(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】読取制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/59 20060101AFI20231120BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231120BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
G06K7/10 144
G06K7/10 176
(21)【出願番号】P 2020040278
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-148647(JP,A)
【文献】特開2006-119693(JP,A)
【文献】特開2018-136862(JP,A)
【文献】特開2017-130885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00-13/02
H04B 5/00-5/06
G06K 7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに保持されたタグデータの読み取りを行う無線タグ読取装置から、前記タグデータを受信する受信手段と、
前記タグデータの受信時に伝送エラーを検出する検出手段と、
前記タグデータから伝送エラーが検出された場合、前記無線タグ読取装置が前記無線タグの読み取りに使用する読取方法を変更する制御手段と、
を備える読取制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取方法として、読み取りの対象とする前記無線タグのインベントリフラグ又は前記無線タグの読み取りに係るセッションを変更する請求項1に記載の読取制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記読取方法の変更後、前記受信手段で受信された前記タグデータのうち、前記伝送エラーが検出されない新規のタグデータの受信状況、又は前記伝送エラーが検出されたタグデータの受信状況に応じて、前記読取方法を再度変更する請求項1又は2に記載の読取制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記無線タグ読取装置で使用中の読取方法に応じて、変更後の前記読取方法を決定する請求項1~3の何れか一項に記載の読取制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記伝送エラーの検出数又は検出頻度が閾値を上回った場合に報知を行う請求項1~4の何れか一項に記載の読取制御装置。
【請求項6】
読取制御装置のコンピュータを、
無線タグに保持されたタグデータの読み取りを行う無線タグ読取装置から、前記タグデータを受信する受信手段と、
前記タグデータの受信時に伝送エラーを検出する検出手段と、
前記タグデータから伝送エラーが検出された場合、前記無線タグ読取装置が前記無線タグの読み取りに使用する読取方法を変更する制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の無線タグを用いることで、物品の在庫管理等が行われている。例えば、無線タグ読取装置による無線タグの読み取り結果を、当該無線タグ読取装置と通信可能に接続された情報処理装置に送信することで、情報処理装置が有する表示器に読取結果等を表示する技術が実用化されている。
【0003】
上述の技術では、無線タグ読取装置は、無線タグへ向けて電波を放射し、当該電波を受けた無線タグが発する電波を受けることにより、無線タグに記憶されたデータ(以下、タグデータともいう)を読み取る。また、無線タグ読取装置は、無線タグに搭載されたインベントリフラグと呼ばれる機能を利用することで、未読取の無線タグと読取済の無線タグとを読み分けながらタグデータの読み取りを行っている。
【0004】
ところで、上述の構成では、無線タグ読取装置から情報処理装置へのタグデータの伝送時に伝送エラーが発生する可能性がある。伝送エラーが発生すると、情報処理装置側は、異常なデータとして破棄するため、タグデータの再送が必要となる。しかしながら、伝送エラーの発生したタグデータを保持する無線タグは読取済の状態であるため、無線タグ読取装置は、インベントリフラグが切り替わるまでの間タグデータを読み取ることができず、情報処理装置20への再送も行われないことになる。そのため、インベントリフラグが切り替わる迄の間に無線タグ読取装置が移動してしまうと、情報処理装置は、伝送エラーの発生したタグデータを取得することができず、読みこぼしが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、無線タグの読み取りを効率的に行うことが可能な読取制御装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の読取制御装置は、受信手段と、検出手段と、制御手段とを備える。受信手段は、無線タグに保持されたタグデータの読み取りを行う無線タグ読取装置から、前記タグデータを受信する。検出手段は、前記タグデータの受信時に伝送エラーを検出する。