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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】通信機器の防水構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20231120BHJP
   H04B 1/3822 20150101ALI20231120BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H04B1/3822
B60R16/02 610B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020049480
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150509
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新井 康彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】坂田 登喜夫
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065787(JP,A)
【文献】特開2019-145678(JP,A)
【文献】特開2018-182651(JP,A)
【文献】特開2008-251911(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084161(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H04B 1/3822
B60R 16/02
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板を収容し且つ空気穴が形成されたケースを有する通信機器の防水構造であって、
前記空気穴を覆うように前記ケースに対向して取り付けられるプレート部材と、
前記プレート部材と前記ケースとの間に挟まれ前記プレート部材と前記ケースとの間から前記空気穴へ水が浸入するのを防止するシール部材と、
を備え
前記シール部材は、板状に形成されており、板厚方向の一方の面が前記プレート部材に当接し前記板厚方向の他方の面が前記ケースに当接するように前記プレート部材と前記ケースとの間に挟まれて前記板厚方向に圧縮され、
さらに、前記シール部材は、前記空気穴を介しての空気流通を可能とすべく、前記空気穴と、前記ケース、前記プレート部材、及び前記シール部材によって囲まれる空間の外部とを連通させる溝部を有している通信機器の防水構造。
【請求項2】
前記溝部は、前記シール部材を前記板厚方向に貫通して形成され、前記板厚方向の一側がプレート部材で塞がれ、前記板厚方向の他側がケースで塞がれる請求項1に記載の通信機器の防水構造。
【請求項3】
電子基板を収容し且つ空気穴が形成されたケースを有する通信機器の防水構造であって、
前記空気穴を覆うように前記ケースに対向して取り付けられるプレート部材と、
前記プレート部材と前記ケースとの間に挟まれ前記プレート部材と前記ケースとの間から前記空気穴へ水が浸入するのを防止するシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記空気穴に長手方向の一端が連通する溝部を有し、
前記溝部は、長手方向の他端に下方に開放された開放部を有している通信機器の防水構造。
【請求項4】
前記溝部は、一端が前記空気穴に連通すると共に前記空気穴から横方向に延びる横溝部と、前記横溝部の他端から下方に延び且つ下端に前記開放部を含む縦溝部とを有している請求項3に記載の通信機器の防水構造。
【請求項5】
前記シール部材は、前記空気穴の下方に配置される第1部位と、前記空気穴の上方に配置される第2部位と、前記空気穴の横方向の一側に配置され且つ前記第1部位と前記第2部位とを接続する第3部位と、前記第1部位の横方向他側端から下方に延びる第4部位と、前記第2部位の横方向他側端から下方に延びる第5部位とを有し、
前記横溝部は、前記第1部位、前記第2部位及び前記第3部位によって形成され、
前記縦溝部は、前記第4部位及び前記第5部位によって形成されている請求項4に記載の通信機器の防水構造
【請求項6】
前記溝部は、上端側が前記空気穴に連通すると共に前記空気穴から下方に延び且つ下端に前記開放部を有する縦長の溝に形成されている請求項3に記載の通信機器の防水構造。
【請求項7】
前記シール部材は、前記空気穴の横方向の一側に配置される第1部分と、前記空気穴の横方向の他側に配置される第2部分と、前記空気穴の上方側に配置され且つ前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分とを有し、
前記溝部は、前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分によって形成されている請求項に記載の通信機器の防水構造。
【請求項8】
前記通信機器は、前記ケース内の前記空気穴の近傍に内蔵された通信アンテナを有し、
前記プレート部材は、前記通信アンテナに対応する部分に切り欠き部を有し、
前記シール部材は、前記空気穴と前記切り欠き部との間に介在する部位を有している請求項1~7のいずれか1項に記載の通信機器の防水構造。
【請求項9】
前記ケースを前記プレート部材が配置された側とは反対側から覆うと共に前記プレート部材との間で前記ケースを収容するカバーを備えている請求項1~8のいずれか1項に記載の通信機器の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された情報通信システムが知られている。
特許文献1に開示された情報通信システムは、作業機に装備された通信機器(作業機用無線端末)を備えている。通信機器は、作業機に関する情報を情報収集端末に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-16118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信機器には、電子基板を収容したケースの内外の圧力差の発生を解消するためにケースに空気抜き用の穴(空気穴)を形成したものがある。ケースに空気穴を形成すると、通信機器の設置場所によっては、空気穴から水が浸入する虞がある。そこで、通信機器には、空気穴からの水の浸入を防止する防水対策を図る必要がある。
本発明は、通信機器のケースに形成された空気穴から水が浸入するのを防止する防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る通信機器の防水構造は、電子基板を収容し且つ空気穴が形成されたケースを有する通信機器の防水構造であって、前記空気穴を覆うように前記ケースに対向して取り付けられるプレート部材と、前記プレート部材と前記ケースとの間に挟まれ前記プレート部材と前記ケースとの間から前記空気穴へ水が浸入するのを防止するシール部材と、を備え、前記シール部材は、板状に形成されており、板厚方向の一方の面が前記プレート部材に当接し前記板厚方向の他方の面が前記ケースに当接するように前記プレート部材と前記ケースとの間に挟まれて前記板厚方向に圧縮され、さらに、前記シール部材は、前記空気穴を介しての空気流通を可能とすべく、前記空気穴と、前記ケース、前記プレート部材、及び前記シール部材によって囲まれる空間の外部とを連通させる溝部を有している。
