(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】液浸媒体を供給する装置および方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/33 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
G02B21/33
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020060800
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】10 2019 108 611.6
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ヒッツラー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シューマン
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-090458(JP,A)
【文献】特表2010-503030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレパラート(106)を顕微鏡視的に結像可能な対物レンズ(102)と共に使用される液浸媒体(122)用の供給装置(100)であって、
前記供給装置(100)は、前記対物レンズ(102)に取り外し可能または固定に装着されかつ前記液浸媒体(122)用の収容空間(128)を画定するキャップ(104)を有し、
前記キャップ(104)は、前記プレパラート(106)側を向いた、前記対物レンズ(102)の光学素子(114)に配向されている流出開口部(112)を有し、前記流出開口部(112)を通して、前記対物レンズ(102)の前記光学素子(114)と前記プレパラート(106)との間に存在する目標空間(134)に、前記収容空間(128)に保持された前記液浸媒体(122)を供給可能であり、
前記供給装置(100)は、さらに、
前記キャップ(104)に組み込まれかつ供給された前記液浸媒体(122)の量を検出する電極構造体(302)を備えたセンサ(300)を有し、
前記電極構造体(302)は、前記流出開口部(112)を少なくとも部分的に取り囲みかつ半径方向に前記流出開口部(112)から遠ざかるように延在する空間的な検出領域を有する、
供給装置(100)。
【請求項2】
前記センサ(300)は、容量式センサまたは抵抗型センサである、
請求項1記載の供給装置(100)。
【請求項3】
前記キャップ(104)は、前記プレパラート(106)側を向きかつ前記流出開口部(112)が構成されている端面壁(108)を有し、前記端面壁(108)は、前記目標空間(134)から前記収容空間(128)を分離し、前記端面壁(108)には、前記電極構造体(302)が組み込まれている、
請求項1または2記載の供給装置(100)。
【請求項4】
前記端面壁(108)は、一方では前記収容空間(128)に対し、他方では前記目標空間(134)に対し、前
記センサ(300)の前記電極構造体(302)を電気的に分離し、これにより、前記電極構造体(302)の前記空間的な検出領域によって、少なくとも前記目標空間(134)全体が覆われるようにする、
請求項3記載の供給装置(100)。
【請求項5】
前記電極構造体(302)の前記空間的な検出領域により、前記収容空間(128)も覆われる、
請求項4記載の供給装置(100)。
【請求項6】
前記端面壁(108)は、前記収容空間(128)に対して前
記センサ(300)の前記電極構造体(302)を電気的に分離する第1材料層(312)と、前記目標空間(134)に対して前
記センサ(300)の前記電極構造体(302)を電気的に分離する第2材料層(310)と、を有する、
請求項3から5までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項7】
前記センサ(300)の前記電極構造体(302)は、前記流出開口部(112)に存在する液浸媒体(122)の量に対して不感である、
請求項1から6までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項8】
前記センサ(300)の前記電極構造体(302)は、前記流出開口部(112)に存在する液浸媒体(122)の量を感知する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項9】
前記電極構造体(302)は、インターデジタル構造体として実施されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項10】
前記流出開口部(112)は、円形であり、前記電極構造体(302)は、前記流出開口部(112)に関して回転対称に実施されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項11】
前記電極構造体は、前記流出開口部(112)の周囲に分散されておりかつ互いに独立して駆動制御可能な複数の電極対(510、512)を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項12】
前記供給装置(100)は、前記センサ(300)用に設けられておりかつ前記キャップ(104)に組み込まれている測定ユニット(314)を有する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項13】
前記供給装置(100)は、前記キャップ(104)に組み込まれている導体路構造体(820)を有し、前記導体路構造体(820)は、前記収容空間(128)および前記目標空間(134)に対して電気的に分離されておりかつ前記液浸媒体(122)を抵抗によって加熱するように構成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項14】
前記供給装置(100)は、前記液浸媒体(122)の温度を検出する温度センサ(820)を有する、
請求項13記載の供給装置(100)。
【請求項15】
前記温度センサは、前記導体路構造体(820)によって形成されており、前記導体路構造体(820)は、あらかじめ定められた温度依存の電気抵抗を有し、かつ前記収容空間(128)に保持されている前記液浸媒体(122)の、抵抗による加熱と、前記液浸媒体(122)の温度の、抵抗による検出と、を時間的に交互に行うように構成されている、
請求項14記載の供給装置(100)。
【請求項16】
前記導体路構造体(820)は、メアンダ状に実施されている、
請求項13から15までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項17】
前記流出開口部(112)を画定する、前記端面壁(108)の縁部(130)と、前記対物レンズ(102)の前記光学素子(114)と、が、間隙(132)を形成し、前記間隙(132)を通して前記液浸媒体(122)が前記目標空間(134)に流出する、
請求項3から6までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項18】
前記端面壁(108)は、前記流出開口部(112)に向かって実質的に円錐形に延びている、
請求項3から6および17のいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項19】
前記キャップ(104)は、前記端面壁(108)に続く実質的に円筒状壁(110)を有し、前記円筒状壁(110)は、前記端面壁(108)と共に前記液浸媒体(122)用の前記収容空間(128)を画定する、