処理手段は、前記タグデータから伝送エラーが検出された場合、前記無線タグ読取装置が前記無線タグの読み取りに使用する読取方法を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る読取システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るRFIDタグ読取装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態のRFIDタグ読取装置がRFIDタグの読み取りを行う際のRFIDタグの状態遷移図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るRFIDタグの各セッションにおけるパーシステンスタイムの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るRFIDタグ読取装置及び情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係る読取制御装置及びプログラムについて説明する。なお、以下に説明する実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る読取システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、読取システム1は、RFIDタグ読取装置10と、情報処理装置20とを有する。RFIDタグ読取装置10と情報処理装置20とは、例えばBluetooth(登録商標)等の無線により通信可能に接続される。
【0010】
RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGが記憶するタグデータを非接触で読み取ることが可能な無線タグ読取装置の一例である。RFIDタグTGは、例えば商品等の物品Gに付され、図示しない記憶媒体にタグデータを記憶する。タグデータには、RFIDタグTG自身を識別可能なタグ識別子、RFIDタグTGが付された物品Gの種別を識別可能な物品識別子、CRC(Cyclic Redundancy Code)等が含まれる。RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGから読み取ったタグデータを情報処理装置20に送信する。
【0011】
また、本実施形態のRFIDタグ読取装置10は、ハンディタイプの無線タグ読取装置であり、操作者が携帯することが可能となっている。例えば、RFIDタグ読取装置10は、操作者により物品Gが載置された棚等に向けられることで、物品Gの各々に付されたRFIDタグTGからタグデータの読み取りを行う。
【0012】
情報処理装置20は、読取制御装置の一例である。情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10から送信されるタグデータを受信し、当該タグデータに基づいて商品の在庫管理を行う。また、情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10による無線タグの読み取り動作を制御する。例えば、情報処理装置20は、スマートフォンやタブレット端末等の情報処理装置を用いることができる。
【0013】
なお、
図1では、RFIDタグ読取装置10と情報処理装置20とを別体としたが、一体的に構成してもよい。例えば、情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10に対し着脱自在な構成としてもよい。
【0014】
次に、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。
図2は、RFIDタグ読取装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、RFIDタグ読取装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶部14等を備えている。CPU11は、プロセッサの一例であり、RFIDタグ読取装置10の動作を統括的に制御する。ROM12は、各種プログラムを記憶する。RAM13は、各種データを展開するためのワーキングメモリとして使用される。
【0016】
CPU11、ROM12、RAM13及び記憶部14は、バス等を介して接続される。ここで、CPU11、ROM12及びRAM13は、制御部100を構成する。制御部100は、CPU11がROM12や記憶部14に記憶されたプログラムに従って動作することによって、後述する制御処理を実行する。
【0017】
記憶部14は、電源を切っても記憶情報を保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。記憶部14は、各種のプログラムや設定情報を記憶する。
【0018】
また、制御部100には、バス等を介して、読取部15と、通信部16とが接続される。読取部15は、アンテナ151と、送信部152と受信部153とを有する。送信部152は、アンテナ151から電波を放射させるための電力をアンテナ151に供給する。受信部153は、アンテナ151を介してRFIDタグTGから送信される電波を受信する。読取部15は、制御部100の制御の下、RFIDタグTGを読み取るための電波を放射し、当該電波を受けた無線タグが発する電波を受信することで、RFIDタグTGに記憶されたタグデータを読み取る。通信部16は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に準拠した通信インタフェースである。通信部16は、情報処理装置20と無線通信を行う。
【0019】
図3は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、
図3に示すように、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24等を備えている。CPU21は、プロセッサの一例であり、情報処理装置20の動作を統括的に制御する。ROM22は、各種プログラムを記憶する。RAM23は、各種データを展開するためのワーキングメモリとして使用される。また、RAM23は、RFIDタグ読取装置10で読み取られたタグデータを記憶するための読取バッファBFを保持する。
