(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/73 20110101AFI20231120BHJP
【FI】
H01R12/73
(21)【出願番号】P 2020045171
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 智裕
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3132340(JP,U)
【文献】特開2020-4607(JP,A)
【文献】特開2002-198110(JP,A)
【文献】特開平9-258849(JP,A)
【文献】特開2010-40342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型デバイスと接続されるコネクタであって、
前記コネクタは、回路基板上に搭載されて使用されるものであり、
前記コネクタは、ベースと、カバーと、複数の端子と、熱伝導部材とを備えており、
前記ベースは、前記カード型デバイスを収容する収容部を規定しており、
前記ベースは、絶縁体からなる保持部を有しており、
前記保持部は、前記収容部に向けられた表面を有しており、
前記カバーは、前記カード型デバイスが前記収容部内において前記コネクタと接続されたときに、上下方向において前記カード型デバイスを覆うように配置されており、
前記端子は、前記上下方向と直交するピッチ方向に配列されており、
前記端子の夫々は、被保持部と、接点と、被固定部とを有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されており、
前記接点は、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する前後方向において前記被保持部と異なる位置に位置しており、
前記接点は、前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記カード型デバイスと接触するものであり、
前記被固定部は、前記コネクタが前記回路基板上に搭載されたときに、前記回路基板上に固定されるものであり、
前記熱伝導部材は、前記保持部の前記表面上に設けられており、
前記熱伝導部材は、前記ピッチ方向において二つ以上の前記端子に亘るように配置されており、
前記熱伝導部材は、前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記カード型デバイスと前記保持部とに挟まれる
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記端子の夫々において、前記被保持部は露出部を有しており、
前記露出部は、前記保持部の前記表面に露出しており、
前記露出部は、少なくとも前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記熱伝導部材と接触している
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記熱伝導部材は弾性を有している
コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記熱伝導部材がサーマルラバーからなる
コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のコネクタであって、
前記コネクタはヒンジ機構を有しており、
前記カバーは、前記ヒンジ機構により前記ベースに取り付けられている
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特に、カード型デバイスと接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カード型デバイスと接続されるコネクタの一例を開示している。
図13から理解されるように、特許文献1のコネクタ90は、いわゆるヒンジタイプのコネクタである。このコネクタ90は、回路基板(図示せず)上に搭載されて使用される。
【0003】
図13に示されるように、コネクタ90は、ベース92と、カバー94と、複数の端子96とを備えている。ベース92は、収容部920を規定している。また、ベース92は、フレーム930を有している。カバー94は、ベース92に開閉可能に取り付けられている。端子96は、ベース92によって保持されている。
【0004】
図13から理解されるように、カード型デバイス98は、カバー94に保持される。カバー94を閉じると、カード型デバイス98は、ベース92の収容部920に収容される。このとき、端子96は、カード型デバイス98の接触部(図示せず)に接触する。こうして、コネクタ90は、カード型デバイス98と接続される。
【0005】
コネクタ90がカード型デバイス98と接続されたとき、カード型デバイス98において発生した熱は、端子96を通して回路基板(図示せず)へ伝わる。端子96はカード型デバイス98と点接触しており、それらの間の接触面積は小さい。そのため、端子96を介してカード型デバイス98から回路基板へ伝わる熱の量は制限される。そこで、特許文献1のコネクタ90は、端子96とは別の熱伝導経路を備えている。
【0006】