請求項3から6、17および18のいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項20】
前記供給装置(100)は、少なくとも1つのホース(128)を介して前記キャップ(104)の前記収容空間(128)に接続されておりかつ前記収容空間(128)に前記液浸媒体(122)を汲み上げるように構成されているポンプシステム(124)を有する、
請求項1から19までのいずれか1項記載の供給装置(100)。
【請求項21】
前記供給装置(100)は、前記センサ(300)によって供給される検出信号に依存して、前記収容空間(128)に前記液浸媒体(122)を汲み上げるように構成されている、開ループ制御/閉ループ制御ユニット(1202)を有する、
請求項20記載の供給装置(100)。
【請求項22】
請求項21記載の供給装置(100)を使用して液浸媒体(122)を供給する方法であって、
前記ポンプシステム(124)を用いて前記収容空間(128)に前記液浸媒体(122)を汲み上げ、同時に前記センサ(300)を用いて、供給された前記液浸媒体(122)の量に対応する検出信号を形成し、前記検出信号に基づいて、前記液浸媒体(122)の目標量(C
target)を調整するために前記ポンプシステム(124)を制御する、
方法。
【請求項23】
一定の汲み上げ速度で前記収容空間(128)に前記液浸媒体(122)を汲み上げる、
請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記目標量(C
target)を確定するために、まず前記液浸媒体(122)が前記キャップ(104)の前記流出開口部(112)に到達する量を基準量(C
ref)として検出し、次に前記基準量(C
ref)に基づいて前記目標量(C
target)を特定する、
請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
閉制御ループ方式で前記目標量(C
target)を一定に維持する、
請求項22から24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記目標量を中心として、あらかじめ設定した許容範囲内において、かつ/または、あらかじめ設定した動作状態が存在する場合に、供給される液浸媒体(122)の前記量の閉ループ制御を停止する、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
請求項1から21までのいずれか1項記載の供給装置(100)を備えた対物レンズ(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレパラートを顕微鏡視的に結像可能な対物レンズと共に使用される液浸媒体用の供給装置に関する。さらに本発明は、供給装置を使用して液浸媒体を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光顕微鏡では、開口数を増大させるために、対物レンズと、検査対象のプレパラートとの間に、空気よりも著しく屈折率が大きい液浸媒体を導入することが多い。このような液浸媒体は、望ましくない光屈折を回避するかまたは少なくとも減少させるという機能を有し、この光屈折は、検査対象のプレパラートの部分であるカバーガラスから空気への移行部において発生し、かつ対物レンズの光軸から遠ざかる方向を向いている。
【0003】
以下で目標空間と称される、プレパラートと対物レンズのフロントレンズとの間の領域に液浸媒体を導入するために、従来技術からは、いわゆる液浸キャップと共に機能する供給装置が公知である。このような液浸キャップは、取り外し可能または固定に対物レンズに装着されておりかつ例えばポンプによって液浸媒体が圧送される収容空間を定めている。液浸キャップは、対物レンズのフロントレンズに配向された流出開口部を有しており、この流出開口部を通って、収容空間内にある液浸媒体が、対物レンズのフロントレンズとプレパラートとの間の目標空間に供給される。
【0004】
上記のタイプの供給装置の例が、刊行物独国特許出願公開第102006042499号明細書に記載されている。この供給装置は、対物レンズにおける液浸媒体量を測定させるセンサを備えた液浸キャップを有する。このセンサは、フォトセル、伝導率センサまたは容量式センサとして実施されている。このセンサの欠点は、これが、点センサとして実施されていることにより、目標空間における液浸媒体の量を正確に測定できないことである。
【0005】
刊行物独国特許第102006042088号明細書からは、液浸媒体用の供給装置が公知であり、この供給装置は、対物レンズのフロントレンズに配向されている中央流出開口部を備えかつ対物レンズに取り付け可能なプレートを有する。プレートの内部では、流出開口部に到達するチャネルが延在しており、このチャネルを通して液浸媒体が流出開口部に供給される。流出開口部は、2つの電極によって包囲されており、これらの電極により、供給された液浸媒体の量を検出するセンサが形成される。このセンサの空間的な検出領域は、流出開口部に限定されている。したがって半径方向に見て流出開口部の外側にある液浸媒体は検出されない。
【0006】
従来技術についてはさらに、加熱装置を備えた液浸キャップが開示されている刊行物欧州特許出願公開第1777572号明細書を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、対物レンズとプレパラートとの間の目標空間において液浸媒体の充填レベルを正確に検出できるようにする、液浸媒体を供給するための装置、この装置を備えた対物レンズおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明により、独立請求項の対象によって解決される。有利な発展形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明により、プレパラートを顕微鏡視的に結像可能な対物レンズと共に使用される液浸媒体用の供給装置が提供される。この供給装置は、対物レンズに取り外し可能または固定に装着されかつ液浸媒体用の収容空間を画定するキャップを有し、キャップは、プレパラート側を向いた、対物レンズの光学素子に配向されている流出開口部を有し、流出開口部を通して、対物レンズの光学素子とプレパラートとの間に存在する目標空間に、収容空間に保持された液浸媒体を供給可能である。供給装置はさらに、キャップに組み込まれかつ供給された液浸媒体の量を検出する電極構造体を備えたセンサを有する。電極構造体は、流出開口部を少なくとも部分的に取り囲みかつ半径方向に流出開口部から遠ざかるように延在する空間的な検出領域を有する。
【0010】
空間的な検出領域が、キャップの平面図において半径方向に見て流出開口部の外側にある空間にも少なくとも延在することにより、プレパラートと対物レンズとの間にある、センサによって検出可能な目標領域は、流出開口部の領域だけにおいて液浸媒体が検出される、冒頭に挙げた解決手段と比べて、著しく増大する。流出開口部を越えてこの流体膜が延在することに起因して、液浸媒体によって形成される流体膜は、例えば、対物レンズとプレパラートとの間の横方向の相対運動の際には、流体膜が検出される目標領域が流出開口部の領域に限定されている測定設定と比べて著しく頑強である。ここでセンサの上記の空間的な検出領域とは、プレパラートと対物レンズとの間の空間であって、この空間内ではセンサがそこに存在する液浸媒体を感知できる空間のことである。
【0011】
