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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
E03C1/05
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020071074
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167528
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135652(JP,A)
【文献】特開2009-46836(JP,A)
【文献】特開2019-19650(JP,A)
【文献】特開2005-134184(JP,A)
【文献】特開2002-168966(JP,A)
【文献】特開平5-164554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、該モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する水栓制御装置であって、
前記モーションセンサが、2つの投光器と、前記2つの投光器から投光された光の反射光を受光する1つの受光器と、を有し、
前記吐水制御部が、前記2つの投光器から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段と、前記1つの受光器に受光される前記2つの投光器からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段と、を有し、該動き特定手段により特定される検出対象物の動きが前記2つの投光器の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、前記吐水の変更操作指示において前記一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する水栓制御装置。
【請求項2】
検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、該モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する水栓制御装置であって、
前記モーションセンサが、1つの投光器と、該1つの投光器から投光された光の反射光を受光する2つの受光器と、を有し、
前記吐水制御部が、前記2つの受光器に受光される前記1つの投光器からの反射光の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段を有し、該動き特定手段により特定される検出対象物の動きが前記2つの受光器の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、前記吐水の変更操作指示において前記一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する水栓制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水栓制御装置であって、
前記2つの投光器或いは前記2つの受光器の並び方向が、蛇口スパウトが使用者の正面に向けられた状態において、前記蛇口スパウトと使用者とが正対する方向とされる水栓制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の水栓制御装置であって、
前記吐水制御部が、検出対象物の前記一方の動きの速さが前記所定未満である場合より前記所定以上である場合の方が吐水量が多くなる変更操作指示を出力する水栓制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の水栓制御装置と、
吐水/止水の切替手段及び吐水量の変更手段を備える吐水機構と、を有し、
前記吐水機構が、前記水栓制御装置から出力された前記吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる自動水栓。
【請求項6】
請求項5に記載の自動水栓であって、
前記2つの投光器或いは前記2つの受光器が、水栓本体の上面に配置される自動水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓に関する。詳しくは、検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水栓本体の天板上に、人体の動きを非接触で検知する人体検知センサが設けられた構成が開示されている。上記人体検知センサは、同一平面上に配置された3つの投光器と受光器との組み合わせから成る反射型の赤外線センサから構成される。上記人体検知センサは、各々の投光器と受光器との組み合わせから成る各検知エリアを使用者の手が通過する順序を読み取ることで人体の動きを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5909761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、各投光器から投光される赤外線の波長範囲が近似的である場合、対応する受光器以外の受光器が反射光を誤って受光するおそれがある。そこで、本発明は、検出対象物の動きをより適切に検知することのできる水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の水栓制御装置は次の手段をとる。すなわち、水栓制御装置は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する。モーションセンサが、2つの投光器と、2つの投光器から投光された光の反射光を受光する1つの受光器と、を有する。
