(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】無線装置およびインバータシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231120BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231120BHJP
【FI】
H02J13/00 311K
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2020114717
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】秋田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】堤 由佳子
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-114815(JP,A)
【文献】特開2011-010117(JP,A)
【文献】特開2007-178226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02M 7/42 - 7/98
H04L 7/00
G05B 19/042
G06F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御機器の動作を制御する無線装置であって、
第1タイミング信号を生成する第1生成部と、
前記第1タイミング信号を第1時間遅延させ、前記被制御機器の動作の制御に関する制御データの送信タイミングを規定する第2タイミング信号を生成する遅延部と、
前記第2タイミング信号に基づいて、前記制御データを含む信号を送信する第1無線部と、
前記制御データを含む信号を受信し、前記制御データを含む信号の受信を通知する第3タイミング信号を生成する第2無線部と、
前記第3タイミング信号に基づいて、前記制御データに基づく前記被制御機器の制御タイミングを示す第4タイミング信号を生成する第2生成部と、を備
え、
前記第2生成部が前記第3タイミング信号を受けてから前記第4タイミング信号を生成するまでの時間は、前記第1タイミング信号が出力されてから前記第3タイミング信号を受けるまでの第2時間と前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期との差分である第3時間に基づく、
無線装置。
【請求項2】
前記第2生成部は、
前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期のうち、過去の複数の制御周期において、前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの平均時間を算出し、
前記制御周期のうち、今回の制御周期において前記第3タイミング信号を受けてから、前記平均時間に基づいて設定される所定の時間の経過によって、前記第4タイミング信号を生成する、
請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期における経過時間を計測するカウンタをさらに備え、
前記第2生成部は、
前記制御周期のうち、過去の複数の制御周期において、前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの平均時間を算出し、
前記平均時間と、前記制御周期のうち今回の制御周期において前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの時間との差分に基づいて、前記カウンタのカウント値を修正し、
前記修正されたカウント値が、1制御周期に相当するカウント値に達すると、前記第4タイミング信号を生成する、
請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期における経過時間を計測するカウンタをさらに備え、
前記第2生成部は、
前記制御周期のうち、過去の複数の制御周期において、前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの平均時間を算出し、
前記平均時間と、前記制御周期のうち今回の制御周期において前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの時間との差分に基づいて、前記カウンタに入力されるクロックの周波数を変更し、
前記変更された周波数のクロックの入力に応じた前記カウンタのカウント値が、1制御周期に相当するカウント値に達すると、前記第4タイミング信号を生成する、
請求項1に記載の無線装置。
【請求項5】
前記第1無線部は、
前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期の1周期中に前記制御データを含む信号を複数回送信し、
前記第2無線部は、
前記複数回送信される制御データを含む信号のうち、最初に受信される制御データを含む信号の受信に応じて前記第3タイミング信号を生成する、
請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
前記第2無線部は、
前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期のうち過去の複数の制御周期において、前記第1タイミング信号の出力から前記制御データを含む信号を受信するまでの時間に基づいて、前記制御周期のうち今回の制御周期において前記制御データを含む信号を受信するタイミングを推定する、
請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
前記第1無線部は、
前記制御周期の1周期中に前記制御データを含む信号を複数回送信し、
前記第2無線部は、
前記複数回送信された制御データを含む信号のうち、前記推定された受信タイミングからの誤差が最も小さい制御データを含む信号の受信に応じて前記第3タイミング信号を生成する、
請求項
6に記載の無線装置。
【請求項8】
前記第1生成部は、前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期ごとに前記第1タイミング信号を生成する、
請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項9】
前記第1生成部、前記遅延部、前記第1無線部、前記第2無線部および前記第2生成部は、ハードウェアであり、
前記第1タイミング信号の出力から前記第3タイミング信号を受けるまでの時間は、前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期において一定である、
請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項10】
請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の無線装置と、
前記無線装置からの制御に応じて駆動するインバータと、
を備える、インバータシステム。
【請求項11】
前記第2生成部は、前記第4タイミング信号の出力に伴いカウント値がリセットされるカウンタを備え、
前記第2時間は、前記カウンタによるカウンタ値に基づく、
請求項1、請求項5~請求項9のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項12】
前記第2時間は、第1の制御周期において前記第4タイミング信号が出力されてから第1の制御周期の次の第2の制御周期において前記第3タイミング信号が入力されるまでの時間に基づく、
請求項1、請求項5~請求項9、請求項11のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項13】
前記第3時間は、1制御周期相当のカウント値から前記第2時間に相当するカウント値を減算した値に基づく、
請求項11に記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線装置およびインバータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力変換装置やロボットなど、制御するタイミングが重要な機器を、無線通信を利用して制御する技術が開発されている。より詳しくは、制御マスターとして機能する第1無線機と、スレーブとして機能する第2無線機との間で無線通信を行い、第1無線機からの指示を受けた第2無線機が、電力変換装置やロボットなどの被制御機器を制御する技術が開発されている。
