(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
F02M 37/08 20060101AFI20231120BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20231120BHJP
F02D 41/22 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
F02M37/08 J
F02M37/08 B
F02D45/00 345
F02D45/00 369
F02D41/22
(21)【出願番号】P 2020138989
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】居合 徹
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255563(JP,A)
【文献】特開2005-009398(JP,A)
【文献】特開2005-256738(JP,A)
【文献】特開2015-108314(JP,A)
【文献】特開2005-162212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/08 ~ 37/10
F02D 41/00 ~ 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、
加圧した高圧燃料を前記コモンレールに圧送する高圧ポンプと、
燃料タンクの燃料を前記高圧ポンプに供給する電動式の低圧ポンプと、
前記高圧ポンプに備えられ、前記高圧ポンプの燃料圧送量を調節する流量制御弁と、
電子制御ユニットと、
を備えた燃料噴射制御装置において、
前記電子制御ユニットは、
前記流量制御弁を制御することにより、前記コモンレール内の燃料圧力が目標値となる様にフィードバック制御を行う流量制御弁制御部と、
燃料温度と前記低圧ポンプに印加される電圧値とから前記低圧ポンプの吐出量を算出する吐出量算出部と、
燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を算出する吐出量低下分算出部と、
前記吐出量算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量と前記吐出量低下分算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量の低下分とから前記低圧ポンプの実際の吐出量である実吐出量を算出する実吐出量算出部と、
前記燃料噴射制御装置が必要とする前記低圧ポンプの吐出量である必要吐出量を算出する必要吐出量算出部と、
前記実吐出量が、前記必要吐出量を下回った時に前記低圧ポンプが異常であると判定する判定部と、
を含む、燃料噴射制御装置。
【請求項2】
前記吐出量低下分算出部は、前記燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を、前記燃料フィルタの新品時からの前記内燃機関の運転時間に基づき算出する、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項3】
前記吐出量低下分算出部は、前記燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を、前記内燃機関を搭載する車両における、燃料フィルタの新品時からの走行距離に基づき算出する、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項4】
前記高圧ポンプは、前記低圧ポンプから供給された燃料の一部を外部へ排出することにより、前記高圧ポンプへ供給される燃料の圧力を一定に保つオーバーフローバルブを備え、
前記必要吐出量は、前記流量制御弁制御部が算出する、前記流量制御弁を通過すべき燃料の量である第1の燃料量と、前記オーバーフローバルブから排出される燃料の量である第2の燃料量とを含む、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項5】
前記第2の燃料量は、予め定められた固定値である、請求項4に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項6】
前記電子制御ユニットは、前記判定部が、前記低圧ポンプが異常であると判定した場合、前記内燃機関の発生トルクを第1所定値以下に制限する第1制限処理を実行する処理部をさらに含む、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1制限処理の実行後、前記実吐出量が、前記第1制限処理における必要吐出量に所定のしきい値を加算した量を上回った場合、前記第1制限処理を停止する、請求項6に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記第1制限処理の実行後、前記実吐出量が、前記第1制限処理における必要吐出量に所定のしきい値を加算した量以下である場合、前記内燃機関の発生トルクを、前記第1所定値よりも低い第2所定値以下に制限する第2制限処理を実行する、請求項6に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項9】
