(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
H01L21/60 301N
(21)【出願番号】P 2020159719
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-263665(JP,A)
【文献】特開2004-158833(JP,A)
【文献】特開平08-139318(JP,A)
【文献】特開平10-341015(JP,A)
【文献】特開2006-165515(JP,A)
【文献】特開2008-306196(JP,A)
【文献】特開2002-319587(JP,A)
【文献】特開2019-169552(JP,A)
【文献】特開2012-114137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層を有する半導体素子と、
前記半導体素子上に配線層とを備え、
前記配線層は、前記半導体素子上に第1電極と、前記半導体素子上に第2電極と、前記半導体素子上に第3電極と、前記第1電極、第2電極及び前記第3電極上に絶縁膜と、前記絶縁膜上に前記半導体素子側とは反対側を第1面とする第1電極パッドと、前記絶縁膜上で前記
第1電極パッドと隣接し、前記半導体素子側とは反対側を第1面とする第2電極パッドとを有し、
前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極は、前記半導体素子と前記絶縁膜の間に位置し、
前記絶縁膜を介して、前記第2電極と前記第1電極パッドが絶縁され、
前記絶縁膜を介して、前記第1電極と前記第2電極パッドが絶縁され、
前記絶縁膜に設けられた第1開口部を介して、前記第1電極と前記第1電極パッドが接して電気的に接続され、
前記絶縁膜に設けられた第2開口部を介して、前記第2電極と前記第2電極パッドが接して電気的に接続され、
前記第1電極パッドに第1ボンディングワイヤが接続し、
前記第2電極パッドに第2ボンディングワイヤが接続し、
前記第1電極パッドの前記第1ボンディングワイヤが接続する領域において、前記第1電極と前記第1電極パッドが接続されている部分の前記第1電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離は、前記第2電極と前記第1電極パッドが絶縁されている部分の前記第1電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離よりも大きく、
前記第2電極パッドの前記第2ボンディングワイヤが接続する領域において、前記第2電極と前記第2電極パッドが接続されている部分の前記第2電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離は、前記第1電極と前記第2電極パッドが絶縁されている部分の前記第2電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離よりも大き
く、
前記第1電極と前記第1電極パッドが接続されている部分の前記第1電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離と、前記第2電極と前記第1電極パッドが絶縁されている部分の前記第1電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離の差は、1μm以上10μm以下であり、
前記第2電極と前記第2電極パッドが接続されている部分の前記第2電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離と、前記第1電極と前記第2電極パッドが絶縁されている部分の前記第2電極パッドの第1面から前記半導体層までの距離の差は、1μm以上10μm以下である半導体装置。
【請求項2】
前記第1電極パッドは、凹凸を有し、前記絶縁膜に設けられた第1開口部を介して、前記第1電極と前記第1電極パッドが接して電気的に接続されている部分が凸であり、前記絶縁膜を介して、前記第2電極と前記第1電極パッドが絶縁されている部分が凹部あり、
前記第2電極パッドは、凹凸を有し、前記絶縁膜に設けられた第2開口部を介して、前記第2電極と前記第2電極パッドが接して電気的に接続されている部分が凸部であり、前記絶縁膜を介して、前記第1電極と前記第2電極パッドが絶縁されている部分が凹部であり、