【0020】
CPU21、ROM22、RAM23、及び記憶部24は、バス等を介して接続される。ここで、CPU21、ROM22及びRAM23は、制御部200を構成する。制御部200は、CPU21がROM22や記憶部24に記憶されたプログラムに従って動作することによって、後述する制御処理を実行する。
【0021】
記憶部24は、電源を切っても記憶情報を保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。記憶部24は、各種のプログラムや設定情報を記憶する。
【0022】
また、制御部200には、バス等を介して、表示部25、操作部26、及び通信部27等が接続される。表示部25は、例えば液晶パネル等で形成されており、操作者に対して各種の情報を表示する。操作部26は、例えば各種操作ボタンやタッチパネル等の入力デバイスを有し、操作者による操作を受け付ける。通信部27は、上述した通信部16と同様の通信規格に準拠した通信インタフェースである。通信部27は、RFIDタグ読取装置10と無線通信を行う。
【0023】
次に、
図4を用いて、RFIDタグ読取装置10が備えるRFIDタグ読取機能について説明する。なお、RFIDタグ読取装置10は、ISO18000-63(EPC global Gen2)のエアインタフェースに準拠したRFIDタグ読取機能を備えているものとする。
【0024】
図4は、RFIDタグ読取装置10がRFIDタグTGの読み取りを行う際のRFIDタグTGの状態遷移図である。なお、
図4では、RFIDタグTGの状態遷移のうち、主要な部分を示している。
【0025】
まず、RFIDタグ読取装置10の移動等に伴い、電源OFF状態31であるRFIDタグTGがアンテナ151の交信領域に入ると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。RFIDタグ読取装置10は、所定の送信周期でQ値を含むQueryコマンドを送信する。
【0026】
RFIDタグTGがスタンバイ状態32にあるとき、RFIDタグ読取装置10からQueryコマンドを受信すると、RFIDタグTGは調停状態33に遷移する。Queryコマンドは、RFIDタグ読取装置10がRFIDタグTGに対して、複数のタグの中の個別のタグを識別するインベントリへの参加を問い合わせるコマンドである。なお、調停状態33にあるとき、RFIDタグTGは、RFIDタグ読取装置10に対して同時に応答しないように調停を行う。
【0027】
RFIDタグTGが調停状態33にあるとき、RFIDタグ読取装置10からQuery Adjustコマンド又はQuery Repコマンドを受信すると、RFIDタグTGは応答状態34に遷移する。応答状態34にあるとき、対象となるRFIDタグTGは、16ビットの乱数であるRN16を生成してRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0028】
RFIDタグTGが応答状態34にあるとき、RFIDタグ読取装置10から送信された、RN16を含む応答信号であるAckコマンドを受信すると、RFIDタグTGは、Ackコマンドの中に、自身が送信したRN16が含まれているかを検出する。そして、RN16が含まれていることが検出されると、RFIDタグTGは承認状態35に遷移する。承認状態35にあるとき、RFIDタグTGは、自身が記憶するタグ識別子の一例であるEPC(Electronic Product Code)等を含んだタグデータを送信する。
【0029】
なお、調停状態33、応答状態34及び承認状態35は、複数のRFIDタグTGを読み取る際に、各RFIDタグTGからのデータの衝突を回避してそれぞれのタグデータを読み取る、いわゆるアンチコリジョンを実現するためのインベントリ処理36を構成する。
【0030】
インベントリ処理36を行う際に、RFIDタグ読取装置10は、予め設定されたQ値に基づいて、RFIDタグTGをQ値に応じた数のグループ(スロット)に分割する。そして、分割されたスロット毎にRFIDタグTGを読み取る。このとき、スロット=0のRFIDタグTGのみが応答を返す。RFIDタグ読取装置10は、唯1つのタグデータが読み取られた場合に、当該タグデータを読み取り結果として採用する。一方、複数のタグデータが読み取られた場合は、コリジョンが発生したものと判断して、スロットを切り替えて(スロット値をデクリメント(-1))して読取処理を繰り返す。以降、唯1つのタグデータが読み取られるまで読み取り処理を繰り返すことによって、アンチコリジョンを実現する。例えば、RFIDタグTGの個数が100~200枚程度であれば、Q値を8~10(スリット数256(=28)~1024(=210))程度に設定することで、全てのRFIDタグTGを読み取りの対象とすることができる。なお、このようなアンチコリジョン方式は、タイムスロット方式のアンチコリジョン機能として一般に用いられている。
【0031】
また、RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGからの応答に応じて、Q値を自動的に調整する機能を備えている。具体的には、RFIDタグ読取装置10は、スロット数に対してRFIDタグTGからの応答が適切か、スロット数に対してRFIDタグTGからの応答が多いか、又はスロット数に対してRFIDタグTGからの応答が少ないか等に応じて、Q値を自動的に調整する。なお、Q値の自動調整は、公知の技術を用いることができる。
【0032】
RFIDタグTGが承認状態35にあるとき、RFIDタグ読取装置10からReq_RNコマンドを受信すると、RFIDタグTGはオープン状態37に遷移する。
【0033】
RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からSelectコマンドを受信すると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。また、RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からKillコマンドを受信すると、RFIDタグTGは機能停止状態39に遷移する。
【0034】
さらに、RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からAccessコマンドを受信すると、RFIDタグTGはセキュア状態38に遷移する。
【0035】
RFIDタグTGがセキュア状態38にあるとき、RFIDタグ読取装置10からSelectコマンドを受信すると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。また、RFIDタグTGがセキュア状態38にあるとき、RFIDタグ読取装置10からKillコマンドを受信すると、RFIDタグTGは機能停止状態39に遷移する。
【0036】
RFIDタグTGが機能停止状態39にあるとき、RFIDタグTGがアンテナ交信領域から外れると、RFIDタグTGは電源OFF状態31に遷移する。
【0037】
また、RFIDタグ読取装置10は、独立した4種類のセッションS0、S1、S2、S3の何れかを実行することによって、RFIDタグTGの情報を読み取ることができる。具体的には、RFIDタグ読取装置10は、4種類のセッションS0、S1、S2、S3の中から1つを選択して、選択したセッションを上述したQueryコマンド、Query Adjustコマンド、Query Repコマンドによって指定する。さらに、RFIDタグ読取装置10は、Queryコマンドによって、読取対象となるRFIDタグTGのインベントリフラグの状態を指定する。
【0038】
ここで、インベントリフラグがオンである(インベントリフラグがA状態)とは、RFIDタグTGが未応答(未読取)であることを表す。また、インベントリフラグがオフである(インベントリフラグがB状態)とは、RFIDタグTGが応答済(読取済)であることを表す。RFIDタグ読取装置10は、Queryコマンドによって、例えば、セッションS2でインベントリフラグがA状態のRFIDタグTGのみを読み取ることを指定する。この場合、RFIDタグ読取装置10は、インベントリフラグがA状態のRFIDタグTGからタグ情報の読み取りを行い、インベントリフラグがB状態のRFIDタグTGについては読み取りの対象から除外する。以下、セッションSnでインベントリフラグがA状態のRFIDタグTGを読み取ることを、Sn_A(n=0、1、2、3)と表記する。また、同様に、セッションSnでインベントリフラグがB状態のRFIDタグTGを読み取ることを、Sn_B(n=0、1、2、3)と表記する。
【0039】
RFIDタグTGが備えるインベントリフラグは、各セッションに応じたパーシステンスタイム(Persistence Time)を有する。パーシステンスタイムとは、応答済になったインベントリフラグが、再び未応答の状態に変更するまでの時間である。
【0040】
ここで、
図5を用いて、RFIDタグTGが備えるパーシステンスタイム(Persistence Time)を説明する。
図5は、RFIDタグTGの各セッションにおけるパーシステンスタイムの一例を示す図である。
【0041】
セッションS0では、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波を受信している間はB状態を維持し、電波を受信しなくなったタイミング(0s)でA状態に変化する。この場合の0sがパーシステンスタイムである。
【0042】
セッションS1では、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波の受信に関わらず、500ms~5sに亘ってインベントリフラグを維持し続ける。そして、500ms~5s経過すると、インベントリフラグがA状態に変化する。この場合の500ms~5sがパーシステンスタイムである。
【0043】
セッションS2では、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波を受信している間はB状態を維持する。そして、RFIDタグ読取装置10から電波を受信しなくなった後、少なくとも2s以上B状態を維持する。そして、2s以上の時間が経過すると、インベントリフラグがA状態に変化する。この場合の2s以上の時間がパーシステンスタイムである。
【0044】
また、セッションS3は、セッションS2と同様にインベントリフラグの状態が変化する。但し、セッションS2とセッションS3とは独立しており、セッションS2とセッションS3とを切り替えることで、例えばセッションS2でB状態となった無線タグを、セッションS3でA状態として読み取ることが可能となる。
【0045】
RFIDタグ読取装置10は、インベントリフラグによる読み分けとセッションとを組み合わせた読取方法により、多数のRFIDタグTGの一括読み取りを実現する。
【0046】
次に、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20の機能構成について説明する。
図6は、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0047】
RFIDタグ読取装置10は、読取処理部101と、通信制御部102と、読取動作変更部103とを機能部として備える。RFIDタグ読取装置10が備える機能部の一部又は全ては、RFIDタグ読取装置10のプロセッサ(例えばCPU11)とメモリ(例えばROM12、記憶部14)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、RFIDタグ読取装置10が備える機能部の一部又は全ては、RFIDタグ読取装置10に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0048】
