(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】アクチュエータ又はサスペンション
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20231120BHJP
B60G 17/00 20060101ALI20231120BHJP
F16F 9/46 20060101ALI20231120BHJP
F16F 9/56 20060101ALI20231120BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
F16H25/24 A
B60G17/00
F16F9/46
F16F9/56 Z
F16H25/20 H
(21)【出願番号】P 2019208426
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】押田 敬史
(72)【発明者】
【氏名】咲山 隆
(72)【発明者】
【氏名】西出 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】兼重 宙
(72)【発明者】
【氏名】谷口 翔
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-025139(JP,A)
【文献】特開2016-017535(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0148463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
B60G 17/00
F16F 9/46
F16F 9/56
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持され、底部を有する中空軸と、
前記中空軸の前記底部に連結され、前記中空軸と共通の中心線を持つねじ軸と、
前記ねじ軸とねじ係合するナットと、を備え、
前記ナットが前記ねじ軸の軸方向に移動して、前記中空軸と前記ねじ軸との間に入り込み可能であるアクチュエータ。
【請求項2】
前記ケーシングの外面には、突起が固定され、
前記ナットには、前記ナットを回り止めし、前記突起が嵌まる溝が形成される回り止め部材が連結されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記回り止め部材には、前記突起に当接して、前記ケーシングに対する前記ナットの軸方向の相対移動を制限するストッパが設けられることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアクチュエータを備えるサスペンション。
【請求項5】
前記ナットとショックアブソーバのインナーロッドが連結されており、
前記インナーロッドの中空部に前記ねじ軸が入り込み可能であることを特徴とする請求項4に記載のサスペンション。
【請求項6】
ケーシングと、
前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持されるねじ軸と、
前記ねじ軸にねじ係合するナットと、
インナーロッドを有するショックアブソーバと、を備え、
前記ナットと前記ショックアブソーバの前記インナーロッドが連結されており、
前記インナーロッドの中空部に前記ねじ軸が入り込み可能であるサスペンション。
【請求項7】
ケーシングと、
前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持されるねじ軸と、
前記ねじ軸とねじ係合するナットと、
前記ケーシングの外面に固定される突起と、
前記ナットに連結され、前記突起が嵌まる溝が形成され、前記ナットを回り止めする回り止め部材と、を備えるサスペンション。
【請求項8】
駆動ユニットによって前記ねじ軸を回転駆動させ、前記ねじ軸に対して前記ナットを軸方向に相対移動させて、車高を調整することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか一項に記載のサスペンション。
【請求項9】