前記第1電極パッドの凹部の幅は、前記第1電極パッドの凸部の幅より狭く、
前記第2電極パッドの凹部の幅は、前記第2電極パッドの凸部の幅より広い請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極パッドは、凹凸を有し、前記絶縁膜を介して、前記第2電極と前記第1電極パッドが絶縁されている部分が凹部であり、前記第1電極パッドの前記凹部の幅は、前記第2電極の幅の2倍以上であり、
前記第2電極パッドは、凹凸を有し、前記絶縁膜に設けられた第2開口部を介して、前記第2電極と前記第2電極パッドが接して電気的に接続されている部分が凸部であり、前記第1電極パッドの前記凸部の幅は、前記第2電極の幅の1.2倍以上である請求項1
又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドは、前記半導体素子の半導体素子領域上に設けられている請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3電極は、配線を介して、前記半導体素子上の非半導体素子領域上に設けられた第3電極パッドと接続し、
前記第3電極パッドに第3ボンディングワイヤが接続する請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極、前記第2電極、前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドは、Alを主体とし、
前記第1電極と前記第1電極パッドの間の絶縁膜の一部に第1クラックが存在し、前記第1クラックを介して、前記第1電極と前記第1電極パッドが接続していて、
前記第2電極と前記第2電極パッドの間の絶縁膜の一部に第2クラックが存在し、前記第2クラックを介して、前記第2電極と前記第2電極パッドが接続している請求項1ないし
5のいずれか1項に機作の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源回路やインバータ回路などの回路には、トランジスタやダイオードなどの半導体素子が用いられる。これらの半導体素子には高耐圧及び低オン抵抗が求められる。
【0003】
半導体素子上にパッドを設けパッド上にボンディングワイヤを形成して配線をすることでRonS(mΩcm2)を低減する試みがある。しかし、パッドとボンディングワイヤを形成する際に半導体素子に大きな応力がかかり、半導体素子が損傷する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、半導体層を有する半導体素子と、半導体素子上に配線層とを備え、配線層は、半導体素子上に第1電極と、半導体素子上に第2電極と、半導体素子上に第3電極と、第1電極、第2電極及び第3電極上に絶縁膜と、絶縁膜上に半導体素子側とは反対側を第1面とする第1電極パッドと、絶縁膜上で第1電極パッドと隣接し、半導体素子側とは反対側を第1面とする第2電極パッドとを有し、第1電極、第2電極及び第3電極は、半導体素子と絶縁膜の間に位置し、絶縁膜を介して、第2電極と第1電極パッドが絶縁され、絶縁膜を介して、第1電極と第2電極パッドが絶縁され、絶縁膜に設けられた第1開口部を介して、第1電極と第1電極パッドが接して電気的に接続され、絶縁膜に設けられた第2開口部を介して、第2電極と第2電極パッドが接して電気的に接続され、第1電極パッドに第1ボンディングワイヤが接続し、第2電極パッドに第2ボンディングワイヤが接続し、第1電極パッドの第1ボンディングワイヤが接続する領域において、第1電極と第1電極パッドが接続されている部分の第1電極パッドの第1面から半導体層までの距離は、第2電極と第1電極パッドが絶縁されている部分の第1電極パッドの第1面から半導体層までの距離よりも大きく、第2電極パッドの第2ボンディングワイヤが接続する領域において、第2電極と第2電極パッドが接続されている部分の第2電極パッドの第1面から半導体層までの距離は、第1電極と第2電極パッドが絶縁されている部分の第2電極パッドの第1面から半導体層までの距離よりも大きく、第1電極と第1電極パッドが接続されている部分の第1電極パッドの第1面から半導体層までの距離と、第2電極と第1電極パッドが絶縁されている部分の第1電極パッドの第1面から半導体層までの距離の差は、1μm以上10μm以下であり、第2電極と第2電極パッドが接続されている部分の第2電極パッドの第1面から半導体層までの距離と、第1電極と第2電極パッドが絶縁されている部分の第2電極パッドの第1面から半導体層までの距離の差は、1μm以上10μm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材についてはその説明を省略する場合がある。