【0003】
上記した技術においては、被制御機器を制御するために、第1無線機および第2無線機の内部クロックを同期させて制御タイミングを合わせる必要があり、この同期処理は、例えば、第1無線機および第2無線機に設けられたCPUを利用して実行される。
【0004】
しかしながら、第1無線機および第2無線機のCPUには、例えば、無線信号の受信に伴う割り込み処理、外部機器によるタイマ割り込み処理、ウォッチドッグタイマによる割り込み処理など、各種処理が割り込んでくる可能性がある。これによれば、上記した同期処理が正常に実行されず、第1無線機および第2無線機の同期精度が劣化してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記した第1無線機および上記した第2無線機を含み、第1無線機および第2無線機の同期精度が劣化することを抑制し得る無線装置および当該無線装置を備えるインバータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、無線装置は、被制御機器の動作を制御する。前記無線装置は、第1生成部と、遅延部と、第1無線部と、第2無線部と、第2生成部と、を備える。前記第1生成部は、第1タイミング信号を生成する。前記遅延部は、前記第1タイミング信号を第1時間遅延させ、前記被制御機器の動作の制御に関する制御データの送信タイミングを規定するための第2タイミング信号を生成する。前記第1無線部は、前記第2タイミング信号に基づいて、前記制御データを含む信号を送信する。前記第2無線部は、前記制御データを含む信号を受信し、前記制御データを含む信号の受信を通知する第3タイミング信号を生成する。前記第2生成部は、前記第3タイミング信号に基づいて、前記制御データに基づく前記被制御機器の制御タイミングを示す第4タイミング信号を生成する。前記第2生成部が前記第3タイミング信号を受けてから前記第4タイミング信号を生成するまでの時間は、前記第1タイミング信号が出力されてから前記第3タイミング信号を受けるまでの第2時間と前記被制御機器の動作の制御に関する制御周期との差分である第3時間に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る無線装置の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る送信無線機が受信無線機に制御データを含む信号を送信し始めるタイミングについて説明するための図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る受信無線機により実行される第1パルス生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る受信無線機により実行される第2パルス生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る受信無線機により実行される第3パルス生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る受信無線機により実行される第4パルス生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る受信無線機の第2パルス生成部の一構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る無線装置を備えるインバータシステムの概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
図1は、一実施形態に係る無線装置の概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、無線装置1は、センサ機器2に接続された送信無線機11と、被制御機器3に接続された受信無線機12とを備えている。無線装置1は被制御機器3の動作を制御する。送信無線機11は、センサ機器2のセンサデータを取得し、当該取得したセンサデータに加工処理を施すことで被制御機器3の動作の制御に関する制御データを生成し、当該生成した制御データを受信無線機12に送信する。受信無線機12は、送信無線機11から送信された制御データを受信し、当該受信した制御データに基づいて被制御機器3の動作を制御する。なお、送信無線機11はマスターまたは第1無線機と称され、受信無線機12はスレーブまたは第2無線機と称されてもよい。また、制御データは、送信無線機11から受信無線機12に送信されるデータであるため、送信データまたは送信パケットと称されてもよい。なお、制御データは、例えば、被制御機器3の動作を規定したり、被制御機器3の動作の目標となる値を示すデータである。
【0011】
以下では、まず、送信無線機11について説明する。
図1に示すように、送信無線機11は、第1パルス生成部111、第1データ処理部112、第1データレジスタ113、第1パルス遅延部114、第1制御部115、第1無線モジュール116および第2データレジスタ117を備えている。第1無線モジュール116は、例えば第2データレジスタ117を含んでいる。
【0012】
本実施形態において、第1パルス生成部111、第1データレジスタ113、第1パルス遅延部114、第1制御部115、第1無線モジュール116および第2データレジスタ117(つまり、
図1に示す一点鎖線で囲まれる各部)は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアによって構成され、各種割り込み処理の影響を受けない構成になっている。なお、第1パルス生成部111、第1データレジスタ113、第1パルス遅延部114、第1制御部115、第1無線モジュール116および第2データレジスタ117は、各種割り込み処理の影響を受けない構成であれば、例えば、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせ構成であっても構わない。
【0013】
第1パルス生成部111は、一定周期毎に生成されるタイミング信号であって、例えば被制御機器3の動作の制御に関する制御周期(システム周期)の開始タイミングを示す周期開始信号を生成する。つまり、第1パルス生成部111は、制御周期ごとに周期開始信号を生成する。生成された周期開始信号は、第1データ処理部112および第1パルス遅延部114に送られる。なお、周期開始信号は、第1タイミング信号またはマスターパルス信号と称されてもよい。制御周期は、例えば、第1パルス生成部111内に設けられる内部カウンタ(図示せず)、あるいは、第1パルス生成部111に接続される外部カウンタ(図示せず)を用いて計測される。
【0014】
第1データ処理部112は、送信無線機11のCPUに相当する。第1データ処理部112は、第1パルス生成部111から出力された周期開始信号を受けると、センサ機器2からセンサデータを取得し、当該取得したセンサデータに加工処理を施すことで制御データを生成する。生成された制御データは、第1データレジスタ113に格納される。
【0015】
第1パルス遅延部114は、第1パルス生成部111から出力された周期開始信号を受けると、当該周期開始信号を受けてから第1時間が経過した後に、受信無線機12に制御データを送信するタイミングを規定する送信開始信号を生成する。換言すれば、第1パルス遅延部114は、周期開始信号を受けたタイミングに一定の遅延時間である第1時間を加えたタイミングを、制御データの送信を開始するタイミングを規定するためのタイミングとして決定し、上記した送信開始信号を生成する。さらに換言すると、第1パルス遅延部114は、周期開始信号を第1時間遅延させ、受信無線機12に制御データを送信するタイミングを規定する送信開始信号を生成する。生成された送信開始信号は、第1無線モジュール116に送られる。なお、送信開始信号は、第2タイミング信号と称されてもよい。ここで、本実施形態における一定とは厳密である必要はなく、例えば無線装置1の動作に影響を及ぼさない程度の変動を許容するものとする。
【0016】