前記ねじ軸に減衰力を発生せるためのモータが接続されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか一項に記載のサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ機構を備えるアクチュエータ又はねじ機構を備えるサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からねじ機構を備えるアクチュエータが知られている。ねじ機構は、ねじ軸と、ねじ軸にねじ係合するナットと、を有する。ねじ軸を回転駆動すると、ナットがねじ軸の軸方向に相対移動する。このアクチュエータを組み込んだサスペンション、すなわちねじ機構を備えるサスペンションとして、車高調整サスペンションが知られている(特許文献1参照)。駆動ユニットによってねじ軸を回転駆動させると、ナットが軸方向に移動する。ナットには、懸架ばねの一端部を受けるばね受けが連結される。ナットと一緒にばね受けの軸方向の位置を調整することによって、車高を調整することができる。
【0003】
また、従来のねじ機構を備える他のサスペンションとして、電磁サスペンションが知られている(特許文献2参照)。電磁サスペンションにおいて、ねじ機構は、車両の車体側部と車輪側部との間の距離の変化を、ねじ軸の回転運動に変換するのに用いられる。ねじには、ねじ軸の回転に抵抗するモータが接続される。モータの抵抗によって減衰力を発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-276882号公報
【文献】特開2005-140144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のねじ機構を備えるアクチュエータにおいて、ねじ軸に対するナットの相対的なストロークを確保するためには、ねじ軸を長くする必要があり、これによりアクチュエータの全長が長くなるという課題がある。アクチュエータの配置スペースが少ない場合、アクチュエータの全長を短くすることが望まれる。
【0006】
従来のねじ機構を備えるサスペンションにおいても同様の課題がある。すなわち、従来のねじ機構を備えるサスペンションにおいて、ねじ軸に対するナットの相対的なストロークを確保するためには、ねじ軸を長くする必要があり、これによりサスペンションの全長が長くなるという課題がある。アクチュエータの配置スペースが少ない場合、アクチュエータの全長を短くすることが望まれる。サスペンションの配置スペースが少ない場合、サスペンションの全長を短くすることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、全長を短くすることができるアクチュエータ又はサスペンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ケーシングと、前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持され、底部を有する中空軸と、前記中空軸の前記底部に連結され、前記中空軸と共通の中心線を持つねじ軸と、前記ねじ軸とねじ係合するナットと、を備え、前記ナットが前記ねじ軸の軸方向に移動して、前記中空軸と前記ねじ軸との間に入り込み可能であるアクチュエータである。
【0009】
本発明の他の態様は、ケーシングと、前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持されるねじ軸と、前記ねじ軸にねじ係合するナットと、インナーロッドを有するショックアブソーバと、を備え、前記ナットと前記ショックアブソーバの前記インナーロッドが連結されており、前記インナーロッドの中空部に前記ねじ軸が入り込み可能であるサスペンションである。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、ケーシングと、前記ケーシングに軸受を介して回転可能に支持されるねじ軸と、前記ねじ軸とねじ係合するナットと、前記ケーシングの外面に固定される突起と、前記ナットに連結され、前記突起が嵌まる溝が形成され、前記ナットを回り止めする回り止め部材と、を備えるサスペンションである。
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクチュエータ又はサスペンションの全長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態のアクチュエータを組み込んだ本発明の第1の実施形態のサスペンションの外観図である(
図1(a)は側面図、
図1(b)は正面図)。
【
図2】本実施形態のサスペンションの縦断面図である(サスペンションの最短状態)。
【
図3】
図2のIII部拡大図である(アクチュエータの縦断面図)。
【
図4】本実施形態のサスペンションの縦断面図である(サスペンションの最長状態)。
【
図5】回り止め機構の詳細図である(
図4のV部拡大図)。
【
