(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】鉄道用タンク車、及び、鉄道用タンク車に用いられる手摺り
(51)【国際特許分類】
B61D 5/06 20060101AFI20231120BHJP
B61D 5/00 20060101ALI20231120BHJP
E04F 11/18 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B61D5/06
B61D5/00 C
E04F11/18
(21)【出願番号】P 2020002238
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】日野 慶一
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭46-000106(JP,A)
【文献】特開2010-089753(JP,A)
【文献】特開2002-308005(JP,A)
【文献】実開昭53-077504(JP,U)
【文献】特開平11-244202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0297618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/22- 3/24
B61D 1/00-49/00
E02F 9/16
E02F 9/24
E04F 11/18
E04G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、前記タンクが取り付けられる台枠と、前記台枠に設けられた台車と、前記台枠に固定される手摺りと、を備える鉄道用タンク車において、
前記手摺りは、
前記台枠に固定される手摺り枠と、
前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、
前記縦桟は、前記手摺り枠より上方に延長され、上端部が屈曲して前記タンクに固定されており、人が前記上端部の下を立って通ることができる全高を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車。
【請求項2】
タンクと、前記タンクが取り付けられる台枠と、前記台枠に設けられた台車と、前記台枠に固定される手摺りと、を備える鉄道用タンク車において、
前記手摺りは、
前記台枠に固定される手摺り枠と、
前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、
前記手摺り枠は、前記縦桟より上方に延長され、前記縦桟より上方の位置で連結部材を介して前記タンクに固定されており、人が前記連結部材の下を立って通ることができる全高を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する鉄道用タンク車において、
前記手摺り枠と前記台枠とに固定され、前記手摺り枠が前記台枠に固定される第1固定部分を補強する第1補強部材を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載する鉄道用タンク車において、
前記縦桟と前記台枠とに固定され、前記縦桟が前記台枠に固定される第2固定部分を補強する第2補強部材を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載する鉄道用タンク車において、
前記手摺りは、前記手摺り枠を補強する横桟を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車。
【請求項6】
タンクと、前記タンクが固定される台枠と、前記台枠に設けられた台車とを備える鉄道用タンク車に用いられ、前記台枠に固定される手摺りであって、
前記台枠に固定される手摺り枠と、
前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、
前記縦桟は、前記手摺り枠より上方に延長され、上端部が屈曲して前記タンクに固定されており、人が前記上端部の下を立って通ることができる全高を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車に用いられる手摺り。
【請求項7】
タンクと、前記タンクが固定される台枠と、前記台枠に設けられた台車とを備える鉄道用タンク車に用いられ、前記台枠に固定される手摺りであって、
前記台枠に固定される手摺り枠と、