【0006】
吐水制御部が、2つの投光器から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段と、1つの受光器に受光される2つの投光器からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段と、を有する。吐水制御部は、動き特定手段により特定される検出対象物の動きが2つの投光器の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、吐水の変更操作指示において一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する。
【0007】
上記構成によれば、受光器が1つであっても、2つの投光器から投射される光の反射光の受光強度の経時変化を投光器毎に適切に検出することができる。したがって、各々の投光器からの反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサ上で手指等を動かした際の動作方向とその速さとを適切に検知することができる。詳しくは、投光器が2つであることから、これらの並び方向に対して斜めの操作が行われても、その操作方向を2つのうちのどちらかの動きとして適切に検知することができる。また、モーションセンサを、2つの投光器に対して受光器が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の水栓制御装置は次の手段をとるものであっても良い。すなわち、水栓制御装置は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する。モーションセンサが、1つの投光器と、1つの投光器から投光された光の反射光を受光する2つの受光器と、を有する。
【0009】
吐水制御部が、2つの受光器に受光される1つの投光器からの反射光の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段を有する。吐水制御部は、動き特定手段により特定される検出対象物の動きが2つの受光器の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、吐水の変更操作指示において一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する。
【0010】
上記構成によれば、投光器が1つであっても、2つの受光器が受光する光の反射光の受光強度の経時変化を適切に検出することができる。したがって、2つの受光器が受光する反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサ上で手指等を動かした際の動作方向とその速さとを適切に検知することができる。詳しくは、受光器が2つであることから、これらの並び方向に対して斜めの操作が行われても、その操作方向を2つのうちのどちらかの動きとして適切に検知することができる。また、モーションセンサを、2つの受光器に対して投光器が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0011】
また、本発明の水栓制御装置は、更に次のように構成されていてもよい。2つの投光器或いは2つの受光器の並び方向が、蛇口スパウトが使用者の正面に向けられた状態において、蛇口スパウトと使用者とが正対する方向とされる。
【0012】
上記構成によれば、使用者がモーションセンサ上で手指を手前から奥、或いは奥から手前に動かすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0013】
また、本発明の水栓制御装置は、更に次のように構成されていてもよい。吐水制御部が、検出対象物の一方の動きの速さが所定未満である場合より所定以上である場合の方が吐水量が多くなる変更操作指示を出力する。
【0014】
上記構成によれば、吐水量の変更操作を、使用者がモーションセンサ上で手指を動かす速さを変えるという直感的な操作により簡便に行うことができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の自動水栓は次の手段をとる。すなわち、自動水栓は、上記水栓制御装置と、吐水/止水の切替手段及び吐水量の変更手段を備える吐水機構と、を有する。吐水機構が、水栓制御装置から出力された吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる。
【0016】
上記構成によれば、上記水栓制御装置による検出対象物の動きの検知に基づいて、使用者がモーションセンサの前で手指等を動かすジェスチャにより、吐水/止水の切り替えや吐水量の変更操作を簡便に行うことができる。
【0017】
また、本発明の自動水栓は、更に次のように構成されていてもよい。2つの投光器或いは2つの受光器が、水栓本体の上面に配置される。
【0018】
上記構成によれば、使用者が使用対象となる水栓本体の上面に手をかざすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る水栓制御装置及び自動水栓の概略構成を表した模式図である。
図2】水栓制御装置の構成を表したブロック図である。
図3】自動水栓の使用方法を表した模式図である。
図4】各投光器から投光される光の反射光が受光器に受光される様子を表した模式図である。
図5】各投光器と受光器の処理の関係を表したタイムチャートである。