内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、
加圧した高圧燃料を前記コモンレールに圧送する高圧ポンプと、
燃料タンクの燃料を前記高圧ポンプに供給する電動式の低圧ポンプと、
前記高圧ポンプに備えられ、前記高圧ポンプの燃料圧送量を調節する流量制御弁と、
電子制御ユニットと、
を備えた燃料噴射制御装置の制御方法であって、
流量制御弁制御部が、前記流量制御弁を制御することにより、前記コモンレール内の燃料圧力が目標値となる様にフィードバック制御を行う流量制御ステップと、
吐出量算出部が、燃料温度と前記低圧ポンプに印加される電圧値とから前記低圧ポンプの吐出量を算出する吐出量算出ステップと、
吐出量低下分算出部が、燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を算出する吐出量低下分算出ステップと、
実吐出量算出部が、前記吐出量算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量と前記吐出量低下分算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量の低下分とから前記低圧ポンプの実際の吐出量である実吐出量を算出する実吐出量算出ステップと、
必要吐出量算出部が、前記燃料噴射制御装置が必要とする前記低圧ポンプの吐出量である必要吐出量を算出する必要吐出量算出ステップと、
判定部が、前記実吐出量が前記必要吐出量を下回った時に前記低圧ポンプが異常であると判定する判定ステップと、
を含む、燃料噴射制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の気筒内に燃料噴射を行うための燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関に燃料を供給する装置として、蓄圧式燃料噴射制御装置が知られている。蓄圧式燃料噴射制御装置は、低圧ポンプ、高圧ポンプ、コモンレール、燃料噴射弁、電子制御ユニット(ECU)等を主たる要素として備えている。蓄圧式燃料噴射制御装置においては、燃料タンク内の燃料が低圧ポンプによって高圧ポンプに送られるとともに高圧ポンプによって加圧されてコモンレールに圧送され、コモンレールから燃料噴射弁に高圧燃料が供給される。そして、この状態で燃料噴射弁への通電制御を行うことにより、内燃機関に燃料を供給する。
【0003】
蓄圧式燃料噴射制御装置における低圧ポンプとしては、電気により駆動する、電動ポンプが用いられることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動式の低圧ポンプとして、バッテリあるいはオルタネータから印加される電圧により駆動し、運転中に吐出量の調節がなされることのない、比較的安価なタイプが用いられることがある。この様な低圧ポンプにおいては、バッテリあるいはオルタネータが劣化し、印加される電圧が低下すると、燃料の吐出量が低下する。また、低圧ポンプと高圧ポンプの間に配置された燃料フィルタの劣化により、通過する燃料に対する抵抗が増加し、低圧ポンプの吐出量が低下することがある。
【0006】
低圧ポンプの吐出量が低下すると、必要とする燃料が高圧ポンプに供給されない状況が発生しうる。その結果、コモンレール内部の燃料圧力(以下、レール圧とも称する)の制御の精度が低下する虞がある。また、高圧ポンプが燃料により潤滑されるタイプの場合、高圧ポンプ内部の潤滑が正しく行われず、高圧ポンプ内部の部品の摩耗が促進される虞がある。
【0007】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、蓄圧式燃料噴射制御装置において、低圧ポンプの吐出量が不足した場合に、これを検出することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る燃料噴射制御装置は、
内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、
加圧した高圧燃料を前記コモンレールに圧送する高圧ポンプと、
燃料タンクの燃料を前記高圧ポンプに供給する電動式の低圧ポンプと、
前記高圧ポンプに備えられ、前記高圧ポンプの燃料圧送量を調節する流量制御弁と、
電子制御ユニットと、
を備えた燃料噴射制御装置において、
前記電子制御ユニットは、
前記流量制御弁を制御することにより、前記コモンレール内の燃料圧力が目標値となる様にフィードバック制御を行う流量制御弁制御部と、
燃料温度と前記低圧ポンプに印加される電圧値とから前記低圧ポンプの吐出量を算出する吐出量算出部と、
燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を算出する吐出量低下分算出部と、
前記吐出量算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量と前記吐出量低下分算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量の低下分とから前記低圧ポンプの実際の吐出量である実吐出量を算出する実吐出量算出部と、
前記燃料噴射制御装置が必要とする前記低圧ポンプの吐出量である必要吐出量を算出する必要吐出量算出部と、
前記実吐出量が、前記必要吐出量を下回った時に前記低圧ポンプが異常であると判定する判定部と、
を含むものである。
【0009】
本発明に係る燃料噴射制御装置の制御方法は、
内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、
加圧した高圧燃料を前記コモンレールに圧送する高圧ポンプと、
燃料タンクの燃料を前記高圧ポンプに供給する電動式の低圧ポンプと、
前記高圧ポンプに備えられ、前記高圧ポンプの燃料圧送量を調節する流量制御弁と、
電子制御ユニットと、
を備えた燃料噴射制御装置の制御方法であって、
流量制御弁制御部が、前記流量制御弁を制御することにより、前記コモンレール内の燃料圧力が目標値となる様にフィードバック制御を行う流量制御ステップと、
吐出量算出部が、燃料温度と前記低圧ポンプに印加される電圧値とから前記低圧ポンプの吐出量を算出する吐出量算出ステップと、
吐出量低下分算出部が、燃料フィルタの劣化に起因する前記低圧ポンプの吐出量の低下分を算出する吐出量低下分算出ステップと、
実吐出量算出部が、前記吐出量算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量と前記吐出量低下分算出部により算出された前記低圧ポンプの吐出量の低下分とから前記低圧ポンプの実際の吐出量である実吐出量を算出する実吐出量算出ステップと、
必要吐出量算出部が、前記燃料噴射制御装置が必要とする前記低圧ポンプの吐出量である必要吐出量を算出する必要吐出量算出ステップと、
判定部が、前記実吐出量が前記必要吐出量を下回った時に前記低圧ポンプが異常であると判定する判定ステップと、
を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓄圧式燃料噴射制御装置において、新たな装置を追加することなく、燃料タンクの燃料を高圧ポンプへ供給する電動式の低圧ポンプの吐出量が不足した際に、これを素早く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る、燃料噴射制御装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る、低圧ポンプ2の特性を説明するための図である。
【
図3】燃料噴射制御装置を構成する電子制御ユニットのうち、本発明の実施に係る部分の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る、低圧ポンプ2の異常判定を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る、低圧ポンプ2の異常判定後の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。尚、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。また、それぞれの図中、同じ符号が付されているものは同一の要素を示しており、適宜説明が省略されている。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料噴射制御装置の全体構成を示している。本発明の実施に係る燃料噴射制御装置は、蓄圧式燃料噴射制御装置10である。蓄圧式燃料噴射制御装置10は、図示されない内燃機関の気筒内に燃料を噴射するための装置である。蓄圧式燃料噴射制御装置10は、内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁9と、前記燃料噴射弁9が接続されたコモンレール8と、加圧した高圧燃料を前記コモンレール8に圧送する高圧ポンプ7と、燃料タンク1の燃料を前記高圧ポンプ7に供給する電動式の低圧ポンプ2と、低圧ポンプ2と高圧ポンプ7の間に備えられた燃料フィルタ3と、レール圧制御や噴射制御等を実行する電子制御ユニット50とを備える。
【0014】
高圧ポンプ7は、内燃機関の駆動力によって駆動されるものであって、カム18が固定されたカムシャフト17は内燃機関のクランクシャフトに連結されている。この高圧ポンプ7は、プランジャ29の下降時に、燃料吸入弁27を介して低圧の燃料が加圧室12に供給される一方、カム18の回転によってプランジャ29が押し上げられたときに、加圧室12内の燃料が加圧され、燃料吐出弁28を介して高圧の燃料がコモンレール8へと圧送されるように構成されている。
【0015】
