(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】汚水排出システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20231120BHJP
E03F 3/02 20060101ALI20231120BHJP
E03C 1/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03F3/02
E03C1/00
(21)【出願番号】P 2020135686
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】益城 大介
(72)【発明者】
【氏名】西川 明輝
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078513(JP,A)
【文献】実開平07-025055(JP,U)
【文献】特開2004-092365(JP,A)
【文献】特開平06-306899(JP,A)
【文献】特開2016-077883(JP,A)
【文献】特開平10-266286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 - 1/33
E03F 1/00 - 11/00
E03C 1/00 - 1/10
E03D 1/00 - 7/00
E03D 11/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流端が汚水設備に接続された第1汚水管路と、
前記第1汚水管路の下流端に接続され、汚水の流路を切り替えることが可能な流路切替部材と、
上流端が前記流路切替部材に接続され、下流端が下水本管に接続された第2汚水管路と、
汚水が収容される収容体と、
を備え、
前記流路切替部材は、
前記第1汚水管路の下流端に接続された流入口と、前記第2汚水管路の上流端に接続された第1流出口と、建物内において予め決定された排出空間であって、汚水が排出可能な前記排出空間に向かって開口した第2流出口と、を有する中空の本体と、
前記流入口から前記第2流出口に汚水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、
を有し、
前記収容体は、前記第2流出口に連通する収容口と、前記収容口に連通し、かつ、前記第2流出口から流出した汚水が収容される収容空間と、が形成された収容本体を有し、前記排出空間内に配置され、
前記収容体は、前記収容空間の形状が変形可能に構成され
、
前記排出空間内において、前記収容体を覆うように配置された補強体を備えた、汚水排出システム。
【請求項2】
前記収容体は折り畳み可能に構成されている、請求項1に記載された汚水排出システム。
【請求項3】
前記排出空間を形成する前記建物の部材には、前記排出空間の外部から作業者を通過させることが可能な通過口が形成され、
折り畳まれた状態の前記収容体は
、前記建物の
前記通過口を通過可能に構成されている、請求項2に記載された汚水排出システム。
【請求項4】
前記収容体は袋体である、請求項1から3までの何れか1つに記載された汚水排出システム。
【請求項5】
前記収容体は、前記収容口が前記第2流出口に接続されるようにして前記本体に取り付けられている、請求項4に記載された汚水排出システム。
【請求項6】
前記収容体は、前記排出空間を形成する配管ピット内に配置されている、請求項1から
5までの何れか1つに記載された汚水排出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、建物内から排出された汚水を含む排水を下水本管へ排出するための排水設備が開示されている。上記排水設備は、建物内に配置され、建物内から排出された排水が流れる内部排水管と、少なくとも一部が建物の外に配置され、かつ、下水本管に接続された外部排水管とを備えている。
【0003】
外部排水管の上流部は、建物内に配置されており、内部排水管の下流部と外部排水管の上流部とは、着脱自在な継手によって接続されている。継手は、建物内で区画された空間に配置されており、当該空間は、内部排水管を流れる排水が排出される貯留槽として機能する。
【0004】
上記排水設備では、通常時、内部排水管を流れる排水は、継手を通じて外部排水管を流れて、下水本管に排出される。一方、下水本管などが破損した場合には、継手が内部排水管および外部排水管から取り外される。よって、下水本管などが破損した場合には、内部排水管を流れる排水は、建物内に区画された空間である貯留槽に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建物内に区画された空間である貯留槽に排水が排出された後、貯留槽を原状回復するために、貯留槽の清掃が行われる。貯留槽には、例えばトイレから排出された便などの汚物が含まれる。そのため、貯留槽に貯留された汚物を含む排水をバキューム装置などで吸い上げた後、貯留槽の内部を殺菌消毒する。このように、上記排水設備では、建物内に区画された空間に排水を排出した後、当該空間を原状回復するために要する清掃の手間、および、清掃コストが増大するおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、汚水が排出された空間を原状回復するための清掃の手間を省くと共に、清掃コストを抑えることが可能な汚水排出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る汚水排出システムは、第1汚水管路と、流路切替部材と、第2汚水管路と、収容体とを備えている。