図6】各投光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図7】各投光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図8】各投光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図9】水栓制御装置の処理手順を表したフローチャートである。
図10図9に示す初期化処理の詳細を表したフローチャートである。
図11図9に示す変更操作の入力信号処理の詳細を表したフローチャートである。
図12】使用者の手の動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図13】使用者の手の動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図14】使用者の手の動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図15】予め記憶された使用者の手の動きと吐水状態の変更操作との関連情報を表した表である。
図16】第2の実施形態に係る水栓制御装置及び自動水栓の概略構成を表した模式図である。
図17】投光器から投光される光の反射光が各受光器に受光される様子を表した模式図である。
図18】投光器と各受光器の処理の関係を表したタイムチャートである。
図19】各受光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図20】各受光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図21】各受光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
《第1の実施形態》
(水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の構成について、図1図15を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。すなわち、使用者が自動水栓1の正面に立った位置から自動水栓1を見た方向を基準に、自動水栓1の手前、奥、左右及び上下の各方向を指すものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る自動水栓1は、キッチンカウンタKにおけるシンクSの奥側の天板上に取り付けられている。上記自動水栓1は、その天板上から延び出る水栓本体2の蛇口スパウト2Sが、シンクS内側(手前側)に向かってグースネック状に曲げられた形状とされ、その先の吐水口2Aから水を吐出(吐水)する構成とされる。
【0023】
上記自動水栓1は、使用者が蛇口スパウト2Sの正面に立った位置から水栓本体2の上面2Bに手や食器等の物体(検出対象物)をかざして所定のジェスチャを行うことにより、同上面2Bに設けられたモーションセンサ12により物体の様々な動きを検知して、吐水/止水の切り替えや吐水量の変更操作を非接触で行える機能を備える。上記の機能は、自動水栓1に設けられた水栓制御装置10と、水栓制御装置10からの指示により吐水状態、すなわち吐水/止水の切り替えや吐水量の変更を行う吐水機構20と、の協働により実行される。
【0024】
なお、図1において、各構成要素間を繋ぐ実線は、水の流れる配管を模式的に示したものであり、一点鎖線は、電気的な接続を模式的に示したものである。以下、水栓制御装置10及び吐水機構20の各部の具体的な構成について詳しく説明する。
【0025】
(水栓制御装置10の構成について)
図2に示すように、水栓制御装置10は、モーションセンサ12及び吐水制御部13から成る。モーションセンサ12は、赤外線センサから成る。モーションセンサ12は、2つの投光器12A,12Bと、各投光器12A,12Bから投射された光の反射光を受光する1つの受光器12Dと、を有する構成とされる。上記モーションセンサ12は、図3に示すように、水栓本体2の上面2Bに設けられ、同上面2Bに使用者の手や食器等の物体(検出対象物)がかざされて何らかの動作が行われた場合に、その動作を非接触で検出することができる構成とされる。
【0026】
吐水制御部13は、図2に示すように、例えばマイコンで構成されており、CPU13A、分配器13B、FlashROM等の記憶装置13C、タイマ13D及び動き特定部13E等の機能部を備える。ここで、分配器13Bが、本発明の「分配出力手段」に相当する。また、動き特定部13Eが、本発明の「動き特定手段」に相当する。
【0027】
上記吐水制御部13は、モーションセンサ12と電気的に接続されている。上記吐水制御部13は、電源が投入され機能を開始されると、モーションセンサ12にそれぞれ所定の検出時間長さと時間間隔(例えば0.015秒)とをもって順に検出指示を出し、これらをシーケンシャルに作動させる。
【0028】
具体的には、吐水制御部13は、分配器13Bにより、モーションセンサ12の各投光器12A,12Bから互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させるようになっている。そして、吐水制御部13は、受光器12Dにおいて受光した各投光器12A,12Bからの反射光の受光強度に関する信号を受信する。そして、吐水制御部13は、動き特定部13Eにより、上記処理の繰り返しによって得られた各投光器12A,12Bからの反射光の受光強度を、投光の順番毎に時系列に並べて、各々の受光強度の経時変化に基づいて手や食器等の物体(検出対象物)の動き(動作方向)とその速さとを特定する。
【0029】
