(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】設置体設置装置、及び挟持ベース
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20231120BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20231120BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
F16B5/07 C
(21)【出願番号】P 2020115016
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-008924(JP,A)
【文献】実開昭59-148855(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に直線的に延設された一対の被挟持端縁部が、奥側に向けて形成された溝の前面開口部を挟んで対向配置された設置体設置部材と、
縦横の長さが異なっていて、ベース本体の長手方向の両端部に、前記各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝に配置される挟持部がそれぞれ延設された挟持ベースと、から成り、
前記溝における一対の被挟持端縁部の間に前記挟持ベースを配置させた後に、当該溝内で前面開口部を横切るようにして当該挟持ベースを回動させて、両端部の各挟持部を前記設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝内に配置させた状態で、前記各挟持部を前記各被挟持端縁部の背面側に付勢させる付勢手段を備え、
前記設置体設置部材の各被挟持端縁部の前面側に配置された設置体は、引寄せ連結手段を介して前記挟持ベースに引寄せ連結されることで、当該設置体と当該挟持ベースの各挟持部とで前記各被挟持端縁部を挟持する構成であることを特徴とする設置体設置装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記挟持ベースの長手方向の両端部に一体に設けられた弾性変形可能な付勢部で構成されて、当該付勢部は、前記各被挟持端縁部の背面側に設けられた変形誘起当接部に当接することで、弾性変形されることを特徴とする請求項1に記載の設置体設置装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記挟持ベースの裏面側に設けられ、当該挟持ベースの表側に向けて弾性変形可能であると共に、原形状に戻ろうとする復元力を有する弾性片で構成され、
前記挟持ベースは、前記回動により、前記各挟持部が前記被挟持端縁部の背面側の正規位置に配置される直前に、前記弾性片は、前記嵌着溝を形成する奥側の溝内側面である変形誘起当接部に部分当接することで、前記弾性片の弾性変形が開始されて、前記挟持部が前記正規位置に配置された状態では、当該弾性片は、その全体が前記変形誘起当接部に弾接することを特徴とする請求項1に記載の設置体設置装置。
【請求項4】
前記弾性片は、前記挟持部の背面に配置されて、前記ベース本体の長手方向の両端部に当該長手方向に延設されていると共に、当該挟持部の表側に向けて屈曲されて、当該屈曲部が前記変形誘起当接部に当接することで、前記表側に向けて弾性変形されることを特徴とする請求項3に記載の設置体設置装置。
【請求項5】
前記挟持ベースには、前記変形誘起当接部に当接して、当該挟持ベースの全体が、前記溝の奥側に移動するのを規制する奥側規制部が、前記弾性片に対して前面側に控えた位置に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の設置体設置装置。
【請求項6】
前記ベース本体の表面側における長手方向の両端各コーナー部には、前記挟持ベースの回動時において、前記一対の被挟持端縁部の各対向面に当接して、当該一対の被挟持端縁部の背面側に配置された各挟持部の当該配置状態を維持する自由回動防止部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の設置体設置装置。
【請求項7】
前記設置体設置部材は、前記一対の被挟持端縁部の延設方向を立設方向として立設されるポールから成り、前記挟持ベースは、前記付勢手段の付勢力により、自重落下が防止される構造であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の設置体設置装置。
【請求項8】
一方向に直線的に延設された一対の被挟持端縁部が、奥側に向けて形成された溝の前面開口部を挟んで所定間隔をおいて対向配置された設置体設置部材の当該前面開口部の手前側に、当該前面開口部を横切るようにして設置体を設置すべく、引寄せ連結手段により手前側に引き寄せることで、当該設置体とで前記一対の被挟持端縁部を挟持する挟持ベースであって、
ベース本体の長手方向の両端部に、前記各被挟持端縁部の背面に配置される挟持部がそれぞれ形成され、当該各挟持部の間に、前記引寄せ連結手段により前記設置体が連結固定される固定部が形成され、長手方向の長さは、前記前面開口部の開口幅よりも長いと共に、短手方向の長さは、前記前面開口部の開口幅よりも短かく形成され、