読取処理部101は、読取部15と協働することで、RFIDタグTGからタグデータを読み取る。具体的には、読取処理部101は、
図4で説明した一連の読取動作を行うことで、アンテナ151の交信領域内にあるRFIDタグTGからタグデータを読み取る。
【0049】
例えば、読取処理部101は、S2_Aの読取方法を用いてRFIDタグTGの読み取りを行うことで、インベントリフラグがA状態、つまり未応答のRFIDタグTGからタグデータを順次読み取る。かかる読取方法では、未応答のRFIDタグTGのみを読み取りの対象とすることができるため、多数のRFIDタグTGを読み取るような場合に、RFIDタグTGの読み取りを効率的に行うことができる。
【0050】
なお、RFIDタグTGの読み取りに使用する読取方法は、図示しない操作ボタンや、情報処理装置20からの指示により切り替え可能とする。また、デフォルトの状態で使用する読取方法を設定情報として予め記憶しておいてもよい。
【0051】
通信制御部102は、通信部16と協働することで、情報処理装置20との間の通信を制御する。具体的には、通信制御部102は、読取処理部101が読み取ったタグデータを情報処理装置20に送信する。また、通信制御部102は、情報処理装置20から送信される各種情報(後述する変更指示等)を受信する。
【0052】
なお、通信制御部102は、データ伝送時のエラー(以下、伝送エラーともいう)を検出可能な方式でタグデータの送信を行ってもよい。例えば、通信制御部102は、タグデータをいくつかのデータ列に分割し、データ列の総和であるチェックサムを付加して送信する。
【0053】
読取動作変更部103は、読取処理部101の読取動作を変更する。具体的には、読取動作変更部103は、情報処理装置20から送信される変更指示に応じて、読取処理部101がRFIDタグTGの読み取りに使用する読取方法を変更する。
【0054】
一方、情報処理装置20は、
図6に示すように、通信制御部201と、エラー検出部202と、読取結果処理部203と、読取動作制御部204とを機能部として備える。情報処理装置20が備える機能部の一部又は全ては、情報処理装置20のプロセッサ(例えばCPU21)とメモリ(例えばROM22、記憶部24)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、情報処理装置20が備える機能部の一部又は全ては、情報処理装置20に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0055】
通信制御部201は、受信手段の一例である。通信制御部201は、通信部27と協働することで、RFIDタグ読取装置10との間の通信を制御する。具体的には、通信制御部201は、RFIDタグ読取装置10から送信されたタグデータを受信する。また、通信制御部201は、読取動作制御部204が出力する設定変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0056】
エラー検出部202は、検出手段の一例である。エラー検出部202は、通信制御部201と協働することで、タグデータの受信時に伝送エラーの有無を検出する。具体的には、エラー検出部202は、通信制御部201が受信したタグデータに含まれるCRCやチェックサム等の伝送エラー検出用の情報に基づき伝送エラーの有無を検出する。
【0057】
読取結果処理部203は、処理手段の一例である。読取結果処理部203は、通信制御部201が受信したタグデータのうち、エラー検出部202で正常(伝送エラー無し)と判定されたタグデータに対し所定の処理を実行する。
【0058】
具体的には、読取結果処理部203は、正常と判断されたタグデータをRAM23又は記憶部24に保持された読取バッファBFに登録する。ここで、読取結果処理部203は、新たなタグデータが通信制御部201で受信される毎に、当該タグデータに含まれるタグ識別子と、読取バッファBFに登録されたタグデータのタグ識別子とを比較する。そして、読取結果処理部203は、タグ識別子が重複した場合に、受信されたタグデータを破棄する重複チェックを実行する。これにより、同一のタグ識別子を含むタグデータが読取バッファBFに重複して登録されてしまうことを抑制することができる。
【0059】
また、読取結果処理部203は、読み取られたタグデータを読取バッファBFに登録する毎に報知を行う。例えば、読取結果処理部203は、タグデータを読み取ったことを表す報知画像やメッセージ、タグデータに含まれた物品識別子を表示部25に表示させることで報知を行う。また、例えば、読取結果処理部203は、情報処理装置20が備えるスピーカー等の音声出力装置(図示せず)からビープ音等の音声を出力させることで報知を行う。これにより、情報処理装置20の操作者は、報知の頻度や回数等に基づき、現在の位置でのRFIDタグTGの読み取り状況を把握することができる。したがって、情報処理装置20は、他の位置に交信領域を移動するタイミング等を操作者に認識させることができるため、RFIDタグTGの読取作業に係る利便性を向上させることができる。
【0060】
また、読取結果処理部203は、読取バッファBFに登録されたタグデータの各々に含まれるタグ識別子や物品識別子に基づき、物品Gの在庫数を計数する処理等を実行する。例えば、読取結果処理部203は、物品識別子の種別毎にタグデータの個数を計数することで、物品Gの種別毎に在庫数を導出する。また、例えば、読取結果処理部203は、チェック対象の物品Gの物品識別子が登録されたチェックリストと、読取バッファBFに登録されたタグデータの物品識別子とを比較することで、チェック対象の物品Gが存在するか否かの判定結果を導出する。なお、読取結果処理部203の処理による導出結果は、表示部25に表示されてもよい。