【0009】
本明細書中、「窒化物半導体層」は「GaN系半導体」を含む。「GaN系半導体」とは、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)及びそれらの中間組成を備える半導体の総称である。
【0010】
本明細書中、「アンドープ」とは、不純物濃度が2×1016cm-3以下であることを意味する。
【0011】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の半導体装置は、半導体層を有する半導体素子と、半導体素子上に配線層とを備える。以下、GaN系の半導体装置を例に説明するが、半導体素子はGaN系以外の横型のトランジスタでもよい。
を備える。
【0013】
図1は、第1実施形態の半導体装置100の斜視模式図である。
図2、3は、第1実施形態の半導体装置100の模式断面図である。
図2は、
図1のA-A’断面の部分断面図である。
図3はB-B’断面の部分断面図である。半導体素子10は、例えばGaN系半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。半導体素子10には、トランジスタとして動作する素子領域とトランジスタとしては動作しない非素子領域がある。半導体素子10において、
図1の破線21で囲った領域に相当する位置が素子領域である。半導体素子10の素子領域上に配線層の第1パッド電極22と第2パッド電極23が位置している。半導体素子10の非素子領域上に配線層の第3パッド電極24が位置している。
図2には、第1電極5側の配線を示しており、
図3には、第2電極6側の配線を示している。
【0014】
半導体素子10は、基板1、バッファ層2、チャネル層3(第1窒化物半導体層)、バリア層4(第2窒化物半導体層)を備える。
【0015】
基板1は、例えば、シリコン(Si)で形成される。シリコン以外にも、例えば、サファイア(Al2O3)や炭化珪素(SiC)を適用することも可能である。
【0016】
基板1上に、バッファ層2が設けられる。バッファ層2は、基板1とチャネル層3との間の格子不整合を緩和する機能を備える。バッファ層2は、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlWGa1-WN(0<W≦1))の多層構造で形成される。
【0017】
チャネル層3は、バッファ層2上に設けられる。チャネル層3は電子走行層とも称される。チャネル層3は、例えば、アンドープの窒化アルミウムガリウム(AlXGa1-XN(0≦X<1))である。より具体的には、例えば、アンドープの窒化ガリウム(GaN)である。チャネル層3の厚さは、例えば、0.1μm以上10μm以下である。実施形態において厚さは、チャネル層3を含めチャネル層3とバリア層4の積層方向における各部材の長さ(高さ)である。
【0018】
バリア層4は、チャネル層3上に設けられる。バリア層4は電子供給層とも称される。バリア層4のバンドギャップは、チャネル層3のバンドギャップよりも大きい。バリア層4は、例えば、アンドープの窒化アルミウムガリウム(AlYGa1-YN(0<Y≦1、X<Y))である。より具体的には、例えば、アンドープのAl0.25Ga0.75Nである。バリア層4の厚さは、例えば、2nm以上100nm以下である。
【0019】
チャネル層3とバリア層4との間は、ヘテロ接合界面となる。ヘテロ接合界面に2次元電子ガス(2DEG)が形成されHEMT100のキャリアとなる。
【0020】
半導体装置100の半導体素子10上には、配線層20が設けられている。配線層20は、第1電極5、第2電極6、第3電極7、絶縁膜8、第1電極パッド22、第2電極パッド23、第3電極パッド24、第1ボンディングワイヤ25、第2ボンディングワイヤ26、第3ボンディングワイヤ27を有する。第1ボンディングワイヤ25、第2ボンディングワイヤ26、第3ボンディングワイヤ27は、半導体装置100の電極端子と接続している。
【0021】