本発明で提案される、センサの空間的な検出領域の半径方向の拡大は、さらに、液浸媒体の所望の目標量を閉制御ループ方式で調整するために、安定した制御量として、センサを用いて検出した液浸媒体の量を利用できるという利点を有する。したがって、目標空間内で検出領域を半径方向に拡げることにより、対物レンズとプレパラートとの間に延在するビーム路に空気が到達することを阻止する許容領域が得られる。これにより、供給装置と、そのキャップに組み込まれたその電極構造体とにより、液浸媒体の量を正確に閉ループ制御することができる。
【0012】
センサの空間的な検出領域は、特に、液浸媒体の充填レベルが、キャップ内の収容空間、すなわちキャップと対物レンズとの間に領域においても、対物レンズとプレパラートとの間の目標空間においても共に検出されるように設計可能である。この際には、第1には、まずキャップに最適量で液浸媒体を汲み上げ、ひいては流出開口部を通して目標空間に汲み上げるために、センサによって形成した検出信号を測定量として利用可能である。第2には、上記の測定量により、連続的または離散的に再調整することによって、最適に調整したこの状態を維持することができる。これにより、例えば蒸発による、またはプレパラートと対物レンズとの間の相対運動によって発生する、液浸媒体の充填レベルの変化を補償することができる。
【0013】
液浸媒体は、例えば水、油、グリセリンまたは、対物レンズとプレパラートとの間の目標空間における屈折率を望み通りに増大させる別の慣用の媒体であってよい。
【0014】
有利な一実施形態において、センサは、容量式センサまたは抵抗型センサである。センサが容量式センサとして実施される場合、センサ幾何学形状を規定する電極構造体は、電気的に分離されて、キャップを形成する材料に閉じ込められ、例えば鋳包まれている。この場合、電極構造体は、少なくとも2つの互いに電気的に分離された電極を有し、これらの電極は、共同してコンデンサとして動作し、2つの電極を互いに分離する中間空間の近傍に液浸媒体が運ばれた場合にその容量が変化する。この実施形態において2つの電極は、コンタクトを介して適切な電子測定ユニットに接続されている。これに対してセンサが、抵抗型センサとして実施される場合、センサを形成する電極構造体は、キャップにおいて、外部空間に向かってむき出しになっており、これにより、この電極構造体は、液浸媒体に接触接続可能である。この抵抗型の測定では、電極構造体は、互いに分離された少なくとも2つの電極を有し、これらの電極は、特定の充填レベルに到達すると、液浸媒体により、2つの電極間の電気的な接触接続が形成され、ひいては検出信号がトリガされる、ようにキャップに配置されている。2つの実施形態において、電極構造体は、それぞれ2つのコンタクトを介して、適切な測定ユニットに接続されている。
【0015】
容量式の測定が、抵抗型の測定に対して有する利点は、この容量式の測定により、充填レベルの変化に伴って、連続した検出信号が供給され、これにより、充填レベルの閉ループ制御に特に良好に適した定量的な量特定もしくは位置特定が可能になる、ことである。さらに、容量式の測定は、場合によっては変化し得る、液浸媒体の導電率には依存しない。
【0016】
センサを形成する電極構造体は、容量式の測定の場合には、プレパラートとの間隔を検出する間隔センサとしても利用可能である。抵抗型の測定の場合、電極構造体は、接触接続センサとして使用可能である。
【0017】
好適には、キャップは、プレパラート側を向きかつ流出開口部が構成されている端面壁を有し、この端面壁は、目標空間から収容空間を分離し、この端面壁には、電極構造体が組み込まれている。この実施形態では、電極構造体は、収容空間と目標空間との間の、端面壁によって実現される空間的な分離の領域に設けられており、このことにより、特に、上記の2つの空間の測定技術的な区別を行う可能性も得られる。
【0018】
好適には、容量式センサの電極構造体は、端面壁により、一方では収容空間に対して、他方では目標空間に対して電気的に分離されており、これにより、電極構造体の空間的な検出領域によって、少なくとも目標空間全体が覆われるようにする。
【0019】
電極構造体は、さらに、その空間的な検出領域により、収容空間も覆われる、ように実施可能である。
【0020】
好ましい一実施形態において、端面壁は、収容空間に対して容量式センサの電極構造体を電気的に分離する第1材料層と、目標空間に対して容量式センサの電極構造体を電気的に分離する第2材料層と、を有する。ここでは、収容空間に供給される液浸媒体の量に対する電極構造体の感度は、第1材料層の厚みによって、また目標空間に供給される液浸媒体の量に対する電極構造体の感度は、第2材料層の厚みによって決定される。
【0021】
特別な一実施形態において、センサの電極構造体は、流出開口部に存在する液浸媒体の量に対して不感である。流出開口部の領域における電極構造体のこの不感性は、キャップの流出開口部を介して互いに接続されている収容空間と目標空間とを測定技術的に互いに区別するために利用可能である。したがって、液浸媒体が収容空間を完全に充填した後、流出開口部の領域に到達し、流出開口部をゆっくりと埋める場合には、目標空間への液浸媒体の進入によって充填レベルがさらに上昇しないかぎり、センサの検出信号は変化しない。これにより、液浸媒体が徐々に流出開口部を充填するフェーズでは、センサの検出信号は、一定の値にとどまり、この値に基づいて、収容空間と目標空間との間の測定技術的な区別を行うことができる。
【0022】
しかしながら、択一的な一実施形態では、センサの電極構造体は、これが、流出開口部に存在する液浸媒体の量を感知する、ように実施することも可能である。これは、例えば、流出開口部から外側に向かって遠ざかるように、センサの空間的な検出領域を半径方向に拡げる電極に加えて、電極構造体内で半径方向に最も内側にありかつ流出開口部を直接に取り囲む少なくとも2つの別の電極を、電極構造体が含む、ような仕方で実現可能である。キャップの流出開口部は、上記の電極間の空間にあり、またこれらの電極は、残りの電極と同様にコンデンサプレートとしても作用するため、収容開口部の領域にある液浸媒体の量が変化すると、このセンサの検出信号が変化する。
【0023】
特に好ましい一実施形態において、電極構造体は、インターデジタル構造体として実施されている。このようなインターデジタル構造体は、例えば、容量式の測定の場合にはキャップ材料内で、また抵抗型の測定の場合にはキャップの表面に存在する特定の一平面内で、関与する2つの電極のフィンガー状の電極構造体が、互いに接触することなく密に噛み合う、ように実施されている。特に、このようなインターデジタル構造体によって可能になるのは、極めて簡単に、望ましい仕方で、半径方向に流出開口部から遠ざかるように延在する、センサの空間的な検出領域を得ることである。
【0024】
流出開口部は、好適には円形である。この場合に、好適にはインターデジタル構造体として実現される電極構造体は、キャップの平面図において、流出開口部に関して回転対称に実施されている。電極構造体が、流出開口部を取り囲み、ひいては対物レンズの光軸を取り囲む場合には、液浸媒体の量を共軸的に均すことが可能である。
【0025】
これにより、ただ1つの測定値だけを特定すればよく、このことは、ここでも対物レンズの光軸周りに液浸媒体が放射相称に分散することを前提とする場合には有利である。
【0026】
別の一実施形態では、電極構造体は、流出開口部の周囲に分散されておりかつ互いに独立して駆動制御可能な複数の電極対も有していてよい。例えば、対物レンズの光軸に対して垂直に拡がる横方向の一平面内に、互いに同じ角度間隔で配置されている複数の電極対を配置することが可能である。例えば、このような3つの電極対を、120°の角度間隔で配置可能である。個別に評価可能な複数の電極構造体を設けることにより、液浸媒体の量を検出できるだけではなく、場合によっては、上記の横方向の平面内での液浸媒体の非対称の分散を検出することもできる。このことが意味するのは、この実施形態では、位置に依存して液浸媒体を検出できることである。