【発明の効果】
【0006】
上記の通信機器の防水構造によれば、プレート部材とシール部材とによって空気穴からケース内に水が浸入するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る作業機の斜視図である。
図2】運転部の斜視図である。
図3】右のコンソールの側面図である。
図4】通信ユニットの配置及び取付を示す上方斜視図である。
図5】通信ユニットの配置及び取付を示す側方斜視図である。
図6】通信ユニットの配置及び取付を示す平面図である。
図7】通信ユニットのハーネス配策構造を示す斜視図である。
図8】キャビンの一部の正面図である。
図9A】通信ユニットの後方斜視図である。
図9B】通信ユニットの後方斜視図である。
図10】通信機器の背面図である。
図11】通信機器等の分解斜視図である。
図12】通信機器の下部の下方斜視図である。
図13】通信機器の下部及びシール材の下方斜視図である。
図14】通信機器の正面図である。
図15】第2実施形態に係る作業機の側面図である。
図16】運転部の斜視図である。
図17】通信ユニットの配置及び取付を示す上方斜視図である。
図18】通信ユニットの配置及び取付を示す下方斜視図である。
図19】通信ユニットの取付を示す側面図である。
図20】取付ブラケットの斜視図である。
図21】第3実施形態に係る通信ユニットの配置を示す斜視図である。
図22】通信機器等を前側からみた斜視図である。
図23】通信ユニットをキャビンの内部からみた斜視図である。
図24】通信機器の正面図である。
図25】通信機器の背面図である。
図26】通信ユニットの側方斜視図である。
図27】通信ユニットの下方斜視図である。
図28】通信ユニットの上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1図14は、第1実施形態を示している。
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す斜視図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図1に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、フロント作業装置(作業装置)4とを備えている。機体2にはキャビン5が搭載されている。
【0009】
本実施形態においては、図1に示すように、矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印K1で示す方向を前後方向として説明する。また、矢印B1で示す方向を左方、矢印B2で示す方向を右方、矢印K2で示す方向を機体幅方向として説明する。機体幅方向K2は、前後方向K1に直交する水平方向である。
また、機体2の幅方向の中央部から右方、或いは、左方へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。
【0010】
図1に示すように、走行装置3は、機体2の機体幅方向K2の一側(左側)に設けられた第1クローラ走行体3Aと、機体2の機体幅方向K2の他側(右側)に設けられた第2クローラ走行体3Bとを有するクローラ式の走行装置である。走行装置3によって機体2が走行可能に支持される。また、機体2は、走行装置3上に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに旋回可能に支持されている。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。
【0011】
図1に示すように、フロント作業装置4は、機体2の前部であってキャビン5の前方に配置されている。フロント作業装置4は、スイングブラケット10に上下揺動可能に支持されている。スイングブラケット10は、支持ブラケット11に縦軸回りに回動可能に支持されている。支持ブラケット11は、機体2に固定され且つ機体2から前方に突出している。
【0012】
また、フロント作業装置4は、ブーム12と、アーム13と、作業具(バケット)14とを有する。ブーム12は、基部がスイングブラケット10の上部に回動可能に枢支されている。アーム13は、基部がブーム12の先端部に回動可能に枢支されている。作業具14は、アーム13の先端部に回動可能に枢支されている。
また、フロント作業装置4は、ブーム12を駆動するブームシリンダ19と、アーム13を駆動するアームシリンダ20と、作業具14を駆動する作業具シリンダ21とを有する。ブームシリンダ19、アームシリンダ20、作業具シリンダ21は、油圧シリンダによって構成されている。
【0013】
図1に示すように、キャビン5は、前面に前窓22を有し、左側面の前部に乗降ドア23を有し、左側面の後部に側部窓24を有し、上面にルーフ25を有する。前窓22は、窓開口30を形成する窓枠26に窓開口30を塞ぐように嵌め込まれたガラス(前面ガラス)32を有する。前面ガラス32は、窓開口30の上部に設けられた上部ガラス38と、窓開口30の下部に設けられた下部ガラス39と、上部ガラス38と下部ガラス39の間をシールするシール部40とを含む。乗降ドア23は、ドア枠27の上部及び下部にそれぞれガラス(ドアガラス)28を有している。側部窓24は、乗降ドア23の後方、詳しくは、乗降ドア23の上部後方に設けられている。側部窓24は、窓開口29を形成する窓枠31に窓開口29を塞ぐように嵌め込まれたガラス(側部ガラス)33を有する。なお、キャビン5は、後面に後部窓を有し、右側面に側部窓(右側部窓)を有している。後部窓及び右側部窓も、窓開口を形成する窓枠に窓開口を塞ぐガラスを有している。キャビン5の前面、後面、左側面及び右側面に設けられた各ガラスは、光の透過性を有している。
【0014】
図2は、オペレータ(運転者)が着座する運転席6を備えた運転部41を示している。運転部41は、キャビン5の室内(内部)に配置されている。運転部41は、機体2に取り付けられた床部42を有している。図3に示すように、運転部41は、運転席6が取り付けられるシート台43を有し、シート台43は、床部42に取り付けられている。図2に示すように、運転席6は、オペレータの臀部を支持する座部6Aと、オペレータの背中を支持する背もたれ部6Bとを有する。前方A1は運転席6に着座したオペレータの前側である。
【0015】
図2に示すように、運転部41は、左のコンソール(操作台)44L、右のコンソール(操作台)44R、左の操作装置45L、右の操作装置45Rを有している。コンソール44Lは、運転席6の左方に配置され、コンソール44Rは、運転席6の右方に配置されている。コンソール44Lには、アンロードレバー46及び操作装置45Lが設けられている。アンロードレバー46は、図2に示す状態から上方に揺動可能であり、上方に揺動した状態では、油圧機器に対して作動油の供給ができなくなる。コンソール44Rには、各種のスイッチ類、操作装置45R、ドーザ装置7を操作するドーザレバー47が設けられている。操作装置45L及び操作装置45Rは、2つの操作対象を操作可能である。例えば、操作装置45Lは、機体2の旋回操作及びアーム13の揺動操作が可能である。操作装置45Rは、ブーム12の揺動操作及び作業具14の揺動操作が可能である。
【0016】