図6】本発明の第2の実施形態のアクチュエータを組み込んだ本発明の第2の実施形態のサスペンションの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態のアクチュエータ及びサスペンションを詳細に説明する。ただし、本発明のアクチュエータ及びサスペンションは、種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1の実施形態)
【0014】
図1は、第1の実施形態のアクチュエータ2を組み込んだ本発明の第1の実施形態のサスペンション1(車高調整サスペンション)の外観図である。
図1(a)は側面図、
図1(b)は正面図である。2は駆動ユニット3を含むアクチュエータ、4は懸架ばね、5a,5bはばね受け、6はショックアブソーバである。懸架ばね4とショックアブソーバ6は、路面の凹凸を吸収する。懸架ばね4は、ノミナルの車高を規定する。アクチュエータ2は、伸縮可能である。アクチュエータ2が伸縮することで、車高が上下する。
【0015】
サスペンション1は、車体側部と車輪側部との間に設けられる。車両へのサスペンション1の取付け方法は、限定されるものではない。サスペンション1は、独立懸架式サスペンションでもよいし、車軸式サスペンションでもよい。例えば、サスペンション1の一端部(ケーシング7の一端部)が車体に連結され、サスペンション1の他端部(ショックアブソーバ6の他端部)がロアアームに連結され、又はプッシュロッドを介してロアアームに連結される。
【0016】
図2は、本実施形態のサスペンション1の縦断面図である。
図3は、
図2のIII部拡大図である。
図3に示すように、本実施形態のアクチュエータ2は、ケーシング7、軸受9a,9b、中空軸8、ねじ軸14、ナット15、駆動ユニット3、回り止め機構31(
図2も参照)を備える。以下にこれらを順番に説明する。
【0017】
ケーシング7は、略有底円筒状である。ケーシング7には、車体側部に連結するための球面軸受7aが設けられる。ケーシング7には、中空軸8が軸受9a,9bを介して回転可能に支持される。中空軸8は、ケーシング7よりも小径の略有底円筒状である。中空軸8には、フランジ8aが形成される。フランジ8aを軸受9bに突き当てることで、中空軸8の軸方向の一方向(図中(1)方向)の位置が決められる。フランジ8aには、ウォーム11に噛み合うウォームホイール12が固定される。具体的には、フランジ8aには、リング状のウォームホイール12が止め輪、セレーション形状での圧入等の固定手段を用いて固定される。
【0018】
中空軸8を回転可能に支持する軸受9a,9bは、例えばアンギュラベアリングである。軸受9bは、軸方向の一方向(車体の重量がかかる図中(1)方向)の荷重を受ける。軸受9aは、軸方向の他方向(車体が持ち上がるときの図中(2)方向)の荷重を受ける。軸受9bは軸受9aよりも大きい。なお、軸受9a,9bの種類、個数、大きさは上記に限定されるものではなく、軸受9a,9bにはスラストベアリングを用いてもよい。
【0019】
中空軸8の底部8bには、中空軸8と共通の中心線を持つねじ軸14が連結される。中空軸8とねじ軸14との間には、環状の収容空間S(
図4も参照)が形成される。中空軸8の内径は、ナット15の外径よりも大きい。収容空間Sは、ナット15が入り込み可能に形成される。
【0020】
ねじ軸14は、キー(図示せず)、締結部材17等の連結手段を用いて中空軸8に回転不可能かつ軸方向に移動不可能に連結される。キーは、中空軸8とねじ軸14との間に介在し、中空軸8にねじ軸14を相対回転不可能に連結する。環状の締結部材17は、ねじ軸14の端部に螺合して、中空軸8のフランジ8aとの間で軸受9a,9bを挟む。締結部材17は、中空軸8に対してねじ軸14を軸方向に移動不可能にする。ねじ軸14には、中空軸8の底部8bに突き当たる段差14bが形成される。なお、中空軸8とねじ軸14を一体化し、これらを一部品にしてもよい。
【0021】
ねじ軸14の外面には、台形ねじ等の雄ねじ14aが形成される。ねじ軸14には、ねじ軸14を囲むナット15がねじ係合する。ナット15の内面には、雄ねじ14aに螺合する台形ねじ等の雌ねじ15aが形成される。なお、ねじ軸14とナット15との間に円周方向に均配されたねじローラを介在させてもよいし、ねじ軸14のねじ溝とナット15のねじ溝との間に転がり運動可能に多数のボールを介在させてもよい。
【0022】
