(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ギヤモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/22 20060101AFI20231120BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20231120BHJP
H02K 7/102 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
H02K7/116
H02K7/102
(21)【出願番号】P 2020042512
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】守谷 幸次
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰三
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-264520(JP,A)
【文献】特開2013-126274(JP,A)
【文献】特開2007-215335(JP,A)
【文献】特開2019-097364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/22
H02K 7/116
H02K 7/102
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機とモータが連結されたギヤモータであって、
減速機ケーシングとモータケーシングに渡って設けられる連結孔と、
前記連結孔に配置され、前記減速機ケーシングと前記モータケーシングを連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、
前記連結孔が前記モータケーシングの内側に開放されていることにより、前記モータのステータコアに接触するとともに、前記減速機ケーシングのうち相手部材に連結されるケーシングに達しているギヤモータ。
【請求項2】
減速機とモータが連結されたギヤモータであって、
減速機ケーシングとモータケーシングに渡って設けられる連結孔と、
前記連結孔に配置され、前記減速機ケーシングと前記モータケーシングを連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記モータのステータコアに接触するとともに、前記減速機ケーシングのうち相手部材に連結されるケーシングに達して
おり、
ブレーキを有し、前記連結孔はブレーキケーシングにも設けられ、
前記連結部材は前記ブレーキのステータコアにも接触するギヤモータ。
【請求項3】
前記連結部材は、前記減速機ケーシングを貫通し相手部材に接触する
請求項1又は請求項2に記載のギヤモータ。
【請求項4】
前記連結部材は、主連結部材と、当該主連結部材と前記減速機ケーシング及び前記モータケーシングの間の隙間に配置され、空気よりも熱伝導率の高い高熱伝導部材と、を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のギヤモータ。
【請求項5】
前記高熱伝導部材は、樹脂よりも熱伝導率の高いフィラーを含んだ樹脂により構成される
請求項4に記載のギヤモータ。
【請求項6】
前記減速機ケーシング及び前記モータケーシングの少なくとも一部は樹脂により構成される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のギヤモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機とモータが連結されたギヤモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ軸の軸線方向にモータと減速機とを並べて連結した従来のギヤモータは、複数の部材からなるケーシングの連結面を貫通する熱伝達ピンを設け、当該熱伝達ピンにより減速機の熱を効率的に伝達させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のギヤモータは、モータの熱源となるステータコア等の部材は、熱伝達ピンに到達するまでの他のケーシング等の部材が介在していることから、これら他の部材やその境界での熱伝達損失が大きく影響し、十分な放熱を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、効果的に排熱を行うギヤモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るギヤモータは、
減速機とモータが連結されたギヤモータであって、
減速機ケーシングとモータケーシングに渡って設けられる連結孔と、
前記連結孔に配置され、前記減速機ケーシングと前記モータケーシングを連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記連結孔が前記モータケーシングの内側に開放されていることにより、前記モータのステータコアに接触するとともに、前記減速機ケーシングのうち相手部材に連結されるケーシングに達する構成とした。
また、他の本発明に係るギヤモータは、
減速機とモータが連結されたギヤモータであって、
減速機ケーシングとモータケーシングに渡って設けられる連結孔と、