尚、本実施形態の蓄圧式燃料噴射制御装置10に備えられた高圧ポンプ7は、3組のプランジャ29及び加圧室12を備えて構成されているが、プランジャ29及び加圧室12の組の数は特に限定されない。
【0016】
また、高圧ポンプ7は、流量制御弁19を備える。流量制御弁19は、低圧ポンプ2と高圧ポンプ7の加圧室12とを接続する燃料通路31の途中に配置されており、加圧室12に供給する低圧の燃料の流量を調節するために備えられている。この流量制御弁19は、電子制御ユニット50によって通電制御が行われ、電流値に応じて燃料通過面積が比例的に変化する電磁比例制御弁が用いられている。すなわち、流量制御弁19に供給する電流値を制御することにより、加圧室12に供給する燃料の流量が調節されるようになっている。
【0017】
また、高圧ポンプ7は、流量制御弁19と加圧室12の間に、ゼロデリベリスロットル16を備える。本実施形態における蓄圧式燃料噴射制御装置10は、高圧ポンプ7の圧送量が零の場合であっても、少量の燃料が流量制御弁19を通過する。ゼロデリベリスロットル16は、この少量の燃料を高圧ポンプ7の外部へ排出する。
【0018】
さらに高圧ポンプ7は、高圧ポンプ7へ流入する燃料の圧力を一定に保つため、オーバーフローバルブ15を備える。オーバーフローバルブ15は、燃料通路31の、流量制御弁19よりも上流の部分から枝分かれする油路に配置される。オーバーフローバルブ15は、オリフィス13と、燃料の圧力がばねのセット力を上回ると開弁する機械式のバルブ14とを備える。
【0019】
オリフィス13を通過した燃料は、カム18及びカムシャフト17を収容するカム室へ流入し、カム18及びカムシャフト17等、カム周辺の部材の冷却及び潤滑に供され、高圧ポンプ7のリターン通路37から燃料タンク1へと排出される。
【0020】
バルブ14を通過した燃料の一部は、オリフィス13を通過した燃料と共にカム室へ流入し、それ以外の、バルブ14を通過した燃料は、ゼロデリベリスロットル16を通過した燃料と共に、上述した高圧ポンプ7のリターン通路37を通じて燃料タンク1へと排出される。
【0021】
尚、蓄圧式燃料噴射制御装置10の運転中は、常に燃料がオーバーフローバルブ15を通過するよう、低圧ポンプ2の吐出量が設定されている。また、高圧ポンプ7が燃料を圧送する際にも、ゼロデリベリスロットル16から燃料が排出されるが、その量は高圧ポンプ7の加圧室へ入る燃料に比べ、ごくわずかである。
【0022】
上記より、低圧ポンプ2から吐出された燃料(
図1においてAと表記)は以下の様に配分される。低圧ポンプ2から高圧ポンプ7へ供給された燃料は、流量制御弁19を通過する分と、オーバーフローバルブ15へ流入する分とに分かれる。オーバーフローバルブ15へ流入した燃料は、一部はカム室へ流入し(
図1においてBと表記)、残りは外部へ排出される(
図1においてCと表記)。
【0023】
流量制御弁19を通過した燃料は、大部分が加圧室12へ流入する一方、一部がゼロデリベリスロットル16を通過(
図1においてDと表記)した後、外部へ排出される。加圧室12へ流入した燃料は、大部分がコモンレール8へ圧送され(
図1においてFと表記)、一部はプランジャ29周囲の摺動部からカム室へ入る(
図1においてEと表記)。加圧室12からカム室へ入った燃料は、オーバーフローバルブ15を経てカム室へ流入した燃料と共に、カム周辺の冷却及び潤滑に供され、その後高圧ポン7のリターン通路37から燃料タンク1へと排出される。
【0024】
上記より、低圧ポンプ2から高圧ポンプ7へ供給される燃料(A)に対し、
A=B+C+D+E+F
の関係が成り立つ。
【0025】
コモンレール8は、レール圧センサ25及び圧力制御弁23を備える。レール圧センサ25は、コモンレール8内の燃料の圧力(レール圧)を検出し、電子制御ユニット50へ通知する。レール圧センサ25により検出されたレール圧は、電子制御ユニット50により実行されるレール圧制御に供される。
【0026】
また、圧力制御弁23は、コモンレール8内の高圧の燃料を低圧側に排出するためのものであり、排出される燃料はリターン通路38を介して燃料タンク1へと戻されるようになっている。この圧力制御弁23には、電子制御ユニット50によって通電制御が行われ、電流値に応じて開弁圧力が比例的に変化する電磁比例制御弁が用いられている。すなわち、圧力制御弁23に供給する電流値を制御することにより、保持可能なレール圧が調節されるようになっている。尚、圧力制御弁23の代わりに、所定の圧力に達すると開弁する、機械式の安全弁を用いてもよい。
【0027】
燃料噴射弁9は、噴射孔が設けられたノズルボディと、進退移動により噴射孔を開閉するノズルニードルとを備えている。燃料噴射弁9は、ノズルニードルの後端側に背圧を負荷することで噴射孔が閉じられる一方、負荷された背圧が逃されることで噴射孔が開かれる。燃料噴射弁9の背圧制御手段としては、ピエゾ素子が備えられた電歪型のアクチュエータや、電磁ソレノイド式のアクチュエータが用いられる。また、燃料噴射弁9において、噴射制御に利用された背圧燃料はリターン通路39を介して燃料タンク1へと戻される。