前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、
前記手摺り枠は、前記縦桟より上方に延長され、前記縦桟より上方の位置で連結部材を介して前記タンクに固定されており、人が前記連結部材の下を立って通ることができる全高を有すること、
を特徴とする鉄道用タンク車に用いられる手摺り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクが台枠に取り付けられた鉄道用タンク車、及び、鉄道用タンク車に用いられる手摺りに関する。
【背景技術】
【0002】
タンクが台枠に取り付けられた鉄道用タンク車は、セメントなどの粉体や、石油などの液体の搬送に使用される。鉄道用タンク車は、積載物の積降作業を行うとき、作業者が台枠に上ることがある。このような作業中に作業者が台枠から落下しないようにするために、鉄道用タンク車は、台枠に手摺りが設けられている。
【0003】
従来の鉄道用タンク車の例を、
図9~
図12に示す。
図9の側面図及び
図10の上面図に示す鉄道用タンク車100は、セメントを搬送する周知の鉄道用タンク車であって、セメントの積載場所から払出場所まで走行する。鉄道用タンク車100は、タンク51が台枠61に固定され、台枠61の前後に台車71,71が設けられている。タンク51は、筒状の容器本体52の前方開口部に鏡板53が溶接され、後方開口部に鏡板54が溶接されることにより、形成されている。例えば、作業者は、梯子58を使ってタンク51に上り、積載用のホースを積載口55,57に繋いでセメントをタンクに充填したり、払出用のホースを排出口59に繋いでセメントをタンク51から排出したりする。
【0004】
このような鉄道用タンク車100は、例えば、積載量が40tのタンクだと、全長が約11mである。鉄道用タンク車100を16両編成した場合、一度に640tのセメントを搬送できるが、列車の全長は、170m以上と長くなる。そのため、例えば、セメントの積載場所や排出場所では、作業者が台枠61に上って列車の片側から反対側へ移動することがある。
【0005】
また、鉄道用タンク車100は、例えば、セメントの製造工場に、1両で置かれることがある。そのため、鉄道用タンク車100は、台車71,71に搭載されたブレーキを操作するためのブレーキハンドル81が台枠61の後部に設けられている。作業者は、台枠61に上ってブレーキハンドル81を操作する。
【0006】
このように台枠61に上って作業する作業者が台枠61から落下しないようにするために、鉄道用タンク車100は、台枠61の前方に手摺り101が車幅方向に沿って設けられ、台枠61の後部に手摺り111が車幅方向に沿って設けられている。
【0007】
図11に示すように、手摺り101は、手摺り枠102と、縦桟103,104と、を備える。手摺り枠102は、コの字形をなし、両端部が台枠61の前端部62に固定されている。縦桟103,104は、上端部が手摺り枠102に固定され、下端部が台枠61の前端部62に固定されることにより、手摺り枠102を補強している。
【0008】
また、
図12に示すように、手摺り111は、ブレーキハンドル81の側方に配設されている。手摺り111は、手摺り枠112と、縦桟113と、を備える。手摺り枠112は、コの字形をなし、両端部が台枠61の後端部63に固定されている。縦桟113は、上端部が手摺り枠112に固定され、下端部が台枠61の後端部63に固定されることにより、手摺り枠112を補強している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術には以下の課題があった。すなわち、従来の鉄道用タンク車100は、例えば、
図12に示すように、手摺り111の全高H3が1000mmであった。これに対して、作業中の安全性を向上させるために、手摺り111の全高H3を高くする要求があった。そこで、
図12に二点鎖線で示す手摺り111xのように、全高H3を要求された高さH4まで高くし、作業者の転落防止として横桟Yを設けたところ、手摺り111xが折損を生ずる懸念が生じた。
【0010】
すなわち、鉄道用タンク車100の走行中の加減速やレールの継ぎ目を越える際の衝撃により、手摺り111xは台枠61との固定部分115xを支点としてレール方向に揺動する。特に、レールの継ぎ目を越える際、強い衝撃が固定部分115xにかかることが判明した。
また、曲線走行時、枕木方向に荷重(遠心力)がかかる。走行中は、これらの揺動や荷重が常時生じるため、手摺り111xと台枠61との固定部分115x付近が繰り返し荷重による疲労により破損する懸念が生じた。