ナット15の一端部には、フランジ15bが形成される。ナット15は、ボルト等の連結手段を用いてフランジ15bを介してショックアブソーバ6のインナーロッド21に連結される。ショックアブソーバ6のインナーロッド21の一端部にも、フランジ21aが形成される。インナーロッド21のフランジ21aには、ばね受け5aが固定される。インナーロッド21のフランジ21aには、フランジ21aとケーシング7の接触を防止するクッション材(図示せず)が取り付けられる。
【0023】
図2に示すように、駆動ユニット3は、モータ19と、歯車装置13と、を備える。
図1に示すように、ケーシング7には、歯車装置13を収容するギヤボックス7bが形成される。モータ19はギヤボックス7bに取り付けられる。モータ19の中心線は、アクチュエータ2のねじ軸14の中心線と直角である。
図2に示すように、歯車装置13は、ウォーム11と、ウォームホイール12と、を備える。ウォーム11は、モータ19の出力軸に連結される。ウォームホイール12は、ウォーム11に噛み合う。上述のように、ウォームホイール12は、中空軸8のフランジ8aに設けられる。
【0024】
モータ19を回転駆動させると、歯車装置13を介して中空軸8が回転する。中空軸8が回転すると、中空軸8と一緒にねじ軸14が回転する。ナット15は、回り止め機構31によって回り止めされているので、ナット15が軸方向に移動する。
【0025】
回り止め機構31は、突起32と、回り止め部材33と、を備える。
図5に示すように、ケーシング7の外面には、突起32が固定される。突起32は、例えば半円柱状である。回り止め部材33は、ケーシング7の外面に対向する。
図2に示すように、ナット15には、インナーロッド21のフランジ21aを介して、ボルト等の連結手段を用いて回り止め部材33が連結される。
【0026】
図5に示すように、回り止め部材33は、枠状のガイドストッパ34と、ガイドストッパ34に嵌められるガイドレール35と、を備える。ガイドレール35には、突起32に嵌まり、軸方向に延びる溝33bが形成される。溝33bは断面半円状である。ガイドストッパ34の先端部には、突起32に当接可能なストッパ33aが設けられる。ガイドストッパ34の内側面に形成した突条34aにガイドレール35の側面に形成した溝35aを嵌め、ボルト等の連結手段を用いてガイドストッパ34をインナーロッド21のフランジ21aに連結する。なお、ガイドストッパ34とガイドレール35を一体化し、これらを一部品にしてもよい。
【0027】
図2に示すように、本実施形態のサスペンション1は、アクチュエータ2、懸架ばね4、ショックアブソーバ6を備える。以下に懸架ばね4、ショックアブソーバ6を順番に説明する。
【0028】
懸架ばね4は、ショックアブソーバ6と同心のコイルばねである。懸架ばね4は、ばね受け5aとばね受け5bとの間に介在する。ばね受け5aは、ナット15に嵌合される。ばね受け5bは、ショックアブソーバ6に固定される。
【0029】
ショックアブソーバ6は、インナーロッド21と、ケース22と、を備える。ケース22には、ばね受け5bが固定される。ケース22の端部には、球面軸受23aが設けられる連結部材23が固定される。
【0030】
ケース22の内部には、作動油が充填される。インナーロッド21の端部には、ピストン21bが設けられる。ケース22の内部は、ピストン21bによって2つの作動室に区画される。ピストン21bには、オリフィス21cが形成される。ショックアブソーバ6は、ケース22に対してインナーロッド21が軸方向に移動すると減衰力が発生するように構成される。
【0031】
インナーロッド21の一端部には、中空部21d(
図3も参照)が形成される。中空部21dは、軸方向に延びる穴から構成される。中空部21dの内径は、ねじ軸14の外径よりも大きい。中空部21dは、ねじ軸14が入り込み可能に形成される。
【0032】
以上に本実施形態のアクチュエータ2及びサスペンション1の構成を説明した。本実施形態のアクチュエータ2及びサスペンション1によれば、以下の作用、効果を奏する。駆動ユニット3によってねじ軸14を回転駆動すると、回り止め機構31によって回り止めされたナット15がねじ軸14の軸方向に移動する。ナット15には、ばね受け5aが嵌合されるので、ばね受け5aがケーシング7に対してねじ軸14の軸方向に相対的に移動する。このため、アクチュエータ2(サスペンション1)は、
図2に示す最短状態と
図4に示す最長状態との間を伸縮する。
【0033】
図2に示すアクチュエータ2(サスペンション1)の最短状態において、ナット15が中空軸8とねじ軸14との間に入り込み、ナット15が軸受9bとオーバーラップ(すなわち側面視においてナット15と軸受9bが重なる)する。また、ねじ軸14がインナーロッド21の中空部21d内に入り込む。さらに、回り止め部材33が軸受9a,9bとオーバーラップ(すなわち側面視において回り止め部材33と軸受9a,9bが重なる)する。このため、ナット15のストロークを確保した上でアクチュエータ2の全長を短くすることができ、ひいてはサスペンション1の全長を短くすることができる。