そして、吐水制御部13は、上記動き特定部13Eにより特定された手や食器等の物体(検出対象物)の動き及びその速さと、記憶装置13Cに予め記憶された変更操作にまつわる物体の動き及びその速さのパターン(図15参照)と、を照合し、特定された物体の動きとその速さとが変更操作としての動きとその速さとに一致しているか否かを判断する。そして、吐水制御部13は、上記物体の動きとその速さとが変更操作としての動きとその速さとに一致していると判断した場合、その動きと速さとに割り当てられた変更操作に関する指示信号(吐水/止水の切り替えや吐水量の変更に関する指示信号)を吐水機構20に出力し、吐水機構20を指示信号に基づいて動作させる。
【0030】
(モーションセンサ12の配置について)
次に、上記モーションセンサ12を用いた物体の動きの検出から動き及びその速さの特定までの流れについて、具体例を挙げて詳しく説明する。図3に示すように、上記モーションセンサ12を構成する2つの投光器12A,12B及び1つの受光器12Dは、水栓本体2の上面2Bに次のように配置されている。すなわち、2つの投光器12A,12Bは、水栓本体2の上面2Bに、前後方向(使用者と正対する方向)に並んで配置されている。そして、受光器12Dは、上記2つの投光器12A,12Bの間の位置に配置されている。
【0031】
詳しくは、図4に示すように、投光器12Aは、使用者に近い手前側の位置に配置され、投光器12Bは、投光器12Aよりも奥側の位置に配置されている。受光器12Dは、投光器12A,12Bを結ぶ仮想線分の中点位置に配置されている。上記2つの投光器12A,12Bは、それぞれ、水栓本体2の上方に光を拡散投射させるようになっている。そして、受光器12Dは、各投光器12A,12Bから投射された光の一部が手や食器等の物体(検出対象物)に当たって拡散反射された反射光の一部を受光する構成とされる。
【0032】
したがって、モーションセンサ12は、2つの投光器12A,12Bのうちのいずれかに物体が近づけられると、その動きに伴って受光器12Dにて受光される反射光の受光強度が次第に強くなっていく。例えば、使用者が手前側の投光器12Aの手前側から奥側の投光器12Bに向かって手を奥へ振るようなジェスチャを行った場合、その時間経過と共に、先ず、手前側の投光器12Aから投射された光の反射光が受光器12Dに受光され、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。
【0033】
そして、更に時間が経過すると、投光器12Aの奥側に位置する投光器12Bから投射される光の反射光も受光器12Dに受光されるようになり、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。ここで、図5には、使用者の手が手前側から奥側へ振られた場合の、各投光器12A,12B毎の反射光の受光強度の経時変化を表したタイムチャートが示されている。このタイムチャートに示すように、使用者の手がモーションセンサ12上を手前側から奥側へと振られると、先ず、投光器12Aから投射された光の反射光が受光器12Dにおいて低い受光強度で受光される。
【0034】
そして、時間の経過と共に使用者の手が徐々に奥側へ振られていくと、投光器12Aからの反射光の受光強度が次第に高くなっていく。更に、投光器12Aに加え、奥側の投光器12Bから投射された光の反射光も受光器12Dにおいて低い受光強度で受光されるようになる。そして、更に使用者の手が奥側に振られていくと、投光器12Bからの反射光の受光強度が次第に高くなっていく。
【0035】
上記処理の繰り返しによって得られた各投光器12A,12Bからの反射光の受光強度は、吐水制御部13の動き特定部13Eにおいて図6に示すように投光の順番毎に時系列に並べられる。そして、動き特定部13Eにおいて、各々の受光強度の経時変化に基づき物体の動き(動作方向)とその速さとが特定される。すなわち、上記のように使用者の手が手前側から奥側に振られた場合には、その検出開始からの時間経過に伴って、受光強度のピークが投光器12A、投光器12Bの順で現れる。
【0036】
そのことでもって、動き特定部13Eでは、使用者の手が投光器12Aの手前側から投光器12A、投光器12Bの順に通過したこと、すなわち、モーションセンサ12上を手前側から奥側へ動いたことが特定される。更に、動き特定部13Eでは、投光器12A,12Bの反射光の受光強度のピークの間隔でもって、使用者の手の動きの速さが所定未満(例えば1秒未満)であるか所定以上(例えば1秒以上)であるかが特定される(図6図7参照)。同様に、使用者がモーションセンサ12上で手を奥側から手前側へ振る動きについても、検出された受光強度のピークが現れる順(投光器12B、投光器12Aの順)でもって特定される(図8参照)。
【0037】
このように、動き特定部13Eでは、各投光器12A,12B毎の反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者の手や食器等の物体(検出対象物)がモーションセンサ12上でどの方向にどのような速さで動かされたのかを特定することができる。上記吐水制御部13は、上記動き特定部13Eにより物体の動きとその速さとを特定した後、その動きと速さとが変更操作としての動きと速さとに一致していると判断した場合には、吐水機構20に変更操作に関する指示信号(吐水/止水の切り替えや吐水量の変更に関する指示信号)を出力し、吐水機構20を指示信号に基づいて動作させる。具体的な変更操作については、後述する。
【0038】
(吐水機構20の構成について)
次に、図1を参照しながら、吐水機構20の具体的な構成について説明する。吐水機構20は、自動水栓1に水を供給する給水管21と、吐水口2Aからの吐水/止水を切り替える開閉弁24と、吐水時の吐水量を調整する流量調整弁25と、を有する。ここで、開閉弁24が、本発明の「吐水/止水の切替手段」に相当する。また、流量調整弁25が、本発明の「吐水量の変更手段」に相当する。
