んでいる。
【0020】
ガイド66は、上面視で倒“L”字状である。ガイド66は、内枠本体64に対し、複数の上下方向のネジ68により取り付けられている。ガイド66は、内枠本体64の前部及び右部の上側に配置されている。尚、ガイド66は、溶接あるいは一体形成等により設けられても良い。又、ガイド66は、内枠本体64の後部及び左部等に配置されても良い。
ガイド66は、内枠本体64の前部上側で起立した第1起立部73と、内枠本体64の右部上側で起立した第2起立部74と、を有している。第1起立部73は、図示の状態で、前後上下に広がっている。第1起立部73は、外枠60の二股右先端部における左右方向の内面に隣接している。第1起立部73は、弧状に延びる第1ガイド孔75を有している。他方、第2起立部74は、図示の状態で、上下左右に広がっている。第2起立部74は、ヘッド部8の上部前面に隣接している。第2起立部74は、弧状に延びる第2ガイド孔76を有している。
【0021】
第1規制ボルト71は、ノブ77と、ボルト部78と、を有する。ノブ77は、円柱状である。ボルト部78は、ノブ77に入っている。ボルト部78は、外枠60の二股右先端部において左右方向に開けられた孔と、第1ガイド孔75とを通る。ボルト部78の頭部は、第1起立部73の左側に配置されている。
ノブ77が所定方向(締め方向)に回されると、ボルト部78の頭部が第1起立部73に押し付けられて、第1起立部73が外枠60に対して回転しないように固定される。即ち、第1規制ボルト71は、その締め付けにより、相対的に移動する外枠60とガイド66の第1起立部73とを互いに固定して、外枠60に対する第1起立部73の回転(ヘッド部8における第1回転軸の周りの回転)を規制する。
他方、ノブ77が逆方向(緩め方向)に回されると、ボルト部78の頭部の第1起立部73に対する押し付けが解除されて、第1起立部73が外枠60に対して回転可能となる。当該回転時、ボルト部78は、第1ガイド孔75を相対的に辿る。
第1規制ボルト71の操作は、ノブ77により、工具を用いることなく手回しで(ツールレスで)行える。
【0022】
第2規制ボルト72は、ヘッド部8の前上部に入っている。第2規制ボルト72は、第2ガイド孔76を通過する。第2規制ボルト72の頭部には、小ノブが取り付けられている。尚、小ノブは、ノブ77と同等以上の大きさを有していても良い。又、小ノブは、省略されても良い。
第2規制ボルト72が所定方向(締め方向)に回されると、第2規制ボルト72の頭部が第2起立部74に押し付けられて、ヘッド部8が第2起立部74に対して回転しないように固定される。即ち、第2規制ボルト72は、その締め付けにより、相対的に移動する内枠62とヘッド部8とを互いに固定して、第2起立部74に対するヘッド部8の回転(ヘッド部8における第2回転軸の周りの回転)を規制する。
他方、第2規制ボルト72が逆方向(緩め方向)に回されると、頭部の第2起立部74に対する押し付けが解除されて、ヘッド部8が第2起立部74に対して回転可能となる。当該回転時、第2規制ボルト72は、第2ガイド孔76を相対的に辿る。
第2規制ボルト72の操作は、小ノブにより、工具を用いることなく手回しで(ツールレスで)行える。
【0023】
ヘッド部8は、ヘッド部外側ハウジング80と、モータハウジング82と、ギヤハウジング84と、駆動源としての電動モータ86と、遊星歯車機構88と、スピンドル90と、先端工具としてのパッド92又はブラシ94(第1ブラシ)と、先端工具アダプタ93と、ヘッド部カバー96と、ストッパ98と、周囲部100と、を備えている。
ヘッド部外側ハウジング80と、モータハウジング82と、ギヤハウジング84と、により、ヘッド部ハウジング102が構成される。
【0024】
ヘッド部外側ハウジング80は、釣鐘状である。ヘッド部外側ハウジング80の前後には、ボス部110が形成されている。各ボス部110には、吊枠部6(内枠62)が、第2軸ボルト112を介して相対的に回転可能に接続されている。
【0025】
モータハウジング82は、ヘッド部外側ハウジング80の径方向内方に配置されている。モータハウジング82は、左右半割であり、複数(6個)のネジ114によって組み合わせられている。
モータハウジング82は、円筒状のモータハウジング本体部120と、その後部から後方及び下方へ側面視“J”字状に突出した筒状部122と、ホース124と、を有する。
筒状部122は、ヘッド部外側ハウジング80の後の開口部から外に出ている。
筒状部122の後上端部には、ホース124が接続される。ホース124は、側面視で“?”字状の形状を維持するように取り回されている。ホース124及び筒状部122の内部において、大径パイプ10の第2中空部16の前端から出た竿部リード線が配線されている。
【0026】