前記第1汚水管路は、上流端が汚水設備に接続されている。前記流路切替部材は、前記第1汚水管路の下流端に接続され、汚水の流路を切り替えることが可能なものである。前記第2汚水管路は、上流端が前記流路切替部材に接続され、下流端が下水本管に接続されている。前記収容体には、汚水が収容される。前記流路切替部材は、中空の本体と、切替手段とを有している。前記本体は、前記第1汚水管路の下流端に接続された流入口と、前記第2汚水管路の上流端に接続された第1流出口と、建物内において予め決定された排出空間であって、汚水が排出可能な前記排出空間に向かって開口した第2流出口と、を有している。前記切替手段は、前記流入口から前記第2流出口に汚水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能なものである。前記収容体は、前記第2流出口に連通する収容口と、前記収容口に連通し、かつ、前記第2流出口から流出した汚水が収容される収容空間と、が形成された収容本体を有し、前記排出空間内に配置されている。前記収容体は、前記収容空間の形状が変形可能に構成されている。
【0009】
前記汚水排出システムによれば、例えば汚水設備から下水本管に汚水を排出させないとき、流路切替部材の切替手段を第2の切替位置に配置する。このとき、汚水設備から排出された汚水は、第1汚水管路を流れ、第2流出口から建物内の排出空間に向かって排出される。本発明では、第2流出口は、収容体の収容口と連通している。そのため、第2流出口から流出した汚水は、排出空間に直接排出されずに、収容体内に排出される。よって、排出空間を原状回復する際には、汚水が収容された収容体自体を廃棄すればよいため、排出空間を原状回復するための清掃の手間を省くと共に、清掃コストを抑えることができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記収容体は折り畳み可能に構成されている。
【0011】
上記態様によれば、収容体を使用する前において、収容体を折り畳まれた状態で保管することができる。よって、収容体を保管するためのスペースを小さくすることができる。また、折り畳まれた状態で収容体を持ち運ぶことができるため、収容体を持ち運び易い。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、折り畳まれた状態の前記収容体は、前記排出空間を形成する前記建物の部材に形成され、かつ、前記排出空間の外部から作業者を通過させることが可能な通過口を通過可能に構成されている。
【0013】
上記態様によれば、通過口の大きさは、折り畳まれていない状態の収容体を通過させる程度の大きさではなく、折り畳まれた状態の収容体を通過させる程度の大きさであればよい。よって、通過口の大きさを比較的に小さくすることができる。また、通過口は、折り畳まれた状態の収容体が通過する専用のものではなく、作業者が排出空間に入るためのものとして使用されることができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記収容体は袋体である。
【0015】
上記態様によれば、収容体をコンパクトに保管することができる。また、収容体に汚水を収容する際、収容体に収容される汚水の量が多くなるほど、収容体が膨らむ。よって、収容体に収容される汚水の量が少ない場合には、排出空間に占める収容体の割合を小さくすることができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記収容体は、前記収容口が前記第2流出口に接続されるようにして前記本体に取り付けられている。
【0017】
上記態様によれば、収容体が第2流出口に取り付けられていることで、第2流出口から流出した汚水が、収容体の外に漏れ難くすることができる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記汚水排出システムは、前記排出空間内において、前記収容体を覆うように配置された補強体を備えている。
【0019】
上記態様によれば、収容体は補強体によって補強されている。よって、収容体に汚水が収容された際に、収容体が破損し難くすることができる。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記収容体は、前記排出空間を形成する配管ピット内に配置されている。
【0021】
配管ピットによって排出空間が形成されている場合、排出空間には、例えば汚水が流れる管路以外の管路が配置されている。仮に配管ピットによって形成された排出空間に、第2流出口から流出した汚水が直接排出されると、排出空間に配置された管路に汚水が付着することがあり得る。この場合、汚水が付着した管路を清掃するために、当該管路を殺菌消毒したり、新しい管路に交換したりするため、清書の手間や清掃のコストが増大する。しかしながら、上記態様によれば、第2流出口から流出した汚水は、配管ピットによって形成された排出空間には直接排出されず、収容体に排出される。よって、排出空間に配置された管路に対して行われる清掃の手間を省くことができると共に、清掃のコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、汚水が排出された空間を原状回復するための清掃の手間を省くと共に、清掃コストを抑えることが可能な汚水排出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る汚水排出システムを示す正面図である。
【
図3】