図2に示すように、運転部41は、運転席6の前方に配置された2本の走行レバー48L,48Rを有している。2本の走行レバー48L,48Rは、機体幅方向K2に並べて配置されている。左の走行レバー48Lは、第1クローラ走行体3Aを操作可能であり、右の走行レバー48Rは、第2クローラ走行体3Bを操作可能である。走行レバー48L,48Rの左方には、SPペダル49が設けられ、走行レバー48L,48Rの右方には、スイングペダル50が設けられている。SPペダル49は、油圧アクチュエータが装備された作業具を操作する操作部材である。スイングペダル50は、スイングブラケット10を揺動させる油圧シリンダを操作する操作部材である。
【0017】
図3に示すように、コンソール44Rの前部には、前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に延びるメータ51が設けられている。メータ51は、メータカバー51Aと、メータカバー51Aの後面側に設けられた表示部(液晶画面等を含む)51Bとを有している。メータカバー51Aの上部には、空調装置の空調空気を吹き出す吹き出し部52が設けられている。表示部51Bは、運転席6に着座したオペレータを向くように設けられている。表示部51Bには、例えば、作業機1の基本情報や、作業機1の周囲の画像や、作業機1の様々な設定を行うのに必要な情報等を表示できる。
【0018】
図2に示すように、コンソール44Rは、コンソール44Rに装備される各種のスイッチ類、操作装置45R、ドーザレバー47、コンソールカバー54及びメータ51を支持するコンソールフレーム53を有している。コンソールフレーム53は、シート台43に取り付けられている。したがって、コンソールフレーム53(コンソール44R)は、シート台43及び床部42を介して機体2に固定されている。コンソールフレーム53は、後側を構成する後部フレーム55と、前側を構成する前部フレーム56とを有している。
【0019】
図4図5図6に示すように、前部フレーム56は、メインフレーム56Aと、メインフレーム56Aの前部に取り付けられたメータフレーム56Bとを有している。メータフレーム56Bにメータカバー51A及び表示部51Bが取り付けられる。
図3に示すように、メータ51の前方には、空調空気を流通させるエアダクト57が配設されている。エアダクト57は、シート台43の内側に設けられたエアコン本体からメータ51の前面側に延びている。エアダクト57には、空調空気を吹き出す吹き出し部57Aが設けられている。
【0020】
図2に示すように、運転部41には、通信ユニット58が設けられている。通信ユニット58は、運転部41の外縁部近傍に設置されている。本実施形態では、通信ユニット58は、キャビン5の内部であって、機体2(運転部41)の右部且つ前部に設けられている。
図4図5図6に示すように、通信ユニット58は、IPU(Information processing unit;情報収集ユニット)59と、DCU(Direct Communication Unit;直接通信ユニット)60と、IPU59及びDCU60を機体2側に取り付けるための取付ブラケット61とを有するユニットで構成されている。
【0021】
IPU59は、作業機1に関する情報を一時的に蓄積し、所定の処理(例えば圧縮処理等)を行う「情報処理機器」である。図7に示すように、IPU59は、図示省略の車載用通信ネットワークの通信ポート62にワイヤーハーネス64を介して接続されていて、通信ネットワークから作業機1に関する情報を授受する。車載用通信ネットワークは、作業機1に搭載されたCAN(Controller Area Network)やフレックスレイ(FlexRay)等で構成される。また、IPU59は、ワイヤーハーネス64を介してDCU60に接続されていて、DCU60にデータを伝達する。
【0022】
DCU60は、外部の機器(図示せず)との間でデータの通信を行う「通信機器」である。DCU60は、IPU59からデータを授受する。また、DCU60は、IPU59から授受したデータや位置情報等のデータをサーバに送信する。サーバは、例えば、作業機1を製造するメーカ(製造会社)に設置されたサーバ、作業機1を販売及び保守(メンテナンス)を実施するディーラ(販売及び保守会社)に設置されたサーバ等である。
【0023】
IPU59及びDCU60は、ワイヤーハーネス64を介して電源供給ポート63に接続されていて、電源供給ポート63から電源が供給される。通信ポート62及び電源供給ポート63は、運転部41に配置されている。
図1に示すように、DCU60は、機器正面60Aが機体2の外方(機体外方)を向むくように、運転部41の外縁部近傍に配置されている。本実施形態では、図6等に示すように、DCU60は、機器正面60Aが前方側を向くように配置されている。
【0024】
図2図3に示すように、DCU60及びIPU59は、コンソール44Rの前方に配置されている。詳しくは、DCU60及びIPU59は、メータ51及びエアダクト57の前方で且つ下方に配置されている。DCU60及びIPU59をメータ51及びエアダクト57の前方で且つ下方に配置することで、DCU60及びIPU59がオペレータの視界を妨げるのを抑制することができる。また、図6図8に示すように、DCU60は、機器正面60Aがキャビン5に装備されたガラス面側を向くようにキャビン5の内部に配置されている。具体的には、DCU60は、機器正面60Aが前窓22の下部ガラス39を向くようにキャビン5の内部に配置されている。詳しくは、DCU60は、キャビン5の内部の下部ガラス39の近傍に機器正面60Aが前方側を向くように配置され、且つ前窓22の窓開口30の右縁部から機体幅方向内方にはみ出るように配置されている(図8参照)。
【0025】
図8に示すように、DCU60は、機器正面60Aが略長方形状の略直方体形状を呈しており、直方体の長手方向を上下方向に一致させた縦向きに配置されている。DCU60は、図2に示すように、運転部41の床部42から上方に間隔をあけて配置されていると共に、図6に示すように、機体幅方向内方(左方)に向かうにつれて前方に移行する傾斜状に配置されている。図2に示すように、床部42の前部右側には、スイングペダル50が設けられている。DCU60は、スイングペダル50の近くに配置されている。DCU60を床部42から上方に離し、且つ斜めに配置することで、DCU60がスイングペダル50を足操作するオペレータの足操作の邪魔にならないようにしている。
【0026】
図4図5図6に示すように、IPU59は、DCU60の機器正面60Aの反対側である機器背面側(第1実施形態では、DCU60の後方側)に配置されている。
図4図5図6に示すように、取付ブラケット61は、第1ブラケット部材66、第2ブラケット部材67、第3ブラケット部材68を有している。
図9Bに示すように、第1ブラケット部材66に、DCU60とIPU59とが取り付けられる。具体的には、図9Aに示すように、第1ブラケット部材66は、DCU60が取り付けられる第1機器取付部材69と、IPU59が取り付けられる第2機器取付部材78とを有している。
【0027】
第1機器取付部材69は、例えば、金属製の板材で形成されたプレート部材である。以下、第1機器取付部材69をプレート部材という。プレート部材69は、DCU60の機器背面に取り付けられる。詳しくは、図10図11に示すように、DCU60は、ケース72と、ケース72を機器正面60A側から覆うカバー73とを有している。プレート部材69は、複数のカバー取付部74を有している。複数のカバー取付部74は、プレート部材69の上部の左部及び右部と、下部の左部及び右部に設けられている。カバー取付部74にカバー73の四隅の取付片73aがボルト75等(図11参照)によって取り付けられる。