【0011】
加えて、上記の通り、手摺り111xを高くし、更に横桟Yを設けたため、手摺り111xの重心が高くなり、手摺り111xがより揺れやすくなった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、タンクが台枠に取り付けられた鉄道用タンク車において、台枠に固定される手摺りの全高に関係なく、手摺りの折損を防止できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。(1)タンクと、前記タンクが取り付けられる台枠と、前記台枠に設けられた台車と、前記台枠に固定される手摺りと、を備える鉄道用タンク車において、前記手摺りは、前記台枠に固定される手摺り枠と、前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、前記縦桟と前記手摺り枠の少なくとも一方が前記タンクに固定されていること、を特徴とする。
【0014】
上記構成の鉄道用タンク車は、走行中に上記の振動などが手摺りに作用しても、手摺り枠がタンクと台枠に固定された縦桟に支持され、揺れを抑制される。縦桟は手摺り枠より上方の位置でタンクに固定される。そのため、手摺りは、全高に関係なく、台枠に固定される固定部分を基点とする揺れが抑制される。このような鉄道用タンク車は、手摺りの固定部分に作用する繰返荷重が低減されるので、手摺りが折損し難い。
【0015】
(2)(1)に記載する鉄道用タンク車において、前記縦桟は、L字形に形成され、前記タンクに固定されていること、が好ましい。
【0016】
上記構成の鉄道用タンク車は、作業者が通る通路をタンクと手摺りとの間に確保するように、縦桟をタンクと台枠に固定することができる。よって、上記構成の鉄道用タンク車は、作業者の邪魔にならないように手摺り枠を縦桟で補強することができる。
【0017】
(3)(1)又は(2)に記載する鉄道用タンク車において、前記手摺り枠と前記台枠とに固定され、前記手摺り枠が前記台枠に固定される第1固定部分を補強する第1補強部材を有すること、が好ましい。
【0018】
上記構成の鉄道用タンク車は、手摺り枠が台枠に固定される第1固定部分を、第1補強部材を用いて補強するので、例えば、レールの継ぎ目を走行する際に第1固定部分に発生する応力を小さくできる。よって、上記構成の鉄道用タンク車によれば、手摺り枠の揺れが抑制され、手摺り枠の折損を防止できる。
【0019】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載する鉄道用タンク車において、前記縦桟と前記台枠とに固定され、前記縦桟が前記台枠に固定される第2固定部分を補強する第2補強部材を有すること、が好ましい。
【0020】
上記構成の鉄道用タンク車は、縦桟が台枠に固定される第2固定部分を、第2補強部材を用いて補強するので、例えば、レールの継ぎ目を走行する際に第2固定部分に発生する応力を小さくできる。よって、上記構成の鉄道用タンク車によれば、手摺り枠や縦桟の揺れが抑制され、手摺りの折損を防止できる。
【0021】
(5)(1)乃至(4)の何れか1つに記載する鉄道用タンク車において、前記手摺りは、前記手摺り枠を補強する横桟を有すること、が好ましい。
【0022】
上記構成の鉄道用タンク車は、手摺り枠が横桟に支持されて捻れるように揺れないので、手摺り枠や縦桟の揺れが抑制され、手摺りの折損を防止できる。
【0023】
本発明の別態様は、(6)タンクと、前記タンクが固定される台枠と、前記台枠に設けられた台車とを備える鉄道用タンク車に用いられ、前記台枠に固定される手摺りであって、前記台枠に固定される手摺り枠と、前記手摺り枠と前記台枠に固定される縦桟と、を有し、前記縦桟と前記手摺り枠の少なくとも一方が前記タンクに固定されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
従って、本発明によれば、タンクが台枠に取り付けられた鉄道用タンク車において、台枠に固定される手摺りの全高に関係なく、手摺りの折損を防止できる技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る鉄道用タンク車の側面図である。
【
図3】鉄道用タンク車の前部分を上方から見た図である。
【
図4】鉄道用タンク車の前部分を側方から見た図である。
【
図6】鉄道用タンク車の後ろ部分を上方から見た図である。
【
図7】鉄道用タンク車の後ろ部分を側方から見た図である。
【