また、第1パルス遅延部114は、第1パルス生成部111から出力された周期開始信号を受けると、当該周期開始信号を受けてから第2時間が経過した後に、第1データレジスタ113に格納された制御データを第1無線モジュール116に転送するための転送トリガ信号を生成する。換言すれば、第1パルス遅延部114は、周期開始信号を受けたタイミングに一定の遅延時間である第2時間を加えたタイミングを、第1無線モジュール116に制御データの転送を開始するタイミングとして決定し、上記した転送トリガ信号を生成する。生成された転送トリガ信号は、第1制御部115に送られる。なお、上記した第2時間は、上記した第1時間よりも小さな値に設定されている方が望ましい。
【0017】
第1制御部115は、第1パルス遅延部114から出力された転送トリガ信号を受けると、当該転送トリガ信号にしたがって、第1データレジスタ113に格納された制御データを取得し、当該制御データの第1無線モジュール116への転送を開始する。第1無線モジュール116に転送された制御データは、第2データレジスタ117に格納される。
【0018】
なお、本実施形態においては、センサ機器2のセンサデータが毎制御周期で使用される場合を想定しているため、第1データ処理部112は、パルス生成部111からの周期開始信号に応じて制御データを生成し、当該制御データを第1データレジスタ113に格納するとしている。しかしながら、センサ機器2のセンサデータが毎制御周期で使用されない場合、第1データ処理部112は、パルス生成部111からの周期開始信号に応じて上記した各種処理を実行しなくてもよい。
周期開始信号の受信に応じて上記した各種処理を実行しない場合、例えば、第1データ処理部112は、必要に応じて制御データを生成し、これを第1データレジスタ113に格納するとしてもよい。あるいは、第1制御部115が、第1パルス遅延部114からの転送トリガ信号の入力を第1データ処理部112に通知する機能を有している場合、第1データ処理部112は、第1制御部115からの当該通知を受けると、センサ機器2のセンサデータを取得して制御データを生成し、これを第1データレジスタ113に格納するとしてもよい。
【0019】
第1無線モジュール116は、第1パルス遅延部114から出力された送信開始信号を受けると、第2データレジスタ117に格納された制御データを取得し、送信開始信号を受けたタイミングから所定時間が経過した後に、受信無線機12への制御データを含む信号の送信を開始する。なお、第1無線モジュール116は、送信開始信号の入力に基づきLow(ロー)からHigh(ハイ)に切り替わる入出力ピンを有していてもよい。この場合、第1無線モジュール116は、入出力ピンがハイに切り替わると、受信無線機12への制御データを含む信号の送信を開始する。
【0020】
次に、受信無線機12について説明する。
図1に示すように、受信無線機12は、第2無線モジュール121、第3データレジスタ122、第2データ処理部123、第4データレジスタ124、第2パルス生成部125、第2パルス遅延部126および第2制御部127を備えている。第2無線モジュール121は、例えば第3データレジスタ122を含み、第2パルス生成部125は、例えば第2パルス遅延部126を含んでいる。
【0021】
本実施形態において、第2無線モジュール121、第3データレジスタ122、第4データレジスタ124、第2パルス生成部125、第2パルス遅延部126および第2制御部127(つまり、
図1に示す一点鎖線で囲まれる各部)は、例えばFPGAなどのハードウェアによって構成され、各種割り込み処理の影響を受けない構成になっている。なお、第2無線モジュール121、第3データレジスタ122、第4データレジスタ124、第2パルス生成部125、第2パルス遅延部126および第2制御部127は、各種割り込み処理の影響を受けない構成であれば、例えば、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせ構成であっても構わない。
【0022】
第2無線モジュール121は、送信無線機11から送信されて来る制御データを含む信号を受信する。受信された信号に含まれる制御データは、第3データレジスタ122に格納されると共に、第2データ処理部123に送られる。
第2データ処理部123は、受信無線機12のCPUに相当する。第2データ処理部123は、第2無線モジュール121から出力された制御データを受けると、当該制御データに被制御機器3へ送るための加工処理を施した上で、これを第4データレジスタ124に格納する。
【0023】
第2無線モジュール121は、送信無線機11から送信されて来る制御データを含む信号を受信し、当該制御データを含む信号の受信を通知するための受信通知信号を生成する。具体的には、第2無線モジュール121は、制御データのプリアンブルを受信したタイミングを、当該制御データを含む信号の受信が開始されたことを通知するタイミングとして決定し、上記した受信通知信号を生成する。生成された受信通知信号は、第2パルス生成部122に送られる。なお、受信通知信号は、第3タイミング信号と称されてもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、受信通知信号が、制御データのプリアンブルを受信したタイミングで生成される場合を例示したが、これに限定されず、例えば、受信通知信号は、受信された信号に含まれる制御データの受信が開始されたタイミングや、受信された信号に含まれる制御データの受信が完了したタイミングで生成されてもよい。
【0025】
第2パルス生成部125は、第2無線モジュール121から出力された受信通知信号を受けると、当該受信通知信号に基づいて、制御データに基づき被制御機器3の動作を制御するタイミングを指示するための制御指示信号を生成する。生成された制御指示信号は、第2制御部127に送られる。なお、制御指示信号は、第4タイミング信号と称されてもよい。
【0026】
第2パルス生成部125は、受信通知信号の入力または制御指示信号の出力に伴いカウント値がリセットされる第1カウンタ(図示せず)と、制御指示信号の出力に伴いカウント値がリセットされる第2カウンタ(図示せず)とを備えている。詳細については後述するが、第1カウンタは、主に、受信通知信号を受けてからの時間をカウントするために使用され、第2カウンタは、主に、被制御機器3の動作の制御に関する制御周期における経過時間をカウントするために使用される。第1カウンタおよび第2カウンタがリセットされたタイミングを示すデータは、例えば、第2制御部127の内部メモリなどに適宜格納されてもよい。なお、第2カウンタは、カウント値がリセットされずに、複数の制御周期に亘ってカウント値をずっとカウントし続ける構成であってもよい。
【0027】
第2制御部127は、第2パルス生成部125から出力された制御指示信号を受けると、第4データレジスタ124に格納された制御データを取得し、当該制御データに基づいて被制御機器3の動作を制御する。具体的には、第2制御部127は、制御データに基づいて決定された電圧、電流、回転数などで被制御機器3を駆動する制御を行う。あるいは、第2制御部127は、制御データに基づいて決定された電圧、電流、回転数などで動作することを被制御機器3に指示する制御を行う。
【0028】
ここで、
図2を参照して、送信無線機11の第1無線モジュール116が受信無線機12に制御データを含む信号を送信し始めるタイミングについて詳しく説明する。
図2(a)は、転送トリガ信号が送信開始信号よりも前のタイミングt1に第1パルス遅延部114から第1制御部115に送られた場合であって、送信開始信号が第1パルス遅延部114から第1無線モジュール116に送られたタイミングt2の時点で、制御データの転送が既に完了している場合を示している。
【0029】
この場合、第1無線モジュール116は、送信開始信号をタイミングt2に受けると、当該タイミングt2から所定時間が経過したタイミングt3の時点から受信無線機12に制御データを含む信号を送信し始める。なお、タイミングt2からタイミングt3までの所定時間(つまり、送信開始信号を受けてから、実際に制御データを含む信号の送信が開始されるまでの時間)はハードウェアに起因した遅延時間であり、ほぼ一定とみなすことができる。
【0030】
以上のように、制御データの転送が完了している状態で、送信開始信号が入力された場合、送信無線機11は、制御データの第1無線モジュール116への転送と、受信無線機12への送信とを並行して行わなくて済むため、制御データを含む信号の送信が開始されるタイミングをほぼ一意に決定することが可能であり、制御データを含む信号を送信する態様として最も望ましい態様とされる。