図2のIII-III断面における流路切替部材の正面断面図である。
【
図5】他の実施形態に係る汚水排出システムを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る汚水排出システムの一実施形態について説明する。ここで説明される一実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
【0025】
図1は、本実施形態に係る汚水排出システム1を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る汚水排出システム1は、汚水設備2から排出された汚水を下水本管8に排出するシステムである。
【0026】
ここで、「汚水」とは、例えばトイレ、風呂および台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流できないものである。汚水設備2は、汚水を排出する設備のことである。汚水設備2として、例えばトイレ、風呂および台所の流し台などが挙げられる。
【0027】
本実施形態では、汚水設備2は、建物3内に設置されている。ここで、建物3とは、少なくとも床と壁と天井を有する建築物のことを指している。建物3には、例えば住宅、商業施設、工場、校舎および倉庫などが含まれる。建物3は、1つまたは複数の階を有している。なお、
図1では、建物3に設置されている汚水設備2として1つが図示されているが、建物3に設置されている汚水設備2の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0028】
本実施形態に係る建物3には、配管ピット4が設けられている。例えば建物3の床下などには、複数の区画された空間が設けられている。配管ピット4は、複数の区画された空間のうちの1つの空間のことである。配管ピット4は、例えば建物3の地下に設けられている。しかしながら、配管ピット4は、2階以上の何れかの階の床下に設けられてもよい。ここでは、建物3の床3aの一部は、配管ピット4の一部(ここでは上面)を構成している。
【0029】
本実施形態では、配管ピット4の内部の空間のことを排出空間5という。詳しい説明は後述するが、排出空間5は、汚水を排出可能な空間である。このように、汚水が排出可能な排出空間5は、建物3内において予め決定されている。すなわち、建物3には、区画された複数の空間が存在するが、複数の空間のうち汚水が排出可能な空間は、予め決定されている。本実施形態では、排出空間5は、配管ピット4に形成されているが、配管ピット4以外の建物3の区画された空間であってもよい。
【0030】
配管ピット4の排出空間5は、管路などを通すための空間であり、管路を構成する管や継手などが配置されている。排出空間5に配置されている管路として、例えば汚水が流れる管路10、ガスが流れる管路、または、水道の水が流れる管路などが挙げられる。
【0031】
以下の説明では、汚水排出システム1において、汚水設備2側を上流側といい、下水本管8側を下流側という。汚水は、汚水設備2から下水本管8に向かって流れ、上流から下流に向かって流れる。
【0032】
本実施形態では、
図1に示すように、汚水排出システム1は、管路10と、流路切替部材20と、収容体50とを備えている。以下、管路10、流路切替部材20、収容体50の順で説明する。
【0033】
管路10は、汚水設備2と下水本管8とを繋ぐものである。ここでは、管路10には、汚水設備2から排出された汚水が流れる。本実施形態では、管路10の一部は、建物3内に配置されており、管路10の他の一部は、地中に埋設されている。すなわち、管路10の全ての部分は、建物3内または地中に配置されている。ただし、管路10の少なくとも一部は、建物3内を除く地上に配置されていてもよい。
【0034】
管路10は、例えば複数の管と、複数の管を繋ぐ継手、または、ます、などから構成されている。本実施形態では、管路10は、第1汚水管路11と、第2汚水管路12とを有している。第1汚水管路11は、流路切替部材20よりも上流側に配置されている管路10の部分を構成している。第1汚水管路11の上流端は汚水設備2に接続されている。第1汚水管路11の下流端は流路切替部材20に接続されている。本実施形態では、第1汚水管路11は、建物3内に配置されている。ただし、第1汚水管路11の一部は、建物3の外部に配置されていてもよい。
【0035】
第2汚水管路12は、流路切替部材20よりも下流側に配置されている管路10の部分を構成している。第2汚水管路12は、第1汚水管路11よりも下流側に配置されている。第2汚水管路12の上流端は流路切替部材20に接続されている。第2汚水管路12の下流端は下水本管8に接続されている。本実施形態では、第2汚水管路12の上流部分は、建物3内に配置されており、第2汚水管路12における上流部分以外の部分は、地中に埋設されている。なお、図示は省略するが、第2汚水管路12の途中部分には、いわゆる公共ますが設けられていてもよい。
【0036】
流路切替部材20は、汚水の流路を切り替えることが可能な部材である。具体的には、流路切替部材20は、汚水設備2から排出された汚水を、下水本管8または上記の配管ピット4の排出空間5の何れかに向かって流すように汚水の流路を切り替えるものである。本実施形態では、流路切替部材20は、管路10の第1汚水管路11と第2汚水管路12との間に配置されており、建物3内に配置されている。ここでは、流路切替部材20は、配管ピット4の排出空間5に配置されている。流路切替部材20は、建物3の床3aに設けられている。
【0037】