長手方向を前記一対の被挟持端縁部の延設方向に沿わせて、前記前面開口部に自身を配置させて、前記溝内で自身を回動させることで、当該溝の前面開口部を横切るようにして、長手方向の両端の前記各挟持部を前記各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝内に配置させた状態で、前記各被挟持端縁部の背面側に形成された変形誘起当接部に当接して自身全体を手前側に向けて付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする挟持ベース。
【請求項9】
前記付勢手段は、前記各挟持部の背面側に配置されて、自身の全体を表面側に向けて弾性変形可能であると共に、原形状に復元しようとする復元力を有する弾性片から成ることを特徴とする請求項8に記載の挟持ベース。
【請求項10】
前記弾性片の短手方向に沿った両側には、当該弾性片における前記変形誘起当接部に当接する箇所に対して表面側に控えた位置に、前記弾性片の最大変形量を規制する規制段部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の挟持ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に溝が形成された設置体設置部材の当該溝の開口部にボックス等の設置体を挟持ベースを介して設置するための設置体設置装置、及び挟持ベースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、配線用ポールにボックスを取着するのに、当該配線用ポールの長手方向に連続して形成された配線凹部の幅方向の両端部に形成された各係合溝部に、わん曲板状のボックス取付け部材を係止させ、当該ボックス取付け部材が自重落下しないように保持した状態で、当該ボックス取付け部材とボックスの底板部とをビスで螺合させることで、当該ボックス取付け部材を手前側に引き寄せて、配線用ポールにボックスを固定する構造が知られている。
【0003】
しかし、上記したボックスの取付構造では、ボックス取付け部材は、自重落下しないように作業者が手で保持していないと、ボックスの取付けができないので、当該ボックスの取付けが面倒である。また、配線用ボックスに対してボックス取付け部材を所定位置(ボックスの取付け位置)に配置するには、配線用ポールの軸方向の一端から前記配線凹部にボックス取付け部材を嵌め込んで、所定位置までスライドさせる必要があって、配線用ポールに対するボックス取付け部材の配置自体も面倒であった。
【0004】
一方、特許文献2に開示されているように、支持体1は、一対の係合部2の下方に弾性脚部6が形成され、各係合部2の幅は、溝形鋼からなる支持部材Sの開口幅よりも狭く、一対の係合部2の合体長は、前記開口幅よりも長く形成され、前記支持体1の一対の係合部2を支持部材Sの連続開口方向に沿わせて、前記弾性脚部6を所定量だけ圧縮変形させた状態で、当該支持体1を90°回動させて、支持部材Sの各リップ部Lに対して支持体1の各係合部2を弾接させて、支持部材Sに対し支持体1を所定位置に対してずれることなく固定配置している。
【0005】
しかし、支持体1の弾性脚部6を弾性復元力に抗して押し付けた状態を保持して、当該支持体1を90°回動させる操作は、回動操作の開始から終了に至る間の全てにおいて、支持体1を押し続ける必要があるため、器用さと大きな押付け力の双方が必要なやりにくい作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-8924号公報
【文献】実開昭63-156514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、設置体設置部材の長手方向に形成された溝の任意の位置に、挟持ベースを、その場で回動させて取着可能にして、設置体設置部材に対する設置体の設置作業を容易にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、一方向に直線的に延設された一対の被挟持端縁部が、奥側に向けて形成された溝の前面開口部を挟んで対向配置された設置体設置部材と、
縦横の長さが異なっていて、ベース本体の長手方向の両端部に、前記各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝に配置される挟持部がそれぞれ延設された挟持ベースと、から成り、
前記溝における一対の被挟持端縁部の間に前記挟持ベースを配置させた後に、当該溝内で前面開口部を横切るようにして当該挟持ベースを回動させて、両端部の各挟持部を前記設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝内に配置させた状態で、前記各挟持部を前記各被挟持端縁部の背面側に付勢させる付勢手段を備え、