【0031】
一方で、本実施形態に係る第1無線モジュール116は、
図2(b)~(d)に示す場合であっても、受信無線機12への制御データを含む信号の送信を開始することが可能である。
図2(b)は、転送トリガ信号が送信開始信号よりも前のタイミングt1に第1パルス遅延部114から第1制御部115に送られた場合であって、制御データの転送途中であるタイミングt4に送信開始信号が第1パルス遅延部114から第1無線モジュール116に送られた場合を示している。
【0032】
この場合、第1無線モジュール116は、送信開始信号を受けたタイミングt4の時点で転送が完了している制御データの一部から順に、受信無線機12に送信し始めることが可能である。なお、送信開始信号を受けたタイミングt4の時点で転送が完了していない制御データの転送も、受信無線機12への制御データの一部を含む信号の送信と並行して引き続き実行される。
【0033】
図2(b)の場合、制御データの第1無線モジュール116への転送と、受信無線機12への送信とが並行して行われるため、第1無線モジュール116が受信無線機12に制御データの一部を含む信号を送信し始めるタイミングは、送信無線機11の処理能力に依存することになり、例えば
図2(b)の双方向矢印によって示される期間内のいずれかの時点から、制御データの一部を含む信号の送信が開始される。
【0034】
図2(c)は、転送トリガ信号と送信開始信号とがタイミングt1において同時に第1パルス遅延部114から送られた場合を示している。また、
図2(d)は、送信開始信号が転送トリガ信号よりも前のタイミングt5に第1パルス遅延部114から第1無線モジュール116に送られた場合であって、転送開始信号がタイミングt1に第1パルス遅延部114から第1制御部115に送られた場合を示している。要するに、
図2(c)および(d)は、送信開始信号が入力された時点で、第1無線モジュール116への制御データの転送が開始されていない場合を示している。
【0035】
これらの場合、制御データの第1無線モジュール116への転送と、受信無線機12への送信とが並行して行われるため、第1無線モジュール116が、第1制御部115から順に転送されて来る制御データの一部を含む信号を送信し始めるタイミングは、送信無線機11の処理能力に依存することになり、例えば
図2(c)および(d)の双方向矢印によって示される期間内のいずれかの時点から、制御データの一部を含む信号の送信が開始される。ここで、
図2(b)~(d)の場合、送信開始信号が入力されてから制御データの一部を含む信号を送信し始めるまでの間は、例えば制御データの転送のため
図2(a)の場合のハードウェアに起因する遅延時間よりも長くなる。また、双方向矢印によって示される期間内において制御データの一部を含む信号の送信が開始されるタイミングは、例えばこの期間内において正規分布様となる。
【0036】
なお、
図2(c)および(d)の場合、同一制御周期において、転送トリガ信号および送信開始信号の双方が入力されなければ、受信無線機12への制御データを含む信号の送信を開始しないといった設定がなされている方が望ましい。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る第1無線モジュール116は、送信開始信号を受けた時点で制御データの転送が完了されていない場合であっても、受信無線機12に制御データを含む信号を送信することが可能である。しかしながら、
図2(b)~(d)の場合、上記したように、送信開始信号を受けてから、制御データを含む信号の送信が開始されるまでの時間に、送信無線機11の処理能力に依存したバラツキが発生してしまうため、制御指示信号の精度に若干の劣化が見られる可能性がある(つまり、制御指示信号の生成および出力タイミングが制御周期毎に分散してしまう可能性がある)。このため、制御データを含む信号は、可能な限り
図2(a)の態様で送信されることが望ましい。
【0038】
また、本実施形態においては、送信無線機11は、受信無線機12へのデータ送信時にキャリアセンスを行う必要がない規格の無線機であることが望ましい。これによれば、キャリアセンスのランダムな待ち時間に起因した、上記した精度の劣化を抑制することが可能である。
【0039】
続いて、第2パルス生成部125が、第2無線モジュール121からの受信通知信号に基づいて制御指示信号を生成して出力するいくつかの方法について順に説明する。
【0040】
(第1生成方法)
まず、第1生成方法について説明する。
【0041】
第1生成方法は、受信通知信号を受けた一定時間後に制御指示信号を生成して出力する方法である。
【0042】
本実施形態においては、上記したように、送信無線機11の第1パルス生成部111、第1データレジスタ113、第1パルス遅延部114、第1制御部115、第1無線モジュール116および第2データレジスタ117と、受信無線機12の第2無線モジュール121、第3データレジスタ122、第4データレジスタ124、第2パルス生成部125、第2パルス遅延部126および第2制御部127とは、例えばハードウェアによって構成され、各種割り込み処理の影響を受けない構成になっている。これによれば、送信無線機11の第1パルス生成部111が周期開始信号を出力してから、受信無線機12の第2パルス生成部125が受信通知信号を受けるまでにかかる時間(以下、第3時間と表記する)が、制御周期毎に分散してしまうことを抑制することが可能である。このため、第2パルス生成部125は、上記した第3時間を制御周期毎に変化しない一定値であるとみなすことができ、第2パルス生成部125の第2パルス遅延部126は、1制御周期にかかる時間から当該一定値を減算することで、受信通知信号を受けてから制御指示信号の出力までにかかる遅延時間(以下、第4時間と表記する)を一意に決定することが可能である。
【0043】
以上のように、第1生成方法では、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受信してから、上記した第4時間が経過すると、制御指示信号を生成し、これを出力する。より詳しくは、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受けてから、制御周期および第3時間に基づいて設定される第4時間の経過によって、制御指示信号を生成し、これを出力する。
【0044】
なお、第3時間は、前回の制御周期において制御指示信号が出力されてから今回の制御周期において受信通知信号が入力されるまでにかかる時間と近似することができ、第2カウンタ(および制御指示信号の出力に伴いリセットされた第1カウンタ)のカウント値がこれに相当する。また、第4時間は、1制御周期相当のカウント値Ctから、上記した第3時間に相当するカウント値を減算した値により近似される。
【0045】
また、送信無線機11と受信無線機12との間で行われる無線通信においては、通信誤りによる送信データの消失(送信パケットの消失)や、通信遅延が生じてしまうことがある。このため、第1生成方法では、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受けることができずに、1制御周期相当の時間が経過してしまった場合、制御データを含む信号の消失や通信遅延が生じてしまっていると認識した上で、例外的に制御指示信号を生成して、これを出力する。
【0046】
ここで、
図3のフローチャートを参照して、第2パルス生成部125によって実行される第1生成処理について説明する。なお、
図3に示す一連の第1生成処理は第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロック毎に実行される。但し、ここでは、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数が一定である場合を想定する。
【0047】
まず、第2パルス生成部125は、第2無線モジュール121からの受信通知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の処理の結果、受信通知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS1のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS2)。
【0048】