本実施形態では、流路切替部材20は、床3aに吊り下げ支持されている。なお、流路切替部材20が床3aに吊り下げ支持される方法は特に限定されない。例えば床3aの下部には、吊り下げバンド61が取り付けられている。流路切替部材20は、吊り下げバンド61に支持され、吊り下げバンド61を介して床3aに設けられている。また、本実施形態では、床3aの下部には、吊り下げバンド61と同様の吊り下げバンド62が取り付けられている。管路10の第1汚水管路11および第2汚水管路12は、吊り下げバンド62によって支持されている。すなわち、第1汚水管路11および第2汚水管路12は、床3aに吊り下げ支持されている。本実施形態では、吊り下げバンド61、62は、金属製であるが、吊り下げバンド61、62を形成する材料は特に限定されない。
【0038】
なお、流路切替部材20、第1汚水管路11および第2汚水管路12は、床3aに吊り下げ支持されておらず、床3aに載置されていてもよい。
【0039】
次に、流路切替部材20の構成について説明する。本実施形態では、流路切替部材20は、内部を点検することが可能な「ます」によって実現されている。ただし、流路切替部材20は、例えば継手によって実現されてもよい。
【0040】
図2は、流路切替部材20の平面図である。
図3は、
図2のIII-III断面における流路切替部材20の正面断面図である。
図4は、流路切替部材20の側面図であり、第1流出口33側から見た図である。
図2に示すように、流路切替部材20は、本体21と、蓋体22とを備えている。
図4に示すように、本体21は、中空の部材であり、上部が拡径した略筒状に形成されている。
図3に示すように、本体21には、点検口31、流入口32、第1流出口33および第2流出口34が形成されている。
【0041】
点検口31は、本体21の上部に形成されており、上方に向かって開口している。作業者は、点検口31を通じて本体21の内部などを点検する。
図1に示すように、点検口31には、点検筒36が接続されている。点検筒36の上端には、蓋37が着脱自在に嵌め込まれている。蓋37によって点検筒36が閉じられていることで、汚水から発生する悪臭が点検口31を通じて外部に漏れることを抑制することができる。
【0042】
図1および
図3に示すように、流入口32は、本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。流入口32には、第1汚水管路11の下流端が接続されている。第1流出口33は、本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。ここでは、第1流出口33は、流入口32と対向しており、流入口32の反対側に配置されている。第1流出口33には、第2汚水管路12の上流端が接続されている。第2流出口34は、本体21の底部に形成されており、下方に向かって開口している。
図1に示すように、第2流出口34は、配管ピット4の排出空間5に向かって開口している。
【0043】
なお、流入口32、第1流出口33および第2流出口34における本体21に対する形成位置は特に限定されない。流入口32および第1流出口33は、例えば本体21の底部に形成され、下方に向かって開口していてもよい。第2流出口34は、例えば本体21の側部に形成され、側方に向かって開口していてもよい。
【0044】
図3に示すように、蓋体22は、本体21内における汚水の流路を切り替える部材である。本実施形態では、蓋体22は、切替手段の一例である。蓋体22は、本体21に対して着脱自在に設けられている。本実施形態では、本体21の第2流出口34に着脱自在に設けられている。
【0045】
本実施形態では、流入口32から第2流出口34に汚水が流れず、流入口32と第1流出口33とを連通させるように、蓋体22を本体21に配置することができる。このときの蓋体22の位置が、「第1の切替位置」に対応する。本実施形態における第1の切替位置は、蓋体22を第2流出口34に嵌め込んだ位置である。第1の切替位置のとき、第2流出口34は閉鎖される。
【0046】
また、本実施形態では、流入口32から第1流出口33に汚水が流れず、流入口32と第2流出口34とを連通させるように、蓋体22を配置することができる。このときの蓋体22の位置が、「第2の切替位置」に対応する。本実施形態における第2の切替位置は、蓋体22を本体21から取り外したときの位置である。第2の切替位置のとき、第1流出口33および第2流出口34は、開放されている。
【0047】
図3に示すように、蓋体22は、蓋本体41と、取っ手42と、嵌合凸部43とを備えている。
図2に示すように、蓋本体41は、蓋体22を第2流出口34に装着したときに、流入口32から第1流出口33へと繋がる流路を形成する底面45を有している。底面45は、流入口32の底と、第1流出口33の底と滑らかに連続するように、断面略Cの字状に形成されている。
図3に示すように、取っ手42は、蓋本体41の上端から上方に延びるようにして蓋本体41に設けられている。
図2に示すように、取っ手42は、蓋本体41の2つの上端に架け渡されている。
【0048】
図3に示すように、嵌合凸部43は、第2流出口34を閉鎖すべく、第2流出口34に嵌合可能な部位である。嵌合凸部43は円筒状に形成されている。本実施形態では、嵌合凸部43の外周面には、ゴム製のシール部材44が設けられている。シール部材44は、環状のものである。このシール部材44によって、第2流出口34と、蓋体22の嵌合凸部43との間のシール性を向上させることができる。
【0049】
次に、