【0028】
電子制御ユニット50は、公知の構成のマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子を有し、燃料噴射弁9を駆動するための駆動回路や、流量制御弁19及び圧力制御弁23への通電を行うための通電回路を備える。また、電子制御ユニット50には、レール圧センサ25の検出信号が入力される他、内燃機関の回転数やアクセル開度、燃料温度などの各種の検出信号が、内燃機関の動作制御や燃料噴射制御のために入力されるようになっている。
【0029】
次に、本実施形態に係る低圧ポンプ2について説明する。本発明の実施に係る低圧ポンプ2は、印加される電圧値が調整されることがなく、吐出量の調整がなされることのないタイプである。また、
図1においては、低圧ポンプ2は燃料タンク1の内部に配置されているが、燃料タンク1の外に配置されていても構わない。
【0030】
図2は、低圧ポンプ2の特性を説明するための図である。
図2において、縦軸は低圧ポンプ2の単位時間当たりの燃料吐出量(l/h)、横軸は低圧ポンプ2の下流側の燃料圧力(Pa)、換言すれば、低圧ポンプ2と燃料フィルタ3の間の燃料圧力である。尚、以降の説明において、低圧ポンプ2の単位時間当たりの燃料吐出量(l/h)を、単に「低圧ポンプ2の吐出量」と称する場合がある。
【0031】
図2において、破線は、蓄圧式燃料噴射制御装置10が必要とする最低限の吐出量S(l/h)を示す。吐出量S(l/h)は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の仕様や、蓄圧式燃料噴射制御装置10が搭載される内燃機関の仕様により決定されるものである。すなわち、低圧ポンプ2の吐出量はS(l/h)を上回る必要がある。
【0032】
図2における実線、一点鎖線、及び二点鎖線はそれぞれ、異なる条件における、低圧ポンプ2の吐出量と、低圧ポンプ2の下流側、すなわち低圧ポンプ2と燃料フィルタ3の間の燃料圧力との関係を示す。実線は、低圧ポンプ2に印加される電圧が14V、燃料温度が40℃の場合を示す。一点鎖線は、低圧ポンプ2に印加される電圧が13V、燃料温度が40℃の場合を示す。二点鎖線は、低圧ポンプ2に印加される電圧が13V、燃料温度が80℃の場合を示す。
【0033】
図2において、実線、一点鎖線、及び二点鎖線は、全て低圧ポンプ2の下流側の圧力が高くなるにつれ、燃料吐出量が減少する特性を示している。これは、以下の理由によるものである。低圧ポンプ2の下流側に備えられた燃料フィルタ3が劣化すると、すなわち、燃料中の異物等の捕集量が増加することにより燃料フィルタ3における燃料の流通性が悪くなると、低圧ポンプ2と燃料フィルタ3の間の燃料圧力が増加し、低圧ポンプ2の燃料吐出に対する抵抗が増加する。低圧ポンプ2は出力の調整ができないため、抵抗が増加すると、吐出量が減少する。
【0034】
よって、低圧ポンプ2に対する印加電圧が14V、燃料温度が40℃の条件においては、低圧ポンプ2の特性は、燃料フィルタ3の劣化の程度に応じて、
図2の実線上を推移する。また、
図2の一点鎖線は、実線に対し、バッテリあるいはオルタネータの劣化により、低圧ポンプ2に印加される電圧が14Vから13Vへ減少した状態を示す。印加電圧が減少すると、低圧ポンプ2の吐出量は減少することから、一点鎖線は実線から下方へオフセットした箇所に位置することとなる。よって、低圧ポンプ2に対する印加電圧が13V、燃料温度が40℃の条件においては、低圧ポンプ2の特性は、燃料フィルタ3の劣化の程度に応じて、
図2の一点鎖線上を推移する。
【0035】
図2の二点鎖線は、一点鎖線に対し、運転条件により燃料温度が40℃から80℃へ上昇した状態を示す。燃料温度が上昇すると、燃料の粘性が低下することにより、低圧ポンプ2の圧送効率が低下することから、低圧ポンプ2の圧送量が低下し、二点鎖線は一点鎖線に対し、下方へオフセットした箇所に位置することとなる。よって、低圧ポンプ2に対する印加電圧が13V、燃料温度が80℃の条件においては、低圧ポンプ2の特性は、燃料フィルタ3の劣化の程度に応じて、
図2の二点鎖線上を推移する。
【0036】
図2の二点鎖線の条件において、地点a1は、燃料フィルタ3が新品の時の低圧ポンプ2の特性を示す。そして、燃料フィルタ3が劣化すると、低圧ポンプ2の特性は、
図2の二点鎖線上を右下へ移動してゆき、やがて地点a2に達する。この過程で低圧ポンプ2の特性は、蓄圧式燃料噴射制御装置10が必要とする最低限の吐出量S(l/h)を下回る。本発明により、低圧ポンプ2の吐出量がS(l/h)を下回る状態を早期に検出することができる。
【0037】
図3は、本発明に係る蓄圧式燃料噴射制御装置10を構成する電子制御ユニット50のうち、本発明の実施に係る部分の構成を示すブロック図である。電子制御ユニット50は、流量制御弁制御部500と、吐出量算出部510と、吐出量低下分算出部520と、実吐出量算出部530と、必要吐出量算出部540と、判定部550と、処理部560と、を備える。
【0038】