ステップS2の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS2のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS3)、上記したステップS1の処理を再度実行する。一方、ステップS2の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS2のYes)、第2パルス生成部125は、後述するステップS6の処理を実行する。
【0049】
上記したステップS1の処理の結果、受信通知信号が入力されたと判定した場合(ステップS1のYes)、第2パルス生成部125は、第1カウンタのカウント値をリセットした上で、リセット後の第1カウンタのカウント値(つまり、受信通知信号を受けてからのカウント値)が、第4時間に相当する固定値Cnに達したか否かを判定する(ステップS4)。なお、ステップS4の処理の結果、リセット後の第1カウンタのカウント値が固定値Cnに達していないと判定した場合(ステップS4のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS5)、ステップS4の処理を再度実行する。
【0050】
一方、ステップS4の処理の結果、リセット後の第1カウンタのカウント値が固定値Cnに達したと判定した場合(ステップS4のYes)、第2パルス生成部125は、制御指示信号を生成し、当該制御指示信号を第2制御部127に出力する。しかる後、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値をリセットし(ステップS6)、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されて来る次のクロックに応じて、上記した一連の第1生成処理を再度実行する。
【0051】
(第2生成方法)
次に、第2生成方法について説明する。
【0052】
第2生成方法は、受信通知信号を受けてから制御指示信号の出力までにかかる第4時間を固定値ではなく可変にした点で、上記した第1生成方法と相違している。具体的には、第2生成方法では、過去の制御周期(つまり前回までの制御周期)における複数の第3時間の平均を算出し、1制御周期にかかる時間から当該平均を減算して算出される値を今回の制御周期における第4時間として設定する点で、上記した第1生成方法と相違している。なお、第3時間の平均は、算術平均、加重平均、加重移動平均などの方法により算出される。この場合、第2パルス生成部125は、今回の制御周期において受信通知信号を受けてから、算出された第3時間の平均に基づいて設定される第4時間の経過によって、制御指示信号を生成し、これを出力する。なお、第3時間の平均は平均時間と称されてもよい。
【0053】
ここで、
図4のフローチャートを参照して、第2パルス生成部125によって実行される第2生成処理について説明する。なお、
図4に示す一連の第2生成処理は、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロック毎に実行される。但し、ここでは、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数が一定である場合を想定する。
【0054】
まず、第2パルス生成部125は、第2無線モジュール121からの受信通知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の処理の結果、受信通知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS11のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
ステップS12の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS12のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS13)、上記したステップS11の処理を再度実行する。一方、ステップS12の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS12のYes)、第2パルス生成部125は、後述するステップS17の処理を実行する。
【0056】
上記したステップS11の処理の結果、受信通知信号が入力されたと判定した場合(ステップS11のYes)、第2パルス生成部125は、第1カウンタのカウント値をリセットした上で、前回までの制御周期における第3時間の平均を算出する。その後、第2パルス生成部125は、1制御周期にかかる時間から第3時間の平均を減算して第4時間(に相当するカウント値Cm)を算出する(ステップS14)。
【0057】
続いて、第2パルス生成部125は、リセット後の第1カウンタのカウント値(つまり、受信通知信号を受けてからのカウント値)がカウント値Cmに達したか否かを判定する(ステップS15)。なお、ステップS15の処理の結果、リセット後の第1カウンタのカウント値がカウント値Cmに達していないと判定した場合(ステップS15のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS16)、ステップS15の処理を再度実行する。
【0058】
一方、ステップS15の処理の結果、リセット後の第1カウンタのカウント値がカウント値Cmに達したと判定した場合(ステップS15のYes)、第2パルス生成部125は、制御指示信号を生成し、当該制御指示信号を第2制御部127に出力する。しかる後、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値をリセットし(ステップS17)、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されて来る次のクロックに応じて、上記した一連の第2生成処理を再度実行する。
【0059】
なお、
図4のステップS11~S13の処理に示すように、第2生成方法においても、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受けることができずに、1制御周期相当の時間が経過してしまった場合、制御データを含む信号の消失や通信遅延が生じてしまっていると認識した上で、例外的に制御指示信号を生成して、これを出力することが可能である。つまり、制御データを含む信号の消失や通信遅延にも対応することが可能である。
【0060】
(第3生成方法)
続いて、第3生成方法について説明する。
【0061】
第3生成方法では、第2パルス生成部125は、前回までの制御周期における複数の第3時間の平均を算出し、今回の制御周期における第3時間と当該平均との差分を利用して、今回の制御周期における第3時間に相当する第2カウンタのカウント値を修正する。第2パルス生成部125は、修正後のカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達した場合に制御指示信号を生成し、これを出力する。なお、上記した第3時間の平均は、算術平均、加重平均、加重移動平均などの方法により算出される。第3生成方法は、第1カウンタおよび第2カウンタを使用した位相同期回路(PLL)によって実現される。PLLはアナログ回路またはデジタル回路のどちらによって実現されても構わない。
【0062】
ここで、
図5のフローチャートを参照して、第2パルス生成部125によって実行される第3生成処理について説明する。なお、
図5に示す一連の第3生成処理は、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロック毎に実行される。但し、ここでは、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数が一定である場合を想定する。
【0063】
まず、第2パルス生成部125は、第2無線モジュール121からの受信通知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の処理の結果、受信通知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS21のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS22)。
【0064】