図1に示す収容体50について説明する。収容体50は、汚水が一時的に収容されるものである。本実施形態では、流路切替部材20の蓋体22の位置を第2の切替位置にして第2流出口34を開放したとき、汚水設備2から排出された汚水は、流路切替部材20において第2流出口34から流出する。収容体50には、第2流出口34から流出した汚水が収容され、当該汚水が一時的に貯留される。
【0050】
収容体50は、建物3の配管ピット4内の排出空間5に配置されている。本実施形態では、流路切替部材20の蓋体22が第2の切替位置であり、第2流出口34から汚水が流出するとき、汚水は、排出空間5に直接排出されずに、排出空間5を形成する配管ピット4を構成する部材に付着し難い。
【0051】
収容体50は、流路切替部材20の本体21に取り付けられている。なお、収容体50の構成は特に限定されない。本実施形態では、
図1に示すように、収容体50は、収容本体51を有している。収容本体51は、中空のものである。収容本体51の内部の空間のことを収容空間52という。収容本体51には、収容口53が形成されている。収容口53は、収容空間52と連通している。本実施形態では、収容体50は、第2流出口34に直接接続されており、詳しくは第2流出口34に収容口53が接続されている。第2流出口34と収容口53とは連通している。第2流出口34から流出する汚水は、収容口53を通じて収容空間52に排出される。
【0052】
なお、収容体50を本体21に取り付ける構成は特に限定されない。本実施形態では、例えば第2流出口34を形成する本体21の部分を、収容口53を形成する収容本体51の部分で覆う。そして、接着層を有するテープを使用して、本体21に収容体50を接着固定する。
【0053】
本実施形態では、収容体50の収容空間52の形状が変形可能に構成されている。言い換えると、収容空間52を形成する収容本体51の形状が、収容空間52に収容された汚水の量に応じて変形可能に構成されている。なお、収容体50の種類は特に限定されるものではない。本実施形態では、収容体50は、例えば袋体である。ここで袋体とは、内部に物が入っていないときには、袋体の自重で膨らんでおらず、内部に物が入ることで膨らむように構成されているものをいう。袋体の具体的な種類は特に限定されないが、袋体として、例えばボトムシール袋、サイドシール袋、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、パウチ状の袋、自立可能なスタンディングパウチ状の袋、チャック袋、真空成型袋、円形シール袋などが挙げられる。また、収容体50は、いわゆるフレキシブルコンテナバッグなどの化学繊維製の袋体であってもよい。
【0054】
収容体50は、収容空間52に汚水が収容されていないときには、収容本体51の自重で収容本体51は膨らんでおらず、収容空間52に汚水が排出されるにしたがって収容本体51が膨らむように構成されている。言い換えると、収容空間52に排出された汚水の量が多くなるにしたがって、収容本体51は膨らむように構成されている。本実施形態では、収容空間52には、汚水設備2から排出された数日間(例えば2、3日間)の汚水の量を収容可能である。例えば収容体50の収容空間52に収容可能な汚水の最大量は、配管ピット4の排出空間5に排出可能な汚水の最大量よりも少ない。ただし、収容空間52に収容可能な汚水の最大量は、排出空間に排出可能な汚水の最大量よりも多くてもよいし、排出空間に排出可能な汚水の最大量と同じであってもよい。
【0055】
本実施形態では、収容体50は、折り畳み可能に構成されている。収容体50は、収容空間52に収容されている汚水の量が少ない場合には、折り畳みが可能であり、よりコンパクトにまとめられることができる。ただし、収容体50は、複数の部材に分解可能なものであってもよい。例えば排出空間5に収容体50を入れるときには、分解された状態の収容体50が入れられ、排出空間5において収容体50が組み立てられてもよい。
【0056】
収容体50を形成する材料、言い換えると収容本体51を形成する材料は特に限定されない。本実施形態では、収容体50(ここでは収容本体51)は、樹脂によって形成されている。収容体50の収容本体51を形成する材料の一例として、例えば軟質ポリエチレンが挙げられる。また、収容体50(ここでは収容本体51)は、透明または半透明な材料で形成されていてもよいし、不透明な材料で形成されていてもよい。透明または半透明な材料で収容本体51が形成されることで、収容体50に収容されている汚水の量を目視で分かり易い。
【0057】
本実施形態では、
図1に示すように、建物3の配管ピット4には、通過口6が形成されている。通過口6は、排出空間5を形成する建物3の材料、ここでは配管ピット4の上面、すなわち配管ピット4を構成する床3aに形成されている。通過口6を通じて、配管ピット4の排出空間5と、配管ピット4の外部(例えば床3aの上方の空間)とが連通している。通過口6は、例えば流路切替部材20の点検口31よりも大きい。ただし、通過口6は、点検口31と同じ大きさでもよいし、点検口31よりも小さくてもよい。
【0058】
本実施形態では、通過口6は、排出空間5の外部(例えば床3aの上)から作業者を通過させることが可能なものである。通過口6は、いわゆるマンホールと同じ程度の大きさである。ただし、通過口6は、排出空間5の外部から作業者が手を通過させることが可能な程度の大きさであってもよい。作業者は、折り畳まれた状態の収容体50を、通過口6から配管ピット4の排出空間5に入れる。折り畳まれた状態の収容体50は、通過口6を通過可能に構成されている。
【0059】
本実施形態では、