前記設置体設置部材の各被挟持端縁部の前面側に配置された設置体は、引寄せ連結手段を介して前記挟持ベースに引寄せ連結されることで、当該設置体と当該挟持ベースの各挟持部とで前記各被挟持端縁部を挟持する構成であることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明において、設置体設置部材の長手方向に形成された溝の特定の位置に挟持ベースを介して設置体を設置するには、当該溝の前面開口部における前記特定位置において、前記溝内に挟持ベースを配置する。この状態で、当該挟持ベースを所定方向に回動させると、当該挟持ベースの長手方向の両端部に形成された各挟持部の一部が、設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面側に形成された嵌着溝に入り込むと共に、前記付勢手段の前面側に向けた付勢力により、各挟持部の一部は、前記各被挟持端縁部の背面に弾接することで、当該挟持ベースは、設置体設置部材の各被挟持端縁部に対して仮固定状態となって、当該溝の長手方向にずれなくなる。そして、挟持ベースを同方向に僅かに回動させると、挟持ベースの長手方向の両端部の各挟持部の全体は、前記付勢手段の付勢力により前面に付勢された状態で、設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝に嵌着されて、設置体設置部材の目的位置に挟持ベースが、前記溝の長手方向にスライドすることなく固定状態で取着される。
【0010】
上記の状態で、設置体設置部材の各被挟持端縁部の前面側に設置体を配置させて、引寄せ連結手段を介して当該設置体設置部材に取着された前記挟持ベースに対して設置体を引寄せ連結させると、当該設置体と当該挟持ベースの各挟持部とで前記設置体設置部材の各被挟持端縁部が挟持されて、当該設置体設置部材の目的位置に設置体が設置される。
【0011】
このように、請求項1の発明によれば、設置体設置部材の長手方向に形成された溝に対して挟持ベースをスライドさせることなく、当該溝における設置体の設置位置に挟持ベースの長手方向を、当該溝の形成方向に沿って配置した後に、当該挟持ベースを回動させるのみで、設置体設置部材の特定位置に挟持ベースを固定状態で取着できるので、当該挟持ベースを介して設置体設置部材に設置体を設置する作業を迅速に、しかも容易に行える。しかも、挟持ベースの長手方向の両端の挟持部の設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面に対する付勢手段の付勢力は、当該挟持ベースを回動させて、その両端の挟持部が設置体設置部材の嵌着溝に完全に嵌着される直前において開始され、当該付勢力が作用した状態で挟持ベースを回動させる角度は、僅かであるので、設置体設置部材に対する挟持ベースの取着作業も容易である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記付勢手段は、前記挟持ベースの長手方向の両端部に一体に設けられた弾性変形可能な付勢部で構成されて、当該付勢部は、前記各被挟持端縁部の背面側に設けられた変形誘起当接部に当接することで、弾性変形されることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、付勢手段は、挟持ベースの長手方向の両端部に一体に設けられた付勢部で構成され、設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面側に設けられた変形誘起当接部に前記付勢部が当接すると、当該付勢部の変形が誘起されるので、別体の付勢手段を用いたり、設置体設置部材の側に付勢手段を設ける場合に比較して、当該挟持ベースの取着操作が容易となる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記付勢手段は、前記挟持ベースの裏面側に設けられ、当該挟持ベースの表側に向けて弾性変形可能であると共に、原形状に戻ろうとする復元力を有する弾性片で構成され、
前記挟持ベースは、前記回動により、前記各挟持部が前記被挟持端縁部の背面側の正規位置に配置される直前に、前記弾性片は、前記嵌着溝を形成する奥側の溝内側面である変形誘起当接部に部分当接することで、前記弾性片の弾性変形が開始されて、前記挟持部が前記正規位置に配置された状態では、当該弾性片は、その全体が前記変形誘起当接部に弾接することを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明によれば、付勢手段は、挟持ベースの裏面側に一体に設けられた弾性片で構成されて、当該弾性片は、前記嵌着溝を形成する奥側の溝内側面である変形誘起当接部に部分当接することで弾性変形を開始して、前記挟持部が前記正規位置に配置された状態では、当該弾性片は、その全体が前記変形誘起当接部に弾接する構成であって、前記弾性片は、設置体設置部材の正規の位置に挟持ベースが取着配置される直前において、弾性変形を開始するため、当該弾性片の付勢力に抗して当該挟持ベースを回動させる角度は、僅かであるので、設置体設置部材に対する挟持ベースの取着が容易となる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記弾性片は、前記挟持部の背面に配置されて、前記ベース本体の長手方向の両端部に当該長手方向に延設されていると共に、当該挟持部の表側に向けて屈曲されて、当該屈曲部が前記変形誘起当接部に当接することで、前記表側に向けて弾性変形されることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明によれば、弾性片における表側に向けて屈曲した屈曲部が、設置体設置部材の側の変形誘起当接部に当接して、当該弾性片の弾性変形が誘起される構成であるので、挟持ベースを回動させて、その両端部の各挟持部を設置体設置部材の嵌着溝に挿入させる際に、当該弾性片と嵌着溝の奥側の溝内側面とが引っ掛からずに、当該嵌着溝に対する当該弾性片の挿入時に当該弾性片がスムーズに弾性変形する。