ギヤハウジング84は、モータハウジング82の下方に取り付けられている。ギヤハウジング84の上部は、筒状である。ギヤハウジング84の下部は、円盤状である。
ギヤハウジング84上端部の開口部には、モータハウジング本体部120の下端部が嵌まっている。ギヤハウジング84の下部の上面辺縁は、ヘッド部外側ハウジング80下端部の開口部に入り込んでいる。ギヤハウジング84は、モータハウジング82と共に、ヘッド部外側ハウジング80に取り付けられている。
【0027】
電動モータ86は、DC駆動のブラシレスモータである。電動モータ86は、モータハウジング本体部120の上部内に保持されている。
電動モータ86は、ステータ130及びロータ132を備えている。
電動モータ86には、竿部リード線が接続されている。電動モータ86は、コントローラ(図示略)により制御される。
【0028】
ステータ130は、円筒状である。ロータ132は、複数の径を有する多段円柱状である。ロータ132は、ステータ130の内部に配置されている(インナーロータ型)。ロータ132は、回転駆動軸としてのモータ軸134を備えている。モータ軸134の下端部には、ピニオン136が装着されている。モータ軸134は、上軸受138と下軸受140とによって、自身の中心軸周りで回転可能に支持される。上軸受138及び下軸受140は、モータハウジング82に保持されている。
モータ軸134の下軸受140の上側には、冷却用のファン142が配置されている。ファン142は、モータ軸134に対して固定されている。ファン142は、回転により、遠心方向に風を送り出す(遠心ファン)。ファン142は、モータハウジング82の中央部内に配置されている。モータハウジング82の左右の中央部には、内排気口(図示略)が形成されている。ヘッド部外側ハウジング80の左右の中央部であって各内排気口の外側には、外排気口144(
図1,3)が形成されている。内排気口及び外排気口144は、ファン142の放射方向外方に位置している。よって、ファン142の風は、効率的に排出される。
他方、モータハウジング本体部120の上部には、吸気口146が形成されている。吸気口146は、ヘッド部外側ハウジング80の上部に開けられた孔から露出している。
【0029】
遊星歯車機構88は、ギヤハウジング84を外郭としている。遊星歯車機構88は、ギヤハウジング84の上部に保持されている。遊星歯車機構88は、それぞれ上下方向の機軸を中心に配置された2段の遊星歯車列を有している。機軸には、モータ軸134の中心軸及びスピンドル90の中心軸が含まれる。遊星歯車機構88は、モータ軸134の回転を減速してスピンドル90に伝える。即ち、遊星歯車機構88は、上遊星歯車列150(1段目の減速機構)と、下遊星歯車列152(2段目の減速機構)と、上遊星歯車列150のインターナルギヤ154と、下遊星歯車列152のインターナルギヤ155と、を有する。
上遊星歯車列150には、ピニオン136が噛み合っている。下遊星歯車列152のキャリアには、スピンドル90の後端部が取り付けられている。
スピンドル90は、ギヤハウジング84の下部に配置されている。スピンドル90は、スピンドル上軸受156及びスピンドル下軸受158により、自身の中心軸の周りで回転可能に支持されている。スピンドル上軸受156及びスピンドル下軸受158は、ギヤハウジング84に保持されている。
【0030】
図6に示されるように、パッド92は、先端工具アダプタ93を介して、スピンドル90の下側に装着されている。
パッド92は、モータハウジング82の下方に配置されている。
パッド92は、パッド本体92Bと、パッド台92Cと、を有している。
パッド本体92Bは、例えば不織布製であり、その下面であるパッド下面92Aにおいて、床等の清掃面Cを拭き掃除可能である。
パッド台92Cは、中央孔を有する円板状である。パッド台92Cの下側には、パッド本体92Bが固定される。パッド台92Cは、中央孔において先端工具アダプタ93の下部を受け入れることで、先端工具アダプタ93に装着される。パッド台92Cの中央孔と先端工具アダプタ93の下部とは、互いに対応する形状を呈している。パッド92は、先端工具アダプタ93に対し、工具を使用せずに(ツールレスで)着脱可能である。例えば、先端工具アダプタ93は、パッド92の正転方向への回転に対して固定される1以上の爪を有しており、パッド92は、当該爪のパッド台92C中央孔への係止によって取り付けられる。パッド92は、自身の逆転方向への回転に基づく先端工具アダプタ93の爪の係止の解除によって取り外される。先端工具アダプタ93は、スピンドル90の下端部に対し、ネジ159により取り付けられている。尚、先端工具アダプタ93とスピンドル90とが一体であっても良い。即ち、スピンドル90の下端部が、先端工具アダプタ93と同様に形成されていても良い。この場合、ネジ159は省略される。