【0061】
ところで、上述した読取システム1の構成では、RFIDタグ読取装置10から送信されるタグデータに伝送エラーが発生すると、情報処理装置20は異常データとして破棄するため、タグデータの再送が必要となる。しかしながら、伝送エラーの発生したタグデータのRFIDタグTGは先の読み取りによりB状態となっているため、RFIDタグ読取装置10は、そのタグデータを直ちに再送することはできない。
【0062】
例えば、タグデータの読み取り例として、RFIDタグ読取装置10がS2_AでRFIDタグTGの読み取りを行い、A状態の3つのRFIDタグTGから「T1」、「T2」、「T3」のタグデータがそれぞれ読み取られたとする。この場合、「T1」、「T2」、「T3」の各々に対応するRFIDタグTGのインベントリフラグは、タグデータの読み取りに伴いB状態に変化する。
【0063】
読み取られた「T1」、「T2」、「T3」のタグデータは、RFIDタグ読取装置10から情報処理装置20へと送信される。この時、例えば、「T1」、「T2」、「T3」のうち、「T2」の送信時に伝送エラーが発生すると、情報処理装置20は、「T2」を破棄するため、読取バッファBFには「T1」と「T3」とが登録されることになる。
【0064】
この場合、「T2」に対応するRFIDタグTGはB状態にあるため、S2_Aで読み取りを行うRFIDタグ読取装置10では「T2」を読み取ることができず、情報処理装置20への再送も行われないことになる。
【0065】
そのため、読取システム1の構成では、パーシステンスタイムの経過によりインベントリフラグがA状態に戻るまでの間にRFIDタグ読取装置10が移動したりすると、伝送エラーの発生したタグデータ(T2)の読みこぼしが発生する可能性がある。
【0066】
そこで、本実施形態の情報処理装置20では、タグデータの伝送エラーが検出された場合に、読取動作制御部204が、伝送エラーの発生したタグデータを再取得(リカバリ)するための制御を行う。以下、読取動作制御部204について説明する。
【0067】
読取動作制御部204は、制御手段の一例である。読取動作制御部204は、エラー検出部202で伝送エラーが検出されると、通信制御部201と協働することで、読取方法の変更を指示する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。具体的には、読取動作制御部204は、読み取り対象のインベントリフラグをB状態に切り替えることを指示する変更指示、又は他のセッションに切り替えることを指示する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0068】
例えば、RFIDタグ読取装置10がS2_AでRFIDタグTGの読み取りを行っている場合、読取動作制御部204は、S2_Bに切り替える変更指示、又はS3_Aに切り替える変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0069】
ここで、変更指示は、変更後の読取方法を明示的に指示するものであってもよいし、読取方法の変更動作を指示するものであってもよい。後者の場合、例えば、RFIDタグ読取装置10の設定情報等に、変更後の読取方法を予め設定しておくことで、情報処理装置20からの変更指示に応じて所望の読取方法に切り替えることができる。
【0070】
RFIDタグ読取装置10では、情報処理装置20から変更指示を受け付けると、読取動作変更部103が、その変更指示に基づき読取処理部101の読取方法を変更する。読取方法の変更により、RFIDタグ読取装置10は、B状態のRFIDタグTGの読み取り、又は新たなセッションでRFIDタグTGの読み取りを開始するため、伝送エラーが発生したタグデータの再読み取りが行われることになる。
【0071】
例えば、上述したタグデータの読み取り例の場合、変更前のS2_Aでは、RFIDタグ読取装置10は、B状態の「T2」を読み取ることはできないが、S2_B又はS3_Aに切り替わることで、「T2」のRFIDタグTGを再度読み取りの対象とすることができる。そのため、RFIDタグ読取装置10では、伝送エラーの発生した「T2」を読み取ることができるとともに、情報処理装置20への再送信を行うことができる。これにより、情報処理装置20は、パーシステンスタイムの経過を待つことなく、伝送エラーの発生によりロスした「T2」をリカバリすることができるため、タグデータの読みこぼしを防ぐことができる。
【0072】
なお、読取方法の変更により、伝送エラーが発生したタグデータ以外のタグデータ(例えば読取バッファBFに登録済みのタグデータ)がRFIDタグ読取装置10から送信される可能性がある。例えば、上述したタグデータの読み取り例の場合、読取方法の変更により、伝送エラーが発生した「T2」以外に、「T1」及び「T3」もRFIDタグ読取装置10から送信される可能性がある。このような場合であっても、情報処理装置20では、読取結果処理部203の重複チェックにより、新規のタグデータのみが読取バッファBFに登録されるため、タグデータの多重登録を防ぐことができる。
【0073】
また、読取動作制御部204は、伝送エラーの発生に伴う読取方法の変更後、RFIDタグ読取装置10から送信されるタグデータの受信状況に応じて、読取方法を再度変更してもよい。
【0074】
例えば、読取動作制御部204は、通信制御部201が受信したタグデータのうち、エラー検出部202で伝送エラーが検出されない新規のタグデータの受信状況に応じて読取方法を再度変更する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信してもよい。具体的には、読取方法の変更後、所定時間(例えば4s)以内に読取バッファBFに登録されるタグデータの個数や頻度が閾値未満となるような場合、読取方法を再度変更する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0075】
