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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】UV熱硬化型接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/14 20060101AFI20231120BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231120BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
C09J175/14
C09J4/02
C09J11/06
C09J5/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019207335
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021080341
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391047558
【氏名又は名称】ヘンケルジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名取 稔城
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143038(JP,A)
【文献】特表2014-527106(JP,A)
【文献】国際公開第2019/185260(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109233648(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/14
C09J 4/02
C09J 11/06
C09J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV熱硬化型接着剤組成物であって、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粉末、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粉末(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含む、
UV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項2】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)が、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを、ウレタンアクリレートオリゴマー全体に対して50重量%以上含む、請求項1に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項3】
前記ゴム粒子(c)が、コアシェル型ゴム粒子である、項1又は2に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項4】
さらに、
(f)連鎖移動剤
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項5】
さらに、
(g)無機フィラー
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項6】
カメラモジュール組み立てのために用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
【請求項7】
UV熱硬化型接着剤組成物であって、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粒子、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含むUV熱硬化型接着剤組成物の、カメラモジュール組み立てのための使用。
【請求項8】
カメラモジュール用レンズホルダと、撮像素子が固定化されたカメラモジュール用基板とを接着させる方法であって、
前記レンズホルダと前記基板とを、UV熱硬化型接着剤組成物を用いて接着させる工程を含み、
前記UV熱硬化型接着剤組成物が、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粒子、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含むUV熱硬化型接着剤組成物である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUV熱硬化型接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等に搭載される小型カメラモジュールは、レンズと、それを保持する筒型のレンズホルダと、レンズが集光した光を電気信号へと変換する、基板上に固定された撮像素子とを有する。この小型カメラモジュールの組み立てにおいては、レンズホルダと、撮像素子が固定化された基板とを強固に接着する必要がある。この接着のため、熱硬化型接着剤が使用されている(特許文献1)。
【0003】
レンズホルダと、撮像素子が固定化された基板とを接着するに際しては、レンズと撮像素子との間の距離が正確に保たれるようにする必要がある。具体的には、レンズと撮像素子の受光面との距離を、レンズの焦点距離と一致させる必要がある。しかし、熱硬化型接着剤を使用した場合、熱硬化中にレンズと撮像素子との間の距離が変化するという問題があった。
【0004】
かかる問題点を解決するため、紫外線と熱とで硬化するタイプの接着剤が提案されている(特許文献2)。このようなUV熱硬化型接着剤を用いれば、位置変化を引き起こしやすい熱硬化工程の前にUV照射を行なうことにより、レンズと撮像素子との間の距離を正確に固定化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-184801号公報
【文献】特開2015-233313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レンズホルダの材料としてポリカーボネートのように熱膨張係数(CTE)が高い材料が汎用されている。本発明者は、従来のUV熱硬化型接着剤を用いた場合、レンズホルダと基板との間の熱膨張係数に大きな差があるため、熱硬化時において接着剤が剥離したり、熱耐久性が損なわれたりするという問題点があることを見出した。
【0007】
本発明は、カメラモジュール組み立てにおいてレンズホルダと、撮像素子が固定化された基板とを接着させるに際し、熱硬化時において接着剤が剥離しにくく、かつ、硬化後の熱耐久性により優れる接着剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、(b)アクリレートモノマー、(c)ゴム粒子、(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び(e)光硬化剤を含み、前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含むUV熱硬化型接着剤組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
【0009】
項1.
UV熱硬化型接着剤組成物であって、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粒子、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含む、
UV熱硬化型接着剤組成物。
項2.
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)が、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを、ウレタンアクリレートオリゴマー全体に対して50重量%以上含む、項1に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
項3.
前記ゴム粒子(c)が、コアシェル型ゴム粒子である、項1又は2に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
項4.
さらに、
(f)連鎖移動剤
を含む、項1~3のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
項5.
さらに、
(g)無機フィラー
を含む、項1~4のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
項6.
カメラモジュール組み立てのために用いられる、項1~5のいずれか一項に記載のUV熱硬化型接着剤組成物。
項7.