【0034】
従来のアクチュエータ及びサスペンションにおいては、軸受、ナット、インナーロッドがオーバーラップしないように配置されている。このため、ナットのストロークを確保するためには、アクチュエータ及びサスペンションの全長を長くする必要があった。本実施形態のサスペンション1によれば、ナット15のストロークを確保した上でアクチュエータ2及びサスペンション1の全長を短くすることができる。
【0035】
図4に示すアクチュエータ2(サスペンション1)の最長状態において、回り止め部材33のストッパ33aが突起32に当接して、ケーシング7に対するナット15の軸方向の相対移動が制限される。このため、ナット15がねじ軸14から外れるのを防止できる。
【0036】
従来のアクチュエータ及びサスペンションにおいて、ナットがねじ軸から抜けないようにするためには、ねじ軸の端末にストッパを設ける必要があった。本実施形態のアクチュエータ2及びサスペンション1によれば、回り止め部材33にストッパ33aを設けるので、ナット15がねじ軸14から抜けるのを容易に防止できる。
(第2の実施形態)
【0037】
図6は、本発明の第2の実施形態のアクチュエータ42を組み込んだ本発明の第2の実施形態のサスペンション41(電磁サスペンション)の縦断面図である。42はモータ43を含むアクチュエータ、4は懸架ばね、6はショックアブソーバである。
【0038】
懸架ばね4、ショックアブソーバ6の構成は、第1の実施形態のサスペンション1と略同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。アクチュエータ42の中空軸8、ねじ軸14、ナット15、軸受9a,9b、回り止め機構31の構成も、第1の実施形態のサスペンション1と略同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0039】
第2の実施形態のサスペンション41では、アクチュエータ42のケーシング44は、車体に弾性的に取り付けられる。ねじ軸14は、ケーシング44と車体を貫通する。ねじ軸14の一端部には、モータ43が連結される。
【0040】
アクチュエータ42のねじ機構には、逆効率を高くするために、ボールねじが使用される。すなわち、ねじ軸14のねじ溝とナット15のねじ溝との間には、多数のボール45が転がり可能に介在する。
【0041】
車体側部と車輪側部との間の距離が変化すると、ナット15が上下(ナット15がねじ軸14の軸方向に移動)する。ナット15の軸方向の移動は、ねじ機構によって、ねじ軸14の回転運動に変換される。ねじ軸14が回転すると、モータ43が発電する。モータ43が発電する際の抵抗によりサスペンション41に減衰力を発生させることができる。なお、ショックアブソーバ6は、路面から入力される高周波振動を吸収し、ナット15に伝わりにくくする。
【0042】
一方、バッテリ電源によりモータ43を回転させると、ナット15が上下して、ナット15と一緒にショックアブソーバ6のインナーロッド21が上下する。インナーロッド21の推進力は、ショックアブソーバ6によってある程度吸収された状態で、車輪側部に伝わる。これにより、サスペンション41の減衰力を調整することができる。
【0043】
第2の実施形態のサスペンション41においても、第1の実施形態のサスペンション1と略同様の効果を奏するので、詳しい説明を省略する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に変更可能である。
【0045】
上記実施形態では、アクチュエータをサスペンションに組み込んだ例を説明したが、アクチュエータはサスペンションに組み込むのに限定されることはない。例えばアクチュエータを伸縮アクチュエータとして用いたり、又はアクチュエータを可動部をX軸方向に移動させるX軸アクチュエータとして用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…サスペンション、2…アクチュエータ、3…駆動ユニット、6…ショックアブソーバ、7…ケーシング、8…中空軸、8b…底部、9a,9b…軸受、14…ねじ軸、15…ナット、21…インナーロッド、21d…中空部、32…突起、33…回り止め部材、33a…ストッパ、33b…溝、41…サスペンション、42…アクチュエータ、43…モータ、44…ケーシング