一例として、伝送エラーの発生に伴いS2_AからS2_Bに切り替えた後、読取バッファBFに登録されるタグデータの個数が0の状態が所定時間継続したような場合に、読取動作制御部204は、S2_Aに戻す変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。これにより、伝送エラーが発生したタグデータのリカバリ後、A状態のRFIDタグTGを再び読み取り対象にできるため、新規のRFIDタグTGの読み取りに備えることができる。
【0076】
なお、リカバリ後の読取方法は上記の例に限らないものとする。例えば、伝送エラーの発生に伴いS2_AからS3_Aに切り替えた場合には、A状態のRFIDタグTGをそのまま読み取ることができるため、読取動作制御部204は、次の伝送エラーが発生するまでS3_Aを維持させてもよい。そして、伝送エラーが再び発生した場合には、S3_AからS3_B、又はS2_Aに切り替える等、インベントリフラグを反転させたり、パーシステンスタイムが同様のセッションを切り替える等してもよい。
【0077】
また、例えば、読取動作制御部204は、通信制御部201が受信したタグデータのうち、エラー検出部202で伝送エラーが検出されたタグデータの受信状況に応じて従前の読取方法等に再度変更する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信してもよい。具体的には、読取方法の変更後、所定時間(例えば4s)以内に伝送エラーが検出されたタグデータの個数や頻度が閾値以上となるような場合、読取方法を再度変更する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0078】
一例として、伝送エラーの発生に伴いS2_AからS2_Bに切り替えた後、伝送エラーが頻出するような場合に、読取動作制御部204は、S3_Aに変更する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。また、この変更後も更に伝送エラーが頻出するような場合、読取動作制御部204は、S0_AやS1_A等、パーシステンスタイムの異なるセッションに変更する変更指示を送信してもよい。このように、読取方法を変えることで伝送エラーの抑制を図ることができるため、読み取り効率の向上を図ることができる。
【0079】
以下、
図7を参照して、情報処理装置20の動作例について説明する。
図7は、情報処理装置20が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
なお、本処理では、チェック対象のタグ識別子又は物品識別子が予め登録されたチェックリストに基づき物品Gの在庫チェックを行う場合の動作例について説明する。また、本処理では、RFIDタグ読取装置10が「第1の読取方法」でRFIDタグTGの読み取りを行っているものとし、伝送エラーが発生した場合に「第2の読取方法」に変更する場合の動作例を示している。
【0081】
まず、通信制御部201は、RFIDタグ読取装置10からタグデータを受信したか否かを判定する(ステップS11)。通信制御部201でタグデータが受信されると(ステップS11;Yes)、エラー検出部202は、タグデータから伝送エラーが検出されたか否かを判定する(ステップS12)。
【0082】
伝送エラーが検出されない場合(ステップS12;No)、読取結果処理部203は、受信されたタグデータに含まれるタグ識別子と、読取バッファBFに登録された既存のタグデータのタグ識別子とを比較し、タグ識別子が重複するか否かを判定する(ステップS13)。
【0083】
ここで、重複すると判定した場合(ステップS13;Yes)、読取結果処理部203は、受信されたタグデータを破棄し、ステップS11に処理を戻す。また、重複しないと判定した場合(ステップS13;No)、読取結果処理部203は、受信されたタグデータを読取バッファBFに登録する(ステップS14)。次いで、読取結果処理部203は、表示や音声を出力することで、読取バッファBFに新たなタグデータを登録したことを報知する(ステップS15)。
【0084】
続いて、読取結果処理部203は、読取バッファBFに登録されたタグデータの各々と、チェックリストに登録された物品Gのタグ識別子又は物品識別子とを比較する(ステップS16)。そして、読取結果処理部203は、ステップS16の比較結果に基づき、物品Gのチェックが完了したか否かを判定する(ステップS17)。ここで、未読取りのタグ識別子又は物品識別子が存在する場合、読取結果処理部203は、チェック未完了と判定し(ステップS17;No)、ステップS11に処理を戻す。
【0085】
一方、ステップS12で伝送エラーが検出された場合(ステップS12;Yes)、読取動作制御部204は、RFIDタグ読取装置10に読取方法の変更指示を送信することで、第1の読取方法から第2の読取方法に切り替えた後(ステップS18)、ステップS11に処理を戻す。続くステップS11において、タグデータが受信されない場合(ステップS11;No)、ステップS19に移行する。
【0086】
続くステップS19では、読取動作制御部204は、RFIDタグ読取装置10が第2の読取方法で動作中か否かを判定する(ステップS19)。ステップS18で第2の読取方法に切り替えていない場合、読取動作制御部204は、第1の読取方法で動作中と判定し(ステップS19;No)、ステップS11に処理を戻す。また、ステップS18で第2の読取方法に切り替えた場合、読取動作制御部204は、第2の読取方法で動作中と判定し(ステップS19;Yes)、ステップS20に移行する。