前記連結孔に配置され、前記減速機ケーシングと前記モータケーシングを連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記モータのステータコアに接触するとともに、前記減速機ケーシングのうち相手部材に連結されるケーシングに達しており、
ブレーキを有し、前記連結孔はブレーキケーシングにも設けられ、
前記連結部材は前記ブレーキのステータコアにも接触する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効果的に排熱を行うギヤモータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るギヤモータを示す断面図である。
【
図2】ボルト挿通孔に挿入された長尺ボルトの外周部分の拡大断面図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態に係るギヤモータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一の実施形態]
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るギヤモータ1を示す断面図である。
【0010】
[ギヤモータの概略構成]
本実施形態のギヤモータ1は、回転動力を出力する装置であり、用途は特に限定されないが、例えば人と協働して作業を行う協働ロボットの関節ギヤモータとして使用することができる。以下、中心軸O1に沿った方向を軸方向、中心軸O1の半径方向を径方向、中心軸O1を中心とする回転方向を周方向と呼ぶ。中心軸O1は、出力部材16の軸部16c及びロータ軸13の中心軸である。さらに、中心軸O1の軸方向において、出力部材16がある方(
図1の左方)を出力側、その反対側(
図1の右方)を反出力側又は入力側と呼ぶ。
【0011】
ギヤモータ1は、相手部材としての装置外の相手部材(固定部材)201に連結されるケーシング11と、回転動力を発生するモータ(電動モータ)12と、モータ12によりトルクが入力されるロータ軸13と、ロータ軸13に制動力を付与可能なブレーキ14と、ロータ軸13の回転運動を減速する減速機としての減速機構15と、減速機構15により減速された回転運動を装置の外部(他の相手部材(被駆動部材)202)へ出力する出力部材16と、電気回路が搭載された回路部17と、ロータ軸13及び出力部材16の回転を検出する検出部18とを備える。
回路部17には、モータ12の駆動回路が搭載されたモータドライバ基板と、検出部18の検出回路が搭載されたエンコーダ基板とが含まれる。
検出部18には、ロータ軸13の回転を検出する入力側回転検出器18Aと出力部材16の回転を検出する出力側回転検出器18Bとが含まれる。
減速機構15、モータ12、ブレーキ14、検出部18、並びに、回路部17が、この順で出力側から反出力側へ並んで配置されている。
【0012】
ケーシング11と回転軸部(ロータ軸13、起振体15a又は軸部16c)との間には、検出部18の構成部材を収容する検出部収容空間W1と、ブレーキ14の構成部材を収容するブレーキ収容空間W2と、モータ12の構成部材を収容するモータ収容空間W3とが設けられる。
ギヤモータ1は、さらに、検出部収容空間W1とブレーキ収容空間W2との間に、異物の流通を阻害する第1阻害壁31を備え、ブレーキ収容空間W2とモータ収容空間W3との間に、異物の流通を阻害する第2阻害壁32を備える。
第1阻害壁31と第2阻害壁32は、いずれも、ケーシング11の固定側とロータ軸13の固定側の二部材で構成され、これらの部材間は、異物の自由な侵入を阻害する程度の隙間が形成されている。これらは、合成樹脂、繊維強化樹脂、紙ベーク材又は布ベーク材などの様々な樹脂材料、あるいは、アルミなどの金属から構成される。
【0013】
[ケーシング]
ケーシング11は、互いに連結された中空筒状又は環状の部材11a~11hを含み、装置外の相手部材201と連結されて支持される。なお、各部材11a~11hや後述する第1内歯歯車15dも、個々のケーシングということができる。
以下、部材11a~11hの具体的な構造例について説明するが、ケーシング11はこの具体例に限られるものではない。
【0014】
部材11aは、反出力側において軸部16cの一端部周辺を覆う。部材11aは、軸方向に貫通する貫通孔を有し、部材11aの貫通孔が軸部16cの貫通孔と連通する。部材11aは、軸受21の外輪に軸方向から当接する。部材11aは、部材11bにボルト(連結部材)を介して連結される。
【0015】
部材11bは、回路部17を径方向及び軸方向の反出力側から覆い、軸受21の外輪を内嵌し、部材11cにボルトを介して連結される。
【0016】
部材11cは、検出部18の径方向外方に位置し、検出部18を径方向から覆う。部材11cは、部材11b及び部材11dとボルトを介して連結される。
【0017】
部材11dは、ブレーキ14の径方向外方に位置し、ブレーキ14を径方向から覆い、ブレーキ14の固定側の部材を支持する。
部材11dは、反出力側に突出した環状突出部11dtを有する。環状突出部11dtは、部材11dの最大外径よりも小径であり、部材11cに嵌入(インロー嵌合)される。
部材11dは、反出力側において周方向の複数箇所にフランジ部11d1を有し、フランジ部11d1がボルトを介して部材11cに連結される。部材11dは、フランジ部11d1以外の外周部に配置されたフィン部11d3を備える。