図14を参照すると、コネクタ90のベース92に含まれるフレーム930は、第1接触部932、第2接触部934及び第3接触部936を有している。また、フレーム930は、複数の被固定部938を有している。被固定部938は、コネクタ90が回路基板(図示せず)に搭載されたとき、回路基板の固定部(図示せず)に固定される。
【0007】
図13及び
図14から理解されるように、第1接触部932、第2接触部934及び第3接触部936は、コネクタ90がカード型デバイス98と接続されたとき、カバー94に接触する。これにより、カード型デバイス98で生じた熱は、カバー94からフレーム930へと伝わり、フレーム930から回路基板へと伝わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カード型デバイスの高性能化に伴い、カード型デバイスにおいて生じる熱は増える傾向にある。そのため、カード型デバイスの放熱を効率よく行えるように新規な熱伝導経路を備えたコネクタが求められている。
【0010】
そこで、本発明は、新規な熱伝導経路を備えたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1のコネクタとして、カード型デバイスと接続されるコネクタであって、
前記コネクタは、回路基板上に搭載されて使用されるものであり、
前記コネクタは、ベースと、カバーと、複数の端子と、熱伝導部材とを備えており、
前記ベースは、前記カード型デバイスを収容する収容部を規定しており、
前記ベースは、絶縁体からなる保持部を有しており、
前記保持部は、前記収容部に向けられた表面を有しており、
前記カバーは、前記カード型デバイスが前記収容部内において前記コネクタと接続されたときに、上下方向において前記カード型デバイスを覆うように配置されており、
前記端子は、前記上下方向と直交するピッチ方向に配列されており、
前記端子の夫々は、被保持部と、接点と、被固定部とを有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されており、
前記接点は、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する前後方向において前記被保持部と異なる位置に位置しており、
前記接点は、前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記カード型デバイスと接触するものであり、
前記被固定部は、前記コネクタが前記回路基板上に搭載されたときに、前記回路基板上に固定されるものであり、
前記熱伝導部材は、前記保持部の前記表面上に設けられており、
前記熱伝導部材は、前記ピッチ方向において二つ以上の前記端子に亘るように配置されており、
前記熱伝導部材は、前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記カード型デバイスと前記保持部とに挟まれる
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記端子の夫々において、前記被保持部は露出部を有しており、
前記露出部は、前記保持部の前記表面に露出しており、
前記露出部は、少なくとも前記カード型デバイスが前記コネクタと接続されたときに、前記熱伝導部材と接触している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記熱伝導部材は弾性を有している
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記熱伝導部材がサーマルラバーからなる
コネクタを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、第5のコネクタとして、第1から第4のコネクタのいずれかであって、
前記コネクタはヒンジ機構を有しており、
前記カバーは、前記ヒンジ機構により前記ベースに取り付けられている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタは、熱伝導部材を備えている。熱伝導部材は、コネクタがカード型デバイスと接続されたときに、ベースの保持部とカード型デバイスとの間に挟まれる。その結果、カード型デバイスで生じた熱は、熱伝導部材を介してベースへ伝わり、さらに回路基板へ伝わる。こうして、コネクタは、カード型デバイスで生じた熱を、効率よく回路基板へ伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるコネクタを示す第1斜視図である。コネクタのカバーは、開位置に位置している。
【
図3】
図1のコネクタを示す第2斜視図である。カバーは、カード型デバイスを保持している。
【
図4】
図1のコネクタを示す第3斜視図である。カバーは、閉位置に位置している。カバーはカード型デバイスを保持しており、カード型デバイスはコネクタのベースの収容部に収容されている。
【
図5】
図1のコネクタを示す第4斜視図である。カバーは、ロック位置に位置している。カバーはカード型デバイスを保持しており、カード型デバイスはベースの収容部に収容されている。
【
図6】
図1のコネクタの端子であって、第2列に属する端子を示す斜視図である。
【
図8】