第1電極5は、例えばソース電極である。ソース電極5は、チャネル層3及びバリア層4の上に設けられる。ソース電極5は、チャネル層3及びバリア層4に電気的に接続される。ソース電極5は、例えば、バリア層4に直接的に接する。
【0022】
ソース電極5は、例えば、金属電極である。ソース電極5は、例えば、アルミニウムを主体とし、アルミニウムを50wt%以上含むアルミニウム膜やチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極5と、バリア層4との間はオーミックコンタクトであることが望ましい。
【0023】
ソース電極5には、フィールドプレート電極が含まれ、フィールドプレート電極がソース電極5に接続していてもよい。複数のフィールドプレート電極がソース電極5と接続していてもよい。この場合、
図2の断面図で示しているソース電極5は、最もドレイン電極6側に延伸している部材を表している。
【0024】
第2電極6はドレイン電極である。ドレイン電極6は、チャネル層3及びバリア層4の上に設けられる。ドレイン電極6は、チャネル層3及びバリア層4に電気的に接続される。ドレイン電極6は、例えば、バリア層4に接する。
【0025】
ドレイン電極6は、例えば、金属電極である。ドレイン電極6は、例えば、アルミニウムを主体とし、アルミニウムを50wt%以上含むアルミニウム膜やチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ドレイン電極6と、バリア層4との間はオーミックコンタクトであることが望ましい。
【0026】
ソース電極5とドレイン電極6との距離は、例えば、5μm以上30μm以下である。
【0027】
なお、ソース電極5及びドレイン電極6は、チャネル層3に直接的に接する構造とすることも可能である。
【0028】
第3電極7はゲート電極である。ゲート電極7は、チャネル層3及びバリア層4の上に設けられる。ゲート電極7は、チャネル層3及びバリア層4に電気的に接続される。ゲート電極7は、例えば、バリア層4に直接的に接する。ゲート電極7は、ソース電極5とドレイン電極6の間に設けられる。
【0029】
ゲート電極7は、例えば、窒化チタン(TiN)である。
【0030】
ゲート電極7とバリア層の間には、図示しないゲート絶縁膜を設け、半導体装置100をMIS(Metal Insulator Semiconductor)型HEMTとすることもできる。ゲート絶縁層は、例えば、酸化物又は酸窒化物である。ゲート絶縁層は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化シリコン、又は、酸窒化アルミニウムである。
【0031】
ゲート電極7には、フィールドプレート電極が含まれ、フィールドプレート電極がゲート電極7に接続していてもよい。
【0032】
絶縁膜8は、ソース電極5、ドレイン電極6及びゲート電極7を被覆している。絶縁膜8は例えば、酸化物、窒化物である。絶縁膜8は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiN)、又は高誘電率(high-k)材料などである。high-k材料としては、酸化ハフニウム(HfO2)などが挙げられる。
【0033】
半導体層、半導体領域の元素の種類、元素濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)により測定することが可能である。また、元素濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とアトムプローブ像との比較画像からも求めることが可能である。
【0034】
配線層20の第1電極パッド22と第2電極パッド23は、半導体素子10の素子領域上に隣接している。第1電極パッド22は、ソース電極パッドである。第2電極パッド23は、ドレイン電極パッドである。また、第3電極パッド24は、ゲート電極パッドである。
【0035】