【0028】
また、プレート部材69は、複数のケース取付部76を有している。複数のケース取付部76は、プレート部材69の上部の左部及び右部と、下部の左部及び右部に設けられている。ケース取付部76にケース72の四隅の取付凹部72aがボルト79等によって取り付けられる。プレート部材69の各ケース取付部76の機器正面60A側には、取付凹部72aに入るスペーサ部材77が固定されている。したがって、プレート部材69は、スペーサ部材77を介して取付凹部72aに取り付けられる。
【0029】
図9A図9Bに示すように、第2機器取付部材78は、第1部材70と、第2部材71とを有している。第1部材70及び第2部材71は、溝形鋼によって形成されている。
第1部材70は、開口側がプレート部材69側(前方側)を向くように横向きに(水平方向に延伸して)配置され、プレート部材69の後面下部に固定されている。また、第1部材70は、プレート部材69から右方に突出する突出部分70aを有している。第2部材71は、開口側がプレート部材69側(前方側)を向き且つ縦向きに(上下方向に延伸して)配置され、プレート部材69の後面右部且つ上部に固定されている。また、第2部材71の下端は、第1部材70に固定されている。IPU59は、第1部材70の左部と第2部材71の中途部とにボルト等の固定具によって、取り付けられている。
【0030】
図9Bに示すように、第1部材70の左部及び第2部材71の中途部(IPU59の取付部分)は、IPU59が取り付けられる取付部(第1取付部)80を構成している。カバー取付部74及びケース取付部76は、DCU60が取り付けられる取付部(第2取付部)81を構成している。つまり、取付ブラケット61は、IPU59が取り付けられる第1取付部80と、DCU60が取り付けられる第2取付部81とを有している。
【0031】
図6図9Bに示すように、第2ブラケット部材67は、第1部材70の突出部分70aに取り付けられる第1壁67aと、第1壁67aの下端から後方に延びる第2壁67bと、第2壁67bの左端から上方に延びると共に第1壁67aに固定された第3壁67cとを有している。
図4図6図9Aに示すように、第3ブラケット部材68は、第2ブラケット部材67から後方に突出していて、後部が前部フレーム56の側方(右側方)に配置されている。第3ブラケット部材68は、主部材68Aと、載置部材68Bと、補強部材82とを有している。主部材68Aは、底壁部68aと、第1側壁部68bと、第2側壁部68cと、立上がり壁68dとを有している。底壁部68aは、前部が第2ブラケット部材67の第2壁67bにボルト固定されている。底壁部68aは、第2壁67bから後方に突出している。底壁部68aは、後述する支持ブラケット86のカバー部材86Aにボルト87によって取り付けられている。第1側壁部68bは、底壁部68aの後部左端から上方に延出されている。第1側壁部68bは、前部フレーム56のメインフレーム56Aに設けられた取付部83にボルト84によって固定されている(図6参照)。第2側壁部68cは、底壁部68aの右端から上方に延出されている。立上がり壁68dは、底壁部68aの左端の前後方向K1中途部から上方に延出している。
【0032】
図9Aに示すように、載置部材68Bは、板材によって形成され、底壁部68aの下面に固定され、カバー部材86Aに載置される。
補強部材82は、第1補強板82A、第2補強板82B、第3補強板82Cを有している。第1補強板82Aは、底壁部68aの前部から前後方向K1中途部にかけて前後方向K1に延伸して設けられていると共に底壁部68aの上面に立設されている。第2補強板82Bは、第1補強板82Aの後端に固定され、立上がり壁68dと第2側壁部68cとにわたって設けられている。第3補強板82Cは、第1側壁部68bと第2側壁部68cとを連結している。
【0033】
図2に示すように、底壁部68aの下方には、作業機1に装備された制御装置85(例えば、原動機を制御するエンジンECU(Electric Control Unit))を支持する支持ブラケット86が配置されている。支持ブラケット86は、コンソール44Rの運転席6とは反対側の側方に配置されている。本実施形態では、コンソール44Rの右方に配置されている。
【0034】
図5に示すように、支持ブラケット86は、制御装置85をカバーし且つ取り付けるカバー部材86Aと、カバー部材86Aに固定されたステー部材86Bと、ステー部材86Bを支持する支柱部材86Cと、支柱部材86Cの下端部に固定されたベース部材86Dとを有している。カバー部材86Aに底壁部68aの後部がボルト固定されている(図4参照)。ステー部材86Bは、前部フレーム56のメインフレーム56Aに設けられた取付部88にボルト固定される。ベース部材86Dは、機体2に取り付けられている。つまり、支持ブラケット86は、機体2に取り付けられている。
【0035】
第1側壁部68bは、取付ブラケット61をコンソール44Rに取り付ける取付部(第3取付部)89を構成している。底壁部68aの後部は、取付ブラケット61を支持ブラケット86に取り付ける取付部(第4取付部)90を構成している。つまり、取付ブラケット61は、コンソール44Rに取り付けられる第3取付部89と、支持ブラケット86に取り付けられる第4取付部90とを有している。言い換えると、取付ブラケット61は、機体2側に取り付けられる。
【0036】
本実施形態では、取付ブラケット61をコンソール44R及び支持ブラケット86に取り付けるように構成しているので、通信ユニット58(DCU60と、IPU59と、取付ブラケット61とのユニット)は、コンソール44R及び支持ブラケット86を備えた作業機1に後付けによって取り付けることができる。また、取付ブラケット61にDCU60とIPU59とを一体に組み付けて通信ユニット58を機体2に搭載することができるので、通信ユニット58(DCU60及びIPU59)の組付性を高めることができる。DCU60とIPU59は、IPU59をDCU60の機器背面側に配置した状態で機体2に搭載されるので、コンパクトに配置することができる。
【0037】
次に、DCU60の構造及び防水構造について、詳細に説明する。
図14に示すように、DCU60は、ケース72内に収容された電子基板91を有している。図11に示すように、ケース72は、略直方体形状に形成され、機器正面60A側と機器背面側とに2つ割りに形成されている。図14に示すように、電子基板91は、電子部品が取り付けられる表側に、通信アンテナ(3Gアンテナ)92と、測位アンテナ(GPSアンテナ)93とが取り付けられている。電子基板91は、表側が機器正面60Aを向くようにケース72内に収容されている。通信アンテナ92は、サーバとの通信を行うアンテナであって、電子基板91の上部と下部とに設けられている。通信アンテナ92は、DCU60に内蔵されている。
【0038】
ところで、通信アンテナ92をDCU60の本体とは別にして作業機1に装着すると、DCU60の本体と通信アンテナ92とを接続するハーネスが切断されると、DCU60の盗難があっても外部(例えばサーバ等)への通報を行うことができなくなる。しかしながら、通信アンテナ92がDCU60に内蔵されていると、盗難等の不正行為(DCU60を外す行為等)が行われているときに通信可能な状態を維持し、所定の通報先に通報することができる。
【0039】