図1に示すように、汚水排出システム1は、補強体55を備えていてもよい。補強体55は、収容体50を補強するものである。例えば収容体50に想定よりも多い汚水が収容されたり、排出空間5に鋭利な物体が誤って配置されていたり、汚水の中に鋭利な物体が混ざっていたりすると、収容体50が破損することがあり得る。そこで、補強体55によって収容体50を補強することで、収容体50が破損し難くすることができる。
【0060】
補強体55は、配管ピット4の排出空間5内において、収容体50を覆うように配置されている。補強体55は、排出空間5を形成する配管ピット4の底面に接していてもよいし、当該底面よりも上方に浮くように配置されて、排出空間5を形成する配管ピット4の天井などによって支持されていてもよい。補強体55の少なくとも一部は、収容体50の収容本体51と接触している。
【0061】
補強体55は、収容体50と同様に補強体55の形状が変形可能に構成されていてもよい。また、補強体55は、折り畳み可能に構成されていてもよいし、複数の部材に分解可能で、当該複数の部材が組み立てられるものであってもよい。例えば折り畳まれた状態の補強体55、または、複数の部材に分解された補強体55は、配管ピット4の通過口6を通過可能に構成されている。
【0062】
本実施形態では、補強体55は、上方に開口した容器状のものである。この場合、収容体50は、補強体55に収容される。例えば補強体55は、空気を入れることで膨らむことで容器状に形成されるものであり、いわゆるビニールプールのようなものである。ただし、補強体55の種類は特に限定されない。補強体55は、枠によって構成されており、一部に孔が形成されていてもよい。また、補強体55は、折り畳み可能な袋体であってもよい。袋体として、例えばフレキシブルコンテナバッグなどの化学繊維製のものが挙げられる。補強体55は、透明または不透明な材料で形成されていてもよいし、不透明な材料で形成されていてもよい。なお、補強体55は、省略することが可能であり、収容体50は補強体55よって覆われていなくてもよい。
【0063】
なお、補強体55は、収容体50と同じものであってもよい。例えば収容体50が軟質ポリエチレンで形成された袋体である場合、補強体55も軟質ポリエチレンで形成された袋体であってもよい。また、補強体55は、複数の補強部材を重ねたものであってもよい。例えば補強体55は、複数の袋体を重ねたものであってもよい。例えば2つ以上の複数の袋体を重ねた場合、最も内側の袋体が収容体50として機能し、最も内側以外の袋体が補強体55として機能する。
【0064】
以上、本実施形態に係る汚水排出システム1の構成について説明した。次に、汚水排出システム1の利用方法について説明する。汚水排出システム1は、通常時は汚水設備2から排出された汚水を下水本管8に排出する。一方、地震または津波などの災害が発生して、例えば下水本管8が破損したときには、汚水排出システム1は、流路切替部材20によって汚水の流路を切り替えて、汚水設備2から排出された汚水を収容体50に排出する。以下の説明では、通常時の使用態様を「通常時モード」といい、災害時の利用態様を「災害時モード」という。
【0065】
通常時モードでは、
図3に示すように、流路切替部材20の蓋体22の位置は、第1の切替位置であり、流路切替部材20の第2流出口34は蓋体22によって閉鎖されている。通常時モードでは、
図1に示すように、汚水設備2から排出された汚水は、第1汚水管路11を通じて、流路切替部材20の流入口32から本体21内に流入する。流路切替部材20の本体21内に流入した汚水は、第2流出口34を閉鎖している蓋体22の底面45を通り、第1流出口33から本体21の外へ流出する。第1流出口33から流出した汚水は、第2汚水管路12を通じて下水本管8に排出される。そして、下水本管8に排出された汚水は、下水処理場(図示せず)などに導かれて浄化処理される。
【0066】
災害時モードでは、流路切替部材20の蓋体22の位置は、第2の切替位置である。災害時モードでは、蓋体22が第2流出口34から取り外され、第2流出口34が開放される。蓋体22は、例えば以下のようにして取り外すことができる。まず、作業者は、流路切替部材20の点検口31に接続された点検筒36に嵌め込まれた蓋37を取り外す。次に、蓋体22の取っ手42を持って蓋体22を引き上げる。このことによって、流路切替部材20の第2流出口34が開放される。なお、取っ手42に手が届かない場合には、例えば先端にフックを有する棒状体などを使用して、当該フックを取っ手42に引っ掛けて蓋体22を引き上げてもよい。
【0067】
また、災害時モードのときには、流路切替部材20の本体21に収容体50を取り付ける。言い換えると、災害時モードのときには、第2流出口34から収容体50に汚水が排出されるように、収容体50を配管ピット4の排出空間5に配置する。収容体50は、例えば以下のようにして本体21に取り付けることができる。まず、作業者は、収容体50が通過口6を通過できる程度に、収容体50を折り畳む。次に、作業者は、折り畳まれた収容体50を通過口6に通過させて、収容体50を配管ピット4の排出空間5に入れ込む。このとき、折り畳まれた補強体55を通過口6から排出空間5に入れ込む作業が同時に行われてもよい。その後、作業者は、通過口6を通じて排出空間5の中に入り、収容体50を覆うように補強体55を配置し、収容体50の収容口53を第2流出口34に接続する作業を行う。ただし、作業者は、通過口6を通じて排出空間5に手のみを入れて、すなわち作業者の胴体などは排出空間5の外にある状態で、収容口53を第2流出口34に接続する作業が行われてもよい。このことで、収容体50を第2流出口34に接続することができる。