流量制御弁制御部500は、流量制御弁19を制御することにより高圧ポンプ7の燃料圧送量を調節し、コモンレール8内部の燃料の圧力(レール圧)が目標値となる様フィードバック制御を行う。本制御は従来から実施されている。
【0039】
吐出量算出部510は、燃料温度と低圧ポンプ2に印加される電圧値とから、低圧ポンプ2の吐出量(l/h)を算出する。燃料温度は、高圧ポンプ7の燃料入口付近で測定されることが一般的であるが、それ以外の箇所で測定されたものでも構わない。低圧ポンプ2に印加される電圧値は、バッテリあるいはオルタネータの出力電圧であり、適宜な箇所で計測され、内燃機関の制御において様々な部分で使用されているため、それを流用することができる。燃料温度と、低圧ポンプ2に印加される電圧値と、低圧ポンプ2の吐出量との関係は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め把握され、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されるものである。吐出量算出部510は、当該データを利用して、低圧ポンプ2の吐出量を算出する。
【0040】
吐出量低下分算出部520は、燃料フィルタ3の劣化に起因する低圧ポンプ2の吐出量の低下分(l/h)を算出する。蓄圧式燃料噴射制御装置10が自動車の内燃機関に搭載される場合、吐出量低下分算出部520は、現在の燃料温度と、燃料フィルタ3の新品時からの、内燃機関の運転時間あるいは自動車の走行距離とに基づき、低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出する。一方、蓄圧式燃料噴射制御装置10が農建機等、自動車以外の内燃機関に搭載される場合、吐出量低下分算出部520は、現在の燃料温度と、燃料フィルタ3の新品時からの内燃機関の運転時間とに基づき、低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出する。燃料温度は、吐出量算出部510で使用されたものと同じ値が用いられる。
【0041】
ここで、蓄圧式燃料噴射制御装置10が農建機等、自動車以外の内燃機関に搭載される場合、低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出するにあたり、内燃機関の運転時間を使用する理由は以下の様なものである。すなわち、農建機等においては、車両が停止した状態で内燃機関が運転される時間が長いため、車両の走行距離よりも、内燃機関の運転時間を使用した方が、高い精度で低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出することができるからである。
【0042】
吐出量低下分算出部520が低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出するにあたり、蓄圧式燃料噴射制御装置10が搭載される自動車の走行距離を使用する場合、以下のような手法が採られる。まず、蓄圧式燃料噴射制御装置10が搭載される自動車の製造時、あるいは燃料フィルタ3の交換時に、燃料フィルタ3が新品である旨の情報が、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存される。そして、燃料フィルタ3が新品となってからの、自動車の走行距離が吐出量低下分算出部520によってカウントされ、当該カウント値が電子制御ユニット50の適宜の領域に保存される。自動車の走行距離と低圧ポンプ2の吐出量の低下分との関係は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め把握され、電子制御ユニット50の適宜の領域に予め保存されている。吐出量低下分算出部520は、これらの情報から、自動車の運転時間に基づく低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出する。
【0043】
吐出量低下分算出部520が低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出するにあたり、蓄圧式燃料噴射制御装置10が搭載される内燃機関の運転時間を使用する場合、以下のような手法が採られる。まず、蓄圧式燃料噴射制御装置10が搭載される内燃機関の製造時、あるいは燃料フィルタ3の交換時に、燃料フィルタ3が新品である旨の情報が、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存される。そして、燃料フィルタ3が新品となってからの、内燃機関の運転時間が吐出量低下分算出部520によってカウントされ、当該カウント値が電子制御ユニット50の適宜の領域に保存される。内燃機関の運転時間と低圧ポンプ2の吐出量の低下分との関係は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め把握され、電子制御ユニット50の適宜の領域に予め保存されている。吐出量低下分算出部520は、これらの情報から、内燃機関の運転時間に基づく低圧ポンプ2の吐出量の低下分を算出する。