ソース電極パッド22は、例えば、金属電極である。ソース電極パッド22は、例えば、アルミニウムを主体とし、アルミニウムを50wt%以上含むアルミニウム膜やチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極パッド22は、半導体素子側とは反対側に第1面を有する。ソース電極パッド22と、ソース電極5との間はオーミックコンタクトであることが望ましい。ソース電極パッド22は、第1ボンディングワイヤ25と接続している。1つのボンディングワイヤで、ソース-ドレイン間を1つのユニットセルとすると、典型的には、3つのユニットセルを接続している。第1ボンディングワイヤ25が設けられる位置に、図示しない凹部をソース電極パッド22に設けることで、位置決め精度が向上する。凹部を設けるためには、例えば、第1ボンディング25を形成する位置とその周辺部を除く部分(
図2で示していない部分)のソース電源パッド22や絶縁膜8を全体的に厚くする。このようにすることで、ソース電源パッド22の第1ボンディングワイヤ25と接続する領域がソース電源パッド22の第1ボンディングワイヤ25と接続しない領域に対して凹む。
【0036】
ドレイン電極パッド23は、例えば、金属電極である。ドレイン電極パッド23は、例えば、アルミニウムを主体とし、アルミニウムを50wt%以上含むアルミニウム膜やチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ドレイン電極パッド23は、半導体素子側とは反対側に第1面を有する。ソース電極パッド22と、ソース電極5との間はオーミックコンタクトであることが望ましい。ドレイン電極パッド23は、第2ボンディングワイヤ26と接続している。1つのボンディングワイヤで、ソース-ドレイン間を1つのユニットセルとすると、典型的には、3つのユニットセルを接続している。第2ボンディングワイヤ26が設けられる位置に、図示しない凹部をドレイン電極パッド23に設けることで、位置決め精度が向上する。凹部を設けるためには、例えば、第2ボンディング26を形成する位置とその周辺部を除く部分(
図3で示していない部分)のドレイン電源パッド23や絶縁膜8を全体的に厚くする。このようにすることで、ドレイン電源パッド23の第2ボンディングワイヤ26と接続する領域がソース電源パッド23の第2ボンディングワイヤ26と接続しない領域に対して凹む。
【0037】
ゲート電極パッド24は、例えば、金属電極である。ゲート電極パッド24は、例えば、アルミニウムを主体とし、アルミニウムを50wt%以上含むアルミニウム膜やチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ゲート電極パッド24は、半導体素子側とは反対側に第1面を有する。ゲート電極パッド24と、ゲート電極7との間はオーミックコンタクトであることが望ましい。ゲート電極パッド24は、第3ボンディングワイヤ27と接続している。
【0038】
図2と
図3の断面模式図を参照して、ソース電極パッド22の周りの配線の接続について説明する。ソース電極5、ドレイン電極6及びゲート電極7は、半導体素子10と絶縁膜8の間に位置している。絶縁膜8は、ソース電極パッド22とソース電極5の間、及び、ソース電極パッド22とドレイン電極7の間に位置している。
図2、3では、絶縁膜8は、分離していないが、多層の絶縁膜でもよい。
【0039】
ソース電極5側でソース電極5とソース電極パッド22の間に位置する絶縁膜8には第1開口部Aが設けられている。第1開口部Aを介して、ソース電極5とソース電極パッド22が接続し、ソース電極5とソース電極パッド22が電気的に接続する。
【0040】
ソース電極パッド22下のドレイン電極6側は、絶縁膜8には開口部が無く絶縁膜8を介して、ドレイン電極6とソース電極パッド22は絶縁されている。
【0041】
ソース電極パッド22は、凹凸を有し、絶縁膜8に設けられた第1開口部Aを介して、ソース電極5とソース電極パッド22が接して電気的に接続されている部分が凸部であり、絶縁膜8を介して、ドレイン電極6とソース電極パッド22が絶縁されている部分が凹部ある。電気的に接続する部分が出っ張っていて、電気的に接続しない部分が凹んでいる。
【0042】
ソース電極5とソース電極パッド22が接続されている部分のソース電極パッド22の第1面から半導体素子の半導体層(例えばチャネル層3)までの距離は、ドレイン電極6とソース電極パッド22が絶縁されている部分のソース電極パッド22の第1面からチャネル層までの距離よりも大きい。
【0043】