図8】鉄道用タンク車に使用する手摺りの変形例を示す図である。
【
図11】従来の鉄道用タンク車を前方から見た図である。
【
図12】従来の鉄道用タンク車を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す鉄道用タンク車1は、従来技術の鉄道用タンク車100と同様に構成され、タンク51と、タンク51が固定される台枠61と、台枠61の前後に設けられた台車71,71と、を備える。台枠61は、手摺り2が前端部62に固定され、手摺り4が後端部63に固定されている。本形態の鉄道用タンク車1は、手摺り2,4の構造が、鉄道用タンク車100の手摺り101,111と相違する。以下では、
図2~
図7を参照しながら、手摺り2,4について説明する。なお、
図2~
図7は、タンク51と台枠61を簡略化して記載し、台車71の記載を省略している。また、本願では説明の都合上、後述するブレーキハンドル81の備わっている側を後側、ブレーキハンドル81の備わっていない側を前側と定義する。
【0027】
図2に示すように、手摺り2は、手摺り枠21と、横桟22,23と、縦桟24,25と、補強部材26~29と、を備える。手摺り枠21と横桟22,23と縦桟24,25は、人が握ることができる太さで設けられた金属パイプ、例えば、直径約42mmの鉄製パイプを使用する。
【0028】
手摺り枠21は、コの字形状に設けられ、台枠61の前端部62に固定されている。横桟22,23は、台枠61に対して平行に架設され、手摺り枠21を補強している。
図2~
図4に示すように、縦桟24,25は、L字形に形成され、手摺り枠21と台枠61の前端部62とに固定され、手摺り枠21を補強している。また、縦桟24,25は、手摺り枠21より上方に延長され、タンク51の鏡板53に固定されている。
【0029】
図2に示すように、手摺り枠21は、第1側枠部211と第2側枠部212と中央枠部213とに分割されている。また、横桟22,23は、それぞれ、第1側桟部221,231と第2側桟部222,232と中央桟部223,233とに分割されている。
【0030】
中央枠部213と中央桟部223,233は、同じ長さで設けられ、一端部が縦桟24に、他端部が縦桟25に、それぞれ固定されている。そのため、縦桟24,25は、中央枠部213と中央桟部223,233を介して平行に配置されている。
【0031】
第1側枠部211は、L字形に設けられ、一端部が縦桟24に固定されている。第1側桟部221,231は、棒状をなし、一端部が第1側枠部211に、他端部が縦桟24に、それぞれ固定されている。また、第2側枠部212は、L字形に設けられ、一端部が縦桟25に固定されている。第2側桟部222,232は、棒状をなし、一端部が第2側枠部212に、他端部が縦桟25に、それぞれ固定されている。
【0032】
このように、手摺り2は、第1側枠部211と第2側枠部212と中央枠部213と第1側桟部221,231と第2側桟部222,232と中央桟部223,233と縦桟24,25とを、同一平面上で格子状に配置して固定することにより構成されている。そのため、手摺り2は、高さ方向及び枕木方向の荷重に対し、強い構造であるといえる。
【0033】
このような手摺り2は、
図2に示すように、手摺り枠21の下端部211a,212aと縦桟24,25の下端部24a,25aが台枠61の前端部62に固定され、
図3に示すように、縦桟24,25の上端部24b,25bがタンク51の鏡板53に固定されることにより、鉄道用タンク車1に取り付けられている。
【0034】
図2及び
図3に示す補強部材26~29は、鉄などの剛性のある金属板で形成されている。一対の補強部材28は、手摺り枠21の第1側枠部211と台枠61とに固定され、手摺り枠21の第1側枠部211が台枠61に固定される固定部分P1を補強する。また、一対の補強部材29は、手摺り枠21の第2側枠部212と台枠61とに固定され、手摺り枠21の第2側枠部212が台枠61に固定される固定部分P2を補強する。なお、固定部分P1,P2は「第1固定部分」の一例であり、補強部材28,29は「第1補強部材」の一例である。
【0035】
すなわち、一対の補強部材28は、
図3に示すように、第1側枠部211の下端部211aに対して約45°の角度で斜めに配置されると共に、
図2に示すように、下端部211aと台枠61との間に筋交い状に配置され、両端部が第1側枠部211と台枠61とに固定されている。一対の補強部材29も、一対の補強部材28と同様に固定されている。これにより、固定部分P1,P2の結合強度が大きくなり、手摺り枠21は、固定部分P1,P2を基点として、車長方向(レール方向)や車幅方向(枕木方向)や、それらの中間方向へ揺れにくくなる。