ステップS22の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS22のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS23)、上記したステップS21の処理を再度実行する。一方、ステップS22の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS22のYes)、第2パルス生成部125は、後述するステップS32の処理を実行する。
【0065】
上記したステップS21の処理の結果、受信通知信号が入力されたと判定した場合(ステップS21のYes)、第2パルス生成部125は、前回受信通知信号を受けてから今回受信通知信号を受けるまでの間隔(以下、入力間隔と表記する)が、最大許容遅延時間よりも小さいか否かを判定する(ステップS24)。最大許容遅延時間とは、送信データの消失や通信遅延が生じてしまっていることを認識するために予め設定される値であり、第2パルス生成部125は、上記した入力間隔がこの最大許容遅延時間以上の場合、受信通知信号を受けたとしても、送信データの消失や通信遅延が生じていると認識する。
【0066】
ステップS24の処理の結果、入力間隔が最大許容遅延時間以上であると判定した場合(ステップS24のNo)、第2パルス生成部125は、後述するステップS32の処理を実行する。
【0067】
一方、ステップS24の処理の結果、入力間隔が最大許容遅延時間よりも小さいと判定した場合(ステップS24のYes)、第2パルス生成部125は、第1カウンタのカウント値をリセットした上で、前回までの制御周期における第3時間の平均を算出する(ステップS25)。そして、第2パルス生成部125は、算出した第3時間の平均(に相当するカウント値)と、第2カウンタのカウント値とを比較し、今回の実測値(つまり、第2カウンタのカウント値)が当該平均よりも大きいか否かを判定する(ステップS26)。
【0068】
ステップS26の処理の結果、今回の実測値が上記した平均以下であると判定した場合(ステップS26のNo)、第2パルス生成部125は、算出した第3時間の平均(に相当するカウント値)と、第2カウンタのカウント値とを再度比較し、今回の実測値が当該平均よりも小さいか否かを判定する(ステップS27)。なお、ステップS27の処理の結果、今回の実測値が上記した平均以上、つまり、今回の実測値と上記した平均とが等しいと判定した場合(ステップS27のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値を修正する必要はないと判定し、後述するステップS30の処理を実行する。
【0069】
一方、ステップS27の処理の結果、今回の実測値が上記した平均よりも小さいと判定した場合(ステップS27のYes)、第2パルス生成部125は、今回の実測値と上記した平均との差分(に相当するカウント値)を、第2カウンタのカウント値に加算して修正し(ステップS28)、後述するステップS30の処理を実行する。
【0070】
上記したステップS26の処理の結果、今回の実測値が上記した平均よりも大きいと判定した場合(ステップS26のYes)、第2パルス生成部125は、今回の実測値と上記した平均との差分(に相当するカウント値)を、第2カウンタのカウント値から減算して修正する(ステップS29)。
【0071】
続いて、第2パルス生成部125は、修正後の第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS30のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS31)、ステップS30の処理を再度実行する。
【0072】
一方、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS30のYes)、第2パルス生成部125は、制御指示信号を生成し、当該制御指示信号を第2制御部127に出力する。しかる後、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値をリセットし(ステップS32)、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されて来る次のクロックに応じて、上記した一連の第3生成処理を再度実行する。
【0073】
なお、
図5のステップS21~S24の処理に示すように、第3生成方法においても、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受けることができずに1制御周期相当の時間が経過してしまった場合、あるいは、上記した入力間隔が最大許容遅延時間以上になってしまった場合、制御データを含む信号の消失や通信遅延が生じてしまっていると認識した上で、例外的に制御指示信号を生成して、これを出力することが可能である。つまり、制御データを含む信号の消失や通信遅延にも対応することが可能である。
【0074】
(第4生成方法)
さらに、第4生成方法について説明する。
【0075】
第4生成方法は、第2カウンタのカウント値の誤差を修正するのではなく、第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数を変更することで、当該第2カウンタのカウント値の誤差に対応する点で、上記した第3生成方法と相違している。具体的には、第4生成方法では、第2パルス生成部125は、前回までの制御周期における複数の第3時間の平均を算出し、今回の制御周期における第3時間と当該平均との差分に基づいて、第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数を変更する。第2パルス生成部125は、変更された周波数のクロックの入力に応じた第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達した場合に制御指示信号を生成し、これを出力する。なお、上記した第3時間の平均は、算術平均、加重平均、加重移動平均などの方法により算出される。第4生成方法は、第1カウンタおよび第2カウンタを使用したPLLによって実現される。PLLはアナログ回路またはデジタル回路のどちらによって実現されても構わない。
【0076】
ここで、
図6のフローチャートを参照して、第2パルス生成部125によって実行される第4生成処理について説明する。なお、
図6に示す一連の第4生成処理は、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロック毎に実行される。なお、第4生成処理においては、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数が可変である場合を想定する。
【0077】
まず、第2パルス生成部125は、第2無線モジュール121からの受信通知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS41)。ステップS41の処理の結果、受信通知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS41のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS42)。
【0078】
ステップS42の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS42のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS43)、上記したステップS41の処理を再度実行する。一方、ステップS42の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS42のYes)、第2パルス生成部125は、後述するステップS52の処理を実行する。
【0079】
上記したステップS41の処理の結果、受信通知信号が入力されたと判定した場合(ステップS41のYes)、第2パルス生成部125は、前回受信通知信号を受けてから今回受信通知信号を受けるまでの入力間隔が、最大許容遅延時間よりも小さいか否かを判定する(ステップS44)。
【0080】
ステップS44の処理の結果、入力間隔が最大許容遅延時間以上であると判定した場合(ステップS44のNo)、第2パルス生成部125は、後述するステップS52の処理を実行する。
【0081】