測位アンテナ93は、測位衛星から送信された衛星信号を受信する。測位アンテナ93は、電子基板91の下部の右寄りに設けられている。作業機1は、測位アンテナ93が受信した衛星信号に基づき、測位システムによって、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する。詳しくは、作業機1は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して(例えば、移動体の測位に適したRTK-GPSによって)作業機1の位置及び方位を求める。即ち、作業機1は、既知位置に設置された基地局(基準局)と通信し、基地局は、測位衛星からの電波を受信して得た測位データ(補正情報)を作業機1に送信する。作業機1は、測位衛星からの電波を受信して得た測位データと、基地局からの測位データとに基づいて、自己の位置(緯度、経度)を検出する。DCU60は、位置情報を送受信する。
【0040】
図11図14に示すように、ワイヤーハーネス64が接続されるコネクタ94は、DCU60の上部右側に設けられている。
図11に示すように、カバー73は、樹脂によって形成され、ケース72の機器正面60A側を覆う正面壁73b、ケース72の上方を覆う上壁73c、ケース72の下方を覆う下壁73d、ケース72の一側面(左面)を覆う一側壁73e、ケース72の他側面(右面)を覆う他側壁73fを有し、ケース72をプレート部材69が配置された側とは反対側から覆う。プレート部材69は、ケース72の機器背面側の面であるケース背面(一面)72bを覆っている。したがって、カバー73は、プレート部材69と協同してケース72を収容している。
【0041】
図10に示すように、プレート部材69は、通信アンテナ92に対応する部分を切り欠いて形成された切り欠き部95を有する。詳しくは、プレート部材69は、上部に通信アンテナ92Aに対応する切り欠き部95Aを有し、下部に通信アンテナ92Bに対応する切り欠き部95Bを有する。通信アンテナ92は、電子基板91の板厚方向に指向性を有している。カバー73を樹脂によって形成し、プレート部材69の通信アンテナ92に対応する部分を切り欠くことにより、通信アンテナ92の電波指向性を妨げないようにしている。IPU59は、プレート部材69におけるケース背面72bと対向する面とは反対側に、切り欠き部95に対してずれた位置に配置される。つまり、IPU59は、DCU60の機器背面側における通信アンテナ92とずれた位置に配置されている。これにより、IPU59が、通信アンテナ92の電波指向性を妨げないようにしている。
【0042】
図10図11に示すように、ケース72の機器背面側の面であるケース背面72bには、ケース72の内外の圧力差の発生を解消するために空気抜き用の穴(空気穴)96が形成されている。空気穴96は、該空気穴96が形成された面であるケース背面72bの下部の左部寄りに形成されている。ケース72の空気穴96の形成部分には、ケース72の内側から空気穴96を塞ぐ被覆シート97が貼られている。被覆シート97は、空気は通すが水は通さない性質を有する。被覆シート97によって、空気穴96を介してケース72内に水が浸入するのを防止している。
【0043】
図10に示すように、プレート部材69は、空気穴96が形成されたケース背面72bに対向していて空気穴96を覆っている。プレート部材69は、後方(ケース背面72bの法線方向)から空気穴96に洗車水等が直接当たるのを遮蔽することができる。
図12に示すように、ケース背面72bには、空気穴96から下方に延びる溝98が形成されている。溝98は、長手方向の一端(上端)が空気穴96に連通し、長手方向の他端(下端)が下方に開放状とされている。
【0044】
図10図11に示すように、通信ユニット58は、プレート部材69とケース背面72bとの間に介在されるシール部材99を有している。シール部材99は、空気穴96をシールする部材であって、プレート部材69とケース背面72bとの間に挟まれ空気穴96からケース72内に水が浸入するのを防止する。図13に示すように、シール部材99は、シール部材99をプレート部材69に接着するための接着シート99Aと、ケース背面72bに当接するシール本体99Bとを有している。シール本体99Bは、独立気泡を有する発泡ゴム等の弾性材によって形成されている。シール部材99は、プレート部材69及びケース背面72bに接する板状に形成されている。これにより、シール部材99をプレート部材69とケース背面72bとの間の狭い空間に収めることができると共に、シールの信頼性(安定性)を高めることができる。プレート部材69は、プレート部材69とケース背面72bとの間に所定間隔が形成されるように、カバー73の当接面100に当接すると共にスペーサ部材77に当接している。これにより、プレート部材69は、DCU60に取り付けられた状態でシール部材99(シール本体99B)を適度に押し潰す。
【0045】
なお、プレート部材69及びケース背面72bのシール部材99との当接面は平坦面であってもよく、凹凸を有していてもよい。また、シール部材99は、プレート部材69とケース背面72bとの間に挟まれることで防水性を発揮できる形状であればよく、プレート部材69及び/又はケース背面72bとの当接面は平坦であってもよく、プレート部材69及び/又はケース背面72bの形状に応じた凹凸を有する形状であってもよい。
【0046】
図10図13に示すように、シール部材99は、板厚方向に貫通する溝部101を有している。溝部101は、長手方向の一端側が閉塞され、他端側が開放されている。つまり、溝部101は、長手方向の一端側に閉塞部101aを有し、他端側に開放部101bを有している。また、シール部材99が、プレート部材69とケース背面72bとの間で挟まれることにより、溝部101の長手方向に直交する方向の一側がプレート部材69で塞がれ、他側がケース背面72bで塞がれる。
【0047】
溝部101の長手方向の一端側は、空気穴96に連通している。開放部101bは、下方に開放状である。溝部101は、横溝部101cと、縦溝部101dとを有して構成されている。横溝部101cは、一端に閉塞部101aを有し且つ該一端が空気穴96に連通すると共に空気穴96から横方向(水平方向)に延びる。縦溝部101dは、横溝部101cの他端から下方に延びる。縦溝部101dは、下端に開放部101bを有している。この溝部101によって、結露による水滴や何らかの原因よって浸入した水を抜く(水抜きすること)ことができる。また、溝部101によって、空気穴96と外部とを連通させることができ、空気穴96を介しての空気流通が可能である。
【0048】
シール部材99をさらに詳しく説明すると、図10図13に示すように、シール部材99は、第1部位99a、第2部位99b、第3部位99c、第4部位99d及び第5部位99eを有している。第1部位99aは、空気穴96の下方に配置される部位である。第2部位99bは、空気穴96の上方に配置される部位である。第1部位99a及び第2部位99bは、空気穴96から横方向(右方)に延伸して形成されている。第3部位99cは、空気穴96の横方向の一側(左側)に配置され且つ第1部位99aと第2部位99bとを接続している。第4部位99dは、第1部位99aの横方向他側端(右端)から下方に延びて形成されている。第5部位99eは、第2部位99bの横方向他側端(右端)から下方に延びて形成されている。第4部位99dと第5部位99eの下端側同士は接続されていない。
【0049】
第1部位99aと第2部位99bとの間が横溝部101cである。つまり、横溝部101cは、第1部位99a、第2部位99b及び第3部位99cによって形成されている。第4部位99dと第5部位99eとの間が縦溝部101dである。つまり、縦溝部101dは、第4部位99d及び第5部位99eによって形成されている。