この凹凸によって、ドレイン電極6とソース電極パッド22の短絡を防いでいる。第1ボンディングワイヤ25をソース電極パッド22に形成するときに。第1ボンディングワイヤ25とソース電極パッド22の接合部分に機械的応力がかかり、絶縁膜8が破壊されるおそれがある。ソース電極5とソース電極パッド22は導通させているため、ソース電極5とソース電極パッド22間で選択的に絶縁膜8が破壊されるようにすることで、短絡をふせぐことができるソース電極パッド22の第1面が平坦であると、全体的に応力がかかり、全体的に破損しやすい。ソース電極パッド22に出っ張りがあると、出っ張った部分に応力が集中する。短絡させたくない部分に出っ張った部分がなく、絶縁膜8が破壊されて絶縁膜8で隔てていた導電部材が接しても電気的に問題が無いところを出っ張らせることで、短絡を防ぐことができる。
【0044】
凹凸が小さいとドレイン電極6側の絶縁膜8も破壊される恐れがある。凹凸が大きすぎるとボンディングワイヤとソース電極パッド22の接合不良箇所が生じ易い。そこで、ソース電極5とソース電極パッド22が接続されている部分のソース電極パッド22の第1面からチャネル層3までの距離と、ドレイン電極6とソース電極パッド23が絶縁されている部分のソース電極パッド22の第1面からチャネル層3までの距離の差は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0045】
また、凹部の幅が狭いと、応力緩和の効果が少ない。そこで、凹部の幅は、ドレイン電極6の幅よりも広く、ドレイン電極6の幅の2倍以上であることが好ましい。
【0046】
ソース電極パッド22側では、電極の幅の関係で、凹部の幅が凸部の幅より狭くなっている。
【0047】
ソース電極5とソース電極パッド22の間の絶縁膜8の一部が破壊され、クラック(第1クラック)が生じている場合がある。アルミニウムを主体とするソース電極5とソース電極パッド22で絶縁膜8を挟むと絶縁膜8にクラックが生じ易い。生じたクラックにおいてもソース電極5とソース電極パッド22が接続していて導通していることが好ましい。
【0048】
ドレイン電極パッド23側でドレイン電極6とドレイン電極パッド23側の間に位置する絶縁膜8には第2開口部Bが設けられている。第2開口部Bを介して、ドレイン電極6とドレイン電極パッド23が接続し、ドレイン電極6とドレイン電極パッド23が電気的に接続する。
【0049】
ドレイン電極パッド23側下のソース電極5側は、絶縁膜8には開口部が無く絶縁膜8を介して、ソース電極5とドレイン電極パッド23は絶縁されている。
【0050】
ドレイン電極パッド23側は、凹凸を有し、絶縁膜8に設けられた第2開口部Bを介して、ドレイン電極6とドレイン電極パッド23が接して電気的に接続されている部分が凸部であり、絶縁膜8を介して、ソース電極5とドレイン電極パッド23側が絶縁されている部分が凹部ある。電気的に接続する部分が出っ張っていて、電気的に接続しない部分が凹んでいる。
【0051】
ドレイン電極6とドレイン電極パッド23側が接続されている部分のドレイン電極パッド23側の第1面から半導体素子の半導体層(例えばチャネル層3)までの距離は、ソース電極5とドレイン電極パッド23側が絶縁されている部分のドレイン電極パッド23側の第1面からチャネル層までの距離よりも大きい。
【0052】
この凹凸によって、ソース電極5とドレイン電極パッド23側の短絡を防いでいる。第2ボンディングワイヤ26をドレイン電極パッド23側に形成するときに。第1ボンディングワイヤ25とドレイン電極パッド23の接合部分に機械的応力がかかり、絶縁膜8が破壊されるおそれがある。ドレイン電極6とドレイン電極パッド23側は導通させているため、ドレイン電極6とドレイン電極パッド23側間で選択的に絶縁膜8が破壊されるようにすることで、短絡をふせぐことができるドレイン電極パッド23の第1面が平坦であると、全体的に応力がかかり、全体的に破損しやすい。ドレイン電極パッド23側に出っ張りがあると、出っ張った部分に応力が集中する。短絡させたくない部分に出っ張った部分がなく、絶縁膜8が破壊されて絶縁膜8で隔てていた導電部材が接しても電気的に問題が無いところを出っ張らせることで、短絡を防ぐことができる。
【0053】
凹凸が小さいとソース電極5側の絶縁膜8も破壊される恐れがある。凹凸が大きすぎるとボンディングワイヤとドレイン電極パッド23側の接合不良箇所が生じ易い。そこで、ドレイン電極6とドレイン電極パッド23側が接続されている部分のドレイン電極パッド23側の第1面からチャネル層3までの距離と、ソース電極5とドレイン電極パッド23側が絶縁されている部分のドレイン電極パッド23側の第1面からチャネル層3までの距離の差は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0054】