フィン部11d3は、径方向に延在しかつ周方向に広がる複数の放熱フィンを含む。フィン部11d3において、フランジ部11d1のボルト穴に対応する箇所(ボルト穴を軸方向に延長したときにボルト穴と重なる箇所)には、ボルト及び工具の先を通す貫通孔11d4が設けられている。
【0018】
部材11eは、モータ12の径方向外方に位置し、モータ12を径方向から覆い、その内周部においてモータ12のステータコア12aを固定的に支持する。
部材11eは、反出力側に突出した環状突出部11et1と、出力側に突出した環状突出部11et2とを有する。反出力側の環状突出部11et1は、部材11eの最大外径よりも小径であり、部材11dに嵌入(インロー嵌合)される。出力側の環状突出部11et2は、部材11eの最大外径よりも小径であり、部材11fに嵌入(インロー嵌合)される。
部材11eは、外周部の一部に配置されたフィン部11e2を備える。フィン部11e2は、径方向に延在しかつ周方向に広がる複数の放熱フィンを含む。当該フィン部11e2と、上述した部材11dのフィン部11d3とは隣接し、フィン部11e2には、フィン部11d3の貫通孔11d4に連続する位置(貫通孔11d4を延長したときに重なる位置)に、ボルト及び工具を通す貫通孔11e3が設けられている。
【0019】
部材11fは、モータ12の出力側を覆い、減速機構15の反出力側に配置された軸受23の外輪が内嵌される。部材11fは、軸受23を介して起振体15aを回転自在に支持する。
部材11fは、その外周部近傍において、減速機構15の構成部材(第1内歯歯車15d)とボルトを介して連結される。
部材11fは、出力側に突出した環状突出部11ftを有する。環状突出部11ftは、部材11fの最大外径よりも小径であり、第1内歯歯車15dに嵌入(インロー嵌合)される。
【0020】
部材11gは、第1内歯歯車15dの出力側の端部と外径が等しい環状体であって、反出力側が第1内歯歯車15dの出力側の端部に当接する。また、部材11gの出力側の端部は、部材11hに内嵌された軸受22の外輪に当接し、当該軸受22を軸方向について固定する。
【0021】
部材11hは、出力側の端部で出力部材16を径方向から覆い、軸受22の外輪及びシール25を内嵌する。部材11hは、軸受22を介して出力部材16を回転自在に支持する。部材11hは、外周部近傍で、部材11g及び減速機構15の構成部材(第1内歯歯車15d)とボルトを介して共締めした状態で連結される。
減速機構15において、第1内歯歯車15dは、第2内歯歯車15eの径方向外側を覆うように第2内歯歯車15eよりも出力側まで張り出した部位を有し、この部位が部材11g及び部材11hと連結される。部材11hの外周部において、周方向に異なる複数の位置には、第1内歯歯車15dに設けられたネジ穴に連通するボルト挿通孔11h4を有する。また、前述した部材11gは、周方向について部材11hのボルト挿通孔11h4と一致する配置で第1内歯歯車15dに設けられたネジ穴に連通するボルト挿通孔11g1を有する。
【0022】
さらに、部材11hは、径方向内方に突出して、軸受22の軸方向位置及びシール25の軸方向位置を決める位置決め突起(リング部)11h2を有する。また、部材11hは、軸方向の出力側と反出力側とにそれぞれに延在する筒状延在部11h3,11h6を有する。筒状延在部11h3は、内側にシール25を収容する。筒状延在部11h6は、その内側に部材11gと第1内歯歯車15dの出力側端部とを収容する。
【0023】
[出力部材]
出力部材16は、互いに連結された部材16a、16b及び軸部16cを含み、ケーシング11に軸受21、22を介して回転可能に支持されている。出力部材16は、ホロー構造(中空筒状)を有している。出力部材16は、出力側に一部が露出され、露出された部分が、相手部材202に連結される。
より具体的には、軸部16cは、減速機構15を貫通して検出部18及び回路部17が配置される反出力側まで延在する。軸部16cには、出力側回転検出器18Bの回転部18Baが固定されている。軸部16cは、出力側において部材16aに締まり嵌めされている。
部材16bは、減速機構15の第2内歯歯車15eとボルトにより連結され、減速機構15の出力側の軸受24の外輪を内嵌する。部材16bは、減速機構15から減速された回転運動を導入し、軸受24を介して起振体15aを回転自在に支持する。
【0024】
部材16aは、部材16bの出力側に配置され、軸部16cを内嵌し、かつ、軸受22の内輪を外嵌する。部材16aは、ボルトの軸部を通しかつボルトの頭部を収容するボルト挿通孔16a1と、ボルトの軸部を通すボルト挿通孔16a2とを有する。ボルト挿通孔16a1、16a2は、隣接する部材16bの複数のネジ穴16b1のいずれかに連通する。
部材16aは、ボルト挿通孔16a1に挿通されたボルトを介して部材16bに直接に連結(仮止め)される。さらに、部材16aは、ボルト挿通孔16a2に挿通されたボルトを介して、相手部材202と部材16bとの間で共締めされる。すなわち、相手部材202は、ボルト挿通孔16a2を介して部材16bのネジ穴に螺合されたボルトを介して出力部材16に連結される。部材16aは、上記の部材16bへの直接の連結(周方向に位置が異なる4本のボルトによる連結)と、部材16bと相手部材202とに挟まれた共締め(周方向に位置が異なる8本のボルトによる連結)とにより、部材16bに対する規定の連結強度が達成される。