UV熱硬化型接着剤組成物であって、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粒子、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含むUV熱硬化型接着剤組成物の、カメラモジュール組み立てのための使用。
項8.
カメラモジュール用レンズホルダと、撮像素子が固定化されたカメラモジュール用基板とを接着させる方法であって、
前記レンズホルダと前記基板とを、UV熱硬化型接着剤組成物を用いて接着させる工程を含み、
前記UV熱硬化型接着剤組成物が、
(a)ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、ウレタンアクリレートオリゴマー、
(b)アクリレートモノマー、
(c)ゴム粒子、
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤、及び
(e)光硬化剤
を含み、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量が、4,000以上であり、かつ、
前記ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して5重量%以上含むUV熱硬化型接着剤組成物である、方法。
【発明の効果】
【0010】
カメラモジュール組み立てにおいて、本発明のUV熱硬化型接着剤組成物を用いて、レンズホルダと、撮像素子が固定化された基板とを接着させることにより、接着剤の熱硬化時における剥離を抑制し、かつ、硬化後の熱耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例における接着試験の模式図である。
図2】実施例における剥離試験の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として求められる値を指す。
【0013】
本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル及び(メタ)アクリロイル基とは、アクリレート若しくはメタクリレート、アクリル若しくはメタクリル、並びにアクリロイル基若しくはメタクリロイル基をそれぞれ意味する。
【0014】
(a)ウレタンアクリレートオリゴマー
ウレタンアクリレートオリゴマーは当業者に広く知られており、それらは例えば、ジイソシアネート、好ましくは脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレートとの反応により得られる。また、例えば、ジイソシアネート、好ましく脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレートと、ポリオールとの反応により得られる。
【0015】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを含む。ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーは当業者に広く知られており、例えば、ジイソシアネート、好ましく脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレートと、ポリカーボネートとの反応により得られる。
【0016】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーを、ウレタンアクリレートオリゴマー全体に対して、好ましくは50重量%以上含み、より好ましくは60重量%以上含む。本発明で用いるウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーのみからなるものであってもよい。ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーの具体例としては、例えば、「UN9200A」(根上工業株式会社;重量平均分子量15,000)、「UV3310B」(三菱ケミカル株式会社;重量平均分子量5,000)等が用いられる。
【0017】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)は、さらに、さらにポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーを含んでいてもよい。ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーは当業者に広く知られており、例えば、ジイソシアネート、好ましく脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレートと、ポリエーテルとの反応により得られる。ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーの具体例としては、例えば、「UV6640B」(三菱ケミカル株式会社;重量平均分子量5,000)、「UN6202」(根上工業株式会社;重量平均分子量11,000)等が用いられる。
【0018】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量は、4,000以上である。
【0019】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量は、硬化物において、十分なソフトセグメント構造を形成することにより、熱及び機械的刺激に対する耐久性を良好なものとし、かつ貯蔵弾性率を適切なものにするという点で、好ましくは5,000以上であり、より好ましくは6,000以上であり、さらに好ましくは8,000以上であり、さらにより好ましくは10,000以上である。ウレタンアクリレートオリゴマー(a)の重量平均分子量は、接着剤のディスペンス性の点で、好ましくは20,000以下であり、より好ましくは18,000以下であり、さらに好ましくは16,000以下である。
【0020】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、硬化後の弾性率制御及び接着性の点で、ウレタンアクリレートオリゴマー(a)を、合計で、組成物全体に対して、好ましくは10重量%以上含み、より好ましくは15重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、硬化後の弾性率制御、ディスペンス性、及び接着性の点で、ウレタンアクリレートオリゴマー(a)を、合計で、組成物全体に対して、好ましくは40重量%以下含み、より好ましくは30重量%以下含む。