よって、設置体設置部材の溝内において挟持ベースを無造作に回動させるのみで、当該挟持ベースの取着が可能となる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記挟持ベースには、前記変形誘起当接部に当接して、当該挟持ベースの全体が、前記溝の奥側に移動するのを規制する奥側規制部が、前記弾性片に対して前面側に控えた位置に配置されていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、設置体設置部材の所定位置に取着された挟持部材を奥側に押し付ける力が作用した場合には、前記奥側規制部が、設置体設置部材の側の変形誘起当接部に当接して、当該挟持ベースの奥側への移動量(後退量)が規制される。従って、弾性片の最大変形量が規制されて、当該挟持ベースと設置体とで、設置体設置部材の各被挟持端縁部は安定して挟持されて、設置体の設置状態が安定する。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記ベース本体の表面側における長手方向の両端各コーナー部には、前記挟持ベースの回動時において、前記一対の被挟持端縁部の各対向面に当接して、当該一対の被挟持端縁部の背面側に配置された各挟持部の当該配置状態を維持する自由回動防止部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明によれば、設置体設置部材の溝内に配置された挟持ベースを回動させて、当該設置体設置部材に取着させる際には、前記自由回動防止部は、当該設置体設置部材の対向する一対の被挟持端縁部の各対向面に当接して、当該挟持ベースの回動操作を容易にすると共に、挟持ベースの取着後においては、その両端の各自由回動防止部が、前記一対の被挟持端縁部の各対向面と対向配置されて、当該挟持ベースの回動を防止するので、設置体設置部材に対して挟持ベースの配置(取着)状態が維持される。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記設置体設置部材は、前記一対の被挟持端縁部の延設方向を立設方向として立設されるポールから成り、前記挟持ベースは、前記付勢手段の付勢力により、自重落下が防止される構造であることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明のように、設置体設置部材が、一対の被挟持端縁部の延設方向を立設方向として立設されるポールの場合には、当該ポールに挟持ベースを取着させた場合において、当該挟持ベースは、付勢手段の付勢力により前記被挟持端縁部の背面に押し付けられているため、自重により落下する恐れがない。よって、ポールに対するボックス等の設置体の設置作業が容易となる。
【0024】
請求項8の発明は、一方向に直線的に延設された一対の被挟持端縁部が、奥側に向けて形成された溝の前面開口部を挟んで所定間隔をおいて対向配置された設置体設置部材の当該前面開口部の手前側に、当該前面開口部を横切るようにして設置体を設置すべく、引寄せ連結手段により手前側に引き寄せることで、当該設置体とで前記一対の被挟持端縁部を挟持する挟持ベースであって、
ベース本体の長手方向の両端部に、前記各被挟持端縁部の背面に配置される挟持部がそれぞれ形成され、当該各挟持部の間に、前記引寄せ連結手段により前記設置体が連結固定される固定部が形成され、長手方向の長さは、前記前面開口部の開口幅よりも長いと共に、短手方向の長さは、前記前面開口部の開口幅よりも短かく形成され、
長手方向を前記一対の被挟持端縁部の延設方向に沿わせて、前記前面開口部に自身を配置させて、前記溝内で自身を回動させることで、当該溝の前面開口部を横切るようにして、長手方向の両端の前記各挟持部を前記各被挟持端縁部の背面側の嵌着溝内に配置させた状態で、前記各被挟持端縁部の背面側に形成された変形誘起当接部に当接して自身全体を手前側に向けて付勢する付勢手段を備えていることを特徴としている。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1の発明を「挟持ベース」の面から把握して表現したものであって、実質的な作用効果は、請求項1の発明と同一である。
【0026】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記付勢手段は、前記各挟持部の背面側に配置されて、自身の全体を表面側に向けて弾性変形可能であると共に、原形状に復元しようとする復元力を有する弾性片から成ることを特徴としている。
【0027】
請求項9の発明の作用効果は、請求項3の発明の作用効果と同等である。
【0028】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記弾性片の短手方向に沿った両側には、当該弾性片における前記変形誘起当接部に当接する箇所に対して表面側に控えた位置に、前記弾性片の最大変形量を規制する規制段部が設けられていることを特徴としている。
【0029】