【0068】
災害時モードでは、汚水設備2から排出された汚水は、第1汚水管路11を流れた後、流路切替部材20の流入口32から本体21内に流入する。このとき、第2流出口34は開放されており、また、第2流出口34は本体21の下部に形成されているため、流路切替部材20の本体21に流入した汚水は、第1流出口33に到達する前に、第2流出口34から本体21の外へ流出する。第2流出口34から流出した汚水は、収容体50の収容口53を通じて、収容空間52に排出される。なお、収容体50の収容空間52に汚水が排出されるにしたがって、収容空間52の形状が変形しながら、収容本体51(言い換えると収容空間52)が膨らんでいく。
【0069】
なお、収容体50内の汚水を廃棄する場合には、例えば流路切替部材20の点検口31から、例えば吸引ホース(図示せず)を挿入し、当該吸引ホースを、第2流出口34を通じて収容体50の収容空間52に差し込む。その後、当該吸引ホースに接続された吸引装置(例えばバキュームカー)を駆動させて、収容空間52に収容された汚水を吸引する。このことで、収容空間52の汚水は、吸引ホースを通じて外部に排出されて、収容空間52から汚水が取り除かれる。収容空間52の汚水が取り除かれた後、収容体50を廃棄する。この場合、作業者は、通過口6を通じて排出空間5の中に入り、収容体50を第2流出口34から取り外す。なお、作業者は、排出空間5に手のみを入れ込んだ状態で、収容体50を第2流出口34から取り外してもよい。そして、収容体50を折り畳み、折り畳まれた収容体50を通過口6から配管ピット4の外へ取り出す。配管ピット4から取り出された収容体50は廃棄される。なお、補強体55は、配管ピット4の排出空間5に配置されたままであってもよいし、配管ピット4から取り出されてもよい。また、補強体55は、収容体50と共に廃棄されてもよいし、繰り返し使用されてもよい。
【0070】
なお、収容空間52に汚水が収容された状態で、収容体50を通過口6から取り出すことが可能な場合には、汚水が収容された状態の収容体50を第2流出口34から取り外してもよい。第2流出口34から取り外された収容体50は、汚水が収容された状態で通過口6から配管ピット4の外へ取り出される。そして、配管ピット4から取り出された収容体50は、汚水と共に廃棄される。
【0071】
以上、本実施形態では、
図1に示すように、汚水排出システム1は、第1汚水管路11と、流路切替部材20と、第2汚水管路12と、汚水が収容される収容体50とを備えている。第1汚水管路11は、上流端が汚水設備2に接続されている。流路切替部材20は、第1汚水管路11の下流端に接続され、汚水の流路を切り替えることが可能な部材である。第2汚水管路12は、上流端が流路切替部材20に接続され、下流端が下水本管8に接続されている。
図3に示すように、流路切替部材20は、本体21と、蓋体22とを有している。
図1に示すように、本体21は、第1汚水管路11の下流端に接続された流入口32と、第2汚水管路12の上流端に接続された第1流出口33と、建物3内において予め決定された排出空間5であって、汚水が排出可能な排出空間5に向かって開口した第2流出口34とを有し、中空のものである。蓋体22は、流入口32から第2流出口34に汚水が流れないように流入口32と第1流出口33とを連通させる第1の切替位置と、流入口32から第1流出口33へ汚水が流れないように流入口32と第2流出口34とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能なものである。収容体50は、排出空間5に配置されている。収容体50は、第2流出口34に連通する収容口53と、収容口53に連通し、かつ、第2流出口34から流出した汚水が収容される収容空間52と、が形成された収容本体51を有している。
【0072】
本実施形態によれば、災害時モードにおいて、汚水設備2から下水本管8に汚水を排出させないとき、流路切替部材20の蓋体22を第2の切替位置に配置し、流路切替部材20の第2流出口34を開放する。このとき、汚水設備2から排出された汚水は、第1汚水管路11を流れ、第2流出口34から建物3内の排出空間5に向かって排出される。ここでは、第2流出口34は、収容体50の収容口53と連通している。そのため、第2流出口34から流出した汚水は、排出空間5に直接排出されずに、収容体50内に排出される。よって、排出空間5を原状回復する際には、汚水が収容された収容体50自体を廃棄すればよいため、排出空間5を原状回復するための清掃の手間を省くと共に、清掃コストを抑えることができる。
【0073】
また、本実施形態では、収容体50は、収容空間52の形状が変形可能に構成されている。そのため、仮に排出空間5に、管路や作業者が使用する道具などが配置されている場合であっても、収容体50は、管路や道具などを避けるように形状を変化させて排出空間5に配置されることができる。
【0074】
本実施形態では、収容体50は折り畳み可能に構成されている。このことによって、収容体50を使用する前において、収容体50を折り畳まれた状態で保管することができる。よって、収容体50を保管するためのスペースを小さくすることができる。また、折り畳まれた状態で収容体50を持ち運ぶことができるため、収容体50を持ち運び易い。
【0075】