図7のコネクタを示すA-A線断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態によるコネクタを示す分解斜視図である。コネクタのカバーは、開位置に位置している。
【
図10】
図9のコネクタを示す平面図である。カバーは、ロック位置に位置している。カバーはカード型デバイスを保持しており、カード型デバイスはコネクタのベースの収容部に収容されている。
【
図13】特許文献1に記載されたコネクタを示す斜視図である。コネクタのカバーは、開位置に位置している。
【
図14】
図13のコネクタに含まれるフレーム及び端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
【0019】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるコネクタ10は、ベース20と、カバー30と、複数の端子40と、熱伝導部材50及び52とを備えている。
【0020】
図3、
図4及び
図5から理解されるように、コネクタ10は、カード型デバイス(以下、単にカードという)60と接続されるコネクタである。コネクタ10は、回路基板(図示せず)上に搭載されて使用される。本実施の形態において、コネクタ10は、ヒンジ機構を備えるヒンジタイプのコネクタである。但し、本発明はこれに限られない。本願発明は、ヒンジタイプ以外のタイプのコネクタにも適用可能である。
【0021】
図2、
図3及び
図4から理解されるように、ベース20は、カード60を収容する収容部200を規定している。詳しくは、
図2に示されるように、ベース20は、壁部22と底板部24とを有しており、壁部22と底板部24とは収容部200を規定している。収容部200は、上下方向において上方へ開いている。収容部200は、上下方向に沿って見たとき、上下方向と直交する前後方向に若干長い略矩形である。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。また、本実施の形態において、前後方向はY方向である。+Y方向が前方であり、-Y方向が後方である。
【0022】
図1及び
図2から理解されるように、ベース20は、さらにフレーム26を有している。フレーム26は、一対のロック部262及び複数の被固定部264を備えている。ロック部262は、後述するロック位置にカバー30を維持するためのものである。被固定部264は、コネクタ10が回路基板(図示せず)に搭載されたとき、回路基板に固定されるものである。壁部22と底板部24とは、フレーム26と一体に形成されている。本実施の形態において、フレーム26は金属製であり、壁部22と底板部24とは絶縁体製である。より詳しくは、壁部22と底板部24とは、絶縁樹脂を用いてフレーム26と一体に成型されている。但し、本発明は、これに限られない。端子40が互いに電気的に分離されていれば、壁部22は部分的に金属で構成されてもよい。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、ベース20の壁部22は、前壁部222と、一対の前部側壁224と、
一対の後部側壁226とを有している。前壁部222は、上下方向及び前後方向の双方と直交するピッチ方向に延びている。また、前壁部222は、ベース20の前縁を形成している。前部側壁224は、前壁部222のピッチ方向両端から後方へ延びている。後部側壁226は、前部側壁224の後方に夫々位置し、前後方向に延びている。後部側壁226には、軸受部228が夫々形成されている。軸受部228は、ヒンジ機構を部分的に構成する。
【0024】
図2に示されるように、ベース20の底板部24は、後部底板部242と中央底板部244とを有している。後部底板部242及び中央底板部244は、ピッチ方向において、後部側壁226の間に設けられている。後部底板部242は、前後方向において、ベース20の後部に位置し、ベース20の後縁を形成している。中央底板部244は、前後方向において、ベース20の略中央に位置している。
【0025】
図2に示されるように、端子40は、ベース20に保持されている。本実施の形態において、端子40は三列に並べられ、第1列42、第2列44及び第3列46を形成している。第1列42、第2列44及び第3列46は、前後方向に配置されている。また、第1列42、第2列44及び第3列46の夫々において、端子40は、ピッチ方向に配列されている。但し、本発明はこれに限られない。端子40は一列に配置されていてもよい。
【0026】
図6に示されるように、第2列44の端子40の夫々は、被保持部402と、接点404と、支持部406と、被固定部408とを有している。被保持部402は、ベース20に保持される部分である。接点404は、コネクタ10がカード60と接続されたときに、カード60の接触部(図示せず)と接触する部分である。被固定部408は、コネクタ10が回路基板(図示せず)に搭載されたときに、回路基板の固定部(図示せず)に固定される部分である。
【0027】
図1及び
図6から理解されるように、第2列44の端子40の支持部406は、被保持部402の一端から、前後方向において前方へ延びている。支持部406は、少なくとも上下方向に移動可能に接点404を支持している。これにより、接点404は、前後方向において、被保持部402と異なる位置に位置する。第2列44の端子40の被固定部408は、被保持部402の他端から、前後方向において後方へ延びている。但し、本発明は、これに限られない。被固定部408は、前後方向及びピッチ方向において被保持部402と重なる位置に設けられてもよい。