図7に示されるように、先端工具アダプタ93に対する脱着により、パッド92に代えて、ブラシ94がスピンドル90に装着されても良い。
ブラシ94は、ブラシ基部160と、毛部162と、を有している。ブラシ基部160は、円板状である。ブラシ基部160は、パッド台92Cと同様の中央孔を有している。ブラシ基部160は、当該中央孔において、先端工具アダプタ93に対し工具を使用せずに(ツールレスで)着脱される。毛部162は、ブラシ基部160から生えている複数の毛束を有している。ブラシ94は、毛部162の下端部であるブラシ下端部94Aにおいて、清掃面Cをこすり掃除可能である。
【0031】
ヘッド部カバー96は、リング状である。ヘッド部カバー96の径方向外側部は、内側部に対して上方に隆起した受け部170となっている。受け部170の内部(下面)は、上方に凹んでいる。又、受け部170に隣接して、複数(5個)のネジボス172が設けられている。各ネジボス172は、ヘッド部カバー96の周方向に並ぶように配置されている。
図8に示されるように、ヘッド部カバー96の右前コーナー部及び左前コーナー部には、それぞれ、周辺部に対して下方に突出するネジボス軸173が設けられている。各ネジボス軸173には、ローラ174が、外力を受けて双方向に回転可能に設けられる。各ネジボス軸173と対応するローラ174との間には、軸受175が介装される。各軸受175は、ネジボス軸173に入るネジ176により止められている。
ヘッド部カバー96の下側には、ストッパ98が配置されている。ストッパ98は、リング状である。ストッパ98には、ネジボス172に対応する上下方向の複数のネジ178が、それぞれ下方から入れられる。よって、ストッパ98は、ヘッド部カバー96に対して固定される。
ヘッド部カバー96及びストッパ98は、ギヤハウジング84の下端部(円盤状部)の径方向外側に装着されている。ヘッド部カバー96の径方向内側の端縁部とストッパ98の径方向内側の端縁部とは、ギヤハウジング84の円盤状部の端縁部を挟んでいる。ヘッド部カバー96及びストッパ98は、外力により、ギヤハウジング84の円盤状部の周りを360度双方向に回転可能である。
【0032】
ヘッド部カバー96の下方には、周囲部100が配置されている。周囲部100は、円筒状である。
周囲部100は、周囲部本体200と、周囲部弾性体としての複数(4個)の板バネ202と、清掃面側部の一部としての周囲部本体ブラシ部204と、周囲部アタッチメント206と、を有している。
周囲部本体200は、一部を平面とした(図では前端部を上下左右に広がる平面とした)円筒状である。周囲部本体200は、ヘッド部カバー96の受け部170の下方に配置されている。周囲部本体200の上端部には、複数(6個)の突片210が設けられている(
図10)。各突片210は、円筒状部分の内面上側から径方向内方に突出している。各突片210は、
図10以外の状態では、ストッパ98の上面に接触している。よって、周囲部100の下方への抜け落ちは、ストッパ98により防止される。各突片210の上方には、間をおいた状態でヘッド部カバー96の下面が位置している。周囲部本体200の平面部の両脇(図では左右)には、上面視“L”字状あるいは上面視反“L”字状のアタッチメント被取付部212が、一体に形成されている。各アタッチメント被取付部212の図の状態で左右に延びる一辺は、軸状に形成されている。
各板バネ202は、“V”字状である。各板バネ202は、周囲部本体200とヘッド部カバー96との間に介装されている。各板バネ202の中央部は、周囲部本体200の上端部に固定されて
いる。各板バネ202の両端部は、ヘッド部カバー96に固定されている。各板バネ202は、右前、左前、右後、左後に配置されている。尚、板バネ202の一部又は全部は、ヘッド部カバー96及び周囲部本体200の何れか一方に固定されても良い。
周囲部本体ブラシ部204は、複数の毛束を有している。各毛束は、周囲部本体200における平面部以外の下端部から下方に延びる状態で設けられる。各毛束の下端部は、仮想的な1つの平面に含まれるように揃っている。
【0033】
周囲部アタッチメント206は、周囲部アタッチメント本体220と、清掃面側部の他の一部としての周囲部アタッチメントブラシ部224と、を有している。第2ブラシとしての周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224が、清掃面側部を構成する。
周囲部アタッチメント本体220は、棒状である。周囲部アタッチメント本体220は、周囲部本体200と同様の長手方向の長さを有している。周囲部アタッチメント本体220の両端部には、同方向(図では後方)に突出する突出部230が形成されている。