【0025】
部材16aは、ケーシング11の筒状延在部11h3と径方向に対向する筒状部16a3を有する。筒状部16a3は、ボルト挿通孔16a1よりも出力側に配置されている。筒状部16a3には、シール25のリップ部が接触するスリーブ26が外嵌され、スリーブ26とケーシング11の筒状延在部11h3との間にシール25が配置される。なお、出力部材16の構造は、上述の具体例に限られない。
【0026】
[モータ]
モータ12は、ステータコア12aと、中空筒状のロータコア12bとを有する。ロータコア12bは、永久磁石により構成され、ステータコア12aは電磁石により構成される。ステータコア12aは、ケーシング11の部材11eの内周に圧入され固定されている。ロータコア12bは、圧入によりロータ軸13の拡径部13aを内嵌し、固定的に連結されている。
【0027】
ロータ軸13は、ホロー構造を有し、間隙を挟んで出力部材16の軸部16cの周囲に同心で配置されている。ロータ軸13は、モータ12のロータコア12bと連結されている。モータ12及びロータ軸13は、減速機構15の反出力側に配置されている。ロータ軸13には、反出力側において、入力側回転検出器18Aの回転部18Aaがハブ部材18Cを介して固定されている。
【0028】
[減速機構]
減速機構15は、筒型の撓み噛合式歯車機構であり、起振体15aと、起振体軸受15bと、起振体15aの回転により撓み変形する外歯歯車15cと、外歯歯車15cと噛合う第1内歯歯車15d及び第2内歯歯車15eとを備える。なお、減速機構15は、筒型の撓み噛合い式歯車機構に限定されるものではなく、各種の減速機構を採用でき、例えばカップ型やシルクハット型の撓み噛合い式歯車機構、偏心揺動型減速機構、単純遊星型減速機構であってもよいし、歯車を有しないトラクションドライブ式減速機構でもよい。また、減速機構を設けなくてもよい。
【0029】
起振体15aは、ホロー構造を有し、間隙を挟んで出力部材16の軸部16cの周囲に同心で配置される。起振体15aは、ロータ軸13に連結(例えばスプライン連結)され、ロータ軸13と一体的に回転する。起振体15aは、その軸部が軸受23、24を介してケーシング11及び出力部材16に回転可能に支持されている。起振体15aは、軸部における軸方向に垂直な断面外形が中心軸O1を中心とする円形であり、起振体軸受15bが接触する部分における軸方向に垂直な断面外形が例えば楕円状である。
【0030】
外歯歯車15cは可撓性を有する。このため、内側の起振体15aに倣って楕円状を呈し、起振体15aが回転すると、その回転に合わせて楕円形状の長軸部分と短軸部分とが周回するように変形する。
第1内歯歯車15dは、ケーシング11に連結され、外歯歯車15cの軸方向における反出力側の範囲に噛合う。
第2内歯歯車15eは、出力部材16に連結され、外歯歯車15cの軸方向における出力側の範囲に噛合う。
【0031】
減速機構15においては、起振体15aに回転運動が入力され、減速された回転運動が第2内歯歯車15eに出力される。減速機構15において、起振体15aに入力されるトルクは増幅され、増幅されたトルクは第2内歯歯車15eに伝達され、かつ、増幅されたトルクの反力が第1内歯歯車15dに伝わる。すなわち、増幅されたトルクは、第1内歯歯車15dと第2内歯歯車15eとに伝わる。
【0032】
ギヤモータ1の各部材は異なる複数種類の材質から構成される。ケーシング11における部材11c、11d、11e、11h、並びに、出力部材16の部材16a、16bは、アルミなどの軽金属から構成される。ケーシング11における部材11f、並びに、第1内歯歯車15d及び第2内歯歯車15eは、炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon FiberReinforced Plastic)などの樹脂材料から構成される。樹脂材料としては、その他、FRP(Fiber-Reinforced Plastic)などの繊維強化樹脂、ナチュラル樹脂、ベーク材などを適用できる。シール25が摺動するスリーブ26は、スチールなどの鉄系金属から構成される。
ギヤモータ1の各部材の材質は、本実施形態の例に限定されるものではなく、適宜選択されればよく、例えばギヤモータ1の軽量化のために、ケーシング11の部材11a~11eについては、部材11fと同じ樹脂材料から構成しても良い。
【0033】
[検出部]
検出部18は、ロータ軸13の回転を検出する入力側回転検出器18Aと出力部材16の回転を検出する出力側回転検出器18Bとを含む。
入力側回転検出器18Aは、ロータ軸13と一体的に回転する回転部18Aaと、回転部18Aaの近傍に配置され、回転部18Aaの回転量を検出するセンサ18Abとを有する。
出力側回転検出器18Bは、出力部材16と一体的に回転する回転部18Baと、回転部18Baの近傍に配置され、回転部18Baの回転量を検出するセンサ18Bbとを有する。
【0034】
入力側回転検出器18A及び出力側回転検出器18Bは、例えば回転部の回転の変位をデジタル信号として出するロータリーエンコーダであるが、アナログ信号として出力するレゾルバであってもよいし、それ以外の回転検出器であってもよい。ロータリーエンコーダは、光学式の検出部を有する構成であってもよいし、磁気的な検出部を有する構成であってもよい。入力側回転検出器18Aと出力側回転検出器18Bとは異なる種類の検出器であってもよい。