【0039】
開閉弁24は、吐水制御部13と電気的に接続された電磁弁から成る。上記開閉弁24は、吐水制御部13により開弁/閉弁を切り替えるように変更操作される構成とされる。上記開閉弁24が閉弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aからの吐水が完全に止められる。また、開閉弁24が開弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aから吐水される。
【0040】
流量調整弁25は、開閉弁24から吐出された水の吐出量を変更可能な制御弁から成る。上記流量調整弁25は、吐水制御部13と電気的に接続された電動モータ25Aにより、水栓本体2の吐水口2Aへと繋がる配管との接続口の開度が調整されて、吐水口2Aからの吐水量が調整される構成とされる。上記流量調整弁25は、吐水制御部13から送られる吐水量に関する指示信号に基づいて電動モータ25Aが操作されることにより、吐水量が設定流量となるように変更操作される構成とされる。本実施形態では、流量調整弁25は、吐水量が少ない状態と多い状態の2段階でのみ切り替えられる構成とされる。
【0041】
(水栓制御装置10の処理手順について)
続いて、図9を参照しながら、水栓制御装置10の処理手順について説明する。なお、以下の説明において、参照図にない符号については、図1等の他の図を適宜参照するものとする。
【0042】
すなわち、水栓制御装置10は、電源が投入され機能を開始されると、吐水制御部13がステップS100へと処理を進め、「初期化処理」を実行する。次に、吐水制御部13は、ステップS200へと処理を進め、処理タイミングであるか否かを判定する。処理タイミングとは、例えば、図2で前述したモーションセンサ12に検出指示を出す処理のタイミングのことであり、適宜に設定されるものである。
【0043】
図9に戻って、吐水制御部13は、ステップS200において処理タイミングでないと判定した場合(No)、処理をステップS200へと戻す。一方、吐水制御部13は、ステップS200において処理タイミングであると判定した場合(Yes)、ステップS300へと処理を進め、「変更操作の入力信号処理」を実行する。そして、吐水制御部13は、ステップS300を処理した後、処理をステップS200へと戻す。
【0044】
(「初期化処理」について)
次に、図10を参照しながら、図9で示したステップS100の「初期化処理」について詳しく説明する。吐水制御部13は、ステップS100の「初期化処理」に入ると、ステップS101へと処理を進める。このステップS101において、吐水制御部13は、図1で前述した吐水機構20の電動モータ25Aを予め設定された基準位置へとセットする。更に、吐水制御部13は、開閉弁24を閉弁状態にセットする。そして、吐水制御部13は、処理を図9で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0045】
(「変更操作の入力信号処理」について)
次に、図11を参照しながら、図9で示したステップS300の「変更操作の入力信号処理」について詳しく説明する。吐水制御部13は、ステップS300の「変更操作の入力信号処理」に入ると、ステップS301へと処理を進める。このステップS301において、吐水制御部13は、モーションセンサ12に所定の検出時間長さと所定の時間間隔(例えば0.015秒)とをもって検出指示を出し、反射光の検出信号を受信する。
【0046】
次に、吐水制御部13は、ステップS302へと処理を進め、各投光器12A,12B毎の反射光の受光強度の合成(投光の順番毎に時系列に並べる処理)を行う。次に、吐水制御部13は、ステップS303へと処理を進め、上記合成した受光強度の経時変化に基づいて、検出対象物の動きとその速さとを特定する。
【0047】
そして、吐水制御部13は、検出対象物の動きが特定の動き(設定内容を変更する動き)と一致していると判定した場合(Yes)、ステップS304へと処理を進める。また、吐水制御部13は、ステップS303において検出対象物の動きが特定の動きではないと判定した場合(No)には、ステップS304をスキップして、処理を図9で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0048】
ステップS304では、吐水制御部13は、上記動きに対して割り当てられた吐水状態の変更操作指示を出力する。そして、吐水制御部13は、処理を図9で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。以上が、水栓制御装置10の全体処理にまつわる手順である。
【0049】
(検出対象物の動きと変更操作との対応関係について)
次に、図12図14を参照しながら、検出対象物(使用者の手や食器等の物体)の動きと変更操作との対応関係について説明する。図12図14には、検出対象物の動きと吐水状態の変更操作との対応関係が示されている。図15には、図2で前述した記憶装置13Cに予め記憶されている吐水状態の変更操作にまつわる検出対象物の動きとその速さのパターンが示されている。
【0050】
図12は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で手前から奥へとゆっくりと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図15の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが、少ない量で吐水を行う動きであると判断する。