各突出部230には、アタッチメント取付部232が形成されている。各アタッチメント取付部232は、その上面から上方に突出している一対の板部234A,234Bを有している。一対の板部234A,234Bは、向かい合っている。一対の板部234A,234Bの上端部は、それぞれ半円筒状に形成されている。各アタッチメント取付部232は、対応する周囲部本体200のアタッチメント被取付部212に対し、着脱自在に取り付けられる。各板部234A,234Bの上端部は、アタッチメント被取付部212の軸状に形成された部分を挟む。
周囲部アタッチメントブラシ部224は、複数の毛束を有している。各毛束は、周囲部アタッチメント本体220における下端部から下方に延びる状態で設けられる。各毛束の下端部は、周囲部本体ブラシ部204と同じ仮想的な1つの平面に含まれるように揃っている。
尚、
図9において、周囲部アタッチメントブラシ部224は、省略されている。又、周囲部アタッチメント206は、省略されても良い。この場合、周囲部本体ブラシ部204は、リング状に形成されても良い。
【0034】
周囲部本体200並びに周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメント206は、パッド92又はブラシ94の径方向外側を囲んでいる。周囲部100(周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224)は、パッド92のパッド本体92Bの下面(パッド下面92A)又はブラシ94の毛部162の下端部(ブラシ下端部94A)、即ち先端工具の清掃作用部を囲んでいる。清掃作用部は、先端工具において清掃の作用を及ぼす部分である。周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224に係る各毛束の下端部は、
図10以外の状態では、先端工具の清掃作用部より上下方向において下方に位置している。
各板バネ202は、周囲部本体200を介して、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224を、下方に、即ち清掃面C側に付勢している。
【0035】
このようなスクラバー1は、例えば次のように動作する。
即ち、使用者は、充電されたバッテリ40を、バッテリ装着部26の右側から左方へスライドすることにより、バッテリ装着部26に装着する。
又、使用者は、外筒30を緩めて竿部2の伸縮状態を変更し、竿部2を所望の長さにした状態で外筒30を締めることで、竿部2の長さを調節する。
更に、使用者は、ボルト54を緩めて前グリップ5の位置及び角度を変更し、前グリップ5を所望の位置及び角度にした状態でボルト54を締めることで、前グリップ5の位置及び角度を調節する。
【0036】
そして、使用者は、グリップ部24及び前グリップ5を把持し、トリガロック部材36がオフである状態でトリガ32を引く。すると、スイッチがオンとなり、コントローラにより、バッテリ40の電力が、バッテリ装着部26の端子及び竿部リード線(電源リード線)を介して、電動モータ86に供給される。よって、ロータ132(モータ軸134)が回転駆動される。このように、トリガ32は、スイッチを介して電動モータ86のオンオフを切替えるものである。更に、トリガ32は、電動モータ86のオンオフを操作するスイッチ操作部である。又、トリガ32及びスイッチは、電動モータ86のメインスイッチを構成する。
電動モータ86の最大回転力は、コントローラにより、速度調節ダイヤル38の切替状態に応じて制御される。電動モータ86の回転力は、コントローラにより、トリガ32の引き込み量(スイッチの切替状態)に応じて制御される。
【0037】
モータ軸134の駆動力(回転力)は、遊星歯車機構88により減速されてスピンドル90に伝わり、スピンドル90先端のパッド92又はブラシ94が運動(回転)する。
そして、使用者は、グリップ部24及び前グリップ5の操作により、ヘッド部8を清掃面Cに当てる(手持ち式清掃機)。
第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72が締められていない場合、まず周囲部100の周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224が清掃面Cに当たる。使用者が更にヘッド部8を清掃面Cに押し付けると、次いでパッド92又はブラシ94の清掃作用部が清掃面Cに当たる(
図10)。即ち、周囲部100における清掃面C側の部分である周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224は、パッド下面92A又はブラシ下端部94Aと共に清掃面Cに接触可能である。又、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224は、パッド下面92A又はブラシ下端部94Aが清掃面Cに接触する前に、清掃面Cに接触する。