請求項10の発明における「規制段部」は、請求項5の発明の「奥側規制部」に対応しており、請求項10の作用効果は、請求項5の作用効果と同等である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、設置体設置部材の長手方向に形成された溝に対して挟持ベースをスライドさせることなく、当該溝における設置体の設置位置に挟持ベースの長手方向を、当該溝の形成方向に沿って配置した後に、当該挟持ベースを回動させるのみで、設置体設置部材の特定位置に挟持ベースを固定状態で取着できるので、当該挟持ベースを介して設置体設置部材に設置体を設置する作業を迅速に、しかも容易に行える。しかも、挟持ベースの長手方向の両端の挟持部の設置体設置部材の各被挟持端縁部の背面に対する付勢手段の付勢力は、当該挟持ベースを回動させて、その両端の挟持部が設置体設置部材の嵌着溝に完全に嵌着される直前において開始され、当該付勢力が作用した状態で挟持ベースを回動させる角度は、極僅かであるので、設置体設置部材に対する挟持ベースの取着作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】(a),(b)は、挟持ベースVを介して配線用ポールPにボックスBが取付けられた状態の正面図、及び側面図である。
【
図3】配線用ポールPを構成する外筒体Aの横断面図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ挟持ベースVを前側及び背面側から見た斜視図である。
【
図5】(a)~(c)は、それぞれ挟持ベースVの平面図、正面図及び背面図である。
【
図6】(a),(b)は、それぞれ
図4(b)のX
1 -X
1 線及び
図4(c)のX
2 -X
2 線の断面図であり、(c),(d)は、それぞれ
図4(b)のY
1 -Y
1 線及びY
2 -Y
2 線の断面図である。
【
図7】(a),(b)は、それぞれ水平線Hに対して長手方向が50°で交差する状態で、外筒体Aの前面開口部32に挟持ベースVを配置した状態の正面図及び平面図である。
【
図8】(a),(b)は、それぞれ水平線Hに対して長手方向が30°で交差する状態で、外筒体Aの前面開口部32に挟持ベースVを配置した状態の正面図及び横断面斜視図である。
【
図9】(a),(b)は、それぞれ水平線Hに対して長手方向が20°で交差する状態で、外筒体Aの前面開口部32に挟持ベースVを配置した状態の正面図及び横断面斜視図である。
【
図10】外筒体Aの配線溝31の前面開口部32に挟持ベースVが正規配置された状態の正面図である。
【
図13】挟持ベースVが奥側に押し付けられた状態の
図10のZ
2 -Z
2 線拡大断面図である。
【
図14】配線用ポールPにボックスBが取付けられた状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明を配線用ポールPに実施した例を説明する。配線用ポールPは、住宅に給電するための架空電線を引き込み、ボックスBを介して前記架空電線を地中埋設された電線に接続するために、敷地内に立設されるものである。配線用ポールPは、周方向の一部に大きな凹状の配線溝31が軸方向に連続して形成された変則円筒状の外筒体Aと、横断面が当該外筒体Aよりも僅かに小さな相似形状に形成されて、当該外筒体Aに内挿される同じく変則円筒状の内筒体Dとから成る。外筒体Aに内筒体Dを所定長だけ内挿させて、互いに重なりあっている部分において、当該外筒体Aと内筒体Dとは、各筒体A,Dの直径方向に配置される2本の連結ボルト41及びナット42を介して連結される。外筒体Aにおける配線溝31の前面開口部32に、本発明に係る挟持ベースVが取着され、外筒体Aにおける配線溝31の前面開口部32に当該挟持ベースVを介してボックスBが取付けられる。なお、内筒体Dの配線溝43は、配線カバー44で覆われ、内筒体Dの上端部には、電線引込み部45aを備えたゴム製のキャップ45が嵌着され、内筒体Dにおける当該キャップ45の直下には、配線用ポールPを安定して立設支持させる引張ワイヤ46が連結されるバンド47が装着される。
【0033】
次に、
図3を参照して、挟持ベースVが取着される前記外筒体Aについて説明する。外筒体Aは、周方向の一部に断面等脚台形状となった配線溝31が、当該外筒体Aの内側に入り込んで凹状に形成されて、変則円筒状をなしている。外筒体Aの当該配線溝31の前面開口部32における幅方向の両端部には、一対の突出部33が当該外筒体Aの半径方向外方に突出して形成されている。当該突出部33の先端には、前記配線溝31の奥側底部の奥側平板部31aと平行な帯板状の一対の被挟持端縁板部34が当該外筒体Aの軸方向に沿って延設され、前記突出部33における各被挟持端縁板部34の背面側には、当該挟持ベースVの長手方向の両端部に形成された後述の挟持部2が嵌着状態で挿入される嵌着溝35が形成され、当該嵌着溝35の奥側の溝形成内面は、弧状に形成されて、当該挟持ベースVの後述の弾性片4が当接することで、当該弾性片4を弾性変形させる変形誘起当接部36となっている。当該被挟持端縁板部34の裏面側には、当該挟持ベースVの挟持部2が、弾性変形された前記弾性片4の復元力により押し付けられて当接する先鋭当接部37が前記嵌着溝35内に突出して形成されている。前記嵌着溝35の底面は、当該外筒体Aの略半径方向に沿った傾斜底面35aとなっている。
【0034】
前記一対の被挟持端縁板部34の内端面34aの間隔、即ち、前記配線溝31の前面開口部32の幅Wは、挟持ベースVのベース本体1の長手方向の寸法L
3 〔