【0044】
実吐出量算出部530は、吐出量算出部510により算出された低圧ポンプ2の吐出量(l/h)と、吐出量低下分算出部520により算出された低圧ポンプ2の吐出量の低下分(l/h)との差分から、低圧ポンプ2の実際の吐出量である実吐出量(l/h)を算出する。
【0045】
必要吐出量算出部540は、内燃機関の運転状態に基づき、蓄圧式燃料噴射制御装置10が必要とする低圧ポンプ2の吐出量である必要吐出量(l/h)を算出する。具体的には、必要吐出量は、流量制御弁19を通過する燃料の量である第1の燃料量(l/h)と、オーバーフローバルブ15から排出される燃料の量である第2の燃料量(l/h)の和として算出される。
【0046】
流量制御弁19を通過する燃料の量は、以下の様に決定される。すなわち、流量制御弁19に供給される電流値は、レール圧を目標値とするためのフィードバック制御の中で、流量制御弁制御部500により決定される。流量制御弁19に供給される電流値と、流量制御弁19を通過する燃料の量との関係は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の仕様により予め把握することが可能であり、当該関係は、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されている。よって、必要吐出量算出部540は、流量制御弁制御部500により決定された、流量制御弁19へ供給する電流値から、流量制御弁19を通過する燃料の量を把握することができる。
【0047】
オーバーフローバルブ15から排出される燃料の量(l/h)は以下の様に決定される。すなわち、低圧ポンプ2やオーバーフローバルブ15等の個体ごとのばらつきを考慮した、オーバーフローバルブ15から排出される燃料の量の最大値が、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されている。これは蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め試験等により把握されたものである。必要吐出量算出部540は、当該最大値を電子制御ユニット50から読み出す。
【0048】
判定部550は、実吐出量算出部530において算出された、低圧ポンプ2の実吐出量と、必要吐出量算出部540において算出された、低圧ポンプ2の必要吐出量とを比較し、実吐出量が必要吐出量を下回った時に、低圧ポンプ2が異常であると判定する。
【0049】
処理部560は、判定部550において、低圧ポンプ2が異常であると判定された場合に、トルク制限等の処理を行う(詳細は後述)。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態における低圧ポンプ2の異常検出処理を機能的に表した機能ブロック図である。
図4に示される処理は、所定の周期毎に繰り返される。
【0051】
吐出量算出部510は、低圧ポンプ2に印加される電圧値と、燃料温度とを入力値として、低圧ポンプ2の吐出量を算出する。当該吐出量は、燃料フィルタ3の劣化による影響を含んでいない。
【0052】
吐出量低下分算出部520は、燃料フィルタ3が新品となってからの、内燃機関の運転時間あるいは自動車の走行距離と、燃料温度を入力として、吐出量低下分を算出する。
【0053】
実吐出量算出部530は、吐出量算出部510により算出された低圧ポンプ2の吐出量と、吐出量低下分算出部520により算出された吐出量低下分との差から、低圧ポンプ2の実吐出量を算出する。尚、
図4において、実吐出量算出部530として、加算の記号が用いられているが、吐出量低下分は負の数として処理されるため、実際には減算処理となる。
【0054】
必要吐出量算出部540は、レール圧のフィードバック制御の結果算出された、流量制御弁19を通過する燃料の量と、オーバーフローバルブ15から排出される燃料の量の最大値とを加算することにより、低圧ポンプ2の必要吐出量を算出する。
【0055】
判定部550は、実吐出量算出部530において算出された、低圧ポンプ2の実吐出量と、必要吐出量算出部540において算出された、低圧ポンプ2の必要吐出量とを比較し、実吐出量が必要吐出量を下回った時に、低圧ポンプ2が異常であると判定する。
【0056】
図5は、判定部550において低圧ポンプ2の異常判定が行われた後に、処理部560において行われる処理を示すサブルーチンフローチャートである。本サブルーチンフローチャートは、
図4に示される低圧ポンプ2の異常検出処理と共に、所定の周期毎に繰り返される。
【0057】
処理が開始されると、まずステップS102において、判定部550において低圧ポンプ2が異常と判定されたか否かが判定される。ステップS102においてYESと判定された場合、ステップS104へ進む一方、ステップS102においてNOと判定された場合、処理部560における処理は必要ないとされ、図示されないメインルーチンへ一旦戻る。
【0058】