このとき、周囲部100は、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224の各下端部において清掃面Cからの反力を受ける。周囲部本体200は、板バネ202の付勢力に抗して、ヘッド部カバー96及びストッパ98に対し上昇する。周囲部本体200の上端部は、ヘッド部カバー96の受け部170内の空間に入り込む。周囲部本体200の各突片210は、ヘッド部カバー96の下面に近づく。
ここで、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72が固定されておらず、ヘッド部8が2軸の回転により自由に動くこと、及び先に周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224が清掃面Cに当たっていることにより、清掃作用部への押し付け力は、清掃作用部に垂直な方向(周囲部100の軸方向、図では上下方向)のみにおいて作用する。他の方向に係る清掃作用部への押し付け力は、ヘッド部8の吊枠部6に対する回転力となる。よって、清掃作用部の全体が、清掃面Cに対して当たる。従って、回転する清掃作用部が片当たりして竿部2及び本体部4が振られる事態が、防止される。
使用者は、回転する清掃作用部の清掃面Cへの適用により、清掃面Cを清掃することができる。使用者によりヘッド部8が清掃面Cに対して様々な方向に移動されても、周囲部100により清掃作用部の全体が清掃面Cに当たる。又、使用者により竿部2が清掃面Cに対して様々な角度に姿勢変化されても、周囲部100により清掃作用部の全体が清掃面Cに当たる。
【0038】
他方、使用者は、局所の清掃を行う場合、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72を締める。
すると、周囲部100の周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224が清掃面Cに当たっていても、使用者は、竿部2の操作により、吊枠部6に対して固定されたヘッド部8を所望の姿勢とすることができ、清掃作用部を片当たりさせることができる。
使用者は、竿部2及び本体部4の振られを、力により抑える。
【0039】
更に、
図11,12に示されるように、使用者は、壁に隣接する床の隅部等を清掃する場合、周囲部アタッチメント206を取り外す。
すると、パッド92等の一部が周囲部100から径方向外方に露出する(
図12におけるパッド92の露出部D)。よって、使用者は、パッド92等を床の隅部等に適用させることができる。従って、使用者は、壁に隣接する床の隅部等を良く清掃することができる。
この場合においても、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72が緩められていれば、周囲部100(周囲部本体ブラシ部204)によりパッド92等の清掃作用部全体が清掃面Cに当たり、竿部2等の振られが防止される。
他方、この場合においても、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72が締められていれば、使用者は、清掃作用部を片当たりさせることができる。特に、使用者は、パッド92の露出部D等を床の隅部等に向けて片当たりさせて、床の隅部等を局所的に清掃することができる。
【0040】
清掃面Cの清掃が一区切りつき、ヘッド部8が清掃面Cから離されると、板バネ202の付勢力により周囲部本体200、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメント206が下方に復帰する。よって、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメント206の各下端部が、清掃作用部に対して、上下方向において下方に飛び出る状態に戻る。周囲部100の下方への脱落は、ストッパ98により食い止められる。
【0041】
清掃時及び非清掃時において、ヘッド部カバー96、ストッパ98及び周囲部100は、壁等に当たることにより回転する。壁等には、少なくとも一方のローラ174が接触可能である。壁等にローラ174が接触することにより、ヘッド部8に対する衝撃が緩和される。又、周囲部100等の回転が、円滑になされる。
【0042】
又、モータ軸134の回転により、ファン142が回転して内排気口及び外排気口144から空気が排気され、吸気口146から外排気口144への空気の流れ(風)が形成される。この風は、モータハウジング本体部120の上部内を経て、中央部内のファン142に至る。