第1部位99aは、切り欠き部95Bの一端から他端にわたって形成されていて、空気穴96と切り欠き部95Bとの間に介在している。つまり、シール部材99は、空気穴96と切り欠き部95Bとの間に介在する部位を有している。第1部位99aによって、切り欠き部95から空気穴96への水の浸入を防止できる。つまり、切り欠き部95B(通信アンテナ92)の近くに空気穴96が在っても空気穴96への水の浸入を適切に防ぎ止めることができる。
【0050】
第2部位99bによって、空気穴96への上方からの水の浸入を防止できる。第3部位99cによって、空気穴96への左方からの水の浸入を防止できる。第4部位99dによって、空気穴96への右方からの水の浸入を防止できる。
上記第1実施形態では、機体2に搭載されたキャビン5の内部にDCU60及びIPU59を搭載した作業機1を例示したが、キャビン5の代わりに、キャノピを機体2に搭載した作業機1であってもよく、キャビン5及びキャノピを備えない作業機1であってもよい。
【0051】
次に、図15図19を参照して、第2実施形態について説明する。
図15に示すように、この第2実施形態にあっては、機体に4柱式のキャノピ106を搭載した作業機1に通信ユニット58を設けた例を示している。また、この第2実施形態の作業機にあっても、通信ユニット58は、運転部41の右部且つ前部に設けられている。この第2実施形態にあっては、DCU60及びIPU59は、上記第1実施形態と同様にコンソール44R(メータ51)の前方且つ下方に配置されているが、DCU60は、機器正面60Aが機体幅方向外方(右方)を向くように配置されており、図16に示すように、IPU59は、DCU60の機器背面側である左側に配置されている。
【0052】
図17図18に示すように、第2実施形態にあっても、第1実施形態と同様に、取付ブラケットは、DCU60とIPU59とが取り付けられる第1ブラケット部材66と、コンソール44Rに取り付けられる第2ブラケット部材67を有している。第1ブラケット部材66は、第1機器取付部材(プレート部材)69と、第2機器取付部材78とを有している。プレート部材69にDCU60が取り付けられる。第2機器取付部材78にIPU59が取り付けられる。第2機器取付部材78は、第1部材70と、第2部材71とを有している。第1部材70及び第2部材71は、溝形鋼によって形成されている。
【0053】
図19に示すように、第1部材70は、開口側がプレート部材69側(右方側)を向き且つ前後方向K1に延伸して配置され、プレート部材69の左面の上部に固定されている。また、第1部材70は、後部の突出部分70aがプレート部材69から後方に突出している。第2部材71は、開口側がプレート部材69側(右方側)を向き且つ縦向きに配置されている。第2部材71は、第1部材70の下方に配置され、プレート部材69の後部に固定されている。IPU59は、第1部材70の前部と第2部材71の下部とにボルト等の固定具によって取り付けられている。第1部材70の前部及び第2部材71の下部は、IPU59が取り付けられる第1取付部80を構成している。
【0054】
図17図18図20に示すように、第2ブラケット部材67は、取付部材107、下板部材108、補強板109、連結板110を有している。取付部材107は、前壁107aと、前壁107aの後方に間隔をあけて配置された後壁107bと、前壁107aと後壁107bの左端側を連結する側壁107cとを有している。前壁107a及び後壁107bは、第1部材70の突出部分70aの左面に固定されている。下板部材108は、取付部材107の下面側に固定され、且つ前壁107aと後壁107bとを連結している。また下板部材108も第1部材70の突出部分70aの左面に固定されている。補強板109は、前壁107aと突出部分70aとを連結している。連結板110は、前壁107aと後壁107bの上下方向中途部同士を連結している。
【0055】
図17図18図20に示すように、前部フレーム56には、取付ステー111が設けられている。取付ステー111は、第1ステー板112と、第2ステー板113とを有している。第1ステー板112は、前部フレーム56の底板56aに固定された上壁112aと、上壁112aの左端から下方に延びる延出壁112bとを有している。
第2ステー板113は、上部113aが第1ステー板112の延出壁112bの左面に固定され、下部113bが取付部材107の側壁107cの右面側に配置されている。取付部材107の側壁107cは、第2ステー板113の下部113bにボルト及びナットによって構成される固定具114によって取り付けられている。図20に示すように、第2ステー板113の右面には、補強板115が固定されている。補強板115の上端は、第1ステー板112の下端に固定されている。第2ブラケット部材67の側壁107cは、取付ブラケット61をコンソール44Rに取り付ける第3取付部89を構成している。
【0056】
その他の構成は、上記第1実施形態と同様に構成されるので、説明を省略する。
なお、この第2実施形態の通信ユニット58(DCU60、IPU59)の配置構成を、キャビンが搭載された作業機1に採用してもよい。この場合、DCU60の右側方にガラスが設けられ、該ガラスに対向してDCU60が配置される。
次に、図21図28を参照して、第3実施形態について説明する。
【0057】
この第3実施形態にあっては、図21図22に示すように、通信ユニット58は、キャビン5の内部における運転席6の左後方であって、側部窓24の内側近傍に配置されている。DCU60は、側部窓24の窓枠31の下縁より上方に配置されている。また、DCU60は、機器正面60Aが左方(機体外方)を向くように配置されている。図23に示すように、DCU60は、機器正面60Aが側部ガラス33を向くように配置されている。また、この第3実施形態では、DCU60は、コネクタ94が下向きとなるように、直方体の長さ方向を水平方向(図例では、前後方向K1)に一致させた横向きに配置されている。したがって、第3実施形態では、図24に示すように、通信アンテナ92は、DCU60の前部と後部とに位置する。また、測位アンテナ93は、DCU60の後部の下部に位置する。
【0058】
図25に示すように、空気穴96は、DCU60の後部且つ上部に位置する。シール部材99は、上下方向に長い矩形状を呈している。溝部101は、上下方向に延伸して形成されていて、長手方向の上端が閉塞され且つ下端が開放した縦長の溝に形成されている。言い換えると、溝部101は、上端側が空気穴96に連通すると共に空気穴96から下方に延び且つ下端に開放部101bを有する。溝部101は、シール部材99の構成部位である第1部分102a、第2部分102b及び第3部分102cによって形成されている。第1部分102aは、空気穴96の横方向の一側(後側)に配置される部位である。第2部分102bは、空気穴96の横方向の他側(前側)に配置される部位である。第3部分102cは、空気穴96の上方側に配置され且つ第1部分102aと第2部分102bとを接続する部位である。第1部位102aは、空気穴96と切り欠き部95Bとの間に介在する部位である。
【0059】