本実施形態では、折り畳まれた状態の収容体50は、排出空間5を形成する建物3の部材に形成され、かつ、排出空間5の外部から作業者を通過させることが可能な通過口6を通過可能に構成されている。ここで、通過口6の大きさは、折り畳まれていない状態の収容体50を通過させる程度の大きさではなく、折り畳まれた状態の収容体50を通過させる程度の大きさであればよい。よって、通過口6の大きさを比較的に小さくすることができる。また、通過口6は、折り畳まれた状態の収容体50が通過する専用のものではなく、作業者が排出空間5に入るためのものとして使用されることができる。
【0076】
本実施形態では、収容体50は袋体である。このことによって、収容体50をコンパクトに保管することができる。また、収容体50に汚水を収容する際、収容体50に収容される汚水の量が多くなるほど、収容体50が膨らむ。よって、収容体50に収容される汚水の量が少ない場合には、排出空間5に占める収容体50の割合を小さくすることができる。
【0077】
本実施形態では、収容体50は、収容口53が第2流出口34に接続されるようにして本体21に取り付けられている。このように、収容体50が本体21に取り付けられていることで、第2流出口34から流出した汚水が、収容体50の外に漏れ難くすることができる。
【0078】
本実施形態では、補強体55は、排出空間5内において、収容体50を覆うように配置されている。このことによって、収容体50は補強体55によって補強される。よって、収容体50に汚水が収容された際に、収容体50が破損し難くすることができる。
【0079】
本実施形態では、収容体50は、排出空間5を形成する配管ピット4内に配置されている。配管ピット4によって排出空間5が形成されている場合、排出空間5には、例えば汚水が流れる管路10以外の管路(例えばガスが流れるガス管路など)が配置されている。仮に配管ピット4によって形成された排出空間5に、第2流出口34から流出した汚水が直接排出されると、排出空間5に配置された上記ガス管路などに汚水が付着することがあり得る。この場合、汚水が付着した上記管路を清掃するために、当該管路を殺菌消毒したり、新しい管路に交換したりするため、清書の手間や清掃のコストが増大する。しかしながら、本実施形態では、第2流出口34から流出した汚水は、配管ピット4によって形成された排出空間5には直接排出されず、収容体50に排出される。よって、排出空間5に配置されたガス管路などに対して行われる清掃の手間を省くことができると共に、清掃のコストを抑えることができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、収容体50は袋体であったが、本発明の収容体は、袋体に限定されない。
図5は、他の実施形態に係る汚水排出システム1Aを示す正面図である。例えば
図5に示すように、汚水排出システム1Aは、収容体50Aを備えている。収容体50Aは、上方が開口した容器状のものである。収容体50Aは、空気を入れることで膨らむことが可能なものである。収容体50Aは、例えば空気を入れることで容器状に形成されるものである。収容体50Aは、いわゆるビニールプールのようなものである。
【0081】
本実施形態では、収容体50Aは、空気が入れられると容器状に形成される収容本体51Aを有する。容器状の収容本体51Aに囲まれた空間が収容空間52Aである。容器状の収容本体51Aにおける上方に開口した部分が収容口53Aである。また、本実施形態では、収容体50Aは、空気が抜かれたときに折り畳むことが可能なものである。なお、他の実施形態であっても、上記実施形態と同様に、収容体50Aは、補強体55によって覆われていてもよく、補強体55によって補強されていてもよい。
【0082】
本実施形態では、災害時モードのときには、第2流出口34から収容体50Aに汚水が排出されるように、収容体50Aを配管ピット4の排出空間5に配置する。ここでは、まず作業者は、収容体50Aが通過口6を通過できる程度に、収容体50Aを折り畳む。次に、作業者は、折り畳まれた状態の収容体50Aを通過口6に通過させて、配管ピット4の排出空間5に入れ込む。その後、作業者は、収容体50Aに空気を入れて、収容本体51Aを容器状にする。容器状に形成された収容体50Aは、第2流出口34の真下に収容口53Aが位置するように、配管ピット4の底面に載置される。このことで、災害時モードにおいて、第2流出口34から流出した汚水は、第2流出口34から落下し、収容体50Aの収容口53Aを通じて収容空間52Aに排出される。
【0083】
なお、収容体50A内の汚水を廃棄する場合には、上記実施形態の収容体50と同様に、上記吸引ホースおよび上記吸引装置を使用して、収容体50Aの収容空間52Aの汚水を吸引して取り除くとよい。収容空間52Aの汚水が取り除かれた後、収容体50Aを廃棄する際、作業者は、収容体50Aの空気を抜き、収容体50Aを折り畳む。そして、折り畳まれた状態の収容体50Aを通過口6から配管ピット4の外へ取り出す。配管ピット4から取り出された収容体50Aは廃棄される。
【0084】
本実施形態であっても、第2流出口34から流出した汚水は、排出空間5に直接排出されずに、収容体50A内に排出される。よって、排出空間5を原状回復する際、汚水が収容された収容体50A自体を廃棄すればよいため、排出空間5を原状回復するための清掃の手間を省くと共に、清掃コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1、1A 汚水排出システム
2 汚水設備
4 配管ピット
5 排出空間
6 通過口
11 第1汚水管路
12 第2汚水管路
20 流路切替部材
21 本体
22 蓋体(切替手段)
31 点検口
32 流入口
33 第1流出口
34 第2流出口
50、50A 収容体
51、51A 収容本体
52、52A 収容空間
53、53A 収容口
55 補強体