この風によって、電動モータ86を始めとするヘッド部8の内部機構が冷却される。
【0043】
以上のスクラバー1では、清掃面Cに作用する清掃作用部(パッド下面92A又はブラシ下端部94A)を有するパッド92又はブラシ94と、パッド92又はブラシ94が電動モータ86の駆動力により運動可能な状態で装着されるヘッド部8と、竿状の竿部2と、ヘッド部8と竿部2との間に介装される吊枠部6と、を備えている。ヘッド部8は、清掃作用部の周囲に配置される周囲部100を有している。周囲部100における清掃面Cの側の部分である清掃面側部(周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224)は、清掃作用部と共に清掃面Cに接触可能である。吊枠部6は、ヘッド部8を竿部2に対して2軸以上の周りで回転可能に接続すると共に、当該回転の全部又は一部を規制する第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72を有している。
よって、2軸の回転で姿勢変化可能な先端工具の清掃作用部と、周囲部100の清掃面側部とが清掃面Cに接触することで、清掃作用部の片当たりによるスクラバー1の振られが防止される。又、清掃作用部に係る2軸の回転による姿勢変化を第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72によりロックすることで、周囲部100があっても清掃作用部が片当たり可能となり、スクラバー1が局所の清掃に対応可能となる。
【0044】
又、先端工具の清掃面側部は、周囲部100の清掃作用部が清掃面Cに接触する前に、清掃面Cに接触する。よって、スクラバー1の振られが、先端工具の清掃面側部を清掃面Cに作用させる清掃当初から防止される。
更に、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72は、相対的に移動する複数の部材を互いに固定するものである。又更に、第1規制ボルト71及び第2規制ボルト72には、ボルトが含まれる。よって、清掃作用部に係る2軸の回転が、シンプルで操作し易い構成によって規制される。
【0045】
加えて、ヘッド部8に装着される先端工具には、ブラシ94が含まれる。よって、清掃し易い先端工具がスクラバー1に適用される。
更に、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224は、ブラシである。よって、スクラバー1の振られを防止するための周囲部100により、清掃面Cを汚したり傷つけたりする事態が防止される。又、先端工具がブラシ94であり且つ周囲部100の清掃面C側が周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224であれば、二重ブラシ構造が提供される。
【0046】
又更に、周囲部100は、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224を清掃面Cの側に付勢する各板バネ202を有している。よって、周囲部100が確実に清掃面Cを支持する。又、清掃作用部が清掃面Cに接触する前に清掃面側部が清掃面Cに接触する場合において、清掃面側部がより一層確実に清掃面Cに先に接触するようになる。
更に、周囲部100は、周囲部本体200と、周囲部アタッチメント206と、を備えている。周囲部アタッチメント206は、周囲部本体200に対して着脱自在である。周囲部アタッチメント206が取り外されると、パッド92の露出部Dが露出する。よって、パッド92の露出部Dにより清掃面Cの隅部等が良好に清掃される。
加えて、吊枠部6は、外枠60と、内枠62と、を備えている。内枠62は、外枠60に対して左右方向の第1回転軸の周りで回転可能である。ヘッド部8は、内枠62に対して前後方向の第2回転軸の周りで回転可能である。第1規制ボルト71は、第1回転軸の周りでの回転を規制する。第2規制ボルト72は、第2回転軸の周りでの回転を規制する。よって、先端工具の2軸に係る回転及びその規制に係る構造が、作動の良好な状態でシンプルに形成される。
【0047】
尚、本開示の形態及び変更例は、上記のものに限定されない。例えば、本開示の形態及び変更例は、次のような更なる変更例を適宜有する。
周囲部100の清掃面側部は、少なくとも、仮想的な三角形における各頂点に位置する3つの部分において、清掃面Cに接触可能であれば良い。例えば、清掃面側部は、先端工具の左前、右前、左後、右後に配置された各小ブラシであっても良い。
吊枠部6におけるヘッド部8に連結される第2枠は、第1枠の外側に接続されていても良い。