図26図27図28に示すように、DCU60、IPU59が取り付けられる取付ブラケット61は、第1ブラケット部材66と、第2ブラケット部材67とを有している。第1ブラケット部材66は、DCU60が取り付けられる第1機器取付部材(プレート部材)69と、IPU59が取り付けられる第2機器取付部材78と、ブラケット取付部材116とを有している。第2機器取付部材78は、溝形鋼によって形成され、プレート部材69の右面に固定された第1部材70及び第2部材71を有する。第1部材70は、開口側がプレート部材69側(左方側)を向き且つ上下方向に延伸して配置され、プレート部材69の前後方向K1の中途部に固定されている。第2部材71は、開口側がプレート部材69側(左方側)を向き且つ前後方向K1に延伸して配置されている。第2部材71は、第1部材70の前方に配置され、プレート部材69の下部に固定されている。
【0060】
図26に示すように、第1部材70の下部と第2部材71の前部とにIPU59がボルト固定されている。第1部材70の下部及び第2部材71の前部は、IPU59が取り付けられる第1取付部80を構成している。
図26図27に示すように、ブラケット取付部材116は、溝形鋼によって形成され、開口側がプレート部材69側(左方側)を向き且つ前後方向K1に延伸して配置されている。ブラケット取付部材116は、第1部材70の後方に配置され、プレート部材69の下部に固定されている。ブラケット取付部材116の後部は、プレート部材69から後方に突出している。ブラケット取付部材116の後部は、タンクステー117に取り付けられている。本実施形態では、ブラケット取付部材116は、タンクステー117に溶接固定されているが、ボルト固定であってもよい。
【0061】
図26図27図28に示すように、タンクステー117は、ウインドウオッシャー液を貯留するウインドウオッシャータンク(タンク)118を支持する部材である。ウインドウオッシャータンク118は、キャビン5の内部に配置されている。また、ウインドウオッシャータンク(タンク)118は、DCU60の後方に配置されている。タンクステー117は、取付ステー119と、支持ステー120と、補強板121とを有している。取付ステー119は、主壁119aと、主壁119aの上端から前方に延びる折曲壁119bとを有している。主壁119aは、キャビン5の後部側の壁部(第1壁部)122にボルトによって取り付けられる(図23参照)。取付ステー119の左部前側にブラケット取付部材116の後部が固定されている。支持ステー120は、取付ステー119の右部前側に固定されている。補強板121は、主壁119aの前面に固定されていると共に、ブラケット取付部材116と取付ステー119とに固定されている。ウインドウオッシャータンク118は、タンク背面に固定された取付具123を有している。取付具123は、支持ステー120にボルト固定される。
【0062】
図23に示すように、第2ブラケット部材67は、第1ブラケット部材66のタンクステー配置側とは反対側に配置されている。具体的には、IPU59の前方に配置されている。第2ブラケット部材67は、一側が第1ブラケット部材66に取り付けられ、他側がキャビン5の壁部(第2壁部)124に取り付けられる。第2壁部124は、キャビン5の乗降ドア23の下部後方側の壁部である。詳しくは、第2壁部124は、例えば、乗降ドア23をロックするドアロック機構をカバーするドアロックカバーである。
【0063】
第2ブラケット部材67について、詳しく説明すると、図23図26図27図28に示すように、第2ブラケット部材67は、第1構成部材126と、第2構成部材127とを有している。第1構成部材126は、棒材によって形成され、上部126aが第2部材71の前部にボルト固定されている。第1構成部材126は、上部126aが第2部材71の前部から下方に延伸するように形成され、中間部126bが上部126aから下方に向かうにしたがって前方に移行する傾斜方向に延伸するように形成され、下部126cが中間部126bから下方に延伸するように形成されている。第2構成部材127は、第1構成部材126の下部126cに固定されている。第2構成部材127が、第2壁部124にボルトによって取り付けられる。
【0064】
第3実施形態の取付ブラケット61にあっては、一側がタンクステー117に取り付けられ、他側が第2壁部124に取り付けられるので、通信ユニット58(DCU60と、IPU59と、取付ブラケット61とのユニット)を、作業機1に後付けによって取り付けることができる。また、取付ブラケット61は、一側がタンクステー117(第1壁部122)に支持され、他側が第2壁部124に支持されるので、DCU60及びIPU59を両持ち支持で十分に支持することができる。また、取付ブラケット61をタンクステー117に取り付けてもウインドウオッシャータンク118を十分に支持することができる。
【0065】
その他の構成は、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様に構成されるので、説明を省略する。
通信ユニット58(DCU60、IPU59)の搭載場所(配置場所)は、上記した実施形態に限定されることはない。例えば、DCU60は、運転席6の背もたれ部6Bの後方側に、機器正面60Aが後方を向くように配置されていてもよい。この場合、作業機1がキャビン仕様の場合は、DCU60は、機器正面60Aが後部窓の窓開口を塞ぐガラス(リヤガラス)に対向するようにキャビン5の内部に配置される。
【0066】
また、DCU60は、運転席6の後方側で機器正面60Aが斜め後方を向くように配置されていてもよい。
また、作業機1がキャノピ仕様の場合、取付ブラケット61は、キャノピの左の後支柱と右の後支柱とを連結する連結杆や、運転席の側方に配置される手すり部材等に取り付けられていてもよい。
【0067】
また、取付ブラケット61は、機体2の後部に搭載される原動機(エンジン)を跨ぐように配置されて機体に取り付けられる支持フレームに取り付けられていてもよい。
また、本実施形態では、取付ブラケット61は、機体2に搭載された部材(コンソール44R、支持ブラケット86、キャビン5)に取り付けられているが、機体2に直接的に取り付けられてもよい。
【0068】
上記通信ユニット58は、情報処理機器(IPU59)と、情報処理機器59からデータを授受すると共に通信アンテナ92を内蔵していてデータを送信する通信機器(DCU60)と、通信機器60及び情報処理機器59を取付対象物(機体2)に取り付ける取付ブラケット61と、を備え、情報処理機器59は、取付けブラケット61に取り付けられた通信機器60の機器背面側、且つ通信アンテナ92とずれた位置で取付ブラケット61に取り付けられている。
【0069】
この構成によれば、この構成によれば、通信アンテナ92を内蔵した通信機器60と情報処理機器59とを取付ブラケット61に一体に取り付けて取付対象物(機体2)に搭載することができるので、通信機器60と情報処理機器59の組付性がよい。また、情報処理機器59は、通信機器60の機器背面側に配置した状態で取付ブラケット61に取り付けられるので、通信機器60及び情報処理機器59をコンパクトに配置することができる。また、情報処理機器59は、通信機器60の機器背面側に通信アンテナ92とずれた位置で取付ブラケット61に取り付けられるので、情報処理機器59が通信機器60に内蔵された通信アンテナ92の指向性を妨げるのを抑制することができる。
【0070】
また、取付ブラケット61は、通信機器60の機器背面に取り付けられるプレート部材69を有し、プレート部材69は、通信アンテナ92に対応する部分を切り欠いて形成された切り欠き部95を有し、情報処理機器59は、プレート部材69の機器背面と対向する面とは反対側、且つ切り欠き部95に対してずれた位置に配置されている。