尚、判定部550において低圧ポンプ2が異常と判定された後、直ちにステップS104へ進むのではなく、低圧ポンプ2が異常と判定された後、電子制御ユニット50の内部に備えられたタイマをスタートさせ、低圧ポンプ2が異常と判定される状態が所定時間継続した時にステップS104へ進む様にしてもよい。その際の所定時間は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め設定し、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存しておくことが可能である。
【0059】
ステップS104においては、後述する第2制限処理が実行中であるか否かが判定される。ステップS104においてNOと判定された場合、ステップS106へ進む一方、ステップS104においてYESと判定された場合、その後の処理は行われず、図示されないメインルーチンへ一旦戻る。
【0060】
ステップS106においては、第1制限処理が実行される。第1制限処理においては、処理部560が、内燃機関の発生トルクを第1所定値以下に制限する。各運転条件における、燃料噴射量と発生トルクの関係は予め把握されているため、実際には、処理部560は、燃料噴射量を制限することにより、トルクの制限を行う。
【0061】
続くステップS108においては、第1制限処理が実行されてから、予め定められた所定時間が経過したか否かが判定される。ステップS108においてYESと判定された場合、ステップS110へ進む一方、ステップS108においてNOと判定された場合、所定の時間が経過するまで第1制限処理を継続する。尚、本ステップにおける所定時間は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め設定され、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されているものである。
【0062】
ステップS110においては、実吐出量算出部530において算出された実吐出量が、必要吐出量算出部540において算出された、第1制限処理における必要吐出量に所定のしきい値を加算した量を上回るか否かが判定される。本ステップにおける所定のしきい値は、蓄圧式燃料噴射制御装置10の開発段階において予め設定され、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されているものである。ステップS110においてYESと判定された場合、ステップS112へ進む一方、ステップS110においてNOと判定された場合、ステップ114へ進む。
【0063】
ステップS110における処理は、低圧ポンプ2の異常判定が一時的なものであるか否かを判定している。低圧ポンプ2の異常判定が一時的なものである場合とは、例えば、ノイズ等の影響により、センサの出力値が一時的に異常値となった場合や、何等かの理由により低圧ポンプ2への電力供給が一時的に変化する等、様々な要因が考えられる。
【0064】
また、ステップS110においてYESと判定されるための条件が、実吐出量が必要吐出量を上回ることだけでなく、両者の差がしきい値を超えることが加えられているのは、以下の理由によるものである。第1制限処理においては、燃料噴射量が制限されているため、必要吐出量も少なく算出される。従って、実吐出量が必要吐出量を上回る状態になりやすく、この条件のみでは、低圧ポンプ2の異常判定が一時的であるか否かを判定するには不十分だからである。
【0065】
ステップS112においては、第1制限処理を停止し、内燃機関の運転を通常運転に戻す処理が行われる。これは、S110において、低圧ポンプ2の異常判定が一時的なものであったと判定されたためである。
【0066】
ステップS114においては、第2制限処理が開始される。第2制限処理においては、処理部560が、第1制限処理よりもさらに燃料噴射量を低下させ、内燃機関の発生トルクを、第1制限処理における第1所定値よりもさらに小さな第2所定値以下に制限する。さらに、処理部560は、エラーランプ等により、ドライバーに対し異常を知らせる処理を行う。これは、ステップS110においてNOと判定されたことにより、低圧ポンプ2の異常判定が一時的なものではないことが確定したために行われる処理である。
【0067】
以上、説明した様に、本発明によれば、新たな装置を追加することなく、低圧ポンプ2の異常判定が実行可能となる。また、低圧ポンプ2の異常判定が一時的なものであるか否かの確認も行い、一時的なものではないと確認された後に異常確定とし、異常に対応した処理を実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1:燃料タンク、2:低圧ポンプ、3:燃料フィルタ、7:高圧ポンプ、8:コモンレール、9:燃料噴射弁、15:オーバーフローバルブ、19、流量制御弁、50:電子制御ユニット、500:流量制御弁制御部、510:吐出量算出部、530:実吐出量算出部、540:必要吐出量算出部、550:判定部、560:処理部