【0027】
特に好ましい一実施形態では、センサ用に設けられている測定ユニットがキャップに組み込まれている。キャップにこのように測定ユニットを組み込むことにより、電極と測定ユニットとの間の接続に作用して検出信号を誤らせる電磁妨害信号が十分に回避される。しかしながら、具体的な応用において複数の利点が得られるならば、キャップの外部に測定ユニットを設けることも同様に可能である。
【0028】
好適には、供給装置は、キャップに組み込まれている導体路構造体を有し、この導体路構造体は、収容空間および目標空間に対して電気的に分離されておりかつ収容空間にかつ/または目標空間に保持されている液浸媒体を抵抗によって加熱する、ように構成されている。例えば、この導体路構造体は、キャップの端面壁内の液浸媒体を加熱するために配置可能である。導体路構造体は、例えば、少なくとも1つの一貫して導電性でありかつ外部空間から分離された導体路から形成されており、その両端部は、接続コンタクトとしてキャップから引き出されている。この導体路は、これが電気抵抗を成すように実施されている。この導体路を通って電流が流れると、この導体路は、この抵抗によって熱を発し、キャップ材料を介して、好適には端面壁を介して、このように発生した熱を液浸媒体に放出する。これにより、液浸媒体用の抵抗加熱器が設けられる。この実施形態は、もっぱら対物レンズが加熱されるが、対物レンズとプレパラートとの間の関連する目標空間における液浸媒体が直接に加熱されない従来の解決手段に比べて著しい利点を有する。すなわち、対物レンズは、その比較的かさが大きいことにより、大きな温度低下を示すのに対し、この実施形態では、キャップ、特にその比較的薄い端面壁は、弱い温度低下しか形成しない。
【0029】
液浸媒体を加熱する導体路構造体は、例えば、一貫して導電性でありかつ外部空間に対して分離された少なくとも1つの導体路を有し、その両端部は、接続コンタクトとしてキャップから引き出されている。この導体路は、これが電気抵抗を成すように実施されている。この導体路を通って電流が流れると、この導体路は、この抵抗によって熱を発し、キャップ材料を介して熱を液浸媒体に放出する。
【0030】
好適には、供給装置は、液浸媒体の温度を検出する温度センサを有する。この温度センサは、例えばキャップに組み込み可能である。
【0031】
特に好ましい一実施形態において、温度センサは、規定された上記の導体路構造体によって形成されており、この導体路構造体は、あらかじめ定められた温度依存の電気抵抗を有し、かつ収容空間に保持されている液浸媒体の、抵抗による加熱と、液浸媒体の温度の、抵抗による検出とを時間的に交互に行うように構成されている。したがって、電極構造体の温度依存の電気抵抗が既知である場合、対応する電子装置を用いて温度測定を実現可能である。このために導体路構造体として、例えば白金・測定抵抗を使用可能である。特に、液浸媒体の加熱に使用される電極構造体は、ただ1つの電極の形態だけで実施することができ、この場合にこの電極は、液浸媒体の加熱と、その温度の検出とを時間的に交互に行う。可能な限りに小さい面積において十分に大きな電気抵抗を得るために、かつ良好な温度分布を実現するために、電極構造体は、好適にはメアンダ状に実施されている。特に、液浸媒体を加熱する電極構造体は、流出開口部に関して回転対称に実施可能である。互いに独立して駆動制御可能な複数の電極対を設けることも可能であり、これらの電極対は、液浸媒体の加熱に使用され、流出開口部の周りに、好適には同じ角度間隔で分散されている。
【0032】
液浸媒体の充填レベルの検出に使用される1つの導体路構造体と、加熱および場合によって温度測定に使用される別の1つの導体路構造体との2つの導体路構造体は、キャップ内で空間的に切り離されている。例えば、上記の2つの構造体は、キャップの平面図において互いに重なっているが、キャップの厚さ方向に関しては、異なる平面内に配置されている。択一的または付加的に可能であるのは、2つの構造体を、キャップの平面図において互いにずらして配置することである。
【0033】
好適には、流出開口部を画定する、端面壁の縁部と、プレパラート側を向いている、対物レンズの光学素子とが、間隙を形成し、この間隙を通して液浸媒体が目標空間に流出する。これによって形成される、好適には環状の間隙により、光学素子を特に容易に液浸媒体で覆うことができる。
【0034】
端面壁は、好適には流出開口部に向かって実質的に円錐形に延びている。しかしながら、端面壁が、水平方向の、すなわち対物レンズの光軸に対して垂直方向の配向を有することも可能である。
【0035】
キャップは、例えば、端面壁に続く実質的に円筒状壁を有し、この円筒状壁は、端面壁と共に液浸媒体用の収容空間を画定する。これにより、キャップを、特に容易に取り外し可能に対物レンズに装着することができる。
【0036】
好適には、供給装置は、少なくとも1つのホースを介してキャップの収容空間に接続されておりかつ液浸媒体を収容空間に汲み上げるように構成されているポンプシステムを有する。このポンプシステムは、例えば、貯蔵容器を有する供給システムの一部であり、ポンプシステムにより、貯蔵容器から収容空間に液浸媒体が圧送される。ポンプシステムは、例えば、順方向ポンプおよび逆方向ポンプとして実施される。しかしながらポンプシステムは、順方向および逆方向についての別々の2つのポンプユニットから構成するか、またはダブルヘッドポンプの形態で構成することも可能である。処理すべき液浸媒体は、再使用のために貯蔵容器に戻すかまたは処理のために別の容器に導くことが可能である。
【0037】
上記の供給システムは、例えば、対物レンズリボルバに配置可能である。しかしながら、供給システムを顕微鏡から離して設けるかまたは顕微鏡ハウジングに組み込むことも可能である。供給システムの構成要素を空間的に互いに切り離し、すなわち例えば、ポンプを対物レンズリボルバに設け、貯蔵容器を顕微鏡から離して設けることも可能である。
【0038】
好適には、センサによって供給される検出信号に依存して、液浸媒体を収容空間に汲み上げるようにする開ループ制御/閉ループ制御ユニットが設けられている。液浸キャップに抵抗加熱器が同時に設けられる場合、開ループ制御/閉ループ制御ユニットは、その温度の閉ループ制御を担ってもよい。
【0039】
本発明の別の一態様によれば、上で説明したタイプの供給装置を使用して、液浸媒体を供給する方法が規定される。この方法では、ポンプシステムを用いて収容空間に液浸媒体を汲み上げ、同時にセンサを用いて、供給された液浸媒体の量に対応する検出信号を形成し、検出信号に基づいて、液浸媒体の目標量を調整するためにポンプシステムを制御する。
【0040】
この方法を使用する際、センサは、好適には容量式センサとして実施される。このようなセンサは、液浸媒体の充填レベルを連続して検出可能である。これにより、第1には、目標空間における液浸媒体の最適目標量を自動的に初期設定可能である。第2には、引き続いて、閉制御ループ方式でこの最適目標量を一定に維持するために、この連続的な充填レベル検出を利用可能である。
【0041】
好適には、一定の汲み上げ速度で収容空間に液浸媒体を汲み上げる。これにより、特に、液浸媒体の目標量の初期設定が容易になる。
【0042】
目標量を確定するために、例えば、まず液浸媒体がキャップの流出開口部に到達する量を基準量として検出し、次にこの基準量に基づいて目標量を特定する。
【0043】
好ましい一実施形態では、目標量を中心として、あらかじめ設定した許容範囲内において、かつ/またはあらかじめ設定した動作状態が存在する場合に、供給される液浸媒体の量の閉ループ制御を停止する。このような動作状態は、例えば、実験中に、集束位置調整などにより、液浸媒体によって覆われる、キャップもしくはプレパラートにおけるコンタクト面が変化する場合などに発生する。この場合には、集束位置設定が静止状態になるまで、液浸媒体の量の閉ループ制御を中断するのが有利である。次に、液浸媒体の所望の量を実現するために、センサの現下の検出信号に基づいて、引き続いて閉ループ制御を新たにスタートさせることができる。