【0087】
続くステップS20では、読取動作制御部204は、所定時間内のタグデータの登録状況に基づき、読取バッファBFに登録されたタグデータの個数又は頻度が閾値未満か否かを判定する(ステップS20)。
【0088】
ここで、閾値以上と判定した場合(ステップS20;No)、読取動作制御部204は、ステップS11に処理を戻す。また、閾値未満と判定した場合(ステップS20;Yes)、読取動作制御部204は、RFIDタグ読取装置10に読取方法の変更指示を送信することで、第2の読取方法から第1の読取方法に切り替えた後(ステップS21)、ステップS11に処理を戻す。
【0089】
そして、読取結果処理部203は、ステップS17において、チェック対象のタグ識別子又は物品識別子を全て読み取った場合、チェック完了と判定し(ステップS17;Yes)、本処理を終了する。なお、読取結果処理部203は、本処理の終了に伴い、RFIDタグ読取装置10に対しRFIDタグTGの読み取り停止を指示してもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態の情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10から送信されるタグデータに伝送エラーが発生すると、RFIDタグ読取装置10が使用するRFIDタグTGの読取方法を変更するための制御を行う。これにより、情報処理装置20は、伝送エラーの発生によりロスしたタグデータをRFIDタグ読取装置10に再度読み取らせることができるとともに、自装置に再送信させることができる。したがって、情報処理装置20は、タグデータの送受信時に伝送エラーが発生した場合であっても、当該タグデータを速やかにリカバリすることができるため、RFIDタグTGの読み取りを効率的に行うことができる。
【0091】
以上説明した実施形態は、上述の各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0092】
(変形例1)
上述の実施形態では、RFIDタグ読取装置10をセッションS2又はセッションS3で動作させる形態を説明したが、これに限らず、セッションS0やセッションS1で動作させてもよい。また、例えば、RFIDタグTGを一括で読み取る一括読取の場合と、RFIDタグTGを選択的に読み取る選択読取の場合とで、使用する読取方法を異ならせてもよい。
【0093】
具体的には、上述したSelectコマンドを用いて、特定の条件(タグ識別子又は物品識別子)に該当するRFIDタグTGを選択的に読み取る場合、一括読取とは異なる読取方法でRFIDタグTGの読み取りを行ってもよい。かかる選択読取は、例えばチェックリストに基づく在庫管理作業の終盤において、未読取りの物品Gが残り数個となったような場合の差異詰め作業時に使用することができる。このような差異詰め作業時には、大量のRFIDタグTGを読み取る訳ではないので、大量読み取りに適したセッションS2又はセッションS3を用いる必要性はなく、セッションS0やセッションS1を用いることが好ましい。
【0094】
そこで、例えば、読取処理部101は、S0_A又はS1_A用いてRFIDタグTGの選択読取を行い、S2_A又はS3_Aを用いてRFIDタグTGの一括読取を行う形態としてもよい。この場合、読取動作制御部204は、RFIDタグ読取装置10が選択読取及び一括読取の何れを行っているかに応じて、つまりRFIDタグ読取装置10で実行中の読取方法に応じて、伝送エラー発生時に変更する変更後の読取方法を決定する。具体的には、RFIDタグ読取装置10が選択読取を行っている場合、読取動作制御部204は、伝送エラーの発生時にS0_B又はS1_Bに変更する制御を行う。また、RFIDタグ読取装置10が一括読取りを行っている場合、読取動作制御部204は、伝送エラーの発生時にS2_B又はS3_Bに変更する制御を行う。
【0095】
このように、選択読取か一括読取かに応じて、伝送エラーの発生時の読取方法を切り替えることで、RFIDタグTGの読取効率の更なる向上を図ることができる。
【0096】
(変形例2)
上述の実施形態では、伝送エラーの発生を検出した場合、読取方法を切り替えることで、読みこぼしが発生したタグデータをリカバリする形態を説明した。しかしながら、伝送エラーが頻発するような場合には、読取方法を切り替えても読みこぼしが発生する可能性がある。
【0097】
そこで、読取動作制御部204は、所定時間(例えば4s)以内にエラー検出部202で検出される伝送エラーの検出回数や検出頻度が閾値を上回るような場合に、表示や音声の出力により、読みこぼしの可能性があることを報知してもよい。なお、報知内容は特に問わないものとするが、例えば、現在の位置から少し戻ってRFIDタグTGの読み取りをやり直すことを指示するメッセージや音声を出力してもよい。
【0098】
このように、情報処理装置20は、伝送エラーが頻発した場合、操作者に対し読みこぼしの可能性がある旨を報知することで、RFIDタグTGの再読み取りを促すことができるため、利便性の向上を図ることができる。
【0099】
上述した実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0100】
さらに、上述した実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 読取システム
10 RFIDタグ読取装置
20 情報処理装置
101 読取処理部
102 通信制御部
103 読取動作変更部
201 通信制御部
202 エラー検出部
203 読取結果処理部
204 読取動作制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】