【0051】
図13は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で手前から奥へと速く移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図15の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが、多い量で吐水を行う動きであると判断する。
【0052】
図14は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で奥から手前へと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図15の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが、止水を行う動きであると判断する。なお、止水を行う動きについては、動きの速さは関係なく、ゆっくりと移動させる動きであっても、早く移動させる動きであっても、吐水制御部13は止水を行う動きであると判断する。
【0053】
なお、吐水制御部13は、上記以外の動きを特定した場合には、図15の表の情報に基づいて、特定された検出対象物の動きが吐水状態の変更操作としての動きではないと判断する。
【0054】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0055】
すなわち、水栓制御装置(10)は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサ(12)と、モーションセンサ(12)からの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部(13)と、を有する。モーションセンサ(12)が、2つの投光器(12A,12B)と、2つの投光器(12A,12B)から投光された光の反射光を受光する1つの受光器(12D)と、を有する。
【0056】
吐水制御部(13)が、2つの投光器(12A,12B)から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段(13B)と、1つの受光器(12D)に受光される2つの投光器(12A,12B)からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段(13E)と、を有する。
【0057】
吐水制御部(13)は、動き特定手段(13E)により特定される検出対象物の動きが2つの投光器(12A,12B)の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、吐水の変更操作指示において一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する。
【0058】
上記構成によれば、受光器(12D)が1つであっても、2つの投光器(12A,12B)から投射される光の反射光の受光強度の経時変化を投光器(12A,12B)毎に適切に検出することができる。したがって、各々の投光器(12A,12B)からの反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサ(12)上で手指等を動かした際の動作方向とその速さとを適切に検知することができる。
【0059】
詳しくは、投光器(12A,12B)が2つであることから、これらの並び方向に対して斜めの操作が行われても、その操作方向を2つのうちのどちらかの動きとして適切に検知することができる。また、モーションセンサ(12)を、2つの投光器(12A,12B)に対して受光器(12D)が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0060】
また、2つの投光器(12A,12B)の並び方向が、蛇口スパウト(2S)が使用者の正面に向けられた状態において、蛇口スパウト(2S)と使用者とが正対する方向とされる。上記構成によれば、使用者がモーションセンサ(12)上で手指を手前から奥、或いは奥から手前に動かすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0061】
また、吐水制御部(13)が、検出対象物の一方の動きの速さが所定未満である場合より所定以上である場合の方が吐水量が多くなる変更操作指示を出力する。上記構成によれば、吐水量の変更操作を、使用者がモーションセンサ(12)上で手指を動かす速さを変えるという直感的な操作により簡便に行うことができる。
【0062】
また、自動水栓(1)は、上記水栓制御装置(10)と、吐水/止水の切替手段(24)及び吐水量の変更手段(25)を備える吐水機構(20)と、を有する。吐水機構(20)が、水栓制御装置(10)から出力された吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる。上記構成によれば、上記水栓制御装置(10)による検出対象物の動きの検知に基づいて、使用者がモーションセンサ(12)の前で手指等を動かすジェスチャにより、吐水/止水の切り替えや吐水量の変更操作を簡便に行うことができる。
【0063】
また、2つの投光器(12A,12B)が、水栓本体(2)の上面(2B)に配置される。上記構成によれば、使用者が使用対象となる水栓本体(2)の上面(2B)に手をかざすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0064】
《第2の実施形態》