【0035】
入力側回転検出器18A及び出力側回転検出器18Bにおいて、2つのセンサ18Ab、18Bbは回路部17のエンコーダ基板に搭載されており、2つの回転部18Aa、18Baは回路部17に対して出力側から対向するように配置されている。
【0036】
[ブレーキ]
ブレーキ14は、ロータ軸13に相対回転が規制されるように固定されたハブ部材14aと、ハブ部材14aにスプライン嵌合されたディスク状のロータコア14bと、ロータコア14bに向かって変位可能なアーマチュア14cと、アーマチュア14cを駆動する電磁コイル14dと、アーマチュア14cを元の位置に戻すバネ材と、アーマチュア14cの反対側でロータコア14bに対向するプレート14eと、ケーシング11に支持されて電磁コイル14d及びプレート14eを保持するステータコア14gと、を備える。プレート14e及びアーマチュア14cにおけるロータコア14bとの対向面上にはそれぞれライニング(摩耗材)が固着されている。
【0037】
ブレーキ14においては、電磁コイル14dの作用あるいはバネ材の作用により、アーマチュア14cとプレート14eとの間にライニングを介してロータコア14bを挟み込むことで、ロータ軸13に制動力が加えられる。また、バネ材の作用あるいは電磁コイル14dの作用により、アーマチュア14cとプレート14eとがロータコア14bを挟み込む力が解除されることで、ロータ軸13への制動力が解除される。
【0038】
[ケーシングの連結構造]
ギヤモータ1は、軸方向に沿って反出力側から出力側に向かって並んで配置された、部材11a,部材11b,部材11c,部材11d,部材11e,部材11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hからなる略円筒状の外殻にこれら以外の構成が収容された構造となっている。
そして、上記外殻を構成する部材の内で、部材11dは、ブレーキ14を収容するブレーキケーシングに相当し、部材11f及び部材11eは、モータ12を収容するモータケーシングに相当し、第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hは、減速機構15を収容する減速機ケーシングに相当する。
【0039】
上記外殻を構成する部材11a~11h及び第1内歯歯車15dの各部材の一部については、隣接するもの同士がボルトによって連結されているが、これらのボルトとは別に、周方向について均一間隔で複数箇所において、連結部材27(
図2参照)を構成する主連結部材としての長尺ボルト271によって、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hが共締めにより一体的に連結されている。
【0040】
部材11d~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hの各々には、周方向について均一間隔となる複数箇所について互いに一致する配置で、内径の等しい連結孔としてのボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5が軸方向に沿って貫通して形成されている(
図1では一つのみ図示)。
また、部材11cの出力側の端面には、周方向についてボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5と一致する配置で周方向について均一間隔となる複数箇所にネジ穴11c1が形成されている(
図1では一つのみ図示)。
【0041】
そして、複数の長尺ボルト271が、部材11hの出力側からボルト挿通孔11h5,11g2,15d1,11f1,11e4及び11d5に挿入されてネジ穴11c1に螺入されている。
また、各長尺ボルト271は、部材11hの出力側において、相手部材201の取付孔201aに挿通されており、相手部材201と部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hを共締めする。これにより、各長尺ボルト271は、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hを一体的に連結すると共にギヤモータ1の相手部材201への取り付けを行っている。
【0042】
部材11d及び11eのそれぞれのボルト挿通孔11d5,11e4は、軸方向の一部又は全部が部材11d及び11eの内側に開放されている。
そして、ボルト挿通孔11d5,11e4に挿入された連結部材27の外周を、部材11d内に設けられたブレーキ14のステータコア14gと部材11e内に設けられたモータ12のステータコア12aに直接的に接触させることが可能な構造となっている。
【0043】
連結部材27の長尺ボルト271は、一般的なボルト材料である鋼材(合金鋼を含む)や非鉄金属合金から形成されており、熱伝導率が40~200[W/m・k]のものが使用される。
長尺ボルト271は、ブレーキケーシング、モータケーシング、減速機ケーシングを構成する全ての部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hに渡って軸方向に延在しており、これらの部材を一体的に締結すると共に、これらの部材から相手部材201に熱伝達を行って排熱経路として機能する。
【0044】