【0021】
ウレタンアクリレートオリゴマー(a)は、硬化物の弾性率、及び接着性の点で、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは25℃以下である。とりわけ、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーは、より好ましくは10℃以下である。
【0022】
(b)アクリレートモノマー
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、さらにアクリレートモノマー(b)を含有する。アクリレートモノマー(b)は、単官能(メタ)アクリル酸エステルであってもよいし、多官能(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
【0023】
単官能メタアクリル酸エステルの具体例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、イソボロニルメタアクリレート(例えば、製品名「IBXA」、大阪有機化学産業)、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシメチルジエトキシシラン、4-メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、4-メタクリロキシブチルトリエトキシシラン、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(例えば、製品名「FA-512M」、日立化成社製)、ジシクロペンタニルメタクリレート(例えば、製品名「FA-513M」、日立化成社製)、ペンタメチルピペリジルメタクリレート(例えば、製品名「FA-711MM」、日立化成社製)、テトラメチルピペリジルメタクリレート(例えば、製品名「FA-712HM」、日立化成社製)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(例えば、日立化成社製)、ベンジルメタクリレート(例えば、製品名「FA-BZM」、日立化成社製)、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(例えば、製品名「ライトエステルG-201P」、共栄化学社製)、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸(例えば、製品名「CB-1」、新中村化学工業社製)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチレングリコールメタクリレート(例えば、製品名「PHE-1G」、新中村化学工業社製)、ステアリルメタクリレート(例えば、製品名「S」、新中村化学工業社製)、2-メタクリロイルオキシエチルサクシネート(例えば、製品名「SA」、新中村化学工業社製)、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、製品名「サイクロマーM100」、ダイセル社製)などが挙げられる。
【0024】
2官能メタアクリル酸エステルの具体例としては、例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート(例えば、製品名「APG-100、新中村化学工業)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、製品名「A-DCP」、新中村化学工業)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(例えば、製品名「FA-124M」、日立化成社製)、ネオペンチルグリコ-ルジメタクリレ-ト(例えば、製品名「FA-125M」、日立化成社製)、ポリエチレングリコ-ル#200ジメタクリレ-ト(例えば、製品名「FA-220M」、日立化成社製)、EO変性ビスフェノ-ルAジメタクリレ-ト(例えば、製品名「FA-321M」、日立化成社製)、EO変性ポリプロピレングリコ-ル#700ジメタクリレート(例えば、製品名「FA-023M」、日立化成社製)、エチレングリコールジメタクリレート(例えば、製品名「1G」、新中村化学工業社製)、ジエチレングリコールジメタクリレート(例えば、製品名「2G」、新中村化学工業社製)、トリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、製品名「3G」、新中村化学工業社製)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、新中村化学工業社製)、2,2-ビス[4-(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン(例えば、製品名「BPE-80N」、新中村化学工業社製)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(例えば、製品名「DCP」、新中村化学工業社製)、1,10-デカンジオールジメタクリレート(例えば、製品名「DOD-N」、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(例えば、製品名「HD-N」、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(例えば、製品名「NOD-N」、新中村化学工業社製)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(例えば、製品名「NPG」、新中村化学工業社製)、エトキシ化ポリプロピレングリコールジメタクリレート(例えば、新中村化学工業社製)、グリセリンジメタクリレート(例えば、製品名「701」、新中村化学工業社製)、及びポリプロピレングリコールジメタクリレート(例えば、新中村化学工業社製)等が挙げられる。
【0025】
3官能以上の多官能メタクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば、製品名「TMPT」、新中村化学工業社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、アクリレートモノマー(b)を、一種のみ含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