【0036】
図2及び
図3に示すように、一対の補強部材26は、一対の補強部材28と同様に、縦桟24と台枠61とに固定され、縦桟24が台枠61に固定される固定部分P3を補強する。また、一対の補強部材27は、一対の補強部材28と同様に、縦桟25と台枠61とに固定され、縦桟25が台枠61に固定される固定部分P4を補強する。なお、固定部分P3,P4は「第2固定部分」の一例であり、補強部材26,27は「第2補強部材」の一例である。これにより、固定部分P3,P4の結合強度が固定部分P1と同様に大きくなり、手摺り枠21や縦桟24,25は、固定部分P3,P4を基点として揺れにくくなる。
【0037】
図5~
図7に示す手摺り4は、上記手摺り2と同様の構造を備える。手摺り4は、ブレーキハンドル81が配置されるため、手摺り2と比べて車幅方向の長さが短い。
【0038】
手摺り4について簡単に説明すると、
図5に示すように、手摺り4は、手摺り枠41と横桟42,43と、縦桟44と、を備える。手摺り枠41は、第1側枠部411と第2側枠部412とに分割され、横桟42,43は、第1側桟部421,431と第2側桟部422,432とに分割されている。手摺り4は、第1側枠部411と第2側枠部412をL字形に形成された縦桟44に固定し、第1側桟部421,431を第1側枠部411と縦桟44に固定し、第2側桟部422,432を第2側枠部412と縦桟44に固定することにより、格子状に組み上げられ、高さ方向及び枕木方向の荷重に対し、強い構造であるといえる。
【0039】
手摺り4は、縦桟44が手摺り枠41より上方に延長されている。手摺り4は、
図5に示すように、手摺り枠41の下端部411a,412aと縦桟44の下端部44aが台枠61の後端部63に固定される一方、
図6及び
図7に示すように、縦桟44の上端部44bがタンク51の鏡板54に固定されることにより、鉄道用タンク車1に取り付けられている。
【0040】
図5に示すように、手摺り枠41は、一対の補強部材47と一対の補強部材48を用いて、下端部411a,412aと台枠61とが固定される固定部分P11,P12が補強されている。また、縦桟44は、一対の補強部材46を用いて、下端部44aと台枠61とが固定される固定部分P13が補強されている。補強部材46~48を用いた補強は、補強部材26~29を用いた補強と同様なので、説明を省略する。なお、固定部分P11,P12は「第1固定部分」の一例であり、補強部材47,48は「第1補強部材」の一例である。また、固定部分P13は「第2固定部分」の一例であり、補強部材46は「第2補強部材」の一例である。
【0041】
このように構成された鉄道用タンク車1は、例えば、16両編成され、積載場所から払出場所まで走行する。各鉄道用タンク車1のタンク51には、例えば、セメントが積載される。鉄道用タンク車1は、列車が走行を開始する時に慣性力を発生したり、列車が停止する時に衝撃力が発生したりする。また例えば、鉄道用タンク車1は、レールの継ぎ目を走行するときに振動が発生する。さらに例えば、列車がカーブを曲がるときに、各鉄道用タンク車1に遠心力が作用する。客車は乗り心地を良くするためにこれらの力を緩和する対策が採られているが、鉄道用タンク車1は、乗り心地を良くする必要がないので、そのような緩和策が採られていない。よって、鉄道用タンク車1は、上述した力が減衰することなく作用する。これらの力は台枠61に固定された手摺り2,4にも作用し、手摺り2,4は、固定部分P1~P4、P11~P13を基点として、力の作用方向に揺れようとする。
【0042】
手摺り2の縦桟24,25が、固定部分P1~P4よりも後方かつ上方でタンクに固定されている。これにより、手摺りは、レール方向及び高さ方向に揺動し難くなっている。また、固定部分P1~P4は、枕木方向に配置されており、加えて補強部材26~29を配設することで、枕木方向にも揺動し難くなっている。更に、縦桟24,25及び横桟22,23により手摺り2を格子構造とすることで、手摺り21自体の変形もし難い。すなわち、走行時の振動等により手摺り2の振動や変形が生じ難く、手摺り2が折損しにくい。手摺り4も、手摺り2と同様、折損し難い。
【0043】
図4、