(水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の概略構成について)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の構成について、図16図21を用いて説明する。図16に示すように、本実施形態では、モーションセンサ14が、1つの投光器14Xと、この投光器14Xから投射された光の反射光を受光する2つの受光器14Y,14Zと、を有する構成とされる。
【0065】
上記モーションセンサ14を構成する1つの投光器14X及び2つの受光器14Y,14Zは、水栓本体2の上面2Bに次のように配置されている。すなわち、2つの受光器14Y,14Zは、水栓本体2の上面2Bに、前後方向(使用者と正対する方向)に並んで配置されている。そして、投光器14Xは、上記2つの受光器14Y,14Zの間の位置に配置されている。
【0066】
詳しくは、図17に示すように、受光器14Yは、使用者に近い手前側の位置に配置され、受光器14Zは、受光器14Yよりも奥側の位置に配置されている。投光器14Xは、2つの受光器14Y,14Zを結ぶ仮想線分の中点位置に配置されている。上記1つの投光器14Xは、水栓本体2の上方に光を拡散投射させるようになっている。そして、2つの受光器14Y,14Zは、投光器14Xから投射された光の一部が手や食器等の物体(検出対象物)に当たって拡散反射された反射光の一部を受光する構成とされる。
【0067】
したがって、モーションセンサ14は、2つの受光器14Y,14Zのうちのいずれかに物体が近づけられると、その動きに伴って各受光器14Y,14Zにて受光される反射光の受光強度が次第に強くなっていく。例えば、使用者が手前側の受光器14Yの手前側から奥側の受光器14Zに向かって手を奥へ振るようなジェスチャを行った場合、その時間経過と共に、先ず、投光器14Xから投射された光の反射光が手前側の受光器14Yに受光され、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。
【0068】
そして、更に時間が経過すると、受光器14Yの奥側に位置する受光器14Zにも投光器14Xからの反射光が受光されるようになり、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。ここで、図18には、使用者の手が手前側から奥側へ振られた場合の、各受光器14Y,14Z毎の反射光の受光強度の経時変化を表したタイムチャートが示されている。このタイムチャートに示すように、使用者の手がモーションセンサ14上を手前側から奥側へと振られると、先ず、投光器14Xから投射された光の反射光が手前側の受光器14Yにおいて低い受光強度で受光される。
【0069】
そして、時間の経過と共に使用者の手が徐々に奥側へ振られていくと、手前側の受光器14Yにおける反射光の受光強度が次第に高くなっていく。更に、手前側の受光器14Yに加え、奥側の受光器14Zにも、低い受光強度で反射光が受光されるようになる。そして、更に使用者の手が奥側に振られていくと、奥側の受光器14Zにおける反射光の受光強度が次第に高くなっていく。
【0070】
上記処理の繰り返しによって得られた各受光器14Y,14Zにおける反射光の受光強度は、吐水制御部13の動き特定部13E(本発明の「動き特定手段」に相当する。)において図19に示すように投光の順番毎に時系列に並べられる。そして、動き特定部13Eにおいて、各々の受光強度の経時変化に基づき物体の動き(動作方向)とその速さとが特定される。すなわち、上記のように使用者の手が手前側から奥側に振られた場合には、その検出開始からの時間経過に伴って、受光強度のピークが受光器14Y、受光器14Zの順で現れる。
【0071】
そのことでもって、動き特定部13Eでは、使用者の手が受光器14Yの手前側から受光器14Y、受光器14Zの順に通過したこと、すなわち、モーションセンサ14上を手前側から奥側へ動いたことが特定される。更に、動き特定部13Eでは、受光器14Y,14Zにおける反射光の受光強度のピークの間隔でもって、使用者の手の動きの速さが所定未満(例えば1秒未満)であるか所定以上(例えば1秒以上)であるかが特定される(図19図20参照)。同様に、使用者がモーションセンサ14上で手を奥側から手前側へ振る動きについても、検出された受光強度のピークが現れる順(受光器14Y、受光器14Zの順)でもって特定される(図21参照)。
【0072】
このように、動き特定部13Eでは、各受光器14Y,14Z毎の反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者の手や食器等の物体(検出対象物)がモーションセンサ14上でどの方向にどのような速さで動かされたのかを特定することができる。上記吐水制御部13は、上記動き特定部13Eにより物体の動きとその速さとを特定した後、その動きと速さとが変更操作としての動きと速さとに一致していると判断した場合には、吐水機構20に変更操作に関する指示信号(吐水/止水の切り替えや吐水量の変更に関する指示信号)を出力し、吐水機構20を指示信号に基づいて動作させる。
【0073】
具体的な変更操作については、第1の実施形態で示した構成と同一であるため、詳細な説明を省略することとする。なお、上記以外の構成については、第1の実施形態で示した構成と同一となっているため、同一の符号を付して説明を省略することとする。
【0074】
(まとめ)
以上をまとめると、第2の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0075】