【0027】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、良好なUV硬化性及び架橋密度コントロールの点で、アクリレートモノマー(b)を、合計で、組成物全体に対して、好ましくは10重量%以上含み、より好ましくは15重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、硬化後の弾性率制御、ディスペンス性、及び接着性の点で、ウレタンアクリレートオリゴマー(a)を、合計で、組成物全体に対して、好ましくは40重量%以下含み、より好ましくは30重量%以下含む。
【0028】
(c)ゴム粒子
ゴム粒子(c)は、被接着面と接着剤との間の熱膨張係数のミスマッチを解消する目的で配合される。これにより、熱及び/又は物理的衝撃による接着剤の剥離やひび割れ等を防ぐことができる。
【0029】
ゴム粒子(c)は、好ましくはコアシェル型ゴム粒子である。材質は限定されず、汎用されているスチレン・ブタジエンゴム等をコア部に用いることができる。
【0030】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、ゴム粒子(c)を、一種のみ含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
【0031】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、被接着面と接着剤との間の熱膨張係数のミスマッチを解消するという点では、ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して、好ましくは3重量%以上含み、より好ましくは4重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、ゴム粒子(c)を、組成物全体に対して、好ましくは20重量%以下含み、より好ましくは15重量%以下含み、さらに好ましくは10重量%以下含む。
【0032】
(d)第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン硬化剤
ポリアミン硬化剤(d)は、第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン型熱硬化剤である。
【0033】
ポリアミン硬化剤(d)は、製品寿命が長くなるという点で融点が、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。また、ポリアミン硬化剤(d)は、通常の熱硬化温度、典型的には80℃、における熱硬化性が十分なものとなるという点で、融点が、80℃以下であり、より好ましくは70℃以下である。
【0034】
第一級アミン及び/又は第二級アミンを有するポリアミン型熱硬化剤の具体例としては、例えば、フジキュアFXR-1020、FXR-1030、FXR-1050及びFXR-1080(富士化成工業製)、並びにアデカハードナーEH-4357S、EH-5030S(ADEKA製)、EH-5057PK(ADEKA製)、及びEH-5057PK(ADEKA製)等が挙げられる。
【0035】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、ポリアミン硬化剤(d)を、一種のみ含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
【0036】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、良好な接着力、並びにアクリルモノマー及びオリゴマーとの十分な付加反応の点で、ポリアミン硬化剤(d)を、組成物全体に対して、好ましくは10重量%以上含み、より好ましくは20重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、良好な耐湿性及びディスペンス性の点で、ポリアミン硬化剤(d)を、組成物全体に対して、好ましくは40重量%以下含み、より好ましくは30重量%以下含む。
【0037】
(e)光重合開始剤
光重合開始剤(e)としては、特に限定されず、当該技術分野において通常使用されるものを使用できる。
【0038】
光重合開始剤(e)の具体例として、例えば、IRGACURE 651(2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン)、IRGACURE 184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、DAROCUR 1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)、IRGACURE 2959(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)、IRGACURE 127(2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン}、IRGACURE 907(2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、IRGACURE 369(2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1)、IRGACURE 379(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF・ジャパン社製)、DETX-S(2,4-ジエチルチオキサントン)(日本化薬社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0039】
光重合開始剤(e)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、良好なUV硬化性の点で、光重合開始剤(e)を、組成物全体に対して、好ましくは0.5重量%以上含み、より好ましくは1重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、接着性の安定性の点で、光重合開始剤(e)を、組成物全体に対して、好ましくは5重量%以下含み、より好ましくは2重量%以下含む。