また、凹部の幅が狭いと、応力緩和の効果が少ない。そこで、凹部の幅は、ソース電極5の幅よりも広く、ソース電極5の幅の1.2倍以上であることが好ましい。
【0055】
ドレイン電極パッド23側では、電極の幅の関係で、凹部の幅が凸部の幅より広くなっている。
【0056】
ドレイン電極6とドレイン電極パッド23側の間の絶縁膜8の一部が破壊され、クラック(第2クラック)が生じている場合がある。アルミニウムを主体とするドレイン電極6とドレイン電極パッド23側で絶縁膜8を挟むと絶縁膜8にクラックが生じ易い。生じたクラックにおいてもドレイン電極6とドレイン電極パッド23が接続していて導通していることが好ましい。
(第2実施形態)
第2実施形態の半導体装置は、第1実施形態の半導体装置の変形例である。
図4、5に第2実施形態の半導体層101の模式断面図を示す
図4は、第2実施形態の半導体装置101において
図1のA-A’断面に対応する断面の部分断面図である。
図5は、第2実施形態の半導体装置101において
図1のB-B’断面に対応する断面の部分断面図である。第2実施形態の半導体装置101は、ソース電極パッド23下のソース電極5とドレイン電極パッド23下のドレイン電極7が厚くなっていること以外は、第1実施形態の半導体装置100と共通する。第1実施形態の変形例を含む実施形態においては、変更や付加された構成の一部又は全部を他の実施形態に採用することが出来る。実施形態間で共通する内容についてはその説明を省略する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に信頼性に優れた半導体装置101を提供することが出来る。
【0057】
第2実施形態においては、電極の厚さを変えることで、ソース電極パッド22及びドレイン電極パッド23の表面に凹凸を形成している。電極の厚さを変えるために、厚い電極には、異なる金属を積層させてもよい。
【0058】
電極の厚さを変えることによっても、ソース-ドレイン間の短絡を防ぎ、信頼性の高い半導体装置101を提供することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の半導体装置は、第1実施形態の半導体装置の変形例である。
図6に第3実施形態の半導体層102の模式断面図を示す。
図6は、第3実施形態の半導体装置101において
図1のA-A’断面に対応する断面の部分断面図である。第3実施形態の半導体装置102は、ソース電極パッド23下のソース電極5上の絶縁膜8を厚くし、図示を省略しているが、ドレイン電極パッド23下のドレイン電極7上の絶縁膜8が厚くなっていること以外は、第1実施形態の半導体装置100と共通する。第1実施形態の変形例を含む実施形態においては、変更や付加された構成の一部又は全部を他の実施形態に採用することが出来る。実施形態間で共通する内容についてはその説明を省略する。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に信頼性に優れた半導体装置102を提供することが出来る。
【0059】
第3実施形態においては、絶縁膜8の厚さを変えることで、ソース電極パッド22及びドレイン電極パッド23の表面に凹凸を形成している。絶縁膜の厚さを変えるために、厚い絶縁膜には、異なる絶縁膜を積層させてもよい。
【0060】
絶縁膜の厚さを変えることによっても、ソース-ドレイン間の短絡を防ぎ、信頼性の高い半導体装置102を提供することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 半導体装置
10 半導体素子
20 配線層
1 基板
2 バッファ層
3 チャネル層(第1窒化物半導体層、窒化物半導体層)
4 バリア層(第2窒化物半導体層、窒化物半導体層)
5 ソース電極(第1電極)
6 ドレイン電極(第2電極)
7 ゲート電極(第3電極)
8 絶縁膜
22 ソース電極パッド(第1電極パッド)
23 ドレイン電極パッド(第2電極パッド)
24 ゲート電極パッド(第3電極パッド)
25 第1ボンディングワイヤ
26 第2ボンディングワイヤ
27 第3ボンディングワイヤ
100~103 半導体装置