図5(b)参照〕と対応している(同等である)。
【0035】
次に、
図4~
図6を参照して、前記外筒体Aの配線溝31の前面開口部32に配置されて、一対の被挟持端縁板部34の部分に取着され、当該外筒体Aの配線溝31の前面にボックスBを設置するための挟持ベースVについて説明する。挟持ベースVは、樹脂の射出成形により成形され、長方形厚板状のベース本体1の長手方向の両端部であって、板厚方向に沿った中央部に、外筒体Aの各嵌着溝35に挿入嵌着される各挟持部2がそれぞれ長手方向に延設され、当該ベース本体1の前面側において、当該ベース本体1の長手方向の両端の各端面と各挟持部2の前面との間に、前記外筒体Aの各被挟持端縁板部34が配置される段差部8が形成されている。当該挟持部2は、ベース本体1の幅を維持して、当該ベース本体1の長手方向に延設されているために、その全体形状は、正面視において、前記ベース本体1の短手方向を長手方向とする略長方形状になっていて、当該挟持部2には、前記外筒体Aの配線溝31の内部において挟持ベースVを回動させて、当該挟持部2を前記各嵌着溝35に挿入嵌着させる際に、正規の配置位置を超えて当該挟持ベースVが回動されるのを防止する回動防止部3が、ベース本体1の短手方向の一方に突出して設けられている。外筒体Aの配線溝31内に挟持ベースVを配置させた後に、当該挟持ベースVは、正面視で時計方向に回動させて、ベース本体1の長手方向の両端部の各挟持部2を、外筒体Aの各嵌着溝35に挿入嵌着させるので、前記回動防止部3は、挟持部2における回動方向の後側となる部分に、ベース本体1の短手方向に突出して設けられている。また、各挟持部2の裏面であって、挟持ベースVの長手方向の両端部は、当該挟持ベースVの短手方向の全長に亘って、外筒体Aの嵌着溝35の傾斜底面35aに配置可能とすべく、表側に向けて広がる傾斜端面2aとなっている。
【0036】
挟持ベースVの長手方向の寸法L1 は、配線溝31の前面開口部32の幅Wよりも長くなっていると共に、当該挟持ベースVの回動防止部3を含んだ短手方向の最大寸法L2 は、前面開口部32の幅Wよりも短くなっていて、挟持ベースVの長手方向を、配線溝31の形成方向、或いは一対の被挟持端縁板部34の延設方向に沿わせることで、挟持ベースVを配線溝31の前面開口部32に配置可能な寸法設計となっている。
【0037】
挟持ベースVにおける各挟持部2の背面側であって、その短手方向の中央部には、外筒体Aの配線溝31内に配置された当該挟持ベースVを時計方向に回動させて、当該挟持ベースVが最終配置位置に配置される直前に、外筒体Aのわん曲した変形誘起当接部36に対する当接を開始することで、当該挟持ベースVの表側に向けて弾性変形可能なわん曲形状をなす弾性片4がそれぞれ配置されている。即ち、各弾性片4は、外筒体Aの各嵌着溝35に挟持ベースVが取着された状態の横断面視において、外筒体Aの変形誘起当接部36と逆方向にわん曲されて(
図11参照)、ベース本体1の長手方向の両端部であって、しかもその短手方向の中央部に、当該ベース本体1の長手方向に沿って一体に形成されている。なお、挟持ベースVの正面視において、各挟持部2における背面側に前記弾性片4が配置される部分は、方形状の貫通孔5が形成されている。当該貫通孔5は、挟持部2の背面側に、自由端を有する弾性片4を型成形可能にするためのスライド型(図示せず)の抜き孔であるが、当該弾性片4が最大に弾性変形された場合に、挟持部2との干渉を回避させる空所の機能を有している。
【0038】
挟持ベースVにおける前記弾性片4の短手方向の両側には、外筒体Aの各嵌着溝35に当該挟持ベースVの各挟持部2が挿入嵌着されて、当該挟持ベースVが正規位置に配置された状態で、当該挟持ベースVが外筒体Aの軸心側に向けて押し付けられた際に、当該挟持ベースVの後退量を規制する規制段部6がそれぞれ配置されて、ベース本体1及び挟持部2に対してそれぞれ一体に形成されている。即ち、規制段部6は、弾性片4における外筒体Aの変形誘起当接部36に当接する部分を基準にして、挟持ベースVの前側に控えた位置に配置されている。即ち、当該弾性片4の前記当接部分に対して規制段部6の背面6a〔
図4(b)及び
図6(b)参照〕は、所定寸法Gだけ挟持ベースVの前側に配置されている。
【0039】
ベース本体1における各挟持部2よりも前側に配置される部分の各コーナー部は、外筒体Aに対して挟持ベースVを回動して取着する際に、当該外筒体Aの一対の被挟持端縁板部34の内端面34aに当接して当該回動を容易にすると共に、当該挟持ベースVが外筒体Aの正規位置に配置された状態を維持するために、円弧状に面取りされて、自由回動防止部7となっている。ベース本体1の長手方向の中央部には、複数の円形の第1ビス下孔11が短手方向に一定間隔をおいて形成されており、各第1ビス下孔11の長手方向に沿った両側には、それぞれ複数の長孔状の第2ビス下孔12が形成されている。第1及び第2の各ビス下孔11,12は、表面側のみに開口され、裏面側(背面側)には、僅かの肉部が残された残肉部13を有する非貫通構造となっている。なお、ベース本体1の長手方向の両端部において、各自由回動防止部7の間に形成された凹部14は、前記貫通孔5と同様の型成形時におけるスライド型の抜き孔である。
【0040】
次に、
図7~
図13を参照して、配線用ポールPの外筒体Aの配線溝31の前面開口部32の部分に挟持ベースVを取着する順序について説明する。なお、