【0044】
本発明により、別の一態様において、上で説明したタイプの供給装置を備えた対物レンズが規定される。
【0045】
本発明の実施形態を以下、図面に基づき、詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】対物レンズと共に使用される液浸媒体用の供給装置の概略図である。
【
図2】対物レンズに装着可能な液浸キャップの斜視図である。
【
図4】特別な一実施形態において、供給された液浸媒体の量を検出する、キャップに組み込まれた電極構造体の概略図である。
【
図5】別の一実施形態による電極構造体の部分である、個別に駆動制御可能な電極対の概略図である。
【
図6】
図5に示した複数の電極対を有する電極構造体の概略図である。
【
図7】流出開口部に存在する、液浸媒体の量を感知する付加的な電極対の概略図である。
【
図8】特別な一実施形態において、液浸媒体を抵抗によって加熱するための、キャップに組み込まれた導体路構造体の概略図である。
【
図9】別の一実施形態による、液浸媒体の加熱専用の導体路構造体の部分でありかつ個別に駆動制御可能な導体路の概略図である。
【
図10】
図9に示した個別に駆動制御可能な複数の導体路を有する導体路構造体を示す図である。
【
図11】特別な一実施形態において、センサを形成する電極構造体と、液浸媒体の加熱専用の導体路との空間的な分散を示す概略図である。
【
図12】液浸媒体用の供給装置が使用可能な顕微鏡の概略図である。
【
図13】一変形実施形態の顕微鏡を示す概略図である。
【
図14】キャップに液浸媒体を充填した際に、センサによって検出される検出信号の例示的な時間経過を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1には、本発明の一実施形態を示す、供給装置100の概略図が示されている。
【0048】
供給装置100は、顕微鏡の一部分である対物レンズ102と共に使用するため専用である。供給装置100は、対物レンズ102に取り外し可能または固定に装着されている液浸キャップ104を有する。液浸キャップ104は、プレパラート106側を向いている、対物レンズ102の前端部に設けられている。プレパラート106は、
図1に明示的に示されていない試料と、例えばカバーガラスまたは支持ガラスとして実施可能であるか、またはマイクロタイタープレートとしても実施可能な試料支持体と、を有する。
【0049】
図2および
図3により詳細に示されているように、液浸キャップ104は、プレパラート106側を向きかつ円錐状に延びる端部109を備えた端面壁108と、端面壁108に続いている円筒状壁110と、を有する。端面壁108も、これに続いている円筒状壁110も共に、その成形は、対物レンズ102の外形に適合されている。このことから明らかであるのは、液浸キャップ104は、図に示した成形に限定されないことである。
【0050】
図示した実施形態において、端面壁108は、円錐状に延びるその端部109に、中央の流出開口部112を有し、この流出開口部112は、液浸キャップ104の平面図において好適には円形に構成されている。流出開口部112は、プレパラート106側を向いたフロントレンズ114に配向されており、このフロントレンズ114も同様に円形に構成されており、対物レンズ102を含むレンズ系116の一部である。
【0051】
供給装置100はさらに、例えば水、油、またはグリセリンの液浸媒体122を収容する貯蔵容器120と、ホース126を介して貯蔵容器120に接続されているポンプシステム124と、を備えた供給システム118を有する。ポンプシステム124はさらに、別のホース127を介して液浸媒体キャップ104に接続されている。ポンプシステム124は、対物レンズ102に装着された液浸キャップ104によってその内部空間に画定されている収容空間128に、貯蔵容器120から液浸媒体122を汲み上げるために使用される。
【0052】
液浸媒体122が、ポンプシステム124によって液浸キャップ104の内部空間に圧送されると、この液浸媒体122は、これが、流出開口部112を画定する円形の、端面壁108の縁部130の領域に到達するまで、収容空間128をゆっくりと満たす。端面壁108のこの縁部130は、対物レンズ102のフロントレンズ114と共に、環状に周りを一周する間隙132を形成し、この間隙132を通して、液浸媒体122は、まずプレパラート106側を向いた、フロントレンズ114の面を完全に濡らし、次に流出開口部112を通って、フロントレンズ114とプレパラート106との間に設けられている目標空間134に流出する。この際には、液浸媒体122が、フロントレンズ114だけを完全に覆うのではなく、流出開口部112から遠ざかるように半径方向に延在する、端面壁108の外面136の部分も覆うまでの量の液浸媒体122が、液浸キャップ104に汲み上げられる。したがって対物レンズ102の平面図において、液浸媒体122が充填される目標空間134は、対物レンズ102の光軸Oを基準にして、流出開口部112の半径方向寸法よりも著しく大きい半径方向寸法を有する。これによって保証されるのは、光軸Oに沿ってプレパラート106に導かれるビーム路は、つねに完全に液浸媒体122内にあることであり、これにより、空気は、ビーム路に到達し得ず、またそこで屈折率の望ましい適合化を阻止することはない。
【0053】
上記の説明から明らかであるように、端面壁108により、液浸キャップ104の内部空間に存在する収容空間128が、液浸キャップ104の外側にある目標空間134から分離される。したがって
図1に示した図において、目標空間134は、K1もしくはK2と記した湾曲した2つの線によって、半径方向に画定されており、これに対して、目標空間134は、垂直方向に、すなわち対物レンズ102の光軸Oに沿って、第1にはプレパラート106の下面によって、第2には流出開口部112が存在する平面によって画定される。
【0054】
図3に示した液浸キャップ104の断面図に示されているように、供給装置100は、液浸キャップ104に組み込まれた容量式センサ300を有し、容量式センサ300は、この実施形態において、端面壁108に鋳包まれる電極構造体302によって形成されている。
【0055】
センサ300の機能は、ポンプシステム124により、壁110に形成された供給開口部306を介して、液浸キャップ104の内部空間に汲み上げられる、液浸媒体122の量を検出することである。センサ300を形成する電極構造体302は、センサ300の空間的な検出領域が、
図1に示した目標空間134に対応して、半径方向に、すなわち対物レンズ102の光軸Oに対して横方向に流出開口部112から外側に向かって遠ざかるように液浸キャップ104の端面壁108内に延在する、ように配置されている。このことが意味するのは、電極構造体302により、目標空間134において、半径方向に流出開口部112の外側に存在する液浸媒体122もいずれせよ検出できることである。しかしながら、これにより、電極構造体302の空間的な検出領域が、半径方向に流出開口部112の内側の、目標空間134の領域も覆うこと、すなわち、電極構造体302が、そこに存在する液浸媒体122も感知することを除外するものではない。
【0056】
図4による平面図に関連して、純粋に概略的な断面図を示す