【0028】
図1及び
図2から理解されるように、第1列42の端子40及び第3列46の端子40の夫々は、第2列44の端子40と同様に構成されている。即ち、第1列42の端子40及び第3列46の端子40の夫々も、被保持部402と、接点404と、支持部406と、被固定部408とを有している。但し、第1列42の端子40及び第3列46の端子40の夫々は、第2列44の端子40と、次の点で異なる。前後方向において、第1列42の端子40のサイズは、第2列44の端子40のサイズよりも大きい。また、第3列46の端子40の支持部406は、前後方向において後方へ延び、被固定部408は、前後方向において前方へ延びている。
【0029】
図2及び
図6から理解されるように、第1列42の端子40の被保持部402は、後部底板部242に保持されている。第2列44の端子40の被保持部402は、中央底板部244に保持されている。第3列46の端子40の被保持部402は、前壁部222に保持されている。本実施の形態において、端子40は、底板部24及び前壁部222と一体に形成されている。なお、本実施の形態において、後部底板部242及び中央底板部244は、特に保持部242及び244と呼ばれる。つまり、第1列42の端子40の被保持部402は、保持部242に保持されており、第2列44の端子40の被保持部402は、保持部244に保持されている。このように、本実施の形態によるコネクタ10において、ベース20は、絶縁体からなる保持部242及び244を有しており、第1列42及び第2列44の端子40の夫々の被保持部402は、保持部242又は244によって保持されている。
【0030】
図2に示されるように、保持部242及び244の夫々は、収容部200に向けられた表面又は上面を有している。
図1及び
図2から理解されるように、保持部242の表面には、少なくともその一部を覆うように熱伝導部材50が設けられている。また、保持部244の表面には、少なくともその一部を覆うように熱伝導部材52が設けられている。
【0031】
図7及び
図8から理解されるように、熱伝導部材52は、ピッチ方向において、二つ以上の端子40に亘るように配置されている。熱伝導部材52がピッチ方向において一つの端子40のみに亘るものである場合、熱伝導にほとんど役立たないからである。本実施の形態において、熱伝導部材52は、ピッチ方向において、第2列44の端子40の全てに亘るように配置されている。熱伝導経路をできるだけ大きくするため、熱伝導部材52の前後方向及びピッチ方向のサイズは、保持部244の表面全体を覆うサイズであることが好ましい。これにより、熱伝導部材52による熱伝導経路を大きくすることができる。
【0032】
図1及び
図2から理解されるように、熱伝導部材50は、熱伝導部材52と同様に、ピッチ方向において、第1列42の端子40の全てに亘るように配置されている。熱伝導部材50の前後方向及びピッチ方向のサイズは、保持部242の表面全体を覆うサイズであることが好ましい。しかしながら、熱伝導部材50の前後方向のサイズについては、カード60を保持するカバー30の移動を考慮する必要がある。本実施の形態において、熱伝導部材50は、保持部242の表面の前部に設けられている。
【0033】
図2に示されるように、本実施の形態において、熱伝導部材50及び52の夫々は、ピッチ方向に長いシート状である。熱伝導部材50及び52の夫々は、少なくともその厚み方向において弾性を有している。換言すると、熱伝導部材50及び52の夫々は、少なくともその厚み方向において、外力に応じて弾性変形可能である。熱伝導部材50及び52の夫々は、例えば、サーマルラバーからなる。サーマルラバーは、高温及び低温に対する耐性が高く、熱伝導性があり、しかも弾性を有している。代表的なサーマルラバーは、シリコーンゴムである。但し、本発明はこれに限られない。例えば、熱伝導部材50及び52の夫々は、上下方向において弾性変形可能な形状をもつ金属部材であってもよい。
【0034】
図3、
図4及び
図5から理解されるように、カバー30は、ベース20に対して開閉可能に取り付けられている。詳しくは、カバー30は、
図3に示される開位置と
図4に示される閉位置との間で移動可能である。また、カバー30は、
図4に示される閉位置と
図5に示されるロック位置との間で移動可能である。カバー30は、閉位置及びロック位置の夫々に位置するとき、上下方向においてカード60を覆うように配置されている。換言すると、カバー30は、カード60が収容部200内においてコネクタ10と接続されたとき、上下方向においてカード60を覆うように配置されている。
【0035】
図4及び
図5から理解されるように、カバー30は、主板部302と、一対の軸部304と、一対の支持部306と、一対のカード保持部308と、一対の被ロック部310とを有している。本実施の形態において、カバー30は、金属板を打ち抜き加工し、曲げ加工して製造されている。
【0036】
図4及び
図5に示されるように、カバー30が閉位置又はロック位置に位置する状態において、カバー30の主板部302は、上下方向に沿って見たとき、略正方形の形状を有している。