回転機構部は、2軸以上における回転が可能であれば、第1枠及び第2枠に係る吊枠部6以外のものとされて良い。例えば、回転機構部は、ユニバーサルジョイント又はボールジョイントであっても良い。又、回転機構部は、ゴムブロックのように、2軸以上の回転による姿勢変化を許容する弾性体であっても良い。
【0048】
周囲部100の清掃面側部は、先端工具の清掃作用部が清掃面Cに接触するときと同時に、清掃面Cに接触しても良い。この場合であっても、スクラバー1の振られが清掃当初から防止される。尚、清掃当初の一時的な振られが許容される場合、周囲部100の清掃面側部は、先端工具の清掃作用部が清掃面Cに接触した後に、清掃面Cに接触しても良い。
回転規制手段は、相対的に移動する複数の部材に共通に入るピン等であっても良い。
先端工具は、パッド92及びブラシ94以外のものであっても良い。
周囲部100の清掃面側部として、周囲部本体ブラシ部204及び周囲部アタッチメントブラシ部224のようなブラシに代えて、あるいはかようなブラシと共に、板ゴムを始めとする弾性体が用いられても良い。
板バネ202は、周囲部本体200と周囲部本体ブラシ部204との間に配置されても良いし、周囲部アタッチメント本体220と周囲部アタッチメントブラシ部224との間に配置されても良い。周囲部弾性体として、板バネ202に代えて、あるいは板バネ202と共に、コイルスプリング及びゴムブロックの少なくとも一方が用いられても良い。この場合、ゴムブロックは、周囲部本体200に合わせたリング状であっても良い。
【0049】
バッテリ40は、バッテリ装着部26に対して、左側から右方への方向あるいは上側から下方等の他の方向でスライドさせることで装着されるようにしても良い。バッテリ装着部26は、本体ハウジング18における他の部分に設けられても良い。バッテリ装着部26及びバッテリ40の少なくとも何れかは、複数設けられても良い。バッテリ装着部26は、本体ハウジング18に代えて、あるいは本体ハウジング18と共に、ヘッド部ハウジング102に設けられても良い。バッテリ40は、六角柱状等であっても良い。又、バッテリ40は、円柱状であっても良い。
【0050】
遊星歯車機構88の段数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。又、他の形式の減速機構が用いられても良い。
内排気口、外排気口144及び吸気口146の少なくとも何れかの設置数、配置、大きさ等は、様々に変更可能である。
ファン142につき、遠心ファン以外の形式のファンが用いられても良い。
電動モータ86は、アウターロータ型であっても良いし、ブラシ付きのモータであっても良い。
電動モータ86は、電源コードを介して商用電源に接続されるものであっても良く、ACにより駆動されるものであっても良い。
電動モータ86は、本体部4等に配置されていても良い。
先端工具は、偏心スピンドルにより偏心運動されても良い。又、先端工具は、往復運動されても良い。
先端工具の形状は、三角形等であっても良い。
【0051】
その他、各種部材又は部分の機能、配置、種類、形式、数の少なくとも何れかが適宜変更されても良い。例えば、各種軸受、ネジ、ボルト及びボタンのうちの少なくとも何れかの数が増減される。ボタンに替えてレバースイッチが用いられる。ピニオン136がベルトとプーリに代えられる。ネジがリベットとされる。モータハウジング82とギヤハウジング84とが一体とされる。バッテリ装着部26においてバッテリ40が充電可能とされる。使い切りのバッテリが用いられる。バッテリの電圧が18V以外のものとされる。バッテリがリチウムイオン電池以外のものとされる。
又、本開示は、長竿型ポリッシャ、長竿型バッフィングマシン等の他の長竿型清掃機に適用することができる。更に、本開示は、長竿型研磨機等の他の長竿型電動工具に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、住居の清掃面(床,壁等)、住居の清掃面、店舗の清掃面等の清掃に用いられる。本開示は、家庭用とされても良いし、ビルメンテナンス用を始めとする業務用とされても良いし、その他の用途に供されても良い。
【符号の説明】
【0053】
1・・スクラバー(長竿型清掃機)、2・・竿部、6・・吊枠部(回転機構部)、8・・ヘッド部、60・・外枠(第1枠)、62・・内枠(第2枠)、71・・第1規制ボルト、72・・第2規制ボルト、86・・電動モータ、92・・パッド(先端工具)、92A・・パッド下面(清掃作用部)、94・・ブラシ(先端工具,第1ブラシ)、94A・・ブラシ下端部(清掃作用部)、100・・周囲部、200・・周囲部本体、202・・板バネ(周囲部弾性体)、204・・周囲部本体ブラシ部(清掃面側部,第2ブラシ)、206・・周囲部アタッチメント、224・・周囲部アタッチメントブラシ部(清掃面側部,第2ブラシ)、C・・清掃面、D・・(先端工具の)露出部。