図7~
図13では、内筒体Dは、図示していない。外筒体Aの配線溝31の前面開口部32の幅Wに対する挟持ベースVの長手方向及び短手方向の各寸法L
1 ,L
2 は、上記した通りであるので、
図7に示されるように、挟持ベースVは、その長手方向を水平線Hに対して一定角度θ
1 以上にすると、配線溝31の前面開口部32の内部に入り込ませて配置可能となる。なお、
図7において、θ
1 は、50°である。この状態で、
図8に示されるように、挟持ベースVを時計方向に回動させて、θ
2 =30°になると、当該挟持ベースVの長手方向の両端部の各挟持部2の一部が、外筒体Aの配線溝31の前面開口部32に対向配置された各嵌着溝35にそれぞれ挿入されることで、当該挟持ベースVは、手前側に抜け出ない状態となるが、各弾性片4は、外筒体Aの各変形誘起当接部36に対して当接の寸前であって、当接していない。
【0041】
挟持ベースVを更に回動させて、
図9に示されるように、θ
3 =20°になると、挟持ベースVの各弾性片4は、外筒体Aの各変形誘起当接部36に対する当接が開始されて、当該各弾性片4の変形が誘起されることで、以降の挟持ベースVを回動させるのに必要な回動力は、直前まで比較して大きくなる。そして、挟持ベースVを更に回動させて、その長手方向が水平線Hに沿うと、
図10及び
図11に示されるように、各挟持部2における挟持ベースVの短手方向の両端の各回動防止部3が、それぞれ嵌着溝35の傾斜底面35aに僅かの隙間を有して近接することで、挟持ベースVの更なる回動は不能となって、当該挟持ベースVは、その各挟持部2が、外筒体Aの各嵌着溝35に挿入嵌着された状態で水平配置される。挟持ベースVの当該取着状態では、各弾性片4が外筒体Aの各変形誘起当接部36にそれぞれ当接して、手前側に向けて弾性変形されて挟持ベースVの各挟持部2は、外筒体Aの各被挟持端縁板部34の裏面に形成された各先鋭当接部37に弾接されること、及び各弾性片4が外筒体Aの変形誘起当接部36に当接することで発生する摺動抵抗が増大されることで、当該挟持ベースVは、自重により下方へスライドされることなく、即ち、自重落下されることなく、外筒体Aの目的位置に挟持ベースVが安定して取着される。
【0042】
上記において、挟持ベースVを時計方向に回動させて、外筒体Aに挟持ベースVを取着するのは、配線用ポールPの外筒体AにボックスBを設置する際に、当該外筒体Aに取着された挟持ベースVに対してビスJを螺回転させて、当該ボックスBの底板部25と当該挟持ベースVとを連結する際の当該ビスJの回転方向である右回転(時計方向の回転)により、外筒体Aに取着された挟持ベースVが逆方向に回動されて緩んだり、或いは外れたりするのを防止するためである。
【0043】
このように、外筒体Aの配線溝31の前面開口部32に対向配置された各嵌着溝35に対して挟持ベースVをスライドさせることなく、外筒体Aの配線溝31の形成方向に沿った特定位置において当該挟持ベースVを回動させることで、当該挟持ベースVを外筒体Aの前記特定位置に取着可能であるので、外筒体Aの当該配線溝31に沿った任意の位置に挟持ベースVを簡単に取着できる。
【0044】
なお、挟持ベースVを回動させて、その長手方向の両端部の各挟持部2が、外筒体Aの各嵌着溝35に嵌着される直前においては、当該挟持部2の傾斜端面2aと、嵌着溝35の傾斜底面35aとが互いに平行になって密着可能な状態となることで、前記弾性片4の復元力(付勢力)により、外筒体Aの嵌着溝35の外広がり状の傾斜底面35aに対して挟持ベースVの挟持部2の同じく外広がり状の傾斜端面2aが密着又は近接することで、挟持ベースVが前側に押し出され易くなり、この構造も、外筒体Aの各嵌着溝35に対する挟持ベースVの取着を容易にしている。
【0045】
このように、挟持ベースVの各弾性片4が外筒体Aの各変形誘起当接部36に当接することで、各弾性片4の復元力(付勢力)に抗して挟持ベースVを回動させる必要があるのは、挟持ベースVが正規の配置位置になる直前の僅かな角度のみである。ここで、「各弾性片4の復元力(付勢力)に抗して挟持ベースVを回動させる」とは、正確には、弾性片4の復元力(付勢力)により発生する当該弾性片4と変形誘起当接部36との摩擦力に抗して挟持ベースVを回動させることを意味する。このため、各弾性片4の復元力(付勢力)を利用して、外筒体Aに対して挟持ベースVを取着する構造であるが、外筒体Aに対して挟持ベースVを回動させて取着する操作は、大きな回動力、或いは微妙な操作を必要とせず、外筒体Aに対して挟持ベースVを無造作に回動させるのみでよいので、当該操作は容易である。
【0046】
また、外筒体Aの配線溝31の所定高さ位置に挟持ベースVが取着された後において、取着高さ位置が適正でないと分かった場合には、各弾性片4の復元力に抗して挟持ベースVを奥側に押し付けて、手前側の先鋭当接部37に対して挟持ベースVを僅かに離間させた状態で、当該弾性片4と変形誘起当接部36との摩擦力に抗して挟持ベースVを望みの位置までスライドさせて、前記押し付けを解除すると、当該挟持ベースVは、各弾性片4の復元力により僅かに手前側に戻されて、目的位置においてスライド落下することなく取着される。このように、弾性片4の復元力の大きさは、当該復元力により発生する当該弾性片4と変形誘起当接部36との摩擦力に抗して人の力で当該挟持ベースVを配線溝31に沿ってスライドさせられる大きさである。換言すると、弾性片4の復元力は、挟持ベースVを目的位置でスライド落下することなく保持できること、及び前記摩擦力に抗して挟持ベースVを配線溝31に沿ってスライドさせられることの二つの条件を同時に満たす大きさである。