図3に示されているように、電極構造体302は、この実施形態において、全体でインターデジタル構造体を形成する1対の電極410、412によって形成されている。それぞれの電極410、412は、互いに共軸的に延びる複数の電極部分410aもしくは412aを有し、これらの電極部分は、密接に隣接し、異なる半径方向の間隔で共軸的に流出開口部112の周りに案内されている。電極410の電極部分410aと、電極412の電極部分412aとは、互いに接触することなく交互に噛み合うフィンガー状の構造体を形成する。
【0057】
図4に示した実施形態において、2つの電極410、412がこのように交互に噛み合うことにより、センサ300の空間的な検出領域は、半径方向の4つの部分領域R1、R2、R3およびR4に分割され、最も内側の部分領域R1は、最小の、また最も外側の部分領域R4は、最大の、流出開口部112からの半径方向の間隔を有する。これらの部分領域R1~R4のそれぞれは、電極410の複数の電極部分410aのうちの1つと、第2の電極412の隣接した電極部分412aとの間に存在し、上記の2つの電極部分410a、412aは、コンデンサプレートとして作用する。それぞれの部分領域R1~R4の直接の周辺部において、液浸媒体122の量が変化すると、電極構造体302によって供給される検出信号の対応する変化に基づいて、この変化が検出される。
【0058】
図3に示した断面図からわかるように、端面壁108は、電極構造体302の下の第1材料層312と、電極構造体302の上の第2材料層310と、を有する。第1材料層312により、電極構造体302は、液浸キャップ104の内部空間内にある収容空間128に対して電気的に分離されている。これに対し、第2材料層310により、電極構造体302は、液浸キャップ104の外側にある目標空間134に対して電気的に分離されている。電極構造体302が、収容空間128に供給される液浸媒体122の量に対して有する感度は、第1材料層312の厚みによって決定される。これに対応して、電極構造体302が、目標空間134に供給される液浸媒体122の量に対して有する感度は、第2材料層310の厚みによって決定される。
【0059】
端面壁108それ自体は、対物レンズ102とプレパラート106との間の空間に嵌め込むために、わずかに数10分の1ミリメートルの厚みしか有しないため、2つの材料層は、対応して薄い。したがってこれらの2つの材料層は、薄く実施された、電極構造体302の絶縁性のカバーを形成し、これにより、電極構造体302は、収容空間128に対しても、目標空間134に対しても、それぞれそこに存在する液浸媒体122の量を感知する。電極構造体302が、流出開口部112を、ひいては対物レンズ102の光軸Oを共軸的に包囲することにより、液浸媒体122の量が、収容空間128において、かつ/または目標空間134において、共軸的に均されて検出される。したがって、
図3および
図4に示した電極構造体302を使用する際には、ただ1つの測定値だけを特定すればよい。
【0060】
図3にさらに示されているように、液浸キャップ104は、組み込まれた電子測定ユニット314を有する。電子測定ユニット314は、
図4に示した、2つの電極410、412の接続コンタクト410b、412bに接続されており、接続ピン316を介して、
図3および4に図示されていない開ループ制御/閉ループ制御ユニットに、検出した検出信号を転送する。
【0061】
図3および
図4に示した容量式に測定する電極構造体302が、ただ1対の電極410、412しか有せず、これに対応してただ1つの測定値しか検出しないのに対し、一変形実施形態において、電極構造体は、全体として電極対の個数に対応する個数の測定値を供給する、個別に駆動制御可能な複数の電極対を有していてよい。この例は、
図5および
図6に示されている。
【0062】
図5に示した概略図では、1対の電極510、512が示されており、これら電極のそれぞれの電極は、1つの接続コンタクト510bもしくは512bと、複数のフィンガー状の電極部分510aもしくは512aと、を有する。2つの電極510、512のフィンガー状の電極部分510a、512aはここでもインターデジタル構造式に互いに接触することなく噛み合っている。
図5に示した電極対510、512は、個別に駆動制御可能な部分構造体を形成し、この部分構造体により、液浸媒体122の検出した量に関連するただ1つの測定値が供給される。
【0063】
図6には、
図5に示したタイプの複数の部分構造体から構成可能な、容量式に測定する電極構造体602が示されている。
図6に示した実施形態において、3つの電極対510、512は、120°の角度間隔で流出開口部112、ひいては対物レンズ102の光軸Oを取り巻いて配置されており、それぞれの電極対510、512は、半径方向に流出開口部112から外側に向かって遠ざかるように延在している。電気的に互いに分離されている3つの電極対510、512は、3つの検出信号を供給し、これらの検出信号により、液浸媒体122の量だけでなく、横方向、すなわち対物レンズ102の光軸Oに対して横に拡がる平面における、場合によっては非対称のその分布も検出可能である。
【0064】
図3~
図6を参照して上で説明した、電極構造体の実施形態は、これらの電極構造体が、流出開口部112に存在する液浸媒体122の量に対して不感であるように実施されている。このことは、流出開口部112を取り囲みかつこれによってそこに存在する液浸媒体122を感知する、容量式に測定する部分構造体を、これらの実施形態のどの実施形態も有しないためである。しかしながら、容量式センサを実施して、その空間的な検出領域が、半径方向に流出開口部112も覆うように、すなわち、このセンサが、流出開口部112内の液浸媒体122の量も感知するように実施することも同様に可能である。このためには、
図3~
図6に示した構造体に、
図7に示されているように、例えば、1対の電極710、712だけを補足可能である。
【0065】
図7に示した実施形態において、2つの電極710、712は、流出開口部112の周囲に案内されている半円形の電極部分710a、712aをそれぞれ有する。このように2つの電極部分710a、712aは、全体として流出開口部112を円形に包囲し、これにより、これらの間に存在する液浸媒体122の量の容量式の測定を可能にする。
【0066】
液浸キャップ104は、液浸媒体122の充填レベルを検出する容量式センサを形成する電極構造体に加えて、組み込まれた導体路構造体を有していてよく、この導体路構造体は、収容空間128と、目標空間134とに対して電気的に分離されており、かつ液浸媒体122を抵抗によって、すなわち電気抵抗加熱式に加熱するように構成されている。このような導体路構造体の例が、
図8に示した概略図に示されている。
【0067】
図8に示した実施形態では、液浸媒体122の加熱専用の導体路構造体が、一貫して導電性のただ1つの導体路820から形成されており、その2つの端部は、接続コンタクト820b、820cとして、液浸キャップ104から外に引き出されている。導体路820は、これが、電気抵抗を実現し、これによって導体路820を通って流れる電流により、この導体路820が加熱される、ように実施されている。このようにして加熱される導体路820は、導体路820が埋め込まれているキャップ材料に、ひいてはさらにそれに隣接している液浸媒体122にその熱を放出する。
【0068】
図8に示した実施形態において、導体路は、複数の導体路部分820aを有し、これらの導体路部分820aは、異なる半径方向の複数の部分において、共軸的に流出開口部112を取り囲む。導体路820は、収容空間128もしくは目標空間134から導体路820を電気的に分離する、液浸キャップ104の材料層の厚みを考慮して、この導体路820が、収容空間128においてのみ、目標空間134においてのみ、またはこれら2つの空間において、液浸媒体122を加熱する、ように実施可能である。
【0069】