すなわち、水栓制御装置(10)は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサ(14)と、モーションセンサ(14)からの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部(13)と、を有する。モーションセンサ(14)が、1つの投光器(14X)と、1つの投光器(14X)から投光された光の反射光を受光する2つの受光器(14Y,14Z)と、を有する。
【0076】
吐水制御部(13)が、2つの受光器(14Y,14Z)に受光される1つの投光器(14X)からの反射光の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きと速さとを特定する動き特定手段(13E)を有する。吐水制御部(13)は、動き特定手段(13E)により特定される検出対象物の動きが2つの受光器(14Y,14Z)の並び方向の一方の動きである場合に吐水の変更操作指示を出力し、他方の動きである場合に止水の変更操作指示を出力し、吐水の変更操作指示において一方の動きの速さが所定未満である場合と所定以上である場合とで互いに異なる量を吐水するよう変更操作指示を出力する。
【0077】
上記構成によれば、投光器(14X)が1つであっても、2つの受光器(14Y,14Z)が受光する光の反射光の受光強度の経時変化を適切に検出することができる。したがって、2つの受光器(14Y,14Z)が受光する反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサ(14)上で手指等を動かした際の動作方向とその速さとを適切に検知することができる。
【0078】
詳しくは、受光器(14Y,14Z)が2つであることから、これらの並び方向に対して斜めの操作が行われても、その操作方向を2つのうちのどちらかの動きとして適切に検知することができる。また、モーションセンサ(14)を、2つの受光器(14Y,14Z)に対して投光器(14X)が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0079】
また、2つの受光器(14Y,14Z)の並び方向が、蛇口スパウト(2S)が使用者の正面に向けられた状態において、蛇口スパウト(2S)と使用者とが正対する方向とされる。上記構成によれば、使用者がモーションセンサ(14)上で手指を手前から奥、或いは奥から手前に動かすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0080】
また、2つの受光器(14Y,14Z)が、水栓本体(2)の上面(2B)に配置される。上記構成によれば、使用者が使用対象となる水栓本体(2)の上面(2B)に手をかざすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0081】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0082】
1.モーションセンサに対する検出対象物の動きと吐水状態の変更操作との対応関係は、上記実施形態で示した対応関係に限らず、上記とは異なる対応関係となっているものであっても良い。例えば、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ上で手前側から奥側へと移動させる動きが止水、奥側から手前側へと移動させる動きが吐水を行う動きとしてそれぞれ割り当てられていても良い。
【0083】
2.モーションセンサは、水栓本体の手前側面等の上面以外の箇所に設置されていても良い。また、モーションセンサは、水栓本体にではなく、キッチンカウンタの天板等の水栓本体から離れた箇所に設置されていても良い。自動水栓の水栓本体は、蛇口スパウトが左右に首振りできるように構成されていても良い。
【0084】
3.モーションセンサの2つの投光器(第1の実施形態)の並び方向、或いは2つの受光器(第2の実施形態)の並び方向は、それぞれ、水栓本体の高さ方向の他、幅方向であっても良い。また、2つの投光器(第1の実施形態)、或いは2つの受光器(第2の実施形態)は、2つのうちの1つともう1つとが水栓本体の別々の面(手前側面と上面等)に分かれて設けられる構成であっても良い。
【0085】
4.モーションセンサの1つの受光器(第1の実施形態)或いは1つの投光器(第2の実施形態)は、2つの投光器(第1の実施形態)或いは2つの受光器(第2の実施形態)を結ぶ仮想線分の中点位置から外れた仮想線分上の位置、或いは仮想線分から外れた位置に配置されていても良い。
【0086】
5.分配出力手段が複数の投光器からパルス光を出力させる順番は、どのような順番であっても構わない。
【0087】
6.吐水量を少ない状態と多い状態とに切り替える吐水量の変更手段は、流量調整弁を用いるものの他、吐水流路を互いに流量の異なる2つの分岐流路に分岐させ、各々の分岐流路に設けた開閉弁の開閉切り替えにより少ない吐水量と多い吐水量とに切り替える構成であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 自動水栓
2 水栓本体
2A 吐水口
2B 上面
2S 蛇口スパウト
10 水栓制御装置
12 モーションセンサ
12A 投光器
12B 投光器
12D 受光器
13 吐水制御部
13A CPU
13B 分配器(分配出力手段)
13C 記憶装置
13D タイマ
13E 動き特定部(動き特定手段)
14 モーションセンサ
14X 投光器
14Y 受光器
14Z 受光器
20 吐水機構
21 給水管
24 開閉弁(吐水/止水の切替手段)
25 流量調整弁(吐水量の変更手段)
25A 電動モータ
K キッチンカウンタ
S シンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21