【0037】
図4及び
図5から理解されるように、カバー30の軸部304は、支持部306に夫々支持されている。軸部304は、支持部306の一端に設けられ、ピッチ方向において内側へ突出している。軸部304は、後部側壁226の軸受部228に受容される。軸部304は、軸受部228とともにヒンジ機構を構成する。軸受部228は、ピッチ方向に延びる軸を中心とする軸部304の回転を許容する。また、軸受部228は、前後方向において、軸部304の所定範囲内の移動を許容する。このように、カバー30は、ヒンジ機構によりベース20に取り付けられており、上述したベース20に対する移動が可能である。
【0038】
図4及び
図5に示されるように、支持部306は、主板部302のピッチ方向両側に位置している。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、支持部306は、主板部302の後部に位置している。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、支持部306は、主板部302からピッチ方向外側へ突出し、下方へ延びた後、さらに後方へ延びている。
【0039】
図2、
図4及び
図5から理解されるように、カード保持部308は、主板部302のピッチ方向両側に位置している。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、カード保持部308は、支持部306の前方に位置する。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、カード保持部308は、主板部302から下方へ延びた後、ピッチ方向内側へ延びている。
図3から理解されるように、カバー30は、主板部302とカード保持部308とによってカード60を緩く保持することができる。
【0040】
図2、
図4及び
図5から理解されるように、被ロック部310は、主板部302のピッチ方向両側に位置している。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、被ロック部310は、カード保持部308の前方に位置する。本実施の形態において、被ロック部310とカード保持部308とは、前後方向において、部分的に連続している。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、被ロック部310は、主板部302から下方へ延びた後、ピッチ方向外側へ延びている。被ロック部310には、開口312が形成されている。カバー30が閉位置又はロック位置に位置するとき、開口312は、上下方向に被ロック部310を貫通している。被ロック部310は、カバー30がロック位置に位置するとき、フレーム26のロック部262と係わり合う。
【0041】
ここで、
図3に示されるように、開位置に位置するカバー30がカード60を保持している状態を想定する。
図3に示される開位置から
図4に示される閉位置へカバー30を移行させると、カード60は収容部200に収容される。このとき、カード60は、端子40から上向きの反力を受け、カバー30の主板部302に押し付けられる。
【0042】
図4に示される閉位置にあるカバー30を前方へ移動させ、カバー30に働く外力を取り除くと、カバー30は
図5に示されるロック位置に位置する。このとき、フレーム26のロック部262は、カバー30の被ロック部310の開口312内に部分に位置する。これにより、カバー30は、ロック位置に維持される。カード60は、収容部200内に位置し、前後方向において実質的に移動しない。また、カード60は、端子40から上向きの反力によりカバー30の主板部302に押し付けられている。
【0043】
図7及び
図8から理解されるように、カバー30がロック位置に位置するとき、熱伝導部材52は、カード60と保持部244とに挟まれている。換言すると、熱伝導部材52は、カード60がコネクタ10と接続されたときに、カード60と保持部244とに挟まれている。これを実現するため、熱伝導部材52の厚みサイズは、カード60と保持部244との上下方向における距離サイズと同じか僅かに大きい。同様に、熱伝導部材50は、カード60がコネクタ10と接続されたときに、カード60と保持部
242とに挟まれている。熱伝導部材50の厚みサイズは、カード60と保持部
242との上下方向における距離サイズと同じか僅かに大きい。
【0044】
図8から理解されるように、カード60において発生した熱は、熱伝導部材52から保持部244へ伝わる。保持部244へ伝わった熱の一部は、第2列44の端子40の被保持部402へ伝わる。さらに第3図を参照すると、第2列44の端子40の被保持部402に伝わった熱は、第2列44の端子40の被固定部408を介して回路基板(図示せず)へ伝わる。保持部244へ伝わった熱の残部は、フレーム26を介して回路基板へ伝わる。本実施の形態において、熱伝導部材52は、ピッチ方向において第2列44の全ての端子40に亘っている。それゆえ、カバー30から保持部244へ伝わった熱を、第2列44の全ての端子40に分散することができる。これにより、効率的にカード60の熱を回路基板へ伝えることができる。
【0045】