モータ12のステータコア12aとブレーキ14のステータコア14gは、これらの動作状態において発熱し、ギヤモータ1の熱源となり得る構成である。
これらのステータコア12a,14gに対して、連結部材27は、直接的に接触するように配置されているので、ステータコア12a,14gから熱伝達が良好に行われ、効率的に相手部材201に排熱することができる。
【0045】
図2は各ボルト挿通孔11h5,11g2,15d1,11f1,11e4及び11d5に挿入された連結部材27の外周部分の拡大断面図である。
連結部材27の長尺ボルト271は、その外周にネジ溝が形成されていることや挿入可能な寸法公差を取る必要があるため、長尺ボルト271のみの状態ではボルト挿通孔11h5,11g2,15d1,11f1,11e4及び11d5の内周やステータコア12a,14gとの間に空隙が生じ得る。このような空隙の存在は、熱伝導率の低下の原因となり得る。なお、長尺ボルト271は、必ずしも全長に渡ってねじ溝が形成されている必要なく、少なくとも部材11cのネジ穴11c1に螺入される部分にねじ溝が形成されていればよく、それ以外の部分は円柱面でもよい。
【0046】
従って、連結部材27は、長尺ボルト271の外周に高熱伝導部材272を設けている。
高熱伝導部材272は、空気よりも熱伝導率が高い部材であればよく、熱伝導率が0.2~0.4[W/m・k]程度の一般的な樹脂でもよいが、熱伝導率が1.0[W/m・k]以上の高熱伝導樹脂、例えば、樹脂より熱伝導率の高い金属、黒鉛等のフィラーを含んだエポキシ樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等を使用するのが好ましい。また、高熱伝導部材272は、樹脂以外の素材により構成してもよい。
高熱伝導部材272は、シート状又はペースト状であっても良く、長尺ボルト271の外周とボルト挿通孔11h5,11g2,15d1,11f1,11e4及び11d5の内周及びステータコア12a,14gの接触部表面との間に介挿される。これにより空隙の発生を抑制し、部材11a~11h、第1内歯歯車15d及びステータコア12a,14gと長尺ボルト271に対して高い熱伝導率を維持して、効率的な排熱を行うことができる。
【0047】
[動作説明]
モータ12が駆動してロータ軸13及び起振体15aが回転すると、起振体15aの運動が外歯歯車15cに伝わる。このとき、外歯歯車15cは、起振体15aの外周面に沿った形状に規制され、軸方向から見て、長軸部分と短軸部分とを有する楕円形状に撓んでいる。
さらに、外歯歯車15cは、固定された第1内歯歯車15dと長軸部分で噛合っている。このため、外歯歯車15cは起振体15aと同じ回転速度で回転することはなく、外歯歯車15cの内側で起振体15aが相対的に回転する。
そして、この相対的な回転に伴って、外歯歯車15cは長軸位置と短軸位置とが周方向に移動するように撓み変形する。この変形の周期は、起振体15aの回転周期に比例する。外歯歯車15cが撓み変形する際、その長軸位置が移動することで、外歯歯車15cと第1内歯歯車15dとの噛合う位置が回転方向に変化する。
ここで、外歯歯車15cの歯数が100で、第1内歯歯車15dの歯数が102だとする。すると、噛合う位置が一周するごとに、外歯歯車15cと第1内歯歯車15dとの噛合う歯がずれていき、これにより外歯歯車15cが回転(自転)する。上記の歯数であれば、起振体15aの回転運動は減速比100:2で減速されて外歯歯車15cに伝達される。一方、外歯歯車15cは第2内歯歯車15eとも噛合っているため、起振体15aの回転によって外歯歯車15cと第2内歯歯車15eとの噛合う位置も回転方向に変化する。
ここで、第2内歯歯車15eの歯数と外歯歯車15cの歯数とが同数であるとすると、外歯歯車15cと第2内歯歯車15eとは相対的に回転せず、外歯歯車15cの回転運動が減速比1:1で第2内歯歯車15eへ伝達される。これらによって、起振体15aの回転運動が減速比100:2で減速されて、第2内歯歯車15eへ伝達され、第2内歯歯車15eから出力部材16を介して相手部材202に出力される。
【0048】
上記の回転運動の伝達中、ロータ軸13の回転位置は入力側回転検出器18Aにより検出され、出力部材16の回転位置は出力側回転検出器18Bにより検出される。
モータ12の駆動が停止し、ブレーキ14が作動すると、アーマチュア14cが駆動され、プレート14eとアーマチュア14cとの間にライニングを介してロータコア14bが挟み込まれ、ロータ軸13に制動力が働く。モータ12が駆動される際には、アーマチュア14cがロータコア14bから離間され、制動力が解除される。
【0049】
[技術的効果]
以上のように、ギヤモータ1は、ケーシングを構成する部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hが、これらに設けられたネジ穴11c1及びボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5に配置された連結部材27によって連結されている。
さらに、連結部材27は、モータ12のステータコア12aに直接的に接触するとともに、相手部材201に連結されるケーシング11の部材11hに達しており、さらに、相手部材201にまで達している。
このため、モータ12の動作時に発熱するステータコア12aの熱を、連結部材27を熱経路として部材11hまで伝えることができ、さらには、相手部材201まで直接的に伝えることができることから、効率的に排熱を行うことが可能となる。