図8に示した導体路は、これが、あらかじめ定めた温度依存性の抵抗を有するように実施することも可能であり、この抵抗がわかれば、温度測定を実現可能である。このために導体路820により、例えば白金・測定抵抗が形成される。このような温度測定は、ただ1つの導体路が抵抗加熱器として設けられている、
図8に示した実施形態において、好適には、導体路820により、液浸媒体122の抵抗加熱と、温度測定とが時間的に交互に行われる、ように実施可能である。したがって加熱のサイクルと温度測定のサイクルとが交互に現れる。
【0070】
図8に示した共軸的な導体路構造体により、そのメアンダ状に噛み合う導体路部分820aに起因して、可能な限りに小さな面積に十分に大きな電気抵抗を形成することができ、これにより、良好な温度分布が実現される。しかしながらこのような好ましいメアンダ状の実施は、別の仕方で、例えば、
図9および
図10に示されているような構造を用いて実現することも可能である。
【0071】
図9には、まず、メアンダ状の構造を有する個別に駆動制御可能な導体路920が示されており、導体路920は、近似的に矩形の領域を覆い、またその2つの端部は、接続コンタクト920b、920cとして液浸キャップ104から外に引き出されている。
図10に示したように、この実施形態の導体路構造体は、
図9に示したタイプの複数の導体路920を有する。例えば、
図10に示した例では、流出開口部112の周りに120°の角度間隔で分散されている3つの導体路920が設けられている。個別に駆動制御可能な複数の導体路920から形成されるこのような抵抗加熱器によれば、種々異なる箇所において、異なる強度で液浸キャップ104を加熱することができ、このことは、例えば、液浸キャップ104の形状などに起因して、熱の供給が、上記の複数の箇所のうちの1つにおいて、別の箇所よりも十分に効果的でない場合には有利になり得る。したがってこのような条件下においても、液浸媒体122の均一な加熱を実現可能である。
【0072】
図11に示した概略図において、純粋に例示的に示されているのは、液浸媒体122の充填レベルを検出するための専用の電極構造体と、抵抗加熱器としてまたは場合によって温度センサとして機能する導体路構造体とをどのようにして液浸キャップ104に一緒に組み込むことができるかである。例えば、
図11に示した実施形態の上記の複数の構造体は、一方では、
図5に示した電極対510、512によって、他方では、
図9に示した導体路920によって形成されており、かつ流出開口部112の周りで互いにずらされて分散されている。択一的または付加的には、例えば、液浸キャップ104内で、対物レンズ102の光軸Oに沿って互いにずれを有する2つの平面内に、これらの2つの構造体を配置することも可能である。
【0073】
図12には、上で説明したタイプの供給装置100を使用可能な顕微鏡1200の一実施形態が示されている。
図12に示した顕微鏡1200は、対物レンズ102が、プレパラート106の下に設けられている倒立顕微鏡を形成している。すでに
図1に示した構成要素の他に、顕微鏡1200は、例えばマイクロコントローラとして実施されている開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202と、電子測定ユニット1204と、を有し、この電子測定ユニット1204は、一方では、第1接続ケーブル1206を介して、容量式センサ300を形成する電極構造体302の接続コンタクトに接続されており、また他方では、第2接続ケーブル1208を介して、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202に接続されている。ここで注意したいのは、
図12に示した図は、純粋に概略的なものであることである。特に、電子測定ユニット1204は、かなり上の方で
図3を参照して説明したように、液浸キャップ104に直接に配置することも可能である。いずれの場合も、電子測定ユニット1204が、可能な限りに電極構造体302の近くに設けられることは有利である。というのは、この場合には電極構造体302から供給される検出信号は十分に、電磁妨害信号の影響を受けないからである。
【0074】
図13に示した一変形実施形態において、電子測定ユニット1204は、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202に組み込まれている。しかしながら当然、この実施形態も純粋に例示的なものと理解すべきであることは自明である。
【0075】
電子測定ユニット1204も、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202も共に対物レンズ102または対物レンズリボルバに配置可能である。しかしながらこれらは、
図12に示した実施形態に示されているように、顕微鏡1200とは離して設けるか、または
図13に示した図に示されているように、顕微鏡ケーシング1210に組み込むことも可能である。
【0076】
開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202と、電子測定ユニット1204との間の接続は、
図12および
図13に示した実施形態において行われているように、ケーブル接続で、好適には低抵抗で実施可能である。ここでは、特にデジタル信号伝送が好ましい。しかしながら、電子測定ユニット1204から開ループ制御/開ループ制御ユニット1202に検出信号を無線または光学的に伝送することも可能である。
【0077】
図12および
図13に示した開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202により、ユーザは、顕微鏡1200を、例示的に次のように動作させることができる。はじめにユーザは、適切なユーザインタフェースを介して、ポンプシステム124に貯蔵容器120から液浸キャップ104に液浸媒体122を汲み上げさせるようにする命令を伝送する。これにより、ユーザは、液浸キャップ104とプレパラート106との間の目標空間134内に都度の実験に最適な液浸媒体122の量を設定可能である。開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202は、この時点に、測定ユニット1204から容量式センサ300の検出信号を受け取ってこれを記憶する。次に開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202は、あらかじめ定められた持続時間の間、ポンプシステム124を駆動制御し、これにより、目標空間134では、液浸媒体122の所望の量が可能な限りに一定に維持される。この際に液浸媒体122に細かなステップの永続的な運動を生じさせないために有利であるのは、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202により、補正のための次の吸い上げ過程を実行する前に、検出信号が変化することが許容される許容範囲をあらかじめ設定する場合である。さらに、顕微鏡1200によって今まさにプレパラート106の撮影が行われていない場合にのみ、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202により、吸い上げ過程が許容されると、有利である。例えば、液浸媒体122の蒸発が関係する、長時間にわたる実験が行われる場合、実験の進行において汲み上げ過程をあらかじめ計画に組み入れるために、開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202により、時間窓を設定することも可能である。
【0078】