熱伝導部材50についても熱伝導部材52と同様である。すなわち、カード60において発生した熱は、熱伝導部材50から保持部242へ伝わる。保持部242へ伝わった熱の一部は、第1列42の端子40の被保持部402へ伝わる。第1列42の端子40の被保持部402に伝わった熱は、第1列42の端子40の被固定部408を介して回路基板(図示せず)へ伝わる。保持部242へ伝わった熱の残部は、フレーム26を介して回路基板へ伝わる。本実施の形態において、熱伝導部材50は、ピッチ方向において第1列42の全ての端子40に亘っている。それゆえ、カバー30から保持部242へ伝わった熱を、第1列42の全ての端子40に分散することができる。これにより、効率的にカード60の熱を回路基板へ伝えることができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態によるコネクタ10は、端子40の接点404を通る熱伝導経路に加え、接点404を通らない熱伝導経路を備えている。しかも、熱伝導経路として用いられる熱伝導部材50及び52の夫々は、カード60及び保持部242又は244に面接触する。それゆえ、コネクタ10は、カード60で生じた熱を保持部242及び保持部244に伝達しやすい。こうして、コネクタ10は、カード60で発生した熱を、効率よく回路基板へ伝えることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
【0048】
図9を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるコネクタ10Aは、ベース20Aと、カバー30と、複数の端子40と、熱伝導部材50及び52とを備えている。ベース20Aは、第1の実施の形態によるコネクタ10のベース20と、その形状が異なっている。詳しくは、ベース20Aは、コネクタ10の保持部242及び244と異なる保持部242A及び244Aを有している。ベース20Aを除いて、コネクタ10Aはコネクタ10と同一に構成されている。
【0049】
図9に示されるように、ベース20Aの保持部242Aは、第1列42の端子40の被保持部402の上面を露出させている。また、ベース20Aの保持部244Aは、第2列44の端子40の被保持部402の上面を露出させている。換言すると、第1列42及び第2列44の端子40の被保持部402は、夫々露出部を有している。
【0050】
図9に示されるように、第1列42の端子40の被保持部402の上面は、その全体が保持部242Aの表面に露出している。また、第2列44の端子40の被保持部402の上面は、その全体が保持部244Aの表面に露出している。但し、本発明はこれに限られない。露出部は、被保持部402の上面の一部であってもよい。あるいは、露出部は、被保持部402の上面から上方へ突出するように形成された突出部の一部であってもよい。これらの場合、熱伝導部材50及び52の夫々の形状は、端子40の被保持部402と直接接触するように、必要に応じて変更される。
【0051】
図10、
図11及び
図12から理解されるように、カード60がコネクタ
10Aと接続されたとき、熱伝導部材52はカード60と保持部244Aとに挟まれる。このとき、熱伝導部材52は、第2列44の端子40の被保持部402の露出部に直接接触する。同様に、熱伝導部材50は、カード60がコネクタ
10Aと接続されたとき、カード60と保持部242Aとに挟まれるとともに、第1列42の端子40の被保持部402の露出部に直接接触する。このように、コネクタ10Aにおいて熱伝導部材50及び52は、端子40の被保持部402の露出部に直接接触する。端子40は金属製であり、絶縁樹脂製の保持部242A及び244Aよりも高い熱伝導率を有する。これにより、コネクタ10Aは、第1の実施の形態によるコネクタ10よりも高効率でカード60の熱を回路基板(図示せず)へ伝えることができる。
【0052】
以上、本発明について、いくつかの実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。例えば、上記実施の形態において保持部の数は二つであったが、端子40の配列及びベース20の構成に応じて、一つでもよいし三つ以上でもよい。また、上記実施の形態において、保持部244又は244Aに保持された端子40は、支持部406が前方へ延び、被固定部408が後方へ延びるように配置されているが、支持部406が後方へ延び、被固定部408が前方へ延びるように配置されてもよい。また、端子40の配置は、全ての端子40の支持部406が同一方向へ延びるように配置されてもよい。さらに、本発明は、特許文献1に記載されたコネクタのように、端子を経由しない熱伝導経路を有するコネクタに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 コネクタ
20 ベース
200 収容部
22 壁部
222 前壁部
224 前部側壁
226 後部側壁
228 軸受部
24 底板部
242 後部底板部(保持部)
244 中央底板部(保持部)
26 フレーム
262 ロック部
264 被固定部
30 カバー
302 主板部
304 軸部
306 支持部
308 カード保持部
310 被ロック部
312 開口
40 端子
42 第1列
44 第2列
46 第3列
402 被保持部
404 接点
406 支持部
408 被固定部
50,52 熱伝導部材
60 カード型デバイス(カード)