これにより、ギヤモータ1の温度上昇を抑制し、モータ12の出力低下を防ぎ、良好な駆動状態を維持することが可能となる。
【0050】
また、ギヤモータ1の内部から部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hに伝わる熱も、連結部材27を熱経路としてから相手部材201まで伝えることができるので、これらからも効率的に排熱を行うことが可能となる。
特に、連結部材27は、全長に渡って一部材からなる長尺ボルト271を有するので、部材間の境界面における熱伝達損失の発生が抑えられ、より効率的に排熱を行うことが可能となる。
【0051】
また、連結部材27は、ブレーキ14のステータコア14gにも直接的に接触して配置されているので、ブレーキ14の動作時に発熱するステータコア14gの熱も、連結部材27を熱経路として部材11h及び相手部材201まで直接的に伝えることができ、さらに効率的に排熱を行うことが可能となる。
【0052】
また、連結部材27は、長尺ボルト271と部材11d~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hのボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5の隙間と、長尺ボルト271とステータコア12a,14gとの隙間に配置される高熱伝導部材272を有するので、空隙による熱伝導率の低下を抑制することができ、さらに効率的に排熱を行うことが可能となる。
【0053】
また、ギヤモータ1では、ケーシング11の部材11f及び第2内歯歯車15eを樹脂材料から構成しており、ケーシング11の他の部材11a~11eについても、樹脂材料から構成する場合がある。
このように、樹脂材料をケーシングの一部又は全部に使用する場合、ギヤモータ1の軽量化を実現すると共に、熱伝導率が低い樹脂材料を使用する場合であっても、連結部材27によって熱伝達経路を確保することができるため、効率的に排熱を行うことができ、ギヤモータ1の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、樹脂材料をケーシングの一部又は全部に使用する場合、ケーシングを通じて装置内から相手部材201にアースをとることができなくなるが、連結部材27に金属等の導電性材料からなる長尺ボルトを使用する場合、連結部材27を通じてアースをとることが可能となる。
【0054】
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は第二の実施形態に係るギヤモータ1Aを示す断面図である。
このギヤモータ1Aについて、前述したギヤモータ1の構成に対応する構成については当該ギヤモータ1と同じ符合を付するものとする。また、対応するギヤモータ1の構成に対して寸法や形状について軽微な変更はあるがその機能や作用が同一となる構成については、詳細な説明は省略し、専ら、ギヤモータ1と異なる点について説明するものとする。
【0055】
このギヤモータ1Aは、減速機構15から出力側の構成が異なっている。
減速機構15は、筒型の撓み噛合式歯車機構であり、起振体15a、起振体軸受15b、外歯歯車15c、第1内歯歯車15d及び第2内歯歯車15eを備えているが、第1内歯歯車15dは、第2内歯歯車15eの径方向外側を覆う構造とはなっていない。
代わりに、ケーシング11の部材11hが第2内歯歯車15eの径方向外側を覆っている。
また、出力部材16を回転自在に支持する軸受22は、部材11hと第2内歯歯車15eの間に設けられると共に、軸受22の外輪は部材11hと一体的に形成され、軸受22の内輪は第2内歯歯車15eと一体的に形成されている。
このため、ギヤモータ1に設けられていた、軸受22の反出力側の移動を規制する部材11gは、ギヤモータ1Aには設けられていない。
また、シール25は、部材11hと第2内歯歯車15eの間に設けられている。
【0056】
ギヤモータ1Aの出力部材16は、ホロー構造の軸部16cと、軸部16cの出力側の端部を締まり嵌めでインロー嵌合する環状の部材16aと、部材16aを締まり嵌めで内嵌する環状の部材16bとを備えている。
そして、部材16bは、反出力側に延出された筒状部で第2内歯歯車15eを外嵌すると共に、相手部材202と部材16bと第2内歯歯車15eとが、ボルトによって共締めにより一体的に連結されている。
【0057】
ギヤモータ1Aは、軸方向に沿って反出力側から出力側に向かって部材11a~11f,第1内歯歯車15d及び部材11hが並んで設けられ、これらからなる略円筒状の外殻にこれら以外の構成が収容された構造となっている。前述したように、部材11gが設けられていないので、第1内歯歯車15dと部材11hが隣接した配置となっている。
従って、ギヤモータ1Aでは、減速機ケーシングは、第1内歯歯車15dと部材11hにより構成される。
【0058】
連結部材27の長尺ボルト271は、部材11d~11f,第1内歯歯車15d及び部材11hの周方向における同一位置に形成されたボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11h5に挿入され、部材11cのネジ穴11c1に螺入される。