一方、ステップS44の処理の結果、入力間隔が最大許容遅延時間よりも小さいと判定した場合(ステップS44のYes)、第2パルス生成部125は、第1カウンタのカウント値をリセットした上で、前回までの制御周期における第3時間の平均を算出する(ステップS45)。そして、第2パルス生成部125は、算出した第3時間の平均(に相当するカウント値)と、第2カウンタのカウント値とを比較し、今回の実測値(つまり、第2カウンタのカウント値)が当該平均よりも大きいか否かを判定する(ステップS46)。
【0082】
ステップS46の処理の結果、今回の実測値が上記した平均以下であると判定した場合(ステップS46のNo)、第2パルス生成部125は、算出した第3時間の平均(に相当するカウント値)と、第2カウンタのカウント値とを再度比較し、今回の実測値が当該平均よりも小さいか否かを判定する(ステップS47)。なお、ステップS47の処理の結果、今回の実測値が上記した平均以上、つまり、今回の実測値と上記した平均とが等しいと判定した場合(ステップS47のNo)、第2パルス生成部125は、第2カウンタ(および第1カウンタ)に入力されるクロックのクロック周波数を変更する必要はないと判定し、後述するステップS50の処理を実行する。
【0083】
一方、ステップS47の処理の結果、今回の実測値が上記した平均よりも小さいと判定した場合(ステップS47のYes)、第2パルス生成部125は、第2カウンタ(および第1カウンタ)に入力されるクロックのクロック周波数を大きくするように変更し(ステップS48)、後述するステップS50の処理を実行する。
【0084】
上記したステップS46の処理の結果、今回の実測値が上記した平均よりも大きいと判定した場合(ステップS46のYes)、第2パルス生成部125は、第2カウンタ(および第1カウンタ)に入力されるクロックのクロック周波数を小さくするように変更する(ステップS49)。
【0085】
なお、上記したステップS48およびS49の処理では、第2パルス生成部125は、予め決められた値だけクロック周波数を上下させて変更するとしてもよいが、好ましくは、1制御周期相当のカウント値Ctに達するまでの残りのカウント値に合うようにクロック周波数を上下させて変更する。
【0086】
続いて、第2パルス生成部125は、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したか否かを判定する(ステップS50)。ステップS50の処理の結果、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達していないと判定した場合(ステップS50のNo)、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値に1を加算した上で(ステップS51)、ステップS50の処理を再度実行する。
【0087】
一方、第2カウンタのカウント値が1制御周期相当のカウント値Ctに達したと判定した場合(ステップS50のYes)、第2パルス生成部125は、制御指示信号を生成し、当該制御指示信号を第2制御部127に出力する。しかる後、第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値をリセットし(ステップS52)、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されて来る次のクロックに応じて、上記した一連の第4生成処理を再度実行する。なお、第1カウンタおよび第2カウンタに入力されるクロックのクロック周波数は、上記した一連の第4生成処理が一度終了したタイミングで基本値に戻すとしてもよいし、基本値に戻さずに、変更後の値のまま次の第4生成処理が実行されるとしてもよい。
【0088】
なお、
図6のステップS41~S44の処理に示すように、第4生成方法においても、第2パルス生成部125は、受信通知信号を受けることができずに1制御周期相当の時間が経過してしまった場合、あるいは、上記した入力間隔が最大許容遅延時間以上になってしまった場合、制御データを含む信号の消失や通信遅延が生じてしまっていると認識した上で、例外的に制御指示信号を生成して、これを出力することが可能である。つまり、制御データを含む信号の消失や通信遅延にも対応することが可能である。
【0089】
以上説明した第1~第4生成処理が第2パルス生成部125によって実行されることにより、受信無線機12は送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。
なお、本実施形態では、制御指示信号が出力されると、当該制御指示信号を受けた第2制御部127が遅延なく被制御機器3を制御する場合を想定しているが、第2制御部127が被制御機器3を制御するタイミングは、当該制御指示信号を受けたタイミングから遅延する場合もある。この場合の遅延時間(つまり、第2制御部127が制御指示信号を受けてから、実際に被制御機器3の制御を行うまでの時間)は、ハードウェアに起因した遅延時間であり、ほぼ一定とみなすことができる。この場合、1制御周期には、上記した第3時間と、上記した第4時間と、上記した遅延時間とが含まれるため、上記した1制御周期相当のカウント値Ctを、当該カウント値Ctから当該遅延時間を減算したカウント値Ct’に置き換えることにより、上記した第1~第4生成処理を実行することが可能である。なお、カウント値Ct’はカウント値Ctと近似していることから、1制御周期相当のカウント値と称されても構わない。
【0090】
以上説明した本実施形態によれば、無線装置1に含まれる、送信無線機11の第1パルス生成部111、第1データレジスタ113、第1パルス遅延部114、第1制御部115、第1無線モジュール116および第2データレジスタ117と、受信無線機12の第2無線モジュール121、第3データレジスタ122、第4データレジスタ124、第2パルス生成部125、第2パルス遅延部126および第2制御部127とは、ハードウェアによって構成され、各種割り込み処理の影響を受けない構成になっている。このため、本実施形態に係る無線装置1においては、第1パルス生成部111が受信開始信号を出力してから、第2パルス生成部125が受信通知信号を受けるまでにかかる第3時間をほぼ一定にすることが可能であり、当該第3時間が制御周期毎に分散してしまうことを抑制することが可能である。つまり、送信無線機11と受信無線機12との同期精度が制御周期毎に分散し、劣化してしまうことを抑制することが可能である。
【0091】
また、第3時間をほぼ一定にすることが可能になることにより、第2パルス生成部125は、上記した第1~第4生成処理を実行することが可能となる。これによれば、受信無線機12は送信無線機11との間で、さらなるタイミング同期を図ることが可能であり、無線装置1に含まれる送信無線機11と受信無線機12との制御タイミングの同期精度の劣化をさらに抑制することが可能である。
【0092】
以上説明した本実施形態においては、送信無線機11は、被制御機器3の動作を制御するために使用される制御データを受信無線機12に送信するとしたが、これに限定されず、送信無線機11は、空データ(空パケット)を受信無線機12に送信するとしてもよい。この場合、受信無線機12は、動作制御に使用する制御データがないので被制御機器3の動作を制御することはできないものの、空データの受信に応じて受信通知信号を出力することで、上記した第1~第4パルス生成処理を実行することが可能であり、送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。
【0093】
また、以上説明した本実施形態においては、送信無線機11が一つの受信無線機12に対して制御データを含む信号を送信する場合を例示したが、これに限定されず、送信無線機11は複数の受信無線機12に対して制御データを含む信号を送信し、複数の受信無線機12とのタイミング同期を図ることも可能である。この場合、送信無線機11と各受信無線機12との間においては、通信方式として、ユニキャストまたはブロードキャストが使用されることが望ましい。通信方式としてユニキャストが使用される場合、送信データの消失や通信遅延が生じた場合に、当該送信データの再送(つまり、制御データを含む信号の再送)を行うことが可能である。
【0094】
送信無線機11と複数の受信無線機12との制御タイミングが同期されると、例えば、第1受信無線機12aに所定の制御を実行させたXクロック後に第2受信無線機12bに所定の制御を実行させ、第2受信無線機12bに所定の制御を実行させたYクロック後に第3受信無線機12cに所定の制御を実行させるなど、複数の受信無線機12を利用した協調動作を実現させることが可能である。