【0047】
また、外筒体Aの目的位置に、挟持ベースVが自重で滑り落ちないように取着された状態では、
図12に示されるように、挟持ベースVの各挟持部2の裏面側において各弾性片4の両側に配置された各規制段部6は、外筒体Aの各変形誘起当接部36に対して僅かの隙間21を有して非接触となっている。そして、外筒体Aに取着された挟持ベースVに対して複数のビスJを用いてボックスBを取付ける場合等において、各弾性片4の復元力に抗して、当該挟持ベースVに対して奥側への押付け力Fが作用した場合には、
図13に示されるように、挟持ベースVの各規制段部6の背面6aが、外筒体Aの変形誘起当接部36に当接することで、これを超える挟持ベースVの奥側への移動が規制されると共に、挟持ベースVに対する奥側への押付け力が解除されると、各弾性片4の復元力により、当該挟持ベースVは、最前端の正規の配置位置に戻される。これにより、弾性片4の最大変形量が規制されて、外筒体Aの各嵌着溝35に挟持ベースVが安定して取着される。
【0048】
上記において、配線用ポールPを構成する外筒体Aに対する挟持ベースVの取着を原理的に説明したが、現実には、ボックスBを配線用ポールPの外筒体Aの部分に設置するには、
図14及び
図15に示されるように、当該外筒体AにおけるボックスBの設置位置に、当該ボックスBの高さ寸法に対応させた間隔をおいて、2本の挟持ベースVを取着させる。その後に、ボックスBの底板部25を外筒体Aの各被挟持端縁板部34の前面に当接させて、当該底板部25と、外筒体Aに取着された各挟持ベースVとをビスJを介して連結させる。ビスJは、挟持ベースVの第1又は第2のいずれかのビス下孔11,12に螺回転により螺着される。
【0049】
ボックスBの底板部25と2本の挟持ベースVとがビスJを介して連結された状態では、当該各挟持ベースVとボックスBの底板部25とで、対向配置された各被挟持端縁板部34が挟持されることで、配線用ポールPの目的位置にボックスBが取付けられる。外筒体Aに取着された挟持ベースVは、自重落下しない状態で取着されているので、ボックスBの設置作業が容易となる。また、ビスJの螺回転時において、挟持ベースVが奥側に押し付けられても、当該挟持ベースVは、前記寸法L
1 を超えて後退することはなく、しかもビスJの螺着後には、各弾性片4の復元力により、挟持ベースVは、最前端の正規位置に復帰するため、2本の挟持ベースVを介して配線用ポールPの外筒体AにボックスBをしっかりと設置できる。なお、
図14において、48は、外筒体Aの配線溝31に配置された電線を示す。
【0050】
本発明においては、挟持ベースVは、付勢手段により被挟持端縁板部34の背面側に付勢されることが不可欠であり、上記実施例では、当該付勢手段として、挟持ベースVに一体に設けられた弾性片4で構成されており、一体であるために、外筒体Aに対する取着操作が容易となり、しかも付勢手段として機能する部分の紛失の恐れのない利点がある。しかし、本発明における付勢手段は、被挟持端縁板部34の背面部に弾性片が設けられた構成、或いは挟持ベースV又は外筒体Aの側に設けられたバネであってもよい。
【0051】
上記実施例の規制段部6は、挟持ベースVの全体が配線溝31の奥側に一定以上移動するのを防止するための請求項5で特定される「奥側規制部」と、弾性片4の最大変形量を規制するための請求項10で特定される「規制段部」とを兼用しているが、個別に設けてもよい。
【0052】
本発明における設置体が設置される設置体設置部材は、上記実施例のように、垂直状態で立設される配線用ポールに限定されず、溝の前面開口部が上方又は側方を向いて水平配置されてもよい。設置体設置部材がどのように配置されても、当該設置体設置部材に一対の被挟持端縁部の延設方向に沿って連続して形成された溝の任意の部分に、挟持ベースをその場で回動させることで、従来構造のように、当該挟持ベースをスライドさせることなく、設置体設置部材の溝の任意の部分に設置体を設置できる。
【0053】
設置体設置部材に設置される設置体としては、地面に立設された配線用ポールPに設置されるボックスBの他に、設置体設置部材の溝の長手方向の所定位置に固定される基台と、当該基台に取付けられる被取付け体とから成る場合もあり、本発明によれば、設置体の基台を設置体設置部材の溝の長手方向の任意の位置に容易に取着できる。
【符号の説明】
【0054】
A:外筒体(配線用ポール)
B:ボックス(設置体)
D:内筒体(配線用ポール)
F:押付け力
G:規制段部の前面側への控え寸法
H:水平線
J:ビス(引寄せ連結手段)
L1 :挟持ベースの長手方向の寸法
L2 :挟持ベースの短手方向の最大寸法
L3 :ベース本体の長手方向の寸法
P:配線用ポール(設置体設置部材)
V:挟持ベース
W:前面開口部の幅
θ1 ~θ3 :水平線に対する挟持ベースの配置角度
1:ベース本体
2:挟持部
4:弾性片(付勢部材)
6:規制段部(奥側規制部)
6a:規制段部の背面
7:自由回動防止部
31:配線溝(溝)
32:前面開口部
34:被挟持端縁板部(被挟持端縁部)
34a:被挟持端縁板部内端面
35:嵌着溝
36:変形誘起当接部
37:先鋭当接部