図7に示すように、縦桟24,25,44がL字形に形成されている。そのため、手摺り2とタンク51の鏡板53との間、及び、手摺り4とタンク51の鏡板54との間には、体を横にしなくても歩けるだけの間隔Wを設けることができる。そして、縦桟24,25,44は、人が立って通ることができるだけの全高H2を設けることができる。本形態では、全高H2は約2000mmとする。よって、鉄道用タンク車1は、作業者の邪魔にならないように縦桟24,25,44を用いて手摺り2,4を補強できる。
【0044】
また、
図3、
図4に示す補強部材26~29と、
図6、
図7に示す補強部材46~48は、短い金属板であり、斜めの姿勢で固定されて、手摺り枠21,41と縦桟24,25,44の根元の固定部分P1~P4、P11~P13を補強している。そのため、補強部材26~29,46~48は、手摺り枠21,41よりタンク51側にあまり張り出しておらず、作業者は、補強部材26~29,46~48を大きく避けながら歩く必要がない。
【0045】
よって、鉄道用タンク車1は、例えば、作業者が、鉄道用タンク車1の片側から台枠61に上がり、タンク51と手摺り2(又は手摺り4)との間を通って、鉄道用タンク車1の反対側へ移動したり、台枠1の上でブレーキハンドル81を操作したりする場合に、縦桟24,25(又は縦桟44)や補強部材26~29(又は補強部材46~48)が邪魔にならない。
【0046】
以上説明したように、本形態の鉄道用タンク車1は、走行中に振動などが手摺り2,4に作用しても、手摺り枠21,41が、タンク51と台枠61に固定された縦桟24,25,44に各々支持され、揺れを抑制される。縦桟24,25,44は手摺り枠21,41より上方の位置でタンク51に固定される。そのため、手摺り2,4は、全高に関係なく、台枠61に固定される固定部分P1~P4,P11~P13を基点とする揺れが抑制される。このような鉄道用タンク車1は、手摺り2,4の固定部分P1~P4,P11~P13に作用する繰返荷重(応力)が低減されるので、手摺り2,4が折損し難い。従って、本形態によれば、タンク51が台枠61に取り付けられた鉄道用タンク車1において、台枠61に固定された手摺り2,4の全高H1に関係なく、手摺り2,4の折損を防止することができる。
【0047】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。例えば、タンク51や台枠61や台車71の構成は、上記形態に限定されない。また、例えば、手摺り2,4の縦桟24,25,44や横桟22,23,42,43の数は上記形態に限定されない。縦桟24,25と横桟22,23のどちらか一方、あるいは、両方を省略してもよい。また、手摺り枠21用の補強部材28,29と縦桟24,25用の補強部材26.27のどちらか一方、あるいは、両方を省略してもよい。
【0048】
例えば
図8に示す手摺り300のように、手摺り枠310の高さを延長して、複数の連結部材311を介して手摺り枠310とタンク51とを連結してもよい。手摺り枠300は、タンク51に固定される手摺り枠310によってレール方向及び高さ方向に揺動しにくくなるので、振動などによる折損が抑止される。この場合、横桟22,23に加え、1又は2以上の横桟301を手摺り枠310に固定してもよい。この場合、縦桟24,25は、横桟310の位置に合わせて長さを調整してもよい。
【0049】
補強部材26~29,46~48は、L字形の金属部材であってもよい。但し、上記形態のように、例えば、一対の補強部材26,26で縦桟24を挟むように補強することにより、レール方向(車長方向)と枕木方向(車幅方向)との中間の方向に強い力を受けても、一対の補強部材26,26が縦桟24や手摺り枠21を適切に支持して、高さのある手摺り2の揺れを効率良く抑制することができる。
【0050】
手摺り枠21,41をコの字形の1部品、横桟22,23,42,43を棒状の1部品で構成してもよい。この場合、コの字形の手摺り枠に棒状の横桟を固定すると共に、縦桟を手摺りに固定することにより、手摺りを格子状に構成してもよい。但し、上記形態のように、手摺り枠21,41や横桟22,23,42,43を複数の部材に分割して縦桟24,25,44に固定し、手摺り2,4を格子状に構成することにより、手摺り枠21と横桟22,23,42,43と縦桟24,25,44とを同一平面上にすっきり配置しつつ、部品同士を強固に固定して手摺り2,4の強度を確保することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 鉄道用タンク車
2 手摺り
21 手摺り枠
22,23 横桟
24,25 縦桟
4 手摺り
41 手摺り枠
42,43 横桟
44 縦桟
51 タンク
61 台枠
71 台車
300 手摺り
310 手摺り枠