【0041】
(f)連鎖移動剤
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、さらに連鎖移動剤(f)を含んでいてもよい。
【0042】
連鎖移動剤は、重合反応の場において、成長するポリマー鎖の活性を他の分子に移動させる作用を有する。重合反応の場において連鎖移動剤が作用することにより、比較的長い分子鎖及び比較的短い分子鎖の量が相対的に低下し、分子量分布は狭くなる。その結果、より高い分子量を持つ分子の数が減少するため、重合反応により得られる組成物は理想的な硬度を有する。
【0043】
連鎖移動剤(f)は好ましくはチオールである。チオールである連鎖移動剤(g)の具体例としては、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、tert-ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、tert-ノニルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸イソ-オクチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、1,8-ジメルカプト-3,5-ジオキサオクタン、ジベンジルチチオカルボネート、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオエート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0044】
連鎖移動剤(f)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、より高い硬度、すなわち、十分な靭性を硬化物に与え、及び/又は硬化物におけるムラを抑制するという点で、連鎖移動剤(f)を、組成物全体に対して、5重量%以上含み、より好ましくは10重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、適度な硬度、すなわち、十分な皮膜引張強さを硬化物に与えるという点で、連鎖移動剤(f)を、組成物全体に対して、20重量%以下含み、より好ましくは15重量%以下含む。
【0046】
(g)無機フィラー
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、さらに無機フィラー(g)を含有していてもよく、それにより、UV熱硬化型接着剤組成物の熱膨張係数やレオロジー等を制御することができる。
【0047】
無機フィラー(g)としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ及びナノシリカ等のシリカフィラー、並びにアクリルビーズ、ガラスビーズ、ウレタンビーズ、ベントナイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラック等が挙げられる。
【0048】
無機フィラー(g)の平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、特に限定されず、0.01μm以上であれば、UV熱硬化型接着剤組成物がハンドリングに優れるものとなるという点で好ましい。また、無機フィラー(g)の平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、50μm以下であれば、UV熱硬化型接着剤組成物中に均一に分散されるという点で好ましい。なお、本発明において、無機フィラーの平均粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計により測定するものとする。
【0049】
無機フィラー(g)の具体例としては、例えば、高純度合成球状シリカ(製品名「SO-E5」、アドマテックス製、平均粒径:2μm;製品名「SO-E2」、アドマテックス製、平均粒径:0.6μm)、シリカ(製品名「FB7SDX」、龍森製、平均粒径:10μm)、及びシリカ(製品名「TS-10-034P」、マイクロン製、平均粒径:20μm)等が挙げられる。
【0050】
無機フィラー(g)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、接着剤の収縮率、及び熱膨張率制御の点で、無機フィラー(g)を、組成物全体に対して、好ましくは0.5重量%以上含み、より好ましくは1重量%以上含む。本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、弾性率及び初期接着力の点で、無機フィラー(g)を、組成物全体に対して、好ましくは20重量%以下含み、より好ましくは10重量%以下含む。
【0052】
(h)その他の成分
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、さらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、接着剤助剤として、シラン、チタネート等の各種カップリン剤及びヒュームドシリカ等のレオロジー調整剤、が挙げられる。
【0053】
物性
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、熱とUVとにより硬化させた後の貯蔵弾性率(25℃)が、800MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがより好ましい。このとき、被接着面と接着剤との間の熱膨張係数のミスマッチが、熱及び/又は物理的衝撃によっても起こりにくくなる。
【0054】
用途
本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、好ましくは、カメラモジュール組み立てのために用いられる。より具体的には、本発明のUV熱硬化型接着剤組成物は、好ましくは、カメラモジュール組み立てにおいて、レンズホルダと、撮像素子が固定化された基板とを接着するために用いられる。上記において、カメラモジュールは、特に限定されず、例えば、スマートフォン等に使用される小型カメラモジュールである。
【実施例
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。なお、表中において各成分の値は、特に単位の指定がない限り、重量(g)を示す。