さらに、連結部材27は、相手部材201と共に部材11c~11f,第1内歯歯車15d及び部材11hを共締めにより連結し、相手部材201に対するギヤモータ1Aの取り付けを行っている。
また、連結部材27による排熱構造は、ギヤモータ1の場合と実質的に同一である。
【0059】
上記ギヤモータ1Aは、モータ12が駆動してロータ軸13及び起振体15aが回転すると、起振体15aにより外歯歯車15cの楕円形状の長軸位置が周回して移動する。外歯歯車15cとの噛合いにより、第1内歯歯車15dと第2内歯歯車15eとの間で相対的な減速回転を生じ、相手部材201側を固定すると、第2内歯歯車15eから出力部材16を介して相手部材202に減速回転が出力される。
【0060】
以上のように、ギヤモータ1Aは、ギヤモータ1に比べて、部品点数の低減を図ることが可能であり、また、ギヤモータ1と同様に、効率的に排熱を行って、ギヤモータ1Aの温度上昇を抑制し、モータ12の出力低下を防ぎ、良好な駆動状態を維持することが可能である。
【0061】
また、ギヤモータ1Aの場合も、ケーシング11の部材11f及び第2内歯歯車15eを樹脂材料から構成することができ、さらに、ケーシング11の他の部材11a~11eについても、樹脂材料から構成することができる。
その場合も、ギヤモータ1Aの軽量化を図ると共に、効率的に排熱を行うことができ、ギヤモータ1Aの温度上昇を抑制することができる。
【0062】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、連結部材27が長尺ボルト271を有する構成を例示しているが、ボルトは、ボルト挿通孔との間で寸法公差が必須であり、その外周にはネジ溝が形成されるので空隙が生じ易い。
従って、連結部材27が長尺のリベットピンを有する構成としてもよい。
【0063】
この場合、部材11d~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hのボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5をリベットピンが締まり嵌めとなる貫通孔とし、部材11cのネジ穴11c1をリベットピンの先端部が締まり嵌めとなる有底穴に変更する。
そして、相手部材201の取付孔201aにリベットピンを挿入してから、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hの貫通孔及び有底穴に圧入して、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hを連結すると共に相手部材201への取り付けを行う。
この場合も、リベットピンとボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5からなる貫通孔との間にも高熱伝導部材272を介挿しても良い。
【0064】
このように、連結部材27にリベットピンを利用する場合、リベットピンとボルト挿通孔11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5からなる各貫通孔との間に空隙の発生を抑えることができ、熱伝導性を向上させることが可能となる。なお、連結部材は、ケーシングを連結する部材であれば、ボルトやリベットピンに限定されず、種々の連結部材を採用できる。
【0065】
また、連結部材27によって、ケーシングの部材の連結と相手部材201に対するギヤモータ1の取り付けとを行う構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、相手部材201に当接する部材11hが、熱伝導率の高い材料、例えば、金属等から形成される場合には、連結部材27は、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hの連結のみを行い、ギヤモータ1の相手部材201への取り付けは、他のボルトによって行ってもよい。
この場合、連結部材27は、部材11c~11f,第1内歯歯車15d,部材11g及び部材11hに渡って延在し、相手部材201に直接的に連結されるケーシングとしての部材11hに連結されるが、相手部材201には直接接触しない。しかしながら、連結部材27は、部材11cから部材11hまでの熱伝達経路となるので、部材11hを通じて相手部材201に排熱を行うことができ、ギヤモータ1の温度上昇を抑制することが可能である。
また、相手部材201が連結されるケーシング部材は、最も出力側に位置する部材11hに限定されるものではなく、減速機構を収容するケーシングであればよい。そして、連結部材27は、当該相手部材201が連結されるケーシング部材まで達していればよく、最も出力側のケーシング部材11hまで達している必要はない。
上記ギヤモータ1の構成は、ギヤモータ1Aにも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,1A ギヤモータ
11 ケーシング
11a~11h 部材(ケーシング)
11c1 ネジ穴
11d5,11e4,11f1,15d1,11g2,11h5 ボルト挿通孔(連結孔)
12 モータ(電動モータ)
12a ステータコア
14 ブレーキ
14g ステータコア
15 減速機構(減速機)
16 出力部材
16a,16b 部材
16c 軸部
17 回路部
18 検出部
27 連結部材
201,202 相手部材
271 長尺ボルト(主連結部材)
272 高熱伝導部材
O1 中心軸