実験中に、焦点合わせ過程などにより、液浸キャップ104とプレパラート106との間の間隔が変化する場合、このことは、必然的に、液浸キャップ104もしくはプレパラート106において、液浸媒体122によって覆われるコンタクト面の変化に結び付く。したがって、例えば、対物レンズ102の光軸Oに沿って作用するz駆動の対応する制御によって実現されるこのような間隔変化の間は、最小持続時間の間にわたってz駆動が静止状態になるまで、液浸媒体122の量の閉ループ制御を中断することが有利である。このときに発生している、センサ300の検出信号に基づき、引き続いて、液浸媒体122の所望の量を得るために、閉ループ制御を新たに開始することができる。
【0079】
以下では、
図14に示した線図を参照して、液浸媒体122の最適量の初期設定を自動で実行できるようにする好ましい方法を説明する。
図14に示した線図は、容量式センサ300により、連続測定中に開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202に出力される、Cと記した検出信号の時間経過を示している。
【0080】
図14に具体的に示した方法の出発点は、容量式センサ300の空間的な検出領域に液浸媒体122が存在しない状況である。ここで議論される実施形態について、このことが意味するのは、液浸キャップ104の端面壁108の近傍に液浸媒体122が存在しないことである。この状態から出発して、ポンプシステム124により、好適には一定の速度で、液浸キャップ104への液浸媒体122の汲み上げが開始される。続いて液浸媒体122が、センサ300の空間的な検出領域に到達すると、センサ300によって出力される検出信号Cは、
図14の線分aにしたがって増大しはじめる。検出信号Cは、続いて、液浸キャップ104の流出開口部112の領域に液浸媒体122が到達するまで増大する。この実施形態について前提としたのは、センサ300が、流出開口部112に存在する液浸媒体122の量に対して不感である、ように実施されていることである。このためにセンサ300は、例えば、
図3~
図6に示したタイプの電極構造体を有する。流出開口部112についてのセンサ300のこの不感性により、流出開口部112にゆっくりと液浸媒体122が充填されるフェーズにおいて、検出信号Cはさらに増大しない。すなわち、
図14に示した線図において2つの点bとcとによって画定されるこのフェーズでは、検出信号Cは、一定の値C
refにとどまる。液浸媒体122が、液浸キャップ104とプレパラート106との間の目標空間134を平らに充填しはじめると、検出信号Cは、ようやく点cから出発して、
図14において線分dによって示したように、再び連続して増大する。
【0081】
開ループ制御/閉ループ制御ユニット1202は、これが、上で説明した検出信号Cの経過におけるパターンa-b-c-dを識別し、検出信号Cが一定である領域において測定値Crefを特定する、ように構成されている。これにより、上で説明した方法により、液浸媒体122の量の特定の状態と、基準値としての絶対測定値Crefとを結びつけることが可能である。特に、このようにして特定した基準値Crefに、状況が異なれば充填レベルの容量式の測定を困難にする外乱量全体がすでに算入される。このような外乱量は、例えば、使用される対物レンズ102の特別な構造において、または容量式センサ300に近傍において、プレパラート106に起因する。すなわち、このような状況をベースとして、上記の外乱量には依存しない、液浸媒体122の最適量について絶対目標値Ctargetを確定することが可能である。例えば目標値Ctargetを以下のように確定することが可能である。すなわち、
Ctarget=Cref+定数、または
Ctarget=Cref×定数
と確定することが可能であり、
ただし定数は、経験的な定数を表す。
【0082】
検出信号Cが、確定した目標値Ctargetに到達すると、ポンプシステムは停止され、ひいては液浸キャップ104への液浸媒体122の連続的な流れが停止される。
【0083】
上で説明した方法により、例えば、液浸媒体122が、プレパラート交換または対物レンズ交換などの際に汲み出された後、改めて、対物レンズ102のフロントレンズ114を最適に覆うまで、液浸キャップ104を介して目標空間134に汲み上げることも可能であり、その際にはプレパラート交換もしくは対物レンズ交換の結果としての電磁環境の変化によって、液浸媒体122の供給に不利な作用を及ぼすことはない。
【0084】
上で説明した実施形態は、純粋に例示的なものであると理解すべきである。例えば、これらの実施形態を説明する際に、とりわけ仮定したのは、液浸媒体122の充填レベルを検出するセンサが容量式センサとして実施されていることである。しかしながら、抵抗型センサを使用することも同様に可能である。特に、
図4~
図7に示した電極構造体は、抵抗型センサにも適用可能である。この際に注意すべきであるのは、液浸キャップ材料に埋め込まれる容量式センサとは異なり、抵抗型センサが、液浸媒体122と接触するために、液浸キャップの表面において露出していることだけである。
【0085】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0086】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0088】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0089】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0090】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0091】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。
【0092】
データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0093】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0094】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0095】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0097】
100 供給装置
102 対物レンズ
104 液浸キャップ
106 プレパラート
108 端面壁
110 円筒状壁
112 流出開口部
114 フロントレンズ
116 レンズ系
118 供給システム
120 貯蔵容器
122 液浸媒体
124 ポンプシステム
126 ホース
127 ホース
128 収容空間
130 端面壁の縁部
132 間隙
134 目標空間
136 端面壁の外面
300 容量式センサ
302 電極構造体
306 供給開口部
410 電極
410a 電極部分
410b 接続コンタクト
412 電極
412a 電極部分
412b 接続コンタクト
510 電極
510a 電極部分
510b 接続コンタクト
512 電極
512a 電極部分
512b 接続コンタクト
602 電極構造体
710 電極
710a 電極部分
712 電極
712a 電極部分
820 導体路
820a 導体路部分
820b 接続コンタクト
820c 接続コンタクト
920 導体路
920a 導体路部分
920b 接続コンタクト
920c 接続コンタクト
1200 顕微鏡
1202 開ループ制御/閉ループ制御ユニット
1204 電子測定ユニット
1206 接続ケーブル
1208 接続ケーブル
1210 顕微鏡ハウジング
K1、K2 目標空間の境界線
R1、R2、R3、R4 部分領域
C 検出信号
Cref 基準値
Ctarget 目標値
t 時間