【0056】
表1に示す組成比で各成分を混合することにより比較例1~4及び実施例1~3の接着剤組成物をそれぞれ調製した。具体的には、熱硬化剤、ゴム粒子、光重合開始剤、無機フィラー及び連鎖移動剤を溶解させたアクリレートモノマーと、ウレタンアクリレートオリゴマーとを3本ロールを用いてよく分散させ、得られた混合物とその他の添加剤等とをプラネタリーミキサーを用いて混合し、さらに真空脱泡を行って接着剤組成物を得た。
【0057】
各物性の評価はそれぞれ以下の通りに行った。評価結果を表1に示す。
<貯蔵弾性率試験>
配合した接着剤ペーストを1mm厚になるよう、500mW/cm-4sec+80℃-60minの条件で硬化し、シート化した。その後、10mm幅の短冊にし、動粘弾性測定(DMA)を引張りモードで行い、-40℃から250℃の貯蔵弾性率E’を測定した。
【0058】
<接着試験>
図1に示す通り行った。具体的には、以下の通りである。15mm×15mmのセラミック基板上に接着剤組成物を5mm×5mmのロの字の形状で、3.5mg程度の重量になる様ディスペンスし、その後7mm×7mmの形状のPCチップをマウントし、接着剤の厚みが100μmになるよう調整した。周囲4方向から365nm-LEDを500mW/cm×4秒の条件で照射し、仮硬化させた。その後、熱風循環式オーブンを用いて、80℃、60分の条件で熱硬化させたサンプルを、Dage製4000万能型ボンドテスターを用いて、シェアスピード200μm/s、シェア高さ120μmの条件で測定した。
【0059】
<剥離試験>
上記の接着試験と同様の操作を、80℃、60分の条件で接着剤を熱硬化させるまで行なった。次に温度サイクル試験を行った後に、SEMで剥離の有無を確認した。
【0060】
温度湿度試験の条件は、85℃/85%RH、250時間とした。
【0061】
温度サイクル試験の条件は、-40~85℃、250サイクルとした。
【0062】
<実施例1>
実施例1のUV熱硬化型接着剤組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、Tgが12℃、重量平均分子量(Mw)が5,000のポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーと、Tgが-27℃、重量平均分子量(Mw)が15,000のポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーとを含む。
【0063】
評価結果を表1に示す。実施例1のUV熱硬化型接着剤組成物は、アクリレートモノマーを含むため、UV照射による硬化が進行しやすいことが判る。また、硬化物は低弾性であり、かつ適度な量のゴム粒子を含んでいるため、物理的衝撃に対する耐久性を有することが当然に期待されるが、評価試験結果から、熱に対する耐久性も備えたものとなることが判る。さらに、第一級アミン及び第二級アミンを有するポリアミン硬化剤を含んでいることにより、熱硬化時初期の接着性に優れ、かつ耐久性にも優れたものとなることが判る。
【0064】
<比較例1>
比較例1のUV熱硬化型接着剤組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーのみを含むため、接着性と耐久性とが良好とはならず、温度サイクル試験後に剥離が見られた。
<実施例2>
実施例2のUV熱硬化型接着剤組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、Tgが-27℃、重量平均分子量(Mw)が15,000のポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーのみを含む。
【0065】
評価結果を表1に示す。実施例2のUV熱硬化型接着剤組成物は、アクリレートモノマーを含むため、UV照射による硬化が進行しやすいことが判る。また、適度な量のゴム粒子を含んでいるため、硬化物は、熱及び物理的衝撃に対する耐久性を備えたものとなることも判る。さらに、第一級アミン及び第二級アミンを有するポリアミン硬化剤を含んでいることにより、熱硬化時初期の接着性に優れ、かつ耐久性にも優れたものとなることが判る。
【0066】
<比較例2>
比較例1のUV熱硬化型接着剤組成物は、十分な量のゴム粒子を含まないため、硬化後の熱及び物理的衝撃に対する耐久性が良好とはならず、また貯蔵弾性率が過度に高いものとなった。また、これらのことも原因となり、温度サイクル試験後に剥離が見られた。
<実施例3>
実施例3のUV熱硬化型接着剤組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、Tgが12℃、重量平均分子量(Mw)が5,000のポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーと、Tgが-27℃、重量平均分子量(Mw)が15,000のポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーとを含む。
【0067】
評価結果を表1に示す。実施例3のUV熱硬化型接着剤組成物は、アクリレートモノマーを含むため、UV照射による硬化が進行しやすいことが判る。また、適度な量のゴム粒子を含んでいるため、硬化物は、熱及び物理的衝撃に対する耐久性を備えたものとなることも判る。さらに、第一級アミン及び第二級アミンを有するポリアミン硬化剤を含んでいることにより、熱硬化時初期の接着性に優れ、かつ耐久性にも優れたものとなることが判る。
【0068】
<比較例3>
比較例3のUV熱硬化型接着剤組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマーとポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーとを含むものの、重量平均分子量が約3,000であることにより、硬化物において十分なソフトセグメント構造が形成されないため、熱及び物理的衝撃に対する耐久性が良好とはならず、また貯蔵弾性率が過度に高いものとなった。また、これらのことも原因となり、温度サイクル試験後に剥離が見られた。
【0069】
<比較例4>
比較例4のUV熱硬化型接着剤組成物は、熱硬化剤としてイミダゾール系熱硬化剤を含むものであるため、熱硬化が不十分であった。
【表1】
図1
図2