この構成によれば、通信アンテナ92内蔵型の通信機器60の通信性を確保することができる。
【0071】
また、通信機器60は、表側に通信アンテナ92が取り付けられた電子基板91と、電子基板91を表側が機器正面を向くように収容するケース72と、電子基板91の表側に取り付けられ測位衛星から送信された衛星信号を受信する測位アンテナ93とを有している。
この構成によれば、通信機器60の通信性を確保することができる。
【0072】
また、作業機1は、上記の通信ユニット58が機体2に取り付けられた作業機1であって、通信機器60は、機器正面を機体外方に向けて配置されている。
この構成によれば、通信アンテナ92内蔵型の通信機器60の通信性を確保することができる。
また、機体2に搭載され且つガラス面(前面ガラス32、側部ガラス33等のガラス面)を有するキャビン5を備え、通信機器60は、機器正面60Aがガラス側を向くようにキャビン5の内部に配置されている。
【0073】
この構成によれば、通信アンテナ92内蔵型の通信機器60の通信性を確保することができる。
また、運転席6と、運転席6の側方に配置されたコンソール44Rとを備え、通信機器60は、コンソール44Rの前方に配置され、取付ブラケット61は、コンソール44Rに取り付けられる。
【0074】
この構成によれば、通信機器60及び情報処理機器59がオペレータの視界の邪魔になるのを抑制することができる。
また、コンソール44Rは、前部にメータ51を有し、通信機器60は、メータ51の前方且つ下方に配置される。
この構成によれば、通信機器60及び情報処理機器59がオペレータの視界の邪魔になるのを抑制することができる。
【0075】
また、コンソール44Rの運転席6とは反対側の側方に配置され作業機1に装備された制御装置85を支持する支持ブラケット86を備え、取付ブラケット61は、支持ブラケット86に取り付けられる。
この構成によれば、取付ブラケット61をコンソール44R及び支持ブラケット86によって安定して取り付けることができる。
【0076】
また、キャビン5の内部に配置されたタンク118と、タンク118を支持するタンクステー117と、を備え、取付ブラケット61は、情報処理機器59及び通信機器60が取り付けられ且つタンクステー117に取り付けられる第1ブラケット部材66と、第1ブラケット部材66のタンクステー配置側とは反対側に配置され、一側が第1ブラケット部材66に取り付けられ、他側がキャビン5の壁部124に取り付けられる第2ブラケット部材67とを有している。
【0077】
この構成によれば、通信機器60、情報処理機器59及びタンク118は、タンクステー117と第2ブラケット部材67とによって両持ち支持となり、通信機器60及び情報処理機器59と、タンク118とを十分に支持することができる。
また、通信機器60は、表側に通信アンテナ92が取り付けられた電子基板91と、電子基板91を表側が機器正面60Aを向くように収容するケース72と、電子基板91の表側に取り付けられ測位衛星から送信された衛星信号を受信する測位アンテナ93とを有している。
【0078】
この構成によれば、通信機器60の通信性を確保することができる。
上記通信機器60の防水構造は、電子基板91を収容し且つ空気穴96が形成されたケース72を有する通信機器(DCU60)の防水構造であって、空気穴96を覆うようにケース72に対向して取り付けられるプレート部材69と、プレート部材69とケース72との間に挟まれプレート部材69とケース72との間から空気穴96へ水が浸入するのを防止するシール部材99と、を備えている。
【0079】
この構成によれば、プレート部材69とシール部材99とによって空気穴96からケース72内に水が浸入するのを防止できる。
また、シール部材99は、板状に形成されている。
この構成によれば、シール部材99をプレート部材69及びケース72との間にコンパクトに介在させることができ、且つ、シールの安定性を高めることができる。
【0080】
また、シール部材99は、空気穴96に長手方向の一端が連通する溝部101を有し、溝部101は、長手方向の他端に下方に開放された開放部101bを有している。
この構成によれば、空気穴96からの水抜きをすることができる。
また、溝部101は、一端が空気穴96に連通すると共に空気穴96から横方向に延びる横溝部101cと、横溝部101cの他端から下方に延び且つ下端に開放部101bを含む縦溝部101dとを有している。
【0081】
この構成によれば、溝部101から空気穴96へ水が浸入するのを抑制することができる。
また、シール部材99は、空気穴96の下方に配置される第1部位99aと、空気穴96の上方に配置される第2部位99bと、空気穴96の横方向の一側に配置され且つ第1部位99aと第2部位99bとを接続する第3部位99cと、第1部位99aの横方向他側端から下方に延びる第4部位99dと、第2部位99bの横方向他側端から下方に延びる第5部位99eとを有し、横溝部101cは、第1部位99a、第2部位99b及び第3部位99cによって形成され、縦溝部101dは、第4部位99d及び第5部位99eによって形成されている。
【0082】
この構成によれば、シール部材99を簡単な構成で形成することができる。
また、溝部101は、上端側が空気穴96に連通すると共に空気穴96から下方に延び且つ下端に開放部101bを有する縦長の溝に形成されている。
この構成によれば、溝部101から空気穴96へ水が浸入するのを抑制することができる。
【0083】
また、シール部材99は、空気穴96の横方向の一側に配置される第1部分102aと、空気穴96の横方向の他側に配置される第2部分102bと、空気穴96の上方側に配置され且つ第1部分102aと第2部分102bとを接続する第3部分102cとを有し、溝部101は、第1部分102a、第2部分102b及び第3部分102cによって形成されている。
【0084】
この構成によれば、シール部材99を簡単な構成で形成することができる。
また、通信機器60は、ケース72内の空気穴96の近傍に内蔵された通信アンテナ92Bを有し、プレート部材69は、通信アンテナ92Bに対応する部分に切り欠き部95Bを有し、シール部材99は、空気穴96と切り欠き部95Bとの間に介在する部位(第1部位99a、第1部分102a)を有している。
【0085】
この構成によれば、空気穴96と切り欠き部95Bとの間に介在する部位によって、切り欠き部95Bの近くに空気穴96が在っても空気穴96への水の浸入を適切に防ぎ止めることができる。
また、ケース72をプレート部材69が配置された側とは反対側から覆うと共にプレート部材69との間でケース72を収容するカバー73を備えている。
【0086】
この構成によれば、プレート部材69とカバー73とによって、ケース72内への水の浸入を適切に防ぎ止めることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
60 通信機器(DCU)
69 プレート部材
72 ケース
73 カバー
91 電子基板
92B 通信アンテナ
95B 切り欠き部
96 空気穴
99 シール部材
99a 第1部位(部位)
99b 第2部位
99c 第3部位
99d 第4部位
99e 第5部位
101 溝部
101b 開放部
101c 横溝部
101d 縦溝部
102a 第1部分
102b 第2部分
102c 第3部分
図1
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