【0095】
さらに、以上説明した本実施形態においては、送信無線機11が、1制御周期に1回、制御データを含む信号を受信無線機12に送信する場合を例示したが、これに限定されず、送信無線機11は、1制御周期に複数回、制御データを含む信号を受信無線機12に送信するとしてもよい。なお、1制御周期に複数回制御データを含む信号を送信することは、制御データを含む信号の消失や通信遅延の発生に伴う再送のために行われてもよいし、制御データを含む信号の消失や通信遅延の発生とは関係なく行われてもよい。
【0096】
送信無線機11が、1制御周期に複数回、制御データを含む信号を受信無線機12に送信する場合、受信無線機12は、例えば、以下に示す方法により送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。
【0097】
受信無線機12の第2パルス生成部125は、第1カウンタおよび第2カウンタのカウント値を参照することで、今回入力された受信通知信号が、今回の1制御周期における何回目に送信された制御データを含む信号に対応する受信通知信号であるかを認識することが可能である。このため、例えば、1制御周期に3回、制御データを含む信号が送信される場合であって、受信無線機12が2回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号を受信できた場合、第2パルス生成部125は、2回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号に対応する受信通知信号に基づく上記した第1~第4パルス生成処理を実行することで、送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。この場合、今回の1制御周期が開始されてから、2回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号に対応する受信通知信号を受けるまでにかかった時間が第3時間になり、1制御周期にかかる時間から当該第3時間を減算した時間が第4時間になる。以上のように、送信無線機11が、1制御周期に複数回、制御データを含む信号を受信無線機12に送信する場合、第2パルス生成部125は、複数回送信される制御データを含む信号のうち、最初に受信される制御データを含む信号の受信に応じて受信通知信号を生成する。
【0098】
一方、受信無線機12は、以下に示す方法でも、1制御周期に制御データを含む信号を複数回送信する送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。以下では、
図7を参照して、その方法について説明する。
【0099】
図7は、第2パルス生成部125が、品質評価部128a~128cおよび採用判断部129をさらに含んでいる構成を示している。品質評価部128は、送信無線機11が1制御周期において制御データを含む信号を送信する回数と同数だけ設けられる。
図7では、送信無線機11が、1制御周期に3回、制御データを含む信号を送信する場合に対応した構成を示している。なお、
図7では、第2パルス生成部125が品質評価部128a~128cおよび採用判断部129を含んでいる構成を例示したが、これに限定されず、品質評価部128a~128cおよび採用判断部129は、第2パルス生成部125とは別に設けられてもよい。
【0100】
品質評価部128aは、1回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号の受信タイミングと、当該1回目の制御データを含む信号の受信予想タイミングとの誤差を算出する。なお、受信予想タイミングは、制御周期のうち過去の複数の制御周期における周期開始信号の出力から制御データを含む信号を受信するまでの時間に基づいて推定される。つまり、1回目の制御データを含む信号の受信予想タイミングは、制御周期のうち過去の複数の制御周期における周期開始信号の出力から1回目の制御データを含む信号を受信するまでの時間に基づいて推定することが可能である。
算出された誤差は、採用判断部129に送られる。
【0101】
同様に、品質評価部128bは、2回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号の受信タイミングと、当該2回目の制御データを含む信号の受信予想タイミングとの誤差を算出する。算出された誤差は、採用判断部129に送られる。
【0102】
さらに、品質評価部128cは、3回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号の受信タイミングと、当該3回目の制御データを含む信号の受信予想タイミングとの誤差を算出する。算出された誤差は、採用判断部129に送られる。
【0103】
採用判断部129は、品質評価部128a~128cから出力された各誤差を受信すると、各誤差を比較し、最も小さい誤差に対応する制御データを含む信号の受信タイミングを、制御タイミングの同期に使用すると判断する。例えば、2回目の制御データを含む信号の受信タイミングが、受信予想タイミングとの誤差が最も小さく、制御タイミングの同期に使用すると判断された場合、第2パルス生成部125は、2回目の送信タイミングに送信された制御データを含む信号の受信に応じて生成される受信通知信号に基づく上記した第1~第4パルス生成処理を実行することで、送信無線機11とのタイミング同期を図ることが可能である。
【0104】
また、以上説明した本実施形態における受信通知信号は、第2無線モジュール121から第2データ処理部123に制御データが出力されたことを示すタイミング信号に代替されても構わない。この場合、第2無線モジュール121と第2データ処理部123との間には、上記した制御データの出力を検出し、タイミング信号を第2パルス生成部125に出力するための回路が配置されることが望ましい。これによれば、例えば、制御データのプリアンブルを受信できない場合などであっても、受信通知信号に相当するタイミング信号を出力することが可能である。
【0105】
図8は、本実施形態に係る無線装置1を備えたインバータシステムの概略構成例を示す図である。
図8に示すように、インバータシステムは、センサ機器2に相当する3相基準信号生成部2aと、送信無線機11および受信無線機12を備える無線装置1と、被制御機器3に相当するインバータのゲート基板3aと、を備えている。受信無線機12に含まれるPWM部127aは、第2制御部127に相当する。
【0106】
図8に示すインバータシステムにおいては、3相基準信号生成部2aにおいて生成される3相基準信号がセンサデータに相当し、当該3相基準信号に基づいて生成される制御データを含む信号が送信無線機11から受信無線機12に送信される。PWM部127aは、送信無線機11から送信されて来る信号に含まれる制御データを対象にしてパルス幅変調を行い、変調後の信号をインバータのゲート基板3aに出力する。インバータのゲート基板3aは無線装置1からの制御に応じて駆動される。なお、
図8に示すインバータシステムは、本実施形態に係る無線装置1を備えたシステムの一例であり、本実施形態に係る無線装置1は、種々様々なシステムに適用することが可能である。また、
図8では、一つの送信無線機11に対して三つの受信無線機12が設けられている場合を例示したが、送信無線機11と受信無線機12とが一対一になるように設けられても構わない。
【0107】
以上説明した一実施形態によれば、送信無線機11および受信無線機12の同期精度が劣化すること抑制し得る無線装置1および当該無線装置1を備えるインバータシステムを提供することが可能である。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1…無線装置、2…センサ機器、3…被制御機器、11…送信無線機、12…受信無線機、111…第1パルス生成部、112…第1データ処理部、113…第1データレジスタ、114…第1パルス遅延部、115…第1制御部、116…第1無線モジュール、117…第2データレジスタ、121…第2無線モジュール、122…第3データレジスタ、123…第2データ処理部、124…第4データレジスタ、125…第2パルス生成部、126…第2パルス遅延部、127…第2制御部。